JP7470978B2 - 液体中の物質観察方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体中の生体物質のような物質を光学的に観察する方法及びその装置に関し、特に、可視光に対して透明な物質であっても光学的に観察可能な液体中の物質観察方法及びその装置に関する。
液体中の生体物質のような観察試料を光学的に観察する方法として、光学顕微鏡が広く用いられている。ここで、観察のために照射される光に対して透明な観察試料に対しては、染料や蛍光標識を与えた上で観察可能である。一方、観察試料を染色等せず、そのまま光学的に観察するには、位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡が用いられ得る。しかし、液体(媒質)と観察試料の屈折率差が小さい場合には十分なコントラストを得ることができない。また、分子膜程度の厚さしかない観察試料の場合や、厚さのほとんど変化のない、平坦な観察試料の場合も同様にコントラストを得られない。
ところで、光学的なコントラストを十分に得ることの難しい場合であっても、コントラストを増強して、観察画像を得る観察方法も提案されている。
例えば、特許文献1では、TFTアレイのうちのキャリアの蓄積を出来なくなった欠損箇所を画像解析する方法を開示している。ここで、TFTアレイの信号線Sをすべて接地させるとともに、ゲート線Gに適当な直流電圧を印加した状態の前後でTFTアレイを撮像し、キャリアの蓄積状態及び空乏状態での差イメージを取得するが、かかる差イメージの信号強度は非常に微弱で観察を行うだけのコントラストを得ることができない。そこで、特定の変調周期でキャリアの蓄積状態及び空乏状態を形成させこの変調周期に同調させて差イメージを複数撮像し、これらを積算することで十分なコントラストの観察画像を得る方法(差イメージング法)を開示している。
国際公開第2016/024585号のパンフレット
液体中の生体物質のような観察試料を光学的に観察する方法においても、上記したような、差イメージング法を用いることで、可視光に対して透明な観察試料であっても、染料や蛍光標識を与えず、そのまま光学的に観察することが期待される。
本発明は、上記したような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、液体中の生体物質のような物質について、可視光に対して透明な観察試料であっても、染料や蛍光標識を与えず、差イメージング法を用いてそのまま光学的に観察する方法及びその装置の提供を目的とする。
本発明は、液体中の物質を光学的に観察する方法であって、半導体層内の第1面近傍にソース電極とドレイン電極とを設け、前記第1面と対をなす第2面に間隔を空けて対向させてゲート電極を設け、前記第2面と前記ゲート電極との間を満たすように前記物質を含む前記液体を与え、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を電気的に接続し、前記ゲート電極との間に所定周期でゲート電圧を印加して前記第2面への電荷の蓄積及び除荷を繰り返すとともに、前記所定周期に同期させて、前記電荷の蓄積状態と除荷状態との光学画像の差イメージを積算して観察画像を得ることを特徴とする。
かかる特徴によれば、いわゆる電気二重層トランジスタを利用することで、可視光に対して透明な観察試料であっても、染料や蛍光標識を与えず、差イメージング法を用いてそのまま光学的に観察できるのである。
上記した発明において、前記観察画像では、前記物質が前記第2面上に配置されることで前記電荷の蓄積状態において非蓄積部分を形成することを特徴としてもよい。また、前記ゲート電圧の印加の有無で、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間の抵抗値変化から、前記物質の前記第2面上での配置を検知することを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、可視光に対して透明な観察試料であっても、物質を第2面上に確実に配置できて、染料や蛍光標識を与えず、差イメージング法を用いてそのまま光学的に観察できるのである。
