以下、図面を参照しながら各実施形態について説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、コントローラと無線通信を行う照明システムに関する。第1の実施形態において、コントローラは、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話機、モバイルコンピュータ、リモートコントローラ、又は、制御端末などの装置としてもよい。
図1は、第1の実施形態に係る照明システム1の構成の一例を示すブロック図である。なお、図1に例示する各種の構成要素は、同一又は類似の機能及び作用を実現可能であれば、自由に組み合わせてもよく、又は、自由に分離してもよい。
照明システム1は、無線モジュール2と、電源ユニット3と、照明デバイス(例えば点灯部)4とを備える。無線モジュール2と電源ユニット3とは、例えばワイヤーハーネス又はケーブルハーネスなどのような信号と電力を伝達する有線伝達路5により通信可能及び電力供給可能に接続される。
無線モジュール2は、無線通信を用いてコントローラ6からの無線信号を受信する。無線モジュール2は、電源ユニット3と有線伝達路5により電気的に接続される。無線モジュール2は、電源ユニット3から有線伝達路5経由で電力を受ける。無線モジュール2は、電源ユニット3に対して有線伝達路5経由で信号を送信し、電源ユニット3から有線伝達路5経由で信号を受信する。
無線モジュール2は、無線制御用の電源ユニット3に電気的に接続されることで使用される。無線モジュール2は、例えば、操作部7、表示部8、接続部9、通信モジュール10を備える。
操作部7は、例えば、ボタン、又は、スイッチを含む。操作部7は、作業者(ユーザ)の操作を受け付け、作業者の操作内容を示す操作信号を通信モジュール10に送信する。操作部7は、例えば、エリア設定スイッチ、チェックスイッチ、強制解除(リセット)スイッチを含むとしてもよい。エリア設定スイッチ、チェックスイッチ、強制リセットスイッチは、適宜組み合わせてもよい。より具体的には、操作部7は、例えばディップスイッチ又は押しボタンスイッチを含むとしてもよい。
エリア設定スイッチは、無線モジュール2、電源ユニット3、照明デバイス4が所属するエリアの識別情報(例えば番号)を設定可能であり、さらに、チェックモードの起動スイッチとして機能させることも可能である。
無線モジュール2は、例えば、チェックモードで起動した場合に、時間軸でパターン化された照明動作、又は、一定の照明点灯などのチェックパターンにそって照明デバイス4を点灯、消灯、又は、点滅させる。
チェックモード中、強制リセットスイッチは、チェックモードのパターンを切り替えるスイッチとして使用されてもよい。具体的には、チェックモード中において、強制リセットスイッチは、複数のチェックモードの中からいずれかのチェックモードの指定を受け付ける。無線モジュール2は、チェックモード中、強制リセットスイッチによって指定されたチェックモードにより動作する。
第1の実施形態において、無線モジュール2は、チェックモードを、無線通信のペアリングを実行する前に起動させることが可能である。
表示部8は、例えば、LED(Light Emitting Diode)又は液晶デバイスなどを含む。表示部8は、通信モジュール10から例えば無線モジュール2又は照明システム1の状態などを示す表示信号を受信し、表示信号に対応する表示を行う。具体例として、表示部8は、第1の色、第2の色のそれぞれ独立したモニター用LEDとしてもよい。表示部8は、通電状態及び通信状態を点灯、消灯、又は、点滅などで表す。
接続部9は、有線伝達路5の一端と接続可能である。接続部9に接続された有線伝達路5の複数の端子のうちの1つは、電源ユニット3がアナログ通信制御モードで動作する場合に、モードセレクト端子として機能する。
通信モジュール10は、通信アンテナ11、記憶部12、演算部13を備える。通信モジュール10は、電源ユニット3から有線伝達路5及び接続部9経由で電力を受ける。通信モジュール10は、外部のコントローラ6と無線により通信する。通信モジュール10は、接続部9及び有線伝達路5経由で電源ユニット3と有線により通信する。
通信アンテナ11は、電波を受信して電気信号を演算部13に送信する。
記憶部12は、例えば、演算部13で生成されたデータ、演算部13で使用されるデータ、又は、演算部13で使用されるプログラムなどのソフトウェアを記憶する。記憶部12に記憶されているソフトウェアは、例えば、各種の設定値、外部のコントローラ6から受信したデータ、又は、電源ユニット3から受信したデータなどを含むとしてもよい。記憶部12は、例えばシーン情報、無線モジュール2が所属するフロア・エリア・グループを示す所属情報などを記憶してもよい。第1の実施形態において、シーンとは、照明の状態、例えば照明デバイスによって形成される照明演出を意味するものとする。
演算部13は、例えば、マイクロコンピュータ、又は、プロセッサとしてもよい。演算部13は、記憶部12に記憶されているソフトウェアに基づいて例えば通信処理、判定処理、又は、チェックモード処理などのような各種の処理を実行する。
演算部13は、各種の処理にしたがって、通信アンテナ11経由で外部のコントローラ6と無線通信する。演算部13は、各種の処理にしたがって、接続部9及び有線伝達路5経由で電源ユニット3と有線通信する。演算部13によって実行される処理の一例を、図2のフローチャートを用いて後で説明する。
演算部13は、種類の異なる通信制御モード(例えば、通信制御フォーマット、通信仕様、通信方式)を自動的に判定する機能を含む。演算部13は、例えば、接続部9における特定の端子(ピン)の電気的な接続状態(無線モジュール2と電源ユニット3との間の電気的な接続状態)、又は、通信状態の少なくとも1つに基づいて通信制御モードを判定する。
演算部13は、電源ユニット3に対する通信において、複数の異なる種類の通信制御モードを備える。演算部13が複数の異なる種類の通信制御モードに対応可能であるため、当該無線モジュール2は、1台で、種類の異なる電源ユニット3に適用可能である。具体例として、演算部13は、アナログ通信制御モード、単チャンネルのデジタル通信制御モード(シリアル通信)、2チャンネルのデジタル通信制御モード(シリアル通信)、又は、多チャンネルのデジタル通信制御モード(シリアル通信)のいずれにも対応可能である。
