JP7480868B2 - ゲイン調整装置、歩行状態推定装置、歩容解析システム、ゲイン調整方法、およびプログラム - Google Patents

ゲイン調整装置、歩行状態推定装置、歩容解析システム、ゲイン調整方法、およびプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7480868B2
JP7480868B2 JP2022570984A JP2022570984A JP7480868B2 JP 7480868 B2 JP7480868 B2 JP 7480868B2 JP 2022570984 A JP2022570984 A JP 2022570984A JP 2022570984 A JP2022570984 A JP 2022570984A JP 7480868 B2 JP7480868 B2 JP 7480868B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
walking
gain adjustment
value
filter
state estimation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022570984A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2022137546A5 (ja
JPWO2022137546A1 (ja
Inventor
シンイ オウ
史行 二瓶
謙一郎 福司
晨暉 黄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Publication of JPWO2022137546A1 publication Critical patent/JPWO2022137546A1/ja
Publication of JPWO2022137546A5 publication Critical patent/JPWO2022137546A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7480868B2 publication Critical patent/JP7480868B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/103Detecting, measuring or recording devices for testing the shape, pattern, colour, size or movement of the body or parts thereof, for diagnostic purposes
    • A61B5/11Measuring movement of the entire body or parts thereof, e.g. head or hand tremor, mobility of a limb

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Physiology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Description

