JP7508001B2 - ロボット - Google Patents

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本開示は、車輪を使用して移動し二本の腕部を有するロボットに関する。
人間と同様に歩くことができ、両腕を動かせる人型ロボットが開発されている(例えば、特許文献1参照)。人型ロボットは、建物の中で人間と同様な動作をさせる場合には適している。しかし、屋外の不整地で作業させる場合には、人型ロボットは適していない。不整地では、2本足で歩くことは難しい。不整地では、ロボットは車輪またはクローラ(キャタピラ)などで移動することが望ましい。
クローラで移動する2本の腕部を持つロボットが開発されている(例えば、特許文献2から4参照)。従来のクローラで移動する2本の腕部を持つロボットでは、2本の腕部が離れて設けられている。そのため、2本の腕部を持つ従来のロボットは、2本の腕部を使用して、人間がするような細かな作業をすることは難しいと推測される。
クローラで移動し、かつ人間と同様な配置で2本の腕部を有するロボットが開発されている(例えば、特許文献5参照)。
国際公開WO2018/074101 特許第4509753号 特許第3944171号 特許第4585132号 特開2021-049633
特許文献5に記載のロボットでは、胴体は一般的な産業用ロボットと同じ6関節の構成となっている。取りうる姿勢の自由度は高い一方で、特許文献5に記載のロボットでは、軸数と部品点数が多いために、コストがかかり重くなるという課題がある。胴体部に2本のリンク部材を直列に接続している。ロボットの高さを低くする姿勢では、胴体部のリンク部材を折り返して配置することになる。ロボット全体の高さを低くしようとしても、特許文献5に記載のロボットでは高さをあまり低くできない。そのため、ロボットの重心が高くなり、高速で移動させにくい。また、高さに制約がある箇所を通ることができない。
本開示は、ロボットの高さを低くする姿勢においてロボットの高さを従来よりも低くできるロボットを得ることを目的とする。
本開示に係るロボットは、2本の腕部と、2本の腕部が接続する胴体部と、車輪が回転することで移動する車両部と、車両部に対する胴体部の位置を変更可能に、胴体部を支持する胴体位置変更機構とを備える。胴体位置変更機構は、車両部と交差する方位角軸に垂直な平面である車両部基準面と胴体部が延在する方向とがなす角度である仰角を変更可能に、胴体部を支持する仰角変更機構と、方位角軸の回りに回転可能に仰角変更機構を支持する、車両部に設けられた方位角変更機構とを有する。仰角変更機構は、方位角変更機構に支持される基部と、基部の上側で車両部基準面に平行な直線に沿って移動する移動部と、移動部に下端が回転可能に接続し、車両部基準面と仰角をなす方向に延在し、胴体部を支持する第1リンクと、第1リンクに、上端が回転可能に接続する第2リンクと、第2リンクの下端が回転可能に接続する、基部に設けられたリンク下端支持部とを有する。
本開示に係るロボットは、ロボットの高さを低くする姿勢においてロボットの高さを従来よりも低くできる。
実施の形態1に係るロボット操作システムの概略構成を説明するブロック図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの正面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの右側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの背面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの左側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの平面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの底面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの胴体位置変更機構の斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの胴体位置変更機構の正面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの胴体位置変更機構の右側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの胴体位置変更機構の背面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの胴体位置変更機構の左側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの胴体位置変更機構の平面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの胴体位置変更機構の底面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの頭部カバーを外した状態での頭部を拡大した斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの頭部カバーを外した状態での頭部を拡大した正面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの頭部カバーを外した状態での頭部を拡大した右側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの頭部カバーを外した状態での頭部を拡大した平面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの別の姿勢1での斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの別の姿勢1での正面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの別の姿勢1での右側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの別の姿勢1での背面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの別の姿勢1での左側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの別の姿勢1での平面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの別の姿勢2での斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの別の姿勢2での右側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの別の姿勢2での平面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するスライド機構の各部の長さを表す変数を説明する右側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有する腕部の斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有する腕部の別の斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有する腕部の正面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有する腕部の右側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有する腕部の背面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有する腕部の左側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有する腕部の平面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有する腕部の底面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットの腕部が有する回転軸を示す図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有する手首関節部の構造を示す断面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の正面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の右側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の背面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の左側面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の平面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の底面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の変化した状態1での斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の変化した状態2での斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の変化した状態3での斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の変化した状態4での斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の変化した状態5での斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の変化した状態5の使用例を示す斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムで操作されるロボットが有するハンド部の別の使用例を示す斜視図と正面図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムが有する操作装置の使用状態での斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムが有する操作装置の斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムが有する左のハンド操作装置の斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムが有する左のハンド操作装置の別の斜視図である。 実施の形態1に係るロボット操作システムが有する左のハンド操作装置のさらに別の斜視図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るロボット操作システムの構成概要図である。ロボット操作システム100は、クローラ移動ロボット(ロボットと略す)1、ロボット1に搭載された3個の現場カメラ2、操作装置3、表示装置4を主に有して構成される。ロボット1は、2本の腕部を有してクローラ(キャタピラ)で移動するタイプのロボットである。表示装置4は、現場カメラ2が撮影した画像を表示する。表示装置4により現場の状況を把握したオペレータ90は、操作装置3によりロボット1を遠隔操作する。オペレータ90は、ロボット1を操作する操作者である。
ロボット1は、車両部1Wと、ヒューマノイド部1Hと、胴体位置変更機構1Bとを有する。車両部1Wは、クローラで移動する車両である。車両部1Wは、市販品を使用してもよい。ヒューマノイド部1Hは、2本の腕部5と2本の腕部5が接続する胴体部12とを有するロボットである。胴体位置変更機構1Bは、車両部1Wに対するヒューマノイド部1H(胴体部12)の位置を変更可能に、ヒューマノイド部1Hを支持する。胴体位置変更機構1Bは、車両部1Wの上面に搭載される。
胴体位置変更機構1Bは、3自由度でヒューマノイド部1Hの位置を車両部1Wに対して変更できる。3自由度とは、以下の3個の角度または長さを変更できることである。
(A)方位角(AZ角):ヒューマノイド部1Hが、方位角軸AZ(図29に図示)の回りでどちらの方位を向いているか表す角度。
(B)仰角(EL角):車両部1Wの上面とヒューマノイド部1Hとがなす角度。
(C)胴体長:車両部1Wの上面とヒューマノイド部1Hとの間の距離。
現場カメラ2には、右目カメラ2および左目カメラ2と、広角カメラ2とがある。右目カメラ2および左目カメラ2は、ヒューマノイド部1Hの上部に搭載される。右目カメラ2および左目カメラ2は、オペレータ90が腕部5を遠隔操作する際に見る画像を撮影する。右目カメラ2および左目カメラ2は、ヒューマノイド部1Hが存在する位置にオペレータ90が居る際に見るような画像を撮影する。ロボット操作システム100が立体視表示装置を有する場合は、右目カメラ2および左目カメラ2が撮影する画像は、3次元画像としてオペレータ90に提示することができる。広角カメラ2は、車両部1Wの前方中央に搭載される。広角カメラ2は、周囲360度の画像を撮影できる。広角カメラ2が撮影する画像は、ロボット1の周囲環境をオペレータ90が把握するために使用される。表示装置4には、オペレータ90の指示または自動で、右目カメラ2、左目カメラ2および広角カメラ2の何れかが撮影した画像が切り替えて表示される。
ロボット1は、電源となるバッテリ7を搭載する。ロボット1と操作装置3の間は無線で通信する。ロボット1は、無線通信装置6も搭載する。ロボット1は、電源コードや通信のための通信線を有さない。そのため、ロボット1は、制約が少なく移動することができる。
操作装置3は、オペレータ90が操作指示を入力するための入力装置や制御演算装置60を含む。オペレータ90は、入力装置により操作指示を入力する。操作指示とは、ロボット1の各部の動きについてのオペレータ90の指示である。操作指示の例は、右手を上げる、前進するなどである。実際にロボット1を動かす信号は、操作指示から生成された制御信号である。制御信号は、アクチュエータの長さを例えば30cmにする、例えば肩関節のサーボモータを30度回転させるなどの、実際にロボット1を動かす信号である。制御信号により、アクチュエータや肩関節のサーボモータなどは制御される。制御信号は、操作指示から生成される。制御演算装置60は、オペレータ90が入力装置に入力する操作指示から制御信号を生成する。制御演算装置60は、操作指示に基づきロボット1を制御する。
オペレータ90は、椅子に座って足および手を使用してロボット1を操作する。操作装置3は、操作指示を入力する入力装置として、上体入力装置8、モード切替ペダル9および足操作入力装置10(図示せず)を有する。上体入力装置8は、ヒューマノイド部1Hが有する左右の腕部5への操作指示を入力する。上体入力装置8は、オペレータ90が手で操作して操作指示を入力する。モード切替ペダル9は、オペレータ90が足で操作して、上体入力装置8の入力モードを変更する。足操作入力装置10は、車両部1Wおよび胴体位置変更機構1Bへの操作指示を入力する。足操作入力装置10は、オペレータ90が足で操作して操作指示を入力する。
制御演算装置60は、入力装置によりオペレータ90が入力した操作指示からロボット1を操作する制御信号を生成する。なお、オペレータ90が居る場所を指令所と呼ぶ。
制御演算装置60は、CPU61、メモリ部62などを含む電子計算機により実装される。メモリ部62は、CPU61で実行されるプログラムやデータを記憶する。データには、処理に使用するデータあるいは処理の結果で得られるデータなどが含まれる。メモリ部62は、フラッシュメモリのような半導体メモリおよびハードディスクである。メモリ部62は、揮発性の記憶装置および不揮発性の記憶装置を含む。
図2から図15を参照して、ロボット1の構造を説明する。図2から図8は、ロボット1の全体の斜視図、正面図、右側面図、背面図、左側面図、平面図および底面図である。図9から図15は、胴体位置変更機構1Bの斜視図、正面図、右側面図、背面図、左側面図、平面図および底面図である。図2から図15に示す姿勢をロボット1がとる状態を、基準状態と呼ぶ。
ロボット1は、車両部1Wと、ヒューマノイド部1Hと、胴体位置変更機構1Bとを有する。ヒューマノイド部1Hは、2本の腕部5、頭部11、胴体部12を有する。車両部1Wは、クローラで移動するタイプの車両である。車両部1Wは、小型のパワーショベルが有するようなクローラを有する。
車両部1Wは、その左右にクローラ移動部13が設けられている。右側をクローラ移動部13、左側をクローラ移動部13と表記する。左右を特定しない場合は、クローラ移動部13と表記する。車両部1Wが有する左右の2個ある他の構成要素に関しても、同様に添え字またはを付加して、あるいは添え字を付加しないで表記する。クローラ移動部13は、駆動される車輪14(図示せず)と、車輪14にかけ渡されたクローラ15を有する。車両部1Wは、車輪14が回転することで移動する。車輪14は、例えば5軸の車輪14が前後に並んで配置される。クローラ15は、金属製の板がつなげられた輪状である。車輪14が回転するとクローラ15も回転する。クローラ15が、地面などに接触する。地面などに接触しながらクローラ15が回転することで、車両部1Wが移動する。地面などにはクローラが接触するので、地面などに凸凹があっても車両部1Wは移動できる。左右のクローラ移動部13、13は、互いに独立に動く。例えば、右側のクローラ移動部13を前進させ、左側のクローラ移動部13を後進させることができる。
車両部1Wは、クローラ移動部13、13の側面を覆うサイドカバー1WAを有する。車両部1Wには、バッテリ7が搭載される。バッテリ7は、ロボット1を駆動する電源である。バッテリ7は、前側でのクローラ移動部13、13の間と、車両部1Wの後方に出る台の上に搭載される。前側のバッテリ7は、充電のための機器も含む。
胴体位置変更機構1Bは、車両接続部16、スライド機構17および伸縮機構18を有する。車両接続部16は、車両部1Wに対して胴体位置変更機構1Bおよびヒューマノイド部1Hを方位角軸AZ(図29に図示)の回りに回転可能にする。スライド機構17は、胴体部12と車両部1Wの上面とがなす角度(仰角あるいはEL角と呼ぶ)を変更および維持する。伸縮機構18は、スライド機構17に対する胴体部12の位置を変更する。伸縮機構18は、胴体部12を支持する。
腕部5は、人の腕と同様な形状である。腕部5は、人の手に相当するハンド部26を有する。腕部5の構造は、後で説明する。胴体部12には、2本の腕部5がその上部の左右に回転可能に接続する。胴体部12と2本の腕部5は、人間の胴体と腕と同様な位置関係および同様な大きさを有している。そのため、ロボット1は、人間と同様な細かな作業ができる。胴体部12は、胴体位置変更機構1Bにより車両1Wに対する位置が変更される。
頭部11は、右目カメラ2および左目カメラ2を搭載する。右目カメラ2および左目カメラ2は、左右方向および上下方向に向きを変えることができる。頭部11は、頭部カバー11Aを有する。頭部カバー11Aは、右目カメラ2および左目カメラ2を覆う部分と残りの部分とに分かれている。右目カメラ2および左目カメラ2を覆う部分の頭部カバー11Aは、右目カメラ2および左目カメラ2とともに動く。
胴体部12は、腕接続部19、および制御基板収納部20を有する。腕接続部19には、2本の腕部5が接続する。制御基板収納部20は、伸縮機構18と接続する。制御基板収納部20は、腕部5が有するモータを駆動する制御基板を収納する。制御基板収納部20は、直方体の外形を有する。制御基板収納部20は、冷却のために空気が出入りしやすいように筐体の側面に網目状の部分を有する。制御基板収納部20の上側の端面に頭部11および腕接続部19が接続する。制御基板収納部20は、伸縮機構18に平行に配置される。腕接続部19の上側の面が制御基板収納部20の上側の端面に対して約30度の角度をなして、腕接続部19が制御基板収納部20に接続する。
図9から図15を参照して、胴体位置変更機構1Bの構造を説明する。胴体位置変更機構1Bは、車両接続部16、スライド機構17および伸縮機構18を有する。車両接続部16は、車両部1Wに対して胴体位置変更機構1Bおよびヒューマノイド部1Hを方位角軸AZの回りに回転可能とするように支持する。車両接続部16は、車両側固定部16A、車両側プーリ16B、回転側基部16C、スライド機構基部16D、駆動機構収納部16E、ベアリング16F(図示せず)、駆動ベルト16G、モータ16H、駆動ギア16Jおよび移動側プーリ16Kを有する。