演算部13は、例えばディップスイッチなどのような操作部7の状態に応じて、チェックモードを実行する。このため、演算部13は、外部のコントローラ6がない状態、又は、コントローラ6と通信できない状況であっても、無線モジュール2と電源ユニット3と照明デバイス4との接続・動作のテストを実行可能である。具体的には、演算部13は、チェックモード(又はテストモード)が実行されると、記憶部12に記憶されているチェックパターンに基づいて、点灯、消灯、点滅、調光、調色などのための制御を行う。作業者は、チェックモードにしたがって発光する照明デバイス4を確認することにより、無線モジュール2と電源ユニット3と照明デバイス4との接続・動作を確認することができる。これにより、コントローラ6と無線モジュール2との間のペアリングをしなくても無線モジュール2から照明デバイス4までの配線を確認することができる。演算部13がチェックモードを実行することにより、作業者の現場での作業性を向上させることができ、作業者は照明システム1のセットアップ前に点検を行うことができる。
演算部13は、例えばディップスイッチなどのような操作部7の状態に応じて、照明デバイス4が所属するエリアを設定可能である。このため、照明システム1の施工工事又はセットアップが完了する前であっても、又は、照明システム1に対する通電ができない状態であっても、作業者の操作により無線モジュール2に予めエリアを設定することができる。これにより、照明システム1に対する施工工事、セットアップ、又は、通電開始の後に必要になる機器の設定及びエリアの設定の時間を短縮することができ、作業者の負担を軽減することができる。
演算部13は、例えば押しボタンスイッチの押下などのような操作部7への操作に応じて、コントローラ6から実行されたペアリング(プロビジュニング)を強制的に解除する。一般的にペアリングの解除は、設定を行ったコントローラ6のみが実行可能であったが、第1の実施形態では、作業者が手動で強制解除スイッチを操作し、演算部13がペアリングの解除を行う。これにより、コントローラ6の故障又は紛失が発生した場合、又は、コントローラ6と無線モジュール2とが通信可能でない状況の場合に、無線モジュール2とコントローラ6とのペアリングを解除し、コントローラ6又は新しいコントローラからの再セットアップを実行することができる。
演算部13は、例えば、記憶部12に記憶されているシーン情報に基づいて、照明制御信号を生成し、照明制御信号を接続部9及び有線伝達路5経由で電源ユニット3に送信してもよい。
電源ユニット3は、外部の電源からの電力を受け、電力変換を行う。電源ユニット3は、変換された電力を照明デバイス4に供給する。電源ユニット3は、有線伝達路5経由で無線モジュール2と接続されている。電源ユニット3は、無線モジュール2に対して有線伝達路5経由で信号を送信し、無線モジュール2から有線伝達路5経由で信号を受信する。電源ユニット3は、変換された電力を有線伝達路5経由で無線モジュール2に供給する。電源ユニット3は、接続部14、記憶部15、操作部16、処理部17、電力変換部18、調光部(例えば調光回路)19を備える。なお、電源ユニット3において、記憶部15又は操作部16は省略されていてもよい。
接続部14は、有線伝達路5の他端と接続可能である。接続部14は、複数の端子を含む。
記憶部15は、例えば、処理部17で生成されたデータ、処理部17で使用されるデータ、又は、処理部17で使用されるプログラムなどのソフトウェアを記憶する。記憶部15に記憶されているソフトウェアは、例えば、各種の設定値、無線モジュール2から受信したデータなどを含むとしてもよい。より具体的には、記憶部15は、例えば、電源種別コード、通信フォーマットを記憶する。
操作部16は、例えば、ボタン(例えば押しボタンスイッチ)、又は、スイッチ(例えばディップスイッチ)を含む。操作部16は、作業者の操作を受け付け、作業者の操作内容を示す操作信号を処理部17に送信する。操作部16は、例えば、チェックスイッチを含むとしてもよい。
処理部17は、例えば、マイクロコンピュータ、又は、プロセッサとしてもよい。処理部17は、操作部16の指定にしたがって、記憶部15に記憶されているソフトウェアに基づいてチェックモードを実行する。チェックモードは、異常検出処理などを実行するとしてもよい。
処理部17は、各種の処理にしたがって、電力変換部18、調光部19を制御し、接続部14及び有線伝達路5経由で無線モジュール2と通信する。
電力変換部18は、処理部17による制御にしたがって動作し、電源から供給された電力を変換する。電力変換部18は、例えば、電源から供給された電流の電圧、電流、周波数を所定の電圧、電流、周波数へ変換する。電力変換部18は、変換された電力を、記憶部15、操作部16、処理部17、調光部19へ供給する。電力変換部18は、変換された電力を、調光部19経由で照明デバイス4、及び、接続部14及び有線伝達路5経由で無線モジュール2へ供給する。
調光部19は、電力変換部18から変換された電力を受け、照明デバイス4に電力を供給する。具体的には、調光部19は、供給されたDC電力を、定電圧又は定電流にし、もしくは、PWM制御し、照明デバイス4に供給する。
第1の実施形態では、調光部19から照明デバイス4へアナログ信号であるPWM信号が供給される場合を例として説明するが、アナログ信号は他の方式の信号でもよい。
照明デバイス4は、例えばLEDでもよい。照明デバイス4は、電源ユニット3の調光部19から受信したPWM信号にしたがって点灯又は消灯する。
第1の実施形態において、無線モジュール2は、当該無線モジュール2と電源ユニット3との間で実行される通信がアナログ通信制御モードに準拠するか、又は、デジタル通信制御モードに準拠するか、を自動で判定し、さらに、デジタル通信制御モードに準拠すると判定された場合に、複数の種類のデジタル通信制御モードのうちのどのデジタル通信制御モードに準拠するかを自動で判定する。
以下の説明では、アナログ通信制御モードがPWM通信モードである場合を例として説明するが、アナログ通信モードは他のアナログ通信モードでもよい。また、デジタル通信制御モードがシリアル通信モードである場合を例として説明するが、デジタル通信制御モードは例えばパラレル通信モードなどのような他の通信モードでもよい。
ここで、コントローラ6と無線モジュール2との関係を説明する。第1の実施形態において、照明システム1は、複数の無線モジュール2を備え、コントローラ6は、複数の無線モジュール2と無線通信を行うとしてもよい。無線モジュール2は、無線通信のためのペアリング時とペアリング後とで、異なる通信を実行してもよい。より具体的には、ペアリング時に、複数の無線モジュール2とコントローラ6とは直接無線により接続され、ペアリング後に、ペアリングされた複数の無線モジュール2の集合体は相互に通信可能に接続され、複数の通信伝達路を使って無線通信を行うとしてもよい。