本開示は、歩行パラメータの推定に用いられるフィルタのゲインを調整するゲイン調整装置等に関する。
体調管理を行うヘルスケアへの関心の高まりから、歩行の特徴を含む歩容を計測し、その歩容に応じた情報をユーザに提供するサービスに注目が集まっている。例えば、靴等の履物に慣性計測装置を実装し、ユーザの歩容を解析する装置が開発されている。歩容を解析する際には、慣性計測装置によって計測された加速度や角速度などのデータ(センサデータとも呼ぶ)を用いて、姿勢角(ロール角やピッチ角、ヨー角)などの歩行パラメータが推定される。
特許文献1には、ユーザに装着されたセンサによって取得されるデータと、ユーザの運動習慣に関するデータとに基づいて、ユーザの転倒リスクを決定する転倒リスク評価装置について開示されている。特許文献1の装置は、センサによって取得されるデータに基づいて、ユーザの動作の左右差を表す値を算出する。特許文献1の装置は、左右差を表す値と、運動習慣に関するデータとを用いて、ユーザの転倒リスクを表す指標値を算出する。
センサデータに基づいて歩行パラメータを推定する際には、Madwickフィルタやカルマンフィルタなどのフィルタが用いられる。例えば、歩行パラメータの推定においては、あるタイミングで取得されたセンサデータと、そのタイミングよりも前のタイミングで取得されたセンサデータとが、歩行パラメータを推定するアルゴリズムに入力される。例えば、Madwickフィルタでは、過去に取得されたセンサデータと、新たに取得されたセンサデータとの重みを調整するゲイン調整パラメータが設定される。例えば、ユーザが歩行を開始した際に、宙に浮いている足に実装された慣性計測装置によって計測されたセンサデータは、初期値が大幅にずれてしまう。そのため、歩容の計測を迅速に開始するためには、フィルタの調整パラメータを適切な値に設定して、歩行波形のベースラインをできるだけ早く安定化することが求められる。
図21および図22は、Madwickフィルタを用いて推定された歩行パラメータ(ロール角)の時系列データ(歩行波形とも呼ぶ)の例である。図21および図22は、右足が接地し、左足が宙に浮いている状態から、センサデータの計測が開始された例である。図21は、ゲイン調整パラメータ(β値)が0.1に設定された例である。図22は、ゲイン調整パラメータ(β値)が1.0に設定された例である。
特開2020-120807号公報
特許文献1の手法によれば、センサによって取得されるデータに基づいて算出された指標値に基づいて、ユーザの転倒リスクを判定できる。しかしながら、特許文献1の手法では、ユーザの歩行が開始された直後のように、ユーザの動作の左右差を表す値が正確ではない場合、適切な転倒リスクを判定できなかった。
ゲイン調整パラメータを適切に設定できれば、歩行波形のベースラインが安定になるため、歩容の計測を適切に行うことができる。しかしながら、ゲイン調整パラメータを設定するだけで、歩容の計測を適切に行うことができるとは限らない。例えば、図21のように、ゲイン調整パラメータが小さい場合、歩行波形のベースラインの収束が遅くなる。例えば、図22のようにゲイン調整パラメータが大きい場合、歩行波形のベースラインの収束は早いが、歩行波形にノイズが乗りやすい。歩行波形にノイズが乗ると、歩行イベントの検出などにおける極値判定に支障が出る可能性がある。
本開示の目的は、ユーザの歩行状況に応じて、歩行パラメータの推定に用いられるフィルタのゲインを適切に調整できるゲイン調整装置等を提供することにある。
本開示の一態様のゲイン調整装置は、ユーザの足の動きに関するセンサデータを用いて立脚相を検出する検出部と、立脚相の期間における歩行パラメータを計算する計算部と、センサデータに基づいて歩行パラメータを推定するフィルタを用いて推定された、歩行パラメータの推定値を取得する推定値取得部と、歩行パラメータの計算値と推定値を比較した結果に応じて、フィルタのゲインを調整するゲイン調整部と、を備える。
本開示の一態様のゲイン調整方法においては、コンピュータが、足の動きに関するセンサデータを用いて立脚相を検出し、立脚相の期間における歩行パラメータを計算し、センサデータに基づいて歩行パラメータを推定するフィルタを用いて推定された、歩行パラメータの推定値を取得し、歩行パラメータの計算値と推定値を比較した結果に応じて、フィルタのゲインを調整する。
本開示の一態様のプログラムは、足の動きに関するセンサデータを用いて立脚相を検出する処理と、立脚相の期間における歩行パラメータを計算する処理と、センサデータに基づいて歩行パラメータを推定するフィルタを用いて推定された、歩行パラメータの推定値を取得する処理と、歩行パラメータの計算値と推定値を比較した結果に応じて、フィルタのゲインを調整する処理とをコンピュータに実行させる。
本開示によれば、ユーザの歩行状況に応じて、歩行パラメータの推定に用いられるフィルタのゲインを適切に調整できるゲイン調整装置等を提供することが可能になる。
第1の実施形態に係る歩容解析システムの構成の一例を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る歩容解析システムのデータ取得装置の配置例について説明するための概念図である。 第1の実施形態に係る歩容解析システムにおいて設定される座標系について説明するための概念図である。 第1の実施形態に係る歩容解析システムにおいて適用される人体面について説明するための概念図である。 右足を基準とする一歩行周期について説明するための概念図である。 第1の実施形態に係る歩容解析システムのデータ取得装置の構成の一例を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る歩容解析システムのゲイン調整装置の構成の一例と状態推定装置を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る歩容解析システムのゲイン調整装置による立脚相の検出例について説明するためのグラフである。 第1の実施形態に係る歩容解析システムのゲイン調整装置による立脚相の別の検出例について説明するためのグラフである。 第1の実施形態に係る歩容解析システムのゲイン調整装置によってゲイン調整パラメータが設定されたフィルタを用いて生成されたロール角の歩行波形の一例を示すグラフである。 第1の実施形態に係る歩容解析システムの状態推定装置の構成の一例とゲイン調整装置を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る歩容解析システムのゲイン調整装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態に係る歩容解析システムのゲイン調整装置による立脚相検出処理の一例について説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態に係る歩容解析システムのゲイン調整装置による立脚相検出処理の別の一例について説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態に係る歩容解析システムの状態推定装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。 第2の実施形態に係る歩容解析システムの構成の一例を示すブロック図である。 第2の実施形態に係る歩容解析システムのゲイン調整装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。 第2の実施形態に係る歩容解析システムの状態推定装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。 第3の実施形態に係るゲイン調整装置の構成の一例を示すブロック図である。 各実施形態に係るゲイン調整装置および状態推定装置を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 Madwickフィルタを用いて推定されたロール角の時系列データの一例を示すグラフである。 Madwickフィルタ-を用いて推定されたロール角の時系列データの別の一例を示すグラフである。
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る歩容解析システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の歩容解析システムは、ユーザの足部に設置されたセンサによって取得された足の動きに関するデータ(センサデータとも呼ぶ)の時系列データに基づく波形(歩行波形とも呼ぶ)に基づいて、そのユーザの歩容を解析する。本実施形態の歩容解析システムは、歩行パラメータの推定に用いられるフィルタのゲインを調節するゲイン調整装置を備える。
(構成)
図1は、本実施形態の歩容解析システム1の構成を示すブロック図である。歩容解析システム1は、データ取得装置11、ゲイン調整装置12、および状態推定装置13を備える。ゲイン調整装置12および状態推定装置13は、歩行状態推定装置10を構成する。データ取得装置11と、ゲイン調整装置12および状態推定装置13とは、有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。データ取得装置11、ゲイン調整装置12、および状態推定装置13は、単一の装置で構成されてもよい。また、歩容解析システム1は、データ取得装置11を含まず、ゲイン調整装置12および状態推定装置13で構成されてもよい。
データ取得装置11は、ユーザによって装着される。例えば、データ取得装置11は、靴等の履物に設置される。本実施形態では、足の足弓の裏側の位置にデータ取得装置11が配置される例について説明する。データ取得装置11は、加速度センサおよび角速度センサを含む。データ取得装置11は、履物を履くユーザの足の動きに関する物理量として、空間加速度や空間角速度などの足の動きに関する物理量を計測する。データ取得装置11が計測する足の動きに関する物理量には、加速度や角速度に加えて、加速度や角速度を積分することによって計算される速度や角度も含まれる。また、データ取得装置11が計測する足の動きに関する物理量には、加速度を二階積分することによって計算される位置(軌跡)も含まれる。また、データ取得装置11が計測する足の動きに関する物理量には、加速度や角速度を微分することによって計算される加加速度や角加速度も含まれる。
データ取得装置11は、計測された物理量をデジタルデータ(センサデータとも呼ぶ)に変換する。データ取得装置11は、変換後のセンサデータをゲイン調整装置12および状態推定装置13に送信する。例えば、データ取得装置11は、ユーザが携帯する携帯端末(図示しない)を介して、サーバ等に実装されたゲイン調整装置12および状態推定装置13に接続される。携帯端末(図示しない)は、ユーザによって携帯可能な通信機器である。例えば、携帯端末は、スマートフォンや、スマートウォッチ、携帯電話等の通信機能を有する携帯型の通信機器である。携帯端末は、ユーザの足の動きに関するセンサデータをデータ取得装置11から受信する。携帯端末は、受信されたセンサデータを、ゲイン調整装置12および状態推定装置13が実装されたサーバ等に送信する。なお、ゲイン調整装置12および状態推定装置13の機能は、携帯端末にインストールされたアプリケーションによって実現されていてもよい。その場合、携帯端末は、受信されたセンサデータを、自身にインストールされたアプリケーションソフトウェアによって処理する。
データ取得装置11は、例えば、加速度センサと角速度センサを含む慣性計測装置によって実現される。慣性計測装置の一例として、IMU(Inertial Measurement Unit)があげられる。IMUは、3軸の加速度センサと、3軸の角速度センサを含む。慣性計測装置は、VG(Vertical Gyro)や、AHRS(Attitude Heading)、GPS/INS(Global Positioning System/Inertial Navigation System)等でもよい。
図2は、データ取得装置11を左右の靴100の中に配置する一例を示す概念図である。図2の例では、データ取得装置11は、左右の足の足弓の裏側に当たる位置に配置される。本実施形態においては、左右の区別なく、同じスペックで生産されたデータ取得装置11を左右の靴100の中に配置する。左右の靴100に配置されるデータ取得装置11の上下の向き(Z軸方向の向き)は、同じ向きであるものとする。そのため、左足に由来するセンサデータと、右足に由来するセンサデータに設定される軸は、左右で共通である。図2の例では、データ取得装置11には、左右方向のx軸、前後方向のy軸、上下方向のz軸を含むローカル座標系が設定される。x軸は左方を正とし、y軸は後方を正とし、z軸は上方を正とする。データ取得装置11に設定される軸の向きは、左右の足で同じであれば、図2の例に限定されない。
例えば、データ取得装置11は、靴100の中に挿入されるインソールに配置される。例えば、データ取得装置11は、靴100の底面や本体に配置されてもよい。データ取得装置11は、靴100から着脱できてもよいし、靴100から着脱できなくてもよい。なお、データ取得装置11は、足の動きに関するセンサデータを取得できさえすれば、足弓の裏側ではない位置に配置されてもよい。また、データ取得装置11は、ユーザが履いている靴下や、ユーザが装着しているアンクレットなどの装飾品に設置されてもよい。また、データ取得装置11は、足に直に貼り付けられたり、足に埋め込まれたりしてもよい。
図3は、データ取得装置11を足弓の裏側に設置する場合に、データ取得装置11に設定されるローカル座標系(x軸、y軸、z軸)と、地面に対して設定される世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)について説明するための概念図である。世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)では、ユーザが直立した状態で、ユーザの横方向がX軸方向(左向きが正)、ユーザの背面の方向がY軸方向(後ろ向きが正)、重力方向(垂直方向とも呼ぶ)がZ軸方向(鉛直上向きが正)に設定される。本実施形態においては、データ取得装置11を基準とするx方向、y方向、およびz方向からなるローカル座標系を設定する。本実施形態においては、左右の足に同じ向きの座標系が設定される。
