JP7485076B2 - 推定装置、推定方法及び推定プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、推定装置、推定方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関し、特に、探査対象物を含む三次元空間の密度情報の分布を推定するための推定装置、推定方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
地下構造物(廃坑など)の探査にミュオグラフィを用いる際に、探査対象の構造物の形状をトモグラフィ的に三次元に復元するニーズが高まっている。例えば、特許文献1には、ミュー粒子を利用した三次元地盤探査システムに関する技術が開示されている。
特開2013-2830号公報
ここで、ミューオンセンサにより測定されたミューオン粒子に関する測定データのみからトモグラフィを行う場合、推定すべきパラメータ数に対してデータが不足している(ill-posed)問題がある。そのため、ill-posedなトモグラフィ問題を解くことができず、トモグラフィ結果の精度が不十分であるという課題があった。尚、特許文献1にかかる技術には、測定されたミューオン粒子の情報から三次元に復元するためのモデルの具体的な構成やモデルの具体的な修正方法について開示されておらず、上述した課題を解決することができない。
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、探査対象物を含む三次元空間の密度情報の分布を精度良く推定するための推定装置、推定方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することを目的とする。
本開示の第1の態様にかかる推定装置は、
探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する複数の測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、前記三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付ける受付手段と、
前記三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した第1のボリューム内の各ボクセルに前記荷電粒子の密度情報として任意の値を設定し、前記第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行う畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、前記測定器と物質層の組合せに対応させて設定する設定手段と、
前記畳み込み演算により取得された最終層の値のうち、前記測定器ごとの各物質層に対応する前記第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する前記設置位置とを用いて、前記測定器ごとに前記測定値の期待値を再構成する再構成手段と、
前記測定器ごとの前記再構成された期待値と前記測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出する誤差算出手段と、
前記誤差関数値が所定値以上である場合に、前記誤差関数値を最小化するように、前記畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習する学習手段と、
前記学習後のパラメータを用いて前記畳み込み演算により最終層の値を取得する演算手段と、
前記取得された最終層の値と前記設置位置を用いて前記三次元空間における前記密度情報の分布の推定値を推定する推定手段と、
前記誤差関数値が所定値未満である場合に、前記推定値を出力する出力手段と、
を備える。
本開示の第2の態様にかかる推定方法は、
コンピュータが、
探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する複数の測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、前記三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付け、
前記三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した第1のボリューム内の各ボクセルに前記荷電粒子の密度情報として任意の値を設定し、前記第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行う畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、前記測定器と物質層の組合せに対応させて設定し、
前記畳み込み演算により前記最終層の値を取得し、
前記取得された最終層の値のうち、前記測定器ごとの各物質層に対応する前記第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する前記設置位置とを用いて、前記測定器ごとに前記測定値の期待値を再構成し、
前記測定器ごとの前記再構成された期待値と前記測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出し、
前記誤差関数値が所定値以上である場合に、前記誤差関数値を最小化するように、前記畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習し、
前記学習後のパラメータを用いて前記畳み込み演算により最終層の値を取得し、
前記取得された最終層の値と前記設置位置を用いて前記三次元空間における前記密度情報の分布の推定値を推定し、
前記誤差関数値が所定値未満である場合に、前記推定値を出力する。
本開示の第3の態様にかかる推定プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体は、
探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する複数の測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、前記三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付ける受付処理と、
前記三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した第1のボリューム内の各ボクセルに前記荷電粒子の密度情報として任意の値を設定し、前記第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行う畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、前記測定器と物質層の組合せに対応させて設定する設定処理と、
前記畳み込み演算により取得された最終層の値のうち、前記測定器ごとの各物質層に対応する前記第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する前記設置位置とを用いて、前記測定器ごとに前記測定値の期待値を再構成する再構成処理と、
前記測定器ごとの前記再構成された期待値と前記測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出する誤差算出処理と、
前記誤差関数値が所定値以上である場合に、前記誤差関数値を最小化するように、前記畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習する学習処理と、
前記学習後のパラメータを用いて前記畳み込み演算により最終層の値を取得する演算処理と、
前記取得された最終層の値と前記設置位置を用いて前記三次元空間における前記密度情報の分布の推定値を推定する推定処理と、
前記誤差関数値が所定値未満である場合に、前記推定値を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させる。
本開示により、探査対象物を含む三次元空間の密度情報の分布を精度良く推定するための推定装置、推定方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
