JP7518820B2 - 歯科インプラントねじ - Google Patents

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Description

本発明は、ヒト患者の顎骨に使用する歯科インプラント(dental implant)の雄ねじの設計に関する。
歯科インプラントは、個人の歯を交換し、或いはより複雑な構造を固定するために使用され、これらの構造は、一般に、歯のいくつか、或いは全ての歯を置換する場合もある。歯科インプラントに使用される材料は、多くの場合、チタン及びチタン合金である。これらの材料は発生する力学的負荷に耐えるために必要な強度を有し、同時にオッセオインテグレーション(osseointegration)及び口内での長期使用に十分な生体親和性を有する。近年、ジルコニアや酸化アルミニウム等のセラミック素材もインプラント素材として普及しつつある。
インプラントにはアンカー部(anchoring part)と支台部(abutment part)の2つの必須部分がある。アンカー部は骨に埋め込まれ、そこで骨組織と一体的に結合し、補綴物を強固に固定する。支台部は口腔内に伸び、補綴物を支える。所望の補綴物(ブリッジやクラウン等)は、支台部の少なくとも一部が補綴物内に収容され、これを中心に支えるように、支台部の上に固定される。補綴物は、支台部に接着、セメント固定、ねじ込み、又は直接的に張り合わせることができる。この後者の場合、補綴物と支台部は効果的に単一部品を形成し、今後の進歩により、例えば3次元印刷等によって、支台部と補綴物が一体的に形成される可能性がある。
インプラントは、アンカー部と支台部が1つの一体型の単一部品に製造されるように、1つの部分に構築することができる。従って、このようなインプラントシステムでは、一体化されたアンカー部と支台部が常に口内に同時に配置され、単一部品のインプラントが軟組織を通って口腔内に伸びて、補綴物の中心的な支持体を形成する。
しかしながら、インプラントはまた、2つ以上の部品で構築されることが多く、その場合、少なくとも、インプラントと称されることが多い固定部品と、スペーサー(spacer)と称されることがある別個の支台部から構成される。アンカー部品は、通常、骨に完全に埋め込まれているか、すなわち、歯槽頂の高さまで埋め込まれるか、歯槽頂から軟組織内に数mm突き出る。骨内への完全な挿入を意図したアンカー部品は、一般的に「骨レベル」インプラントと呼ばれ、一方、軟部組織内に突き出すことを意図したものは、一般的に「組織レベル」インプラントと呼ばれる。支台部は、様々な既知の手段の1つを介して直接的又は間接的にアンカー部品に装着される。殆どの場合、支台部は、アンカー部品に接着結合するか、又はねじ込みにより結合される。
一体型インプラントとは対照的に、多部構成インプラントは、アンカー部と支台部が個々の要件に適応できるため、より汎用性が高い。特に、アンカー部に対する支台部の形状と角状部分は、アンカー部の挿入後に選択できる。これにより、外科医は、柔軟性と過失に対する修正の余地が与えられる。多部構成インプラントの更なる利点は、支台部がアンカー部とは異なる材料から作ることができることである。
本発明は、1つの部品のインプラント及び複数の部品のインプラントの両方に適用することができる。従って、本明細書の残りの部分では、「インプラント」という用語は、インプラントシステムのアンカー部品、すなわち、使用時に骨内に直接固定される構成部品を意味するために使用される。インプラントは、一体型の、骨レベル又は組織レベルのインプラントであってもよい。
前述したように、歯科インプラントは骨と一体的に結合する材料から作られる。言い換えれば、インプラントが顎骨と一体化するように、骨細胞がインプラント表面に付着する。オッセオインテグレーションの過程は、一般的には3~6カ月かかる。この間、インプラントは機械的手段を介して骨内にしっかりと保持されなければならない。このインプラントの骨内での機械的固定は、「一次安定性」と呼ばれる。現代のインプラントの大部分は、インプラントの外側表面上にねじを備える。前記ねじは、スクリューを形成し、通常は外科的に調製された掘削穴(bore hole)内にインプラントを固定するために使用される。これらのねじは、オッセオインテグレーション中の一次安定性を与え、平滑壁インプラントと比較して、骨芽細胞(骨細胞)が付着するためのより大きな表面積を提供する。
インプラントの雄ねじの形状は、一次安定性だけでなく、オッセオインテグレーションの速度にも大きな影響を及ぼす可能性がある。掘削穴の作成時には、骨は必然的に損傷を受ける。これは、骨の除去のほか、穿孔器具の使用中に発生する熱や摩擦によって生じる。インプラント埋入後、骨細胞は、新しい骨細胞がオッセオインテグレーションの過程を開始する前のある期間、「枝枯れ」(die back)することが一般的に観察される。従って、インプラント製造業者は、骨への損傷を最小限に抑えつつ、最も高い一次安定性を提供する、従ってダイバックを制限し、骨結合の早期開始を促すインプラント設計の製作に努める。
この目的のために、「自己タッピング(self-tapping)」インプラントが開発されている。このようなインプラントの目的は、最初に掘削穴に雌ねじを切る必要がないように、インプラントを骨に挿入することを可能にすることである。このような予め雌ねじを切ることは、追加の器具の使用を必要とし、従って、骨に更なる外傷を生じさせる。更に、掘削穴に雌ねじを切る工程は、余計に骨材料を失うだけでなく、外科的処置に時間と複雑さが増える。
インプラントが自己タップ(self-tap)する能力、すなわち骨に切り込む能力は、個々の患者の骨質に大きく依存する。ヒトの患者は様々な骨密度を示す。骨が柔らかい程、インプラントが、タッピングされていない又は準備中の(underprepared)骨穴、すなわちインプラントのコア径よりも直径の小さい掘削穴に挿入し易いという点で、確かに有利である。一次安定性は、軟らかい骨では達成しにくく、内腔の形成中では、インプラント周囲の骨が圧縮されることになり、一次安定性が向上する。インプラントのコアと同様に、ねじの周囲の軟らかい骨を圧縮するインプラント設計が知られている。特に、先端先細りインプラントは、従来の「平行壁」(円筒状)歯科インプラントよりも軟らかい骨における一次安定性を増大させると考えられる。特許文献1及び特許文献2には、インプラントの一次安定性を改善することを目的とした様々なインプラント設計が開示されている。
国際公開第2015/118543号 米国特許出願公開第2010/009316号明細書
しかし、高密度の骨では、軟らかい骨とは対照的に、骨が圧縮されると、骨細胞や骨内の血管が損傷を受ける可能性がある。更に、「自己タッピング」ねじであっても、容認できないほど高いレベルのトルクを与えずに密な骨に切り込むことができない可能性があり、これがインプラントを損傷する可能性がある。従って、高密度の骨では、自己タッピングとして市販されているインプラントを挿入する前に、依然として掘削穴に雌ねじを切る必要があり、その結果、インプラント処置の長さ及び複雑さが増大し、骨への外傷が増大するという上記の欠点が生じる。
従って、歯科インプラント学の分野内では、軟らかい骨と硬い骨の両方で強い一次安定性を提供する一方で、同時に骨への最小限の損傷をもたらすインプラントの能力を改善する必要性が継続している。これらの態様を改善すれば、手術時間を短縮し、インプラントの失敗を減少させることになる。
従って、本発明の目的は、特に硬い骨において、一次安定性及び自己タッピング能力(self-tapping ability)を改善する歯科インプラントの設計を提供することである。
第一の態様によれば、本発明は、根尖端部(apical end)から歯冠端部(cronal end)へ中心長軸に沿って延びるねじ部(threaded portion)を備え、ねじ部は、ねじ山が半径方向の外側に延びるコアを備え、ねじ山は、根尖端側の側面と、歯冠側の側面と、根尖端側の側面及び歯冠側の側面を接続する外側面を有し、外側面は、ねじ山の半径方向の最外表面を定め、ねじ山は、ねじ部の長さに沿って螺旋状に延び、ねじ山の幅は、ねじ山が前記コアと接触するところで最も幅が広く、且つねじ山が外側面に向かって狭くなるように、半径方向の外側に狭まり、ねじ部のコア径は、コアの外径によって定められ、ねじ部の外径は、ねじ山の外側面によって定められ、ねじ山のねじプロファイルは、少なくともねじ部の軸方向の長さに亘って、半径方向に連続的に配置された正確に3つのサブセグメントから形成され、サブセグメントのそれぞれにおいて、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、一定の角度で互いに向かって先細りし、中間サブセグメントは、半径方向において(radially)最も内側の(innermost)サブセグメント及び最も外側の(outermost)サブセグメントのテーパー角よりも大きいテーパー角を有し、半径方向において最も外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間に形成されるテーパー角は、30°未満である、
従来の歯科用語によれば、「根尖の(apical)」は骨に向かう方向を指し、「歯冠の(coronal)」は歯に向かう方向を指す。従って、部品の根尖端部は、使用時には顎骨に向けられ、歯冠端部は口腔に向けられる端部である。
本発明によれば、ねじ部の外径は、ねじ山の外側面によって定められる。言い換えれば、ねじ部の外径は、ねじ山の外側面を含む仮想表面によって定義される。これは、インプラントの縦断面又は側面図を見るときに最もよく可視化できる。インプラントのいずれかの側面に軸方向に延びる2本のラインを引くことによって、各ラインがねじ山の外側面に沿って接触して延び、ねじ部の軸方向の任意の位置における直径は、これらのラインの間の距離によって与えられる。
従来の歯科用語によれば、ねじ山「深さ」とは、コアから外側面までの半径方向に測定された、ねじ山の長さを言う。従って、軸方向の任意の位置におけるねじ山の深さは、コアと外径との半径方向長さの差である。ねじ山の「幅」とは、インプラントの縦断面、すなわち、ねじ部の中心縦軸を含む平面で測定されたねじ山の軸方向の長さを言う。
ねじ山の「ねじプロファイル(thread profile)」とは、ねじ部の縦断面、すなわちねじ部の中心縦軸を含む平面で見たときに、根尖端側の側面及び歯冠側の側面で形成される形状を意味する。
本発明によれば、ねじ部の軸方向の範囲の少なくとも一部に亘って、ねじ山のねじプロファイルは、半径方向に連続的に配置された正確に3つのサブセグメントから形成される。これは、ねじ山のこのセクションにおけるねじプロファイルが、製造技術によって可能な範囲で、例えば、コアとねじ山の間、又は各サブセグメントの間で小さな湾曲した移行が必要とされる幾つかの場合には、前述の3つのサブセグメントによってのみ形成されることを意味する。従って、半径方向に最も内側のサブセグメントはコア径から始まり、半径方向に最も外側のサブセグメントは外側面で終わり、3つのサブセグメントの間には追加のサブセグメントが介在しない。3つのサブセグメントの各々において、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、一定の角度で互いに向かって先細りする。半径方向において最も外側のサブセグメントのテーパー角は、30°未満である。これは、ねじ山のこのセクションの半径方向に最も外側の部分に、鋭い切断プロファイルを設けるので、ねじ山が骨、特に硬い骨に切り込む能力を向上する。好ましくは、半径方向において最も外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間の前記角度は、20°~29°であり、最も好ましくは24°~26°の間である。
このような角度は、ねじ山の切削性能には利点があるが、全てのねじ山深さに亘ってこの角度を有するねじプロファイルは、その半径方向に最も内側の点でも、比較的細い幅を有するであろう。このような細いねじ山の幅は、ゆがみや破損を起こしやすい。
従って、本発明によれば、中間サブセグメントは、半径方向において最も内側のサブセグメント及び最も外側のサブセグメントのテーパー角よりも大きいテーパー角を有する。このようにして、中間サブセグメントは、半径方向に最も外側のサブセグメントのテーパー角を維持することによって達成されるものよりも、ねじ山の幅をより大きく増加するので、ねじの強度を増大させる。
このようなねじプロファイルは、硬い骨と軟らかい骨の両方に挿入する際に利点がある。半径方向に最も外側のサブセグメントの狭い角度は良好な切断能を与え、これはインプラントを硬い骨に挿入する場合に特に重要である。中間サブセグメントを設けることによって、半径方向に最も外側のサブセグメントの鋭利な切断角度の半径方向に内側に位置するねじ山を広げ、従って、ねじ山を強化するとともに、準備が不十分な掘削穴にインプラントを挿入した場合、軟らかい骨の軸方向の圧縮をより大きくする。
好ましい実施態様において、中間サブセグメントのテーパー角は、半径方向に最も外側のサブセグメントのテーパー角の少なくとも2倍である。これにより、ねじ山の幅を半径方向に内向きに速やかに増加させることができる。特に好ましい実施形態では、中間サブセグメントのテーパー角は40~70°、好ましくは少なくとも50°である。
ねじプロファイルの半径方向に最も内側のサブセグメントは、中間サブセグメントよりも小さいテーパー角を有し、その結果、より良好な切削機能をもたらす。好ましい実施形態では、半径方向に最も内側及び最外側のサブセグメントのテーパー角は、実質的に同じであり、最も好ましくはこれらのテーパー角は同一である。「実質的に同じ」ことにより、半径方向に最も内側及び最も外側のサブセグメントのテーパー角は互いに5°以内であり、「同一」であることにより、テーパー角が互いに1°以内であることを意味する。これは、鋭い切り込みプロファイルを含む半径方向に最も内側及び最も外側の両方のサブセグメントが得られる。
従って、特に好ましい実施形態によれば、半径方向に最も内側及び最も外側のサブセグメント内では、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、24~26°の角度、最も好ましくは25°の角度で互いに向かって先細りし、中間サブセグメント内では、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、55~65°の角度で、最も好ましくは60°の角度で互いに向かって先細りする。
本発明によれば、上記のねじプロファイルは、ねじ部の軸方向の範囲の少なくとも一部に亘って存在する。いくつかの好ましい実施形態において、ねじ山は、ねじ部の軸方向の全長にわたる上述のねじプロファイルを含む。このようにして、ねじ山の半径方向に最も外側の部分は、常に30°未満の根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間の角度を構成することになる。この狭い角度は、ねじ部の全長に沿って強化された切削機能を与える。
好ましくは、ねじ山の基本ねじプロファイル及びコア径でのねじ山の幅は、ねじ部の軸方向の全範囲に沿って一定のままである。その結果、そのような実施形態では、根尖端側の側面及び歯冠側の側面の形状は、ねじ部の軸方向の範囲に沿って一定のままである。従って、この好ましい実施形態では、基本ねじプロファイルは、上記の3つのサブセグメントによって形成される。これにより、上述のねじプロファイルが、ねじ部の軸方向の全範囲に沿って存在することが可能になる。
しかしながら、好ましい実施形態では、以下に記載するように、ねじ山深さは、ねじ部の軸方向の範囲に沿って変化する。このような実施形態では、軸方向の特定の位置におけるねじ山深さが、半径方向に最も外側のサブセグメントのある点を越えて減少し、次いで、中間サブセグメントのある点を超えて減少すると、その軸方向の位置において、ねじプロファイルから除去されることになるので、3つのサブセグメントの全てが、ねじ部の軸方向の全範囲に沿って、ねじ山内に存在することは必ずしも可能ではない。