図4は、人体に対して設定される面(人体面とも呼ぶ)について説明するための概念図である。本実施形態では、身体を左右に分ける矢状面、身体を前後に分ける冠状面、身体を水平に分ける水平面が定義される。なお、図4のような直立した状態では、世界座標系とローカル座標系が一致する。本実施形態においては、x軸を回転軸とする矢状面内の回転をロール、y軸を回転軸とする冠状面内の回転をピッチ、z軸を回転軸とする水平面内の回転をヨーと定義する。また、x軸を回転軸とする矢状面内の回転角をロール角、y軸を回転軸とする冠状面内の回転角をピッチ角、z軸を回転軸とする水平面内の回転角をヨー角と定義する。本実施形態においては、身体を右側から見て、矢状面内における時計回りの回転を正と定義し、矢状面内における反時計回りの回転を負と定義する。
図5は、右足を基準とする一歩行周期について説明するための概念図である。左足を基準とする一歩行周期も、右足と同様である。図5の横軸は、右足の踵が地面に着地した時点を起点とし、次に右足の踵が地面に着地した時点を終点とする右足の一歩行周期を100%として正規化された歩行周期である。片足の一歩行周期は、足の裏側の少なくとも一部が地面に接している立脚相と、足の裏側が地面から離れている遊脚相とに大別される。立脚相は、さらに、立脚初期T1、立脚中期T2、立脚終期T3、遊脚前期T4に細分される。遊脚相は、さらに、遊脚初期T5、遊脚中期T6、遊脚終期T7に細分される。
歩行周期においては、複数の事象(歩行イベントとも呼ぶ)が検出される。図5の(a)は、右足の踵が接地する事象(踵接地)を表す(HS:Heel Strike)。図5の(b)は、右足の足裏が接地した状態で、左足の爪先が地面から離れる事象(反対足爪先離地)を表す(OTO:Opposite Toe Off)。図5の(c)は、右足の足裏が接地した状態で、右足の踵が持ち上がる事象(踵持ち上がり)を表す(HR:Heel Rise)。図5の(d)は、左足の踵が接地した事象(反対足踵接地)である(OHS:Opposite Heel Strike)。図5の(e)は、左足の足裏が接地した状態で、右足の爪先が地面から離れる事象(爪先離地)を表す(TO:Toe Off)。図5の(f)は、左足の足裏が接地した状態で、左足と右足が交差する事象(足交差)を表す(FA:Foot Adjacent)。図5の(g)は、左足の足裏が接地した状態で、右足の脛骨が地面に対してほぼ垂直になる事象(脛骨垂直)を表す(TV:Tibia Vertical)。図5の(h)は、右足の踵が接地する事象(踵接地)を表す(HS:Heel Strike)。図5の(h)は、図5の(a)から始まる歩行周期の終点に相当するとともに、次の歩行周期の起点に相当する。
ゲイン調整装置12は、ユーザの足の動きに関するセンサデータをデータ取得装置11から取得する。ゲイン調整装置12は、取得されたセンサデータを用いて、立脚相を検出する。具体的な立脚相の検出方法に関しては、後述する。
ゲイン調整装置12は、立脚相のタイミングにおけるロール角およびピッチ角を計算する。ロール角とピッチ角の計算方法については、後述する。ゲイン調整装置12は、立脚相のタイミングにおけるロール角やピッチ角、ヨー角などの歩行パラメータの推定値を状態推定装置13から取得する。ゲイン調整装置12は、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値を比較する。
ゲイン調整装置12は、算出された歩行パラメータを、状態推定装置13によって推定された推定値と比較した結果に応じて、状態推定装置13のゲイン調整パラメータを設定する。具体的なゲイン調整パラメータについては、後述する。例えば、ゲイン調整装置12は、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値の差に基づいて、状態推定装置13のゲイン調整パラメータを設定する。例えば、ゲイン調整装置12は、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値の差が一定以下になると、状態推定装置13のゲイン調整パラメータを通常の歩行モードの値に設定する。
状態推定装置13は、ユーザの足の動きに関するセンサデータをデータ取得装置11から取得する。状態推定装置13は、新たに取得されたセンサデータと、過去のセンサデータとを、フィルタに入力して歩行パラメータを推定する。例えば、フィルタは、所定のアルゴリズムに基づいて、ノイズが含まれる観測値(加速度、角速度)と、それ以前の観測値に基づいて推定された推定値とのうちいずれかを選択するようにフィルタリングする。例えば、状態推定装置13は、今回されたセンサデータと、そのひとつ前に取得されたセンサデータとを、Madwickフィルタやカルマンフィルタなどのフィルタに入力して歩行パラメータを推定する。状態推定装置13は、歩行パラメータの推定値をゲイン調整装置12に出力する。例えば、状態推定装置13は、ゲイン調整パラメータが通常の歩行モードの値に切り替えられるまでの期間、歩行パラメータの推定値をゲイン調整装置12に出力する。例えば、状態推定装置13は、予め設定された所定期間、歩行パラメータの推定値をゲイン調整装置12に出力する。例えば、状態推定装置13は、ゲイン調整パラメータが通常の歩行モードの値に切り替えられた後、歩行パラメータの推定値をゲイン調整装置12に出力し続けてもよい。
状態推定装置13は、歩行パラメータの時系列データに基づく波形(歩行波形とも呼ぶ)を生成する。状態推定装置13は、生成された歩行波形に基づいて、歩行状態を推定する。例えば、状態推定装置13は、歩行状態を推定するアルゴリズムを歩行波形に適用することによって、ユーザの歩行状態を推定する。例えば、状態推定装置13は、歩行状態を推定するための推定モデルに歩行波形を入力することによって、ユーザの歩行状態を推定する。状態推定装置13による歩行状態の推定については、後述する。
次に、歩容解析システム1が備えるデータ取得装置11、ゲイン調整装置12、および状態推定装置13の詳細構成について、図面を参照しながら個別に説明する。以下の構成は、一例であって、データ取得装置11、ゲイン調整装置12、および状態推定装置13の詳細構成を限定するものではない。
〔データ取得装置〕
図6は、データ取得装置11の詳細構成の一例を示すブロック図である。データ取得装置11は、加速度センサ111、角速度センサ112、制御部113、およびデータ送信部115を有する。また、データ取得装置11は、図示しない電源を含む。以下においては、加速度センサ111、角速度センサ112、制御部113、およびデータ送信部115の各々を動作主体として説明するが、データ取得装置11を動作主体とみなしてもよい。
加速度センサ111は、3軸方向の加速度(空間加速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。加速度センサ111は、計測された加速度を制御部113に出力する。例えば、加速度センサ111には、圧電型や、ピエゾ抵抗型、静電容量型などの方式のセンサを用いることができる。なお、加速度センサ111に用いられるセンサは、加速度を計測できれば、その計測方式に限定を加えない。
角速度センサ112は、3軸方向の角速度(空間角速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。角速度センサ112は、計測された角速度を制御部113に出力する。例えば、角速度センサ112には、振動型や静電容量型等の方式のセンサを用いることができる。なお、角速度センサ112に用いられるセンサは、角速度を計測できれば、その計測方式に限定を加えない。
制御部113は、加速度センサ111および角速度センサ112の各々から、3軸方向の加速度および角速度の各々を取得する。制御部113は、取得された加速度および角速度をデジタルデータに変換し、変換後のデジタルデータ(センサデータとも呼ぶ)をデータ送信部115に出力する。センサデータには、アナログデータの加速度がデジタルデータに変換された加速度データと、アナログデータの角速度がデジタルデータに変換された角速度データとが少なくとも含まれる。加速度データには、3軸方向の加速度ベクトルが含まれる。角速度データには、3軸方向の角速度ベクトルが含まれる。なお、加速度データおよび角速度データには、それらのデータの取得時間が紐付けられる。また、制御部113は、取得された加速度データおよび角速度データに対して、実装誤差や温度補正、直線性補正などの補正を加えたセンサデータを出力するように構成されてもよい。また、制御部113は、取得された加速度データおよび角速度データを用いて、3軸方向の角度データを生成してもよい。
例えば、制御部113は、データ取得装置11の全体制御やデータ処理を行うマイクロコンピュータやマイクロコントローラである。例えば、制御部113は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を有する。制御部113は、加速度センサ111および角速度センサ112を制御して角速度や加速度を計測する。例えば、制御部113は、計測された角速度および加速度等の物理量(アナログデータ)をAD変換(Analog-to-Digital Conversion)し、変換後のデジタルデータをフラッシュメモリに記憶させる。なお、加速度センサ111および角速度センサ112によって計測された物理量(アナログデータ)は、加速度センサ111および角速度センサ112の各々においてデジタルデータに変換されてもよい。フラッシュメモリに記憶されたデジタルデータは、所定のタイミングでデータ送信部115に出力される。
データ送信部115は、制御部113からセンサデータを取得する。データ送信部115は、取得されたセンサデータを、ゲイン調整装置12および状態推定装置13に送信する。例えば、データ送信部115は、無線通信を介して、ゲイン調整装置12および状態推定装置13にセンサデータを送信する。例えば、データ送信部115は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、ゲイン調整装置12および状態推定装置13にセンサデータを送信するように構成される。なお、データ送信部115の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。例えば、データ送信部115は、ケーブルなどの有線を介して、ゲイン調整装置12および状態推定装置13にセンサデータを送信してもよい。
〔ゲイン調整装置〕
図7は、主にゲイン調整装置12の詳細構成の一例を示すブロック図である。ゲイン調整装置12は、検出部121、計算部123、推定値取得部125、およびゲイン調整部127を有する。
検出部121は、ユーザの足の動きに関するセンサデータをデータ取得装置11から取得する。検出部121は、取得されたセンサデータを用いて、立脚相を検出する。例えば、検出部121は、センサデータに含まれる加速度や角加速度を微分することで得られる加加速度や角加速度の値が、一定期間、一定以下となるタイミングを、立脚相のタイミングとして検出する。立脚相の期間においては、足裏の少なくとも一部が地面に接地した状態であり、地面に対して足が移動しないため、3軸方向の加速度や角速度の値はゼロに近くなる。しかしながら、地面に対して足が移動しなくても、データ取得装置11の位置が微妙に変化したり、重量加速度の影響を受けたりするため、加速度や角速度の値は、完全にはゼロにならない。それに対し、加加速度や角加速度の値は、踵接地から爪先離地にかけて、ほぼゼロになる。そのため、検出部121は、加加速度や角加速度がほぼゼロとなる期間を、立脚相として検出する。なお、検出部121は、加加速度や角加速度以外の指標を用いて、立脚相を検出してもよい。
図8は、加加速度の値に基づいて、立脚相を検出する一例について説明するための図である。図8は、X方向の加速度axおよび加加速度aax、Y方向の加速度ayおよび加加速度aay、Z方向の加速度azおよび加加速度aazの時系列データ(歩行波形)を上下に並べた図である。検出部121は、加加速度が一定期間T、所定値以下のタイミングを、立脚相として検出する。例えば、検出部121は、X方向の加加速度aax、Y方向の加加速度aay、およびZ方向の加加速度aazのうち少なくとも一つが、一定期間T、所定値以下のタイミングを、立脚相として検出する。例えば、検出部121は、X方向の加加速度aax、Y方向の加加速度aay、およびZ方向の加加速度aazのうち少なくともいずれか二つが、一定期間T、所定値以下のタイミングを、立脚相として検出してもよい。例えば、検出部121は、X方向の加加速度aax、Y方向の加加速度aay、およびZ方向の加加速度aazの全てが、一定期間T、所定値以下のタイミングを、立脚相として検出してもよい。
図9は、角加速度の値に基づいて、立脚相を検出する一例について説明するための図である。図9は、X軸回りの角速度gxおよび角加速度agx、Y軸回りの角速度gyおよび角加速度agy、Z軸回りの角速度gzおよび角加速度agzの時系列データ(歩行波形)を上下に並べた図である。検出部121は、角加速度が一定期間T、所定値以下のタイミングを、立脚相として検出する。例えば、検出部121は、X軸回りの角加速度agx、Y軸回りの角加速度agy、Z軸回りの角加速度agzのうち少なくとも一つが、一定期間T、所定値以下のタイミングを、立脚相として検出する。例えば、検出部121は、X軸回りの角加速度agx、Y軸回りの角加速度agy、Z軸回りの角加速度agzのうち少なくともいずれか二つが、一定期間T、所定値以下のタイミングを、立脚相として検出してもよい。例えば、検出部121は、X軸回りの角加速度agx、Y軸回りの角加速度agy、Z軸回りの角加速度agzの全てが、一定期間T、所定値以下のタイミングを、立脚相として検出してもよい。
計算部123は、検出部121によって検出された立脚相のタイミングにおける加速度の値(ax、ay、az)を用いて、ロール角やピッチ角、ヨー角などの歩行パラメータを計算する。例えば、計算部123は、検出部121によって検出された立脚相のタイミングにおける加速度の値(ax、ay、az)を用いて、ロール角Rとピッチ角Pを計算する。計算部123は、以下の式1および式2を用いて、立脚相のタイミングにおけるロール角Rとピッチ角Pを計算する。
Figure 0007480868000001

