JP7496501B2 - 熱電変換素子及び熱電変換装置 - Google Patents

熱電変換素子及び熱電変換装置 Download PDF

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本開示は、フォノニック結晶構造を有する部材を備える熱電変換素子及び当該熱電変換素子を備える熱電変換装置に関する。
特許文献1、特許文献2及び非特許文献1は、複数の貫通孔により構成される周期構造を開示している。この周期構造では、薄膜を平面視して、ナノメートルのオーダー(1nmから1000nmの領域)内の周期で規則的に貫通孔が配列している。この周期構造は、フォノニック結晶構造の一種である。このタイプのフォノニック結晶構造は、貫通孔の配列を構成する最小単位である単位格子を通常有する。当該フォノニック結晶構造によれば、薄膜の熱伝導率が減少可能となる。薄膜の熱伝導率は、例えば、多孔質化によっても低減できる。多孔質化によって薄膜に導入された空隙が、薄膜の熱伝導率を減少させるためである。しかし、フォノニック結晶構造によれば、薄膜を構成する母材自身の熱伝導率が低減可能である。このため、単なる多孔質化に比べて、熱伝導率のさらなる低減が期待される。
特許文献3には、p型熱電変換材料とn型熱電変換材料とを備える熱電変換素子が開示されている。
米国特許出願公開第2017/0047499号明細書 米国特許出願公開第2017/0069818号明細書 国際公開第2011/048634号
本開示は、熱電変換素子の熱電変換効率を高める技術を提供する。
本開示は、以下の熱電変換素子を提供する。
熱電変換素子であって、
p型熱電変換部;
n型熱電変換部;
第1電極;
第2電極;及び
第3電極、を具備し、
ここで、
前記p型熱電変換部の一方の端部と、前記n型熱電変換部の一方の端部とは、前記第1電極を介して電気的に接続されており、
前記p型熱電変換部の他方の端部は、前記第2電極と電気的に接続されており、
前記n型熱電変換部の他方の端部は、前記第3電極と電気的に接続されており、
前記p型熱電変換部は、規則的に配列した複数の第1貫通孔を具備する第1フォノニック結晶構造を有する第1フォノニック結晶層を備え、
前記n型熱電変換部は、規則的に配列した複数の第2貫通孔を具備する第2フォノニック結晶構造を有する第2フォノニック結晶層を備え、
前記第1フォノニック結晶構造における前記複数の第1貫通孔の貫通方向は、前記p型熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向であり、
前記第2フォノニック結晶構造における前記複数の第2貫通孔の貫通方向は、前記n型熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向である。
本開示は、別の側面から、以下の熱電変換素子を提供する。
熱電変換素子であって、
互いに隣接する2つの熱電変換部;
第4電極;
第5電極;及び
第6電極、を具備し、
ここで、
前記2つの熱電変換部の導電型は同一であり、
一方の前記熱電変換部の一方の端部と、他方の前記熱電変換部の一方の端部とは、前記第4電極を介して電気的に接続されており、
前記一方の熱電変換部の他方の端部は、前記第5電極と電気的に接続されており、
前記他方の熱電変換部の他方の端部は、前記第6電極と電気的に接続されており、
前記第5電極と前記第6電極との間に電流を流したときに、前記隣接する2つの熱電変換部における前記電流の流れる方向は同一であり、
前記一方の熱電変換部は、規則的に配列した複数の第1貫通孔を具備する第1フォノニック結晶構造を有する第1フォノニック結晶層を備え、
前記他方の熱電変換部は、規則的に配列した複数の第2貫通孔を具備する第2フォノニック結晶構造を有する第2フォノニック結晶層を備え、
前記第1フォノニック結晶構造における前記複数の第1貫通孔の貫通方向は、前記一方の熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向であり、
前記第2フォノニック結晶構造における前記複数の第2貫通孔の貫通方向は、前記他方の熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向である。
本開示によれば、熱電変換素子の熱電変換効率を高めることができる。
図1は、本開示の熱電変換素子の一例を模式的に示す断面図である。 図2Aは、本開示の熱電変換素子が備えうるp型熱電変換部の一例を模式的に示す断面図である。 図2Bは、本開示の熱電変換素子が備えうるn型熱電変換部の一例を模式的に示す断面図である。 図3Aは、本開示の熱電変換素子が備えうるp型熱電変換部の別の一例を模式的に示す断面図である。 図3Bは、本開示の熱電変換素子が備えうるn型熱電変換部の別の一例を模式的に示す断面図である。 図4Aは、図3Aのp型熱電変換部を第1フォノニック結晶層の側から見た平面図である。 図4Bは、図3Aのp型熱電変換部を第3フォノニック結晶層の側から見た平面図である。 図5Aは、図3Bのn型熱電変換部を第2フォノニック結晶層の側から見た平面図である。 図5Bは、図3Bのn型熱電変換部を第4フォノニック結晶層の側から見た平面図である。 図6Aは、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の単位格子の一例を示す模式図である。 図6Bは、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の単位格子の別の一例を示す模式図である。 図6Cは、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の単位格子のまた別の一例を示す模式図である。 図6Dは、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の単位格子の上記とは別の一例を示す模式図である。 図7は、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の一例を模式的に示す平面図である。 図8Aは、図7のフォノニック結晶構造が含む第1ドメインにおける単位格子とその方位とを示す模式図である。 図8Bは、図7のフォノニック結晶構造が含む第2ドメインにおける単位格子とその方位とを示す模式図である。 図9は、図7のフォノニック結晶構造の領域R1の拡大図である。 図10は、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の別の一例を模式的に示す平面図である。 図11は、図10のフォノニック結晶構造の領域R2の拡大図である。 図12は、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造のまた別の一例を模式的に示す平面図である。 図13は、図12のフォノニック結晶構造の領域R3の拡大図である。 図14は、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造のさらにまた別の一例を模式的に示す平面図である。 図15は、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の上記とは別の一例を模式的に示す平面図である。 図16は、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の上記とは別の一例を模式的に示す平面図である。 図17Aは、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の単位格子の一例を示す模式図である。 図17Bは、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の単位格子の別の一例を示す模式図である。 図18は、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の上記とは別の一例を模式的に示す平面図である。 図19は、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶構造の上記とは別の一例を模式的に示す平面図である。 図20Aは、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶層の一例を模式的に示す平面図である。 図20Bは、図20Aのフォノニック結晶層の断面20B-20Bを示す断面図である。 図21は、本開示の熱電変換素子が備えうるp型熱電変換部及び/又はn型熱電変換部の上記とは別の一例を模式的に示す断面図である。 図22Aは、本開示の熱電変換素子が有しうるフォノニック結晶層の別の一例を模式的に示す平面図である。 図22Bは、図22Aのフォノニック結晶層の断面22B-22Bを示す断面図である。 図23は、本開示の熱電変換素子が備えうるp型熱電変換部及び/又はn型熱電変換部の上記とは別の一例を模式的に示す断面図である。 図24Aは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Bは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Cは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Dは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Eは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Fは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Gは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Hは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Iは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Jは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Kは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Lは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Mは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Nは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図24Oは、本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例を説明するための模式的な断面図である。 図25は、本開示の熱電変換素子の別の一例を模式的に示す断面図である。 図26Aは、本開示の熱電変換装置が備えうる熱電変換モジュールの一例を模式的に示す断面図である。 図26Bは、本開示の熱電変換素子が備えうる熱電変換モジュールの別の一例を模式的に示す断面図である。 図27は、本開示の熱電変換装置が備えうる熱電変換モジュールの別の一例を模式的に示す斜視図である。 図28は、本開示の熱電変換装置が備えうる熱電変換モジュールのまた別の一例を模式的に示す断面図である。 図29は、本開示の熱電変換装置の一例を模式的に示す断面図である。 図30は、本開示の熱電変換装置の一例を模式的に示す断面図である。 図31は、本開示の熱電変換装置の一例を模式的に示す断面図である。 図32は、本開示の熱電変換装置の一例を模式的に示す断面図である。