本実施形態1にかかる推定装置の構成を示すブロック図である。 本実施形態1にかかる推定方法の流れを示すフローチャートである。 本実施形態2にかかるミューオン粒子の測定の概念を説明するための図である。 本実施形態2にかかるミューオン粒子のエネルギーとミューオンフラックス(粒子数)との関係を説明するための図である。 本実施形態2にかかる測定値から生成されるミューオンフラックス画像の例を示す図である。 本実施形態2にかかる推定装置の構成を示すブロック図である。 本実施形態2にかかるCNNの構成、期待値の再構成、密度情報の推定の概念を説明するための図である。 本実施形態2にかかる推定処理の流れを示すフローチャートである。 本実施形態2にかかる所定のボクセルを通過する複数のミューオン粒子の軌跡と、各ミューオン粒子を測定する複数の測定器との関係を説明するための図である。 本実施形態2にかかる所定のボクセルを通過する複数のミューオン粒子の軌跡と、各ミューオン粒子を測定する単一の測定器との関係を説明するための図である。 本実施形態2にかかるErr2を算出する際の探査対象物の軸の回転方向を説明するための図である。 本実施形態2にかかるErr2を算出する際の形状・密度勾配フィルタの回転方向を説明するための図である。 本実施形態2にかかるErr2を算出する際の形状・密度勾配フィルタと座標変換を説明するための図である。 本実施形態2にかかる形状フィルタと復元(推定)された密度とが一致する場合を説明するための図である。 本実施形態2にかかる形状フィルタと復元(推定)された密度とのずれの調整の概念を説明するための図である。 本実施形態2にかかる他の形状フィルタの例を示す図である。 本実施形態2にかかる重み付け関数を用いた、形状フィルタと復元(推定)された密度との境界のずれの調整の概念を説明するための図である。
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
<実施形態1>
図1は、本実施形態1にかかる推定装置1の構成を示すブロック図である。推定装置1は、探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の測定結果と、三次元空間の事前知識とを用いて三次元空間における密度情報の分布の推定値を推定するための情報処理装置である。前提として、荷電粒子の複数の測定器が三次元空間の地下等の異なる場所に設置されているものとする。そして、各測定器は、探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する。尚、荷電粒子とは、例えば、ミューオン粒子であるが、これに限定されない。三次元空間とは、地上及び地下を含んでよい。そのため、三次元空間は、空気層や複数の地層を含む異なる複数の物質層を含むものである。そして、三次元空間の事前知識とは、三次元空間に含まれる各物質層の構成、順序、種別等である。また、探査対象物とは、地下構造物であり、例えば、廃坑等である。
推定装置1は、受付部11と、設定部12と、再構成部13と、誤差算出部14と、学習部15と、演算部16と、推定部17と、出力部18とを備える。受付部11は、複数の測定器のそれぞれによる測定値と、各測定器の設置位置と、三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付ける。尚、測定値は、三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向との測定結果そのものであるか、測定結果から公知技術により加工された画像データであってもよい。
設定部12は、第1のボリューム内の各ボクセルに荷電粒子の密度情報として任意の値を設定する。ここで、ボリュームとは、三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した情報であり、例えば、三次元配列である。そして、ボクセルは、三次元空間を構成する単位空間(例えば、立方体)である。また、第1のボリュームは、所定の畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network(CNN))における第1層のニューロン(素子)とする。ここで、当該畳み込みニューラルネットワークは、第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行うモデルである。また、設定部12は、当該畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、測定器と物質層の組合せに対応させて設定する。つまり、設定部12は、最終層におけるボリュームの数を測定器と物質層の組合せの数として設定する。そして、各第2のボリュームは、測定器と物質層の組合せに対応することとなる。例えば、測定器数が3、物質層数が5である場合、最終層のボリューム数は15となる。そして、例えば、1番目のボリュームは、測定器1と物質層1に対応し、2番目のボリュームは、測定器1と物質層2に対応する。また、6番目のボリュームは、測定器2と物質層1に対応し、10番目のボリュームは、測定器2と物質層5に対応する。以降同様に、15番目のボリュームは、測定器3と物質層5に対応することとなる。
再構成部13は、畳み込み演算により取得された最終層の値のうち、測定器ごとの各物質層に対応する第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する設置位置とを用いて、測定器ごとに測定値の期待値を再構成する。
誤差算出部14は、測定器ごとの再構成された期待値と測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出する。つまり、誤差関数は、測定器ごとの再構成された期待値と測定値との二乗誤差の項を含む。
学習部15は、誤差関数値が所定値以上である場合に、誤差関数値を最小化するように、畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習する。
演算部16は、学習後のパラメータを用いて畳み込み演算により最終層の値を取得する。
推定部17は、取得された最終層の値と設置位置を用いて三次元空間における密度情報の分布の推定値を推定する。
出力部18は、誤差関数値が所定値未満である場合に、推定値を出力する。尚、出力部18は、推定値を三次元のトモグラフィデータとして出力してもよい。
図2は、本実施形態1にかかる推定方法の流れを示すフローチャートである。まず、受付部11は、各測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付ける(S11)。
次に、設定部12は、CNNの第1のボリューム内の各ボクセルに荷電粒子の密度情報として任意の値を設定する。また、設定部12は、CNNの最終層の各第2のボリュームを、測定器と物質層の組合せに対応させて設定する(S12)。尚、設定部12は、外部からの指示に応じて、CNNの階層数、各階層のボリューム数、ボクセルの初期値や畳み込み演算に用いるパラメータ等を設定してもよい。
その後、演算部16は、CNNの畳み込み演算により最終層の値を取得する(S13)。そして、再構成部13は、取得された最終層の値のうち、測定器ごとの各物質層に対応する第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、測定器に対応する設置位置とを用いて、測定器ごとに測定値の期待値を再構成する(S14)。続いて、誤差算出部14は、測定器ごとの再構成された期待値と測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出する(S15)。そして、誤差算出部14は、誤差関数値が所定値以上であるか否かを判定する(S16)。
誤差関数値が所定値以上である場合(ステップS16でYES)、学習部15は、誤差関数値を最小化するように、CNNのパラメータを学習する(S17)。そして、演算部16は、学習後のパラメータを用いてCNNの畳み込み演算により最終層の値を取得する(S13)。以降、上記同様に、推定装置1は、ステップS14からS16を実行する。
誤差関数値が所定値未満である場合(ステップS16でNO)、推定部17は、直近のステップS13で取得された最終層の値と設置位置を用いて三次元空間における密度情報の分布の推定値を推定する(S18)。そして、出力部18は、推定値を出力する(S19)。
このように本実施形態では、探査対象物を含む三次元領域の密度情報の分布を精度良く推定することができる。特に、荷電粒子の測定器と設置位置に加えて、観測対象の三次元領域の物質層の種別の情報を用いることで、上述したill-posed問題を解決できる。例えば、荷電粒子の測定器と観測対象の三次元領域の物質層との組わせを、CNNの最終層の各ボリュームに対応付けておくことで、期待値を再構成する際に、物質の固有密度係数を適切に用いることができる。そのため、期待値の再構成(算出)精度も向上する。それ故、CNNの機械学習の効率も向上する。よって、CNNの機械学習を安定的に収束させることができる。すなわち、解の安定性、収束性が向上する。また、CNNの最終層の各ボリュームの値から三次元領域の密度情報を推定する際に、測定器の設置位置を加味することで、推定精度を向上できる。
