JP7475146B2 - 物品管理システムおよび物品管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、物品管理システムおよび物品管理方法に関する。
インターネット上には、EC(Electronic commerce)サイトが多数開設されている。企業は、ECサイトを用いて商品の通信販売を行うことで、商品販売に要する人件費を低減できる等の利点がある一方、ECサイトを利用するユーザには、実店舗に行かなくても商品を購入できる利点がある。そのため、ECサイトを利用してさらなる販売促進効果を意図した仕組みが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2017-091268号公報
ところで、近年では、実店舗で商品を確認してから自宅等でECサイトを利用して同一商品を購入する、といった商品の購入方法も行われている。例えば、商品在庫を持たずに商品の確認や試着のサービスに特化し、実際の購入はECサイトの利用を促すショールーム型店舗が増加している。このようなショールーム型店舗では、ユーザは、後のECサイトでの購入等のため、店舗で興味を持った商品に取り付けられているラベルのバーコード等の商品情報をユーザ端末でスキャンするという操作が必要である。しかし、このようなスキャン操作はユーザにとって煩雑であり、また、それに起因して店舗側でも販売機会を失うこととなっていた。
そこで、本発明の目的は、ユーザがエリア内の物品の物品情報を煩雑な操作を行うことなく取得可能にすることである。
本発明のある態様は、エリア内に存在する一以上の物品を管理する物品管理システムであって、前記エリア内の物品に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、前記物品の動きを示すセンサデータを検出し、固有のタグ識別情報を記憶する無線タグと、前記無線タグと無線通信である場合に、前記無線タグから前記タグ識別情報と前記センサデータとを取得するユーザ端末と、前記物品を識別する物品情報を、前記物品に取り付けられている無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶する記憶部を有する情報処理装置と、を含み、前記情報処理装置は、前記ユーザ端末から取得した前記無線タグのタグ識別情報と前記センサデータと、前記ユーザ端末のユーザ識別情報とが対応付けられた情報を取得し、取得した前記センサデータに基づいて前記無線タグが取り付けられた物品の所定の動きを検出した場合に、前記無線タグのタグ識別情報に対応付けられた物品に関する物品情報を前記ユーザ端末のユーザ識別情報に対応付ける、物品管理システムである。
本発明のある態様によれば、ユーザは、エリア内の物品の物品情報を煩雑な操作を行うことなく取得できる。
第1の実施形態の商品管理システムのシステム構成を概略的に示す図である。 第1の実施形態の商品管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。 IoTタグから送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。 商品データベースのデータ構成例を示す図である。 ユーザデータベースのデータ構成例を示す図である。 第1の実施形態の商品管理システムの動作を示すシーケンスチャートである。 第1の実施形態の商品管理システムにおいてユーザ端末の画面例を示す図である。 第2の実施形態の商品管理システムの動作を示すシーケンスチャートである。 第3の実施形態の商品管理システムのシステム構成を概略的に示す図である。 第3の実施形態の商品管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。 第3の実施形態の商品管理システムの動作を示すシーケンスチャートである。
以下、物品管理システムの一実施形態である商品管理システムについて図面を参照して説明する。
本開示において「物品」とは、例えば製品、半製品(製造途中にある中間段階の製品)、商品等の有体物を意味する。以下の実施形態では、物品の一例として商品を挙げる。
本開示において、物品を識別する識別情報(物品情報)をユーザ端末に対応付けることは、物品情報をユーザ端末の固有の端末識別番号、個体識別番号、契約者固有IDなどに対応付けることでもよいし、ユーザ端末を使用するユーザを例えば特定のアプリケーションにおいて特定するユーザIDに対応付けることでもよい。
本開示におけるIoTタグの通信距離は一例に過ぎず、限定されない。IoTタグの通信距離は、IoTタグの用途に応じて適宜変更若しくは調整可能である。
(1)第1の実施形態
(1-1)商品管理システムのシステム構成
先ず、図1を参照して本実施形態の商品管理システム1のシステム構成について説明する。図1は、本実施形態の商品管理システム1のシステム構成を概略的に示す図である。
図1に示す店舗は、例えば、商品在庫を持たずに商品の確認や試着のサービスに特化し、実際の購入はECサイトの利用を促すショールーム型店舗であるが、その限りではない。図1の店舗は、その場で商品を購入可能な通常の店舗であってもよい。
本実施形態の商品管理システム1では、店舗の来店者CSが店舗内の商品に興味を持って手に取った場合に、当該商品の情報が来店者CS(ユーザ)と関連付けてアプリケーションサーバ5に記録され、来店者CSに対して後のECサイトでの購入を支援するように構成される。なお、アプリケーションサーバ5は、複数の店舗に対して運用することが可能であるが、図1では1つの店舗のみを示している。
図1に示すように、商品管理システム1では、例えば店舗内に無線装置2が設けられ、来店者CSはユーザ端末4を所持している。ユーザ端末4は、無線通信ネットワーク若しくは店舗内LAN(Local Area Network)(図示せず)およびネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能である。
店舗内の各商品には、IoTタグT(無線タグの一例)が取り付けられている。
店舗内に設けられている無線装置2は、例えば各商品のIoTタグTに対して無線環境を提供することができる。無線装置2は、例えば、無線LAN(Local Area Network)装置、アクセスポイント等であってもよい。
後に詳述するが、IoTタグTは、周囲環境の電波を基に発電する環境発電型の装置であり、バッテリを備えていない。無線装置2の数は問わないが、店舗内のすべてのIoTタグTが発電可能な無線環境を提供できると良い。
なお、本実施形態の商品管理システム1において、無線装置2は必須の構成要素ではなく、無線装置2がなくとも店舗内において十分に環境発電可能である場合には、無線装置2は必要ない。例えば、無線装置2がない場合であっても来店者端末によって放射される無線信号によってIoTタグTが環境発電可能であるならば、無線装置2は必要ない。また、IoTタグTは、来店者端末および無線装置2以外の他の装置(例えば、店員の携帯端末等)から送信される電波をも環境発電のために利用することができる。言い換えれば、来店者端末、あるいは来店者端末以外の他の装置によって提供される電波が環境発電のために十分でない場合に、IoTタグTは、無線装置2から放射される電波を環境発電のために利用することができる。
IoTタグTの通信距離は、例えば1~3メートルの範囲である。したがって、例えばユーザ端末4を所持する来店者CSが店舗内を巡回し、来店者CSが店舗内の商品に近付いたときに、当該商品に取り付けられているIoTタグTとユーザ端末4とが通信可能となる。