しかし、ねじ山のねじプロファイルは、ねじ部の軸方向の範囲の少なくとも4分の1、最も好ましくはねじ部の軸方向の範囲の少なくとも半分に亘って、上記3つのサブセグメントによって形成されることが好ましい。
好ましくは、ねじ山のねじプロファイルは、ねじ部(threaded portion)の根尖端側の半分内の軸上の位置、より好ましくはねじ部の根尖端から4分の1(apical most quarter)内の軸上の位置で、上記の3つのサブセグメントによって形成される。これにより、上記の3つのサブセグメントを含むねじ山セクション(section of the threading)は、ねじ部の根尖端側の半分以内、好ましくはねじ部の根尖端から4分の1以内で、始まることが意味される。これは、半径方向に最も外側のサブセグメントが、その切断機能を高めた状態で、ねじ部の根尖側に位置する部分に存在できるので、有益である。
本発明のねじ山は、一条ねじ(single start thread)であってもよい。しかし、望ましくは、ねじ山は二条ねじを含む。これは、このような二条ねじにより、より少ない回す回数でインプラントがより深く骨に入り込むため、インプラントの挿入速度が速くなるなどの利点がある。更に、各ねじ山の刃先が軸方向により離れているので、二条ねじは骨にとって害が少ないと考えられる。二条ねじでは、ねじ山のピッチ(すなわち、ねじ山のピーク間の軸方向の距離)は、ねじのリード(thread lead)の半分(すなわち、インプラントが1回の完全に360°回すことにより移動した軸方向の距離)である。
インプラントが二条ねじを含む場合、両方のねじ山のねじプロファイルは、少なくともねじ部の軸方向の範囲の部分に亘って、上記の3つのサブセグメントを含むべきである。好ましくは、各ねじ山の基本ねじプロファイルは、ねじ部の軸の全長に亘って同一且つ一定であり、この基本ねじプロファイルは、上記の3つのサブセグメントで形成されている。これにより、インプラントの製造が単純化され、両方のねじ山を形成するために同じ手段を使用することができる。
好ましくは、ねじ部のコア径は、ねじ部の軸方向の範囲の少なくとも一部に亘って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りする。コア径の先細りの特質は、準備中の掘削穴、すなわち、インプラントをねじ部のコア径よりも直径の小さい掘削穴に配置すると、インプラントが軟らかい骨を圧縮することを可能にする。インプラントが骨に挿入されると、コア径が徐々に増大することにより、インプラントのねじ部の周りの軟らかい骨が半径方向に圧縮される。
好ましくは、ねじ部のコア径は、ねじ部の軸方向の範囲の少なくともかなりの部分に亘って、すなわち治療した部分の軸方向の長さの80%以上に亘って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りする。
ねじ部の軸方向の長さ全体に亘って、軟らかい骨の圧縮を可能にするために、ねじ部のコア径は、ねじ部の軸方向の全長に亘って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りすることが好ましい。すなわち、ねじ部の歯冠端部から根尖端部にかけて、コア径は連続的に減少する。
更に、又はその代替として、ねじ部の外径は、ねじ部の少なくとも根尖端側の半分に沿って根尖端方向において半径方向に内側に先細りしてもよい。このようにして、ねじ部の外側面も、軟らかい骨を、少なくともねじ部の根尖端側の半分で、半径方向に圧縮するために用いることもできる。
特に好ましい実施形態において、ねじ部は、根尖セクション(apical section)と本体セクション(main body section)を含み、根尖セクション内では、中心縦軸に対して外径のテーパー角が常に20°より大きく、中心長軸に対するコア径のテーパー角は、根尖セクションのねじ山深さが根尖端方向に連続的に減少するように、根尖セクションの軸方向の全ての位置における外径のテーパー角より小さく、根尖セクションは軸方向の長さが2mm未満であって、本体セクション内では、中心長軸に対する外径のテーパー角が常に5°未満である。
根尖セクションの短い長さと外径の大きいテーパー角は、ねじ山深さがねじ部の根尖端部に近いところで急速に増加し、インプラントが骨に深く切り込み、一次安定性を増加させることを意味する。好ましくは、根尖セクションの軸長は1.6mm未満であり、最も好ましくは1~1.5mmの間である。根尖セクションの軸長は、ねじ山が歯冠方向において深さを増すためにある程度の軸空間を必要とするため、1mm以上であることが望ましい。
この好ましい実施形態では、ねじ部の本体セクションにおいて、外径のテーパー角は常に5°未満であり、テーパー角はねじ部の中心縦軸から測定される。このようにテーパー角を制限することにより、本体セクションの外径は歯冠方向に極めて徐々にのみ増加するので、挿入の間に必要なトルク、特に硬い骨への挿入に必要なトルクを制御する。更に、本体セクションのテーパー角が低いと、一次安定性が増大するため、掘削穴の所定の直径に対して、より多くのねじ山ピークを穴壁(bore wall)に切り込むことができる。好ましくは、本体セクションにおける外径のテーパー角は常に2.5°未満であり、より好ましくは1.5°未満であり、最も好ましくは1°未満である。
このような実施形態では、ねじ山のねじプロファイルは、本体セクションの軸方向の範囲の少なくとも4分の1にわたり、より好ましくは本体部(main body portion)の軸方向の範囲の少なくとも半分以上に亘って、上記の3つのサブセグメントによって形成されることが好ましい。更に、又はその代替として、ねじ山のねじプロファイルは、本体セクションの根尖端側の半分内の軸上の位置、より好ましくは本体セクションの根尖端から4分の1内の軸上の位置で、上記の3つのサブセグメントによって形成されることが好ましい。これにより、上記の3つのサブセグメントを含むねじ山セクションは、本体セクションの根尖端側の半分内、好ましくは本体セクションの根尖端から4分の1内で始まることを意味する。
本体セクションの軸方向の範囲に亘ってねじ山深さが一定に保たれるようにインプラントを設計することが可能であるが、好ましくは、本体セクションの根尖端部でのねじ山深さが本体セクションの歯冠端部でのねじ山深さよりも大きくなるように、本体セクションの軸方向の長さに亘ってねじ山の深さが変化するように、本体セクション内のコア径及び外径のテーパー角を設計することが可能である。本発明によれば、ねじ山の幅は半径方向外側方向に狭くなり、ねじ山深さが小さいほど外側面が広くなる。従って、この好ましい実施形態では、本体セクションの根尖端部におけるねじ山の外側面の幅は、本体セクションの歯冠端部におけるねじ山の外側面の幅よりも小さいであろう。
これは、本体セクションの根尖部(apical part)においてねじ山深さがより大きいより鋭利なねじは、良好な切断機能及びより良好な一次安定性を提供するが、本体セクションの歯冠側の範囲のより広い外側面は、軸方向における軟らかい骨の圧縮を可能にし、再び一次安定性を増加させる。
実施の形態に従うと、ねじプロファイル及びコアでのねじ山の幅は、上述のように、ねじ部の軸上の全範囲に沿って一定であり、ねじ部の長さに沿った外側面の幅の変化は、根尖端側の側面及び歯冠側の側面の再形成よりも、むしろ、ねじ山深さの変化の結果であろう。
特に好ましい実施形態では、ねじ部の本体セクション内では、ねじ部の外側面の幅は決して0.08mm以下ではなく、0.45mmを超えない。
ねじ山の外側面の幅の好ましい上限及び下限は、この表面が狭すぎる(ねじの根尖部の破折又は歪みを生じる可能性がある)又は広すぎる(ねじの切り込み機能を失い、硬い骨内への挿入トルクを許容できないレベルまで増大させる可能性がある)ことを防止する。外側面の幅の上限と下限は、挿入トルクを許容レベル内に維持しながら、インプラントが硬い骨に自己タッピングする能力を向上させる。
これは、それ自体が独創的であると考えられ、本発明は、第二の態様から見ると、根尖端部から歯冠端部にかけて、中心縦軸に沿ってねじ部を備える歯科インプラントであって、ねじ部は、ねじ山が半径方向の外側に延びるコアを備え、ねじ山は、根尖端側の側面と、歯冠側の側面と、根尖端側の側面及び歯冠側の側面を接続する外側面を有し、外側面は、ねじ山の半径方向の最外表面を定め、ねじ山は、ねじ部の長さに沿って螺旋状に延び、ねじ山の幅は、ねじ山が前記コアと接触するところで最も幅が広く、且つねじ山が外側面に向かって狭くなるように、半径方向の外側に狭まり、ねじ山の基本ねじプロファイル及びコア径でのねじ山の幅が、ねじ部の軸方向の範囲に沿って一定のままであり、ねじ部のコア径は、コアの外径によって定められ、ねじ部の外径は、ねじ山の外側面によって定められ、ねじ部のコア径は、ねじ部の軸方向の全長に亘って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りし、ねじ部の外径は、ねじ部の少なくとも根尖端側の半分に沿って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りし、ねじ部は、根尖セクションと本体セクションを含み、根尖セクション内で、中心縦軸に対して外径のテーパー角が常に20°を超え、中心縦軸に対するコア径のテーパー角は、根尖セクションのねじ山深さが根尖端方向に減少するように、根尖セクションの軸方向の全ての位置における外径のテーパー角より小さく、根尖セクションは軸方向の長さが2mm未満であって、本体セクション内で、中心縦軸に対して前記外径のテーパー角が常に5°未満であって、本体セクション内のコア径及び外径のテーパー角は、本体セクションの軸方向の長さに亘って、本体セクションの根尖端部におけるねじ山の深さが本体セクションの歯冠端部におけるねじ山の深さよりも大きく、本体セクションの根尖端部におけるねじ山の外側面の幅が本体セクションの歯冠端部におけるねじ山の外側面の幅よりも小さくなるように、ねじ山の深さが変化し、本体セクション内で、ねじ山の外側面の幅が0.08mm未満ではなく、0.45mmを決して超えない。
第1の態様に関連して、「根尖の」、「歯冠の」、「外径」、「ねじ山深さ」、「ねじ山の幅」、「ねじプロファイル」及び「基本ねじプロファイル」等、上記の用語の定義は、第2の態様及び本明細書に記載される本発明の全てのさらなる態様に関して同等に有効である。
根尖セクションの短い長さ及び根尖セクション内の外径の大きいテーパー角は、ねじ山深さがねじ部の根尖端部の近傍で急速に増加し、インプラントが骨に深く切り込み、一次安定性を増すことを意味する。好ましくは、根尖セクションの軸長は1.6mm未満であり、最も好ましくは1~1.5mmの間である。ねじ山深さを歯冠方向に増加させるために、ねじ山の形成にはある程度の軸空間を必要とするため、根尖セクションの軸長は、1mm以上が好ましい。
本発明の第2の態様、及び第1の態様の好ましい態様によれば、本体セクション内の外径のテーパー角は常に5°未満であり、テーパー角は、ねじ部の中心縦軸から測定される。このようにテーパー角を制限することにより、本体セクションの外径は歯冠方向に極めて徐々に増加するのみであり、このようにして、硬い骨への挿入時に必要とされるトルクを制御する。更に、本体セクションのテーパー角が低いと、一次安定性が増大するため、掘削穴の所定の直径に対して、より多くのねじ山ピークを穴壁に切り込むことができる。好ましくは、本体セクションにおける外径のテーパー角は常に2.5°未満であり、より好ましくは1.5°未満であり、最も好ましくは1°未満である。
先に述べたように、ねじ山の「ねじプロファイル」とは、根尖端側の側面及び歯冠側の側面の形状を言う。本発明の第2の態様、及び第1の態様の好ましい態様によれば、本体セクションの長さに沿った外側面の幅の変化が、根尖端側の側面及び歯冠側の側面の再形成よりもむしろねじ山深さの変化の結果であるように、ねじ山のねじプロファイル及びコアでのねじ山の幅は一定のままである。外側面は、ねじ山深さが小さいねじ山の領域では広くなり、ねじ山深さが大きいねじ山の領域では狭くなる。これは、ねじ山の幅が半径方向の外側に狭くなるためである。
本発明の第2の態様によれば、ねじ山の幅は、ねじ山がコアと接触するところでねじ山が最も広く、外側面に向かって狭くなるように、半径方向の外側方向に狭くなる。インプラントの分野では、このようなねじプロファイルが多く知られている。多くの既知の設計では、ねじ山の根尖端側の側面及び歯冠側の側面は非対称である。例えば、歯冠側の側面は半径に関して先細りする一方、根尖端側の側面は単一の角度で先細りしてもよい。或いは、両方の側面が半径又は角度によって別々に先細りしてもよい。
本発明の第2の態様では、しかしながら、根尖端側の側面及び根尖端側の側面の両方が、半径よりもむしろ角度に関して先細りすることが好ましい。言い換えれば、根尖端側の側面と根尖端側の側面は、ねじ部の縦断面において垂直に交差をする。
好ましくは、本体セクションの軸方向の範囲の少なくとも一部に亘って、根尖端側の側面及び根尖端側の側面の間に形成される角度は、少なくともねじ山の半径方向に最も外側の部分において、30°未満であり、より好ましくは20°から29°の間であり、最も好ましくは24°から26°の間である。これは、この軸方向の範囲に亘ってねじ山に、鋭い切断プロファイルを設け、従って、ねじ山を骨、特に硬い骨に切り込む能力を増大させる。
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態において、根尖端側の側面及び根尖端側の側面は、ねじ山の全ての深さに沿って単一の角度を形成する。しかしながら、上述した好ましい角度では、これは、その半径方向に最も内側の点でさえ、比較的細い幅を有するねじ山になることになる。ねじ山の幅がこのように細いと、ゆがみや破損を起こしやすい。
従って、好ましくは、本発明の第2の態様のねじプロファイルは、本発明の第1の態様に関連して記載された3つのサブセグメントによって形成される。具体的には、本発明の第2の態様のねじ山の基本ねじプロファイルは、半径方向に連続的に配置された正確に3つのサブセグメントから形成され、各サブセグメントにおいて、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、一定の角度で互いに向かって先細りし、中間サブセグメントは、半径方向において最も内側のサブセグメント及び最も外側のサブセグメントのテーパー角よりも大きいテーパー角を有し、半径方向において外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間に形成されるテーパー角は、30°未満であることが好ましい。
好ましくは、ねじ切りのねじ山深さは、本体セクションの軸方向の範囲の少なくとも一部に亘って、ねじプロファイルが、半径方向に連続的に配置された正確に3つのサブセグメントから形成され、各サブセグメントにおいて、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、一定の角度で互いに向かって先細りし、中間サブセグメントは、半径方向において最も内側のサブセグメント及び最も外側のサブセグメントのテーパー角よりも大きいテーパー角を有し、半径方向において最も外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間に形成されるテーパー角が30°未満である。
言い換えれば、本発明の第1の態様及び第2の態様のねじ切りが、本発明の第2の態様が特徴を有し、好ましくは、本発明の第1の態様に関連して記載されるような好ましいねじ切りの特徴を有するように、本発明の第1の態様と第2の態様を組み合わせることが好ましい。
特に、本発明の第2の態様のねじ山のねじプロファイルは、本体部の軸方向の範囲の少なくとも4分の1に亘って、より好ましくは本体セクションの軸方向の範囲の少なくとも2分の1に亘って、上記の3つのサブセグメントによって形成されることが好ましい。更に、又はその代替として、本発明の第2の態様のねじ山のねじプロファイルは、本体セクションの根尖端側の半分内、より好ましくは本体セクションの根尖端から4分の1内で、上記の3つのサブセグメントによって形成されることが好ましい。これにより、上記の3つのサブセグメントを含むねじ山セクションは、本体セクションの根尖端側の半分内、好ましくは本体セクションの根尖端から4分の1内で始まることを意味する。