(本開示の基礎となった知見)
絶縁体及び半導体において、熱は、主として、フォノンと呼ばれる格子振動によって運ばれる。絶縁体又は半導体から構成される材料の熱伝導率は、材料が有するフォノンの分散関係により決定される。フォノンの分散関係とは、周波数と波数との関係、又はバンド構造を意味している。絶縁体及び半導体において、熱を運ぶフォノンは、100GHzから10THzの幅広い周波数帯域に及ぶ。この周波数帯域は、熱の帯域である。材料の熱伝導率は、熱の帯域にあるフォノンの分散関係により定められる。
上述したフォノニック結晶構造によれば、貫通孔の周期構造によって、材料が有するフォノンの分散関係が制御可能である。即ち、フォノニック結晶構造によれば、材料、例えば薄膜の母材、の熱伝導率そのものが制御可能である。とりわけ、フォノニック結晶構造によるフォノニックバンドギャップ(PBG)の形成は、材料の熱伝導率を大きく低減させうる。PBG内にフォノンは存在できない。このため、熱の帯域に位置するPBGは、熱伝導のギャップとなりうる。また、PBG以外の周波数帯域においても、フォノンの分散曲線の傾きがPBGによって小さくなる。傾きの低減はフォノンの群速度を低下させ、熱伝導速度を低下させる。これらの点は、材料自体の熱伝導率の低減に大きく寄与する。
本開示の熱電変換素子では、素子が備える一対の熱電変換部が、規則的に配列した複数の貫通孔を具備するフォノニック結晶構造を有するフォノニック結晶層を備えている。第1実施形態では、一対の熱電変換部は、p型熱電変換部及びn型熱電変換部である。p型熱電変換部は、一方の端部において第1電極と電気的に接続され、他方の端部において第2電極と電気的に接続されている。n型熱電変換部は、一方の端部において第1電極と電気的に接続され、他方の端部において第3電極と電気的に接続されている。第2実施形態では、一対の熱電変換部は、互いに隣接する、導電型を同一とする2つの熱電変換部である。一方の熱電変換部は、一方の端部において第4電極と電気的に接続され、他方の端部において第5電極と電気的に接続されている。他方の熱電変換部は、一方の端部において第4電極と電気的に接続され、他方の端部において第6電極と電気的に接続されている。フォノニック結晶層を備えることにより、各熱電変換部における上記一方の端部と他方の端部との間の熱伝導率の低減が可能となる。したがって、本開示の熱電変換素子では、熱電変換効率の向上が可能となる。
(本開示の実施形態)
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的、又は具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、プロセス条件、ステップ、ステップの順序等は一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
(第1実施形態)
第1実施形態の熱電変換素子の一例が図1に示される。図1の熱電変換素子1は、p型熱電変換部2、n型熱電変換部3、第1電極4、第2電極5及び第3電極6を備える。p型熱電変換部2の一方の端部11と、n型熱電変換部3の一方の端部13とは、第1電極4を介して電気的に接続されている。p型熱電変換部2の他方の端部12は、第2電極5と電気的に接続されている。n型熱電変換部3の他方の端部14は、第3電極6と電気的に接続されている。熱電変換素子1は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するペルティエ素子としても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するゼーベック素子としても、機能しうる。
p型熱電変換部2の一例が図2Aに示される。図2Aのp型熱電変換部2は、規則的に配列した複数の第1貫通孔15を具備する第1フォノニック結晶構造を有する第1フォノニック結晶層16を備える。図2Aのp型熱電変換部2は、第1フォノニック結晶層16の単層構造体である。第1フォノニック結晶構造及び第1フォノニック結晶層16における複数の第1貫通孔15の貫通方向は、p型熱電変換部2における一方の端部11と他方の端部12とを結ぶ方向である。また、当該方向は、例えば、p型熱電変換部2における一方の端部11及び他方の端部12を構成する面、言い換えると、第1電極4及び/又は第2電極5との接続面、に略垂直な方向である。本明細書において「略垂直」とは、2つの方向の関係が、例えば5度以下、好ましくは3度以下、より好ましくは1度以下、垂直からずれている場合にも、当該関係を垂直とみなす趣旨である。
n型熱電変換部3の一例が図2Bに示される。図2Bのn型熱電変換部3は、規則的に配列した複数の第2貫通孔17を具備する第2フォノニック結晶構造を有する第2フォノニック結晶層18を備える。図2Bのn型熱電変換部3は、第2フォノニック結晶層18の単層構造体である。第2フォノニック結晶構造及び第2フォノニック結晶層18における複数の第2貫通孔17の貫通方向は、n型熱電変換部3における一方の端部13と他方の端部14とを結ぶ方向である。また、当該方向は、例えば、n型熱電変換部3における一方の端部13及び他方の端部14を構成する面、言い換えると、第1電極4及び/又は第3電極6との接続面、に略垂直な方向である。
p型熱電変換部2の別の一例が図3Aに示される。図3Aのp型熱電変換部2は、第1フォノニック結晶層16に加えて、規則的に配列した複数の第3貫通孔19を具備する第3フォノニック結晶構造を有する第3フォノニック結晶層20をさらに備える。第1フォノニック結晶層16と第3フォノニック結晶層20とは、p型熱電変換部2における一方の端部11と他方の端部12とを結ぶ方向に積層されている。第1フォノニック結晶構造及び第1フォノニック結晶層16における複数の第1貫通孔15の貫通方向と、第3フォノニック結晶構造及び第3フォノニック結晶層20における複数の第3貫通孔19の貫通方向とは、略平行である。図3Aのp型熱電変換部2は、第1フォノニック結晶層16及び第3フォノニック結晶層20の積層構造体である。第1フォノニック結晶層16と第3フォノニック結晶層20とは、互いに接している。本明細書において「略平行」とは、2つの方向の関係が、例えば5度以下、好ましくは3度以下、より好ましくは1度以下、平行からずれている場合にも、当該関係を平行とみなす趣旨である。
n型熱電変換部3の別の一例が図3Bに示される。図3Bのn型熱電変換部3は、第2フォノニック結晶層18に加えて、規則的に配列した複数の第4貫通孔21を具備する第4フォノニック結晶構造を有する第4フォノニック結晶層22をさらに備える。第2フォノニック結晶層18と第4フォノニック結晶層22とは、n型熱電変換部3における一方の端部13と他方の端部14とを結ぶ方向に積層されている。第2フォノニック結晶構造及び第2フォノニック結晶層18における複数の第2貫通孔17の貫通方向と、第4フォノニック結晶構造及び第4フォノニック結晶層22における複数の第4貫通孔21の貫通方向とは、略平行である。図3Bのn型熱電変換部3は、第2フォノニック結晶層18及び第4フォノニック結晶層22の積層構造体である。第2フォノニック結晶層18と第4フォノニック結晶層22とは、互いに接している。
PBGの分布は立体的であり、フォノニック結晶層では、面内方向だけではなく厚さ方向の熱流の制御及び当該制御による熱伝導率の低減が期待される。なお、本明細書において「フォノニック結晶層における厚さ方向」とは、規則的に配列した複数の貫通孔の貫通方向を意味する。図3A及び図3Bに示されるp型熱電変換部2及びn型熱電変換部3では、少なくとも2層のフォノニック結晶層が厚さ方向に積層されている。積層による厚さの増大により、p型熱電変換部2及びn型熱電変換部3における厚さ方向の熱流のより確実な制御が期待される。
第1フォノニック結晶層16、第2フォノニック結晶層18、第3フォノニック結晶層20及び第4フォノニック結晶層22の厚さは、例えば、10nm以上500nm以下である。p型熱電変換部2が2以上のフォノニック結晶層を備える場合、各フォノニック結晶層の厚さは、互いに同一であっても異なっていてもよい。n型熱電変換部3が2以上のフォノニック結晶層を備える場合、各フォノニック結晶層の厚さは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
p型熱電変換部2が備えるフォノニック結晶層の数は、限定されない。p型熱電変換部2が2以上のフォノニック結晶層を備える場合、各フォノニック結晶層は、互いに接するように積層されていても、他の部材を介して積層されていても構わない。n型熱電変換部3が備えるフォノニック結晶層の数は、限定されない。n型熱電変換部3が2以上のフォノニック結晶層を備える場合、各フォノニック結晶層は、互いに接するように積層されていても、他の部材を介して積層されていても構わない。他の部材は、例えば、SiO2等の酸化膜、後述のバッファ層である。
図3Aのp型熱電変換部2を第1フォノニック結晶層16の側から見た平面図が図4Aに示される。図3Aのp型熱電変換部2を第3フォノニック結晶層20の側から見た平面図が図4Bに示される。図3A、図4A及び図4Bのp型熱電変換部2において、第1フォノニック結晶層16が有する第1フォノニック結晶構造の構成と、第3フォノニック結晶層20が有する第3フォノニック結晶構造の構成とは異なっている。具体的には、第1貫通孔15の配列の周期Pと、第3貫通孔19の配列の周期Pとが異なっている。第1フォノニック結晶構造の構成と第3フォノニック結晶構造の構成とが異なる場合、通常、第3貫通孔19の少なくとも一部は第1貫通孔15と連通していない。ただし、2以上のフォノニック結晶層を備えるp型熱電変換部2において、各フォノニック結晶層の構成は同一であってもよい。
図3Bのn型熱電変換部3を第2フォノニック結晶層18の側から見た平面図が図5Aに示される。図3Bのn型熱電変換部3を第4フォノニック結晶層22の側から見た平面図が図5Bに示される。図3B、図5A及び図5Bのn型熱電変換部3において、第3フォノニック結晶層18が有する第3フォノニック結晶構造の構成と、第4フォノニック結晶層22が有する第4フォノニック結晶構造の構成とは異なっている。具体的には、第3貫通孔17の配列の周期Pと、第4貫通孔21の配列の周期Pとが異なっている。第2フォノニック結晶構造の構成と第4フォノニック結晶構造の構成とが異なる場合、通常、第4貫通孔21の少なくとも一部は第3貫通孔17と連通していない。ただし、2以上のフォノニック結晶層を備えるn型熱電変換部3において、各フォノニック結晶層の構成は同一であってもよい。
p型熱電変換部2が備えるフォノニック結晶層の構成と、n型熱電変換部3が備えるフォノニック結晶層の構成とは、同一であってもよい。
