JP7466823B2 - プロセス管理の支援装置、支援方法、支援プログラムおよび支援システム - Google Patents
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Description
図1は、プロセス管理システム10を示す概略図である。プロセス管理システム10は、プラント100およびプロセス管理の支援装置200を備えている。図1に示す例では、プラント100は、セメント工場内のセメント焼成工程を行う設備であるが、これに限定されず、セメント原料工程、仕上工程を含め、複数のプロセスデータを見ながら操作する製造工程であれば鉄鋼、化学等でも適用可能である。プロセス管理の支援装置200は、少なくともCPUおよびメモリを有する例えばPCのような装置であり、プラント100からの情報にもとづいてオペレータOPに適した操作を通知する。また、プロセス管理の支援装置200は、オペレータOPからの操作を受け付け、プラント100へその操作を指示する。
プラント100は、原料送入路110、ニューサスペンションプレヒータ120、ロータリーキルン140、窯前バーナ150、クーラ170および仮焼炉への抽気ダクト180を有している。以下、セメントの製造工程に沿って、プラント100の構成を説明する。
図2は、プロセス管理の支援装置200の構成を示すブロック図である。図2に示すように、プロセス管理の支援装置200であって、情報取得部210、記憶部220、クラシファイア230、学習処理部240、操作特定部250、表示部260および操作部270を備えている。図2に示す実線は操作予測のための情報の送受を表し、一点鎖線は学習処理のための情報の送受を表し、破線は自動操作のための情報の送受を表す。
上記のように構成されたプロセス管理の支援装置200の動作を説明する。図3は、プロセス管理の支援処理を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、リアルタイムでプロセスデータを取得し(ステップS1)、すべてのクラシファイア230の条件にマッチしたか否かを同時に照合する(ステップS2)。そして、全クラシファイアからマッチした操作をマッチセットとして一旦集め、その中から最も適合度の高い操作を特定する。その結果、操作端の設定値を特定する(ステップS3)。
(基本的な構成および機能)
次に、ニューラルネットワークを用い、連続値で定義される入力に対応するクラシファイアについて説明する。ニューラルネットワークは、機械学習手法の1つであり、人間の脳内にある神経細胞(ニューロン)による神経回路(ネットワーク)を模したアルゴリズムである。ニューラルネットワークは、複数のニューロンが互いに接続された多層構造となっており、各層のニューロンは、単一あるいは複数の入力情報に対して、活性化関数に基づいて計算された値を出力値として次の層のニューロンに伝達する。これを入力層から出力層まで行う。
上記のようなクラシファイアを用いるときに、処理時間が問題になることがある。連続値で定義される入力を{0、1、#}の3進数に離散化して対応するクラシファイアを用いたシステムは、様々なパターンが生じる連続環境の時系列データを当てはめると、条件部のビット長が増大し、処理時間を要し、クラシファイアの環境へのマッチングが難しくなる。
これに対し、1つのニューラルネットワークを全クラシファイアの条件部共通とすることで、処理速度を大幅に高めることができる。図6は、全行動ルールに対して共通の条件部を有する1つのニューラルネットワークを用いたクラシファイアを示す図である。このようなクラシファイアでは、処理速度向上により日々のルール更新も容易となる。
上記のようなシステムでは、さらにニューラルネットワークとして拡張型マルチコンテキストリカレントニューラルネットワーク(Extended Multi-Context Recurrent Neural Network)を用いることで予測精度が向上する。図9は、拡張型マルチコンテキストリカレントニューラルネットワークを用いたクラシファイアを示す図である。拡張型マルチコンテキストリカレントニューラルネットワークでは、クラシファイアの条件部に、数期前までの中間層からの出力を保持するための複数のフィードバック層と、過去の入力層を保持するための複数のタイムディレイ層を有する。その結果、予測精度が向上する。
実際に、セメント工場において、拡張型マルチコンテキストリカレントニューラルネットワークを用いたクラシファイアシステムで操作の予測値を出力し、熟練者が実際に設定した設定値との比較を行った。まず、入力するプロセスデータとして、オペレータが主に操作する6種の操作端とオペレータが主に監視する9種の計測値(合計15種の計測値)を採用した。図12(a)は、実施例において入力されるプロセスデータを示す図である。図12(b)は、実際に設定した操作端の設定値を示している。図12(b)に示す設定値は、学習時に使用される。なお、予測する操作端自身の計測値を入力するプロセスデータから除いた、14種の入力で予測を行っている。
100 プラント
110 原料送入路
120 ニューサスペンションプレヒータ
121 サイクロン
123 誘引ファン
125 仮焼炉
140 ロータリーキルン
143 窯尻
145 窯前
148 落口
150 窯前バーナ
