JP2013004637A - 有機薄膜トランジスタの評価方法 - Google Patents

有機薄膜トランジスタの評価方法 Download PDF

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Tatsuo Hasegawa
達生 長谷川
Hiroyuki Matsui
弘之 松井
Junya Tsutsumi
潤也 堤
Juichi Yamada
寿一 山田
Naoyuki Kanai
直之 金井
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Abstract

【課題】処有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷状態の微視的様相を観測でき、電荷トラップなどの欠陥による電荷密度の変化を捉えることが可能な、有機薄膜トランジスタの評価方法を提供する。
【解決手段】基板上にゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート絶縁膜層と、有機半導体層とを備え、前記電極を介して印加する電圧によって該電極で画されたチャネル領域の電荷状態が制御を受ける薄膜トランジスタの評価方法であって、前記電極を通じて矩形波または正弦波により時間振動する変調電圧を印加するとともに、前記チャネル領域にレーザー光を照射してその透過光を得、前記変調電圧の高電圧時における透過光強度(T)と、該透過光強度(T)から前記変調電圧の低電圧時における透過光強度を差し引いた値(ΔT)を測定して、それらの値(TとΔT)に基づいて前記チャネル領域の電荷密度分布を求める。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機薄膜トランジスタの評価方法に関する。
高分子系、および低分子系の有機半導体を用いる有機エレクトロニクスは、フレキシブルデバイスなどを製造するための次世代技術として大きく注目されている。すでに製品化された有機電界発光ダイオード(OLED)に加えて、アクティブマトリクス用スイッチング素子を用途とする有機半導体薄膜電界効果トランジスタ(OFET)の研究開発が近年大きく進展している。
有機半導体薄膜電界効果トランジスタ(OFET)の性能は、現在ディスプレイに多く使用されているアモルファスシリコン薄膜電界効果トランジスタの特性を凌駕しており、実用化に向けデバイス特性と長期安定性をさらに向上させるため技術開発が行われている。
OFET等有機薄膜トランジスタにおいて、デバイス駆動の要となる電荷輸送は、パイ電子系有機半導体のゲート絶縁膜層との境界に沿った界面で生じる。デバイス高性能化を目指し、界面電荷輸送の微視的様相を明らかにすることが重要な課題となっているが、通常の素子構造で界面に蓄積される電荷量は〜1012cm−2程度とごく僅かであり、デバイスの電気的特性から大まかに推測される以上の微視的情報を得ることは容易ではない。このため、有機半導体薄膜内の電荷密度分布の評価方法及び欠陥位置を特定する評価方法の開発が求められている。
このような問題に対して、非特許文献1には、有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷状態を検知する方法として、電荷誘起弾性変調干渉法が提案されている。この方法は、有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷状態を検知するにあたって、有機半導体層のゲート絶縁膜層との界面に蓄積された電荷と、ゲート電極のゲート絶縁膜層との界面に蓄積された電荷との間に生じる静電引力によりゲート絶縁膜層が膜厚変化する現象を利用し、それをチャネル領域に照射した光の透過光の干渉スペクトルのシフトとして捉える方法である。蓄積された電荷の量が変化すれば、膜厚変化の大きさも変化し、干渉スペクトルのシフトの大きさも変化する。
しかしながら非特許文献1の方法では、測定光源にキセノンランプ光を用いており測定エリアのスポットサイズの大きさが50μmと大きく、また測定デバイスのチャネル長も1mmと大きい。そのため、有機薄膜トランジスタの研究開発の対象の主流となっているチャネル長が100μm程度のデバイスのチャネル領域の電荷状態の微視的様相の情報を得ることはできず、電荷トラップなどの欠陥による電荷密度の変化を捉えることが難しかった。
H. Matsui、T. Hasegawa「Visualization of accumulated charge density in operating organic thin-film transistors」APPLIED PHYSICS LETTERS 95, 223301(2009)
