JP7476783B2 - 電池の皮膜形成方法および皮膜形成装置 - Google Patents

電池の皮膜形成方法および皮膜形成装置 Download PDF

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Description

開示する技術は、電池の皮膜形成方法および皮膜形成装置に関する。
近年では、ハイブリッド車、電気自動車など、電力を利用して走行する車両が増加している。これら車両には、車輪を駆動する駆動モータの電源として、大型のバッテリ(電池パック)が搭載されている。一般に、電池パックは、直列に接続した複数の電池セル(単電池)を大型のケースに収容することによって構成されている。
現在、電池セルには、リチウムイオン二次電池が多く用いられている。代表的なリチウムイオン二次電池は、リチウムを含有する遷移金属酸化物を含む材料で正極が構成され、黒鉛などの炭素系材料で負極が構成されている。リチウムイオン二次電池では、これら正極および負極が、セパレータで絶縁された状態で、リチウム塩および添加剤を含む有機溶媒からなる非水系の電解液と共に、電池ケースに収容されている。
リチウムイオン二次電池(以下、単に電池ともいう)では、その負極の表面に、電解液に起因して、電池の劣化を抑制する被膜、いわゆるSEI膜(Solid electrolyte interphase膜)が形成されることが知られている。そのため、電池の耐久性を向上させるために、電池の製造時に、SEI膜を形成する処理が行われている。
例えば、特許文献1では、充電前の電池に対して負極エージング処理を行っている。具体的には、その電池を低いレートで充電し、SOC(State Of Charge:電池の充電状態を百分率で表す指標)が10~30%(電圧の2.0V~3.6V程度に相当)となった状態で、1時間~7日間(実施例では約5日間)保持する処理を行っている。
SEI膜の形成メカニズムは複雑であるが、所定の低い電圧状態(低SOC状態)にすることにより、電解液が負極の表面で分解し、SEI膜が形成されると考えられている。そして、そのような低SOC状態に保持することによって、SEI膜の形成が促進できる。
特開2013-243116号公報
SEI膜の形成には、上述したように、電解液、特にその添加剤が関与していると考えられている。添加剤は、時間の経過に伴って分解していく。従って、SEI膜の形成は、早期に行うのが好ましい。その点、特許文献1のように、電池の製造時にSEI膜を形成すれば、SEI膜を効果的に形成できるので、電池の耐久性の向上に有効である。
しかし、電池の製造時にSEI膜を形成する場合、工数が増えるうえに、その処理に時間を要する。そのため、それに応じた充電設備、保管場所などの確保が必要になる。それにより、設備、コストなどの観点から、現実的には適切な条件で行うことは難しい。従って、電池の製造時にSEI膜を形成する場合、SEI膜の形成が不十分になるおそれがある。
それに対し、電池の製造後、つまり、車両に電池を搭載し、電池を使用しながら適切なSEI膜を形成することが考えられる。しかし、SEI膜を形成するには、上述したように、電池を所定の低SOC状態にする必要がある。電池をそのような低SOC状態まで放電すると、その後、車両を適切に駆動できなくなるおそれがある。ドライバー心理としても、電池パックをそのような低SOC状態にすることには抵抗がある。
そこで、開示する技術の主たる目的は、車両に搭載した状態の電池に対して、本来の電源機能を損なうことなく電極の保護被膜が形成できるようにすることで、電池の耐久性を向上させることにある。
開示する技術は、車両に搭載されている電池パックが収容する複数の電池セルの負極に特定の被膜を形成する被膜形成装置に関する。
前記被膜形成装置は、前記電池セルの各々と電気的に接続されていて当該電池セルの各々の電圧の調整が可能なセル電圧調整器と、前記セル電圧調整器と電気的に接続されていて当該セル電圧調整器を制御して前記電池セルの各々に対して充電または放電を行う制御装置と、を備える。
前記制御装置が前記セル電圧調整器を制御することにより、複数の前記電池セルのうち、少なくともその一部の被膜形成対象セルに対して、前記被膜が形成される所定の低電圧帯になるまで放電させる被膜形成処理を実行するとともに、前記被膜形成対象セルとは別の充電可能な1以上の充電対象セルに対して、放電される電力を充電する電力移動処理を実行し、前記被膜形成対象セルを変更しながら前記被膜形成処理および前記電力移動処理を繰り返し実行する。
すなわち、電気自動車などでは、駆動用の電源として、複数の電池セルを収容した電池パックが搭載されている。この被膜形成装置は、その電池セルの負極に、特定の被膜、例えばSEI膜を形成する。
被膜形成装置は、これら電池セルの各々の電圧の調整が可能なセル電圧調整器と、そのセル電圧調整器を制御して電池セルの各々に対して充電または放電を行う制御装置とを備える。そして、その制御装置がセル電圧調整器を制御することにより、複数の電池セルのうち、少なくともその一部の電池セル(被膜形成対象セル)に対して、所定の低電圧帯になるまで放電させる処理(被膜形成処理)を実行するとともに、充電可能な他の電池セル(充電対象セル)に対して、放電される電力を充電する処理(電力移動処理)を実行する。そして、被膜形成対象セルを変更しながらこれら被膜形成処理および電力移動処理を繰り返し実行する。
電池セルの一部の被膜形成対象セルだけを放電して被膜形成処理を行うので、低電圧帯になるまで放電しても、電池パックの本来の電源機能を損なうことなく電極の保護被膜が形成できる。そして、被膜形成処理で放電される電力は、他の電池セルに充電して移動するだけなので、電池パックの充電状態は保持できる。そして、被膜形成対象セルを変更しながらこれら被膜形成処理および電力移動処理を繰り返し実行するので、多くの電池セルに適切な被膜を形成できる。従って、この被膜形成装置によれば、電池セル、ひいては電池パックの耐久性を向上させることができる。
前記被膜形成装置はまた、前記被膜形成処理を、少なくとも2つ以上の前記被膜形成対象セルに対して同時に実行する、としてもよい。
被膜形成処理は、低電圧帯になるまで放電させなければならないので、時間を要する。それに対し、少なくとも2つ以上の被膜形成対象セルに対して同時に被膜形成処理を実行すれば、効率的に処理が行える。従って、処理に要する時間を短縮できる。