Figure 0007480868000002
なお、ロール角Rとピッチ角Pに加えて、ヨー角を計算してもよいが、本実施形態においては、ヨー角の計算については省略する。
推定値取得部125は、検出部121によって検出された立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの推定値を状態推定装置13から取得する。
ゲイン調整部127は、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値を比較する。ゲイン調整部127は、算出された歩行パラメータを、状態推定装置13によって推定された推定値と比較した結果に応じて、状態推定装置13のフィルタのゲイン調整パラメータを設定する。例えば、ゲイン調整部127は、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値の差に基づいて、状態推定装置13のフィルタのゲイン調整パラメータを設定する。例えば、ゲイン調整部127は、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値の差が一定以下になると、状態推定装置13のフィルタのゲイン調整パラメータを通常の歩行モードの値に設定する。
例えば、Madwickフィルタを用いて歩行パラメータを推定する場合、β値がゲイン調整パラメータに相当する。β値が大きいほど、フィルタの強度が強くなり、歩行波形のベースラインが早く収束する。しかしながら、β値が大きいと、歩行波形にノイズが乗りやすくなる。それに対し、β値が小さいと、歩行波形にノイズが乗りにくくなるものの、歩行波形のベースラインの収束が遅くなる。
例えば、カルマンフィルタを用いて歩行パラメータを推定する場合、共分散行列がゲイン調整パラメータに相当する。カルマンフィルタの共分散行列は、収束に関するバランサーとして機能する。共分散行列は、センサとシステムの双方に設定することができる。なお、歩行パラメータの推定に用いられるフィルタは、センサデータに基づいて歩行パラメータを推定することができれば、Madwickフィルタやカルマンフィルタに限定されない。
本実施形態においては、装置の起動時などのように、歩行波形のベースラインのずれが大きい期間においては、ゲイン調整パラメータを大きな値(初期値)に設定する。そして、計算部123による歩行パラメータの計算値を、状態推定装置13によって推定された歩行パラメータの推定値と比較した結果に応じて、ゲイン調整パラメータを初期値よりも小さな値(通常の歩行モードの値)に切り替える。すなわち、本実施形態において、ゲイン調整部127は、歩行状態に応じて、ゲイン調整パラメータを動的に調整する。その結果、装置の起動直後のように、歩行波形のベースラインのずれが大きい期間における歩行波形のベースラインの収束が早まる。そして、歩行が安定した後の通常の歩行モードにおいては、歩行波形のノイズが低減する。
なお、ゲイン調整部127は、ゲイン調整パラメータを切り替えるタイミングで、初期値から歩行モードの値に一気に切り替えず、徐々に切り替えてもよい。例えば、ゲイン調整部127は、ゲイン調整パラメータを切り替えるタイミングを起点とする期間(切替期間)において、時間経過に伴って、ゲイン調整パラメータの値が直線状に変化するように、フィルタのゲインを調整してもよい。例えば、ゲイン調整部127は、ゲイン調整パラメータの切替期間において、時間経過に伴って、ゲイン調整パラメータの値が曲線状に変化するように、フィルタのゲインを調整してもよい。ゲイン調整パラメータの切替期間において、時間経過に伴ってゲイン調整パラメータの値を徐々に調整する方法については、特に限定を加えない。
図10は、ゲイン調整装置12によってゲイン調整パラメータが設定されたMadwickフィルタを用いて推定されたロール角の値を用いて生成された歩行波形の一例を示すグラフである。図10は、装置の起動時においてはβ値を初期値(1.0)に設定し、100ミリ秒(msec)の近傍でβ値を通常の歩行モードの値(0.1)に切り替えた例である。図10のように、ゲイン調整パラメータを動的に調整制御すると、歩行波形のベースラインのずれが大きい期間における歩行波形のベースラインの収束が早まるとともに、通常の歩行モードにおける歩行波形のノイズが低減する。
〔状態推定装置〕
図11は、主に状態推定装置13の構成の一例を示すブロック図である。状態推定装置13は、パラメータ推定部131、ゲイン設定部133、波形生成部135、および状態推定部137を有する。
パラメータ推定部131は、ユーザの足の動きに関するセンサデータをデータ取得装置11から取得する。パラメータ推定部131は、取得されたセンサデータを用いて、歩行パラメータを推定する。パラメータ推定部131は、ゲイン設定部133によってゲイン調整パラメータが設定されたフィルタ(図示しない)に、新たに取得されたセンサデータと、それ以前に取得されたセンサデータとを入力して、歩行パラメータを推定する。例えば、パラメータ推定部131は、ロール角やピッチ角、ヨー角などの姿勢角に関する歩行パラメータを推定する。なお、パラメータ推定部131は、姿勢角以外の歩行パラメータを推定してもよい。
ゲイン設定部133は、パラメータ推定部131のフィルタのゲインを設定する。例えば、ゲイン設定部133は、パラメータ推定部131のフィルタのゲイン調整パラメータを設定する。例えば、ユーザが歩行を開始して、状態推定装置13が起動したタイミングにおいて、ゲイン設定部133は、ゲイン調整パラメータを初期値に設定する。ゲイン調整パラメータの初期値は、通常の歩行モードの値よりも大きい値である。例えば、Madwickフィルタを用いて歩行パラメータを推定する場合、ゲイン設定部133は、ゲイン調整パラメータ(β値)を1.0に設定する。例えば、ゲイン設定部133は、ユーザの歩行において特異な事象が検出されたタイミングにおいて、ゲイン調整パラメータを初期値に設定してもよい。例えば、ゲイン設定部133は、歩行の開始や停止、転倒などの特異な事象に起因して、歩行波形に不連続な箇所が検出された際に、ゲイン調整パラメータを初期値に設定する。歩行における特異な事象は、波形生成部135やゲイン設定部133、波形生成部135で検出するように構成すればよい。また、歩行における特異な事象を検出する構成を、状態推定装置13に追加してもよい。
ゲイン調整装置12によってゲインが設定されると、ゲイン設定部133は、パラメータ推定部131のフィルタのゲインを、ゲイン調整装置12によって設定された値に切り替える。例えば、ゲイン調整装置12によってゲイン調整パラメータが設定されると、ゲイン設定部133は、パラメータ推定部131のフィルタのゲイン調整パラメータを、初期値から、通常の歩行モードの値に切り替える。例えば、ゲイン調整パラメータ(β値)が1.0に設定されていた場合、ゲイン設定部133は、ゲイン調整パラメータ(β値)を0.1に切り替える。
波形生成部135は、データ取得装置11から取得されたセンサデータに基づいて、データ取得装置11が設置された履物を履いたユーザの歩行に伴う時系列データ(歩行波形とも呼ぶ)を生成する。例えば、波形生成部135は、データ取得装置11から取得されたセンサデータを用いて、歩行波形を生成する。例えば、波形生成部135は、パラメータ推定部131によって推定された歩行パラメータを用いて、歩行波形を生成する。なお、パラメータ推定部131によって推定された歩行パラメータや、データ取得装置11から取得されたセンサデータに基づいて、歩行状態を推定する場合は、波形生成部135を省略してもよい。
例えば、波形生成部135は、空間加速度や空間角速度などの歩行波形を生成する。例えば、波形生成部135は、空間加速度や空間角速度を積分し、空間速度や空間角度(足底角)などの歩行波形を生成する。例えば、波形生成部135は、空間加速度を二階積分し、空間軌跡の歩行波形を生成する。例えば、波形生成部135は、空間加速度や空間角速度を微分し、加加速度や角加速度などの歩行波形を生成する。例えば、波形生成部135は、ロー角やピッチ角、ヨー角などの姿勢角の歩行波形を生成する。なお、ここで挙げた歩行波形は一例であって、波形生成部135が生成する歩行波形を限定するものではない。
波形生成部135は、一般的な歩行周期や、ユーザに固有の歩行周期に合わせて設定された、所定のタイミングや時間間隔で歩行波形を生成する。波形生成部135が歩行波形を生成するタイミングは、任意に設定できる。例えば、波形生成部135は、ユーザの歩行が継続されている期間、歩行波形を生成し続けるように構成される。また、波形生成部135は、特定の時刻において、歩行波形を生成するように構成されてもよい。
状態推定部137は、波形生成部135によって生成された歩行波形に基づいて、歩行状態を推定する。例えば、状態推定部137は、歩行波形から検出される特徴に基づいて、歩行イベントを検出する。例えば、状態推定部137は、図5に示すような、踵接地HSや、反対足爪先離地OTO、踵持ち上がりHR、反対足踵接地OHS、爪先離地TO、足交差FA、脛骨垂直TVを、歩行イベントとして検出する。例えば、状態推定部137は、検出された歩行イベントに基づいて、ユーザの歩行状態を推定する。例えば、状態推定部137は、検出された歩行イベントに基づいて、ステップ長や足角などといった歩行に関するパラメータを計算する。例えば、状態推定部137は、検出された歩行イベントのタイミングに基づいて、立脚相や遊脚相を特定する。例えば、状態推定部137は、左右の足の立脚相と遊脚相のバランスに応じて、半身麻痺やパーキンソン病、リウマチ、骨粗しょう症等の症状を推定する。なお、上述の例は、状態推定部137が推定する歩行状態の一例であって、状態推定部137が推定する歩行状態を限定するものではない。
状態推定部137は、推定された歩行状態に関する情報を出力する。例えば、状態推定部137から出力された、歩行状態に関する情報は、ユーザの携帯する端末装置(図示しない)の画面や、表示装置(図示しない)の画面に表示される。例えば、状態推定部137から出力された歩行状態に関する情報は、その情報を解析するシステム(図示しない)に出力される。例えば、状態推定部137から出力された歩行状態に関する情報は、データベース(図示しない)に蓄積され、ビックデータとして活用される。なお、上述の例は、状態推定部137から出力された歩行状態に関する情報の用途の一例であって、状態推定部137から出力された情報の用途を限定するものではない。
(動作)
次に、歩容解析システム1の動作の一例について図面を参照しながら説明する。以下においては、ゲイン調整装置12によるゲイン調整処理と、状態推定装置13による状態推定処理の一例について説明する。
