JP7491523B2 - 下痢性貝毒を産生する渦鞭毛藻からオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを製造する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、下痢性貝毒を産生する渦鞭毛藻からオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを製造する方法に関する。
下痢性貝毒とは、毒化した二枚貝等を摂食することに起因して、下痢をはじめとする消化器系障害を主な症状とする食中毒を引き起こす毒のことである。アカザラガイ、アサリ、イガイ、イタヤガイ、コタマガイ、チョウセンハマグリ、ホタテガイ、マガキ、ムラサキガイ等の二枚貝が毒性を有するプランクトンを摂取することにより、それらの二枚貝の中腸腺等に下痢性貝毒が濃縮され、そのような二枚貝をヒトが摂取することにより食中毒が発生する。
下痢性貝毒の原因となる毒として、オカダ酸(okadaic acid)及びその類縁体であるジノフィシストキシン(dinophysistoxin)-1、ジノフィシストキシン-2、ジノフィシストキシン-3(本明細書ではこれらを総称してジノフィシストキシンと呼ぶ)が知られている。それらの貝毒は主として、ジノフィシス属やプロロセントラム属の渦鞭毛藻により産生される。下痢性貝毒による食中毒を防止するために我が国では、水揚げされた二枚貝の毒力を検査している。その際に毒力が規制値を超えると、生産者による出荷自主規制の措置が講じられる。オカダ酸とジノフィシストキシンの化学式を下記に示す。
Figure 0007491523000001
過去において、下痢性貝毒の毒力を測定する公定法として、我が国ではマウス毒性試験が採用されていた。しかしマウス毒性試験は2017年4月から廃止され、我が国の下痢性貝毒の毒力を測定する公定法は高速液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC/MS/MS)を用いた機器分析法に変更された。このような機器分析法は従来のマウス毒性試験とは異なり、オカダ酸とジノフィシストキシンの量を個別に測定することが可能であり、且つ測定の精度と感度が高いという利点を有する。
ところでLC/MS/MSを用いて下痢性貝毒の機器分析を行うにあたり、標準物質としてのオカダ酸とジノフィシストキシンが必須となる。分析用の標準物質は、従来はカナダのNational Research Council(NRC)から認証標準物質が供給されていたが、現在では国内の国家計量機関である産業技術総合研究所計量標準総合センターからも認証標準物質を入手することが可能である。しかしながら機器分析法への変更により同標準物質の需要が高まっており、その供給は十分ではない。その一方でオカダ酸とジノフィシストキシンは複雑な化学構造を有するために、化学的に合成して標準物質を供給することは困難である。
下痢性貝毒の標準物質を製造するための従来法として、下痢性貝毒を産生する渦鞭毛藻から、メタノ-ルなどの有機溶媒を使用してオカダ酸とジノフィシストキシンを抽出する方法が知られている(非特許文献1、非特許文献2)。
Toshiyuki Suzuki et al., Marine and Freshwater Halmful Algae, 34-39, (2014) Daniel G. Beach et al., Journal of AOAC International, Vol.99, No.5, 1151-1162, (2016)
そのような従来法では、抽出された試料からオカダ酸とジノフィシストキシンを単離精製するために、中圧又は高速液体クロマトグラフィーを数回実施する必要がある。
よって純度が高いオカダ酸とジノフィシストキシン-1(最も重要なジノフィシストキシンである)の標準物質を20mg得るためには、1か月以上もの期間を要する。加えて各種クロマトグラフィーによる精製は回収率が低く、その煩雑な精製を実施するには精製技術に熟練する必要がある。更にジノフィシストキシンについては、オカダ酸と異なる手法で精製しなければならない。そのような従来技術の問題点のために、オカダ酸とジノフィシストキシンの標準物質を簡便かつ効率的に精製することは困難であった。
よって本発明の課題は、下痢性貝毒生産渦鞭毛藻からオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの標準物質を簡便かつ効率的に製造するための、新たな方法を提供することである。
