以下、本発明に係る実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。更に、以下の記載において、遊技者の方(手前)を「前方」、反対を「後方」と記載すると共に、図1の正面図を基準に遊技機の上下左右を規定する。
[遊技機の構成の概要]
まず、図1~図3に基づいて、遊技機の概略構成について説明をする。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。このスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、箱型の筐体BXと、この筐体BXに対して開閉可能な前扉FDと、を備えている。
上記筐体BXは、図3に示すように、前面に開口BXaを有しており、その内部には遊技を実行可能にするため、或いは演出を実行可能にするための各種の内部機器が収納されている。各種の内部機器として、筐体BXには、複数のリールR1~R3を有するリールユニット310が収められており、また、リールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320が、リールユニット310の上部には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板10などが収められている。
上述した複数のリールR1~R3(最も左方側に配置された第1リールR1、第1リールR1の右方側に配置された第2リールR2、第2リールR2の右方側に配置された第3リールR3)は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また、第1リールR1~第3リールR3は、内部からリールバックライトBLによって照らされると共に、リール駆動手段としてのステッピングモータMに軸支されてコマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。
前扉FDは、それぞれ個別に開閉可能で、開口BXaの上半部を閉じることが可能な前面上扉UDと、開口の下半部を閉じることが可能な前面下扉DDと、に上下に分割して構成されている。これら前面上扉UD及び前面下扉DDは、それぞれの左方側に設けられたヒンジHN(図3参照)によって筐体BXに開閉自在に取り付けられており、筐体BXに対して右方側が開閉可能となっていて、閉じられた際に上記各種の内部機器を前方から閉塞する。なお、本実施の形態においては、前扉FDに取付けられ、前扉FDを筐体BXに対して閉じた際、筐体BXの内部に納まらない機器であっても、前扉FDを閉じたことによって外部からアクセス不能になる機器について、内部機器と言うものとする。
また、図1に示すように、前面上扉UDには、第1リールR1~第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1~第3リールR3の停止状態では、第1リールR1~第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると第1リールR1~第3リールR3の中段によって構成される有効ラインLXが有効化される。
そして、遊技結果は、表示窓DW内の有効ラインLX上に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインLX上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1~ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが傾動操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後に第1リールR1~第3リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
また、主制御表示装置500には、7セグメント表示器のドットであり、図示しない有利期間制御手段によって有利期間が開始されている場合に点灯し、有利期間が開始されていない、つまり非有利期間が開始されている場合に消灯することで有利期間が開始されているか否かを報知する有利期間報知部500Aが設けられている。
更に、スロットマシン1には、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりする、遊技に関する演出を実行可能な演出装置300が設けられている。演出装置300には、上記表示窓DWを覆うように前面上扉UDに設けられている表示装置330、及び複数の電飾装置360、前面下扉に設けられている複数の電飾装置370が含まれる。表示装置330は、例えば表示窓DW(第1リールR1~第3リールR3)の手前側に配置された液晶ディスプレイから構成され、遊技の進行に応じて各種の映像や画像を表示する演出を実行し、つまり本スロットマシン1は所謂全面液晶機のように構成されている。電飾装置360,370は、遊技の進行に応じて発光する演出を実行する。また、演出装置300には、前面上扉UD及び前面下扉DDに設けられている、複数の音響装置380,390,395を含む。音響装置380,390,395は、それぞれ前扉FDの上部、下部、詳しくは後述する下パネル部UPに左右一対、配置され、遊技の進行に応じて各種の音声を出力する演出を実行する。なお、前面上扉UDにおける表示窓DWよりも上方には、機種固有のデザインが施された上パネル350が配置されている。
前面下扉DDは、正面視において前面下扉DDと略同サイズであり、遊技者が遊技に係る操作を行う操作部CP、電飾装置370、音響装置390,395、下パネル部UP、メダル受皿MP等を備えている。より具体的には、操作部CPは、前面下扉DDの上部(前扉FDの中央部)にて前方に突出して構成されており、その上面には、遊技者が1枚ずつメダルを投入するためのメダル投入口MI、及びメダルがクレジット(貯留)されている状態で、クレジットされたメダルのうちから一度の操作によって規定投入数のメダルを投入する投入操作を受付ける投入操作手段としてのマックスベットボタンMB(ベットボタン)が取付けられている。
また、操作部CPの前面には、投入操作手段としてのシングルベットボタンBT、開始操作手段としてのスタートレバーSL、停止操作手段としての複数のストップボタンであるストップボタンB1~ストップボタンB3、クレジットされたメダルを清算するための清算ボタンBS、前扉FDの開閉を行うためのシリンダ錠CYが取付けられている。シングルベットボタンBTは、メダルがクレジットされている状態で、クレジットされたメダルのうちから1枚のメダルを投入する投入操作を受付ける。スタートレバーSLは、第1リールR1~第3リールR3を回転させる契機となる開始操作を受付ける。ストップボタンB1~ストップボタンB3は、ステッピングモータMにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を受付ける。クレジットされているメダルは、貯留手段としての制御基板10に記憶(貯留)されている。
本実施形態のスロットマシン1では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、メダルが規定投入数以上にクレジットされている場合に、規定投入数と同じ回数シングルベットボタンBTを後方に向けて押下するシングルベット操作(投入操作)又はマックスベットボタンMBを下方に向けて押下するマックスベット操作(投入操作)を行うことで、規定投入数のメダルが投入状態に設定され、第1リールR1~第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLに対してスタートレバーSLを傾動させる開始操作(傾動操作)を実行すると、制御基板10において第1リールR1~第3リールR3をステッピングモータMの駆動により回転開始させるとともに、乱数を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1~第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇し定常回転になったことを条件に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の押下操作が許可、すなわちストップボタンB1~ストップボタンB3による停止操作が有効化される。
なお、本実施形態のスロットマシン1は、第1リールR1~第3リールR3を回転開始させた場合に、ウェイト(又はウェイト時間)と称される待機時間(約4.1秒)を設定するように構成されている。そして、スロットマシン1は、待機時間の設定から待機時間が経過するまでの期間内に再び開始操作が行われた場合に、待機時間が経過した後に第1リールR1~第3リールR3を回転開始させるように構成されている。
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1~ストップボタンB3を後方に向けて押下(以下、「押下タイミング」と記載)していくと、ストップボタンB1~ストップボタンB3のそれぞれに内蔵されている停止信号出力手段としてのストップスイッチがON動作を行い、制御基板10へ出力するリール停止信号をOFF状態からON状態へ変化させる。
また、遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1~ストップボタンB3を解放すると、ストップボタンB1~ストップボタンB3それぞれに対応するストップスイッチがOFF動作を行い、制御基板10へ出力するリール停止信号をON状態からOFF状態に変化させる。そして、制御基板10は、ストップボタンB1~ストップボタンB3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のOFF状態からON状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1~第3リールR3を停止させる。
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受皿MPへ払い出されるようになっている。また、制御基板10にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、清算ボタンBSが押下された場合、清算ボタンBSの押下に伴って清算ボタンBSに内蔵されているメダル清算スイッチがON動作を行い、制御基板10へ出力するメダル清算信号をOFF状態からON状態へ変化させる。制御基板10は、メダル清算信号のOFF状態からON状態への変化に伴って、第1リールR1~第3リールR3が回転しておらずかつメダルがベットされていない状態に限り、ホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す清算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受皿MPへメダルを払い出す。
[前扉の下部隙間]
ついで、前扉FD(前面下扉DD)の下部隙間について図4~図7に基づいて説明をする。図4~図6は、図1に示すS-S線における断面図である。S-S線の位置は、遊技機1の右端(筐体BXの右側面)から、所定の寸法(例えばメダルの直径程度に相当する寸法)だけ左側に移動(オフセット)した位置となっている。詳細は後述するが、図4は前扉FDが「第1状態」である場合を示しており、図5は前扉FDが「第2状態」である場合を示しており、図6は前扉FDが「第3状態」である場合を示している。
図4に示すように、前扉FDにおける右側の背面(前扉FDの背面を正面から見た場合における左側、ヒンジHNとは反対側)には、後方に向かって突出するように形成された被支持部91(凸部)が設けられている。なお、本実施形態では、被支持部91の先端にローラー部が設けられている。また、筐体BXの内部を正面から視た場合における右側であって、前扉FDを閉じた際の被支持部91に対応する位置には、支持部92が形成されている。支持部92は、被支持部91を下方から支持可能に形成されている。
本実施形態では、支持部92は板状に形成されており、上下方向と垂直または略垂直となる板面を有するように配置されている。支持部92は、例えば、筐体BXの右側板の内面にねじ締め等により固定されている。前扉FDを開いた状態(開放状態)から閉じた状態(閉鎖状態)へと移動させる場合、まず、被支持部91のローラー部が支持部92の手前側(前方側)に接触(当接)し、次に、被支持部91のローラー部が支持部92の上に載り(乗り上げ)、ローラー部が支持部92の上を後方側へ進む。そして、ローラー部は所定の位置で停止する。前扉FDを閉じた状態では、被支持部91が下方から支持され、前扉FDを開いた状態では、被支持部91の下方からの支持が解除(開放)されるようになっている。下方からの支持を失った前扉FDは、自重によって下に下がった状態となる。
前扉FDの状態(位置)には、第1状態と、第2状態と、第3状態とが含まれる。
(第1状態)
