JP7492487B2 - 等価サンプリング信号の評価方法及び評価装置 - Google Patents
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Description
複数の等価サンプリング信号(s(t))の平均信号を算出する工程と、
前記平均信号の振幅の傾きが0付近での前記等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σa)を算出する工程と、
前記平均信号の振幅の傾きを基準に設定された複数の区間ごとに、前記等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σtotal)を算出する工程と、
前記区間ごとの時間誤差の標準偏差(σt)を、前記振幅の傾きが0付近での等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σa)と、前記区間ごとの等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σtotal)と、前記区間における前記平均信号の振幅の傾きとを用いて算出する工程とを備えることを特徴とする、等価サンプリング信号の評価方法。
前記時間誤差の標準偏差(σt)は式(2)により算出されるようになっており、
ここで前記式(2)は
と表すことができるものであり、ここで
は前記平均信号の振幅の傾きである
項目1に記載の評価方法。
等価サンプリング信号を取得する信号取得部と、評価部とを備えており、
前記評価部は、
複数の等価サンプリング信号(s(t))の平均信号を算出する処理と、
前記平均信号の振幅の傾きが0付近での前記等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σa)を算出する処理と、
前記平均信号の振幅の傾きを基準に設定された複数の区間ごとに、前記等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σtotal)を算出する処理と、
前記区間ごとの時間誤差の標準偏差(σt)を、前記振幅の傾きが0付近での等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σa)と、前記区間ごとの等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σtotal)と、前記区間における前記平均信号の振幅の傾きとを用いて算出する処理とを少なくとも行う構成となっている、等価サンプリング信号の評価装置。
図1に、等価サンプリング信号を取得するシステムの概略的な構成例を示す。このシステムでは、トリガ信号源1からのトリガ信号により、信号源2が、図2に示すような波形の信号を繰り返して発信する。
等価サンプリング信号における誤差の原因としては、相加性雑音(以下単に「雑音」ということがある)と、タイミングジッタ(以下単に「ジッタ」)とがある。
信号の評価指標としては、相加性雑音においては、一般的に信号対雑音比(S/N比)が用いられる。タイミングジッタについては、時間誤差の標準偏差σtを用いて表すことができる。例えば、2σtは、95%の時間誤差が含まれる時間幅である。ここで、両指標とも標準偏差を用いる点に注意する。すると、2つの正規分布が混合した正規分布よりそれぞれの標準偏差を求める必要があることがわかる。
以上の説明を前提として、以下、雑音とジッタを分離して評価する方法を具体的に説明する。まず、この方法に用いる信号評価装置の概要を図5に基づいて説明する。
本実施形態の信号評価装置5は、サンプラー4で取得されたサンプルから等価サンプリング信号を生成して取得する信号取得部6と、評価部7と、出力部8とから構成されている。
・複数の等価サンプリング信号s(t)の平均信号を算出する処理と、
・平均信号の振幅の傾きが0付近での等価サンプリング信号と平均信号との間の振幅誤差の標準偏差σaを算出する処理と、
・平均信号の振幅の傾きを基準に設定された複数の区間ごとに、等価サンプリング信号と平均信号との間の振幅誤差の標準偏差σtotalを算出する処理と、
・区間ごとの時間誤差の標準偏差σtを、振幅の傾きが0付近での等価サンプリング信号と平均信号との間の振幅誤差の標準偏差σaと、区間ごとの等価サンプリング信号と平均信号との間の振幅誤差の標準偏差σtotalと、区間における平均信号の振幅の傾きとを用いて算出する処理と
を行う構成となっている。評価部7の詳しい動作については後述する。
次に、図5の装置を用いて等価サンプリング信号を評価する方法の一例を、図6を参照しながら説明する。
まず、信号取得部6により等価サンプリング信号を複数回取得する。これにより、図2の下段に示すような等価サンプリング信号を複数得ることができる。
評価部7は、つぎに、得られた複数の等価サンプリング信号(s(t))の平均信号を計算する。これは無雑音信号とみなすことができる。
つぎに、各サンプリング信号と平均信号との差を計算する。これを振幅誤差の総和とみなすことができる。
つぎに、平均信号の振幅の傾きが0付近での等価サンプリング信号と平均信号との間の振幅誤差の標準偏差σaを算出する。
ついで、振幅の傾きごとに、振幅誤差を区間に分ける。例えば、図7の横軸に示す傾きを、所定の幅ごとに、区間に分ける。これについての具体例は後述する。
ついで、平均信号の振幅の傾きを基準に設定された複数の区間ごとに、等価サンプリング信号と平均信号との間の振幅誤差の標準偏差σtotalを算出する。