上記従来技術に鑑み、本発明の目的は、有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷状態の微視的様相を観測でき、電荷トラップなどの欠陥による電荷密度の変化を捉えることが可能な、有機薄膜トランジスタの評価方法を提供することにある。
本発明の有機薄膜トランジスタの評価方法は、基板上にゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート絶縁膜層と、有機半導体層とを備え、前記電極を介して印加する電圧によって該電極で画されたチャネル領域の電荷状態が制御を受ける薄膜トランジスタの評価方法であって、前記電極を通じて矩形波または正弦波により時間振動する変調電圧を印加するとともに、前記チャネル領域にレーザー光を照射してその透過光を得、前記変調電圧の高電圧時における透過光強度(T)と、該透過光強度(T)から前記変調電圧の低電圧時における透過光強度を差し引いた値(ΔT)を測定して、それらの値(TとΔT)に基づいて前記チャネル領域の電荷密度分布を求めることを特徴とする。
本発明によれば、有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷状態を検知するにあたって、有機半導体層のゲート絶縁膜層との界面に蓄積された電荷と、ゲート電極のゲート絶縁膜層との界面に蓄積された電荷との間に生じる静電引力によりゲート絶縁膜層が膜厚変化する現象を利用し、それをチャネル領域に照射したレーザー光の透過光の干渉スペクトルのシフトとして捉えるので、有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷密度分布を有効に測定でき、その微視的様相の観察が可能となる。そして、その電荷密度分布をμmオーダーで精度よく求めることができるので、特性を妨げる要因となる電荷トラップの位置を特定したり、またはその程度を評価したりすることができる。
本発明においては、前記値(TとΔT)の測定を、前記レーザー光の照射位置を走査して行うことが好ましい。
これによれば、有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷密度分布を、平面方向にわたって効率よく求めることができる。
本発明においては、前記値(TとΔT)に基づいて、下記式(1)によって電荷密度(Q)を求めることが好ましい。
これによれば、有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷状態について、電荷密度の情報をも把握して評価するので、有機薄膜トランジスタの電荷トラップに関するより詳細な評価が可能となる。
本発明においては、前記レーザー光として、前記有機半導体層による吸収の影響を受けない波長域のレーザー光を用いることが好ましい。
これによれば、前記値(TとΔT)の測定にあたって、有機半導体層による吸収の影響によるノイズシグナルを検出してしまうことがなく、前記変調電圧を印加することによる干渉スペクトルのシフトに基づいたより正確な測定を行うことができる。
本発明においては、前記ゲート絶縁膜層として、ヤング率が4GPa以下の材料からなるゲート絶縁膜層を用いた有機薄膜トランジスタに適用することが好ましい。
これによれば、ゲート絶縁膜層が膜厚変化する現象を利用した本発明の評価方法を、より好適に利用できる。
本発明によれば、有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷状態を検知するにあたって、有機半導体層のゲート絶縁膜層との界面に蓄積された電荷と、ゲート電極のゲート絶縁膜層との界面に蓄積された電荷との間に生じる静電引力によりゲート絶縁膜層が膜厚変化する現象を利用し、それをチャネル領域に照射したレーザー光の透過光の干渉スペクトルのシフトとして捉えるので、有機薄膜トランジスタのチャネル領域の電荷密度分布を有効に測定でき、その微視的様相の観察が可能となる。そして、その電荷密度分布をμmオーダーで精度よく求めることができるので、特性を妨げる要因となる電荷トラップの位置を特定したり、またはその程度を評価したりすることができる。
