JP7480478B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータの駆動を制御するモータ制御装置に関する。
従来、PLC(Programmable Logic Controller)等の上位コントローラからの制御指
示に従ってモータを駆動制御するモータ制御装置において、その上位コントローラとは異なる外部装置ともモータの駆動制御に関する通信を行えるように構成された制御装置が知られている。このような制御装置は、上位コントローラとの通信を可能とするインターフェースや外部装置との通信を可能とするインターフェース等、複数のインターフェースを有することになる。
例えば、特許文献1に示すモータ制御装置では、所定のネットワークを介して上位コントローラとの通信を司るインターフェースと、そのネットワークとは異なる通信回線を介して接続される外部機器との通信を司るインターフェースとが備えられる。それぞれのインターフェースを介してモータ駆動制御に関する制御指令が入力されたときに、その制御指令の排他的実行が制御される。このような構成により、モータが不用意に駆動制御されることが抑制される。
特開2017-163758号公報
モータが組み込まれる設備装置等では、その駆動軸において一定方向に荷重が掛かる場合(例えば、重力軸等)には、モータの非制御時において駆動軸を停止させるためにモータにブレーキ装置が備えられる場合がある。ブレーキ装置によるブレーキ制動を作動させて駆動軸の駆動を規制することで、モータがトルクを発生させなくても、駆動軸の停止状態を維持することができる。
一方で、このようなモータの非制御時にブレーキ装置によるブレーキ制動を作動させている場合に、設備装置等の調整を行うために駆動軸を多少なり動かしたいとの要求がある。例えば、設備装置の制御パラメータを調整するときに、制御軸に繋がるワーク位置を変更したい場合等である。このようなとき、従来では、制御パラメータの調整に使用しているPC(Personal Computer)等の外部機器から上位コントローラに対して、該上位コントローラがブレーキ制動の解除指示を出すためのプログラムを送信する等の必要がある。そのため、ユーザは当該プログラムを作成する必要があり、ユーザの負担は小さくはない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、モータの非制御時でのブレーキ装置によるブレーキ制動の解除を容易に行い得る技術を提供することを目的とする。
本発明においては、上記課題を解決するために、上位コントローラからの制御指示がモータ制御装置に入力されていないときに、外部機器からブレーキ制動の解除指示を取得すると、モータ制御装置からブレーキ装置に対してブレーキ制動を解除するための開放電圧を印加する構成を採用した。このようにモータ制御装置が、上位コントローラを介さずにブレーキ装置の制御を行うように構成されることで、ユーザの負担を軽減することができ
る。
具体的に、本発明は、上位コントローラと所定のネットワークを介して通信可能に接続され、出力軸の制動を可能とするブレーキ装置が備えられたモータを該上位コントローラからの制御指示に基づいて駆動制御するモータ制御装置であって、前記上位コントローラからの前記制御指示が入力される第1インターフェースと、前記ネットワークに通信可能に接続されていない外部機器との通信を可能とし、該外部機器からの外部指示が入力される第2インターフェースと、前記第2インターフェースを介して前記外部機器から、前記外部指示として、前記ブレーキ装置によるブレーキ制動を解除する解除指示を取得する取得部と、前記第1インターフェースを介して前記上位コントローラからの前記制御指示が入力されていないときに、前記取得部により前記解除指示を取得すると、ブレーキ制動中の前記ブレーキ装置に対してそのブレーキ制動を解除するための開放電圧を印加し、前記モータの前記出力軸を動作可能状態とするブレーキ制御部と、を備える。
上記のモータ制御装置では、上位コントローラと外部機器は、それぞれ異なるインターフェースで通信可能に接続される。上位コントローラは、主にモータの駆動制御に関連する制御指示を、第1インターフェースを介して提供し、例えば、モータ制御装置は、その制御指示に基づいてモータをサーボ制御等する。外部機器は、外部指示を第2インターフェースを介して提供する。この外部指示は、モータの駆動制御に関連する指示であってもよく、それ以外の指示であってもよい。後者の例としては、モータに備えられるブレーキ装置の作動に関連する指令や、モータやそれが組み込まれる設備装置等の情報を収集するための指令等が挙げられる。