以下に述べる特徴は、本発明の第1及び第2の両方の態様に等しく適用可能である。
本発明の少なくとも好ましい実施形態によれば、ねじ部の根尖セクションにおける外径のテーパー角は、常に20°より大きい。この結果、根尖セクションの外径は短い軸長において急速に増大する。好ましくは、ねじ部の中心縦軸から測定したときの、根尖セクション内のコア径の最大テーパー角は、10°~25°の間である。
外径のテーパー角は、根尖セクション内で一定ではないが、これは常に20°より大きい。好ましくは、ねじ山は、根尖セクション内に2つの隣接するセグメントを含み、各セグメントは、ねじ部の長軸に対して一定の角度で先細りする外径を有し、根尖側セグメント(apical most segment)の外径は、歯冠側セグメント(coronal most segment)の外径よりも、中心縦軸から測定されるように、より大きなテーパー角を有する。根尖側セグメントにおけるテーパー角が大きくなると、ねじ山深さは、より緩やかな量で増加する前に歯冠方向に極めて速やかに増加し、より丸い根尖側セグメントが形成される。
好ましくは、根尖側セグメントの外径のテーパー角は50°~70°、最も好ましくは60°の間であるが、歯冠側セグメントの外径のテーパー角は28°~48°の間であり、テーパー角は中心縦軸に対して測定される。
根尖セクション内のコア及び外径の好ましい相対的なテーパー角の結果は、ねじ山の深さが歯冠方向に速やかに増加することである。好ましくは、ねじ山の最大深さには、ねじ山を完全には1回まわさないこと、最も好ましくは、完全に1回まわすことの4分の3以内で到達する。これにより、インプラントの根尖部を骨の深く切断することができる。
本発明の少なくとも好ましい実施形態によれば、コア径は、ねじ部の軸方向の全長に亘って根尖端方向に先細りする。テーパー加工されたコア径の性質により、インプラントは準備中の掘削穴に設置された場合、軟らかい骨を圧縮できる。更に、少なくとも好ましい実施形態では、ねじ部の外径は、ねじ部の少なくとも根尖端側の半分に沿って根尖端方向に半径方向の内側に先細りする。この外径の先細りはまた、インプラントのねじ部の周りの半径方向において軟らかい骨を圧縮する。
好ましくは、外径は、本体セクションの少なくとも根尖端側の半分に亘って半径方向の内側に先細りする。外径は、コア径と同様に、本体セクションの全長に亘って先細りにすることが可能である。しかしながら、好ましくは、本体セクションのこの部分の外側面が円筒面を規定するように、ねじ部の外径は、本体セクションの歯冠端に最も近い部分(coronal most part)において一定のままである。好ましくは、ねじ山の外側面は、本体セクションの歯冠端に最も近くの部分において2mm以下に亘って円筒面を画定する。一定の外径を有する本体セクションの軸方向の広がりは、0.5mm~2mmであることが最も好ましい。
本体セクションの歯冠端に最も近い部分に一定の直径を有することは、本体セクションに亘って外径の全体的な増加を減少させることにより、硬い骨への配置の際に必要とされる挿入トルクを制御する。しばしば、皮質骨として知られる骨の外層は、その下の骨よりも密であり、従って、この領域におけるトルクの増大を防止することが特に重要である。本体セクションの歯冠端に最も近い部分の部分で円筒状の外径を維持することが、これを補助する。
本発明の少なくとも好ましい実施形態によれば、本体セクションの軸方向の範囲に沿った中心縦軸に対する外径のテーパー角は、常に5°未満である。上述したように、本体セクションの歯冠端に最も近い部分では、外径のテーパー角は0°とすることができ、従って、円筒面を規定する。しかしながら、本発明の少なくとも好ましい実施形態によれば、ねじ部の外径は、ねじ部の根尖端側の半分、好ましくは本体セクションの根尖端側の半分に亘って根尖端方向において半径方向に内側に先細りしなければならない。
このように、好ましい実施の形態では、本体セクションの外径は、中心縦軸に対して5°未満のテーパー角で根尖端方向において半径方向に内向きに先細りする根尖セグメント(apical segment)、好ましくは2.5°未満のテーパー角で外径が先細りする根尖セグメント、及び0°のテーパー角を有する歯冠セグメント(coronal segment)を含み、従って、本体セクションの歯冠端に最も近い部分において、円筒状の表面を規定する。根尖セグメントでは、外径のテーパー角が変化するため、0°を超える異なるテーパー角を有する根尖セグメント内のサブセグメントが形成される。しかしながら、好ましい実施形態では、本体セクションの根尖セグメントの外径は一定のテーパー角を有する。好ましくは、このテーパー角は2.5°未満であり、より好ましくは1.5°未満であり、最も好ましくは1°未満である。好ましくは、歯冠セグメントは、2mm以下の軸方向の長さを有し、最も好ましくは、0.5~2mmの軸方向の長さを有する。
従って、好ましい実施態様において、本体セクションの外径は、本体セクションの根尖端部から軸位置まで、本体セクションの歯冠端部から2mm以下の軸位置まで、ねじ部の中心縦軸に対して一定の角度で先細りして、その後、外径は一定のままである。
しかし、前述したように、本体セクションの外径は、本体セクションの全軸範囲に亘って、根尖端方向において半径方向に内側に漸減することも可能である。このような実施形態では、ねじ部の中心縦軸に対して測定される外径のテーパー角は、本体セクションの軸方向の範囲に亘って変化することができ、一方、5°未満のままである。しかしながら、好ましくは、このような実施形態では、外径のテーパー角は、本体セクションの軸方向の全範囲に亘って一定である。好ましくは、このテーパー角は2.5°未満であり、より好ましくは1.5°未満であり、最も好ましくは1°未満である。
ねじ山の外側面の幅が本発明によって規定される上限及び下限の範囲内に留まることを確実にするために、ねじ山深さを制御しなければならない。これは、コア及び外径を調整することによって達成することが好ましい。上述したように、本体セクションの内部では、外径のテーパー角は常に5°未満であることが好ましい。これにより、掘削穴を事前にタッピングすることなく、ねじ山の外側面が硬い骨の中に挿入されるためである。従って、挿入中にトルクの急激な変化を避けるために、外径のテーパリングは緩やかで、一定のテーパー角に亘って理想的でなければならない。
しかし、コア径はそれほど制限されていない。硬い骨の場合、ねじ部の最大コア径よりも大きい掘削穴がドリルで開けられることになるからである。その結果、硬い骨から学ぶ挿入トルクは、一般的にはコア径の変化に影響されないであろう。代わりに、コア径のテーパは、掘削穴が十分に準備されておらず、骨の圧縮が望ましい場合、軟らかい骨におけるインプラントの挿入に影響を及ぼすだけであろう。
従って、ねじ山の外側面の幅を制御するために、コア径に変化を与えることができる。
従って、好ましくは、本体セクション内で、コアは、少なくとも2つの隣接するセグメントを含み、各セグメントのコア径は、ねじ部の中心縦軸に対して異なる角度で先細りする。従って、前記本体セクションのコア径は、歯冠方向に連続的に広がるが、それは、一様ではない態様で行われる。このようにして、ねじ山の外側面の幅を上記の規定した範囲内に維持することができる。
いくつかの好ましい実施形態において、コアは、正確に2つの隣接するセグメントを含み、他の好ましい実施形態においては、正確に3つの隣接するセグメントを含み、他の好ましい実施形態においては、正確に4つの隣接するセグメントを含む。いくつかの実施態様において、中心縦軸に対して測定されるコアセグメントのテーパー角は、コア径の増加率が、本体セクションの軸方向の長さに関して歯冠方向に連続的に増加するように、歯冠方向において連続的に増加してもよい。これは、コアが本体セクションにおいて正確に2つ又は3つのセグメントを含む実施形態において特に好ましい。
しかし、他の実施形態では、中心長軸に対して測定されるように、より小さい先細りの角度を有するコアセグメントによって、1つのコアセグメントが、尖端方向及び歯冠方向の両方において境界され得る。従って、そのような実施形態において、コア径の増加率は増加し、その後、歯冠方向において減少する。これは、コアが正確に4つのセグメントを含む実施形態において特に好ましい。
なおさらなる実施態様において、中心縦軸に対して測定されるコアセグメントのテーパー角は、コア径の増加率が、本体セクションの軸方向の長さに亘って歯冠方向に連続的に減少するように、歯冠方向において連続的に減少してもよい。これは、コアが本体セクションにおいて正確に2つのセグメントを含むいくつかの実施形態において好ましい。
本体セクション内のコア径のテーパー角の変化は、以下で更に議論するように、ねじ山の外側面の幅を本発明の予め定義された上限及び下限内に維持し、更に最小のインプラント壁厚を維持するために選択される。
上述したように、少なくとも本発明の好ましい実施形態において、本体セクションの根尖端部におけるねじ山深さは、本体セクションの歯冠端部におけるねじ山深さよりも大きく、一方、ねじ山の外側面の幅は、本体セクションの歯冠端部よりも本体セクションの根尖端部において狭い。
これは、外側面の幅が歯冠方向において本体セクションの軸の範囲に亘って増加する一般的な傾向をもたらす。この外側面の幅の増大により、ねじ山付近において軟らかい骨を軸方向に圧縮できるため、インプラントの一次安定性が補助される。
前述したように、軟らかい骨の場合は骨の圧縮が有益であるが、硬い高密度の骨では避けるべきである。このような場合には、掘削穴は下準備されず、代わりに、ねじ部の軸方向の全長に亘ってねじ部のコア径よりも大きくなるように、掘削穴がドリル加工される。このような場合には、挿入の際にねじ山の半径方向の外側の部分だけが骨とかみ合う。
本発明の好ましい実施形態のインプラントが高密度の骨に入り込む時、ねじ山は、インプラントの根尖端部のねじ山の形状に対応して、骨に最初に溝を切る。インプラントを更に骨内に入り込ませると、この初期溝は、外側面が広がるにつれて軸方向に徐々に広がり、外径が大きくなるにつれて半径方向にも広がる。このようにして、骨内の溝は漸増的に形成され、挿入トルクがあまり大きくないことを保証すると同時に、骨内で強固な固定を提供する。本発明の少なくとも好ましい実施形態では、ねじプロファイルは、少なくとも根尖端から4分の1において、望ましくは本体セクションの根尖端側の半分において、上記の3つのサブセグメントによって形成される。半径方向の最も外側にあるサブセグメントは、根尖端側の側面と歯冠側の側面の間のテーパー角が30°未満であり、これにより強化された切断作用が得られ、これは硬い骨において特に有益である。上記のように、中間サブセグメントはねじ山を強化し、準備が不十分な掘削穴において軟らかい骨に与える圧縮を増大させる。更に、本体セクション内のねじ山の外側面の幅を0.08~0.45mmの範囲内に維持することにより、この表面が狭すぎる(ねじの根尖部の破折又は歪みを生じる可能性がある)か、又は広すぎる(ねじ山の切断機能を失い、硬い骨内の挿入トルクを許容できないレベルまで増大させる可能性がある)ことを防止する。従って、これらの好ましい特徴は、有利な方法で組み合わせる。
特に好ましい実施形態によれば、本体セクションにおいて、軸の各位置ごとに、コア径のテーパー角は外径のテーパー角よりも大きく、その結果、本体セクションのねじ山深さは、根尖端部方向に連続的に増加し、外側面の幅は、歯冠方向に連続的に増加する。これは、軸方向及び放射方向の両方における軟らかい骨の圧縮と同様に、骨内の溝の上記の漸増的形成を向上する。
上述のように、特定の好ましい実施形態において、本体セクション内で、コアは、少なくとも2つの隣接するセグメントを含み、各セグメントのコア径は、ねじ部の中心縦軸に対して異なる角度で先細りする。各コアセグメントのテーパー角は、本体セクションにおける外径の最大テーパー角の少なくとも2倍であることが好ましい。これにより、準備中の掘削穴における骨のより良い圧縮が得られる。
いくつかの実施形態において、インプラントのねじ部は、根尖部と本体部のみからなる。つまり、ねじ部の歯冠端部は、本体セクションの歯冠端部に相当する。しかしながら、通常、ランアウトセクション(run out section)の歯冠端部において、外径がコア径と等しくなるように、ねじ部は、その歯冠端部において、外径が歯冠方向において半径方向の内側に次第に細くなるランアウトセクションを備える。このランアウトセクションはできるだけ短く、従って、このランアウトセクションが存在する場合には、ランアウトセクションの軸長が1.5mm以下であることが望ましく、最も好ましくは1mm以下である。別の方法で見ると、ねじ部の本体セクションは、根尖セクションの歯冠端部から、ねじ部の歯冠端部から1.5mm以下、好ましくは1mm以下の点まで伸びることが好ましい。
好ましくは、ねじ部の中心縦軸から測定されるように、ランアウトセクション内の外径のテーパー角は、ランアウトセクションの軸の全長に沿って一定であり、好ましくは20°から46°の間である。
ねじ山内に刃先を設けるために、少なくとも1つのフルート(flute)が前記ねじ部に設けられることが好ましい。
好ましくは、ねじ部は、ねじ部の全長に沿ってらせん状に伸びる少なくとも2つのフルートを含む。このようにして、刃先は、ねじ部の全長に沿って設けられる。フルートのらせん状の性質により、骨片をねじ部の長さに沿って輸送し、分布させることができる。1つの実施形態において、ねじ部は、2つのフルートのみを含み、それらは互いに直径方向に対抗している。これにより、特により小さな直径のインプラントでは、骨内の一次安定性を提供するために、十分な量のねじ山を維持することが保証される。しかしながら、他の好ましい実施形態では、特に、少なくとも5mmのねじ部に最大外径を有するインプラントにおいて、ねじ部は、ねじ部の中心縦軸の周りに等しい間隔に配置された4つのフルートを備えてもよい。
好ましくは、少なくとも1つのフルートは、ねじ部のコアに伸びる。このようにして、各フルートは骨片の輸送のためのねじセクション(threaded section)の長さに亘って連続したチャンネルを形成する。前記フルートの断面は、中心縦軸に垂直な面において、円弧を形成することが好ましい。これは、骨片の輸送のための大きな容積を提供する。しかしながら、フルートの切断能力を高めるためには、ねじ内のフルートの断面は更に、円弧の半径方向の外側端部に隣接する2つの対向する直線部(straight section)を備え、直線部は、互いに前記半径方向の外側方向に向かって互いに先細りすることが好ましい。このようにして、直線部は、ねじの中でアンダーカット(undercut)を形成し、それがより強力な刃先を作る。このことは、円弧の両側の直線部が直線状であることから、インプラントの回転方向にかかわらず、フルートの切削能力は同じであることを意味する。これは、インプラントの正確な配置に有益であり、例えば、歯科医がインプラントを上方に挿入し、インプラントを骨から部分的に外すことを望む場合に有益である。更に、このフルートの設計は、インプラントの挿入中のトルクを減少させるのに役立ち、これは、硬い骨にインプラントを挿入する場合に特に有益である。インプラントを掘削穴に挿入すると、挿入トルクが許容できないと医者に考えられるレベルまで上昇すれば、インプラントを少し反対方向に回転させることができる。この作用により、フルートの反対側の切断面が骨に切り込まれ、インプラントで既に切り込まれたねじが少し広がることになる。その後、医者は、以前よりも低いトルクで、且つ骨への圧力がより少ない状態でインプラントの挿入を再開することができる。
フルートの2つの対向する直線部の間のテーパー角は、好ましくは、20~65°であり、最も好ましくは、20~30°又は55~65°である。より鋭角な角度は、ねじの容積を保持するためにより小さい直径を有するインプラントにおいて有益であり、これは一次安定性に有益であり、従って、好ましくは、フルートの2つの反対側の直線部は、4.5mm未満のねじ部の最大外径を有するインプラントにおいて、55~65°の角度で互いに向かって先細りする。
