JP7474997B2 - センサ、推定方法、及び、センサシステム - Google Patents

センサ、推定方法、及び、センサシステム Download PDF

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Description

本開示は、無線信号を利用して生体の位置の推定を行うセンサ、推定方法、及び、センサシステムに関する。
無線で送信される信号を利用して検出対象を検出する技術が開発されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1には、無線で受信した信号に対してフーリエ変換を用いてドップラシフトを含む成分の固有値を解析することで検出対象となる人物の数や位置を知ることができることが開示されている。
特開2015-117972号公報 特開2014-228291号公報 特許第5047002号公報 特許第5025170号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、検出対象を呼吸の周期である数秒以上の信号を観測する必要があり、位置推定の結果が得られるまで遅延が発生するという課題がある。
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、無線信号を利用してより低遅延で生体の位置を推定できるセンサなどを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係るセンサは、生体の存在する位置を検出するセンサであって、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が前記生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を受信する受信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数と前記第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、前記相関行列および前記ステアリングベクトルを用いて、前記生体の存在する尤度を示すスペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、前記スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力する測位部と、を備える。
また、本開示の他の一態様に係るセンサは、生体の存在する位置を識別するセンサであって、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を、受信する受信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数および前記第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成する複素伝達関数生成部と、前記S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像を前記S個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、前記相関行列および前記S×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、前記複数の領域の位置および前記写像変数を変数として前記生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、K通りの写像変数のそれぞれについて、前記S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出する個別スペクトル統合部と、前記K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力し、前記極大値をとる写像変数を前記生体の写像変数として出力する測位部と、を備える。
また、本開示の一態様に係る推定方法は、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子およびM個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有するアンテナ部を備えるセンサによる推定方法であって、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信し、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を受信し、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出し、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出し、前記第一複素伝達関数と前記第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出し、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出し、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出し、前記相関行列および前記ステアリングベクトルを用いて、前記生体の存在する尤度を示すスペクトル関数を算出し、前記スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力する。
また、本開示の他の一態様に係る推定方法は、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子およびM個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有するアンテナ部を備えるセンサによる推定方法であって、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信し、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を、受信し、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出し、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出し、前記第一複素伝達関数および前記第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成し、前記S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出し、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出し、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像を前記S個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出し、前記相関行列および前記S×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、前記複数の領域の位置および前記写像変数を変数として前記生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出し、K通りの写像変数のそれぞれについて、前記S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出し、前記K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力し、前記極大値をとる写像変数を前記生体の写像変数として出力する。
また、本開示の一態様に係るセンサシステムは、生体の存在する位置を検出するセンサと、前記センサからネットワークを介して前記センサにより検出された前記位置を逐次取得し、逐次取得した前記位置を蓄積するサーバとを備えるセンサシステムであって、前記センサは、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が前記生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を受信する受信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数と前記第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、前記相関行列および前記ステアリングベクトルを用いて、前記生体の存在する尤度を示すスペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、前記スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力する測位部と、を備える。
また、本開示の他の一態様に係るセンサシステムは、生体の存在する位置を検出するセンサと、前記センサからネットワークを介して前記センサにより検出された前記位置を逐次取得し、逐次取得した前記位置を蓄積するサーバとを備えるセンサシステムであって、前記センサは、生体の存在する位置を識別するセンサであって、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を、受信する受信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数および前記第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成する複素伝達関数生成部と、前記S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像を前記S個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、前記相関行列および前記S×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、前記複数の領域の位置および前記写像変数を変数として前記生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、K通りの写像変数のそれぞれについて、前記S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出する個別スペクトル統合部と、前記K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力し、前記極大値をとる写像変数を前記生体の写像変数として出力する測位部と、を備える。
