以下に、本技術駆動モーター、像ぶれ補正装置及び撮像装置を実施するための形態を添付図面に従って説明する。
以下に示した発明を実施するための形態は、本技術撮像装置をビデオカメラに適用し、本技術像ぶれ補正装置をこのビデオカメラに設けられた像ぶれ補正装置に適用し、本技術駆動モーターをこの像ぶれ補正装置の駆動を行うための駆動モーターに適用したものである。
尚、本技術撮像装置、像ぶれ補正装置及び駆動モーターの適用範囲はそれぞれビデオカメラ、ビデオカメラに設けられた像ぶれ補正装置及び像ぶれ補正装置の駆動を行うための駆動モーターに限られることはない。本技術撮像装置、像ぶれ補正装置及び駆動モーターは、例えば、スチルカメラ、携帯電話や携帯情報端末等の各種の電子機器に組み込まれた撮像装置又はこれらの撮像装置に設けられた像ぶれ補正装置若しくはこれらの電子機器において用いられる駆動モーターに広く適用することができる。
また、本技術に係る駆動モーターは適用範囲が限定されることはなく、例えば、自動車等の車両に設けられる開閉式のミラー等の駆動部、ロボットにおける駆動部、飛行するドローンにおける駆動部、撮影機能を有する携帯機器等が装着され3軸方向へ可動する可動部を有するハンディ型の機器における駆動部、3軸方向へ可動する可動部を有するカメラ一体型の機器における駆動部等にも適用することが可能である。
以下の説明にあっては、ビデオカメラの撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側が前方となり、撮影者側が後方となる。
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
また、以下に示すレンズは、単一のレンズによって構成されているもの及び複数のレンズによりレンズ群として構成されているものの両者を含む意味である。
<撮像装置の全体構成>
撮像装置1は外筐2の内外に所要の各部が配置されて成る(図1及び図2参照)。外筐2は、例えば、前後方向に長いケース状に形成され、前端部がフロントパネル部3として設けられ、後端部における上端部が後方に開口された収納ケース部4として設けられている。
外筐2の上面2aにはマイクロフォン5、5、インターフェースカバー6及び操作スイッチ7、7が前側から順に配置されている。操作スイッチ7、7は、例えば、ズームレバーと撮影釦である。
外筐2の一方の側面2bには電源釦、画像再生釦等の各種の操作釦8、8、・・・が配置されている。外筐2の一方の側面2bにはメモリーカード9が装着される。
外筐2の後面2cにはモード切替釦や録画釦等の操作釦10、10が配置されている。
外筐2の後面2cにはバッテリー11が装着され、バッテリー11は一部が外筐2の後面2cより後方へ突出される。
フロントパネル部3の上端部にはフラッシュ12が配置されている。フラッシュ12は夜間撮影時等に用いられ、フラッシュ12からは補助光が前方へ向けて出射される。
外筐2の側面部には表示部13が回動可能かつ回転可能に連結されている。表示部13は前端部が外筐2に連結され、表示面13aを有している。
撮像装置1の後端部にはファインダー14が連結され、ファインダー14は収納ケース部4に対して前後方向へスライド可能及びチルト方向へ回動可能とされている。
ファインダー14は、後端部を除いた部分が収納ケース部4に収納される収納位置と収納ケース部4から引き出される引出位置との間でスライド可能とされている。また、ファインダー14は引出位置において前端部を支点としてチルト方向へ回動可能とされている。
<像ぶれ補正装置の構成>
外筐2の内部には像ぶれ補正装置15が配置されている(図3乃至図5参照)。像ぶれ補正装置15は外フレーム16と内フレーム17と保持フレーム18とレンズユニット19を有している。外フレーム16と内フレーム17と保持フレーム18は全体としてそれぞれ枠状に形成されている。
外フレーム16は第1の部材20と第2の部材21とが結合されて構成されている。
第1の部材20は上下方向を向く第1の面部22と左右方向を向く第2の面部23とから成り、第1の面部22の右端部と第2の面部23の上端部とが連続されている。第1の面部22の中央部には貫通孔22aが形成されている。第2の面部23は前後に位置し略上下に延びる一対の柱部24、24と柱部24、24の各下端部を連結し前後に延びる連設部25とを有している。
第2の部材21は上下方向を向く第1の面状部26と左右方向を向く第2の面状部27とから成り、第1の面状部26の左端部と第2の面状部27の下端部とが連続されている。第1の面状部26の中央部には取付孔26aが形成されている。第2の面状部27の中央部には挿入配置孔27aが形成されている。
第1の部材20における第2の面部23の下端部と第2の部材21における第1の面状部26の右端部とはネジ止め等によって結合され、第1の部材20における第1の面部22の左端部と第2の部材21における第2の面状部27の上端部とはネジ止め等によって結合されている。
内フレーム17は外フレーム16の内側に配置され、第1の支持部材28と第2の支持部材29とが結合されて構成されている。
第1の支持部材28は上下方向を向く天面部30と左右方向を向く右側面部31とから成り、天面部30の右端部と右側面部31の上端部とが連続されている。天面部30の中央部には挿入配置孔30aが形成されている。右側面部31の中央部には貫通孔31aが形成されている。
第2の支持部材29は上下方向を向く底面部32と左右方向を向く左側面部33とから成り、底面部32の左端部と左側面部33の下端部とが連続されている。底面部32の中央部には取付孔32aが形成されている。左側面部33の中央部には取付孔33aが形成されている。
第1の支持部材28における右側面部31の下端部と第2の支持部材29における底面部32の右端部とはネジ止め等によって結合され、第1の支持部材28における天面部30の左端部と第2の支持部材29における左側面部33の上端部とはネジ止め等によって結合されている。
保持フレーム18は内フレーム17の内側に配置され、第1の取付部材34と第2の取付部材35とが結合されて構成されている。
第1の取付部材34は上下方向を向く上面部36と左右方向を向く右横面部37とから成り、上面部36の右端部と右横面部37の上端部とが連続されている。右横面部37の中央部には挿入配置孔37aが形成されている。
第2の取付部材35は上下方向を向く下面部38と左右方向を向く左横面部39とから成り、下面部38の左端部と左横面部39の下端部とが連続されている。左横面部39の中央部には取付孔39aが形成されている。
第1の取付部材34における右横面部37の下端部と第2の取付部材35における下面部38の右端部とはネジ止め等によって結合され、第1の取付部材34における上面部36の左端部と第2の取付部材35における左横面部39の上端部とはネジ止め等によって結合されている。
尚、上記には、外フレーム16と内フレーム17と保持フレーム18がそれぞれ二つの部材が結合されて構成される例を示したが、外フレーム16と内フレーム17と保持フレーム18は一つ又は三つ以上の部材によってそれぞれ枠状に形成されていてもよい。
レンズユニット19は保持フレーム18の内側に配置され、鏡筒40と鏡筒40の内部において前後に並んで配置された複数のレンズ41、41、・・・と鏡筒40の後端部に取り付けられた撮像ユニット42とを有している。
鏡筒40は前後に長い筒状に形成されている。撮像ユニット42はCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の図示しない撮像素子を有している。
鏡筒40の前面には最も前側に位置するレンズ41の外周側にカバー部材43が取り付けられている。カバー部材43は円環状に形成され、前面が前方へ凸の球面状に形成されている。
レンズユニット19の上方と側方にはそれぞれ駆動モーター44、44が配置されている(図4及び図5参照)。尚、レンズユニット19の上方に配置された駆動モーター44は第1の駆動モーター44Aとして設けられ、レンズユニット19の側方に配置された駆動モーター44は第2の駆動モーター44Bとして設けられている。第1の駆動モーター44Aと第2の駆動モーター44Bは配置される向きが異なるが構成は同じであり、以下の説明においては、場合に応じ、一方の駆動モーター44を第1の駆動モーター44Aとし、他方の駆動モーター44を第2の駆動モーター44Bとして示す。
駆動モーター44は、例えば、扁平モーターであり、ベースヨーク45とマグネット46とコイル47、47、・・・と対向ヨーク48と軸受ホルダー49と軸受50と支軸51を有している(図6乃至図9参照)。尚、以下の駆動モーター44の構成は、第1の駆動モーター44Aの向きで説明する。
ベースヨーク45は上下方向を向く平板の略円環状に形成されている。
マグネット46は円環状に形成され、ベースヨーク45の上面に取り付けられてコイル47、47、・・・の巻回部52、52、・・・に対向して位置され、周方向に並んでN極とS極の磁極46a、46a、・・・が交互に着磁されている。マグネット46は、例えば、45°の等間隔で8極に着磁されており、磁極46a、46a、・・・の境界が極境46b、46b、・・・として形成されている。
コイル47は環状に形成された巻回部52と巻回部52から引き出された一対の接続部53、53とを有している(図7及び図10参照)。巻回部52は、緩やかな円弧状に形成された外周部52aと、外周部52aの内側に位置され緩やかな円弧状に形成された内周部52bと、外周部52aの両端部と内周部52bの両端部とをそれぞれ結ぶ直線状の推力発生部52c、52cとから成る。接続部53、53はコイル47の両端部に相当する部分であり、巻回部52から引き出された部分である。
コイル47、47、・・・は基板54に取り付けられて配置されている(図6乃至図10参照)。基板54は、例えば、フレキシブルプリント配線板であり、円環状に形成されたコイル配置部55とコイル配置部55から導出され所定の方向に延びる導電部56とを有している。基板54の厚み方向における両面には図示しない回路パターンが形成されている。コイル配置部55は厚み方向における一方の面が第1の配置面57として形成され厚み方向における他方の面が第2の配置面58として形成されている。
上記したように基板54としてコイル47が配置されたコイル配置部55とコイル配置部55から導出され所定の方向に延びる導電部56とを有するフレキシブルプリント配線板が用いられている。