IoTタグTは、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth Low Energy (登録商標)(以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
IoTタグTは、BLEの規格に準拠する場合、周囲のBLE端末に対してアドバタイジングパケット(後述する)をブロードキャストする。
店舗内の各商品に取り付けられているIoTタグTは、動き(モーション)を検出するセンサを有する。商品管理システム1では、来店者CSが店舗内の商品に興味を持って当該商品を手に取った場合には、当該商品に取り付けられているIoTタグTのセンサが動きを検出し、検出されたデータ(後述するセンサデータ)をモニタすることで、来店者CSが当該商品を手に取ったことを判断することができる。
来店者CSが所持するユーザ端末4は、店舗の商品に関するアプリケーションプログラムがインストールされている。アプリケーションプログラム(以下、単に「商品アプリケーション」という。)を実行することで、来店者CSは、例えば、店舗で扱う様々な商品の詳細情報を閲覧し、購入し、あるいは、来店者CSが気になる商品等を登録することができる。
また、ユーザ端末4は、BLE端末として機能する。つまり、ユーザ端末4は、IoTタグTによりブロードキャストされるアドバタイジングパケットを受信する。アドバタイジングパケットには、IoTタグTの固有の識別情報として、暗号化されたタグID(タグ識別情報の一例)やセンサデータが含まれている。ユーザ端末4は、IoTタグTから受信した情報を、無線通信ネットワーク(図示せず)若しくは店舗内LANおよびネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5に送信する。
IoTタグTから送信されるパケットには、動きを検出するセンサによるデータ(「センサデータ」という。)が含まれる。
アプリケーションサーバ5(情報処理装置の一例)は、ユーザ端末4の商品アプリケーションと通信を行い、商品アプリケーションからの要求に応じた応答を返すことにより、ユーザに対して店舗内の商品に関するウェブサービスを提供するネットワークサーバである。
後述するように、アプリケーションサーバ5は、店舗内のIoTタグが動かされたと判断すると、当該IoTタグに対応する商品とユーザ(来店者CS)を対応付ける。
(1-2)商品管理システムの各装置の構成
次に、図2~図5を参照して、本実施形態の商品管理システム1の各装置の構成を説明する。
図2は、本実施形態の商品管理システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。図3は、IoTタグTから送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。図4は、商品データベースのデータ構成例を示す図である。図5は、ユーザデータベースのデータ構成例を示す図である。
図2を参照すると、IoTタグTは、制御部11、アンテナ12、ハーベスティング部13、電圧制御部14、RFトランシーバ15、および、センサ16を含む。
IoTタグTの全体の形態は図示しないが、例えば、アンテナ12とセンサ16が形成される所定のパターンの導電性金属箔と、当該金属箔に接続されるICチップとが接続された薄膜状の部材である。ICチップ内に、制御部11、ハーベスティング部13、および、電圧制御部14、RFトランシーバ15が実装される。
制御部11はマイクロプロセッサとメモリ111を有し、IoTタグTの全体を制御する。メモリ111は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)であり、マイクロプロセッサによって実行されるプログラムのほか、IoTタグTに固有の識別情報であるタグID、センサ16が出力するセンサデータを記憶する。
ハーベスティング部13は、周囲環境の電波(例えば周囲の無線通信による電波)に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のエネルギーストレージ131に貯蔵する。本実施形態では、ハーベスティング部13は、例えばアンテナ12が受信した無線信号を直流電圧に変換し、エネルギーストレージ131に貯蔵する。エネルギーストレージ131は、例えばキャパシタである。キャパシタの場合には、半導体チップ上に構成されたもの(つまりオンダイ(on-die)型のキャパシタ)でもよい。
ハーベスティング部13が環境発電に使用する電波は、広範囲の周波数帯域において複数の異なる周波数帯の電波である。例えば、いわゆる3G~5G等の移動体通信システムで採用されている周波数帯の無線通信による電波、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格で採用されている周波数帯の無線通信による電波、ZigBee(登録商標)やThread等の通信プロトコルに代表される2.4GHz帯の無線通信による電波、RFIDで採用されている周波数帯(例えば、900MHz帯、13.56MHz帯)の無線通信による電波等が挙げられる。
ここに例示したような電波は、一般に、ほとんどすべての店舗で適用可能である。そして、店舗内の商品に取り付けられているIoTタグTは、周囲環境の電波を基にしてハーベスティング部13による環境発電で得られる電力で動作する。そのため、IoTタグTにバッテリを搭載する必要がなく、システムコストを抑制することができる。また、バッテリを搭載する必要がないことから、バッテリの交換作業を行わずに済むため、タグが存在するにもかかわらずタグIDを取得できないという不具合が生じない。
電圧制御部14は、制御部11およびRFトランシーバ15に動作電圧を供給するとともに、エネルギーストレージ131の電圧をモニタしており、モニタ結果に応じて電力モードを切り替える。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以下である場合には、電力モードを最小限の回路のみを動作させる第1モードとし、このとき制御部11およびRFトランシーバ15では、後述するパケットの生成や無線信号の送信等が行われない。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以上まで充電された場合には、電力モードを通常の処理ルーチンを実行する第2モードとし、このとき制御部11およびRFトランシーバ15ではパケットの生成、無線信号の送信を含む各種の処理が行われる。
なお、制御部11は、例えば電力モードが第1モードの場合であってもエネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以上に充電された場合には、センサ16により検出されたセンサデータを、検出時刻のデータとともにメモリ111に格納してもよい。その場合、制御部11は、電力モードが第1モードから第2モードに切り替えられた時点で、メモリ111に格納していたセンサデータおよび検出時刻のデータを含むパケットを生成し、送信してもよい。それによって、エネルギーストレージ131の充電電圧が比較的低い期間におけるタグの動きの有無に関する情報を無線装置2に提供することができる。