注意すべきことであるが、フルートの対向する直線部は、ねじ切り及びフルートの相対的な螺旋角度、ねじ切りの幅及びフルートの設計に応じて、ねじ内の同じ軸方向の位置に、又は異なる軸方向の位置に配置されてもよい。しかしながら好ましい実施態様によれば、フルートの2つの対向する直線部は、共に、又は軸方向に一定の間隔を空けて、ねじの断面の少なくとも一部内に存在する。
上述のように、本発明の少なくとも好ましい実施形態によれば、一般的に、また特に好ましい実施形態では、ねじ部の本体セクションに沿って歯冠方向に連続的に減少する。そのため、直線部の長さによっては、ねじの全長に沿ってアンダーカットが存在しない場合がある。好ましくは、上記の直線部は、本体セクションの軸の長さの15~100%以上、より好ましくは本体セクションの軸の長さの少なくとも50%以上にわたって、ねじに存在する。本体セクションのねじの100%に亘ってアンダーカットが存在しない状況では、アンダーカットは本体セクションの根尖部に存在する。それは、最大の切断能力を有する必要がある、ねじセクションの根尖部であり、従って、フルートのアンダーカットを含むことから最も恩恵を受けるのは、インプラントのこの領域である。
上述したように、好ましい実施形態では、ねじの少なくとも一部内のフルートの断面は、円弧を含み、円弧の各端部に隣接して、互いに半径方向外方に向かってテーパーをつける対向する直線部を含む。この断面により、いくつかの実施形態において、切断面の先端は、インプラントの外径に位置する。
しかし、驚くべきことに、ねじ山の外側面とフルートとの間に鋭い移行ではなく、滑らかな移行を提供することが有益であることが発見されている。
この刃先の平滑化は、インプラントねじと硬い骨と軟らかい骨の双方との相互作用に関連して利点がある。
ねじ山の外側面とフルートとの間の移行の平滑化は、フルートの案内刃先を外径の半径方向の内側に僅かに移動させ、更に、刃先をねじの外側面に接合する湾曲した移行面を作り出す効果がある。
この湾曲した移行面(transition surface)は、軟らかい骨と接触すると、骨を半径方向の外側に誘導し、圧縮する。従って、この骨は、フルートの鋭利な刃先によって切断されるのではなく、インプラント周囲に圧縮される骨量の一部を形成し、一次安定性を向上させる。しかし、硬い骨に挿入すると、この骨は圧縮されないため、フルート内の先端によって接触、切断される。
ヒトの顎の内部の骨密度が均質でない傾向があるため、フルートのこの機能が硬い骨と軟らかい骨で異なる結果を生じることは特に有益である。その代わり、硬い骨の部分が軟らかい骨の中に見つかることがあり、その逆もある。外科医のドリリングプロトコルは、患者の一般的な骨密度に基づいて選択されるであろう。軟らかい骨に分類された場合は、掘削穴を準備中のものにするが、硬い骨に分類されている場合は、掘削穴がより広い径であれば、硬い骨の圧縮を防ぎ、挿入時に必要なトルクを減少させるために掘削穴を用いることになる。上記の挿入の刃先と湾曲した移行面を用いて、転移面は軟らかい骨の領域を圧縮でき、一方、刃先は硬い骨の領域を除去できる。硬い骨の場合、遭遇したいかなる軟らかい骨も圧縮することができるので、ねじの切断能力を損なうことなく一次安定性を高めることができる。
従って、好ましくは、ねじの少なくとも一部分内のフルートの断面は、円形の円弧を含み、円形の円弧の各端部に隣接し、半径方向の外側方向に向かって互いに先細りする対向する直線部と、各直線部に隣接し、直線部の半径方向の外側端部をねじ山の外側面に接続する移行面とを有し、ねじ山の外側面は、フルートの案内刃先が外側面の半径方向の内側に位置するように、直線部の外側端部よりも大きい半径を有する。好ましくは、移行面は丸みを帯びている。
これは、それ自体が独創的であると考えられ、第三の態様から見ると、歯科インプラントであって、根尖端部から歯冠端部に向かって中心縦軸に沿って延びるねじ部を備え、ねじ部は、ねじ山が半径方向の外側に延びるコアを備え、ねじ山は、根尖端側の側面と、歯冠側の側面と、根尖端側の側面及び歯冠側の側面を接続する外側面を有し、外側面は、ねじ山の半径方向の最外表面を定め、ねじ山は、ねじ部の長さに沿って螺旋状に延び、ねじ山の幅は、ねじ山がコアと接触するところで最も幅が広く、且つねじ山が外側面に向かって狭くなるように、半径方向の外側に狭まり、ねじ部のコア径は、コアの外径によって定められ、ねじ部の外径は、ねじ山の外側面によって定められ、ねじ部は、ねじ部の全長に沿って螺旋状に延びる少なくとも1つのフルートを有し、ねじ山の少なくとも一部において、フルートの断面が、円弧と、円弧の隣接する各端と、半径方向の外側方向に互いに向かって先細りする対向する直線部と、近接する各直線部と、直線部の半径方向の外側の先端をねじ山の外側面に接続する移行面と、を有し、ねじ山の外側面は、直線部の外端よりも大きな半径を有し、フルートの案内刃先が外側面の半径方向に内側に位置するようになっている。
本発明のこの態様の好ましい特徴は、本発明の第1及び第2の態様に関連して上記及び以下と同じである。言い換えると、ねじプロファイル、基本ねじプロファイル、外側面の幅及び上述のコア及び外径のテーパー角の全ての記載された特徴を、本発明のこの新しい態様に単独で又は組み合わせて適用することができる。
フルートの刃先の上述の丸みは、フルートの直線部が存在しないねじ山の領域にも適用することができる。このような領域におけるフルートの切削能力は、直線部を有するフルートの領域ほど大きくはないが、それにもかかわらず、移行面を含むことは、依然として、刃先を半径方向の内側に移動させる効果を有し、従って、ある程度、上述した利点をもたらすであろう。従って、前記フルートの直線部が、前記ねじ部の軸方向の長さの100%に亘って見出されない実施形態では、前記ねじの残りの部分における少なくとも1つのフルートの断面は、円弧と、前記円弧の隣接する各端と、前記円弧の半径方向の外側の先端を前記ねじ山の外側面に接続する移行面と、を有し、前記ねじ山の外側面は、前記円弧の外端よりも大きな半径を有し、前記フルートの案内刃先が前記外側面の半径方向に内側に位置するようになっている、ことが好ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、ねじ部は粗面化された表面を含む。粗い表面は、骨芽細胞が付着するために利用可能な表面積を増加させ、従って、歯科インプラントにおいて有益であることが長い間知られてきた。表面粗化の一般的な形態の1つは、インプラント表面のサンドブラスト及び/又は酸エッチングを含む。このプロセスはインプラント表面から材料を除去し、顕微鏡レベル及び/又はナノスケールでくぼみ及びピットを残す。TPS(チタンプラズマスプレー)等の表面粗化の添加方法も知られている。表面粗化の任意の既知の方法を、本発明のねじ部に適用することができる。好ましくは、インプラントのねじ部は、サンドブラスト処理及び酸エッチングの両方を含む方法を用いて粗面化する。
上記のインプラントデザインは、ワンピースインプラントと2パートインプラントの両方に使用することができる。従って、実施形態によっては、インプラントはワンピースインプラントであり、歯科補綴物の支持を提供するために、使用において樹脂により突出する、不可欠な単一の支台部であるねじセクションの歯冠を含む。
しかしながら、他の実施形態では、インプラントは2ピースインプラントのインプラント部分であり、従って、別々の支台部をインプラントに接続するための支台部の接続形状を含む。任意の公知の支台部の接続形状を本発明と共に使用することができる。例えば、インプラントは、インプラントの歯冠端部から縦軸に沿って伸びるブラインドボア(blind bore)を含むことができる。ブラインドボアは、支台部の根尖端部、又はヒーリングキャップや印象コーピング等の他のコンポーネントを収容するために使用することができる。好ましくは、ブラインドボアは、その長さの少なくとも一部に沿ってねじ山をことを含む。これにより、支台部又は他の部品をスクリュー接続によりインプラントに接続することができる。支台部や他の部品は、インプラント孔に固定するためのねじ付き柱を備えていたり、別個の基底スクリュー(basal screw)を使用することができる。
更に、又はその代替として、インプラントは、回転防止手段を含み得る。回転防止手段は、ブラインドボア内に形成されていてもよく、有する場合には、これとは別個に形成されていてもよい。例えば、回転防止手段は、インプラントの歯冠端部から突出してもよい。
回転防止手段は、回転防止手段の中心縦軸に垂直な平面において非回転的に対称な断面を有するインプラントの部分を含み、好ましい実施形態では、ねじ部の中心縦軸と同軸である。回転防止手段は、支台部、他の部品又は挿入道具等の手術道具の上に形成された相補的な回転防止手段との連携のために設計されている。インプラントの回転防止手段は、ブラインドボア内に形成することができ、有する場合には、協働部品又は道具は、ブラインドボアに挿入するための相補的な形状の突出部を含む。代わりに、インプラントの回転防止手段は、支台部、他の部品又は道具内の相補的な形状の穴に収容するための形状を有する軸方向に伸びるボス(boss)を含むことができる。一旦、突出部がブラインドボア内に収容されるか、又は穴内のボス内に収容されると、部品を互いに回転させることはできない。これにより、インプラントの挿入時にトルクをインプラントに伝達することができ、後に、支台部又は他の部品がインプラントに対して固定された回転方向に保持されるようになる。
インプラントの回転防止手段の断面は、穴によって形成されるものであれボスによって形成されるものであれ、既知の形状を有することができる。例えば、六角形や八角形などの多角形であってもよく、あるいは、多数の溝や突出部、例えば、縦軸を中心に等間隔に配置された4つの突出部を備えていてもよい。1つの特に好ましい形状は、縦軸を中心とする一連の丸く連続した溝及び突出部を形成する正弦曲線状の曲線である。
好ましい実施態様において、インプラントは、インプラントの歯冠端部からねじ部の中心縦軸に沿って伸びるブラインドボアを含み、ブラインドボアは、中心縦軸に垂直な平面において非円形対称断面を有する回転防止手段を備え、回転防止手段の根尖側に、ねじセクションを含む。好ましくは、ブラインドボアは、回転防止手段の歯冠と、歯冠方向において半径方向の外側にテーパー付されている歯冠部とを更に備える。このようなテーパー付されている部分は、相補的な形をした支台部とともに確実な密閉を形成できるため、細菌がインプラントに入るのを防ぐことができる。
ブラインドボアの形状にかかわらず、このようなブラインドボアがインプラント内に存在し、ねじ部に伸びる場合、コア径の上記テーパー角を選択し、適切な壁厚がブラインドボアの周りで維持されるようにするとともに、ねじ山の外側面の幅を好ましい定義された限界内に維持するようにしなければならない。適切な壁の厚さは、部分的にインプラントの材料によって定義され、当業者が計算することができる。
本発明のインプラントが2ピースインプラントである場合、それは、骨レベル又は組織レベルインプラントであり得る。すなわち、インプラントを歯槽頂の高さ(骨レベル)まで挿入したり、軟部組織(組織レベル)に数ミリメートル伸ばすように設計することができる。
インプラントが骨又は組織レベルのインプラントであるか、ワンピースインプラントであるかにかかわらず、上記のねじ部は同一のままである。好ましくは、ねじ部はインプラントの根尖端部に位置し、最も好ましくは、ねじ部の根尖端部はインプラントの根尖端部0.5mmで位置する。
インプラントが骨レベルインプラントである場合、ねじ部がインプラントの歯冠端部まで伸びる可能性がある。従って、いくつかの実施形態において、ねじ部の本体セクションは、ねじ部の根尖セクションの歯冠端部から、インプラントの歯冠端部から1.5mm以下、好ましくは1mm以下の点まで伸びることができる。
しかしながら、好ましくは、インプラントは、ねじ部の歯冠の頸部を含む。ねじ部のねじ山が歯冠の頸部に伸びることはないが、この頸部が微小ねじ山(micro-threading)等の他の何らかの形態のねじを含む可能性がある。歯冠の頸部に見られる任意のねじ切りは、プロファイル、幅、深さ、方向及びピッチのうちの少なくとも1つ、好ましくはすべてにおいて、ねじ部のねじ切りとは異なる。特に、微小ねじ山の最大ねじ山深さは0.2mm以下である。
頸部は、ネジ部の最大外径よりも小さい外径を有する円筒形であることが好ましい。頸部の外径は、存在する可能性のある何らかのねじ山又は他の表面のマークを含む頸部の外径である。
特定の好ましい実施態様において、ねじ部の最大外径は、本体セクションの歯冠端部に位置し、従って好ましい実施態様において、頸部の外径は、本体セクションの歯冠端部の外径より小さい。
ねじ部のインプラントの歯冠の直径のこのような減少は、皮質層と呼ばれる骨の外層が、通常、下層の骨よりも密であるため、有益である。従って、患者の全体的な骨質が軟らかいために、掘削穴の準備不足とその結果としての圧縮から恩恵を受ける症例であっても、顎骨表面の皮質骨は圧縮されるべきではない。ねじ部の上に狭い頸部を作ることで、この上部領域の骨が圧縮されないようにする。更に、より広い頸部を皮質骨に挿入することを可能にするために、従来のインプラント配置においてしばしば使用される、いわゆるプロファイルドリルによって、狭い頸部は、この皮質骨の除去が必要となることを防ぐ。顎骨の歯冠面は狭いことが多い。骨に適切な栄養を与えるためには、掘削穴の周囲に約1mmの幅を残すべきである。頸部が狭いことは、掘削穴の口に骨を保持するのに役立つ。
ねじ部の最大外径と頸部の外径との間の直径の変化は、0.25~2.5mmであることが好ましい。
頸部は、前述したように滑らかであるか、又は微小ねじ山を含むことがある。あるいは、一連の同心の溝部又は突出部を備えてもよい。
1つの好ましい実施形態において、頸部は、2つの軸方向に配置された隣接するセクションを含む。根尖頸部セクションは、ねじ部の歯冠端部に直接隣接して存在し、縦軸の周りに360°伸びる、円周方向に伸びる1つ以上の溝を含む。また、溝は、軸方向に延在してもよく、この場合、螺旋状のねじ山を形成する。このような溝が2つ以上存在する場合には、これらは同じ又は異なるらせんの角度及び/又は方向を有してもよい。或いは、軸方向に離間した複数の環状溝が存在してもよい。少なくとも1つの溝は、0.2mm未満、好ましくは0.1mm未満、最も好ましくは約0.05mmの深さを有する。これらの溝は、頸部の根尖セクションの表面積を増大させ、従って、オッセオインテグレーションに利用できる領域を増大させる。溝がらせん状のねじ山を形成するとき、これは、追加の切断機能を提供するために1つ又はそれ以上のフルートを更に含むことが好ましい。
歯冠側頸部セクションは、根尖側の頸部セクションとは対照的に、溝やねじ山をまったく含んでいない。従って、このセクションは根尖頸部セクションよりも滑らかである。これは、移植後に何らかの骨吸収が生じた場合に有益である。骨量が減少した場合、この喪失によって露出したインプラントの領域を清掃できるようにするために、より滑らかな表面を有することが有益である。従って、この好ましい実施形態では、根尖セクションの頸部に見られる溝は、頸部の軸方向の全範囲に亘って伸長しない。
頸部は、例えばサンドブラスチング及び/又は酸エッチングにより、ねじ部と同じ方法で粗くすることが好ましい。
上記の頸部は、2.5mm以下の軸長が望ましく、最も好ましくは2mm以下である。このことは、インプラントが骨レベルのインプラントである場合、インプラントの大部分がねじ部によって形成されることを保証し、従って、一次安定性及び挿入の容易性を改善するための上記のねじ切りを含む。頸部が上記の根尖セクション及び歯冠セクション(coronal section)を含む場合、両セクションの軸方向の長さは実質的に同じであることが好ましい。