車両側固定部16Aは、車両部1Wに固定される。車両側固定部16Aは、外形が円柱状の部材である。車両側プーリ16Bは、側面に歯が設けられた円盤状の部材である。車両側プーリ16Bは、車両側固定部16Aの上側に設けられる。車両側プーリ16Bの側面は、駆動ベルト16Gが係合する。駆動ベルト16Gは、外側および内側に歯が設けられた環状のベルトである。駆動ベルト16Gの外側の歯は、車両側プーリ16Bの歯とかみ合う。駆動ベルト16Gの内側の歯は、駆動ギア16Jの歯とかみ合う。駆動ギア16Jが回転すると、駆動ベルト16Gが車両側プーリ16Bの回りを移動する。
円柱状の車両側固定部16Aと円盤状の車両側プーリ16Bは、中心軸が一致するように設けられる。車両側プーリ16Bは、車両側固定部16Aと一体に形成されてもよい。車両側固定部16Aとは別体に形成された車両側プーリ16Bを、車両側固定部16Aに取り付けてもよい。車両側固定部16Aおよび車両側プーリ16Bの中心軸が、方位角軸AZである。車両側固定部16Aおよび車両側プーリ16Bには、車両部1Wの上面の側から内部の空間が円柱状である回転側保持穴16L(図示せず)が設けられる。回転側保持穴16Lは、車両側プーリ16Bを貫通する。回転側保持穴16Lの中心軸は、方位角軸AZと一致させる。
回転側基部16C、スライド機構基部16Dおよび駆動機構収納部16Eが、方位角軸AZの回りに回転する部分である。回転側基部16Cが、車両側固定部16Aおよび車両側プーリ16Bに回転可能に支持される。回転側基部16Cは、外形が円柱状の部材である。スライド機構基部16Dは、回転側基部16Cの上側に設けられる。スライド機構基部16Dは、スライド機構17が設けられる部材である。スライド機構基部16Dは、幅および長さに対して高さが低い直方体状の外形を有する。スライド機構基部16Dは、厚い板状ということもできる。駆動機構収納部16Eは、回転側基部16Cなどを回転させる機構を収納する。回転側基部16Cなどを回転させる機構は、駆動ベルト16Gや駆動ギア16Jなどである。駆動機構収納部16Eは、モータ16Hを駆動する駆動回路基板も収納する。駆動機構収納部16Eは、直方体状の外形を有する部材である。駆動機構収納部16Eは、底面を有さず、下側が開放されている。駆動機構収納部16Eは、スライド機構基部16Dの下側に設けられる。スライド機構基部16Dは、回転側基部16Cに接続する。回転側基部16Cが回転しても、スライド機構基部16Dと回転側基部16Cとの位置関係は変化しない。駆動機構収納部16Eは、スライド機構基部16Dに接続する。回転側基部16Cが回転しても、駆動機構収納部16Eとスライド機構基部16Dとの位置関係は変化しない。スライド機構基部16Dは、スライド機構17において車両接続部16に支持される基部である。
回転側基部16Cは、回転側保持穴16Lの内部に挿入される。ベアリング16Fは、車両側固定部16Aと回転側基部16Cの間に存在して、回転側基部16Cを車両側固定部16Aに対して摩擦を少なく回転可能にする。
車両側プーリ16B、駆動ベルト16G、モータ16H、駆動ギア16Jおよび移動側プーリ16Kは、回転側基部16Cなどを回転させる。モータ16Hは、回転側基部16Cなどを回転させる動力を発生する。駆動ギア16Jは、モータ16Hの回転軸に直結される。モータ16Hが回転すると、駆動ギア16Jが回転する。駆動ギア16Jおよび2個の移動側プーリ16Kには、駆動ベルト16Gが掛けられる。環状の駆動ベルト16Gは、車両側プーリ16Bの側面に押し付けられる。駆動ベルト16Gの内周面には、駆動ギア16Jの歯とかみ合う歯が設けられている。駆動ベルト16Gの外周面には、車両側プーリ16Bの歯とかみ合う歯が設けられている。駆動ギア16Jが回転すると、駆動ベルト16Gが移動する。駆動ベルト16Gが移動するので、車両側プーリ16Bの回りを駆動ギア16Jおよび駆動機構収納部16Eが回転する。駆動機構収納部16Eは回転側基部16Cおよびスライド機構基部16Dと接続しているので、回転側基部16Cおよびスライド機構基部16Dも車両側プーリ16Bの回りに回転する。車両側プーリ16Bの中心軸は方位角軸AZなので、回転側基部16Cおよびスライド機構基部16Dは方位角軸AZの回りを回転する。
スライド機構17は、胴体部12を支持する第1リンク17Aの車両部1Wの上面に対する角度(仰角)を変更する機構である。スライド機構17は、第1リンク17A、スライド移動部材17B、第2リンク17C、レール17D、レール把持部17E、ネジ棒17F、ナット17G、モータ17H、駆動機構収納部17Jおよび保護板17Kを有する。第1リンク17Aは、伸縮機構18を介して胴体部12を支持する部材である。第1リンク17Aは、厚い板状の部材である。スライド移動部材17Bおよび第2リンク17Cは、第1リンク17Aの仰角を変更するために移動または回転する。スライド移動部材17Bは、第1リンク17Aの下端を支持する。スライド移動部材17Bは、スライド機構基部16Dの上側をスライド機構基部16Dが延在する方向に移動する。
スライド移動部材17Bは、上下の2個の部材に分かれる。スライド移動部材17Bの2個の部材の間を保護板17Kが通る。保護板17Kよりも上側のスライド移動部材17Bは、第1リンク17Aの側面の下端側を回転可能に支持する。上側のスライド移動部材17Bの形状は、第1リンク17Aの側面を挟む2個の略三角形の部材を、2個の連結部材で連結した形状である。言い換えると、上側のスライド移動部材17Bの形状は、スライド機構基部16Dに対して垂直な方向に延在する高さが低い四角筒のような形状である。四角筒のスライド機構基部16Dが延在する方向の2個の側面が、2個の略三角形の部材である。2個の略三角形の部材が、第1リンク17Aの下端に近い側面を両側から回転可能に支持する。側面から見て略三角形の形状の部材の下側に、スライド移動部材17Bの下側の部材が接続する。スライド移動部材17Bの下側の部材は、スライド機構基部16Dの上面に平行に設けられた板状の形状である。スライド移動部材17Bの下側の部材は、レール17Dに沿って移動する。
第2リンク17Cは、一端がスライド機構基部16Dに回転可能に接続する。第2リンク17Cの他端は、第1リンク17Aの上部に回転可能に接続する。第2リンク17Cは、2枚のリンク部17CAを連結部17CBにより連結した形状である。リンク部17CAは、厚い板材のような外形を有する。リンク部17CAの主面は、長方形の両端を半円に置き換えた形状である。2枚のリンク部17CAの前側の側面に連結部17CBが接続する。連結部17CBは、外形が長方形の枠状のフレームに2個の対角線のフレームを接続した形状である。
第2リンク17Cの一端がスライド機構基部16Dに回転可能に接続する箇所を、車両側リンク取付部J1と呼ぶ。車両側リンク取付部J1は、軸部材が軸受に回転可能に保持される構造である。車両側リンク取付部J1は、2本のリンク部17CAに対応させて2個設けられる。第1リンク17Aの下端がスライド移動部材17Bと回転可能に接続する箇所を、移動部材取付部J2と呼ぶ。第2リンク17Cの他端が第1リンク17Aと回転可能に接続する箇所を移動側リンク取付部J3と呼ぶ。移動部材取付部J2および移動側リンク取付部J3は、車両側リンク取付部J1と同様な構造を有する。
車両側リンク取付部J1は、第2リンク17Cの下端が回転可能に接続する、スライド機構基部16Dに設けられたリンク下端支持部である。移動部材取付部J2は、第1リンク17Aにおけるスライド移動部材17Bとの接続箇所である。移動側リンク取付部J3は、第1リンク17Aにおける第2リンク17Cとの接続箇所である。
スライド移動部材17Bが移動すると、第2リンク17Cおよび第1リンク17Aが回転して、第1リンク17Aの仰角が変化する。スライド移動部材17Bの下端が方位角軸AZから遠ざかる向きに移動すると、第1リンク17Aの仰角が小さくなる。スライド移動部材17Bの下端が方位角軸AZに近づく向きに移動すると、第1リンク17Aの仰角が大きくなる。
第1リンク17Aは、その下端がスライド移動部材17Bにより支持される。第1リンク17Aは、移動側リンク取付部J3の位置で第2リンク17Cにより支持される。第1リンク17Aにおいて、移動部材取付部J2と移動側リンク取付部J3との間の部分を被支持部分と呼ぶ。移動部材取付部J2が、第1リンク17Aとスライド移動部材17Bが回転可能に接続する箇所である。
スライド移動部材17Bは、スライド機構基部16Dの上側で車両部1Wの上面に平行な直線に沿って移動する移動部である。第1リンク17Aは、スライド移動部材17Bに下端が回転可能に接続する。第1リンク17Aは、車両部1Wの上面と仰角をなす方向に延在する。仰角は、胴体部12が延在する方向と車両部1Wの上面との間の角度である。第1リンク17Aは、伸縮機構18を介して胴体部12を支持する。第2リンク17Cは、上端(一端)が第1リンク17Aに回転可能に接続する。車両側リンク取付部J1は、スライド移動部材17Bが沿って移動する直線よりも下側に存在する。
レール17Dとレール把持部17Eは、スライド機構基部16Dが延在する方向にだけスライド移動部材17Bが移動するように規制する。2本のレール17Dが、スライド機構基部16Dの側面に平行に設けられる。レール17Dは、2個の長方形を重ねた断面を有する棒状の部材である。2個の長方形の中で、スライド機構基部16Dから遠い側の長方形の方がその幅が広い。レール把持部17Eは、レール17Dの幅が広い長方形を囲むような断面形状を有する。レール把持部17Eは、スライド移動部材17Bの下面のレール17Dに直交する方向の両端に近い位置に、1本のレール17Dに対して2個ずつ設けられる。2個のレール把持部17Eは、レール17Dに対応する同一直線上に設けられる。レール把持部17Eとレール17Dとの間には、適切な間隔が存在する。
ネジ棒17F、ナット17Gおよびモータ17Hは、スライド移動部材17Bを移動させる。ネジ棒17Fは、スライド機構基部16Dの上側において幅方向の中央にレール17Dに平行に設けられる。ネジ棒17Fの両端が、スライド機構基部16Dの上面に固定される。ナット17Gは、スライド移動部材17Bの底面に固定される。ナット17Gは、ネジ棒17Fとかみ合う雌ネジが設けられたネジ穴を有する。ネジ棒17Fは、ナット17Gのネジ穴を通る。ナット17Gのネジ穴をネジ棒17Fが通る状態で、ネジ棒17Fはスライド機構基部16Dの上面に固定される。モータ17Hは、ネジ棒17Fに直結して設けられる。モータ17Hが回転すると、ネジ棒17Fも回転する。ネジ棒17Fが回転すると、ナット17Gは回転できないので、ナット17Hおよびスライド移動部材17Bが移動する。保護板17Kは、ネジ棒17Fなどを保護するために設けられる。保護板17Kは、スライド機構基部16Dの上面に平行に設けられた薄い板材である。
駆動機構収納部17Jは、モータ17Hと、伸縮機構18が有するモータを駆動するための駆動回路基板を収納する。駆動機構収納部17Jは、外形が直方体状の形状である。駆動機構収納部17Jは、スライド機構基部16Dの方位角軸AZから遠い側の端に接続する。駆動機構収納部17Jの底面の高さ方向の位置は、駆動機構収納部16Eの底面の位置とほぼ同じである。
伸縮機構18は、第1リンク17Aに対して制御基板収納部20を移動させる。伸縮機構18は、スライド機構17でスライド移動部材17Bを移動させる機構と同様な構造である。伸縮機構18は、伸縮移動部材18A、レール18B、レール把持部18C、ネジ棒18D、ナット18E、モータ18F、駆動機構収納部18G、保護板18Hおよびケーブル18Jを有する。伸縮移動部材18Aは、制御基板収納部20を支持する。伸縮移動部材18Aは、第1リンク17Aに対して第1リンク17Aが延在する方向に移動する。伸縮移動部材18Aは、第1リンク17Aの長さの大部分を移動する。伸縮移動部材18Aが移動することで、第1リンク17Aの下端から腕接続部19までの距離(胴体長)が変化する。胴体長の定義は、後で説明する。伸縮移動部材18Aは、胴体部12を支持し、前記第1リンクに支持される胴体支持部である。伸縮機構18は、伸縮移動部材18Aを第1リンク17Aに沿って移動可能にする。
伸縮移動部材18Aは、四角筒の形状を有する。伸縮移動部材18Aが延在する方向と直交する伸縮移動部材18Aの断面は、高さが幅に対して小さい長方形である。伸縮移動部材18Aは、第1リンク17Aとほぼ同じ幅を有し、長さが第1リンク17Aの45%程度である。伸縮移動部材18Aの内部を、ネジ棒18Dなどを保護する保護板18Hが通る。保護板18Hは、第1リンク17Aの上面に平行に設けられた薄い板材である。伸縮移動部材18Aには、制御基板収納部20の底面が接続する。図9から図15では、伸縮移動部材18Aは、制御基板収納部20に接続する部分を除いた状態で表示している。
レール18Bとレール把持部18Cは、第1リンク17Aが延在する方向にだけ伸縮移動部材18Aが移動するように規制する。2本のレール18Bが、第1リンク17Aの側面に平行に設けられる。レール18Bは、2個の長方形を重ねた断面を有する棒状の部材である。2個の長方形の中で、第1リンク17Aから遠い側の長方形の幅が広い。レール把持部18Cは、レール18Bの幅が広い長方形を囲むような断面形状を有する。レール把持部18Cは、1本のレール18Bに対して2個ずつ設けられる。2個のレール把持部18Cは、レール18Bに対応する同一直線上に設けられる。レール把持部18Cは、伸縮移動部材18Aの下面に設けられる。2個のレール把持部18Cは、伸縮移動部材18Aが延在する方向の両端に近い位置にそれぞれ設けられる。レール把持部18Cの側面および底面とレール18Bの間には、適切な間隔が存在する。
ネジ棒18D、ナット18E、モータ18Fおよび駆動機構収納部18Gは、伸縮移動部材18Aを移動させる。ネジ棒18Dは、第1リンク17Aの上側において幅方向の中央にレール18Bに平行に設けられる。ネジ棒18Dの両端が、第1リンク17Aの上側の面に固定される。ナット18Eは、伸縮移動部材18Aの底面に固定される。ナット18Eは、ネジ棒18Dとかみ合う雌ネジが設けられたネジ穴を有する。ネジ棒18Dは、ナット18Eのネジ穴を通る。ナット18Eのネジ穴をネジ棒18Dが通る状態で、ネジ棒18Dは第1リンク17Aの上側の面に固定される。モータ18Fは、ネジ棒18Dを回転させる動力を発生する。モータ18Fが回転すると、ネジ棒18Dが回転する。駆動機構収納部18Gは、モータ18Fの回転をネジ棒18Dに伝える機構を収納する。ネジ棒18Dが回転すると、ナット18Eは回転できないので、ナット18Fおよび伸縮移動部材18Aが移動する。
駆動機構収納部18Gは、第1リンク17Aの下端に第1リンク17Aに対して垂直に設けられる。駆動機構収納部18Gは、外形が直方体状である。モータ18Fは、駆動機構収納部18Gの上側の面に垂直に設けられる。モータ18Fは、駆動機構収納部18Gの上側の面における第1リンク17Aから遠い側の端部において幅方向の中央に設けられる。
伸縮移動部材18Aおよび制御基板収納部20が、駆動機構収納部18Gに近い位置に移動した場合にモータ18Fが制御基板収納部20と干渉しないように、制御基板収納部20の底面には、モータ18Fを収納する穴を設ける。
ケーブル18Jは、駆動機構収納部17Jに収納された回路基板で生成されるモータ18Fを駆動する電流を伸縮機構18に伝える。また、右目カメラ2および左目カメラ2が撮影した画像もケーブル18Jを介して伝えられる。画像は、駆動機構収納部17Jの内部に配置された機器を介して通信装置6により無線通信で遠隔制御装置3に伝えられる。
ロボット1の大きさは、以下である。車両部1Wの下端から頭部11の上端までの高さが、最大で約1.6mである。車両部1Wの前後方向の長さが、約1.3mである。腕接続部19および腕部5の最小の横幅は、約0.55mである。高さが最も低くなる姿勢では、高さが約1.1mである。重量は、ヒューマノイド部1Hおよび胴体位置変更機構1Bで約200kg、ロボット1全体で約330kgである。腕部5を水平に伸ばした状態で、片手で約5kg、両手で約10kgの重量の物体を把持できる。腕部5を鉛直下方に伸ばした状態では、片手で約10kg、両手で約20kgの重量の物体を把持できる。物体を把持した状態で、ヒューマノイド部1Hを移動させることができる。
ロボット1の姿勢を表現するため、3種類の直交座標系を使用する。3種類の直交座標系は、第1の直交座標系、第2の直交座標系、第3の直交座標系である。第1の直交座標系は、車両部1Wを基準とする直交座標系である。第2の直交座標系は、胴体位置変更機構1Bとともに方位角軸AZの回りを回転する直交座標系である。第3の直交座標系は、腕接続部19を基準とする直交座標系である。
車両部1Wを基準とする第1の直交座標系を、以下のように定義する。第1の直交座標系により、車両部1Wに対する胴体位置変更機構1Bおよびヒューマノイド部1Hの位置を表現する。
X1軸:車両部1Wの左右方向に平行な軸。
Y1軸:車両部1Wの前後方向に平行な軸。
Z1軸:車両部1Wの高さ方向に平行な軸。方位角軸AZと一致させる。
X1軸、Y1軸、Z1軸は、互いに直交する。Z1軸と車両部1Wの上面の交点を、第1の直交座標系の原点とする。右方をX1軸の正の向きとし、前方をY1軸の正の向きとし、上方をZ1軸の正の向きとする。X1軸およびY1軸は、車両部1Wの上面に平行である。Z1軸は、車両部1Wの上面と直交する。車両部1Wの上面を車両部基準面と呼ぶ。車両部基準面は、車両部1Wと交差する方位角軸AZに垂直な平面である。車両部基準面は、X1Y1平面でもある。
胴体位置変更機構1Bとともに方位角軸AZの回りを回転する第2の直交座標系を以下のように定義する。第2の直交座標系を使用して、スライド機構17および伸縮機構18の動作を説明する。
X2軸:車両部1Wの上面に平行でスライド機構17が延在する方向に直交する軸。
Y2軸:車両部1Wの上面に平行でスライド機構17が延在する方向に平行な軸。
Z1軸:車両部1Wの高さ方向に平行な軸。
X2軸、Y2軸、Z1軸は、互いに直交する。第2の直交座標系の原点は、第1の直交座標系の原点と同じである。基準状態では、X1軸とX2軸、Y1軸とY2軸は、それぞれ互いに一致する。駆動機構収納部17Jが存在する側に向かう方向を、Y2軸の負の向きとする。
腕接続部19を基準とする第3の直交座標系を以下のように定義する。第3の直交座標系により、腕接続部19に対する腕部5の位置を表現する。
X3軸:2本の腕部5が腕接続部19に接続する2個の箇所を通る回転軸。
Y3軸:X3軸およびZ3軸に直交する軸。
Z3軸:腕接続部19の上側の面に垂直な軸。
X3軸、Y3軸、Z3軸は、互いに直交する。第3の直交座標系の原点は、2本の腕部5が腕接続部19に接続する2個の箇所を結ぶ線分の中点とする。X3軸、Y3軸、Z3軸は原点を通る。腕接続部19の右方をX3軸の正の向きとし、前方をY3軸の正の向きとし、上方をZ3軸の正の向きとする。X3軸は、X2軸と平行である。基準状態では、Y3軸はY2軸と平行であり、Z3軸はZ1軸と平行である。Z3軸は、第1リンク17Aが延在する方向に対して約30度の角度をなす。
ヒューマノイド部1Hの構造の説明に戻る。図3などに示すように、頭部11は、胴体部12(腕接続部19)の上側に接続する。頭部11は、右目カメラ2および左目カメラ2をAZ3軸およびEL3軸の回りに回転可能に支持する部分である。AZ3軸は、Z3軸に平行な回転軸である。EL3軸は、X3Y3平面に平行な回転軸である。AZ3軸とEL3軸は、互いに直交する。AZ3軸およびEL3軸を図16などに示す。
頭部11は、頭部カバー11Aを有する。図16から図19に、頭部カバー11Aを外した状態での頭部11の付近を拡大したヒューマノイド部1Hの斜視図、正面図、右側面図および平面図を示す。頭部11は、頭部カバー11A、胴体接続部11B、首部11C、カメラ保持部11D、仰角軸受部11E、プーリ11F、駆動プーリ11G、駆動ベルト11H、モータ11J、プーリ11K、駆動プーリ11L、駆動ベルト11Mおよびモータ11Nを有する。頭部カバー11Aは、頭部11の機構を保護し外部から見えないようにする覆いである。胴体接続部11Bは、腕接続部19の上側の面に接続する円筒状の部材である。胴体接続部11Bは、腕接続部19の上側の面に固定される。胴体接続部11Bは、胴体部12の一部と考えることもできる。胴体接続部11Bの円筒の中心軸は、AZ3軸と一致する。首部11Cは、胴体接続部11Bに対してAZ3軸の回りに回転する部材である。首部11Cは、下部は外形が円筒状であり、上部が底面および側面を有する板状の部材である。首部11Cの下部の円筒状の部分が、胴体接続部11Bが有する円筒状の穴に回転可能に挿入される。
カメラ保持部11Dは、右目カメラ2および左目カメラ2を保持する部材である。カメラ保持部11Dは、上側に長方形の板材を90度に折り曲げた形状の部分を有する。カメラ保持部11Dの上側の面に、数cm程度の間隔を空けて右目カメラ2および左目カメラ2が取り付けられる。カメラ保持部11Dは、右目カメラ2および左目カメラ2の光軸が平行になるように保持する。カメラ保持部11D、右目カメラ2および左目カメラ2で光軸が平行になるように配置された2個のカメラと考えることができる。右目カメラ2および左目カメラ2の光軸が延在する方向を視線方向と呼ぶ。カメラ保持部11Dは、右目カメラ2および左目カメラ2の腕接続部19の上側の面からの高さが同じになるように保持する。カメラ保持部11Dは、下側に外形が円筒状の部分を有する。円筒状の部分は、腕接続部19の上側の面に平行に延在する。円筒状の部分の中心軸が、EL3軸になる。仰角軸受部11Eは、カメラ保持部11Dの下部の円筒状の部分をEL3軸の回りに回転可能に保持する部材である。仰角軸受部11Eは、首部11Cの側面に取り付けられる。