従って、導電部56がコイル配置部55から導出された構成にされているため、導電部56を屈曲可能な状態で位置させることが可能になり、基板54の配置に関する自由度が高く、撮像装置1における設計の自由度の向上を図ることができる。
第1の配置面57にはコイル47、47、・・・の巻回部52、52、・・・が、例えば、60度の間隔で六つが配置され、周方向に等間隔に並んで位置されている(図6及び図7参照)。コイル47、47、・・・は、例えば、二つずつが接続され3相に形成されている。
コイル47の接続部53、53はコイル配置部55の外周面55aの外側を通り折り返された状態にされ、先端部53a、53aが第2の配置面56において回路パターンの一端部として形成された接続端子部59に接続されている(図7、図10及び図11参照)。駆動モーター44においては、隣り合って位置された二つの巻回部52、52から引き出された各一方の接続部53、53の先端部53a、53aが隣り合う状態でそれぞれ接続端子部59、59に接続されている。
駆動モーター44においては、コイル47における接続部53の先端部53aが第2の配置面58において接続端子部59に接続されており、コイル配置部55の第1の配置面57側に接続部53の先端部53aが存在しないため、その分、基板54における第1の配置面57の巻回部52のための配置スペースを大きくすることが可能になる。
このように第1の配置面57の巻回部52のための配置スペースを大きくすることが可能にされているため、第1の配置面57には周方向において六つの巻回部52、52、・・・が等間隔に並んで配置されている(図7参照)。また、隣り合う巻回部52、52において並ぶ推力発生部52c、52cの間隔Hが小さくされている。従って、巻回部52の巻き数を大きくすることが可能になり、巻回部52への通電時に発生する駆動力が大きくされている。
基板54の第2の配置面58には磁気検出素子60、60、60が周方向に離隔して取り付けられて配置されている(図6及び図11参照)。磁気検出素子60、60、60はマグネット46のコイル47、47、・・・に対する回転方向における相対的な位置検出を行う機能を有し、例えば、60度の間隔で位置されている。磁気検出素子60は一つのコイル47の接続部53、53間に対応する位置に配置されている。
このように、磁気検出素子60は周方向において隣り合う接続部53、53の間に位置されており、接続部53と磁気検出素子60が径方向において並ぶ位置関係にならないため、磁気検出素子60の基板54に対する配置位置の自由度の向上を図ることができる。
コイル配置部55の第2の配置面58にはコイル配置部55を補強するための環状の補強シート61が貼り付けられている。補強シート61の外周部には逃げ切欠61a、61a、・・・が周方向において等間隔に離隔して形成されている。補強シート61には逃げ孔61b、61b、61bが周方向において等間隔に離隔して形成されている。
補強シート61が第2の配置面58に貼り付けられた状態においては、逃げ切欠61a、61a、・・・にそれぞれコイル47の接続部53、53、・・・が位置され、逃げ孔61b、61b、61bにそれぞれ磁気検出素子60、60、60が位置される。従って、補強シート61によりコイル配置部55の補強が行われた上で、補強シート61と接続部53、53、・・・及び磁気検出素子60、60、60との干渉が回避されている。
対向ヨーク48は上下方向を向く板状の環状に形成され、補強シート61に取り付けられている。対向ヨーク48の外周部には切欠部48a、48a、・・・が周方向において等間隔に離隔して形成されている。対向ヨーク48には配置孔48b、48b、48bが周方向において等間隔に離隔して形成されている。
対向ヨーク48は切欠部48a、48a、・・・と配置孔48b、48b、48bがそれぞれ逃げ切欠61a、61a、・・・と逃げ孔61b、61b、61bに重なる状態で補強シート61に取り付けられている。従って、対向ヨーク48と接続部53、53、・・・及び磁気検出素子60、60、60との干渉が回避されている。
対向ヨーク48には補強シート61の反対側から補助ヨーク62が取り付けられている。補助ヨーク62は平板の円環状に形成され、切欠部48a、48a、・・・と配置孔48b、48b、48bを覆う状態で対向ヨーク48に取り付けられている。
上記のように駆動モーター44においては、マグネット46が取り付けられるベースヨーク45と磁気検出素子60が配置される配置孔48bが形成された対向ヨーク48とが設けられ、対向ヨーク48に取り付けられ配置孔48bを覆う補助ヨーク62が設けられている。
従って、補助ヨーク62によって配置孔48bが覆われて閉磁路が形成されるため、磁気検出素子60の感度の向上を図ることができる。
軸受ホルダー49は上下方向が軸方向にされた筒状部49aと筒状部49aの下側の開口を閉塞する底面部49bと筒状部49aの上下方向における中間部から外方に張り出されたフランジ部49cとを有している(図6、図8及び図9参照)。軸受ホルダー49は筒状部49aの一部がベースヨーク45の中央部に挿入された状態でフランジ部49cがベースヨーク45の上面における内周部に取り付けられている。軸受ホルダー49における底面部49bの内面にはスラスト受け63が配置されている。
軸受50は、例えば、焼結によって円筒状に形成されている。軸受50は軸受ホルダー49における筒状部49aの内部に挿入されている。
尚、焼結は成形型を用いることなく成形を行う方法であるため、高融点の材料や反応し易い材料でも所定の形状の部品を作ることが可能であり、軸受50を焼結によって形成することにより、軸受50の材料に関し選択の余地の向上を図ることができる。
上記のように、駆動モーター44においては、支軸51を回転可能に支持する軸受50が焼結により形成されているため、ベアリング(玉軸受)を用いることなく軸を支持する構造を構成することが可能になり、その分、軸受50の径を小さくすることが可能になり、駆動モーター44の小型化を図ることができる。
支軸51は上下に延びる軸部51aと軸部51aの上端部から張り出されたフランジ状の被取付部51bと被取付部51bの上側に位置された頭部51cとから成る。支軸51は駆動モーター44における回転支点とされ、頭部51cが対向ヨーク48の中央部と補助ヨーク62の中央部とに挿入された状態で被取付部51bが対向ヨーク48の下面における内周部に取り付けられている。
支軸51は軸部51aが軸受50に上方から挿入され軸受50に回転可能に支持される。このとき軸部51aの先端面がスラスト受け63に接し、支軸51の軸方向における荷重がスラスト受け63によって受けられる。
上記のように構成された駆動モーター44において、コイル47と磁気検出素子60には基板54を介して図示しない電源回路から電流が供給される。
内フレーム17における底面部32には第1の副軸64が取付孔32aに挿入された状態で取り付けられている(図5参照)。第1の副軸64は上端部が取付孔32aに挿入され、上端部以外の部分が底面部32から下方へ突出されている。
保持フレーム18における左横面部39には第2の副軸65が取付孔39aに挿入された状態で取り付けられている。第2の副軸65は右端部が取付孔39aに挿入され、右端部以外の部分が左横面部39から左方へ突出されている。
外フレーム16における第1の面状部26には第1の軸受体66が取付孔26a挿入された状態で取り付けられ、内フレーム17における左側面部33には第2の軸受体67が取付孔33aに挿入された状態で取り付けられている。
<各部間の取付構造>
レンズユニット19の外周面には保持フレーム18がネジ止め等によって取り付けられる(図3及び図5参照)。レンズユニット19に保持フレーム18が取り付けられた状態においては、レンズユニット19の前後両端部がそれぞれ保持フレーム18の前後に突出される。
保持フレーム18における右横面部37の外面には第2の駆動モーター44Bのベースヨーク45がネジ止め等によって取り付けられ、第2の駆動モーター44Bがレンズユニット19の右方に配置される。
保持フレーム18の外周側には内フレーム17が配置される。保持フレーム18の外周側に内フレーム17が配置された状態においては、保持フレーム18の左横面部39に取り付けられた第2の副軸65が内フレーム17の左側面部33に取り付けられた第2の軸受体67に回転可能に支持される。
第2の駆動モーター44Bは補助ヨーク62が内フレーム17における右側面部31の内面にネジ止め等によって取り付けられる。
第2の駆動モーター44Bにおける軸受ホルダー49の一部は保持フレーム18の右横面部37に形成された挿入配置孔37aに挿入され、第2の駆動モーター44Bにおける支軸51の一部は内フレーム17の右側面部31に形成された貫通孔31aに挿入される。
内フレーム17における天面部30の上面には第1の駆動モーター44Aのベースヨーク45がネジ止め等によって取り付けられ、第1の駆動モーター44Aがレンズユニット19及び保持フレーム18の上方に配置される。
内フレーム17の外周側には外フレーム16が配置される。内フレーム17の外周側に外フレーム16が配置された状態においては、内フレーム17の底面部32に取り付けられた第1の副軸64が外フレーム16の第1の面状部26に取り付けられた第1の軸受体66に回転可能に支持される。
第1の駆動モーター44Aは補助ヨーク62が外フレーム16における第1の面部22の下面にネジ止め等によって取り付けられる。
第1の駆動モーター44Aにおける軸受ホルダー49の一部は内フレーム17の天面部30に形成された挿入配置孔30aに挿入され、第1の駆動モーター44Aにおける支軸51の一部は外フレーム16の第1の面部22に形成された貫通孔22aに挿入される。
上記のように構成された像ぶれ補正装置15においては、駆動モーター44の支軸51の中心軸と第1の副軸64の中心軸とを結ぶ軸が第1の支点軸68とされ、第2の駆動モーター44Bの支軸51の中心軸と第2の副軸65の中心軸とを結ぶ軸が第2の支点軸69とされる(図5参照)。
上記したように、第1の駆動モーター44Aは軸方向が上下方向にされた状態でベースヨーク45が内フレーム17に取り付けられ補助ヨーク62が外フレーム16に取り付けられる。従って、第1の駆動モーター44Aにおいて、コイル47に電流が供給され推力発生部52c、52cに推力が発生すると、マグネット46に支軸51を回転支点とした回転力が発生し、外フレーム16に対して内フレーム17が回動される。