有機薄膜トランジスタのゲート電極とソース・ドレイン電極との間に矩形波または正弦波により時間振動する変調電圧を印加したときのチャネル領域を構成するゲート絶縁膜層の微視的断面を模式的に示す概略説明図であり、(A)は変調電圧の高電圧時(0V)の状態を示し、(B)は変調電圧の低電圧時(−100V)の状態を示す。 レーザー光の透過光測定のための方法を示す模式図である。 XYステージ上にサンプルを載置しそのステージを移動することによって、レーザー光の照射位置を走査しながら測定する状態を示す模式図である。 トップコンタクト構造の有機薄膜トランジスタ(デバイス1)のチャネル領域の断面を示す模式図である。 ボトムコンタクト構造の有機薄膜トランジスタ(デバイス2)のチャネル領域の断面を示す模式図である。 デバイス1のチャネル幅方向にわたって測定された−ΔT/Tの値の結果を示す図表である。 デバイス2のチャネル幅方向にわたって測定された−ΔT/Tの値の結果を示す図表である。
本発明の評価方法を適用する有機薄膜トランジスタとは、基板上にゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート絶縁膜層と、有機半導体層とを備え、そのゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極とで画されたチャネル領域の電荷状態が、それらの電極を介して印加する電圧によって制御を受ける薄膜トランジスタをいう。
その構造としては、下記トップコンタクト構造、ボトムコンタクト構造、トップゲート構造などを例示できる。ただし、これらの構造に限られるものではない。
・トップコンタクト構造:基板/ゲート電極/ゲート絶縁膜層/有機半導体層/ソース・ドレイン電極
・ボトムコンタクト構造:基板/ゲート電極/ゲート絶縁膜層/ソース・ドレイン電極/有機半導体層
・トップゲート構造:基板/ソース・ドレイン電極/有機半導体層/ゲート絶縁膜層/ゲート電極
以下、本発明の評価方法を適用する有機薄膜トランジスタの基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜層、有機半導体層、ソース電極及び/又はドレイン電極の各構成について説明する。
[基板]
本発明の評価方法を適用する有機薄膜トランジスタは、その基板としては、光透過性に富み寸法安定性に優れていることが好ましい。例えば、ガラス、各種プラスチック、各種フィルム等の透明基板が挙げられる。
[ゲート電極]
本発明の評価方法を適用する有機薄膜トランジスタは、そのゲート電極の材料としては、電極として用いるのに十分導電性を有するものであればよく、例えば、金、銀、チタン、クロム、ニッケルなどの金属が挙げられる。また、IZO、ITOなどの導電性酸化物が挙げられる。ゲート電極は、後述する評価方法において、照射するレーザー光の光透過性が妨げられないようにするために、その膜厚が10nm以下で形成されていることが好ましい。ゲート電極の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、スパッタ法、電子ビーム蒸着法などが挙げられる。
[ゲート絶縁膜層]
本発明の評価方法を適用する有機薄膜トランジスタは、そのゲート絶縁膜層の材料としては、ゲート絶縁膜層として用いるのに十分な絶縁性を有するものであればよく、例えば、パリレンC、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVP(ポリビニルフェノール)、Cytop(旭硝子株式会社製)などの高分子材料が挙げられる。ゲート絶縁膜層は、後述する評価方法において印加する変調電圧に応じた膜厚変化が十分に生じるような、ヤング率が比較的小さい材料で形成されていることが好ましい。そのヤング率は4GPa以下であることが好ましい。膜厚は、薄すぎると後述する評価方法において照射するレーザー光の透過光の干渉効果を利用できない。また、厚すぎるとゲート絶縁膜の静電容量が小さくなってしまい、有機半導体層に注入される電荷量が少なくなってしまう。その膜厚は500〜1200nmの範囲で形成されていることが好ましい。
ゲート絶縁膜層はスピンコーター法などで形成できる。パリレンCの場合は、パリレンコーターを使用することができる。具体的には、パリレンコーターは、1×10−4Pa程度に減圧した石英ガラス管の中に、原料であるパリレンC(二量体)を115℃程度で加熱するゾーンと、700℃程度の電気炉でモノマーに分解するゾーンと、室温にてパリレンポリマー層を対象基板上に形成するゾーンとの3種類の温度ゾーンを備え、パリレンCのゲート絶縁膜層を形成するのに適している。
[有機半導体層]