〔ゲイン調整処理〕
図12は、ゲイン調整装置12によるゲイン調整処理の一例について説明するためのフローチャートである。図12のフローチャートに沿った説明においては、ゲイン調整装置12を動作の主体として説明する。
図12において、まず、ゲイン調整装置12は、データ取得装置11からセンサデータを取得する(ステップS11)。
次に、ゲイン調整装置12は、取得されたセンサデータを用いて立脚相を検出する(ステップS12)。ステップS12の立脚相検出処理の詳細については後述する。
次に、ゲイン調整装置12は、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータを計算する(ステップS13)。例えば、ゲイン調整装置12は、ロール角やピッチ角などの歩行パラメータを計算する。
次に、ゲイン調整装置12は、立脚相のタイミングにおける、状態推定装置13による歩行パラメータの推定値を取得する(ステップS14)。
立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値が一定値以下の場合(ステップS15でYes)、ゲイン調整装置12は、状態推定装置13のフィルタのゲイン調整パラメータを切り替える(ステップS17)。
一方、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値が一定値以下ではない場合(ステップS15でNo)、ゲイン調整装置12は、時間の経過状況に応じて処理を行う。所定時間が経過した段階で(ステップS16でYes)、ゲイン調整装置12は、状態推定装置13のフィルタのゲイン調整パラメータを切り替える(ステップS17)。所定時間が経過していない段階では(ステップS16でNo)、ステップS11に戻る。
次に、立脚相の検出例について説明する。ここでは、加加速度と角加速度を用いて、立脚相を検出する例について説明する。なお、立脚相は、加加速度および角加速度以外のデータを用いて検出されてもよい。
図13は、加加速度を用いて、立脚相を検出する一例について説明するためのフローチャートである。図13において、まず、ゲイン調整装置12は、センサデータ(加速度)を用いて、加加速度を計算する(ステップS111)。
一定期間、加加速度の絶対値が所定値以下の場合(ステップS112でYes)、ゲイン調整装置12は、加加速度の絶対値が所定値以下のタイミングを、立脚相として検出する(ステップS113)。一方、一定期間、加加速度の絶対値が所定値以下にならない場合(ステップS112でNo)、ステップS111に戻る。
図14は、角加速度を用いて、立脚相を検出する一例について説明するためのフローチャートである。図14において、まず、ゲイン調整装置12は、センサデータ(角速度)を用いて、角加速度を計算する(ステップS121)。
一定期間、角加速度の絶対値が所定値以下の場合(ステップS122でYes)、ゲイン調整装置12は、角加速度の絶対値が所定値以下のタイミングを、立脚相として検出する(ステップS123)。一方、一定期間、角加速度の絶対値が所定値以下にならない場合(ステップS122でNo)、ステップS121に戻る。
〔状態推定処理〕
図15は、状態推定装置13による状態推定処理の一例について説明するためのフローチャートである。図13のフローチャートに沿った説明においては、状態推定装置13を動作の主体として説明する。
図15において、まず、状態推定装置13は、データ取得装置11からセンサデータを取得する(ステップS131)。
ここで、ゲイン調整パラメータの切り替えを受け付けていない場合(ステップS132でNo)、状態推定装置13は、ゲイン調整パラメータの初期値が設定されたフィルタを用いて、歩行パラメータを推定する(ステップS133)。ステップS133の後は、ステップS131に戻る。
一方、ゲイン調整パラメータの切り替えを受け付けた場合(ステップS132でYes)、ステップS135に進む。状態推定装置13は、切り替え後のゲイン調整パラメータが設定されたフィルタを用いて、歩行パラメータを推定する(ステップS134)。なお、ゲイン調整パラメータの切り替えがすでに行われた場合も、ステップS134の処理を実行する。
次に、状態推定装置13は、推定された歩行パラメータに基づいて、ユーザの歩行状態を推定する(ステップS135)。例えば、状態推定装置13は、推定された歩行パラメータを用いて歩行波形を生成し、生成された歩行波形を用いて、ユーザの歩行状態を推定する。ステップS135の歩行状態推定処理は、センサデータが取得する限り、継続される。なお、ステップS135の歩行状態推定処理は、予め設定されたタイミングや、処理の停止指示を受け付けたタイミングなどにおいて、停止されるように構成されてもよい。また、ステップS135の歩行状態推定処理の詳細については、説明を省略する。
以上のように、本実施形態の歩容解析システムは、データ取得装置、ゲイン調整装置、および状態推定装置を備える。ゲイン調整装置と状態推定装置は、歩行状態推定装置を構成する。データ取得装置は、歩容の解析対象であるユーザの履く履物に配置される。データ取得層は、ユーザの歩行に応じて空間加速度および空間角速度を計測する。データ取得装置は、計測された空間加速度および空間角速度に基づくセンサデータを生成する。データ取得装置は、生成されたセンサデータを歩行状態推定装置に送信する。ゲイン調整装置は、検出部、計算部、推定値取得部、およびゲイン調整部を有する。検出部は、ユーザの足の動きに関するセンサデータを用いて立脚相を検出する。計算部は、立脚相の期間における歩行パラメータを計算する。推定値取得部は、センサデータに基づいて歩行パラメータを推定するフィルタを用いて推定された、歩行パラメータの推定値を取得する。ゲイン調整部は、歩行パラメータの計算値と推定値を比較した結果に応じて、フィルタのゲインを調整する。状態推定装置は、ゲイン調整装置によってゲインが調整されるフィルタを用いて、センサデータに基づいて歩行パラメータを推定する。状態推定装置は、推定された歩行パラメータに応じて、ユーザの歩行状態を推定する。
本実施形態においては、歩行パラメータの推定に用いられるフィルタのゲインを、ユーザの歩行状況に合わせて動的に調整する。そのため、本実施形態によれば、ユーザの歩行状況に応じて、フィルタのゲインを適切に調整できる。
本実施形態の一態様において、ゲイン調整部は、歩行パラメータの計算値と推定値の差が一定値以下の場合、初期値に設定されたフィルタのゲイン調整パラメータの値を、初期値よりも小さな歩行モードの値に切り替える。本態様によれば、スリープ状態から装置が起動した直後のように歩行パラメータの誤差が大きい場合であっても、歩行パラメータの変化に応じて、フィルタのゲイン調整パラメータの値を適切なタイミングで切り替えることができる。
本実施形態の一態様において、フィルタは、Madwickフィルタである。ゲイン調整部は、歩行パラメータの計算値と推定値を比較した結果に応じて、Madwickフィルタのゲイン調整パラメータであるβ値を切り替える。例えば、Madwickフィルタを用いた場合、β値が小さいと、過去の推定値の重みが大きくなり、歩行波形の収束が遅くなる。一方、β値が大きいと、新たな推定値の重みが大きくなって歩行波形の収束が早くなるが、外れ値の影響を受けてノイズが乗りやすくなり、歩行波形が乱れる。本態様によれば、ユーザの歩行状況に合わせてβ値を動的に調整することによって、ユーザの歩行状況に応じてフィルタのゲインを適切に調整できる。
本実施形態の一態様において、検出部は、センサデータに含まれる3軸方向の加速度のうち少なくともいずれかを微分することで加加速度を計算する。検出部は、算出された加加速度の絶対値が、所定期間一定値以下のタイミングを、立脚相として検出する。立脚相において足裏が地面に接地している状態であれば、加加速度はほぼゼロであり、ほとんど変動しない。そのため、本態様の手法によれば、立脚相のタイミングを正確に検出できる。
本実施形態の一態様において、検出部は、センサデータに含まれる3軸回りの角速度のうち少なくともいずれかを微分することで角加速度を計算する。検出部は、算出された角加速度の絶対値が、所定期間一定値以下のタイミングを、立脚相として検出する。立脚相において足裏が地面に接地している状態であれば、角加速度はほぼゼロであり、ほとんど変動しない。そのため、本態様の手法によれば、立脚相のタイミングを正確に検出できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る歩容解析システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の歩容解析システムは、ゲイン調整パラメータを切り替える際に、状態推定装置による歩行パラメータの推定値を、ゲイン調整装置による計算値で置換する点において、第1の実施形態と異なる。
(構成)
図16は、本実施形態の歩容解析システム2の構成の一例を示すブロック図である。歩容解析システム2は、データ取得装置21、ゲイン調整装置22、および状態推定装置23を備える。データ取得装置21の構成は、第1の実施形態の対応する構成と同様であるので、説明は省略する。また、ゲイン調整装置22および状態推定装置23は、第1の実施形態の対応する構成と一部の処理が異なるだけであるので、詳細な説明は省略する。本実施形態においては、主に、ゲイン調整装置22および状態推定装置23の動作について説明する。
(動作)
〔ゲイン調整処理〕
図17は、ゲイン調整装置22によるゲイン調整処理の一例について説明するためのフローチャートである。図17のフローチャートに沿った説明においては、ゲイン調整装置22を動作の主体として説明する。
図17において、まず、ゲイン調整装置22は、データ取得装置21からセンサデータを取得する(ステップS21)。
次に、ゲイン調整装置22は、取得されたセンサデータを用いて立脚相を検出する(ステップS22)。例えば、ゲイン調整装置22は、図13や図14のフローチャートに沿った立脚相検出処理を実行する。
次に、ゲイン調整装置22は、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータを計算する(ステップS23)。例えば、ゲイン調整装置22は、ロール角やピッチ角などの歩行パラメータを計算する。
次に、ゲイン調整装置22は、立脚相のタイミングにおける、状態推定装置23による歩行パラメータの推定値を取得する(ステップS24)。