ついで、区間ごとに得られた時間誤差の標準偏差σtを平均する。この平均値をタイミングジッタの量とすることができる。ただし、平均することは必須ではなく、例えば、区間毎に得られた標準偏差σtを線形回帰することにより、回帰直線を用いて、タイミングジッタ量を安定的に推定することができる。これは、振幅誤差の分布は振幅の傾きによって変化するが、式(2)で表されるタイミングジッタの量は振幅の傾きによらず一定であるためである。
つぎに、シミュレーションにより前記した実施形態の方法を実施した例を説明する。
0.75nsを中心とする一次微分ガウス信号を100回観測する。
(1)SNR 60dB, 2σt=1ps
(2)SNR 60dB, 2σt=5ps
(3)SNR 40dB, 2σt=5ps
無雑音の信号として、観測した100個の信号の平均を計算した。また、振幅誤差として観測した100個の信号と平均との、各サンプルでの差を計算した。
この例では、振幅の傾きが「1」毎に、振幅誤差を区間分けする。そして、各区間で振幅誤差の標準偏差を計算する(図10参照)。
推定したS/N比及びジッタを図12及び図13に示す。図12においてDirect estimationは、ジッタを考慮せずS/N比を計算したものである。本実施例により、正確にS/N比を推定できることが分かる。一方、Direct estimationにより求めたS/N比は、ジッタの影響により常に過小評価(雑音量を過大評価)している。本例の手法はジッタ量も正確に推定できている。
つぎに、実観測信号について本実施形態の手法を適用した例を説明する。
傾き<0.1≒0での標準偏差σaをS/N比=55.99 dB(振幅の最大値に対して)として算出した。
以上、本実施形態の手法によれば、以下のような利点を得ることができる。
・観測信号の平均を無雑音信号として計算
・観測信号と平均信号の差を振幅誤差の総和として計算
・振幅誤差を平均信号の振幅の傾きの空間に投影
・傾き0付近での標準偏差を計算 → 相加性雑音による振幅誤差の標準偏差を取得
・傾きに対して振幅誤差を区間分けし、各区間での標準偏差を計算し平均
・雑音および振幅誤差の総和の標準偏差から、タイミングジッタによる振幅誤差の標準偏差を計算
という手段を用いており、これにより、雑音およびジッタを個別に評価できる。
・既存の手法の多くは、ジッタを雑音と分離して評価するために、数式表現可能な波形を出力する追加の信号源を用いる。これに対して本手法では、追加の信号源を必要としない
・したがって、安価で簡便である。
・また、送受信系を含むシステム全体の評価が可能となる。
・決定論的な計算を用いており、フィッティングや最適化などの複雑な計算を必要としない。したがって、計算が高速であり、解が安定する。
・振幅傾きに対する振幅誤差の区間分けを行うので、平均信号によるバイアスの影響を軽減できる。
・区間分けにより、より多くのサンプルを使って標準偏差を計算できることになるので、ロバストで正確な結果を得ることができる。
2 信号源
4 サンプラー
5 信号評価装置
6 信号取得部
7 評価部
8 出力部
Claims (3)
- 信号に対する等価サンプリングにより得られた複数の等価サンプリング信号(s(t))の平均信号を算出する工程と、
前記平均信号の振幅の傾きが0付近での前記等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σa)を算出する工程と、
前記平均信号の振幅の傾きを基準に設定された複数の区間ごとに、前記等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σtotal)を算出する工程と、
前記区間ごとの時間誤差の標準偏差(σt)を、前記振幅の傾きが0付近での等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σa)と、前記区間ごとの等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σtotal)と、前記区間における前記平均信号の振幅の傾きとを用いて算出する工程とを備えており、
前記時間誤差は、前記信号に対する前記等価サンプリングのタイミングの相対的なずれであることを特徴とする、等価サンプリング信号の評価方法。 - 信号に対する等価サンプリングにより得られた等価サンプリング信号を取得する信号取得部と、評価部とを備えており、
前記評価部は、
複数の等価サンプリング信号(s(t))の平均信号を算出する処理と、
前記平均信号の振幅の傾きが0付近での前記等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σa)を算出する処理と、
前記平均信号の振幅の傾きを基準に設定された複数の区間ごとに、前記等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σtotal)を算出する処理と、
前記区間ごとの時間誤差の標準偏差(σt)を、前記振幅の傾きが0付近での等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σa)と、前記区間ごとの等価サンプリング信号と前記平均信号との間の振幅誤差の標準偏差(σtotal)と、前記区間における前記平均信号の振幅の傾きとを用いて算出する処理とを少なくとも行う構成となっており、
前記時間誤差は、前記信号に対する前記等価サンプリングのタイミングの相対的なずれである、等価サンプリング信号の評価装置。
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