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示のセンサによれば、無線信号を利用してより低遅延に生体の位置を推定できる。
図1は、実施の形態1におけるセンサの構成を示すブロック図である。 図2は、実施の形態1におけるスペクトル算出部の詳細な構成を示すブロック図である。 図3は、図1に示すセンサにおける信号波の伝達の様子を概念的に示す図である。 図4は、実施の形態1における第二複素伝達関数算出部の計算過程を模式的に表す図である。 図5は、図1に示す推定装置の推定対象の領域を概念的に示す図である。 図6は、実施の形態1におけるセンサの推定処理を示すフローチャートである。 図7は、実施の形態2および実施の形態3におけるセンサの構成を示すブロック図である。 図8は、実施の形態2および実施の形態3におけるスペクトル算出部の構成を示すブロック図である。 図9は、実施の形態2におけるセンサの推定処理を示すフローチャートである。 図10は、実施の形態3において時系列に沿った検出対象の生体の移動を模式的に示す図である。 図11は、実施の形態3において速度に応じてステアリングベクトルをシフトさせる様子を模式的に示す図である。
(本開示の基礎となった知見)
人物の位置などを知る方法として、無線信号を利用する方法が検討されている。例えば特許文献1および2には、所定の領域に無線信号を送信し、検出対象で反射した無線信号を複数のアンテナで受信して、送受信アンテナ間の複素伝達関数を推定することが開示されている。複素伝達関数は、入力と出力との関係を表す複素数の関数であり、ここでは、送受信アンテナ間の伝搬特性を表すものである。この複素伝達関数の要素の数は送信アンテナ数および受信アンテナ数の積と等しい。
特許文献1には、さらに、フーリエ変換を用いてドップラシフトを含む成分を解析することで検出対象となる人物の位置や状態を知ることができることが開示されている。より具体的には、複素伝達関数の要素の時間変化を記録し、その時間波形をフーリエ変換する。人物などの生体による呼吸や心拍などの生体活動は、反射波に僅かなドップラ効果を与える。したがって、ドップラシフトを含む成分は人物の生体活動による影響を含んでいる。一方、ドップラシフトの無い成分は人物の生体活動による影響を受けていない、つまり固定物からの反射波や送受信アンテナ間の直接波に対応する。すなわち、特許文献1では、フーリエ変換した波形において所定の周波数範囲に含まれる成分を用いて、検出対象となる人物の位置や状態を知ることができることが開示されている。
特許文献2には、複素伝達関数の要素の時間変化を記録し、その差分情報を解析することにより生体による影響を含んだ僅かなドップラシフトを含む成分を抽出する方法が開示されている。すなわち、特許文献2では、前記差分情報を用いて検出対象となる人物の位置や状態を知ることができることが開示されている。
しかしながら特許文献1および2の方法では検出対象となる生体による呼吸や心拍等の生体活動の周期以上、すなわち3から5秒以上の期間無線信号を観測する必要がある。さらに計算時間を考慮すると生体に位置や姿勢に変化が起きてから5秒以上の遅延時間が発生してしまう。
また、特許文献1および2の方法では、観測中に対象の位置が大きく移動した場合位置が特定できなくなる問題も存在する。具体的には、特許文献1および2の方法では無線信号を観測している間に検出対象となる生体が移動してしまったとき、検出対象の生体が移動した経路のうちどこに推定されるか不明である。このことは、信号のSN比を改善するために測定期間を長くすることを困難にし、精度改善の障害となる。
そこで、発明者らはこのことを鑑み、低遅延時間かつ無線信号の観測時間中に検出対象の生体が移動しても位置を追従可能なセンサを発明するに至った。
本開示の一態様に係るセンサは、生体の存在する位置を検出するセンサであって、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が前記生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を受信する受信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数と前記第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、前記相関行列および前記ステアリングベクトルを用いて、前記生体の存在する尤度を示すスペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、前記スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力する測位部と、を備える。
これによれば、無線信号を利用して、第一期間における観測により得られた第一複素伝達関数に加えて、第一複素伝達関数を用いて推定した第一期間とは異なる第二期間における第二複素伝達関数を用いて、測定対象の領域に存在している生体の位置を推定する。このため、実際に観測する期間を第二期間の分だけ短くすることができ、少ない遅延時間で生体の位置を推定することができる。また、第一複素伝達関数の観測時間が十分とれず雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離できない場合も、線形予測により求められた第二複素伝達関数情報を追加で用いるため、雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離することができ、精度よく生体の位置を推定することができる。
また、本開示の他の一態様に係るセンサは、生体の存在する位置を識別するセンサであって、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を、受信する受信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数および前記第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成する複素伝達関数生成部と、前記S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像を前記S個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、前記相関行列および前記S×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、前記複数の領域の位置および前記写像変数を変数として前記生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、K通りの写像変数のそれぞれについて、前記S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出する個別スペクトル統合部と、前記K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力し、前記極大値をとる写像変数を前記生体の写像変数として出力する測位部と、を備える。
これによれば、無線信号を利用して、生体が移動した先のS個の位置におけるS個の第三複素伝達関数を生成し、各第三複素伝達関数を用いて、写像変数が一定で生体が移動すると仮定したときの、測定対象の領域に存在している生体のS個の位置を推定する。このため、生体が移動していても生体の位置を追跡することができる。また、本実施の形態のセンサ1Aによれば、第一複素伝達関数の観測時間が十分とれず雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離できない場合も、線形予測により求められた第二複素伝達関数情報を追加で用いるため、雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離することができ、精度よく生体の位置を推定することができる。
また、前記写像変数は、K個に離散化された速度であってもよい。
このため、極大値の探索を行う必要がある統合スペクトル関数のパラメータを位置と速度とに集約できるため、計算量を削減でき、より短い遅延で生体の位置の推定を行うことができる。
また、前記第一期間の長さと、前記第二期間の長さとは、互いに等しくてもよい。
このため、現在時刻における生体の位置に近い位置を推定することが容易にできる。
また、前記第一期間及び前記第二期間を合わせた期間の長さは、計測の対象となる前記バイタル活動の種類に応じて予め定められた長さに設定され、前記予め定められた長さは、計測の対象となる種類のバイタル活動の周期以上の長さであってもよい。
また、前記第二期間は、前記第一期間よりも後の未来の期間であってもよい。
また、前記スペクトル関数算出部は、MUSIC(MUltiple Signal Classification)法によりスペクトルを算出してもよい。
また、前記第二複素伝達関数算出部は、ARモデル(Autoregressive Model)を用いて線形予測を行ってもよい。
また、本開示の一態様に係る推定方法は、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子およびM個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有するアンテナ部を備えるセンサによる推定方法であって、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信し、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を受信し、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出し、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出し、前記第一複素伝達関数と前記第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出し、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出し、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出し、前記相関行列および前記ステアリングベクトルを用いて、前記生体の存在する尤度を示すスペクトル関数を算出し、前記スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力する。
