JP7466798B1 - き裂検査装置、き裂監視システムおよびき裂検査方法 - Google Patents

き裂検査装置、き裂監視システムおよびき裂検査方法 Download PDF

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Abstract

き裂検査装置(1)は、検査対象の構造物の特徴を示す構造物データを取得する構造物データ取得部である入力部(2)と、構造物に生じたき裂の形状を示すき裂情報を取得するき裂情報取得部である形状計測部(3)と、き裂に対して荷重が負荷された状態におけるき裂の開口量を示す負荷時き裂情報を取得する負荷時き裂情報取得部である開口量計測部(5)と、構造物データと、き裂情報と、負荷時き裂情報とに基づいて、き裂に負荷される荷重と開口量との関係から、き裂の進展抑制効果を定量的に示す破壊力学パラメータを推定する推定部(6)と、を備えることを特徴とする。

Description

本開示は、構造物に生じるき裂の状態を評価するき裂検査装置、き裂監視システムおよびき裂検査方法に関する。
構造物に発生したき裂内に酸化物などの物体が存在することで、き裂の開閉口変化量が低下し、き裂の進展速度が低下することが知られている。このような現象は、き裂の楔力作用によるき裂閉口現象、または、くさび効果などと呼ばれている。くさび効果を利用して、高硬度の微細粒子と油とが混在したペーストをき裂に塗布し、微細粒子をき裂内に侵入させて、疲労き裂の進展を抑制する技術が開発されている。
特許文献1には、くさび効果によるき裂進展抑制効果を評価する方法の一例が開示されている。特許文献1に開示された評価方法では、補修の前後において、き裂先端の熱弾性温度変動を計測し、熱弾性温度変動の振幅の補修前後の比率を評価値として、き裂の進展抑制効果を評価している。
特開2015-31565号公報
しかしながら、上記従来の技術によれば、き裂の進展を抑制する前後で、熱弾性温度変動を計測することを前提としている。このため、例えば、腐食生成物、フレッティング酸化物などの物体がき裂内に発生した場合など、自然現象によってき裂の進展が抑制されている場合、進展が抑制される前の熱弾性温度変動を計測することができないため、き裂の進展抑制効果を評価することが困難であるという問題があった。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、自然現象によってき裂の進展が抑制されている場合であっても、き裂の進展抑制効果を容易に評価することが可能なき裂検査装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示のき裂検査装置は、検査対象の構造物の材料データを含む構造物データを取得する構造物データ取得部と、構造物に生じたき裂の形状を示すき裂情報を取得するき裂情報取得部と、き裂に対して荷重が負荷された状態におけるき裂の開口量を示す負荷時き裂情報を取得する負荷時き裂情報取得部と、き裂の内部に物体が存在してい状態で取得される負荷時き裂情報が示す荷重と開口量とをプロットすることにより求められる第1直線、および、き裂の内部に物体が存在していない状態で取得される負荷時き裂情報が示す荷重と開口量とをプロットすることにより求められる第2直線の交点を求めることによって、き裂の進展に影響する荷重の最小値であるき裂開口荷重を算出し、構造物データおよびき裂情報に基づいて、き裂に荷重の最大値が生じた場合の応力拡大係数と、き裂にき裂開口荷重が生じた場合の応力拡大係数との差分からき裂の進展抑制効果を定量的に示す有効応力拡大係数範囲を推定する推定部と、を備えることを特徴とする。
本開示によれば、自然現象によってき裂の進展が抑制されている場合であっても、き裂の進展抑制効果を容易に評価することが可能なき裂検査装置を得ることができるという効果を奏する。
実施の形態1にかかるき裂検査装置の機能構成を示す図 図1に示すき裂検査装置の検査処理について説明するためのフローチャート 図1に示す入力部が取得する構造物データを示す図 鉄鋼製の構造物に生じるき裂の進展速度と応力拡大係数範囲との関係を模式的に示す図 図1に示す形状計測部の動作を説明するためのフローチャート き裂の開口量を計測する方法の第1の例を示す図 き裂の開口量を計測する方法の第2の例を示す図 図1に示す荷重負荷部の荷重負荷方法の一例を示す図 図1に示す開口量計測部の動作を説明するためのフローチャート 図1に示す推定部の動作を説明するためのフローチャート き裂の開口量と荷重との関係を模式的に表した図 荷重がき裂開口荷重よりも小さい場合の開口量と荷重との関係について説明するための図 荷重がき裂開口荷重よりも大きい場合の開口量と荷重との関係について説明するための図 実施の形態1の変形例1にかかるき裂検査装置の機能構成を示す図 図14に示すき裂検査装置の動作を説明するためのフローチャート 実施の形態1の変形例2にかかるき裂検査装置の機能構成を示す図 図16に示すき裂検査装置の動作を説明するためのフローチャート 実施の形態2にかかるき裂検査装置の機能構成を示す図 図18に示すき裂検査装置の動作を説明するためのフローチャート 図18に示す補修部が行う進展抑制処理の説明図 実施の形態2の変形例1にかかるき裂検査装置の機能構成を示す図 図21に示すき裂検査装置の動作を説明するためのフローチャート 実施の形態3にかかるき裂検査装置の機能構成を示す図 図23に示すき裂検査装置の動作を説明するためのフローチャート 図23の繰返し荷重負荷部の荷重負荷の繰返し回数とき裂の進展抑制効果との関係を示す図 実施の形態3の変形例1にかかるき裂検査装置の機能構成を示す図 図26に示すき裂検査装置の動作を説明するためのフローチャート 実施の形態3の変形例2にかかるき裂検査装置の機能構成を示す図 図28に示すき裂検査装置の動作を説明するためのフローチャート 図28に示す荷重負荷判定部の動作を説明するためのフローチャート 実施の形態4にかかる疲労き裂の監視システムの構成を示す図 図31に示す記憶部に記憶されるデータの一例を示す図 図31に示す疲労き裂の監視システムの動作を説明するためのシーケンス図 実施の形態4の変形例1にかかる疲労き裂の監視システムの構成を示す図 実施の形態5にかかる疲労き裂の監視システムの構成を示す図 図35に示す疲労き裂の監視システムの動作を説明するためのシーケンス図 実施の形態5の変形例1にかかる疲労き裂の監視システムの構成を示す図 き裂検査装置および疲労き裂の監視システムのそれぞれのハードウェア構成の第1の例を説明するための図 き裂検査装置および疲労き裂の監視システムのそれぞれのハードウェア構成の第2の例を説明するための図
以下に、本開示の実施の形態にかかるき裂検査装置、き裂監視システムおよびき裂検査方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるき裂検査装置1の機能構成を示す図である。き裂検査装置1は、入力部2と、形状計測部3と、荷重負荷部4と、開口量計測部5と、推定部6とを有する。き裂検査装置1は、検査対象の構造物に生じたき裂の状態を検査する機能を有する。
まず、き裂検査装置1の行う検査処理の概要について説明する。図2は、図1に示すき裂検査装置1の検査処理について説明するためのフローチャートである。
き裂検査装置1は、入力部2において、検査対象の構造物の特徴を示す構造物データの入力を受け付ける(ステップS1)。構造物データは、例えば、検査対象の構造物の材料を示す材料データを含む。続いてき裂検査装置1は、形状計測部3を用いて、検査対象の構造物に生じたき裂の形状および開口量を計測する(ステップS2)。
また、き裂検査装置1は、荷重負荷部4を用いて、き裂に対して、予め定められた荷重を負荷する(ステップS3)。き裂検査装置1は、き裂に対して荷重を負荷した状態で、開口量計測部5を用いて、荷重負荷時のき裂の開口量を計測する(ステップS4)。き裂検査装置1は、推定部6において、き裂の状態を示す破壊力学パラメータとして有効応力拡大係数範囲を推定する(ステップS5)。
以下では、き裂検査装置1の各部の構成および動作の詳細について説明する。
図3は、図1に示す入力部2が取得する構造物データを示す図である。入力部2は、検査対象の構造物の特徴を示す入力データを取得する。入力データは、以下に示す(a),(b)のデータを含む。
(a)き裂進展速度に係る物性パラメータ
(b)き裂の破壊力学パラメータ算出に係る材料データ
入力部2は、操作者の操作に応じてコンピュータに信号を入力するマウス、キーボードなどの操作デバイスを備えていてもよいし、予め準備された保存データをコンピュータに入力するための周辺機器を備えていてもよい。入力部2が取得する入力データは、検査対象の構造物の特徴を示すデータであり、構造物データとも呼ばれる。入力部2は、構造物データを取得する構造物データ取得部の一例である。続いて、応力拡大係数範囲とき裂進展速度との関係を説明した後、入力部2が取得する構造物データの詳細について説明する。
