JP7525902B2 - 絶縁ロープの絶縁性確認方法およびそれに用いる絶縁性確認装置 - Google Patents
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Description
絶縁ロープは活線に接触したり、誘導電圧にさらされる可能性があるため、高い絶縁性が求められる。そのため、絶縁ロープは、非導電性または絶縁性の繊維を編組したロープ芯とそのロープ芯の外周を絶縁性樹脂で被覆した絶縁層から構成されている。絶縁層は、それ自体が絶縁性能をもつと共にロープ芯に雨水が浸入するのを防止する防水性能も有している。このため、絶縁ロープのロープ芯への雨水の浸入は抑止され、ロープ芯が湿潤することによって電気が流れることも防止される。このため、送電線の張替え工事をする際の絶縁ロープによる活線の支持が支障なく行われる。
そこで、送電線張替え工事の安全を確保するために絶縁ロープの絶縁性を確認する必要があり、そのための信頼性の高い絶縁性確認試験が求められる。また、この絶縁性確認試験は、製造直後と、製造後における使用の都度の両方において必要とされる。
その試験方法(以下、従来技術1という)は、所定の長さの絶縁棒の2点間に、活線にかかっている電圧の2倍の交流電圧をかけ、5分間耐えることを確認するものである。また、絶縁棒の全長に対して数10cmを区切り、その部分部分を順次に試験するものであった。
ところが、従来技術1に準じると試験が5分間加電した後で数10cm動かすという間欠方式となるので、極めて能率が悪く、全長にわたる試験も事実上不可能だった。
この従来技術2は、つぎのように構成されている。絶縁線条物の所定位置を一対の加電ローラ間に挟み込んでこの一対の加電ローラで電圧を印加する部位を加電部とし、この加電部の前後の少なくとも一方に所定距離離れた位置を一対の電流検出ローラ間に挟み込んでこの一対の電流検出ローラにおいて流れる電流を測定する部位を電流ピックアップ部としている。電流ピックアップ部には電流計が介装されており、加電部と電流ピックアップ部との間の絶縁線条物に流れる電流の大きさを測定するようになっている。
(1)特許文献1には、加電部に所定電圧を印加すること(段落0080)と、絶縁線条物内には微弱電流が流れる旨(段落0084)が記載されているが、それ以上の具体的技術情報は全く記載されていない。
そこで、絶縁線条物に微弱電流が流れるとの記載から推測すると、絶縁線条物の内部が湿潤していると電流が微弱でも流れるが、乾燥していると流れないであろうことを把えて耐電圧試験ができるとの認識のようである。しかし、実際には絶縁線条物の内部が湿潤していると絶縁性樹脂が電極と湿潤した芯材の間で肉厚方向に絶縁破壊して樹脂に孔が開き、導電性となった内部を通して短絡(ショート)し、けた違いに大きな電流が流れ、ロープが焼損する危険性がある。また、絶縁破壊してしまっては、加電部と電流ピックアップ部の間にある絶縁線条物に湿潤部分があることは分かっても、具体的かつ正確に湿潤部分の位置を特定することはできない。つまり、位置特定能力に欠けるという問題がある。
(2)さらに、従来技術2では、静電誘導電流による誤差を避けることができない、という問題がある。すなわち、電流ピックアップ部に加電部と電流ピックアップ部との間の空中の静電容量を通して流れる静電誘導電流は電流検出ローラを介して電流計に流れる。この静電誘導電流は印加電圧の大きさ比例して大きくなり、数10μA程度になることがある。この誘導電流が実際に測りたい絶縁ロープRを流れる電流に加算されると、その合計電流には合否判定に役立たない雑音(誘導電流分)が含まれるため、絶縁性の合否判定が正確にできなくなっていた。
第2発明の絶縁ロープの絶縁性確認方法は、第1発明において、前記絶縁ロープを、加電位置を経過して検査位置を通り抜けるように移動させながら、前記絶縁ロープの絶縁性を連続的に確認することを特徴とする。
第3発明の絶縁ロープの絶縁性確認方法は、第2発明において、前記漏れ電流の計測値が上昇し始めると、前記絶縁ロープのロープ芯に雨水が浸入している湿潤区間の始まりと判断し、同時に加電電圧を検査開始電圧からより低い検査継続電圧に低下させ、前記絶縁ロープの湿潤区間が終わったと判断できるまで、前記検査継続電圧を加電することを特徴とする。