また、上記モータにはブレーキ装置が備えられており、ブレーキ装置は外部から所定の電圧印加が為されるとブレーキ制動が解除され、その電圧印加が止められるとブレーキ制動が作動するように構成される。また、ブレーキ装置は、モータ本体の出力軸の動作(回転等)に対して制動力を付与するように構成されればよく、必ずしもモータ本体と一体に設けられる必要は無い。例えば、モータ本体とブレーキ装置が別体に配置され、そのブレーキ装置がモータ本体の出力軸に制動力を採用するように構成されていればよい。そして、上位コントローラからの制御指示に従ってモータの駆動制御が行われていない状態(以下、「非制御状態」という)では、出力軸に掛かる外部からの定常負荷等を考慮してブレーキ装置によるブレーキ制動が行われる場合がある。このようなブレーキ制動によって、モータの出力軸がいたずらに動かされるのを抑制できる。
一方で、非制御状態においてブレーキ装置によるブレーキ制動が行われている場合に、その非制御状態の下、ブレーキ制動を解除したいとする要求がある。その場合には、モータ制御装置における取得部が、外部機器から外部指示としてブレーキ制動を解除する解除指示を取得する。このとき、解除指示は、上位コントローラを介さずにモータ制御装置に提供されることになる。そして、取得された解除指示に基づいて、ブレーキ制御部が、ブレーキ装置に対して開放電圧の印加を行い、出力軸を動作可能状態とする。なお、このとき、ブレーキ制御部は、上位コントローラから制御指示が入力されていないときに限って、上記の開放電圧の印加を実行する。これにより、上位コントローラとブレーキ制御部との制御上の衝突を回避できる。
このように構成されるモータ制御装置では、非制御状態におけるブレーキ制動の解除を上位コントローラを介さずに行うため、ユーザは上位コントローラを制御するためのプログラムを改めて用意する必要が無い。そのため、非制御状態でのブレーキ制動の解除を容易に行い得、ユーザの利便性を向上できる。
ここで、上記のモータ制御装置において、前記ブレーキ制御部は、前記開放電圧の印加
によって前記モータの前記出力軸が前記動作可能状態とされた後に、該出力軸の位置又は該出力軸の速度が所定の許容範囲を外れた場合には、前記開放電圧の印加を中止してもよい。所定の許容範囲は、安全面等の観点からモータの出力軸の動きを考慮して適宜決定すればよい。このように出力軸の位置や速度が所定の許容範囲から外れた場合、ブレーキ制御部により開放電圧の印加が中止されるため、ブレーキ制動が再開される。この場合、動いている出力軸の持つエネルギーをブレーキ装置で消費することになるため、非制御状態にあるモータ制御装置に回生エネルギーを掛けることはなく出力軸の動きを止めることができる。
また、上記のモータ制御装置は、前記開放電圧の印加によって前記モータの前記出力軸が前記動作可能状態とされた後に、該出力軸の速度が所定の許容速度を超えた場合には、前記開放電圧の印加状態が維持された状態で、該出力軸を減速させるための減速トルクを該モータが出力するように該モータの駆動制御を行ってもよい。モータによる減速トルクの発揮により出力軸の速度を低下させて、ブレーキ制動の解除時の安全性を高めることができる。
また、上述までのモータ制御装置は、前記開放電圧の印加によって前記モータの前記出力軸が前記動作可能状態とされた後に、該出力軸の位置又は該出力軸の速度が変動すると、該変動した出力軸の位置又は速度に関する情報を、前記第2インターフェースを介して前記外部機器に対して出力する出力部を、更に備えてもよい。このような構成により、外部機器は出力軸の位置又は速度を把握することができる。その結果、外部機器において、出力軸の変動を可視化する処理等を実現できる。
モータの非制御時でのブレーキ装置によるブレーキ制動の解除を容易に行うことができる。
PLC及びサーボドライバを含む制御システムの概略構成、及び該制御システムに接続されたコンピュータの概略構成を示す図である。 サーボドライバの制御構造を示す図である。 サーボドライバで実行される解除処理のフローチャートである。 図3に示す解除処理が実行された際の、コンピュータのディスプレイに表示される画面の一例である。
<適用例>
実施形態に係るモータ制御装置の適用例について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は、当該モータ制御装置が適用される制御システムの概略構成図である。当該制御システムは、フィールドネットワーク1と、サーボドライバ4と、PLC(Programmable Logic Controller)5とを備える。サーボドライバ4は、例えば2つの制御軸に対応する2
