JP7475740B1 - 部分放電検出システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 部分放電を検出する部分放電検出センサの電量消費を抑える。【解決手段】 電力ケーブル10などの電気設備の表面に、部分放電を検出するための検出センサ100を複数貼付する。それぞれの検出センサ100には、中継器20に検出結果を無線通信するための回路が組み込まれており、検出結果は、中継器20を介して解析装置200に送信される。ここで、部分放電は非常に高周波であるため、検出センサ100の信号を全て中継器20に送信してしまうと、通信のための消費電力が多大となる。これを抑制するため、検出センサ100には、検出信号を所定の検出区間に分割した上で、複数の検出区間の時間軸を合わせて重畳または加算する回路を備えている。こうすることで、検出センサ100から中継器20に送信する信号の量を抑制することができ、消費電力を抑制することができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、電力ケーブルなどの電気設備で生じる部分放電を検出する技術に関する。
電力ケーブルなどの電気設備では、電力ケーブルの外装その他種々の部位が、適宜、絶縁材料によって絶縁されている。この絶縁材料に経年劣化や損傷が生じると、それらの部位に、部分的な電界集中によって、パルス状の微弱な放電が生じることがある。電気設備を適切な状態に保つためには、この部分放電を検出し、早期にメンテナンスを図ることが好ましい。
特許文献1は、電力ケーブルの部分放電を検出するためのセンサとして、電力ケーブルの遮蔽導体の外側に高誘電体層を介して電極を取り付ける技術を開示している。かかる方法で検出された信号は、無線通信でサーバ等に通信する手段がとられることが多い。この場合の通信量を抑制するための技術として、特許文献2は、センサで検出したデータを、複数の帯域に分解し、それぞれをダウンサンプリングする技術を開示している。
特開平9-178803号公報 特開2021-110746号公報
一般に、部分放電は、非常に高周波のパルスとなる。これを捉えられるように常にモニタしようとすれば、同じく高周波のサンプリングが必要となり、無線の通信量が膨大となってしまう。これは、無線通信のトラフィックの増大を招くとともに、無線通信のための電力消費が大きくなるという課題を招く。電力ケーブルの部分放電を検出するためには、電力ケーブルに複数のセンサを取り付ける必要があるため、上述した課題は、一層、顕著となってしまう。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされてものであり、部分放電の検出結果を無線通信する部分放電検出システムにおいて、無線通信のトラフィックおよび電力消費を抑制することを目的とする。
本発明は、
交流用の電気設備の絶縁部分に生じる部分放電を検出する部分放電検出センサであって、
前記部分放電を検出する電極と、
前記電極の検出信号を、前記電気設備の電源電圧の周期に応じて定められた所定長さの所定数の検出区間に分割し、各検出区間の開始時刻を基準として時間軸を合わせて、重畳または加算する検出信号処理部と、
該処理された結果を無線で送信する無線通信回路とを備える部分放電検出センサと構成することができる。
本発明では、検出信号を検出区間に区分、即ち分断する。そして、各検出区間の検出信号を、開始時刻を基準として時間軸を合わせる。つまり、開始時刻を時刻0とする相対時間に置き換える。その上で、所定数の検出区間の検出信号を重畳または加算するのである。こうすることによって、所定数分の検出区間の検出信号を、一つの検出区間分の検出信号にまとめることができる。従って、無線通信を行う場合に、通信のトラフィックを抑制することができ、また、通信に伴う消費電力を抑制することができる。
本発明は電力ケーブル、配電盤など種々の電気設備を対象とすることができる。
本発明において、検出区間の長さは、任意に設定可能である。部分放電は、電源電圧の周期に同期して発生することが多いから、検出区間の長さは、電源電圧に同期して設定することが好ましい。
