JP7478385B1 - 量子情報処理方法、古典コンピュータ、ハイブリッドシステム、及び量子情報処理プログラム - Google Patents

量子情報処理方法、古典コンピュータ、ハイブリッドシステム、及び量子情報処理プログラム Download PDF

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Abstract

量子コンピュータが、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより量子測定の測定結果を取得し、測定結果を古典コンピュータへ送信する。古典コンピュータが、測定結果を受信し、測定結果からR個の測定値を選択する。古典コンピュータが、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、ハミルトニアンHの基底状態とハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する。

Description

開示の技術は、量子情報処理方法、古典コンピュータ、ハイブリッドシステム、及び量子情報処理プログラムに関する。
Noisy Intermediate-Scale Quantum(NISQ)デバイスを用いて量子計算を実行するためのVariational Quantum Eigensolver (VQE)が知られている(例えば、Peruzzo, A., McClean, J., Shadbolt, P. et al. “A variational eigenvalue solver on a photonic quantum processor”. Nat Commun 5, 4213 (2014).を参照)。
NISQデバイスとVQEとを用いることにより、量子化学に関する問題を解くことができると期待されている。なお、VQEを利用して量子化学計算が実行される際には、サンプリング平均が計算されることによりエネルギー等の物性値が推定される。しかし、サンプリング平均の計算結果には統計誤差が発生する。また、NISQデバイスである量子コンピュータにはノイズが発生し得る。さらに、VQEを利用する際には状態空間(状態空間は、探索空間とも称される。)が設定されるが、その状態空間は制限される。このため、NISQデバイスとVQEとを利用して得られる計算結果には、これらを起因とする誤差が発生する。
一方、古典コンピュータによる計算手法の一つとして、Selected Configuration Interaction (Selected CI)と称される方法が知られている(例えば、C. David Sherrill, Henry F. Schaefer III., “The Configuration Interaction Method: Advances in Highly Correlated Approaches”, Advances in Quantum Chemistry, Volume 34, 1999, Pages 143-269 を参照)。
Selected CIでは状態空間が限定され、限定された状態空間内において基底状態及び励起状態が探索される。Selected CIに関しては、古典コンピュータによる計算のみが知られており、Selected CIを量子コンピュータによって計算する方法は知られていない。
開示の技術は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、量子計算において発生し得る誤差を低減しつつ、量子コンピュータを用いてSelected CIにおける状態空間を設定することができる、量子情報処理方法、古典コンピュータ、ハイブリッドシステム、及び量子情報処理プログラムを提供する。
上記の目的を達成するために本開示の一態様の量子情報処理方法は、古典コンピュータと量子コンピュータとを含むハイブリッドシステムのうちの古典コンピュータが実行する量子情報処理方法であって、前記量子コンピュータが、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより前記量子測定の測定結果を取得し、前記測定結果を前記古典コンピュータへ送信し、前記古典コンピュータが、前記測定結果を受信し、前記測定結果からR個の測定値を選択し、前記古典コンピュータが、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、前記有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、前記ハミルトニアンHの基底状態と前記ハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する、処理を古典コンピュータが実行する量子情報処理方法である。
開示の技術によれば、量子計算において発生し得る誤差を低減しつつ、量子コンピュータを用いてSelected CIにおける状態空間を設定することができる、という効果が得られる。
本実施形態のハイブリッドシステム100の概略構成の一例を示す図である。 古典コンピュータ110、制御装置121、及びユーザ端末130として機能するコンピュータの概略ブロック図である。 第1実施形態のハイブリッドシステム100が実行するシーケンスの一例を示す図である。 第2実施形態のハイブリッドシステム100が実行するシーケンスの一例を示す図である。 第3実施形態のハイブリッドシステム100が実行するシーケンスの一例を示す図である。 実施例のシミュレーション結果を示す図である。 実施例のシミュレーション結果を示す図である。 実施例のシミュレーション結果を示す図である。 実施例のシミュレーション結果を示す図である。 実施例のシミュレーション結果を示す図である。
以下、図面を参照して開示の技術の実施形態を詳細に説明する。
<実施形態に係るハイブリッドシステム100>
図1に、実施形態に係るハイブリッドシステム100を示す。本実施形態のハイブリッドシステム100は、古典コンピュータ110と量子コンピュータ120とユーザ端末130とを備える。古典コンピュータ110と量子コンピュータ120とユーザ端末130とは、図1に示されるように、一例としてInternet Protocol(IP)ネットワークなどのコンピュータネットワークを介して接続されている。
本実施形態のハイブリッドシステム100においては、量子コンピュータ120が古典コンピュータ110からの要求に応じて所定の量子計算を行い、当該量子計算の計算結果を古典コンピュータ110へ出力する。古典コンピュータ110はユーザ端末130へ量子計算に応じた計算結果を出力する。これにより、ハイブリッドシステム100全体として所定の計算処理が実行される。
古典コンピュータ110は、通信インターフェース等の通信部111と、プロセッサの一例であるCPU(Central processing unit)等の処理部112と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む情報記憶部113とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成されている。なお、古典コンピュータ110は1又は複数の装置ないしサーバを含むことがある。また、当該プログラムは1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることできる。
量子コンピュータ120は、一例として、古典コンピュータ110から送信される情報に基づいて量子ビット群123のうちの少なくとも何れかの量子ビットへ照射するための電磁波を生成する。そして、量子コンピュータ120は、生成された電磁波を、量子ビット群123のうちの少なくとも何れかの量子ビットへ照射することにより、量子回路を実行する。