図4は、鉄鋼製の構造物に生じるき裂の進展速度と応力拡大係数範囲との関係を模式的に示す図である。鉄鋼製の構造物に発生したき裂の進展速度と応力拡大係数範囲との関係は、図4に示す曲線で表される。図4の横軸は、応力拡大係数範囲「ΔK」の対数であり、図4の縦軸は、き裂の進展速度「da/dN」の対数である。応力拡大係数範囲ΔKが小さくなるほどき裂の進展速度「da/dN」は低下し、応力拡大係数範囲「ΔK」の値が下限界応力拡大係数範囲「ΔKth」以下となるとき裂が進展しなくなることが知られている。ここで、応力拡大係数範囲および下限界応力拡大係数範囲の単位は「MPa√m」であり、き裂の進展速度の単位は「m/cycle」である。
したがって、き裂の進展速度「da/dN」の推定式は、以下の数式(1),(2)で表される。
da/dN=C(ΔK)n ΔK>ΔKth ・・・(1)
da/dN=0 ΔK≦ΔKth ・・・(2)
ここで、Cおよびnは構造物によって決定される材料パラメータである。数式(1)は、ΔK>ΔKthの範囲に適用される。数式(2)はΔK≦ΔKthの範囲に適用され、下限界応力拡大係数範囲ΔKth以下になるとき裂が進展しなくなることを表している。或いは、き裂の進展速度「da/dN」の推定式は、以下の数式(3)で表すこともできる。
da/dN=C((ΔK)n-(ΔKthn) ・・・(3)
図3に示す「き裂進展速度に係る物性パラメータ」は、上記の数式(1),(3)における材料パラメータであるCおよびnと、下限界応力拡大係数範囲ΔKthが該当する。なお、これらの物性パラメータは、例えば、社団法人日本鋼構造協会が開示している「鋼構造物の疲労設計指針」等を活用してもよい。また、図3に示す「き裂の破壊力学パラメータ算出に係る材料データ」は、構造解析に用いる剛性パラメータであり、構造物のヤング率、ポアソン比などが挙げられる。
図5は、図1に示す形状計測部3の動作を説明するためのフローチャートである。形状計測部3は、検査対象の構造物に生じたき裂の形状および開口量を示すき裂情報を取得する。形状計測部3は、き裂情報を取得するき裂情報取得部の一例である。
形状計測部3は、検査対象の構造物に生じたき裂に対して、計測装置を設置する(ステップS11)。次に、形状計測部3は、計測装置によって、き裂の形状を計測する(ステップS12)。形状計測部3は、構造物の状態を悪化させないために、非破壊検査方法を用いてき裂の形状を計測する。非破壊検査方法の一例としては、X線計測方法、超音波探傷法、電流探傷法などが挙げられる。また、形状計測部3は、計測装置によって、き裂の開口量を計測する(ステップS13)。なお、ここではステップS12の後にステップS13が実行されることとしたが、ステップS12の処理とステップS13の処理とは同時並行で行われてもよい。続いて形状計測部3は、計測結果を記憶部に記憶する(ステップS14)。
図6は、き裂の開口量を計測する方法の第1の例を示す図である。第1の例では、き裂30の開口部に対して開口量を計測するセンサ31を直接貼り付けることで、き裂の開口量を計測する。開口量を計測するセンサ31としては、ファイバーを介して伝搬する光から物体の変形量を計測する光ファイバ式のセンサが挙げられる。光ファイバ式のセンサは、光学式ひずみセンサ、光ファイバセンサ、FBG(Fiber Bragg Grading)センサなどとも呼ばれる。光ファイバ式のセンサを用いる場合、高湿、高温などの環境負荷に対して耐性が高く、様々な環境下で利用可能となり、センサを貼り付けたままにすることで、長期間にわたる状態監視が可能になる。
図7は、き裂の開口量を計測する方法の第2の例を示す図である。第2の例では、検査対象の構造物に生じたき裂30を撮影した画像を用いて、き裂の開口量を計測する。図7に示す第2の例では、画像を撮影するための撮像装置32をドローンに搭載することで、人が簡単にアクセスすることができないような場所、例えば高所に発生したき裂に対しても開口量を容易に取得することが可能になる。さらに、1つの撮像装置32で複数のき裂の開口量を一度に計測することが可能になるため、形状計測の作業性を向上することが可能であり、形状計測のための装置コストを低減することが可能になる。なお、図7ではドローンに撮像装置32を搭載した例を示しているが、撮像装置32は、地面に対して設置された計測用の治具に対して固定されていてもよい。
図8は、図1に示す荷重負荷部4の荷重負荷方法の一例を示す図である。ここでは、検査対象の構造物が橋梁41であり、橋梁41に生じたき裂30に対して、き裂30が開口するように予め定められた荷重を負荷する場合を例示している。き裂30には、図6で示したセンサ31を設置した状態である。荷重負荷部4は、重量が既知の検査車両43を橋梁41の上で走行させることで、荷重をき裂30に対して負荷することができる。なお、推定部6での処理のために、荷重負荷部4が負荷する荷重のデータと、開口量計測部5が計測する開口量のデータとは、時系列を同期させる必要がある。
図9は、図1に示す開口量計測部5の動作を説明するためのフローチャートである。開口量計測部5は、形状計測部3が開口量を計測する際と同様の方法で、荷重負荷時の開口量を計測する。具体的には、開口量計測部5は、図6に示すセンサ31を用いて開口量を計測してもよいし、図7に示す撮像装置32を用いて開口量を計測してもよい。
開口量計測部5は、荷重負荷部4がき裂に対して荷重を負荷した状態において、荷重負荷時の開口量を計測する(ステップS21)。その後、開口量計測部5は、計測結果である開口量を、負荷した荷重のデータと時系列を同期させたデータを推定部6へ出力する(ステップS22)。
図10は、図1に示す推定部6の動作を説明するためのフローチャートである。推定部6は、き裂内に物体が存在していない場合の開口量と荷重との関係を取得する(ステップS31)。ここで、「き裂内」とは、き裂が生じることによって発生した空間内を指し、き裂が生じることによって構造物に新たに生じた面と面との間の空間内を指す。続いて、推定部6は、き裂内に物体が存在している場合の開口量と荷重との関係を取得する(ステップS32)。ステップS32で推定部6が取得する開口量と荷重との関係は、開口量計測部5が計測した開口量を負荷した荷重のデータと時系列を同期させたデータとから取得される。さらに、推定部6は、取得した開口量と荷重との関係から、き裂が完全に開口する荷重であるき裂開口荷重Popと、有効応力拡大係数範囲とを算出する(ステップS33)。
図11は、き裂の開口量と荷重との関係を模式的に表した図である。図11の破線で表した直線L1は、き裂内に物体が存在している状態で、き裂が閉口している荷重範囲であるPop~Pminにおける荷重とき裂の開口量との関係を外挿した直線である。Pminは、き裂に対する最小の負荷荷重である。図11の一点鎖線で表した直線L2は、き裂内に物体が存在していない状態で、き裂の開口量と荷重との関係を外挿した直線である。図10のステップS31において、推定部6は、直線L2で表されるような、「き裂内に物体が存在していない場合の開口量と荷重との関係」を取得する。
き裂内に物体が存在する場合、き裂が一定荷重以下では閉じなくなるため、物体がき裂の形状と一致する理想的な形状である場合には、図11の実線で表されるように、ある荷重で屈曲する変化点が現れる。この現象は、き裂閉口現象の1つである、くさび効果の作用によるものである。くさび効果は、ブリッジング効果、楔力作用機構のき裂閉口現象とも呼ばれる。傾きの変化点となる荷重が、き裂閉口現象におけるき裂開口荷重Popであり、き裂が完全に開口する荷重である。き裂開口荷重Pop以下の荷重範囲ではき裂が閉じているためき裂の進展に寄与しない。したがってき裂内に物体が存在する場合、き裂の進展に寄与する荷重範囲は、図11のPmax~Pminから、Pmax~Popへと減少する。Pmaxは、最大の負荷荷重である。このように、き裂の進展に寄与する荷重範囲が減少することで、き裂先端の応力集中範囲が緩和されることからき裂の進展が抑制される。
ここで、予め定められた荷重Pthをき裂に対して負荷した場合の荷重と開口量との関係について説明する。図12は、荷重Pthがき裂開口荷重Popよりも小さい場合の開口量と荷重との関係について説明するための図である。図13は、荷重Pthがき裂開口荷重Popよりも大きい場合の開口量と荷重との関係について説明するための図である。
まず、荷重Pthがき裂開口荷重Popよりも小さい場合、この荷重Pthをき裂に対して負荷しながら得られる開口量と荷重との関係は、図12の実線で表される。この場合、上記の変化点が取得された関係に現れない。このため、推定部6は、取得された関係を外挿することによって直線L1を算出し、直線L1と直線L2との交点を算出することによって、き裂開口荷重Popを算出する。ここで、直線L2は、予め形状計測部3で取得されるき裂の形状データと、入力部2が取得する構造物データに含まれる構造物の材料データとから、構造解析モデルを作成し、数値解析を実行することによって得ることができる。
荷重Pthがき裂開口荷重Popよりも大きい場合、この荷重Pthをき裂に対して負荷しながら得られる開口量と荷重との関係は、図13の実線で表される。この場合、上記の変化点が取得された関係に現れる。このため、推定部6は、取得した関係に現れる変化点の荷重をき裂開口荷重Popとして算出することができる。