台のモータ2、3を有する装置6において各モータの出力軸をサーボ制御するためのサーボ制御装置であり、本実施形態のモータ制御装置に相当する。装置6の一例としては、ワークを所定の平面上で搬送する搬送装置が例示できる。また、図1に示す制御システムは、1台のサーボドライバ4で2台の制御軸(モータ)を駆動可能に構成されているが、そのような構成に代えて、1つの制御軸毎に1台のサーボドライバが配置され、各サーボドライバがフィールドネットワーク1で接続される構成を採用することもできる。このようなサーボドライバ4に対して、フィールドネットワーク1を介して装置6を駆動制御するための指令がPLC5から供給される。なお、フィールドネットワーク1として、例えば、EtherCAT(登録商標)を使用することができる。
また、装置6を構成する2つの制御軸のうちモータ2によって駆動制御される制御軸は、垂直軸である。そのため、モータ2は、ワークや装置6の重量等に起因する定常的な重力負荷に対応するために、その出力軸の制動を可能とするブレーキ装置2aを備えている。ブレーキ装置2aは、モータ2の本体と一体となって配置されてもよく、モータ2の本体と別体に構成されてもよい。また、ブレーキ装置2aは、電磁クラッチ式のブレーキ装置であり、所定の開放電圧が印加されるとそのブレーキ制動が解除され、当該開放電圧の印加が停止されるとブレーキ制動が生じるように構成されている。
上記制御システムでは、PLC5から送られてくる制御指令を用いて、装置6においてモータ2とモータ3がサーボ制御される。当該サーボ制御は、各モータによる位置決めのための制御である。なお、PLC5から制御指令が供給されたサーボドライバ4は、図示しない信号線でモータ2、3に接続されている各エンコーダから出力されたフィードバック信号を受けることで、各モータの出力が制御指令に追従するように、モータ2、3に電力供給線L1を介して駆動電流を供給する。この供給電流は、交流電源からサーボドライバ4に対して送られる交流電力が利用される。本実施例では、サーボドライバ4は三相交流を受けるタイプのものであるが、単相交流を受けるタイプのものでもよい。また、電力供給線L1とは別に、ブレーキ装置2aの開放電圧が、ブレーキ用電圧線L2を介してサーボドライバ4から印加される。一般的に開放電圧は、直流電圧である。
また、サーボドライバ4にはコンピュータ10が電気的に接続されている。当該電気的接続は有線接続でもよく、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルである通信ケーブル9を介して、コンピュータ10がサーボドライバ4に接続される。また、コンピュータ10は、サーボドライバ4に対して無線接続するように構成されてもよい。コンピュータ10は、サーボドライバ4によるモータ2、3の上記サーボ制御のための制御パラメータを設定及び調整するための装置であり、調整用のプログラムが含まれている。具体的には、コンピュータ10は、演算装置やメモリ、ディスプレイ(表示装置)等を有しており、そこで実行可能な調整用プログラムを有している。この調整用プログラムは、サーボドライバ4によって行われるサーボ制御の目的に応じて、必要な制御パラメータの算出、調整、決定を行う。例えば、当該調整用プログラムによって、制御対象ごとに、その制御対象の機械特性や物理特性等に適した制御パラメータの算出、調整、決定を行う標準算出処理が行われる。標準算出処理では、実際に装置6を動かしながら制御パラメータの算出、調整、決定を行ってもよく、又は、装置6に対応する物理モデル等を利用して実際に装置6を動かすことなくその動作をシミュレーションすることで制御パラメータの算出、調整、決定を行ってもよい。
ここで、本実施形態において、サーボドライバ4によって実行されるサーボ制御については、特定の形態のものに限定されない。例えば、サーボドライバ4は、公知の位置制御器、速度制御器、電流制御器を備えるフィードバック系を有し、それによりサーボ制御を行うように構成される。一般に、位置制御器は、例えば、比例制御(P制御)を行う。具体的には、PLC5からの位置指令と、モータにおける検出位置との偏差である位置偏差に、所定の位置比例ゲインを乗ずることにより速度指令vcmdを算出する。また、速度制御器は、例えば、比例積分制御(PI制御)を行う。具体的には、位置制御器により算出された速度指令vcmdとモータにおける検出速度との偏差である速度偏差の積分量に所定の速度積分ゲインを乗じ、その算出結果と当該速度偏差の和に所定の速度比例ゲインを乗ずることにより、トルク指令τcmdを算出する。また、速度制御器はPI制御に代えてP制御を行ってもよい。そして、電流制御器は、速度制御器により算出されたトルク指令τcmdに基づいて電流指令Ccmdを出力し、それによりモータが駆動制御される。電流制御器は、トルク指令に関するフィルタ(1次のローパスフィルタ)や一又は複数のノッチフィルタを含み、制御パラメータとして、これらのフィルタの性能に関するカットオフ周波数等を有してもよい。