渦鞭毛藻類からオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを有機溶媒(メタノール)により抽出し、液液抽出によりクロロホルムに転溶させ、その後に数回のクロマトグラフィーによる精製を行うことにより、精製されたオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを得る方法が、従来技術として知られている(非特許文献1)。下記の実施例で示すが、クロマトグラフィーによる精製を行う前のクロロホルム層について、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンと共に抽出されてくる夾雑成分をLC/PDA/QTOF(液体クロマトグラフィー/フォトダイオードアレイ/四重極-飛行時間型質量分析計)で解析した結果、色素化合物と高度不飽和脂肪酸が多く含まれていた。
この結果から、これまでオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの精製に使用されていない分画手法が、それらの物質の効率的な精製に有効である可能性が示唆された。本発明者らは鋭意検討した結果、π電子相互作用を利用した精製を行い(芳香族化合物が多く含まれる)色素化合物を除去する工程と、金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製を行い不飽和脂肪酸を除去する工程を行った後に、逆相クロマトグラフィーによる精製を1回行うことにより、純度が高いオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]精製されたオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを製造する方法であって、
(1)オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを含む渦鞭毛藻の抽出物についてπ電子相互作用を利用した精製を行うことにより、第1の精製画分を得る工程、
(2)前記第1の精製画分について金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製を行うことにより、第2の精製画分を得る工程、及び
(3)前記第2の精製画分について、逆相クロマトグラフィーを用いた精製を行うことにより、精製されたオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを得る工程、
を含む方法。
[2]前記抽出物が、渦鞭毛藻を溶媒と接触させる工程、及び任意で液液抽出法により精製を行う工程に付すことにより得られる、[1]に記載の方法。
[3]前記π電子相互作用を利用した精製が、フェニル基を有する固相を用いた精製である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製が、銀イオン浸漬シリカゲルを用いた精製である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の方法。
[5]前記渦鞭毛藻が、プロロセントラム属の渦鞭毛藻である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[6]前記渦鞭毛藻が、プロロセントラム・リマ(Prorocentrum lima)である[1]~[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7]前記ジノフィシストキシンがジノフィシストキシン-1である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の方法。
[8]下痢性貝毒を産生する渦鞭毛藻の抽出物からオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを精製する方法であって、
(1)前記抽出物についてπ電子相互作用を利用した精製を行うことにより、第1の精製画分を得る工程、
(2)前記第1の精製画分について金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製を行うことにより、第2の精製画分を得る工程、及び
(3)前記第2の精製画分について、逆相クロマトグラフィーを用いた精製を行うことにより、精製されたオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを得る工程、
を含む方法。