続いて、推定部6が応力拡大係数範囲を算出する方法について説明する。応力拡大係数範囲ΔKは、き裂の形状毎に、以下の数式(4)を用いて算出される。
ΔK=Kmax-Kmin ・・・(4)
ここで、Kmaxは、最大の負荷荷重Pmaxが作用している応力拡大係数の最大値であり、以下の数式(5)で表される。
max=Pmax×f(a) ・・・(5)
ここで、f(a)は、き裂の形状によって決定する、き裂の深さの関数であり、形状計測部3において形状計測時に取得される。aは、き裂の長さ(m)である。また、Kminは、最小の負荷荷重Pminが作用している応力拡大係数の最小値であり、以下の数式(6)で表される。
min=Pmin×f(a) ・・・(6)
推定部6は、形状計測部3で得られたき裂の深さの関数f(a)と、き裂に作用している荷重とから、数式(4)~(6)を用いて、応力拡大係数範囲ΔKを算出することができる。また、上記のくさび効果によるき裂閉口現象が生じて、き裂開口荷重Popが存在する場合、推定部6は、き裂進展に寄与する有効応力拡大係数範囲ΔKeffを、以下の数式(7)を用いて算出することができる。
ΔKeff=Kmax-Kop ・・・(7)
ここで、Kopは、き裂開口荷重Popが作用している応力拡大係数であり、以下の数式(8)で表される。
op=Pop×f(a) ・・・(8)
数式(7)を用いて有効応力拡大係数範囲ΔKeffを算出して、算出した有効応力拡大係数範囲ΔKeffを、数式(1),(3)の「ΔK」に代入することで、くさび効果が発生して進展が抑制されたき裂の進展速度「da/dN」を算出することができる。以上説明したように、き裂開口荷重Popを推定することができれば、有効応力拡大係数範囲ΔKeffを算出することができ、さらに、き裂の進展速度「da/dN」を導出することが可能になる。推定部6は、有効応力拡大係数範囲ΔKeff、き裂の進展速度「da/dN」などの推定結果を、表示画面などを用いて出力してもよい。
以上説明したように、き裂検査装置1は、検査対象の構造物の材料の特徴を示す構造物データを取得する構造物データ取得部である入力部2と、構造物に生じたき裂の形状および開口量を示すき裂情報を取得するき裂情報取得部である形状計測部3と、き裂に対して荷重が負荷された状態におけるき裂の開口量を示す負荷時き裂情報を取得する負荷時き裂情報取得部である開口量計測部5と、構造物データと、き裂情報と、負荷時き裂情報とに基づいて、き裂に負荷される荷重と開口量との関係から、き裂の状態を示す破壊力学パラメータである有効応力拡大係数範囲を推定する推定部6と、を有する。このため、実働荷重の最大荷重Pmaxが作用しなくても、開口量と負荷する荷重との関係から、き裂開口荷重Popを算出して有効応力拡大係数範囲ΔKeffを導くことができる。このため、き裂を進展させることなく、き裂の状態を評価する検査を行うことができる。さらに、有効応力拡大係数範囲ΔKeffと、数式(1),(3)とを用いることで、き裂の進展速度「da/dN」を求めることができるため、き裂の状態を定量的に評価することが可能である。
また、上記の方法では、開口量と負荷する荷重との関係から、き裂開口荷重Popを算出して有効応力拡大係数範囲ΔKeffを導くことができるため、自然現象によってき裂内に物体が存在する状態となり進展が抑制されたき裂に対しても、き裂の進展の抑制効果を評価することができる。
(変形例1)
図14は、実施の形態1の変形例1にかかるき裂検査装置1-1の機能構成を示す図である。き裂検査装置1-1は、入力部2と、形状計測部3と、荷重負荷部4と、開口量計測部5と、推定部6と、判定部7とを有する。き裂検査装置1-1は、き裂検査装置1の構成に加えて、判定部7を有する。以下、き裂検査装置1と同様の構成要素については説明を省略し、き裂検査装置1と異なる部分について主に説明する。
判定部7は、破壊力学パラメータである有効応力拡大係数範囲と、構造物データとに基づいて、き裂の進展の有無を判定する。具体的には、判定部7は、推定部6で算出される有効応力拡大係数範囲ΔKeffと、構造物データに含まれる下限界応力拡大係数範囲ΔKthとを比較することで、き裂の進展の有無を判定することができる。
図15は、図14に示すき裂検査装置1-1の動作を説明するためのフローチャートである。き裂検査装置1-1は、入力部2において、検査対象の構造物の特徴を示す構造物データの入力を受け付ける(ステップS1)。構造物データは、例えば、検査対象の構造物の材料を示す材料データを含む。続いてき裂検査装置1-1は、形状計測部3を用いて、検査対象の構造物に生じたき裂の形状および開口量を計測する(ステップS2)。
また、き裂検査装置1-1は、荷重負荷部4を用いて、き裂に対して、予め定められた荷重を負荷する(ステップS3)。き裂検査装置1-1は、き裂に対して荷重を負荷した状態で、開口量計測部5を用いて、荷重負荷時のき裂の開口量を計測する(ステップS4)。き裂検査装置1-1は、推定部6において、き裂の状態を示す破壊力学パラメータとして有効応力拡大係数範囲を推定する(ステップS5)。き裂検査装置1-1は、判定部7において、推定部6が推定した破壊力学パラメータと入力部2が受け付けた構造物データとに基づいて、き裂の進展の有無を判定する(ステップS6)。具体的には、判定部7は、推定部6が推定した有効応力拡大係数範囲ΔKeffと、入力部2が受け付けた構造物データに含まれる下限界応力拡大係数範囲ΔKthとを比較して、有効応力拡大係数範囲ΔKeffが下限界応力拡大係数範囲ΔKth以下である場合、き裂が進展していない、つまり、停滞していると判定し、有効応力拡大係数範囲ΔKeffが下限界応力拡大係数範囲ΔKthよりも大きい場合、き裂が進展していると判定することができる。
判定部7を有することで、き裂検査装置1-1は、き裂検査装置1の効果に加えて、検査対象とするき裂の進展の有無を確認することができる。き裂検査装置1が判定部7の判定結果を表示などの手段で出力すれば、検査対象とするき裂の進展の有無を点検時に確認することができるため、再点検の必要性をその場で判定することができ、作業負荷が低減するという効果がある。
(変形例2)
図16は、実施の形態1の変形例2にかかるき裂検査装置1-2の機能構成を示す図である。き裂検査装置1-2は、入力部2と、形状計測部3と、荷重決定部8と、荷重負荷部4と、開口量計測部5と、推定部6とを有する。き裂検査装置1-2は、き裂検査装置1の構成に加えて、荷重決定部8を有する。以下、き裂検査装置1と同様の構成要素については説明を省略し、き裂検査装置1と異なる部分について主に説明する。
荷重決定部8は、荷重負荷部4がき裂に対して負荷する荷重を、き裂が進展しない値に決定する。検査時にき裂に対して荷重を負荷する際に、き裂が進展すると、構造物の損傷度が増加する上、推定部6におけるき裂の状態の評価精度が低下する可能性がある。このため、検査時に負荷する荷重として、き裂が進展しない荷重を決定する。具体的には、ある荷重が負荷されているときの応力拡大係数範囲は、数式(4)~(8)を用いて算出することができる。このため、荷重決定部8は、応力拡大係数範囲ΔKが下限界応力拡大係数範囲ΔKthとなるような荷重を計算し、荷重負荷部4がき裂に対して負荷する荷重を、計算した荷重以下の値に決定する。なお、「下限界応力拡大係数範囲ΔKth以下」は、き裂が進展しなくなる破壊力学パラメータの範囲を示す進展停滞範囲の一例である。
図17は、図16に示すき裂検査装置1-2の動作を説明するためのフローチャートである。き裂検査装置1-2は、入力部2において、検査対象の構造物の特徴を示す構造物データの入力を受け付ける(ステップS1)。構造物データは、例えば、検査対象の構造物の材料を示す材料データを含む。続いてき裂検査装置1-2は、形状計測部3を用いて、検査対象の構造物に生じたき裂の形状および開口量を計測する(ステップS2)。
ここで、き裂検査装置1-2は、荷重決定部8において、下限界応力拡大係数範囲ΔKthに基づいて、き裂が進展しないように、き裂に対して負荷する荷重を決定する(ステップS7)。荷重決定部8は、決定した荷重を、荷重負荷部4に通知する。続いて、き裂検査装置1-2は、荷重負荷部4を用いて、き裂に対して、荷重決定部8が決定した荷重を負荷する(ステップS3)。き裂検査装置1-2は、き裂に対して荷重を負荷した状態で、開口量計測部5を用いて、荷重負荷時のき裂の開口量を計測する(ステップS4)。き裂検査装置1は、推定部6において、き裂の状態を示す破壊力学パラメータとして有効応力拡大係数範囲を推定する(ステップS5)。
荷重決定部8を有することで、き裂検査装置1-2は、き裂検査装置1の効果に加えて、検査対象とするき裂を進展させない範囲で荷重を負荷することが可能になる。このため、検査のためにき裂の状態が悪化することを防ぐことが可能になり、き裂の進展抑制効果の評価精度を向上させることができる。
なお、上記では、変形例1として、判定部7を有するき裂検査装置1-1について説明し、変形例2として、荷重決定部8を有するき裂検査装置1-2について説明したが、き裂検査装置1は、判定部7および荷重決定部8の両方を備えてもよい。
実施の形態2.