重畳または加算する検出区間の数も任意に設定可能である。この数を多くすれば、トラフィックおよび消費電力の抑制に寄与する一方、送信の間隔が開くことになる。かかる影響を考えて、検出区間の数は設定すればよい。
検出信号の処理は、重畳または加算のいずれを採用してもよい。検出信号を重畳すれば、部分放電を示すパルスの密度が高くなる。また、検出信号を加算すれば、部分放電を示すパルスの検出値が大きくなる。いずれによっても、部分放電を精度良く検出することが可能となる。
本発明においては、
前記電極で検出される検出信号の周波数を、5~35MHzに同調する変換回路を備えてもよい。
部分放電は、非常に高周波のパルスとなるのが通常である。従って、その検出、検出結果の送信も高い周波数で行う必要があり、消費電力の増大を招くことになる。これに対して、上記態様によれば、変換回路によって検出信号の周波数を低減することができるため、消費電力を抑制することが可能となる。
部分放電検出センサで検出される検出信号は、5~35MHzと、50~100MHzにピークを有することが分かっている。消費電力を抑制するために周波数を低減する場合、50~100MHz帯よりは、5~35MHzの方が、より変換しやすい。上記態様によれば、部分放電の周波数を検出するとともに、低周波への変換も効率的に行うことができる利点がある。
前記変換回路は、同調回路、高周波増幅回路、検波回路、低周波増幅回路を備えているAM変調回路であるものとしてもよい。
こうすることで、周波数を低くすることができる。また、上述のAM変調回路であれば、一つのICチップも存在しており、比較的安価に入手することができる利点がある。
本発明においては、
前記電極で検出される検出信号の周波数を、50または60Hzに同調することで前記検出区間を規定する同期信号を生成する同期回路を備え、
前記検出信号処理部は、前記同期信号に基づいて前記検出区間を設定するものとしてもよい。
検出信号を電源電圧に同期した検出区間に分割する方法として、電源電圧の50または60Hzに合わせて予め定められた時間間隔で分割することも可能ではあるが、誤差によって徐々に検出区間の電源電圧との同期が保てなくなる可能性もある。上記態様によれば、電源電圧に応じた同期信号を生成することができるため、電源電圧と検出区間との同期を維持することが可能となる。
同期信号を生成する回路は、5~35MHzに同調する変換回路と同様のAM変調回路を用いることができる。
本発明においては、
前記検出信号処理部は、前記検出区間をさらに所定数の小区間に分割し、前記検出信号に基づいて前記小区間ごとの検出値を求め、前記各検出区間の該検出値を加算するものとしてもよい。
異なる検出区間における検出信号同士を加算する場合、検出信号の時間が一致していなくては、両者を加算することはできない。部分放電は非常に短いパルスであるため、2つの検出信号の時間が一致することは希である。しかし、上記態様によれば、小区間ごとに検出値を求めることにより、部分放電の検出信号が非常に短いパルスを、小区間の時間幅の矩形波に変換した状態とすることができる。従って、時間のずれを回避し、検出信号同士の加算値を得ることが可能となる。
上記態様において、小区間の幅は任意に設定可能である。小区間は、必ずしも均一の時間幅にする必要はなく、短いもの、長いものが混在してもよい。ただし、いずれの検出区間に対しても同様に設定された小区間を用いる必要がある。
本発明においては、
前記電気設備は、導体を絶縁性の外装で被覆した電力ケーブルであり、
前記電極は、前記外装の外側に貼付する導電体で形成された箔であるものとしてもよい。
電力ケーブルは非常に長いため、部分放電を適切に監視するためには、多数の電極を用いる必要が生じる。電極の数が増えれば、その分、検出信号の通信トラフィックおよび通信のための消費電力も増大することになる。本発明によれば、これらを抑制することができる点で、特に電力ケーブルに適用する場合に有用性が高い。
上述の態様では、箔を電極として用いるため、非常に簡易な構成で実現することができる利点もある。電力ケーブルは、絶縁性の外装で被覆されているため、ここに導電体の箔を貼付するだけで、部分放電による電磁波を補足することが可能となるのである。