本発明の方法によれば、下痢性貝毒を産生する渦鞭毛藻の抽出物から、π電子相互作用を利用した精製工程と、金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製工程を行った後に、液体クロマトグラフィー精製を1回行うことにより、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを製造することができる。本発明の方法は、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの精製時間を短縮し、それらの標準物質の安価な製造を可能とするものである。加えて本発明の方法の主要な工程は固相抽出により行われるので、スケールアップも容易である。
更に本発明の方法で得た標準物質について、計量学的に妥当な手段によって値付けを行い、認証値及びその不確かさ、並びに計量学的トレーサビリティーを記載した認証書を付して認証標準物質とすることもできる。加えて標準物質の国際的な活用のために、国際単位(SI)としてトレーサビリティーが確立した認証標準物質も、本発明により得ることができる。
図1は、既往の精製技術(非特許文献1)と本発明の精製技術を比較した図である。 図2は、クロロホルム層に含まれる夾雑成分のLC/PDA/QTOF解析を行った結果を示す図面である。図2において上段は高速液体クロマトグラフィー/フォトダイオードアレイ測定(LC/PDA)の結果であり、下段はQTOF-MSの結果である。 図3は、フェニル基を有する固相抽出カラムで精製を行う前後の試料の純度を示す高速液体クロマトグラフィー/フォトダイオードアレイ測定(LC/PDA)のチャートである。図3において上段はフェニルカラム精製前の試料を解析したチャートであり、下段はフェニルカラム精製後の試料を解析したチャートである。 図4は、銀イオン浸漬シリカゲル固相抽出カラムで精製を行う前後の試料の純度を示す高速液体クロマトグラフィー/フォトダイオードアレイ測定(LC/PDA)のチャートである。図4において上段は銀イオン浸漬シリカゲル固相抽出カラムによる精製前の試料を解析したチャートであり、下段は銀イオン浸漬シリカゲル固相抽出カラムによる精製後の試料を解析したチャートである。 図5は、逆相高速液体クロマトグラフィー精製のチャートを示す図面である。 図6は、得られたオカダ酸とジノフィシストキシン-1の純度をNMRによる検定した結果を示す図面である。図6の上段はオカダ酸を検定したNMRスペクトルであり、下段はジノフィシストキシン-1を検定したNMRスペクトルを示す。
従来技術である非特許文献1に記載されたオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの精製技術と、本発明のオカダ酸群の精製技術との比較を図1に示す。
図1に示されるように従来技術(非特許文献1)では、渦鞭毛藻の前処理抽出物(クロロホルム画分)について、アルミナ固相抽出とシリカ固相抽出による順相クロマトグラフィー精製を行った後に、中圧及び高速の逆相液体クロマトグラフィー精製を各1回行い、更にゲルろ過クロマトグラフィー(中圧クロマトグラフィー)による精製を1回と、高速の逆相液体クロマトグラフィーによる精製を1回行うことにより、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの精製物を得ている。このように従来技術による方法は多段階のクロマトグラフィー精製の工程を含むが、中圧及び高速の液体クロマトグラフィーによる精製手法はカラムに供することができる試料の量が少ないために精製に長い時間を要し、スケールアップも困難である。
一方、本発明の方法では、同様の前処理で得た渦鞭毛藻の前処理抽出物(クロロホルム画分)の中に含まれる夾雑物である色素化合物と高度不飽和脂肪酸を除去するために、π電子相互作用を利用した精製工程(フェニル固相抽出カラムによる固相抽出)と、金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製工程(銀イオン浸漬シリカゲルによる固相抽出)を行い、その後に高圧の逆相クロマトグラフィーによる精製を1回行う。本発明の方法の各工程について、以下に詳細に述べる。
1.渦鞭毛藻の前処理を行う工程
下痢性貝毒を産生する渦鞭毛藻の前処理を行うことにより、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを含む抽出物を得る。ここで行われる前処理工程は、その後に行われるπ電子相互作用を利用した精製、金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製、及び逆相高速液体クロマトグラフィーカラムを用いた精製により、十分に純度が高いオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの標準物質を得ることができるものであれば良く、特に限定されるものではない。