前記被膜形成装置はまた、前記制御装置が、前記充電対象セルに充電可能な電力量を超えない範囲で、前記被膜形成対象セルの個数を設定する、としてもよい。
そうすれば、過剰な充電を防止できる。従って、電池セルの品質劣化、異常発熱などを抑制できるので、電池パックの耐久性、安全性の低下を回避できる。
前記被膜形成装置はまた、エンジン駆動による走行とモータ駆動による走行とが可能な車両に搭載されている電池パックが収容する複数の電池セルの負極に特定の被膜を形成する被膜形成装置であってもよい。
この場合、前記車両がエンジン駆動によって走行している時に、前記制御装置が前記セル電圧調整器を制御することにより、複数の前記電池セルのうち、少なくともその一部の被膜形成対象セルに対して、前記被膜が形成される所定の低電圧帯になるまで放電させる被膜形成処理を実行することができる。
本来的には、車両の走行中は電池パックが使用されるので、被膜形成処理は行えない。それに対し、この被膜形成装置であれば、エンジン駆動で走行することで、車両の走行中にも電池パックを不使用の状態にできる。従って、車両の走行中にも被膜形成処理が行えるので、この被膜形成装置は利便性に優れる。回生を利用すれば、走行中でも、放電した電池パックに充電できる。
前記被膜形成装置はまた、前記電池パックの充電状態が、所定の低充電状態以下になった時に、前記車両の走行をエンジン駆動に限定した状態で前記被膜形成処理を実行する、としてもよい。
電池セルの充電状態が高いと、被膜が形成できる低電圧帯まで放電するのに時間がかかる。それに対し、電池パックの充電状態が、所定の低充電状態以下になった時に、車両の走行をエンジン駆動に限定した状態で被膜形成処理を実行するようにすれば、効率的に被膜形成処理が実行できる。処理時間を大幅に短縮できる。
前記被膜形成装置はまた、前記被膜形成対象セルが複数である場合に、前記被膜形成対象セルの内部抵抗を計測し、内部抵抗の小さい前記被膜形成対象セルから優先的に、前記被膜形成処理を実行する、としてもよい。
特定の被膜の厚みは、後述するように、その電池の内部抵抗と正の相関関係が認められる。従って、被膜形成対象セルの内部抵抗を計測することで、被膜形成対象セルの被膜の厚みの大小、つまり被膜が適切か否かを判断することができる。そして、内部抵抗の小さい被膜形成対象セル、つまり被膜の厚みが小さい被膜形成対象セルから優先的に、被膜形成処理を実行するので、電池パック全体としての耐久性を、より効果的に向上できる。
前記被膜形成装置はまた、全ての前記電池セルの内部抵抗が所定値以上になるまで、前記被膜形成処理を繰り返し実行する、としてもよい。
そうすれば、全ての電池セルの被膜を適切な状態にできる。電池パック全体の耐久性が向上する。
前記被膜形成装置はまた、前記セル電圧調整器に、前記電池セルの全体の電圧バランスを調整するために前記電池パックに搭載されているバランス回路が利用されている、としてもよい。
一般に、電池パックには、バランス回路が搭載されている。従って、そのバランス回路をセル電圧調整器に利用すれば、既存の装置が利用できるので、製造コストの増加を回避でき、被膜形成装置を容易に実現できる。
開示する技術はまた、車両に搭載されている電池パックが収容する複数の電池セルの負極に特定の被膜を形成する、電池の被膜形成方法に関する。
前記電池の被膜形成方法は、複数の前記電池セルのうち、少なくともその一部の被膜形成対象セルに対して、前記被膜が形成される所定の低電圧帯になるまで放電させる被膜形成処理を実行するとともに、前記被膜形成対象セルとは別の充電可能な1以上の充電対象セルに対して、放電される電力を充電する電力移動処理を実行し、前記被膜形成対象セルを変更しながら前記被膜形成処理および前記電力移動処理を繰り返し実行する。
前記電池の被膜形成方法はまた、エンジン駆動による走行とモータ駆動による走行とが可能な車両に搭載されている電池パックが収容する複数の電池セルの負極に特定の被膜を形成する、電池の被膜形成方法であってもよい。
この電池の被膜形成方法の場合、前記車両がエンジン駆動によって走行している時に、複数の前記電池セルのうち、少なくともその一部の被膜形成対象セルに対して、前記被膜が形成される所定の低電圧帯になるまで放電させる処理を実行することができる。
これら電池の被膜形成方法によれば、上述した被膜形成装置と同様の作用効果が得られる。従って、車両に搭載した状態の電池に対して、本来の電源機能を損なうことなく特定の被膜を形成できる。その結果、電池の耐久性が向上する。
開示する技術に基づく電池の皮膜形成方法および皮膜形成装置によれば、車両に搭載した状態の電池に対して、本来の電源機能を損なうことなくSEI膜が形成できるようになる。その結果、電池の耐久性を向上させることができる。
実施形態における車両の主要な構成を示す概略図である。 電池パックの主要な構成を表したブロック図である。 セルバランス装置のタイプを説明するための図である。 電池セルの電圧とその充電状態SOCとの関係を示す図である。 SEI膜の厚みと電池の内部抵抗との関係を示す図である。 コントローラと、その主な関連機器との関係を示すブロック図である。 具体例1の被膜形成方法を示すフローチャートである。 図7のフローチャートの各過程に対応した電池セルの状態を概念的に示す図である。 具体例2の被膜形成方法を示すフローチャートである。 図9のフローチャートの各過程に対応した電池セルの状態を概念的に示す図である。
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
<車両>
図1に、開示する技術を適用するのに好適な自動車1(車両)を例示する。図1には、モータ駆動のみによって走行する電気自動車(EV)、および、モータ駆動およびエンジン駆動を組み合わせて走行するハイブリッド車(HEV)の双方の構成が表されている。
すなわち、EVの場合、駆動系の装置として、モータ2、インバータ3、バッテリ4、車載充電器5(外部電源接続器)などが自動車1に搭載されている。そして、制御系の装置として、モータ制御装置(MCU6)、バッテリ制御装置(BCU7)、車両制御装置(VCU8)などが自動車1に搭載されている。
HEVの場合、更にこれら装置に加え、駆動系の装置としてエンジン9が自動車1に搭載され、制御系の装置としてエンジン制御装置(ECU10)が自動車1に搭載されている。
モータ2は、走行時に駆動力を発生し、車輪を回転駆動する。自動車1のタイプにもよるが、この自動車1の場合、このモータ2はまた、回生時には発電機(ジェネレータ)としても機能する。バッテリ4はモータ2の電源である。従って、モータ2には、高い駆動力が求められる。