図1の例では、量子コンピュータ120は、古典コンピュータ110と通信を行う制御装置121と、制御装置121からの要求に応じて電磁波を生成する電磁波生成装置122と、電磁波生成装置122からの電磁波照射を受ける量子ビット群123とを備える。量子コンピュータ120のうちの電磁波生成装置122及び量子ビット群123は、QPU(Quantum processing unit)でもある。なお、本実施形態において「量子コンピュータ」とは、古典ビットによる演算を一切行わないことを意味するものではなく、量子ビットによる演算を含むコンピュータをいう。
制御装置121は、古典ビットにより演算を行う古典コンピュータであり、古典コンピュータ110において行うものとして本明細書にて説明する処理の一部又は全部を代替的に行う。例えば、制御装置121は、量子回路を予め記憶又は決定しておき、量子回路U(θ)のパラメータθを受信したことに応じて、量子ビット群123において量子回路U(θ)を実行するための量子ゲート情報を生成してもよい。
ユーザ端末130は、古典ビットにより演算を行う古典コンピュータである。ユーザ端末130は、ユーザから入力された情報を受け付け、当該情報に応じた処理を実行する。
古典コンピュータ110、制御装置121、及びユーザ端末130は、例えば、図2に示すコンピュータ50で実現することができる。コンピュータ50はCentral processing unit(CPU)51、一時記憶領域としてのメモリ52、及び不揮発性の記憶部53を備える。また、コンピュータ50は、外部装置及び出力装置等が接続される入出力interface(I/F)54、及び記録媒体に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部55を備える。また、コンピュータ50は、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F56を備える。CPU51、メモリ52、記憶部53、入出力I/F54、R/W部55、及びネットワークI/F56は、バス57を介して互いに接続される。
第1実施形態のハイブリッドシステム100は、量子状態をサンプリングすることにより、Selected CIにおける状態空間を決定する。
<第1実施形態のハイブリッドシステム>
第1実施形態のハイブリッドシステム100は、量子コンピュータ120を用いてSelected CIにおける状態空間を決定し、ハミルトニアンHの基底状態と基底状態エネルギーとを計算する。
[第1実施形態のハイブリッドシステム100の動作]
第1実施形態のハイブリッドシステム100の具体的な動作について説明する。ハイブリッドシステム100の各装置において、図3に示される各処理が実行される。
まず、ステップS100において、ユーザ端末130は、ユーザから入力された、計算対象に関する情報である計算対象情報と、計算方法に関する情報である計算方法情報とを、古典コンピュータ110へ送信する。
計算対象情報には、計算する対象の系に対応するハミルトニアンHが含まれている。また、計算対象情報には、基底状態を特徴付ける物理量を表す演算子と、その値とが含まれている。例えば、電子数2の状態を得たい場合、電子数を表す演算子Nと、その値を表す2とが計算対象情報に含まれる。なお、エネルギーとは異なる物理量も計算する場合、計算対象情報には、計算対象の物理量に対応する演算子の集合{Oi=1,・・・,nが含まれる。
計算方法情報には、例えば、状態を準備するための量子回路に関する情報、初期状態に関する情報、測定ショット数Nshotsに関する情報、及び古典計算量を定めるパラメータR等が含まれている。
なお、量子状態の準備は、様々な方法を利用することが可能である。例えば、VQEによる量子状態の準備、古典計算で最適化された手法による量子状態の準備、古典計算で厳密解が得られている場合の量子状態の準備、及びハミルトニアン等の情報のみから構成できる量子回路を利用することによる量子状態の準備(例えば、断熱状態準備又は虚時間発展)等が挙げられる。
次に、ステップS102において、古典コンピュータ110は、ユーザ端末130から送信された計算対象情報及び計算方法情報を受信する。そして、ステップS102において、古典コンピュータ110は、計算方法情報のうちの量子回路Uの構造に関する情報に基づいて、量子回路の構造を決定する。また、ステップS102において、古典コンピュータ110は、計算方法情報のうちの初期状態に関する情報に基づいて、量子の初期状態を決定する。また、ステップS102において、古典コンピュータ110は、計算方法情報のうちの測定ショット数に関する情報に基づいて、測定ショット数を決定する。
ステップS104において、古典コンピュータ110は、量子計算に必要な各種情報を量子コンピュータ120へ送信する。具体的には、古典コンピュータ110は、ステップS102で決定された量子回路の構造、初期状態、及び測定ショット数と、ステップS102で受信した計算方法情報及び他の計算対象情報とを、量子コンピュータ120へ送信する。
ステップS106において、制御装置121は、ステップS104で古典コンピュータ110から送信された各種情報を受信する。
ステップS108において、制御装置121は、ステップS106で受信した各種情報に応じた量子計算を量子コンピュータ120に実行させる。量子コンピュータ120は、制御装置121による制御に応じて、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより、その測定結果を取得する。量子測定とは、量子状態|ψ>に対するサンプリングであり、サンプリングとは量子状態をある基底(例えば、量子コンピュータ120における計算基底)に対して繰り返し射影測定することをいう。量子状態|ψ>に対する量子測定はNshots回繰り返される。なお、計算基底では、|000...0>から|111...1>までの2通りの結果が各測定によって得られる。Nは量子ビット数を表す。
具体的には、量子コンピュータ120は、制御装置121の制御に応じて、量子ビット群123のうちの少なくとも何れかの量子ビットへ照射するための電磁波を生成する。そして、量子コンピュータ120は、生成された電磁波を、量子ビット群123のうちの少なくとも何れかの量子ビットへ照射し、量子状態|ψ>を生成する量子回路を実行する。量子回路に含まれる各量子ゲートのゲート操作は対応する電磁波波形へと変換され、生成された電磁波が電磁波生成装置122によって量子ビット群123に照射される。そして、量子コンピュータ120は、測定により得られた測定結果を出力する。なお、本実施形態では、電磁波の照射によって量子回路が実行される場合を例に説明するが、これに限定されるものではなく、異なる方式によって量子回路が実行されてもよい。
ステップS110において、制御装置121は、ステップS108で得られた測定結果を、古典コンピュータ110へ送信する。
ステップS112において、古典コンピュータ110は、ステップS110で制御装置121から送信された測定結果を受信する。次に、古典コンピュータ110は、測定結果からR個の測定値を選択する。なお、例えば、古典コンピュータ110は、R個の測定値を選択する際、測定結果のうちの出現回数が多いR個の測定値又は出現回数が所定値以上であるR個の測定値を選択する。または、例えば、古典コンピュータ110は、R個の測定値を選択する際、測定結果に含まれる誤りを検出し、誤りが検出されなかった測定値から頻度の高い順にR個の測定値を選択する。
例えば、Nshots=10である場合、測定結果が以下であったとする。
|001>:6回
|100>:2回
|011>:1回
|000>:1回