立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値が一定値以下の場合(ステップS25でYes)、ゲイン調整装置22は、状態推定装置23による歩行パラメータの推定値を計算値で置換する(ステップS27)。そして、ゲイン調整装置22は、状態推定装置23のフィルタのゲイン調整パラメータを切り替える(ステップS28)。
一方、立脚相のタイミングにおける歩行パラメータの計算値と推定値が一定値以下ではない場合(ステップS25でNo)、ゲイン調整装置22は、時間の経過状況に応じて処理を行う。所定時間が経過した段階で(ステップS26でYes)、ゲイン調整装置22は、状態推定装置23による歩行パラメータの推定値を計算値で置換する(ステップS27)そして、ゲイン調整装置22は、状態推定装置23のフィルタのゲイン調整パラメータを切り替える(ステップS28)。なお、所定時間が経過した段階で(ステップS26でYes)、ゲイン調整装置22は、状態推定装置23による歩行パラメータの推定値を計算値で置換せずに、状態推定装置23のフィルタのゲイン調整パラメータを切り替えてもよい。所定時間が経過していない段階では(ステップS26でNo)、ステップS21に戻る。
〔状態推定処理〕
図18は、状態推定装置23による状態推定処理の一例について説明するためのフローチャートである。図18のフローチャートに沿った説明においては、状態推定装置23を動作の主体として説明する。
図18において、まず、状態推定装置23は、データ取得装置21からセンサデータを取得する(ステップS231)。
ここで、ゲイン調整パラメータを切り替え済みの場合(ステップS232でYes)、ステップS236に進む。一方、ゲイン調整パラメータを切り替え済みではない場合(ステップS232でNo)、ステップS233に進む。
ステップS233において、ゲイン調整パラメータの切り替えを受け付けていない場合(ステップS233でNo)、状態推定装置23は、ゲイン調整パラメータの初期値が設定されたフィルタを用いて、歩行パラメータを推定する(ステップS234)。ステップS234の後は、ステップS231に戻る。
一方、ステップS233において、ゲイン調整パラメータの切り替えを受け付けた場合(ステップS233でYes)、状態推定装置23は、ゲイン調整装置22による歩行パラメータの計算値で推定値を置換する(ステップS235)。なお、ゲイン調整パラメータの切り替えを受け付けた場合(ステップS233でYes)、ステップS235とステップS236の順番を入れ替えてもよい。
ステップS232でYesの場合、またはステップS235の次に、状態推定装置23は、切り替え後のゲイン調整パラメータを用いて、歩行パラメータを推定する(ステップS236)。
そして、状態推定装置23は、推定された歩行パラメータに基づいて、ユーザの歩行状態を推定する(ステップS237)。例えば、状態推定装置23は、推定された歩行パラメータを用いて歩行波形を生成し、生成された歩行波形を用いて、ユーザの歩行状態を推定する。ステップS237の歩行状態推定処理は、センサデータが取得する限り、継続される。なお、ステップS237の歩行状態推定処理は、予め設定されたタイミングや、処理の停止指示を受け付けたタイミングなどにおいて、停止されるように構成されてもよい。また、ステップS237の歩行状態推定処理の詳細については、説明を省略する。
以上のように、本実施形態の歩容解析システムは、データ取得装置、ゲイン調整装置、および状態推定装置を備える。ゲイン調整装置と状態推定装置は、歩行状態推定装置を構成する。データ取得装置は、歩容の解析対象であるユーザの履く履物に配置される。データ取得層は、ユーザの歩行に応じて空間加速度および空間角速度を計測する。データ取得装置は、計測された空間加速度および空間角速度に基づくセンサデータを生成する。データ取得装置は、生成されたセンサデータを歩行状態推定装置に送信する。ゲイン調整装置は、検出部、計算部、推定値取得部、およびゲイン調整部を有する。検出部は、ユーザの足の動きに関するセンサデータを用いて立脚相を検出する。計算部は、立脚相の期間における歩行パラメータを計算する。推定値取得部は、センサデータに基づいて歩行パラメータを推定するフィルタを用いて推定された、歩行パラメータの推定値を取得する。ゲイン調整部は、歩行パラメータの計算値と推定値を比較した結果に応じて、フィルタのゲインを調整する。ゲイン調整部は、フィルタのゲインを調整するタイミングに合わせて、フィルタを用いて推定された歩行パラメータの推定値を、計算部によって算出された歩行パラメータの計算値で置換する。状態推定装置は、ゲイン調整装置によってゲインが調整されるフィルタを用いて、センサデータに基づいて歩行パラメータを推定する。状態推定装置は、推定された歩行パラメータに応じて、ユーザの歩行状態を推定する。
本実施形態においては、歩行パラメータの推定に用いられるフィルタのゲインを、ユーザの歩行状況に合わせて動的に調整する。そのため、本実施形態によれば、ユーザの歩行状況に応じて、フィルタのゲインを適切に調整できる。また、本実施形態においては、歩行波形のベースラインが収束するのを待たずに、フィルタを用いて推定された推定値を、ゲイン調整装置によって計算された計算値で置換する。そのため、本実施形態によれば、第1の実施形態と比べて、より早く歩行状態推定処理を実行できる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るゲイン調整装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態のゲイン調整装置は、第1~第2の実施形態のゲイン調整装置を簡略化した構成である。
図19は、本実施形態のゲイン調整装置32の構成の一例を示すブロック図である。ゲイン調整装置32は、検出部321、計算部323、推定値取得部325、およびゲイン調整部327を備える。
検出部321は、ユーザの足の動きに関するセンサデータを用いて立脚相を検出する。計算部323は、立脚相の期間における歩行パラメータを計算する。推定値取得部325は、センサデータに基づいて歩行パラメータを推定するフィルタを用いて推定された、歩行パラメータの推定値を取得する。ゲイン調整部327は、歩行パラメータの計算値と推定値を比較した結果に応じて、フィルタのゲインを調整する。
本実施形態のゲイン調整装置は、歩行パラメータの推定に用いられるフィルタのゲインを、ユーザの歩行状況に合わせて動的に調整する。そのため、本実施形態のゲイン調整装置によれば、ユーザの歩行状況に応じて、フィルタのゲインを適切に調整できる。
(ハードウェア)
ここで、本開示の各実施形態に係るゲイン調整装置および状態推定装置の処理を実行するハードウェア構成について、図20の情報処理装置90を一例として挙げて説明する。なお、図20の情報処理装置90は、各実施形態のゲイン調整装置および状態推定装置の処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
図20のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。図20においては、インターフェースをI/F(Interface)と略して表記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、本実施形態に係るゲイン調整装置および状態推定装置による処理を実行する。
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとすればよい。また、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを主記憶装置92として構成・追加してもよい。
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって構成される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
入出力インターフェース95は、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器を接続するように構成してもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成とすればよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
また、情報処理装置90には、ドライブ装置を備え付けてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータやプログラムの読み込み、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。ドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
以上が、本発明の各実施形態に係るゲイン調整装置および状態推定装置を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、図20のハードウェア構成は、各実施形態に係るゲイン調整装置および状態推定装置の演算処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係るゲイン調整装置および状態推定装置に関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。また、記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体や、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現してもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
各実施形態のゲイン調整装置および状態推定装置の構成要素は、任意に組み合わせることができる。また、各実施形態のゲイン調整装置および状態推定装置の構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよいし、回路によって実現してもよい。
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1、2 歩容解析システム
10、20 歩行状態推定装置
11、21 データ取得装置
12、22、32 ゲイン調整装置
13、23 状態推定装置
111 加速度センサ
112 角速度センサ
113 制御部
115 データ送信部
121、321 検出部
123、323 計算部
125、325 推定値取得部
127、327 ゲイン調整部
131 パラメータ推定部
133 ゲイン設定部
135 波形生成部
137 状態推定部