従来技術として、電力ケーブルの部分放電を検出する目的で、電力ケーブルの遮蔽導体の外側に高誘電体層を介して電極を取り付ける方法も提案されている。この方法では、遮蔽導体に電極を取り付けるものであるから、遮蔽導体と絶縁した状態を形成する必要があり、高誘電体層を介在させる必要が生じるのである。これに対し、本発明では、遮蔽導体ではなく、電力ケーブルの最外装に電極を取り付けるため、高誘電体層を介在させる必要がない点で、簡易な構造とすることが可能となる。
電極として箔を用いる場合、その寸法は任意に定めることができる。一例として、電力ケーブルを構成する導体、その周囲を覆う絶縁体、遮蔽導体、外装および箔で構成される回路のインピーダンスと、電源電圧の周期を踏まえて、部分放電が発生する5~35MHzに共振させるための静電容量を求め、これを実現するように箔の寸法を決めてもよい。こうすれば、非常に感度良く部分放電を検出できる電極を実現することができる。
もっとも、本発明は、電力ケーブルのみを対象とするものではなく、配電盤など種々の電気設備を対象とすることができる。
また、電極も、上述した箔に限られるものではなく、例えば、TEVセンサとしてもよい。TEVセンサとして構成する場合には、導電性の薄板と、それに貼付した誘電体を備えるものとしてもよい。
本発明は、種々の態様で構成することができ、例えば、
交流用の電気設備の絶縁部分に生じる部分放電を検出する部分放電検出システムであって、
前記電気設備に取り付けられた複数の部分放電検出センサと、
前記電気設備における部分放電の発生を管理する解析装置と、
複数の前記部分放電検出センサからの無線通信を、前記解析装置に中継する中継器とを備え、
複数の前記部分放電検出センサから前記中継器への無線通信のタイミングが、少なくとも一部はずらして設定されている部分放電検出システムとしてもよい。
部分放電検出センサは、先に説明した種々の態様を適用することができる。
上記態様によれば、複数の部分放電検出センサから中継器への通信のタイミングがずらして設定されているため、通信が集中することを回避できる。全ての部分放電検出センサの通信タイミングを異なるものとしてもよいし、一部のみを異なるものとしてもよい。例えば、複数の部分放電検出センサを複数のグループに分け、グループごとに異なる通信タイミングを適用する方法が考えられる。
本発明において、以上で述べた種々の特徴は、必ずしも全てを備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり組み合わせたりしても良い。
部分放電検出システムの構成を示す説明図である。 検出センサの構成および原理を示す説明図である。 部分放電の検出結果を示すグラフである。 検出センサの通信回路の回路構成を示す説明図である。 検出信号の重畳処理例を示す説明図である。 検出信号の加算処理例を示す説明図である。 放電検出処理のフローチャートである。
以下、本発明の実施例について、電力設備としての電力ケーブルで生じた部分放電を検出するためのシステムを例にとって説明する。
図1は、部分放電検出システムの構成を示す説明図である。電力ケーブル10は、高電圧の電力を流すためのケーブルである。電力ケーブル10は、図示する通り、電力を流すための導体11、その周囲を覆う架橋ポリエチレンなどで構成された絶縁体12、さらにその周囲を覆う銅などで構成された遮蔽導体13、そして最も外側を覆うビニルその他の樹脂で構成された外装14を有している。
電力ケーブル10の外側には、部分放電を検出するための検出センサ100[1]~100[3]が取り付けられている。検出センサ100の数は任意であるが、部分放電を効果的に検出するためには、100~150m程度の間隔で設置することが好ましい。
検出センサ100で検出された信号は、無線通信で中継器20に送信され、ネットワークNEを介して解析装置200に送信される。中継器20は、検出センサ100をネットワークNEに接続するための機器であり、周知の種々の機器を利用できる。