第1貫通孔15の長さに相当する第1フォノニック結晶層16の厚さは、第1貫通孔15の直径の2倍以上であってもよい。第2貫通孔17の長さに相当する第2フォノニック結晶層18の厚さは、第2貫通孔17の直径の2倍以上であってもよい。第3貫通孔19の長さに相当する第3フォノニック結晶層20の厚さは、第3貫通孔19の直径の2倍以上であってもよい。第4貫通孔21の長さに相当する第4フォノニック結晶層22の厚さは、第4貫通孔21の直径の2倍以上であってもよい。これらの場合、各フォノニック結晶層16,18,20,22の上面及び下面の間の距離の増大が可能である。これにより、各フォノニック結晶層の上面と下面との間の温度差の増大が可能となり、熱電変換効率を向上できる。なお、本明細書においてフォノニック結晶層の「上面」及び「下面」とは、それぞれ、フォノニック結晶層を貫通孔の貫通方向に見たときの一方の主面及び当該一方の主面に対向する他方の主面を意味する。「主面」とは、最も広い面積を有する面を意味する。各フォノニック結晶層の厚さの上限は、例えば、当該結晶層が具備する貫通孔の直径の100倍以下であり、80倍以下、60倍以下、50倍以下であってもよい。
各フォノニック結晶層の体積に対する、各フォノニック結晶層に含まれる上記貫通孔の体積の合計の割合、言い換えるとフォノニック結晶層の空隙率、は、10%以上であってもよい。この場合、上記貫通孔を除くフォノニック結晶層の体積の低減が可能となり、PBGの効果を向上できる。これにより、フォノニック結晶層の熱伝導率の更なる低減が可能となり、熱電変換効率を向上できる。フォノニック結晶層の空隙率の上限は、例えば、90%以下であり、70%以下、50%以下、40%以下であってもよい。
第1フォノニック結晶構造の構成と第3フォノニック結晶構造の構成とが異なる場合として、次の各ケースが例示される。複数のケースが組み合わされていてもよい。第2フォノニック結晶構造の構成と第4フォノニック結晶構造の構成とが異なる場合も同様である。なお、この場合、以下の説明において、「第1貫通孔15」は「第2貫通孔17」に、「第3貫通孔19」は「第4貫通孔21」に、それぞれ、読み替えられる。
・第1貫通孔15の配列の周期Pと、第3貫通孔19の配列の周期Pとが異なる。
・第1貫通孔15の径Dと、第3貫通孔19の径Dとが異なる。
・第1貫通孔15により構成される単位格子91の種類と、第3貫通孔19により構成される単位格子91の種類とが異なる。
後述のフォノニック結晶構造Aに示すように、第1フォノニック結晶構造における第1貫通孔15の配列、及び第3フォノニック結晶構造における第3貫通孔19の配列は、フォノニック結晶層の全体にわたって一定であるとは限らない。これを考慮すると、p型熱電変換部2は、第1フォノニック結晶構造の構成と第3フォノニック結晶構造の構成とが異なる場合として、以下の各形態を有しうる。p型熱電変換部2は、以下の各形態が任意に組み合わされた形態を有していてもよい。n型熱電変換部3が有しうる第2フォノニック結晶構造と第4フォノニック結晶構造との関係も同様である。なお、この場合、以下の説明において、「第1フォノニック結晶構造」は「第2フォノニック結晶構造」に、「第3フォノニック結晶構造」は「第4フォノニック結晶構造」に、「第1貫通孔15」は「第2貫通孔17」に、「第3貫通孔19」は「第4貫通孔21」に、それぞれ、読み替えられる。
形態A:第1フォノニック結晶構造が、フォノニック結晶領域であるドメインAを含む。第3フォノニック結晶構造が、フォノニック結晶領域であるドメインBを含む。第1貫通孔15及び第3貫通孔19の貫通方向に見て、ドメインAとドメインBとは重複している。ドメインAにおける第1貫通孔15の配列の周期Pと、ドメインBにおける第3貫通孔19の配列の周期とが異なる。
形態B:第1フォノニック結晶構造が、フォノニック結晶領域であるドメインAを含む。第3フォノニック結晶構造が、フォノニック結晶領域であるドメインBを含む。第1貫通孔15及び第3貫通孔19の貫通方向に見て、ドメインAとドメインBとは重複している。ドメインAにおける第1貫通孔15の径と、ドメインBにおける第3貫通孔19の径とが異なる。
形態C:第1フォノニック結晶構造が、フォノニック結晶領域であるドメインAを含む。第3フォノニック結晶構造が、フォノニック結晶領域であるドメインBを含む。第1貫通孔15及び第3貫通孔19の貫通方向に見て、ドメインAとドメインBとは重複している。ドメインAにおける第1貫通孔15により構成される単位格子の種類と、ドメインBにおける第3貫通孔19により構成される単位格子の種類とが異なる。
フォノニック結晶領域であるドメインは、貫通孔15,17,19,21の配列の周期をPとして、平面視において、例えば、25P2以上の面積を有する領域である。フォノニック結晶構造によってフォノンの分散関係を制御するには、ドメインは、少なくとも25P2以上の面積を有していてもよい。平面視において正方形のドメインでは、5×P以上の辺とすることで、25P2以上の面積が確保可能である。
平面視による各ドメインの形状は限定されない。平面視による各ドメインの形状は、例えば、三角形、正方形及び長方形を含む多角形、円、楕円、並びにこれらの複合形状である。平面視による各ドメインの形状は、不定形であってもよい。また、フォノニック結晶構造が有するドメインの数は限定されない。フォノニック結晶構造が有する各ドメインのサイズは限定されない。1つのドメインが、フォノニック結晶層の全体に拡がっていてもよい。
なお、本明細書において、「平面視」とは、フォノニック結晶構造を構成する貫通孔の貫通方向に対象物を視ることを意味する。対象物が薄膜状である場合、貫通孔の貫通方向は、典型的には、対象物の主面に略垂直な方向である。
貫通孔15,17,19,21の配列の周期Pは、例えば、1nm以上300nm以下である。これは、熱を運ぶフォノンの波長が、主として1nmから300nmの範囲に及ぶためである。周期Pは、平面視において隣接する貫通孔15,17,19,21間の中心間距離により定められる。
貫通孔15,17,19,21の径Dは、周期Pに対する比D/Pにより表して、例えば、D/P≧0.5である。比D/P<0.5である場合、フォノニック結晶構造における空隙率が過度に低下して、熱流が十分に制御されない、例えば熱伝導率が十分に低下しない、ことがある。比D/Pの上限は、隣接する貫通孔15,17,19,21同士が接しないために、例えば、0.9未満である。径Dは、貫通孔15,17,19,21の開口の径である。貫通孔15,17,19,21の開口の形状が平面視において円である場合、径Dは当該円の直径である。貫通孔15,17,19,21の開口の形状は平面視において円でなくてもよい。この場合、径Dは、開口の面積と同じ面積を有する仮想の円の直径により定められる。
規則的に配列した複数の貫通孔15,17,19,21により構成される単位格子91の種類は、例えば、正方格子(図6A)、六方格子(図6B)、長方格子(図6C)及び面心長方格子(図6D)である。ただし、単位格子91の種類は、これらの例に限定されない。
p型熱電変換部2、n型熱電変換部3、並びにp型熱電変換部2及びn型熱電変換部3が備えうるフォノニック結晶層を構成する材料Mは、典型的には、p型又はn型の適切な半導体型(導電型)となるように不純物元素がドープされた半導体材料である。半導体材料は、例えば、シリコン(Si)、Ge、SiGe、SiC、ZnSe、CdSn、ZnO、GaAs、InP、GaNである。材料Mは、半導体材料以外の材料であってもよく、当該材料は、例えば、TiN、SiN、VO2である。ただし、材料Mは、上記例に限定されない。
なお、Si系半導体材料は、一般に、半導体材料としては比較的高い熱伝導率を有している。このため、Si系半導体材料から構成される熱電変換部を備える従来の熱電変換素子では、高い熱電変換効率の達成が困難であった。一方、本開示の熱電変換素子では、熱電変換部はフォノニック結晶層を備えている。このため、本開示の熱電変換素子では、熱電変換部がSi系半導体材料により構成される場合においても、高い熱電変換効率の達成が可能となる。
また、Si系半導体材料により熱電変換部が構成可能であることは、例えば、以下のメリットをもたらす。
・Si系半導体材料により構成されるベース基板、例えばSiウェハ、上への熱電変換素子及び当該素子を備える熱電変換装置の形成が可能となる。
・Si系半導体材料により構成されるベース基板の内部への熱電変換素子及び/又は熱電変換装置の埋設が可能となる。これにより、例えば、熱電変換素子及び/又は熱電変換装置を埋設したベース基板上へのCPU等の電子デバイスの形成が可能となる。これは、例えば、冷却用のペルティエ素子及び/又はペルティエ式冷却装置が埋設された電子デバイスの製造が可能となることを意味する。
第1フォノニック結晶構造及び第2フォノニック結晶構造は、以下の形態を有していてもよい。第1フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第1ドメイン及び第2ドメインを含む。第1ドメインは、第1貫通孔15の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第1方向に規則的に配列した複数の第1貫通孔15を具備する。第2ドメインは、第1貫通孔15の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第1方向とは異なる第2方向に規則的に配列した複数の第1貫通孔15を具備する。第2フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第3ドメイン及び第4ドメインを含む。第3ドメインは、第2貫通孔17の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第3方向に規則的に配列した複数の第2貫通孔17を具備する。第4ドメインは、第2貫通孔17の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第3方向とは異なる第4方向に規則的に配列した複数の第2貫通孔17を具備する。
第1フォノニック結晶構造、第2フォノニック結晶構造、第3フォノニック結晶構造及び第4フォノニック結晶構造は、以下の形態を有していてもよい。第1フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第1ドメイン及び第2ドメインを含む。第1ドメインは、第1貫通孔15の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第1方向に規則的に配列した複数の第1貫通孔15を具備する。第2ドメインは、第1貫通孔15の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第1方向とは異なる第2方向に規則的に配列した複数の第1貫通孔15を具備する。第2フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第3ドメイン及び第4ドメインを含む。第3ドメインは、第2貫通孔17の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第3方向に規則的に配列した複数の第2貫通孔17を具備する。第4ドメインは、第2貫通孔17の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第3方向とは異なる第4方向に規則的に配列した複数の第2貫通孔17を具備する。第3フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第5ドメイン及び第6ドメインを含む。第5ドメインは、第3貫通孔19の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第5方向に規則的に配列した複数の第3貫通孔19を具備する。第6ドメインは、第3貫通孔19の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第5方向とは異なる第6方向に規則的に配列した複数の第3貫通孔19を具備する。第4フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第7ドメイン及び第8ドメインを含む。第7ドメインは、第4貫通孔21の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第7方向に規則的に配列した複数の第4貫通孔21を具備する。第8ドメインは、第4貫通孔21の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第7方向とは異なる第8方向に規則的に配列した複数の第4貫通孔21を具備する。