図18は、実施の形態2にかかるき裂検査装置1-3の機能構成を示す図である。き裂検査装置1-3は、入力部2と、形状計測部3と、補修部9と、荷重負荷部4と、開口量計測部5と、推定部6と、判定部7とを有する。き裂検査装置1-3は、き裂検査装置1の構成に加えて、判定部7と、補修部9とを有する。以下、実施の形態1のき裂検査装置1と同様の構成要素については詳細な説明を省略し、き裂検査装置1と異なる部分について主に説明する。
判定部7は、実施の形態1の変形例1にかかるき裂検査装置1-1の判定部7と同様である。補修部9は、検査対象の構造物に生じたき裂の進展を抑制する進展抑制処理を行う。
図19は、図18に示すき裂検査装置1-3の動作を説明するためのフローチャートである。き裂検査装置1-3は、入力部2において、検査対象の構造物の特徴を示す構造物データの入力を受け付ける(ステップS1)。構造物データは、例えば、検査対象の構造物の材料を示す材料データを含む。続いてき裂検査装置1-3は、形状計測部3を用いて、検査対象の構造物に生じたき裂の形状および開口量を計測する(ステップS2)。
き裂検査装置1-3は、補修部9を用いて、き裂の進展抑制処理を行う(ステップS8)。続いて、き裂検査装置1-3は、荷重負荷部4を用いて、進展抑制処理後のき裂に対して、予め定められた荷重を負荷する(ステップS3)。き裂検査装置1-3は、き裂に対して荷重を負荷した状態で、開口量計測部5を用いて、荷重負荷時のき裂の開口量を計測する(ステップS4)。き裂検査装置1-3は、推定部6において、き裂の状態を示す破壊力学パラメータとして有効応力拡大係数範囲を推定する(ステップS5)。
き裂検査装置1-3は、判定部7において、推定部6が推定した破壊力学パラメータと入力部2が受け付けた構造物データとに基づいて、き裂の進展の有無を判定する(ステップS6)。
ここで、補修部9が行う進展抑制処理について説明する。図20は、図18に示す補修部9が行う進展抑制処理の説明図である。補修部9は、検査対象の構造物のき裂30が生じた面に、ペースト状の補修材81を塗布する。ペースト状の補修材81は、微細粒子と流体とを含む。補修材81に含まれる微細粒子は、例えば、アルミナ、鉄、シリカ、ジルコニア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンドなどの高硬度の物質が望ましい。補修材81に含まれる流体は、例えば、低揮発性の油、難燃性の油などの流動性を有する液体が望ましい。き裂30内に高硬度の粒子が介在することによって、き裂30の開閉口が妨げられて、き裂30の進展が抑制される。さらに、き裂が進展した場合でも、微粒子と混在している流体によって微粒子がき裂30の先端まで輸送され、くさび効果によるき裂閉口現象が維持される。なお、補修材81が自重の影響でき裂内から流れ出すことを防ぐために、マスキングテープなどを用いて補修材81を封止することは効果的である。
また、図20では、ペースト状の補修材81の例を説明したが、補修部9は、き裂30の開閉口を妨げるくさび効果を発現させる補修方法であれば、どのような補修方法を用いてもよい。例えば、補修部9は、ペースト状の補修材81を塗布する代わりに、き裂30内に樹脂を注入してもよい。樹脂を用いた補修方法も、くさび効果によるき裂閉口現象によってき裂30の進展に寄与する荷重範囲を低減させて、き裂30の進展を抑制することが可能である。
以上説明したように、実施の形態2にかかるき裂検査装置1-3によれば、検査対象のき裂に対して、進展抑制処理を行った後に、き裂に対して荷重を負荷した状態で計測された開口量と荷重との関係に基づいて、破壊力学パラメータが推定される。このため、実施の形態1にかかるき裂検査装置1の効果に加えて、進展抑制処理の抑制効果をその場で確認することができるという効果を奏する。また、き裂検査装置1-3は、進展抑制処理を行う補修部9と、進展抑制処理後のき裂に対して荷重を負荷した状態で計測された開口量と荷重との関係に基づいて破壊力学パラメータを推定する推定部6と、推定部6の推定結果に基づいてき裂の進展の有無を判定する判定部7とを有する。このため、進展抑制処理を行った上で、き裂の進展の有無を確認することができるため、追加の補修の必要性の有無を確認することができ、補修の作業負荷を低減することができる。
(変形例1)
図21は、実施の形態2の変形例1にかかるき裂検査装置1-4の機能構成を示す図である。き裂検査装置1-4は、入力部2と、形状計測部3と、進展抑制前荷重負荷部10と、進展抑制前開口量計測部11と、補修部9と、荷重負荷部4と、開口量計測部5と、推定部6と、判定部7とを有する。き裂検査装置1-4は、実施の形態2にかかるき裂検査装置1-3の構成に加えて、進展抑制前荷重負荷部10と、進展抑制前開口量計測部11とを有する。以下、き裂検査装置1-3と異なる部分について主に説明する。進展抑制前荷重負荷部10は、荷重負荷部4と同様の方法で、き裂に対して荷重を負荷する。進展抑制前開口量計測部11は、開口量計測部5と同様の方法で、き裂の開口量を計測する。進展抑制前開口量計測部11は、進展抑制処理が行われる前のき裂に対して荷重が負荷された状態におけるき裂の開口量を示す進展抑制前負荷時き裂情報を取得する進展抑制前負荷時き裂情報取得部の一例である。
図22は、図21に示すき裂検査装置1-4の動作を説明するためのフローチャートである。き裂検査装置1-4は、入力部2において、検査対象の構造物の特徴を示す構造物データの入力を受け付ける(ステップS1)。構造物データは、例えば、検査対象の構造物の材料を示す材料データを含む。続いてき裂検査装置1-4は、形状計測部3を用いて、検査対象の構造物に生じたき裂の形状および開口量を計測する(ステップS2)。
ここでき裂検査装置1-4は、進展抑制前荷重負荷部10を用いて、き裂に対して予め定められた荷重を負荷する(ステップS91)。また、き裂検査装置1-4は、き裂に対して荷重を負荷した状態で、進展抑制前開口量計測部11を用いて、荷重負荷時のき裂の開口量を計測する(ステップS92)。ステップS91およびステップS92の処理は、進展抑制前の計測処理とも呼ばれ、補修部9が進展抑制処理を行う前に実行される。
進展抑制前の計測処理の後、き裂検査装置1-4は、補修部9を用いて、き裂の進展抑制処理を行う(ステップS8)。続いて、き裂検査装置1-4は、荷重負荷部4を用いて、進展抑制処理後のき裂に対して、予め定められた荷重を負荷する(ステップS3)。き裂検査装置1-4は、き裂に対して荷重を負荷した状態で、開口量計測部5を用いて、荷重負荷時のき裂の開口量を計測する(ステップS4)。き裂検査装置1-4は、推定部6において、き裂の状態を示す破壊力学パラメータとして有効応力拡大係数範囲を推定する(ステップS5)。
き裂検査装置1-4は、判定部7において、推定部6が推定した破壊力学パラメータと入力部2が受け付けた構造物データとに基づいて、き裂の進展の有無を判定する(ステップS6)。
き裂検査装置1-4は、進展抑制前荷重負荷部10および進展抑制前開口量計測部11を有することで、進展抑制処理を行う前に、き裂の開口量とき裂に負荷される荷重との関係を実測することができる。この関係は、進展抑制処理を行う前に、き裂内に物体が存在しない場合には、図11~図13に示す直線L2が示す関係となる。したがって、き裂検査装置1-4では、推定部6は、図22のステップS5において、ステップS92で計測された開口量を負荷した荷重と時系列を同期させたデータを用いて、き裂開口荷重Popを算出することが可能になる。
以上説明したように、実施の形態2の変形例1にかかるき裂検査装置1-4は、補修部9がき裂の進展抑制処理を行う前に、き裂に対して荷重を負荷した状態で開口量を計測する。このため、き裂内に物体が存在しないときのき裂の開口量とき裂に負荷した荷重との関係を実測することができる。このため、実施の形態1にかかるき裂検査装置1,1-1,1-2と、実施の形態2にかかるき裂検査装置1-3とにおいては、所定の荷重Pthがき裂開口荷重Popよりも小さい場合には、直線L2が示す開口量と荷重との関係を、解析モデルを作成して構造解析結果から算出する必要があったが、き裂検査装置1-4ではこのような解析モデル作成および構造解析の作業負荷を低減することができる。さらに、直線L1,L2を実測することができるため、き裂開口荷重Popの推定精度を向上させることが可能であり、き裂の進展の抑制効果の評価精度を向上させることが可能である。
実施の形態3.