一般的な1対1の通信又は1対多の通信では、電波到達距離は直接到達波の距離となる。このような一般的な1対1の通信又は1対多の通信では、送信装置と受信装置が物理的な距離又は電波減衰の影響を受けやすい。これに対して、上記のように、複数の無線モジュール2が相互に通信可能な第1の実施形態の照明システム1においては、ペアリングされた複数の無線モジュール2によって電波伝達経路を形成することができる。言い換えれば、第1の実施形態において、複数の無縁モジュール2のそれぞれは、コントローラ6との通信のみではなく、他の無線モジュールの中継器として機能することが可能である。
図2は、第1の実施形態に係る無線モジュール2によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
無線モジュール2は、電源ユニット3からの給電が開始されると、電源ユニット3の判定処理に移行し、接続電源の種別を判定する。無線モジュール2は、起動後に、通信モードの判定を行い、次に、エリア設定スイッチの状態を判定する。エリア設定スイッチの状態がチェックモードを表す場合、無線モジュール2は、チェックモードに対応するチェックパターンを電源ユニット3に送信する。
ステップS201において、演算部13は、接続部9に接続された有線伝達路5の特定の端子の状態(例えば電圧の変化)に基づいて、当該特定の端子がPWMモードにおけるモードセレクト端子として機能しているか否かを判定する。演算部13は、特定の端子がモードセレクト端子として機能している場合に、PWMオンと判定し、特定の端子がモードセレクト端子として機能していない場合に、PWMオフと判定する。より具体的に説明すると、演算部13は、例えば、特定の端子の電圧が0Vか、あるいは、供給電圧かに基づいて、PWMオンか否かを判定する。この無線モジュール2の判定は、電源ユニット3がマイクロコンピュータを非搭載であっても容易に実現することができる。したがって、無線モジュール2は、マイクロコンピュータを搭載しない電源ユニットに対しても連結可能である。
PWMオン(接続部9に接続された有線伝達路5の特定の端子の状態がモードセレクト端子の状態に相当)の場合、ステップS202において、演算部13は、PWM通信制御モードによる起動を行う。PWM通信制御モードによる起動の後、ステップS203において、演算部13は、操作部7に含まれているエリア設定スイッチの状態判定を行う。エリア設定スイッチは、エリアを選択可能である。また、エリア設定スイッチは、チェックモード(テストモード)を選択可能である。エリア設定スイッチは、複数のオン/オフを指定可能なディップスイッチとしてもよい。
エリア設定スイッチがチェックモードを選択する状態である場合(例えば複数のディップスイッチがオールオンの場合)、ステップS204において、演算部13は、チェックモードを実行し、その後処理はステップS203に戻る。
エリア設定スイッチがエリアを選択する状態である場合(例えば複数のディップスイッチのうちのいずれかがオンであり、他のディップスイッチがオフの場合)、ステップS205において、演算部13は、電源ユニット3と協動して、エリア設定スイッチの示すエリアに関するPWM通信制御モードによる運転を実行する。
上記のS201においてPWMオフの場合、ステップS206において、演算部13は、無線モジュール2と電源ユニット3との間の通信に適用されるデジタル通信制御モード(データ通信フォーマット)の種別の判定を行う。例えば、演算部13は、第1のデジタル通信制御モードに基づく信号を電源ユニット3に対して送信する。演算部13は、電源ユニット3から正常な応答を受信した場合には、第1のデジタル通信制御モードを選択する。演算部13は、電源ユニット3から正常な応答を受信しない場合には、第2のデジタル通信制御モードを選択してもよい。あるいは、演算部13は、電源ユニット3から正常な応答を受信しない場合には、第2のデジタル通信制御モードに基づく信号を電源ユニット3に対して送信し、電源ユニット3から正常な応答を受信した場合に、第2のデジタル通信制御モードを選択してもよい。
上記のステップS206において第1のデジタル通信制御モードが選択された場合、ステップS207において、演算部13は、第1のデジタル通信制御モードによる起動を行う。第1のデジタル通信制御モードによる起動の後、ステップS208において、演算部13は、操作部7に含まれているエリア設定スイッチの状態判定を行う。
ステップS208においてエリア設定スイッチがチェックモードを選択する状態である場合、ステップS209において、演算部13は、チェックモードを実行し、その後処理はステップS208に戻る。
ステップS208においてエリア設定スイッチがエリア選択する状態である場合、ステップS210において、演算部13は、エリア設定スイッチの示すエリアに関する第1のデジタル通信制御モードによる運転を実行する。
上記のステップS206において第2のデジタル通信制御モードが選択された場合、ステップS211において、演算部13は、第2のデジタル通信制御モードによる起動を行う。第2のデジタル通信制御モードによる起動の後、ステップS212において、演算部13は、操作部7に含まれているエリア設定スイッチの状態判定を行う。
ステップS212においてエリア設定スイッチがチェックモードを選択する状態である場合、ステップS213において、演算部13は、チェックモードを実行し、その後処理はステップS212に戻る。
ステップS212においてエリア設定スイッチがエリア選択する状態である場合、ステップS214において、演算部13は、エリア設定スイッチの示すエリアに関する第2のデジタル通信制御モードによる運転を実行する。
上記図2において、ステップS201の判定は、例えば、無線モジュール2の接続部9に接続された有線伝達路5のモードセレクト端子の状態(電圧又は電位)を判定する。
ステップS206の判定は、特定の通信制御モードで通信を行い、応答の受信状態に基づいて通信制御モードを判定する。
ステップS203、ステップS208、ステップS212の判定は、エリア設定スイッチの状態を電気的に判定する。
第1の実施形態における通信制御モードの判定は、ステップS206以降において拡張・追加されてもよい。
演算部13は、上記の各種の判定結果又は通信制御モードの種別情報を記憶部12に保存し、コントローラ6からの要求にしたがって、判定結果又は種別情報をコントローラ6に送信する。
演算部13は、デジタル通信制御モードに移行した場合、コントローラ6から受信した要求にしたがって、電源固有の識別情報を、電源ユニット3から有線伝達路5及び接続部9経由で受信し、電源固有の識別情報を記憶部12に記憶させ、電源固有の識別情報をコントローラ6へ送信する。演算部13は、記憶部12が電源固有の識別情報を保存済みの場合には、記憶部12に記憶されている電源固有の識別情報を読み出し、読み出した電源固有の識別情報をコントローラ6に送信してもよい。