上記においてR=2である場合には、上位2個の{|001>,|100>}が選択される。
一般に、量子状態がいくつか与えられると、それらのありうる重ね合わせをすべて含むような空間を定義することができる。本実施形態では、上述したR個の量子状態により探索空間Hが設定される。
上述したようにR=2である場合には、探索空間Hが表す状態の集合は以下の式|φ>によって表される。なお、a,bは、規格化条件|a|+|b|=1を満たす複素数である。
|φ>=a|001>+b|100>
ステップS114において、古典コンピュータ110は、ステップS102で受信した計算対象の系のハミルトニアンHと、ステップS112で選択されたR個の測定値とに基づいて、既知のSelected CI手法を用いて、有効ハミルトニアンを生成する。なお、この際、求めたい基底状態が物理量によって特徴づけられている場合、古典コンピュータ110は、ハミルトニアンHに対して所定のペナルティ項を付加した上で、有効ハミルトニアンを生成するようにしてもよい。
例えば、電子数が2であるような状態の中で最もエネルギーが低い状態を得たい場合には、電子数を表す演算子Nを利用することにより、(N-2)という演算子をハミルトニアンへ加えてから有効ハミルトニアンを生成する。これにより、ハミルトニアンの期待値を最小化するような状態として、<N>=2であるような状態が得られる。
ステップS116において、古典コンピュータ110は、既知のSelected CI手法を用いて、ステップS114で生成された有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、ハミルトニアンHの基底状態とハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する。有効ハミルトニアンを表す行列の対角化によって得られる固有ベクトルが基底状態を表し、得られる固有値が基底状態エネルギーを表す。
なお、エネルギーとは異なる物理量の期待値を計算する場合には、以下のステップS118において、以下の計算が実行される。
ステップS118において、古典コンピュータ110は、ステップS114で生成された有効ハミルトニアンを表す行列の対角化の結果に基づいて、既知の手法を用いて、演算子O1,・・・,の各々に対する有効演算子を生成する。そして、ステップS118において、古典コンピュータ110は、演算子O1,・・・,の各々に対する有効演算子に基づいて、基底状態における期待値<O,・・・,<O>を計算する。
ステップS120において、古典コンピュータ110は、ステップS116及びステップS118で得られた計算結果をユーザ端末130へ送信する。
ステップS122において、ユーザ端末130は、古典コンピュータ110から送信された計算結果を受信する。
以上説明したように、第1実施形態のハイブリッドシステムのうちの量子コンピュータは、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより量子測定の測定結果を取得し、測定結果を古典コンピュータへ送信する。古典コンピュータは、測定結果を受信し、測定結果から出現回数が多いR個の測定値又は出現回数が所定値以上であるR個の測定値を選択する。古典コンピュータは、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成する。そして、古典コンピュータは、有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、ハミルトニアンHの基底状態とハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する。これにより、量子コンピュータを用いてSelected CIを実行する際に、量子計算において発生し得る誤差を低減しつつ、Selected CIにおける状態空間を設定することができる。
具体的には、第1実施形態のハイブリッドシステムは、量子コンピュータを用いてSelected CIを実行する際に、量子コンピュータによって得られた測定結果から誤差の発生が少ないと考えられるR個の測定値を選択し、そのR個の測定値を用いてSelected CIを実行することにより、量子計算において発生し得る誤差を低減させつつ、Selected CIにおける状態空間を設定することができる。
また、古典コンピュータと量子コンピュータとの間の適切な役割分担により、量子計算において発生し得る誤差を低減させつつ、Selected CIにおける状態空間を設定することができる。
<第2実施形態のハイブリッドシステム>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態に係るハイブリッドシステムの構成は、第1実施形態と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態のハイブリッドシステム100は、量子コンピュータ120を用いてSelected CIにおける状態空間を決定し、ハミルトニアンHの励起状態と励起状態エネルギーとを計算する。第2実施形態のハイブリッドシステム100は、基底状態に代えて、励起状態を近似する量子状態を、量子回路を用いて準備する。
[第2実施形態のハイブリッドシステム100の動作]
第2実施形態のハイブリッドシステム100の具体的な動作について説明する。ハイブリッドシステム100の各装置において、図4に示される各処理が実行される。
まず、ステップS200において、ユーザ端末130は、ユーザから入力された、計算対象に関する情報である計算対象情報と、計算方法に関する情報である計算方法情報とを、古典コンピュータ110へ送信する。
計算対象情報には、計算する対象の系に対応するハミルトニアンHが含まれている。また、計算対象情報には、基底状態を特徴付ける物理量を表す演算子と、その値とが含まれている。例えば、電子数2の状態を得たい場合、電子数を表す演算子Nと、その値を表す2とが計算対象情報に含まれる。なお、エネルギーとは異なる物理量も計算する場合、計算対象情報には、計算対象の物理量に対応する演算子と状態との組み合わせの集合が含まれる。物理量に対応する演算子と状態との組み合わせの集合は{s,t,Ok=1,・・・,nによって表される。また、各kについてs,tはエネルギーが何番目に低い状態であるのかを表す。なお、エネルギーとは異なる量として遷移振幅<s|O|t>が計算される。例えば、s=tである場合には、計算結果は物理量Oに対する状態sについての期待値である。
計算方法情報には、例えば、N個の状態の各々を準備するための準備用量子回路に関する情報、N個の状態の各々の初期状態に関する情報、N個の状態の各々の測定ショット数に関する情報、及びN個の状態の各々の古典計算量を定めるパラメータR(i=1,・・・,N)等が含まれている。
ステップS202において、古典コンピュータ110は、ユーザ端末130から送信された計算対象情報及び計算方法情報を受信する。そして、ステップS202において、古典コンピュータ110は、計算方法情報のうちの量子回路Uの構造に関する情報に基づいて、N個の状態毎に量子回路の構造を決定する。また、ステップS202において、古典コンピュータ110は、計算方法情報のうちの初期状態に関する情報に基づいて、N個の状態毎に量子の初期状態を決定する。また、ステップS202において、古典コンピュータ110は、計算方法情報のうちの測定ショット数に関する情報に基づいて、N個の状態毎に測定ショット数を決定する。
ステップS204において、古典コンピュータ110は、量子計算に必要な各種情報を量子コンピュータ120へ送信する。具体的には、古典コンピュータ110は、ステップS202で決定されたN個の状態毎の量子回路の構造に関する情報、N個の状態毎の初期状態、及びN個の状態毎の測定ショット数と、ステップS202で受信した計算方法情報及び他の計算対象情報とを、量子コンピュータ120へ送信する。