これによれば、無線信号を利用して、第一期間における観測により得られた第一複素伝達関数に加えて、第一複素伝達関数を用いて推定した第一期間とは異なる第二期間における第二複素伝達関数を用いて、測定対象の領域に存在している生体の位置を推定する。このため、実際に観測する期間を第二期間の分だけ短くすることができ、少ない遅延時間で生体の位置を推定することができる。また、第一複素伝達関数の観測時間が十分とれず雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離できない場合も、線形予測により求められた第二複素伝達関数情報を追加で用いるため、雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離することができ、精度よく生体の位置を推定することができる。
また、本開示の他の一態様に係る推定方法は、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子およびM個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有するアンテナ部を備えるセンサによる推定方法であって、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信し、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を、受信し、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出し、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出し、前記第一複素伝達関数および前記第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成し、前記S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出し、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出し、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像を前記S個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出し、前記相関行列および前記S×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、前記複数の領域の位置および前記写像変数を変数として前記生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出し、K通りの写像変数のそれぞれについて、前記S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出し、前記K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力し、前記極大値をとる写像変数を前記生体の写像変数として出力する。
これによれば、無線信号を利用して、生体が移動した先のS個の位置におけるS個の第三複素伝達関数を生成し、各第三複素伝達関数を用いて、写像変数が一定で生体が移動すると仮定したときの、測定対象の領域に存在している生体のS個の位置を推定する。このため、生体が移動していても生体の位置を追跡することができる。また、本実施の形態のセンサ1Aによれば、第一複素伝達関数の観測時間が十分とれず雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離できない場合も、線形予測により求められた第二複素伝達関数情報を追加で用いるため、雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離することができ、精度よく生体の位置を推定することができる。
また、本開示の一態様に係るセンサシステムは、生体の存在する位置を検出するセンサと、前記センサからネットワークを介して前記センサにより検出された前記位置を逐次取得し、逐次取得した前記位置を蓄積するサーバとを備えるセンサシステムであって、前記センサは、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が前記生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を受信する受信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数と前記第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、前記相関行列および前記ステアリングベクトルを用いて、前記生体の存在する尤度を示すスペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、前記スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力する測位部と、を備える。
これによれば、無線信号を利用して、第一期間における観測により得られた第一複素伝達関数に加えて、第一複素伝達関数を用いて推定した第一期間とは異なる第二期間における第二複素伝達関数を用いて、測定対象の領域に存在している生体の位置を推定する。このため、実際に観測する期間を第二期間の分だけ短くすることができ、少ない遅延時間で生体の位置を推定することができる。また、第一複素伝達関数の観測時間が十分とれず雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離できない場合も、線形予測により求められた第二複素伝達関数情報を追加で用いるため、雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離することができ、精度よく生体の位置を推定することができる。
また、本開示の他の一態様に係るセンサシステムは、生体の存在する位置を検出するセンサと、前記センサからネットワークを介して前記センサにより検出された前記位置を逐次取得し、逐次取得した前記位置を蓄積するサーバとを備えるセンサシステムであって、前記センサは、生体の存在する位置を識別するセンサであって、N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を、受信する受信部と、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、前記第一複素伝達関数および前記第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成する複素伝達関数生成部と、前記S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像を前記S個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、前記相関行列および前記S×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、前記複数の領域の位置および前記写像変数を変数として前記生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、K通りの写像変数のそれぞれについて、前記S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出する個別スペクトル統合部と、前記K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力し、前記極大値をとる写像変数を前記生体の写像変数として出力する測位部と、を備える。
これによれば、無線信号を利用して、生体が移動した先のS個の位置におけるS個の第三複素伝達関数を生成し、各第三複素伝達関数を用いて、写像変数が一定で生体が移動すると仮定したときの、測定対象の領域に存在している生体のS個の位置を推定する。このため、生体が移動していても生体の位置を追跡することができる。また、本実施の形態のセンサ1Aによれば、第一複素伝達関数の観測時間が十分とれず雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離できない場合も、線形予測により求められた第二複素伝達関数情報を追加で用いるため、雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離することができ、精度よく生体の位置を推定することができる。
なお、本開示は、装置として実現するだけでなく、このような装置が備える処理手段を備える集積回路として実現したり、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、CD-ROM等の記録媒体やインターネット等の通信媒体を介して配信してもよい。
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(実施の形態1)
以下では、図面を参照しながら実施の形態1におけるセンサ1による生体位置推定方法等について説明する。
[センサ1の構成]
図1は、実施の形態1におけるセンサ1の構成を示すブロック図である。図1には、図1に示すセンサ1の測定対象である生体が合わせて示されている。
実施の形態1におけるセンサ1は、送信機10と、受信機20と、スペクトル算出部30と、測位部40とを備える。
[送信機10]
送信機10は、送信部11と、送信アンテナ部12とを有する。
送信アンテナ部12は、#1から#NまでのN個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する。送信アンテナ部12は、N素子のアレーアンテナを有する。送信アンテナ部12は、例えば、アレー素子アンテナ間隔が半波長の4素子パッチアレーアンテナなどである。送信アンテナ部12は、送信部11が生成した高周波の信号を送信する。
送信部11は、生体200の在不在、位置、及び、人数の少なくとも一つを推定するために用いる高周波の信号を生成する。送信部11は、生成した信号である送信信号を、測定対象の領域に送信アンテナ部12が有するN個の送信アンテナ素子を用いて送信する。例えば、送信部11は、2.4GHzのCW(Continuous Wave)を生成し、前記CWを送信波として送信アンテナ部12から送信する。なお、送信する信号は、CWに限らず例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などの変調をされた信号でも構わない。
[受信機20]
受信機20は、受信アンテナ部21と、受信部22とを備える。
受信アンテナ部21は、#1から#MまでのM個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する。受信アンテナ部21は、M素子のアレーアンテナを有する。受信アンテナ部21は、例えば、アレー素子アンテナ間隔が半波長の4素子パッチアレーアンテナなどである。受信アンテナ部21はアレーアンテナで高周波の信号を受信する。具体的には、受信アンテナ部21が有するM個の受信アンテナ素子のそれぞれは、N個の送信アンテナ素子から送信され、生体200が存在する場合には生体200によって反射された信号を含む受信信号を受信する。