第4発明の絶縁ロープの絶縁性確認装置は、非導電性繊維を編組したロープ芯と該ロープ芯の外周を絶縁性樹脂で被覆した絶縁層を有する絶縁ロープの絶縁性確認方法に用いる絶縁ロープの絶縁性確認装置であって、絶縁ロープを一対の加電ローラで挟み込んで、該一対の加電ローラから電圧を印加する加電電極と、絶縁ロープを一対の検出ローラで挟み込んで該一対の検出ローラから該絶縁ロープを流れる漏れ電流を計測する検出電極と、前記検出電極に流れる電流を計測する電流計と、前記検出電極の周辺空間に設置され、かつアースの接続された静電シールドボックスとからなることを特徴とする。
i:絶縁性が良好なときに絶縁ロープの外面を流れる漏れ電流と絶縁性が不良なときに絶縁ロープのロープ芯を流れる漏れ電流とは、電流量に大きな違いがあるので、検出位置において漏れ電流を計測することで絶縁性の良否を正確に判断することができる。
ii:漏れ電流の電流量は急変するので、絶縁不良個所を正確に特定することができ、合格品と不合品の判定が正確に行える。
第2発明によれば、絶縁ロープを移動させながら、加電位置から検査位置へ電流を流すので、長尺の絶縁ロープの絶縁性を効率よく検査することができる。
第3発明によれば、検査開始電圧の加電下で絶縁性の検査中に絶縁ロープ内の湿潤が確認されると、検査開始電圧よりも電圧の低い検査継続電圧に切り換えるので、検査中に絶縁破壊が起る可能性がより低下する。このため、絶縁ロープを損傷することなく検査することができる。
第4発明によれば、絶縁性が良好なときに絶縁ロープの外面を流れる漏れ電流と絶縁性が不良なときに絶縁ロープのロープ芯を流れる漏れ電流とは、電流量に大きな違いがあるので、検出位置において漏れ電流を計測することで絶縁ロープの絶縁性の判断が正確に行える。
本発明により絶縁性を試験できる対象は、非導電性繊維を編組したロープ芯とそのロープ芯の外周を絶縁性樹脂で被覆した絶縁層からなる絶縁ロープである。なお、本明細書で、非導電性繊維というときは、これに絶縁性繊維を含む意味で用いている。この構成を備えたロープであれば、ロープ芯の繊維の種類や編み方が種々であっても、また絶縁性樹脂の種類が種々であったり、付加的な絶縁物が用いられたとしても、本発明の適用が可能である。
絶縁ロープRは、巻出しロール1から巻き出され、巻取りロール2に巻き取られて、矢印a方向に移動する。
絶縁性確認装置Aを構成する一対の電極10,20は巻出しロール1と巻取りロール2との間に設置されている。この一対の電極10,20は、可搬式の架台に搭載されているが、可搬式とするか定置式とするかは任意である。
巻出しロール1と巻取りロール2の駆動、および電極10,20の駆動は運転台3から行われる。
加電電極10は、一対のローラ11,12を備え、絶縁ロープRを上下から挟めるように配置されている。下側のローラ11は固定フレーム13に軸支されている。上側のローラ12は可動フレーム14に軸支されている。ローラ12はスプリング15で下方に引き付けられ、一対のローラ11,12で絶縁ロープRの外周面にしっかり接触するようになっている。したがって、一対のローラ11,12に回転駆動力を与えて回転させれば、絶縁ロープRを矢印a方向に移動させることができる。また、可動フレーム14に加電すれば、ローラ12を介して移動中の絶縁ロープRに加電することができる。この加電電極10はユニットとして絶縁台35上に設置されている。絶縁台35は絶縁性材料で作られた台である。
検出電極20は、一対のローラ21,22を備え、絶縁ロープRを上下から挟めるように配置されている。下側のローラ21は固定フレーム23に軸支されている。上側のローラ22は可動フレーム24に軸支されている。ローラ22はスプリング25で下方に引き付けられ、一対のローラ21,22で絶縁ロープRの外周面にしっかり接触する。したがって、一対のローラ21,22に回転駆動力を与えて回転させれば、絶縁ロープRを矢印a方向に移動させることができる。また、絶縁ロープRに流れてきた電流は、固定フレーム23に流される。
この検出電極20はユニットとして絶縁台35上に設置されている。
したがって、絶縁ロープRによって流れてきた電流は、全て電流計32によって計測することができる。
シールドボックス30には、アース線34が接続されている。
したがって、検出電極20に接続された電流計32は、絶縁ロープRを伝わってきた漏れ電流ILの電流量のみを計測できる。