ステップS206において、制御装置121は、ステップS204で古典コンピュータ110から送信された各種情報を受信する。
ステップS208において、制御装置121は、ステップS206で受信した各種情報に応じた量子計算を量子コンピュータ120に実行させる。量子コンピュータ120は、制御装置121による制御に応じて、N個の状態毎の量子回路構造に関する情報に基づいて、N個の状態毎に、複数回の量子測定を実行することにより、その測定結果を取得する。量子測定はN個の状態毎に複数回繰り返される。
ステップS210において、制御装置121は、ステップS208で得られた測定結果を、古典コンピュータ110へ送信する。
ステップS212において、古典コンピュータ110は、ステップS210で制御装置121から送信された測定結果を受信する。次に、古典コンピュータ110は、N個の状態毎に、状態に対応する測定結果からR(i=1,・・・,N)個の測定値を選択する。
ステップS214において、古典コンピュータ110は、ステップS202で受信した計算対象の系のハミルトニアンHと、ステップS212で選択されたN個の状態毎のR個の測定値とに基づいて、既知のSelected CI手法を用いて、N個の状態毎に有効ハミルトニアンH(i=1,・・・,N)を生成する。なお、この際、求めたい固有状態が物理量によって特徴づけられている場合、古典コンピュータ110は、ハミルトニアンHに対して所定のペナルティ項を付加した上で、有効ハミルトニアンを生成するようにしてもよい。
ステップS216において、古典コンピュータ110は、既知のSelected CI手法を用いて、ステップS214で生成されたN個の状態毎の有効ハミルトニアンH(i=1,・・・,N)を表す行列を対角化することにより、N個の状態毎にハミルトニアンHのi番目の固有状態とハミルトニアンHのi番目の固有状態エネルギーとを計算する。
古典コンピュータ110は、先に得られた基底状態を近似する状態と直交する状態のみを探索対象の状態とする。基底状態を|ψ>とし、かつ探索中の状態を|ψ>とした場合、|<ψ|ψ>|を計算対象のエネルギーに加算することにより、基底状態と直交する状態(すなわち、内積が0となる状態)が得られる。例えば、i番目の励起状態を求める場合には、i-1番目までの励起状態との内積の絶対値2乗もエネルギーに対して加算する。
具体的には、既に得られているi-1番目までの状態を|ψ>,・・・,|ψi-1>とした場合、α|<ψ|ψ>|+・・・+αi-1|<ψi-1|ψ>|をエネルギーに対して加算する。なお、α,・・・,αi-1は、予め設定され得る適切な係数である。なお、探索する空間は、基底状態と励起状態との間において異なっていても問題ない。これは、i-1番目までの固有状態を|ψ>,・・・,|ψi-1>として、i-1番目までの固有状態同士の外積α|ψ><ψ|+,・・・,+αi-1|ψi-1><ψi-1|を有効ハミルトニアンHに加えることにより実現される。なお、α,・・・,αi-1は、予め設定され得る適切な係数である。
なお、エネルギーとは異なる物理量の期待値を計算する場合には、ステップS218において、エネルギー以外の物理量の期待値の計算が実行される。基底状態と励起状態とを利用することにより、基底状態と励起状態との間の遷移振幅、複数の励起状態間の遷移振幅も計算することが可能となる。このため、状態を|ψ>,|φ>とし、かつ観測量を表す演算子をOとした場合、<ψ|O|φ>と書き表される量を計算することが可能となる。
ステップS218において、古典コンピュータ110は、ステップS214で生成された有効ハミルトニアンを表す行列の対角化の結果に基づいて、既知の手法を用いて、演算子O1,・・・,の各々に対する有効演算子を生成する。そして、ステップS218において、古典コンピュータ110は、演算子O1,・・・,の各々に対する有効演算子に基づいて、s番目の固有状態とt番目の固有状態との組み合わせから計算される遷移振幅<s|O|t>}k=1,・・・,nを計算する。
ステップS220において、古典コンピュータ110は、ステップS216及びステップS218で得られた計算結果をユーザ端末130へ送信する。
ステップS222において、ユーザ端末130は、古典コンピュータ110から送信された計算結果を受信する。
以上説明したように、第2実施形態のハイブリッドシステムのうちの量子コンピュータは、N個の状態毎に、複数回の量子測定を実行することにより量子測定の測定結果を取得し、N個の状態毎の測定結果を古典コンピュータへ送信する。古典コンピュータは、N個の状態毎の測定結果を受信し、N個の状態毎に、測定結果からR(i=1,・・・,N)個の測定値を選択する。古典コンピュータは、N個の状態毎に、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、ハミルトニアンHのi番目の固有状態とハミルトニアンHのi番目の固有状態エネルギーとを計算する。これにより、量子計算において発生し得る誤差を低減しつつ、量子コンピュータを用いてSelected CIを実行することができる。さらに、量子コンピュータを用いてSelected CIを実行することにより、励起状態と励起状態エネルギーとを得ることができる。
<第3実施形態のハイブリッドシステム>
次に、第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態に係るハイブリッドシステムの構成は、第1実施形態と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
第3実施形態のハイブリッドシステム100は、量子コンピュータ120を用いてSelected CIにおける状態空間を決定し、ハミルトニアンHの励起状態と励起状態エネルギーとを計算する。
ユーザが、ハミルトニアンHの基底状態と、ハミルトニアンHのN-1個の励起状態を求めたいとする。このような場合に対応するため、第3実施形態のハイブリッドシステム100は、量子回路を用いてM個の量子状態|ψ>(i=1,・・・,M)を準備し、そのM個の量子状態|ψ>(i=1,・・・,M)を、量子コンピュータ120を用いてサンプリングする。
そして、第3実施形態のハイブリッドシステム100は、サンプリングした結果である測定結果からR個の測定値を選択し、R個の測定値に対応する探索空間Hを設定する。
なお、最も自然であるのは、M=Nとして、求めたいN個の量子状態を近似するM=N個の状態を準備することである。しかし、極端な例としては、例えば、励起状態を3つ求めたい(N=4)としても、サンプリングする状態は基底状態を近似する状態のみ(M=1)ということもあり得る。
そこで、第3実施形態のハイブリッドシステム100は、R個の測定値に対応する探索空間Hにおいて有効ハミルトニアンを生成する。そして、第3実施形態のハイブリッドシステム100は、有効ハミルトニアンを対角化し、固有値を小さい順にN個取得する。これらのN個の固有値が基底状態エネルギー及び励起状態エネルギーを表し、対応する固有ベクトルが基底状態及び励起状態を表す。このため、第3実施形態のハイブリッドシステム100が実行する処理では共通の探索空間がM個の状態のサンプリング結果の組み合わせにより構成され、この点が、第2実施形態との違いである。以下、具体的に説明する。
[第3実施形態のハイブリッドシステム100の動作]
第3実施形態のハイブリッドシステム100の具体的な動作について説明する。ハイブリッドシステム100の各装置において、図5に示される各処理が実行される。
まず、ステップS300において、ユーザ端末130は、ユーザから入力された、計算対象に関する情報である計算対象情報と、計算方法に関する情報である計算方法情報とを、古典コンピュータ110へ送信する。