170 クーラ
180 抽気ダクト
185 抽気ダンパ
200 支援装置
210 情報取得部
220 記憶部
230 クラシファイア
240 学習処理部
250 操作特定部
260 表示部
270 操作部
OP オペレータ
Claims (10)
- プラントにおけるプロセス管理の支援装置であって、
全行動ルールに対して共通の条件部として構成された単一のニューラルネットワークで構成されたクラシファイアと、
対象プラントにおける環境状況を表すプロセスデータと操作端の設定値との対応関係を表す過去のデータセットを教師データとして前記クラシファイアに学習させる学習処理部と、
リアルタイムで前記対象プラントにおけるプロセスデータを取得する情報取得部と、
前記クラシファイアを用いて、前記取得されたプロセスデータに対して、将来において適した操作端の設定値を特定する操作特定部と、を備え、
前記クラシファイアは、連続値として定義される複数の入力値に対し、離散値として定義される出力値を生成する行動ルールであって、入力値に対して前記ニューラルネットワークにより前記行動ルールの適否が判定され、
前記プロセスデータは、時系列のデータであることを特徴とする支援装置。 - 前記プロセスデータは、前記環境状況を表す複数種類のデータの集合であり、それぞれが互いに依存することを特徴とする請求項1記載の支援装置。
- 前記操作端の入力は、将来における複数の前記プロセスデータへ影響を及ぼすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の支援装置。
- 前記操作特定部は、複数の出力値に対し特定の閾値を超えるか否かを判定し、前記複数の出力値のうち前記特定の閾値を超える出力値に応じて前記適した操作端の設定値を特定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の支援装置。
- 前記クラシファイアは、入力値を受け付ける入力層、前記入力層からの情報に基づいて重みづけして反応する中間層および中間層からの出力に重みづけをして出力値を出す出力層を有し、
前記入力層、前記中間層および前記出力層に対する入力から出力までの過程を1周期としたとき、前周期以前の中間層からの出力を保持する複数のフィードバック層を更に有するマルチコンテキストリカレントニューラルネットワークで構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の支援装置。 - 前記クラシファイアは、前周期以前の入力層を保持するための複数のタイムディレイ層をさらに有する拡張型マルチコンテキストリカレントニューラルネットワークで構成されることを特徴とする請求項5記載の支援装置。
- 前記対象プラントは、連続的に供給される原料を加熱する設備を含み、
前記プロセスデータは、前記設備の温度を含み、
前記操作端の設定値は、前記設備内への原料または燃料の送入速度を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の支援装置。 - プラントにおけるプロセス管理の支援方法であって、
全行動ルールに対して共通の条件部として構成された単一のニューラルネットワークで構成され、連続値として定義される複数の入力値に対し、離散値として定義される出力値を生成する行動ルールであって、入力値に対してニューラルネットワークにより前記行動ルールの適否が判定されるクラシファイアの構造を決定するステップと、
対象プラントにおける操業状況を表す時系列のデータである複数種類のプロセスデータと操作端の設定値との対応関係を表す過去のデータセットを教師データとして前記クラシファイアを更新するステップと、
リアルタイムで前記対象プラントにおける複数種類のプロセスデータを取得するステップと、
前記クラシファイアを用いて、前記取得された複数種類のプロセスデータに対して、将来において適した操作端の設定値を特定するステップと、を含むことを特徴とする支援方法。 - プラントにおけるプロセス管理の支援プログラムであって、
全行動ルールに対して共通の条件部として構成された単一のニューラルネットワークで構成され、連続値として定義される複数の入力値に対し、離散値として定義される出力値を生成する行動ルールであって、入力値に対してニューラルネットワークにより前記行動ルールの適否が判定されるクラシファイアの構造を決定する処理と、
対象プラントにおける操業状況を表す時系列のデータである複数種類のプロセスデータと操作端の設定値との対応関係を表す過去のデータセットを教師データとして前記クラシファイアを更新する処理と、
リアルタイムで前記対象プラントにおける複数種類のプロセスデータを取得する処理と、
前記クラシファイアを用いて、前記取得された複数種類のプロセスデータに対して、将来において適した操作端の設定値を特定する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする支援プログラム。 - プラントにおけるプロセス管理の支援システムであって、
プロセス管理の対象となる対象プラントと、
請求項1から請求項7のいずれかに記載の支援装置と、を備えることを特徴とする支援システム。
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