また、第2の駆動モーター44Bは軸方向が左右方向にされた状態でベースヨーク45が保持フレーム18に取り付けられ、補助ヨーク62が内フレーム17に取り付けられる。従って、第2の駆動モーター44Bにおいて、コイル47に電流が供給され推力発生部52c、52cに推力が発生すると、マグネット46に支軸51を回転支点とした回転力が発生し、内フレーム17に対して保持フレーム18が回動される。
<像ぶれ補正装置の動作>
以下に、像ぶれ補正装置15におけるぶれ補正動作について説明する(図12乃至図14参照)。
上記したように、第1の駆動モーター44Aにおいては、マグネット46がコイル47、47、・・・の巻回部52、52、・・・に対向して位置されている(図12参照)。従って、第1の駆動モーター44Aのコイル47に電流が供給され推力発生部52c、52cに推力が発生すると、マグネット46に支軸51の中心軸と第1の副軸64の中心軸とを結ぶ第1の支点軸68を支点とした回転力が生じる。
また、第2の駆動モーター44Bにおいては、マグネット46がコイル47、47、・・・の巻回部52、52、・・・に対向して位置されている。従って、第2の駆動モーター44Bのコイル47に電流が供給され推力発生部52c、52cに推力が発生すると、マグネット46に支軸51の中心軸と第2の副軸65の中心軸とを結ぶ第2の支点軸69を支点とした回転力が生じる。
このように、第1の駆動モーター44Aにおいてはマグネット46に第1の支点軸68を支点とした回転力が生じ、第2の駆動モーター44Bにおいてはマグネット46に第2の支点軸69を支点とした回転力が生じる。従って、レンズユニット19は、第1の支点軸68を支点として第1の駆動モーター44Aの駆動力(推力)によってヨーイング方向(第1の方向)へ回動され、第2の支点軸69を支点として第2の駆動モーター44Bの駆動力(推力)によってピッチング方向(第2の方向)へ回動される。
レンズユニット19のヨーイング方向への回動時には、第1の駆動モーター44Aの磁気検出素子60によるマグネット46の回転位置の検出が行われる。マグネット46の回転位置の検出は、マグネット46の回転に伴う磁束の変化が磁気検出素子60によって検出されることにより行われ、マグネット46の回転位置の検出結果に基づいてレンズユニット19のヨーイング方向における回動位置が検出される。第1の駆動モーター44Aの巻回部52、52、・・・にはマグネット46の回転位置の検出結果に応じて、上記したように、推力発生部52c、52c、・・・にぶれを補正する方向への推力が発生するように電流が供給される。
一方、レンズユニット19のピッチング方向への回動は、第2の駆動モーター44Bの推力発生部52c、52c、・・・にぶれを補正する方向への推力が発生するように巻回部52、52、・・・に電流が供給されることにより行われる。このときレンズユニット19は、ベースヨーク45、マグネット46及び支軸51の回転に伴って第2の支点軸69を支点として外フレーム16及び内フレーム17に対して保持フレーム18と一体になって回動される(図14参照)。
レンズユニット19のピッチング方向への回動時には、第2の駆動モーター44Bの磁気検出素子60によるマグネット46の回転位置の検出が行われる。マグネット46の回転位置の検出は、マグネット46の回転に伴う磁束の変化が磁気検出素子60によって検出されることにより行われ、マグネット46の回転位置の検出結果に基づいてレンズユニット19のピッチング方向における回動位置が検出される。第2の駆動モーター44Bの巻回部52、52、・・・にはマグネット46の回転位置の検出結果に応じて、上記したように、推力発生部52c、52c、・・・にぶれを補正する方向への推力が発生するように電流が供給される。
尚、上記には、内フレーム17に第2の支点軸69を支点としてレンズユニット19が回動可能に支持され、外フレーム16に第1の支点軸68を支点としてレンズユニット19と内フレーム17が一体になって回動可能に支持された例を示した。
しかしながら、像ぶれ補正装置15にあっては、逆に、内フレーム17に第1の支点軸68を支点としてレンズユニット19が回動可能に支持され、外フレーム16に第2の支点軸69を支点としてレンズユニット19と内フレーム17が一体になって回動可能に支持されていてもよい。
また、駆動モーター44においては、コイル47が3相の構成にされており、基板54におけるコイル配置部55に三つの磁気検出素子60、60、60が周方向に並んで位置されており、磁気検出素子60、60、60による検出状態に応じて各相を構成するコイル47、47毎に通電状態を切り換えてぶれ補正装置15において異なる駆動状態を設定することが可能である。
<駆動モーターの変形例>
次に、駆動モーターの変形例について説明する(図15乃至図17参照)。
以下に示す変形例に係る駆動モーター44Xは、上記した駆動モーター44と比較して、コイルと磁気検出素子の数が異なること及び軸受に関する構造が異なることのみが相違するため、駆動モーター44と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については駆動モーター44における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
尚、駆動モーター44Xは各部が駆動モーター44の対応する各部に対して異なる形状にされているものがあるが、コイルと磁気検出素子の数が異なること及び軸受に関する構造が異なることを除いては構造が駆動モーター44と同様であるため、駆動モーター44Xの駆動モーター44との形状の相違については説明を省略する。
駆動モーター44Xは、例えば、扁平モーターであり、ベースヨーク45とマグネット46とコイル47X、47X、・・・と対向ヨーク48と軸受ホルダー49Xと軸受50Xと支軸51Xを有している。尚、以下の駆動モーター44Xの構成は、第1の駆動モーター44Aと同様の向きで説明する。
コイル47Xは巻回部52Xと一対の接続部53、53とを有している。巻回部52Xは、巻回部52に対して周方向において長い形状に形成されている。コイル47Xはコイル47より数が少なくされ、例えば、90°の間隔で四つが設けられ、周方向に等間隔に並んで位置されている。コイル47X、47X、・・・は、例えば、1相に形成されている。
コイル47Xの接続部53、53はコイル47と同様にコイル配置部55の外周面55aの外側を通り折り返された状態にされ、先端部53a、53aが第2の配置面56において回路パターンの一端部に形成された接続端子部59、59にそれぞれ接続されている。尚、駆動モーター44Xにおいては、基板54の第1の配置面57に配置されるコイル47Xの数が駆動モーター44より少なくされており、第1の配置面57においてコイル47X以外の配置スペースが多くなるため、第1の配置面57に接続端子部59が形成され、コイル47Xにおける接続部53の先端部53aが第1の配置面57において接続端子部59に接続される構成にされていてもよい。
基板54の第2の配置面58には磁気検出素子60が取り付けられて配置されている。磁気検出素子60はマグネット46のコイル47X、47X、・・・に対する回転方向における相対的な位置検出を行う機能を有している。
軸受ホルダー49Xは上下方向が軸方向にされた筒状部49dと筒状部49dの上側の開口を閉塞する天面部49eと筒状部49dの上下方向における中間部から外方に張り出されたフランジ部49fとを有している。軸受ホルダー49Xは筒状部49dの一部が対向ヨーク48の中央部に挿入された状態でフランジ部49fが対向ヨーク48の下面における内周部に取り付けられている。
軸受50Xは、例えば、外輪50a、50aと内輪50b、50bとベアリング球50c、50c、・・・を有する玉軸受であり、外輪50a、50aが上下に離隔した状態で軸受ホルダー49Xの筒状部49aに固定され、内輪50b、50bが上下に離隔した状態で軸部材70の支軸51Xに固定されている。外輪50a、50aと内輪50b、50bの間にはスペーサー50dが配置されている。
支軸51Xは、例えば、軸部材70の一部として設けられ、駆動モーター44Xにおける回転支点とされている。軸部材70は上下方向が軸方向にされた円筒部71と円筒部71の下側の開口を閉塞する略平板状の軸形成部72と円筒部71の上端部から外方に張り出された張出部73と軸形成部72の中央部から上方に突出された支軸51Xとを有している。
軸部材70は円筒部71がベースヨーク45の中央部に上方から挿入され、支軸51Xが軸受ホルダー49Xの筒状部49aに下方から挿入された状態で張出部73がベースヨーク45の上面における内周部に取り付けられている。軸部材70は軸受50Xを介して軸受ホルダー49Xに回転可能に支持されている。
上記のように構成された駆動モーター44Xにおいて、コイル47Xと磁気検出素子60には基板54を介して図示しない電源回路から電流が供給される。
<撮像装置の一実施形態>
図18に、本技術撮像装置の一実施形態によるビデオカメラのブロック図を示す。
撮像装置(ビデオカメラ)100(撮像装置1に相当)は、撮像機能を担うレンズユニット101(レンズユニット19に相当)と、撮影された画像信号のアナログ-デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部102と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部103とを有している。
また、撮像装置100は、撮影された画像等を表示する液晶パネル等の画像表示部104(表示部13に相当)と、メモリー1000(メモリーカード9及び内部メモリーに相当)への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)105と、撮像装置100の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)106と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等から成る入力部107(操作スイッチ7、操作釦8、操作釦10、操作部17に相当)と、レンズユニット101に配置されたレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部108とを備えている。
