JP7466346B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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本明細書では、送り駆動機構を駆動するモータを制御対象として、前記制御対象の位置および速度をフィードバックして前記制御対象を制御するモータ制御装置を開示する。
工作機械において、サーボモータにより駆動される送り駆動機構の制御には、モータの位置情報を用いる位置フィードバック制御や、速度情報を用いる速度フィードバック制御が広く適用されており、モータ位置、速度が指令値に追従するよう制御されている。このとき、各フィードバック制御系の高帯域化により、モータの位置、速度が指令値に高速・高精度に追従することを実現している。しかし、フィードバック制御系の高帯域化により、安定性が失われ、機械共振に起因する振動を誘発しやすくなる問題がある。
そこで、フィードバック制御系の安定性確保に、帯域遮断フィルタが広く用いられている。帯域遮断フィルタは、制御対象の共振周波数に該当する成分を遮断する目的で使用され、帯域遮断フィルタのパラメータは、出荷前の機械の周波数特性に基づき、調整、決定される。また、量産機については、生産初号機に対して調整を実施し、初号機以降は、その調整結果を反映させるといった方法をとることもある。そのため、生産初号機調整時の機械特性と異なる場合や、経年変化や設置環境の変化により機械特性が変化した場合、出荷前に設定した帯域遮断フィルタでは、機械共振に起因する振動を抑制できない。その結果、機械の損傷が悪化し、加工精度不良や部品交換を招くことが考えられる。
上記課題を解決するため、特許文献1記載の制御システムでは、正弦波指令を速度制御系に入力したときの速度検出値から周波数特性を算出し、周波数特性より共振周波数を検出し、検出された共振周波数に対してフィルタを設定することで、制御系の安定性を確保している。また、共振周波数の変化から機械剛性の低下を推定し、機械剛性が低下した時に警告、点検の必要性を通知する。しかし、上記技術では、機械使用者が、意図的に周波数特性の測定を実施する必要があり、測定タイミングは、機械使用者によって異なる。そのため、機械の経年変化をリアルタイムに監視できず、異常状態を即座に検出できない。また、機械剛性の低下は把握できるが、それに伴い、どの箇所を点検すればよいか明確ではない。
特許文献2記載の制御システムでは、上記特許文献1と同手法により、周波数特性を測定し、周波数特性より検出した共振周波数とその近傍の周波数特性より、減衰比を算出することで、潤滑劣化を警告、潤滑点検の必要性を通知する。しかし、上記技術では、上記特許文献1と同様、機械の経年変化にリアルタイムに対応できない。さらに、劣化状態が軽度な場合、劣化を通知せず、実加工に影響が出るといった課題が挙げられる。
特許第6312548号 特許第6208699号
本明細書では、オペレータが専用の指令(例えば正弦波指令等)を制御系に入力しなくても、機械の経年変化を常時、検出できるモータ制御装置を開示する。また、本明細書では、制御系をより安定できるモータ制御装置も開示する。
本明細書で開示するモータ制御装置は、制御対象であるモータの位置および速度をフィードバックして前記制御対象の駆動を制御するモータ制御装置であって、制御対象の位置偏差信号のパワースペクトルを、第一パワースペクトルとして算出する第一FFT演算部と、前記第一パワースペクトルのピーク周波数およびスペクトル面積を第一ピーク周波数および第一スペクトル面積として算出する第一スペクトル解析部と、初期状態の前記制御対象のピーク周波数である第二ピーク周波数および前記第一ピーク周波数に基づいて共振周波数の変化率を、初期状態の前記制御対象のスペクトル面積である第二スペクトル面積および前記第一スペクトル面積に基づいて減衰特性の変化率を、それぞれ、算出する変化率演算部と、を備える、ことを特徴とする。
本明細書で開示する技術によれば、オペレータが専用の指令(例えば正弦波指令等)を制御系に入力しなくても、機械の経年変化を常時、検出できる。
第1の実施形態のモータ制御装置のブロック図である。 図1のモータ制御装置による異常診断手順のフローチャート図である。 周波数解析部で抽出されるピーク周波数を説明する概略図である。 周波数解析部で抽出されるスペクトル面積を説明する概略図である。 第2の実施形態のモータ制御装置のブロック図である。 図5のモータ制御装置による異常診断手順及び帯域遮断フィルタパラメータ更新手順のフローチャート図である。 第3の実施形態のモータ制御装置のブロック図である。 第4の実施形態のモータ制御装置のブロック図である。 第5の実施形態のモータ制御装置のブロック図である。
以下、モータ制御装置の構成について図面を参照して説明する。図1に、第1の実施形態のモータ制御装置のブロック図を示す。図1に示すように、本実施形態では、モータ4に位置検出部5を設置し、位置検出部5により検出されるモータ位置θをフィードバックして、モータ位置θおよびモータ速度ωを、位置指令θおよび速度指令ωに追従させる制御をするものである。
図1のモータ制御装置では、制御対象6において、被駆動体を駆動するモータ4に、モータ回転数から被駆動体の移動量や現在位置を検出する位置検出部5が取り付けられている。