これらのように、配列の方向により区分される複数種のドメインを含むフォノニック結晶構造を、以下、フォノニック結晶構造Aと記載する。配列の方向は、単位格子の方位により定めることができる。
本発明者らの検討によれば、フォノニック結晶構造によってもたらされる熱伝導率の低減の程度は、熱の伝達方向と、フォノニック結晶構造の単位格子の方位(orientation)とが成す角度に依存する。これは、PBGの帯域広さ、PBGの数及びフォノンの平均群速度といった熱伝導に関わる要素が、当該角度に依存するためと考えられる。また、熱の伝達に関して、マクロ的には高温から低温の方向にフォノンは流れる。一方、ナノメートルのオーダーにあるミクロ領域に着目すると、フォノンの流れる方向には指向性がみられない。即ち、ミクロ的にはフォノンの流れる方向は一様ではない。
上述の各特許文献及び非特許文献には、単位格子の方位が一様に揃った複数のフォノニック結晶領域を有する部材が開示されている。しかし、これらの部材では、ミクロで見て、ある特定の方向に流れるフォノンに対しては相互作用が最大となるものの、それ以外の方向に流れるフォノンに対しては相互作用が弱まる。一方、フォノニック結晶構造Aは、単位格子の方位が互いに異なる2以上のフォノニック結晶領域を有する。このため、ミクロで見て、複数の方向に流れる各フォノンに対する相互作用を高めることができる。この特徴は、熱流の制御の自由度のさらなる向上をもたらす。
以下の説明は、第1フォノニック結晶層16、第2フォノニック結晶層18、第3フォノニック結晶層20及び第4フォノニック結晶層22から選ばれる少なくとも1つのフォノニック結晶層が有しうるフォノニック結晶構造Aに関する。複数のフォノニック結晶層がフォノニック結晶構造Aを有する場合、各フォノニック結晶層が有するフォノニック結晶構造Aの具体的な構成は同一であっても異なっていてもよい。
フォノニック結晶構造Aの一例が図7に示される。図7には、フォノニック結晶層56の一部を平面視した状態が示されている。フォノニック結晶層56は、第1フォノニック結晶層16、第2フォノニック結晶層18、第3フォノニック結晶層20及び第4フォノニック結晶層22から選ばれる少なくとも1つのフォノニック結晶層でありうる。フォノニック結晶層56は、例えば、10nm以上500nm以下の厚さを有する薄膜である。フォノニック結晶層56は、平面視において、長方形である。フォノニック結晶層56には、フォノニック結晶層56の厚さ方向に延びる複数の貫通孔50が設けられている。フォノニック結晶層56が有するフォノニック結晶構造Aは、複数の貫通孔50が面内方向に規則的に配列した二次元フォノニック結晶構造である。なお、フォノニック結晶構造Aに関する以下の説明において、フォノニック結晶構造Aを有する結晶層が第2フォノニック結晶層18である場合は、「第1ドメイン」は「第3ドメイン」に、「第2ドメイン」は「第4ドメイン」に、それぞれ、読み替えられる。フォノニック結晶構造Aを有する結晶層が第3フォノニック結晶層20である場合は、「第1ドメイン」は「第5ドメイン」に、「第2ドメイン」は「第6ドメイン」に、それぞれ、読み替えられる。フォノニック結晶構造Aを有する結晶層が第4フォノニック結晶層22である場合は、「第1ドメイン」は「第7ドメイン」に、「第2ドメイン」は「第8ドメイン」に、それぞれ、読み替えられる。
フォノニック結晶構造Aは、フォノニック結晶領域である第1ドメイン51A及び第2ドメイン51Bを有する。第1ドメイン51Aは、平面視において、第1方向に規則的に配列した複数の貫通孔50を具備するフォノニック単結晶構造を有する。第2ドメイン51Bは、平面視において、第1方向とは異なる第2方向に規則的に配列した複数の貫通孔50を具備するフォノニック単結晶構造を有する。各々の単結晶構造内において、複数の貫通孔50の径及び配列周期は同一である。また、各々の単結晶構造内において、規則的に配列した複数の貫通孔50の単位格子91A,91Bの方位は同一である。第1ドメイン51A及び第2ドメイン51Bの形状は、平面視において、長方形である。第1ドメイン51Aの形状と、第2ドメイン51Bの形状とは、平面視において、同一である。フォノニック結晶構造Aは、複数のフォノニック単結晶構造の複合体であるフォノニック多結晶構造52でもある。
図8A及び図8Bに示すように、フォノニック結晶構造Aでは、第1ドメイン51Aにおける単位格子91Aの方位53Aと、第2ドメイン51Bにおける単位格子91Bの方位53Bとが、平面視において、互いに異なっている。方位53Aと方位53Bとが成す角度は、平面視において、例えば10度以上である。ただし、単位格子91A及び単位格子91Bが同一であって、n回回転対称性を有する場合、方位53Aと方位53Bとが成す角度の上限は360/n度未満である。なお、単位格子が複数のnに対してn回回転対称性を有するとき、上記角度の上限を定めるnには最大のnが使用される。例えば、六方格子は、2回回転対称性、3回回転対称性及び6回回転対称性を有する。このとき、角度の上限を定めるnには「6」が使用される。即ち、六方格子である単位格子91A,91Bについて、方位53Aと方位53Bとが成す角度は60度未満である。フォノニック結晶構造Aは、単位格子の方位が互いに異なる2以上のフォノニック結晶領域を少なくとも有している。この条件が満たされる限り、フォノニック結晶構造Aは、任意のフォノニック結晶領域及び/又はフォノニック結晶構造を有さない領域をさらに含んでいてもよい。
単位格子の方位は、任意の規則に基づいて決定できる。ただし、異なるドメイン間において、同じ規則を適用して単位格子の方位を定める必要がある。単位格子の方位は、例えば、単位格子を構成する平行でない二辺の成す角を二等分する直線の伸長方向である。ただし、異なるドメイン間において、同じ規則で二辺を定める必要がある。
図7のフォノニック結晶構造Aの領域R1の拡大図が、図9に示される。隣接する第1ドメイン51Aと第2ドメイン51Bとの界面55において、単位格子91A,91Bの方位53A,53Bが変化している。単位格子の方位が変化する界面55は、フォノニック結晶構造Aをマクロに流れる熱に対する大きな界面抵抗をもたらす。この界面抵抗は、第1ドメイン51Aと第2ドメイン51Bとの間で生じる、フォノン群速度のミスマッチに基づく。この界面抵抗は、フォノニック結晶構造Aを有するフォノニック結晶層56における熱伝導率の低減に寄与する。なお、図9の界面55は、平面視において、直線状に延びている。また、界面55は、平面視において、長方形のフォノニック結晶層56の幅方向に延びている。幅方向は、マクロな熱の伝達方向により定められたフォノニック結晶層56の中心線の伸張方向に垂直な方向でありうる。界面55は、平面視において、マクロな熱の伝達方向に略垂直にフォノニック結晶構造Aを分割している。
図7のフォノニック結晶構造Aにおいて、第1ドメイン51Aにおける複数の貫通孔50の配列の周期Pと、第2ドメイン51Bにおける複数の貫通孔50の配列の周期Pとは等しい。
図7のフォノニック結晶構造Aにおいて、第1ドメイン51Aにおいて規則的に配列した複数の貫通孔50の径と、第2ドメイン51Bにおいて規則的に配列した複数の貫通孔50の径とが等しい。
図7のフォノニック結晶構造Aにおいて、第1ドメイン51Aにおける単位格子91Aの種類と、第2ドメイン51Bにおける単位格子91Bの種類とは、同一である。図7の単位格子91A及び単位格子91Bは、いずれも六方格子である。
フォノニック結晶構造Aが有するドメインの数は限定されない。フォノニック結晶構造Aが有するドメインの数が多くなるほど、ドメイン間の界面による界面抵抗の作用が大きくなる。
以下、フォノニック結晶構造Aの更なる例が示される。
図10及び図11のフォノニック結晶構造Aである多結晶構造52では、隣接する第1ドメイン51A及び第2ドメイン51Bの界面55が、平面視において、長方形のフォノニック結晶層56の長辺の方向に延びている。この点以外、図10及び図11のフォノニック結晶構造Aは、図7のフォノニック結晶構造Aと同様の構成を有する。図11は、図10の領域R2の拡大図である。
図7及び図10のフォノニック結晶構造Aでは、平面視において、第1ドメイン51Aのサイズ及び第2ドメイン51Bのサイズが同一である。ただし、平面視において、フォノニック構造Aが有する第1ドメイン51A及び第2ドメイン51Bのサイズは互いに異なっていてもよい。
図12及び図13のフォノニック結晶構造Aである多結晶構造52では、平面視において、第1ドメイン51Bが第2ドメイン51Aにより囲まれている。第1ドメイン51Aの外形は、平面視において、長方形である。第2ドメイン51Bの形状は、平面視において、長方形である。第1ドメイン51Aのサイズと第2ドメイン51Bのサイズとは、平面視において、異なっている。第2ドメイン51Bと、第2ドメイン51Bを囲む第1ドメイン51Aとの界面55は、平面視において、第2ドメイン51Bの外縁を構成している。これらの点以外、図12及び図13のフォノニック結晶構造Aは、図7のフォノニック結晶構造Aと同様の構成を有する。図13は、図12の領域R3の拡大図である。
また、図12及び図13のフォノニック結晶構造Aでは、界面55が屈曲部を有している。
さらに、図12及び図13のフォノニック結晶構造Aは、フォノニック結晶層56の辺に接していない第2ドメイン51Bを有する。
図14のフォノニック結晶構造Aである多結晶構造52では、平面視において、第1ドメイン51Aと第2ドメイン51Bとが離間して配置されている。より具体的には、平面視において、貫通孔50を有さない領域201が、フォノニック結晶層56の長辺方向における第1ドメイン51Aと第2ドメイン51Bとの間に設けられている。この点以外、図14のフォノニック結晶構造Aは、図7のフォノニック結晶構造Aと同様の構成を有する。
図15のフォノニック結晶構造Aである多結晶構造52では、平面視において、第1ドメイン51Aと第2ドメイン51Bとが離間して配置されている。より具体的には、平面視において、ランダムに設けられた貫通孔50を有する領域202が、フォノニック結晶層56の長辺方向における第1ドメイン51Aと第2ドメイン51Bとの間に設けられている。領域202では、平面視において、貫通孔50は規則的に配列していない。又は、領域202では、平面視において、規則的に配列した領域の面積が、例えば、25P2未満である。ここで、Pは、貫通孔50の配列の周期である。この点以外、図15のフォノニック結晶構造Aは、図7のフォノニック結晶構造Aと同様の構成を有する。