上記した発明において、前記光学画像は前記第2面に単色光を照射するとともに前記半導体層の透過光から得られ、前記単色光は前記第2面への電荷の蓄積及び除荷により誘起される前記半導体層の光透過率変化のピーク波長に対応した波長を有することを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、検出感度を高めて、染料や蛍光標識を与えず、差イメージング法を用いてそのまま光学的に観察できるのである。
上記した発明において、前記光学画像は前記第2面に光を照射するとともにこの反射光から得られることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、半導体層などの構成物の照射光に対する透明性を回避できて、観察をより容易にできるようになるのである。
上記した発明において、前記物質は生体試料であることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、生体試料であっても乾燥させることなく、また、電子線などの物理線に晒されることもなく、そのまま光学的に観察できるのである。
また、本発明は、液体中の物質を光学的に観察する装置であって、半導体層内の第1面近傍にソース電極とドレイン電極とを設け、前記第1面と対をなす第2面に間隔を空けて対向させてゲート電極を設け、前記第2面と前記ゲート電極との間を満たすように前記物質を含む前記液体を与えられ得て、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を電気的に接続し、前記ゲート電極との間に所定周期でゲート電圧を印加して前記第2面への電荷の蓄積及び除荷を繰り返すとともに、前記所定周期に同期させて、前記電荷の蓄積状態と除荷状態との光学画像の差イメージを積算して観察画像を得ることを特徴とする。
かかる特徴によれば、いわゆる電気二重層トランジスタを利用することで、可視光に対して透明な観察試料であっても、染料や蛍光標識を与えず、差イメージング法を用いてそのまま光学的に観察できるのである。
上記した発明において、前記観察画像では、前記物質が前記第2面上に配置されることで前記電荷の蓄積状態において非蓄積部分を形成することを特徴としてもよい。また、前記ゲート電圧の印加の有無で、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間の抵抗値変化から、前記物質の前記第2面上での配置を検知することを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、可視光に対して透明な観察試料であっても、物質を第2面上に確実に配置できて、染料や蛍光標識を与えず、差イメージング法を用いてそのまま光学的に観察できるのである。
上記した発明において、前記光学画像は前記第2面に単色光を照射するとともに前記半導体層の透過光から得られ、前記単色光は前記第2面への電荷の蓄積及び除荷により誘起される前記半導体層の光透過率変化のピーク波長に対応した波長を有することを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、検出感度を高めて、染料や蛍光標識を与えず、差イメージング法を用いてそのまま光学的に観察できるのである。
上記した発明において、前記光学画像は前記第2面に光を照射するとともにこの反射光から得られることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、生体試料であっても乾燥させることなく、また、電子線などの物理線に晒されることもなく、そのまま光学的に観察できるのである。
本発明による1実施例における観察装置の要部を示す図である。 半導体の反射光の変化の原理を説明する図である。 観察装置のブロック図である。 信号強度の差とこれを積算する方法についての説明図である。 (a)電気二重層トランジスタ及び(b)電気二重層キャパシタの断面図である。 試験装置に用いたポリマー半導体の化学式である。 試験装置に用いた電気二重層キャパシタの光透過率変化を示すグラフである。 ゲート電圧と撮影トリガとのタイミングチャートである。 (a)(b)試験装置によって得られたシリカ粒子の観察画像と、(c)光学顕微鏡によるシリカ粒子の画像である。