尚、推定装置1は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備えるものである。また、当該記憶装置には、本実施形態にかかる推定方法の処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。そして、当該プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムを前記メモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行する。これにより、前記プロセッサは、受付部11、設定部12、再構成部13、誤差算出部14、学習部15、演算部16、推定部17及び出力部18の機能を実現する。
または、受付部11、設定部12、再構成部13、誤差算出部14、学習部15、演算部16、推定部17及び出力部18は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等を用いることができる。
また、推定装置1の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、推定装置1の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
<実施形態2>
本実施形態2は、上述した実施形態1の具体的な一実施例である。まず、本実施形態2にかかる受付部は、探査対象物の形状に関する形状情報の入力をさらに受け付ける。そして、誤差算出部は、推定値のうち探査対象物の形状に関する推定値と、入力された形状情報との誤差をさらに含めて誤差関数値を算出する。つまり、誤差関数は、推定値のうち探査対象物の形状に関する推定値と、入力された形状情報との誤差の項を含む。このように、探査対象物の形状に関する事前知識を効果的に用いることで、ill-posedなトモグラフィ問題を解くことができ、トモグラフィ結果の精度をさらに向上させることができる。
さらに、受付部は、探査対象物の三次元空間内の想定位置の入力をさらに受け付けるとよい。その場合、誤差算出部は、探査対象物の形状に関する推定値に対して、想定位置とのずれを調整するように誤差関数値を算出する。これにより、機械学習の効率、解の安定性、収束性がさらに向上する。そして、推定精度がさらに向上する。
ここで、本実施形態2では、地下の空洞(廃坑)や埋設物等の探査対象物の探査に宇宙線ミューオン粒子の測定データを用いるケースを説明する。そして、探査対象物の形状や埋設されている地層の位置等は、ある程度判明しているものの、正確な形状や埋設位置が不明であるものとする。例えば、探査対象物が地下10m程度に存在することがわかっているが、正確な位置が不明とする。そこで、地下20m程度の位置に複数の測定器を埋設するといったことである。また、探査対象物を含む地下空間の地層情報(物質層の構成、位置、種別)等は、別途、公知の物理探査により取得可能であるものとする。尚、本実施形態2は、他のケースにも適用可能である。
図3を用いて、本実施形態2にかかるミューオン粒子の測定の概念を説明する。三次元空間2は、複数の地層21から26を含み、地表上の空気層や岩盤層等も含む。地層21等や空気層は、異なる複数の物質層の一例である。また、図3の例では、三次元空間2の地層24に探査対象物20が存在することが判明しているものとする。但し、探査対象物20が地層24に存在することが事前に判明していなくてもよい。また、地層26には、複数の測定器211から21n(nは2以上の自然数。)が埋設されている。測定器211等は、ミューオン粒子のセンサである。測定器211等は、三次元空間2を通過してセンサ面に到達したミューオン粒子の数と入射方向とを測定する。尚、測定器211等は、公知技術を用いて実現可能である。
軌跡31から34は、上空から三次元空間2を通過するミューオン粒子の軌跡の一例である。ミューオン粒子の軌跡31は、地上の空気層、地層21から23を通過し、地層24内で探査対象物20を通過し、地層25及び26を通過して測定器21nに到達したことを示す。ミューオン粒子の軌跡33は、同様に、探査対象物20を通過した上で、測定器211に到達したことを示す。一方、ミューオン粒子の軌跡32や34は、探査対象物20を通過せずに、測定器211や21nに到達したことを示す。
図4は、本実施形態2にかかるミューオン粒子のエネルギーとミューオンフラックス(粒子数)との関係を説明するための図である。横軸は、ミューオン粒子のエネルギーであり、縦軸は、ミューオンフラックスである。図4に示すように、エネルギーの最小値Emin以下のミューオン粒子は、物質との相互作用で失われる。そのため、観測(測定)されるミューオン粒子数は、最小値Emin以上である。
ここで、ミューオン粒子のエネルギー損失式は、経験的に以下の式(1)により定義される。
Figure 0007485076000001
・・・式(1)
ここで、a(E)とb(E)とは物質の種類により定まる。そして、物質層の長さlを通過できるミューオン粒子のエネルギーの最小値Eminは、以下の式(2)により求められる。
Figure 0007485076000002
・・・式(2)
そして、測定器211等による測定結果は、公知技術を用いてミューオンフラックス画像(測定値の一例)に変換が可能である。図5は、本実施形態2にかかる測定値から生成されるミューオンフラックス画像の例を示す図である。横軸は、測定器のセンサ面における水平方向の周囲180度のタンジェント値であり、縦軸は、天頂方向からの方位角のタンジェント値である。また、各画素は、ミューオン粒子数の密度の大小を濃淡で示している。
ここで、測定器fのセンサ面上の位置(座標)jにおいて測定されるミューオン粒子数の期待値Fexp(f、j)は、以下の式(3)により求められる。
Figure 0007485076000003
・・・式(3)
ここで、d(j)は、センサ面上の位置(座標)jにおいて測定されるミューオン粒子の入射方向である。Ωは、入射方向(立体角、方位角)の変数である。関数N(E、d(j))は、測定器fのセンサ面上の位置(座標)jにおいて測定されるミューオン粒子のエネルギーE及び入射方向d(j)におけるミューオン粒子数の関数である。以下の式(4)は、ミューオン粒子のエネルギーEμ及び方位角θにおける関数Nの微分強度(differential intensity)の定義である。
Figure 0007485076000004
・・・式(4)
ここで、pμは、ミューオンの運動量であり光速に近い速度を持つ場合はエネルギーEμと等価になる。また、g(pμ、θ)は、以下の式(5)で定義される。
Figure 0007485076000005
・・・式(5)
図6は、本実施形態2にかかる推定装置400の構成を示すブロック図である。推定装置400は、上述した推定装置1の機能を包含した上で、本実施形態2に特有の機能を備える。尚、推定装置400は、複数台のコンピュータに冗長化されてもよく、各機能ブロックが複数台のコンピュータに分散して実現されてもよい。
推定装置400は、記憶部410と、メモリ420と、IF(InterFace)部430と、制御部440とを備える。記憶部410は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置の一例である。記憶部410は、推定プログラム411と、CNN412と、物質種別413と、固有密度係数414と、最終層定義情報415を記憶する。推定プログラム411は、本実施形態2にかかる推定方法の処理が実装されたコンピュータプログラムである。
CNN412は、畳み込みニューラルネットワークの一例である。CNN412は、第1層4121、・・・最終層412A(Aは、3以上の自然数。)とパラメータ4120を含む。第1層4121は、ボリュームvo1(第1のボリュームの一例)を含む。ボリュームvo1は、三次元空間2を複数のボクセルvx11からvx1k(kは、2以上の自然数。)で表現した三次元配列である。各ボクセルには、ミューオン粒子の密度情報を示す値が設定される。最終層412Aは、ボリュームvoA11からvoA1N、・・・voAN1からvoANを含む。これらは、複数の第2のボリュームの一例である。ここで、Nは、物質層の総数であり、Nは、探査に用いられた測定器の総数、言い換えると、入力されるミューオンフラックス画像の総数である。ボリュームvoA11は、測定器1の物質層1に対応する。ボリュームvoA1Nは、測定器1の物質層Nに対応する。ボリュームvoAN1は、測定器Nの物質層1に対応する。ボリュームvoANは、測定器Nの物質層Nに対応する。パラメータ4120は、CNN412の各層の間の変換を行う際に用いられる重み付け係数及びバイアス値の集合である。