受信部22は、M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された送信信号が生体によって反射された反射信号を含む受信信号を、所定期間、観測する。そして、受信部22は、受信アンテナ部21が受信した高周波の信号を、例えばダウンコンバータなどを用いて、信号処理が可能な低周波の信号に変換する。なお、送信機10が変調信号を送信している場合、受信部22は、変調信号の復調を行ってもよい。受信部22は、変換した低周波の信号を、スペクトル算出部30に伝達する。
なお、図1では、送信機10と受信機20とは隣接して配置されているが、これに限らずに、離れた位置に配置されてもよい。
また、図1では、送信機10が用いる送信アンテナ部12と受信機20が用いる受信アンテナ部21とは、異なるものとして異なる位置に配置されているが、これに限らない。送信機10および受信機20が用いる送信アンテナ部12および受信アンテナ部21は、送信アンテナ部12および受信アンテナ部21の一方で兼用されてもよい。さらに、送信機10および受信機20は、Wi-Fi(登録商標)ルータ、無線子機などの無線機器のハードウェアと共用されてもよい。また、本実施の形態にて例として挙げた利用周波数は、2.4GHzであるが5GHzやミリ波帯などどの周波数を用いてもよい。
[スペクトル算出部30]
図2は、実施の形態1におけるスペクトル算出部30の詳細な構成を示すブロック図である。
スペクトル算出部30は、第一複素伝達関数算出部100と、第二複素伝達関数算出部110と、生体成分抽出部120と、相関行列算出部130と、ステアリングベクトル算出部140と、スペクトル関数算出部150とを備える。スペクトル算出部30は、受信機20で観測された受信信号から位置スペクトル関数を算出し測位部40へ渡す。
[第一複素伝達関数算出部100]
第一複素伝達関数算出部100は、M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された受信信号のそれぞれから、N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する。つまり、第一複素伝達関数算出部100は、受信機20において所定期間に観測されたM個の受信信号を用いて、N個の送信アンテナ素子とM個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組み合わせであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける送信アンテナ素子と受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を算出することで、第一複素伝達関数行列を算出する。なお、第一期間は、例えば、生体200の活動(バイタル活動)に由来する周期に相当する期間であり、生体200の呼吸、心拍、体動の少なくとも1つを含む生体由来の周期(生体変動周期)よりも短い期間である。本実施の形態では、第一複素伝達関数算出部100は、受信部22により伝達された低周波の信号から、送信アンテナ部12のN個の送信アンテナ素子と受信アンテナ部のM個の受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を算出し、信号が観測された順である時系列で記録することで第一複素伝達関数を算出する。なお、第一複素伝達関数算出部100が算出した第一複素伝達関数には、送信アンテナ部12から送信された送信波の一部が生体200によって反射、散乱された信号である反射波や散乱波を含む場合がある。また、第一複素伝達関数算出部100が算出した第一複素伝達関数には、送信アンテナ部12からの直接波および固定物由来の反射波など、生体200を経由しない反射波が含まれている。
第一複素伝達関数H(t)は(式1)のようなM行N列の複素数の行列で表される。
Figure 0007474997000001
ここでhij(t)はj番目の送信アンテナ素子とi番目の受信アンテナ素子との間の伝搬特性を示す。また、tは時刻を表す変数である。
図3は、図1に示すセンサ1における信号波の伝達の様子を概念的に示す図である。図3に示すように、送信アンテナ部12の送信アンテナ素子から送信される送信波の一部は、生体200によって反射され、受信アンテナ部21の受信アンテナ素子に到達する。ここで、受信アンテナ部21は、M個の受信アンテナ素子からなる受信アレーアンテナであり、素子間隔dのリニアアレーである。また、受信アンテナ部21の正面から見た生体200の方向をθとする。生体200と受信アンテナ部21との距離は十分に大きく、受信アンテナ部21に到来する生体由来の反射波は平面波と見なせるものとする。
[第二複素伝達関数算出部110]
第二複素伝達関数算出部110は、第一複素伝達関数算出部100により算出された第一複素伝達関数に対して線形予測を行い、第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する。第二複素伝達関数算出部110は、第一複素伝達関数H(t)に対して、線形予測として、例えばARモデル(Autoregressive Model、自己回帰モデル)を用いて第二複素伝達関数H(t)を算出してもよい。具体的には、第二複素伝達関数算出部110は、第一複素伝達関数H(t)のM×N個のすべての要素に対してそれぞれARモデルを適用して第一複素伝達関数H(t)が記録された時刻よりも後の時刻の値を線形予測する。
ここでは代表例としてある一つの送信アンテナ素子とある一つの受信アンテナ素子との間の第一複素伝達関数であるh(t)について線形予測を行う方法について式を用いて述べる。時刻tにおけるh(t)を予測するためのARモデルは以下の(式2)および(式3)で表される。
Figure 0007474997000002
Figure 0007474997000003
ここでa (m)はAR係数と呼ばれるARモデルの係数、mは何個のデータを用いて予測を行うかを決定する次数、w(t)はホワイトノイズをそれぞれ表している。また、AR係数内の反射係数κは例えばBurg法で決定することができる。式2および式3を用いることで、過去m点分のhから次の時刻のh(t)を求めることができる。これを図4に示すように再帰的に適用していくことにより、第一複素伝達関数の時刻よりも先の任意の時刻の第二複素伝達関数を求めることができる。ここで線形予測により求められた複素伝達関数を第二複素伝達関数と称する。
本実施の形態では第一複素伝達関数を記録した時刻のうち最新の時刻TからT’秒先の時刻までの間の第二期間における線形予測を行う。線形予測を行う第二期間の長さT’は呼吸など生体200によるバイタル活動の生体信号を十分反映するよう3秒以上であることが望ましい。このように、第二期間は、第一期間よりも後の未来の期間である。また、第二期間は、計測の対象となるバイタル活動の周期以上の長さであってもよい。また、第一期間及び第二期間を合わせた期間の長さは、計測の対象となるバイタル活動の種類に応じて予め定められた長さに設定されてもよい。予め定められた長さは、計測の対象となる種類のバイタル活動の周期以上の長さであってもよい。例えば、計測の対象となるバイタル活動の種類が呼吸である場合、予め定められた長さは、3秒である。また、第一期間の長さと、第二期間の長さとは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。また、第二期間は、第一期間に含まれない期間であれば、第一期間よりも後の期間に限らずに、第一期間よりも前の期間であってもよい。
なお、ここではARモデルについて述べたが、そのほかにもMA モデル(Moving Average Model)やARMA モデル(Autoregressive Moving Average Model)を用いて予測を行ってもよい。
[生体成分抽出部120]
生体成分抽出部120は、第一複素伝達関数と第二複素伝達関数とを用いて、時変動する成分である生体成分を抽出する。この生体成分には、雑音による変動に加え、1以上の生体200によって反射または散乱された信号成分である生体成分が含まれうる。ここで、変動成分を抽出する方法としては、例えばフーリエ変換などによる周波数領域への変換後、所定の周波数成分のみを抽出する方法、または、2つの異なる時間の複素伝達関数の差分を計算することで抽出する方法がある。これらの方法により、直接波および固定物を経由する反射波の成分は除去され、生体200を経由する生体成分と雑音のみが残ることになる。例えば、5秒間の複素伝達関数を用いて0.3Hzから3Hzの成分を抽出し、生体の静止時でも存在する呼吸成分を含む変動成分を抽出する。ここで使用する複素伝達関数は、第一複素伝達関数と第二複素伝達関数との両方であってもよいし、第一複素伝達関数及び第二複素伝達関数のうちの第二複素伝達関数のみであってもよい。第二複素伝達関数のみを用いる場合、最終的な測位結果出力までの遅延は減少するが、線形予測による誤差で測位精度は低下する。このため、許容可能な遅延量に応じて使用する第一複素伝達関数の長さを決定することが望ましい。このように、生体成分抽出部120は、第一複素伝達関数と第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する。
なお、本実施の形態では、所定の周波数成分の一例として0.3Hzから3Hzの成分を抽出したが、より遅い動作やより速い動作を抽出したい場合は、抽出したい動作の周波数成分に合わせて抽出周波数成分を変更すればよいことは言うまでもない。
なお、本実施の形態では、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ素子はN個、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ素子はM個すなわち複数あるため、送信および受信アレーアンテナに対応する複素伝達関数の変動成分も複数となる。以下、これらをまとめて算出されるM行N列の生体成分チャネル行列F(f)は、(式4)で表される。なお、生体成分チャネル行列は、生体成分複素伝達関数行列ともいう。
Figure 0007474997000004
なお、生体成分複素伝達関数行列F(f)の各要素Fijは、複素伝達関数行列Hの各要素hijから変動成分を抽出した要素である。また、生体成分複素伝達関数行列F(f)は周波数やそれに類する差分周期fの関数であり、複数の周波数に対応する情報を含む。
[相関行列算出部130]
相関行列算出部130は、生体成分抽出部120により算出されたM行N列で構成される生体成分チャネル行列の要素を並べ替えることでM×N行1列の生体成分チャネルベクトルFvec(f)を生成する。並べ方としては例えば(式5)のような方法があるが、行列を並べ替える操作であれば順序は問わない。なお、生体成分チャネルベクトルは、生体成分複素伝達関数ベクトルともいう。