首部11Cを胴体接続部11Bに対してAZ3軸の回りに回転させる機構を、頭部回転部と呼ぶ。頭部回転部は、胴体接続部11Bに対して回転可能に首部11Cを胴体接続部11Bに接続する。頭部回転部は、プーリ11F、駆動プーリ11G、駆動ベルト11Hおよびモータ11Jを有する。プーリ11Fは、胴体接続部11Bの上側に固定される。プーリ11Fは、胴体接続部11Bが有する内部空間が円筒状である穴の周辺を覆うように設けられる。プーリ11Fの中心軸は、穴の中心軸と一致させる。首部11Cの下部の円筒状の部分は、プーリ11Fを貫通する。プーリ11Fは、首部11の下部の円筒状の部分を回転可能に保持する。駆動プーリ11Gは、AZ3軸に平行な回転軸の回りを回転するように設けられる。プーリ11Fおよび駆動プーリ11Gは、基準状態ではY3軸に沿って並ぶように設けられる。駆動ベルト11Hは、駆動プーリ11Gとプーリ11Fに掛け渡される。駆動ベルト11Hは、駆動プーリ11Gが回転することで、駆動プーリ11G、首部11Cおよびカメラ保持部11Dがプーリ11Fの回りを回転することを可能にする。モータ11Jは、首部11Cの底面に取り付けられる。モータ11Jの回転軸は、首部11Cの底面に設けられた開口を通る。モータ11Jの回転軸に、駆動プーリ11Gが取り付けられる。モータ11Jが回転すると、駆動プーリ11Gが回転する。駆動プーリ11Gは、駆動ベルト11Hの内側を回転移動する。駆動プーリ11Gの回転移動に応じて、駆動ベルト11Hがプーリ11Fと接触する部分も回転移動する。駆動プーリ11Gおよびカメラ保持部11Dは首部11Cに取り付けられているので、駆動プーリ11G、首部11Cおよびカメラ保持部11Dがプーリ11Fの回りを回転移動する。こうして、モータ11Jが正回転または逆回転することで、首部11Cが胴体接続部11Bに対して時計回りまたは反時計回りで回転する。
右目カメラ2および左目カメラ2の光軸がX3Y3平面となす角度を、視線仰角と呼ぶ。EL3軸を、視線仰角変更軸と呼ぶ。カメラ保持部11Dを首部11Cに対してEL3軸の回りに回転させる機構を、視線仰角変更部と呼ぶ。視線仰角変更部は、プーリ11K、駆動プーリ11L、駆動ベルト11Mおよびモータ11Nを有する。プーリ11Kは、カメラ保持部11Dの下部の円筒状の部分に取り付けられる。プーリ11Kおよび駆動プーリ11Lは、EL3軸に垂直な平面内で回転するように設けられる。プーリ11Kおよび駆動プーリ11Lは、その中心がAZ3軸上で上下に並ぶように設けられる。モータ11Nは、首部11Cの側面に取り付けられる。モータ11Nの回転軸は、首部11Cの側面に設けられた開口を通る。モータ11Nの回転軸に、駆動プーリ11Lが取り付けられる。モータ11Kが回転すると、駆動プーリ11Lが回転する。駆動ベルト11Mは、駆動プーリ11Lとプーリ11Kに掛け渡される。駆動ベルト11Mは、駆動プーリ11Lの回転をプーリ11Kに伝える。プーリ11Kが回転すると、カメラ保持部11DがEL3軸の回りを回転する。こうして、モータ11Nが正回転または逆回転することで、カメラ保持部11Dが首部11Cに対してEL3軸の回りを上向きまたは下向きに回転する。
右目カメラ2および左目カメラ2は、胴体部12の上側に設けられたカメラである。AZ3軸は、胴体部12と交差する頭部回転軸である。AZ3軸に垂直なX3Y3平面は、頭部回転軸に垂直な胴体部基準面である。首部11Cは、AZ3軸の回りに回転可能に胴体部12に支持される。首部11Cは、視線仰角を変更可能にカメラ保持部11D、右目カメラ2および左目カメラ2を支持する。
頭部回転部は、頭部11をAZ3軸の回りに回転させる。頭部回転部は、頭部11をAZ3軸の回りに回転可能に胴体部12に接続する。視線仰角変更部は、カメラ保持部11D、右目カメラ2および左目カメラ2をEL3軸の回りに回転させる。視線仰角変更部は、カメラ保持部11D、右目カメラ2および左目カメラ2をEL3軸の回りに回転可能に首部11Cに接続する。基準状態では、右目カメラ2および左目カメラ2の光軸は、Y3軸に平行な方向を向く。
視線仰角変更部は、右目カメラ2および左目カメラ2の光軸(視線方向)をEL3軸の回りに例えば-30度から60度回転させることができる。頭部回転部は、首部11CをAZ3軸の回りに例えば-100度から100度、回転させることができる。基準状態では、EL3軸、AZ3軸の回りの回転角度は、いずれも0度である。基準状態での視線方向は、車両部基準面(X1Y1平面)および頭部基準面(X3Y3平面)に平行である。視線方向を上に向ける場合に、EL3軸の回りの回転角度は正である。上から見てAZ3軸の回りに時計回りに回転する場合に、AZ3軸の回りの回転角度が正である。ある軸の回りの回転角度は、その軸の回りに回転した角度である。
頭部11が胴体部12に接続する位置よりも高い位置にEL3軸を設けているので、頭部11が向く方向とは別の方向に視線方向を向けることができる。また、視線方向は胴体部基準面に対して上側に向けることができる角度を大きくしている。ロボットの高さを低くして頭部11が下を向いて腕部5を前に伸ばした姿勢で、ロボット1の視線方向を前に向けることができる。オペレータ90は、ハンド部26の付近の状況を確認しながら遠隔操作ができる。
腕接続部19は、腕接続構造部19Aと、2個の腕回転部19Bとを有する。腕接続構造部19Aは、厚い板状である。腕回転部19Bは、外形が直方体状である。腕接続構造部19Aの両側の主面は、左右方向を向く。腕接続構造部19Aの両側の主面の前側の部分に、それぞれ直方体状の腕回転部19Bが接続する。腕回転部19Bは、腕部5を回転させる機構を収納する。腕接続構造部19Aの後側の部分は、制御基板収納部20と固定の角度で接続する。腕接続部19の正面方向と制御基板収納部20の正面方向は、水平面に対して垂直な同一平面上に存在する。腕接続部19の正面方向は、制御基板収納部20の正面方向に対して仰角が約30度大きい方向である。腕回転部19Bには、その後側から腕部5の根元を回転させる動力を発生させるモータ19Dが挿入される。
ロボット1が有する回転軸または変更機構について説明する。腕部5以外の部分でロボット1は、以下に示すように、回転軸または変更機構を有する。
(ロボット1が腕部5以外で有する回転軸または変更機構)
AZ軸:方位回転軸AZ。車両部1Wに対して、胴体位置変更機構1Bおよびヒューマノイド部1Hを回転させる回転軸。AZ軸は、Z1軸と一致する。
仰角変更機構:車両部1Wの上面と胴体部12(厳密には制御基板収納部20)が延在する方向とがなす角度である仰角(EL角)を変更させる機構である。スライド機構17が仰角変更機構である。スライド機構17は、胴体部12の下端の位置を車両部1Wの上面に平行な平面内で移動させることで、仰角を変更する。また、スライド機構17は、仰角を変更可能に胴体部12を支持する。
伸縮機構:伸縮機構18は、胴体長を変更する。胴体長は、Y2Z1平面において第1リンク17Aが延在する方向を表す直線において、第1リンク17Aの下端と腕接続部19との間の距離である。
AZ3軸:頭部回転軸。頭部11を腕接続部19に対して回転させる回転軸。頭部回転軸は、腕接続部19の上側の面に対して垂直である。
EL3軸:視線仰角変更軸。視線仰角を変更する回転軸である。視線仰角は、右目カメラ2および左目カメラ2の光軸がX3Y3平面となす角度である。
車両接続部16は、スライド機構17を1回転自由度で回転可能に車両部1Wに接続する。車両接続部16は、スライド機構17をAZ軸の回りに回転可能に車両部1Wに接続する。AZ軸は、車両部1Wの高さ方向に平行な回転軸である。車両接続部16は、AZ軸の回りに回転可能にスライド機構17を支持する車両部1Wに設けられた方位角変更機構である。
ロボット1は、高さを最も低くした姿勢(収納姿勢と呼ぶ)を取ることができる。収納姿勢は、ロボット1が移動する際に取る姿勢である。また、作業時は、腕部5を伸ばしかつ伸縮機構18も胴体長が最大になる状態にして、遠くの物体をロボット1が扱うことができる。図20から図25に、別の姿勢1として収納姿勢でのロボット1の斜視図、正面図、右側面図、背面図、左側面図および平面図を示す。図26から図28に、別の姿勢2として腕部5を伸ばした姿勢でのロボット1の斜視図、右側面図および平面図を示す。
収納姿勢では、車両の下や机の下などの低い位置で物体を探す場合や、低い所に置かれた物品を持ったりする作業を実施することもできる。
図29を参照して、スライド機構17の各部の長さなどを説明する。図29は、スライド機構17の各部の長さを表す変数を説明する右側面図である。
スライド機構17の各部の長さを表すために、以下の変数を使用する。
:Y2Z1平面において、車両側リンク取付部J1を表す点。
:Y2Z1平面において、移動部材取付部J2を表す点。
:Y2Z1平面において、移動側リンク取付部J3を表す点。
:Y2Z1平面において、第1リンク17Aの上端を表す点。
:第2リンク17Cの長さ。点Pと点Pの間の距離。
:第1リンク17Aの被支持部分の長さ。点Pと点Pの間の距離。
:第1リンク17Aの長さ。点Pと点Pの間の距離。
x:点Pと点PのY2座標の差。水平距離と呼ぶ。
min:水平距離xの取り得る値の下限値。水平距離下限値と呼ぶ。
max:水平距離xの取り得る値の上限値。水平距離上限値と呼ぶ。
H:点Pと点PのZ2座標の差。垂直距離と呼ぶ。
:点Pと点Pの間の距離。直線距離と呼ぶ。
D:点Pと方位角軸AZとの間の距離。
F:車両部1Wの上面からの点Pの高さ。
T:車両部1Wの上面から点Pまでの高さ。ロボット高と呼ぶ。
ψ:第2リンク17CとY2軸とがなす角度。制御角度と呼ぶ。
δ:第1リンク17AとY2軸とがなす角度。仰角と呼ぶ。
η:点Pと点Pを結ぶ直線とY2軸とがなす角度。傾斜角度と呼ぶ。
図29では、水平距離xが水平距離下限値xminである状態を示している。
これらの変数の間には、以下の関係式が成立する。
min≦x≦xmax (1)
*sinψ=H+L*sinδ (2)
*cosψ+L*cosδ=x (3)
=√(H+x) (4)
sinη=H/L (5)
cosη=x/L (6)
T=F+H+L*sinδ (7)
、L、L、D、H、xminおよびxmaxは、あらかじめ決められている。式(1)を満足する水平距離xを決めると、式(2)~(6)を充足するように、制御角度ψ、仰角δおよび傾斜角度ηが決まる。式(7)により、仰角δからロボット高Tが決まる。Hは、スライド移動部材17Bが移動する直線と車両側リンク取付部J1の高さの差である。
なお、実際のロボットの高さは、ロボット高Tに車両部1Wの高さと第1リンク17の上端から頭部11の最も高い箇所までの高さを加えた高さになる。ロボット高Tを小さくすることを検討する際には、伸縮機構18は最も短い状態であるとする。
制御角度ψを消去するように、式(2), (3)を変形すると、以下の式を得る。
=L +H+x+2*L*(H*sinδ-x*cosδ) (8)
式(8)に、式(4)~(6)を代入して三角関数の加法定理を適用すると、以下の式を得る。
=L +L -2*L*L*cos(δ+η) (9)
式(9)は、点P、P、Pを頂点とする三角形において頂点P2での内角についての余弦定理を表す式である。
式(9)を変形して、以下の式が得られる。
cos(δ+η)=(1/2)*(L -L -L )/L/L (10)
また、以下の式が成立する。
sin(δ+η)=√(1-cos(δ+η)) (11)
sinδ=sin(δ+η)*cosη-cos(δ+η)*sinη (12)
cosδ=sin(δ+η)*sinη+cos(δ+η)*cosη (13)
水平距離xが式(1)で規定される範囲内で移動する際に、仰角δとロボット高Tが取る最大値および最小値に関して、以下の変数を定義する。
xH:直線距離Lの最大値。
xL:直線距離Lの最小値。
δ:仰角δの最大値。
δ:仰角δの最小値。
η:傾斜角度ηの最大値。
η:傾斜角度ηの最小値。
:ロボット高Tの最小値。
δH0:仰角δの最大値δが充足すべき許容値。
δL0:仰角δの最小値δが充足すべき許容値。
L0:ロボット高Tの最小値Tが充足すべき許容値。
これらの変数は、以下の式により計算できる。
xH=√(H+xmax ) (14)
xL=√(H+xmin ) (15)
sinη=H/LxL (16)
cosη=xmin/LxL (17)
sinη=H/LxH (18)
cosη=xmax/LxH (19)
cos(δ)=(1/2)*(L -L -LxL )
/L/LxL (20)
sin(δ)=√(1-cos)) (21)
sinδ=sin(δ)*cosη-cos(δ)*sinη (22)
cosδ=sin(δ)*sinη+cos(δ)*cosη (23)
cos(δ)=(1/2)*(L -L -LxH )
/L/LxH (24)
sin(δ)=√(1-cos)) (25)
sinδ=sin(δ)*cosη-cos(δ)*sinη (26)
cosδ=sin(δ)*sinη+cos(δ)*cosη (27)
=F+H+L*sinδ (28)
許容値との間では、以下の式が成立する。
δ≦δL0 (29)
δ≧δH0 (30)
≦TL0 (31)
数式では示さないが、車両部1Wの車長から決まる水平距離上限値xmaxに対する制約が存在する。作業時の起立姿勢での安定性を確保するため、制御角度ψの上限および水平距離下限値xminが制約される。ロボット1が移動時および作業のために取りうるすべての姿勢で重心が方位角軸AZの近傍に存在して、重心の安定性を確保することも必要である。すべての姿勢には、胴体長を変化させた姿勢も含む。ヒューマノイド部1Hが収納姿勢を取る際に、胴体位置変更機構1B、腕部5および車両部1Wが互いに干渉することが無いようにする必要がある。また、ロボット1が作業できる範囲ができるだけ大きいことが望ましい。収納姿勢での高さも、許容値以下の範囲においてできるだけ小さい方が望ましい。
ロボット1の各部の寸法は、これらのすべての制約条件および最適化したい条件を満足するように試行錯誤で、相反する要求値の間ではトレードオフを考慮して、xmax、xmin、H、D、LおよびLを決めている。
式(1)は、スライド移動部材17Bが移動できる範囲である移動可能範囲を規定する式である。δは、移動可能範囲をスライド移動部材17Bが移動する各状態で得られる仰角δの最小値(仰角最小値)である。δL0は、仰角最小値δに対して決められた最小仰角許容値である。式(29)は、仰角最小値δが最小仰角許容値δL0以下になることを表す。δは、移動可能範囲をスライド移動部材17Bが移動する各状態で得られる仰角δの最大値(仰角最大値)である。δH0は、仰角最大値δに対して決められた最大仰角許容値である。式(30)は、仰角最大値δが最大仰角許容値δH0以上になることを表す。
点Pは、胴体部12の決められた箇所を表す点である。点Pは、胴体部12の外側にあるが胴体部12に対する位置が決められた箇所である。Tは、移動可能範囲をスライド移動部材17Bが移動する各状態で得られるロボット高Tの最小値(ロボット高最小値)である。TL0は、ロボット高最小値Tに対して決められたロボット高許容値である。式(31)は、ロボット高最小値Tがロボット高許容値TL0以下になることを表す。
maxおよびxminを決めておき、式(29)~(31)を成立させた上で、ロボットTを最小にするように、H、D、LおよびLを決めることもできる。その際には、式(14)~(31)の式を各変数で偏微分をとるなどして極値を取るような値を求めて、H、D、LおよびLを決める。そのようにH、D、LおよびLを決めることは、決められた移動可能範囲で、ロボット高最小値Tが最小になるように決めることを意味する。
ヒューマノイド部を有するロボットにおいて、多種多様な作業を1台のロボットで実施する場合には、ハンド部を所望の位置に配置する胴体部が必要である。より広い位置および角度の範囲にハンド部を有する腕部を動かす場合に、多くの関節部を有する胴体部が有効である。しかしながら、多くの自由度を確保するために関節部の数を増やすと、必要な部品の点数が増加するため、コストおよび質量が増加する。また、部品点数が多いと故障率の増加につながる。
また、ヒューマノイド部を有する自走可能なロボットにおいては、自走して作業場所まで移動し、作業場所で作業を実施する。作業場所まで移動する際に、細い通路や高さに制約がある個所を通過できるように、ロボットを小さくする必要がある。一方、ロボットに作業させる際は広い範囲にハンド部がアクセスできるようにしたいという要求もある。これらの相反する要求は、自走式のヒューマノイドロボットを活用する場面を多くする上で、どちらも満足させることが必要である。また、コストも重要な要素である。移動時のコンパクトさ、操作可能範囲の広さおよびコストのバランスを取った一つの解がロボット1であると、発明者らは考える。
ロボット1は、車両接続部16、スライド機構17および伸縮機構18を含む胴体位置変更機構1Bを有する。胴体位置変更機構1Bは、胴体部12の位置の方位角と仰角を変更でき、胴体長を変更できる。特許文献5のロボットの胴体部が6個の回転軸を有するのと比較して、方位角と仰角だけを変更できるようしている。特許文献5のロボットの胴体部は、その取り得る姿勢の自由度は非常に大きい。しかし、取り得る姿勢の中の大部分は、実際にロボットを使用する際には、全く使用されない姿勢、あるいは使用頻度が小さい姿勢であると考えられる。胴体部が方位角と仰角だけを変更できるようにしても、腕部は胴体部に対して広い範囲で異なる角度に向けることができる。胴体部の取り得る姿勢のバリエーションが減ったとしても、実用上ではそれほど問題にならないと考えられる。
仰角はスライド機構により変更することで、自分の重量と推力(動かせる荷重)の比を大きくできる。回転系による関節部では、推力を大きくするためにギアを多く使用する必要がある。多くのギアを使用すると、質量が増加する。スライド機構を使用することで、必要な推力を維持しながら軽量化を実現している。
スライド機構では、仰角の方向に延在する第1リンクの傾斜角度(仰角)を変更するので、仰角を小さくした際に、スライド機構に要する高さを、特許文献5のロボットよりも小さくできる。
また、胴体長は伸縮機構18により長くできる。胴体長は、車両部1Wから腕接続部19までの距離である。伸縮機構18により胴体長を長くあるいは短くできる。そのため、移動時はロボット1が占める体積が小さいコンパクトな収納姿勢を取り、作業時は伸縮機構18を有しないロボットよりも作業可能範囲を広くできる。移動時には、伸縮機構18を最も短い状態にして、地面からロボット1の重心を低くでき、移動時の安定性が向上する。
車両接続部16では、AZ軸の回りに例えば-165度から185度の範囲で回転可能である。ここで、AZ軸の回りの回転角度は、ヒューマノイド部1Hが向く方向が車両部1Wの向く方向と平行になる場合に、0度とする。AZ軸の回りの回転角度は、上から見て時計回りに回転する場合に、角度を正とする。
スライド機構17は、仰角を15度から60度の範囲で変更できる。伸縮機構18は、胴体部12を第1リンク17Aに対して最大0.2m移動できる。
ロボット1では、2本の腕部5を車両部1Wに対して大きく動かすことができ、作業に適した方向に2本の腕部5を向けることができる。伸縮機構18により、ハンド部26が存在できる範囲も拡大できて、より広範囲な空間でロボット1が作業することが可能となる。胴体位置変更機構1Bにより、腕接続部19の位置を決められた範囲の3次元空間内の任意の位置に配置できる。さらに、2本の腕部5の位置を、腕接続部19に対して決められた範囲の3次元空間内の任意の位置に配置できる。
ロボット1の姿勢に応じて頭部11を制御することで、ハンド部26が存在する方向に右目カメラ2および左目カメラ2を向けることができる。また、スライド機構17で仰角を変更しても、右目カメラ2および左目カメラ2の光軸の方向を変化させないモード(視線連動モードと呼ぶ)で動作させることもできる。視線連動モードでは、スライド機構17で仰角を変更する際に、右目カメラ2および左目カメラ2を保持するカメラ保持部11DをEL3軸の回りに、仰角が変化する方向とは反対方向に仰角が変化する角度と同じ角度だけ変更する。つまり、スライド機構17で仰角をδ1だけ変更する場合に、カメラ保持部11DをEL3軸の回りにδ2(=-δ1)だけ回転させる。δ1は、仰角を変更する第1の角度である。δ2は、δ1と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度である。視線連動モードでの制御装置60は、スライド機構17が仰角δを第1の角度δ1だけ変更する際に、第2の角度δ2(=-δ1)だけ視線仰角を変更するように視線仰角変更部を制御する視線連動制御部である。
図30から図37を参照して、腕部5の構造を説明する。図30は、腕部5の斜視図である。図31は、腕部5の別の斜視図である。図32から図37は、腕部5の正面図、右側面図、背面図、左側面図、平面図および底面図である。腕部5は、ハンド部26以外は、特許文献5の実施の形態5のロボットが有する腕部と同様の構造である。