まず、本発明の1つの実施例による液体中の物質を光学的に観察する観察装置及び観察方法について図1乃至図5を用いて説明する。
図1に示すように、観察装置10(図3参照)には、電気二重層トランジスタ1を用いる。電気二重層トランジスタ1は、基板9の上に半導体膜によって形成された半導体層2の基板9側の面である第1面2aにソース電極3及びドレイン電極4を設け、第1面2aと対をなす第2面2bに間隔を開けて対向させてゲート電極5が設けられている。そして、第2面2bとゲート電極5との間を満たすように観察しようとする物質を含む電解質水溶液である液体Lが与えられたとする。
ここで図1(a)に示すように、ソース電極3及びドレイン電極4を電気的に接続し、ゲート電極5にゲート電圧を印加すると、液体L中の正負のイオンのうちの一方が第2面2bと液体Lとの界面近傍に移動する。正のゲート電圧を印加した場合は、図示したように正のイオンが移動する。一方、半導体層2では、第2面2bの近傍に上記したイオンと反対符号の電荷(図示した場合では負の電荷)が蓄積する。つまり、液体L側にはイオン、半導体層2側にはイオンと反対符号の電荷が蓄積された電気二重層が形成される。半導体層2側の電荷は、ソース電極3とドレイン電極4との間を流れることができ、ゲート電圧を印加していないときよりも印加したときの方がソース電極3とドレイン電極4との間の電気抵抗は低下する。
他方、図1(b)に示すように、液体L中のイオン以外の物質Mが半導体層2の表面(第2面2b)に吸着した場合、イオンの移動を妨げることで上記した電気二重層の形成が阻害される。そのため、ゲート電圧を印加しても、物質Mの吸着した部分では半導体層2側に電荷が蓄積せず、電気抵抗は低下しなくなる。つまり、物質Mが第2面2b上に配置されることで電荷の蓄積状態において非蓄積部分を形成する。
このように、電気二重層トランジスタ1によれば、液体L中の物質Mによる半導体層2への吸着物をソース電極3及びドレイン電極4間の電気抵抗の抵抗値変化として検出することができる。そのため、蛍光標識などによる染色をすることなく、液体Lの媒質との屈折率差の小さいものであっても、物質Mの吸着などによる第2面2b上への配置を検知できる。
特に、電気二重層は、厚さ数nm~数十nmの狭い範囲に非常に高密度の電荷を蓄積させるため、分子膜のような極薄い物質であっても電気二重層の形成を阻害し電気抵抗の大きな変化を生じさせ、その吸着を高感度に検出できる。また、液体Lとしては、各種の塩を含んだ電解質水溶液や緩衝液でも用いることができ、これらの液体中でしか安定に存在し得ない生体物質であっても検出を可能とする。さらに、電気二重層トランジスタ1は、基板、半導体膜、電極、電解質水溶液から構成されており、測定毎に取り換えの必要な消耗品もない。
さて、電気二重層トランジスタ1によって半導体層2へ吸着した物質を検出できることは上記した通りであるが、これを可視化するための原理について図2を用いて説明する。
図2(a)に示すように、基板9の上にゲート電極5を設け、絶縁層8を挟んでソース電極3及びドレイン電極4を設けて半導体層2を重ねたトランジスタの場合について説明する。なお、ソース電極3及びドレイン電極4は互いに短絡させる。この場合において、ゲート電圧を印加しなければ入射光P1に対して一定の反射率で反射光P2が得られる。図示を省略するが、透過光の場合でも一定の透過率で透過光が得られる。
ここで、図2(b)に示すように、ゲート電圧を印加すると、ゲート電圧の符号と反対符号の電荷が半導体層2のゲート電極5側の面の近傍に蓄積される。このように電荷の蓄積した半導体層2では、光の反射率が0.01%程度とごくわずかであるが変化し、この変化に応じた反射率で反射光P2’が得られる。図示を省略するが、光の透過率についても同様の変化を呈し、かかる変化した透過率で透過光が得られる。このようなごくわずかな反射光や透過光の変化を光学顕微鏡によって観察することができれば、半導体層2に蓄積した電荷の空間上の分布を可視化することができる。なお、この電荷の蓄積した分布は上記した抵抗値の変化した部分の分布と一致する。