Figure 0007474997000005
その後、相関行列算出部130は、生体成分チャネルベクトルの周波数方向の相関行列を算出する。より具体的には、相関行列算出部130は、生体200と雑音による複数の変動成分から構成される変動成分チャネルベクトルの相関行列Rを(式6)に従って算出する。相関行列Rは、M×N行M×N列で構成される。
Figure 0007474997000006
ここで(式6)中のE[ ]は平均演算を表し、演算子Hは複素共役転置を表す。ここで、相関行列計算において複数の周波数成分を含む生体成分チャネルベクトルを、周波数方向に平均化された相関行列Rを算出する。これにより、それぞれの周波数に含まれる情報を同時に使用したセンシングが可能となる。つまり、特定の周波数、例えば1Hzの成分が弱い場合でも周囲の周波数、例えば0.9Hzや1.1Hzの情報を用いてセンシングが可能である。なお、生体成分の大きい周波数のみを用いるために、(式6)の平均演算において、Fvec(f)の各要素の絶対値の総和または最大値が一定以上のもののみを選択してもよい。
[ステアリングベクトル算出部140]
ステアリングベクトル算出部140は、以下に述べる手順で送信ステアリングベクトルおよび受信ステアリングベクトルとこれを統合した送受信双方を考慮したステアリングベクトルを算出し、スペクトル関数算出部150に伝達する。
ステアリングベクトル算出部140は、センサ1の測定対象の領域1010をNgrid個の領域1011-1~1011-Ngridに分割する。次に、ステアリングベクトル算出部140は、測定対象の領域1010が複数に区切られた領域1011-1~1011-Ngridのそれぞれに対して、当該領域内の代表点と、送信アンテナ部12の位置および受信アンテナ部21の位置のそれぞれとを結ぶ2本の直線が、基準線となす角度θti、θriをそれぞれ算出する。ここで、iは1からNgridまでの整数である。また、当該領域内の代表点とは、例えば当該領域の重心点または右上の角の点である。また、基準線とは、例えば、送信アンテナ部12の位置および受信アンテナ部21の位置を結ぶ直線である。当該領域の分割および求める角度θti、θriの関係は、図5に示される。
図5に示されるように、領域1010-iに対する角度θtiは、領域1010-i内の代表点P1と送信アンテナ部12の位置とを結ぶ直線L1が基準線L3となす角度である。領域1010-iに対する角度θriは、領域1010-i内の代表点P1と受信アンテナ部21の位置とを結ぶ直線L2が基準線L3となす角度である。領域1010-i内の代表点P1は、例えば、領域1010-iの重心である。
より具体的には、ステアリングベクトル算出部140によって送信アレーアンテナのステアリングベクトル(方向ベクトル)は、(式7)で算出される。
Figure 0007474997000007
受信アレーアンテナのステアリングベクトル(方向ベクトル)は、(式8)で算出される。
Figure 0007474997000008
ここで、kは波数である。さらに、ステアリングベクトル算出部140はこれらのステアリングベクトルを乗算することで、(式9)に示すように、送受信アレーアンテナ双方の角度情報を考慮したステアリングベクトルを算出する。
Figure 0007474997000009
なお、ステアリングベクトルは、θおよびθの関数であり、θ及びθは、Ngrid個に分割された複数の領域1011-1~1011-Ngridの位置に対応して定められる。つまり、ステアリングベクトル算出部140は、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出する。ステアリングベクトルは、送信アンテナからθの方向に伸ばした直線と受信アンテナからθの方向に伸ばした直線の交点Xの関数としても表される。このため、ステアリングベクトルは、以降において、簡単のためにa(X)と表記する。そして、ステアリングベクトル算出部140は、ステアリングベクトルa(X)をスペクトル関数算出部150に伝達する。
[スペクトル関数算出部150]
スペクトル関数算出部150は、相関行列算出部130により算出された相関行列とステアリングベクトル算出部140により算出したステアリングベクトルとを用いて、位置スペクトル関数を算出する。位置スペクトル関数は、生体200の存在する尤度を示すスペクトル関数である。位置スペクトル関数を算出する手法には、BeamFormer法やCapon法、MUSIC(MUltiple Signal Classification)法などがあるが、本実施の形態では一例としてMUSIC法を使った方法について説明する。つまり、本実施の形態では、スペクトル関数算出部150は、MUSIC法によりスペクトル関数を算出する。相関行列算出部130で算出された相関行列を固有値分解すると、次の(式10)~(式12)に示すように表される。
Figure 0007474997000010
Figure 0007474997000011
Figure 0007474997000012
ここで、(式11)は要素数がM×Nである固有ベクトルであり、(式12)は固有ベクトルに対応する固有値であり、λ≧λ≧・・・≧λ≧λL+1・・・≧λMNの順であるものとする。Lはセンサを設置した領域における人数情報である。人数情報は、あらかじめ領域に存在しうる最大人数が予想できる場合、その数もしくはその数から1または2多い数に決定されても良いし、ほかの手段で人数が判明している場合はその人数に決定されてもよい。
また、これにMUSIC法を適用する。
すなわち、スペクトル関数算出部150は、MUSIC法に基づき、乗算したステアリングベクトルを用いて下記(式13)で示される位置スペクトル関数Pmusic(X)のスペクトルを算出する。
Figure 0007474997000013
[測位部40]
測位部40は、スペクトル関数算出部150により算出された位置スペクトル関数の極大値を探索し、極大値をとる位置を生体の位置として推定する。具体的には、測位部40は、センサ1が測定の対象となる領域内の座標の中から位置スペクトル関数において極大値をとる座標の探索を行う。このとき、ノイズの影響による虚像を排除するために、位置スペクトル関数の値が所定の閾値以下の範囲は、極大値探索から除外されてもよい。なお、本実施例では二次元平面上における生体の位置推定について説明したが、高さ方向にも同様の測位を行うことで三次元の推定を行うことができる。また、探索された極大値の数は、人数情報として出力されてもよい。
なお、本実施の形態では送信アンテナ部12と受信アンテナ部21とがともに複数のMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)である構成の例を説明したが、送信アンテナ部または受信アンテナ部の一方が単一アンテナの構成を用いてもよい。その場合、スペクトル関数算出部150が出力するMUSICスペクトルは1次元となるが、その場合でも2次元の場合と同様にピーク探索による位置推定が可能である。
[センサ1の動作]
次に、以上のように構成されるセンサ1が生体の位置を推定する処理について説明する。
図6は、実施の形態1におけるセンサ1の推定処理を示すフローチャートである。
まず、センサ1は、測定対象の領域に送信信号を送信し、所定期間、受信信号を観測する(S10)。
次に、センサ1は、ステップS10で観測した受信信号から、第一複素伝達関数を算出し第一期間にわたって時系列に記録する(S20)。
そして、センサ1は、算出した第一複素伝達関数から線形予測を用いて第二複素伝達関数を算出する(S30)。
次に、センサ1は、算出した第二複素伝達関数から変動成分を抽出することで、生体成分チャネル行列を算出する(S40)。
次に、センサ1は、抽出した生体成分チャネル行列の相関行列を算出する(S50)。
そして、センサ1は、送信アンテナ素子および受信アンテナ素子のウェイトに対応するステアリングベクトルを算出する(S60)。
その後、センサ1は、ステップS60で算出されたステアリングベクトルとステップS50で算出された相関行列を用いて、MUSIC法により、位置スペクトル関数を算出する(S70)。
最後に、センサ1は、ステップS70で算出した位置スペクトル関数の極大値を探索し、位置スペクトル関数において極大値をとる位置を、生体の位置として推定し、出力する(S80)。
[効果等]
本実施の形態のセンサ1によれば、無線信号を利用して、第一期間における観測により得られた第一複素伝達関数に加えて、第一複素伝達関数を用いて推定した第一期間とは異なる第二期間における第二複素伝達関数を用いて、測定対象の領域に存在している生体の位置を推定する。このため、実際に観測する期間を第二期間の分だけ短くすることができ、少ない遅延時間で生体の位置を推定することができる。また、第一複素伝達関数の観測時間が十分とれず雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離できない場合も、線形予測により求められた第二複素伝達関数情報を追加で用いるため、雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離することができ、精度よく生体の位置を推定することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1におけるセンサ1では、スペクトル算出部30は、第一複素伝達関数および第二複素伝達関数に対して単一の位置スペクトル関数を算出する例を説明した。実施の形態2におけるセンサ1Aでは、受信機20が信号を観測している期間に生体200が移動している場合にも生体200の位置を推定できるように、第一複素伝達関数および第二複素伝達関数を複数の区間に区切り、それぞれ位置スペクトル関数を算出する方法について説明する。
図7は、実施の形態2におけるセンサ1Aの構成を示すブロック図である。図8は、実施の形態2におけるスペクトル算出部301の詳細な構成を示すブロック図である。
なお、送信機10および受信機20と、スペクトル算出部301のうち第一複素伝達関数算出部100及び第二複素伝達関数算出部110の構成は実施の形態1と同一であるため、実施の形態1と同じ符号を付し、ここでは説明を省略する。
[複素伝達関数生成部310]