腕部5は、腕基部22、上腕部24、前腕部25およびハンド部26が直列に接続する。腕基部22は、腕接続部19に回転可能に支持される。上腕部24は、肩関節部27により腕基部22に2回転自由度で回転可能に接続する。前腕部25は、肘関節部28により上腕部24に2回転自由度で回転可能に接続する。ハンド部26は、手首関節部29により前腕部25に2回転自由度で回転可能に接続する。
図38を参照して、腕部5が有する回転軸について説明する。図38は、腕部5が有する回転軸を示す図である。図38(A)は左の腕部5の左側面図であり、図38(B)は左の腕部5の正面図である。
腕部5は、以下に示す7個の回転軸を有する。
AZ4軸:腕部5を腕接続部19に対して回転させる回転軸。腕基部22を通り、腕基部22を回転させる回転軸。AZ4軸を、腕基部回転軸と呼ぶ。AZ4軸の回りの回転角度を、腕基部回転角と呼ぶ。腕基部回転角を、変数θAZ4で表す。
EL4軸:上腕部24と腕基部22とがなす角度を変更させる回転軸。EL4軸は、AZ4軸と直交する。EL4軸の回りの回転角度を、上腕部傾斜角と呼ぶ。上腕部傾斜角を、変数δEL4で表す。
AZ5軸:上腕部24を通り、かつ上腕部24を回転させる回転軸。AZ5軸は、EL4軸と直交する。AZ5軸を、上腕部回転軸と呼ぶ。AZ5軸の回りの回転角度を、上腕部回転角と呼ぶ。上腕部回転角を、変数θAZ5で表す。
EL5軸:前腕部25と上腕部24がなす角度を変更させる回転軸。EL5軸は、AZ5軸と直交する。EL5軸の回りの回転角度を、前腕部傾斜角と呼ぶ。前腕部傾斜角を、変数δEL5で表す。
AZ6軸:前腕部25を通り、かつ前腕部25を回転させる回転軸。AZ6軸は、EL5軸と直交する。AZ6軸を、前腕部回転軸と呼ぶ。AZ6軸の回りの回転角度を、前腕部回転角と呼ぶ。前腕部回転角を、変数θAZ6で表す。
EL6軸:ハンド部26と前腕部25(AZ6軸)とがなす角度を、AZ6軸およびXEL2軸を含む平面(前後方向回転平面)で回転させる回転軸。EL6軸は、AZ6軸およびXEL2軸と直交する。EL6軸の回りの回転角度を、ハンド第1傾斜角と呼ぶ。ハンド第1傾斜角を、変数δEL6で表す。
XEL2軸:ハンド部26と前腕部25(AZ6軸)とがなす角度を、AZ6軸およびEL6軸を含む平面(左右方向回転平面)で回転させる回転軸。XEL2軸は、AZ6軸およびEL6軸と直交する。XEL2軸の回りの回転角度を、ハンド第2傾斜角と呼ぶ。ハンド第2傾斜角を、変数δXEL2で表す。
前後方向回転平面は、AZ6軸を含む第1平面である。左右方向回転平面は、前後方向回転平面と交差し、かつAZ6軸を含む第2平面である。計算は複雑になるが、第1平面と第2平面は、直交していなくてもよい。第1平面と第2平面は、AZ6軸を含みかつ交差していればよい。
AZ4軸は、腕基部22を腕接続部19に対して回転させる回転軸である。EL4軸とAZ5軸は、肩関節部27で腕基部22と上腕部24との接続角度を変更する回転軸である。EL5軸とAZ6軸は、肘関節部28で上腕部24と前腕部25との接続角度を変更する回転軸である。EL6軸とXEL2軸は、手首関節部29で前腕部25とハンド部26との接続角度を変更する回転軸である。前後方向回転平面および左右方向回転平面は、前腕部25を通る互いに直交する2平面である。
AZ4軸は、腕接続部19に垂直である。AZ4軸は、腕接続部19と交差していればよい。AZ4軸は、肩部回転軸とも呼ぶ。肩部回転軸は、腕接続部19と交差する回転軸である。AZ4軸の回りの回転角度を、腕基部回転角あるいは肩部回転角と呼ぶ。
腕基部22は、円柱状である。腕基部22は、腕接続部19が有する腕回転部19Bに設けられた穴に回転可能に挿入される。腕回転部19Bには、背面側からモータ19Dが挿入される。腕回転部19Bの内部には、モータ19Dが出す回転トルクにより腕基部22を回転させるウォームギア機構が収納される。腕基部22の端部には、図示しないウォームホイールが設けられる。ウォームホイールは、モータ19Dの回転により回転する図示しないウォームと噛み合う。モータ19Dおよびウォームが回転すると、ウォームホイールおよび腕基部22および腕部5がAZ4軸の回りに回転する。基準状態での腕部5は、ヒューマノイド部1Hの前後方向に回転する。腕基部22の肩関節部27側の端には、フランジが設けられる。腕基部22のフランジに、肩関節部27が接続する。腕基部22は、AZ4軸の回りを回転する。AZ4軸は、円柱状である腕基部22の中心を通る。腕回転部19Bに設けられた穴と、この穴に回転可能に挿入される腕基部22は、腕基部22を胴体部12に少なくとも1回転自由度で回転可能に接続する腕基部関節部22A(符号は図示せず)である。
腕基部22の回転可能範囲は、例えば-35度から180度の範囲である。ここで、腕基部22がAZ4軸の回りに回転する角度(腕基部回転角)は、上腕部24が下を向く場合に腕基部回転角を0度とし、上腕部24が前方に回転する場合に、腕基部回転角を正とする。腕基部22の回転により、上腕部24を真上に向けることができる。また、上腕部24を真下から後ろに35度まで回転できる。腕基部回転角θAZ4は、例えば-35度≦θAZ4≦180度の範囲内の何れかの値をとることができる。
肩関節部27が、関節接続部24Aに対して中間円筒部24Bを回転させる機構を含むと考えてもよい。そう考える場合には、肩関節部27は、上腕部24を2回転自由度で回転可能に腕基部22に接続する。肩関節部27は、上腕部24を通る上腕部回転軸(AZ5軸)の回りの回転と、上腕部24と腕基部22とがなす角度を変更する回転軸(EL4軸)の回りの回転とを可能にする。肩関節部27におけるAZ5軸の回りの回転は、上腕部24および前腕部25を回転させる。AZ5軸の回りに上腕部24を回転させる場合には、肘関節部28で前腕部25をAZ5軸の回りに回転させる場合よりも、構造が簡単になる。
肩関節部27は、EL4軸の回りの1回転自由度で上腕部24を回転可能に上腕基部22に接続すると考えてもよい。上腕部回転軸(AZ5軸)の回りに上腕部24を回転可能にする機構は、肩関節部27ではなく、上腕部24に設けられていると考えてもよい。そのように考える場合には、肩関節部27は、上腕部24を上腕基部22に少なくとも1回転自由度で回転可能に接続する。また、上腕部24を通る上腕部回転軸の回りに上腕部24が回転可能である。
関節接続部24Aに対して中間円筒部24Bを回転させる機構を肩関節部が含むことに加えて、腕基部22および腕基部関節部22Aを肩関節部の一部と考えてもよい。そう考える場合には、肩関節部は、3回転自由度で回転可能に上腕部24を腕回転部19Bに接続する。肩関節部が有する3回転自由度は、AZ4軸、EL4軸およびAZ5軸の回りの回転自由度である。腕回転部19Bは腕接続部19に含まれるので、肩関節部は、3回転自由度で回転可能に上腕部24を腕接続部19に接続する。腕接続部19は胴体部12に含まれるので、肩関節部は、3回転自由度で回転可能に上腕部24を胴体部12に接続する。肩関節部は腕部5を回転可能に胴体部12に接続する。
肩関節部27では、EL4軸の回りの回転可能範囲は、例えば-10度から75度である。ここで、肩関節部27におけるEL4軸の回転角度(上腕部傾斜角)は、上腕部24が腕基部22と直交する場合に角度を0度とする。上腕部24と腕基部22との間の角度が小さくなる、すなわち上腕部24が胴体部12から離れるように回転する場合に、EL4軸の角度を正とする。肩関節部24では、基準状態では上腕部24を横方向の外側に75度まで上げることができ、上腕部24が胴体部12に近づく方向には、10度まで回転できる。上腕部傾斜角δEL4は、例えば-10度≦δEL4≦75度の範囲内の何れかの値をとることができる。
肩関節部27では、上腕部24を通るAZ5軸の回りの回転可能範囲は、例えば-90度から20度である。ここで、AZ5軸の回りの回転角度(上腕部回転角)は、基準状態で0度であり、上腕部24が胴体部12の側に回転する場合に角度を負とする。上腕部24を下に向けて肘関節部28を90度に曲げた状態では、AZ5軸の回りの回転により、前腕部25を腕接続部19の前面に平行になるまで内側に回転できる。外側には、腕接続部19の正面方向に対して前腕部25が20度の角度をなすまで回転できる。上腕部回転角θAZ5は、例えば-90度≦θAZ5≦20度の範囲内の何れかの値をとることができる。
肘関節部28が、回転軸接続部25Aに対して前腕基部25Bを回転させる機構を含むと考えてもよい。そう考える場合には、肘関節部28は、前腕部25を2回転自由度で回転可能に上腕部24に接続する。肘関節部28は、前腕部25を通る前腕部回転軸(AZ6軸)の回りの回転と、前腕部25と上腕部24とがなす角度を変更する回転軸(EL5軸)の回りの回転とを可能とする。AZ6軸の回りの回転は、前腕部25およびハンド部26を回転させる。AZ6軸の回りに前腕部25を回転させる場合には、手首関節部29でハンド部26をAZ6軸の回りに回転できるようにする場合よりも、構造が簡単になる。
肘関節部28は、EL5軸の回りの1回転自由度で前腕部25を回転可能に上腕部24に接続すると考えてもよい。前腕部回転軸(AZ6軸)の回りに前腕部25を回転可能にする機構は、肘関節部28ではなく、前腕部25に設けられていると考えてもよい。そのように考える場合には、肘関節部28は、前腕部25を上腕部24に少なくとも1回転自由度で回転可能に接続する。また、前腕部25を通る前腕部回転軸の回りに前腕部25が回転可能である。
肘関節部28では、EL5軸の回りの回転可能範囲は、例えば10度から125度である。ここで、EL5軸の回りの回転角度(前腕部傾斜角)は、前腕部25と上腕部24とが同一直線に存在する場合を0度とする。つまり、上腕部24を肘関節部28よりも前腕部25が存在する側に延長した直線と前腕部25とがなす角度が、EL5軸の回りの回転角度である。前腕部25が上腕部24よりも前側に存在する場合に、EL5軸の回りの回転角度を正とする。前腕部傾斜角が0度の場合に、前腕部25と上腕部24とがなす角度は180度である。したがって、肘関節部28は、前腕部25と上腕部24とがなす角度が約170度から約55度である範囲で、曲げ伸ばしできる。前腕部傾斜角δEL5は、例えば10度≦δEL5≦125度の範囲内の何れかの値をとることができる。
肘関節部28では、前腕部回転軸(AZ6軸)の回りの回転可能範囲は、例えば-100度から100度までである。基準状態では、前後方向回転平面が前腕部25の正面方向と平行になる。AZ6軸の回りの回転角度(前腕部回転角)は、基準状態ではAZ6軸の角度を0度とする。前後回転平面が外側に傾く場合に、AZ6軸の角度を正とする。前腕部回転角θAZ6は、例えば-100度≦θAZ6≦100度の範囲内の何れかの値をとることができる。
手首関節部29は、ハンド部26を2回転自由度で回転可能に前腕部25に接続する。手首関節部29は、2軸ジンバルである。手首関節部29は、前後方向回転平面および左右方向回転平面のそれぞれで前腕部25とハンド部26とがなす角度を変更できる。前後方向回転平面および左右方向回転平面は、どちらも前腕部25を含む平面であり、互いに直交する。EL6軸は、前後方向回転平面に直交する。EL6軸は、前後方向回転平面でハンド部26が回転することを可能にする回転軸である。XEL2軸は、左右方向回転平面に直交する。XEL2軸は、左右方向回転平面でハンド部26が回転することを可能にする回転軸である。前後方向回転平面が、前腕部回転軸(AZ6軸)を含む第1前腕平面である。左右方向回転平面が、AZ6軸を含み前後方向回転平面と直交する第2前腕平面である。前後方向回転平面および左右方向回転平面は、互いに直交しなくともよく、交差していればよい。第1前腕平面である前後方向回転平面は、AZ6軸を含まなくてもよい。第2前腕平面である左右方向回転平面は、AZ6軸を含まなくてもよい。前後方向回転平面と左右方向回転平面とは、互いに交差していればよい。
手首関節部29では、EL6軸の回りの回転による前後方向回転平面での回転角度は、ハンド部26を例えば-45度から60度まで回転できる。XEL2軸の回りの回転による左右方向回転平面での回転角度は、ハンド部26を例えば-60度から60度まで回転できる。EL6軸およびXEL2軸の回りの回転角度は、ハンド部26と前腕部25とが同一の直線上に存在する場合に、角度を0度とする。前後方向回転平面でハンド部26が前側に存在する場合に、EL6軸の回りの回転角度(ハンド第1傾斜角)を正とする。左右方向回転平面でハンド部26が外側に存在する場合に、XEL2軸の回りの回転角度(ハンド第2傾斜角)を正とする。ハンド第1傾斜角δEL6は、例えば-45度≦δEL6≦60度の範囲内の何れかの値をとることができる。ハンド第2傾斜角δXEL2は、例えば-60度≦δXEL2≦60度の範囲内の何れかの値をとることができる。
肘関節部28で前腕部25が前腕部回転軸(AZ6軸)の回りに回転するので、ハンド部26は前腕部25に対する向きを大きく変更できる。手首関節部29では、互いに直交する前後方向回転平面および左右方向回転平面で前腕部25とハンド部26との接続角度を変更できるので、ハンド部26を前腕部25に対して意図する方向に向けることが容易である。手首関節部が、前腕部25に対してハンド部26を回転させ、ハンド部26が前腕部25となす角度を変更する方式の関節部である場合は、ハンド部26と前腕部25とがなす角度が180度に近い場合(前腕部25が延在する方向にハンド部26が存在する場合)には、ハンド部26を前腕部回転軸の回りに大きく回転させる必要があり、ハンド部26を前腕部25に対して意図した方向に向けることが難しくなる。
手首関節部を、ハンド部26が前腕部25となす角度だけを変更するようにしてもよい。その場合には、手首関節部での回転自由度が1回転自由度でよく、手首関節部を簡素にできる。肘関節部28で前腕部25が前腕部回転軸(AZ6軸)の回りに回転するので、ハンド部26は前腕部回転軸に対する回転可能範囲は、手首関節部で必要な範囲にできる。ただし、ハンド部26と前腕部25とがなす角度が180度に近い場合には、ハンド部26を前腕部回転軸に対して意図した方向に向けることが難しくなる。
腕基部関節部は、2回転自由度を有してもよい。肩関節部27は、1回転自由度あるいは3回転自由度を有してもよい。肘関節部28は、1回転自由度あるいは3回転自由度を有してもよい。手首関節部29は、1回転自由度あるいは3回転自由度を有してもよい。腕基部関節部の回転自由度、肩関節部27の回転自由度、肘関節部28の回転自由度、手首関節部29の回転自由度の合計は、6回転自由度あるいは8回転自由度でもよい。
肩関節部27は、肩関節構造部27A、モータ27B、モータ設置部27Cおよび回転軸部材27Dを有する。回転軸部材27Dは、EL4軸に平行な棒状の部材である。回転軸部材27Dに、上腕部24が接続する。回転軸部材27Dが回転すると、上腕部24がEL4軸の回りを回転する。上腕部24を、AZ5軸の回りに回転させる機構は、上腕部24に設けられる。
肩関節構造部27Aおよびモータ設置部27Cは、回転軸部材27Dを回転可能に保持する部材である。回転軸部材27Dは、肩関節構造部27Aに垂直である。基準状態では肩関節構造部27Aは前後方向に水平に延在し、回転軸部材27Dは下方に延在する。肩関節構造部27Aは、フランジを有する円筒と、腕接続部19側に接続した直方体とを有する形状である。肩関節構造部27Aの円筒を前方から見ると、フランジの部分は、円の左右の対向する部分を直線で切り取った形状である。モータ設置部27Cも、フランジを有する円筒状の形状である。フランジは、肩関節構造部27Aおよびモータ設置部27Cで同じ形状である。肩関節構造部27Aの円筒のフランジおよびモータ設置部27Cのフランジは、互いに接合する。モータ設置部27Cには、その内部にモータ27Bが設置される。モータ27Bは、回転軸部材27Dを回転させる動力を発生する。モータ設置部27Cの内部には、モータ27Bの回転トルクを回転軸部材27Dに伝えるギアも収納される。
上腕部24は、関節接続部24A、中間円筒部24B、フタ24Cおよび下側円柱24Dを有する。関節接続部24Aは、肩関節部27が有する回転軸部材27Dと接続する四角い棒状の部分を有する部材である。回転軸部材27Dと関節接続部24Aは、一体に形成される。関節接続部24Aは、四角い棒状の部分の下側に円柱状の部分を有する。円柱状の部分は、中間円筒部24Bの内部に回転可能に挿入される。中間円筒部24Bが関節接続部24Aに対して回転することで、上腕部24がAZ5軸の回りを回転する。
関節接続部24Aは、肩関節構造部27Aに設けられた開口を通る。肩関節構造部27Aに設けられた開口は、基準状態では下側を向く。関節接続部24Aの角棒の部分が開口と接触することで、肩関節部27において左右方向の回転角度が制限される。肩関節部27は、上腕部27を下に向けた状態から左右方向の外側に回転させる場合は、上腕部27が水平に近い角度になるまで回転できる。
中間円筒部24Bには、背面側に開口が設けられる。背面側の開口は、中間円筒部24Bの内部のモータなどをメンテナンスなどするために設けている。フタ24Cは、中間円筒部24Bの開口をふさぐ。中間円筒部24Bの上側の内部には、関節接続部24Aに対して中間円筒部24Bを回転させるモータやギアが収納される。肘関節部28で使用するモータ24E(図示せず)も、中間円筒部24Bの下側の内部に収納される。モータ24Eの回転軸は、中間円筒部24Bの下側から外部に出る。
下側円柱24Dは、中間円筒部24Bの下側に接続する。下側円柱24Dは、中間円筒部24Bよりも径が小さい円筒である。関節接続部24A、中間円筒部24Bおよび下側円柱24Dは、1本の直線上に存在する。下側円柱24Dは、肘関節部28が有する回転軸保持ヨーク28Aに接続する。
肘関節部28は、2回転自由度で前腕部25を上腕部24に接続する。肘関節部28は、前腕部25を通る前腕部回転軸(AZ6軸)の回りの回転と、上腕部24と前腕部25とがなす角度を変更する回転とを可能にする。肘関節部28は、回転軸保持ヨーク28A、回転軸部材28B、ウォームホイール28C、ウォーム28D、ギア部28E、モータ28F、ギア部28G、モータ収納部28Hおよびギアカバー28Jを有する。ウォームギア機構を使用しているので、肘関節部28で前腕部25と上腕部24とがなす角度は、電力の供給が途絶えた場合でも維持できる。
回転軸部材28Bは、前腕部25と上腕部24との間の角度を変更する回転軸(EL5軸)を構成する軸部材である。回転軸部材28Bに前腕部25が接続する。回転軸部材28Bは、上腕部24に対して直交する方向に延在する。回転軸保持ヨーク28Aは、回転軸部材28Bを回転可能に保持する。回転軸保持ヨーク28Aは、回転軸部材28Bが貫通する2枚の対向する板状の部分と、2枚の板の上部を接続する板状の部分を有する形状である。回転軸保持ヨーク28Aは、上側の板状の部分で下側円柱24Dに接続する。
図35に示すように、ウォームホイール28C、ウォーム28Dおよびギア部28Eは、上腕部24の内部に収納されたモータ24Eにより回転軸部材28Bを回転させる機構を構成する。ウォームホイール28Cは、回転軸部材28Bに取り付けられている。ウォームホイール28Cが回転することで、回転軸部材28Bが回転する。ウォームホイール28Cは、肘関節部28の左右方向の外側に存在する。ギア部28Eは、モータ24Eの回転により回転する。ギア部28Eは、中間円筒部24Bの下面に平行に設置される。ギア部28Eは、モータ24Eの回転軸と噛み合うギアと、ウォーム28Dと噛み合うギアとを有する。ウォーム28Dは、中間円筒部24Bが延在する方向に存在する。ウォーム28Dは、中間円筒部24Bに近い側でギア部28Eと噛み合う。また、中間円筒部24Bから遠い側で、ウォーム28Dはウォームホイール28Cと噛み合う。ギアカバー28Jは、ウォームホイール28C、ウォーム28Dおよびギア部28Eを覆うカバーである。
モータ24Eが回転すると、モータ24Eの回転がギア部28Eによりウォーム28Dに伝えられて、ウォーム28Dが回転する。ウォーム28Dが回転すると、ウォームホイール28Cおよび回転軸部材28Bが回転して、前腕部25と上腕部24とがなす角度が変化する。
図34に示すように、モータ28F、ギア部28Gおよびモータ収納部28Hは、前腕部25に設けられる。モータ28F、ギア部28Gおよびモータ収納部28Hは、肘関節部28において前腕部25を通る前腕部回転軸の回りに前腕部25を回転させる機構を構成する。モータ28Fは、前腕部25を回転させる動力を発生する。ギア部28Gは、モータ28Fの回転により前腕部25を回転させるためのギアである。モータ収納部28Hは、モータ28Fを収納する。ギア部28Gの外形は、フランジを有する円筒状である。モータ収納部28Hは、ギア部28Gの手首側に接続する。モータ収納部28Hは、モータ28Fを挟む2個の側面と、側面をつなぐ底面とを有する部材である。ギア部28Gは、モータ28Fと前腕基部25B(後述)の間に存在する。ギア部28Gの内部には、回転軸接続部25A(後述)、ギア機構およびモータ28Fの回転軸が存在する。ギア機構は、モータ28Fの回転により、前腕基部25Bを回転軸接続部25Aに対して回転させる機構である。