そこで、本実施例においては、図3(a)に示すような観察装置10を構成した。観察装置10は、電気二重層トランジスタ1を備え、これを上面から撮影できるよう電気二重層トランジスタ1に光を照射しその反射光を集光する光学レンズ11と、集光された反射光の二次元分布を検出する二次元光検出器12と、二次元光検出器12からの信号によって二次元の光学画像を得るための高速画像演算装置13と、得られた光学画像を取得し保存できるパソコン14を備える。パソコン14はその他の装置の制御も行う。
光学レンズ11には、電気二重層トランジスタ1に照射する光を導く光ファイバ21の一端が接続され、他端を切替器22に接続させている。切替器22には、分光器23、光源24が接続され、光源24からの光を単色光として導くことができるようにされている。つまり、単色光を電気二重層トランジスタ1に照射できる。光源24としてはハロゲンランプ、重水素ランプ、キセノンランプ等を使用でき、分光器23はバンドパスフィルタとしてもよい。光源としては紫外域から近赤外域の多様な波長域の単色光を使用できるLEDを用いてもよい。また、切替器22は、電気二重層トランジスタ1の下面側に設けられた光学レンズ11’に接続され、電気二重層トランジスタ1に下面から光を照射することもできるようにされている。つまり、光学レンズ11を使用した場合は反射光で観察し、光学レンズ11’を使用した場合は透過光で観察することができ、切替器22で光学レンズ11又は11’のどちらを使用するか選択することができる。
ここで、図3(b)及び(c)に示すように、電気二重層トランジスタ1については、上下いずれかの向きに設定することができる。すなわち、観察対象となる物質M(図1参照)を含む液体Lを半導体層2に対して上方、すなわち二次元光検出器12側に配置する向きと、液体Lを半導体層2に対して下方に配置する向きとのいずれかを選択し得る。ここで、電気二重層トランジスタ1は基板9a及び基板9bによって上下を挟んだ構造となっており、上下どちらに向けることもできる。例えば、半導体層2に対して液体Lを下方に配置し(図3(c))、反射光で観察する場合、上方に配置される半導体層2からの反射光を上方から観察すればよいので、半導体層2よりも下側にある液体Lには光を到達させる必要がない。つまり、物質Mを生体試料とする場合などでも電子線などの物理線に物質Mを晒すことなくそのまま光学的に観察できる。なお、観察対象である物質Mを半導体層2の第2面2b(図1参照)に吸着させる必要がある。そこで、例えば、電気二重層トランジスタ1の上下の向きに合わせて、液体Lの比重などによって重力に対して物質Mを半導体層2に近接させるよう調整し、吸着可能なようにするとよい。
ここで、上記したように電気二重層トランジスタ1にゲート電圧を印加したときと印加しないときの両者で光学画像の差分のイメージ(差イメージ)を得ることができれば、液体L中の物質Mの観察画像を得ることができる。そのための構成として、電気二重層トランジスタ1に電圧を印加するとともに二次元光検出器12に撮影トリガを送出するファンクションジェネレータ30を備える。なお、ソース電極3とドレイン電極4(図1参照)は短絡させてある。
ところで、図4(a)に示すように、半導体への電荷の蓄積の有無によって誘起される光の反射率変化・透過率変化dは0.01%程度と非常に小さい。また、光源24からの光の強度や二次元光検出器12による感度は時間的な揺らぎfを有する。揺らぎfは反射率変化や透過率変化の0.01%よりも大きい。そのため、ゲート電圧を印加した状態Gonとゲート電圧を印加しない状態Goffとをそれぞれ時間的に長くとって、それぞれを積算した光学画像を得て差イメージを得ようとしても、揺らぎfによって変化dによる差分が打ち消されてしまい、差イメージを得ることができない。
そこで、図4(b)、(c)に示すような、ゲート変調イメージングを行う。詳細には、揺らぎfの周期よりも短い所定周期でゲート電圧のon-offのスイッチング(変調)を繰り返し、この所定周期に同期させてゲート電圧を印加した状態Gonとゲート電圧を印加しない状態Goffとの光学画像をそれぞれ積算し、その差分を取ることで反射率変化・透過率変化dによる観察画像を得ることができる。つまり、半導体層2の第2面2b(図1参照)への電荷の蓄積と除荷とを繰り返し、この電荷の蓄積状態と除荷状態との間の光学画像の差イメージを積算して観察画像を得るのである。