図7は、本実施形態2にかかるCNN412の構成、期待値の再構成、密度情報の推定の概念を説明するための図である。CNN412は、第1層、第2層、・・・第A-1層、第A層(最終層)で構成される畳み込みニューラルネットワークである。第1層には、ボリュームvo1が属する。尚、第1層には2以上のボリュームが属しても良い。第2層には、ボリュームvo21、vo22及びvo23が属する。尚、第2層には、2又は4以上のボリュームが属しても良い。ボリュームvo1の各ボクセルの値は、重み付け係数とバイアス値を用いて変換され、ボリュームvo21の対応する各ボクセルに設定される。同様に、ボリュームvo1の各ボクセルの値は、上記とは異なる重み付け係数とバイアス値を用いて変換され、ボリュームvo22及びvo23のそれぞれの対応する各ボクセルに設定される。尚、重み付け係数とバイアス値は、CNN412のパラメータ4120である。同様に、第2層の各ボリュームは、第3層の各ボリュームにそれぞれのパラメータを用いて変換され、第A-1層まで変換される。ここでは、第2層から特定層までは、ボリュームの粒度が大きくなるように変換し、特定層から第A-1層までは、ボリュームの粒度が小さくなるように変換する。言い換えると、第2層から特定層までは、ボクセルのスケールが大きくするように変換し、特定層から第A-1層までは、ボクセルのスケールが小さくなるように変換する。また、第1層、第2層及び第A-1層に属するボリュームのボクセル数は同じとするが、これに限定されない。第A-1層の各ボリュームは、第A層の各ボリュームへ変換される。例えば、ボリュームvoA-11の各ボクセルの値は、異なるパラメータを用いて変換され、ボリュームvoA11からvoA1N、・・・voAN1からvoANの各ボクセルに設定される。
図6に戻り説明を続ける。物質種別413は、物質層の物質の種別を示す情報である。固有密度係数414は、物質の固有密度係数である。物質種別413と固有密度係数414とは対応付けられている。
最終層定義情報415は、最終層412Aに含まれる各ボリュームのボリュームID4151に対応付けられた測定器ID4152及び物質種別4153の組合せを定義した情報である。
メモリ420は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部440の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。IF部430は、
推定装置400の外部との入出力を行うインタフェースである。例えば、IF部430は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイス(不図示)を介して、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作内容を制御部440へ出力する。また、IF部430は、制御部440からの指示に応じて、タッチパネル、表示装置、プリンタ等(不図示)へ出力を行う。
制御部440は、推定装置400の各構成を制御するプロセッサつまり制御装置である。制御部440は、記憶部410から推定プログラム411をメモリ420へ読み込ませ、推定プログラム411を実行する。これにより、制御部440は、受付部441、設定部442、再構成部443、誤差算出部444、学習部445、演算部446、推定部447及び出力部448の機能を実現する。
受付部441は、上述した受付部11の一例である。受付部441は、複数のミューオンフラックス画像と、測定器211から21nの設置位置と、三次元空間2に関する地層情報と、探査対象物20の形状情報及び想定位置との入力を受け付ける。入力されるミューオンフラックス画像は、測定器211等のそれぞれの測定結果から変換された画像データである。つまり、各ミューオンフラックス画像は、測定器を一意に特定し、設置位置と一対一に対応する情報である。また、ミューオンフラックス画像は、上述した通り、測定器のセンサ面の各位置におけるミューオン粒子の測定数と、各ミューオン粒子の入射方向を含む情報である。設置位置は、三次元空間2における三次元の位置座標の集合である。つまり、設置位置は、対応する測定器のセンサ面上の位置jの三次元の位置座標の集合である。地層情報は、地表上の空気層や岩盤層、地下の岩盤層の構成(位置関係、層の厚さ、物質層の種別、含水量等)を含むものとする。形状情報は、探査対象物20の想定される形状(縦、横、高さ等)を示す情報である。想定位置は、三次元空間2内で探査対象物20が存在すると想定される三次元位置座標の集合である。
設定部442は、上述した設定部12の一例である。設定部442は、上記入力に応じてCNN412の各種設定を行う。すなわち、設定部442は、CNN412の第1層のボリュームvo1の各ボクセルに初期値を設定する。尚、設定部442は、ユーザから入力された初期値を各ボクセルに設定してもよい。また、設定部442は、入力されたミューオンフラックス画像数と地層情報内の物質層の数とを乗算した数を算出し、CNN412の最終層のボリューム数を、乗算した数として設定する。また、設定部442は、最終層412Aに含まれる各ボリュームのボリュームID4151に、測定器ID4152及び物質種別4153の組合せを対応付けて最終層定義情報415として記憶部410に保存する。その他、設定部442は、ユーザの入力に応じて、CNN412の階層数、各階層のボリューム数、ボクセルのサイズ等を設定しても良い。
また、設定部442は、上記入力に応じて後述する誤差関数の設定を行う。例えば、設定部442は、入力されたミューオンフラックス画像の総数(測定器数N)、物質層の総数N等を設定する。また、設定部442は、入力された地層情報に含まれる物質層の物質種別413に対応付けられた固有密度係数414を取得し、誤差関数に設定する。尚、設定部442は、入力された地質情報に含まれる含水量を加味して固有密度係数414を調整して誤差関数に設定するとよい。これにより、再構成の精度や密度情報の推定精度が向上する。また、設定部442は、入力された形状情報及び想定位置に基づく設定を誤差関数に行う。例えば、設定部442は、形状情報に対応する形状フィルタ(後述)を誤差関数に設定する。
演算部446は、上述した演算部16の一例である。演算部446は、設定されたCNN412の畳み込み演算により最終層の値を取得する。また、演算部446は、学習部445による学習後のパラメータを用いてCNN412の畳み込み演算により最終層の値を取得する。
再構成部443は、上述した再構成部13の一例である。再構成部443は、畳み込み演算により導出された最終層の各ボリュームのボクセル値を取得し、測定器単位に、ミューオンフラックス画像の期待値を再構成する。例えば、図7に示すように、再構成部443は、測定器1に対応するボリュームvoA11からボリュームvoA1Nを対象に、同じ位置のボクセル値を用いて、ボクセルごとのミューオン粒子の密度情報を算出する。そして、再構成部443は、算出した密度情報を合成して再構成画像r1を生成する。また、再構成部443は、測定器2に対応するボリュームvoA21からボリュームvoA2Nを対象に、再構成画像r2を生成する。以降同様に、再構成部443は、測定器Nに対応するボリュームvoAN1からボリュームvoANを対象に、再構成画像rNを生成する。
推定部447は、上述した推定部17の一例である。推定部447は、畳み込み演算により導出された最終層の各ボリュームのボクセル値を取得し、各ボクセル値と設置位置とを用いて三次元空間2における密度情報の分布の推定値を推定する。例えば、図7に示すように、推定部447は、ボリュームvoA11からボリュームvoANの各ボクセルの値と、入力された各測定器の設置位置とを用いて三次元復元密度情報rdを推定として推定する。

誤差算出部444は、上述した誤差算出部14の一例である。誤差算出部444は、設定された誤差関数に、測定器ごとの再構成画像r1からrN及びミューオンフラックス画像ob1からobNを入力し、これらの二乗誤差を算出する。また、誤差算出部444は、設定された誤差関数に、推定値と入力された形状情報、想定位置等を入力し、密度情報の誤差を算出する。そして、誤差算出部444は、二乗誤差及び密度情報の誤差により誤差関数値を算出する。このとき、誤差算出部444は、推定値のうち探査対象物20の形状に関する推定値と、入力された形状情報との誤差をさらに含めて誤差関数値を算出する。さらに、誤差算出部444は、探査対象物20の形状に関する推定値に対して、想定位置とのずれを調整するように誤差関数値を算出する。また、誤差算出部444は、誤差関数値が所定値以上であるか否かを判定する。つまり、誤差算出部444は、機械学習の収束条件を満たすか否かを判定する。