前腕部25は、回転軸接続部25A、前腕基部25B、前腕骨部25C、アクチュエータ構造部25D、ねじ棒保持部25Eおよびねじ棒保持部25Fを有する。回転軸接続部25Aは、回転軸部材28Bともに回転する部材である。回転軸接続部25Aと回転軸部材28Bは、一体に形成する。回転軸接続部25Aは、関節接続部24Aと同様な形状を有する。回転軸接続部25Aの形状は、肘関節部28が有する回転軸部材28Bと接続する円柱状の部分と、円柱状の部分の下側に接続する円筒状の部分とを有する形状である。前腕基部25Bは、フランジを有する円筒状の形状である。前腕基部25Bの上面の円形の開口に、回転軸接続部25Aの円筒状の部分が回転可能に挿入される。前腕基部25Bのフランジとギア部28Gのフランジとが接合されるギア部28Gは、前腕基部25Bよりもハンド部26が存在する側に存在する。モータ28Fが回転すると、ギア部28Gの内部に設けられたギア機構により、前腕基部25Bが回転軸接続部25Aに対して回転する。
前腕骨部25Cは、前腕基部25Bのハンド部26が存在する側に接続する角柱状の部材である。前腕骨部25Cの先端に、手首関節部29が設けられる。前腕基部25Bの下側には、外形が円筒状のギア部28Gが接続する。前腕骨部25Cは、ギア部28Gを貫通して手首側に延在する。
アクチュエータ構造部25Dは、手首関節部29において接続角度を変更する2個のアクチュエータを設置するための構造部材である。アクチュエータ構造部25Dは、前腕骨部25Cに固定される。アクチュエータ構造部25Dが固定される面は、基準状態で前腕骨部25Cの前側を向く面である。アクチュエータ構造部25Dは、手首関節部29の半分の断面がT字状であり、肘関節部28側がTの縦棒だけである形状を有する部材である。Tの縦棒だけの部分(縦板部)は、外形が円筒状のギア部28Gの外側およびフランジに接続する。ねじ棒保持部25Eは、アクチュエータ構造部25Dの断面がT字状であるハンド部26側の端部に取り付けられる。ねじ棒保持部25Fは、アクチュエータ構造部25Dの縦板部の端部および前腕基部25Bのフランジに接続する。ねじ棒保持部25Eおよびねじ棒保持部25Fの間に、2本のねじ棒が回転可能に保持される。
手首関節部29は、2回転自由度でハンド部26を前腕部25に接続する。手首関節部29は、交線が前腕部25を通る互いに直交する2平面のそれぞれで、ハンド部26と前腕部25との間の角度を変更する。交線が前腕部25を通る互いに直交する2平面は、前後方向回転平面および左右方向回転平面である。前後方向回転平面および左右方向回転平面は、アクチュエータ構造部25Dにより決まる平面に対して45度の角度をなす。図39に、手首関節部29の断面図を示す。図39は、図35に示すA-A断面での断面図である。
手首関節部29は、T字部材29A、T字部材保持ヨーク29B、T字部材保持部29Cおよび手首基部29Dを有する。T字部材29Aは、2回転自由度の接続を可能とするT字状の部材である。T字部材29Aは、前腕骨部25Cと手首基部29Dとを2回転自由度で接続する。T字部材保持ヨーク29Bは、前腕骨部25Cの先端に設けられる。T字部材保持部29Cは、手首基部29Dに設けられる。T字部材29AのTの横棒の部分をEL6軸が通り、Tの縦棒の部分をXEL2軸が通る。T字部材29AのTの横棒の部分は円柱状であり、Tの横棒の部分の円柱の中心がEL6軸である。T字部材29AのTの縦棒の部分は円柱状であり、Tの縦棒の部分の円柱の中心がXEL2軸である。T字部材29Aでは、EL6軸とXEL6軸が同一平面上に存在する。
T字部材保持ヨーク29Bは、2枚の対向する板材と、前腕骨部25C側で2枚の板材をつなぐ板材とを有する部材である。T字部材保持ヨーク29Bは、T字部材29AのTの横棒の両端を回転可能に保持する。ベアリング29E(図39に図示)は、T字部材保持ヨーク29BとT字部材29Aとの間に存在して、両者を回転可能にする。T字部材保持部29Cは、T字部材29AのTの縦棒を回転可能に保持する部材である。ベアリング29F(図39に図示)は、T字部材保持部29CとT字部材29Aとの間に存在して、両者を互いに回転可能にする。T字部材保持部29Cは、等脚台形のような断面を有する部材である。T字部材保持部29Cの台形の下底側の側面に、T字部材29AのTの縦棒の部分が挿入される。手首基部29Dは、円盤状の部材である。ハンド部26が存在する側とは反対の側の手首基部29Dの面に、T字部材保持部29Cが垂直に接続する。T字部材29AのXEL2軸が延在する部分(Tの縦棒の部分)は、T字部材保持部29Cに回転可能に保持される。XEL2軸およびEL6軸は、円盤状の手首基部29Dに平行である。XEL2軸およびEL6軸の交点を、前腕部回転軸(AZ6軸)が通る。
T字部材保持部29Cには、前腕外側アクチュエータ35および前腕内側アクチュエータ36が有する固定長リンクの他端が回転可能に接続する。
前腕外側アクチュエータ35および前腕内側アクチュエータ36は、手首関節部29での回転角度を変更する。前腕外側アクチュエータ35と前腕内側アクチュエータ36は、同様な形状である。前腕外側アクチュエータ35および前腕内側アクチュエータ36は、それぞれ移動部材と、移動部材に一端が接続する固定長リンクを有する。2本の固定長リンクの他端が手首関節部29に接続する。手首関節部29は、一端が移動部材により移動する2本の固定長リンクにより駆動される。前腕外側アクチュエータ35および前腕内側アクチュエータ36は、前腕部25に設けられる。
前腕外側アクチュエータ35の構造を説明する。前腕外側アクチュエータ35は、ねじ棒35A、移動部材35B、レール35C、リンク35D、モータ設置板35E、モータ35F、ベルト35G、プーリ35Hおよびプーリ35Jを有する。ねじ棒35Aの両端は、ねじ棒保持部25Eおよびねじ棒保持部25Fに回転可能に保持される。ねじ棒保持部25Eおよびねじ棒保持部25Fでは、ねじ棒35Aを保持する部分に直方体状の部材を設けている。移動部材35Bは、ねじ棒35Aの雄ねじに噛み合う雌ねじが設けられた貫通穴を有する。レール35Cは、アクチュエータ構造部25Dの縦板部の側面に、ねじ棒35Aと平行に設けられる。移動部材35Bは、レール35Cを挟む部分を有する。移動部材35Bはレール35Cを挟むので、ねじ棒35Aが回転すると、移動部材35Bが回転することなくねじ棒35Aに沿って移動する。
モータ設置板35Eは、ハンド部26側に存在するねじ棒保持部25Eに設けられる。モータ設置板35Eは、前腕部25が延在する方向に対して略垂直に設けられる。モータ設置板35Eに垂直に、かつねじ棒35Aに平行に、モータ35Fがモータ設置板35に取り付けられる。ねじ棒35Aおよびモータ35Fの回転軸は、モータ設置板35に設けられた開口を通る。ベルト35G、プーリ35Hおよびプーリ35Jは、モータ35Fの回転をねじ棒35Aに伝える。プーリ35Hは、ねじ棒35Aに取り付けられる。プーリ35Jは、モータ35Fの回転軸に取り付けられる。ベルト35Gは、プーリ35Hおよびプーリ35Jにかけ渡される。モータ設置板35のモータ35Fが存在しない側に、プーリ35H、プーリ35Jおよびベルト35Gが設けられる。プーリ35Hおよびプーリ35Jがベルト35Gにより連結されているので、モータ35Fの回転軸が回転すると、ねじ棒35Aが回転する。
移動部材35Bは、ねじ棒35Aが延在する方向から見ると、1個の角を共有して互いに直交する2個の長方形を組み合わせて、共有する角を凹な円弧面により除いたような形状である。移動部材35Bの2個の長方形の部分の厚さは、同じである。別の言い方をすると、移動部材35Bは、2個の直方体を連結部材で結合したような形状を有する部材である。連結部材は、凹な円弧状の側面と2個の互いに直交する平面とを有する形状を有する部材である。移動部材35Bの1個の直方体には、ねじ棒35Aが貫通する。もう1個の直方体は、レール35Cを挟む。レール35Cを挟む側の直方体の部分にリンク35Dの一端が2回転自由度で回転可能に接続する。リンク35Dの長さは、一定で変化しない。リンク35Dは、ねじれを可能とする1回転自由度を有する。
リンク35Dの一端が移動部材35Bに回転可能に接続する箇所を、前腕外側リンク取付部J11と呼ぶ。前腕外側リンク取付部J11は、2軸ジンバルである。前腕外側リンク取付部J11では、移動部材35Bに回転可能に設けられたヨークがリンク35Dの一端に設けられた軸部材を回転可能に保持する。前腕外側リンク取付部J11のヨークは、アクチュエータ構造部25Dの縦板部に垂直に設けられる。
リンク35Dの他端は、ハンド部26(厳密には、T字部材保持部29C)に2回転自由度で回転可能に接続する。リンク35Dの一端がハンド部26に接続する箇所を、手外側リンク取付部J13と呼ぶ。手外側リンク取付部J13は、前腕外側リンク取付部J11と同様な構造である。
前腕内側アクチュエータ36は、ねじ棒36A、移動部材36B、レール36C、リンク36D、モータ設置板36E、モータ36F、ベルト36G、プーリ36Hおよびプーリ36Jを有する。リンク36Dの一端は、前腕内側リンク取付部J12により、2回転自由度で回転可能に移動部材36Dに接続する。前腕内側リンク取付部J12は、2軸ジンバルである。前腕内側リンク取付部J12は、前腕外側リンク取付部J11と同様な構造を有する。リンク36Dの他端は、手内側リンク取付部J14により、2回転自由度で回転可能に移動部材36Dに接続する。
前腕内側アクチュエータ36は、前腕外側アクチュエータ35と同様な構造を有する。前腕内側アクチュエータ36については、詳細な構造の説明を省略する。
前腕部25の裏側に、モータ35F、モータ28Fおよびモータ36Fを並行して配置している。そうすることで、前腕部25の幅および厚みを小さくできる。
腕部5では、ギア駆動による関節部とリンク駆動による関節部とを組み合わせるハイブリッド方式の駆動方式を採用している。2回転自由度を持たせる肩関節部では、1回転自由度は、上腕部を通り上腕部を回転させる。2回転自由度を有する肘関節部では、1回転自由度は、前腕部を通り前腕部を回転させる。そのため、腕部5をコンパクトにでき、ハンド部26が存在できる範囲を人間と同等以上にできる。ハイブリッド駆動方式は、腕部5が必要なパワーを出すことができ、かつ静かである。また、ハイブリッド駆動方式では、腕部5が有する各関節部を高精度に駆動することが可能になる。
スライド機構17により仰角が変化する際に、腕基部関節部22Aの接続角度が仰角と連動して変更するモード(腕部連動モードと呼ぶ)でもロボット1は動作できる。なお、仰角は、胴体部12が延在する方向と車両部基準面とがなす角度である。腕部連動モードでは、スライド機構17が仰角を変化させても、腕部5が延在する方向が変化しない。そのために、スライド機構17で仰角を変更する際に、腕基部関節部22Aでの接続角度をAZ4軸の回りに、仰角が変化する方向とは反対方向に仰角が変化する角度と同じ角度だけ変更する。つまり、スライド機構17で仰角をδ1だけ変更する場合に、腕基部関節部22AをEL4軸の回りにδ2(=-δ1)だけ回転させる。δ1は、仰角を変更する第1の角度である。δ2は、δ1と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度である。腕部連動モードでの制御装置60は、スライド機構17が仰角δを第1の角度δ1だけ変更する際に、第2の角度δ2(=-δ1)だけ腕基部回転角を変更するように腕基部関節部22Aを制御する腕部連動制御部である。
右目カメラ2および左目カメラ2の光軸の方向を変化させない機能と合わせて、胴体位置変更機構1Bで胴体部12の仰角を変更する場合でも、オペレータ90は腕部5、右目カメラ2および左目カメラ2を同じ方向に向けたままで操作することができる。仰角の変更に合わせて、腕部5の方向および右目カメラ2および左目カメラ2の視線方向を変更する操作をオペレータ90がすることが不要になる。
図40から図53を参照して、ハンド部26の構造を説明する。図40は、ハンド部26の斜視図である。図41から図46は、ハンド部26の正面図、右側面図、背面図、左側面図、平面図および底面図である。ハンド部26は、使用する際には指部が水平になる場合が多い。ここでのハンド部26の正面は、指部が水平になる状態で、指部が延在する方向と直交する方向とする。ハンド部26は、5本の指部を有する。ハンド部26は、1本の指部と並んだ4本の指部とが対向して配置される。1本の指部および4本の指部は、その間隔が増減するように直線的に移動する。5本の指部は、根元から指全体が回転可能である。図47から図51は、ハンド部26の変化した状態1から状態5を示す斜視図である。図52は、変化した状態5で電動ドライバを操作している斜視図である。
ハンド部26は、第1指部91と、並んだ4本の第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95、第1指接続部96、第2指接続部97、および手首接続部98を有する。第1指部91は、第3指部93に対向して配置される。第2指部92は、第3指部93に並んで配置される。第2指部92が並ぶ側とは反対の側に第3指部93に並んで、第4指部94が配置される。第3指部93が並ぶ側とは反対の側に第4指部94に並んで、第5指部95が配置される。第1指接続部96に、第1指部91が回転可能に接続する。第2指接続部97に、4本の指部である第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95がそれぞれ独立に回転可能に接続する。手首接続部98は、手首関節部29と接続する。第1指部91が人間の手の親指に対応し、第2指部92が人差指に対応し、第3指部93が中指に対応し、第4指部94が薬指に対応し、第5指部95が小指に対応すると考えることができる。
ハンド部26の構造を説明するために、以下のように第4の直交座標系を定義する。
X4軸:手首接続部98に垂直な軸。
Y4軸:指部が直線移動する方向に平行な軸。
Z4軸:4本の指部が並ぶ方向に平行な軸。
基準状態での指先の方向をX4軸の正の向きとし、第1指部91から第3指部93に向かう方向をY4軸の正の向きとし、第5指部95から第2指部92に向かう方向をZ4軸の正の方向とする。X4軸に平行な方向を指先方向と呼ぶ。X4座標値が大きい側を指先側と呼び、小さい側を指元側と呼ぶ。Z4軸に平行な方向を手幅方向と呼ぶ。Z4座標値が大きい側を第2指部側と呼び、小さい側を第5指部側と呼ぶ。Y4軸に平行な方向をスライド方向と呼ぶ。Y4座標値が大きい側を第3指部側と呼び、小さい側を第1指部側と呼ぶ。
第1指接続部96は、手首接続部98に対してスライド方向に移動可能である。第1指接続部96には、第1指部91が回転可能に接続する。第2指接続部97は、手首接続部98に対してスライド方向に移動可能である。第2指接続部97には、第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95が回転可能に接続する。第1指接続部96および第2指接続部97がスライド方向に移動する際には、連動して移動する。手首接続部98に対して移動する距離は、第1指接続部96および第2指接続部97で同じであり、移動方向は互いに反対である。
手首接続部98は、手基部98A、接続円柱部98B、第1レール98C、第2レール98D、ピニオン98E(図41に図示)、モータ98F(図示せず)を有する。手基部98Aは、Y4Z4平面に平行な板状の部材である。手基部98Aに、第1指接続部96および第2指接続部97が接続する。手基部98AをX4軸に平行な方向から見ると、Z4軸方向の長さとY4軸方向の長さの比が10:11程度の長方形である。接続円柱部98Bは、手首関節部29と接続する部材である。接続円柱部98Bは、手基部98Aの指元側の主面に接続する。接続円柱部98Bは、外形が円柱状であり、径は指先側で大きく、手首関節部29が存在する側で径が階段状に小さくなる。接続円柱部98Bは、手首関節部29が有する手首基部29Dに固定される。接続円柱部98Bの中心軸を、X4軸とする。接続円柱部98Bの中心軸は、手基部98AのZ4軸方向の中央であり、かつY4軸方向では少し第1指部91が存在する側である位置に存在する。第1レール98Cなどが設けられた手基部98Aの主面とX4軸との交点を、第4の直交座標系の原点とする。
接続円柱部98Bの中心軸(X4軸)は、手首関節部29が有する2個の回転軸であるEL6軸とXEL軸の交点を通る。EL6軸とXEL軸の交点には、前腕部回転軸(AZ6軸)も通る。そのため、手首関節部29は、X4軸がAZ6軸と一致する状態(X4軸がAZ6軸と同じ直線上に存在する状態)で、ハンド部26を前腕部25に接続することができる。X4軸がAZ6軸と一致する状態で前腕部25およびハンド部26を前腕部回転軸(AZ6軸)の回りに回転させると、ハンド部26はX4軸の回りを回転する。
第1レール98Cは、第1指接続部96がY4軸に平行な方向にスライドして移動するためのレールである。第2レール98Dは、第2指接続部97がY4軸に平行な方向にスライドして移動するためのレールである。第1レール98Cと第2レール98Dは、手基部98Aの指先側の主面に設けられる。第1レール98Cは、手基部98Aの主面の第2指部側の辺に沿って設けられる。第2レール98Dは、手基部98Aの主面の第5指部側の辺に沿って設けられる。ピニオン98Eは、X4軸の回りを回転するギアである。ピニオン98Eは、第1指接続部96に設けられた第1ラック96Aと第2指接続部97に設けられた第2ラック97Aと係合する。ピニオン98Eが回転すると、第1ラック96Aすなわち第1指接続部96と第2ラック97Aすなわち第2指接続部97とが、互いに反対方向に同じ距離だけ移動する。モータ98Fは、第1ラック96Aおよび第2ラック97Aがピニオン98Eに対して移動する動力を発生する。
ハンド部26は、第1指接続部96および第2指接続部97を移動させる移動機構ではなく、第1指接続部96または第2指接続部97のどちらかだけを移動させる移動機構を備えてもよい。ハンド部26は、第1指接続部96および第2指接続部97の少なくとも一方を移動させる移動機構を備えればよい。
第1指接続部96は、第1ラック96A、第1フレーム96B、第1把持部96C、第1指接続フレーム96Dを有する。第1フレーム96Bは、Y4Z4平面に平行な主面を有する外形が直方体のフレームである。第1ラック96Aは、第1フレーム96Bの第5指部側の側面の指元側の辺(Y4軸に平行)に沿って設けられる。第1把持部96Cは、第1レール98Cを把持する部材である。第1把持部96Cが第1レール98Cを把持することで、第1指接続部96が手基部98Aと分離することなく、第1レール98Cに沿って移動できる。第1把持部96Cは、第1フレーム96Bの指元側の主面の第2指部側の辺(Y4軸に平行)に沿って設けられる。第1指接続フレーム96Dは、第1指部91が回転可能に接続する部材である。第1指接続フレーム96Dは、第1フレーム96Bの第1指部側の側面に接続する。
第2指接続部97は、第2ラック97A、第2フレーム97B、第2把持部97C、第2指接続フレーム97D、掌肉部97Eを有する。第2フレーム97Bは、Y4Z4平面に平行な主面を有する外形が直方体のフレームである。第2フレーム97BのX4軸方向の長さは、第1フレーム96Bよりも少し短い。第2ラック97Aは、第2フレーム97Bの第2指部側の側面の指元側の辺(Y4軸に平行)に沿って設けられる。第2ラック97Aと手基部98Aとの距離は、第1ラック96Aと手基部98Aとの距離と同じである。第2把持部97Cは、第2レール98Dを把持する部材である。第2把持部97Cが第2レール98Dを把持することで、第2指接続部97が手基部98Aと分離することなく、第2レール98Dに沿って移動できる。第2把持部97Cは、第2フレーム97Bの指元側の主面の第5指部側の辺(Y4軸に平行)に沿って設けられる。第2指接続フレーム97Dは、第2指部92、第3指部93、第4指部95が回転可能に接続する部材である。第2指接続フレーム97Dは、第2フレーム97Bの第3指部側の側面に接続する。
第1レール98C、第1把持部96C、第2レール98D、第2把持部97C、第1ラック96A、第2ラック97A、ピニオン98Eおよびモータ98Fは、第1指部91と第3指部93の間隔が増減するように、第1指接続部96および第2指接続部97の少なくとも一方を手基部98に対して移動させる移動機構である指移動部を構成する。
ハンド部26が有する指移動部は、第1指接続部96および第2指接続部97を移動させる。指移動部としては、第1指接続部または第2指接続部の一方だけを手基部に対して移動させるものでもよい。
掌肉部97Eは、第2指接続フレーム97Dの第1指部側の側面に第2フレーム97Bよりも指先側の位置で接続する。掌肉部97Eは、手幅方向で第1指部91と対向する部分ではスライド方向に直方体状の切り欠き97Fを有する。切り欠き97Fは、第1指接続フレーム96Dに対して回転した第1指部91を収納できる。掌肉部97Eは、ハンド部26が物体を把持する際に、物体に指元側で接触する。掌肉部97Eは、第2指接続フレーム97Dに対して回転した第2指部92、第4指部94および第5指部95を指元側で支持する。