そのため、ファンクションジェネレータ30(図3参照)は上記したスイッチングを可能なものとされる。また、二次元光検出器12はこれに対応した高フレームレートでの撮影を可能とするものとされる。なお、二次元光検出器12は、可能な限り、ノイズレベルを低く、ダイナミックレンジを広く、感度を有する波長域を広くされることが好ましい。さらに、高速画像演算装置13では、二次元光検出器12による撮影に並行して、ゲート電圧を印加した状態Gonとゲート電圧を印加しない状態Goffとの光学画像の差分を求めて差イメージを積算して観察画像を作成することができる。
以上のように、観察装置10によれば、電気二重層トランジスタ1を利用することで、物質Mが可視光に対して透明な観察試料であっても、染料や蛍光標識を与えることなく、上記した差イメージによる観察画像でそのまま光学的に観察できる。
なお、電気二重層トランジスタ1に照射する単色光としては、電荷の蓄積及び除荷によって誘起される半導体層2の光の透過率変化についてのピーク波長に対応した波長を有するものを選定することが好ましい。これによって、透過率変化を高感度で検出でき、得られる観察画像の検出感度を高めることができる。
ところで、上記したような観察装置10に用いる電気二重層トランジスタとしては、光学顕微鏡を用いて観察可能な構造とする必要がある。例えば、以下のような構造とすることで光学顕微鏡での観察を可能とする。
すなわち、図5(a)に示すように、電気二重層トランジスタ41は、ガラス基板49a上にソース電極として機能する作用電極43とドレイン電極として機能する作用電極44とを備え、その上に作用電極43及び作用電極44を覆って表面近傍に位置させるように半導体層42として半導体膜がコートされる。半導体層42の上には、上面視で半導体層42の周囲を囲む形状のスペーサ47が配置され、スペーサ47の内側を観察用の試料としての物質を含む電解質水溶液からなる液体Lが満たしている。スペーサ47の厚さは1mm以下とすることが好ましい。スペーサ47の上面にはゲート電極として機能する対電極45を形成されたガラス基板49bが対電極45を下に向けて配置され、液体Lを封止している。対電極45は、電気導電性を有するとともに光を透過させる程度に薄い金属薄膜であり、厚さ6nm程度とすることが好ましい。
ここで、上面から光を照射すると、ガラス基板49bから入射した光は対電極45を透過し半導体層42に到達する。この光は、半導体層42で反射して上面から反射光として出射されるか、又は、半導体層42を透過して下面から透過光として出射される。この反射光又は透過光を用いて上記した差イメージによる観察画像を得ることで、半導体層42への電荷の蓄積の有無を可視化することができる。なお、電気二重層トランジスタ41は、スペーサ47とガラス基板49a、ガラス基板49bで液体Lを封止する構造を有するため、観察中における液体Lの蒸発を防止し得る。
なお、上記したゲート変調イメージングでは、作用電極43と作用電極44とを短絡させて観察を行うため、これら2つの作用電極を1つに置き換えることもできる。
すなわち、図5(b)に示すように、作用電極43’を1つにした電気二重層キャパシタ41’とすることもできる。すなわち、下側のガラス基板49aには1つの作用電極43’を設け、その他は電気二重層トランジスタ41と同様に構成する。つまり、作用電極43’は、ソース電極3とドレイン電極4とを電気的に接続したものに相当する。ここで、作用電極43’についても光を透過させる程度に薄く形成しておくことで、上面から光を照射させて透過光を用いることができる。一方で、作用電極43’について、光を透過させないように、厚く形成することで、半導体層42から反射する反射光を増強させ得て、反射光を用いた観察において感度を向上させ得る。このような、作用電極43’による電気二重層キャパシタ41’は電極の数が少なく構造も単純であるため、作製を容易とし得る。
[ゲート変調イメージング試験]
次に、上記したような観察装置を試験装置として用いて試料を観察した結果について説明する。