計算対象情報には、計算する対象の系に対応するハミルトニアンHと計算対象の状態数Nとが含まれている。また、計算対象情報には、基底状態や励起状態を特徴付ける物理量を表す演算子と、その値とが含まれている。例えば、電子数2の状態を得たい場合、電子数を表す演算子Nと、その値を表す2とが計算対象情報に含まれる。
なお、エネルギーとは異なる物理量も計算する場合、計算対象情報には、計算対象の物理量に対応する演算子と状態との組み合わせの集合が含まれる。物理量に対応する演算子と状態との組み合わせの集合は{s,t,Ok=1,・・・,nによって表される。また、各kについてs,tはエネルギーが何番目に低い状態であるのかを表す。なお、エネルギーとは異なる量として遷移振幅<s|O|t>が計算される。例えば、s=tである場合には、計算結果は物理量Oに対する状態sについての期待値である。
計算方法情報には、例えば、M個の状態の各々を準備するための準備用量子回路に関する情報、M個の状態の各々の初期状態に関する情報、M個の状態の各々の測定ショット数に関する情報、及び古典計算量を定めるパラメータR等が含まれている。
ステップS302において、古典コンピュータ110は、ユーザ端末130から送信された計算対象情報及び計算方法情報を受信する。そして、ステップS302において、古典コンピュータ110は、計算方法情報のうちの量子回路Uの構造に関する情報に基づいて、M個の状態毎に量子回路の構造を決定する。
また、ステップS302において、古典コンピュータ110は、計算方法情報のうちの初期状態に関する情報に基づいて、M個の状態毎に量子の初期状態を決定する。また、ステップS302において、古典コンピュータ110は、計算方法情報のうちの測定ショット数に関する情報に基づいて、M個の状態毎に測定ショット数を決定する。
ステップS304において、古典コンピュータ110は、量子計算に必要な各種情報を量子コンピュータ120へ送信する。具体的には、古典コンピュータ110は、ステップS302で決定されたM個の状態毎の量子回路の構造に関する情報、M個の状態毎の初期状態、及びM個の状態毎の測定ショット数と、ステップS302で受信した計算方法情報及び他の計算対象情報とを、量子コンピュータ120へ送信する。
ステップS306において、制御装置121は、ステップS304で古典コンピュータ110から送信された各種情報を受信する。
ステップS308において、制御装置121は、ステップS306で受信した各種情報に応じた量子計算を量子コンピュータ120に実行させる。量子コンピュータ120は、制御装置121による制御に応じて、M個の状態毎の量子回路構造に関する情報に基づいて、M個の状態毎に、複数回の量子測定を実行することにより、その測定結果を取得する。量子測定はM個の状態毎に複数回繰り返される。
ステップS310において、制御装置121は、ステップS308で得られた測定結果を、古典コンピュータ110へ送信する。
ステップS312において、古典コンピュータ110は、ステップS310で制御装置121から送信された測定結果を受信する。次に、ステップS312において、古典コンピュータ110は、M個の状態毎に得られた測定結果からR個の測定値を選択する。
ステップS314において、古典コンピュータ110は、ステップS302で受信した計算対象の系のハミルトニアンHと、ステップS312で選択されたR個の測定値とに基づいて、既知のSelected CI手法を用いて、有効ハミルトニアンを生成する。なお、この際、求めたい固有状態が物理量によって特徴づけられている場合、古典コンピュータ110は、ハミルトニアンHに対して所定のペナルティ項を付加した上で、有効ハミルトニアンを生成するようにしてもよい。
ステップS316において、古典コンピュータ110は、既知のSelected CI手法を用いて、ステップS314で生成された有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、ハミルトニアンHの1番目からN番目までの固有状態とハミルトニアンHの1番目からN番目の固有状態エネルギーとを計算する。
なお、エネルギー以外の物理量の期待値を計算する場合には、以下のステップS318において、以下の計算が実行される。
ステップS318において、古典コンピュータ110は、ステップS314で生成された有効ハミルトニアンを表す行列の対角化の結果に基づいて、既知の手法を用いて、演算子O1,・・・,の各々に対する有効演算子を生成する。そして、ステップS318において、古典コンピュータ110は、演算子O1,・・・,の各々に対する有効演算子に基づいて、s番目の固有状態とt番目の固有状態との組み合わせから計算される遷移振幅<s|O|t>}k=1,・・・,nを計算する。
ステップS320において、古典コンピュータ110は、ステップS316及びステップS318で得られた計算結果をユーザ端末130へ送信する。
ステップS322において、ユーザ端末130は、古典コンピュータ110から送信された計算結果を受信する。
以上説明したように、第3実施形態のハイブリッドシステムの量子コンピュータは、M個の状態毎に、複数回の量子測定を実行することにより量子測定の測定結果を取得し、M個の状態毎の測定結果を古典コンピュータへ送信する。古典コンピュータは、M個の状態毎の測定結果を受信し、測定結果からR個の測定値を選択する。古典コンピュータは、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、ハミルトニアンHの1番目からN番目までの固有状態とハミルトニアンHの1番目からN番目の固有状態エネルギーとを計算する。これにより、量子計算において発生し得る誤差を低減しつつ、量子コンピュータを用いてSelected CIを実行することができる。さらに、量子コンピュータを用いてSelected CIを実行することにより、基底状態と励起状態と基底状態エネルギーと励起状態エネルギーとを得ることができる。
また、上記各実施形態において説明した提案手法の優位性に関する説明をする。
従来から知られているVQEを利用する場合には、以下の4つの計算誤差が生じる。
(1)探索空間の制限による誤差
VQEでは、状態に対する仮定(ansatz)をおき、その範囲内で状態を探索するため、探索範囲に制限がある。このため、VQEでは、真の基底状態又は励起状態とは異なる状態が得られてしまう。
(2)最適化の不足による誤差
VQEでは、状態が探索されるため、その探索が不十分である場合又は探索の精度が不十分である場合には、得られる状態又はエネルギー等の物性値に誤差が生じる。
(3)量子コンピュータ実機のノイズによる誤差
現在の量子コンピュータには操作や測定自体に誤差が発生する。このため得られる結果にも誤差が生じる。
(4)量子測定による統計誤差
VQEによってエネルギーを計算する場合、エネルギーはサンプリング平均として得られるため、必然的に統計誤差が生じる。
これに対し、本実施形態の提案手法は、以下で説明するように、上述したVQEにおいて発生する誤差を低減させることができる。
具体的には、本実施形態の提案手法では、VQEにおいて用いられる探索空間のansatzによる制限は存在しなくなる。なお、本実施形態の提案手法は、ansatzによる制限の代わりに探索空間はRによって制限される。このため、Rを十分大きく設定することにより、ansatzによる探索空間の制限に比べてRによる探索空間の制限を小さくすることが可能である。
また、本実施形態の提案手法では、探索手法として「厳密対角化」が用いられる。「厳密対角化」には、最適な解が得られることが保証されたアルゴリズムが存在する。このため、本実施形態の提案手法においてそのような探索手法を採用することにより、最適化が不足するという事態を防ぐことが可能となる。