第2指部92、第4指部94および第5指部95のそれぞれは、手基部98Aに対して垂直な角度から掌肉部97Eに接触する角度までの範囲で回転できる。第1指部91は、手基部98Aに対して垂直な角度から第1フレーム96Bまたは第3指部93に接触する角度までの範囲で回転できる。第3指部93は、手基部98Aに対して垂直な角度から掌肉部97Eまたは第1指部91に接触する角度までの範囲で回転できる。
指部の構造を説明する。第1指部91は、指本体部91A、指先部91B、指内側部91C、指関節部91D、ウォームホイール91E(図48に図示)、ウォーム91F(図示せず)、モータ91G(図示せず)、距離センサ91Hおよび開口91Jを有する。指本体部91Aは、鋼板でできた指部の内側の面およびその両側の側面を有する形状である。第1指部91で内側とは、回転させる際に手基部98Aに向かう面である。第2指部92などでも同様に内側を定義する。指本体部91Aの側面は、指先側での高さが低く指元側で高さが高い。指本体部91Aは、指元側に側面よりも厚い底面を有する。指本体部91Aの指先側は開いている。指本体部91Aの底面の指元側には、手幅方向の幅が狭い鋼材の部分が存在する。
指先部91Bは、指本体部91Aの指先の内側に取り付けられた樹脂製の部材である。指先部91Bの表面には、2mm程度の高さの凹凸を設けており、指先部91Bと物体とがよりしっかりと接触するようにしている。指先部91Bは、物体を持つ際に物体に接触する十分な面積を有するようにしている。指内側部91Cは、指本体部91Aの内側の面に取り付けた樹脂製の部材である。指内側部91Cは、指先部91Bよりも薄い。
指関節部91Dは、第1指接続フレーム96Dに設けられたヨーク91DAが第1指部91に設けられた指節回転軸91DBを回転可能に保持する構成である。ウォームホイール91Eは、指節回転軸91DBとともに回転するように、指本体部91Aの指元側の底面に接続する。ウォーム91Fは、ウォームホイール91Eと嵌合する。ウォーム91Fは、第1指接続フレーム96Dに収納される。第1指接続フレーム96Dの指関節部91Dが存在する側の面に開口があり、その開口の中にウォームホイール91Eが入り、ウォーム91Fと嵌合する。モータ91Gは、ウォーム91Fを回転させる動力を発生する。
モータ91Gは、第1指接続フレーム96Dに収納される。第1指接続フレーム96Dには、モータ91Gの回転をウォーム91Fに伝えるギアも収納される。
距離センサ91Hは、指先部91Bと近くに存在する物体との距離を計測するセンサである。距離センサ91Hは、指本体部91Aおよびに設けられた開口91Jを通る光線を放射して物体との距離を計測する。距離センサ91Hは、第1指部91の指先に設けられた第1距離センサである。
第3指部93は、第1指部91と同様な構造を有する。第3指部93は、指本体部93A、指先部93B、指内側部93C、指関節部93D、ウォームホイール93E(図49に図示)、ウォーム93F(図49に図示)、モータ93G(図示せず)、距離センサ93H、開口93Jを有する。距離センサ93Hは、第3指部93の指先に設けられた第2距離センサである。本体部93Aは、鋼板製である。指先部93Bおよび指内側部93Cは、樹脂製である。指本体部93Aは、内側の面が段差を有する形状である。指本体部93Aの内側の面には、指先部93Bが設けられる部分と指内側部93Cが設けられる部分とに段差が存在する。指先部93Bが設けられる部分と、指内側部93Cが設けられる部分とは平行であるが、指先部93Bが設けられる部分の方が内側に存在する。ウォーム93Fおよびモータ93Gは、第2指接続フレーム97Dに収納される。
第4指部94および第5指部95は、第3指部95と同様な形状である。第4指部94および第5指部95は、距離センサおよび開口を有しない。第4指部94は、第2指部92が並ぶ側とは反対の側に第3指部93に並び、第2指接続部97に回転可能に接続する。第5指部95は、第3指部93が並ぶ側とは反対の側に第4指部94に並び、第2指接続部97に回転可能に接続する。
第2指部92は、第4指部94と同様な構造に加えて、指本体部92Aに沿って指元側に移動するスライド指先部92Kおよびその駆動機構を有する。第2指部92は、指本体部92A、指先部92B、指内側部92C、指関節部92D、ウォームホイール92E(図49に図示)、ウォーム92F(図49に図示)、モータ92G(図示せず)、スライド指先部92K、モータ収納部92L、モータ92M(図示せず)、ネジ棒92N(図45に図示)、溝92P(図45に図示)、ナット92Q(図示せず)を有する。スライド指先部92Kは、指本体部92Aの第3指部93に隣接しない側の側面に設けられる。スライド指先部92Kは、Z4軸の方向から見ると内側に曲がった形状である。スライド指先部92Kの曲がった先端の指先部92Bに垂直な方向での位置は指先部92Bの表面の位置とほぼ同じであり、第2指部92が延在する方向での位置は指先部92Bの指元側の端とほぼ同じである。そのため、第2指部92で物体を把持する際に、スライド指先部92Kは支障にはならない。スライド指先部92Kは、指本体部92Aに沿って指本体部92Aの長さの20%程度の距離を指元側に移動できる。スライド指先部92Kは、第2指部92の指先の第3指部93が並ぶ側とは反対の側に設けられた、第1指部91が存在する側(内側)に曲がった引っ掛け部である。
指本体部92Aは、内部にスライド指先部92Kを移動させる機構を収納しており、外形が角筒状である。指本体部92Aの第3指部93が並ぶ側ではない側の側面には、指本体部92Aの長さ方向に延在する溝92Pが設けられている。溝92Pの長さは、スライド指先部92Kが移動可能な長さとほぼ等しい。ネジ棒92Nは、溝92Pの中に設けられている。ネジ棒92Nは、指元側では指本体部92Aの内部に入る。指本体部92Aの内部にネジ棒92Nと嵌合する雌ネジを有する貫通穴が設けられたナット92Qが存在する。ナット92Qの指本体部92Aに対する長さ方向の位置は決まっており、ナット92Qが回転することで、指本体部92Aから出るネジ棒92Nの長さが変化する。モータ92Gは、ナット92Qを回転させる動力を発生させる。モータ収納部92Lは、モータ92Gを収納する。スライド指先部92Kを移動させる機構は、スライド指先部92Kを第2指部92に沿って第2指接続部97に近づける方向に移動させる引っ掛け部移動部である。
ハンド部26が有する移動可能な部分の個数は、7個である。ハンド部26では、第1指部91、第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95という5本の指部がそれぞれ回転する。第1指接続部96と第2指接続部97の間隔を変更できる。第2指部92が有するスライド指先部92Kが移動できる。ハンド部26は、簡素な構造である。例えば、5本の指部が2個の指関節部で曲がる場合は、少なくとも10個の駆動機構が必要になる。
第1指部91は、手基部98Aに対して垂直な位置から平行な位置まで回転できる。第1指部91が手基部98Aに対して平行な場合は、第1指部91は掌肉部97Eに設けられた切り欠き97Fの中に入る。第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95は、それぞれ独立に手基部98Aに対する角度を変更できる。第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95は、手基部98Aに垂直な位置から掌肉部97Eに接する位置まで回転できる。
図47に示す状態1では、第1指部91、第2指部93、第3指部93、第4指部94および第5指部95を手基部98Aに対して垂直にして、第1指部91の指先部91Bと第3指部93の指先部93Bを接触させることができる。状態1では、指先部91Bと指先部93Bの間に物体を挟んで持つことができる。状態1のハンド部26は、紙などの薄い物体も挟んで持つことができる。状態1のハンド部26では、4本の指部と第1指部91とで物体を挟むので、大きな物体でも挟むことができる。
図48に示す状態2では、第1指部91だけを手基部98Aに平行にして、第2指部93、第3指部93、第4指部94および第5指部95を手基部98Aに垂直にできる。状態2のハンド部26を、第2指部93、第3指部93、第4指部94および第5指部95の内側が上に向くように手首関節部29を回転させれば、ハンド部26が有する4本の指部の上に物体を載せることができる。また、4本の指部をスコップのように使用することもできる。
図49に示す状態3では、第1指部91だけを手基部98Aに対して垂直にして、第2指部93、第3指部93、第4指部94および第5指部95を掌肉部97Eに接触させている。状態3のハンド部26は、第1指部91の指先部91Bで、ボタンなどを押すことができる。
図50に示す状態4では、第1指部91および第3指部93を手基部98Aに対して垂直にして、第2指部93、第4指部94および第5指部95を掌肉部97Eに接触させている。状態4は状態1と同様に、指先部91Bと指先部93Bの間に物体を挟んで持つことができる。第2指部93、第4指部94および第5指部95を立てた状態では入らないような狭い空間にも、第1指部91および第3指部93の指先を入れて物体を持つことができる。
図51に示す状態5では、第1指部91を手基部98Aに対して垂直にして、第2指部93、第3指部93、第4指部94および第5指部95を傾斜させて、第3指部93の指先部93Bが第1指先部91Bに斜めに接触している。状態5のハンド部26は、図52に示すように、例えば電動ドライバのグリップを把持する際のハンド部26が取るべき状態である。図52に示すように、5本の指部で電動ドライバ40のグリップ41を把持する。さらに、第2指部92が有するスライド指先部92Kを電動ドライバ40のレバー42にかけた状態にして、スライド指先部92Kを指元側に移動させることで、レバー42を引くことができる。つまり、状態5のハンド部26は、例えば電動ドライバ40を使用できる。
図53は状態4のハンド部26を使用する例を示す図である。図53(A)に斜視図を示し、図53(B)に正面図を示す。状態4のハンド部26は、第1指部91の指先部91Bと第3指部93の指先部93Bの間に、正八角形の筒状の物体45を挟んで持っている。図53(B)に示すように、第1指部91および第3指部93が手基部98Aに対して垂直な状態では、指先部91Bおよび指先部93Bは平行になる。手基部98Aを回転させる回転軸(X4軸)が指先部91Bおよび指先部93Bの間の空間の中心を通る。この空間の中心は、第1指部91および第3指部93の指先の中間点でもある。ハンド部26をX4軸の回りに回転させる場合に、物体45の位置は変化しないで回転することになる。ハンド部26は、物体45を安定して容易に回転させることができる。
腕部5では、ハンド部26は前腕部25とともに肘関節部28が有する前腕部回転軸(AZ6軸)の回りに回転する。手首関節部29では、ハンド部26は接続円柱部98Bの中心軸(X4軸)の回りに回転できない。AZ6軸をX4軸の替わりに使用することで、腕部5はハンド部26をAZ6軸(X4軸)の回りに回転させることができる。そのためには、ハンド部26を前腕部回転軸(AZ6軸)の方向に向ける。すなわち、X4軸をAZ6軸と一致させる。別の言葉で言うと、X4軸とAZ6軸とが1個の直線上に存在するように、ハンド部26を前腕部25に接続する。そうすると、前腕部回転軸(AZ6軸)が手基部98Aを回転させる回転軸(X4軸)になる。この状態で、肘関節部26において前腕部25を前腕部回転軸(AZ6軸)の回りに回転させると、ハンド部26もX4軸の回りに回転する。このようにして、ロボット1は、工具の一種であるドライバなどをハンド部26で持って回転させることができる。このように、腕部5は、関節部の回転自由度の合計が7回転自由度であるが、ハンド部26を回転させる動作も含めて多様な動作をすることができる。
手首関節部を、ハンド部26を通る回転軸の回りにも回転可能な3回転自由度にしてもよい。その場合には、ハンド部26を前腕部25とは異なる方向に向けた状態でも、ハンド部26でドライバなどを持って回転させることができる。手首関節部が3回転自由度である場合は、肘関節部28で前腕部25が前腕部回転軸の回りに回転できなくてもよい。手首関節部が3回転自由度にする場合は、球面軸受けを使用するか、2軸ジンバルを回転可能に保持する部材を追加する必要があり、さらに関節部を駆動するリンクを3本にするなどが必要である。その結果、3回転自由度の手首関節部は、2回転自由度である手首関節部29よりも構造が複雑になる。
ハンド部26は、指回転モード、間隔変更モード、スライドモードの3個のモードで動作する。指回転モードでは、第1指部91が第1指接続部96との間の角度を変更でき、第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95のそれぞれが独立に第2指接続部97に対してなす角度を変更できる。間隔変更モードでは、第1指接続部96と第2指接続部97との間の間隔を変更できる。なお、図48に示す状態2では、第1指接続部96と第2指接続部97との間の間隔は変更できない。状態2は、第1指接続部96と第2指接続部97との間の間隔が最も広い場合に取ることができる。スライドモードでは、スライド指先部92Kを指元側に移動させることができる。ハンド部26およびハンド操作装置80の動作モードは、オペレータ90が足でモード切替ペダル9を操作することで容易に変更できる。そのため、オペレータ90はハンド部26およびハンド操作装置80の動作モードを変更することが、ハンド部26に物体を持つなどの状態を維持したままで可能である。モード切替以外の、ハンド部26を動かす操作指示は、ハンド操作装置80によりオペレータ90が入力する。ハンド操作装置80は、オペレータ90が手に持つ。ハンド操作装置80に、動作モードの切替のための釦やスイッチやレバーなどを設けてもよい。ハンド操作装置80については、後で説明する。
複数の動作モードで使用できるハンド部26は、複数の機能を有するハイブリッドなロボットハンドと考えることができる。ハンド部26は、移動可能な部分は7個だけという簡素な構造である。それでいながら、多くのバリエーションで物体を持たせたり、工具を使用したり、4本の指部で雪かきなどのような動作をさせたりと、多くの使用形態でハンド部26を使用できる。ハンド部26は、人がする作業に同等あるいは近い多くの作業をすることができる。ハンド部26、ハンド操作装置80および制御演算装置をセットにし、このセットだけを使用することが可能である。ハンド部26、ハンド操作装置80および制御演算装置のセットは、ロボットハンドを操作するロボットハンドシステムを構成する。
ハンド部26は、様々な形態で物体を把持できる。例えば、第1指部91と第3指部93とで物体を挟んで持つことができる。第1指部91と、第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95とで、物体を挟んで持つことができる。5本の指部を使用して物体を把持する場合には、物体が重い場合でも物体に働く回転モーメントを5本の指部で分散して受け止めて安定して物体をつかめる。工具などを把持して、工具を使用するために手首関節部29を回転させる場合に、回転モーメントに対する反力を5本の指部で受けることができる。第1指部91、第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95を適切に曲げて、物体の形状に適した持ち方で物体を持つことができる。通常のマニピュレータは、2本の指での把持だけが可能であるが、ハンド部26は2本から5本の指で物体を把持できる。平面を有しない物体でも、物体の形状に合わせて5本の指を適切に回転させて、物体を持つことができる。指をどの角度まで曲げるかはオペレータ90が判断して、オペレータ90がハンド部26を操作して適切な形状になるように、5本の指部、第1指接続部96および第2指接続部97を操作する。物体を持つ際に使用する指部の本数および各指部の角度を、物体に合わせて変更できるので、ハンド部26が持てる物体のバリエーションが大きく広がる。
人指し指に相当する第2指部92は、指先が内側に曲がって指元側に移動可能なスライド指先部92Kを有する。電動ドライバや放水ノズルなどを5本の指部で把持し、レバーにスライド指先部92Kを掛けて引く(指元側に移動させる)ことで、電動ドライバや放水ノズルなどを容易に操作できる。スライド指先部92Kを掛けることができれば、レバーなどはどのような形状でもよい。電動ドライバや放水ノズルなどを操作可能であり、かつ多様な形態で物体を持つことができるような他のロボットハンドまたはマニピュレータを、発明者らは知らない。
図54および図55を参照して、操作装置3の構成を説明する。図54は、操作装置3の使用状態での斜視図である。図54では、オペレータ90も図示する。図55は、操作装置3の斜視図である。図55では、オペレータ90は図示しない。操作装置3は、表示装置4、上体入力装置8、モード切替ペダル9、足操作入力装置10(図示せず)および制御演算装置60を有する。表示装置4は、現場カメラ2が撮影した画像、ロボット1および周囲環境の3次元モデルをオペレータ90が指定した視点から見た画像であるモデル画像などを表示する。制御演算装置60は、表示装置4に表示する画像を生成する機能を有する。表示装置4は、立体視表示が可能な表示装置でもよい。立体視表示とは、立体的に見えるように表示することである。立体視表示装置および他の種類の表示装置を併用してもよい。
上体入力装置8は、ロボット1の左右の腕部5および左右のハンド部26を操作するための操作指示を入力する装置である。モード切替ペダル9は、ハンド部26が動くモードの切り替えをオペレータ90が入力するために使用する。モード切替ペダル9は、オペレータ90が上体入力装置8に向かう姿勢をとる場合に、オペレータ90の右側に存在するものをモード切替ペダル9と呼び、左側に存在するものをモード切替ペダル9と呼ぶ。オペレータ90は、右足でモード切替ペダル9を踏み、左足でモード切替ペダル9Lを踏む。足操作入力装置10は、車両部1Wおよび腕部5を含まないヒューマノイド部1Hを操作するために、オペレータ90が足で操作する。足操作入力装置10は、日本特許出願である特願2020-57275(出願日:2020年3月27日)に記載されたものと同様なものを使用する。足操作入力装置10については、本明細書では説明しない。特願2020-57275は、特開2021-49633として2021年4月1日に公開公報が出されている。特願2020-57275の記載内容は、参照により本願に取り込まれる。
上体入力装置8は、国際特許出願であるPCT/JP2021/045527(出願日:2021年12月10日)に記載されたものと同様なものを使用する。PCT/JP2021/045527は、日本出願特願2020-205183(出願日:2020年12月10日)に優先権主張した出願である。PCT/JP2021/045527の記載内容は、参照により本願に取り込まれる。
上体入力装置8の構造を説明する。上体入力装置8は、アーム操作装置50、50、ハンド操作装置80、80、支持フレーム51を有する。オペレータ90はアーム操作装置50により、右の腕部5を操作する。アーム操作装置50により、左の腕部5を操作する。ハンド操作装置80により、右のハンド部26を操作する。ハンド操作装置80により、左のハンド部26を操作する。支持フレーム51は、アーム操作装置50、50を決められた位置に配置する。支持フレーム51の向って右側に、アーム操作装置50の上端が接続される。支持フレーム51の向って左側に、アーム操作装置50の上端が接続される。支持フレーム51は、アーム操作装置50、50の上端を椅子に座ったオペレータ90の胸よりも少し低い位置の前方に配置する。ハンド操作装置80は、アーム操作装置50の先端に接続する。ハンド操作装置80は、アーム操作装置50の先端に接続する。
制御演算装置60は、右用のアーム操作装置50から入力される操作指示に基づき右の腕部5を制御し、左用のアーム操作装置50から入力される操作指示に基づき左の腕部5を制御する。制御演算装置60は、右用のハンド操作装置80から入力される操作指示に基づき右のハンド部26を制御し、左用のハンド操作装置80から入力される操作指示に基づき左のハンド部26を制御する。
アーム操作装置50は、オペレータ90が腕および手で操作して各計測関節部の角度を変更する機械式の角度入力装置を用いる。ロボット1が有する関節部と区別するため、アーム操作装置50が有する関節部を計測関節部と呼ぶ。そのため、オペレータ90の癖などによらない安定したロボット1の腕部5(ロボットアーム)の操作が可能になる。加速度センサなどを使用するアーム操作装置では、バッテリの容量などにより駆動できる時間が制約される場合がある。また、加速度センサは、ドリフト等の発生で微小な角度差が発生する場合がある。アーム操作装置50は、各計測関節部の角度を機械式でオペレータ90が入力し、角度のデータに基づきロボット1の各関節部を制御するので、長時間にわたって動作する場合でも、安定的に腕部5を操作できる。