学習部445は、上述した学習部15の一例である。学習部445は、誤差関数値が所定値以上である場合、誤差関数値を最小化するように、CNN412のパラメータ4120を学習する。特に、学習部445は、上記誤差関数の偏微分を用いた誤差逆伝搬法により第A層(最終層412A)から第A-1層への逆伝搬を行い、第A層と第A-1層の間のパラメータを更新する。また、学習部445は、一般的な誤差逆伝搬法により第A-1層から第1層4121への逆伝搬を行い、第A-1層から第1層4121の間のパラメータを更新する。
出力部448は、上述した出力部18の一例である。出力部448は、誤差関数値が所定値未満である場合、推定部447により直近に推定された推定値を出力する。
図8は、本実施形態2にかかる推定処理の流れを示すフローチャートである。まず、受付部441は、測定器ごとのミューオンフラックス画像と、各測定器の設置位置と、地層情報と、探査対象物20の形状情報及び想定位置との入力を受け付ける(S201)。
次に、設定部442は、CNN412の第1層4121のボリュームvo1に初期値を設定し、最終層412Aの各ボリュームを、測定器と物質層の組合せに対応させて設定する(S202)。このとき、上述したように、設定部442は、ユーザの入力に応じてCNN412の各種設定を行っても良い。また、設定部442は、CNN412のパラメータ4120の任意の初期値を設定する。併せて、設定部442は、上述したように誤差関数を設定する。
その後、演算部446は、CNN412の畳み込み演算を実行する(S203)。初回の畳み込み演算において、演算部446は、パラメータ4120の初期値を用いてCNN412の畳み込み演算を実行する。これにより、演算部446は、最終層412Aの各ボリュームの各ボクセル値を取得する。
ステップS203の後、再構成部443は、測定器ごとの期待値の再構成(復元、算出)を行う(S204)。例えば、上述したように、再構成部443は、測定器1について再構成画像r1を生成し、測定器2について再構成画像r2を生成し、以下同様に、測定器Nについて再構成画像rNを生成する。
再構成部443は、例えば、以下の式(6)により、測定器fに対応する各ボリューム内のi番目のボクセルvにおける密度情報ρ(v)を算出(再構成)する。
Figure 0007485076000006
・・・式(6)
ここで、
Figure 0007485076000007
は、物質種別mにおける固有密度係数である。αは任意の係数である。また、
Figure 0007485076000008
は、測定器f及び物質種別mに対応するボリューム内のi番目のボクセルの値である。そして、再構成部443は、以下の式(7)により、ボクセルv及び入射方向d(j)における最小エネルギーEmin(f、d(j))を算出する。
Figure 0007485076000009
・・・式(7)
ここで、a及びbは、物質種別mにおけるエネルギー損失の係数である。また、
Figure 0007485076000010
は、三次元空間2内のボクセルvを入射方向d(j)で通過して測定器fに到達したミューオン粒子について、ボクセルv内を通過した軌跡の長さである。例えば、再構成部443は、測定器のセンサ面の位置座標と対象ボクセルの位置座標と入射方向から、画素jで測定されたミューオン粒子が対象ボクセルを通過したか否かを判定する。そして、通過したと判定した場合、再構成部443は、対象ボクセルに対するミューオン粒子の入射位置及び出射位置を特定し、入射位置及び出射位置の長さLを算出する。但し、ボクセル内を通過したミューオン粒子の軌跡の長さの算出方法は、これに限定されない。
図9は、本実施形態2にかかる所定のボクセルvを通過する複数のミューオン粒子の軌跡と、各ミューオン粒子を測定する複数の測定器との関係を説明するための図である。ここでは、図9の左下にある測定されたミューオンフラックス画像f(測定器fに対応)内の画素j(センサ面の位置)に入射方向d(j)で到達したミューオン粒子について、ボクセルvを通過した軌跡の長さが
Figure 0007485076000011
であることを示す。同様に、図9の右下にある測定されたミューオンフラックス画像f’(測定器f’に対応)内の画素j’に入射方向d(j’)で到達したミューオン粒子について、ボクセルvを通過した軌跡の長さが
Figure 0007485076000012
であることを示す。
図10は、本実施形態2にかかる所定のボクセルvを通過する複数のミューオン粒子の軌跡と、各ミューオン粒子を測定する単一の測定器との関係を説明するための図である。ここでは、図10の下にある測定されたミューオンフラックス画像f内の画素集合
Figure 0007485076000013
に様々な入射方向で到達した複数のミューオン粒子について、ボクセルvを通過した軌跡を示す。各軌跡の長さは、上述したように算出可能である。
そして、再構成部443は、式(7)により算出された最小エネルギーEmin(f、d(j))を式(3)に代入して、期待値Fexp(f、j)を算出する。尚、期待値Fexp(f、j)は、測定器fのセンサ面上の位置(座標)jにおいて測定されるミューオン粒子数の密度情報ともいえる。
また、ステップS203の後、推定部447は、三次元空間2の密度情報の分布の推定値を推定する(S205)。そのため、推定値には、探査対象物20の形状に関する推定値も含まれる。ここで、推定部447は、以下の式(8)により、三次元空間2に対応する立体空間内のボクセルvにおける密度情報ρ(v)を算出(推定)する。
Figure 0007485076000014
・・・式(8)
そして、推定部447は、全ボクセルの密度情報ρ(v)をまとめて三次元空間2の密度情報の分布の推定値とする。
ステップS204及びS205の後、誤差算出部444は、誤差関数値を算出する(S206)。例えば、誤差算出部444は、以下の式(9)の誤差関数により誤差関数値Errを算出する。
Err=cErr+cErr ・・・式(9)
尚、c及びcは、任意の係数である。
ここで、誤差Errは、ミューオンフラックス画像の期待値と測定値との誤差を示す。言い換えると、誤差Errは、各測定器において測定されたミューオン粒子の画素ごとの密度情報(測定値)と期待値との二乗誤差を、全画素及び全測定器について合計した値である。例えば、誤差算出部444は、以下の式(10)により誤差Errを算出できる。
Figure 0007485076000015
・・・式(10)
ここで、Nは、測定器fのセンサ面の画素番号の最大値である。期待値Fexp(f、j)は、ステップS204により算出された値である。測定値Fobs(f、j)は、測定器fのセンサ面の画素jにおいて測定されたミューオン粒子数、つまり密度情報の測定値である。
また、式(9)の誤差Errは、推定値のうち探査対象物の形状に関する推定値と、入力された形状情報との誤差を含む。例えば、誤差算出部444は、以下の式(11)により誤差Errを算出できる。
Figure 0007485076000016
・・・式(11)
ここで、iはボクセル番号、Nはボクセル番号の最大値である。rは探査対象物20に当てはめる形状フィルタの水平方向の回転角、Qはこの水平方向探索回転角の最大値である。X(v)は、以下の式(12)で定義される。
Figure 0007485076000017
・・・式(12)
ここで、r’は水平方向探索回転角度rに直交するように定めれられた探査対象物20に当てはめる形状フィルタの鉛直方向の回転角、Qはこの鉛直方向探索回転角の最大値である。rはr及びr’と直交する軸である。図11は、本実施形態2にかかるErr2を算出する際の探査対象物の軸の回転方向を説明するための図である。図12は、本実施形態2にかかるErr2を算出する際の形状・密度勾配フィルタの回転方向を説明するための図である。
そして、式(12)の3つのZは、以下の式(13)、式(14)及び式(15)で定義される。
Figure 0007485076000018
・・・式(13)
Figure 0007485076000019
・・・式(14)
Figure 0007485076000020
・・・式(15)
ここで、w、w及びwは、任意の係数である。jは、図10に示した画素集合に含まれる画素の位置を示す変数である。関数Fは、探査対象物20の形状の推定値の境界と、入力された形状データの境界とのずれを調整するための関数である。そして、式(13)の