そのため、バッテリ4には、それに応じた大きな電力の供給が必要になる。電流が大きいと発熱等の問題があるため、電流は小さい方が好ましい。従って、バッテリ4は、例えば350Vなど、300V以上の高電圧に対応したものが多く用いられている。高電圧を出力するために、バッテリ4は、通常、複数の単電池を直列に接続して構成される。そのため、バッテリ4は、単電池に相当する複数の電池セル20を、1つのケースに収容した形態となっている(いわゆる電池パック、以下、バッテリ4を電池パック4ともいう)。
電池パック4では、複数の電池セル20を組み合わせることにより、1つの電池モジュールが構成されている。そして、その複数の電池モジュールを1つの大きなケースに収容することにより、電池パック4が構成されている。電池セル20は、1個の電池のみの場合だけでなく、並列に接続した複数の電池で構成されている場合もある。
電池セル20には、リチウムイオン二次電池が多く用いられている。代表的なリチウムイオン二次電池の場合、正極は、リチウムを含有する遷移金属酸化物を含む材料で構成されている。負極は、黒鉛などの炭素系材料で構成されている。そして、これら正極および負極が、セパレータで絶縁された状態で、リチウム塩および添加剤を含む有機溶媒からなる非水系の電解液と共に、電池ケースに収容されている。
各電池モジュールを構成している電池セル20の各々は、電気配線、バスバーなどにより、直列に接続されている。電池パック4には、これら電池セル20とは別に、電池セル20からの発熱を抑制する冷却装置も設置されている。電池パック4にはまた、電池セル20の各々の電圧のばらつきを均一化することにより、電池セル20の全体の電圧バランスを調整するセルバランス装置30も設置されている(電池セル20、セルバランス装置30など、電池パック4の構造の詳細は後述する)。
BCU7は、電池パック4と制御用の配線11で電気的に接続されている。BCU7は、セルバランス装置30と協働して、電池パック4の充電状態などを制御する。BCU7はまた、セルバランス装置30とVCU8との間の通信を中継する。
インバータ3は、モータ2と電池パック4との間に設置されている。インバータ3は、大きい電力が送電できる駆動用の配線12により、これらモータ2および電池パック4と電気的に接続されている、インバータ3は、電池パック4から供給される直流電流を交流電流に変換してモータ2に供給する。それにより、モータ2は回転する。
MCU6は、モータ2およびインバータ3と制御用の配線11で電気的に接続されている。MCU6は、要求されるモータ2の回転状態に応じてインバータ3の通電状態を制御する。MCU6はまた、モータ2およびインバータ3と、VCU8との間の通信を中継する。
車載充電器5は、駆動用の配線12により、バッテリ4と電気的に接続されている。車載充電器5は、駆動用の電気ケーブルを介して、自動車1とは別に設けられている蓄電ユニット13および充電ユニット14の双方と、電気的に接続できるように構成されている。
蓄電ユニット13は、外部から供給される電力を蓄電する機能を有している。充電ユニット14は、外部に電力を供給する機能を有している。これら蓄電ユニット13および充電ユニット14は、一体に構成されていてもよい。
車載充電器5は、電池パック4とこれら蓄電ユニット13および充電ユニット14との間で、双方向に送電可能に構成されている。それにより、電池パック4は、車載充電器5を通じて、蓄電ユニット13に大きな電力を比較的短時間で放電できる。電池パック4はまた、車載充電器5を通じて、充電ユニット14から大きな電力を比較的短時間で充電できる。
車載充電器5は、制御用の配線11でVCU8と電気的に接続されている。VCU8は、車載充電器5の送電状態を制御する。VCU8はまた、MCU6およびBCU7とも電気的に接続されている。それにより、VCU8は、MCU6およびBCU7を介して、モータ2、インバータ3、電池パック4、および、車載充電器5の作動を包括的に制御する。
VCU8は更に、図示しないが、自動車1の各種装置、例えば、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキなどに付設されている各種車載センサとも電気的に接続されている。VCU8は、これら車載センサから入力される信号に基づいて、自動車1がドライバーの要求に従って走行するようにモータ2等を制御する。
エンジン9は、公知の装置である。上述したように、エンジン9はHEVに搭載される。HEVの仕様に応じて様々なエンジン9が用いられる。ECU10は、制御用の配線11でエンジン9と電気的に接続されている。ECU10は、VCU8と協働して、エンジン9の作動状態を制御する。なお、図示のHEVでは車載充電器5を備えるが、HEVの場合、車載充電器5は必須でない。
<電池パック4>
図2に、電池パック4の主要な構成を表したブロック図を例示する。上述したように、電池パック4には、複数の電池セル20およびセルバランス装置30が搭載されている。
図示の電池パック4では、約3.6Vのリチウムイオン二次電池からなる電池セル20が使用されている。そして、96個の電池セル20が直列に接続されている。それにより、約350Vの高電圧に対応した1つの組電池が構成されている。組電池は、その両端に内部正極端子21および内部負極端子22を有している。
電池パック4の外面には、外部正極端子23、外部負極端子24、および通信用端子25が設けられている。内部正極端子21は外部正極端子23と接続されている。内部負極端子22は外部負極端子24と接続されている。外部正極端子23および外部負極端子24は、それぞれ、駆動用の電気配線12により、インバータ3および車載充電器5と接続されている。電池パック4は、これら外部正極端子23および外部負極端子24を通じて、外部に電気を放電したり外部から電気を充電したりする。
セルバランス装置30は、バランス回路31、コントローラ40を有している。図例のバランス回路31は、電池セル20ごとに設置されたDC/ACコンバータ31a、変圧器31bなどで構成されている。セルバランス装置30は、上述したように、電池セル20の各々の電圧のばらつきを均一化することにより、電池セル20の全体の電圧バランスを調整する装置である。