センサ16は、例えば、IoTタグT自体の動き(モーション)を検出する。検出されたデータ(センサデータ)は、後述するパケットに含めるためにメモリ111に一時的に格納される。センサデータは、例えばタグが動かされたか否かについて判断可能となるように構成されている。なお、センサデータは、IoTタグTの動きの程度を示す値であってもよく、IoTタグTが動いたか否かを示す2値であってもよい。
センサ16は、IoTタグTに係る重量や圧力を検出してもよい。センサ16は、ICチップに温度センサが内蔵されている場合には、温度を検出してもよい。
制御部11は、電力モードが第2モードの場合に、BLEのプロトコルに従ってアドバタイジングパケットを生成する。
アドバタイジングパケットは、BLEにおいてブロードキャスト通信を実現するためにアドバタイジングチャネルを利用して送信されるパケットであり、図3に示すパケット構成を有する。アドバタイジングパケットは、以下では適宜、単に「パケット」という。
図3においてプリアンブル及びアドレスアクセスは、それぞれ所定の固定値である。CRCは巡回検査符号であり、パケットペイロード(つまり、アドバタイジングチャネルPDU(protocol data unit))を対象として所定の生成多項式を用いて算出される検査データである。
アドバタイジングチャネルPDU(以下、単に「PDU」という。)はヘッダとペイロードからなり、当該ペイロードは、ADVアドレスとADVデータとからなる。ADVアドレスはアドバタイザー(つまり、報知する主体であるIoTタグT)のアドレスであるが、送信元を特定しないように送信の都度に設定されるランダムな値でもよい。ADVデータはアドバタイザーのデータ(ブロードキャストデータ)であり、本実施形態では、タグID、および、センサ16によって出力されるセンサデータを含む。
制御部11は、PDUを暗号化することが好ましい。暗号化方法は限定しないが、例えば鍵長128ビットのAES(Advanced Encryption Standard)を利用することができる。
RFトランシーバ15は、送信するパケット(ベースバンド信号)に対して所定のデジタル変調(例えばGFSK(Gaussian Frequency Shift Keying))を行った後に直交変調を行い、高周波信号(BLEの場合、2.4GHzの周波数帯の信号)をアンテナ12に送出する。
アンテナ12は、送信アンテナと発電用アンテナを含む。送信アンテナは、RFトランシーバ15によって送出される高周波の無線信号(パケット)を送信する。他方、発電用アンテナは、例えば周囲環境の電波や無線装置2から送信される無線信号を受信し、ハーベスティング部13と協働してレクテナとして機能する。
図2に示すように、無線装置2は、制御部21、アンテナ22、および、RF発信機25を備える。制御部21は、RF発信機25を制御するマイクロコントローラを含み、例えば、ベースバンド信号の生成、送信タイミングの決定等を行う。
RF発信機25は、ビーコン信号をアンテナ22から送信するために、例えば所定のパターンのベースバンド信号を直交変調してアンテナ22に送出する。
なお、無線装置2は、RF発信機に代えてRFトランシーバを備えてもよく、アンテナ22には受信アンテナを含んでもよい。その場合、以下で述べる制御が可能である。
前述したように、IoTタグTは、周囲環境の電波に基づいて環境発電を行うが、周囲環境の電波が少ない場合には、パケットの生成や無線信号の送信等の通常の動作が行われない(例えば、電力モードが第1モードの場合)。そこで、無線装置2の制御部21は、IoTタグTと通信できない状態(例えば、アドバタイジングパケットを受信できない状態)が所定時間以上継続する場合には、アンテナ22による無線送信を開始するか、又は、アンテナ22による送信電力を増加させるようにRF発信機25を制御することが好ましい。それによって、IoTタグTの周囲環境の電波が増加するために電力の貯蔵が可能となり、無線装置2との無線通信を開始、あるいは再開することができるようになる。
図2に示すように、ユーザ端末4は、制御部41、ストレージ42、操作入力部43、表示部44、第1通信部45、および、第2通信部46を備える。
制御部41は、マイクロプロセッサを主体として構成され、ユーザ端末4の全体を制御する。例えば、制御部41は、IoTタグTから受信したパケットのPDUを復号し、CRCからIoTタグT側と同一の生成多項式を用いて誤り検出を行った後、当該PDUからブロードキャストデータを抽出する。制御部41は、ユーザ端末4のユーザIDと、抽出したブロードキャストデータとを含む商品登録要求を、第2通信部46を介してアプリケーションサーバ5に送信する。
ユーザ端末4には、前述した商品アプリケーションおよびウェブブラウザを含む各種のプログラムがインストールされている。
商品アプリケーションは、例えばウェブアプリケーションであり、ウェブブラウザ上で動作する。商品アプリケーションは、第2通信部46を介してアプリケーションサーバ5との間でHTTP(Hypertext Transfer Protocol)通信(もしくはよりセキュアなHTTPS通信)を行い、商品に関する商品データを取得して表示部44に表示する。商品データは、例えば、商品コードや商品コードに対応する商品画像等を含む。
商品アプリケーションは、ユーザによる所定の操作に応じてユーザが選択した商品の商品コードを登録することをアプリケーションサーバ5に要求してもよい。つまり、ユーザからの自発的な要求に応じて、アプリケーションサーバ5のユーザデータベースに、ユーザIDに対応付けて商品コードが記録されてもよい。
商品アプリケーションは、アプリケーションサーバ5のユーザデータベースにユーザIDと対応付けて記録されている商品コードを選択可能に表示部44に表示し、いずれかの商品コードの選択操作に応じて、当該商品コードの商品を購入するためのECサイト(図示せず)にリダイレクトするように構成してもよい。
本実施形態の商品管理システム1では、店舗でユーザが手に取った商品に取り付けられたIoTタグのタグIDをアプリケーションサーバ5が取得することで、当該タグIDに対応する商品コードがユーザデータベースに、ユーザに対応付けて記録される。つまり、ユーザからの自発的な要求によらずに自動的に、アプリケーションサーバ5のユーザデータベースに、ユーザIDに対応付けて商品コードが記録される。
ストレージ42は、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、制御部41によって実行される各種のプログラム(例えば、商品アプリケーション、ウェブブラウザ)を格納する。ストレージ42は、店舗内の各IoTタグTから得られたブロードキャストデータを一時的に保持してもよい。
操作入力部43は、各種のプログラムを実行するために来店者から操作入力を受け付ける入力インタフェースであり、表示部44の表示パネルに設けられるタッチパネル入力部であってもよい。
表示部44は、例えばLCD(Liquid Crystal Panel)等の表示パネルと、表示パネルの駆動回路とを含み、制御部41によるプログラムの実行結果を表示する。
第1通信部45は、例えば、第2通信部46よりも狭い通信範囲で対象物と無線通信を行うものであり、例えば各IoTタグTからBLEプロトコルに従って送信されるパケットを受信する。
第2通信部46は、無線通信ネットワーク若しくは店舗内LANおよびネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。