図4に示すように、第1状態は、前扉FDが閉まっており(閉じており)、前扉FDの被支持部91が筐体BXの支持部92に支持された状態(閉まった状態、閉鎖された状態)である。本実施形態では、被支持部91が支持部92に荷重を加えている(載荷している)状態である。支持部92が被支持部91を上方に持ち上げているとも言える。
(第2状態)
図5に示すように、第2状態は、前扉FDが開いており、前扉FDの被支持部91が筐体BXの支持部92に当接(接触)していない状態(離間している状態、開放状態)である。
(第3状態)
図6に示すように、第3状態は、前扉FDが開いており、前扉FDの被支持部91が筐体BXの支持部92に当接(接触)している状態である。被支持部91が支持部92に当接し、前扉FDが完全に閉まらずに開いている状態とも言える。また、支持部92に当接しているが、被支持部91が支持部92によって支持されておらず、前扉FDが完全に閉まらずに開いている状態(半開放状態:少しだけ開放している状態)とも言える。なお、第3状態は、支持部92の先端部(だけ)が被支持部91を支持している状態であってもよい(被支持部91が支持部92の先端部(だけ)によって支持されている状態であってもよい)。また、第3状態は、第2状態よりも前扉FDの開放角度が小さい状態とも言える。即ち、第3状態の前扉FDの開放角度は、前扉FDの最大開放角度よりも小さくなっている。なお、前扉FDの開放角度とは、例えば、筐体BXの前面と前扉FDの背面とがなす角度とする。
遊技機(筐体BX)の底面(下面)BXbは、相手部材(島設備等)と接触する面となる。以下、この底面BXbを筐体BXの載置面Zとする。筐体BXの載置面Zは、設置台(台)の上面と面一となっている。設置台は後方側から手前側へ延びるように形成されており、メダル受皿MPの下方にも位置(存在)している。以下、筐体BXの載置面Zという場合、載置面Zと面一となっている面全体(設置台の上面を含む)を指すものとしてもよい。なお、メダル受皿MPの例えば左側の台の上のスペースに、遊技者は飲料等を置くことができる。
前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下面)は、筐体BXの底面BXb(載置面Z)よりも上方に位置している。図4に示すように、第1状態(閉鎖状態)では、前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下辺、前扉FDの下面の後辺)Y1から筐体BXの載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が第1寸法L1となっている(第1寸法L1となるように設計されている)。第1寸法L1は、約3~5mm程度となっている。
図5に示すように、第2状態(開放状態)では、前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下面、前扉FDの下面の後辺)Y2から筐体BXの載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が、第1寸法L1よりも小さい第2寸法L2となっている(第2寸法L2となるように設計されている)。第2寸法L2は、約2~3mm程度となっている。
図6に示すように、第3状態では、前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下面、前扉FDの下面の後辺)Y3から筐体BXの載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が第1寸法L1よりも小さい第3寸法L3となっている(第3寸法L3となるように設計されている)。第3寸法L3は約2~3mm程度となっている。
第1寸法L1~第3寸法L3は、前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下面)と筐体BXの底面BXb(載置面Z)との上下方向の距離(差)とも言える。本実施形態では、メダル受皿MPの下面は、前後方向において、後方から前方に向かうほど上方に傾斜する面(遊技機1の前面側から背面側に向かって下り傾斜する面)となっている。よって、第1寸法L1~第3寸法L3は、メダル受皿MPの下面の後端(最下端)と、筐体BXの底面BXb(載置面Z)との上下方向の距離となっている。なお、筐体BXの底板BXLの厚さは、約15mm程度となっている。
図7に示すように、メダルMの直径を寸法L4とする。また、メダルMの厚さを寸法L5とする。本実施形態に係る遊技機で遊技に使用されるメダルMは、寸法L4がΦ25(直径約25mm)となっており、寸法L5が約1.6mmとなっている。ただし、メダルMは、寸法L4がΦ30(直径約30mm)となっており、寸法L5が約1.7mmとなっているものであってもよい。また、遊技球Bの直径を寸法L6とする。寸法L6は約11mmである。
図4で示した第1寸法L1は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。
図5で示した第2寸法L2は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。
図6で示した第3寸法L3は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。
上述のとおり、前扉FDを閉じた状態(第1状態)では被支持部91が下方から支持されるようになっている。一方、前扉FDを開いた状態(第2状態および第3状態)では被支持部91の下方からの支持が解除(開放)されるようになっている。したがって、下方からの支持を失った開放状態の前扉FDは、自重によって僅かに下(下方)に下がった状態となる。換言すると、下端Y2(第2状態)および下端Y3(第3状態)は、下端Y1(第1状態)よりも下方に位置し、第2寸法L2および第3寸法L3は、第1寸法L1よりも小さくなっている。さらに換言すると、閉鎖状態よりも開放状態の方が、前扉FD(メダル受皿MP)の下端が、台の上面(筐体BXの載置面Z)に接近するようになっている。
(メダルMの厚さとの関係)
本実施形態の遊技機を載置面Zに載置した場合において、前扉FDをいずれの状態とした場合であっても、前扉FD(メダル受皿MP)の下端と載置面Zとの間に、メダルMの厚さよりも大きい隙間(第1寸法L1、第2寸法L2および第3寸法L3)が形成される。換言すると、第1寸法L1、第2寸法L2および第3寸法L3がメダルMの厚さ(寸法L5)よりも大きくなっている。このため、仮に、前扉FD(メダル受皿MP)の下側と、メダル受皿MPの下方に存在する台との間にメダルMが入り込んでしまった(メダルMが隠れてしまった)状態で、前扉FDを開閉した場合であっても、前扉FD(メダル受皿MP)の下端とメダルMとが接触することはない。換言すると、メダル受皿MPと台との隙間に隠れたメダルMが、前扉FDの開閉を妨げることがない。このため、台の上面(載置面Z)にメダルMが存在する場合であっても、前扉FDをスムーズに開閉できる。また、仮に前扉FDを開いた際に前扉FDの下端がメダルMに接触する場合、メダルMが押し出されて台の上から落ち、メダルMを探す等の手間が生じるが、本実施形態によれば、そのような手間が生じるのを防止できる。
また、本実施形態によれば、筐体BXの載置面Z(台の上面)にメダルMが重なることなく載置されている状態において、前扉FDが第2状態(開放状態)から第1状態(閉鎖状態)になることが、当該メダルMによって阻止されない(防止されない、妨げられない)。遊技場(ホール)の店員が、ホッパー内のメダルMが不足する(なくなる)ことによって発生するエンプティエラーの原因等を解消するために前扉FDを開放することがあるが、開放した前扉FDを閉じる際に、筐体BXの載置面ZにメダルMが載置されている場合であっても、当該メダルMが前扉FDに接触することなく前扉FDを閉じることができる。これにより、前扉FDと筐体BX(筐体BXの前面)との隙間にメダルMが挟まって前扉FDを閉じることができないという事態や、メダルMの挟み込みによる衝撃によって前扉FDが破損するという事態を回避できる。
また、筐体BXの載置面Z(台の上面)にメダルMが重なることなく載置されている状態において、前扉FDが第1状態(閉鎖状態)から第2状態(開放状態)になることが、当該メダルMによって阻止されない。遊技場(ホール)の店員が、ホッパー内のメダルMが不足する(なくなる)ことによって発生するエンプティエラーの原因等を解消するため、閉じていた前扉FDを開放する際に、筐体BXの載置面ZにメダルMが載置されている場合であっても、当該メダルMが前扉FDに接触することなく前扉FDを開放することができる。これにより、前扉FDと載置面Z(台の上面)との隙間にメダルMが挟まってしまい前扉FDを開放することができないという事態や、メダルMが挟まった状態で強引に前扉FDを開放することによって前扉FDが破損するという事態を回避することができる。更に、第2寸法L2が第1寸法L1よりも小さく、前扉FDを開放した状態における、前扉FDの下端と前記筐体BXの載置面Zとの間の隙間が、前扉FDを閉鎖した状態における当該隙間よりも狭くなっている。このため、前扉が開放している状態では、当該隙間を介して部材等を差し込むことがより困難となる。したがって、不正行為を抑制できる。換言すると、不正対策性能を向上させることができる。
(遊技球Bとの関係)
例えば、スロットマシンとパチンコ遊技機とが近くに設置されている場合等であって、前扉FD(メダル受皿MP)の付近に遊技球Bが存在している場合を考える。前扉FDを閉じた状態(第1状態)において、遊技球Bが前扉FD(メダル受皿MP)の下に転がり込んだ場合であっても、第1寸法L1が遊技球Bの直径L6よりも小さくなっているため、遊技球Bはメダル受皿MPの下の奥側(後方側)まで入り込まない。メダル受皿MPの下面は、手前ほど上方に向かうように傾斜しているが、遊技球Bは前扉FD(メダル受皿MP)の下端に到達する前に、その傾斜面に当接(接触)して停止する。そして、その状態で前扉FDが開放されると、遊技球Bは手前側へと押し出されて台の上から落下する。また、このように遊技球Bは落下するため、開いた前扉FDを閉じる際の妨げとならない。なお、前扉FDが第2状態や第3状態となっている場合に、遊技球Bが前扉FD(メダル受皿MP)の下に転がり込んだ場合にも同様のことが言える。すなわち、遊技球Bは前扉FD(メダル受皿MP)の下端に到達する前に傾斜面に接触して停止し、その状態で前扉FDが開放されると、遊技球Bは手前側へと押し出されて落下する。そして、遊技球Bは落下するため、開いた前扉FDを閉じる際の妨げとならない。
なお、前扉FD(メダル受皿MP)の下端と、載置面Zとの隙間(第1寸法L1~第3寸法L3)は、遊技球Bの直径L6(約11mm)よりも小さいものとしたが、メダルMの2枚分の厚さ(メダルMを2枚重ねた状態の厚さ)以下となっていることがより好ましい。メダルMの2枚分の厚さは、約3.2mm程度である。その場合、メダル受皿MPの下に遊技球Bが入り込むのをより確実に防ぐことができる。
また、本実施形態では、第1寸法L1は、第3寸法L3よりも大きく、第3寸法L3は、第2寸法L2よりも大きく、第2寸法L2は、寸法L5(メダルMの厚さ)よりも大きくなっている。換言すると、以下の関係となっている。
L1>L3>L2>L5
なお、第3寸法L3は第2寸法L2以上であってもよい(L3≧L2)。また、第3寸法L3は、第2寸法L2と略同一であってもよい(L3≒L2)。略同一とは、例えば両者の差が1mm以内であることをいう。
図6に示す状態(第3状態)において、前扉FDの右辺(右端)から筐体BXの右辺(右端)までの隙間(前扉FDの右辺と筐体BXの右辺との間の距離(最小距離)の寸法)を第4寸法L7とする。第4寸法L7は、第3状態での前扉FDの右端部の開放寸法としてもよい。なお、図6において第4寸法L7を示したが、図6は図1に示すS-S線の断面図であり、厳密には前扉FDの右端と筐体BXの右端との間の距離(寸法)を指しているものではない。第4寸法L7は、約33mmとなっている。この第4寸法L7は、メダルMの直径寸法L4よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)(L7>L4)。
なお、本実施形態では、第2寸法L2および第3寸法L3がメダルMの厚さL5よりも大きくなるように設計されているものとしたが、部品寸法の精度(バラつき)、ヒンジHN(図3参照)の品質(耐久力)低下、組み付け誤差等に起因し、第2寸法L2や第3寸法L3がメダルMの厚さL5以下(未満)となる場合があってもよい。その場合であっても、前扉FDが第3状態(図6)から第1状態(図4)に移動する過程で、前扉FDの被支持部91が筐体BXの支持部92の上に載る(乗り上げる)ようにして支持され(被支持部91が支持部92に載荷するように支持され)、前扉FDの下端と載置面Z(底面BXb)との間にメダルMの厚さ分の寸法が確保される。したがって、前扉FDを閉じることができないという事態や、メダルMの挟み込みにより前扉FDが破損するという事態を回避できる。
(変形例)