図16のフォノニック結晶構造Aである多結晶構造52は、平面視において、互いに異なった形状を有する複数のドメイン51A,51B,51C,51D,51E,51F及び51Gを含んでいる。各々のドメイン内において、複数の貫通孔50の配列の周期及び単位格子の方位は同一である。しかし、ドメイン間では、単位格子の方位が互いに異なっている。また、平面視において、各ドメインのサイズ及び形状は互いに異なっている。この形態では、これまで例示した形態に比べて、フォノニック結晶構造Aの全体で見たときに、より多くの単位格子の方位が存在する。このため、単位格子の方位が異なることに基づく熱伝導率の低減効果がより顕著となる。また、この形態では、ドメイン間の界面55が、平面視において、複数のランダムな方向に延びている。このため、界面抵抗に基づく熱伝導率の低減効果がより顕著となる。
また、図16のフォノニック結晶構造Aでは、隣接する第1ドメイン51Aと第2ドメイン51Bとの界面55が、平面視において、フォノニック結晶層56の幅方向から傾いた方向に延びている。界面55は、平面視において、屈曲部も有している。
フォノニック結晶構造Aである多結晶構造52は、貫通孔50の配列の周期P及び/又は貫通孔50の径Dが互いに異なる第1ドメイン51A及び第2ドメイン51Bを含んでいてもよい。図17Aに示される第1ドメイン51Aにおける貫通孔50の径Dと、図17Bに示される第2ドメイン51Bにおける貫通孔50の径Dとは互いに異なっている。なお、図17Aに示される第1ドメイン51Aにおける貫通孔50の配列の周期Pと、図17Bに示される第2ドメイン51Bにおける貫通孔50の配列の周期Pとは同一である。
図18に示されるフォノニック結晶構造Aは、相対的に小さな周期P及び径Dを有する複数の貫通孔50が規則的に配列した第1ドメイン51Aと、相対的に大きな周期P及び径Dを有する複数の貫通孔50が規則的に配列した第2ドメイン51Bとを有する。また、図18のフォノニック結晶構造Aは、相対的に小さな周期P及び径Dを有する複数の貫通孔50を具備する領域92と、相対的に大きな周期P及び径Dを有する複数の貫通孔50を具備する領域93とを有する。領域92と領域93とは隣接している。領域92及び領域93は、それぞれ、図16に示される例と同様に、平面視において、互いに異なった形状を有し、かつ、単位格子の方位が各々互いに異なる複数のドメインを含んでいる。また、領域92及び領域93は、マクロな熱の伝達方向に略平行にフォノニック結晶構造Aを分割している。この形態では、第1ドメイン51Aで形成されるPBGの周波数帯域と第2ドメイン51Bで形成されるPBGの周波数帯域とが異なるため、熱伝導率の低減の効果が特に顕著となる。
図19に示されるフォノニック結晶構造Aでは、相対的に小さな周期P及び径Dを有する複数の貫通孔50が規則的に配列した第1ドメイン51Aと、相対的に大きな周期P及び径Dを有する複数の貫通孔50が規則的に配列した第2ドメイン51Bとを含む。図19のフォノニック結晶構造Aは、平面視において、互いに異なった形状を有し、かつ、単位格子の方位が各々互いに異なる複数のドメインを含んでいる。この形態では、第1ドメイン51Aで形成されるPBGの周波数帯域と第2ドメイン51Bで形成されるPBGの周波数帯域とが異なるため、熱伝導率の低減の効果が特に顕著となる。
フォノニック結晶層56の形状は、平面視において、例えば、三角形、正方形及び長方形を含む多角形、円、楕円、並びにこれらの複合形状である。ただし、フォノニック結晶層56の形状は、上記例に限定されない。
p型熱電変換部2及びn型熱電変換部3の形状は、平面視において、例えば、三角形、正方形及び長方形を含む多角形、円、楕円、並びにこれらの複合形状である。ただし、p型熱電変換部2及びn型熱電変換部3の形状は、上記例に限定されない。p型熱電変換部2及び/又はn型熱電変換部3は、直方体又は立方体の形状を有していてもよい。
p型熱電変換部2は、2以上の第1フォノニック結晶層16及び/又は2以上の第3フォノニック結晶層20を備えていてもよい。また、p型熱電変換部2は、第1フォノニック結晶構造及び第3フォノニック結晶構造とは具体的な構成の異なるフォノニック結晶構造を有するさらなるフォノニック結晶層を備えていてもよい。
n型熱電変換部3は、2以上の第2フォノニック結晶層18及び/又は2以上の第4フォノニック結晶層22を備えていてもよい。また、n型熱電変換部3は、第2フォノニック結晶構造及び第4フォノニック結晶構造とは具体的な構成の異なるフォノニック結晶構造を有するさらなるフォノニック結晶層を備えていてもよい。
第1電極4、第2電極5及び第3電極6は、導電性材料により構成される。導電性材料は、典型的には、金属である。金属は、例えば、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)である。
熱電変換素子1は、上述した以外の任意の層及び/又は部材を備えていてもよい。部材の一例は、ベース基板である。熱電変換素子1は、p型熱電変換部2、n型熱電変換部3、第1電極4、第2電極5及び第3電極6から選ばれる少なくとも1つの部材が、ベース基板の上、又は内部に設けられた形態を有しうる。
ベース基板は、典型的には、半導体材料から構成される。半導体材料は、例えば、Siである。Siから構成されるベース基板の上面には、酸化膜が形成されていてもよい。酸化膜は、例えば、SiO2膜である。ベース基板は、Siウェハであってもよい。ただし、ベース基板の構成は、上記例に限定されない。
フォノニック結晶層56の上記とは別の一例が、図20A及び図20Bに示される。図20Bには、図20Aのフォノニック結晶層56の断面20B-20Bが示される。図20A及び図20Bに示されるフォノニック結晶層56は、複数のピラー31を更に備える。ピラー31は、直線状に延びる柱状体である。ピラー31の各々は、フォノニック結晶層56の貫通孔50に充填されている。ピラー31の周面は、酸化膜32により被覆されている。この形態では、空孔である貫通孔50がピラー31により充填されている。このため、例えば、フォノニック結晶層56における貫通孔50の貫通方向に対する特性の制御の自由度が向上可能となる。より具体的には、例えば、2以上のフォノニック結晶層56の積層構造体である熱電変換部において、フォノニック結晶構造に基づく低い熱伝導率が保持されたまま、一方の端部11,13と他方の端部12,14との間の電子伝導性の向上が可能となる。
ピラー31が充填されたフォノニック結晶層56と、ピラー31とが同一の材料により構成される場合、ピラー31の周面は酸化膜32により被覆されている。ピラー31が充填されたフォノニック結晶層56と、ピラー31とが異なる材料により構成される場合、酸化膜32は必ずしも必要ではない。
ピラー31をさらに備えるフォノニック結晶層56は、例えば、第1フォノニック結晶層16及び/又は第2フォノニック結晶層18である。ピラー31は、第1貫通孔15及び第2貫通孔17の双方に充填されていてもよい。ピラー31をさらに備えるフォノニック結晶層56は、第1フォノニック結晶層16、第2フォノニック結晶層18、第3フォノニック結晶層20及び第4フォノニック結晶層22から選ばれる少なくとも1つのフォノニック結晶層であってもよい。ピラー31は、第1貫通孔15、第2貫通孔17、第3貫通孔19及び第4貫通孔21に充填されていてもよい。
ピラー31は、典型的には、半導体材料により構成される。ピラー31を構成する材料は、例えば、Si、SiGe、SiC、TiN、SiN、VO2である。ただし、ピラー31を構成する材料は、上記例に限定されない。
酸化膜32は、例えば、SiO2膜である。ただし、酸化膜32は、上記例に限定されない。
ピラー31が充填された第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)及びピラー31が充填された第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)を備えるp型熱電変換部2(又はn型熱電変換部3)の一例が図21に示される。図21のp型熱電変換部2(又はn型熱電変換部3)は、図20A及び図20Bに示されるフォノニック結晶層56を、第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)及び第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)として備える。図21のp型熱電変換部2(又はn型熱電変換部3)は、2層のフォノニック結晶層56を備える2層構造体である。第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)と第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)との間には、バッファ層23が配置されている。第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)におけるピラー31(酸化膜32を除く)を構成する材料と、バッファ層23を構成する材料とは同一である。また、バッファ層23を構成する材料と、第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)を構成する材料(ピラー31及び酸化膜32を除く)とは同一である。
フォノニック結晶層56の上記とは別の一例が、図22A及び図22Bに示される。図22Bには、図22Aのフォノニック結晶層56の断面22B-22Bが示される。図22A及び図22Bに示されるフォノニック結晶層56は、複数のピラー31を更に備える。ピラー31の各々は、フォノニック結晶層56の貫通孔50に充填されている。ピラー31を構成する材料は、フォノニック結晶層56を構成する材料とは異なっている。
ピラー31が充填された第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)及びピラー31が充填された第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)を備えるp型熱電変換部2(又はn型熱電変換部3)の一例が図23に示される。図23のp型熱電変換部2(又はn型熱電変換部3)は、第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)、第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)及び第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)がこの順に配置された、3つのフォノニック結晶層56を有する3層構造体である。最下層である第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)と第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)との間には、第1バッファ層23Aが配置されている。第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)と最上層である第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)との間には、第2バッファ層23Bが配置されている。第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)におけるピラー31を構成する材料と、第2バッファ層23Bを構成する材料とは同一である。第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)におけるピラー31を構成する材料と、第1バッファ層23Aを構成する材料とは同一である。第1フォノニック結晶層16(又は第2フォノニック結晶層18)を構成する材料(ピラー31を除く)と、第1バッファ層23Aを構成する材料とは同一である。第3フォノニック結晶層20(又は第4フォノニック結晶層22)を構成する材料(ピラー31を除く)と、第2バッファ層23Bを構成する材料とは同一である。図23のp型熱電変換部2(又はn型熱電変換部3)は、2種類の材料により構成される。当該2種類の材料は、いずれも、半導体材料でありうる。