検出センサ100と中継器20との通信は、任意のタイミングで行うことができる。本実施例では、通信トラフィックが集中することを避けるため、それぞれの検出センサ100[1]~100[3]が異なるタイミングで通信を行うように設定した。
解析装置200は、サーバに図示する各機能を実現するプログラムをインストールすることによってソフトウェア的に構築した。機能の一部または全部は、ハードウェア的に構成してもよい。
図示する各機能について説明する。
送受信部201は、検出センサ100等とネットワークNEを介して信号を送受信する機能を奏する。
放電検出部202は、検出センサ100で検出した信号に基づき、部分放電に該当するか否かを解析する。
アラート部203は、部分放電が検出され、配電盤に異常があると判断されるときに、アラートを出力する。アラートは、例えば、所定の通知先にメールを送信する方法など種々の方法で出力することができる。
センサデータベース204は、検出センサ100について、どの電力ケーブルのどの位置に設置されているか、といった情報を記憶するデータベースである。こうすることで、いずれかの検出センサ100から、部分放電を表す検出信号を受信したとき、どの電力ケーブルのどこで部分放電が生じているかを比較的容易に特定することができる。
検出ログ記憶部205は、検出センサ100の過去の検出結果を記憶する。過去の検出結果を記憶しておくことにより、例えば、部分放電がどの程度の頻度で発生しているかを確認でき、電力ケーブル10の異常の有無を解析したり予測することが可能となる。
部分放電検出システムは、図1に示した構成に限らず、種々の構成をとることができる。図示した以外の機能を追加してもよい。
図2は、検出センサの構成および原理を示す説明図である。
図2(a)には表側の斜視図を示し、図2(b)には裏側の斜視図を示した。検出センサ100は、樹脂などの基材101の表側に通信回路110を取付け、裏側に電極102を取り付けた構成となっている。検出センサ100は、裏面の電極102が、電力ケーブルの外装14に接触するように取り付けられる。
図2(c)に検出センサ100によって部分放電が検出できる原理を示した。電力ケーブル10の導体11、絶縁体12、遮蔽導体13の部分は、電気回路としてはコンデンサC1を形成することになる。また、遮蔽導体13、外装14、および電極102は、電気回路としてはコンデンサC2を形成することになる。そして、これらの回路全体は、接地電圧に対してインピーダンスZを有することになり、図示する回路図で表される。
部分放電が生じると、導体11に高周波のパルス状の電圧変化が生じるから、コンデンサC1、C2にそれぞれ電位の変化が生じることになる。従って、電極102に生じた電位の変化を検出すれば、部分放電の発生の有無を検出することが可能となる。
部分放電の検出感度を向上させるためには、回路全体が部分放電に対して共振しやすくなっていることが好ましい。図2(c)に示した回路のうち、コンデンサC1の静電容量およびインピーダンスZは既知であり、コンデンサC2の静電容量は電極102のサイズに応じて定まる。部分放電は、後述する通り、5~35MHzの高周波となることが知られているから、回路全体がこれに共振するようコンデンサC2の静電容量を求めればよい。一例として、50~100pF程度とすることができる。こうしてコンデンサC2の静電容量が求まると、それを実現するように電極の縦(電力ケーブルの周方向)の寸法LC、横(電力ケーブルの長手方向)の寸法LLを定めればよい。こうすることで、部分放電の検出感度を向上させることができる。もっとも、電極102のサイズは、かかる方法に限らず、任意に設定可能である。
図3は、部分放電の検出結果を示すグラフである。
図3(a)は、沿面放電における周波数成分を示している。50MHz以上の範囲の他、5~15MHzの範囲にピークが表れていることが分かる。
図3(b)は、ボイド放電における周波数成分を示している。50MHz以上の範囲の他、20~35MHzの範囲にピークが表れていることが分かる。
図3(c)は、コロナ放電における周波数成分を示している。50MHz以上の範囲の他、20~35MHzの範囲にピークが表れていることが分かる。