Claims (10)

  1. ユーザの足の動きに関するセンサデータを用いて立脚相を検出する検出手段と、
    前記立脚相の期間における歩行パラメータを計算する計算手段と、
    前記センサデータに基づいて歩行パラメータを推定するフィルタを用いて推定された、前記歩行パラメータの推定値を取得する推定値取得手段と、
    前記歩行パラメータの計算値と推定値との差に応じて、前記フィルタのゲインを動的に調整するゲイン調整手段と、を備えるゲイン調整装置。
  2. 前記ゲイン調整手段は、
    前記歩行パラメータの計算値と推定値の差が一定値以下の場合、初期値に設定された前記フィルタのゲイン調整パラメータの値を、前記初期値よりも小さな値に切り替える請求項1に記載のゲイン調整装置。
  3. 前記フィルタは、Madwickフィルタであり、
    前記ゲイン調整手段は、
    前記歩行パラメータの計算値と推定値を比較した結果に応じて、前記Madwickフィルタのゲイン調整パラメータであるβ値を切り替える請求項1または2に記載のゲイン調整装置。
  4. 前記検出手段は、
    前記センサデータに含まれる3軸方向の加速度のうち少なくともいずれかを微分することで加加速度を計算し、
    算出された前記加加速度の絶対値が、所定期間一定値以下のタイミングを、前記立脚相として検出する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のゲイン調整装置。
  5. 前記検出手段は、
    前記センサデータに含まれる3軸回りの角速度のうち少なくともいずれかを微分することで角加速度を計算し、
    算出される前記角加速度の絶対値が、所定期間一定値以下のタイミングを、前記立脚相として検出する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のゲイン調整装置。
  6. 前記ゲイン調整手段は、
    前記フィルタのゲインを調整するタイミングに合わせて、前記フィルタを用いて推定された前記歩行パラメータの推定値を、前記計算手段によって算出された前記歩行パラメータの計算値で置換する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のゲイン調整装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のゲイン調整装置と、
    前記ゲイン調整装置によってゲインが調整されるフィルタを用いて、前記センサデータに基づいて歩行パラメータを推定し、推定された前記歩行パラメータに応じて、前記ユーザの歩行状態を推定する状態推定装置と、を備える歩行状態推定装置。
  8. 請求項7に記載の歩行状態推定装置と、
    歩容の解析対象であるユーザの履く履物に配置され、前記ユーザの歩行に応じて空間加速度および空間角速度を計測し、計測された前記空間加速度および前記空間角速度に基づくセンサデータを生成し、生成された前記センサデータを前記歩行状態推定装置に送信するデータ取得装置と、を備える歩容解析システム。
  9. コンピュータが、
    足の動きに関するセンサデータを用いて立脚相を検出し、
    前記立脚相の期間における歩行パラメータを計算し、
    前記センサデータに基づいて歩行パラメータを推定するフィルタを用いて推定された、前記歩行パラメータの推定値を取得し、
    前記歩行パラメータの計算値と推定値との差に応じて、前記フィルタのゲインを動的に調整するゲイン調整方法。
  10. 足の動きに関するセンサデータを用いて立脚相を検出する処理と、
    前記立脚相の期間における歩行パラメータを計算する処理と、
    前記センサデータに基づいて歩行パラメータを推定するフィルタを用いて推定された、前記歩行パラメータの推定値を取得する処理と、
    前記歩行パラメータの計算値と推定値との差に応じて、前記フィルタのゲインを動的に調整する処理とをコンピュータに実行させるプログラム。
JP2022570984A 2020-12-25 2020-12-25 ゲイン調整装置、歩行状態推定装置、歩容解析システム、ゲイン調整方法、およびプログラム Active JP7480868B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2020/048862 WO2022137546A1 (ja) 2020-12-25 2020-12-25 ゲイン調整装置、歩行状態推定装置、歩容解析システム、ゲイン調整方法、およびプログラム記録媒体