上記の頸部は、骨レベルのインプラント上に存在することができる。このような場合、インプラントは、好ましくは、頸部の歯冠、歯冠方向において半径方向の内側に先細りして切頭円錐を形成する傾斜部(beveled part)を含む。傾斜部は、支台部等の二次的な部分へのより安定した接続を提供する。また、傾斜部は、二次部との密封性を良好にするのにも有利であると考えられる。
いくつかの好ましい実施形態において、傾斜部は、インプラントの中心縦軸に対して垂直な平面に対して17~27度の角度を形成し、より好ましくは20~24度の角度を形成し、最も好ましくは22.5度の角度を形成する。他の好ましい実施形態において、傾斜部は、インプラントの中心縦軸に対して垂直な平面に対して40~50°、より好ましくは45°の角度を形成する。
特定の好ましい態様において、インプラントは、歯科インプラントの歯冠端部を規定する平坦なショルダ(flat shoulder)をその歯冠端部に含む。平坦なショルダは、インプラントの中心縦軸に対して垂直な平面上に横たわることが望ましい。平坦なショルダは、使用中にインプラントに取り付けることができる、支台部又は挿入ツールのような他の成分のための軸止め及び/又はセンタリングプラットフォームとして作用することができる。更に、平坦なショルダは、例えば0.5mm未満の比較的狭く、最も好ましくは幅0.2mm未満であることが好ましい。肩幅は、歯科インプラントの全周に亘って均一であることが望ましい。
特に好ましい実施形態では、インプラントは、上述のように、斜端部と平坦なショルダとの両方を含む。そのような実施形態において、平坦なショルダは、好ましくはインプラントの歯冠端部を定義し、傾斜部に直接隣接している。上述のように、平坦なショルダは、歯科インプラントの中心縦軸に対して垂直な平面上に横たわることが好ましい。また、平坦なショルダは、傾斜部と比較して比較的狭いことが望ましい。インプラントの中心縦軸から伸びる半径に沿って、半径上の傾斜部の突起の半径方向の幅に対する平坦なショルダの半径方向の幅の好ましい比は1:5から1:20である。つまり、傾斜部の突起の半径方向の幅は、平坦なショルダの半径方向幅の5~20倍の長さである。
ねじ部や頸部とは対照的に、傾斜部や平坦なショルダは、存在する場合には粗くならないことが望ましい。これらの部分は、よりスムーズであることが望ましく、最も好ましいのは、協働する部品との良好な密封を可能にするために研磨される。
本発明のインプラントは、組織レベルのインプラントでもよい。このような場合、インプラントは、更に、患者の軟部組織内に、使用時に伸長するように配置された頭部(head portion)である、ねじ部の歯冠を含む。
頭部の根尖端部は、ねじ部の歯冠端部に直接隣接してもよい。そのような実施形態において、頭部の根尖端部は、好ましくは、ねじ部の歯冠端部のコア径と同等又はそれ以下の直径を有する。
しかしながら、好ましくは、本発明による組織レベルのインプラントは、上記のような頸部を含む。前記頸部は、ねじ部と頭部との間及びその近傍に位置し、上記で議論された任意の特徴及び全ての好ましい特徴を含んでもよい。
そのような実施形態では、頭部の根尖端部の直径は、頸部がスムーズに頭部に移行するように、頸部の歯冠端部の直径と等しいことが好ましい。
いくつかの実施態様において、頭部は、円筒形であってもよい。これは、5.0mm未満のねじ部の最大外径を有するインプラントにおいて特に有益である。しかしながら、好ましくは、頭部は、歯冠方向に半径方向の外側に延びるフレア状の外側セクション(flared out section)を備え、フレア状の外側セクションの歯冠端部の直径は、ねじセクションの最大外径よりも大きい。この直径の増大は、歯肉内の天然歯の形状を模倣し、支台部が支えられる広いプラットフォームを提供する。
フレア状の外側セクションは、円錐台の形状を取ることができ、その結果、本明細書では「縦断面(longitudinal cross-section)」と称されるフレア状の外側セクションの中心縦軸を含む全ての平面で取られた断面が、直線状のテーパ状断面を有するフレア状の外側断面を示すことになる。しかしながら、他の実施形態では、フレア状の外側セクションは、好ましくは、歯冠方向において半径方向の外側に向かって半径に関してテーパー付けされ、従って、湾曲した縦断面を生成する。好ましい実施形態では、フレア状の外側セクションの曲率半径は、1mm~4mmである。一般に、フレア状の外側セクションの軸方向長さが大きいほど、曲率半径は大きくなる。従って、フレア状の外側セクションの長さが1.5mm以下である実施形態では、曲率半径は2mm以下が好ましく、最も好ましくは0.5mmから1.5mmの間である。フレア状の外側セクションの長さが1.5mmを超える実施形態では、曲率半径は、好ましくは3mmから4mmの間であり、最も好ましくは3.5mmである。
いくつかの実施態様において、フレア状の外側セクションは、湾曲した断面と、直線状にテーパ付された断面の両方を含んでもよい。このような実施形態では、フレア状の外側セクションの根尖端部は、好ましくは、円錐状に外側に張り出し続ける前に、半径に亘って半径方向の外側に向かってテーパーを付けており、即ち、直線状のテーパー状断面を有する。
存在する場合、フレア状の外側セクションは、好ましくは、頭部の根尖端部を形成する。しかし、ヘッドセクション(head section)は、フレア状の外側セクションの先端に円筒状のセクションを含むことも可能である。このような円柱状のセクションは、インプラントの軸配置においてより柔軟性を外科医に提供することができる。というのは、外科医が骨にフレア状の外側セクションを挿入しようとするときに生じるであろうトルクを増大することなく、インプラントを骨内により深く配置することができるからである。
フレア状の外側セクションに加えて、又は代替的に、頭部は、その外側面に環状溝又はアンダーカットを備えることができる。これにより、インプラント表面にくぼみ領域が生じ、軟組織の内方成長が可能となる。インプラント表面と骨とのインタフェース上の軟組織の成長は、このインタフェースの保護を提供し、インプラントのオッセオインテグレーションを補助することができる。この溝は頭部の根尖側の半分に位置することが望ましい。
ヘッドセクションの形状にかかわらず、特に、これがフレア状の外側セクションを含むか否かにかかわらず、ヘッドセクションは、好ましくは、その歯冠端部において、上記の傾斜部及び/又は平坦なショルダを含む。従って、特に好ましい実施形態では、ヘッドセクションの歯冠端部は、平坦なショルダを含み、このショルダに根尖側に隣接して、上記の傾斜部を含む。傾斜部は上記と同じ角度をもつことができる。しかしながら、フレア状の外側セクションを含むインプラントに関しては、特に、傾斜部が40~50度の角度を形成し、より好ましくは、歯科インプラントの中心縦軸に対して垂直な平面に関して42~47度の角度を形成し、最も好ましくは、45度の角度を形成することが好ましい。
頭部の表面は滑らかであることが望ましい。より一般的には、頭部は、好ましくは、ねじ部よりも平滑な表面を有し、存在する場合には、頸部を有する。特に好ましい実施形態では、糸付きの表面、及び存在する場合には、頸部をサンドブラスト処理及び/又は酸エッチングする。対照的に、頭部は同じ表面処理を受けず、従って、ねじ部と、存在する場合には、頸部に対して視覚的に明確な表面の質感を有する。最も一般的には、ねじ部の粗くなった表面、そして存在する場合には、頸部は頭部よりも濃く見える。頭部は別の表面処理を受けることが可能であるか、又は視覚的に明確な微小ねじ山又は他の溝部を含むことが可能であるが、最も好ましくは、頭部は滑らかであり、最も好ましくは研磨される。
インプラントが上記の頸部及び/又は頭部を含む場合、全体としてインプラントがねじ部の中心縦軸に沿って伸長するように、これらの部分はねじ部と同軸であることが好ましい。しかし、他の実施形態においては、これらの部分の1つ又は複数の部分、特に頭部は、ねじ部の中心縦軸に対して角度がある中心縦軸に沿って伸長してもよい。本発明のインプラントがワンピースインプラントである場合、このインプラントの支台部は、ねじ部の中心縦軸に対して同軸に、又はその中心縦軸に対して角度をつけて伸長してもよい。
本発明のインプラントは、任意の公知の適切なインプラント材料から作製することができる。好ましくは、インプラントはチタン、チタン合金又はジルコニアから作られる。
歯科インプラント製造業者は、典型的に、患者の個々のニーズに最も適合するために、異なる直径及び長さを有する一連のインプラントを販売している。通常、歯科医は、骨内の空間内に適合する可能性のある最も長くて幅の広いインプラントを選択し、これは、喪失した歯の位置、顎骨の状態などに依存する。
本発明によるインプラント設計は、長さ及び直径の範囲にわたる使用、ならびにワンピース、骨レベル及び組織レベルのインプラントに適している。
従って、さらなる態様から見ると、本発明は、3mm~8mmの範囲内で、ねじ部の異なる最大外径を有する少なくとも2つの複数のインプラント、及び5mm~25mmの範囲内で、異なる軸長を有する少なくとも2つの複数のインプラントの、本発明の第1~第3の態様の1つ以上に関連して、上記の特徴を含む複数の歯科インプラント、及び好ましくは好ましい特徴を含む、複数の歯科インプラントを含む。
特に、本発明の一態様によれば、3mm~8mmの範囲内で、ねじ部の異なる最大外径を有する少なくとも2つの複数のインプラントと、5mm~25mmの範囲内で、異なる軸長を有する少なくとも2つの複数のインプラントが、本発明の第2の態様に従って、複数のインプラントを提供する。
確実に、複数のインプラントの各々において、ねじ山の外側面の幅が、本発明の第2の態様で規定された範囲内にとどまるためには、ねじセクションのねじ山のピッチが、インプラントの最大外径及び軸長に依存して変化することが好ましい。これは一次安定性を増すので、より小さいピッチは、より短い軸長を有するインプラントにおいて好ましい。しかし、より長いインプラントでは、インプラントをより速く骨に挿入できるので、より大きなピッチが望ましい。更に、インプラントの異なる直径に亘ってピッチを変化させることは、ねじ山深さをできるだけ大きくできるようにしながら、外側面の幅を制御するための有用な手段である。同じピッチを維持しながらねじ山深さを増すと、糸の根尖端側の側面と歯冠側の側面が半径方向の外側方向に互いに向かって先細りするため、外側面が小さくなりすぎる可能性がある。ねじピッチを増加させると、コアでのねじ山幅が増加し、そのため外側面での幅も増加する。このように、より大きな直径のインプラントについては、本発明の外側面の幅の限界を維持するために、より小さな直径のインプラントと比較してピッチをより大きくすることができる。
好ましくは、ねじ部の所与の最大外径に対して、ねじ部におけるねじ山のピッチは、ねじ部の軸方向の長さと共に増大する。更に又は代替的に、所与の長さのねじ部に対して、ねじ部におけるねじ山のピッチは、ねじ部の最大外径と共に増加することが好ましい。好ましくは、複数のインプラントは、それぞれ、0.75から1.45mmの間のねじ部におけるねじ山のピッチを有し、ここで、少なくとも1つのインプラントは、第2のインプラントよりも長い軸長を有するが、前記第2のインプラントよりも大きなピッチを有し、少なくとも1つのインプラントは、第3のインプラントよりもねじセクションの最大外径が大きく、且つ前記第3のインプラントよりも大きなピッチを有する。
本発明の好ましい態様は、以下の例によってのみ記載される:
図1Aは、本発明の好ましい実施形態による歯科インプラントを示す; 図1Bは、図1Aに示される歯科インプラントのブランクを切る断面を示す; 図2Aは、本発明の第2の好ましい実施形態による歯科インプラントを示す; 図2Bは、図2Aに示される歯科インプラントのブランクを切る断面を示す; 図3Aは、本発明の第3の好ましい実施形態による歯科インプラントを示す; 図3Bは、図3Aに示される歯科インプラントのブランクを切る断面を示す; 図4Aは、本発明の第4の好ましい実施形態による歯科インプラントを示す; 図4Bは、図4Aに示される歯科インプラントのブランクを切る断面を示す; 図5Aは、本発明の第5の好ましい実施形態による歯科インプラントを示す; 図5Bは、図5Aに示される歯科インプラントのブランクを切る断面を示す; 図6Aは、図1A~5Aに示される各インプラントに適用することができる、本発明の第1の態様によるねじプロファイルを示す; 図6Bは、図1A~5Aに示される各インプラントに適用することができる、本発明の第1の態様によるねじプロファイルを示す; 図7は、図1A~5Aに示される各インプラントに適用することができる、本発明の第3の態様によるフルートの断面を示す。
以下の説明を通して、同様の特徴は同様の参照番号で参照される。
図1A、2A、3A、4A及び5Aはそれぞれ、本発明の好ましい実施形態による歯科インプラント100、200、300、400、500を示す。図1B、2B、3B、4B及び5Bは、インプラント100、200、300、400、500のそれぞれのブランク101、201、301、401、501の断面を示す。これらのブランク101、201、301、401、501は、各インプラントをねじ切り(threading)の機械加工する前のインプラントの形状を示し、従って、ねじ切りの外側面によって形成される外径を明確に表示する。
100、200、300、400、500の各インプラントは、ねじ切り部110、210、310、410、510を含み、前記ねじ部は、根尖端部102、202、302、402、502から、歯冠端部103、203、303、403、503に、中心縦軸Lに沿って伸びる。ねじ部110、210、310、410、510は、各々、コア104、204、304、404、504を含み、そこからねじ山105、205、305、405、505が放射状に外側に伸びる。ねじ山105、205、305、405、505は、根尖端側の側面106、206、306、406、506、歯冠側の側面107、207、307、407、507、及び根尖端側の側面と歯冠側の側面とを接続する外側面108、208、308、408、508を備え、外側面108、208、308、408、508は、ねじ山105、205、305、405、505の半径方向における最外面を画定する。ねじ山105、205、305、405、505は、ねじ部110、210、310、410、510の全長に沿って螺旋状に延びており、図1A~5Aの各々に見られるように、ねじ山の幅は、ねじ山がコアに接触するところで最も広く、外側面108、208、308、408、508に向かって狭くなるように、半径方向の外側に向かって狭くなっている。インプラント100、200、300、400、500の各々において、ねじ山105、205、305、405、505は、二条ねじ(double start thread)である。
ねじ部110、210、310、410、510のコア径DCは、コア104、204、304、404、504の外径によって規定され、ねじ部110、210、310、410、510の外径DOは、ねじ山105、205、305、405、505の外側面108、208、308、408、508によって規定される。ねじ部110、210、310、410、510の外径DOは、インプラントの両側に2つの軸方向に延びるラインを引くことによって視覚化することができる。各ラインは、ねじ山105、205、305、405、505の外側面108、208、308、408、508に接触し、且つそれらに沿って延びる。ねじ部の軸上の任意の位置における直径は、これらのライン間の距離で与えられる。
或いは、外径は図1B-5Bにおいて明確に理解することができる。ブランク101、201、301、401、501では、ねじ山105、205、305、405、505は未だ機械加工されておらず、従って、外側面108、208、308、408、508は、ねじ部110、210、310、410、510の全長に亘って広がっている。ねじ山105、205、305、405、505を形成した後、この外側面108、208、308、408、508の部分のみが残るが、この外側面は依然として外径DOを規定する。
単純化のために、コア径DC及び外径DOは、図4Aに示されているだけであり、外径DOに関しても図4Bに示されている。しかし、インプラント100、200、300、500のコア径DC及び外径DOは、同一の方法で得られる。