レンズユニット101は、レンズ群109(レンズ41に相当)を含む光学系や、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子110(撮像ユニット42に設けられた撮像素子に相当)等とによって構成されている。
カメラ信号処理部102は、撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
画像処理部103は、所定の画像データーフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデーター仕様の変換処理等を行う。
画像表示部104はユーザーの入力部107に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデーターを表示する機能を有している。
R/W105は、画像処理部103によって符号化された画像データーのメモリー1000への書込及びメモリー1000に記録された画像データーの読出を行う。
CPU106は、撮像装置100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、入力部107からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
入力部107は、例えば、シャッター操作を行うためのシャッターレリーズボタンや、動作モードを選択するための選択スイッチ等によって構成され、ユーザーによる操作に応じた指示入力信号をCPU106に対して出力する。
レンズ駆動制御部108は、CPU106からの制御信号に基づいてレンズ群109の各レンズを駆動する図示しないモータ等を制御する。
メモリー1000は、例えば、R/W105に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリー(メモリーカード)や撮像装置100の内部に配置されている内部メモリーである。
以下に、撮像装置100における動作を説明する。
撮影の待機状態では、CPU106による制御の下で、レンズユニット101において撮影された画像信号が、カメラ信号処理部102を介して画像表示部104に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、入力部107からのズーミングのための指示入力信号が入力されると、CPU106がレンズ駆動制御部108に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部108の制御に基づいてレンズ群109の所定のレンズが移動される。
入力部107からの指示入力信号によりレンズユニット101の図示しないシャッターが動作されると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部102から画像処理部103に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデーターフォーマットのデジタルデーターに変換される。変換されたデーターはR/W105に出力され、メモリー1000に書き込まれる。
フォーカシングやズーミングは、CPU106からの制御信号に基づいてレンズ駆動制御部108がレンズ群109の所定のレンズを移動させることにより行われる。
メモリー1000に記録された画像データーを再生する場合には、入力部107に対する操作に応じて、R/W105によってメモリー1000から所定の画像データーが読み出され、画像処理部103によって伸張復号化処理が行われた後に、再生画像信号が画像表示部104に出力されて再生画像が表示される。
尚、本技術において、「撮像」とは、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理から、カメラ信号処理部102による撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、画像処理部103による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理、R/W105によるメモリー1000への画像信号の書込処理までの一連の処理の一部のみ、または全てを含む処理のことを言う。
即ち、「撮像」とは、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理のみを指してもよく、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部102による撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理までを指してもよく、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部102による撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理を経て、画像処理部103による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよく、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部102による撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、及び画像処理部103による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理を経て指してもよく、R/W105によるメモリー1000への画像信号の書込処理までを指してもよい。 上記の処理において各処理の順番は適宜入れ替わってもよい。
また、本技術において、撮影装置100は、上記の処理を行う撮像素子110、カメラ信号処理部102、画像処理部103、R/W105の一部のみまたは全てを含むように構成されていてもよい。
<まとめ>
以上に記載した通り、駆動モーター44、44X、ぶれ補正装置15及び撮像装置1にあっては、基板54におけるコイル配置部55の厚み方向における両面がそれぞれ第1の配置面57と第2の配置面58として形成され、複数のコイル47の巻回部52が第1の配置面57に配置され、磁気検出素子60が第2の配置面58に配置されている。
従って、基板54の厚み方向における両面である第1の配置面57と第2の配置面58にそれぞれ複数の巻回部52と磁気検出素子60が配置され、第1の配置面57に磁気検出素子60を配置するためのスペースが不要になる。これにより、第1の配置面57に配置する巻回部52の数や巻回部52の巻き数を増やすことが可能になるため、磁気検出素子60による適正な検出状態を確保した上で駆動モーター44、44Xの駆動力(推力)の向上を図ることができる。
また、基板54にコイル47の両端部が接続される接続端子部59が形成され、コイル47における接続部53の先端部53aが第2の配置面58において接続端子部59に接続されている。
従って、コイル配置部55の第1の配置面57側に接続部53の先端部53aが存在しないため、その分、基板54における第1の配置面57の配置スペースを大きくすることが可能になり、巻回部52の数を一層増やしたり巻回部52の巻き数を一層増やすことにより駆動モーター44、44Xの推力効率の向上を図ることができる。
さらに、コイル47の接続部53がコイル配置部55の外周面55aの外側を通り折り返された状態にされている。
従って、接続部53がコイル配置部55の外周面55aの外側を通って接続端子部59に接続されるため、基板54に接続部53を挿通する挿通孔を形成する必要がなく、基板54の回路パターンの形成領域を大きくすることが可能になると共に簡素な構造によって接続部53を接続端子部59に接続することができる。
<その他>
上記には、焼結によって形成された軸受50が用いられた駆動モーター44の例を示したが、駆動モーター44において、例えば、玉軸受が用いられて支軸を支持する構成にされてもよい。
一方、上記には、玉軸受が用いられて支軸51Xを支持する構成にされた駆動モーター44Xの例を示したが、駆動モーター44Xにおいて、例えば、焼結によって形成された軸受が用いられる構成にされてもよい。
また、上記には、コイル47の構成が3相にされた駆動モーター44と1相にされた駆動モーター44Xの例を示したが、駆動モーター44と駆動モーター44Xにおいてコイル47の相状態は1相又は3相に限られることはない。
<応用例1>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。特に、駆動モーター44、44Xは、例えば、自動車等の車両に設けられる開閉式のミラー等の駆動部として用いられてもよい。
図19は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図19に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図19では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
ここで、図20は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910、7912、7914、7916、7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912、7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図20には、それぞれの撮像部7910、7912、7914、7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b、cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912、7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910、7912、7914、7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920、7922、7924、7926、7928、7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920、7926、7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