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JPWO2022137546A1 JPWO2022137546A1 (ja) 2022-06-30
JPWO2022137546A5 JPWO2022137546A5 (ja) 2023-08-30
JP7480868B2 true JP7480868B2 (ja) 2024-05-10

Family

ID=82158005

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022570984A Active JP7480868B2 (ja) 2020-12-25 2020-12-25 ゲイン調整装置、歩行状態推定装置、歩容解析システム、ゲイン調整方法、およびプログラム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7480868B2 (ja)
WO (1) WO2022137546A1 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104406586A (zh) 2014-12-04 2015-03-11 南京邮电大学 基于惯性传感器的行人导航装置和方法
JP2015217053A (ja) 2014-05-15 2015-12-07 国立大学法人東北大学 運動測定装置ならびに運動測定方法
WO2020240751A1 (ja) 2019-05-29 2020-12-03 日本電気株式会社 情報処理装置、個人識別装置、個人識別システム、情報処理方法及び記憶媒体

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10993640B2 (en) * 2014-12-30 2021-05-04 Telecom Italia S.P.A. System and method for monitoring the movement of a part of a human body

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015217053A (ja) 2014-05-15 2015-12-07 国立大学法人東北大学 運動測定装置ならびに運動測定方法
CN104406586A (zh) 2014-12-04 2015-03-11 南京邮电大学 基于惯性传感器的行人导航装置和方法
WO2020240751A1 (ja) 2019-05-29 2020-12-03 日本電気株式会社 情報処理装置、個人識別装置、個人識別システム、情報処理方法及び記憶媒体

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022137546A1 (ja) 2022-06-30
JPWO2022137546A1 (ja) 2022-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2021140658A1 (ja) 異常検出装置、判定システム、異常検出方法、およびプログラム記録媒体
WO2021140587A1 (ja) 検出装置、検出システム、検出方法、およびプログラム記録媒体
JP7480868B2 (ja) ゲイン調整装置、歩行状態推定装置、歩容解析システム、ゲイン調整方法、およびプログラム
JP7070701B2 (ja) 歩容計測システム、歩容計測方法、およびプログラム
JP7218820B2 (ja) 推定装置、推定システム、推定方法、およびプログラム
JP7494941B2 (ja) 歩行指標計算装置、歩行指標計算システム、歩行指標計算方法、およびプログラム
JP7459965B2 (ja) 判別装置、判別システム、判別方法、およびプログラム
WO2022208838A1 (ja) 生体情報処理装置、情報処理システム、生体情報処理方法、および記録媒体
JP7509229B2 (ja) 検出装置、検出システム、検出方法、およびプログラム
US20240315600A1 (en) Gait information generation device, gait measurement system, gait information generation method, and recording medium
WO2023157161A1 (ja) 検出装置、検出システム、歩容計測システム、検出方法、および記録媒体
US20240277259A1 (en) Gait index calculation device, gait measurement system, gait index calculation method, and recording medium
JP7525052B2 (ja) 特徴量生成装置、歩容計測システム、特徴量生成方法、およびプログラム
WO2022070416A1 (ja) 推定装置、推定方法、およびプログラム記録媒体
WO2023062666A1 (ja) 歩容計測装置、歩容計測システム、歩容計測方法、および記録媒体
WO2023170948A1 (ja) 歩容計測装置、計測装置、歩容計測システム、歩容計測方法、および記録媒体
US20240172966A1 (en) Harmonic index estimation device, estimation system, harmonic index estimation method, and recording medium
US20240245320A1 (en) Gait measurement device, estimation system, gait measurement method, and recording medium
US20240138757A1 (en) Pelvic inclination estimation device, estimation system, pelvic inclination estimation method, and recording medium
WO2023105740A1 (ja) 特徴量データ生成装置、歩容計測装置、身体状態推定システム、特徴量データ生成方法、および記録媒体
WO2023127008A1 (ja) 動的バランス推定装置、動的バランス推定システム、動的バランス推定方法、および記録媒体
WO2022269698A1 (ja) 補間装置、歩容計測システム、補間方法、および記録媒体
WO2023127007A1 (ja) 筋力指標推定装置、筋力指標推定システム、筋力指標推定方法、および記録媒体
WO2023286106A1 (ja) 歩容評価装置、歩容評価方法、歩容計測システム、および記録媒体
JP7127734B2 (ja) 判別装置、判別方法、およびプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230612

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230612

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240313

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240326

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240408

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7480868

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150