以下に更に説明するように、これらの断面の左手半分がコアではなく、らせん形溝の深さを示しているので、ブランク101、201、301、401、501にはコア径DCは示されていないことに留意されたい。
特にブランク101、201、301、401、501を見ることによって理解されるように、示される好ましい実施形態の各々において、ねじの深さDTがねじ部110、210、310、410、510の軸の長さに亘って変化する。ねじ部110、210、310、410、510内の軸方向の任意の位置において、ねじ山深さDTは、コア104、204、304、404、504の外側表面と外側面108、208、308、408、508との間の半径方向長さの差によって与えられる。この範囲は、簡略化のために図4Bにのみ示されている。
ねじ山105、205、305、405、505の幅が半径方向において外側方向に狭くなるにつれて、ねじ部110、210、310、410、510内のねじ山深さDTのこの変化は、図1A~5Aの各々に明らかに示されているように、ねじ部110、210、310、410、510の長さに沿って、外側面108、208、308、408、508の幅に影響を与える。
インプラント100、200、300、400、500の各々におけるコア径DCの変化は、図1B-5Bにそれぞれライン109、209、309、409、509によって示され、一方、外径DOの変化はライン111、211、311、411、511によって示される。
記載された好ましい実施形態の各々において、ねじ部110、210、310、410、510は、根尖セクション115、215、315、415、515、及び本体セクション120、220、320、420、520を含む。
根尖セクション115、215、315、415、515内で、中心縦軸Lに対する外径のテーパー角は常に20°より大きく、中心縦軸に対するコア径のテーパー角は、根尖セクション115、215、315、415、515におけるねじ山深さDTが根尖端方向に減少するように、根尖セクションの軸方向の全ての位置において、外径のテーパー角よりも小さい。好ましい実施形態では、根尖セクション115、215、315、415、515は、軸の長さが1.6mm未満である。
根尖セクション115、215、315、415、515は、各々、2つの隣接するセグメント216、217を含み、各セグメント216、217は、ねじ部110、210、310、410、510の中心縦軸Lに対して一定の角度で小さくなる外径を有する。根尖側セグメント216の外径は、中心縦軸Lから測定されるように、歯冠側セグメント217の外径よりも大きいテーパー角を有する。単純化のために、根尖セクション115、215、315、415、515のこれらのセグメント216、217は、図2Bにのみ示されているが、これらのセグメントは、インプラント100、300、400、500の各々にも存在する。根尖側セグメント216においてより大きなテーパー角を有することは、ねじ山深さがより緩やかな量で増加する前に、ねじ山深さを歯冠方向に極めて急速に増加させ、従って、より丸みを帯びた根尖セクション115、215、315、415、515を形成する。
記載された好ましい実施形態の各々において、根尖側セグメント216の外径のテーパー角は約60°であるが、歯冠側セグメント217の外径のテーパー角は28°~48°である。例えば、図1B及び2Bの比較から分かるように、歯冠側セグメント217のテーパー角は、根尖セクション115、215、315、415、515の歯冠端部におけるねじ部110、210、310、410、510の外径DOに依存して変化する。外径DOが大きいほど、歯冠側セグメント217におけるテーパー角は大きくなる。
本体セクション120,220,320,420,520において、中心縦軸に対する外径のテーパー角は常に5°未満である。
このようにテーパー角を制限することにより、本体セクション120、220、320、420、520の外径DOは、歯冠方向に極めて徐々に増加するのみであり、このように、インプラント100、200、300、400、500の硬い骨への挿入時に必要なトルクを制御する。更に、本体セクション120、220、320、420、520においてテーパー角が低いことは、所与の口径の掘削穴に対して、より多数のねじ山ピークを掘削穴の壁に形成できるので、一次安定性を増大させる。
外側径DOが、本体セクション120、220、320、420、520の軸の全長に沿って、一定のテーパー角又は変動するテーパー角のいずれかでテーパ加工することが可能である。しかしながら、示される好ましい実施の形態の各々において、本体セクション120、220、320、420、520の外径は、外径が2.5°未満のテーパー角で根尖端方向において半径方向に内向きに先細りする根尖セグメント121と、外径DOが0°のテーパー角を有する歯冠セグメント122とを含み、従って、本体セクション120、220、320、420、520の歯冠端に最も近い部分の円筒状の表面を規定する。簡略化のために、本体セクション120、220、320、420、520のこれらのセグメント121、122は、図1Bにおいてのみ示されるが、これらのセグメントは、インプラント200、300、400、500の各々においても存在する。
図示の実施形態のそれぞれにおいて、歯冠セグメント122の軸方向長さは、約2mmである。根尖セグメント121のテーパー角は、インプラント100、300、400、500においては1°未満であり、インプラント200においては1.5°未満である。
このテーパー角は小さいが、挿入トルクを制御し、一次安定性を増大させるために、根尖セグメント121上で外径DOがわずかに増大することは、インプラント100、200、300、400、500を軟らかい骨に挿入した場合、軟らかい骨を半径方向に圧縮するのに役立つ。
示された好ましい実施形態の各々において、ねじ部110、210、310、410、510のコア径DCは、ライン109、209、309、409、509によって示されるように、ねじ部の軸の全長に亘って、根尖端方向において半径方向に内側に先細りする。コア径DCの十分にテーパー加工された特質により、インプラント100、200、300、400、500は、準備不足の掘削穴、すなわち、ねじ部110、210、310、410、510のコア径DCよりも小さい直径を有する掘削穴に設置されると、ねじ部110、210、310、410、510の軸の全範囲に沿って軟らかい骨を圧縮することができる。インプラントを骨に挿入する際に、インプラント100、200、300、400、500のねじ部110、210、310、410、510の周りで、コア109、209、309、409、509の直径を徐々に増大させることにより、軟らかい骨を半径方向に圧縮する。
上述したように、一次安定性を高めるためには軟らかい骨の圧縮が望ましいが、インプラントを骨の硬い骨に挿入する場合、骨の圧縮は望ましくなく、且つ/又は不可能である。従って、インプラント100、200、300、400、500を硬い骨に挿入する場合、外科医は、コア径DCの最大直径よりも大きい直径を有する掘削穴を形成し、挿入中に、コアが硬い骨を圧縮しないようにする。上述のように、インプラント100、200、300、400、500を硬い骨に挿入する際の挿入トルクを制御するために、本体セクション120、220、320、420、520のテーパー角は、示された各実施形態において2.5°未満である。更に、好ましい実施形態の各々において、ねじ山105、205、305、405、505のねじプロファイルは、図6A及び6Bに関連して、以下で更に議論されるように、硬い骨へのインプラントの挿入を補助するように形作られている。
各インプラント100、200、300、400、500のねじ部110、210、310、410、510のコア径DCは、ねじ部110、210、310、410、510の全軸範囲に亘って連続的に漸減するが、テーパー角は一定ではない。
特に、本体セクション120、220、320、420、520内で、コア104、204、304、404、504は、少なくとも2つの隣接するセグメント、223、224、225を含み、各セグメントのコア径DCは、異なる角度α1、α2、α3で、ねじ部の中心縦軸Lに対して先細りする。インプラント200のようないくつかの実施形態では、本体セクション220は、正確に3つのコアセグメント223、224、225を含む。このような実施形態において、テーパー角α1、α2、α3は、好ましくは歯冠方向に連続的に増加する。インプラント300のような他の実施形態では、本体セクション320は、正確に4つのコアセグメント323、324、325、326を含む。そのような実施形態では、テーパー角α1、α2、α3、α4は、好ましくは連続的に増加しない。代わりに、1つのセグメント325は、より小さいテーパー角を有するコアセグメント326、324によって、根尖端方向と歯冠方向の両方に境界されている。従って、そのような実施形態において、コア径DCの増加割合は増加し、次いで歯冠方向に減少する。インプラント500のような他の実施形態では、本体セクション520は、正確に2つのコアセグメント523、524を含む。
単純化するために、インプラント100及び400のコアセグメントは示されていないが、本体セクション120、420は、中心長軸Lに対して異なるテーパー角αを有する4つのコアセグメント123、124、125、126、423、424、425、426をそれぞれ構成している。
コアセグメント123-126、223-225、323-326、423-426、523、524は、本体セクション120、220、320、420、520内のねじ山105、205、305、405、505の外側面108、208、308、408、508の幅を制御するために、ねじ部120、220、320、420、520の外径DOと併せて使用される。示された実施形態の各々において、図3Aにおいてのみ簡略化のために示される、本体セクション120、220、320、420、520内のねじ山105、205、305、405、505の外側面幅WLは、決して0.08mm未満ではなく、0.45mmを超えない。
外側面幅WL上のこれらの上限及び下限は、この表面が狭すぎる(ねじの根尖部の破損又は歪曲を生じる可能性がある)又は広すぎる(ねじの切断機能を失い、硬い骨内の挿入トルクを許容できないレベルまで増加させる可能性がある)ことを防止する。従って、外側面幅WL上のこれらの上限及び下限は、インプラント100、200、300、400、500の、許容できるレベル内の挿入トルクを維持しながら硬い骨に自己タッピングする能力を改善する。
前述したように、各インプラント100、200、300、400、500のねじ山105、205、305、405、505の幅は、ねじ山105、205、305、405、505は、コア104、204、304、404、504と接触するところで最も広くなり、外側面108、208、308、408、508に向かって狭くなるように、半径方向の外側に先細りする。
図示の好ましい実施形態のそれぞれにおいて、ねじ山の基本ねじプロファイル及びコアにおけるねじ山幅は、ねじ部110、210、310、410、510の軸方向の広がりに沿って一定のままである。これは、外側面108、208、308、408、508の幅WLの変化が、ねじ部110、210、310、410、510に沿ったねじの深さDTの変化の結果であるように、根尖端側の側面106、206、306、406、506及び歯冠側の側面107、207、307、407、507の形状が、ねじ部120、220、320、420、520の軸方向の範囲に沿って一定に保たれることを意味する。
図6A及び6Bは、本発明の第1の態様によるねじプロファイルの例を示し、両者は、インプラント100、200、300、400、500のねじ山105、205、305、405、505用のねじプロファイルとして使用することができる。
図6A及び6Bはそれぞれ、半径方向に連続して配置された正確に3つのサブセグメント601~603、611~613から形成されたねじプロファイル600、610を示し、各サブセグメントにおいて、根尖側の側面606、616及び歯冠側の側面607、617は、一定の角度βで互いに向かって先細りし、中間サブセグメント602、612は、半径方向に最も内側の601、611及び半径方向に最も外側の603、613のサブセグメントのテーパー角β1、β3よりも大きいテーパー角β2を有し、根尖側の側面606、616と半径方向に最も外側のサブセグメント603、613の歯冠側の側面607、617との間に形成されるテーパー角は、30°未満である。
角度β1、β2、β3は、半角として図6Bに示されている。
これらの好ましい実施形態において、テーパー角β1、半径方向に最も内側の601、611及び半径方向に最も外側の603、613のサブセグメントのβ3は、実質的に同じであり、約25°である。中間サブセグメント602、612のテーパー角β2は、約60°において、半径方向に最も外側のサブセグメント603、613のテーパー角の2倍を超える。
図6A及び6Bのねじプロファイルは、製造技術によって可能な範囲で、記載されている3つのサブセグメント601-603、611-613によってのみ形成される。従って、両方のプロフィールにおいて、コア604、614と半径方向に最も内側のサブセグメント601、611との間に小さな湾曲した遷移Rが必要である。従って、半径方向の最内側のサブセグメント601、611は、効果的に、コア径で始まり、半径方向の最も外側のサブセグメント603、613は、ねじ山の外側面で終わり、3つのサブセグメントの間に配置された介在する追加のサブセグメントはない。
図6A及び6Bのねじプロファイルは、硬い骨及び軟らかい骨の両方に挿入する際に利点がある。半径方向に最も外側のサブセグメント603、613の狭い角β3は、良好な切断能力を提供し、これは、インプラントを硬い骨に挿入する場合に特に重要である。中間サブセグメント602、612を設けることは、半径方向に最も外側のサブセグメント603、613の鋭い切断角度の半径方向に内側に位置するねじ山を広げるので、ねじ山を強化するとともに、インプラントが準備中の掘削穴に挿入されたときに軟らかい骨の軸方向の圧縮をより大きくする。ねじプロファイルの半径方向の内側サブセグメント601、611は、中間サブセグメント602、612のものよりも小さいテーパー角β1を有し、結果として、より良い切削機能をもたらす。
図6A及び6Bに示されるねじプロファイルは、サブセグメント601~603、611~613の相対的な半径方向の長さ及びコア604、614におけるねじ山の幅に関して互いに異なる。例えば、中間サブセグメント612は、中間サブセグメント602よりも大きな半径方向の長さを有し、その結果、より大きいねじ山幅の増大をもたらすことが分かる。サブセグメントのねじ山の幅、相対的な半径方向の長さ及びテーパー角は、ねじプロファイルを使用する予定のインプラントに応じて調整することができる。
インプラント100、200、300、400、500のねじ山105、205、305、405、505の基本ねじプロファイルは、図6A又は6Bに関して記述される3つのサブセグメント601-603、611-613によって形成することができる。
ねじ山105、205、305、405、505のねじ山深さDTは、ねじ部110、210、310、410、510の軸方向の範囲に沿って変化するため、半径方向に最も外側のサブセグメント603、613及び、更には中間サブセグメント602、612も、本体セクション120、220、320、420、520の軸方向の全長に沿って存在しなくてもよい。
しかし、図1A~5Aに見られるように、半径方向に最も外側のサブセグメント603、613は、本体セクション120、220、320、420、520の少なくとも根尖端に最も近い部分(apical most part)に存在し、本体セクション120、220、320、420、520の様々な軸方向の範囲に沿って存在する。これは、半径方向に最も外側のサブセグメント603、613が、その切断機能を高めた状態で、ねじ部110、210、310、410、510の根尖端部側に位置する部分に存在することを可能にするため、有益である。