本開示の熱電変換素子は、化学気相成長(CVD)、スパッタリング及び蒸着等の各種の薄膜形成手法;並びに、電子線リソグラフィー、フォトリソグラフィー、ブロック共重合体リソグラフィー、選択的エッチング及びケモメカニカルポリッシング(CMP)等の各種の微細加工手法及びパターン形成手法;の組み合わせによる製造が可能である。ブロック共重合体リソグラフィーは、フォノニック結晶構造の形成に適している。
本開示の熱電変換素子を製造する方法の一例が、図24A~図24Oの参照により、以下に説明される。本開示の熱電変換素子を製造する方法は、以下の例に限定されない。
図24A:ベース基板41が準備される。ベース基板41の上面には、酸化膜42が設けられている。酸化膜42は、例えば、SiO2膜である。
図24B:酸化膜42の上に、金属層43が形成される。金属層43は、後に、第1電極4となる。金属層43は、例えば、Cr層である。金属層43は、例えば、スパッタリングにより形成される。金属層43の厚さは、例えば50nmである。
図24C:金属層43の上に、半導体層44が形成される。半導体層44は、例えば、多結晶Si層である。半導体層44は、例えば、CVDにより形成される。半導体層44の厚さは、例えば200nmである。
図24D:半導体層44の上に、ハードマスク45が形成される。ハードマスク45は、例えば、SiO2層である。ハードマスク45は、例えば、CVDにより形成される。ハードマスク45の厚さは、例えば、30nmである。ハードマスク45は、半導体層44に対するフォノニック結晶構造の形成に使用される。
図24E:ハードマスク45の上に、ブロック共重合体の自己組織化膜46が形成される。自己組織化膜46は、フォノニック結晶構造を形成するためのブロック共重合体リソグラフィーに使用される。
図24F:ブロック共重合体リソグラフィーにより、規則的に配列した複数の貫通孔47がハードマスク45に形成される。
図24G:ハードマスク45をレジストとする選択的エッチングによって、半導体層44に対して、平面視したときに複数の貫通孔47に対応する位置に、規則的に配列した複数の貫通孔50が形成される。形成された複数の貫通孔50は、フォノニック結晶構造を構成する。半導体層44は、フォノニック結晶層56となる。
図24H:ハードマスク45及び自己組織化膜46が除去される。
図24I:フォノニック結晶層56における貫通孔50の内周面に酸化膜32が形成される。酸化膜32は、例えば、SiO2膜である。酸化膜32は、例えば、熱酸化により形成される。酸化膜32の厚さは、例えば、1nmである。
図24J:フォノニック結晶層56における貫通孔50の内部に半導体が充填されて、酸化膜32を周面に有するピラー31が形成される。ピラー31は、例えば、多結晶Siにより構成される。ピラー31は、例えば、CVDにより形成される。また、このとき、ピラー31を構成する半導体材料により構成される層48がフォノニック結晶層56の上に形成される。
図24K:CMP等の手法により、層48が除去される。このようにして、ピラー31をさらに備えるフォノニック結晶層56が形成される。
図24L:フォトリソグラフィー等の手法を用い、フォノニック結晶層56の一部の領域に不純物イオンが注入及びドープされて、p型熱電変換部2を形成する。不純物イオンは、例えば、ホウ素イオンである。
図24M:フォトリソグラフィー等の手法を用い、フォノニック結晶層56におけるp型熱電変換部2とは異なる領域に不純物イオンが注入及びドープされて、n型熱電変換部3を形成する。不純物イオンは、例えば、リンイオンである。p型熱電変換部2とn型熱電変換部3とは、互いに離間している。
図24N:全体が熱処理(アニール)されて、ドープした不純物イオンを活性化する。
図24O:p型熱電変換部2の上に第2電極5が形成される。n型熱電変換部3の上に第3電極6が形成される。第2電極5及び第3電極6は、例えば、Alにより構成される。これにより、熱電変換素子1が形成される。フォノニック結晶層56におけるp型熱電変換部2とn型熱電変換部3との間の領域は、絶縁部49として残される。絶縁部49は、規則的に配列した複数の貫通孔(第5貫通孔)50を具備するフォノニック結晶構造(第5フォノニック結晶構造)を有する。この形態によれば、p型熱電変換部2とn型熱電変換部3との間における素子1の面内方向の熱伝導率が低減可能となる。また、この低減により、熱電変換素子1の熱電変換効率のさらなる向上が可能となる。
(第2実施形態)
第2実施形態の熱電変換素子の一例が図25に示される。第1実施形態の熱電変換素子1は、一対の熱電変換部として1つの素子内にp型熱電変換部2及びn型熱電変換部3を備えた、当業者にπ型と称される素子である。本開示の熱電変換素子は、π型に限定されない。第2実施形態の熱電変換素子は、π型とは異なる素子である。
図25の熱電変換素子61は、互いに隣接する2つの熱電変換部62,63を備える。熱電変換部62,63の導電型は、同一である。言い換えると、熱電変換素子61は、互いに隣接する2つのp型熱電変換部又はn型熱電変換部を備える。また、熱電変換素子61は、第4電極64、第5電極65及び第6電極66を備える。一方の熱電変換部62の一方の端部11と、他方の熱電変換部63の一方の端部13とは、第4電極64を介して電気的に接続されている。第4電極64は、熱電変換部62の下面と熱電変換部63の上面とを電気的に接続する。このために、第4電極34は、各々の熱電変換部62,63において一方の端部11,13と他方の端部12,14とを結ぶ方向に延びるビア配線67を有する。第5電極65と第6電極66との間に電流を流したときに、隣接する熱電変換部62,63における電流の流れる方向は同一(図25中の矢印を参照)である。熱電変換素子31は、当業者にユニレッグ型として知られた素子である。ユニレッグ型の素子では、例えば、π型の素子において生じうるp型熱電変換部とn型熱電変換部との間の熱膨張係数の相違による問題が回避可能となる。熱電変換部62,63は、同一の熱電変換材料から構成されてもよい。
熱電変換部62は、p型熱電変換部2又はn型熱電変換部3が備えうる、上述の任意のフォノニック結晶層を備えうる。また、熱電変換部63は、p型熱電変換部2又はn型熱電変換部3が備えうる、上述の任意のフォノニック結晶層を備えうる。熱電変換部62が備えるフォノニック結晶層と熱電変換部63が備えるフォノニック結晶層とは、同一であっても異なっていてもよい。また、熱電変換素子61は、熱電変換部62,63がフォノニック結晶層を備える限り、ユニレッグ型として知られた任意の構成をとることができる。
熱電変換部62,63を構成する材料は、p型熱電変換部2又はn型熱電変換部3を構成する材料と同じであってもよい。第4電極64、第5電極65及び第6電極66を構成する材料は、第1電極4、第2電極5及び第3電極6を構成する材料と同じであってもよい。
[熱電変換装置]
本開示の熱電変換装置は、基板;前記基板上に設けられた第1絶縁層;前記第1絶縁層上に設けられた熱電変換モジュール;前記熱電変換モジュール上に設けられた第2絶縁層;第1配線;及び第2配線、を具備する。前記熱電変換モジュールは、2以上の熱電変換素子により構成される熱電変換素子群、及び前記熱電変換素子群と接続された一対の接続電極を備える。前記2以上の熱電変換素子は、前記一対の接続電極の間において、電気的に直列に互いに接続されている。前記第1配線は、一方の前記接続電極に電気的に接続されている。前記第2配線は、他方の前記接続電極に電気的に接続されている。前記熱電変換素子は、上記説明した本開示の熱電変換素子である。
熱電変換モジュールにおいて、2以上の熱電変換素子は、典型的には、アレイ状に配列されている。アレイは、1次元のアレイであっても、2次元のアレイであっても、3次元のアレイであってもよい。
本開示の熱電変換装置が備えうる熱電変換モジュールの一例が図26Aに示される。図26Aの熱電変換モジュール101(101A)は、2以上の熱電変換素子1により構成される熱電変換素子群を備える。また、熱電変換モジュール101Aは、熱電変換素子群に接続された一対の接続電極102A,102Bを備える。接続電極102Aは、熱電変換モジュール101Aの一方の端部に位置する熱電変換素子1の第2電極5に接続されている。接続電極102Bは、熱電変換モジュール101Aの他方の端部に位置する熱電変換素子1の第3電極6に接続されている。2以上の熱電変換素子1は、一対の接続電極102A,102Bの間において、電気的に直列に互いに接続されている。熱電変換モジュール101Aにおいて、2以上の熱電変換素子1は、1次元のアレイ状に配列されている。
本開示の熱電変換装置が備えうる熱電変換モジュールの別の一例が図26Bに示される。図26Bの熱電変換モジュール101(101B)は、2以上の熱電変換素子61により構成される熱電変換素子群を備える。また、熱電変換モジュール101Bは、熱電変換素子群に接続された一対の接続電極102A,102Bを備える。接続電極102Aは、熱電変換モジュール101Bの一方の端部に位置する熱電変換素子61の第5電極65に接続されている。接続電極102Bは、熱電変換モジュール101Aの他方の端部に位置する熱電変換素子61の第6電極66に接続されている。2以上の熱電変換素子61は、一対の接続電極102A,102Bの間において、電気的に直列に互いに接続されている。熱電変換モジュール101Bにおいて、2以上の熱電変換素子61は、1次元のアレイ状に配列されている。
本開示の熱電変換装置が備えうる熱電変換モジュールの別の一例が図27に示される。図27の熱電変換モジュール103は、2以上の熱電変換素子1により構成される熱電変換素子群を備える。また、熱電変換モジュール103は、熱電変換素子群に接続された一対の接続電極102A,102Bを備える。2以上の熱電変換素子1は、一対の接続電極102A,102Bの間において、電気的に直列に互いに接続されている。熱電変換モジュール103において、2以上の熱電変換素子1は、2次元のアレイ状に配列されている。また、熱電変換モジュール103は、2以上の熱電変換モジュール101を備えると見ることもできる。この見方によれば、熱電変換モジュール103では、4つの熱電変換モジュール101が平面上に配列されている。図27の例では、熱電変換モジュール101は、2以上の熱電変換素子1を備える図26Aの熱電変換モジュール101Aである。少なくとも1つの熱電変換モジュール101は、2以上の熱電変換素子61を備える図26Bの熱電変換モジュール101Bであってもよい。