図2に示すように、アプリケーションサーバ5は、制御部51、ストレージ52、および、通信部53を備える。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、アプリケーションサーバ5の全体を制御する。
ストレージ52(記憶部の一例)は、例えばHDDの大規模記憶装置を備え、商品データベース(商品DB)およびユーザデータベース(ユーザDB)を記憶する。
通信部53は、ユーザ端末4との間で通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
図4の商品データベースは、1つのレコードについて「タグID」、「商品コード」、「色」、「サイズ」、「商品画像」の各フィールドの値を有し、店舗内の商品に取り付けられているIoTタグのタグIDや、当該商品の商品コード、商品のサイズや色、当該商品の画像等を管理するデータベースである。商品コード(物品情報の一例)は、JANコード等の商品を特定する情報である。ここで、「色」および「サイズ」の各フィールドには、商品コードに対応する商品の色およびサイズを示す値が格納される。商品データベースの同一の商品コードに対応するレコード数をカウントすることで、同一の商品の数を把握できる。
なお、図4に示した各フィールドは一例に過ぎず、商品に関する他のデータに関するフィールド(例えば、商品の種別、商品カテゴリー、通常品/限定品の区別等)を設けてもよい。
図4の商品データベースは一例に過ぎず、商品についての情報が適宜追加するように構成してもよい。例えば、商品の価格情報や、商品と関連する別の商品(例えば、対象の商品と色違いやサイズ違いの別の商品、あるいは、対象の商品と組み合わせて使用すること好ましい別の商品等)の情報を含めてもよい。
商品データベースは、店舗に対する商品の入荷情報を基に作成される。例えば店舗に新たな商品が入荷されると、既知のタグIDのIoTタグを当該商品に取り付けるとともに、入荷時に商品に取り付けられているラベルのコード情報(例えば、バーコード、2次元コード等)をスキャナ(図示せず)で読み取る。商品に取り付けたIoTタグのタグIDと、スキャナで読み取った商品コードとを商品データベースに記録する。かかる処理は、例えば、スキャナと接続される店舗の店舗端末(図示せず)とアプリケーションサーバ5が通信を行うことにより実行することができる。なお、対応する商品画像は、適宜、商品の製造者によって提供される画像、又は既存のサイトに含まれる画像を利用して記録してもよい。
図5のユーザデータベースは、例えば、1つのレコードについて「ユーザID」、「ユーザ名」、「メールアドレス」、「商品コード」の各フィールドの値を有し、例えばユーザが興味を持った、若しくは気になる商品等を登録しておくためのデータベースである。なお、図5のユーザデータベースにおいて「ユーザID」、「ユーザ名」、「メールアドレス」の各フィールドは、ユーザの登録情報を格納するフィールドの例示に過ぎず、ユーザ情報に関連する追加のフィールドを設けてもよい。
ユーザデータベースにおいて「商品コード」フィールドの値は、ユーザが興味を持った、若しくは気になる商品の商品コードであり、店舗におけるユーザの行動(例えば、商品を手に取る動作)に応じて自動的に、対応する商品コードが記録されるように構成されている。なお、前述したように、ユーザからの自発的な要求に応じて商品コードがユーザデータベースに記録されてもよい。
制御部51のマイクロプロセッサは、所定のプログラムを実行することで、少なくとも以下の処理を行う。
(i) 図示しない店舗端末からの情報を基に、商品に取り付けられたIoTタグのタグIDと、当該商品の商品コードとを商品データベースに記録する。
例えば、店舗に新たな商品が入荷した場合、店舗端末からの情報を基に、商品データベースに新たなレコードを追加する。
(ii) ユーザ端末4から受信した商品登録要求に含まれるブロードキャストデータからタグIDを抽出し、抽出したタグIDの認証を行う。
なお、認証は、例えば、ネットワークNWに接続された認証サーバ(図示せず)に問合せを行い、認証サーバから認証結果を取得することで行ってもよい。この場合、認証サーバは、例えば、IoTタグTの製造者が管理するサーバであって、製造したすべてのIoTタグTのタグIDを記憶するデータベースを有し、当該データベースを参照して、アプリケーションサーバ5から問合せのあったタグIDの認証を行う。
(iii) ユーザ端末4から受信した商品登録要求に含まれるセンサデータを基に、当該商品登録要求に含まれるタグIDのIoTタグが動かされたか否かを判断(又は検出)する。例えば、センサデータを基に、IoTタグが商品の動きを所定時間以上継続して検出した場合に、当該商品が所定の動きをしたと判断してもよい。
(iv) 商品データベースを参照して、ユーザ端末4から受信した商品登録要求に含まれるタグIDに対応する商品コードを特定し、当該商品コードを、商品登録要求に含まれるユーザIDに対応付けてユーザデータベースに記録する。
以上の処理を行うことで、制御部51は、店舗内の一以上の商品のうち所定の動きをした商品が存在する場合に、ユーザ端末4から取得した無線タグのタグIDに基づいて、所定の動きをした商品を識別する商品コードをユーザ端末4に対応するユーザIDに対応付けるように構成されている。
制御部51は、タグIDの認証が成功した場合に当該タグIDに対応する商品コードをユーザデータベースに記録することが好ましい。すなわち、制御部51は、ユーザ端末4から受信したタグIDを認証し、認証が成功した場合に所定の動きをした商品の商品コードをユーザ端末4に対応するユーザIDに対応付けることが好ましい。タグIDの認証によって当該タグIDが真正であるか否かについて確認できるため、不適切な商品コードをユーザデータベースに記録することがなくなる。
(1-3)商品管理システムの動作
次に、図6を参照して、本実施形態の商品管理システム1の動作を説明する。図6は、本実施形態の商品管理システム1の動作を示すシーケンスチャートである。
図6のシーケンスチャートの処理は、ユーザ端末4が店舗内の各IoTタグ(タグT1,T2,…)からパケットを受信する度に繰り返し行われる。
無線装置2は、例えばビーコン信号を放射することで(ステップS2)、このビーコン信号により店舗内の各商品に取り付けられているタグT1,T2,…が発電可能な無線環境を提供することができる。各タグは、周囲環境の電波に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のエネルギーストレージ(例えばキャパシタ)に貯蔵して動作する。そして、タグT1,T2,…が、暗号化されたタグIDとセンサデータをブロードキャストデータとして含むパケットを生成し(ステップS4)、生成したパケットをブロードキャストする(ステップS6)。
例えば来店者が店舗内を巡回し、来店者のユーザ端末4が特定の商品のタグに近付くと、ユーザ端末4とタグとの間でBLE通信が可能な通信距離の範囲内となる。ユーザ端末4は、タグから送信されるパケットを受信可能となる。ユーザ端末4は、受信したパケットのPDUを復号し、パケットのPDUからブロードキャストデータを抽出する。次いでユーザ端末4は、ユーザIDと、抽出したブロードキャストデータとを含む商品登録要求をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS8)。
ブロードキャストデータには、タグIDと、センサデータとが含まれている。
アプリケーションサーバ5は、商品登録要求に含まれるブロードキャストデータからタグIDを抽出し、タグIDの認証を行う(ステップS10)。タグIDの認証は、例えば、外部の認証サーバに問合せを行うことで得られる認証結果に基づくことができる。