図5に示した第2状態(開放状態)に、前扉FDの開放角度が第1開放角度である第21状態と、前扉FDの開放角度が第1開放角度よりも大きい第2開放角度である第22状態と、が含まれるものとする。第1開放角度は、10°(10度)以下の所定の角度となっている。また、第21状態では、前扉FDの回転軸側(ヒンジHN側)とは反対側における、前扉FDの端部(右端)と筐体BXの端部(右端)との間の距離(隙間)が、2枚~3枚のメダルを水平面に一列に並べた場合における一方の端部と他方の端部との間の距離(メダル2枚から3枚分の距離、例えば約50mm~約75mm程度)となっている。本変形例では、第21状態では、前扉FDの下端(右側の下端)が載置面Zに接近し、第2寸法L2が第1寸法(第1状態:閉鎖状態)よりも小さくなる(換言すると、第2状態には、第2寸法L2が第1寸法L1よりも小さくなる第21状態が含まれる)。ただし、第21状態において、第2寸法は、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている。
本変形例では、前扉FDの開放角度が第1開放角度よりも大きい場合、開放角度が大きくなるほど、前扉FDの下端(右側の下端)が載置面Zから徐々に離間する。この場合に、前扉FDの右側(回転軸側とは反対側)の下端と載置面Zとの間の上下方向寸法を第2寸法L2とすると、第22状態(例えば前扉FDの開放角度が最大である状態では、第2寸法L2が第1寸法よりも大きくなっている。
[外装の損傷防止構成]
ついで、スロットマシン1の外装の損傷防止構成について説明をする。スロットマシン1の外装は、上述した前扉FD及び筐体BXによって構成されており、前扉FDが閉じた状態であっても、遊技機の輸送時や、ホールへの設置時などに障害物と接触し、損傷し得る。特に、作業者は筐体BXの側面に形成された把持部400(図2参照)を掴んで抱え込むようにスロットマシン1を運搬する関係上、前扉FD及び筐体BXの角部については、障害物と接触する場合、その角部が接触する可能性が最も高く、また、応力集中し易い形状のため、傷が付き易いという問題があった。以下の説明では、本スロットマシン1の外装の損傷を防止するための構成について説明をする。
図1に示すように、前扉FDの外形部(外周部)は、上面(天面)FDu、下面(底面)FDb、及び左右の側面FDl,FDrによって形成されており、また、筐体BXの外形部(外周部)も同様に上面(天面)BXu、下面(底面)BXb、左右の側面BXl,BXr及び背面BXh(図10参照)によって形成されている。そして、本実施形態に係るスロットマシン1では、上記前扉FDの外形部は、筐体BXの外形部よりも小さく形成されており、筐体BXの外形部がスロットマシン1における最大外形となっている。即ち、本実施の形態では、前扉FDの上面FDu、下面FDb、及び左右の側面FDl,FDrは、それぞれ、筐体BXの上面BXu、下面BXb、及び左右の側面BXl,BXrよりも正面視で内側に位置するように形成されている。
また、別の言い方をすれば、筐体BXの上面BXuの左右方向(遊技機の幅方向)の寸法は、前扉FDの上面FDuの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの上面FDuが筐体BXの上面BXuの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法は、前扉FDの下面FDbの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの下面FDbが筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向(遊技機の高さ方向)の寸法は、前扉FDの左右の側面FDl,FDrの上下方向の寸法よりも大きく、前扉FDの左右の側面FDl,FDrが筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。
従って、前扉FDの四方の角部は、いずれも、筐体BXの対応する角部から外方に突出しないように構成されている。例えば、図8は、図2におけるC1部(前扉FDと筐体BXとの合わせ面S1における右上角部)の拡大図であり、(a)はC1部の側面拡大図、(b)はC1部の平面拡大図、(c)はC1部の正面拡大図である。図8(a)及び(c)に示す通り、C1部においても前扉FDの上面FDuは、筐体BXの上面BXuよりも内側(下方)に位置している。このため、筐体BXの上面(筐体天面)BXuの前辺601は、前扉FDの上面(前扉天面)FDuの後辺701よりも上方に位置している。また、図8(b)及び(c)に示すように、前扉FDの右側面FDrは、筐体BXの右側面BXrよりも内側(左方)に位置している。このため、筐体BXの右側面(筐体右側面)BXrの前辺602は、前扉FDの右側面(前扉右側面)FDrの後辺702よりも右方に位置している。
そして、上記前扉FDの上面FDuと前扉FDの右側面FDrとが交わる辺700は、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとが交わる辺600よりも内側に位置している。換言すると、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとで形成された筐体BXの右上辺600は、上面FDuと右側面FDrとで形成された前扉FDの右上辺700よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、上記2平面からなる辺を角部とした場合、前扉FDの角部700は、筐体BXの角部600から外方へと突出しないように構成されている。
また、3辺の交わる頂点を角部として比べてみても、当然に、前扉FDの右上辺700の後方側の頂部(右上辺700と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)701と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)702と、が交わる頂部、以下、単に右後頂点もしくは前扉FDの右上後頂点ともいう)710は、筐体BXの右上辺600の前方側の頂部(右上辺600と、上面BXuの前辺(上面BXuの前方側の左右の辺)601と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)602と、が交わる頂部、以下、単に右前頂点もしくは筐体BXの右上前頂点ともいう)610よりも内側に位置している。換言すると、右前頂点610は、右後頂点710よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、前扉FDの角部710は、筐体BXの角部610から外方へと突出しないように構成されている。
上述のような構成を取った場合、筐体BXの右上辺600がスロットマシン1の最大外形を構成する事となり、障害物と接触する可能性が高い部分となる。このため、本実施形態では、上記右上辺600を面取り形状としている。より具体的には、本実施の形態においては、右上辺600を形成する筐体BXの上面BXuと右側面BXrとの間の角度が鈍角となるように構成している。筐体BXの右上辺600は、このように面取りされた状態において、前扉FDの右後頂点710よりも外方(右上方)に位置している。また、筐体BXの右上前頂点610についても面取り(角落ち)されている。
このように構成されているため、障害物に接触する場合、前扉FDの角部700(710)よりも先に筐体BXの右上辺(角部)600(610)が接触する事となり、例えば、種々の演出装置300が配置され、かつ、遊技者からも目が付きやすい前扉FDの外装に傷が付くことを防止することができる。加えて、筐体BXの角部600(610)は、面取りされているため、例え、筐体BXの角部600(610)が障害物と接触したとしても、直角の角部と比較して応力集中がし辛くなっており、傷が付きにくい。
なお、上記筐体BXの右上辺600は、面取りされた面取り面によって形成されているため、外形形状的としては、筐体BXの右上面とも言うことができる。この右上面600は、詳しくは、図8に示すように、上方側の上辺600uと下辺600lを備えている。本実施の形態において、この上辺600uは前扉FDの角部(右上辺700/右上頂点710)よりも上方かつ左方側に位置し、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置している。
また、本実施の形態では、筐体BXの上面BXuの前辺601についても面取りされており、右上辺600と同様に面取り面を形成している。この面取り面601は、図8(c)に示すように、上辺601uと下辺601lを備えており、鉛直方向において、下辺601lが、前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)よりも上方に位置するように形成されている。即ち、筐体上面BXuから前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)までの鉛直方向の寸法が、筐体上面BXuから面取り面601の下辺(前辺)601lよりも大きくなっている。そして、これにより、面取り面に起因して前扉FDと筐体BXとの間に余計な隙間が発生することが防止されている。
本実施の形態では、スロットマシン1が並ぶ幅方向(左右方向)に比べて寸法制限の緩い上下方向への突出量を大きくしている。即ち、前扉FDの上面FDuから筐体BXの上面BXuが突出する突出量を、前扉FDの右側面FDrから筐体BXの右側面BXrが突出する突出量よりも大きくしている。そして、その結果として、上述した位置関係となったが、筐体BXの右上面600が前扉FDの角部700(710)よりも外方に位置する位置関係を保持していれば、上辺600u及び下辺600lと前扉FDの角部700(710)との位置関係は、これに限られない。例えば、上辺600uは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置し、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも下方かつ右方側に位置するようにしても良い。
なお、本実施形態では、前扉FDの角部700についても面取りされている。また、前扉FDの右上辺700(上面FDu)は、例えば、前方側から後方側に向かって下り傾斜するような抜き勾配を有していても良い。更に、右上辺700は、前扉FDの内、演出装置300等の前方側部分を構成する部分と、合わせ面S1を形成する後方側部分とによって形成されていても良く、上記傾斜は、右後頂点710を形成する後方側のみに形成されていても良い。また、本実施の形態では、前扉FDの右上辺700の全体が筐体BXの右上辺600から飛び出さないように構成されているが、少なくとも前扉FDの右後頂点710が筐体BXの右上辺600よりも内側に位置していれば良い。
更に、上述したように、スロットマシン1の前扉FDは、ヒンジHNの公差や劣化等により、多少のがたつきを有している。また、筐体BXに対して前扉FDが閉じられた状態であっても筐体BXと前扉FDとの間にはクリアランスがある。このため、前扉FDが閉状態(閉鎖状態)にあっても、前扉FDは、所定方向(上下左右前後方向)にがたつきを有している。従って、ヒンジHNが設けられた側(本実施の形態では左方)よりも、ヒンジHNが設けられていない側(本実施の形態では右方)の方が、前扉FDの角部が外方へと突出し易い。しかしながら、本実施の形態では、右側上方の角部(図8参照)のみならず、図9に示すように、右側下方の角部においても、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)よりも内側に位置し、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)から突出しないようになっている。また、筐体BXの右下辺800及び右下前頂点810は、右上辺600及び右上前頂点610と同様に面取りされている。
なお、前扉FDの辺900は、前扉FDの下面FDbと前扉FDの右側面FDrとが交わる右下辺であり、頂部910は、右下辺900と、下面FDbの後辺(下面FDbの後方側の左右の辺)と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)と、が交わる右下後頂点である。また、筐体BXの辺800は、筐体BXの下面BXbと右側面BXrとが交わる右下辺であり、頂部810は、右下辺800と、下面BXbの前辺(下面BXbの前方側の左右の辺)と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)と、が交わる右下前頂点である。
これにより、前扉FDが上記がたつきにより閉状態にて傾いだ状態となったとしても、ヒンジHNとは反対側において前扉FDの角部710(700)/910(900)が面取りされた筐体BXの角部600/800から突出することを防止することができる。また、前扉FDに外力が加わっていない通常状態(がたついていない状態、第1状態)から、例えば、スロットマシン1を移動させる際に前扉FDが把持されることによって、クリアランスの範囲内で前扉FDががたついた状態(上記通常状態よりも外方に移動した状態、第2状態)となっても、筐体BXの角部600/800は、前扉FDの角部710(700)/910(900)よりも内側に位置するようになっている。