このようなサーボドライバ4によるサーボ制御のためのサーボパラメータ(上記の位置比例ゲイン、速度積分ゲイン、速度比例ゲイン、カットオフ周波数等)を調整するために、調整用プログラムがコンピュータ10で実行されるが、そこで調整、設定されたサーボパラメータが装置6を構成する各モータの駆動に適したものであるか確認することが求められる。そこで、調整されたサーボパラメータが設定されているサーボドライバ4によって各モータを駆動し、そのときの各モータの動作を表示するトレース処理が行われる。具体的には、トレース処理のためのモータ駆動と各モータの動作に関連する情報の取得がサーボドライバ4によって行われ、その表示がコンピュータ10のディスプレイ上で行われる。
このようにコンピュータ10を用いてモータ2やモータ3のサーボ制御に関連する制御パラメータを調整していく過程で、PLC5からの制御指示に従ったサーボ制御を停止させた場合、重力負荷を支持するために、ブレーキ装置2aによるブレーキ制動がモータ2の出力軸に対して施される。具体的には、サーボ制御が停止されると同時に、又はその直後に、ブレーキ装置2aへの開放電圧の印加が中止される。これにより、制御軸が重力負荷により位置ずれしてしまうのを回避できる。
このようにPLC5からの制御指示に基づいたサーボ制御を行わない状態(非制御状態)で、上記のようにブレーキ制動されている制御軸を若干動かしたい等の要求があり、そのためにブレーキ制動を一時的に解除したい場合がある。そこで、本実施形態のサーボドライバ4は、このような非制御状態におけるブレーキ装置2aのブレーキ制動の解除を容易に実現できるように、図2に示す機能部を有するように構成されている。図2は、サーボドライバ4が有する機能をイメージ化したものであり、各機能部の処理は、サーボドライバ4で実行される制御プログラム等によって実現される。具体的には、サーボドライバ4は、機能部として、制御部40、取得部43、ブレーキ制御部44、監視部45、出力部46、モータ制御部48を備えている。
更に、サーボドライバ4には、第1インターフェース41、第2インターフェース42、ブレーキ用電源50が配置されている。第1インターフェース41は、フィールドネットワーク1を介して通信可能に接続されるPLC5からの制御指示が入力されるインターフェースであり、第2インターフェース42は、通信ケーブル9を介して通信可能に接続されるコンピュータ10からの指示が入力されるインターフェースである。ブレーキ用電源50は、電磁クラッチ式のブレーキ装置2aに対して開放電圧となる直流電圧を印加するための電源装置である。
制御部40は、第1インターフェース41及び第2インターフェース42を介して届けられる情報を用いてサーボドライバ4における種々の制御を行い、又は第1インターフェース41及び第2インターフェース42を介して外部に情報を送信するための制御等を行う機能部である。本実施形態では、制御部40が、取得部43、ブレーキ制御部44、出力部46を有している。制御部40は、取得部43等の機能以外の機能を有していてもよい。取得部43は、第2インターフェース42を介してコンピュータ10から届けられるブレーキ装置2aを制御するための指示、例えば、ブレーキ装置2aによるブレーキ制動を作動させる作動指示や、そのブレーキ制動を解除する解除指示等を取得する機能部である。なお、本実施形態では、取得部43は、更に、第1インターフェース41を介してPLC5から届けられる制御指示も取得するように構成されている。取得部43により取得されたブレーキ装置2aに関する指示は、ブレーキ制御部44に引き渡され、取得された制御指示はモータ制御部48に引き渡される。
ブレーキ制御部44は、ブレーキ装置2aの作動を制御する機能部である。すなわち、ブレーキ制御部44は、作動指示に従ってブレーキ用電源50に対して開放電圧の印加を止めるように指示し、解除指示に従ってブレーキ用電源50に対して開放電圧を印加するように指示する。また、監視部45は、ブレーキ装置2aのブレーキ制動が解除されているときにモータ2、3の位置や速度等が許容範囲を外れた場合に、モータ2、3の出力軸を止めるようにブレーキ制御部44に対して作動指示を出す機能部である。モータ2、3の位置や速度等は、後述のモータ制御部48によって取得された情報に基づいて判断される。また、出力部46は、そのモータ制御部48から取得されたモータ2、3の位置や速度等の状態パラメータに関する情報を、第2インターフェース42を介してコンピュータ10に出力する機能部である。出力部46により出力された情報は、コンピュータ10において、例えば、モータ2、3等の状態を可視化する処理等に供される。