本開示の熱電変換装置が備えうる熱電変換モジュールの別の一例が図28に示される。図28に示される熱電変換モジュール104は、2以上の熱電変換素子1により構成される熱電変換素子群を備える。また、熱電変換モジュール104は、熱電変換素子群に接続された一対の接続電極102A,102Bを備える。2以上の熱電変換素子1は、一対の接続電極102A,102Bの間において、バス電極105を用いて、電気的に直列に互いに接続されている。熱電変換モジュール104において、2以上の熱電変換素子1は、3次元のアレイ状に配置されている。また、熱電変換モジュール104は、2以上の熱電変換モジュール101を備えると見ることもできる。この見方によれば、熱電変換モジュール104では、4つの熱電変換モジュール101が4層にわたって熱電変換モジュール104の厚さ方向に配列されている。図28の例では、熱電変換モジュール101は、2以上の熱電変換素子1を備える図26Aの熱電変換モジュール101Aである。少なくとも1つの熱電変換モジュール101は、2以上の熱電変換素子61を備える図26Bの熱電変換モジュール101Bであってもよい。
本開示の熱電変換装置の一例が図29に示される。図29に示される熱電変換装置112は、第1絶縁層106、第1絶縁層106上に設けられた熱電変換モジュール104及び熱電変換モジュール104上に設けられた第2絶縁層107を備える。熱電変換モジュール104は、3つの熱電変換モジュール101が3層にわたって熱電変換モジュール104の厚さ方向に配列されている以外は、図28に示される熱電変換モジュール104と同じである。ただし、図29の熱電変換モジュール104では、各々の熱電変換モジュール101の間には絶縁層108が配置されている。また、熱電変換モジュール101,104が備える熱電変換素子1を構成する熱電変換部であるp型熱電変換部2とn型熱電変換部3との間、及び2以上の熱電変換素子1の各々の間には、絶縁部109が設けられている。絶縁部109は、p型熱電変換部2とn型熱電変換部3との間、及び2以上の熱電変換素子1の各々の間のいずれか一方に設けられていてもよい。熱電変換装置112は、第1配線110及び第2配線111をさらに備える。第1配線110は、熱電変換モジュール104の一方の接続電極102Aに電気的に接続されている。第2配線111は、熱電変換モジュール104の他方の接続電極102Bに電気的に接続されている。熱電変換装置112は、例えば、基板(ベース基板)の上、又は内部に設けられている。熱電変換装置112は、第1配線110及び第2配線111を入力配線又は出力配線として、ペルティエ式冷却装置及び/又は熱電発電装置として機能しうる。図29の例では、熱電変換モジュール101は、2以上の熱電変換素子1を備える図26Aの熱電変換モジュール101Aである。少なくとも1つの熱電変換モジュール101は、2以上の熱電変換素子61を備える図26Bの熱電変換モジュール101Bであってもよい。この場合、熱電変換モジュール101Bにおける絶縁部109は、熱電変換素子61を構成する熱電変換部62,63の間、及び/又は、2以上の熱電変換素子61の各々の間に位置しうる。
本開示の熱電変換装置の別の一例が図30に示される。図30に示される熱電変換装置121は、図29に示される熱電変換装置112が基板122の内部に配置された構成を有する。
本開示の熱電変換装置の別の一例が図31に示される。図31に示される熱電変換装置124は、第1絶縁層106、第1絶縁層106上に設けられた熱電変換モジュール123及び熱電変換モジュール123上に設けられた第2絶縁層107を備える。熱電変換モジュール123は、熱電変換素子1におけるp型熱電変換部2及びn型熱電変換部3の各々について、3層のフォノニック結晶層56の積層構造体であることが明確に示されている以外は、図26Aに示される熱電変換モジュール101(101A)と同じである。ただし、図31に示される熱電変換モジュール123では、熱電変換素子1におけるp型熱電変換部2とn型熱電変換部3との間、及び2以上の熱電変換素子1の各々の間には、絶縁部109が設けられている。熱電変換装置124は、第1配線110及び第2配線111をさらに備える。第1配線110は、熱電変換モジュール123の一方の接続電極102Aに電気的に接続されている。第2配線111は、熱電変換モジュール123の他方の接続電極102Bに電気的に接続されている。熱電変換装置124は、基板122の内部に設けられている。熱電変換モジュール123は、図26Bの熱電変換モジュール101(101B)であって、熱電変換部62,63が3層のフォノニック結晶層56の積層構造体であるモジュールと同じであってもよい。
本開示の熱電変換装置の別の一例が図32に示される。図32に示される熱電変換装置125は、2つの熱電変換装置121A,121Bが電気的に直列に接続された構成を有する。各々の熱電変換装置121A,121Bは、図30に示される熱電変換装置121である。熱電変換装置121Aは、第1配線110A及び第2配線111Aを備える。熱電変換装置121Bは、第1配線110B及び第2配線111Bを備える。熱電変換装置121Aと熱電変換装置121Bとは、第1配線110A及び第2配線111Bを介して電気的に直列に接続されている。第1配線110Bが、熱電変換装置125の第1配線110として機能する。第2配線111Aが、熱電変換装置125の第2配線111として機能する。
本開示の熱電変換装置は、その2以上を自由に組み合わせることができる。2以上の本開示の熱電変換装置の組み合わせにより、カスケード化を図ることも可能である。カスケード化の形態は限定されない。
第1絶縁層106、第2絶縁層107、絶縁層108及び絶縁部109を構成する材料は、例えば、SiO2等の酸化物である。ただし、第1絶縁層106、第2絶縁層107、絶縁層108及び絶縁部109を構成する材料は、上記例に限定されない。
接続電極102A,102B、第1配線110及び第2配線111を構成する材料は、例えば、Cr、Al、Au、Ag、Cu等の金属である。ただし、接続電極102A,102B、第1配線110及び第2配線111を構成する材料は、上記例に限定されない。
本開示の熱電変換装置において、絶縁部109は、規則的に配列した複数の第5貫通孔を具備する第5フォノニック結晶構造を有していてもよい。言い換えると、本開示の熱電変換装置では、熱電変換モジュールが、熱電変換素子を構成する熱電変換部の間、及び/又は、2以上の熱電変換素子の各々の間に、絶縁部109をさらに備え、絶縁部109が、規則的に配列した複数の第5貫通孔を具備する第5フォノニック結晶構造を有していてもよい。この形態によれば、熱電変換素子の面内方向の熱伝導率が更に低減可能となる。また、この低減により、熱電変換装置の熱電変換効率のさらなる向上が可能となる。
本開示の熱電変換装置において、基板122、第1絶縁層106、第2絶縁層107、絶縁層108、第1配線110及び第2配線111から選ばれる少なくとも1つの部材が、規則的に配列した複数の第6貫通孔を具備する第6フォノニック結晶構造を有していてもよい。この形態によれば、熱電変換装置における面内方向の熱伝導率が低減可能となる。また、この低減により、熱電変換装置の熱電変換効率のさらなる向上が可能となる。さらに、基板122の内部に熱電変換装置が設けられている場合等には、基板122の面内方向への熱電変換装置からの熱の拡散を抑制できる。熱の拡散の抑制は、例えば、基板122上への電子デバイスの構築の自由度を向上させうる。
第5フォノニック結晶構造及び第6フォノニック結晶構造は、第1フォノニック結晶構造の説明において上述した具体的なフォノニック結晶構造の構成と同じ構成をとりうる。
本開示の熱電変換素子は、例えば、ペルティエ素子又はゼーベック素子として種々の用途に使用可能である。
1 熱電変換素子(π型)
2 p型熱電変換部
3 n型熱電変換部
4 第1電極
5 第2電極
6 第3電極
11 端部
12 端部
13 端部
14 端部
15 第1貫通孔
16 第1フォノニック結晶層
17 第2貫通孔
18 第2フォノニック結晶層
19 第3貫通孔
20 第3フォノニック結晶層
21 第4貫通孔
22 第4フォノニック結晶層
23 バッファ層
23A 第1バッファ層
23B 第2バッファ層
31 ピラー
32 酸化膜
41 ベース基板
42 酸化膜
43 金属層
44 半導体層
45 ハードマスク
46 自己組織化膜
47 貫通孔
48 層
49 絶縁部
50 貫通孔
51A 第1ドメイン
51B 第2ドメイン
52 フォノニック多結晶構造
53A,53B 方位
55 界面
56 フォノニック結晶層
61 熱電変換素子(ユニレッグ型)
62,63 熱電変換部
64 第4電極
65 第5電極
66 第6電極
67 ビア配線
91,91A,91B 単位格子
92 領域
93 領域
101,101A,101B 熱電変換モジュール
102A,102B 接続電極
103 熱電変換モジュール
104 熱電変換モジュール
105 バス電極
106 第1絶縁層
107 第2絶縁層
108 絶縁層
109 絶縁部
110,110A,110B 第1配線
111,111A,111B 第2配線
112 熱電変換装置
121,121A,121B 熱電変換装置
122 基板
123 熱電変換モジュール
124 熱電変換装置
125 熱電変換装置
201 領域
202 領域

Claims (15)

  1. 熱電変換素子であって、
    p型熱電変換部;
    n型熱電変換部;
    第1電極;
    第2電極;及び
    第3電極、を具備し、
    ここで、
    前記p型熱電変換部の一方の端部と、前記n型熱電変換部の一方の端部とは、前記第1電極を介して電気的に接続されており、
    前記p型熱電変換部の他方の端部は、前記第2電極と電気的に接続されており、
    前記n型熱電変換部の他方の端部は、前記第3電極と電気的に接続されており、
    前記p型熱電変換部は、規則的に配列した複数の第1貫通孔を具備する第1フォノニック結晶構造を有する第1フォノニック結晶層を備え、
    前記n型熱電変換部は、規則的に配列した複数の第2貫通孔を具備する第2フォノニック結晶構造を有する第2フォノニック結晶層を備え、
    前記第1フォノニック結晶構造における前記複数の第1貫通孔の貫通方向は、前記p型熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向であり、
    前記第2フォノニック結晶構造における前記複数の第2貫通孔の貫通方向は、前記n型熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向であり、
    前記p型熱電変換部は、規則的に配列した複数の第3貫通孔を具備する第3フォノニック結晶構造を有する第3フォノニック結晶層をさらに備え、
    前記n型熱電変換部は、規則的に配列した複数の第4貫通孔を具備する第4フォノニック結晶構造を有する第4フォノニック結晶層をさらに備え、
    前記第1フォノニック結晶層と前記第3フォノニック結晶層とは、前記p型熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向に積層されており、