セルバランス装置30には、その調整方法の違いにより、パッシブ型とアクティブ型とが存在する。パッシブ型のセルバランス装置の場合、複数の電池セル20の中で、電圧の高い電池セル20を放電させ、電圧の低い電池セル20に合わせるように電圧を調整する。アクティブ型のセルバランス装置の場合、電圧の高い電池セル20から電圧の低い電池セル20に電力を移動させることによって電圧を調整する。
図3に、組電池を概念的に示す。図3では、便宜上、組電池を構成する電池セル20を5個で表し、電池セル20毎に、その充電状態(SOC)を表している。満充電のSOCは100%であり、SOCは百分率によって表される。実用上は、SOC100%よりも低い値に充電の上限値Hiが設定され、0%のSOCよりも高い値に充電の下限値Loが設定される。
図3では、各電池セル20の充電状態を斜線模様によって表している。説明の便宜上、充電状態は誇張して表してある。なお、電池セル20の充電状態と電圧との間には、正の相関関係が認められる(図4参照)。従って、充電状態の高低は、電圧の高低として扱うことができる。
図3の上図に示すように、各電池セル20の充電状態がばらついていた場合を想定する。パッシブ型のセルバランス装置の場合、図3の右下図に示すように、バランス回路の抵抗に通電することなどにより、相対的に充電状態が高い電池セル20を放電させる。それにより、各電池セル20の充填状態を、充電状態が低い電池セル20と均等になるように調整する。
一方、アクティブ型のセルバランス装置の場合、図3の左下図に示すように、相対的に電圧が高い電池セル20では、バランス回路を通じて他の電池セル20に放電が行われ、相対的に電圧が低い電池セル20では、バランス回路を通じて他の電池セル20から充電が行われる。それにより、電池セル20全体の総充電量が、各電池セル20に均等に分配されるように調整される。
パッシブ型は、比較的制御が容易であるが、電圧バランスの調整のために電池セル20の電力を消費する。一方、アクティブ型は、電圧バランスの調整のために電力を消費しない。しかし、制御が複雑であり、調整に時間がかかる。
例えば、図2に示すセルバランス装置30は、アクティブ型である。コントローラ40は、各DC/ACコンバータ31a、および通信用端子25と接続されている。コントローラ40は、通信用端子25を通じてBCU7と接続されている。コントローラ40は、単独で、または、BCU7と協働して、各DC/ACコンバータ31aの動作を制御する。
DC/ACコンバータ31aには、対応する電池セル20に流れる電流を計測するセル電流計33、および、対応する電池セル20の電圧を計測するセル電圧計34が設けられている(図6に示す)。コントローラ40は、これらセル電流計33およびセル電圧計34から入力される計測値に基づいて、各電池セル20の充電状態を推定する。その推定結果に基づいて、各DC/ACコンバータ31aの動作を制御する。
そうして、個々の電池セル20の間で、電圧を調整しながら充電および放電を行う。このような制御を連続的に行うことで、複数の電池セル20の電圧バランスを調整していく。このように、アクティブ型のセルバランス装置30の場合、個々の電池セル20の電圧を推定しながら放電および充電を行って充電量を調整していくので、制御が複雑である。しかも、バランス回路31で一度に処理できる電力量は多くないので、電圧バランスの調整に時間がかかる。
(電池セル20の負極の被膜)
上述したように、各電池セル20の負極の表面には、電池の耐久性に影響する被膜(SEI膜)が形成される。そして、電池セル20の製造段階においてSEI膜が適切に形成されているとは限らない。SEI膜の形成が不適切であると、電池セル20の耐久性が低下し、電池パック4の寿命が短くなる。すなわち、SEI膜の厚みが大きいと、電池セル20の耐久性が高くなるが、SEI膜の厚みが小さいと、電池セル20の耐久性が低くなる。
上述したように、SEI膜は、電池が所定の低電圧の状態になることで、電解液が負極の表面で分解して形成される。そして、そのような低電圧の状態に保持することで、SEI膜の形成が促進される。
図4に、電池セル20の電圧(セル電圧)とその充電状態(SOC)との関係を示す。セル電池セル20とSOCとの間には、正の相関関係が認められる。SEI膜は、セル電圧がV2からV1で示す所定の低電圧帯(例えば、3.2V~3.1V)の範囲にある時に形成される。この低電圧帯は、SOCではC2からC1に相当する。
従って、電池セル20のSOCが、C2からC1の低SOC状態になるようにすれば、その電池セル20の負極にSEI膜を形成できる。そして、その低SOC状態に保持することで、SEI膜の厚みを大きくできる。SEI膜の厚みを大きくすれば、電池セル20、ひいては電池パック4の耐久性を向上させることができる。
本実施形態では、後述するように、放電を行って、低SOC状態の下限であるC1の充電状態にすることによってSEI膜を形成させる。それで不足な場合、C1の充電状態からC2の充電状態に充電することで、SEI膜を更に形成させる。それで不足な場合、充足するまで、C1の充電状態とC2の充電状態との間で充電および放電を繰り返す。
SEI膜の厚みは、その電池の内部抵抗から推定できる。図5に、SEI膜の厚みと電池の内部抵抗との関係を示す。SEI膜の厚みと電池の内部抵抗との間には、正の相関関係が認められる。従って、電池セル20の内部抵抗を計測すれば、その計測値からSEI膜の厚みを推定することができる。
電池セル20の内部抵抗は、例えば、その電池セル20に一定周波数の交流信号を印加して実行電流および電圧を計測し、これら計測値から算出することができる(いわゆる交流法)。また、電池セル20に大きさが異なる電流を流したときの電圧を計測し、これら計測値から算出することができる(いわゆる直流法)。
本実施形態の場合、各電池セル20に対応したDC/ACコンバータ31aのセル電流計33およびセル電圧計34から入力される信号に基づいて、コントローラ40が、個々の電池セル20の内部抵抗を算出する。コントローラ40には、適切なSEI膜の厚みtsに対応した内部抵抗値rsが設定されている。
この内部抵抗値rsは、適切な被膜形成の判断基準となる(基準抵抗値rs)。すなわち、基準抵抗値rsよりも内部抵抗が小さい電池セル20は、SEI膜の厚みは適切でなく、被膜形成が必要であると判断できる(被膜形成対象セル20a)。内部抵抗が基準抵抗値rs以上の電池セル20は、SEI膜の厚みは適切であり、被膜形成は不要であると判断できる。
(電池パック4に収容した状態での被膜の形成)