また、モータ制御部48は、モータ2、3を駆動制御する機能部であり、例えば、上述したように位置制御器、速度制御器、電流制御器を備えるフィードバック系により、PLC5からの制御指示に従ってサーボ制御を実行可能に構成される。したがって、モータ制御部48によるサーボ制御が実行されていない状態が上述の非制御状態に相当する。また、サーボドライバ4は、モータ2、3に備えられているエンコーダと電気的に接続されており、モータ制御部48は、上記サーボ制御の実行の有無にかかわらず、モータ2、3それぞれのエンコーダからの信号を受信し、モータ2、3の状態パラメータを取得できる。その取得情報が出力部46に引き渡されて、出力部46によって外部へ出力することもできる。
<ブレーキ制動の解除処理>
次に、これらの機能部によって実現される解除処理について、図3に基づいて説明する。なお、説明を簡便にするために、以下に説明する解除処理の対象は、ブレーキ装置2aを有するモータ2に限定する。すなわち、当該解除処理は、モータ2が非制御状態に置かれているときの、ブレーキ装置2aのブレーキ制動の解除を行うための処理である。当該解除処理は、所定の制御間隔で繰り返し実行されている。また、当該解除処理が行われる際の、コンピュータ10のディスプレイに表示される画面の一例を図4に示す。図4の上段(a)は、解除処理によりブレーキ装置2aのブレーキ制動が解除されたときの画面例であり、下段(b)は、その解除処理において、ブレーキ制動の解除後に再びブレーキ制動が行われたときの画面例である。以下に解除処理の流れを説明するが、その説明に合わせてコンピュータ10の画面例についても言及する。
先ず、S101では、コンピュータ10からブレーキ装置2aの解除指示があったか否かが判定される。なお、当該解除指示は、取得部43により取得される。S101で肯定判定されると処理はS102へ進み、否定判定されると解除処理は終了する。次にS102では、モータ2が非制御状態に置かれているか否かが判定される。具体的には、取得部43によりPLC5から制御指示が取得され、その制御指示に従ってモータ制御部48によるサーボ制御が行われていない場合、モータ2が非制御状態に置かれていると判定される。S102で肯定判定されると処理はS103へ進み、否定判定されると解除処理は終了する。
次に、S103では、ブレーキ装置2aのブレーキ制動の解除が行われたときに、モータ2の出力軸がとり得る速度及び位置の許容範囲が設定されているか否かが判定される。当該許容範囲は、ブレーキ制動が解除されたときにモータ2の出力軸がいたずらに動いてしまい、好ましくない状況(例えば、周囲との接触等)が生じないように、当該出力軸の動きを制限するために設定されるものである。ユーザは、図4に示すように、コンピュータ10において配置されている許容速度の最大値と最小値の各入力タブ(B2、B4)、及び許容位置の最大値と最小値の各入力タブ(B3、B5)に、対応する数値を入力でき
る。そこに入力された数値は、監視部45に引き渡されて、サーボドライバ4において、モータ2の出力軸がとり得る速度及び位置の許容範囲として認識される。S103で肯定判定されると処理はS104へ進み、否定判定されると処理はS108へ進む。そして、S104では、ブレーキ制御部44によりブレーキ用電源50に対して解除指示が出され、それを受けてブレーキ用電源50がブレーキ装置2aに対して開放電圧を印加する。また、S108では、ユーザに対して許容範囲を設定するようにリマインドするために、コンピュータ10に対して制御部40より指示が出される。当該指示を受けたコンピュータ0は、そのディスプレイに許容範囲設定のための入力を促すメッセージ等を表示する。
ここで、S104の処理によりブレーキ用電源50がブレーキ装置2aに対して開放電圧を印加しているときの、コンピュータ10のディスプレイの表示について、図4の上段(a)に基づいて説明する。図中のボタンB1は、ユーザにより押下されることでコンピュータ10から解除指示が出され、第2インターフェース42を介して当該解除指示がサーボドライバ4に届けられることになる。また、開放電圧の印加によりブレーキ制動が解除されている状態となると、図中のタブB6が「ブレーキ解除中」の表示となる。このとき、モータ2の出力軸はブレーキ制動力を受けない状態となるため、モータ2の出力軸に掛かる定常負荷(例えば、重力負荷)により動作が可能な状態(動作可能状態)となる。したがって出力軸の速度や位置は変動し得るため、出力軸の現在の速度と位置を把握するために、それぞれがタブB10、B11に表示される。