    前記第2フォノニック結晶層と前記第4フォノニック結晶層とは、前記n型熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向に積層されており、
    前記第1フォノニック結晶構造における前記複数の第1貫通孔の貫通方向と、前記第3フォノニック結晶構造における前記複数の第3貫通孔の貫通方向とは、略平行であり、
    前記第2フォノニック結晶構造における前記複数の第2貫通孔の貫通方向と、前記第4フォノニック結晶構造における前記複数の第4貫通孔の貫通方向とは、略平行である。
  2. 請求項に記載の熱電変換素子であって、
    前記第1フォノニック結晶層と前記第3フォノニック結晶層とは、互いに接しており、
    前記第2フォノニック結晶層と前記第4フォノニック結晶層とは、互いに接している。
  3. 請求項又はに記載の熱電変換素子であって、
    前記第3貫通孔の少なくとも一部は、前記第1貫通孔と連通しておらず、
    前記第4貫通孔の少なくとも一部は、前記第2貫通孔と連通していない。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の熱電変換素子であって、
    前記第1フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第1ドメイン及び第2ドメインを含み、
    前記第1ドメインは、前記第1貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第1方向に規則的に配列した前記複数の第1貫通孔を具備し、
    前記第2ドメインは、前記第1貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、前記第1方向とは異なる第2方向に規則的に配列した前記複数の第1貫通孔を具備し、
    前記第2フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第3ドメイン及び第4ドメインを含み、
    前記第3ドメインは、前記第2貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第3方向に規則的に配列した前記複数の第2貫通孔を具備し、
    前記第4ドメインは、前記第2貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、前記第3方向とは異なる第4方向に規則的に配列した前記複数の第2貫通孔を具備する。
  5. 請求項からのいずれかに記載の熱電変換素子であって、
    前記第1フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第1ドメイン及び第2ドメインを含み、
    前記第1ドメインは、前記第1貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第1方向に規則的に配列した前記複数の第1貫通孔を具備し、
    前記第2ドメインは、前記第1貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、前記第1方向とは異なる第2方向に規則的に配列した前記複数の第1貫通孔を具備し、
    前記第2フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第3ドメイン及び第4ドメインを含み、
    前記第3ドメインは、前記第2貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第3方向に規則的に配列した前記複数の第2貫通孔を具備し、
    前記第4ドメインは、前記第2貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、前記第3方向とは異なる第4方向に規則的に配列した前記複数の第2貫通孔を具備し、
    前記第3フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第5ドメイン及び第6ドメインを含み、
    前記第5ドメインは、前記第3貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第5方向に規則的に配列した前記複数の第3貫通孔を具備し、
    前記第6ドメインは、前記第3貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、前記第5方向とは異なる第6方向に規則的に配列した前記複数の第3貫通孔を具備し、
    前記第4フォノニック結晶構造は、フォノニック結晶領域である第7ドメイン及び第8ドメインを含み、
    前記第7ドメインは、前記第4貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、第7方向に規則的に配列した前記複数の第4貫通孔を具備し、
    前記第8ドメインは、前記第4貫通孔の貫通方向に垂直な断面を見たときに、前記第7方向とは異なる第8方向に規則的に配列した前記複数の第4貫通孔を具備する。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の熱電変換素子であって、
    前記第1フォノニック結晶層及び/又は前記第2フォノニック結晶層は、複数のピラーを備え、
    前記ピラーは、直線状に延びる柱状体であり、
    前記ピラーの各々は、前記第1フォノニック結晶層の前記第1貫通孔及び/又は前記第2フォノニック結晶層の前記第2貫通孔に充填されている。
    ただし、前記ピラーが充填された前記第1フォノニック結晶層及び/又は前記第2フォノニック結晶層と、前記ピラーとが同一の材料により構成される場合、前記ピラーの周面は、酸化膜により被覆されている。
  7. 請求項に記載の熱電変換素子であって、
    前記ピラーの各々は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に充填されている。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の熱電変換素子であって、
    前記第1貫通孔の長さは、前記第1貫通孔の直径の2倍以上であり、
    前記第2貫通孔の長さは、前記第2貫通孔の直径の2倍以上である。
  9. 請求項1からのいずれかに記載の熱電変換素子であって、
    前記第1フォノニック結晶層の空隙率は、10%以上90%以下であり、
    前記第2フォノニック結晶層の空隙率は、10%以上90%以下である。
  10. 熱電変換素子であって、
    互いに隣接する2つの熱電変換部;
    第4電極;
    第5電極;及び
    第6電極、を具備し、
    ここで、
    前記2つの熱電変換部の導電型は同一であり、
    一方の前記熱電変換部の一方の端部と、他方の前記熱電変換部の一方の端部とは、前記第4電極を介して電気的に接続されており、
    前記一方の熱電変換部の他方の端部は、前記第5電極と電気的に接続されており、
    前記他方の熱電変換部の他方の端部は、前記第6電極と電気的に接続されており、
    前記第5電極と前記第6電極との間に電流を流したときに、前記隣接する2つの熱電変換部における前記電流の流れる方向は同一であり、
    前記一方の熱電変換部は、規則的に配列した複数の第1貫通孔を具備する第1フォノニック結晶構造を有する第1フォノニック結晶層を備え、
    前記他方の熱電変換部は、規則的に配列した複数の第2貫通孔を具備する第2フォノニック結晶構造を有する第2フォノニック結晶層を備え、
    前記第1フォノニック結晶構造における前記複数の第1貫通孔の貫通方向は、前記一方の熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向であり、
    前記第2フォノニック結晶構造における前記複数の第2貫通孔の貫通方向は、前記他方の熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向であり、
    前記一方の熱電変換部は、規則的に配列した複数の第3貫通孔を具備する第3フォノニック結晶構造を有する第3フォノニック結晶層をさらに備え、
    前記他方の熱電変換部は、規則的に配列した複数の第4貫通孔を具備する第4フォノニック結晶構造を有する第4フォノニック結晶層をさらに備え、
    前記第1フォノニック結晶層と前記第3フォノニック結晶層とは、前記一方の熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向に積層されており、
    前記第2フォノニック結晶層と前記第4フォノニック結晶層とは、前記他方の熱電変換部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向に積層されており、
    前記第1フォノニック結晶構造における前記複数の第1貫通孔の貫通方向と、前記第3フォノニック結晶構造における前記複数の第3貫通孔の貫通方向とは、略平行であり、
    前記第2フォノニック結晶構造における前記複数の第2貫通孔の貫通方向と、前記第4フォノニック結晶構造における前記複数の第4貫通孔の貫通方向とは、略平行である。
  11. 熱電変換装置であって、
    基板;
    前記基板上に設けられた第1絶縁層;
    前記第1絶縁層上に設けられた熱電変換モジュール;
    前記熱電変換モジュール上に設けられた第2絶縁層;
    第1配線;及び
    第2配線、を具備し、
    前記熱電変換モジュールは、2以上の熱電変換素子により構成される熱電変換素子群;及び前記熱電変換素子群と接続された一対の接続電極;を備え、
    前記2以上の熱電変換素子は、前記一対の接続電極の間において、電気的に直列に互いに接続されており、
    前記第1配線は、一方の前記接続電極に電気的に接続され、
    前記第2配線は、他方の前記接続電極に電気的に接続され、
    前記熱電変換素子は、請求項1から1のいずれかに記載の熱電変換素子である。
  12. 請求項1に記載の熱電変換装置であって、
    前記熱電変換モジュールにおいて、前記2以上の熱電変換素子が2次元のアレイ状に配列されている。
  13. 請求項1に記載の熱電変換装置であって、
    前記熱電変換モジュールにおいて、前記2以上の熱電変換素子が3次元のアレイ状に配列されている。
  14. 請求項1から1のいずれかに記載の熱電変換装置であって、
    前記熱電変換モジュールが、前記熱電変換素子を構成する熱電変換部の間、及び/又は、前記2以上の熱電変換素子の各々の間に、絶縁部をさらに備え、
    前記絶縁部が、規則的に配列した複数の第5貫通孔を具備する第5フォノニック結晶構造を有する。
  15. 請求項1から1のいずれかに記載の熱電変換装置であって、
    前記基板、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、前記第1配線及び前記第2配線から選ばれる少なくとも1つの部材が、規則的に配列した複数の第6貫通孔を具備する第6フォノニック結晶構造を有する。
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