本明細書において「下痢性貝毒を産生する渦鞭毛藻」とは、オカダ酸とジノフィシストキシンを代表とする下痢性貝毒を産生する能力を有する渦鞭毛藻を意味する。更に本明細書において「オカダ酸及び/又はジノフィシストキシン」とは、オカダ酸、ジノフィシストキシン-1、ジノフィシストキシン-2、及びジノフィシストキシン-3からなる群から選択された1つ又はそれ以上の化合物の任意の組み合わせを意味する。更に本明細書において「標準物質」とは、試料中のオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの濃度を機器分析法で測定する際に基準として使用される物質を言う。
本発明の方法で使用される渦鞭毛藻は好ましくはプロロセントラム属の渦鞭毛藻であり、特に好ましくはプロロセントラム・リマ(Prorocentrum lima)である。しかし本発明で使用される渦鞭毛藻はそれに限定されるものではなく、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを産生する能力を有する他の渦鞭毛藻、例えばジノフィシス属の渦鞭毛藻も使用することができる。本発明の方法において、下痢性貝毒を産生する渦鞭毛藻を人工海水中で予め培養することにより、その渦鞭毛藻の量を増やしておくことは好適な態様である。
本明細書における「渦鞭毛藻の前処理」とは、π電子相互作用を利用した精製と二重結合との錯体形成を利用した精製を行う前に行われる、渦鞭毛藻の処理工程を言う。この前処理の工程は渦鞭毛藻の抽出物を得る工程であり、渦鞭毛藻中のオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを十分に回収し、夾雑物を少なくとも部分的に除去できるかぎり、特に限定されるものではないが、例えば渦鞭毛藻を溶媒と接触させて抽出物を得る工程、及び任意で液液抽出法による精製工程を含み得る。溶媒としては、例えば有機溶媒が挙げられるが、それに限定されるものではない。
有機溶媒による抽出に使用される溶媒の一例はメタノールであるが、それに限定されるものではなく、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール、及びアセトンなども使用することができる。
液液抽出の方法の1態様として、非特許文献1に記載された方法を用いることができる。すなわち抽出物の溶媒を除いてメタノールに再溶解し、そのメタノール溶液にヘキサンを加えて攪拌し、分離したヘキサン層を除去することで脱脂し、残ったメタノール層に蒸留水を加え、クロロホルムを加えて攪拌し、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを含むクロロホルム層を収集することにより後の精製にかける抽出物を得る。しかしながら液液抽出の方法はそのような方法に限定されるものではない。
2.π電子相互作用を利用した精製にかける工程
上記1の工程で得た抽出物についてπ電子相互作用を利用した精製を行う。この工程において使用される精製手段はπ電子相互作用を利用した精製である限り特に限定されないが、好ましくはフェニル基を有する固相を用いた精製により実施することができる。
本明細書において「π電子相互作用を利用した精製」とは、π-π相互作用(パイ-パイ相互作用)、言い換えれば有機化合物分子の芳香環の間に働く分散力(ロンドン分散力)を利用した精製を言う。パイ-パイ相互作用には2つの芳香環がコインを積み重ねたような配置で安定化する傾向があるため、スタッキング(積み重ね)相互作用とも呼ばれる。
本工程の精製を、限定されるものではないが、例えばシリカゲル等の担体にフェニル基を結合させた固相(本明細書において「フェニル基を有する固相」と言う)を用いて実施することができる。そのような固相を充填したカラムはフェニル基結合カラムとして市販されている。なお「フェニル基を有する固相」における固相もシリカゲルに限定されるものではない。
すなわちフェニル基を結合させた固相と、上記1の工程で得られた抽出物中に含まれる色素化合物の芳香環との間に生じるパイ-パイ相互作用を利用して精製を実施する。この工程で該抽出物中の色素化合物を除去することが可能であり、この工程で得られる精製物を本明細書において第1の精製画分と称する。
上記で述べたフェニル基が結合した固相として、下記の実施例で使用しているInert Sep Ph(ジーエルサイエンス)を用いることは好適である。しかしそれに限定されるものではなく、Discovery DSC-Ph(シグマアルドリッジ)、Bond Elut PH(アジレント)等の他のフェニル基を有する固相を充填したカラムも使用することができる。