示された好ましい実施形態のインプラント100、200、300、400、500は、密度の高い骨内に切り込まれるので、ねじ山105、205、305、405、505は、ねじ部110、210、310、410、510の根尖端部で、初めに、ねじ切の形状に対応して骨に溝を切り込む。上述のように、ねじ部120、220、320、420、520の根尖セクション115、215、315、415、515におけるねじ山深さDTは、ねじ山105、205、305、405、505が骨に切り込めるように、急速に増加する。半径方向に最も外側のサブセグメント603、613は、本体セクション120、220、320、420、520の根尖部に位置するので、これは切断作用を増強し、これは硬い骨において特に有益である。上述のように、中間サブセグメント602、612は、ねじ山105、205、305、405、505を強化し、準備中の掘削穴の軟らかい骨に与えられる圧縮を増大させる。インプラント100、200、300、400、500が更に骨内に駆動されると、外側面108、208、308、408、508が広がるので、ねじ山105、205、305、405、505が形成する初期の溝が両方の軸方向に徐々に広がり、外径DOが大きくなるにつれて、半径方向に広がる。このようにして、骨内の溝は漸増的に形成され、挿入トルクがあまり大きくないことを保証すると同時に、骨内で強固な固定を提供する。更に、本体セクション120、220、320、420、520内のねじ山105、205、305、405、505の外側面の幅WLが0.08~0.45mmの範囲で維持されるため、これは、外側面108、208、308、408、508が過度に狭くなり(ねじの根尖部の破損又は歪みを生じる可能性がある)、又は過度に広すぎる(ねじ山の切断機能を失い、許容できないレベルまで硬い骨内の挿入トルクを増加させる可能性がある)ことを防止する。
図示の好ましい実施形態のインプラント100、200、300、400、500は、更に、少なくとも2つのフルート700を含む。インプラント200は、4つのフルート700から構成される。フルート700は、ねじ部110、210、310、410、510の全長に沿ってらせん状に伸びている。このようにして、刃先は、ねじ部110、210、310、410、510の全長に沿って設けられる。フルート700のらせん状の性質は、骨片を輸送し、ねじ部110、210、310、410、510の長さに沿って分布させることができる。
フルート700は、ねじ部110、210、310、410、510のコア104、204、304、404、504に伸びている。これは、図1B-5Bにおいて、それぞれライン190、290、390、490、590によって示されている。このライン190、290、390、490、590は、ねじ部120、220、320、420、520の軸方向の範囲に沿ったフルート700の深さを示している。このライン190、290、390、490、590を、コア径DCを示すライン109、209、309、409、509に比較することにより、フルート700が常にコア104、204、304、404、504に及ぶことが分かる。このようにして、各フルートは、骨片の輸送のためのねじセクション120、220、320、420、520の長さに亘って連続的なチャネルを形成する。
インプラント100、200、300、400、500の各々において、少なくともねじ山105、205、305、405、505の一部において、フルート700の断面を図7に示す。
この図に示すように、ねじ山705の少なくとも一部内のフルート700の断面は、円弧701を備え、円弧701の各端部に隣接し、半径方向の外側方向に互いに向かって先細りする、対向する直線部702と、直線部702に隣接し、直線部702の半径方向の外側の端部をねじ山705の外側面708に接続する移行面703とを備え、ねじ山の外側面708は、直線部702の外側端部702aよりも大きな半径を有し、フルートの案内刃先が外側面708の半径方向の内側に位置するようになっている。
上記でより詳細に説明したように、直線部702は、ねじ部にアンダーカットを形成し、より強力な刃先を作る。フルート700が両側に直線部を備えるということは、フルート700が、インプラントの回転の方向に関係なく、同じ切削能力を与えることを意味する。これはインプラントの正確な配置に有益である。
移行面703は、軟らかい骨と接触すると、骨を半径方向の外側に誘導し、圧縮する。従って、この骨は、フルート700の鋭利な刃先によって切断されるのではなく、インプラント周囲に圧縮される骨量の一部を形成し、一次安定性を向上させる。しかしながら、硬い骨に挿入されるとき、この骨は、圧縮せず、従って、フルート700内の先端702aによって接触され、切断される。
示された実施形態の各々において、ねじ山深さDTは、ねじ部110、210、310、410、510の本体セクション120、220、320、420、520に沿って、歯冠方向に概して減少する。従って、直線部702の長さによっては、アンダーカットがねじ山105、205、305、405、505の全長に沿って存在しない可能性がある。
しかしながら、フルート700の上記直線部702は、本体セクション120、220、320、420、520の根尖部に存在する。それは、最大の切断能力を有する必要があるであろう、ねじセクション110、210、310、410、510の根尖部であり、従って、フルートのアンダーカットを含めることから最も利益を得るのは、インプラントのこの領域である。
フルート700の直線部702及び移行面703は、柔らかい骨の圧縮を補助しながら、ねじ山105、205、305、405、505を硬い骨に切断する能力を高める。
また、各インプラントのねじ部120,220,320,420,520は、更にその歯冠端部103,203,303,403,503において、ねじ山のランアウトセクション130,230,330,430,530を備えており、前記ランアウトセクションの歯冠端部では外径DOがコア径DCと等しくなるように、外径DOが半径方向の内側に向かって次第に細くなる。このランアウトセクション130、230、330、430、530は、可能な限り短く、各実施形態において、軸長が1mm未満である。
上述のねじ部120、220、320、420、520は、1パート(one-part)及び2パートインプラントに使用することができる。
図1A-5Aの各実施形態において、インプラント100、200、300、400、500は、2パートインプラントのアンカー部であり、インプラント全体が、ねじ部120、220、320、420、520の中心縦軸Lに沿って伸びている。
インプラント100及び200は骨レベルのインプラントであるが、インプラント300、400及び500は組織レベルのインプラントである。
各インプラント100、200、300、400、500は、頸部140、240、340、440、540と、ねじ部120、220、320、420、520の歯冠を含む。簡略化のために、頸部140、240、340、440、540は、図1Aに関連してのみ詳細に記述されるが、以下に記述される頸部140の全ての要素は、頸部240、340、440、540にも存在する。
頸部140は、外径DEを有する円筒状であり(図1B参照)、これは、ねじ部120、220、320、420、520の最大外径DOより小さい。頸部140、240、340、440、540は、2つの軸方向に配置された隣接するセクション141、142を有する。根尖頸部セクション141は、ねじ部120の歯冠端部に直接隣接して存在し、らせん状の微小ねじ山143を含み、これはフルート144を含む。
歯冠側頸部セクション142は、根尖頸部セクション141とは対照的に、いかなる溝部も又はねじ山も含まない。従って、このセクションは、根尖頸部セクション141よりも滑らかである。
頸部340、440、540に加えて、インプラント300、400、500は、使用時に、患者の軟組織内に延在するように配置された頭部350、450、550を更に含む。
各ケースにおいて、頭部350、450、550の根尖端部の直径は、頸部340、440、540の歯冠端部の直径と等しく、その結果、頸部が頭部にスムーズに移行する。
図3A及び3Bでは、頭部350は円形の円筒形であるが、図4A、4B、5A、5Bでは、頭部450、550は、歯冠方向において半径方向の外側に延在するフレア状の外側セクションを含み、フレア状の外側セクションの歯冠端部の直径は、ねじセクション120、220、320、420、520の最大外径DOよりも大きい。
図4A~図4Bの実施形態では、フレア状の外側セクションは、半径R1に関して歯冠方向に半径方向の外側にテーパーを付けており、従って、湾曲した縦断面を生成する。
図5A-bの実施形態では、フレア状の外側セクションは、湾曲した断面と、直線状のテーパ付された断面の両方を含み、フレア状の外側セクションの根尖端部は、円錐状に外側に向かって張り出し続ける前に、半径R2に関して半径方向の外側に向かってテーパを付けており、すなわち、直線状のテーパー付き断面551を有する。
記載された実施形態の各々において、インプラント100、200、300、400、500は、その歯冠端部において、歯冠方向において半径方向の内側に向かって先細りする傾斜部160、260、360、460、560を含み、切頭円錐を形成し、歯科インプラント100、200、300、400、500の歯冠端部を規定する平坦なショルダ170、270、370、470、570を形成する。
インプラント100,200,300,400,500は、2つのパートインプラントであり、これらは図3Bに関連して簡潔に説明する標準的なアバットメント(abutment)の結合形状から構成されているため、この記述はすべてのインプラント100,200,300,400,500に対して有効である。インプラント300は、インプラントの歯冠端部370からねじ部の中心縦軸Lに沿って伸びるブラインドボア380を備え、ブラインドボア380は、中心縦軸Lに垂直な平面において非円形対称断面を有する回転防止手段381と、前記回転防止手段の根尖端側に、ねじセクション382とを備える。ブラインドボア380は、回転防止手段381の歯冠と、歯冠方向において半径方向の外側にテーパー付される歯冠部383とを更に備える。このようなテーパー付される部分383は、相補的な形の支台部で確実な密閉を形成することができ、従って、細菌がインプラント100、200、300、400、500に侵入するのを防ぐことができる。
上述の実施形態は、例示的な目的のみのためであり、当業者は、請求項の技術的範囲内に収まる別の配置が可能であることを認識するであろう。例えば、ねじ部は、1パートインプラント、又は代替のインプラント接続形状、頸部及び頭部を含む2パートインプラントで使用することができる。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
根尖端部から歯冠端部にかけて、中心縦軸に沿ってねじ部を備える歯科インプラントであって、
前記ねじ部は、ねじ山が半径方向の外側に延びるコアを備え、
前記ねじ山は、根尖端側の側面と、歯冠側の側面と、前記根尖端側の側面及び前記歯冠側の側面を接続する外側面を有し、前記外側面は、前記ねじ山の半径方向の最外表面を定め、前記ねじ山は、前記ねじ部の長さに沿って螺旋状に延び、前記ねじ山の幅は、前記ねじ山が前記コアと接触するところで最も幅が広く、且つ前記ねじ山が前記外側面に向かって狭くなるように、半径方向の外側に狭まり、
前記ねじ部のコア径は、前記コアの外径によって定められ、前記ねじ部の外径は、前記ねじ山の外側面によって定められ、
前記ねじ山のねじプロファイルは、少なくともねじ部の軸方向の長さに亘って、半径方向に連続的に配置された正確に3つのサブセグメントから形成され、前記サブセグメントのそれぞれにおいて、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、一定の角度で互いに向かって先細りし、中間サブセグメントは、半径方向において最も内側のサブセグメント及び最も外側のサブセグメントのテーパー角よりも大きいテーパー角を有し、半径方向において最も外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間に形成されるテーパー角は、30°未満である、
歯科インプラント。
[態様2]
前記ねじ山の基本ねじプロファイル及びコア径でのねじ山の幅が、前記ねじ部の軸方向の全範囲に沿って一定のままであり、前記ねじプロファイルが前記3つのサブセグメントで形成される、態様1に記載の歯科インプラント。
[態様3]
前記ねじ部のコア径が、前記ねじ部の軸方向の全長に亘って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りする、態様1又は2に記載の歯科インプラント。
[態様4]
前記ねじ部の外径が、前記ねじ部の少なくとも根尖端側の半分に沿って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りする、態様1、2又は3に記載の歯科インプラント。
[態様5]
前記ねじ部は、根尖セクションと本体セクションを含み、
前記根尖セクション内で、中心縦軸に対して外径のテーパー角が常に20°を超え、中心縦軸に対するコア径のテーパー角は、前記根尖セクションのねじ山深さが連続的に根尖端方向に減少するように、前記根尖セクションの軸方向の全ての位置における外径のテーパー角より小さく、前記根尖セクションは軸方向の長さが2mm未満であって、
前記本体セクション内で、前記中心縦軸に対して前記外径のテーパー角が常に5°未満である、態様4に記載の歯科インプラント。
[態様6]
前記本体セクション内で、前記ねじ山の外側面の幅が0.08mm未満ではなく、0.45mmを決して超えない、態様5に記載の歯科インプラント。
[態様7]
根尖端部から歯冠端部にかけて、中心縦軸に沿ってねじ部を備える歯科インプラントであって、
前記ねじ部は、ねじ山が半径方向の外側に延びるコアを備え、
前記ねじ山は、根尖端側の側面と、歯冠側の側面と、前記根尖端側の側面及び前記歯冠側の側面を接続する外側面を有し、前記外側面は、前記ねじ山の半径方向の最外表面を定め、前記ねじ山は、前記ねじ部の長さに沿って螺旋状に延び、前記ねじ山の幅は、前記ねじ山が前記コアと接触するところで最も幅が広く、且つ前記ねじ山が前記外側面に向かって狭くなるように、半径方向の外側に狭まり、前記ねじ山の基本ねじプロファイル及びコア径でのねじ山の幅が、前記ねじ部の軸方向の範囲に沿って一定のままであり、
前記ねじ部のコア径は、前記コアの外径によって定められ、前記ねじ部の外径は、前記ねじ山の外側面によって定められ、
前記ねじ部のコア径は、前記ねじ部の軸方向の全長に亘って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りし、前記ねじ部の外径は、前記ねじ部の少なくとも根尖端側の半分に沿って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りし、
前記ねじ部は、根尖セクションと本体セクションを含み、
前記根尖セクション内で、中心縦軸に対して外径のテーパー角が常に20°を超え、前記中心縦軸に対するコア径のテーパー角は、前記根尖セクションのねじ山深さが根尖端方向に減少するように、前記根尖セクションの軸方向の全ての位置における外径のテーパー角より小さく、前記根尖セクションは軸方向の長さが2mm未満であって、
前記本体セクション内で、前記中心縦軸に対して前記外径のテーパー角が常に5°未満であって、
前記本体セクション内の前記コア径及び前記外径のテーパー角は、前記本体セクションの軸方向の長さに亘って、前記本体セクションの根尖端部におけるねじ山の深さが前記本体セクションの歯冠端部におけるねじ山の深さよりも大きく、前記本体セクションの根尖端部におけるねじ山の外側面の幅が前記本体セクションの歯冠端部におけるねじ山の外側面の幅よりも小さくなるように、ねじ山の深さが変化し、
前記本体セクション内で、前記ねじ山の外側面の幅が0.08mm未満ではなく、0.45mmを決して超えない、歯科インプラント。