本発明の評価方法を適用する有機薄膜トランジスタは、その有機半導体層の材料としては、例えば、ペンタセン、ルブレン等のP型低分子有機半導体材料、ポリ3(ヘキシルチオフェン)(略称P3HT)等のP型高分子有機半導体材料、またはフラーレン等のn型有機半導体材料を用いることができる。通常その膜厚は10〜100nm程度であればよい。有機半導体層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法やインクジェット法などが挙げられる。
「ソース・ドレイン電極」
本発明の評価方法を適用する有機薄膜トランジスタは、そのソース電極及び/又はドレイン電極の材料としては、電極として用いるのに十分導電性を有するものであればよく、例えば、金、銀、チタン、クロム、ニッケルなどの金属が挙げられる。また、IZO、ITOなどの導電性酸化物が挙げられる。通常その膜厚は20〜100nm程度であればよい。ソース電極及び/又はドレイン電極の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、スパッタ法、電子ビーム蒸着法などが挙げられる。ただし有機半導体層上に形成する場合は、有機層にダメージの少ない抵抗加熱蒸着法が好ましい。
以下、図1〜3を参照して、本発明の評価方法について説明する。
図1には、有機薄膜トランジスタのゲート電極と、ソース・ドレイン電極との間に、矩形波または正弦波により時間振動する変調電圧を印加したときのチャネル領域を構成するゲート絶縁膜層の微視的断面を模式的に示す。このときソース電極とドレイン電極との間は電気的に短絡させてあり、変調電圧の高電圧時には、ゲート電極とソース・ドレイン電極とには電位差が無い状態となり(0V)、その状態を図1(A)に示す。また、変調電圧の低電圧時には、ゲート電極に対してソース・ドレイン電極には−100Vの電位差がある状態となり、その状態を図1(B)に示す。
図1(A)の状態では、チャネル領域を構成するゲート絶縁膜層の微視的断面の膜厚はdである一方、図1(B)の状態では、有機半導体層のゲート絶縁膜層との界面に蓄積された電荷と、ゲート電極のゲート絶縁膜層との界面に蓄積された電荷との間に生じる静電引力により膜厚変化し、その膜厚はd+Δdとなる。
このとき、図1(A)の状態でのゲート絶縁膜層の膜厚dと、図1(B)の状態でのゲート絶縁膜層の膜厚d+Δdへの変化分Δdと、チャネル領域に蓄積された電荷の電荷密度(Q)との関係は、ゲート絶縁膜層の材料の誘電率εと、ゲート絶縁膜層の材料のヤング率ηとを用いて、下記式(2)で表わすことができる。
一方、上記ゲート絶縁膜層の膜厚変化は、チャネル領域にレーザー光を照射したときの透過光の干渉スペクトルのシフトとして捉えることができる。
即ち、図1(A)の状態では、通過光と反射光との光路差2nd(nは屈折率、dは膜厚)となるため、チャネル領域にレーザー光を照射したときの透過光の干渉スペクトルの位相θは、レーザー光の波長λを用いて、下記式(3)で表わすことができる。
また、図1(B)の状態では、ゲート絶縁膜層の膜厚がd+Δdに変化し、透過光の干渉スペクトルの位相θ+Δθは、下記式(4)で表わすことができる。
ここで、下記式(5)のように、レーザー光の透過光強度Tがθの関数で表わされるものとし、上記式(3)、(4)を代入して式(5)の両辺を整理すると、下記式(6)が導出できる。
次いで、上記式(6)の右辺に、上記式(2)を代入し、両辺を−Tで割ると、下記式(7)となる。
上記式(7)の右辺は、Qの分母部分がゲート絶縁膜層の誘電率εとヤング率ηとによって定まる値であり、カッコ部分がレーザー光の波長λと、その波長での透過率によって定まる値であり、これらを合わせて定数kとおくと、下記式(1)となる。
従って、チャネル領域に蓄積された電荷の電荷密度(Q)は、透過光強度から測定できる値(−ΔT/T)の平方根に比例する関係にある。
図2には、レーザー光の透過光の測定のための方法を模式的に示す。
図2に示すように、入射光(IL)としてレーザー光を、サンプル(S)とされた有機薄膜トランジスタのソース・ドレイン電極側から、対物レンズ(L)を用いて集光して照射する。そのゲート電極側への透過光(TL)を、フォトダイオード(PD)で検出する。このときサンプル(S)には、その電極に通じたファンクションジェネレーター(「B1110A」Agilent製)(FG)によって、ゲート電極とソース・ドレイン電極との間の電圧(ゲート電圧)として、−100V⇔0Vの範囲内の矩形波または正弦波により時間振動する変調電圧を任意の周波数で印加する。変調電圧の周波数としては、有機薄膜トランジスタの動作周波数範囲である100Hz〜100kHzであることが好ましい。そして、ゲート電圧0Vの時の透過光強度(T)をフォトダイオード(PD)に接続したエレクトロメーター(EM)によって検出する。また、その透過光強度(T)からゲート電圧−100Vの時の透過光強度を差し引いた値(ΔT)を、フォトダイオード(PD)に接続され、ファンクションジェネレーター(FG)からの参照周波数(ref)に同期するようになっている二相ロックインアンプ(「LI5640」NF製)(LA)にて検出する。