演算部13は、コントローラ6からエリア設定モードの指定信号を受信した場合に、この指定信号によって指定されているエリアにそって、ステップS203、ステップS208、ステップS212の判定結果を強制的に切り替え、この強制的に切り替えた状態を記憶部12に記憶させるとしてもよい。これにより、エリアの設定を遠隔で切り替えることができる。
図3は、第1の実施形態において演算部13がPWM通信制御モードと判定した場合の有線伝達路5の端子の一例を示す図である。
演算部13及び処理部17は、有線伝達路5の端子の役割を図3のように判定する。
図4は、第1の実施形態において演算部13がデジタル通信制御モードと判定した場合の有線伝達路の端子の一例を示す図である。
演算部13及び処理部17は、有線伝達路5の端子の役割を図4のように判定する。
以上説明した第1の実施形態においては、1台で複数種類の通信制御モードに適用可能な無線モジュール2を使って照明システム1を構築することができる。第1の実施形態においては、無線モジュール2に対して様々な種類の電源ユニット3を接続することができる。
第1の実施形態においては、無線モジュール2が電源ユニット3の通信制御モードを端子の電圧の変化及び通信の不可により自動で判定し、通信制御モードの切り替えを行う。これにより、照明システム1の構築を省力化及び短期化することができる。
第1の実施形態においては、照明システム1が動作可能になる前、コントローラ6がない状態、コントローラ6と無線モジュール2とが通信できない状態、又は、照明システム1がセットアップされる前であっても、無線モジュール2の操作部7に対する操作により照明デバイス4のエリア設定を行うことができる。
第1の実施形態においては、無線モジュール2におけるチェックモードを実行することにより、照明システム1が動作可能になる前、コントローラ6がない状態、コントローラ6と無線モジュール2とが通信できない状態、又は、照明システム1がセットアップされる前であっても、作業者は、照明デバイス4の点灯、消灯、点滅、調光、調色の状態を確認することができる。これにより、作業者は照明システム1を構築しつつチェック作業を進めることができ、作業を効率化することができ、照明システム1の信頼性を向上させることができる。また、第1の実施形態においては、ペアリングしなくても照明デバイス4の配線を確認することができる。また、作業者の現場での作業性を向上させ、セットアップ前に配線を確認することができる。
第1の実施形態においては、無線モジュール2に例えばディップスイッチ又は押しボタンスイッチなどのような操作部7を備え、操作部7を操作することにより、エリア設定、及び、ペアリングの強制解除を行うことができる。また、コントローラ6を用いて、エリア設定、及び、ペアリングの確立又は解除を行うこともできる。例えば、多数の照明デバイス4に対するペアリング及びエリアの設定をコントローラ6で制御する場合には、コントローラ6の画面に多数の器具を表示して仕分けをする必要があった。しかしながら、第1の実施形態においては、個々の無線モジュール2側でペアリングに関する指示及びエリア設定をすることができるため、コントローラ6に多数の器具を表示してエリア設定及びペアリングの指示をする必要がない。したがって、作業者はペアリング時の機器の振り分けを容易かつ効率的に行うことができる。
一般的に、コントローラ6によるペアリングにおいては、電源が入っている複数の無線モジュール2が一斉に検索される。作業者は、この一斉に検索された複数の無線モジュール2を分類し、エリアに分ける作業をコントローラ6で行うことが必要になる。しかしながら、第1の実施形態に係る照明システム1においては、ペアリング前に、無線モジュール2のエリア設定スイッチを予め設定することにより、作業者の作業を軽減することができる。
第1の実施形態において、電源ユニット3は、無線対応の照明器具としてもよい。この場合、照明器具は、各種の検出回路を備えるとしてもよい。各種の検出回路としては、例えば、2次側過電流、異常温度、回路故障の検出回路などがある。検出回路が異常を検出すると、処理部17は、異常コードの処理を行う。処理部17は、異常コードを接続部14、有線伝達路5経由で無線モジュール2に送信する。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、上記の第1の実施形態の変形例であり、第1の実施形態に係る無線モジュール2及び電源ユニット3に代えて、パワーボックス(無線調光器)を備える照明システムを説明する。
第2の実施形態においては、無線機能を有していない照明デバイス及び調光器具に対して、パワーボックスを組み合わせることにより、照明デバイス及び調光器具を、無線機能を有する照明システムに組み込む。
図5は、第2の実施形態に係る照明システム20の構成の一例を示すブロック図である。この図5において、調光器具21と照明デバイス4とは、まとめて調光型照明器具を構成するとしてもよい。調光型照明器具の調光方式としては、位相制御型、PWM制御型、PWM調光調色型、DALI制御型などがある。調光器具21は、例えば調光型別置き電源としてもよい。調光型照明器具の調光方式に適合したパワーボックス22が、調光型照明器具に接続される。調光型照明器具とパワーボックス22との間の配線は、調光方式によって異なる配線となる。このため、作業者は、調光型照明器具とパワーボックス22との間を調光方式に適合した配線で接続する必要がある。第2の実施形態においては、電気工事において、調光型照明器具とパワーボックス22との間の配線に誤りがあってもパワーボックス22の破壊を防止する。
調光器具21は、パワーボックス22から電力の供給を受ける。また、調光器具21は、パワーボックス22から調光信号を受信し、受信した調光信号にしたがって照明デバイス4を制御する。調光信号は、例えばPWM信号などでもよい。第2の実施形態において、調光器具21は無線通信機能を備えていないものとする。
調光器具21とパワーボックス22との間は、PWM信号線23により接続されている。
パワーボックス22は、無線調光器に相当する。パワーボックス22は、PWM信号線23及び無線機能を有していない調光器具21経由で、照明デバイス4と接続される。パワーボックス22は、調光器具21及び照明デバイス4を、無線通信を行うコントローラ6と連動させるための装置である。パワーボックス22は、例えば、位相調光方式、PWM調光方式(単色又は調光調色)、又は、オン/オフ方式などの調光を行うが、第2の実施形態ではPWM調光方式を例として説明する。