[態様8]
前記ねじ山の基本ねじプロファイルが、半径方向に連続的に配置された正確に3つのサブセグメントから形成され、
前記サブセグメントのそれぞれにおいて、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、一定の角度で互いに向かって先細りし、中間サブセグメントは、半径方向において最も内側のサブセグメント及び最も外側のサブセグメントのテーパー角よりも大きいテーパー角を有し、半径方向において最も外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間に形成されるテーパー角が30°未満である、態様7に記載の歯科インプラント。
[態様9]
前記本体セクションの軸方向の範囲の少なくとも一部分に亘って、前記ねじプロファイルが半径方向に連続的に配置された正確に3つのサブセグメントから形成され、
前記サブセグメントのそれぞれにおいて、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、一定の角度で互いに向かって先細りし、中間サブセグメントは、半径方向において最も内側のサブセグメント及び最も外側のサブセグメントのテーパー角よりも大きいテーパー角を有し、半径方向において最も外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間に形成されるテーパー角が30°未満である、態様7又は8に記載の歯科インプラント。
[態様10]
前記半径方向において最も外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間の角度が20°~29°であり、24°~26°の間が最も好ましい、態様1~5、8又は9のいずれかに記載の歯科インプラント。
[態様11]
前記中間サブセグメントのテーパー角が、前記半径方向において最も外側のサブセグメントのテーパー角の少なくとも2倍である、態様1~5、8、9又は10のいずれかに記載の歯科インプラント。
[態様12]
前記半径方向において最も内側のサブセグメントのテーパー角と最も外側のサブセグメントのテーパー角が実質的に同じである、態様1~5又は8~11のいずれかに記載の歯科インプラント。
[態様13]
前記ねじ山のねじプロファイルが、前記ねじ部の軸方向の範囲の少なくとも4分の1、最も好ましくは、ねじ部の軸方向の範囲の少なくとも半分以上に亘って、3つのサブセグメントによって形成される、態様1~5又は8~12に記載の歯科インプラント。
[態様14]
前記ねじ山のねじプロファイルが、前記ねじ部の前記根尖端側の半分内の軸上の位置、より好ましくは、前記ねじ部の前記根尖端から4分の1内の軸上の位置で、3つのサブセグメントによって形成される、態様1~5又は8~13のいずれかに記載の歯科インプラント。
[態様15]
前記ねじ山のねじプロファイルが、前記本体セクションの軸方向の範囲の少なくとも4分の1、最も好ましくは、本体セクションの軸方向の範囲の少なくとも半分以上に亘って、3つのサブセグメントによって形成される、態様5、6又は8-12に記載の歯科インプラント。
[態様16]
前記ねじ山のねじプロファイルが、前記本体セクションの前記根尖端側の半分内の軸上の位置、より好ましくは、前記本体セクションの前記根尖端から4分の1内の軸上の位置で、3つのサブセグメントによって形成される、態様5、6、8~12又は15のいずれかに記載の歯科インプラント。
[態様17]
前記本体セクションにおける前記外径のテーパー角は、常に2.5°未満である、態様4~9のいずれかの態様、又は、態様4~9のいずれかの態様に従属する時の態様10~16のいずれかの態様に記載の歯科インプラント
[態様18]
前記ねじ山が二条ねじを含む、先の態様に記載の歯科インプラント。
[態様19]
前記本体セクションの少なくとも前記根尖端側の半分の部分に亘って、前記外径が、半径方向に内側に向かっている、態様4~9のいずれかの態様に、又は、態様4~9のいずれかの態様に従属する時の態様10~18のいずれかの態様に記載の歯科インプラント。
[態様20]
前記本体セクションの外径は、根尖端方向において半径方向に内向きに先細りする根尖セグメントと、外径が0°のテーパー角を有し、円筒状の表面を規定する歯冠セグメントとを含む、態様4~9のいずれかの態様に、又は、態様4~9のいずれかの態様に従属する時の態様10~19のいずれかの態様に記載の歯科インプラント。
[態様21]
前記本体セクション内において、前記コアは少なくとも2つの隣接するセグメントを含み、前記セグメントのそれぞれのコア径は、ねじ部の中心縦軸に対して異なるテーパー角を有する、態様4~9のいずれかの態様に、又は、態様4~9のいずれかの態様に従属する時の態様10~20のいずれかの態様に記載の歯科インプラント。
[態様22]
前記本体セクションのねじ山深さが根尖端方向に連続的に増加し、外側面の幅が歯冠方向に連続的に増加するように、前記本体セクションの軸上の各位置において、前記コア径のテーパー角が前記外径のテーパー角よりも大きい、態様4~9のいずれかの態様に、又は、態様4~9のいずれかの態様に従属する時の態様10~21のいずれかの態様に記載の歯科インプラント。
[態様23]
前記ねじ部は、その歯冠端部において、ねじ山のランアウトセクションを有し、前記ランアウトセクションの前記歯冠端部において、前記外径が前記コア径に等しくなるように、前記外径が歯冠方向に半径方向に内側に先細りする、先の態様に記載の歯科インプラント。
[態様24]
前記ねじ部は、前記ねじ部の全長に沿ってらせん状に伸びる少なくとも2つのフルートを含む、先の態様に記載の歯科インプラント。
[態様25]
前記ねじ山内の前記フルートの断面は、前記中心縦軸に垂直な面内で、円弧と、前記円弧の前記半径方向の外側端部に隣接して位置する2つの対向する直線部とを備え、前記直線部は、互いに前記半径方向の外側方向に向かって先細りする、態様24に記載の歯科インプラント。
[態様26]
前記直線部は、前記本体セクションの軸方向の長さの15~100%、より好ましくは、前記本体セクションの軸方向の長さの少なくとも50%以上に亘って前記ねじ山に存在する、態様4~9に従属する時の態様25に記載の歯科インプラント。
[態様27]
前記ねじ山の少なくとも一部において、前記フルートの断面が、円弧と、前記円弧の隣接する各端と、半径方向の外側方向に互いに向かって先細りする対向する直線部と、近接する各直線部と、前記直線部の半径方向の外側の先端を前記ねじ山の外側面に接続する移行面と、を有し、
前記ねじ山の外側面は、前記直線部の外端よりも大きな半径を有し、前記フルートの案内刃先が前記外側面の半径方向に内側に位置するようになっている、態様25又は26に記載の歯科インプラント。
[態様28]
根尖端部から歯冠端部にかけて、中心縦軸に沿ってねじ部を備える歯科インプラントであって、
前記ねじ部は、ねじ山が半径方向の外側に延びるコアを備え、
前記ねじ山は、根尖端側の側面と、歯冠側の側面と、前記根尖端側の側面及び前記歯冠側の側面を接続する外側面を有し、前記外側面は、前記ねじ山の半径方向の最外表面を定め、前記ねじ山は、前記ねじ部の長さに沿って螺旋状に延び、前記ねじ山の幅は、前記ねじ山が前記コアと接触するところで最も幅が広く、且つ前記ねじ山が前記外側面に向かって狭くなるように、半径方向の外側に狭まり、
前記ねじ部のコア径は、前記コアの外径によって定められ、前記ねじ部の外径は、前記ねじ山の外側面によって定められ、
前記ねじ部は、前記ねじ部の全長に沿って螺旋状に延びる少なくとも1つのフルートを有し、前記ねじ山の少なくとも一部において、前記フルートの断面が、円弧と、前記円弧の隣接する各端と、半径方向の外側方向に互いに向かって先細りする対向する直線部と、近接する各直線部と、前記直線部の半径方向の外側の先端を前記ねじ山の外側面に接続する移行面と、を有し、
前記ねじ山の外側面は、前記直線部の外端よりも大きな半径を有し、前記フルートの案内刃先が前記外側面の半径方向に内側に位置するようになっている、
歯科インプラント。
[態様29]
更に、前記ねじ部の歯冠の頸部を含み、前記歯冠の頸部は、前記ねじ部の最大外径より小さい外径を有する円筒形状である、先の態様に記載の歯科インプラント。
[態様30]
更に、前記ねじ部の歯冠であって、使用時に患者の軟組織内に伸長するように配置された頭部を含む、先の態様に記載の歯科インプラント。
[態様31]
前記頭部は、歯冠方向において半径方向の外側に伸びるフレア状の外側セクションを含み、前記フレア状の外側セクションの歯冠端部の直径は、ねじセクションの最大外径よりも大きい、態様30に記載の歯科インプラント。
[態様32]
態様1、7又は28に記載の複数の歯科インプラントであって、
前記複数のインプラントのうち少なくとも2本においてねじ部の最大外径が、3mm~8mmの範囲内で異なり、前記複数のインプラントのうち少なくとも2本において軸長が、5mm~25mmの範囲内で異なる、前記複数の歯科インプラント。
[態様33]
態様32に記載の複数のインプラントであって、
各インプラントのねじセクションのねじ山ピッチは、前記インプラントの最大外径及び軸長に応じて変化し、
ねじ部の特定の最大外径に関して、前記ねじ部のねじ山ピッチは、前記ねじ部の前記軸長に伴って増加し、
ねじ部の特定の軸長に関して、前記ねじ部のねじ山ピッチは、前記ねじ部の前記最大外径に伴って増加する、前記複数の歯科インプラント。

Claims (20)

  1. 根尖端部から歯冠端部にかけて、中心縦軸に沿ってねじ部を備える歯科インプラントであって、
    前記ねじ部は、ねじ山が半径方向の外側に延びるコアを備え、
    前記ねじ山は、根尖端側の側面と、歯冠側の側面と、前記根尖端側の側面及び前記歯冠側の側面を接続する外側面を有し、前記外側面は、前記ねじ山の半径方向の最外表面を定め、前記ねじ山は、前記ねじ部の長さに沿って螺旋状に延び、前記ねじ山の幅は、前記ねじ山が前記コアと接触するところで最も幅が広く、且つ前記ねじ山が前記外側面に向かって狭くなるように、半径方向の外側に狭まり、
    前記ねじ部のコア径は、前記コアの外径によって定められ、前記ねじ部の外径は、前記ねじ山の前記外側面によって定められ、
    前記ねじ山の基本ねじプロファイルは、少なくとも前記ねじ部の軸方向の長さに亘って、半径方向に連続的に配置された正確に3つのサブセグメントから形成され、前記サブセグメントのそれぞれにおいて、根尖端側の側面及び歯冠側の側面は、一定の角度で互いに向かって先細りし、中間サブセグメントは、半径方向において最も内側のサブセグメント及び最も外側のサブセグメントのテーパー角よりも大きいテーパー角を有し、半径方向において最も外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間に形成されるテーパー角は、30°未満であ
    前記ねじ部の長さに沿った前記外側面の幅の変化が、ねじ山深さの変化の結果になるように、前記ねじ山の前記基本ねじプロファイル及び前記コアでの前記ねじ山の幅は、前記ねじ部の軸方向の全範囲に沿って一定のままであり、前記ねじ山の前記基本ねじプロファイルが前記3つのサブセグメントで形成される、
    歯科インプラント。
  2. 前記ねじ部のコア径が、前記ねじ部の軸方向の全長に亘って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りする、請求項1記載の歯科インプラント。
  3. 前記ねじ部の外径が、前記ねじ部の少なくとも根尖端側の半分に沿って、根尖端方向において半径方向の内側に先細りする、請求項1又は記載の歯科インプラント。
  4. 前記ねじ部は、根尖セクションと本体セクションを含み、
    前記根尖セクション内で、前記中心縦軸に対して外径のテーパー角が常に20°を超え、前記中心縦軸に対するコア径のテーパー角は、前記根尖セクションのねじ山深さが連続的に根尖端方向に減少するように、前記根尖セクションの軸方向の全ての位置における外径のテーパー角より小さく、前記根尖セクションは軸方向の長さが2mm未満であって、
    前記本体セクション内で、前記中心縦軸に対して前記外径のテーパー角が常に5°未満である、請求項に記載の歯科インプラント。
  5. 前記本体セクション内で、前記ねじ山の外側面の幅が0.08mm未満ではなく、0.45mmを決して超えない、請求項に記載の歯科インプラント。
  6. 前記半径方向において最も外側のサブセグメントにおける根尖端側の側面及び歯冠側の側面の間の角度が20°~29°であ、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の歯科インプラント。
  7. 前記中間サブセグメントのテーパー角が、前記半径方向において最も外側のサブセグメントのテーパー角の少なくとも2倍である、請求項1~うちいずれか1項に記載の歯科インプラント。
  8. 前記ねじ山の前記基本ねじプロファイルが、前記ねじ部の軸方向の範囲の少なくとも4分の1亘って、前記3つのサブセグメントによって形成される、請求項1~7のうちいずれか1項に記載の歯科インプラント。
  9. 前記ねじ山の前記ねじプロファイルが、前記ねじ部の前記根尖端側の半分内の軸上の位置前記3つのサブセグメントによって形成される、請求項1~うちいずれか1項に記載の歯科インプラント。
  10. 前記ねじ山の前記ねじプロファイルが、前記本体セクションの軸方向の範囲の少なくとも4分の1に亘って、前記3つのサブセグメントによって形成される、請求項4又は5に記載の歯科インプラント。
  11. 前記ねじ山の前記ねじプロファイルが、前記本体セクションの前記根尖端側の半分内の軸上の位置前記3つのサブセグメントによって形成される、請求項4、5又は10うちいずれか1項に記載の歯科インプラント。
  12. 前記本体セクションにおける前記外径のテーパー角は、常に2.5°未満である、請求項4、5、10又は11うちいずれか1項記載の歯科インプラント
  13. 前記ねじ山が二条ねじを含む、請求項1~12のうちいずれか1項に記載の歯科インプラント。
  14. 前記本体セクションの少なくとも前記根尖端側の半分の部分に亘って、前記外径が、半径方向に内側に向かっている、請求項4、5又は10~12うちいずれか1項に載の歯科インプラント。
  15. 前記本体セクションの外径は、根尖端方向において半径方向に内向きに先細りする根尖セグメントと、外径が0°のテーパー角を有し、円筒状の表面を規定する歯冠セグメントとを含む、請求項4、5、10~12又は14うちいずれか1項に載の歯科インプラント。
  16. 前記本体セクション内において、前記コアは少なくとも2つの隣接するセグメントを含み、前記セグメントのそれぞれのコア径は、前記ねじ部の前記中心縦軸に対して異なるテーパー角を有する、請求項4、5、10~12、14又は15うちいずれか1項に載の歯科インプラント。
  17. 前記本体セクションのねじ山深さが根尖端方向に連続的に増加し、外側面の幅が歯冠方向に連続的に増加するように、前記本体セクションの軸上の各位置において、前記コア径のテーパー角が前記外径のテーパー角よりも大きい、請求項4、5、10~12又は14~16うちいずれか1項に載の歯科インプラント。
  18. 前記ねじ部は、その歯冠端部において、ねじ山のランアウトセクションを有し、前記ランアウトセクションの前記歯冠端部において、前記外径が前記コア径に等しくなるように、前記外径が歯冠方向に半径方向に内側に先細りする、求項1~17のうちいずれか1項に記載の歯科インプラント。
  19. 前記ねじ部は、前記ねじ部の全長に沿ってらせん状に伸びる少なくとも2つのフルートを含む、求項1~18のうちいずれか1項に記載の歯科インプラント。
  20. 前記ねじ山内の前記フルートの断面は、前記中心縦軸に垂直な面内で、円弧と、前記円弧の前記半径方向の外側端部に隣接して位置する2つの対向する直線部とを備え、前記直線部は、互いに前記半径方向の外側方向に向かって先細りする、請求項19に記載の歯科インプラント。
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