測定は、図3に示すように、レーザー光の照射位置を走査して行うことができる。具体的には、例えばサンプル(S)をXYステージ上に載置し、そのステージを移動することによって、レーザー光の照射位置をチャネル領域のx−y平面方向に沿って走査しながら測定を行うことができる。また、空気中に不安定なサンプルの場合には、クライオスタットの内に配置し、窒素(N)、アルゴン(Ar)など不活性ガス雰囲気下に測定を行うことができる。
用いるレーザー光は、ノイズなどの少ない半導体レーザーを用いることが好ましい。また、予め従来方法で波長に対しどのような干渉スペクトルが得られるか測定を行い、膜厚変化に応じた干渉シフトが得られる波長のものを用いることが好ましい。波長は有機半導体材料の吸収がない波長域、例えば900nm以上の範囲が好ましい。吸収がある波長域の場合、変調電圧を印加することによって吸収変化したシグナルも検出してしまう可能性があり、干渉スペクトルのシフトのみを観測できなくなってしまう。また、あまり長波長だとフォトダイオードで検出するのが難しくなるため、900〜1800nmの範囲がより好ましい。
レーザー光の分解能については、次の方法で決定することができる。即ち、対物レンズを用いて集光したレーザー光を、1〜10μmピッチでパターンが形成されているSiO基板に当て、パターンに応じて反射率が変化する様子を観測して解析したところレーザー光のスポット径を見積もることができる。ただし、スポット径はレーザー光の波長よりも小さい値にはならないため、通常は最大で2μm程度である。そのスポット分解能は2〜5μmであることが好ましい。
以下に例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。
<製造例1> デバイス1(トップコンタクト構造)
図4に示すトップコンタクト構造の有機薄膜トランジスタ(デバイス1)を作製した。具体的には、10mm×10mm×0.7mm厚の石英ガラスからなる透明基板1を抵抗加熱蒸着装置に装着し、その基板上に金(Au)を蒸着して膜厚7nmのゲート電極2を形成した。続いて、パリレンコーターにて膜厚約1μmのパリレン層を形成し、ゲート絶縁膜層3とした。次に、グローブボックス内に設置された抵抗加熱蒸着装置にて、ペンタセン(昇華精製を二回実施して精製したもの)を蒸着して膜厚30nmの有機半導体層4を形成した。この基板を抵抗加熱蒸着装置に装着し、金(Au)を蒸着してチャネル長100μm、チャネル幅500μm、電極幅100μmの構成からなる膜厚25nmのソース電極5とドレイン電極6とを形成した。このデバイス1の電荷移動度を半導体パラメータ測定装置(Agilent社製)で測定したところ、0.1cm/Vsであった。
<製造例2> デバイス2(ボトムコンタクト構造)
図5に示すボトムコンタクト構造の有機薄膜トランジスタ(デバイス2)を作製した。具体的には、10mm×10mm×0.7mm厚の石英ガラスからなる透明基板1を抵抗加熱蒸着装置に装着し、その基板上に金(Au)を蒸着して膜厚7nmのゲート電極2を形成した。続いて、パリレンコーターにて膜厚約1μmのパリレン層を形成し、ゲート絶縁膜層3とした。この基板を抵抗加熱蒸着装置に装着し、金(Au)を蒸着してチャネル長100μm、チャネル幅500μm、電極幅100μmの構成からなる膜厚25nmのソース電極5とドレイン電極6とを形成した。次に、グローブボックス内に設置された抵抗加熱蒸着装置にて、ペンタセン(昇華精製を二回実施して精製したもの)を蒸着して、膜厚30nmの有機半導体層4を形成した。このデバイス1の電荷移動度を半導体パラメータ測定装置(Agilent社製)で測定したところ、0.01cm/Vsであった。
<実施例1> デバイスの評価
デバイス評価のための予備検討として、上記製造例で作製したデバイス1又はデバイス2について、異なる波長にわたる透過光強度の干渉スペクトルを取得した。具体的には、キセノンランプをモノクロメーター(「CT-25GT」Jasco製)で分光して入射光として用い、デバイスのソース・ドレイン電極側からそのチャネル領域に照射して、ゲート電極側への透過光をカセグレン顕微鏡(Nicolet製)にて検出し、透過光強度の干渉スペクトルを取得した。