これらの結果より、部分放電は、50MHz以上の範囲の他、5~35MHzで生じることが分かる。従って、5~35MHzの周波数を検出するための回路を設ければ、部分放電を検出することが可能となる。なお、沿面放電を検出するために5~15MHzの周波数を検出してもよい。また、ボイド放電またはコロナ放電を検出するために20~35MHzの周波数を検出してもよい。
図4は、検出センサの通信回路110の回路構成を示す説明図である。通信回路110には、変換回路111、112および同期加算回路114、無線通信回路116が備えられている。
変換回路111、112は、高周波の入力を低い周波数に変換するための回路である。実施例では、5~35MHzに同調する高周波用の変換回路111と、50または60Hzに同調する同期信号用の変換回路112とを備えている。
変換回路111は、同調回路111a、高周波増幅回路111b、検波回路111c、低周波増幅回路111dを備えている。同調回路111aは、Q値を大きくすることで、幅広い周波数に同調させることができ、実施例では、部分放電のパルスの周波数である5~35MHzに同調するよう回路を設計してある。本実施例では、変換回路111として図示した回路を構成するAM変調のICチップを利用するものとした。こうすることで、変換回路111を安価かつ簡易に構成することができる。なお、変換回路111は、かかる構成に限らず、高周波の入力を低い周波数に変換する種々の構成を適用することができる。
実施例において、低周波に変換する理由は、次の通りである。部分放電は、一般的に非常に高周波のパルス状の電圧変化として現れるから、これを検出するためには、部分放電と同程度の高周波でサンプリングをする必要がある。かかる回路は、高価になるとともに、送信するデータ量も多大となり、その分、消費電力も大きくなる。実施例では、これを低周波に低減することにより、かかる課題を回避し、低コストで消費電力を抑えて部分放電を検出することが可能となるのである。
変換回路112も、変換回路111と同様、同調回路112a、高周波増幅回路112b、検波回路112c、低周波増幅回路112dを備えている。AM変調のICチップを利用できる点も同じである。変換回路112は、電源電圧の周波数である50または60Hzに同調するよう設計されている点で変換回路111とは相違する。変換回路112の出力は、後述する通り、検出信号を処理する際の同期信号として利用される。
同期加算回路114は、変換回路111、112を介して出力された信号を、AD変換した後、重畳または加算するための回路である。処理の内容は後述する。この処理によって、通信すべき検出信号の通信量をさらに抑制することが可能となる。
無線通信回路116は、同期加算回路114で処理されたディジタル信号を無線で中継器20に送信する。
図5は、検出信号の重畳処理例を示す説明図である。図の上部には、電源電圧の変化、および部分放電のパルスを模式的に示した。部分放電は、高周波のパルスであるが、電源電圧の変化と概ね同期して発生することが知られている。ただし、検出信号には種々のノイズも混じるため、部分放電を検出するためには、何サイクルかにわたってパルスが発生していることを確認する必要がある。
そこで、本実施例では、検出信号を電源電圧に同期した検出区間T1~T6に分割する。図中では、電源電圧の1サイクル分を1つの検出区間に設定しているが、数サイクル分を1つの検出区間としても差し支えない。また、検出区間T1~T6としたのは、図示の都合によるものであって、検出区間を6区間に限定する趣旨ではない。
検出区間を設定すると、部分放電による検出信号も、検出区間ごとに分割する。
次に、検出信号を、図の下部に示すように時間軸を合わせて重畳する。処理(1)は、検出区間T1の検出信号のみを表している。処理(2)は、検出区間T1と検出区間T2とを重畳した状態を表している。検出区間T1、T2の検出信号を、それぞれの検出区間の開始時点を時刻0とする相対的な時間軸に変換した上で重畳すればよい。
同様に、処理(3)は、検出区間T1~T3を重畳した状態を表し、処理(4)は検出区間T1~T4を重畳した状態を表し、処理(5)は検出区間T1~T5を重畳した状態を表し、処理(6)は検出区間T1~T6を重畳した状態を表している。