Figure 0007485076000021
及び式(14)の
Figure 0007485076000022
は、まとめて
Figure 0007485076000023
と表記し、以下の式(16)で定義される。
Figure 0007485076000024
・・・式(16)
ここで、μは物質種別mにおける密度関数(密度モデル)である。尚、μは物質種別413に対応付けられて予め保存されているものとする。そして、Vは以下の式(17)で定義される。
Figure 0007485076000025
・・・式(17)
ここで、Mは形状フィルタの要素番号(ボクセル数)の最大値(フィルタのサイズ)である。cは、回転角度rでの座標変換関数である。そして、Δvは以下の式(18)で定義される。
Figure 0007485076000026
・・・式(18)
ここで、M’は密度勾配(算出)フィルタの要素番号(ボクセル数)の最大値(フィルタのサイズ)である。そして、gr/rr‘(v)は、以下の式(19)で定義される。
Figure 0007485076000027
・・・式(19)
ここで、jは、密度勾配(算出)フィルタにおける要素番号である。Gr/rr‘(j)は、要素番号jにおける密度勾配(算出)フィルタ関数である。尚、M、M’及びGといった形状フィルタ、密度勾配(算出)フィルタに関する情報は、入力される形状情報に含まれる。また、ρは、密度の正規化係数である。図13は、本実施形態2にかかるErr2を算出する際の形状・密度勾配フィルタと座標変換を説明するための図である。なお形状フィルタと密度勾配フィルタの両中心は一致させた上でフィルタ処理を行う。
図8に戻り説明を続ける。ステップS206の後、誤差算出部444は、算出した誤差関数値が所定値以上であるか否かを判定する(S207)。誤差関数値が所定値以上である場合(ステップS207でYES)、学習部445は、CNN412のパラメータを学習する(S208)。
まず、学習部445は、最終層である第A層から第A-1層へ誤差を逆伝搬して第A層と第A-1層の間のパラメータを更新する。具体的には、まず、誤差Errの誤差逆伝搬量の計算について説明する。学習部445は、以下の式(20)により、誤差Errの偏微分値を算出する。
Figure 0007485076000028
・・・式(20)
ここで、最小エネルギーEmin(f、d(j))の偏微分値は以下の式(21)により算出できる。
Figure 0007485076000029
・・・式(21)
ここで、m’は物質種別の変数である。f’はミューオンフラックス画像(又は測定器)を識別するための変数である。
次に、誤差Errの誤差逆伝搬量の計算について説明する。学習部445は、以下の式(22)により、誤差Errの偏微分値を算出する。
Figure 0007485076000030
・・・式(22)
ここで、右辺の第1項は、注目ボクセルが密度勾配フィルタ計算の際のフィルタ中心位置にある項である。右辺の第2項は、注目ボクセルが密度勾配フィルタ計算の際のフィルタ中心位置にない項である。
そして、式(22)の右辺の第1項は、以下の式(23)で定義される。
Figure 0007485076000031
・・・式(23)
ここで、Zは、上記式(13)から式(15)に示したものである。また、Xは、上記式(12)で示したものである。例えば物質0の中に物質1がある一定の形状で存在している場合のrr’、r、rのそれぞれにおけるErrの偏微分の項は、以下の式(24)、式(25)、式(26)のそれぞれで定義される。
Figure 0007485076000032
・・・式(24)
Figure 0007485076000033
・・・式(25)
Figure 0007485076000034
・・・式(26)
ここで、μは、物質0の中での物質1の形状を表す形状フィルタである。μは、物質0のみが存在している領域を表す形状フィルタである。F’は、上述した関数Fの偏微分である。また、式(24)から式(26)のそれぞれに含まれる
Figure 0007485076000035
は、以下の式(27)で定義される。
Figure 0007485076000036
・・・式(27)
また、式(24)及び式(25)のそれぞれに含まれる
Figure 0007485076000037
は、以下の式(28)で定義される。
Figure 0007485076000038
・・・式(28)
そして、式(22)の右辺の第2項は、上記式(23)から式(28)においてjをフィルタ中心のボクセル番号と読み替えて、以下の式(29)で定義される。
Figure 0007485076000039
・・・式(29)
ここで、case1は、注目ボクセルiがボクセルjを中心とした密度勾配フィルタ計算に含まれない場合である。また、case2は、注目ボクセルiがボクセルjを中心とした密度勾配フィルタ計算に含まれる場合である。尚、式(29)のc-1 r/rr‘(j)は式(17)等で用いた座標変換関数cの逆関数である。
図14は、本実施形態2にかかる形状フィルタμと復元(推定)された密度とが一致する場合を説明するための図である。形状フィルタμは、探査対象物20の形状のうち中央に空洞がある場合のボクセル列に対応する形状情報の一例である。図14の上部に示すように、形状フィルタμは、ボクセル列の長さ(ボクセル数)がMであり、中央付近のボクセルの密度ρが両端のボクセルの密度ρよりも低くなるように定義されている。図14の中央部は、探査対象物20の形状として推定された密度(推定密度)を示す。この例は形状推定したボクセルvに形状フィルタの中心を対応させて当てはめたものであり、形状フィルタμと推定密度の位置関係に誤差がないことを示す(図14の下部)。
図15は、本実施形態2にかかる形状フィルタμと復元(推定)された密度とのずれの調整の概念を説明するための図である。この例は形状推定したボクセルvi’に形状フィルタの中心を対応させて当てはめたものであり、推定された探査対象物20の位置と形状フィルタμの位置とに誤差(ずれ)があることを示す。そして、学習部445は、誤差を縮めるために、推定された探査対象物20の位置をずらして形状フィルタμの位置と一致させたことを示す(図15の下部)。
図16は、本実施形態2にかかる他の形状フィルタμの例を示す図である。形状フィルタμは、探査対象物20の形状のうちボクセルの密度が一定値ρであるケースを示す。
図17は、本実施形態2にかかる重み付け関数を用いた、形状フィルタと復元(推定)された密度との境界のずれの調整の概念を説明するための図である。図17は、上述した式(13)や式(14)の関数Fによる作用を示したものである。つまり、関数Fは、探査対象物20の形状の推定値における境界位置と入力された形状フィルタの境界位置の相違を一定程度許容するものである。
続いて、学習部445は、第A-1層から第1層まで順番に、一般的な誤差逆伝搬法により第A-1層から第1層へ誤差の逆伝搬を行い、第A-1層から第1層の間のパラメータを更新する。
その後、演算部446は、ステップS208で学習後(更新後)のパラメータを用いてCNN412の畳み込み演算を実行する(S203)。そして、上記同様に、推定装置400は、ステップS204からS207を実行する。
誤差関数値が所定値未満である場合(ステップS207でNO)、出力部448は、直近のステップS205で推定された推定値(三次元復元密度情報rd)を出力する(S209)。
このように本実施形態では、誤差関数に探査対象物の形状情報と推定値との誤差を最小化するための項(第2項)が追加されている。そのため、探査対象物の形状に関する事前知識を効果的に用いて、ill-posedなトモグラフィ問題を解くことができる。よって、上述した実施形態1の効果に加えて、推定値に基づくトモグラフィ結果の精度をさらに向上させることができる。
さらに、探査対象物の想定位置を用いて、探査対象物の形状に関する推定値の位置を補正するように機械学習を行う。よって、機械学習の効率、解の安定性、収束性がさらに向上し、推定精度がさらに向上する。
尚、本実施形態2は、次のような処理を行っても良い。例えば、受付部は、三次元空間のうち地表面より下の物質層の指定をさらに受け付けるとよい。その場合、設定部は、第1のボリュームのうち指定された物質層に対応するボクセルの初期値を、指定された物質層以外の物質層に対応するボクセルの初期値よりも高くするように設定する。これにより、探査対象外である地表面上のボクセルによる誤差の影響を抑制し、機械学習の効率がさらに向上する。
また、受付部は、複数の物質層のうち探査対象物が存在する可能性のある物質層の種別の指定をさらに受け付けるとよい。その場合、学習部は、各ボクセルのうち指定されなかった物質層に対応するボクセルを学習の対象外としてパラメータの学習を行う。すなわち、学習部は、指定外の地層に該当するボクセルをdropoutして学習を行う。これにより、機械学習の収束性及び安定性と、推定精度がさらに向上する。