試験装置は、中心発光波長を565nmとするLEDを光源とし、分光器の代わりにバンドパスフィルタ(中心波長600nm、半値幅10nm)、光学レンズ系、二次元光検出器、高速の画像演算装置、ファンクションジェネレータ、制御用パソコンを用いて構成された。上記した観察装置10と同様に、反射光及び透過光のいずれでも観察できるように光学系を切り替え可能とした。二次元光検出器としては、300~1100nmの波長の光に感度を有し、最大フレームレートを100fps、ダイナミックレンジを16bit、画素数を400万画素とするCMOSカメラを用いた。画像演算装置にはFPGA(field-programmable gate array)を用いて自作したものを使用した。
ここでは、試験装置に電気二重層キャパシタを用いた。電気二重層キャパシタは次のようにして製造した。まず、ガラス基板上に作用電極として金を30nm厚さで蒸着させた。その上からポリマー半導体であるPoly(3-hexylthiophene-2,5-diyl) 「P3HT」(図6参照)をスピンコートにより塗布し、半導体層を成膜した。半導体層の上には、厚さ0.5mmの樹脂からなるスペーサを配置し、スペーサの内部を直径5μmのシリカ粒子を分散させた濃度10mMのリン酸緩衝液で満たした。対電極として金を6nmの厚さで蒸着させたガラス基板を緩衝液の上からかぶせて封止し、電気二重層キャパシタを得た。
図7に示すように、得られた電気二重層キャパシタについて、ゲート電圧を-0.6Vとし、ゲート電圧を印加した状態とゲート電圧を印加しない状態との間での光透過率変化を波長毎に測定した。その結果、透過光の波長を600nm付近としたときに最も大きな変化を示すことが判った。つまり、このP3HTによる半導体層によると、600nmの光を照射することで最も高い感度で観察を行うことができる。そこで、上記したような光源とバンドパスフィルタとの組み合わせで照射させる光として波長600nmの単色光を得た。これにより、光透過率変化は、通常の0.01%よりかなり大きい約1%を得た。電気二重層キャパシタが通常のトランジスタに比べて高密度の電荷を半導体層に蓄積できたためと考えられ、ゲート変調イメージングの高感度化に有利である。
作製した電気二重層キャパシタについて、シリカ粒子を観察すべく、次の手順でゲート変調イメージングを行った。電気二重層キャパシタを光学レンズの前に配置し、作用電極及び対電極をファンクションジェネレータに接続した。光学レンズを調整して半導体層の表面にピントを合わせ、電気二重層キャパシタの上面から波長600nmの単色光を照射した。
図8に示すように、ファンクションジェネレータでは、作用電極の電圧を0Vに固定し、対電極に10Hzの繰り返し周期で-0.6Vと0Vの電圧(ゲート電圧)を交互に印加した。この繰り返し周期の2倍となる20Hzの繰り返し周期で撮影トリガとなる信号をCMOSカメラに入力し、ゲート電圧として-0.6V印加した状態と0V印加した状態とのそれぞれについて繰り返し撮影を行った。そして上記と同様に電荷の蓄積状態と除荷状態との間の光学画像の差イメージを積算して観察画像を得た。
図9(a)示すように、ゲート変調イメージングを行った結果、光学顕微鏡によって撮影された画像(図9(c)参照)に撮影されているシリカ粒子に対応するコントラストが得られた。
これに対し、図9(b)に示すように、0Vと0Vのゲート電圧を交互に繰り返し印加した場合、すなわちゲート電圧を印加しなかった場合、シリカ粒子と思われるコントラストは得られなかった。
つまり、ゲート変調イメージングを行って得た観察画像(図9(a))は、ゲート電圧の印加によって半導体層に蓄積した電荷の有無によるコントラストを得ていたことが判った。ゲート変調イメージの信号強度のプロファイルによると、シリカ粒子に対応する位置で信号強度が小さくなっていた。つまり、シリカ粒子が半導体層の表面に吸着したことにより電気二重層の形成が阻害されて、半導体層の電荷の蓄積密度が周囲に比べて減少したためと考えることができる。このように光学顕微鏡によって撮影された画像(図9(c))と対応するイメージを得ることができたことから、ゲート変調イメージングによって半導体層の表面に吸着した物質を可視化できることが実証された。
本試験では、上記した試験装置によって得られた観察画像の妥当性を検証するために通常の光学顕微鏡でも観察可能なシリカ粒子を観察対象の試料として用いた。つまり、通常の光学顕微鏡で観察できない可視光に対して透明な物質であっても、半導体層に蓄積する電荷によってコントラストを得る上記した方法であれば、同様に可視化することができる。