図23は、実施の形態3にかかるき裂検査装置1-5の機能構成を示す図である。き裂検査装置1-5は、入力部2と、形状計測部3と、補修部9と、繰返し荷重負荷部4-1と、開口量計測部5と、推定部6と、判定部7とを有する。き裂検査装置1-5は、実施の形態2にかかるき裂検査装置1-3の荷重負荷部4の代わりに繰返し荷重負荷部4-1を有する。以下、実施の形態2にかかるき裂検査装置1-3と異なる部分について主に説明する。繰返し荷重負荷部4-1は、き裂に対して、予め定められた荷重を繰返し負荷する。荷重を繰返し負荷するとは、き裂に対して、荷重が負荷された状態と、負荷された荷重が取り除かれた状態とが交互に繰り返されるようにすることを指し、例えば、検査対象の構造物が橋梁である場合、橋梁上で検査車両を繰返し走行させることによって、実現することができる。繰返し荷重負荷部4-1は、補修部9がき裂の進展抑制処理を行った後、き裂に対して荷重を繰返し負荷する。
図24は、図23に示すき裂検査装置1-5の動作を説明するためのフローチャートである。き裂検査装置1-5は、入力部2において、検査対象の構造物の特徴を示す構造物データの入力を受け付ける(ステップS1)。構造物データは、例えば、検査対象の構造物の材料を示す材料データを含む。続いてき裂検査装置1-5は、形状計測部3を用いて、検査対象の構造物に生じたき裂の形状および開口量を計測する(ステップS2)。
き裂検査装置1-5は、補修部9を用いて、き裂の進展抑制処理を行う(ステップS8)。続いて、き裂検査装置1-5は、繰返し荷重負荷部4-1を用いて、進展抑制処理後のき裂に対して、予め定められた荷重を繰返し負荷する(ステップS101)。き裂検査装置1-5は、き裂に対して荷重を負荷した状態で、開口量計測部5を用いて、荷重負荷時のき裂の開口量を計測する(ステップS4)。き裂検査装置1-5は、推定部6において、き裂の状態を示す破壊力学パラメータとして有効応力拡大係数範囲を推定する(ステップS5)。
き裂検査装置1-5は、判定部7において、推定部6が推定した破壊力学パラメータと入力部2が受け付けた構造物データとに基づいて、き裂の進展の有無を判定する(ステップS6)。
図24は、図19のステップS3の代わりに、き裂に対して荷重を繰返し負荷するステップS101を有する以外は、図19と同様である。
微粒子と流体とが混在した補修材81を塗布する進展抑制処理を行った後に、繰返し荷重負荷部4-1がき裂に対して繰返し荷重を負荷した場合、き裂が繰返し開閉口することによって、微粒子がき裂の先端まで輸送され、き裂の進展抑制効果が向上する。ここで、荷重負荷の繰返し回数とき裂の進展抑制効果との関係について考える。
図25は、図23の繰返し荷重負荷部4-1の荷重負荷の繰返し回数とき裂の進展抑制効果との関係を示す図である。図25の横軸は開口量であり、縦軸は荷重である。開口量と荷重との関係が変化する変化点はき裂開口荷重Popに相当する。図25では、繰返し回数がK回、M回、N回のそれぞれの場合について、開口量と荷重との関係を示している。K<M<Nの関係が成り立つ。繰返し回数が増えるにつれて、き裂開口荷重Popが増大していることが分かる。き裂開口荷重Popが増大するにつれて、有効応力拡大係数範囲ΔKeffが減少して、き裂進展速度「da/dN」が低下する。このため、荷重負荷の繰返し回数が増えるにつれて、き裂の進展抑制効果が向上していることが分かる。なお、一度き裂の先端まで微粒子が輸送されると、開口量と荷重との関係は平衡状態となるため、き裂開口荷重は一定値に収束する。つまり、繰返し回数がある程度の回数以上となると、それ以上、き裂の進展抑制効果は向上しなくなる。
(変形例1)
図26は、実施の形態3の変形例1にかかるき裂検査装置1-6の機能構成を示す図である。き裂検査装置1-6は、入力部2と、形状計測部3と、補修部9と、荷重決定部8と、繰返し荷重負荷部4-1と、開口量計測部5と、推定部6と、判定部7とを有する。ここで、荷重決定部8の機能は、実施の形態1の変形例2にかかるき裂検査装置1-2の有する荷重決定部8と同様である。
図27は、図26に示すき裂検査装置1-6の動作を説明するためのフローチャートである。き裂検査装置1-6は、入力部2において、検査対象の構造物の特徴を示す構造物データの入力を受け付ける(ステップS1)。構造物データは、例えば、検査対象の構造物の材料を示す材料データを含む。続いてき裂検査装置1-6は、形状計測部3を用いて、検査対象の構造物に生じたき裂の形状および開口量を計測する(ステップS2)。
き裂検査装置1-6は、補修部9を用いて、き裂の進展抑制処理を行う(ステップS8)。ここでき裂検査装置1-6は、荷重決定部8において、下限界応力拡大係数範囲ΔKthに基づいて、き裂が進展しないように、き裂に対して負荷する荷重を決定する(ステップS7)。荷重決定部8は、決定した荷重を、繰返し荷重負荷部4-1に通知する。続いて、き裂検査装置1-6は、繰返し荷重負荷部4-1を用いて、き裂に対して、荷重決定部8が決定した荷重を繰返し負荷する(ステップS101)。き裂検査装置1-6は、き裂に対して荷重を負荷した状態で、開口量計測部5を用いて、荷重負荷時のき裂の開口量を計測する(ステップS4)。き裂検査装置1-6は、推定部6において、き裂の状態を示す破壊力学パラメータとして有効応力拡大係数範囲を推定する(ステップS5)。
き裂検査装置1-6は、判定部7において、推定部6が推定した破壊力学パラメータと入力部2が受け付けた構造物データとに基づいて、き裂の進展の有無を判定する(ステップS6)。
なお、図27のステップS7は、図17のステップS7と同じである。このように検査時にき裂に負荷する荷重をき裂が進展しない値とすることで、繰返し荷重負荷部4-1が荷重を繰返し負荷する場合であっても、検査中のき裂の進展を抑制することができるため、補修による進展の抑制効果をより確実に得ることができる。さらに繰返しの荷重負荷によって、き裂の進展の抑制効果を向上させることができる。
(変形例2)
図28は、実施の形態3の変形例2にかかるき裂検査装置1-7の機能構成を示す図である。き裂検査装置1-7は、入力部2と、形状計測部3と、補修部9と、繰返し荷重負荷部4-1と、繰返し開口量計測部5-1と、荷重負荷判定部151と、推定部6と、判定部7とを有する。き裂検査装置1-7は、図23に示すき裂検査装置1-5の開口量計測部5の代わりに繰返し開口量計測部5-1を有し、さらに、荷重負荷判定部151を有する。以下、き裂検査装置1-5と異なる点について主に説明し、き裂検査装置1-5と同様の部分については説明を省略する。
繰返し開口量計測部5-1は、開口量計測部5と同様の方法で、き裂の開口量を計測する。このとき、繰返し開口量計測部5-1は、繰返し荷重負荷部4-1が荷重を負荷する毎に、開口量を計測する。繰返し開口量計測部5-1は、計測した開口量を、負荷された荷重のデータと時系列を同期させたデータを荷重負荷判定部151に出力することができる。荷重負荷判定部151は、繰返し開口量計測部5-1が計測結果を出力する毎に、計測された開口量と荷重との関係から、荷重負荷の繰返しを継続するか否かを判定する。繰返し開口量計測部5-1は、判定結果を繰返し荷重負荷部4-1および繰返し開口量計測部5-1に出力することができる。繰返し荷重負荷部4-1は、荷重負荷判定部151の判定結果に従って動作し、判定結果が「繰返しを継続する」ことを示す場合、荷重負荷の繰返しを継続し、判定結果が「繰返しを継続しない」ことを示す場合、荷重負荷の繰返しを終了する。同様に、繰返し開口量計測部5-1は、荷重負荷判定部151の判定結果に従って動作し、判定結果が「繰返しを継続する」ことを示す場合、開口量の計測を繰返し、判定結果が「繰返しを継続しない」ことを示す場合、開口量の計測を終了する。
図29は、図28に示すき裂検査装置1-7の動作を説明するためのフローチャートである。き裂検査装置1-7は、入力部2において、検査対象の構造物の特徴を示す構造物データの入力を受け付ける(ステップS1)。構造物データは、例えば、検査対象の構造物の材料を示す材料データを含む。続いてき裂検査装置1-7は、形状計測部3を用いて、検査対象の構造物に生じたき裂の形状および開口量を計測する(ステップS2)。
き裂検査装置1-7は、補修部9を用いて、き裂の進展抑制処理を行う(ステップS8)。続いて、き裂検査装置1-7は、繰返し荷重負荷部4-1を用いて、進展抑制処理後のき裂に対して、予め定められた荷重を負荷する(ステップS3)。き裂検査装置1-7は、き裂に対して荷重を負荷した状態で、繰返し開口量計測部5-1を用いて、荷重負荷時のき裂の開口量を計測する(ステップS4)。ここで、荷重負荷判定部151は、荷重負荷の繰返しを継続するか否かを判定する(ステップS151)。繰返しを継続すると判定された場合(ステップS151:Yes)、き裂検査装置1-7は、ステップS3およびステップS4の処理をもう一度繰り返す。繰返しを継続しないと判定された場合(ステップS151:No)、き裂検査装置1-7は、荷重負荷の繰返しを終了し、推定部6において、繰返し開口量計測部5-1における最新の計測結果に基づいて、き裂の状態を示す破壊力学パラメータとして有効応力拡大係数範囲を推定する(ステップS5)。
き裂検査装置1-5は、判定部7において、推定部6が推定した破壊力学パラメータと入力部2が受け付けた構造物データとに基づいて、き裂の進展の有無を判定する(ステップS6)。
図30は、図28に示す荷重負荷判定部151の動作を説明するためのフローチャートである。荷重負荷判定部151は、まず、繰返し回数nに1を代入する(ステップS41)。続いて、荷重負荷判定部151は、nが1よりも大きいか否かを判定する(ステップS42)。nが1よりも大きくない場合(ステップS42:No)、荷重負荷判定部151は、nをインクリメントして(ステップS43)、ステップS42の処理を繰返す。
nが1よりも大きい場合(ステップS42:Yes)、荷重負荷判定部151は、n回目とn-1回目との計測結果の間で、荷重と開口量との関係の差異Cを算出する(ステップS44)。荷重負荷判定部151は、算出した差異Cが予め定められた閾値以下であるか否かを判定する(ステップS45)。差異Cが閾値以下でない場合(ステップS45:No)、荷重負荷判定部151は、nをインクリメントして(ステップS46)、ステップS44の処理に戻る。
差異Cが閾値以下である場合(ステップS45:Yes)、荷重負荷判定部151は、打ち切り判定、つまり、荷重負荷の繰返しを継続しないことを示す判定結果を出力する(ステップS47)。
なお、ここでは、荷重負荷判定部151は、「打ち切り判定」を出力し、荷重負荷の繰返しを継続する場合には判定結果を出力しないため、繰返し荷重負荷部4-1は、「打ち切り判定」が入力されるまでは荷重負荷の繰返しを継続し、繰返し開口量計測部5-1は、荷重が負荷される毎にき裂の開口量を計測するものとする。なお、図30に示した動作は一例であり、荷重負荷判定部151は、ペースト状の補修材81がき裂の先端付近の領域まで輸送され、これ以上は、き裂開口荷重Popが変化しない状態となったことを判定できれば、その方法は問わない。
以上説明したように、き裂検査装置1-7によれば、荷重負荷判定部151が、荷重負荷の繰返しを継続するか否かを判定することによって、き裂の進展抑制効果を向上させることができると共に、荷重負荷の繰返し回数を必要最低限とすることができため、進展抑制効果を向上させつつ作業時間を短縮することが可能になる。
実施の形態4.