タグIDの認証が成功するとアプリケーションサーバ5は、商品登録要求に含まれるセンサデータを基に、タグが動かされたか否かを判断する(ステップS12)。アプリケーションサーバ5は、例えばセンサデータによって示されるタグが動かされたか否かについて判断する。次いでアプリケーションサーバ5は、処理対象のタグIDに対応する商品が所定の動きをしたか否か判断する(ステップS13)。ステップS13の処理は、店舗内の一以上の商品のうち所定の動きをした商品が存在するか否かを判断する処理に相当する。
商品が所定の動きをしたか否かの判断は、例えば、来店者が店舗内において当該商品を別の場所に移動させる動きであるか否かに基づいて行われる。ここで、商品を別の場所に移動させる動きは、例えば、棚にある商品を来店者が手に取るといった動作や、棚にある商品を来店者が店舗内の鏡(図示せず)の前まで運ぶ動作に対応する動きである。そのような所定の動きを商品がした場合には、来店者が当該商品に興味を持っていると考えられるため、当該商品を来店者に対応付けることが好ましい。
来店者や店員が商品に少し触れた程度では、当該商品が所定の動きをしたと判断しないようすることが好ましい。商品に少し触れた程度で当該商品を来店者に対応付けることは、来店者が特に興味がない商品に関する情報を来店者と対応付けてしまう可能性があるためである。
このような観点から、ステップS13では、タグIDに対応する商品が所定の動きをしたか否か判断するようにしている。
ここで、図6のステップS2~S12の一連の処理は継続的に行われているため、ステップS13の判断は、同一のタグIDを含む商品登録要求を連続して受信した時間に基づいて行うことができる。つまり、来店者が商品を手に取り、あるいは、商品を店舗内で移動させるような動きを行う場合には、当該商品に取り付けられているタグから、タグが動かされたことを示すセンサデータが連続的に取得される。そこで、タグが商品の動きを継続的に検出した時間が所定時間以上である場合に、当該商品が所定の動きをしたと判断することができる。
アプリケーションサーバ5は、商品が所定の動きをしたと判断した場合には、ステップS14に進む。ステップS14では、アプリケーションサーバ5は、商品データベースを参照して、ステップS10で認証したタグIDに対応する商品コードを特定する(ステップS14)。
アプリケーションサーバ5は、好ましくは、ステップS14で特定した商品コードに対応する商品データをユーザ端末4の商品アプリケーションに返す(ステップS16)。ここで、商品データは、例えば、商品コードと、商品コードに対応する商品画像とを含む。次いでアプリケーションサーバ5は、ステップS8で受信した商品登録要求に含まれるユーザIDに対応付けて、ステップS14で特定された商品コードをユーザデータベースに記録する(ステップS18)。それによって、ユーザは、ユーザ端末4の商品アプリケーションを操作することで、ユーザデータベースにおいて自身に対応付けて記録されている商品をいつでも閲覧し、確認し、あるいは、ECサイトから当該商品を購入することができる。
なお、店舗が混雑している場合には、所定の動きをしたと判断された商品の近くに複数の来店者がいることが想定されている。その場合には、複数の来店者のユーザ端末4が同一のタグからパケットを受信し、それぞれ商品登録要求をアプリケーションサーバ5に送信する状況が考えられる。そのような状況を考慮して、ユーザ端末4は、自身がパケットを受信したときの受信信号強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator)値)の情報を商品登録要求に含めることが好ましい。アプリケーションサーバ5は、複数のユーザ端末4から同一のタグIDを含む商品登録要求を同時あるいは所定時間内に受信した場合、最も大きいRSSI値を含む商品登録要求を特定し、特定した商品登録要求に含まれるユーザIDに対応付けて、ステップS14で特定された商品コードをユーザデータベースに記録する。ユーザ端末4で受信するパケットのRSSI値が最も大きい場合には、当該ユーザ端末4が、パケットの送信元であるタグが取り付けられている商品に最も近いと考えられることから、当該商品を手に取ったユーザを高い精度で特定することができる。
ユーザ端末4の商品アプリケーションは、ステップS16で受信した商品データを基に、ユーザ端末4の表示部44に商品コードおよび商品画像が表示されるように制御することが好ましい(ステップS20)。アプリケーションサーバ5は、タグIDに対応する商品コードおよび商品画像をユーザ端末4に送信し、ユーザ端末4は、アプリケーションサーバ5から受信した商品コードおよび商品画像を表示することが好ましい。それによって来店者CSは、興味を持った商品の内容をその場で確認することができ、あるいは、その場でECサイトにアクセスして当該商品を購入することもできる。また、商品データとして、商品の価格情報や、商品と関連する別の商品の情報を含ませるようにすれば、例えば、ユーザにECサイトで別の商品の購入をも促すことが可能となる。
図7に、例えば店舗内の商品を手に取った来店者のユーザ端末4に表示される画面例を示す。
図7に例示するユーザ端末4の画面G1では、来店者が手に取った商品の商品画像IMGと、対応する商品コードと、当該商品に関する補足情報を示すテキストTx1と、を含む。テキストTx1によって示される補足情報の例は、商品のサイズ、色、および、店舗情報(例えば、ショップ名やウェブページ等)である。図7の画面G1は一例に過ぎない。例えば、店舗のキャンペーン情報や新商品の情報等の店舗についての付随的な情報が画面G1に含まれてもよい。
図7の画面G1には、来店者が対象の商品をお気に入り登録するためのボタンb1が含まれてもよい。ここで、お気に入り登録することは、例えば、ユーザデータベース(図5参照)において、来店者のユーザIDに対応する商品コードとして、画面G1に表示された商品コードを記録することである。図6のステップS18では、商品コードのユーザデータベースに対する記録を自動的に行う(つまり、自動的にお気に入り登録する)場合について示したが、その限りでない。アプリケーションサーバ5は、ユーザ端末4におけるボタンb1の操作に応じて、対象となる商品コードをユーザデータベースに記録してもよい。来店者が手に取った商品が必ずしも来店者が気に入った商品とは限らないためである。
図7の画面G1には、来店者が対象の商品を直ちに購入するためのボタンb2が含まれてもよい。本実施形態の店舗が商品在庫を持たないショールーム型店舗の場合、来店者が商品を手に取って当該商品を気に入った場合には、ボタンb2を操作することで直ちに購入することができれば、来店者および店舗の運営者の双方にとって望ましい。図示しないが、ボタンb2が操作された場合、対象となる商品のECサイトに案内されて、来店者は、その場で、あるいは店舗外でECサイトから商品の購入手続きを行うことができるようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態の商品管理システム1では、店舗内の各商品には、モーションセンサを含むIoTタグが取り付けられる。そして、各タグから来店者のユーザ端末4に送信されるパケットに含まれるセンサデータに基づいて、来店者が商品を手に取った等、店舗内の一以上の商品のうち所定の動きをした商品が存在するか否か判断される。すなわち、本実施形態の商品管理システム1では、ユーザ端末4がタグからのパケットを受信するため、当該パケットに含まれるセンサデータに基づき、商品の所定の動きがユーザ端末4を所持する来店者によって行われたと判断することができる。