アーム操作装置50は、各計測関節部の角度を維持する(ロックする)機能を有する。腕部5に取らせるべき姿勢に対応するアーム操作装置50の姿勢を維持することが、オペレータ90の筋肉にとって負担になる場合は、アーム操作装置50が有する各計測関節部の角度維持機構(ロック機構)をONにする。そうすることで、オペレータ90は腕などを休めることができる。アーム操作装置50は、人と同様な合計7自由度の関節自由度を有するので、オペレータ90は自分の腕を動かすのと同様な感覚でアーム操作装置50を動かし、腕部5を操縦できる。アーム操作装置50は、オペレータ90が腕部5を操作する負担を従来よりも軽減できる。
アーム操作装置50が有するロック機構を働かせるかどうかのスイッチ(ロックスイッチ)は、ハンド操作装置80に設ける。ハンド操作装置80が有するロックスイッチは、アーム操作装置50をロックし、ロックを解除する。ハンド操作装置80が有するロックスイッチは、アーム操作装置50をロックし、ロックを解除する。ハンド操作装置80、80のどちらかのロックスイッチを操作することで、アーム操作装置50、50の両方をロックし、ロック解除できるようにしてもよい。ハンド操作装置80を、ロック可能にしてもよい。ハンド操作装置80をロックするとは、ジョイスティックが動いても操作指示を生成しないようにすることである。ハンド操作装置80をロックするロックスイッチをハンド操作装置80に設けてもよいし、ハンド操作装置80とは別に設けてもよい。ハンド操作装置80をロックするロックスイッチをハンド操作装置80に設ける場合は、ハンド操作装置80がロック中でもロックスイッチだけは操作できる。
ロックスイッチは、アーム操作装置50において、肩、肘および手首の計測関節部が動かないようにロックするロック状態とロックしない非ロック状態とを一律に切り替える。ロック状態では、アーム操作装置50が有する各計測関節部の角度が変化しない。非ロック状態では、アーム操作装置50が有する各計測関節部の角度が変化できる。ロックスイッチは、ハンド操作装置80とは別に設けてもよい。ロックスイッチは、オペレータ90が足で操作するものでもよい。
図56から図58を参照して、ハンド操作装置80の構造を説明する。ハンド操作装置80とハンド操作装置80は、同様な構造である。ハンド操作装置80とハンド操作装置80は、人間の右手と左手のように互いに鏡像の関係にある。図56は、オペレータ90が左手で操作して左のハンド部26を動かすハンド操作装置80の斜視図である。図57と図58は、ハンド操作装置80の別の方向から見た斜視図である。図では、アーム操作装置50の下端付近も図に描いている。
図56から図58では、ハンド操作装置80を基準とする直交座標系であるUVW座標系も示す。U軸は、ハンド操作装置80の厚み方向の軸である。オペレータ90の手がある側をU軸の正の向きとする。V軸は、ハンド操作装置80の前後方向の軸である。V軸の正の向きは、前から後ろに向かう方向とする。W軸は、ハンド操作装置80の高さ方向の軸である。W軸の正の向きは、下から上に向かう方向とする。
ハンド操作装置80は、第1ジョイスティック81、第2ジョイスティック82、第3ジョイスティック83、第4ジョイスティック84、第5ジョイスティック85、本体部86および手装着部87を有する。第1ジョイスティック81、第2ジョイスティック82、第3ジョイスティック83、第4ジョイスティック84および第5ジョイスティック85は、ハンド部26が有する第1指部91、第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95にそれぞれ対応する。本体部86は、オペレータ90が把持する部分である。手装着部87は、本体部86の外側(オペレータ90の手の甲側)の主面に設けられる。手装着部87にオペレータ90が手を入れることで、オペレータ90が本体部86を握っていなくても、オペレータ90の手から本体部86が離れなくなる。
本体部86は、正面から見ると略長方形、側面から見ると四角形の1辺をその途中で30度弱折り曲げたような略五角形である。ハンド操作装置80では、5個のジョイスティックを、人間の手の5本指で操作しやすい位置に配置する。オペレータ90は親指で、第1ジョイスティック81を操作する。人指し指で第2ジョイスティック82を操作する。中指で第3ジョイスティック83を操作する。薬指で第4ジョイスティック84を操作する。小指で第5ジョイスティック85を操作する。指回転モードでは、第1ジョイスティック81を操作すると、第1指部91が動く。第2ジョイスティック82を操作すると、第2指部92が動く。第3ジョイスティック83を操作すると、第3指部93が動く。第4ジョイスティック84を操作すると、第4指部94が動く。第5ジョイスティック85を操作すると、第5指部95が動く。複数のジョイスティックを同時に操作すれば、複数の指部が同時に動く。
モード切替ペダル9、9により、オペレータ90はハンド部26およびハンド操作装置80の動作モードを切り替える。ハンド部26およびハンド操作装置80は、動作モードが切り替えられると、切り替えられた動作モードで動作する。左右のハンド部26は同じ動作モードで動作する。ハンド操作装置80を操作すると、右のハンド部26が動く。ハンド操作装置80を操作すると、左のハンド部26が動く。例えば、モード切替ペダル9、9のどちらも踏んでいない場合は、ハンド操作装置80、80を操作することで、左右のハンド部26は指回転モードで操作できる。例えば、モード切替ペダル9だけを踏んでいる場合は、ハンド操作装置80、80を操作することで、左右のハンド部26は間隔変更モードで操作できる。例えば、モード切替ペダル9だけを踏んでいる場合は、ハンド操作装置80、80を操作することで、左右のハンド部26はスライドモードで操作できる。例えば、モード切替ペダル9、9を同時に踏んでいる場合は、ハンド操作装置80、80を操作することで、左右のハンド部26は指回転モードで操作できる。
ハンド操作装置80では、ジョイスティックを操作することで対応する指部を回転させる。ジョイスティックを傾けていないときは、指部は回転しない。オペレータ90は、指部を意図する角度まで回転させるまでジョイスティックを傾け、意図する角度になるとジョイスティックから指を離す。このようなオペレーションで、オペレータ90は容易に各指部を意図する角度にすることができる。ジョイスティックを動かす速度に応じて単調非減少に決められた速度で、ジョイスティックに対応する指部が回転する。例えば、第1ジョイスティック81を速く動かすと、第1指部91が速く動く。第1ジョイスティック81をゆっくり動かすと、第1指部91がゆっくり動く。他のジョイスティックと対応する指部でも同様である。そのため、速く動かしたい場合、意図した角度に正確に動かしたい場合のどちらでも容易に、オペレータ90は指を回転させることができる。
間隔変更モードでは、例えば第1ジョイスティック81により第1指接続部96および第2指接続部97を制御する。第1ジョイスティック81を左右方向でオペレータ90の掌に近づく向き(U軸の正の向き)に傾けると、第1指接続部96と第2指接続部97の間隔が広がる方向に第1指接続部96および第2指接続部97が移動する。第1ジョイスティック81を左右方向でオペレータ90の掌から離れる向き(U軸の負の向き)に傾けると、第1指接続部96と第2指接続部97の間隔が狭まる方向に第1指接続部96および第2指接続部97が移動する。ただし、第1指部91の回転角度が閾値以下の場合は、間隔変更モードで第1ジョイスティック81を操作しても、第1指接続部96および第2指接続部97は移動しない。第1指部91の回転角度は、第1指部91が第1フレーム96Bの上面と平行になる場合にゼロ度とする。閾値は、例えば3度などのように適切に決める。
第1指接続部96と第2指接続部97の間隔が可能な範囲の最大になると、それ以上には間隔は広がらない。第1指接続部96と第2指接続部97の間隔が可能な範囲の最小になると、それ以上には間隔は狭まらない。第1指部91および第3指部93の少なくとも一方が手基部98Aに対して垂直ではない場合は、第1指部91と第3指部93が接触すると、それ以上には間隔は狭くすることはできない。
ハンド部26では、指回転モードと間隔変更モードの切替は、5本の指部の状態によらず可能である。指部を回転させた後に間隔を変更し、さらに指部を回転させることができる。間隔を変更した後に、指部を回転させ、さらに間隔を変更できる。なお、第1指部91と第3指部93が接触する状況では、第1指部91および第3指部93は接触を解消する側への回転または移動だけができる。
物体を把持するために、例えばオペレータ90は以下のような手順で操作する。指回転モードで、第1指部91の第1指接続部96に対する角度を意図した角度にする。第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95のそれぞれの第2指接続部97に対する角度を意図した角度にする。その後、間隔変更モードで、第1指接続部96と第2指接続部97の間隔が意図する距離になるまで、第1指接続部96および第2指接続部97を移動させる。指回転モードに戻して、第1指部91、第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95の角度を微調整する。必要であれば、さらに間隔変更モードで、第1指接続部96と第2指接続部97の間隔を変更する。
物体によっては、先に間隔変更モードで、第1指接続部96と第2指接続部97の間隔が意図する距離になるまで、第1指接続部96および第2指接続部97を移動させる。その後、指回転モードで、第1指部91を第1指接続部96に対して意図した角度にする。第2指部92、第3指部93、第4指部94および第5指部95のそれぞれを第2指接続部97に対して意図した角度にする。
ハンド部26は、第1指部91と第3指部93との2本の指部で、物体を把持できる。さらに、ハンド部26は、第2指部92、第4指部94および第5指部95の内の少なくとも1本の指部を加えた3本から5本の指部で、物体を把持できる。
スライドモードでは、例えば第2ジョイスティック82によりスライド指先部92Kを移動させることを制御する。第2ジョイスティック82を左右方向でオペレータ90の掌から離れる向き(U軸の負の向き)に傾けると、スライド指先部92Kが掌肉部97Eに近づく向きに移動する。第2ジョイスティック82を左右方向でオペレータ90の掌に近づく向き(U軸の正の向き)に傾けると、スライド指先部92Kが掌肉部97Eから離れる向きに移動する。第2ジョイスティック82を傾斜させている間は、スライド指先部92Kは移動する。力が加えられなくなり第2ジョイスティック82が垂直な位置に戻ると、スライド指先部92Kは移動を停止する。第2ジョイスティック82を傾斜させる速度に応じて、スライド指先部92Kが移動する速度が変化する。傾斜させる速度に応じて、スライド指先部92Kが移動する速度は単調非減少に決められる。第2ジョイスティック82を速く傾斜させると、スライド指先部92Kが速く移動する。第2ジョイスティック82をゆっくり傾斜させると、スライド指先部92Kがゆっくり移動する。
ハンド部26は、スライドモードでも動作するので、電動ドライバや放水ノズル等のグリップを把持して操作レバーにスライド指先部92Kを引っ掛けた状態で、スライド指先部92Kを指元側に移動させることで、電動ドライバや放水ノズル等を操作できる。電動ドライバや放水ノズル等の操作する場合に、ハンド部26を付け替えることは不要である。
ハンド部26が有する指部を操作するためにジョイスティックを使用することで、オペレータ90の負担を従来よりも軽減できる。ジョイスティックを使用することで、物体を把持した状態をキープすることが容易になる。ジョイスティックを操作しない場合に、指部はその時点の状態を保持できる。そのため、オペレータ90は操作中に手および神経を休めることができる。ジョイスティックを使用することで、物体を把持する、あるいは物体を手放すなどの操作を、オペレータ90がON/OFF制御の感覚で実施できる。
動作を説明する。ロボット1を収納姿勢にして、作業する場所まで移動させる。作業する場所に着くと、胴体位置変更機構1Bおよび腕部5を操作して、ハンド部26を作業対象の物体の近くに移動させる。ハンド部26および腕部5を操作して、ロボット1に物体を扱わせる。ある場所での作業が終了し、別の作業場所に移動する場合は、ロボット1を収納姿勢にして、次の作業場所に移動させる。こうして、すべての場所での作業を実施する。すべての作業が終了した後は、ロボット1を収納姿勢にして保管場所に移動させる。
ロボット1は、腕接続部19からハンド部26までの間に障害物が存在する場合も、2本の腕部5を適切に曲げることで障害物を避けて物体を扱うことができる。障害物の位置が操作対象の物体とロボット1の間において腕接続部19よりも近い側に存在する場合も、障害物を避けて物体を扱うことができる。その場合には、胴体部12が延在する方向を障害物が存在しない方向に向け、2本の腕部5を物体に向けることで、ロボット1は物体を扱うことができる。なお、障害物が存在しない方向に胴体部12を向けた姿勢で、腕部5が届く範囲に物体が存在する必要がある。
ロボット1は、ロボットの高さを低くする姿勢(収納姿勢)においてロボットの高さを従来よりも低くできる。特許文献5のロボットでは、胴体支持アームと胴体支持部が上下に重なるように配置する必要があり、ロボットの高さを低くすることが難しい。
本開示に係るロボットおよびロボット操作システムでは、予期しない事象が発生する状況でも、その状況に適した動作をロボットが取れるように、オペレータの判断により遠隔操作ができる。人工知能技術を応用した自律型のロボットでは対応できないような多様な環境において、本開示に係るロボット操作システムによれば、オペレータが臨機応変な作業指示ができるようになる。本開示に係るロボット操作システムは、オペレータがロボットを操作する負担を従来よりも軽減できる。
本開示に係るロボットおよびロボット操作システムの適用先は、非常に多岐にわたる。例えば、以下が考えられる。
・人命に係る危険作業で人間の代替作業を必要とされる分野。
・省人化を要求される分野。介護分野や農業分野など。
・テレワークの実現を図る遠隔操作事業分野。
例えば、以下のような作業に使用することが期待される。
・地雷、爆弾などを処理する作業。
・テロ対応時などの人命に関わる危険な作業。
・事故が発生した原子力発電所での作業。
・化学物質等での長時間作業が不可能な作業環境での作業。塗装作業など。
・介護現場での人を補助あるいは支援する作業。
・農作業における各種作業。
・警備、監視作業。例えば、無人施設での24時間にわたる警備業務など。
上に例を示したどの作業も、その時の状況に応じた判断が必要であり、ロボットだけでは対応できないような作業である。ロボットが人工知能を有していたとしても、ロボットだけでは対応することは現在の技術では難しい。これらの作業では、作業内容をあらかじめ決めることができない。これらの作業は、予測不可能な事態が発生し、臨機応変な判断が必要となる作業である。状況に応じて状況に適切な多様な作業を、ロボットができるようにするためには、人の判断を利用する遠隔操作が必要である。両手を使用する細かい様々な作業まで、人がロボットを遠隔操作できるようになれば、社会的に非常に有益である。本開示に係るロボットおよびロボット操作システムは、両手を使用する細かい作業を含む多種多様な作業を、人がロボットを遠隔操作できるようにするものである。
また、重要施設などを警備する分野でも、ロボット操作システムは活用できる。無人通信局や無人駅などの無人施設での、24時間警備などに適用できる。必要な場合に、人によりロボットを遠隔操作することで、例えば、監視、警備業務での業務の質を向上させることができる。
ロボットは、クローラではなく通常の車輪で移動するロボットでもよい。車輪が回転することで移動するものであれば、車両部はどのようなものでもよい。ヒューマノイド部は、2本の腕部と、2本の腕部が接続する胴体部を有するものであれば、どのようなものでもよい。車両部、胴体部および車両部に対する胴体部の位置を変更可能に胴体部を支持する胴体位置変更機構を有するロボットであればよい。胴体位置変更機構は、伸縮機構を有さないものでもよい。伸縮機構を有さない場合は、第1リンクが胴体部を支持する。
実施の形態の変形や一部の構成要素を省略すること、変形や省略の自由な組み合わせが可能である。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
2本の腕部と、
2本の前記腕部が接続する胴体部と、
車輪が回転することで移動する車両部と、
前記車両部に対する前記胴体部の位置を変更可能に、前記胴体部を支持する胴体位置変更機構とを備え、
前記胴体位置変更機構は、
前記車両部と交差する方位角軸に垂直な平面である車両部基準面と前記胴体部が延在する方向とがなす角度である仰角を変更可能に、前記胴体部を支持する仰角変更機構と、
前記方位角軸の回りに回転可能に前記仰角変更機構を支持する、前記車両部に設けられた方位角変更機構とを有し、
前記仰角変更機構は、
前記方位角変更機構に支持される基部と、
前記基部の上側で前記車両部基準面に平行な直線に沿って移動する移動部と、
前記移動部に下端が回転可能に接続し、前記車両部基準面と前記仰角をなす方向に延在し、前記胴体部を支持する第1リンクと、
前記第1リンクに、上端が回転可能に接続する第2リンクと、
前記第2リンクの下端が回転可能に接続する、前記基部に設けられたリンク下端支持部とを有する、ロボット。
(付記2)
前記移動部が移動する直線よりも下側に前記リンク下端支持部が存在する、付記1に記載のロボット。
(付記3)
前記移動部が移動できる範囲である移動可能範囲を前記移動部が移動する各状態での前記仰角の最小値である仰角最小値が決められた最小仰角許容値以下になり、
前記移動可能範囲を前記移動部が移動する各状態での前記仰角の最大値である仰角最大値が決められた最大仰角許容値以上になり、
前記移動可能範囲を前記移動部が移動する各状態での、前記胴体部の決められた個所の前記車両部基準面からの距離であるロボット高の最小値であるロボット高最小値が決められたロボット高許容値以下になる、付記1または付記2に記載のロボット。
(付記4)
決められた前記移動可能範囲で、前記ロボット高最小値が最小になるように、前記第1リンクにおける前記移動部との接続箇所と前記第2リンクとの接続箇所の間の距離、第2リンクにおける第1リンクとの接続箇所と前記リンク下端支持部の間の距離、前記移動部が移動する直線と前記リンク下端支持部の高さの差、および前記リンク下端支持部と前記方位角軸の間の距離が決められている、付記3に記載のロボット。
(付記5)
前記胴体部を支持し、前記第1リンクに支持される胴体支持部と、
前記胴体支持部を前記第1リンクに沿って移動可能にする伸縮機構とを備えた付記1から付記4の何れか1項に記載のロボット。
(付記6)
前記胴体部の上側に設けられたカメラと、
前記胴体部と交差する頭部回転軸の回りに回転可能に前記胴体部に支持され、前記頭部回転軸に垂直な胴体部基準面と前記カメラの光軸とがなす角度である視線仰角を変更可能に前記カメラを支持する首部と、
前記頭部回転軸の回りに回転可能に、前記首部を前記胴体部に接続する頭部回転部と、
前記視線仰角を変更可能に、前記カメラを前記首部に接続する視線仰角変更部とを備えた付記1から付記5の何れか1項に記載のロボット。
(付記7)
前記仰角変更機構が前記仰角を第1の角度だけ変更する際に、前記第1の角度と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度だけ前記視線仰角を変更するように前記視線仰角変更部を制御する視線連動制御部を備えた付記6に記載のロボット。
(付記8)
胴体部基準面に平行な腕基部回転軸の回りに回転可能に、2本の前記腕部のそれぞれを前記胴体部に接続する2個の腕基部関節部を備え、
前記仰角変更機構が前記仰角を第1の角度だけ変更する際に、前記第1の角度と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度だけ、前記腕部が延在する方向と前記胴体部基準面とがなす角度である腕基部回転角を変更するように前記腕基部関節部を制御する腕部連動制御部を備えた付記1から付記6の何れか1項に記載のロボット。
(付記9)
前記胴体部基準面に平行な腕基部回転軸の回りに回転可能に、2本の前記腕部のそれぞれを前記胴体部に接続する2個の腕基部関節部を備え、
前記仰角変更機構が前記仰角を前記第1の角度だけ変更する際に、前記第2の角度だけ、前記腕部が延在する方向と前記胴体部基準面とがなす角度である腕基部回転角を変更するように前記腕基部関節部を制御する腕部連動制御部を備えた付記7に記載のロボット。
100 ロボット操作システム、
1 クローラ移動ロボット(ロボット)、
1W 車両部、
1WA サイドカバー、
1H ヒューマノイド部、
1B 胴体位置変更機構、
2、2、2、2 現場カメラ、
右目カメラ、
左目カメラ、
広角カメラ、
3 操作装置、
4 表示装置、
5 腕部(ロボットアーム)、
6 無線通信装置、
7 バッテリ、
8 上体入力装置、
9、9、9 モード切替ペダル、
10 足操作入力装置、