複素伝達関数生成部310は、第一複素伝達関数算出部100および第二複素伝達関数算出部110から伝達された第一複素伝達関数および第二複素伝達関数を所定の個数に分割する。ここで分割された複素伝達関数を第三複素伝達関数と称する。つまり、複素伝達関数生成部310がS(Sは2以上の自然数)個に分割を行った場合、第三複素伝達関数の数もS個となる。このように、複素伝達関数生成部310は、第一複素伝達関数及び第二複素伝達関数から、互いに異なるS個の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成する。S個の第三複素伝達関数にそれぞれ対応するS個の期間は、互いに一部重複する期間を有していてもよいし、互いに全く重複する期間を有しない期間であってもよい。本実施の形態では、S個の期間は、隣接する2つの期間が連続しており、かつ、互いに重複する期間を有しない期間である。ここで、それぞれの第三複素伝達関数の期間は、代表的な生体信号である呼吸の周期よりも長い期間、例えば3秒程度であることが望ましい。複素伝達関数生成部310は、S個(本実施の形態では3個)の第三複素伝達関数をそれぞれS個(本実施の形態では3個)の個別スペクトル算出部321~323に伝達する。なお、図8では、スペクトル算出部301は、3個の個別スペクトル算出部321~323を含む構成を例示しているが、これに限らずに、個別スペクトル算出部の数は2以上であればよい。
[個別スペクトル算出部321~323]
S個の個別スペクトル算出部321~323のそれぞれは、複素伝達関数生成部310により生成されたS個の第三複素伝達関数のうちの対応する第三複素伝達関数を用いて、位置スペクトル関数を生成する。このため、S個の位置スペクトル関数が生成される。それぞれの個別スペクトル算出部321~323の動作は同じため、ここでは一つの個別スペクトル算出部321を例にとって説明する。個別スペクトル算出部321は、図8に示すように生体成分抽出部120、相関行列算出部130、ステアリングベクトル算出部141、スペクトル関数算出部151を有する。このうち生体成分抽出部120及び相関行列算出部130は、実施の形態1において生体成分抽出部120に入力される複素伝達関数として、第一複素伝達関数及び第二複素伝達関数を一つの第三複素伝達関数に置き換えたものと同様のため説明を省略する。
[ステアリングベクトル算出部141]
実施の形態1におけるステアリングベクトル算出部140は、信号が観測された時刻における測位対象となる生体200の位置と現在の生体200の位置が同一としてステアリングベクトルa(X)を算出すると説明した。実施の形態2におけるステアリングベクトル算出部141は、s番目の第三複素伝達関数が観測された時刻tsにおける生体200の位置から現在の生体200の位置が変化しているとしてステアリングベクトルを算出する。具体的には、まずステアリングベクトル算出部141は、実施の形態1と同様に(式7)、(式8)及び(式9)を用いてステアリングベクトルa(X)を算出する。その後、ステアリングベクトル算出部141は、現在の生体200の位置と時刻tの生体200の位置の差を反映するため、算出したステアリングベクトルa(X)に対して(式14)を用いて変換を行う。
Figure 0007474997000014
(X,ΔX)を拡張ステアリングベクトルと称する。ここでΔXは現在時刻と時刻tsの間に生体が移動しうる変位を示す。原理的にはΔXは無数の値を取りうるが、現実にはある時間で生体が移動できる距離は限られており、さらに量子化すればΔXの取りうる値の範囲は有限である。つまり、ステアリングベクトル算出部141は、ΔXの取りうる値の範囲における離散化されたK通り(Kは2以上の自然数)の値に対して拡張ステアリングベクトルa(X,ΔX)を算出し、算出したK個の拡張ステアリングベクトルa(X,ΔX)をスペクトル関数算出部151に渡す。このため、S個の個別スペクトル算出部321~323にそれぞれ含まれるS個のステアリングベクトル算出部141は、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像をS個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出する。本実施の形態では、写像変数は、変位ΔXである。なお、写像変数は、変位ΔXに限らずに、変位ΔXに関する値、例えば、変位ΔXを1回微分して算出される速度、変位ΔXを2回微分して算出される加速度などであってもよい。
[スペクトル関数算出部151]
スペクトル関数算出部151は、ステアリングベクトル算出部141から渡されたK個の拡張ステアリングベクトルa(X,ΔX)を用いて、式15で示す拡張スペクトル関数P(X,ΔX)を算出する。このため、S個の個別スペクトル算出部321~323にそれぞれ含まれるS個のスペクトル関数算出部151は、相関行列およびS×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、複数の領域の位置および写像変数を変数として生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出する。
Figure 0007474997000015
ここでは、スペクトル関数算出部151は、実施の形態1のスペクトル関数算出部150と同様にMUSIC法のスペクトル関数を算出する。なお、MUSIC法のスペクトル関数に限らずに、Capon法などの他のスペクトル関数を用いてもよい。
[個別スペクトル統合部330]
個別スペクトル統合部330は、S個の個別スペクトル算出部321~323から伝達されたS×Kの拡張スペクトル関数P(X,ΔX)を一つの位置スペクトル関数に統合する。具体的には時刻tにおいてΔXがとりうる値の集合をAとした場合のAからAまでのとりうる組み合わせである、直積集合Aを求める。ここで便宜的に直積集合Aの各要素に番号を付ける。Aのn番目の要素はS個の変位を示す値で構成されており、s番目をxnsと表記することにする。個別スペクトル統合部330は直積集合に含まれる全要素に対して(式16)で示される統合スペクトル関数を算出する。このように、個別スペクトル統合部330は、K通りの写像変数のそれぞれについて、S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出する。
Figure 0007474997000016
なお、個別スペクトル統合部330は、本実施の形態では(式16)で示される調和平均を用いて統合スペクトル関数を算出する例を示したが、調和平均に限らずに、算術平均や相乗平均を用いて統合スペクトル関数を算出してもよい。
[測位部340]
測位部340は、スペクトル算出部301から伝達されたK個の統合スペクトル関数の極大値を探索し、K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を生体の位置として推定する。また、測位部340は、極大値をとる写像変数を生体の写像変数として推定してもよい。実施の形態1における測位部40は座標変数Xに対して探索を行ったが、実施の形態2の測位部340は、統合スペクトル関数を座標変数Xだけでなく、直積集合Aの要素(つまり、K通りの写像変数であるK通りの変位ΔX)に対しても探索を行うこととなる。これにより、測位部340は、統合スペクトル関数の値が極大となるXおよびnを求め、現在の生体位置をXmax、時刻tにおける生体位置をXmax+xnsとして出力する。
なお、本実施の形態では、ステアリングベクトル算出部141は、(式14)を用いて拡張ステアリングベクトルへの変換を行ったが、実施の形態1と同様のステアリングベクトルを用いて位置スペクトル関数Pmusic(X)を導出したのちに、位置スペクトル関数に対してP(X,ΔX)=Pmusic(X+ΔX)なる変換を行うことで拡張スペクトル関数P(X,ΔX)を求めてもよい。
[センサ1Aの動作]
次に、以上のように構成されるセンサ1Aが生体の位置を推定する処理について説明する。
図9は、実施の形態2におけるセンサ1Aの推定処理を示すフローチャートである。
まず、センサ1Aは、測定対象の領域に送信信号を送信し、所定期間、受信信号を観測する(S10)。
次に、センサ1Aは、ステップS10で観測した受信信号から、第一複素伝達関数を算出し第一期間にわたって時系列に記録する(S20)。
そして、センサ1Aは、算出した第一複素伝達関数から線形予測を用いて第二複素伝達関数を算出する(S30)。
次に、センサ1Aは、第一複素伝達関数および第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成する(S31)。
次に、センサ1Aは、S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分チャネル行列(生体成分複素伝達関数行列)を抽出する(S41)。
次に、センサ1Aは、生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する(S51)。
次に、センサ1Aは、測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像をS個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出する(S61)。
次に、センサ1Aは、相関行列およびS×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、複数の領域の位置および写像変数を変数として生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出する(S71)。
次に、センサ1Aは、K通りの写像変数のそれぞれについて、S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出する(S72)。
最後に、センサ1は、K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を生体の位置として推定し、極大値をとる写像変数を生体の写像変数として推定し、推定したこれらの生体の位置「及び写像変数を出力する(S81)。
[効果等]
本実施の形態のセンサ1Aによれば、無線信号を利用して、生体が移動した先のS個の位置におけるS個の第三複素伝達関数を生成し、各第三複素伝達関数を用いて、写像変数が一定で生体が移動すると仮定したときの、測定対象の領域に存在している生体のS個の位置を推定する。このため、生体が移動していても生体の位置を追跡することができる。また、本実施の形態のセンサ1Aによれば、第一複素伝達関数の観測時間が十分とれず雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離できない場合も、線形予測により求められた第二複素伝達関数情報を追加で用いるため、雑音と生体成分とを固有値分解によって十分に分離することができ、精度よく生体の位置を推定することができる。
(実施の形態3)
実施の形態2におけるセンサ1Aでは、時刻tにおける現在からの生体位置の変位をパラメータとして拡張スペクトル関数による探索を行ったが、探索範囲を減らして計算量を削減するために生体の速度を媒介変数(写像変数)として用いる方法について説明する。なお、センサの構成は、実施の形態2と同様であるため、図7および図8のブロック図を用いて引き続き説明を行う。また、実施の形態2と同様の処理を行うブロックについては説明を省略する。
[ステアリングベクトル算出部141]