電池パック4に備えられている電池セル20、つまり製造後の電池セル20を、上述したような低SOC状態まで放電すると、その後、自動車1を適切に駆動できなくなるおそれがある。そこで、この自動車1では、電池パック4に求められる本来の電源機能を損なうことなく、自動車1に搭載した状態の電池パック4に適切なSEI膜が形成されるよう、コントローラ40などが工夫されている。
図6に、コントローラ40と、その主な関連機器との関係を示す。コントローラ40は、物理的な構成として、CPU40a、メモリ40bなどのハードウエアと、これらに実装された制御プログラムなどのソフトウエアを有している。コントローラ40はまた、機能的な構成として、平準化制御部41と、被膜制御部42とを有している。
平準化制御部41は、バランス回路31を制御することにより、セルバランス装置30の本来的な機能である平準化処理を実行する。すなわち、平準化制御部41は、上述したように、電圧の高い電池セル20から電圧の低い電池セル20に電力を移動させることにより、電池セル20の全体の電圧バランスを調整する処理を実行する。
被膜制御部42は、バランス回路31を制御することにより、セルバランス装置30の本来的な機能ではない被膜形成処理および電力移動処理を実行する。すなわち、被膜制御部42は、複数の電池セル20のうち、少なくともその一部の被膜形成対象セル20aに対して、被膜が形成される所定の低電圧帯になるまで放電させる処理(被膜形成処理)を実行するとともに、被膜形成対象セル20aとは別の充電可能な1以上の充電対象セル20bに対して、放電される電力を充電する処理(電力移動処理)を実行する。
なお、本実施形態では、被膜制御部42がコントローラ40のみで構成される場合を例示している。しかし、コントローラ40はBCU7と通信可能であることから、BCU7のみで被膜制御部42を構成したり、コントローラ40およびBCU7の双方で被膜制御部42を構成したりしてもよい。BCU7とコントローラ40とが協働して被膜形成処理および電力移動処理を実行するようにしてもよい。
本実施形態では、バランス回路31が、開示する技術におけるセル電圧調整器に相当する。そして、コントローラ40および/またはBCU7が、開示する技術における制御装置に相当する。バランス回路31をセル電圧調整器に用い、コントローラ40および/またはBCU7を制御装置に用いれば、既存の装置が利用できるから、開示する技術を容易に適用できる。開示する技術における被膜形成装置を比較的容易に実現できる。
<被膜形成方法の具体例1>
EVおよびHEVのいずれの自動車1にも適用できる被膜形成方法の具体例について説明する。
図7に、コントローラ40が実行する被膜形成方法の具体的な一例(フローチャート)を示す。図8に、図7のフローチャートの各過程に対応した電池セル20の状態を概念的に示す。なお、図8は、図3の組電池に対応して表してある。
図8では、各電池セル20を符号a~eで区別する。各電池セルa~eの内部抵抗を、それぞれra~reとする。そして、図8の左上に示す初期状態S0において、これら電池セルa~eの内部抵抗値ra~reを基準抵抗値rsと比較すると、内部抵抗ra,rbは、基準抵抗値rsより大きく、内部抵抗rc,rd,reは、基準抵抗値rsより小さいものとする。そして、これら内部抵抗rc,rd,reの大小関係は、rcが最も小さく、reが最も大きいものとする(rc<rd<re)。
図7に示すように、コントローラ40は、イグニッションスイッチのオンオフの有無により、自動車1が不使用であるか否かを判断する(ステップS1)。コントローラ40は、イグニッションスイッチがオフであり、自動車1が不使用であると判断すると、電池パック4の充電状態(SOC)を推定する(ステップS2)。
すなわち、ここで推定するのは、個々の電池セル20の充電状態ではなく、電池セル20の全体としての充電状態(総充電量)である。電池パック4の充電状態は、例えば、外部正極端子23および外部負極端子24の各電圧と、これらを流れる電流などに基づいて推定できる。それにより、コントローラ40は、電池セル20の全体としての充電状態を取得する。図8では、初期状態S0における、電池セルa~eの各々の充電量の総量に相当する。
コントローラ40は、各電池セル20の内部抵抗を計測する(ステップS3)。そして、計測した内部抵抗の大きさに基づいて被膜形成対象セル20aを抽出する(ステップS4)。図8の初期状態S0では、基準抵抗値rsよりも内部抵抗が小さい電池セルc,d,eが、被膜形成対象セル20aとして抽出される。
コントローラ40は、被膜形成対象セル20aが複数有る場合、可能であれば、2つ以上の被膜形成対象セル20aに対して、同時に被膜形成処理を実行する。被膜形成処理では、比較的大きい電力量の放電および充電を行うので、時間を要する。特に、バランス回路31を用いた場合は一度に処理できる電力量が少ないため、更に時間を要する。それに対し、同時に複数の被膜形成処理を行うことで、処理時間が短縮でき、被膜形成処理が効率的に行える。
一方、被膜形成処理を行うと、被膜形成対象セル20aは、その間、電圧が低い低SOC状態になる。そして、充電しても直ぐには復帰できない。従って、例えば電池セル20の総数の半数程度など、同時に多くの電池セル20に対して被膜形成処理を行うと、電池パック4が適切な電力を出力できなくなるおそれがある。
そのため、コントローラ40は、内部抵抗の大きさに基づいて、被膜形成対象セル20aの優先順位付けを行う(ステップS5)。すなわち、内部抵抗が最も小さい(つまり、SEI膜の厚みが最も小さい)被膜形成対象セル20aを最優先とし、以下、内部抵抗の小さい被膜形成対象セル20aから順に優先順位付けする。図8では、初期状態S0において、最も内部抵抗が小さい電池セルcが第1位とされ、次に内部抵抗が小さい電池セルdが第2位とされ、最も内部抵抗が大きい電池セルeが第3位とされる。
コントローラ40は、電池パック4の現在の充電状態SOC(現状SOC)と、電池パック4の上限の充電状態SOC(上限SOC)とに基づいて、被膜形成処理が行える被膜形成対象セル20aの個数を、優先順位に基づいて計算する(ステップS6)。図8における初期状態S0の場合、現状SOCは、電池セルa~eの各々の充電量の総量に相当し、上限SOCは、電池セルa~eの各々の上限の充電量の総量に相当する。
上限SOCから現状SOCを減算することで、電力の移動によって充電可能な充電量を算出する。図8における初期状態S0の場合、充電の余地がある電池セルb,c,d,eの上限Hi以下に存在する空白領域の総充電量に相当する。