更に、筐体BXは、上述した辺600,800以外にも、スロットマシン1の最外形を形成する角部として、図10に示す、辺920~970を備えており、これらの辺についても傷つきやすいため、面取りして形成されている。また、同様に頂部610,810以外にも、頂部1010~1060についても、面取り(角落ち)して形成されている。例えば、筐体左側面BXlの前辺(不図示)は、前扉左側面FDlの後辺(不図示)よりも左方に位置しており、筐体BXの左上辺920は、面取りされていると共に、前扉FDの左上辺720の後方側の頂部730よりも外方に位置している。
なお、前扉FDの頂部730は、前扉FDの上面FDuと前扉FDの左側面FDlとによって形成されており、より詳しくは、左上辺7200と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)740と、左側面FDlの後辺(左側面FDlの後方側の上下の辺、不図示)と、が交わる頂部(左後頂点、前扉FDの左上後頂点)である。筐体BXの左上辺は、筐体BXの上面BXuと左側面BXlとによって形成されている。辺930は筐体BXの左下辺であり、筐体BXの底面BXbと左側面BXlとによって形成されている(図1参照)。辺940は筐体BXの上面BXuの後辺であり、筐体BXの上面BXuと背面BXhとによって形成されている。辺950は筐体BXの底面BXbの後辺であり、筐体BXの底面BXbと背面BXhとによって形成されている。辺960は筐体BXの右側面BXrの後辺であり、筐体BXの右側面BXrと背面BXhとによって形成されている。辺970は筐体BXの左側面BXlの後辺であり、筐体BXの左側面BXlと背面BXhとによって形成されている。
また、頂部1010は、筐体BXの右上後頂点である。頂部1020は、筐体BXの右下後頂点である。頂部1030は、筐体BXの左上前頂点である。頂部1040は、筐体BXの左下前頂点である(図1参照)。頂部1050は、筐体BXの左上後頂点である。頂部1060は、筐体BXの左下後頂点である。上述したように本実施形態に係るスロットマシン1では、前扉FDの角部及び筐体DXの角部が傷つきにくいように構成されている。このため、スロットマシン1をリユースする際になど、外装の傷が少ないため、円滑にスロットマシン1のリユースを図ることができる。
なお、上述した実施の形態では、前扉FDの四方の角部の全てが対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成されているが、いずれかの前扉FDの角部が対応する筐体BXの角部よりも内側となっていれば良い。例えば、前扉FDの右方や上方の角部のみ対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成することもできる。また、前扉FDの角部は対応する筐体BXの角部よりも内側に位置することがより望ましいが、例えば、前扉FDの角部と筐体BXの角部とが正面視で重なる(同じ位置となる)ように構成しても良い。
また同様に、スロットマシン1の最外形を形成する全ての筐体BXの角部を面取り形状とする必要はない。例えば、筐体BXの辺600,920,940,960,970及び頂部610,1010,1050のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺940のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(図8参照),602(図8参照),920,940,960,970,800,950のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(図8参照),602(図8参照),920,940,960,970のみを面取りするように構成しても良い。
なお、上述した実施形態において「面取り」とは、所謂、角が斜めに削られた状態のC面取り及び角部の角を丸めるR面取りの両方を含むものとし、角部の角度とは、C面取りの場合、斜めに削られた面の角度を、R面取りの場合、角部のRの角度をいうものとする。更に、上述した実施形態において「面取り」とは、後加工としての面取り加工のみを意味するのでは無く、角部の角度が鈍角となった状態、そのものを指すものとする。即ち、例えば、上述した筐体BXのように、樹脂の一体成形品の場合、予め設計された角部のアールもしくは面の角度が鈍角となっていれば良い。また、筐体BXは、必ずしも一体成形品として制作される必要は無く、複数の部品によって箱形状を形成する組み立て式であってもよく、素材も、例えば、木製などであっても良い。
具体的には、図11は、筐体を天板、底板及び左右の側板を組み付ける構成とした場合の変形例を示す図であり、変形例に係る筐体BX2の右上方部分を拡大した斜視図である。図11に示すように、当該筐体BX2は、天板BXu2と右側板BXr2とが別体の部材によって形成されている。天板BXu2は、右上辺6002及び前上辺6012が面取りして構成されており、これら右上辺6002及び前上辺6012が、それぞれ筐体BX2の右上辺及び筐体BXの上面BXuの前辺を構成している。また、同様に、右側板BXr2の右前辺6022も面取りして形成されており、この右前辺6022が筐体BXの右側面の前辺を構成している。
ここで、本実施形態において、上記右側板BXr2は、その前面BXr21が天板BXu2の前面BXu21よりも約1mm、前方に位置している。そして、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BX2の右側面BXr22の前辺を形成する右端Lの位置が天板BXu2の前面BXu21の位置と揃うように面取りされている。即ち、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BXの右側面BXr22との境界Lにおいて、その端部位置が天板BXu2の前面BXu21と右側面BXu22とが交差する角部6102の位置と揃うように面取りされている。つまり、右側板BXr2の右前辺6022は、面取りによって、その寸法が前面BXr21の位置から後方へ1mm少なくなくなるようになっている。そして、このように、右側板BXr2の右前辺6022の面取りの寸法を天板BXu2の前面BXu21に合せることによって、天板BXu2の下面の角6102が突出することを防止している。なお、図11では、筐体BX2の右上部を例に取って説明をしたが、筐体BX2は、右上部に限らず、左上部、右下部、左下部も上述した右上部と同様の構成となっている。
また、上述した実施の形態では、前扉FDと筐体BXの合わせ面S1は、側面視で上部よりも下部が前方となるように傾斜して構成し、前扉FDの開放時に前方側に倒れようとする力を緩和しているが、必ずしも合わせ面S1が傾斜している必要は無い。更に、上述した説明では、前扉FDは、上下に分割して構成されていたが、一体に構成されていても良い。更に、本発明は、パチンコ機のような遊技機に対して適用されても良い。加えて、上述した実施の形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良い。
[下パネル部の構成]
続いて、本実施形態における前扉FDの前面下扉DDに配置された下パネル部UPについて図1、図12、図13、及び図14を用いて説明する。図1及び図12に示すように、前面下扉DDの操作部CPとメダル受皿MPとの間には、下パネル部UPが配置されている。
下パネル部UPは、図12に示すように、前扉FDの一部を構成すると共にスロットマシン1の外装を構成する下パネル枠81と、スロットマシン1の外装を構成する前パネル82と、この前パネル82の裏面側に配置された画像85(図13参照)を有するシートとしての装飾シート83と、前パネル82と共に装飾シート83を挟持する後パネル88と、が設けられている。
下パネル枠81は、有色の合成樹脂によって形成されて、遮光性を有するように外面に塗装、めっき加工、金属蒸着等が施されて、つまり遮光カバーとして構成されており、前扉FDの前面下扉DDに取付けられ、前扉FDと一体的に固定されて前面下扉DDの外観を構成している。下パネル枠81は、前パネル82を外部に対して露出させる開口81aを有しており、前パネル82を介して後述の装飾シート83の画像85を視認可能にする。開口81aは、前パネル82よりも小さくなるように構成されており、つまり下パネル枠81は、前パネル82、装飾シート83、後パネル88を前方から押えて、かつ後方に板状に延びる規制板81b(図13参照)によって前パネル82を左右及び上下方向に位置を規制し、前扉FDと一体的に固定する機能を有する。なお、下パネル枠81は、前扉FDの前面下扉DDにおける他の外装部品と一体に形成され、前パネル82、装飾シート83、後パネル88を後方から挿入して取付ける構成でもよく、この場合、前扉FDの前面下扉DDに装飾シート83の画像85を視認可能にする開口が形成されていてもよい。
下パネル枠81は、概ね矩形状となるメインフレーム81mfを有しており、このメインフレーム81mfの内側には、左右方向にそれぞれ突出するサイド突出部81si,81siと、下方から上方に突出するアンダー突出部81unとが形成されている。このため、開口81aは、複雑な形状である非矩形状に構成されている。なお、サイド突出部81si,81siやアンダー突出部81unは、前後方向において音響装置395と重ならないように形成されている。
前パネル82は、透光性が高い(本実施形態では透明な)合成樹脂で構成され、矩形状の板状部材によって形成されている。また、前パネル82は、その前面82FSの縁(周縁、外縁)に、詳しくは後述するシボ(皺)が形成されたシボ部として、シボ加工が施されたシボ加工部82Sを有している。この前パネル82は、装飾シート83の前方に対向配置されて、装飾シート83の前面側を覆って保護している。また、図13に示すように、前パネル82の後面の外縁部分には、前方に突出する外縁突起82aと、後方から視て矩形状となる位置に配置された突起部82bとが形成されている。前パネル82は、下パネル枠81の後方側に外縁突起82aが嵌め込まれることで下パネル枠81に位置決めされていると共に、装飾シート83及び後述の後パネル88の表面88aは、前パネル82の突起部82bの内側に挿入されて嵌め込まれることで前パネル82に対して位置決めされている。
また、前パネル82には、図1及び図12に示すように、前方から視て音響装置395に重なる位置に、多数の孔82hが形成されており、音響装置395から出力される音が前方(外部)に聞こえ易くなるように構成されている。なお、これら多数の孔82hの後方にある後述の装飾シート83や後パネル88にも前後方向に重なる位置に孔を設けて、音響装置395から出力される音がさらに聞こえ易くなるようにしてもよい。
装飾シート83は、図12に示すように、透光性が高い(本実施形態では透明な)合成樹脂によって略矩形のシート状に形成された基材83aを有しており、その基材83aの裏面に、スロットマシン1の製品名や関連するキャラクタ等の画像、スロットマシン1の外面を装飾する画像等の画像85(図13参照)が有色塗料によって印刷される(施される)ことで、装飾性を有する画像面を構成している。
装飾シート83は、裏面側に配置された後パネル88と前パネル82との間に挟まれた状態で挟持されており、前パネル82を介して前方から遊技者が装飾シート83の画像85を視認可能となっている。後パネル88は、透光性が高い(本実施形態では透明な)合成樹脂によって、表面88aが滑面状となるように板状に形成されており、この後パネル88の表面88aは、装飾シート83(画像85)と略同サイズに形成されている。即ち、後パネル88の表面88a及び装飾シート83(画像85)は、前パネル82のサイズよりも小さく、詳しくは後述するシボ加工部82Sの内縁(透明領域82T)よりも大きいサイズに構成されている。なお、後パネル88は、透明であるものに限らず、例えば、表面又は裏面に光を拡散する凹凸等が施され、透過する光が拡散するように形成されていてもよい。
また、後パネル88は、図12及び図13に示すように、表面88aの外縁よりも外側に板状に延ばされた突起板88bを有しており、この突起板88bによって、下パネル枠81の規制板81bに対して後パネル88が左右及び上下方向に位置が規制されていると共に、前パネル82を下パネル枠81との間に挟み込んで挟持している。また、図13に示すように、後パネル88の裏側には、脚部88cが後方に向けて延ばされるように形成されており、前面下扉DDの構成部品に突き当たって、下パネル枠81との間で前後方向に位置決めされるように規制されている。さらに、後パネル88の表面88aの外縁なる側面88dは、上記前パネル82の突起部82bの内側に挿入され、前パネル82に対する後パネル88の左右及び上下方向の位置が規制されている。従って、これらの構成によって、前パネル82、装飾シート83、及び後パネル88は、前面下扉DDに対して左右及び上下方向に位置決めされている。