所定の動きをした商品が存在する場合、アプリケーションサーバ5は、ユーザIDに対応付けて、当該商品に対応する商品コードをユーザデータベースに記録する。そのため、ユーザは、実際の店舗内に配置された商品の商品コード(物品情報の一例)を煩雑な操作を行うことなく取得できる。例えば、ユーザ端末4の商品アプリケーションで所定の操作を実行することで、ユーザIDに対応付けて記録された商品データを閲覧し、商品を購入することができる。
また、店舗側にとっても、ユーザデータベースを基に、例えば特定の商品を手に取った来店者のユーザIDを認識することができる。したがって、来店者の商品の嗜好等、商品のマーケティング上の有用な情報を得ることができる。
(2)第2の実施形態
次に、第2の実施形態について、図8のシーケンスチャートを参照して説明する。
本実施形態の商品管理システムでは、タグ管理サーバが、タグIDの認証と、タグが動かされたか否かの判断とを行う。タグ管理サーバは、店舗等で流通する商品に取り付けられるタグを管理するためのサーバである。
図8に示すシーケンスチャートが図6と異なるのは、以下の点である。すなわち、ユーザ端末4は、環境発電によって動作するタグからパケットを受信すると、パケットに含まれるPDUをタグ管理サーバに送信する(ステップS8b)。タグ管理サーバは、受信したPDUを復号し、PDUから抽出したブロードキャストデータに含まれるタグIDの認証を行う(ステップS10)。さらに、タグ管理サーバは、タグが動かされたか否か判断し(ステップS12)、その判断結果に応じてタグモーション通知をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS13a)。タグモーション通知には、動かされたと判断されたタグのタグIDが含まれる。
アプリケーションサーバ5は、タグモーション通知に含まれるタグIDを対象として、対応する商品が所定の動きをしたか否か判断する(ステップS13b)。ステップS13bの処理は、図6のステップS13と同じである。ステップS14以降の動作は、図6と同じである。
(3)第3の実施形態
次に、第3の実施形態の商品管理システム1Aについて、図9~図11を参照して説明する。
本実施形態の商品管理システム1Aでは、所定の動きをした商品の位置を特定するとともに、店舗内の1又は複数のユーザ端末4のうち当該商品の位置に近いユーザ端末4を特定して、特定したユーザ端末4に商品データを送信することを特徴とする。なお、店舗内の各商品が陳列されている棚の位置は既知であるとする。
店舗内のユーザ端末4の位置を特定するために、本実施形態の商品管理システム1Aは、位置特定システムを含む。位置特定システムは、受信機6および位置特定装置7を含む。受信機6と位置特定装置7は通信可能に接続されている。
図9に示すように、受信機6(ロケータ)は、例えば店舗の天井に設置され、店舗内を移動するユーザ端末4が放射する電波(ビーコン信号)を受信し、その電波の入射角を測定する。ユーザ端末4が放射するビーコン信号には、ユーザIDの情報が含まれてもよい。位置特定装置7(図9には図示せず)は、受信機6が測定した入射角を基にユーザ端末4の店舗内の位置(平面上の位置)を特定するAOA(Angle of Arrival)方式によりユーザ端末4を測位する。
1つの受信機6によってもユーザ端末4の位置を推定可能であるが、ユーザ端末4から送信されるビーコン信号の受信信号強度(RSSI)の大きさや店舗面積、店舗の電波環境に応じて、より多くの受信機6を設けることが好ましい。なお、ユーザ端末4の測位方法はAOA方式に限定するものではなく、TOA(Time of Arrival)方式等の他の方法を利用してもよい。
図10に示すように、受信機6は、電波受信部61、入射角測定部36、および、通信部63を備える。
電波受信部61は、ユーザ端末4から送信されるビーコン信号(電波)を受信するアンテナを含む。
入射角測定部62は、電波受信部61で受信したユーザ端末4からの電波の入射角を測定する。
通信部63は、ユーザ端末4および位置特定装置7と通信を行うためのインタフェースである。例えば、通信部63は、ユーザ端末4からの受信信号を復調する。また、通信部63は、受信機6と位置特定装置7との間の通信インタフェースとして機能し、入射角測定部62によって測定された入射角の情報を、位置特定装置7に送信する。なお、受信機6と位置特定装置7との通信は有線でも無線でもよい。
図10に示すように、位置特定装置7は、制御部71、ストレージ72、および、通信部73を備える。
制御部71は、マイクロプロセッサを主体として構成され、位置特定装置7の全体を制御する。例えば、制御部71のマイクロプロセッサは、位置特定エンジン(ソフトウェア)を実行し、受信機6から受信する入射角の情報を基にユーザ端末4の位置を特定する。より具体的には、AOA方式を利用する場合、前述したように、受信機6の店舗内での既知の位置(店舗の所定の位置を基準とした3次元座標の位置)と、受信機6から逐次取得するユーザ端末4の入射角(電波の到来方向)の情報とに基づいて、時刻の経過に応じたユーザ端末4の店舗のエリア内の位置(店舗フロアのXY座標の位置)を算出(測位)する。
制御部71は、算出された位置の情報(位置情報)を逐次、通信部73を介してアプリケーションサーバ5に送信する。店舗内に複数のユーザ端末4が設けられている場合には、制御部71は、ユーザ端末4に対応するユーザIDごとに位置を算出してアプリケーションサーバ5に送信する。
ユーザ端末4の測位間隔は、任意に設定してよいが、ユーザ端末4の位置を正確に把握するために必要な時間(例えば、数100ms以下)に設定される。
ストレージ72は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大規模記憶装置であり、位置特定エンジンを記憶するほか、位置特定エンジンによる実行結果を保存してもよい。
通信部73は、受信機6との通信、および、ネットワークNWを介したアプリケーションサーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。
図11は、本実施形態の商品管理システム1Aの動作を示すシーケンスチャートである。なお、図11では、受信機6と位置特定装置7を総称して「位置特定システム」と表記している。図11のシーケンスチャートが図8のシーケンスチャートと異なる点に注目して、以下で説明する。
店舗内の各ユーザ端末4は、例えば所定の間隔でビーコン信号を送信する(ステップS3)。位置特定システムは、店舗内のユーザ端末4から受信したビーコン信号を基に位置特定処理を実行し(ステップS7)、位置特定処理によって得られたユーザ端末4の位置情報をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS9)。位置情報は、例えば、ユーザ端末4の端末IDと、ユーザ端末4の店舗フロアのXY座標の値の情報とを含む。アプリケーションサーバ5は、例えば、ユーザIDごとに位置情報を時刻とともに逐次記録する。