パワーボックス22は、無線モジュール2と調光ユニット24とを備える。
調光ユニット24は、外部電源からの電力を受け、電力変換を行う。調光ユニット24は、変換された電力を調光器具21に供給する。調光ユニット24は、コントローラ6から無線モジュール2及び有線伝達路5経由で信号を受信し、受信した信号にしたがって、調光信号を生成し、調光信号を調光器具21へ送信する。調光ユニット24は有線伝達路5及び無線モジュール2経由で信号を送信する。調光ユニット24は、変換された電力を有線伝達路5経由で無線モジュール2に供給する。調光ユニット24は、接続部14、操作部16、表示部25、記憶部15、処理部26、電力変換部18、調光部(例えば調光回路)27、異常検出部(例えば異常検出回路)28を備える。なお、処理部26と調光部27とは、組み合わせて1つの構成要素としてもよい。処理部26と異常検出部28とは、組み合わせて1つの構成要素としてもよい。その他の構成要素も適宜組み合わせてもよい。
処理部26は、各種の処理にしたがって、操作部16、表示部25、電力変換部18、調光部27、異常検出部28を制御し、接続部14及び有線伝達路5経由で無線モジュール2と通信する。
第2の実施形態において、処理部26は、操作部16の操作状態(例えばチェックスイッチの状態)にしたがってチェックモードを実行する。処理部26は、単独でチェックモードを起動してもよく、チェックモードにおいて異常検出部28と協働して異常の検出を行ってもよく、無線モジュール2のチェックモードと協働してもよい。処理部26がチェックモードで動作することにより、作業者は、例えばPWM信号線23などの配線チェック及び各種の動作確認を行うことができる。
調光部27は、電力変換部18から変換された電力を受ける。調光部27は、処理部26の制御に基づいて調光信号(PWM信号)を生成し、生成された調光信号を調光器具21に送信する。調光部27は、調光方式にそった電源制御を行う。
異常検出部28は、処理部26と連携して異常検出処理を実行する。異常検出部28は、異常が検出された場合に、パワーボックス22の動作を停止することでパワーボックス22の故障発生を防止し、パワーボックス22を保護する。異常検出部28は、例えばPWM配線保護回路としてもよい。異常検出部28は、パワーボックス22の通電中に常時動作し、異常検出を行うとしてもよい。処理部26は、異常発生時に、パワーボックス22の出力を停止し、有線伝達路5、無線モジュール2経由で、コントローラ6に異常情報を送信してもよい。
以下で異常検出部28と処理部26との協働によって実行される異常検出処理を説明する。
例えば、調光用PWM配線を行う必要がある従来の調光器においては、誤った配線、又は、配線の短絡により、信号を出力する回路の故障、又は、回路の破壊が発生する場合がある。このような故障又は破壊を防止するため、従来の調光器では、ヒューズ又はそれに類似する保護素子を使用して、回路の故障又は破壊を防止している。
例えば一般的な保護ヒューズを用いて回路の故障又は破壊を防止する方法においては、復旧する際に、ヒューズを物理的に交換する必要がある。ヒューズが自動復帰型である場合、ショート状態が継続すると遮断と復帰を繰り返してしまい、物理的な故障が発生し、自動復帰型のヒューズの交換が必要になる。自動復帰型のヒューズが基盤実装型である場合、基盤本体の交換が必要になる場合がある。
このような課題に対して、第2の実施形態においては、異常検出部28を用いて異常の検出を行う。より具体的には、第2の実施形態に係る調光ユニット24は、例えば、PWM信号線23のショートなどの異常検出を行う。異常検出部28は、例えば、ポリスイッチを含む。ポリスイッチは、高温になると抵抗が大きくなり、最終的に回路を遮断する。第2の実施形態においては、例えば、監視対象の信号線の一端にポリスイッチの一端を接続し、他端にポリスイッチの他端を接続する。異常検出部28は、ポリスイッチの両端で発生する電圧を示す電圧信号を処理部26に送信する。処理部26は、異常検出部28から電圧信号を受信し、例えば電圧の時間当たりの変化量に基づいて、異常を検出する。処理部26は、異常を検出した場合に異常検出部28による監視対象の回路の動作又は出力を停止する。これにより、パワーボックス22の故障又は破壊を大幅に減少させることができ、回路交換などの発生を防止することができる。
第2の実施形態においては、例えばPWM信号線23又は監視対象の回路がショートしても保護機能が働くため、パワーボックス22が故障することを防止することができ、異常の原因を解消すれば照明デバイス4を再点灯可能である。
処理部26は、異常を検出した場合には、異常情報を、接続部14、有線伝達路5、無線モジュール2経由で、コントローラ6に送信する。コントローラ6は、アプリケーション・ソフトウェアを用いて、異常情報を表示する。これにより、作業者は、パワーボックス22によって検出された異常を確認することができる。
以上説明した第2の実施形態においては、無線機能を有していない照明デバイス4及び調光器具21に対して、パワーボックス22を組み合わせることにより、無線機能を有する照明システム20に照明デバイス4及び調光器具21を組み込むことができる。
第2の実施形態において、パワーボックス22は、照明システム20のセットアップ完了前に、チェックモードを実行し、照明システム20のセットアップ前においても動作確認と異常検出部28及び処理部26による配線チェックを行うことができる。
第2の実施形態においては、処理部26と異常検出部28とが協働して異常を検出し、異常を検出した場合に、異常検出部28による監視対象の回路の動作又は出力を停止する。これにより、パワーボックス22の故障又は破壊を大幅に減少させることができ、回路交換などの発生を防止することができる。
第2の実施形態においては、パワーボックス22の異常が検出された場合に、コントローラ6が異常情報を表示する。これにより、作業者は、パワーボックス22に発生した異常を確認することができる。
第2の実施形態に係る調光器具21及び照明デバイス4は無線通信に非対応であり、かつ、異常検出機能を有していないが、第2の実施形態に係るパワーボックス22を調光器具21に接続することにより、無線通信と異常検出が可能になり、照明システム20の運用の安全性を確保することができる。
第2の実施形態に係るパワーボックス22は、異常情報をシステムゲートウェイ、インターネット経由でコントローラ6に送信してもよい。これにより、外部のコントローラ6から照明システム20を監視することができる。