図31は、実施の形態4にかかる疲労き裂の監視システム201の構成を示す図である。疲労き裂の監視システム201は、監視対象の構造物が存在する現地で使用される現地計測装置212と、データセンタ211に設置された演算処理装置213および表示装置214とを有する。
現地計測装置212は、入力部2と、計測部300とを有する。入力部2は、図1などで示した入力部2と同じである。現地計測装置212は、入力部2において、監視対象の構造物の材料データを取得する。現地計測装置212は、計測部300において、き裂の形状と、き裂の開口量と、き裂に発生した負荷荷重とを取得する。計測部300がき裂の形状および開口量を計測する方法は、実施の形態1などで説明した方法と同様とする。現地計測装置212が取得したデータは、データセンタ211の演算処理装置213に送信される。
演算処理装置213は、記憶部301と、推定部6と、優先順位決定部302とを有する。記憶部301は、現地計測装置212から受信したデータなどを記憶する。図32は、図31に示す記憶部301に記憶されるデータの一例を示す図である。記憶部301は、現地計測装置212が入力部2で受け付けた「構造物の材料データ」と、現地計測装置212が計測部300で計測した「き裂の形状」と、現地計測装置212が計測部300で計測した「き裂の開口量」と、現地計測装置212が計測部300で計測した「き裂に発生した負荷荷重」とを記憶することができる。
推定部6は、図1に示す推定部6と同様の方法で、開口量と荷重との関係から、有効応力拡大係数範囲を破壊力学パラメータとして算出する。さらに、推定部6は、得られた有効応力拡大係数範囲を用いて、上記の数式(1)~(3)の少なくともいずれかを使用して、き裂の進展速度を算出する。推定部6は、進展速度を少なくとも含む推定結果を表示装置214と、優先順位決定部302とに出力することができる。
優先順位決定部302は、き裂の補修時の優先順位を決定する。優先順位決定部302は、補修時の補修箇所毎に、優先順位を、き裂の進展速度に基づいて、決定することができる。優先順位決定部302は、例えば、進展速度が大きいものから順に補修時の優先順位を高くすることができる。
優先順位決定部302で得られた優先順位は、表示装置214で出力される。表示装置214は、出力装置の一例である。ここでは、表示装置214を用いて情報を出力することとしたが、出力装置は、プリンタなどであってもよい。図31に示すように、表示装置214がデータセンタ211に設置されている場合には、監視対象の構造物が存在する現地とは離れたデータセンタ211において、補修の優先順位などを確認し、き裂の状態を監視すると共に、補修が必要になったき裂がある場合には、出力された優先順位に基づいて、現地の作業者に対して、き裂の補修を指示することができる。
図33は、図31に示す疲労き裂の監視システム201の動作を説明するためのシーケンス図である。まず、現地計測装置212は、計測処理を行う(ステップS300)。この計測処理は、入力部2によって、構造物の材料データなどの入力情報を受け付ける処理と、計測部300によって、き裂の形状と、き裂の開口量と、き裂に発生した負荷荷重とを計測して計測結果を得る処理とを含む。現地計測装置212は、計測結果および入力情報をデータセンタ211の演算処理装置213に送信する(ステップS301)。
演算処理装置213は、受信した情報を記憶部301に記憶する(ステップS302)。演算処理装置213は、推定部6において、記憶部301に記憶された情報を用いて、き裂の進展速度を推定する(ステップS303)。続いて演算処理装置213は、優先順位決定部302において、き裂の進展速度に基づいて、補修箇所毎の優先順位を決定する(ステップS304)。演算処理装置213は、き裂の進展速度および優先順位を表示装置214に送信する(ステップS305)。
表示装置214は、き裂の進展速度および補修時の優先順位を表示する(ステップS306)。
以上説明したように、疲労き裂の監視システム201では、実施の形態1~3と同様の方法によって推定される有効応力拡大係数範囲から、き裂の進展速度が算出され、進展速度に基づいて、き裂の補修時の優先順位が決定される。これにより、き裂の進展速度が高く、補修の緊急性の高いき裂から効率よく補修作業を行うことができるようになる。
(変形例1)
図34は、実施の形態4の変形例1にかかる疲労き裂の監視システム201-1の構成を示す図である。疲労き裂の監視システム201-1は、疲労き裂の監視システム201と同様に、現地計測装置212と、演算処理装置213と、表示装置214とを有する。疲労き裂の監視システム201では、表示装置214がデータセンタ211に設置されていたのに対して、疲労き裂の監視システム201-1では、表示装置214は、現地計測装置212の近傍であって、監視対象の構造物が存在する現地に位置している点が異なる。
このように、表示装置214を現地に設けることによって、現地作業員に対して直接、演算処理装置213による処理結果を出力することができるため、点検時に、現地作業員が処理結果を確認して、即座に補修の必要性が高いき裂に対して補修を行うことが可能になる。
実施の形態5.