図11のシーケンスチャートでは、図8と異なり、無線装置2が店舗内の各タグからパケットを受信し(ステップS6)、パケットに含まれるPDUをタグ管理サーバ9に送信する(ステップS8b)。タグ管理サーバ9がPDUを受信した後のステップS14までの一連の処理は、図8の場合と同じである。図8と異なるのは、位置特定システムによって測位されたユーザ端末4のうち、ステップS14で特定された商品の商品位置に最も近い位置にあるユーザ端末4を特定する点にある。例えば、ステップS14で特定された商品が陳列されている棚のXY座標(既知)と、位置特定システムによって得られた店舗内の複数のユーザ端末4の各々の位置(XY座標)との間の距離をそれぞれ測定することで、商品に最も近いユーザ端末4が特定される。
本実施形態の商品管理システム1Aによれば、店舗内のユーザ端末4が位置特定システムによって測位されるため、ユーザIDを商品と対応付けるときの精度が高くなる利点がある。
なお、店舗内の各商品の位置が既知である場合を前提として説明したが、その限りではない。例えば、店舗内の所定の位置に配置した複数の無線装置2の各々が商品に取り付けられているタグからパケットを受信するときのRSSI値に基づいて精度良く店舗内の商品位置(XY座標)を特定することができる。すなわち、距離に応じた電波の減衰特性を利用し、各無線装置2でのRSSI値に基づいてタグと店舗内の位置が既知である各無線装置2との距離を推定し、三角測量法によりタグの位置、つまり商品の位置を測位することができる。
複数の無線装置2を店舗内に配置する場合、各無線装置2が店舗内のタグからのパケットを受信することで、ユーザ端末4を位置特定システムによって測位したのと同様の原理で店舗内のタグの位置を測位することができる。その場合、商品の所定の動きは、店舗エリア内の棚(所定の場所の一例)に存在する商品が、当該棚から所定距離以上離れた場所に移動する動きであってもよい。アプリケーションサーバ5は、逐次、位置特定システムから取得する各タグの位置情報を基に、タグが所定距離以上移動した場合に、当該タグに対応する商品が所定の動きをしたと判断する。それによって、例えば、来店者が商品を店内の鏡の前まで移動させたときの動作を所定の動きとして判定することができる。
(4)変形例
以下、実施形態の変形例について説明する。
(4-1)変形例1
図6のステップS13、および、図8、図11のステップS13bでは、アプリケーションサーバ5が、商品が所定の動きをしたか否か判断するが、この判断手法についての変形例について説明する。
本変形例では、商品が所定の動きをしたか否かについて、例えば店舗内に配置される撮像装置を利用して判断する。撮像装置は、例えばデジタルビデオカメラであるが、デジタルスチルカメラでもよい。撮像装置はネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能であり、店舗内で撮像した画像を逐次、アプリケーションサーバ5に送信する。アプリケーションサーバ5は、撮像装置から受信した画像を解析して、商品が所定の動きをしたか否か判断する。画像解析では、例えば、商品が洋服であれば来店者が店舗内の商品をハンガーから取る動作や、商品の値札を確認する動作、あるいは、商品を店内の鏡の前で体に合わせる動作等、予め決められた動作パターンのいずれかに該当するか判断される。この判断では、例えば、人工知能を利用してもよい。
アプリケーションサーバ5は、商品が所定の動きをしたと判断したことが撮像装置から通知されたタイミング、あるいは当該タイミングの前後の所定期間内に商品登録要求又はタグモーション通知を受信した場合に、商品登録要求又はタグモーション通知に含まれるタグIDに対応する商品が所定の動きをしたと判断する。つまり、撮像装置によって得られる画像の解析では、何らかの商品が所定の動きをしたことは判断できるが、当該商品を特定することはできない。そのため、アプリケーションサーバ5は、画像を受信したタイミングと、商品登録要求又はタグモーション通知を受信したタイミングとに基づいて、所定の動きをした商品を特定する。
本変形例のように、商品が所定の動きをしたか否かの判断の際に画像解析を利用することで、商品が所定の動きをしたかの判断の精度を向上させることができる。
(4-2)変形例2
例えば図6のステップS13では、タグが動かされたことを検出した時間(検出時間)が所定時間以上である場合に、当該商品が所定の動きをしたと判断する例について説明したが、この検出時間に対する閾値は、タグの位置に応じて異なる値に設定してもよい。例えば、所定の動きをした商品が店舗内のレジに位置する場合、当該商品は、レジでの精算手続きのために動かされていると考えられる。その場合には、既に購入予定若しくは購入済みであるため、必ずしも来店者のユーザIDに対応して商品コードをユーザデータベースに記録する必要がない。そこで、商品が店舗内のレジに位置する場合には、当該商品が所定の動きをした場合であっても来店者のユーザIDに対応して商品コードをユーザデータベースに記録しなくてもよい。
上記観点から、アプリケーションサーバ5は、タグの店舗エリア内の位置に応じて、上記所定時間を変更してもよい。例えば、商品が例えばレジ等の所定の範囲に位置する場合には、当該商品が所定の動きをしたか否かについての判断に使用する上記所定時間を、商品が他の範囲に位置する場合よりも長くしてもよい。なお、商品の位置を特定するために、前述したように、店舗内に複数の無線装置2を配置し、各無線装置2が商品に取り付けられているタグからパケットを受信するときのRSSI値に基づいて、店舗内の商品の位置を測位することができる。
(4-3)変形例3
来店者のユーザ端末4が例えば加速度センサ等のモーションセンサを内蔵する場合には、ユーザ端末4に内蔵されるセンサによって、商品が所定の動きをしたか否かについての情報を取得するようにしてもよい。例えば、来店者のユーザ端末4は、タグからのパケットを受信した場合、内蔵するセンサの検出値に基づいて、タグが取り付けられた商品が所定の動きをしたか否か判断する。次いでユーザ端末4は、パケットに含まれるタグIDと、商品が所定の動きをしたか否かの判断結果とをアプリケーションサーバ5に送信する。このように、ユーザ端末4に内蔵されるセンサを活用することで、商品が所定の動きをしたか否かについての判断精度を向上させることができる。
以上、物品管理システムおよび物品管理方法の実施形態と変形例について説明したが、本発明は上記の実施形態と変形例に限定されない。例えば、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
例えば、上述した実施形態において、IoTタグは、無線装置2、ユーザ端末4、および、店員端末のうち少なくともいずれかから放射される電波を基に発電することが可能である。
上述した実施形態の商品管理システム1,1AはIoTタグTを利用するが、この利点は以下のとおりである。
一般に、RFIDタグとして、内部に電池を持つアクティブタグと、内部に電池を持たないパッシブタグとが知られている。アクティブタグは通信可能範囲が比較的広いものの、高価であり、また、電池交換が必要であることから、店舗で扱う多数の商品の各々に取り付けるのは現実的でない。
従来の物品管理システムでは、電池を持たないパッシブタグを商品に取り付けることが想定されており、その通信可能範囲は、UHF帯(例えば900MHz帯)の場合で3~8m程度と短い。そのため、店舗内のすべての商品を読み取るためには短い間隔で多数のアンテナを店舗内に配置し、多数のアンテナを収容する多数のリーダライタを店舗内に配置することが行われる。それに対して、開示のIoTタグTでは、パッシブタグとは異なり、周囲環境に存在する電波によって給電されて動作するため、常に近くに給電のためにリーダライタを固定配置させる必要がない。