11 頭部、
11A 頭部カバー、
11B 胴体接続部、
11C 首部、
11D カメラ保持部、
11E 仰角軸受部、
11F プーリ(頭部回転部)、
11G 駆動プーリ(頭部回転部)、
11H 駆動ベルト(頭部回転部)、
11J モータ(頭部回転部)、
11K プーリ(視線仰角変更部)、
11L 駆動プーリ(視線仰角変更部)、
11M 駆動ベルト(視線仰角変更部)、
11N モータ11(視線仰角変更部)、

12 胴体部、
13、13、13 クローラ移動部、
14 車輪、
15 クローラ、

16 車両接続部(方位角変更機構)、
16A 車両側固定部、
16B 車両側プーリ、
16C 回転側基部、
16D スライド機構基部(基部)、
16E 駆動機構収納部、
16F ベアリング、
16G 駆動ベルト、
16H モータ、
16J 駆動ギア、
16K 移動側プーリ、
16L 回転側保持穴、

17 スライド機構(仰角変更機構)、
17A 第1リンク、
17B スライド移動部材(移動部)、
17C 第2リンク、
17CA リンク部、
17CB 連結部、
17D レール、
17E レール把持部、
17F ネジ棒、
17G ナット、
17H モータ、
17J 駆動機構収納部、
17K 保護板、

18 伸縮機構、
18A 伸縮移動部材(胴体支持部)、
18B レール、
18C レール把持部、
18D ネジ棒、
18E ナット、
18F モータ、
18G 駆動機構収納部、
18H 保護板
18J ケーブル、

19 腕接続部、
19A 腕接続構造部、
19B 腕回転部、
19D モータ、
19E ウォームホイール、
19F ウォーム、
20 制御基板収納部、
22 腕基部、
22A 腕基部関節部、
24 上腕部、
24A 関節接続部、
24B 中間円筒部、
24C フタ、
24D 下側円柱、
24E モータ、
25 前腕部、
25A 回転軸接続部、
25B 前腕基部、
25C 前腕骨部、
25D アクチュエータ構造部、
25E ねじ棒保持部、
25F ねじ棒保持部、
26 ハンド部(ロボットハンド)、
27 肩関節部、
27A 肩関節構造部、
27B モータ、
27C モータ設置部、
27D 回転軸部材、
27E 開口、
28 肘関節部、
28A 回転軸保持ヨーク、
28B 回転軸部材、
28C ウォームホイール、
28D ウォーム、
28E ギア部、
28F モータ、
28G ギア部、
28J ギアカバー、
29 手首関節部、
29A T字部材、
29B T字部材保持ヨーク、
29C T字部材保持部、
29D 手首基部、
29E ベアリング、
29F ベアリング、

35 前腕外側アクチュエータ、
35L 前腕外側リンク、
35M モータ、
35A ねじ棒、
35B 移動部材、
35C レール、
35D リンク、
35E モータ設置板、
35F モータ、
35G ベルト、
35H プーリ、
35J プーリ、
36 前腕内側アクチュエータ、
36L 前腕内側リンク、
36M モータ、
36A ねじ棒、
36B 移動部材、
36C レール、
36D リンク、
36E モータ設置板、
36F モータ、
36G ベルト、
36H プーリ、
36J プーリ、

40 電動ドライバ、
41 グリップ、
42 レバー、
45 物体、

50、50、50 アーム操作装置、
51 支持フレーム、

60 制御演算装置、
61 CPU、
62 メモリ部、

80、80、80 ハンド操作装置、

90 オペレータ(操作者)、

91 第1指部、
92 第2指部、
93 第3指部、
94 第4指部、
95 第5指部、

91A、92A、93A、94A、95A 指本体部、
91B、92B、93B、94B、95B 指先部、
91C、92C、93C、94C、95C 指内側部、
91D、92D、93D、94D、95D 指関節部、
91DA、92DA、93DA、94DA、95DA ヨーク、
91DB、92DB、93DB、94DB、95DB 指節回転軸、
91E、92E、93E、94E、95E ウォームホイール、
91F、92F、93F、94F、95F ウォーム、
91G、92G、93G、94GF、95F モータ、
91H 距離センサ(第1距離センサ)、
93H 距離センサ(第2距離センサ)、
91J、93J 開口、
92K スライド指先部(引っ掛け部)、
92L モータ収納部、
92M モータ(引っ掛け部移動部)、
92N ネジ棒(引っ掛け部移動部)、
92P 溝(引っ掛け部移動部)、
92Q ナット(引っ掛け部移動部)、

96 第1指接続部、
96A 第1ラック(指移動部)、
96B 第1フレーム、
96C 第1把持部(指移動部)、
96D 第1指接続フレーム、

97 第2指接続部、
97A 第2ラック(指移動部)、
97B 第2フレーム、
97C 第2把持部(指移動部)、
97D 第2指接続フレーム、
97E 掌肉部、
97F 切り欠き、

98 手首接続部、
98A 手基部、
98B 接続円柱部、
98C 第1レール(指移動部)、
98D 第2レール(指移動部)、
98E ピニオン(指移動部)、
98F モータ(指移動部)、

J1 車両側リンク取付部(リンク下端支持部)、
J2 移動部材取付部、
J3 移動側リンク取付部、

J11 前腕外側リンク取付部、
J12 前腕内側リンク取付部、
J13 手外側リンク取付部、
J13A 回転ヨーク、
J13B ベアリング、
J13C ベアリング、
J14 手内側リンク取付部、
J14A 回転ヨーク、
J14B ベアリング、
J14C ベアリング。

Claims (17)

  1. 2本の腕部と、
    2本の前記腕部が接続する胴体部と、
    車輪が回転することで移動する車両部と、
    前記車両部に対する前記胴体部の位置を変更可能に、前記胴体部を支持する胴体位置変更機構とを備え、
    前記胴体位置変更機構は、
    前記車両部と交差する方位角軸に垂直な平面である車両部基準面と前記胴体部が延在する方向とがなす角度である仰角を変更可能に、前記胴体部を支持する仰角変更機構と、
    前記方位角軸の回りに回転可能に前記仰角変更機構を支持する、前記車両部に設けられた方位角変更機構とを有し、
    前記仰角変更機構は、
    前記方位角変更機構に支持される基部と、
    前記基部の上側で前記車両部基準面に平行な直線に沿って移動する移動部と、
    前記移動部に下端が回転可能に接続し、前記車両部基準面と前記仰角をなす方向に延在し、前記胴体部を支持する第1リンクと、
    前記第1リンクに、上端が回転可能に接続する第2リンクと、
    前記第2リンクの下端が回転可能に接続する、前記基部に設けられたリンク下端支持部とを有する、ロボット。
  2. 前記移動部が移動する直線よりも下側に前記リンク下端支持部が存在する、請求項1に記載のロボット。
  3. 前記移動部が移動できる範囲である移動可能範囲を前記移動部が移動する各状態での前記仰角の最小値である仰角最小値が決められた最小仰角許容値以下になり、
    前記移動可能範囲を前記移動部が移動する各状態での前記仰角の最大値である仰角最大値が決められた最大仰角許容値以上になり、
    前記移動可能範囲を前記移動部が移動する各状態での、前記胴体部の決められた個所の前記車両部基準面からの距離であるロボット高の最小値であるロボット高最小値が決められたロボット高許容値以下になる、請求項1に記載のロボット。
  4. 前記移動部が移動できる範囲である移動可能範囲を前記移動部が移動する各状態での前記仰角の最小値である仰角最小値が決められた最小仰角許容値以下になり、
    前記移動可能範囲を前記移動部が移動する各状態での前記仰角の最大値である仰角最大値が決められた最大仰角許容値以上になり、
    前記移動可能範囲を前記移動部が移動する各状態での、前記胴体部の決められた個所の前記車両部基準面からの距離であるロボット高の最小値であるロボット高最小値が決められたロボット高許容値以下になる、請求項2に記載のロボット。
  5. 決められた前記移動可能範囲で、前記ロボット高最小値が最小になるように、前記第1リンクにおける前記移動部との接続箇所と前記第2リンクとの接続箇所の間の距離、第2リンクにおける第1リンクとの接続箇所と前記リンク下端支持部の間の距離、前記移動部が移動する直線と前記リンク下端支持部の高さの差、および前記リンク下端支持部と前記方位角軸の間の距離が決められている、請求項3に記載のロボット。
  6. 決められた前記移動可能範囲で、前記ロボット高最小値が最小になるように、前記第1リンクにおける前記移動部との接続箇所と前記第2リンクとの接続箇所の間の距離、第2リンクにおける第1リンクとの接続箇所と前記リンク下端支持部の間の距離、前記移動部が移動する直線と前記リンク下端支持部の高さの差、および前記リンク下端支持部と前記方位角軸の間の距離が決められている、請求項4に記載のロボット。
  7. 前記胴体部を支持し、前記第1リンクに支持される胴体支持部と、
    前記胴体支持部を前記第1リンクに沿って移動可能にする伸縮機構とを備えた請求項1から請求項の何れか1項に記載のロボット。
  8. 前記胴体部の上側に設けられたカメラと、
    前記胴体部と交差する頭部回転軸の回りに回転可能に前記胴体部に支持され、前記頭部回転軸に垂直な胴体部基準面と前記カメラの光軸とがなす角度である視線仰角を変更可能に前記カメラを支持する首部と、
    前記頭部回転軸の回りに回転可能に、前記首部を前記胴体部に接続する頭部回転部と、
    前記視線仰角を変更可能に、前記カメラを前記首部に接続する視線仰角変更部とを備えた請求項1から請求項の何れか1項に記載のロボット。
  9. 前記胴体部の上側に設けられたカメラと、
    前記胴体部と交差する頭部回転軸の回りに回転可能に前記胴体部に支持され、前記頭部回転軸に垂直な胴体部基準面と前記カメラの光軸とがなす角度である視線仰角を変更可能に前記カメラを支持する首部と、
    前記頭部回転軸の回りに回転可能に、前記首部を前記胴体部に接続する頭部回転部と、
    前記視線仰角を変更可能に、前記カメラを前記首部に接続する視線仰角変更部とを備えた請求項7に記載のロボット。
  10. 前記仰角変更機構が前記仰角を第1の角度だけ変更する際に、前記第1の角度と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度だけ前記視線仰角を変更するように前記視線仰角変更部を制御する視線連動制御部を備えた請求項に記載のロボット。
  11. 前記仰角変更機構が前記仰角を第1の角度だけ変更する際に、前記第1の角度と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度だけ前記視線仰角を変更するように前記視線仰角変更部を制御する視線連動制御部を備えた請求項9に記載のロボット。
  12. 胴体部基準面に平行な腕基部回転軸の回りに回転可能に、2本の前記腕部のそれぞれを前記胴体部に接続する2個の腕基部関節部を備え、
    前記仰角変更機構が前記仰角を第1の角度だけ変更する際に、前記第1の角度と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度だけ、前記腕部が延在する方向と前記胴体部基準面とがなす角度である腕基部回転角を変更するように前記腕基部関節部を制御する腕部連動制御部を備えた請求項1から請求項6の何れか1項に記載のロボット。
  13. 胴体部基準面に平行な腕基部回転軸の回りに回転可能に、2本の前記腕部のそれぞれを前記胴体部に接続する2個の腕基部関節部を備え、
    前記仰角変更機構が前記仰角を第1の角度だけ変更する際に、前記第1の角度と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度だけ、前記腕部が延在する方向と前記胴体部基準面とがなす角度である腕基部回転角を変更するように前記腕基部関節部を制御する腕部連動制御部を備えた請求項7に記載のロボット。
  14. 前記胴体部基準面に平行な腕基部回転軸の回りに回転可能に、2本の前記腕部のそれぞれを前記胴体部に接続する2個の腕基部関節部を備え、
    前記仰角変更機構が前記仰角を第1の角度だけ変更する際に、前記第1の角度と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度だけ、前記腕部が延在する方向と前記胴体部基準面とがなす角度である腕基部回転角を変更するように前記腕基部関節部を制御する腕部連動制御部を備えた請求項8に記載のロボット。
  15. 前記胴体部基準面に平行な腕基部回転軸の回りに回転可能に、2本の前記腕部のそれぞれを前記胴体部に接続する2個の腕基部関節部を備え、
    前記仰角変更機構が前記仰角を第1の角度だけ変更する際に、前記第1の角度と絶対値が同じで符号が異なる第2の角度だけ、前記腕部が延在する方向と前記胴体部基準面とがなす角度である腕基部回転角を変更するように前記腕基部関節部を制御する腕部連動制御部を備えた請求項9に記載のロボット。
  16. 前記胴体部基準面に平行な腕基部回転軸の回りに回転可能に、2本の前記腕部のそれぞれを前記胴体部に接続する2個の腕基部関節部を備え、
    前記仰角変更機構が前記仰角を前記第1の角度だけ変更する際に、前記第2の角度だけ、前記腕部が延在する方向と前記胴体部基準面とがなす角度である腕基部回転角を変更するように前記腕基部関節部を制御する腕部連動制御部を備えた請求項10に記載のロボット。
  17. 前記胴体部基準面に平行な腕基部回転軸の回りに回転可能に、2本の前記腕部のそれぞれを前記胴体部に接続する2個の腕基部関節部を備え、
    前記仰角変更機構が前記仰角を前記第1の角度だけ変更する際に、前記第2の角度だけ、前記腕部が延在する方向と前記胴体部基準面とがなす角度である腕基部回転角を変更するように前記腕基部関節部を制御する腕部連動制御部を備えた請求項11に記載のロボット。
JP2024518017A 2022-04-27 2023-04-27 ロボット Active JP7508001B2 (ja)

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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005193335A (ja) 2004-01-07 2005-07-21 Tmsuk Co Ltd 双腕ロボット

Patent Citations (1)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005193335A (ja) 2004-01-07 2005-07-21 Tmsuk Co Ltd 双腕ロボット

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