図8の初期状態S0では、電池セルc,d,eが被膜形成対象セル20aであるが、これら全てに対して被膜形成処理を実行、つまり、C1の充電状態になるまで放電する場合、それによって放電される電力は、他の電池セル20に充電する必要がある。
その場合、図8における初期状態S0では、電池セルbのみが充電対象セル20bとなる。そのため、電池セルc,d,eの全てに対して被膜形成処理を実行すると、電池セルbは、上限Hiを超える過剰な充電になる。そこで、コントローラ40は、充電対象セル20bに充電可能な電力量を超えない範囲で、被膜形成対象セル20aの個数の設定を行う。それにより、電池セル20の過剰な充電を防止する。
その際、コントローラ40は、被膜形成対象セル20aが複数である場合に、内部抵抗の小さい被膜形成対象セルaを優先的に設定する。すなわち、SEI膜の厚みが小さい被膜形成対象セル20aに対して、優先的に被膜形成処理を実行する。それにより、より劣化し易い電池セル20のSEI膜を、早期に適切な状態にできるので、電池パック4全体としての耐久性の低下程度を抑制できる。
図8における初期状態S0の場合、上述したように、第1位の電池セルcから第3位の電池セルeまで被膜形成処理を行うと、充電可能な電池セルb(充電対象セル20b)に全ての電力を充電しなければならないので、過剰充電になる。それに対し、第1位の電池セルcから第2位の電池セルdまで被膜形成処理を行うと、電池セルeも充電可能になる(充電対象セル20b)ので、過剰充電にならない。
また、電池セル20の総数のうち、被膜形成処理を行うのが半数以下であるので、電池パック4が電力を適切に出力できなくなることも抑制できる。従って、コントローラ40は、同時に被膜形成処理を実行する被膜形成対象セル20aの個数の2個に設定する。
そうして、コントローラ40は、バランス回路31を制御することにより、図8の第1状態S1に矢印で示すように、各電池セル20に対して充電および放電を行い、電力を移動させる処理を実行する。具体的には、選択した被膜形成対象セル20aである電池セルc、dに対して、充電状態SOCがC1なるまで放電を行う(ステップS7)。それと同時に、充電対象セル20bである電池セルb,eに対して、放電される電力の充電を行う(ステップS8)。
その結果、図8における第2状態S2となり、被膜形成対象セル20aである電池セルc、dでは、SEI膜が形成される。コントローラ40は、この第2状態S2になると、被膜形成対象セル20aである電池セルc、dの内部抵抗rc,rdを計測する(ステップS9)。そして、コントローラ40は、計測した内部抵抗を基準抵抗値rsと比較する(ステップS10)。
その結果、内部抵抗が基準抵抗値rsより小さい場合には(ステップS10でNo)、適切なSEI膜は形成されていないと推定し、コントローラ40は、再度、被膜形成処理および電力移動処理を実行する。具体的には、電池セルc、dに対して、充電状態SOCがC2なるまで充電を行う。それと同時に、電池セルb,eに対して、放電される電力の充電を行う。その結果、図8の第3状態S3となる。
そして、再度、電池セルc、dに対して、充電状態SOCがC1なるまで放電を行う(ステップS7)。それと同時に、電池セルb,eに対して、放電される電力の充電を行う(ステップS8)。その結果、図8の第4状態S4となり、電池セルc、dでは、SEI膜が更に形成される。
コントローラ40は、この第4状態S4になると、ステップS9、ステップS10を実行する。その結果、内部抵抗が基準抵抗値rsより小さい場合には、内部抵抗が基準抵抗値rs以上となるまで、これら処理を繰り返し実行する。
そうして、電池セルc,dの内部抵抗が基準抵抗値rs以上となった場合(ステップS10でYes)、コントローラ40は、未処理の被膜形成対象セル20aがあるか否かを判断する(ステップS11)。未処理の被膜形成対象セル20aは無い、つまり全ての電池セル20の内部抵抗が基準抵抗値rs以上となった場合には、処理を終了する。
一方、未処理の被膜形成対象セル20aが有る場合には、被膜形成対象セル20aを変更し、その被膜形成対象セル20aに対して、被膜形成処理および電力移動処理を実行する。図8の場合、未処理の被膜形成対象セル20a(電池セルe)が有る。従って、第5状態S5に矢印で示すように、被膜形成対象セル20aである電池セルeに対して、充電状態SOCがC1なるまで放電を行う(ステップS7)とともに、電池セルc,d(充電対象セル20b)に対して、放電される電力の充電を行う(ステップS8)。その結果、図8の第6状態S6となり、電池セルeにおいてもSEI膜が形成される。
その後、コントローラ40は、電池セルc、dの場合と同様に、電池セルeの内部抵抗が基準抵抗値rs以上となるまで、被膜形成処理および電力移動処理の実行を繰り返す。その結果、電池セルeの内部抵抗が基準抵抗値rs以上になれば、コントローラ40は、全ての電池セル20の内部抵抗が基準抵抗値rs以上となったと判断し、処理を終了する(ステップS11)。
コントローラ40は、全ての電池セル20の内部抵抗が基準抵抗値rs以上になるまで、被膜形成対象セル20aを変更しながら、被膜形成処理および電力移動処理の実行を繰り返す。従って、全ての電池セル20に対して適切な厚みのSEI膜を形成することができる。
その後は、セルバランス装置30の本来の機能を用いることにより、平準化処理が実行される。具体的には、コントローラ40(平準化制御部41)が、バランス回路31を制御することにより、図8の第7状態S7に示すように、各電池セル20の電圧バランスを調整する。
<被膜形成方法の具体例2>
HEVに適用できる被膜形成方法の具体例2について説明する。
EVの場合、モータ駆動による走行しかできないので、自動車1の走行時は、電池パック4は常に使用状態にある。それに対し、HEVの場合、エンジン駆動による走行が行えるので、自動車1の走行時に電池パック4を不使用状態にできる。また、HEVの場合、回生処理を行うことにより、電池パック4に充電することができる。この具体例2では、その特徴を利用して、走行中に、被膜形成処理および電力移動処理を実行する。
図9に、コントローラ40が実行する、その被膜形成方法の具体的な一例(フローチャート)を示す。図10に、図9のフローチャートの各過程に対応した電池セル20の状態を概念的に示す。図10の初期状態S0は、図8に示す具体例1の初期状態S0と同じものとする。