そして、後パネル88の裏面側には、複数のLED95aを有するバックライト基板95と、LED95aからの光を反射するリフレクタ89と、が設けられている。本実施形態においては、リフレクタ89の裏面側にバックライト基板95が配置されており、リフレクタ89の開口からLED95aの光が前方に照射されるように構成されている。なお、前面下扉DDには、LEDを有するバックライト基板の代わりに、冷陰極管等の蛍光灯やランプ等の発光源が設けられていてもよい。リフレクタ89は、遮光性を有すると共に光を反射しやすい材料、例えば白色の合成樹脂で形成されている。
従って、以上のように構成された前面下扉DDにおける下パネル部UPは、後パネル88を介してバックライト基板95のLED95aの光によって照明された装飾シート83を、前パネル82を介して、下パネル枠81の開口81aから視認可能となっている。これら後パネル88、装飾シート83、前パネル82は、上述した各種の内部機器(特にリールユニット310、ホッパーユニット320、バックライト基板95、リフレクタ89、バックライト基板95の周辺部材等)の前方となるように前扉FDの前面下扉DDに配置されているので、特に装飾シート83の画像85によって内部機器を視認不能にする機能を有していることになる。
[シボ加工部の詳細]
続いて、本実施形態に係るシボ加工部82Sの詳細について説明する。本実施形態に係る前パネル82は、図1、図12、図13、及び図14に示すように、前面82FSの縁(周縁、外縁)にシボ加工部82Sを有している。詳細には、シボ加工部82Sは、前パネル82の前面82FSにおける外縁から上記下パネル枠81の開口81aの内側へ所定距離d1(図13及び図14参照)がはみ出る形となる範囲にシボ加工が施されていることで形成されている。換言すると、シボ加工部82Sは、前方から視て上記装飾シート83の画像85の縁(周縁、外縁)と少なくとも一部が重なって画像85の縁を覆いつつ画像85の外側まで位置する範囲となるように、前面82FSに形成されている。なお、本実施形態におけるシボ加工は、前パネル82を製造する際の金型の形状によって前パネル82の前面82FSに皺(細かい凹凸)を付すことにより形成されているものであるが、これに限らず、前パネル82の前面82FS全体を平滑に形成してから、エッチングによる化学処理やサンドブラスト等を後工程で形成するものでもよい。
シボ加工部82Sは、図14に示すように、前方側から視て下パネル枠81の後側に重なって視認不能に隠れる第1領域82Shと、前方側から視て下パネル枠81の開口81aの内側にはみ出して視認可能に露出する第2領域82Sxと、の2つの領域を有している。従って、シボ加工部82Sは、開口81aの内側に上記画像85を鮮明に視認可能にさせる透明領域82Tを確保した状態で、その透明領域82Tの外周に配置されていることになる。この透明領域82Tは上記画像85の外縁よりも小さいことになる。
また、第1領域82Shは、下パネル枠81のメインフレーム81mf(図1及び図12参照)の後方となる領域82Shmfと、下パネル枠81のサイド突出部81si,81si(図1及び図12参照)の後方となる2つの領域82Shsi,82Shsiと、下パネル枠81のアンダー突出部81un(図1及び図12参照)の後方の領域82Shunと、を有している。
そして、第2領域82Sxは、開口81aにおける上方部分にメインフレーム81mfよりも下に所定距離d1はみ出す領域82Sxupと、開口81aにおける側方部分にサイド突出部81si,81siよりも左右方向の内側に所定距離d1はみ出す領域82Sxsi,82Sxsiと、開口81aにおける下方部分にアンダー突出部81unよりも上に所定距離d1はみ出す領域82Sxunと、を有している。
このようにシボ加工部82Sが形成されていることで、第2領域82Sxの内縁は、開口81aと相似形でかつ開口81aよりも小さく、開口81aよりもいずれの部位でも内側に所定距離d1突出している位置にあり、つまり開口81aの内側に概ね所定距離d1の幅となる帯状でシボ加工部82Sが突出していることになる。なお、上述したように前パネル82には、音響装置395の前方に対応する位置に複数の孔82h(図1参照)が形成されているが、シボ加工部Sは、これらの孔82hと重ならないように形成され、換言すると、複数の孔82hは開口81aの内側から所定距離d1以上離れて配置されている。
図13に示すように、前パネル82の厚みd2は、外部からの衝撃等に耐え得るように例えば3mm程度の厚みに形成されている。一方、上記シボ加工部82Sは、開口81aからはみ出している所定距離d1が例えば5mm程度となるように形成されていて、つまりシボ加工部82Sの開口81aからはみ出す距離を、前パネル82の厚みd2よりも長い距離となるように形成している。特に本実施形態では、例えば遊技者が前パネル82を介して内部を覗こうとした場合であっても、前パネル82の光の屈折率等を考慮しつつ、シボ加工部82Sに対して45度~60度の角度の視線でも画像85の外縁まで見えないように所定距離d1を設定している。従って、前パネル82の厚みd2よりも長い所定距離d1のシボ加工部82Sによって画像85の外縁よりも外側が見えることがないように遮られ、後パネル88やそれよりも奥の内部機器(特にリールユニット310、ホッパーユニット320、バックライト基板95、リフレクタ89、バックライト基板95の周辺部材等)が見えることがない。
このように、本実施形態に係るスロットマシン1では、下パネル枠81の開口81aにおいて、その開口81aの内側から所定距離d1ではみ出すように、開口81aから、開口81aよりも内側に所定距離d1まで、の範囲にシボ加工部82Sが形成されている。換言すると、シボ加工部82Sは、前パネル82の前面82FSの縁に形成され、装飾シート83の画像85の縁を覆うように形成されている。従って、シボ加工部82Sは、開口81aと画像85の縁との間に跨るように配置されている。これにより、前パネル82を介して前扉FDの内部(内部機器)を視認することを不能にすることができる。
ところで、下パネル枠81の開口81aよりも装飾シート83に形成された画像85の大きさが例えば5mm程度大きければ(相対的に、画像85よりも開口81aを小さくしても同様である)、シボ加工部82Sが無くても内部機器が見えないようにすることができる。しかしながら、装飾シート83を大きくすることは周囲の部品との位置関係から困難であり、下パネル枠81の開口81aを小さくすれば画像85の視認範囲が小さくなり、スロットマシン1の意匠性としてインパクトに欠けるものになる虞がある。従って、本実施形態のようにシボ加工部82Sを設けることで、画像85と周囲の部品との干渉を避けることができ、かつスロットマシン1の意匠性も向上することができる。
また、シボ加工部82Sの代わりに不透過性の部分を設けることで、内部機器が見えないようにすることができる。しかしながら、上記バックライト基板95のLED95aからの光が透過しなくなるため、下パネル部UPに暗い部分が生じてしまい、見栄えが良くなくなる虞がある。従って、本実施形態のように透過性を有するシボ加工部82Sを設けることで、バックライト基板95のLED95aからの光が透過し、下パネル部UPの明るさを確保して見栄えを良好にすることができる。
[シボ加工部の変形例]
なお、本実施形態においては、シボ加工部82Sとして、前パネル82の外縁から第1領域82Shと、その内側に第2領域82Sxとにシボ加工が施されているものを説明したが、これに限らず、第1領域82Shは一部だけにシボ加工が施されているもの、或いは第1領域82Shにはシボ加工が施されていないものであっても構わない。即ち、第2領域82Sxにシボ加工が施されていれば、開口81aから、開口81aよりも内側に所定距離d1まで、の範囲にシボ加工が配置されていることになるので、前パネル82を介して前扉FDの内部を視認することを不能にすることができる。この場合でも、下パネル枠81と前パネル82との間に公差による隙間が生じることがあるため、前方から視て開口81aにシボ加工が僅かでも重なるように配置されていることが好ましい。
また、本実施形態においては、前パネル82の前面82FSにシボ加工を施してシボ加工部82Sを形成したものを説明したが、これに限らず、例えばシボ加工を施した別のシートを前パネル82の前面82FSに接着するような構成でも構わない。
また、本実施形態においては、開口81aが下パネル枠81によって全周が囲われているものについて説明したが、これに限らず、例えば、開口81aを形成する枠部の上辺がスタートレバーSL及びストップボタンB1~B3が配置された操作部CPによって構成されたり、開口81aを形成する枠部の左右辺が電飾装置370によって構成されたりする等、枠部がどのように構成されていてもよく、つまり前扉FDに画像85を視認可能にする開口81aが形成されていればよい。また、下パネル枠81やこれら開口81aを形成する部材は、黒色等の有色の樹脂であっても、表面が有色で塗装やメッキされた樹脂であっても、金属であってもよく、つまり不透明であって内部機器が視認不能であればよい。
また、本実施形態においては、下パネル部UPに下パネル枠81を備えているものとして説明したが、これに限らず、下パネル枠が前扉の一部を構成する部品であり、つまり下パネル枠が下パネル部の構成としてユニット化されていないものであっても構わない。この場合、下パネル枠が下パネル部(前パネル、装飾シート、後パネル)を支持する構造であってもよい。
また、本実施形態においては、シボ加工部82Sが開口81aから全周に亘って所定距離d1ではみ出すものを説明したが、これに限らず、シボ加工部82Sの部位によって開口81aからはみ出す距離が変わるようなものでもよい。特に下方部分や左右部分は上方部分に比して遊技者が覗き込みやすいので、開口81aからはみ出す距離が所定距離d1よりも長くなるようにしてもよい。さらに、シボ加工部82Sの内縁は、開口81aの内縁の形状に合わせて所定距離d1の分が内側となる相似形となっているものを説明したが、これに限らず、例えば画像85のデザインに関連した形状に合わせる等、必ずしも開口81aからはみ出す距離が一定でなくてもよい。
また、本実施形態においては、シボ加工部82Sに施されたシボ加工が前パネル82の前面82FSに対して凹凸が形成される形のものとして説明したが、これに限らず、前面82FSに対して凸状部分だけが形成されたシボ加工でも、前面82FSに対して凹状部分だけが形成されたシボ加工でも構わない。
また、本実施形態においては、前パネル82において音響装置395に重なる多数の孔82hが、シボ加工部82Sと重ならないものを説明したが、これに限らず、これらの孔82hの一部又は全部がシボ加工部82Sと重なるものであっても構わない。
また、本実施形態においては、画像85は、本実施形態では装飾シート83の裏面全体に印刷されているがものであるが、これに限らず、シボ加工部82Sよりも大きい範囲で重なるように配置されていれば、装飾シート83の裏面よりも小さい領域、特に開口81aよりも内側に収まる範囲に印刷されていてもよい。
また、本実施形態においては、下パネル部UPにシボ加工部82Sを有するものを説明したが、これに限らず、例えば操作部CPと表示窓DWとの間や表示窓DWよりも上方に配置されるパネルにあっても、同様なシボ加工部を有するように構成してもよい。
また、本実施形態においては、下パネル部UPの前パネル82の前面82FS、装飾シート83、後パネル88の表面88a等が平面状であるものを説明したが、これに限らず、左右の中心が端部よりも膨らむ湾曲状に形成されたもの等、どのような面形状であっても構わない。特に中心部分が膨らむ構成では、端部において前パネル82の前面82FSと視線の角度とが小さくなり、内部機器が見え易くなる虞があるので、シボ加工部82Sの開口81aよりはみ出す所定距離d1を他の部分より長くするようにしてもよい。
また、本実施形態においては、前パネル82の前面82FS、装飾シート83、後パネル88の表面88aの外縁形状が矩形状であるものを説明したが、これに限らず、開口81aと相似形であってもよく、さらには、左右だけ開口に沿った形状、又は上下だけ開口に沿った形状等、どのような形状であってもよい。
[リールユニットの詳細]
次に、リールユニット310の詳細について説明する。リールユニット310は、図3及び図15に示すように、第1リールR1~第3リールR3のそれぞれに設けられて各リールを回転駆動するステッピングモータMと、各ステッピングモータMの駆動軸に支持された第1リールR1~第3リールR3と、第1リールR1~第3リールR3のそれぞれに対応して設けられて各リールの回転位置を検出するための透過型の光学センサであるリールセンサ26(図15参照)と、を有する。また、リールユニット310は、第1リールR1~第3リールR3のそれぞれに対して設けられて各リールを内側から前方に向けて照明する複数のLEDを有するバックライトとしてのリールバックライトBLと、リールバックライトBLからの光を反射して前方に案内するリフレクタRLと、を有する。
図15に示すように、第1リールR1は、リールフレームFR1と、複数の図柄が長手方向(周方向)Yに沿って一列状に並んで配置された薄い帯状のリールテープT1と、インデックス部27と、を有する。第2リールR2は、リールフレームFR2と、複数の図柄が長手方向(周方向)Yに沿って一列状に並んで配置された薄い帯状のリールテープT2と、インデックス部27と、を有する。第3リールR3は、リールフレームFR3と、複数の図柄が長手方向(周方向)Yに沿って一列状に並んで配置された薄い帯状のリールテープT3と、インデックス部27と、を有する。インデックス部27は、リールセンサ26の光軸を遮蔽可能にリールフレームFR1~リールフレームFR3に保持されており、リールセンサ26の光軸を遮蔽及び透過するタイミングによってリールセンサ26に各リールの回転位置を検出させる。