<その他の実施形態>
尚、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記A1)
探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する複数の測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、前記三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付ける受付手段と、
前記三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した第1のボリューム内の各ボクセルに前記荷電粒子の密度情報として任意の値を設定し、前記第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行う畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、前記測定器と物質層の組合せに対応させて設定する設定手段と、
前記畳み込み演算により取得された最終層の値のうち、前記測定器ごとの各物質層に対応する前記第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する前記設置位置とを用いて、前記測定器ごとに前記測定値の期待値を再構成する再構成手段と、
前記測定器ごとの前記再構成された期待値と前記測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出する誤差算出手段と、
前記誤差関数値が所定値以上である場合に、前記誤差関数値を最小化するように、前記畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習する学習手段と、
前記学習後のパラメータを用いて前記畳み込み演算により最終層の値を取得する演算手段と、
前記取得された最終層の値と前記設置位置を用いて前記三次元空間における前記密度情報の分布の推定値を推定する推定手段と、
前記誤差関数値が所定値未満である場合に、前記推定値を出力する出力手段と、
を備える推定装置。
(付記A2)
前記受付手段は、前記探査対象物の形状に関する形状情報の入力をさらに受け付け、
前記誤差算出手段は、前記推定値のうち前記探査対象物の形状に関する推定値と、前記入力された形状情報との誤差をさらに含めて前記誤差関数値を算出する
付記A1に記載の推定装置。
(付記A3)
前記受付手段は、前記探査対象物の前記三次元空間内の想定位置の入力をさらに受け付け、
前記誤差算出手段は、前記探査対象物の形状に関する推定値に対して、前記想定位置とのずれを調整するように前記誤差関数値を算出する
付記A2に記載の推定装置。
(付記A4)
前記受付手段は、前記三次元空間のうち地表面より下の物質層の指定をさらに受け付け、
前記設定手段は、前記第1のボリュームのうち前記指定された物質層に対応するボクセルの初期値を、前記指定された物質層以外の物質層に対応するボクセルの初期値よりも高くするように設定する
付記A1乃至A3のいずれか1項に記載の推定装置。
(付記A5)
前記受付手段は、前記複数の物質層のうち前記探査対象物が存在する可能性のある物質層の種別の指定をさらに受け付け、
前記学習手段は、各ボクセルのうち前記指定されなかった物質層に対応するボクセルを学習の対象外として前記パラメータの学習を行う
付記A1乃至A4のいずれか1項に記載の推定装置。
(付記A6)
前記荷電粒子は、ミューオン粒子である
付記A1乃至A5のいずれか1項に記載の推定装置。
(付記B1)
コンピュータが、
探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する複数の測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、前記三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付け、
前記三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した第1のボリューム内の各ボクセルに前記荷電粒子の密度情報として任意の値を設定し、前記第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行う畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、前記測定器と物質層の組合せに対応させて設定し、
前記畳み込み演算により前記最終層の値を取得し、
前記取得された最終層の値のうち、前記測定器ごとの各物質層に対応する前記第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する前記設置位置とを用いて、前記測定器ごとに前記測定値の期待値を再構成し、
前記測定器ごとの前記再構成された期待値と前記測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出し、
前記誤差関数値が所定値以上である場合に、前記誤差関数値を最小化するように、前記畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習し、
前記学習後のパラメータを用いて前記畳み込み演算により最終層の値を取得し、
前記取得された最終層の値と前記設置位置を用いて前記三次元空間における前記密度情報の分布の推定値を推定し、
前記誤差関数値が所定値未満である場合に、前記推定値を出力する、
推定方法。
(付記C1)
探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する複数の測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、前記三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付ける受付処理と、
前記三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した第1のボリューム内の各ボクセルに前記荷電粒子の密度情報として任意の値を設定し、前記第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行う畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、前記測定器と物質層の組合せに対応させて設定する設定処理と、
前記畳み込み演算により取得された最終層の値のうち、前記測定器ごとの各物質層に対応する前記第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する前記設置位置とを用いて、前記測定器ごとに前記測定値の期待値を再構成する再構成処理と、
前記測定器ごとの前記再構成された期待値と前記測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出する誤差算出処理と、
前記誤差関数値が所定値以上である場合に、前記誤差関数値を最小化するように、前記畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習する学習処理と、
前記学習後のパラメータを用いて前記畳み込み演算により最終層の値を取得する演算処理と、
前記取得された最終層の値と前記設置位置を用いて前記三次元空間における前記密度情報の分布の推定値を推定する推定処理と、
前記誤差関数値が所定値未満である場合に、前記推定値を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させる推定プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1 推定装置
11 受付部
12 設定部
13 再構成部
14 誤差算出部
15 学習部
16 演算部
17 推定部
18 出力部
2 三次元空間
20 探査対象物
21~26 地層
211 測定器
21n 測定器
31~34 ミューオン粒子の軌跡
400 推定装置
410 記憶部
411 推定プログラム
412 CNN
4120 パラメータ
4121 第1層
412A 最終層
413 物質種別
414 固有密度係数
415 最終層定義情報
4151 ボリュームID
4152 測定器ID
4153 物質種別
420 メモリ
430 IF部
440 制御部