ただし、具体例2の被膜形成方法は、アクティブ型のセルバランス装置30に限らず、パッシブ型のセルバランス装置でも行える。従って、具体例2では、セルバランス装置30がパッシブ型である場合についても適宜説明する。
図9に示すように、コントローラ40は、イグニッションスイッチのオンオフの有無により、自動車1が使用状態にあるか否かを判断する(ステップS21)。コントローラ40は、イグニッションスイッチがオンであり、自動車1が使用状態にあると判断すると、電池パック4の充電状態(SOC)を推定する(ステップS22)。
コントローラ40は、各電池セル20の内部抵抗を計測する(ステップS23)。そして、計測した内部抵抗の大きさに基づいて被膜形成対象セル20aを抽出する(ステップS24)。図10の初期状態S0では、具体例1と同様に、基準抵抗値rsよりも内部抵抗が小さい電池セルc,d,eが、被膜形成対象セル20aとして抽出される。
そして、コントローラ40はまた、内部抵抗の大きさに基づいて、被膜形成対象セル20aの優先順位付けを行う(ステップS25)。それにより、最も内部抵抗が小さい電池セルcが第1位とされ、次に内部抵抗が小さい電池セルdが第2位とされ、最も内部抵抗が大きい電池セルeが第3位とされる。
これら被膜形成対象セル20aの個数は、電池セル20の総数の半数を超える。従って、これら被膜形成対象セル20aの全てに対して被膜形成処理を実行すると、電池パック4が適切な電力を出力できなくなるおそれがある。そこで、コントローラ40は、優先順位に基づき、電池セルc、dに対して優先的に被膜形成処理を実行する。
次に、コントローラ40は、電池パック4の充電状態SOCが所定の低充電状態(Cs%)より低いか否かを判断する(ステップS26)。HEVがモータ駆動による走行を行えば、電池パック4の電力を消費する。Cs%は、例えば、10%、20%程度の値であり、予めコントローラ40に設定されている。図10の第1状態S1に、そのようなCs%の低充電状態を例示する。
電池パック4の充電状態SOCが高いと、各電池セル20の充電状態SOCも高くなる。電池セル20の充電状態が高いと、低SOC状態になるまでの放電量が多いので、被膜形成処理の時間が長くなる。対して、電池セル20の充電状態が低ければ、低SOC状態になるまでの放電量が少ないので、短時間で低SOC状態にできる。従って、効率的に被膜形成処理が行える。
コントローラ40は、電池パック4の充電状態SOCがCs%より低いと判断するまでは、通常の走行を行う(ステップS27)。そして、コントローラ40は、電池パック4の充電状態SOCがCs%より低いと判断すると、エンジン駆動のみによる走行に切り替える(ステップS28)。それにより、電池パック4は不使用の状態となる。
そこで、コントローラ40は、被膜形成処理を実行する。具体的には、図10の第1状態S1において矢印で示すように、電池セルc、dで放電を行う(ステップS29)。それと同時に、コントローラ40は、電力移動処理を実行する。具体的には、充電可能な充電対象セル20bに対して、放電される電力の充電を行う(ステップS30)。
図10における第1状態S1の場合、充電対象セル20bは電池セルa,b,eとなる。コントローラ40は、これらのいずれかに対して電力を移動し、充電を行う。なお、セルバランス装置30がパッシブ型である場合には、このとき放電のみが行われる。電力の移動はないので、ステップS30は無い。
その結果、図10の第2状態S2となり、電池セルc,dでは、SEI膜が形成される。コントローラ40は、この第2状態S2になると、電池セルc,dの内部抵抗を計測する(ステップS31)。そして、コントローラ40は、計測した内部抵抗を基準抵抗値rsと比較する(ステップS32)。
その結果、内部抵抗が基準抵抗値rsより小さい場合には(ステップS32でNo)、適切なSEI膜は形成されていないと推定し、コントローラ40は、再度、被膜形成処理および電力移動処理を実行する(ステップS29、S30)。
具体的には、電力移動処理により、電池セルc、dに対して、充電状態SOCがC2なるまで充電を行う。その結果、図10の第3状態S3となる。
なお、パッシブ型のセルバランス装置30の場合、電力移動処理による充電が行えないので、回生処理により、電池パック4に充電すればよい。必要な充電量は少ないので、短時間で第3状態S3のような状態にできる。
そして、再度、被膜形成対象セル20aである電池セルc、dに対して、充電状態SOCがC1なるまで放電を行う(ステップS29)。それと同時に、充電対象セル20bに対して、放電される電力を移動し、充電を行う(ステップS30)。その結果、図10の第4状態S4となり、電池セルc、dでは、SEI膜が更に形成される。
コントローラ40は、この第4状態S4になると、ステップS31、ステップS32を実行する。その結果、内部抵抗が基準抵抗値rsより小さい場合には、内部抵抗が基準抵抗値rs以上となるまで、これら処理を繰り返し実行する。
そうして、電池セルc,dの内部抵抗が基準抵抗値rs以上となった場合(ステップS32でYes)、コントローラ40は、未処理の被膜形成対象セル20aがあるか否かを判断する(ステップS33)。未処理の被膜形成対象セル20aは無い、つまり全ての電池セル20の内部抵抗が基準抵抗値rs以上となった場合には、処理を終了する。
一方、未処理の被膜形成対象セル20aが有る場合には、被膜形成対象セル20aを変更し、その被膜形成対象セル20aに対して、被膜形成処理および電力移動処理を実行する(ステップS34)。図10の場合、未処理の被膜形成対象セル20a(電池セルe)が有る。
従って、第5状態S5に矢印で示すように、電池セルeに対して、充電状態SOCがC1なるまで放電を行う(ステップS29)。それと同時に、充電対象セル20bに対して、放電される電力を移動し、充電を行う(ステップS30)。その結果、図10の第6状態S6となり、電池セルeにおいてもSEI膜が形成される。
その後、コントローラ40は、電池セルc,dの場合と同様に、電池セルeの内部抵抗が基準抵抗値rs以上となるまで、被膜形成処理および電力移動処理の実行を繰り返す。その結果、電池セルeの内部抵抗が基準抵抗値rs以上になれば、コントローラ40は、全ての電池セル20の内部抵抗が基準抵抗値rs以上となったと判断し、処理を終了する(ステップS33)。
コントローラ40は、全ての電池セル20の内部抵抗が基準抵抗値rs以上になるまで、被膜形成対象セル20aを変更しながら、被膜形成処理および電力移動処理の実行を繰り返す。従って、全ての電池セル20に対して適切な厚みのSEI膜を形成することができる。