量子コンピュータの実機に発生するノイズは、状態のサンプリング結果に対して生じる。しかし、解きたい問題の性質を利用することにより、エラーのあるサンプリング結果を取り除くことができる。例えば、電子が存在していない状態を0、電子が存在している状態を1により表すとし、3つの電子軌道があるとする。電子の数が1つであるとわかっていれば、得られるはずの状態は|100>,|010>,|001>の何れかである。しかし、量子コンピュータの測定エラーにより|100>が|101>として測定される場合がある。これは電子の数が正しくないので、エラーが発生していると判定して、サンプリング結果から取り除くことができる。このため、古典コンピュータは、計算対象の問題の性質に基づいて、量子コンピュータによって得られた測定結果に発生しているエラーを検出し、エラーが検出された場合には、その測定結果からエラーを除外することができる。
統計誤差は、サンプリング結果である探索空間Hに対して生じる。この影響は、エネルギー等を直接サンプリング平均として得る場合に比べ桁違いに小さいことが以下の実施例において示される。
次に、実施例について説明する。本実施例では、本実施形態の提案手法と従来手法の数値的な比較結果を示す。なお、本実施形態の手法は、量子計算の結果に基づく Selected CI 法であるといえるため、Quantum-Selected Configuration Interaction : QSCIと称することも可能である。このため、以下に示す結果において、本実施形態の提案手法を単にQSCIと表記する場合がある。
図6は、従来手法(図6ではbitwise groupingと表記)と提案手法(図6ではproposed methodと表記)で得られた、ある分子系のエネルギーの統計誤差を示す図である。bitwise groupingとは、VQEを用いた際に発生する統計誤差を減らす一般的な手法である。bitwise groupingに関しては、例えば、以下の文献を参照されたい。
Vladyslav Verteletskyi, Tzu-Ching Yen, and Artur F. Izmaylov, "Measurement optimization in the variational quantum eigensolver using a minimum clique cover", J. Chem. Phys. 152, 124114 (2020), <https://aip.scitation.org/doi/10.1063/1.5141458>
図6に示す結果は、ハミルトニアンの厳密な基底状態(CASCI 状態)に対するサンプリング結果に基づきエネルギー推定をする際に生じる統計誤差の評価を表したものである。具体的には、ハミルトニアンの厳密な基底状態(図6では CASCI statevector と表記)に対してサンプリングを行い、提案手法を適用することで、基底状態のエネルギーを計算し、その際の統計誤差を図6のグラフの縦軸にプロットしている。統計誤差を見積もる際には、提案手法によるエネルギー推定を独立に10回(10 trials)繰り返して、得られた10個のエネルギー推定値の標準偏差(STD)をもって統計誤差としている。なお、従来手法であるbitwise grouping に関しても、同様に統計誤差を見積もっている。このため、図6のグラフの縦軸STD[Ha]は、独立な10回のエネルギー推定の結果の標準偏差を表し、統計誤差の見積もりとして使用する。図6のグラフの横軸は、量子状態を準備する回数に相当する測定ショットの総数である。なお、図6は、第1実施形態(基底状態とそのエネルギーの推定)に対する数値シミュレーションの結果を表すグラフである。
図6を参照すると、従来手法及び提案手法の何れにおいても、量子状態を準備する回数(total shots)が増加するにつれて統計誤差は減少していることがわかる。しかし、従来手法に比べ提案手法の方が統計誤差は小さく、またshot数を増やした際に誤差が減少する速度も速いことがわかる。
図7は、VQEで得られた状態(図7では実線で表記)の計算結果と、VQEで得られた各iterationでの状態に対して本実施形態の提案手法を異なるRを用いて実行した際の計算結果(図7では各種の点線で表記)とを示す図である。
図7に示す「Config」は、数値計算における各種条件である。「Molecule」は計算対象の分子であり、H2Oは水分子を表す。「CAS」はComplete-Active-Spaceを表し、CAS(6e,5o)は活性空間の電子数(6)と軌道数(5)を表す。「ansatz」は VQE で用いる試行状態の種類であり、SPRは symmetry preserving real ansatz(symmetry preserving ansatz において RZ回転を取り除いたもの)である。「n_qubit」は量子ビット数であり、「depth」は量子回路の深さである。また、図7のグラフの縦軸Diff to CASCI[Ha]は、Complete-Active-Space Configuration Interaction :CASCI法によって得られた解と各種計算結果とのエネルギー差である。図7のグラフの横軸は、VQE における最適化ステップの繰り返し回数である。本実施例では、CASCI法によって得られた解を厳密解とした。
図7を参照すると、本実施形態の提案手法を用いる際にRを十分に大きく設定することにより、VQEにより得られたエネルギー(図7では実線で表記)よりも低いエネルギー(すなわち、より正確なエネルギー)が得られていることがわかる。
図8及び図9は、量子コンピュータの実機において発生し得るノイズを考慮に入れてシミュレーションを行った場合の計算結果である。図8及び図9のグラフの縦軸は、厳密解と各種計算結果との差である。図8及び図9のグラフの横軸は、VQE における最適化ステップの繰り返し回数である。
なお、図8及び図9のMolecule:H4は1次元水素鎖H4 を表す。state vectorは、厳密な期待値計算に基づく VQE の結果を表す。Ry Ansatzは、Ry回転ゲートを備えた量子回路を表す。Configuration-Interaction Singles and Doubles : CISDは既知の古典手法である。CISDに関しては、例えば、〈https://gaussian.com/cid/>を参照されたい。
図9の結果は、古典コンピュータが計算対象の問題の性質(例えば、計算対象となる電子の数)に基づいて、量子測定の測定結果に発生しているエラーを検出し、その測定結果からエラーを除外した場合の計算結果である。図9の網掛け部分は、10回のシミュレーション結果の含まれる範囲を表している。一方、図8の結果は、測定結果からエラーを除外しなかった場合の計算結果である。
図8と図9とを比べると、計算対象の問題の性質に応じて量子測定の測定結果に発生しているエラーを除外する処理を行うことで、結果が大きく改善していることがわかる。特に測定結果からエラーを除外した場合には、CISDとほぼ同様の計算コストでより良い結果が得られていることがわかる。
図10は、Adaptive Sampling Configuration Interaction : ASCIと呼ばれる古典手法と、提案手法との比較を行った結果である。ASCIに関しては、例えば、以下の文献を参照されたい。