第2の実施形態に係るパワーボックス22は、操作部16を備える。従来においては、照明デバイス4と調光器具21の点灯確認をするためには、現場で配線し、コントローラ6とペアリングを行う必要があった。これに対して、第2の実施形態において、作業者は、パワーボックス22に備えられている操作部16を用いて照明をオン/オフすることができ、ペアリングしなくてもチェックモードによる配線確認を行うことができる。これにより、作業者の現場での作業性を向上させることができ、セットアップ前に配線確認を行うことができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第2の実施形態で説明したパワーボックス22の変形例である。
図6は、第3の実施形態に係るパワーボックスの構成の一例を示すブロック図である。この図6のパワーボックス22では、図5のパワーボックス22の構成要素のうち第3の実施形態で説明する部分のみを図示しており、他の部分は省略している。
第3の実施形態に係るパワーボックス22は、2つのPWM出力系統23A,23Bを有している。パワーボックス22は、2つのPWM出力系統23A,23Bにより調光器具21にPWM信号を伝達する。
第3の実施形態に係るパワーボックス22は、マイクロコンピュータ32と、異常検出部34A,34Bと、抵抗器35A,35Bを備える。
マイクロコンピュータ32は、PWM出力系統23Aに対応するPWM調光信号回路33AとPWM出力系統23Bに対応するPWM調光信号回路33Bとを備える。PWM調光信号回路33A,33Bは、PWM信号を生成し、生成したPWM信号をPWM出力系統23A,23B経由で調光器具21に送信する。
マイクロコンピュータ32は、PWM調光信号回路33AからPWM出力系統23Aへ出力されたPWM信号(電圧)を監視し、さらに、PWM調光信号回路33BからPWM出力系統23Bへ出力されたPWM信号を監視する。マイクロコンピュータ32は、図5における処理部26と調光部27として機能する。マイクロコンピュータ32は、起動し、通電状態となると、異常検出を開始する。
異常検出部34A,34Bのそれぞれは、PWM調光信号回路33A,33Bのそれぞれと直列に接続されており、例えば、抵抗器又はポリスイッチ端の電圧を監視する。
異常検出部34A,34Bのそれぞれは、PWM信号の電圧の測定値(例えば実測値又は取り込み値)を、抵抗器35A,35Bを経由してマイクロコンピュータ32に出力する。
マイクロコンピュータ32は、理論値と、測定値とを比較し、差が所定の範囲を超える場合に異常を検出する。
一般的に、照明制御用のPWM信号(例えば調光信号)は、DC12V程度の電圧で1kHzの周波数のパルス波形である。消灯信号時はDC12Vである。PWM信号によって表される調光度を上げると(明るくすると)、PWM信号の波形におけるオフ期間は長くなる。このように、オフ期間が長くなれば、電圧換算した場合に微弱になる。また、ポリスイッチを作動させるほどの電流増加を期待できない場合がある。このため、オフ期間の長いPWM信号の異常検出は困難である。
しかしながら、第3の実施形態においては、マイクロコンピュータ32が理論値と測定値とを比較し、異常検出を行うため、PWM信号を電圧換算した値(例えば調光度)が微弱であっても異常検出を行うことができる。
図7は、PWM信号の電圧と平均電圧との関係の例を示すグラフである。
PWMはパルス幅変調と呼ばれる。PWMでは、一定間隔(T)で発生するパルスの幅(Tp)を変化させることにより平均電圧が制御される。例えば、波形のオン期間が長い場合には照明デバイス4は暗く発光し、オン期間が短い場合、明るく発光する。パワーボックス22は、このようなPWM信号の出力制御を行う。第3の実施形態に係るパワーボックス22は、異常検出の処理において、PWM信号をAD変換回路によりアナログデジタル変換し、マイクロコンピュータ32にフィードバックさせる。そして、パワーボックス22は、出力したPWM信号の理論値とフィードバックされた測定値との差が所定範囲外となる時間が所定期間以上となる場合に、異常を検出する。
以上説明した第3の実施形態においては、パワーボックス22が2つのPWM出力系統23A,23Bを有しており、2つのPWM出力系統23A,23Bのそれぞれに対して異常検出部34A,34Bが備えられており、マイクロコンピュータ32が理論値と測定値との比較を行うことで2つのPWM出力系統23A,23Bの異常検出を行う。これにより、PWM調光信号の示す調光度がどのような値であっても異常検出を行うことができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、上記第1又は第2の実施形態に係る無線モジュールの変形例である。
図8は、第4の実施形態に係る無線モジュール29の構成の一例を示すブロック図である。
無線モジュール29は、第1の接続部91、第2の接続部92、操作部7、表示部8、通信モジュール30を備える。通信モジュール30は、通信アンテナ(無線アンテナ)11、記憶部12、演算部31を備える。
第4の実施形態において、無線モジュール29は、異なる供給電圧であっても使用可能なように、複数の電源入力の端子、すなわち第1の接続部91及び第2の接続部92を備える。演算部31は、第1の接続部91と第2の接続部92とのうち使用されている接続部に応じて動作を切り替える。
これにより、無線モジュール29は、例えばDC3.3V系などの第1の供給電圧の電源に対しても使用可能であり、例えばDC5~18Vなどの第2の供給電源の電源に対しても使用可能である。
[第5の実施形態]
第5の実施形態では、無線モジュール2,29に記憶される情報と、コントローラ6の下位(子機)として使用されるコントローラ(以下、子機コントローラという)との関係を説明する。以下の説明では、無線モジュール2及び照明システム1を代表して説明するが、無線モジュール29及び照明システム20についても同様である。
照明システム1は、1以上の照明デバイス4によりシーンを再生する。照明システム1は、作業者及びユーザの利便性を向上させるために、標準のシーンに対する第1の変更及び第2の変更という2種類の変更を実現可能としてもよい。
第1の変更は、例えば、標準のシーンからの離脱・一時変更・標準のシーンへの復帰を含むモードとする。
第2の変更は、例えば、標準のシーンを微調整するモードとする。
第1の変更と第2の変更とは、例えば、双方とも子機コントローラに対する作業者又はユーザの操作に基づいて標準のシーンを変更する点で共通する。しかしながら、第1の変更と第2の変更とは、変更に関する優先度が異なる点で相違する。
子機コントローラに対する変更操作に優先度を持たせるために、照明システム1は、複数の種類の子機コントローラを備えるとともに、無線モジュール2の記憶部12に各種の情報を記憶する。無線モジュール2は、記憶部12の情報に基づいて処理を実行する。