図35は、実施の形態5にかかる疲労き裂の監視システム201-2の構成を示す図である。疲労き裂の監視システム201-2は、現地計測装置212-1と、演算処理装置213-1と、表示装置214とを有する。現地計測装置212-1は、監視対象の構造物が存在する現地に位置しており、演算処理装置213-1および表示装置214は、データセンタ211に位置している。
現地計測装置212-1は、現地計測装置212の機能に加えて、計測部300-1がき裂の発生している位置情報を取得する機能を有する。計測部300-1は、例えば、予め、監視対象の構造物を複数の区分に分けておき、き裂が発生した位置情報を、区分で示すことができる。現地計測装置212-1がデータセンタ211の演算処理装置213-1に送信する情報は、計測結果がき裂の発生した位置情報を含む点以外は現地計測装置212が演算処理装置213に送信する情報と同一である。
演算処理装置213-1は、記憶部301と、推定部6と、優先度判定部303と、優先順位決定部302-1とを有する。優先度判定部303は、き裂の発生した位置情報と、予め記憶部301に記憶された判定区分情報とに基づいて、き裂の優先度を判定する。ここで、判定区分情報とは、監視対象の構造物を複数の区分に分けておき、区分ごとに、予め定められた優先度を示す情報である。判定区分情報は、例えば、複数の区分のうちの一部について、優先度を上げることを示す情報であってもよいし、全ての区分が複数の優先度のいずれかに分類された情報であってもよい。優先度判定部303は、き裂毎に、当該き裂の位置情報に基づいて、優先度を判定する。優先度判定部303は、判定結果を優先順位決定部302-1に出力することができる。
優先順位決定部302-1は、推定部6が推定したき裂の進展速度と、優先度判定部303の判定結果とに基づいて、補修時のき裂の優先順位を、補修箇所毎に決定する。
図36は、図35に示す疲労き裂の監視システム201-2の動作を説明するためのシーケンス図である。現地計測装置212-1は、計測処理を行う(ステップS400)。ここでステップS400の計測処理は、図33のステップS300の計測処理の内容に加えて、き裂の位置情報を計測する処理を含む。現地計測装置212-1は、き裂の発生した位置情報を含む計測結果および入力情報を演算処理装置213-1に送信する(ステップS401)。
演算処理装置213-1は、受信した情報を記憶部301に記憶する(ステップS402)。演算処理装置213-1は、推定部6において、記憶部301に記憶された情報を用いて、き裂の進展速度を推定する(ステップS403)。ステップS403の処理は、図33のステップS303の処理と同様である。続いて演算処理装置213-1は、優先度判定部303において、き裂の位置情報からき裂の補修の優先度を判定する(ステップS404)。具体的には、優先度判定部303は、監視対象の構造物中の区分ごとに予め定められた優先度に基づいて、き裂の位置情報が属する区分に対して予め定められた優先度を、そのき裂の補修の優先度とすることができる。さらに、演算処理装置213-1は、優先順位決定部302-1において、き裂の進展速度および優先度に基づいて、補修箇所毎の優先順位を決定する(ステップS405)。演算処理装置213-1は、き裂の進展速度および優先順位を表示装置214に送信する(ステップS406)。
表示装置214は、き裂の進展速度および補修時の優先順位を表示する(ステップS407)。
(変形例1)
図37は、実施の形態5の変形例1にかかる疲労き裂の監視システム201-3の構成を示す図である。疲労き裂の監視システム201-3は、現地計測装置212-1と、演算処理装置213-1と、表示装置214とを有する。疲労き裂の監視システム201-2では、表示装置214がデータセンタ211に設置されていたのに対して、疲労き裂の監視システム201-3では、表示装置214は、現地計測装置212-1の近傍であって、監視対象の構造物が存在する現地に位置している点が異なる。
ここで、実施の形態1~5で説明したき裂検査装置1,1-1~1-7および疲労き裂の監視システム201,201-1~201-3のそれぞれの機能を実現するためのハードウェア構成の一例について説明する。
図38は、き裂検査装置1,1-1~1-7および疲労き裂の監視システム201,201-1~201-3のそれぞれのハードウェア構成の第1の例を説明するための図である。き裂検査装置1,1-1~1-7および疲労き裂の監視システム201,201-1~201-3のそれぞれの機能は、図38に示すような処理回路601を用いて実現することができる。処理回路601は、バス602に接続されている。処理回路601は、専用のハードウェアの一例であり、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はこれらを組み合わせたものが該当する。き裂検査装置1,1-1~1-7および疲労き裂の監視システム201,201-1~201-3のそれぞれの機能は、図示した機能ブロック毎に、それぞれ異なる処理回路601で実現されてもよいし、複数の機能ブロックで示した機能がまとめて1つの処理回路601で実現されてもよい。
図39は、き裂検査装置1,1-1~1-7および疲労き裂の監視システム201,201-1~201-3のそれぞれのハードウェア構成の第2の例を説明するための図である。き裂検査装置1,1-1~1-7および疲労き裂の監視システム201,201-1~201-3のそれぞれの機能は、図39に示すようなプロセッサ603および記憶装置604を用いて実現することもできる。プロセッサ603および記憶装置604は、バス602を介して接続されている。プロセッサ603は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPともいう)であり、記憶装置604に記憶されたプログラムを読みだして実行することができる。この場合、き裂検査装置1,1-1~1-7および疲労き裂の監視システム201,201-1~201-3のそれぞれの機能は、ソフトウェアまたはフォームウェアのようなプログラムとして記述され、記憶装置604に記憶される。すなわち、き裂検査装置1,1-1~1-7および疲労き裂の監視システム201,201-1~201-3は、処理回路により実行されるときに、各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するための記憶装置604を備えている。また、これらのプログラムは、実行する手順又は方法をコンピュータに実行させるものであるといえる。ここで、記憶装置604とは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の、不揮発性若しくは揮発性の半導体メモリ又は、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
なお、き裂検査装置1,1-1~1-7および疲労き裂の監視システム201,201-1~201-3のそれぞれの機能は、一部が専用のハードウェアで実現され、他の一部がソフトウェア又はファームウェアで実現されてもよい。処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上記の各機能を実現することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
例えば、上記の実施の形態1~3では、き裂検査装置1,1-1~1-7は、き裂の形状を計測する形状計測部3、き裂に対して荷重を負荷する荷重負荷部4、荷重が負荷されたき裂の開口量を計測する開口量計測部5を有することとしたが、これらの機能の一部または全部を省略して、き裂検査装置1,1-1~1-7は、計測結果を取得する機能を有していてもよい。この場合、き裂検査装置1,1-1~1-7において、構造物に生じたき裂の形状を示すき裂情報を取得するき裂情報取得部と、き裂に対して荷重が負荷された状態におけるき裂の開口量を示す負荷時き裂情報を取得する負荷時き裂情報取得部とは、計測結果をコンピュータに入力するためのデバイス、例えば、通信インタフェース、周辺機器、操作者の操作に応じてコンピュータに信号を入力するマウス、キーボードなどの操作デバイスなどを用いて実現することができる。
例えば、実施の形態4,5では、現地計測装置212,212-1は1台のみ示していたが、疲労き裂の監視システム201,201-1,201-2,201-3のそれぞれは、複数の現地計測装置212,212-1を有していてもよい。データセンタ211では、複数の監視対象の構造物のき裂の状態を監視することができてもよい。また、実施の形態4,5では、表示装置214がデータセンタ211または現地計測装置212,212-1の近傍のいずれか一方に位置することとしたが、データセンタ211と現地計測装置212,212-1の近傍との両方で表示装置214が用いられてもよい。
また、例えば、実施の形態4,5で説明した演算処理装置213,213-1の優先順位決定部302,302-1および優先度判定部303をき裂検査装置1,1-1~1-7に備えてもよい。さらに、演算処理装置213,213-1や現地計測装置212,212-1が、き裂検査装置1,1-1~1-7の備える機能の一部を備えていてもよい。
なお、上記の実施の形態1~5では、推定部6は、破壊力学パラメータとして応力拡大係数範囲を用いたが、き裂の進展抑制効果を定量的に示す破壊力学パラメータは、応力拡大係数範囲に限らない。例えば、J値、エネルギー解放率のような破壊力学パラメータが用いられてもよい。
1,1-1~1-7 き裂検査装置、2 入力部、3 形状計測部、4 荷重負荷部、4-1 繰返し荷重負荷部、5 開口量計測部、5-1 繰返し開口量計測部、6 推定部、7 判定部、8 荷重決定部、9 補修部、10 進展抑制前荷重負荷部、11 進展抑制前開口量計測部、30 き裂、31 センサ、32 撮像装置、41 橋梁、43 検査車両、81 補修材、151 荷重負荷判定部、201,201-1~201-3 疲労き裂の監視システム、211 データセンタ、212,212-1 現地計測装置、213,213-1 演算処理装置、214 表示装置、300,300-1 計測部、301 記憶部、302,302-1 優先順位決定部、303 優先度判定部、601 処理回路、602 バス、603 プロセッサ、604 記憶装置。

Claims (20)

  1. 検査対象の構造物の材料データを含む構造物データを取得する構造物データ取得部と、
    前記構造物に生じたき裂の形状を示すき裂情報を取得するき裂情報取得部と、
    前記き裂に対して荷重が負荷された状態における前記き裂の開口量を示す負荷時き裂情報を取得する負荷時き裂情報取得部と、
    記き裂の内部に物体が存在してい状態で取得される前記負荷時き裂情報が示す前記荷重と前記開口量とをプロットすることにより求められる第1直線、および、前記き裂の内部に物体が存在していない状態で取得される前記負荷時き裂情報が示す前記荷重と前記開口量とをプロットすることにより求められる第2直線の交点を求めることによって、前記き裂の進展に影響する前記荷重の最小値であるき裂開口荷重を算出し、前記構造物データおよび前記き裂情報に基づいて、前記き裂に前記荷重の最大値が生じた場合の応力拡大係数と、前記き裂に前記き裂開口荷重が生じた場合の応力拡大係数との差分から前記き裂の進展抑制効果を定量的に示す有効応力拡大係数範囲を推定する推定部と、
    を備えることを特徴とするき裂検査装置。
  2. 検査対象の構造物の材料データを含む構造物データを取得する構造物データ取得部と、
    前記構造物に生じたき裂の形状を示すき裂情報を取得するき裂情報取得部と、
    前記き裂に対して荷重が負荷された状態における前記き裂の開口量を示す負荷時き裂情報を取得する負荷時き裂情報取得部と、