リールフレームFR1~リールフレームFR3は、それぞれ、ステッピングモータMの回転軸に取付けられるハブ部24と、第1リム部21及び第2リム部22と、これら第1及び第2リム部21,22の間を接続する複数の接続部23と、複数のスポーク部25と、を有し、透光性が高い(本実施の形態では透明な)合成樹脂によって一体的に形成されている。
第1リム部21及び第2リム部22は、ステッピングモータMの回転軸と同心の円環状に形成され、左右方向(軸方向)、即ちリールテープT1~リールテープT3の長手方向Yと直交する短手方向(幅方向)Xに離間して配置されている。接続部23は、第1リム部21及び第2リム部22の円周上の異なる位置に複数設けられて、第1リム部21及び第2リム部22の間を架け渡すように短手方向Xに沿って延在し、第1リム部21と第2リム部22とを接続している。
なお、リールフレームは、接続部を有しておらず、第1リム部と第2リム部とが独立して形成され、リールテープを介して第1リム部と第2リム部とが接続されるように構成されていてもよい。また、リールフレームは、着色された合成樹脂によって形成されていてもよく、着色された合成樹脂(例えば黒色の合成樹脂)によって形成されている場合、上述のインデックス部をリールフレームと一体的に形成することが可能となる。
スポーク部25は、第1リム部21及び第2リム部22のいずれか一方の周方向における異なる位置に複数設けられて、第1リム部21及び第2リム部22のいずれか一方とハブ部24とを接続し、ステッピングモータの回転力をハブ部24から第1リム部21及び第2リム部22へ伝達する。本実施形態では、スポーク部25は、ハブ部24と第2リム部22とを接続している。
第1リム部21及び第2リム部22のそれぞれの外周には、左右方向に所定の幅(例えば3.5mm~6.5mm程度)を有して形成され、リールテープT1~リールテープT3の裏面(内側の面)に当接してリールテープT1~リールテープT3の左右端部をリールの径方向に支持する円筒面状の端部支持面21a,22aが形成されている。本実施形態においては、第1リム部21及び第2リム部22は、短手方向Xにおける端部支持面21aの幅と端部支持面22aの幅とが略同じ寸法となるように形成されている。なお、第1リム部及び第2リム部は、互いの端部支持面の幅が異なる寸法となるように形成されていてもよい。
また、第1リム部21及び第2リム部22は、端部支持面21a,22aよりも左右方向の外側に、リールテープT1~リールテープT3の短手方向X端に当接可能なフランジ部21b、22bを有している。フランジ部21b、22bは、例えば、左右方向に0.7mm~1.5mm程度の幅となるように形成されており、リールテープT1~リールテープT3の左右方向の位置を規制している。
接続部23には、第1リム部21及び第2リム部22の端部支持面21a,22aと連続し、第1リム部21と第2リム部22との間でリールテープT1~リールテープT3をリールの径方向に支持するための接続支持面23aが形成されている。この接続支持面23aと、上述した端部支持面21a,22aと、によって、リールテープT1~リールテープT3をリールの径方向に支持する支持面FRaが形成されている。
[リールテープの取付け構造]
次に、図15、図16、及び図17を参照しながら、リールテープT1~リールテープT3の取付け構造について説明する。リールテープT1~リールテープT3の各取付け構造は同様であるため、以下、リールテープT1の取付け構造を例に説明し、リールテープT2及びリールテープT3の取付け構造の詳細については省略する。
図15、図16、及び図17に示すように、リールテープT1の短手方向Xの両端部の裏面には、第1リム部21の端部支持面21a及び第2リム部22の端部支持面22aに対してリールテープT1を接着するための両面テープ等の接着部材65,65が貼付けされる接着領域が形成されている。この接着領域は、リールテープT1を表面側から視た場合、リールテープT1の短手方向Xにおける右端T1cから内方へ距離bの範囲である右側の接着領域と、リールテープT1の短手方向Xにおける左端(X2方向側の端縁)T1dから内方へ距離bの範囲である左側の接着領域を含む。例えば、距離bは、4mmから6mmの範囲の距離に設定されており、端部支持面21a,22aよりも1mm程度(例えば0.5mm~1.5mm)左右方向(短手方向X)に大きく形成されていることが望ましい。
リールフレームFR1に巻き回された(巻きつけられた)リールテープT1は、接着部材65によって、内面(裏面)に形成された右側の接着領域と端部支持面21aとが接着され、内面に形成された左側の接着領域と端部支持面22aとが接着されて、リールフレームFR1に保持される。
また、上述したようにリールテープT1は、長手方向Yの長さが、端部支持面21a,22aの周方向の長さ(円周長さ)よりも長くなるように形成されており、長手方向Yにおける一方側の一端部(始端部)T11に対して他方側の他端部(終端部)T12がリールの径方向の外側から重なるようにリールフレームFR1に巻き回されて(巻きつけられて)いる。リールテープT1は、リールフレームFR1に巻き回されている状態で、透明部63と、長手方向Yにおける最も他方側に配置された図柄(19番図柄)である図柄P6と、がリールの径方向に重なっている。言い換えると、リールテープT1がリールフレームFR1に巻き回されている状態で、透明部63は、長手方向Yの他端部T12によって外面(表面、外周面)が覆われている。
また、リールテープT1は、リールフレームFR1に巻き回された状態で、リールテープT1の長手方向Yにおける他方側の端部である他端部T12と、一方側の端部である一端部T11とが、両面テープ等の接着部材66によって接着されている。この接着部材66は、他端T1bから内方へ距離cの範囲内に短手方向Xに沿って延在している。リールテープT1は、接着部材66によって他端部T12の裏面と一端部T11の表面とが密着した状態を維持することが可能となっている。なお、距離cは、例えば、8mmから12mmの範囲の距離に設定されている。また、接着部材65や接着部材66は、例えば白、乳白色、透明等でリールバックライトBLからの光が透過しやすい素材の両面テープ等で構成されていることが好ましいが、リールテープT1の裏面に塗布された接着剤等で構成されていてもよい。
[リールテープの詳細]
図15に示すように、リールテープT1(リールテープT2,リールテープT3も同様)は、長手方向YにおけるY1方向側の一端部T11に対して長手方向YにおけるY2方向側の他端部T12が外側から重なるような形で、円筒状(無端状)となるようにリールフレームFR1(リールフレームFR2,リールフレームFR3)の支持面FRaに巻き回されている。
図16は、リールテープT1をそれぞれ表面側(リールフレームFR1(図15参照)に巻き回された状態での外周面側)から見た図である。図16に示すように、リールテープT1~リールテープT3に配置されている複数の図柄は、例えば、機種固有にデザインされた数字、文字列、フルーツ、キャラクタ等や、これらの組合せから構成されており、これら複数の図柄には、例えば、図柄P1(図柄「赤7」)、図柄P2(図柄「青7」)、図柄P3(図柄「BAR」)、図柄P4(図柄「チェリー」)、図柄P5(図柄「スイカ」)、図柄P6(図柄「ベル」)、図柄P7(図柄「リプレイ」)、図柄P8A(図柄「ブランクA」)、図柄P8B(図柄「ブランクB」)等が含まれる。
第3図柄としての図柄P1(図柄「赤7」)、第1図柄としての図柄P2(図柄「青7」)、図柄P3(図柄「BAR」)は、他の図柄に比して少なくとも短手方向Xの幅が大きく視認性が高くなるように形成されており、内部抽選の結果等に応じて所定のタイミングで停止ボタンを停止操作した場合に有効ライン上又は表示窓DW内に表示可能な図柄で、遊技者にとって有利な状態、例えばボーナス状態やAT状態(アシスト状態)へ移行する契機となる図柄組合せを構成するための図柄となっている。
第2図柄としての図柄P4(図柄「チェリー」)、図柄P5(図柄「スイカ」)は、内部抽選の結果等に応じて所定のタイミングで停止ボタンを停止操作した場合に有効ライン上又は表示窓DW内に表示可能な図柄で、遊技者に有利な抽選の契機となるチャンス役(所謂レア役)の図柄組合せや、遊技者に有利な特典が付与される契機となる図柄組合せを構成するための図柄となっている。
図柄P6(図柄「ベル」)、図柄P7(図柄「リプレイ」)は、内部抽選の結果等に応じて何れのタイミングで停止ボタンを停止操作した場合でも有効ライン上又は表示窓DW内に表示可能な図柄で、入賞した場合に小役やリプレイの図柄組合せを構成するための図柄となっている。
図柄P8A(図柄「ブランクA」)、図柄P8B(図柄「ブランクB」)は、内部抽選の結果等に応じて所定のタイミングで停止ボタンを停止操作した場合に有効ライン上又は表示窓DW内に表示可能な図柄で、有効ライン上又は表示窓DW内に一直線上に揃ったとしても入賞役を構成しない、はずれ等を構成するための図柄となっている。なお、図柄P8A(図柄「ブランクA」)、図柄P8B(図柄「ブランクB」)は、一直線上に揃うように停止したり所定の形状(山形やL字型など)で停止したりした場合に、機種によって入賞はしないがチャンス役として遊技者に有利な抽選の契機となったり、或いは遊技者にとって有利な状態であることを告知したりする図柄としても用いられる。また、図柄P8A(図柄「ブランクA」)、図柄P8B(図柄「ブランクB」)は、他の図柄と組合せられた図柄組合せで、特殊小役(1枚役等)として用いられても構わない。
上記の図柄P1、図柄P2、図柄P3、図柄P4、図柄P5、図柄P6、図柄P7のそれぞれは、詳しくは後述するように塗料が印刷されることで、図柄の外形の縁を形成する縁部P1a、縁部P2a、縁部P3a、縁部P4a、縁部P5a、縁部P6a、縁部P7aと、その縁部P1a、縁部P2a、縁部P3a、縁部P4a、縁部P5a、縁部P6a、縁部P7aの内部で着色された着色部P1b、着色部P2b、着色部P3b、着色部P4b、着色部P5b、着色部P6b、着色部P7bとを有している。
なお、上記図柄P1、図柄P2、図柄P3は、径方向から視て、縁部P1a、縁部P2a、縁部P3aが、第1リム部21、第2リム部22、接着部材65,65と、一部が短手方向Xに重なるように、かつ着色部P1b、着色部P2b、着色部P3bが、第1リム部21及び第2リム部22のいずれとも重ならないように配置されている。これにより、着色部P1b、着色部P2b、着色部P3bを透過するリールバックライトBLからの光が第1リム部21及び第2リム部22によって遮られることなく、図柄P1、図柄P2、図柄P3を短手方向Xに大きく見せることができる。
一方、上記の図柄P8A、図柄P8Bのそれぞれは、図柄の外形の縁を形成する縁部P8Aa、縁部P8Baと、その縁部P8Aa、縁部P8Baの内部で模様を形成する模様部P8Ab、模様部P8Bbとを有している。なお、図柄P8A及び図柄P8Bは、縁部P8Aa及び縁部P8Baと模様部P8Ab及び模様部P8Bbとが線により描かれており、その他の部分は詳しくは後述する背景部Hを形成する背景形成層61が図柄の内部に印刷されて、つまり図柄P8A及び図柄P8Bの背景部Hと同色となっている。
上記リールテープT1は、リールフレームFR1に巻き回された状態(つまり透明部63に他端部T12が重なった状態)で長手方向Yを仮想的に均等に20分割した20個の仮想領域のそれぞれに、上記図柄P1~図柄P8Bの何れか1つが配置されている。図16に示すリールテープT1の左側の数字は図柄番号を示しており、一端部T11に最も近い側が0番図柄であり、そこからY2方向に順に2番図柄、3番図柄、・・・19番図柄として、上記図柄P1~図柄P8Bの何れか1つが図16に示す配列で配置されている。なお、リールテープT2及びリールテープT3においては、図16に示すリールテープT1の配列とは異なる配列で、同様に0番図柄~19番図柄として格仮想領域に対して上記図柄P1~図柄P8Bの何れか1つが配置されている。
また、本実施形態では、各仮想領域に配置される図柄は、その仮想領域のX方向(幅方向)の中心線とY方向(周方向)の中心線とが交わる仮想領域の中心に、各図柄のX方向(幅方向)の両端部に対する中心線と図柄のY方向(周方向)の両端部に対する中心線とが交わる図柄の中心が一致するように配置されている。しかしながら、これに限らず、図柄の形状や配列に応じて、図柄の中心が仮想領域の中心に対してズレるように配置されていてもよい。本実施形態では、特に後述の接着部材66が裏面に配置される19番図柄について、後述の接着部材66に対して図柄P6の縁部6aに重なり、着色部P6bには重ならないように配置されていることで、着色部P6bが暗くならず、図柄P6として綺麗にかつ見易くなるように構成されている。例えばこの図柄P6のY方向(周方向)の高さの距離がさらに大きい場合等では、図柄の中心が仮想領域の中心に対してY1方向にズラして配置することで、接着部材66の影によって図柄P6の着色部P6bが見難くなることを避けることができる。