従来技術では検出電極20にシールドボックス30を設けていないので、主に加電電極10と検出電極20との間の空中の静電容量を通して流れる静電誘導電流Icは検出電極20を通じて電流計32に流れる。この場合、加電電極10から検出電極20の方向に絶縁ロープRを伝わってきた漏れ電流ILも電流計32に流れる。そのため、電流計32で計測できる電流量は漏れ電流ILに静電誘導電流Icが加わったものとなり、絶縁ロープRの絶縁性を判断するために必要な漏れ電流ILを正確に計測することができないという問題がある。
図1および図2に示す絶縁性確認装置Aに絶縁ロープRをセットする。具体的には、巻出しロール1から繰り出した絶縁ロープRを加電電極10の一対のローラ11,12の間と、検出電極20の一対のローラ21,22の間に通し、さらに絶縁ロープRを巻取りロール2に巻き付かせた状態とする。そのうえで、巻取りロール2と巻出しロール1、および加電電極10と検出電極20とを駆動して、絶縁ロープRを矢印a方向に移動させる。こうすることで、連続検査の準備が整う。
図1および図2に示すように、絶縁ロープRを加電電極10と検出電極20との間で移動させながら、加電電極10には絶縁層に絶縁破壊を生じさせないレベルの検査用電圧を連続的に加電する。そして図4(A)に示すように漏れ電流ILを計測する。ここでいう漏れ電流ILとは、JIS規格[T1011]に定義するように、「絶縁材料の表面や内部を通って流れる電流」のことをいう。
上記定義にいう「絶縁材料の表面を通って流れる電流」は本明細書の絶縁ロープRの外面を流れる漏れ電流IL1に対応し、「絶縁材料の内部を通って流れる電流」は本発明の絶縁ロープRの内部、すなわちロープ芯Rcを流れる漏れ電流IL2に対応する。
したがって、検出電極20では、図5(A)に示す絶縁ロープRの外面を流れる漏れ電流IL1および絶縁ロープRのロープ芯を流れる漏れ電流IL2を計測することになる。
一方、絶縁ロープRのロープ芯Rcが湿潤した場合はロープ芯Rcが導電性となる。この場合、図5(A)に示すように、加電電極10側では、絶縁層Roを加電電極10と導電性となったロープ芯Rcで挟むこととなり、ここにコンデンサーCが形成される。また、検出電極20側でも同様にコンデンサーCが形成されると考えられる。この2つのコンデンサーと湿潤により導電性となったロープ芯Rcが直列回路を構成して漏れ電流IL2が流れる。図6に示すように、湿潤時にはこのことにより、ごくわずかなIL1にこの漏れ電流IL2が加わって流れ、しかも印加電圧が増加すると電流量を顕著に増大する傾向がある。
加電電極10には、電源4から検査用電圧を加電する。すると、絶縁ロープRの絶縁層Roに裂けや孔などの欠陥がある場合は、ロープ芯Rcに雨水が浸入し湿潤し導電性となっているので、図5(A)に示すように、漏れ電流IL1に漏れ電流IL2が加わった大きな電流が流れる。
一方、絶縁ロープRの絶縁層Roに欠陥がない場合は、ロープ芯Rcが乾燥しているので、図5(B)に示すように、漏れ電流IL1のみが流れる。
図7において、下の横軸は絶縁ロープRの検査位置を示しており、上の横軸は検査対象の絶縁ロープRにおける損傷部位(つまり、ロープ芯Rcの湿潤区間)を黒塗りで示している。つまり、実験に供した絶縁ロープRは、図7の上の横軸に示す150cm、220cmおよび240cmの位置に絶縁層Roを損傷させて24時間浸水させてロープ芯Rcに長さ5cm程度の湿潤区間を作ったものを用いた。
また、検査継続電圧を20kVとして検査開始電圧より低くしたのは、長い時間電圧をかけても絶縁ロープRに絶縁破壊を起こさせないためである。
始めに検査開始電圧50kVを加電電極10に加え、巻出しロール1、加電電極10のローラ11,12、検出電極20のローラ21,22、および巻取りロール2を回転駆動させて、絶縁ロープRを移動させた。このとき絶縁ロープRは、図7の上の横軸に示す0cmのところ(上横軸左端)から350cmのところ(上横軸右端)に向けて移動していく。そして、絶縁ロープRの長手方向において絶縁性確認したい部位(以下、検査対象位置ということがある)が、加電電極10と検出電極20の間にくると、その区間で流れる漏れ電流ILを検出することができる。