図19に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、H駆動モーター(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
測位部7640は、例えば、GNそれぞれ(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNそれぞれ信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図19の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
なお、図19に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
なお、図Zを用いて説明した本実施形態に係る情報処理装置100の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを、いずれかの制御ユニット等に実装することができる。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
<応用例2>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、手術室システムに適用されてもよい。特に、駆動モーター44、44Xは、例えば、手術室システムにおける各器具を動作させるための駆動部として用いられてもよい。
図21は、本開示に係る技術が適用され得る手術室システム5100の全体構成を概略的に示す図である。図21を参照すると、手術室システム5100は、手術室内に設置される装置群が視聴覚コントローラ(AV Controller)5107及び手術室制御装置5109を介して互いに連携可能に接続されることにより構成される。
手術室には、様々な装置が設置され得る。図21では、一例として、内視鏡下手術のための各種の装置群5101と、手術室の天井に設けられ術者の手元を撮像するシーリングカメラ5187と、手術室の天井に設けられ手術室全体の様子を撮像する術場カメラ5189と、複数の表示装置5103A~5103Dと、レコーダ5105と、患者ベッド5183と、照明5191と、を図示している。
ここで、これらの装置のうち、装置群5101は、後述する内視鏡手術システム5113に属するものであり、内視鏡や当該内視鏡によって撮像された画像を表示する表示装置等からなる。内視鏡手術システム5113に属する各装置は医療用機器とも呼称される。一方、表示装置5103A~5103D、レコーダ5105、患者ベッド5183及び照明5191は、内視鏡手術システム5113とは別個に、例えば手術室に備え付けられている装置である。これらの内視鏡手術システム5113に属さない各装置は非医療用機器とも呼称される。視聴覚コントローラ5107及び/又は手術室制御装置5109は、これら医療機器及び非医療機器の動作を互いに連携して制御する。
視聴覚コントローラ5107は、医療機器及び非医療機器における画像表示に関する処理を、統括的に制御する。具体的には、手術室システム5100が備える装置のうち、装置群5101、シーリングカメラ5187及び術場カメラ5189は、手術中に表示すべき情報(以下、表示情報ともいう)を発信する機能を有する装置(以下、発信元の装置とも呼称する)であり得る。また、表示装置5103A~5103Dは、表示情報が出力される装置(以下、出力先の装置とも呼称する)であり得る。また、レコーダ5105は、発信元の装置及び出力先の装置の双方に該当する装置であり得る。視聴覚コントローラ5107は、発信元の装置及び出力先の装置の動作を制御し、発信元の装置から表示情報を取得するとともに、当該表示情報を出力先の装置に送信し、表示又は記録させる機能を有する。なお、表示情報とは、手術中に撮像された各種の画像や、手術に関する各種の情報(例えば、患者の身体情報や、過去の検査結果、術式についての情報等)等である。
具体的には、視聴覚コントローラ5107には、装置群5101から、表示情報として、内視鏡によって撮像された患者の体腔内の術部の画像についての情報が送信され得る。また、シーリングカメラ5187から、表示情報として、当該シーリングカメラ5187によって撮像された術者の手元の画像についての情報が送信され得る。また、術場カメラ5189から、表示情報として、当該術場カメラ5189によって撮像された手術室全体の様子を示す画像についての情報が送信され得る。なお、手術室システム5100に撮像機能を有する他の装置が存在する場合には、視聴覚コントローラ5107は、表示情報として、当該他の装置からも当該他の装置によって撮像された画像についての情報を取得してもよい。
あるいは、例えば、レコーダ5105には、過去に撮像されたこれらの画像についての情報が視聴覚コントローラ5107によって記録されている。視聴覚コントローラ5107は、表示情報として、レコーダ5105から当該過去に撮像された画像についての情報を取得することができる。なお、レコーダ5105には、手術に関する各種の情報も事前に記録されていてもよい。
視聴覚コントローラ5107は、出力先の装置である表示装置5103A~5103Dの少なくともいずれかに、取得した表示情報(すなわち、手術中に撮影された画像や、手術に関する各種の情報)を表示させる。図示する例では、表示装置5103Aは手術室の天井から吊り下げられて設置される表示装置であり、表示装置5103Bは手術室の壁面に設置される表示装置であり、表示装置5103Cは手術室内の机上に設置される表示装置であり、表示装置5103Dは表示機能を有するモバイル機器(例えば、タブレットPC(Personal Computer))である。
また、図21では図示を省略しているが、手術室システム5100には、手術室の外部の装置が含まれてもよい。手術室の外部の装置は、例えば、病院内外に構築されたネットワークに接続されるサーバや、医療スタッフが用いるPC、病院の会議室に設置されるプロジェクタ等であり得る。このような外部装置が病院外にある場合には、視聴覚コントローラ5107は、遠隔医療のために、テレビ会議システム等を介して、他の病院の表示装置に表示情報を表示させることもできる。
手術室制御装置5109は、非医療機器における画像表示に関する処理以外の処理を、統括的に制御する。例えば、手術室制御装置5109は、患者ベッド5183、シーリングカメラ5187、術場カメラ5189及び照明5191の駆動を制御する。
手術室システム5100には、集中操作パネル5111が設けられており、ユーザは、当該集中操作パネル5111を介して、視聴覚コントローラ5107に対して画像表示についての指示を与えたり、手術室制御装置5109に対して非医療機器の動作についての指示を与えることができる。集中操作パネル5111は、表示装置の表示面上にタッチパネルが設けられて構成される。
図22は、集中操作パネル5111における操作画面の表示例を示す図である。図22では、一例として、手術室システム5100に、出力先の装置として、2つの表示装置が設けられている場合に対応する操作画面を示している。図22を参照すると、操作画面5193には、発信元選択領域5195と、プレビュー領域5197と、コントロール領域5201と、が設けられる。
発信元選択領域5195には、手術室システム5100に備えられる発信元装置と、当該発信元装置が有する表示情報を表すサムネイル画面と、が紐付けられて表示される。ユーザは、表示装置に表示させたい表示情報を、発信元選択領域5195に表示されているいずれかの発信元装置から選択することができる。
プレビュー領域5197には、出力先の装置である2つの表示装置(Monitor1、Monitor2)に表示される画面のプレビューが表示される。図示する例では、1つの表示装置において4つの画像がPinP表示されている。当該4つの画像は、発信元選択領域5195において選択された発信元装置から発信された表示情報に対応するものである。4つの画像のうち、1つはメイン画像として比較的大きく表示され、残りの3つはサブ画像として比較的小さく表示される。ユーザは、4つの画像が表示された領域を適宜選択することにより、メイン画像とサブ画像を入れ替えることができる。また、4つの画像が表示される領域の下部には、ステータス表示領域5199が設けられており、当該領域に手術に関するステータス(例えば、手術の経過時間や、患者の身体情報等)が適宜表示され得る。
コントロール領域5201には、発信元の装置に対して操作を行うためのGUI(Graphical User Interface)部品が表示される発信元操作領域5203と、出力先の装置に対して操作を行うためのGUI部品が表示される出力先操作領域5205と、が設けられる。図示する例では、発信元操作領域5203には、撮像機能を有する発信元の装置におけるカメラに対して各種の操作(パン、チルト及びズーム)を行うためのGUI部品が設けられている。ユーザは、これらのGUI部品を適宜選択することにより、発信元の装置におけるカメラの動作を操作することができる。なお、図示は省略しているが、発信元選択領域5195において選択されている発信元の装置がレコーダである場合(すなわち、プレビュー領域5197において、レコーダに過去に記録された画像が表示されている場合)には、発信元操作領域5203には、当該画像の再生、再生停止、巻き戻し、早送り等の操作を行うためのGUI部品が設けられ得る。
また、出力先操作領域5205には、出力先の装置である表示装置における表示に対する各種の操作(スワップ、フリップ、色調整、コントラスト調整、2D表示と3D表示の切り替え)を行うためのGUI部品が設けられている。ユーザは、これらのGUI部品を適宜選択することにより、表示装置における表示を操作することができる。