以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
1 電気二重層トランジスタ
2 半導体層
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 ゲート電極
L 液体
11、11’ 光学レンズ
12 二次元光検出器
24 光源
30 ファンクションジェネレータ

Claims (11)

  1. 液体中の物質を光学的に観察する方法であって、
    半導体層内の第1面近傍にソース電極とドレイン電極とを設け、前記第1面と対をなす第2面に間隔を空けて対向させてゲート電極を設け、前記第2面と前記ゲート電極との間を満たすように前記物質を含む前記液体を与え、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極を電気的に接続し、前記ゲート電極との間に所定周期でゲート電圧を印加して前記第2面への電荷の蓄積及び除荷を繰り返すとともに、前記所定周期に同期させて、前記電荷の蓄積状態と除荷状態との光学画像の差イメージを積算して観察画像を得ることを特徴とする液体中の物質の観察方法。
  2. 前記観察画像では、前記物質が前記第2面上に配置されることで前記電荷の蓄積状態において非蓄積部分を形成することを特徴とする請求項1記載の液体中の物質の観察方法。
  3. 前記ゲート電圧の印加の有無で、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間の抵抗値変化から、前記物質の前記第2面上での配置を検知することを特徴とする請求項2記載の液体中の物質の観察方法。
  4. 前記光学画像は前記第2面に単色光を照射するとともに前記半導体層の透過光から得られ、前記単色光は前記第2面への電荷の蓄積及び除荷により誘起される前記半導体層の光透過率変化のピーク波長に対応した波長を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載の液体中の物質の観察方法。
  5. 前記光学画像は前記第2面に光を照射するとともにこの反射光から得られることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載の液体中の物質の観察方法。
  6. 前記物質は生体試料であることを特徴とする請求項1乃至5のうちの1つに記載の液体中の物質の観察方法。
  7. 液体中の物質を光学的に観察する装置であって、
    半導体層内の第1面近傍にソース電極とドレイン電極とを設け、前記第1面と対をなす第2面に間隔を空けて対向させてゲート電極を設け、前記第2面と前記ゲート電極との間を満たすように前記物質を含む前記液体を与えられ得て、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極を電気的に接続し、前記ゲート電極との間に所定周期でゲート電圧を印加して前記第2面への電荷の蓄積及び除荷を繰り返すとともに、前記所定周期に同期させて、前記電荷の蓄積状態と除荷状態との光学画像の差イメージを積算して観察画像を得ることを特徴とする液体中の物質の観察装置。
  8. 前記観察画像では、前記物質が前記第2面上に配置されることで前記電荷の蓄積状態において非蓄積部分を形成することを特徴とする請求項7記載の液体中の物質の観察装置。
  9. 前記ゲート電圧の印加の有無で、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間の抵抗値変化から、前記物質の前記第2面上での配置を検知することを特徴とする請求項8記載の液体中の物質の観察装置。
  10. 前記光学画像は前記第2面に単色光を照射するとともに前記半導体層の透過光から得られ、前記単色光は前記第2面への電荷の蓄積及び除荷により誘起される前記半導体層の光透過率変化のピーク波長に対応した波長を有することを特徴とする請求項7乃至9のうちの1つに記載の液体中の物質の観察装置。
  11. 前記光学画像は前記第2面に光を照射するとともにこの反射光から得られることを特徴とする請求項7乃至9のうちの1つに記載の液体中の物質の観察装置。
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