実施の形態2におけるステアリングベクトル算出部141は変位ΔXをパラメータとする拡張ステアリングベクトルを算出したが、本実施の形態におけるステアリングベクトル算出部141は生体の速度vをパラメータとする拡張ステアリングベクトルを算出する。つまり、実施の形態3では、写像変数として生体の速度vを用いる。これは、生体の移動速度がある程度の区間ならば一定の等速運動とみなすことができ、生体の移動を等速運動で近似すれば変位量ΔXは速度vと時間t-tとの積で表すことができるからである。ここでtは現在時刻である。すなわち、拡張ステアリングベクトルは、(式17)のように表すことができる。
Figure 0007474997000017
a‘(X,v)を速度拡張ステアリングベクトルと称する。
図10は、速度vと時刻tにおける変位との関係を示す図である。
ここでは複素伝達関数生成部310は、第一複素伝達関数及び第二複素伝達関数を、図10におけるA、B及びCの3つの第三複素伝達関数に分割する例を示しており、A、B及びCは時系列順にA<B<Cとなっており、便宜的にAを過去、Bを現在、Cを未来に相当する第三複素伝達関数であると仮定する。図10に示すように、速度vを決定することでA、B及びCそれぞれの時刻における変位量を一意に決定することができる。
ここで、図11は、A、B及びCそれぞれにおいて(式17)による変換が現在のステアリングベクトルを速度vと時間t-tとの積で表される変位量分だけシフトさせる操作であることを概念的に示す図である。なお、速度vは連続量であるが、量子化することで取りうる値を有限にすることができる。つまり、実施の形態3において、写像変数は、K個に離散化された速度である。また、速度vは平面測位の場合は二次元ベクトルで表されることに留意が必要である。
[スペクトル関数算出部151]
スペクトル関数算出部151は、ステアリングベクトル算出部141から渡された速度拡張ステアリングベクトルa’(X,v)を用いて(式18)で示す速度拡張スペクトル関数P’(X,v)を算出する。速度拡張スペクトル関数P’(X,v)は、拡張スペクトル関数の一例である。
Figure 0007474997000018
ここでは、スペクトル関数算出部151は、実施の形態1のスペクトル関数算出部150と同様にMUSIC法のスペクトル関数を算出する。なお、MUSIC法のスペクトル関数に限らずに、Capon法などの他のスペクトル関数を用いてもよい。
[個別スペクトル統合部330]
個別スペクトル統合部330は、S個の個別スペクトル算出部321~323から伝達されたS×Kの速度拡張スペクトル関数P’(X,v)を一つの位置スペクトル関数に統合する。具体的には速度vがとりうる値の集合をVとした場合のすべてのVの要素に対して(式19)で示される統合スペクトル関数を算出する。このように、個別スペクトル統合部330は、K通りの速度のそれぞれについて、S×K個の速度拡張スペクトル関数のうち、当該速度を変数として算出されたS個の速度拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出する。
Figure 0007474997000019
なお、個別スペクトル統合部330は、本実施の形態では(式19)で示される調和平均を用いて統合スペクトル関数を算出する例を示したが、調和平均に限らずに、算術平均や相乗平均を用いて統合スペクトル関数を算出してもよい。
[測位部340]
測位部340は、スペクトル算出部301から伝達されたK個の統合スペクトル関数の極大値を探索し、K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を生体の位置として推定する。また、測位部340は、極大値をとる速度を生体の移動速度として推定してもよい。実施の形態1における測位部40は座標変数Xに対して探索を行ったが、実施の形態3の測位部340では統合スペクトル関数を座標変数Xだけでなく、速度vに対しても探索を行う。これにより、統合スペクトル関数の値が極大となるXmaxおよびvmaxを求め、現在の生体位置をXmax、移動速度をvmaxとして出力する。
[効果等]
本実施の形態のセンサ1Aによれば、無線信号を利用して、生体が移動した先のS個の位置におけるS個の第三複素伝達関数を生成し、各第三複素伝達関数を用いて、速度が一定で生体が移動すると仮定したときの、測定対象の領域に存在している生体のS個の位置を推定する。このため、生体が移動していても生体の位置を追跡することができる。また、実施の形態2におけるセンサ1Aと比較して探索を行う必要がある統合スペクトル関数のパラメータが位置Xと速度vとに集約されるため、計算量を削減でき、より短い遅延で測位を行うことができる。
(その他の実施の形態)
上記実施の形態におけるセンサ1、1Aは、ネットワークを介して接続されているサーバへ、検出した生体の位置を送信してもよい。例えば、センサ1、1Aは、逐次生体の位置を検出し、逐次検出した生体の複数の位置を含むデータセットを定期的にサーバへ送信してもよい。サーバへ送信されるデータセットは、1タイミングで検出された生体の1つの位置のみを含んでもよいし、所定期間の複数タイミングのそれぞれにおいて検出された生体の複数の位置を含んでもよい。データセットに含まれる生体の位置は、検出された時刻と対応付けられていてもよい。つまり、データセットは、生体の位置と、当該生体の位置が検出された時刻とを含んでもよい。また、データセットは、検出したセンサ1、1Aの識別子を含んでもよい。
サーバは、センサ1、1Aからデータセットを取得し、データセットに含まれる生体の位置を蓄積する。サーバは、センサ1、1Aの識別子とともに生体の位置及び生体の位置が検出された時刻を蓄積してもよい。
本開示は、無線信号を利用してより低遅延で生体の位置を推定できるセンサ、生体の位置を測定する測定器、生体の位置に応じた制御を行う家電機器、生体の侵入を検知する監視装置などに適用できる。
1、1A センサ
10 送信機
11 送信部
12 送信アンテナ部
20 受信機
21 受信アンテナ部
22 受信部
30、301 スペクトル算出部
40、340 測位部
100 第一複素伝達関数算出部
110 第二複素伝達関数算出部
120 生体成分抽出部
130 相関行列算出部
140、141 ステアリングベクトル算出部
150、151 スペクトル関数算出部
200 生体
310 複素伝達関数生成部
321~323 個別スペクトル算出部
330 個別スペクトル統合部

Claims (12)

  1. 生体の存在する位置を検出するセンサであって、
    N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、
    M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、
    測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が前記生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を受信する受信部と、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、
    前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれず、かつ、前記第一期間の次に到来する第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、
    前記第一複素伝達関数と前記第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、
    前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、
    測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、
    前記相関行列および前記ステアリングベクトルを用いて、前記生体の存在する尤度を示すスペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、
    前記スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力する測位部と、を備える
    センサ。
  2. 生体の存在する位置を識別するセンサであって、
    N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、
    M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、
    測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を、受信する受信部と、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、
    前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、
    前記第一複素伝達関数および前記第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成する複素伝達関数生成部と、
    前記S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、
    前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、
    測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像を前記S個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、
    前記相関行列および前記S×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、前記複数の領域の位置および前記写像変数を変数として前記生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、
    K通りの写像変数のそれぞれについて、前記S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出する個別スペクトル統合部と、
    前記K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力し、前記極大値をとる写像変数を前記生体の写像変数として出力する測位部と、を備える
    センサ。
  3. 前記写像変数は、K個に離散化された速度である
    請求項2に記載のセンサ。
  4. 前記第一期間の長さと、前記第二期間の長さとは、互いに等しい
    請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ。