具体例として、無線モジュール2の記憶部12は、例えば、ネットワーク情報、無線モジュール2の固有識別情報、施設情報(施設識別情報を含む)、エリア情報(エリア識別情報)、グループ情報(グループ識別情報を含む)、少なくとも1つのシーン情報(例えば、シーンレベル、フェードタイム情報を含む)、変更情報(例えばプライベートモードレベル又はユーザ優先モードレベル)、変更復帰シーン情報(例えばプライベートモード復帰シーンレベル)、一時変更情報(一時変更レベル)、最終状態情報(停電復帰用現状レベル)を記憶する。なお、第5の実施形態において、施設は、照明システム1が導入される対象とする。施設は複数のエリアに区分けされる。施設は例えば建築物の1つのフロアとしてもよい。個々のエリアはさらに少なくとも1つのグループに区分けされる。個々のグループには、少なくとも1つの無線モジュール2が所属する。
ネットワーク情報は、コントローラ6の操作によりペアリング時に付与されるネットワークコード(例えばメッシュネットワークキー)を含むとしてもよい。ネットワーク情報は、同一のネットワークで機能するためのログインキー情報を含むとしてもよい。
固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報、シーン情報は、照明システム1の標準の運転及び通信で使用される情報である。固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報、シーン情報は、コントローラ6によって設定され、コントローラ6から無線モジュール2へ送信され、無線モジュール2の記憶部12に記憶される。
変更情報及び変更復帰シーン情報は、無線モジュール2と無線通信可能な第1の子機コントローラによって作業者又はユーザによって生成され、第1の子機コントローラから無線モジュール2へ送信され、無線モジュール2の記憶部12に記憶される。変更情報及び変更復帰シーン情報は、上記の第1の変更(標準のシーンからの離脱・一時変更・標準のシーンへの復帰)、又は、上記の第2の変更(標準のシーンの微調整)を実現するために使用される。
第1の子機コントローラは、例えばプライベートリモートコントローラと表記してもよい。作業者又はユーザは、プライベートリモートコントローラを使用することにより、コントローラ6を使用しなくても、特定のエリア又は特定のグループに所属する照明デバイス4の明るさ・色を操作可能である。作業者又はユーザは、例えば、全体のシーンを変えることなく、自分の上の照明デバイス4を明るくすることができる。また、作業者又はユーザは、例えば、会議などで特定のグループのみを消灯させることができる。
変更情報は、例えば、プライベートリモートコントローラによってシーン離脱をする際に変更される値である。変更情報及び変更復帰シーン情報に対応するシーンへの移行は、コントローラ6によって事前に設定されたプライベートリモートコントローラを作業者又はユーザが操作することにより行われる。
変更情報は、例えば、プライベートリモートコントローラを操作する作業者又はユーザによって変更・調整された明るさ・色に関する値を含むとしてもよい。
変更情報は、作業者又はユーザがプライベートリモートコントローラを用いて設定した優先度の高いシーン情報(明るさ・色のレベルを含む)とする。コントローラ6又はシーンスイッチが無線モジュール2の記憶部12に記憶されている変更情報を呼び出すと、無線モジュール2は、再生中のシーンを離脱して変更情報に対応するシーンを再生するための処理を実行する。この変更情報に対応するシーンを再生するモードの優先度は高いため、変更情報に対応するシーンの再生中は、この作業者又はユーザによって設定された変更情報のシーンの再生が維持される。無線モジュール2は、コントローラ6、シーンスイッチ、又は、スケジュールタイマからシーンの変更指示を受信したとしても、変更情報のシーンを優先して変更情報のシーンを維持し、シーン復帰指示又はコントローラ6からの強制復帰指示を受信するまではコントローラ6、シーンスイッチ、又は、スケジュールタイマから受信したシーンの変更指示を反映しない。そして、無線モジュール2は、このコントローラ6、シーンスイッチ、又は、スケジュールタイマから受信したシーンの変更指示の内容を、変更復帰シーン情報として記憶部12に記憶しておく。無線モジュール2は外部(例えばコントローラ6又はゲートウェイなど)のタイマからの指示を受信するため、無線モジュール2にタイマの機能を備える必要はなく、無線モジュール2の構成を簡素化することができ、無線モジュール2の台数が多くなってもコスト増加を防止することができる。
変更復帰シーン情報は、変更情報に対応するシーンを再生している状態から復帰する場合のシーン(例えば明るさ又は色)の値を含む。無線モジュール2は、作業者又はユーザの操作に基づくシーン復帰指示、又は、コントローラ6からの強制復帰指示を受信するまでこの変更復帰シーン情報を呼び出さない。無線モジュール2は、シーン復帰指示、又は、強制復帰指示を受信した場合に、変更復帰シーン情報を呼び出し、変更復帰シーン情報に対応するシーンを再生するための処理を実行する。
第5の実施形態において、変更情報と変更復帰シーン情報とは対の関係を有している。無線モジュール2は、記憶部12に、復帰時のシーン番号やレベル情報を有する変更復帰シーン情報を随時管理している。
特定のエリアに対して特定のシーン情報に基づいてシーンの再生が実行されている場合に、無線モジュール2は、例えば、変更情報を用いることで、この特定のエリアに属する特定のグループをシーンから離脱することができる。シーンの離脱が生じている状況において、例えば、特定のエリアに対して第1のシーン情報(例えば夜用のシーン情報)から第2のシーン情報(例えば朝のシーン情報)への遷移が発生したとする。この場合、無線モジュール2は、変更復帰シーン情報も第1のシーン情報から第2のシーン情報に遷移させておく。無線モジュール2は、復帰時に、第2のシーン情報に対応する変更復帰シーン情報を呼び出して再生することにより、同じエリアに属する他の無線モジュールと整合したシーンの再生を行う。これにより、時間が経過し、適用されるシーン情報が変化した場合であっても適切なシーンを再生することができる。
プライベートリモートコントローラは、無線モジュール2に対してコマンドを送信する。このコマンドは、例えば、施設の指定、エリアの指定、グループの指定、光の強さを示す値、光の明るさを示す値などを含む構成とする。プライベートリモートコントローラは、例えば、ネットワーク情報、無線モジュール2の固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報を記憶する。プライベートリモートコントローラが記憶しているネットワーク情報、無線モジュール2の固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報は、例えば、コントローラ6により設定され、コントローラ6からプライベートリモートコントローラに送信される。