更に、本実施形態では、モータ2の出力軸の現在の速度と位置の状態をより把握しやすくするために、モータ2の出力軸の現在位置と、その上限(最大値に対応する境界値)及び下限(最小値に対応する境界値)との相関を示すグラフィックが表示される。例えば、出力軸が上方向に変位すると、他部B11に表示されるその現在位置の数値が上昇するとともに、グラフィックにおいて現在位置に対応するオブジェクトが上限方向に、現在速度に対応する速度で移動するように表示される。なお、このような出力軸の現在の速度や位置を表示するために必要な情報は、出力部46により出力される情報が利用される。
ここで、図3に戻る。S104に続いて行われるS105では、S104の処理により開放電圧の印加で行われている状態において、モータ2の出力軸の速度又は位置が、設定された許容範囲内にあるか否かが判定される。このS105の処理は、監視部45により行われる。そして、速度及び位置の両方が許容範囲内にあるときは、S105では肯定判定され処理はS106へ進む。S106では、ブレーキ装置2aのブレーキ制動の解除が終了したか否かが判定される。ユーザは、「ブレーキ強制解除」と表示されているボタンB1を再度押下すれば、その解除を終了する指示がコンピュータ10からサーボドライバ4へと送られることになる。S106で肯定判定されると、処理はS107へ進む。そして、S107では、ブレーキ制御部44からブレーキ用電源50に対して作動指示が出され、開放電圧の印加が中止される。その結果、ブレーキ装置2aが作動し、モータ2の出力軸にブレーキ制動が作用した状態となる。
また、S105の判定において、速度又は位置の少なくとも一方が許容範囲から外れたときは、S105で否定判定され、処理はS109へ進む。S109では、ブレーキ制御部44からブレーキ用電源50に対して作動指示が出され、開放電圧の印加が中止される。ここで、S109で開放電圧の印加中止の際の、コンピュータ10のディスプレイの表示について、図4の下段(b)に基づいて説明する。グラフィックから理解できるように、本実施形態では、モータ2の出力軸の現在位置が、設定されている下限を超えたことを理由としてS105で否定判定され、出力軸の変位が停止させられている。また、S109での開放電圧の印加中止に伴って、図中のタブB6が「ブレーキ拘束中」の表示へと変わる。
そして、S110では、サーボドライバ4からコンピュータ10に対してエラー通知が行われる。当該エラー通知を受け取ったコンピュータ10では、ユーザに対して上述の許容範囲逸脱を知らせるための表示や警告等を行う。
このような解除処理が行われるようにサーボドライバ4が構成されることで、ユーザは、モータ2が非制御状態にあるときにそのブレーキ装置2aのブレーキ制動の解除を、コンピュータ10を起点として容易に実現することができる。また、ブレーキ制動の解除を行っているときに、モータ2の出力軸の速度又は位置が所定の許容範囲を外れてしまった場合には、サーボドライバ4が直ちにブレーキ装置2aを作動させて当該出力軸の変位を停止し、以て、安全性の確保が図られる。このとき、当該出力軸の有するエネルギーはブレーキ装置2aにより生じされるため、サーボドライバ4に回生エネルギーの負担がかかるのを回避できる。
<変形例>
また、ブレーキ制御部44によりブレーキ制動の解除が行われている状態において安全性の確保を図るための他の形態について説明する。当該形態では、モータ2の出力軸の速度が所定の許容速度(設定された速度の上限値)を超えた場合には、ブレーキ用電源50からの開放電圧の印加状態が維持された状態で、モータ制御部48によりモータ2の出力軸を減速させるための減速トルクをモータ2が出力するようにそのトルク制御を行ってもよい。このトルク制御によってモータ2の出力軸を減速させて、ブレーキ制動の解除が行われているときでもその安全性を維持することができる。
<付記1>
上位コントローラ(5)と所定のネットワーク(1)を介して通信可能に接続され、出力軸の制動を可能とするブレーキ装置(2a)が備えられたモータ(2)を該上位コントローラ(5)からの制御指示に基づいて駆動制御するモータ制御装置(4)であって、