RFIDタグとしてパッシブタグを利用した従来の物品管理システムでは、商品陳列場所の複数の商品棚の各々にリーダライタが設けられ、各リーダライタの位置は既知であることから、各リーダライタが受信するRFIDタグの信号を基に、各タグの位置、つまり各商品の位置を推定できる可能性はある。しかし、仮にそのような位置推定が可能であったとしても、前述したように、パッシブタグの通信可能範囲の短さに起因して多数のリーダライタを店舗内に配置しなければならず、システム全体の設置コストが嵩むという不利益がある。
さらに、RFIDとは異なる近距離無線通信方式として、FeliCa(登録商標)等のNFC(Near field communication)が知られているが、通信距離が50cm以下と短く、また高価でもあり、在庫管理に不向きである。
上述した観点に鑑み、実施形態の商品管理システム1,1Aでは、周囲環境の電波をもとに発電する環境発電型のタグであって、バッテリを備えていないタグであるIoTタグを利用する。これにより、例えば店舗内の無線装置から放射される無指向性の電波によって発電して動作するため、店舗内に多数のリーダライタを配置する必要がないという利点がある。
上述した実施形態において、無線装置2やユーザ端末4は、アクセス権限のあるIoTタグTからのパケットのみを受信できるようにしてもよい。店舗内には、本システムとは無関係の携帯端末や無線タグが、BLEのプロトコル等、無線装置2とIoTタグTとの間で行われている無線通信プロトコルと同じプロトコルでデータを送信し、当該データを無線装置2やユーザ端末4が受信する可能性がある。そこで、無線装置2やユーザ端末4が受信すべきパケットと、受信する必要がないデータとを区別するために、IoTタグTから送信されるパケットには、アクセス権限を示すデータ(アクセス権限データ)を含めるようにすることが好ましい。この場合、上述した実施形態において無線装置2やユーザ端末4は、パケットを受信する度に、受信したパケットに含まれるアクセス権限データを確認し、自身にアクセス権限がないパケットを破棄する。
上述した実施形態では、商品管理システムおよび商品管理方法をアパレル分野に適用した場合について説明したが、食品、医薬品、化粧品等の他の商品を扱う分野にも適用可能である。適用される分野に応じて、商品データベースに含まれる情報や形式は異なる場合がある。例えば、食品分野の商品データベースの各レコードには、商品コードに対応して消費期限(賞味期限)の値が含まれうる。医薬品分野の商品データベースの各レコードには、商品コードに対応して有効期限の値が含まれうる。また、医薬品分野において、所定数の医薬品を含む1つの梱包物に対してIoTタグを取り付ける場合には、商品データベースの各レコードには、梱包物内の医薬品の数量の値が含まれうる。
消費期限や有効期限等によって期限管理される商品を管理する場合には、アプリケーションサーバが定期的に消費期限や有効期限を監視し、期限が近付いた商品の商品コード、数量、商品位置等をユーザ端末4に送信する商品データに反映させることが好ましい。
1,1A…商品管理システム
T…IoTタグ
11…制御部
111…メモリ
12…アンテナ
13…ハーベスティング部
131…エネルギーストレージ
14…電圧制御部
15…RFトランシーバ
16…センサ
2…無線装置
21…制御部
22…アンテナ
25…RF発信機
4…ユーザ端末
41…制御部
42…ストレージ
43…操作入力部
44…表示部
45…第1通信部
46…第2通信部
5…アプリケーションサーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
6…受信機
61…電波受信部
62…入射角算出部
63…通信部
7…位置特定装置
71…制御部
72…制御部
73…通信部
9…タグ管理サーバ
NW…ネットワーク

Claims (8)

  1. エリア内に存在する一以上の物品を管理する物品管理システムであって、
    前記エリア内の物品に取り付けられ、前記物品の動きを示すセンサデータを検出し、固有のタグ識別情報を記憶する無線タグと、
    前記無線タグと無線通信可能である場合に、前記無線タグから前記タグ識別情報と前記センサデータとを取得するユーザ端末と、
    前記物品を識別する物品情報を、前記物品に取り付けられている無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶する記憶部を有する情報処理装置と、
    を含み、
    前記情報処理装置は、
    前記ユーザ端末から前記無線タグのタグ識別情報と前記センサデータと、前記ユーザ端末のユーザ識別情報とが対応付けられた情報を取得し、取得した前記センサデータに基づいて前記無線タグが取り付けられた物品の所定の動きを検出した場合に、前記無線タグのタグ識別情報に対応付けられた物品に関する物品情報を前記ユーザ端末のユーザ識別情報に対応付ける、
    物品管理システム。
  2. 前記所定の動きは、前記エリア内の所定の場所に存在する物品が、前記所定の場所から所定距離以上離れた場所に移動する動きである、
    請求項1に記載された物品管理システム。
  3. 前記情報処理装置は、前記無線タグが物品の動きを所定時間以上継続して検出した場合に、前記物品が前記所定の動きをしたと判断する、
    請求項2に記載された物品管理システム。
  4. 前記情報処理装置は、前記無線タグの前記エリア内の位置に応じて、前記所定時間を変更する、
    請求項3に記載された物品管理システム。
  5. 前記情報処理装置は、前記無線タグのタグ識別情報に対応する物品情報を前記ユーザ端末に送信し、
    前記ユーザ端末は、前記情報処理装置から受信した前記物品情報を表示する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載された物品管理システム。
  6. 前記情報処理装置は、前記ユーザ端末から受信した前記タグ識別情報を認証し、認証が成功した場合に前記所定の動きをした物品を識別する物品情報を前記ユーザ端末に対応付ける、
    請求項1から5のいずれか一項に記載された物品管理システム。
  7. 前記無線タグは、周囲の電波からエネルギーを得て動作する、
    請求項1から6のいずれか一項に記載された物品管理システム。
  8. エリア内に存在する一以上の物品を管理する物品管理方法であって、
    前記エリア内の物品に取り付けられた無線タグが、固有のタグ識別情報を記憶し、前記物品の動きを示すセンサデータを検出し、
    ユーザ端末が、前記無線タグと無線通信可能である場合に、前記無線タグから前記タグ識別情報と前記センサデータとを取得し、
    物品を識別する物品情報を、前記物品に取り付けられている無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶する記憶部を有する情報処理装置が、前記ユーザ端末から無線タグのタグ識別情報を取得し、
    前記情報処理装置が、前記ユーザ端末から前記無線タグのタグ識別情報と前記センサデータと、前記ユーザ端末のユーザ識別情報とが対応付けられた情報を取得し、取得した前記センサデータに基づいて前記無線タグが取り付けられた物品の所定の動きを検出した場合に、前記無線タグのタグ識別情報に対応付けられた物品に関する物品情報を前記ユーザ端末のユーザ識別情報に対応付ける、
    物品管理方法。
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