照明システム1においては、システムの破壊又は故障に対するリスクを分散し、無線通信帯域を確保するために分散処理を実現する。このため、プライベートリモートコントローラは、主に、無線モジュール2にコマンドを送信する。各種の演算及び処理の多くは、個々の無線モジュール2で実行される。コマンドとしては、例えば、照明を明るくするコマンド、照明を暗くするコマンド、色温度を変更するコマンド、オン/オフコマンド、シーン離脱コマンド、シーン復帰コマンドがある。
作業者又はユーザがプライベートリモートコントローラを用いてシーンを変更しても、標準のシーン情報は無線モジュール2に保存されている。このため、作業者又はユーザは、自由にシーンを変更し、その後容易にシーンを復帰させることができる。また、プライベートリモートコントローラは、コントローラ6よりも機能が少なくてもよく、作業者又はユーザはプライベートリモートコントローラの感覚的なインタフェースを用いることができる。
無線モジュール2の記憶部12に記憶されている一時変更情報は、コントローラ6又はシーンスイッチ(例えば壁シーンスイッチ)によって設定され、コントローラ6又はシーンスイッチから無線モジュール2に送信され、無線モジュール2の記憶部12に記憶される。一時変更情報は、例えば、一時的に変更されたシーンレベルを含む。
一時変更情報に基づいてシーンを再生するモードへの移行は、コントローラ6又はシーンスイッチを作業者又はユーザが操作することにより行われる。
シーンスイッチは、例えば、コントローラ6と無線モジュール2との間で通信を中継するゲートウェイに接続される。この場合、ゲートウェイは例えば無線モジュール2と無線通信を行う。ゲートウェイはタイマ機能を有しており、作業者又はユーザはシーンスイッチを用いてゲートウェイのタイマ機能をオン/オフ可能としてもよい。作業者又はユーザは、シーンスイッチを使用することにより、コントローラ6を用いることなく、シーンの呼び出し、シーンの切り替え、明るさの一時変更、色温度の一時変更、スケジュールの開始、スケジュールの解除を行うことができる。
コントローラ6又はシーンスイッチが無線モジュール2の記憶部12に記憶されている一時変更情報を呼び出すと、エリアに属するすべての無線モジュール2は、例えば、再生中のシーン情報と一時変更情報とに基づいて、シーンを一時的に変更する。この一時的なシーンの変更は、例えば上記の変更情報に基づくシーンの変更などよりも優先度を低くしてもよい。一時変更情報に基づくシーンの一時的な変更は優先度が低いため、作業者又はユーザの操作、又は、タイマにより別のシーン情報が呼び出された場合、無線モジュール2は、一時変更情報を破棄し、別のシーン情報に対応するシーンの再生を開始してもよい。
作業者又はユーザは、シーン再生中に、シーンスイッチの上ボタン又は下ボタンを操作し、シーンの明るさ、色温度などを変更する。シーンスイッチは、例えば、ゲートウェイ経由で、特定の施設の特定のエリアに属する全グループの無線モジュール2に、一時変更のコマンドを送信する。この一時変更の優先度は低いため、無線モジュール2は、シーンの一時変更を実行した後に、コントローラ6又はシーンスイッチからゲートウェイ経由で別のコマンドを受信した場合に、一時変更を破棄し、受信した別のコマンドにそったシーンへ遷移する。
第5の実施形態において、ゲートウェイは、タイマ機能を備えており、無線モジュール2の一時変更を所定の時間に無効化してもよい。
シーンスイッチは、ゲートウェイ経由で無線モジュール2に対してコマンドを送信する。このコマンドは、例えば、施設の指定、特定のエリアに所属する全グループの指定、光の強さを示す値、光の明るさを示す値などを含む構成とする。シーンスイッチは、例えば、ネットワーク情報、無線モジュール2の固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報を記憶する。シーンスイッチが記憶しているネットワーク情報、無線モジュールの固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報は、例えば、コントローラ6により設定され、コントローラ6からシーンスイッチに送信される。
作業者又はユーザがシーンスイッチを用いてシーンを変更しても、標準のシーン情報は無線モジュール2に保存されている。このため、作業者又はユーザは、自由にシーンを変更し、その後容易にシーンを復帰させることができる。また、シーンスイッチは、コントローラ6よりも機能が少なくてもよく、作業者又はユーザは感覚的なインタフェースを用いることができる。
最終状態情報は、照明システム1への電力供給が停止された場合(例えば停電の場合)における最新のシーン情報を表す。無線モジュール2は、電力供給が再開された場合に、最終状態情報を記憶部12から読み出し、最終状態情報に対応するシーンの再生を行う。これにより、無線モジュール2は、電力供給が停止される直前のシーンを再現することができる。
以上説明した第5の実施形態においては、コントローラ6で設定された各種の情報は、無線モジュール2の記憶部12に記憶される。無線モジュール2は、コントローラ6、子機コントローラ、ゲートウェイなどから受信したコマンドにそって記憶部12の記憶内容にそって処理を実行する。
第5の実施形態において、コントローラ6、子機コントローラ、ゲートウェイのタイマ機能によって送信されるコマンドは、シンプルなデータ構造とする。これにより、複数の無線モジュール2によってメッシュネットワークを構築することができ、ネットワークの負荷を軽減させることができ、レスポンスを速くすることができる。また、第5の実施形態においては、ネットワークの帯域を確保するために、応答が不要な特定のコマンドに対して応答の送受信を省略してもよい。第5の実施形態では、コマンドの種別に応じて応答を省略可能であるが、コントローラ6が設定情報を無線モジュール12に送信した場合には、当該コントローラ6は、当該設定情報が正常に受信されたことを示す応答を無線モジュール2から受信してもよい。
第5の実施形態においては、通信の安定と確実性を確保するために、照明システム1に備えられる複数の無線モジュール2が相互に通信可能であり、コマンドのリピート通信を行うとしてもよい。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。