このフェニル基を有する固相を用いた精製工程では、水・メタノールの比率(例、80:20、60:40、40:60、20:80、0:100、v/v)を変えたステップワイズ溶出によりオカダ酸及びジノフィシストキシンを含む画分を得ることが好ましい。更に試料溶解液及びステップワイズ溶離液に0.1%となるように酢酸などの酸を加え、酸性条件下で実施することでカラムへの負荷能及び分画性能を向上させることができる。
3.金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製を行う工程
工程2で得た第1の精製画分について、金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製を行う。本明細書において「金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製」とは、金属イオンが二重結合と錯体を形成することを利用した精製を言う。二重結合と錯体を形成することができる金属イオンとして銀イオンを挙げることができるが、それに限定されるものではない。
具体的には銀イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製を、例えばシリカゲル等の担体を硫酸銀又は硝酸銀に浸漬処理することにより調製された固相を用いて行うことができる。本明細書において、シリカゲルを硫酸銀又は硝酸銀に浸漬処理した固相を「銀イオン浸漬シリカゲル」と言う。より詳しくはシリカゲルを硫酸銀で処理した固相を「硫酸銀浸漬シリカゲル」と言い、硝酸銀で処理した固相を「硝酸銀浸漬シリカゲル」と言う。なお金属イオンを結合させる担体はシリカゲルに限定されるものではない。
この工程において銀イオン浸漬シリカゲルを用いて、銀イオンクロマトグラフィーにより精製を行うことができる。銀イオンクロマトグラフィーとは、有機化合物中の不飽和化合物と銀イオンが錯体を形成することを利用した精製手法である。本発明の方法において銀イオン浸漬シリカゲルの銀イオンは、第1の精製画分中に存在する高度不飽和脂肪酸の二重結合と錯体を形成する。よって銀イオン浸漬シリカゲルカラムを用いた精製を行うことにより、試料中に含まれる高度不飽和脂肪酸を除去することができる。この工程で得られる精製画分を本明細書において第2の精製画分と言う。
「硫酸銀浸漬シリカゲル」又は「硝酸銀浸漬シリカゲル」を用いて銀イオンロマトグラフィーを行うことは、本発明において好ましい態様である。例えば、銀イオンロマトグラフィーを行うのに、下記の実施例で使用されているDiscovery Ag-ion SPE(シグマ-アルドリッチ)を用いることは好適である。しかしそれに限定されるものではなく、硝酸銀含浸シリカゲル(富士フィルム和光純薬)等の他の銀イオンクロマトグラフィーカラム・担体も使用することができる。
銀イオンクロマトグラフィーによる精製を行う工程では、アセトンに溶解した試料を銀イオン浸漬シリカゲル固相に供し、アセトンで洗浄した後、アセトンとアセトニトリル(例、3:97、5:95、10:90、30:70、v/v)の比率を変えたステップワイズ溶出法により分画することが好ましい。更に各種分画溶媒は脱水した溶媒を用いることで再現性を向上させることができる。
4.逆相高速液体クロマトグラフィーカラムを行う工程
上記3の工程で得た第2の精製画分について、逆相高速液体クロマトグラフィーを用いた精製を行い、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの精製された標準物質を得る。この逆相高速液体クロマトグラフィーにおいて使用されるカラムは特に限定されるものではない。下記の実施例で使用されているCAPCELL PAK ADME(大阪ソーダ)を用いることは好適であるが、他の逆相高速液体クロマトグラフィー用カラム、例えばオクタデシル基、オクタデシルシリル基、トリアコンチル基などで修飾された逆相分配系のHPLCカラムも、十分に純度が高い標準物質を得ることができる限り使用することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 本発明の方法によるオカダ酸とジノフィシストキシン-1の製造
工程1 下痢性貝毒オカダ酸及びジノフィシストキシン-1の生産と抽出
渦鞭毛藻Prorocentrum limaを培養して、オカダ酸及びジノフィシストキシン-1を生産させた。人工海水に栄養塩を添加した培地を用いて、25℃で約6週間培養した。培地を除去し、培養槽に付着したProrocentrum limaの藻体を集めた。集めた藻体をメタノールにより抽出した。
工程2 液液抽出による精製