このように検出区間の検出信号を重畳することにより、部分放電によるパルスの密度が高くなり、部分放電が生じていることを容易に判断可能となる。また、かかる処理を施さない場合には、解析装置200に対して、検出区間T1~T6の検出信号を順次送信する必要が生じるのに対して、重畳処理を施した後は、処理(6)に示した1つの検出区間分の信号を送信すれば足りることになる。従って、通信量を抑制することができ、また通信に要する消費電力も抑制することが可能となる。
上述の例では、6つの検出区間を重畳する例を示したが、さらに多くの検出区間の検出信号を重畳すれば、通信量および消費電力の抑制効果はさらに向上する。ただし、検出信号を重畳することは、検出信号を間欠的に送信することを意味する。つまり、重畳の対象となる検出区間を増やせば、その分検出信号を送信する間隔が開くことになる。いくつの検出区間を重畳するかは、このように通信量および消費電力を抑制する効果と、通信間隔が開くことによる影響とを考慮して任意に決めればよい。
同期加算回路では、重畳処理に限らず、以下に示す加算処理を施すようにしてもよい。重畳処理と加算処理は、いずれか一方を施すようにしてもよいし、双方を行うようにしてもよい。
図6は、検出信号の加算処理例を示す説明図である。図5と同様、この処理では、検出信号を複数の検出区間T1~T6に分割する。さらに、それぞれの検出区間を8つの小区間に分割する。小区間の数は一例であり、8つに限定されるものではない。
そして、各小区間ごとに検出信号の強さを検出値として設定する。図の例では、処理(1)において、検出区間T1の検出値を求めている。1番目、2番目の小区間はパルスが検出されていないから検出値は0となる。3番目の小区間にはパルスが検出されているから検出値はパルスの強さに応じた値aとなる。こうして1~8番目の小区間には、図示する通り検出値が設定される。
同様にして、処理(2)~処理(6)では、検出区間T2~T6に対して検出値を設定することができる。
こうして検出値が設定されると、最後に、検出区間T1~T6の検出値を加算する。図の最下部に示した通り、2番目の小区間についてはd+e+h、3番目の小区間についてはa+g、6番目の小区間についてはb+c+f、その他の小区間については0というように加算結果が求まる。上述の処理によれば、部分放電が生じているとき、小区間の加算結果がそれに応じて大きな値となるため、部分放電の発生を容易に判断することが可能となる。
加算処理は、必ずしも図6で示したように小区間に分割して行う必要はない。ただし、部分放電は非常に高周波のパルスであるため、検出信号同士の時間がほぼ完全に同一でないと、検出信号同士は加算されず、図5に示した重畳処理と変わらない結果となってしまう。図6に示した処理は、かかる問題を回避し、高周波のパルス同士を加算しやすくする利点がある。
以上の処理を経て検出信号は、解析装置200に送信される。解析装置200は、検出信号に基づいて、部分放電が生じているか否かの検出を行う。
図7は、放電検出処理のフローチャートである。解析装置200が行う処理である。
処理を開始すると、解析装置200は、検出信号を受信し(ステップS10)、放電か否かを判定する(ステップS11)。放電の判定方法を図中に示した。図示するように、一例として、検出信号の強さが所定の閾値を超えるときに部分放電であると判定することができる。
重畳処理が施されている場合には、部分放電と考えられる閾値を超える検出信号の密度が所定以上存在する場合に、部分放電が発生していると判断してもよい。
また、加算処理が施されている場合には、閾値を大きい値に設定してもよい。こうすれば、ノイズが生じた程度では加算値が閾値を超えることはないから、部分放電の発生を誤検出するおそれを抑制できる。一方、部分放電が発生した場合には、パルスが複数回加算され、加算結果がこの閾値を超えることになるため、その発生を検出できる。
部分放電の判定は、上述した方法に限らず、その他種々の方法をとることができる。
部分放電が検出されないときは(ステップS12)、放電検出処理を終了する。