実験開始後、絶縁ロープRの検査対象位置が100cm付近に至ると漏れ電流ILの計測値が上昇し始めた。この電流増加により絶縁ロープRの湿潤区間の始まりと判断できる。そこで、このままで加電すると絶縁破壊が生ずるため加電電圧を検査開始電圧50kVからより低い検査継続電圧20kVに低下させ検査を継続した。そして、絶縁ロープRの湿潤区間が終わったと判断できるまで、検査継続電圧を加電した。
以上のように、漏れ電流ILの増減は瞬時に現われるので、湿潤区間の始まりと終わりを正確に特定できることを示している。
しかも、検査継続電圧20kVは検査開始電圧50kVより低い電圧なので、扱いやすく安全に行えることも分かる。
2 巻取りロール
10 加電電極
11 ローラ
12 ローラ
20 検出電極
21 ローラ
22 ローラ
30 シールドボックス
32 電流計
Ic 静電誘導電流
IL 漏れ電流
A 絶縁性確認装置
Claims (4)
- 非導電性繊維を編組したロープ芯と該ロープ芯の外周を絶縁性樹脂で被覆した絶縁層を有する絶縁ロープの絶縁性確認方法であって、
前記絶縁ロープの所定位置を加電位置とし、該加電位置から離れた位置を検出位置とし、
前記加電位置において、前記絶縁層に絶縁破壊を生じさせないレベルの検査用電圧を連続的に加電して前記検出位置に向けて電流を流し、
前記検出位置において、前記絶縁ロープの外面を流れる漏れ電流および絶縁ロープのロープ芯を流れる漏れ電流を計測し、
前記漏れ電流の計測値が、
(a)前記絶縁ロープの外面を流れる漏れ電流のみであったとき、前記絶縁ロープを絶縁性を満足する合格品と判断し、
(b)前記絶縁ロープの外面を流れる漏れ電流に加えロープ芯を流れる漏れ電流も含むとき、前記絶縁ロープを絶縁性を満足しない不合格品と判断する
ことを特徴とする絶縁ロープの絶縁性確認方法。 - 前記絶縁ロープを、加電位置を経過して検査位置を通り抜けるように移動させながら、前記絶縁ロープの絶縁性を連続的に確認する
ことを特徴とする請求項1記載の絶縁ロープの絶縁性確認方法。 - 前記漏れ電流の計測値が上昇し始めると、前記絶縁ロープのロープ芯に雨水が浸入している湿潤区間の始まりと判断し、同時に加電電圧を検査開始電圧からより低い検査継続電圧に低下させ、前記絶縁ロープの湿潤区間が終わったと判断できるまで、前記検査継続電圧を加電する
ことを特徴とする請求項2記載の絶縁ロープの絶縁性確認方法。 - 非導電性繊維を編組したロープ芯と該ロープ芯の外周を絶縁性樹脂で被覆した絶縁層を有する絶縁ロープの絶縁性確認方法に用いる絶縁ロープの絶縁性確認装置であって、
絶縁ロープを一対の加電ローラで挟み込んで、該一対の加電ローラから電圧を印加する加電電極と、
絶縁ロープを一対の検出ローラで挟み込んで該一対の検出ローラから該絶縁ロープを流れる漏れ電流を計測する検出電極と、
前記検出電極に流れる電流を計測する電流計と、
前記検出電極の周辺空間に設置され、かつアースの接続された静電シールドボックスとからなる
ことを特徴とする絶縁ロープの絶縁性確認装置。
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| JP2021196593A JP7525902B2 (ja) | 2021-12-03 | 2021-12-03 | 絶縁ロープの絶縁性確認方法およびそれに用いる絶縁性確認装置 |
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|---|---|---|---|---|
| JP2004020252A (ja) | 2002-06-13 | 2004-01-22 | Techno Success Kk | 耐電圧試験方法とこの方法に使用する耐電圧試験装置 |
| JP2018141769A (ja) | 2016-11-11 | 2018-09-13 | フルークコーポレイションFluke Corporation | 基準信号を用いた非接触電圧測定システム |
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2021
- 2021-12-03 JP JP2021196593A patent/JP7525902B2/ja active Active
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