    前記き裂の内部に物体が存在している状態で取得される前記負荷時き裂情報が示す前記荷重と前記開口量とをプロットすることにより求められる第1直線、および、前記構造物データおよび前記き裂情報から作成される構造解析モデルに基づいて得られる直線であって前記き裂の内部に物体が存在していない状態の前記荷重と前記開口量との関係を示す第2直線の交点を求めることによって、前記き裂の進展に影響する前記荷重の最小値であるき裂開口荷重を算出し、前記構造物データおよび前記き裂情報に基づいて、前記き裂に前記荷重の最大値が生じた場合の応力拡大係数と、前記き裂に前記き裂開口荷重が生じた場合の応力拡大係数との差分から前記き裂の進展抑制効果を定量的に示す有効応力拡大係数範囲を推定する推定部と、
    を備えることを特徴とするき裂検査装置。
  3. 前記有効応力拡大係数範囲と、前記構造物データに含まれる下限界応力拡大係数範囲とに基づいて、前記き裂の停滞の有無を判定する判定部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のき裂検査装置。
  4. 前記構造物データ取得部は、前記構造物において前記き裂が進展しなくなる前記有効応力拡大係数範囲の範囲を示す進展停滞範囲を含む前記構造物データを取得し、
    前記き裂の前記有効応力拡大係数範囲が前記進展停滞範囲内となるように、前記き裂に負荷する前記荷重の値を決定する荷重決定部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のき裂検査装置。
  5. 検査対象の前記き裂は、進展抑制される前のき裂であり、
    前記き裂情報取得部は、進展抑制処理が行われる前の前記き裂の形状および開口量を示す前記き裂情報を取得し、
    前記負荷時き裂情報取得部は、進展抑制処理が行われた後の前記き裂に対して荷重が負荷された状態における前記き裂の開口量を示す前記負荷時き裂情報を取得することを特徴とする請求項1または2に記載のき裂検査装置。
  6. 前記進展抑制処理が行われる前の前記き裂に対して荷重が負荷された状態における前記き裂の開口量を示す進展抑制前負荷時き裂情報を取得する進展抑制前負荷時き裂情報取得部、
    をさらに備え、
    前記推定部は、前記進展抑制前負荷時き裂情報にさらに基づいて、前記有効応力拡大係数範囲を推定することを特徴とする請求項に記載のき裂検査装置。
  7. 前記き裂に対して進展抑制処理を行う補修部と、
    前記有効応力拡大係数範囲と、前記構造物データに含まれる下限界応力拡大係数範囲とに基づいて、前記進展抑制処理が行われた後の前記き裂の停滞の有無を判定する判定部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のき裂検査装置。
  8. 前記負荷時き裂情報取得部は、進展抑制処理が行われた後の前記き裂に対して荷重が繰り返し負荷された後、荷重が負荷された状態において計測された前記き裂の開口量を示す前記負荷時き裂情報を取得することを特徴とする請求項に記載のき裂検査装置。
  9. 進展抑制処理が行われた後の前記き裂に対して繰返し荷重を負荷する繰返し荷重負荷部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項に記載のき裂検査装置。
  10. 前記構造物データ取得部は、前記構造物において前記き裂が進展しなくなる前記有効応力拡大係数範囲の範囲を示す進展停滞範囲を前記構造物データとして取得し、
    前記き裂の前記有効応力拡大係数範囲が前記進展停滞範囲内となるように、前記き裂に負荷する前記荷重の値を決定する荷重決定部、
    をさらに備え、
    前記繰返し荷重負荷部は、前記荷重決定部が決定した値の前記荷重を繰返し負荷することを特徴とする請求項に記載のき裂検査装置。
  11. 前記負荷時き裂情報取得部は、進展抑制処理が行われた後の前記き裂に対して繰返し荷重が負荷される毎に、荷重が負荷された状態において計測された前記き裂の開口量を示す前記負荷時き裂情報を繰り返し取得し、
    繰返し荷重が負荷される毎に、計測された前記開口量と荷重との関係から前記き裂開口荷重が変化しない状態となったか否かに基づいて、荷重負荷の繰返しを継続するか否かを判定する繰り返し判定部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項に記載のき裂検査装置。
  12. 前記負荷時き裂情報取得部は、光ファイバ式の変位センサで前記開口量を計測する開口量計測部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のき裂検査装置。
  13. 前記負荷時き裂情報取得部は、前記き裂を撮影した画像から前記開口量を計測する開口量計測部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のき裂検査装置。
  14. 前記き裂の補修箇所毎に、前記有効応力拡大係数範囲に基づいて、前記補修箇所の補修の優先順位を決定する優先順位決定部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のき裂検査装置。
  15. 前記検査対象の構造物は、橋梁であることを特徴とする請求項1または2に記載のき裂検査装置。
  16. 検査対象の構造物の材料を示す構造物データの入力を受け付ける入力部と、
    前記構造物に生じたき裂の形状と、前記き裂の開口量と、前記構造物に負荷された荷重とを計測する計測部と、
    を有する計測装置と、
    前記計測装置が取得した前記構造物データと、前記き裂の形状と、前記き裂の開口量と、前記構造物に負荷された荷重とを記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された前記構造物データと、前記き裂の形状と、前記き裂の開口量と、前記荷重とに基づいて、前記き裂の内部に物体が存在してい状態で前記計測部が計測する前記荷重と前記開口量とをプロットすることにより求められる第1直線、および、前記き裂の内部に物体が存在していない状態で前記計測部が計測する前記荷重と前記開口量とをプロットすることにより求められる第2直線の交点を求めることによって、前記き裂の進展に影響する前記荷重の最小値であるき裂開口荷重を算出し、前記き裂に前記荷重の最大値が生じた場合の応力拡大係数と、前記き裂に前記き裂開口荷重が生じた場合の応力拡大係数との差分から前記き裂の進展抑制効果を定量的に示す有効応力拡大係数範囲を推定し、推定した前記有効応力拡大係数範囲から前記き裂の進展速度を推定する推定部と、
    前記進展速度に基づいて、前記き裂の補修時の優先順位を決定する優先順位決定部と、
    を有する演算処理装置と、
    を備えることを特徴とするき裂監視システム。
  17. 検査対象の構造物の材料を示す構造物データの入力を受け付ける入力部と、
    前記構造物に生じたき裂の形状と、前記き裂の開口量と、前記構造物に負荷された荷重とを計測する計測部と、
    を有する計測装置と、
    前記計測装置が取得した前記構造物データと、前記き裂の形状と、前記き裂の開口量と、前記構造物に負荷された荷重とを記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された前記構造物データと、前記き裂の形状と、前記き裂の開口量と、前記荷重とに基づいて、前記き裂の内部に物体が存在している状態で前記計測部が計測する前記荷重と前記開口量とをプロットすることにより求められる第1直線、および、前記記憶部に記憶された前記構造物データおよび前記き裂の形状から作成される構造解析モデルに基づいて得られる直線であって前記き裂の内部に物体が存在していない状態の前記荷重と前記開口量との関係を示す第2直線の交点を求めることによって、前記き裂の進展に影響する前記荷重の最小値であるき裂開口荷重を算出し、前記き裂に前記荷重の最大値が生じた場合の応力拡大係数と、前記き裂に前記き裂開口荷重が生じた場合の応力拡大係数との差分から前記き裂の進展抑制効果を定量的に示す有効応力拡大係数範囲を推定し、推定した前記有効応力拡大係数範囲から前記き裂の進展速度を推定する推定部と、
    前記進展速度に基づいて、前記き裂の補修時の優先順位を決定する優先順位決定部と、
    を有する演算処理装置と、
    を備えることを特徴とするき裂監視システム。
  18. 前記計測部は、前記構造物の中の前記き裂が生じた位置をさらに計測し、
    前記構造物の中の位置毎に補修時の優先度を示す優先度情報に基づいて、前記き裂の補修時の優先度を判定する優先度判定部、
    をさらに備え、
    前記優先順位決定部は、前記優先度と、前記き裂の進展速度とに基づいて、前記優先順位を決定することを特徴とする請求項16または17に記載のき裂監視システム。
  19. 検査対象の構造物の材料を示す構造物データを取得するステップと、
    前記構造物に生じたき裂の形状および開口量を示すき裂情報を取得するステップと、
    前記き裂に対して荷重が負荷された状態における前記き裂の開口量を示す負荷時き裂情報を取得するステップと、
    記き裂の内部に物体が存在してい状態で取得される前記負荷時き裂情報が示す前記荷重と前記開口量とをプロットすることにより求められる第1直線、および、前記き裂の内部に物体が存在していない状態で取得される前記負荷時き裂情報が示す前記荷重と前記開口量とをプロットすることにより求められる第2直線の交点を求めることによって、前記き裂の進展に影響する前記荷重の最小値であるき裂開口荷重を算出し、前記構造物データおよび前記き裂情報に基づいて、前記き裂に前記荷重の最大値が生じた場合の応力拡大係数と、前記き裂に前記き裂開口荷重が生じた場合の応力拡大係数との差分から前記き裂の進展抑制効果を定量的に示す有効応力拡大係数範囲を推定するステップと、
    を含むことを特徴とするき裂検査方法。
  20. 検査対象の構造物の材料を示す構造物データを取得するステップと、
    前記構造物に生じたき裂の形状および開口量を示すき裂情報を取得するステップと、
    前記き裂に対して荷重が負荷された状態における前記き裂の開口量を示す負荷時き裂情報を取得するステップと、
    前記き裂の内部に物体が存在している状態で取得される前記負荷時き裂情報が示す前記荷重と前記開口量とをプロットすることにより求められる第1直線、および、前記構造物データおよび前記き裂情報から作成される構造解析モデルに基づいて得られる直線であって前記き裂の内部に物体が存在していない状態の前記荷重と前記開口量との関係を示す第2直線の交点を求めることによって、前記き裂の進展に影響する前記荷重の最小値であるき裂開口荷重を算出し、前記構造物データおよび前記き裂情報に基づいて、前記き裂に前記荷重の最大値が生じた場合の応力拡大係数と、前記き裂に前記き裂開口荷重が生じた場合の応力拡大係数との差分から前記き裂の進展抑制効果を定量的に示す有効応力拡大係数範囲を推定するステップと、
    を含むことを特徴とするき裂検査方法。
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藤原 宇希 Takaki Fujiwara,Paris則に基づく結合力モデルを用いた疲労き裂進展解析手法の提案,計算工学講演会論文集 第24巻 [CD-ROM] Proceedings of the Conference on Computational Engineering and Science vol.24,2019年05月29日

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