図17は、リールテープT1の他端T1b側の一部を裏面側(リールフレームFR1に巻き回された状態での内面側)から見た図、図18は、リールテープの一端T1a側の一部を表面から視た図、図19(a)は図17のA-A矢視断面図、図19(b)は、図18のB-B矢視断面図である。リールテープT1~リールテープT3は、それぞれ図柄の配置(図柄の種類、特定の図柄の個数、図柄が並ぶ順番等)及びそれらを識別するための識別表示70が異なるが、他の構成は同様であるため、以下、リールテープT1を例に説明し、リールテープT2及びリールテープT3におけるリールテープT1と同様の構成についての説明は省略する。
図16、図17、図18、図19(a)及び図19(b)に示すように、リールテープT1は、透明な合成樹脂製の基材60の裏面に対し、色や透明度が異なる複数種類の塗料等によりシルク印刷される印刷層が積層されて構成されており、例えば、基材60の裏面に近い側から順番に、複数の図柄を形成する図柄形成層(図柄部)67、表面側から視た際の図柄の周囲に延在する領域である背景部Hを形成する背景形成層61、リールバックライトBLからの光を拡散するための拡散層64が重ねられて、それぞれの層がスクリーン印刷等によって形成されている。また、背景形成層61は、基材60の裏面に近い側に印刷される第1背景形成層(背景部)61Aと、基材60に対してその第1背景形成層61Aよりも後に印刷される第2背景形成層61Bと、を含んでいる。また、リールテープT1の長手方向Yにおける一方側(Y1方向側、図16に示す下方側)の一端部T11には、図柄形成層67、背景形成層61、及び拡散層64のいずれも形成されない透明部63が形成されている。透明部63(一端部T11)は、リールテープT1がリールフレームFR1に巻つけられた状態で他端部T12に重なって隠れるように配置され、換言すると、背景部Hが少なくとも一周して繋がるように形成されている。
図柄形成層67は、複数種類の色の塗料或いは透明な塗料等が重ねられて形成されており、リールテープT1の表面から見て各図柄の形状(デザイン)が形成されている。図柄形成層67は、例えば、基材60の裏面に近い側から順番に、図柄の縁部(P1a,P2a,P3a,P4a,P5a,P6a,P7a)を形成する縁形成層67aと、上記縁部の内部領域の少なくとも一部で着色された部分を形成する着色形成層67bと、上記縁部の内部領域の少なくとも一部で着色されつつ透光し易い部分を形成する透光形成層67cと、が重ねられて形成されている。
縁部は、図柄の外形(輪郭)を形成している。縁形成層67aは、例えば、リールバックライトBLからの光(可視光)が透過しにくい明度の低い塗料(黒色、暗灰色、濃紺等の塗料)によって形成されている。なお、縁形成層67aは、少なくとも図柄の縁部を形成していればよく、縁部を形成する塗料と同一の塗料等によって縁部の内部領域の一部が形成されていてもよい。また、縁形成層67aは、各図柄間で同一の塗料等によって形成されているものに限らず、各図柄間で異なる塗料によって形成されていてもよい。
着色形成層67bは、例えば、縁形成層67aよりも彩度や明度が高く光が透過し易く着色された塗料によって形成されている。なお、着色形成層67bを形成する塗料は、各図柄で異なる複数色の塗料によるものであってもよく、つまり複数色の着色形成層が重ねられて形成されていてもよい。
透光形成層67cは、例えば、着色形成層67bよりもさらに彩度や明度が高く光が透過し易く着色された塗料によって形成されている。なお、透光形成層67cを形成する塗料は、各図柄で異なる複数色の塗料によるものであって、着色形成層67bよりも彩度や明度が高い色の塗料や、それに透明な塗料を混ぜた塗料等により、着色形成層と透明形成層とが重ねられたものや、複数の透明形成層が重ねられて形成されたものでもよい。
背景形成層61の第1背景形成層61Aは、縁形成層67aや着色形成層67bよりもリールバックライトBLからの光が透過しやすい塗料、例えば白系、透明、青系等の塗料が配合されて乳白色の塗料によって形成されている。具体的には、例えば白が45.3%、透明が54.4%、青が0.3%となる配合で第1背景形成層61Aの塗料が作られており、半透明で少し青みがかかった乳白色となっている。このように青の塗料が僅かに含有されていることで、くすみが取れた鮮やかな白となる。第1背景形成層61Aは、詳しくは後述するように、長手方向Yにおける貼付位置許容部68(図18参照)の他端(Y2方向側の端縁)からリールテープT1の他端(Y2方向側の端縁)T1bまでの領域のうち、各図柄の縁形成層67aと重なり、かつ着色形成層67b及び透光形成層67cと重ならないように各図柄の周囲に形成され、つまり図柄を除く略全面に形成されている。従って、第1背景形成層61Aは、図柄を除く領域で基材60の裏面に印刷されるので、背景部Hの背景色を表示する背景表示部を構成している。
また、背景形成層61の第2背景形成層61Bは、基材60に対して第1背景形成層61Aを挟んで反対側(第1背景形成層61Aに対して基材60とは反対側)に、第1背景形成層61Aが印刷された後に印刷される、所謂裏打ち層(裏打ち部)として形成されており、上記第1背景形成層61Aと同じ塗料で乳白色に形成されている。第2背景形成層61Bは、詳しくは後述するように、長手方向Yにおける透明部63の他端(Y2方向側の端縁)(貼付位置許容部68の一端)からリールテープT1の他端(Y2方向側の端縁)T1bまでの領域のうち、各図柄の縁形成層67a及び着色形成層67bと重なり、かつ透光形成層67cと重ならないように詳しくは後述する各図柄の透光部の周囲に形成され、つまり透光部を除く略全面に形成されている。このように第2背景形成層61Bが第1背景形成層61Aの裏に裏打ちされていることで、第1背景形成層61Aがシルク印刷される際に万が一気泡ができて、その気泡が潰れることによってピンホール等の隙間が形成されてしまったとしても、第2背景形成層61Bにより塞がれて、リールバックライトBLの光が漏れ出ることの防止を図ることができている。また、第1背景形成層61Aが各図柄の縁形成層67aと重なる範囲まで形成され、第2背景形成層61Bが縁形成層67a及び着色形成層67bと重なるように形成されることで、各図柄の縁形成層67aの上に第1背景形成層61Aの端部が形成されるが、その端部を第2背景形成層61Bが覆うことで、第1背景形成層61Aと第2背景形成層61Bとの印刷領域を反対にする場合に比して、裏面における凹凸を少なくすることができている。
本実施形態に係るスロットマシン1は、上述したように表示窓DWを覆う液晶ディスプレイの表示装置330を有しているため、第1リールR1~第3リールR3でリールバックライトBLのLEDの光を遮光してしまうと、表示装置330が暗くなって、その表示が見え難くなる虞がある。そのため、背景形成層61の第1背景形成層61A及び第2背景形成層61Bは、半透明(透明塗料を配合した塗料)の乳白色で図柄の周囲の背景部Hが形成されており、リールバックライトBLのLEDの光を透光するので、表示装置330の表示を見易くすることができている。また、背景形成層61の第1背景形成層61A及び第2背景形成層61Bの塗料には、僅かに青の塗料が配合されているため、明度が高く見え、表示装置330の表示をさらに見易くすることができている。
拡散層64は、所謂チヂミと呼ばれるもので、本実施形態では、詳しくは後述するように図柄P1(図柄「赤7」)、図柄P2(図柄「青7」)、図柄P4(図柄「チェリー」)、図柄P6(図柄「ベル」)における図柄形成層67が形成されている部分の領域を裏側から覆うように(図19(a)参照)、つまり各図柄の縁部よりも外側の領域まで形成されている(図17参照)。拡散層64は、例えば、紫外線硬化型の透明な塗料を厚く塗布し、紫外線を照射して塗料を硬化収縮させることにより、裏面側に細かい凹凸を形成したものである。これにより、拡散層64が形成された領域をリールバックライトBLからの光が透過する際、光を不規則的に屈折及び反射させて拡散させることが可能となり、詳しくは後述する図柄の透光部や着色部を透光するLEDの光が拡散され、例えば直進性の高いLEDの光が集光したままの所謂点光が生じて見栄えが悪くなることの抑制を図っている。
なお、本実施形態においては、拡散層64が各図柄の縁部よりも外側まで図柄全体を裏側から覆うように形成されているものを説明しているが、これに限らず、詳しくは後述する透光部を少なくとも覆うように配置されていれば、透光部を透光する光を拡散することができ、リールバックライトBLのLEDの光が点光となることの防止を図ることができる。
ところで、リールテープT1~リールテープT3は、それぞれ図柄の配列が異なっているため、使用されている各塗料等の重量(質量)やバランスが互いに異なる。第1リールR1~第3リールR3は、それぞれ同一のステッピングモータM及び同一の回転制御によって加速及び減速が制御されているため、リールテープT1~リールテープT3間の重量やバランスの差が大きくなると、第1リールR1~第3リールR3の制御が不安定になる虞がある。このため、本実施形態において、リールテープT1~リールテープT3は、互いの重量差が所定重量差(例えば2g)以下となるように形成されている。そして、リールテープT1~リールテープT3のそれぞれにおいて、着色形成層67bに対して付加される拡散層64が重量バランスを整える上で重要であるため、拡散層64が形成される図柄の位置がなるべく周方向に均等となるように配置されている。これにより、第1リールR1~第3リールR3間の重量差を抑制し、かつ重量バランスが整えられ、第1リールR1~第3リールR3の制御を安定させることが可能となる。なお、一般的にリールテープT1~リールテープT3の重量は、それぞれ12g以上18g以下となっている。
[透光部の詳細]
続いて、図柄P1(図柄「赤7」)、図柄P2(図柄「青7」)、図柄P4(図柄「チェリー」)、図柄P6(図柄「ベル」)に形成された透光部の詳細について図17を用いて説明する。なお、図17は、リールテープT1における14番図柄~19番図柄(図16参照)を裏面側から見た図である。以下に説明する透光部は、上述したようにリールバックライトBLのLEDの光を透過するため、遊技者が図柄の中で他の部分に比して透光性が高くて明るいので視認し易く、特に第1リールR~第3リールR3の回転中に透光部の通過タイミングが分かり易いので、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作タイミングが取り易くなり、所謂目押しを容易にするものである。
15番図柄の図柄P1(図柄「赤7」)は、上述したように縁形成層67aにより形成された縁部P1aの内部に、赤色の塗料による着色形成層67bにより形成された着色部P1bを有しており、さらにその着色部P1bの内部に、赤色と透明の塗料が配合された透光部(第3透光部)P1cを有している。また、上述したように、図柄P1は、図柄形成層67の全体を覆うように拡散層64により形成された透明チヂミ部P1dを有している。なお、本実施形態においては、透明チヂミ部も図柄の一部として定義して説明するが、図柄形成層67で形成された縁部、着色部、透光部を図柄として考え、透明チヂミ部は図柄を覆うものと考えても構わない。
また、上記図柄P1(図柄「赤7」)に隣接して配置される16番図柄の図柄P4(図柄「チェリー」)は、上述したように縁形成層67aにより形成された縁部P4aの内部に、実の部分が赤色の塗料による着色形成層67bにより、葉の部分が黄色の塗料と水色の塗料とが二重となる着色形成層67bにより、枝の部分が黄色の塗料とピンクの塗料とが二重となる着色形成層67bにより、それぞれ形成された着色部P4bを有しており、さらにその着色部P4bの内部に、白と透明の塗料が配合された透光部P4cを有している。また、上述したように、図柄P4は、図柄形成層67の全体を覆うように拡散層64により形成された透明チヂミ部P4dを有している。
また、上記図柄P4(図柄「チェリー」)に隣接して配置される17番図柄の図柄P2(図柄「青7」)は、上述したように縁形成層67aにより形成された縁部P2aの内部に、青色の塗料による着色形成層67bにより形成された着色部P2bを有しており、さらにその着色部P2bの内部に、青色と透明の塗料が配合された透光部(第2透光部)P2cを有している。また、上述したように、図柄P2は、図柄形成層67の全体を覆うように拡散層64により形成された透明チヂミ部P2dを有している。
そして、上記図柄P2(図柄「青7」)に隣接して配置される18番図柄の図柄P6(図柄「ベル」)は、上述したように縁形成層67aにより形成された縁部P6aの内部に、黄色の塗料による着色形成層67bにより形成された着色部P6bを有しており、さらにその着色部P6bの内部に、黄色と透明の塗料が配合された透光部(第1透光部)P6cを有している。また、上述したように、図柄P6は、図柄形成層67の全体を覆うように拡散層64により形成された透明チヂミ部P6dを有している。