なお、集中操作パネル5111に表示される操作画面は図示する例に限定されず、ユーザは、集中操作パネル5111を介して、手術室システム5100に備えられる、視聴覚コントローラ5107及び手術室制御装置5109によって制御され得る各装置に対する操作入力が可能であってよい。
図23は、以上説明した手術室システムが適用された手術の様子の一例を示す図である。シーリングカメラ5187及び術場カメラ5189は、手術室の天井に設けられ、患者ベッド5183上の患者5185の患部に対して処置を行う術者(医者)5181の手元及び手術室全体の様子を撮影可能である。シーリングカメラ5187及び術場カメラ5189には、倍率調整機能、焦点距離調整機能、撮影方向調整機能等が設けられ得る。照明5191は、手術室の天井に設けられ、少なくとも術者5181の手元を照射する。照明5191は、その照射光量、照射光の波長(色)及び光の照射方向等を適宜調整可能であってよい。
内視鏡手術システム5113、患者ベッド5183、シーリングカメラ5187、術場カメラ5189及び照明5191は、図21に示すように、視聴覚コントローラ5107及び手術室制御装置5109(図23では図示せず)を介して互いに連携可能に接続されている。手術室内には、集中操作パネル5111が設けられており、上述したように、ユーザは、当該集中操作パネル5111を介して、手術室内に存在するこれらの装置を適宜操作することが可能である。
以下、内視鏡手術システム5113の構成について詳細に説明する。図示するように、内視鏡手術システム5113は、内視鏡5115と、その他の術具5131と、内視鏡5115を支持する支持アーム装置5141と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート5151と、から構成される。
内視鏡手術では、腹壁を切って開腹する代わりに、トロッカ5139a~5139dと呼ばれる筒状の開孔器具が腹壁に複数穿刺される。そして、トロッカ5139a~5139dから、内視鏡5115の鏡筒5117や、その他の術具5131が患者5185の体腔内に挿入される。図示する例では、その他の術具5131として、気腹チューブ5133、エネルギー処置具5135及び鉗子5137が、患者5185の体腔内に挿入されている。また、エネルギー処置具5135は、高周波電流や超音波振動により、組織の切開及び剥離、又は血管の封止等を行う処置具である。ただし、図示する術具5131はあくまで一例であり、術具5131としては、例えば攝子、レトラクタ等、一般的に内視鏡下手術において用いられる各種の術具が用いられてよい。
内視鏡5115によって撮影された患者5185の体腔内の術部の画像が、表示装置5155に表示される。術者5181は、表示装置5155に表示された術部の画像をリアルタイムで見ながら、エネルギー処置具5135や鉗子5137を用いて、例えば患部を切除する等の処置を行う。なお、図示は省略しているが、気腹チューブ5133、エネルギー処置具5135及び鉗子5137は、手術中に、術者5181又は助手等によって支持される。
(支持アーム装置)
支持アーム装置5141は、ベース部5143から延伸するアーム部5145を備える。図示する例では、アーム部5145は、関節部5147a、5147b、5147c、及びリンク5149a、5149bから構成されており、アーム制御装置5159からの制御により駆動される。アーム部5145によって内視鏡5115が支持され、その位置及び姿勢が制御される。これにより、内視鏡5115の安定的な位置の固定が実現され得る。
(内視鏡)
内視鏡5115は、先端から所定の長さの領域が患者5185の体腔内に挿入される鏡筒5117と、鏡筒5117の基端に接続されるカメラヘッド5119と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒5117を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡5115を図示しているが、内視鏡5115は、軟性の鏡筒5117を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
鏡筒5117の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡5115には光源装置5157が接続されており、当該光源装置5157によって生成された光が、鏡筒5117の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者5185の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡5115は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
カメラヘッド5119の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)5153に送信される。なお、カメラヘッド5119には、その光学系を適宜駆動させることにより、倍率及び焦点距離を調整する機能が搭載される。
なお、例えば立体視(3D表示)等に対応するために、カメラヘッド5119には撮像素子が複数設けられてもよい。この場合、鏡筒5117の内部には、当該複数の撮像素子のそれぞれに観察光を導光するために、リレー光学系が複数系統設けられる。
(カートに搭載される各種の装置)
CCU5153は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡5115及び表示装置5155の動作を統括的に制御する。具体的には、CCU5153は、カメラヘッド5119から受け取った画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。CCU5153は、当該画像処理を施した画像信号を表示装置5155に提供する。また、CCU5153には、図21に示す視聴覚コントローラ5107が接続される。CCU5153は、画像処理を施した画像信号を視聴覚コントローラ5107にも提供する。また、CCU5153は、カメラヘッド5119に対して制御信号を送信し、その駆動を制御する。当該制御信号には、倍率や焦点距離等、撮像条件に関する情報が含まれ得る。当該撮像条件に関する情報は、入力装置5161を介して入力されてもよいし、上述した集中操作パネル5111を介して入力されてもよい。
表示装置5155は、CCU5153からの制御により、当該CCU5153によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。内視鏡5115が例えば4K(水平画素数3840×垂直画素数2160)又は8K(水平画素数7680×垂直画素数4320)等の高解像度の撮影に対応したものである場合、及び/又は3D表示に対応したものである場合には、表示装置5155としては、それぞれに対応して、高解像度の表示が可能なもの、及び/又は3D表示可能なものが用いられ得る。4K又は8K等の高解像度の撮影に対応したものである場合、表示装置5155として55インチ以上のサイズのものを用いることで一層の没入感が得られる。また、用途に応じて、解像度、サイズが異なる複数の表示装置5155が設けられてもよい。
光源装置5157は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部を撮影する際の照射光を内視鏡5115に供給する。
アーム制御装置5159は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、所定のプログラムに従って動作することにより、所定の制御方式に従って支持アーム装置5141のアーム部5145の駆動を制御する。
入力装置5161は、内視鏡手術システム5113に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置5161を介して、内視鏡手術システム5113に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、入力装置5161を介して、患者の身体情報や、手術の術式についての情報等、手術に関する各種の情報を入力する。また、例えば、ユーザは、入力装置5161を介して、アーム部5145を駆動させる旨の指示や、内視鏡5115による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示、エネルギー処置具5135を駆動させる旨の指示等を入力する。
入力装置5161の種類は限定されず、入力装置5161は各種の公知の入力装置であってよい。入力装置5161としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、スイッチ、フットスイッチ5171及び/又はレバー等が適用され得る。入力装置5161としてタッチパネルが用いられる場合には、当該タッチパネルは表示装置5155の表示面上に設けられてもよい。
あるいは、入力装置5161は、例えばメガネ型のウェアラブルデバイスやHMD(Head Mounted Display)等の、ユーザによって装着されるデバイスであり、これらのデバイスによって検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。また、入力装置5161は、ユーザの動きを検出可能なカメラを含み、当該カメラによって撮像された映像から検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。更に、入力装置5161は、ユーザの声を収音可能なマイクロフォンを含み、当該マイクロフォンを介して音声によって各種の入力が行われる。このように、入力装置5161が非接触で各種の情報を入力可能に構成されることにより、特に清潔域に属するユーザ(例えば術者5181)が、不潔域に属する機器を非接触で操作することが可能となる。また、ユーザは、所持している術具から手を離すことなく機器を操作することが可能となるため、ユーザの利便性が向上する。