441 受付部
442 設定部
443 再構成部
444 誤差算出部
445 学習部
446 演算部
447 推定部
448 出力部
vo1 ボリューム
vx11 ボクセル
vx1k ボクセル
vo21 ボリューム
vo22 ボリューム
vo23 ボリューム
voA-11 ボリューム
voA-12 ボリューム
voA-13 ボリューム
voA11 ボリューム
voA1N ボリューム
voAN1 ボリューム
voAN ボリューム
r1 再構成画像
r2 再構成画像
rN 再構成画像
ob1 ミューオンフラックス画像
ob2 ミューオンフラックス画像
obN ミューオンフラックス画像
rd 三次元復元密度情報

Claims (8)

  1. 探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する複数の測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、前記三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付ける受付手段と、
    前記三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した第1のボリューム内の各ボクセルに前記荷電粒子の密度情報として任意の値を設定し、前記第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行う畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、前記測定器と物質層の組合せに対応させて設定する設定手段と、
    前記畳み込み演算により取得された最終層の値のうち、前記測定器ごとの各物質層に対応する前記第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する前記設置位置とを用いて、前記測定器ごとに前記測定値の期待値を再構成する再構成手段と、
    前記測定器ごとの前記再構成された期待値と前記測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出する誤差算出手段と、
    前記誤差関数値が所定値以上である場合に、前記誤差関数値を最小化するように、前記畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習する学習手段と、
    前記学習後のパラメータを用いて前記畳み込み演算により最終層の値を取得する演算手段と、
    前記取得された最終層の値と前記設置位置を用いて前記三次元空間における前記密度情報の分布の第1の推定値を推定する推定手段と、
    前記誤差関数値が所定値未満である場合に、前記第1の推定値を出力する出力手段と、
    を備える推定装置。
  2. 前記受付手段は、前記探査対象物の形状に関する形状情報の入力をさらに受け付け、
    前記推定手段は、前記三次元空間に対応する立体空間内の各ボクセルにおける前記密度情報を推定し、全ボクセルの前記密度情報を前記三次元空間にまとめて、前記三次元空間における前記密度情報の分布の第1の推定値として推定し、
    前記誤差算出手段は、前記第1の推定値から推定される前記探査対象物の形状に関する第2の推定値と、前記入力された形状情報との誤差をさらに含めて前記誤差関数値を算出する
    請求項1に記載の推定装置。
  3. 前記受付手段は、前記探査対象物の前記三次元空間内の想定位置の入力をさらに受け付け、
    前記誤差算出手段は、前記探査対象物の形状に関する第2の推定値に対して、前記想定位置とのずれを調整するように前記誤差関数値を算出する
    請求項2に記載の推定装置。
  4. 前記受付手段は、前記三次元空間のうち地表面より下の物質層の指定をさらに受け付け、
    前記設定手段は、前記第1のボリュームのうち前記指定された物質層に対応するボクセルの初期値を、前記指定された物質層以外の物質層に対応するボクセルの初期値よりも高くするように設定する
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の推定装置。
  5. 前記受付手段は、前記複数の物質層のうち前記探査対象物が存在する可能性のある物質層の種別の指定をさらに受け付け、
    前記学習手段は、各ボクセルのうち前記指定されなかった物質層に対応するボクセルを学習の対象外として前記パラメータの学習を行う
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の推定装置。
  6. 前記荷電粒子は、ミューオン粒子である
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の推定装置。
  7. コンピュータが、
    探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する複数の測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、前記三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付け、
    前記三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した第1のボリューム内の各ボクセルに前記荷電粒子の密度情報として任意の値を設定し、前記第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行う畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、前記測定器と物質層の組合せに対応させて設定し、
    前記畳み込み演算により前記最終層の値を取得し、
    前記取得された最終層の値のうち、前記測定器ごとの各物質層に対応する前記第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する前記設置位置とを用いて、前記測定器ごとに前記測定値の期待値を再構成し、
    前記測定器ごとの前記再構成された期待値と前記測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出し、
    前記誤差関数値が所定値以上である場合に、前記誤差関数値を最小化するように、前記畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習し、
    前記学習後のパラメータを用いて前記畳み込み演算により最終層の値を取得し、
    前記取得された最終層の値と前記設置位置を用いて前記三次元空間における前記密度情報の分布の第1の推定値を推定し、
    前記誤差関数値が所定値未満である場合に、前記第1の推定値を出力する、
    推定方法。
  8. 探査対象物を含む三次元空間を通過した荷電粒子の数と当該荷電粒子の入射方向とを測定する複数の測定器による測定値と、各測定器の設置位置と、前記三次元空間に含まれる複数の物質層の種別との入力を受け付ける受付処理と、
    前記三次元空間を複数のボクセルの集合で表現した第1のボリューム内の各ボクセルに前記荷電粒子の密度情報として任意の値を設定し、前記第1のボリュームに対して所定の畳み込み演算を行う畳み込みニューラルネットワークにおける最終層に含まれる複数の第2のボリュームのそれぞれを、前記測定器と物質層の組合せに対応させて設定する設定処理と、
    前記畳み込み演算により取得された最終層の値のうち、前記測定器ごとの各物質層に対応する前記第2のボリュームの値と、各物質層の種別に対応する物質の固有密度係数と、当該測定器に対応する前記設置位置とを用いて、前記測定器ごとに前記測定値の期待値を再構成する再構成処理と、
    前記測定器ごとの前記再構成された期待値と前記測定値との二乗誤差を含む誤差関数値を算出する誤差算出処理と、
    前記誤差関数値が所定値以上である場合に、前記誤差関数値を最小化するように、前記畳み込みニューラルネットワークのパラメータを学習する学習処理と、
    前記学習後のパラメータを用いて前記畳み込み演算により最終層の値を取得する演算処理と、
    前記取得された最終層の値と前記設置位置を用いて前記三次元空間における前記密度情報の分布の第1の推定値を推定する推定処理と、
    前記誤差関数値が所定値未満である場合に、前記第1の推定値を出力する出力処理と、
    をコンピュータに実行させる推定プログラム。
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