部分放電が検出されたときは(ステップS12)、解析装置200は、過去の検出ログを読み込み(ステップS13)、アラートの要否判定に基づきアラートを出力する(ステップS14)。アラートの要否は、例えば、過去の部分放電の検出回数、検出頻度などに基づいて判定することができる。アラートの出力は、例えば、予め決められた通知先にメールを送信する方法などによって行うことができる。ステップS13の処理は省略しても差し支えない。
以上で説明した実施例の部分放電検出センサ、および部分放電検出システムによれば、高周波で発生する部分放電を、低いコスト、消費電力で精度良く検出することができる。そして、検出信号を無線通信する場合に、通信量を抑制することができ、通信に要する消費電力を抑制することができる。
部分放電検出センサおよび部分放電検出システムは、実施例で説明した種々の特徴を必ずしも全て備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり組み合わせたりして構成してもよい。
実施例では、電力ケーブルに適用する例を示した。本発明は、かかる場合に限らず、配電盤その他種々の電力設備に適用可能である。また、部分放電検出センサとしては、実施例で示した導体の箔を用いたセンサだけでなく、TEVセンサ、高周波CTセンサなど種々のセンサに適用可能である。
本発明は、電気設備で生じる部分放電を検出するために利用することができる。
10 電力ケーブル
11 導体
12 絶縁体
13 遮蔽導体
14 外装
20 中継器
100 検出センサ
101 基材
102 電極
110 通信回路
111、112 変換回路
111a、112a 同調回路
111b、112b 高周波増幅回路
111c、112c 検波回路
111d、112d 低周波増幅回路
114 同期加算回路
116 無線通信回路
200 解析装置
201 送受信部
202 放電検出部
203 アラート部
204 センサデータベース
205 検出ログ記憶部

Claims (6)

  1. 交流用の電気設備の絶縁部分に生じる部分放電を検出する部分放電検出センサであって、
    前記部分放電を検出する電極と、
    前記電極の検出信号を、前記電気設備の電源電圧の周期に応じて定められた所定長さの所定数の検出区間に分割し、各検出区間の開始時刻を基準として時間軸を合わせて、重畳または加算する検出信号処理部と、
    該処理された結果を無線で送信する無線通信回路とを備える部分放電検出センサ。
  2. 請求項1記載の部分放電検出センサであって、
    前記電極で検出される検出信号の周波数を、5~35MHzに同調する変換回路を備える部分放電検出センサ。
  3. 請求項1記載の部分放電検出センサであって、
    前記電極で検出される検出信号の周波数を、50または60Hzに同調することで前記検出区間を規定する同期信号を生成する同期回路を備え、
    前記検出信号処理部は、前記同期信号に基づいて前記検出区間を設定する部分放電検出センサ。
  4. 請求項1記載の部分放電検出センサであって、
    前記検出信号処理部は、前記検出区間をさらに所定数の小区間に分割し、前記検出信号に基づいて前記小区間ごとの検出値を求め、前記各検出区間の該検出値を加算する部分放電検出センサ。
  5. 請求項1記載の部分放電検出センサであって、
    前記電気設備は、導体を絶縁性の外装で被覆した電力ケーブルであり、
    前記電極は、前記外装の外側に貼付する導電体で形成された箔である部分放電検出センサ。
  6. 交流用の電気設備の絶縁部分に生じる部分放電を検出する部分放電検出システムであって、
    前記電気設備に取り付けられた複数の請求項1~5いずれか記載の部分放電検出センサと、
    前記電気設備における部分放電の発生を管理する解析装置と、
    複数の前記部分放電検出センサからの無線通信を、前記解析装置に中継する中継器とを備え、
    複数の前記部分放電検出センサから前記中継器への無線通信のタイミングが、少なくとも一部はずらして設定されている部分放電検出システム。


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