Norm M. Tubman, C. Daniel Freeman, Daniel S. Levine, Diptarka Hait, Martin Head-Gordon, and K. Birgitta Whaley, "Modern Approaches to Exact Diagonalization and Selected Configuration Interaction with the Adaptive Sampling CI Method", J. Chem. Theory Comput. 2020, 16, 4, 2139-2159, Publication Date:March 11, 2020, <https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jctc.8b00536>
図10に示されるグラフの縦軸は、各種計算結果と厳密解とのエネルギー差である。図10に示されるグラフの横軸は、選択された測定値の個数Rである。また、図10に示されるグラフ中のH12(d=1.5)は、1次元水素鎖 H12(原子間距離:1.5 Å)を表す。
ASCI法には様々なパラメータがあり、そのパラメータを調整することにより正確性と計算コストとのトレードオフを設定することが可能であるものの、図10に示されるグラフのように、一定の条件下では、本実施形の提案手法(QSCI)がASCI法に比べて優位であることがわかる。
なお、本開示の技術は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、古典コンピュータ110と量子コンピュータ120との間の情報の送受信はどのようになされてもよい。例えば、古典コンピュータ110と量子コンピュータ120との間における、量子回路のパラメータの送受信及び測定結果の送受信等は、所定の計算が完了する毎に逐次送受信が行われてもよいし、全ての計算が完了した後に送受信が行われてもよい。
また、上記実施形態では、ユーザ端末130から古典コンピュータ110へ計算対象情報が送信され、古典コンピュータ110が計算対象情報に応じた計算を実行する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。ユーザ端末130は、IPネットワークなどのコンピュータネットワークを介して古典コンピュータ110又は古典コンピュータ110がアクセス可能な記憶媒体又は記憶装置に計算対象情報を送信してもよいが、記憶媒体又は記憶装置に記憶して古典コンピュータ110の運営者に渡し、当該運営者が古典コンピュータ110に当該記憶媒体又は記憶装置を用いて計算対象情報を入力するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、電磁波の照射によって量子回路が実行される場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、異なる方式によって量子回路が実行されてもよい。
また、上記実施形態では、量子コンピュータ120が量子計算を実行する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、量子コンピュータの挙動を模擬する古典コンピュータによって量子計算が実行されてもよい。
また、上記実施形態では、異なる組織によって古典コンピュータ110及び量子コンピュータ120が管理されている場合を想定しているが、古典コンピュータ110及び量子コンピュータ120は同一の組織によって一体として管理されていてもよい。この場合には、量子計算情報の古典コンピュータ110から量子コンピュータ120への送信及び量子コンピュータ120から古典コンピュータ110への測定結果の送信は不要となる。また、この場合には、量子コンピュータ120の制御装置121において上述の説明における古典コンピュータ110の役割を担うことが考えられる。
なお、上記実施形態においては、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」ことを必ずしも意味しない。
また、上記実施形態において、「最適化する」又は「最適化されたパラメータ」等の表現が用いられている場合には、これら「最適化」の表現は、最適な状態に近づけることを意味することに留意されたい。このため、ある関数が最小となるようなパラメータを得ようとする場合、当該関数を最適化して得られたパラメータは、当該関数が最小となるような大局解ではなく、局所解である場合も想定されることに留意されたい。
また、何らかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、開示の技術の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本開示の技術の各態様の範囲外とするものではない。
また、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。
なお、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、プログラムがストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
また、本実施形態の各処理を、汎用演算処理装置及び記憶装置等を備えたコンピュータ又はサーバ等により構成して、各処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。もちろん、その他いかなる構成要素についても、単一のコンピュータやサーバによって実現しなければならないものではなく、ネットワークによって接続された複数のコンピュータに分散して実現してもよい。
また、本実施形態のハイブリッドシステムの各構成要素は、単一のコンピュータ又はサーバによって実現しなければならないものではなく、ネットワークによって接続された複数のコンピュータに分散して実現されてもよい。
例えば、上記実施形態の古典コンピュータが実行する処理は、ネットワークによって接続された複数の古典コンピュータが分散して処理するようにしてもよい。または、例えば、上記各実施形態の量子コンピュータが実行する処理は、ネットワークによって接続された複数の量子コンピュータが分散して処理するようにしてもよい。この場合には、少なくとも1以上の古典コンピュータと少なくとも1以上の量子コンピュータとによってハイブリッドシステムが構成される。
例えば、複数の古典コンピュータと複数の量子コンピュータとによってハイブリッドシステムが構成される場合、複数の量子コンピュータのうちの1以上の量子コンピュータが、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより量子測定の測定結果を取得し、測定結果を古典コンピュータへ送信する。そして、複数の古典コンピュータのうちの1以上の古典コンピュータが、測定結果を受信し、測定結果からR個の測定値を選択する。そして、複数の古典コンピュータのうちの1以上の古典コンピュータが、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、ハミルトニアンHの基底状態とハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (11)

  1. 古典コンピュータと量子コンピュータとを含むハイブリッドシステムのうちの古典コンピュータが実行する量子情報処理方法であって、
    前記量子コンピュータが、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより前記量子測定の測定結果を取得し、前記測定結果を前記古典コンピュータへ送信し、
    前記古典コンピュータが、前記測定結果を受信し、前記測定結果からR個の測定値を選択し、
    前記古典コンピュータが、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、前記有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、前記ハミルトニアンHの基底状態と前記ハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する、