工程1で得た抽出物の溶媒を除いてメタノールに再溶解した。メタノール溶液にヘキサンを加えて攪拌し、分離したヘキサン層を除去することにより脱脂した。残ったメタノール層に蒸留水を加え、その後にクロロホルムを加えて攪拌し、クロロホルム層を分離して液液抽出画分を得た。
クロロホロム層(液液抽出画分)に含まれる夾雑物成分を、LC/PDA/QTOFで解析した。その結果を図2に示す。フォトダイオードアレイ分析測定(PDA)の結果は液液抽出により得られたクロロホルム層には夾雑物として色素化合物が多く含まれることを示し、QTOF型質量分析の結果は夾雑物として不飽和脂肪酸が多く含まれることを示した。
工程3 フェニル基を有する固相抽出カラムによる精製
工程2で得られたクロロホルム層(液液抽出画分)の溶媒を除き、蒸留水:メタノール(4:1、v/v)に試料を溶解し、フェニル基を有する固相抽出カラム(Inert Sep Ph、ジーエルサイエンス)へ供した。メタノール比を10%ずつ上げるステップワイズ溶出法により、オカダ酸とジノフィシストキシン-1を精製して第一画分を得た。
フェニル基を有する固相抽出カラムによる精製を行う前後の純度を比較した、高速液体クロマトグラフィー/フォトダイオードアレイ測定(LC/PDA)のクロマトグラムのチャートを図3に示す。図3から判るように、フェニル基を有する固相抽出カラムによる精製を行うことにより多くの夾雑物が除かれてオカダ酸とジノフィシストキシン-1の純度は増加した。
工程4 銀イオン浸漬シリカゲルによる固相抽出カラム精製
工程3で得た第一画分の溶媒を除き、アセトンに溶解した試料を銀イオン浸漬シリカゲルの固相抽出カラム(Discovery Ag-ion SPE、シグマ-アルドリッチ)に供した。カラムをアセトンで洗浄した後、アセトニトリル:アセトンの比率を変えたステップワイズ溶出法で分画し、第二画分を得た。
銀イオン浸漬シリカゲルによる精製前後の純度を比較した、高速液体クロマトグラフィー/フォトダイオードアレイ測定(LC/PDA)クロマトグラムのチャートを図4に示す。図4から判るように、銀イオン浸漬シリカゲルによる精製を行うことにより多くの夾雑物が除かれて、オカダ酸とジノフィシストキシン-1の純度は更に増加した。
工程5 逆相高速液体クロマトグラフィー精製
工程4で得た第二画分の溶媒を除き、逆相高速液体クロマトグラフィーで分画に用いる移動相に溶解させた。逆相高速液体クロマトグラフィー(CAPCELL PAK ADME、大阪ソーダ)を用いて、水:アセトニトリル:酢酸(30:70:0.1)を混合した酸性条件の移動相により分離を行った。CAPCELL PAK ADMEによる高速液体クロマトグラフィーを行った際のチャートを図5に示す。
工程6 純度の検定と値付け
工程5で得られたオカダ酸及びジノフィシストキシン-1の精製された標準物質について核磁気共鳴装置による解析を行って純度を検定した。工程5で得られた純度95%以上のオカダ酸及びジノフィシストキシン-1のNMRスペクトルを図6に示す。このようにして得られたオカダ酸及びジノフィシストキシン-1の標準物質について、例えば定量NMR法により値付けを行い認証標準物質とすることもできる。
比較例1 従来法(非特許文献1の方法)によるオカダ酸とジノフィシストキシン-1の製造
工程1 下痢性貝毒オカダ酸及びジノフィシストキシン-1の生産と抽出
渦鞭毛藻Prorocentrum limaを培養して、オカダ酸及びジノフィシストキシン-1を生産させた。人工海水に栄養塩を添加したものを培地として、25℃で約6週間培養した。培地を除去し、培養槽に付着したProrocentrum limaの藻体を集めた。集めた藻体をメタノールにより抽出した。
工程2 液液抽出による精製
工程1で得た抽出物の溶媒を除いてメタノールに再溶解した。メタノール溶液にヘキサンを加えて攪拌し、分離したヘキサン層を除去することにより脱脂した。残ったメタノール層に蒸留水を加え、その後にクロロホルムを加えて攪拌し、クロロホルム層を分離させて採集した。
工程3 アルミナカラムによる精製
工程2で得られたクロロホルム層の溶媒を除き、ジクロロメタンとメタノール(1:1、v/v)に溶解した試料をアルミナ(Al)カラムに供した。1%アンモニアを含む水:メタノール(1:1、v/v)で分画してオカダ酸及びジノフィシストキシン-1を溶出した。
工程4 シリカゲルカラムによる精製
工程3で分画した画分をジクロロメタン:メタノール(95:5、v/v)に溶解し、シリカゲルカラムに供した。ジクロロメタン:メタノール(95:5、v/v)及びジクロロメタン:メタノール(1:1、v/v)で分画し、1%アンモニアを含む水:メタノール(1:1、v/v)でオカダ酸及びジノフィシストキシン-1を溶出した。
工程5 Deverosil LOP ODSによる精製