その結果、800nm以上の波長域においては、ペンタセンからなる有機半導体層による吸収の影響を受けないことが確認できた。そこで、以下の測定に用いる入射光としてはそのレーザー光の波長を、1310nmと決定した。波長1310nmレーザー光は、半導体レーザーを用いて発生させ、デバイスに対する対物レンズ(50X/0.45 焦点距離 13.8mm)を用いて集光して照射した。なお、別途、同じ条件で対物レンズを用いて集光したレーザー光を、1〜10μmピッチでパターンが形成されているSiO基板に当て、パターンに応じて反射率が変化する様子を観測して解析したところレーザー光のスポット径はおよそ4μmであった。
上記製造例で作製したデバイス1又はデバイス2について、上記図2を参照して説明した測定方法により、ゲート電極とソース・ドレイン電極との間の電圧(ゲート電圧)として、−100V⇔0Vの範囲内の矩形波変調電圧を周波数2,000Hzで印加したときの、レーザー光の透過光の測定を行った。
なお、デバイスはクライオスタットの内に配置し、Arガス雰囲気下20℃で測定を行った。また、チャネル長方向にわたるレーザー光のスキャンを、デバイスをXYステージ上に載置しそのステージをy軸方向に移動することによって行った(図3参照)。
チャネル長方向にわたって測定された−ΔT/Tの値の結果を図6,7に示す。また、−ΔT/Tの値と電荷密度(Q)には、下記の関係が成り立つことは上述したとおりである。
図6に示されるように、デバイス1では、測定された−ΔT/Tの値がチャネル領域の幅方向にわたってほぼ一定であり、その値の平方根に正の比例関係をもつ電荷密度(Q)もチャネル内で一様に分布しているものと評価できた。
一方、図7に示されるように、デバイス2では、測定された−ΔT/Tの値がチャネル領域の幅方向にわたってその中央部分ではほぼ一定であったが、電極のごく近傍では値が急激に高くなっていた。従って、その値の平方根に正の比例関係をもつ電荷密度(Q)も、チャネル領域の幅軸方向に沿ってその中央部分では一様に分布しているものの、電極のごく近傍では急激に高くなっているものと評価できた。これは、ボトムコンタクト構造のデバイス2では、電極近傍に電荷トラップが形成されているためと考えられ、電極近傍の欠陥を評価することができた。また、有機薄膜トランジスタの性能を示す電荷移動度もデバイス1が0.1cm/Vsであるのに対してデバイス2が0.01cm/Vsであるという移動度特性ともよく一致していた。
本発明の有機薄膜トランジスタの評価方法は、有機薄膜トランジスタの特性の改善や安定性の向上に欠かせない、デバイス作製プロセスの最適化のための評価方法としても好適である。今後有機エレクトロニクスのデバイス開発において、素子特性とプロセスとを結びつける重要な評価分析方法になることが考えられる。
1:透明基板
2:ゲート電極
3:ゲート絶縁膜層
4:有機半導体層
5:ソース電極
6:ドレイン電極
IL:入射光
S:サンプル
L:対物レンズ
TL:透過光
PD:フォトダイオード
FG:ファンクションジェネレーター
EM:エレクトロメーター
LA:二相ロックインアンプ
ref:参照周波数
ch:チャネル長

Claims (5)

  1. 基板上にゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート絶縁膜層と、有機半導体層とを備え、前記電極を介して印加する電圧によって該電極で画されたチャネル領域の電荷状態が制御を受ける薄膜トランジスタの評価方法であって、前記電極を通じて矩形波または正弦波により時間振動する変調電圧を印加するとともに、前記チャネル領域にレーザー光を照射してその透過光を得、前記変調電圧の高電圧時における透過光強度(T)と、該透過光強度(T)から前記変調電圧の低電圧時における透過光強度を差し引いた値(ΔT)を測定して、それらの値(TとΔT)に基づいて前記チャネル領域の電荷密度分布を求めることを特徴とする有機薄膜トランジスタの評価方法。
  2. 前記値(TとΔT)の測定を、前記レーザー光の照射位置を走査して行う請求項1記載の有機薄膜トランジスタの評価方法。
  3. 前記値(TとΔT)に基づいて、下記式(1)によって電荷密度(Q)を求める請求項1又は2記載の有機薄膜トランジスタの評価方法。
  4. 前記レーザー光として、前記有機半導体層による吸収の影響を受けない波長域のレーザー光を用いる請求項1〜3のいずれか1つに記載の有機薄膜トランジスタの評価方法。
  5. 前記ゲート絶縁膜層として、ヤング率が4GPa以下の材料からなるゲート絶縁膜層を用いた有機薄膜トランジスタに適用する請求項1〜4のいずれか1つに記載の有機薄膜トランジスタの評価方法。
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