上記図柄P1(図柄「赤7」)の透光部P1cは、縁部P1aの内縁に沿った形状に形成されており、短手方向Xにおいて図柄P1よりも僅かに小さい幅w1を有している。また、上記図柄P4(図柄「チェリー」)の透光部P4cは、実の部分に所謂てかりを表現するために形成されており、短手方向Xにおいて極小さい幅w4を有している。さらに、上記図柄P2(図柄「青7」)の透光部P2cは、縁部P2aの内部で短手方向Xの一方側(表面から見て右側のX1方向)に偏って形成されており、短手方向Xにおいて中くらいの幅w2を有している。そして、上記図柄P6(図柄「ベル」)の透光部P6cは、縁部P6aの内部で短手方向Xの他方側(表面から見て左側のX2方向)に偏って形成されており、短手方向Xにおいて小さい幅w6を有している。従って、各透光部の幅の大小関係は、w1>w2>w6>w4の関係となっている。
即ち、図柄P2(図柄「青7」)の透光部P2cと図柄P6(図柄「ベル」)の透光部P6cとは、長手方向Yから見て短手方向Xには重ならないように(幅方向に異なる位置に)配置されている。また、図柄P2(図柄「青7」)の透光部P2cと図柄P4(図柄「チェリー」)の透光部P4cとは、長手方向Yから見て短手方向Xには重ならないように(幅方向に異なる位置に)配置されている。また、図柄P4(図柄「チェリー」)の透光部P4cは、図柄P6(図柄「ベル」)の透光部P6cの幅w6の範囲内に収まるように重なって配置されているが、幅w4と幅w6とが異なる幅であるので幅方向に異なる位置に配置されているといえる。そして、図柄P4(図柄「チェリー」)の透光部P4cと図柄P2(図柄「青7」)の透光部P2cと図柄P6(図柄「ベル」)の透光部P6cとは、図柄P1(図柄「赤7」)の透光部P1cの幅w1の範囲内に収まるように重なって配置されているが、幅w1に対して、幅w4、幅w2、幅w6が異なる幅であるので幅方向に異なる位置に配置されているといえる。
以上のように本実施形態においては、図柄P1(図柄「赤7」)の透光部P1c、図柄P4(図柄「チェリー」)の透光部P4c、図柄P2(図柄「青7」)の透光部P2c、図柄P6(図柄「ベル」)の透光部P6cのそれぞれは、短手方向Xの幅が異なっているため、換言すると、短手方向Xにおける位置関係と形状パターンとが異なっているため、遊技者が図柄を区別して視認し易くすることができており、遊技者の目押しを行い易くすることができる。
また特に、図柄P1(図柄「赤7」)や図柄P2(図柄「青7」)のようにボーナス等の特別な遊技の開始を表示するための所謂シンボル図柄は、短手方向Xに対して最も大きい図柄となることが好ましく、リールテープT1の短手方向Xの幅に対してなるべくぎりぎりに配置することが好ましい。このため、これらのシンボル図柄は図柄の配置自体を短手方向Xにズラすことは困難であり、それら図柄の中心や端部は短手方向Xにおける略同位置に配置されるが、上述のように、これらの透光部P1cや透光部P2cの幅が異なっていることで、遊技者が図柄を区別して視認し易くすることができており、遊技者の目押しを行い易くすることができる。
また、リールテープT1において、図柄P4(図柄「チェリー」)、図柄P2(図柄「青7」)、図柄P6(図柄「ベル」)は順に隣接して配置されているが、透光部P4cと透光部P2cとが長手方向Yから見て短手方向Xには重ならないように配置され、透光部P2cと透光部P6cとが長手方向Yから見て短手方向Xには重ならないように配置されているため、隣接している図柄であっても図柄を区別して視認し易くすることができ、遊技者の目押しを行い易くすることができる。また、図柄P1(図柄「赤7」)の透光部P1cは、隣接して配置された図柄P4(図柄「チェリー」)の透光部P4cと短手方向Xにおいて重なっているが、幅w1が全ての透光部のうちの最大の幅であるため、短手方向Xにおける端側を見ることで、図柄P1を区別して視認し易くすることができ、遊技者の目押しを行い易くすることができる。
また、透光部を有する15番図柄~18番図柄は、14番図柄及び19番図柄の図柄P7(図柄「リプレイ」)に挟まれて配置されている。即ち、リプレイは、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作タイミングに関わらず入賞させることができるように構成されているため、遊技者が目押しする必要がなく、図柄P7(図柄「リプレイ」)はデザイン性を考えなければ透光部を設ける必要性がない。このように透光部を有する15番図柄~18番図柄が、透光部を有していない図柄に挟まれていることで、さらに視認性の向上が図られている。
[貼付位置許容部の詳細]
ついで、リールテープT1の一端部T11における透明部63と背景部Hとの境界部分に配置される貼付位置許容部68について図18及び図19(b)を用いて説明する。なお、上述した図柄P8Bは、図18及び図19(b)に示すように、図柄の外形の縁を形成する縁部P8Baと、その縁部P8Baの内部で模様を形成する模様部P8Bbとを有しており、縁部P8Baは縁形成層67aにより形成され、模様部P8Bbは着色形成層67bにより形成されている。
リールテープT1の一端側において、0番図柄である図柄P8Bが配置されている仮想領域の周方向におけるY1方向の端部までは、上述した背景部Hとなっており、背景形成層61の第1背景形成層61A及び第2背景形成層61Bが二重となる形で基材60に対して印刷されている。そして、この図柄P8Bの仮想領域のY1方向の端部と上記透明部63との間が第2背景形成層61Bにより形成された貼付位置許容部68となっている。即ち、貼付位置許容部68の周方向におけるY2方向の端部は、図柄P8Bの仮想領域のY1方向の端部となっており、第1背景形成層61Aの一端側の端部61Aaとなっている。要するに、第2背景形成層61Bは、第1背景形成層61Aの端部61Aaよりも一端側に位置する領域として貼付位置許容部68を有しており、換言すると、貼付位置許容部68は、第2背景形成層61Bだけが印刷された領域となっている。
貼付位置許容部68は、リールテープT1の他端T1bを貼付ける位置がズレた場合の許容範囲を設けるためのものであり、周方向における他端側(Y2方向の側)の第2領域として配置される一層部68aと、周方向における一端側(Y1方向の側)の第1領域として配置されるドット部68bと、を有している。このうちの一層部68aは、長手方向Yにおける長さが例えば1mm程度となるように第2背景形成層61Bが隙間なくベタで印刷されて、塗料が印刷されていない非印刷領域が形成されていない部分である。この一層部68aは、基材60に対して第1背景形成層61Aが印刷されてなく、第2背景形成層61Bだけの一層が上記端部61Aaから一層端部61Baまで印刷されている。そして、ドット部68bは、長手方向Yにおける長さが例えば4mm~5mm程度となるように、かつ第2背景形成層61Bによるドット印刷の目(ドット)が一層端部61Baからドット端部61Bbまで徐々に粗くなるように印刷されており、換言すると、Y2方向の一端側(一層端部61Baの近傍)よりもY1方向の他端側(ドット端部61Bbの近傍)が光を透過する度合いが高くなるように、第2背景形成層61Bによるドット印刷が形成されている。従って、ドット部68bは、塗料が印刷された印刷領域と塗料が印刷されてない非印刷領域とを有するように形成されていると共に、一端側(Y2方向)よりも他端側(Y1方向)が光を透過する度合いが高くなるように形成されている。
以上のように本実施形態においては、第2背景形成層61Bの一層により貼付位置許容部68が形成されているので、リールテープT1の他端T1b(図16参照)が、正しい位置である第2背景形成層61Bの他端側、つまり第1背景形成層61Aの一端側の端部61Aaに合わせて接着部材66により貼付けられた場合は、リールテープT1の他端T1bの近傍が第2背景形成層61Bの一層だけと重なり、第1背景形成層61A及び第2背景形成層61B(つまり背景形成層61)が二重となる部分と重なる場合に比して、リールバックライトBLの光の透過度が低下せず、リールテープT1の他端T1bの近傍が暗くなり過ぎることの防止を図ることができる。そして、ドット部68bが他端側に向けて徐々に光を透過す度合いが高くなるように形成されているので、例えばリールバックライトBLの光によって第2背景形成層61Bの他端の線がはっきりと浮き出るようなことがなく、見栄えを良好にすることができる。
また、リールテープT1の製造誤差、第1リム部21及び第2リム部22の製造誤差、作業者による貼付け誤差等により、リールテープT1がリールフレームFR1(図15参照)に巻き付けられるときに精度良く巻き付けられなかった場合にあって、リールテープT1の他端T1b(図16参照)が周方向における貼付位置許容部68の範囲内にズレて貼付けられた場合でも、透明部63が完全に露出することがない。特にリールテープT1の他端T1bが周方向における一層部68aの範囲内でズレて貼付けられた場合では、第1背景形成層61Aの端部61Aaとズレて貼付けられた他端T1bとの間が第2背景形成層61Bの一層部65aとなるため僅かにリールバックライトBLの光で明るくなるとしても、ドット部68bにおけるドット間の隙間から光が漏れ出ることもなく、見栄えを良好にすることができる。
[他の実施形態の可能性]
なお、以上説明した本実施形態においては、第1背景形成層61Aの端部61Aaよりも第2背景形成層62Bが貼付位置許容部68の分だけ長く形成(印刷)されているものを説明したが、反対に、第2背景形成層62Bよりも第1背景形成層61Aが貼付位置許容部68の分だけ長く形成(印刷)されているものであってもよい。
また、本実施形態においては、第2背景形成層61Bが第1背景形成層61Aと同じ塗料(例えば乳白色の半透明の塗料)で形成されているものを説明したが、これに限らず、同系色の塗料を用いたものでもよく、さらには光を遮光する塗料(例えば黒色、暗灰色、濃紺等の塗料)により形成された遮光層(裏打ち層であって所謂銀裏打ち)であってもよい。裏打ち層として遮光層を形成した場合は、第1背景形成層61Aで背景部Hの表示部分を形成しつつ、同時に貼付位置許容部68を有していることが好ましい。
また、本実施形態においては、貼付位置許容部68を一層部68aとドット部68bとの2つの領域で形成したものを説明したが、これに限らず、全ての領域をドット部で形成する、或いは全ての領域を一層部で形成するようにしても構わない。
また、本実施形態において、背景部Hは第1背景形成層61Aの乳白色の塗料で背景色が形成されているものを説明したが、これに限らず、どのような色の背景色であってもよく、特に白色系の背景色であれば好ましく、例えば光輝性顔料を含有するようなものでも構わない。
また、本実施形態において、各図柄の縁部は明度の低い塗料(黒色、暗灰色、濃紺等の塗料)によって形成されているものとして説明したが、各図柄で同系色の塗料を用いていることが好ましい。なお、同系色とは、同一色の他、類似色、例えば、赤に対するマゼンタ、青に対するシアン、黒に対するグレー等を含む色である。具体的には、同系色とは色差(ΔE*ab)が小さい色であり、好ましくは、色差が10未満、より好ましくは、5.0未満となる色である。このΔE*abは、ΔE*ab=√((ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2)で表される値であり、値が大きいほど目視したときの色の違いが大きいということになる。
また、本実施形態において、上述したシンボル図柄としての図柄P3(図柄「BAR」)について透光部を有していないものとして説明したが、これに限らず、図柄P3(図柄「BAR」)が透光部を有しているものでもよい。この場合、図柄P3(図柄「BAR」)の透光部は、上述の図柄P1(図柄「赤7」)、図柄P2(図柄「青7」)、図柄P4(図柄「チェリー」)、図柄P6(図柄「ベル」)の透光部に対して、短手方向Xの幅、配置、形状が異なることが好ましく、特に図柄のサイズ(幅)が同様に大きい図柄P1(図柄「赤7」)、図柄P2(図柄「青7」)に対して、幅方向の位置が異なることが好ましい。また、図柄P3(図柄「BAR」)が透光部を有している場合は、拡散層64も有していることが好ましい。
また、本実施形態において、着色形成層67bとして各種の色の塗料が一層の単色又は複数層の混色で図柄の内部の着色部を形成するものを説明したが、これに限らず、ドット等で濃淡を表現するようなものであってもよい。
また、本実施形態においては、本スロットマシン1が表示窓DWを覆うように液晶ディスプレイである表示装置330を備えた所謂全面液晶機であるものとして説明したが、これに限らず、例えば表示窓DWとは異なる場所に表示装置330を配置したものであっても構わない。この場合でもリールテープT1~リールテープT3の背景部Hに透明塗料を含有してリールバックライトBLの照明を透過し易くすることで、第1リールR1~第3リールR3を明るくすることができ、図柄の見易さも相俟って見栄えを良好にすることができる。
また、本実施形態において、第1リールR1は最も左方側に配置され、第2リールR2は第1リールR1の右方側に配置され、第3リールR3は最も右方側に配置されているものであるが、これに限らず、第1リール~第3リールが配置される順番はいずれの順番であってもよいし、第1リール~第3リール以外の第4のリールがあり、どの位置に配置されていてもよい。