工程4で分画したジクロロメタン:メタノール(1:1、v/v)画分をDeverosil LOP ODS(野村化学)の中圧カラムによって水:メタノールの比率によるステップワイズグラジエントで分画した。メタノール:水(85:15、v/v)でオカダ酸及びジノフィシストキシン-1を溶出した。
工程6 Cosmoisil 5C18-AR-IIによる精製
工程5で分画したメタノール:水(85:15、v/v)画分をCosmosil 5C18-AR-II(ナカライテスク)のHPLCカラムで精製した。0.1%の酢酸を含む水及びアセトニトリルの2相によるリニアグラジエントで分画し、オカダ酸及びジノフィシストキシン-1を分画した。
工程7 ゲルろ過カラムによる精製
工程6で分画したオカダ酸及びジノフィシストキシン-1を含む画分をゲルろ過カラム(HW40S、φ100mm×300mm、東ソー)でメタノールを移動相として、オカダ酸及びジノフィシストキシン-1を分画した。
工程8 Deverosil C30 UG-5による精製
工程7で分画したオカダ酸及びジノフィシストキシン-1を、Deverosil C30 UG-5(野村化学)のHPLCカラムで0.5%酢酸を含むアセトニトリル:水(7:3、v/v)で精製し、オカダ酸及びジノフィシストキシン-1を得た。
比較例1と本発明の精製ステップの回収率及び精製ステップに要する時間を表1と表2に示す。表2から判るように本発明の方法で精製を行うのに必要な時間は約80時間であった。一方表1から判るように、従来法の比較例1の方法で精製を行うのに必要な時間は約200時間であり、本発明の方法により精製時間を大幅に(半分以下に)短縮することが可能であった。加えて本発明の方法における各精製工程の回収率は約80%~約90%であり、高い回収率を示した。
本発明により、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの精製標準物質を、効率良く得ることが可能となった。本発明の精製方法は主として固相抽出の工程からなるので、スケールアップも容易である。本発明の方法により、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの精製された標準物質の安定且つ安価な供給が可能となる。本発明の方法により、オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンの認証標準物質、二次標準物質、更には生化学試薬の安価な製造も可能とする。

Claims (7)

  1. 精製されたオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを製造する方法であって、
    (1)オカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを含む渦鞭毛藻の抽出物についてπ電子相互作用を利用した精製を行うことにより、第1の精製画分を得る工程、
    (2)前記第1の精製画分について金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製を行うことにより、第2の精製画分を得る工程、及び
    (3)前記第2の精製画分について、逆相クロマトグラフィーを用いた精製を行うことにより、精製されたオカダ酸及び/又はジノフィシストキシンを得る工程、
    を含む方法。
  2. 前記抽出物が、渦鞭毛藻を溶媒と接触させる工程、及び任意で液液抽出法により精製を行う工程に付すことにより得られる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記π電子相互作用を利用した精製が、フェニル基を有する固相を用いた精製である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記金属イオンと二重結合との錯体形成を利用した精製が、銀イオン浸漬シリカゲルを用いた精製である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記渦鞭毛藻が、プロロセントラム属の渦鞭毛藻である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記渦鞭毛藻が、プロロセントラム・リマ(Prorocentrum lima)である請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記ジノフィシストキシンが、ジノフィシストキシン-1である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
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