  5. 前記第一期間及び前記第二期間を合わせた期間の長さは、計測の対象となる前記バイタル活動の種類に応じて予め定められた長さに設定され、
    前記予め定められた長さは、計測の対象となる種類のバイタル活動の周期以上の長さである
    請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサ。
  6. 前記第二期間は、前記第一期間よりも後の未来の期間である
    請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサ。
  7. 前記スペクトル関数算出部は、MUSIC(MUltiple Signal Classification)法によりスペクトルを算出する
    請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサ。
  8. 前記第二複素伝達関数算出部は、ARモデル(Autoregressive Model)を用いて線形予測を行う
    請求項1から7のいずれか1項に記載のセンサ。
  9. N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子およびM個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有するアンテナ部を備えるセンサによる推定方法であって、
    測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信し、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を受信し、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出し、
    前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれず、かつ、前記第一期間の次に到来する第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出し、
    前記第一複素伝達関数と前記第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出し、
    前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出し、
    測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出し、
    前記相関行列および前記ステアリングベクトルを用いて、前記生体の存在する尤度を示すスペクトル関数を算出し、
    前記スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力する
    推定方法。
  10. N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子およびM個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有するアンテナ部を備えるセンサによる推定方法であって、
    測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信し、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を、受信し、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出し、
    前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出し、
    前記第一複素伝達関数および前記第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成し、
    前記S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出し、
    前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出し、
    測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像を前記S個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出し、
    前記相関行列および前記S×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、前記複数の領域の位置および前記写像変数を変数として前記生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出し、
    K通りの写像変数のそれぞれについて、前記S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出し、
    前記K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力し、前記極大値をとる写像変数を前記生体の写像変数として出力する
    推定方法。
  11. 生体の存在する位置を検出するセンサと、前記センサからネットワークを介して前記センサにより検出された前記位置を逐次取得し、逐次取得した前記位置を蓄積するサーバとを備えるセンサシステムであって、
    前記センサは、
    N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、
    M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、
    測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が前記生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を受信する受信部と、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、
    前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれず、かつ、前記第一期間の次に到来する第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、
    前記第一複素伝達関数と前記第二複素伝達関数とを用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、
    前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、
    測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、
    前記相関行列および前記ステアリングベクトルを用いて、前記生体の存在する尤度を示すスペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、
    前記スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力する測位部と、を備える
    センサシステム。
  12. 生体の存在する位置を検出するセンサと、前記センサからネットワークを介して前記センサにより検出された前記位置を逐次取得し、逐次取得した前記位置を蓄積するサーバとを備えるセンサシステムであって、
    前記センサは、
    生体の存在する位置を識別するセンサであって、
    N個(Nは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、
    M個(Mは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、
    測定対象の領域に前記N個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含むM個の受信信号を、受信する受信部と、
    前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記M個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を第一期間にわたって時系列に記録した第一複素伝達関数を算出する第一複素伝達関数算出部と、
    前記第一複素伝達関数に対して線形予測を行うことで、前記第一期間に含まれない第二期間にわたって、M×Nの複素伝達関数を時系列に推定することで第二複素伝達関数を算出する第二複素伝達関数算出部と、
    前記第一複素伝達関数および前記第二複素伝達関数から、互いに異なるS個(Sは2以上の自然数)の期間におけるS個の第三複素伝達関数を生成する複素伝達関数生成部と、
    前記S個の第三複素伝達関数を用いて、呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか一つを含む前記生体のバイタル活動の影響を受ける成分に対応する所定の周波数範囲に属する生体成分複素伝達関数行列を抽出する生体成分抽出部と、
    前記生体成分複素伝達関数行列の要素をベクトルに並べ替えることで生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、得られた前記生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、
    測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるS個のステアリングベクトルを算出し、K通り(Kは2以上の自然数)の値を取りうる写像変数を用いた写像を前記S個のステアリングベクトルのそれぞれに行うことで、S×Kの拡張ステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、
    前記相関行列および前記S×Kの拡張ステアリングベクトルを用いて、前記複数の領域の位置および前記写像変数を変数として前記生体の存在する尤度を示すS×K個の拡張スペクトル関数を算出するスペクトル関数算出部と、
    K通りの写像変数のそれぞれについて、前記S×K個の拡張スペクトル関数のうち、当該写像変数を変数として算出されたS個の拡張スペクトル関数を統合することで、K個の統合スペクトル関数を算出する個別スペクトル統合部と、
    前記K個の統合スペクトル関数が極大値をとる位置を前記生体の位置として出力し、前記極大値をとる写像変数を前記生体の写像変数として出力する測位部と、を備える
    センサシステム。
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