処置具制御装置5163は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具5135の駆動を制御する。気腹装置5165は、内視鏡5115による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者5185の体腔を膨らめるために、気腹チューブ5133を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ5167は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ5169は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
以下、内視鏡手術システム5113において特に特徴的な構成について、更に詳細に説明する。
(支持アーム装置)
支持アーム装置5141は、基台であるベース部5143と、ベース部5143から延伸するアーム部5145と、を備える。図示する例では、アーム部5145は、複数の関節部5147a、5147b、5147cと、関節部5147bによって連結される複数のリンク5149a、5149bと、から構成されているが、図23では、簡単のため、アーム部5145の構成を簡略化して図示している。実際には、アーム部5145が所望の自由度を有するように、関節部5147a~5147c及びリンク5149a、5149bの形状、数及び配置、並びに関節部5147a~5147cの回転軸の方向等が適宜設定され得る。例えば、アーム部5145は、好適に、6自由度以上の自由度を有するように構成され得る。これにより、アーム部5145の可動範囲内において内視鏡5115を自由に移動させることが可能になるため、所望の方向から内視鏡5115の鏡筒5117を患者5185の体腔内に挿入することが可能になる。
関節部5147a~5147cにはアクチュエータが設けられており、関節部5147a~5147cは当該アクチュエータの駆動により所定の回転軸まわりに回転可能に構成されている。当該アクチュエータの駆動がアーム制御装置5159によって制御されることにより、各関節部5147a~5147cの回転角度が制御され、アーム部5145の駆動が制御される。これにより、内視鏡5115の位置及び姿勢の制御が実現され得る。この際、アーム制御装置5159は、力制御又は位置制御等、各種の公知の制御方式によってアーム部5145の駆動を制御することができる。
例えば、術者5181が、入力装置5161(フットスイッチ5171を含む)を介して適宜操作入力を行うことにより、当該操作入力に応じてアーム制御装置5159によってアーム部5145の駆動が適宜制御され、内視鏡5115の位置及び姿勢が制御されてよい。当該制御により、アーム部5145の先端の内視鏡5115を任意の位置から任意の位置まで移動させた後、その移動後の位置で固定的に支持することができる。なお、アーム部5145は、いわゆるマスタースレイブ方式で操作されてもよい。この場合、アーム部5145は、手術室から離れた場所に設置される入力装置5161を介してユーザによって遠隔操作され得る。
また、力制御が適用される場合には、アーム制御装置5159は、ユーザからの外力を受け、その外力にならってスムーズにアーム部5145が移動するように、各関節部5147a~5147cのアクチュエータを駆動させる、いわゆるパワーアシスト制御を行ってもよい。これにより、ユーザが直接アーム部5145に触れながらアーム部5145を移動させる際に、比較的軽い力で当該アーム部5145を移動させることができる。従って、より直感的に、より簡易な操作で内視鏡5115を移動させることが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる。
ここで、一般的に、内視鏡下手術では、スコピストと呼ばれる医師によって内視鏡5115が支持されていた。これに対して、支持アーム装置5141を用いることにより、人手によらずに内視鏡5115の位置をより確実に固定することが可能になるため、術部の画像を安定的に得ることができ、手術を円滑に行うことが可能になる。
なお、アーム制御装置5159は必ずしもカート5151に設けられなくてもよい。また、アーム制御装置5159は必ずしも1つの装置でなくてもよい。例えば、アーム制御装置5159は、支持アーム装置5141のアーム部5145の各関節部5147a~5147cにそれぞれ設けられてもよく、複数のアーム制御装置5159が互いに協働することにより、アーム部5145の駆動制御が実現されてもよい。
(光源装置)
光源装置5157は、内視鏡5115に術部を撮影する際の照射光を供給する。光源装置5157は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成される。このとき、RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置5157において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド5119の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
また、光源装置5157は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド5119の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
また、光源装置5157は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察するもの(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得るもの等が行われ得る。光源装置5157は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
(カメラヘッド及びCCU)
図24を参照して、内視鏡5115のカメラヘッド5119及びCCU5153の機能についてより詳細に説明する。図24は、図23に示すカメラヘッド5119及びCCU5153の機能構成の一例を示すブロック図である。
図24を参照すると、カメラヘッド5119は、その機能として、レンズユニット5121と、撮像部5123と、駆動部5125と、通信部5127と、カメラヘッド制御部5129と、を有する。また、CCU5153は、その機能として、通信部5173と、画像処理部5175と、制御部5177と、を有する。カメラヘッド5119とCCU5153とは、伝送ケーブル5179によって双方向に通信可能に接続されている。
まず、カメラヘッド5119の機能構成について説明する。レンズユニット5121は、鏡筒5117との接続部に設けられる光学系である。鏡筒5117の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド5119まで導光され、当該レンズユニット5121に入射する。レンズユニット5121は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。レンズユニット5121は、撮像部5123の撮像素子の受光面上に観察光を集光するように、その光学特性が調整されている。また、ズームレンズ及びフォーカスレンズは、撮像画像の倍率及び焦点の調整のため、その光軸上の位置が移動可能に構成される。
撮像部5123は撮像素子によって構成され、レンズユニット5121の後段に配置される。レンズユニット5121を通過した観察光は、当該撮像素子の受光面に集光され、光電変換によって、観察像に対応した画像信号が生成される。撮像部5123によって生成された画像信号は、通信部5127に提供される。
撮像部5123を構成する撮像素子としては、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプのイメージセンサであり、Bayer配列を有するカラー撮影可能なものが用いられる。なお、当該撮像素子としては、例えば4K以上の高解像度の画像の撮影に対応可能なものが用いられてもよい。術部の画像が高解像度で得られることにより、術者5181は、当該術部の様子をより詳細に把握することができ、手術をより円滑に進行することが可能となる。
また、撮像部5123を構成する撮像素子は、3D表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成される。3D表示が行われることにより、術者5181は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部5123が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット5121も複数系統設けられる。
また、撮像部5123は、必ずしもカメラヘッド5119に設けられなくてもよい。例えば、撮像部5123は、鏡筒5117の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
駆動部5125は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部5129からの制御により、レンズユニット5121のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部5123による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
通信部5127は、CCU5153との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5127は、撮像部5123から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル5179を介してCCU5153に送信する。この際、術部の撮像画像を低レイテンシで表示するために、当該画像信号は光通信によって送信されることが好ましい。手術の際には、術者5181が撮像画像によって患部の状態を観察しながら手術を行うため、より安全で確実な手術のためには、術部の動画像が可能な限りリアルタイムに表示されることが求められるからである。光通信が行われる場合には、通信部5127には、電気信号を光信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。画像信号は当該光電変換モジュールによって光信号に変換された後、伝送ケーブル5179を介してCCU5153に送信される。