その後、回生処理により、電池パック4に充電を行えば、電池セル20の全体の充電量を高めることができる。そして、セルバランス装置30の本来の機能によって、平準化処理を実行すれば、図10の第7状態S7に示すように、各電池セル20の電圧バランスを調整することができる。
このように、開示する技術に基づく被膜形成装置を搭載した自動車1であれば、初期状態での電池セル20のSEI膜の形成が不適切であっても、電池パック4本来の電源機能を損なうことなく、電池パック4に収容した状態で電池セル20のSEI膜を適切な状態にできる。従って、電池セル20、ひいては電池パック4の耐久性を向上できる。
なお、上述した実施形態におけるハイブリッド車は、エンジン駆動とモータ駆動の組み合わせ、いわゆるパラレルハイブリッド車であったが、開示する技術は、エンジン駆動で発電される電力によるモータ駆動とバッテリ電力によるモータ駆動の組み合わせ、いわゆるシリーズハイブリッド車に適用してもよい。その場合、特許請求の範囲における「エンジン駆動による走行」とは「エンジン駆動で発電される電力によるモータ駆動による走行」を意味し、同様に「モータ駆動による走行」とは「バッテリ電力によるモータ駆動による走行」を意味する。
1 自動車(車両)
2 モータ
3 インバータ
4 バッテリ(電池パック)
5 車載充電器(外部電源接続器)
6 モータ制御装置(MCU)
7 バッテリ制御装置(BCU)
8 車両制御装置(VCU)
9 エンジン
10 エンジン制御装置(ECU)
13 蓄電ユニット
14 充電ユニット
20 電池セル
20a 被膜形成対象セル
20b 充電対象セル
30 セルバランス装置
31 バランス回路
31a DC/ACコンバータ
31b 変圧器
40 コントローラ
41 平準化制御部
42 被膜制御部

Claims (10)

  1. 車両に搭載されている電池パックが収容する複数の電池セルの負極に特定の被膜を形成する被膜形成装置であって、
    前記電池セルの各々と電気的に接続されていて当該電池セルの各々の電圧の調整が可能なセル電圧調整器と、
    前記セル電圧調整器と電気的に接続されていて当該セル電圧調整器を制御して前記電池セルの各々に対して充電または放電を行う制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置が前記セル電圧調整器を制御することにより、複数の前記電池セルのうち、少なくともその一部の被膜形成対象セルに対して、前記被膜が形成される所定の低電圧帯になるまで放電させる被膜形成処理を実行するとともに、前記被膜形成対象セルとは別の充電可能な1以上の充電対象セルに対して、放電される電力を充電する電力移動処理を実行し、前記被膜形成対象セルを変更しながら前記被膜形成処理および前記電力移動処理を繰り返し実行する、被膜形成装置。
  2. 請求項1に記載の被膜形成装置において、
    前記被膜形成処理を、少なくとも2つ以上の前記被膜形成対象セルに対して同時に実行する、被膜形成装置。
  3. 請求項2に記載の被膜形成装置において、
    前記制御装置が、前記充電対象セルに充電可能な電力量を超えない範囲で、前記被膜形成対象セルの個数を設定する、被膜形成装置。
  4. エンジン駆動による走行とモータ駆動による走行とが可能な車両に搭載されている電池パックが収容する複数の電池セルの負極に特定の被膜を形成する被膜形成装置であって、
    前記電池セルの各々と電気的に接続されていて当該電池セルの各々の電圧の調整が可能なセル電圧調整器と、
    前記セル電圧調整器と電気的に接続されていて当該セル電圧調整器を制御して前記電池セルの各々を充電または放電させる制御装置と、
    を備え、
    前記車両がエンジン駆動によって走行している時に、前記制御装置が前記セル電圧調整器を制御することにより、複数の前記電池セルのうち、少なくともその一部の被膜形成対象セルに対して、前記被膜が形成される所定の低電圧帯になるまで放電させる被膜形成処理を実行する、被膜形成装置。
  5. 請求項4に記載の被膜形成装置において、
    前記電池パックの充電状態が、所定の低充電状態以下になった時に、前記車両の走行をエンジン駆動に限定した状態で前記被膜形成処理を実行する、被膜形成装置。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の被膜形成装置において、
    前記被膜形成対象セルが複数である場合に、前記被膜形成対象セルの内部抵抗を計測し、内部抵抗の小さい前記被膜形成対象セルから優先的に、前記被膜形成処理を実行する、被膜形成装置。
  7. 請求項6に記載の被膜形成装置において、
    全ての前記電池セルの内部抵抗が所定値以上になるまで、前記被膜形成処理を繰り返し実行する、被膜形成装置。
  8. 請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の被膜形成装置において、
    前記セル電圧調整器に、前記電池セルの全体の電圧バランスを調整するために前記電池パックに搭載されているバランス回路が利用されている、被膜形成装置。
  9. 車両に搭載されている電池パックが収容する複数の電池セルの負極に特定の被膜を形成する、電池の被膜形成方法であって、
    複数の前記電池セルのうち、少なくともその一部の被膜形成対象セルに対して、前記被膜が形成される所定の低電圧帯になるまで放電させる被膜形成処理を実行するとともに、前記被膜形成対象セルとは別の充電可能な1以上の充電対象セルに対して、放電される電力を充電する電力移動処理を実行し、前記被膜形成対象セルを変更しながら前記被膜形成処理および前記電力移動処理を繰り返し実行する、電池の被膜形成方法。
  10. エンジン駆動による走行とモータ駆動による走行とが可能な車両に搭載されている電池パックが収容する複数の電池セルの負極に特定の被膜を形成する、電池の被膜形成方法であって、
    前記車両がエンジン駆動によって走行している時に、複数の前記電池セルのうち、少なくともその一部の被膜形成対象セルに対して、前記被膜が形成される所定の低電圧帯になるまで放電させる処理を実行する、電池の被膜形成方法。
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