    処理を古典コンピュータが実行する量子情報処理方法。
  2. 古典コンピュータと量子コンピュータとを含むハイブリッドシステムのうちの古典コンピュータが実行する量子情報処理方法であって、
    前記量子コンピュータが、N個の状態毎に、複数回の量子測定を実行することにより前記量子測定の測定結果を取得し、前記N個の状態毎の前記測定結果を前記古典コンピュータへ送信し、
    前記古典コンピュータが、前記N個の状態毎の前記測定結果を受信し、前記N個の状態毎に、前記測定結果からR(i=1,・・・,N)個の測定値を選択し、
    前記古典コンピュータが、前記N個の状態毎に、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、前記有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、前記ハミルトニアンHのi番目の固有状態と前記ハミルトニアンHのi番目の固有状態エネルギーとを計算する、
    処理を古典コンピュータが実行する量子情報処理方法。
  3. 古典コンピュータと量子コンピュータとを含むハイブリッドシステムのうちの古典コンピュータが実行する量子情報処理方法であって、
    前記量子コンピュータが、M個の状態毎に、複数回の量子測定を実行することにより前記量子測定の測定結果を取得し、前記M個の状態毎の前記測定結果を前記古典コンピュータへ送信し、
    前記古典コンピュータが、前記M個の状態毎の前記測定結果を受信し、前記測定結果からR個の測定値を選択し、
    前記古典コンピュータが、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、前記有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、前記ハミルトニアンHの1番目からN番目までの固有状態と前記ハミルトニアンHの1番目からN番目の固有状態エネルギーとを計算する、
    処理を古典コンピュータが実行する量子情報処理方法。
  4. 前記古典コンピュータが、前記ハミルトニアンHのi番目の固有状態と前記ハミルトニアンHのi番目の固有状態エネルギーとを計算する際に、
    1番目からi-1番目までの固有状態の各々についての、固有状態同士の外積を有効ハミルトニアンへ加算することにより、
    前記ハミルトニアンHのi番目の固有状態と前記ハミルトニアンHのi番目の固有状態エネルギーとを計算する、
    請求項2に記載の量子情報処理方法。
  5. 前記古典コンピュータが、R個又はR個の測定値の選択する際に、
    前記測定結果に含まれる誤りを検出し、誤りが検出されなかった測定値からR個又はR個の測定値を選択する、
    請求項1~請求項4の何れか1項に記載の量子情報処理方法。
  6. 前記古典コンピュータが、R個又はR個の測定値の選択する際に、
    出現回数が多いR個又はR個の測定値又は出現回数が所定値以上であるR個又はR個の測定値を選択する、
    請求項1~請求項4の何れか1項に記載の量子情報処理方法。
  7. 前記古典コンピュータが、前記有効ハミルトニアンを生成する際に、
    前記ハミルトニアンHに対して所定のペナルティ項を付加した上で、前記有効ハミルトニアンを生成する、
    請求項1~請求項4の何れか1項に記載の量子情報処理方法。
  8. 古典コンピュータと量子コンピュータとを含むハイブリッドシステムのうちの古典コンピュータに実行させるための量子情報処理プログラムであって、
    前記量子コンピュータが、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより前記量子測定の測定結果を取得し、前記測定結果を前記古典コンピュータへ送信し、
    前記古典コンピュータが、前記測定結果を受信し、前記測定結果から出現回数が多いR個の測定値又は出現回数が所定値以上であるR個の測定値を選択し、
    前記古典コンピュータが、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、前記有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、前記ハミルトニアンHの基底状態と前記ハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する、
    処理を古典コンピュータに実行させるための量子情報処理プログラム。
  9. 古典コンピュータと量子コンピュータとを含むハイブリッドシステムのうちの古典コンピュータであって、
    前記量子コンピュータが、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより前記量子測定の測定結果を取得し、前記測定結果を前記古典コンピュータへ送信し、
    前記古典コンピュータが、前記測定結果を受信し、前記測定結果から出現回数が多いR個の測定値又は出現回数が所定値以上であるR個の測定値を選択し、
    前記古典コンピュータが、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、前記有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、前記ハミルトニアンHの基底状態と前記ハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する、
    古典コンピュータ。
  10. 古典コンピュータと量子コンピュータとを含むハイブリッドシステムであって、
    前記量子コンピュータが、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより前記量子測定の測定結果を取得し、前記測定結果を前記古典コンピュータへ送信し、
    前記古典コンピュータが、前記測定結果を受信し、前記測定結果からR個の測定値を選択し、
    前記古典コンピュータが、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、前記有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、前記ハミルトニアンHの基底状態と前記ハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する、
    ハイブリッドシステム。
  11. 複数の古典コンピュータと複数の量子コンピュータとを含むハイブリッドシステムであって、
    複数の量子コンピュータのうちの1以上の量子コンピュータが、量子回路構造に関する情報に基づいて、複数回の量子測定を実行することにより前記量子測定の測定結果を取得し、前記測定結果を前記古典コンピュータへ送信し、
    複数の古典コンピュータのうちの1以上の古典コンピュータが、前記測定結果を受信し、前記測定結果からR個の測定値を選択し、
    複数の古典コンピュータのうちの1以上の古典コンピュータが、計算対象の系のハミルトニアンHと、選択されたR個の測定値とに基づいて、有効ハミルトニアンを生成し、前記有効ハミルトニアンを表す行列を対角化することにより、前記ハミルトニアンHの基底状態と前記ハミルトニアンHの基底状態エネルギーとを計算する、
    ハイブリッドシステム。
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