また、通信部5127は、CCU5153から、カメラヘッド5119の駆動を制御するための制御信号を受信する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。通信部5127は、受信した制御信号をカメラヘッド制御部5129に提供する。なお、CCU5153からの制御信号も、光通信によって伝送されてもよい。この場合、通信部5127には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられ、制御信号は当該光電変換モジュールによって電気信号に変換された後、カメラヘッド制御部5129に提供される。
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、取得された画像信号に基づいてCCU5153の制御部5177によって自動的に設定される。つまり、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡5115に搭載される。
カメラヘッド制御部5129は、通信部5127を介して受信したCCU5153からの制御信号に基づいて、カメラヘッド5119の駆動を制御する。例えば、カメラヘッド制御部5129は、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報及び/又は撮像時の露光を指定する旨の情報に基づいて、撮像部5123の撮像素子の駆動を制御する。また、例えば、カメラヘッド制御部5129は、撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報に基づいて、駆動部5125を介してレンズユニット5121のズームレンズ及びフォーカスレンズを適宜移動させる。カメラヘッド制御部5129は、更に、鏡筒5117やカメラヘッド5119を識別するための情報を記憶する機能を備えてもよい。
なお、レンズユニット5121や撮像部5123等の構成を、気密性及び防水性が高い密閉構造内に配置することで、カメラヘッド5119について、オートクレーブ滅菌処理に対する耐性を持たせることができる。
次に、CCU5153の機能構成について説明する。通信部5173は、カメラヘッド5119との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5173は、カメラヘッド5119から、伝送ケーブル5179を介して送信される画像信号を受信する。この際、上記のように、当該画像信号は好適に光通信によって送信され得る。この場合、光通信に対応して、通信部5173には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。通信部5173は、電気信号に変換した画像信号を画像処理部5175に提供する。
また、通信部5173は、カメラヘッド5119に対して、カメラヘッド5119の駆動を制御するための制御信号を送信する。当該制御信号も光通信によって送信されてよい。
画像処理部5175は、カメラヘッド5119から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。当該画像処理としては、例えば現像処理、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の公知の信号処理が含まれる。また、画像処理部5175は、AE、AF及びAWBを行うための、画像信号に対する検波処理を行う。
画像処理部5175は、CPUやGPU等のプロセッサによって構成され、当該プロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより、上述した画像処理や検波処理が行われ得る。なお、画像処理部5175が複数のGPUによって構成される場合には、画像処理部5175は、画像信号に係る情報を適宜分割し、これら複数のGPUによって並列的に画像処理を行う。
制御部5177は、内視鏡5115による術部の撮像、及びその撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部5177は、カメラヘッド5119の駆動を制御するための制御信号を生成する。この際、撮像条件がユーザによって入力されている場合には、制御部5177は、当該ユーザによる入力に基づいて制御信号を生成する。あるいは、内視鏡5115にAE機能、AF機能及びAWB機能が搭載されている場合には、制御部5177は、画像処理部5175による検波処理の結果に応じて、最適な露出値、焦点距離及びホワイトバランスを適宜算出し、制御信号を生成する。
また、制御部5177は、画像処理部5175によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部の画像を表示装置5155に表示させる。この際、制御部5177は、各種の画像認識技術を用いて術部画像内における各種の物体を認識する。例えば、制御部5177は、術部画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具5135使用時のミスト等を認識することができる。制御部5177は、表示装置5155に術部の画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させる。手術支援情報が重畳表示され、術者5181に提示されることにより、より安全かつ確実に手術を進めることが可能になる。
カメラヘッド5119及びCCU5153を接続する伝送ケーブル5179は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
ここで、図示する例では、伝送ケーブル5179を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド5119とCCU5153との間の通信は無線で行われてもよい。両者の間の通信が無線で行われる場合には、伝送ケーブル5179を手術室内に敷設する必要がなくなるため、手術室内における医療スタッフの移動が当該伝送ケーブル5179によって妨げられる事態が解消され得る。
以上、本開示に係る技術が適用され得る手術室システム5100の一例について説明した。なお、ここでは、一例として手術室システム5100が適用される医療用システムが内視鏡手術システム5113である場合について説明したが、手術室システム5100の構成はかかる例に限定されない。例えば、手術室システム5100は、内視鏡手術システム5113に代えて、検査用軟性内視鏡システムや顕微鏡手術システムに適用されてもよい。
<本技術>
本技術は、以下のような構成にすることができる。
(1)
回路パターンが形成されコイル配置部を有する基板と、
環状に形成された巻回部と前記巻回部から引き出された一対の接続部とを有し前記巻回部が前記コイル配置部に配置された状態で周方向において並ぶ複数のコイルと、
前記複数のコイルに対向して位置された環状のマグネットと、
前記マグネットの前記コイルに対する回転方向における相対的な位置検出を行う磁気検出素子と、
回転支点とされる支軸とを備え、
前記コイル配置部の厚み方向における両面がそれぞれ第1の配置面と第2の配置面として形成され、
前記巻回部が前記第1の配置面に配置され、
前記磁気検出素子が前記第2の配置面に配置された
駆動モーター。
(2)
前記回路パターンに接続端子部が形成され、
前記接続部の先端部が前記第2の配置面において前記接続端子部に接続された
前記(1)に記載の駆動モーター。
(3)
前記接続部が前記コイル配置部の外周面の外側を通り折り返された状態にされた
前記(2)に記載の駆動モーター。
(4)
前記磁気検出素子が周方向において隣り合う前記接続部の間に位置された
前記(2)又は前記(3)に記載の駆動モーター。
(5)
前記支軸を回転可能に支持する軸受が設けられ、
前記軸受が焼結により形成された
前記(1)から前記(4)の何れかに記載の駆動モーター。
(6)
前記マグネットが取り付けられるベースヨークと前記磁気検出素子が配置される配置孔が形成され前記コイル配置部を挟んで前記マグネットの反対側に位置される対向ヨークとが設けられ、
前記対向ヨークに取り付けられ前記配置孔を覆う補助ヨークが設けられた
前記(1)から前記(5)の何れかに記載の駆動モーター。
(7)
前記基板として前記コイル配置部から導出され所定の方向に延びる導電部を有するフレキシブルプリント配線板が用いられた
前記(1)から前記(6)の何れかに記載の駆動モーター。
(8)
外筐に対してレンズの光軸に直交する少なくとも一方向へ回動されるレンズユニットと、
前記レンズユニットを回動させる駆動モーターとを備え、
前記駆動モーターは、
回路パターンが形成されコイル配置部を有する基板と、
環状に形成された巻回部と前記巻回部から引き出された一対の接続部とを有し前記巻回部が前記コイル配置部に配置された状態で周方向において並ぶ複数のコイルと、
前記複数のコイルに対向して位置された環状のマグネットと、
前記マグネットの前記コイルに対する回転方向における相対的な位置検出を行う磁気検出素子と、
回転支点とされる支軸とを備え、
前記コイル配置部の厚み方向における両面がそれぞれ第1の配置面と第2の配置面として形成され、
前記巻回部が前記第1の配置面に配置され、
前記磁気検出素子が前記第2の配置面に配置された
像ぶれ補正装置。
(9)
光学像を取り込むレンズ鏡筒と、
取り込まれた光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、
外筐に対してレンズの光軸に直交する少なくとも一方向へ回動されるレンズユニットと、
前記レンズユニットを回動させる駆動モーターとを備え、
前記駆動モーターは、
回路パターンが形成されコイル配置部を有する基板と、
環状に形成された巻回部と前記巻回部から引き出された一対の接続部とを有し前記巻回部が前記コイル配置部に配置された状態で周方向において並ぶ複数のコイルと、
前記複数のコイルに対向して位置された環状のマグネットと、
前記マグネットの前記コイルに対する回転方向における相対的な位置検出を行う磁気検出素子と、
回転支点とされる支軸とを備え、
前記コイル配置部の厚み方向における両面がそれぞれ第1の配置面と第2の配置面として形成され、
前記巻回部が前記第1の配置面に配置され、
前記磁気検出素子が前記第2の配置面に配置された
撮像装置。