前記上位コントローラ(5)からの前記制御指示が入力される第1インターフェース(41)と、
前記ネットワーク(1)に通信可能に接続されていない外部機器(10)との通信を可能とし、該外部機器(10)からの外部指示が入力される第2インターフェース(42)と、
前記第2インターフェース(42)を介して前記外部機器(10)から、前記外部指示として、前記ブレーキ装置(2)によるブレーキ制動を解除する解除指示を取得する取得部(43)と、
前記第1インターフェース(41)を介して前記上位コントローラ(5)からの前記制御指示が入力されていないときに、前記取得部(43)により前記解除指示を取得すると、ブレーキ制動中の前記ブレーキ装置(2a)に対してそのブレーキ制動を解除するための開放電圧を印加し、前記モータの前記出力軸を動作可能状態とするブレーキ制御部(44)と、
を備える、モータ制御装置(4)。
1: ネットワーク
2、3: モータ
4:サーボドライバ
5: PLC
10: コンピュータ
41: 第1インターフェース
42: 第2インターフェース
43: 取得部
44: ブレーキ制御部
45: 監視部
46: 出力部
50: ブレーキ用電源

Claims (3)

  1. 上位コントローラと所定のネットワークを介して通信可能に接続され、出力軸の制動を可能とするブレーキ装置が備えられたモータを該上位コントローラからの制御指示に基づいて駆動制御するモータ制御装置であって、
    前記上位コントローラからの前記制御指示が入力される第1インターフェースと、
    前記ネットワークに通信可能に接続されていない外部機器との通信を可能とし、該外部機器からの外部指示が入力される第2インターフェースと、
    前記第2インターフェースを介して前記外部機器から、前記外部指示として、前記ブレーキ装置によるブレーキ制動を解除する解除指示を取得する取得部と、
    前記ネットワークを介して前記上位コントローラと前記モータ制御装置が接続された状態で前記第1インターフェースを介して前記上位コントローラからの前記制御指示が入力されていないときに、前記取得部により前記解除指示を取得すると、ブレーキ制動中の前記ブレーキ装置に対してそのブレーキ制動を解除するための開放電圧を印加し、前記モータの前記出力軸を動作可能状態とするブレーキ制御部と、
    を備え、
    前記ブレーキ制御部は、前記開放電圧の印加によって前記モータの前記出力軸が前記動作可能状態とされた後に、該出力軸の位置又は該出力軸の速度が所定の許容範囲を外れた場合には、前記開放電圧の印加を中止する、
    モータ制御装置。
  2. 上位コントローラと所定のネットワークを介して通信可能に接続され、出力軸の制動を可能とするブレーキ装置が備えられたモータを該上位コントローラからの制御指示に基づいて駆動制御するモータ制御装置であって、
    前記上位コントローラからの前記制御指示が入力される第1インターフェースと、
    前記ネットワークに通信可能に接続されていない外部機器との通信を可能とし、該外部機器からの外部指示が入力される第2インターフェースと、
    前記第2インターフェースを介して前記外部機器から、前記外部指示として、前記ブレーキ装置によるブレーキ制動を解除する解除指示を取得する取得部と、
    前記ネットワークを介して前記上位コントローラと前記モータ制御装置が接続された状
    態で前記第1インターフェースを介して前記上位コントローラからの前記制御指示が入力されていないときに、前記取得部により前記解除指示を取得すると、ブレーキ制動中の前記ブレーキ装置に対してそのブレーキ制動を解除するための開放電圧を印加し、前記モータの前記出力軸を動作可能状態とするブレーキ制御部と、
    を備え、
    前記開放電圧の印加によって前記モータの前記出力軸が前記動作可能状態とされた後に、該出力軸の速度が所定の許容速度を超えた場合には、前記開放電圧の印加状態が維持された状態で、該出力軸を減速させるための減速トルクを該モータが出力するように該モータの駆動制御を行う、
    モータ制御装置。
  3. 前記開放電圧の印加によって前記モータの前記出力軸が前記動作可能状態とされた後に、該出力軸の位置又は該出力軸の速度が変動すると、該変動した出力軸の位置又は速度に関する情報を、前記第2インターフェースを介して前記外部機器に対して出力する出力部を、更に備える、
    請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。
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