図1のモータ制御装置は、位置制御部1と速度制御部2とを備え、各制御部によりモータ位置およびモータ速度を制御することで、モータにより駆動される被駆動体を制御する制御装置である。
また、モータ制御装置は、制御入力τからモータ位置θまでの特性を伝達関数表現する機械モデル8を備える。この機械モデル8には、トルク指令τが入力され、その出力が、機械モデル出力信号yとして出力される。第3加減算部19は、位置指令θから機械モデル出力信号yを減算し、モデル位置偏差信号θmeを出力する。
第二FFT演算部10bは、モデル位置偏差信号θmeをFFT処理し、第二パワースペクトルSを算出する。第二スペクトル解析部11bは、第二FFT演算部10bが算出した第二パワースペクトルSより、第二ピーク周波数fと、当該第二ピーク周波数f近傍の第二スペクトル面積Aと、を抽出する。
同様に、第一FFT演算部10aは、位置指令θとモータ位置θの差分である位置偏差信号θをFFT処理し、第一パワースペクトルSを算出する。第一スペクトル解析部11aは、第一FFT演算部10aが算出した第一パワースペクトルSより、第一ピーク周波数fと、当該第一ピーク周波数f近傍の第一スペクトル面積Aと、を抽出する。
変化率演算部12は、算出したピーク周波数f,f、および、スペクトル面積A,Aから、制御対象の共振周波数の変化率Δfと、減衰特性の変化率Δζと、を演算する。
異常診断部13は、算出された変化率Δf,Δζに基づき異常状態の判断、検出、異常箇所の推定を実施し、NC装置の画面に表示する。
図1に示すモータ制御装置において、第1加減算部17は、位置指令θから位置検出部5により検出されるモータ位置θを減算して、位置偏差信号θを算出する。この位置偏差信号θには、位置制御部1の伝達関数が乗算され、速度指令ωとして算出される。速度指令ωは、第2加減算部18に入力される。
位置検出部5により検出されるモータ位置θは、速度変換部7に入力され、微分処理される。速度変換部7からは、モータ速度ωが出力される。第2加減算部18は、位置制御部1から入力された速度指令ωから、速度変換部7から入力されるモータ速度ωを減算して、速度偏差ωを算出する。この速度偏差ωには、速度制御部2の伝達関数が乗算され、トルク指令τとして算出される。トルク指令τは、帯域遮断フィルタ3に入力される。
帯域遮断フィルタ3は、トルク指令τから、制御対象の共振周波数成分を遮断した制御入力τを算出し、この制御入力τを制御対象6に出力する。図1のモータ制御装置において、制御対象6に入力される制御入力τから、制御対象6の出力であるモータ位置θまでの伝達関数P(s)は、式(1)で表現できる。
式(1)は、複数の振動モードの足し合わせで表現でき、式(1)において、ωは、共振角周波数を、ζは、減衰係数を、kは、モード係数を、添字iは、i次振動モードを、nは、振動モード数を、それぞれ表す。図1のモータ制御装置において、機械モデル8の伝達関数には、式(1)を用いる。機械モデル8に式(1)を適用する場合、各パラメータは、出荷前の周波数特性に基づき決定され、共振角周波数ωや振動モード数nは、特性変化を検出したい共振角周波数と振動モード数に設定される。
次に、図2に示す異常診断手順のフローチャート図を基に、異常状態の診断手順を説明する。位置指令θから機械モデル出力信号yを減算してモデル位置偏差信号θmeを算出し(S10)、このモデル位置偏差信号θmeを第二FFT演算部10bでFFT処理し、第二パワースペクトルSを算出する(S12)。続いて、第二スペクトル解析部11bが、第二パワースペクトルSより、パワースペクトルの利得が極大となる第二ピーク周波数fと、ピーク周波数近傍のパワースペクトルの利得の積分値である第二スペクトル面積Aと、を抽出する(S14)。
ステップS10~S12と並行して、第一ピーク周波数fと、第一ピーク周波数f近傍の第一スペクトル面積Aと、も抽出する(S16~S20)。具体的には、位置指令θからモータ位置θを減算して位置偏差信号θを算出し(S16)、この位置偏差信号θを第一FFT演算部10aでFFT処理し、第一パワースペクトルSを算出する(S18)。続いて、第二スペクトル解析部11bが、第一パワースペクトルSより、パワースペクトルの利得が極大となる第一ピーク周波数fと、第一ピーク周波数f近傍のパワースペクトルの利得の積分値である第一スペクトル面積Aと、を抽出する(S20)。
ここで、パワースペクトルS,Sから抽出されるピーク周波数f,fと、スペクトル面積A,Aと、について、図3、図4を参照して説明する。抽出するピーク周波数f,fは、パワースペクトルS,Sの利得が極大となる周波数であるため、図3に示すFFT処理結果のパワースペクトルにおいて、f1,f2,f3,f4が該当する。この時、抽出するピーク周波数の最大数は式(1)の振動モード数nと同数とし、極大値が大きい順に抽出する。そのため、図3において、抽出するピーク周波数の最大数(振動モード数n)を3にした場合、f1,f2,f4が抽出され、f3は、抽出されない。また、ピーク周波数における利得が事前に設定した閾値Gs以下の場合、そのピーク周波数は、抽出されない。
抽出するピーク周波数f近傍のスペクトル面積Aは、図4におけるハッチングを施したエリアの面積である。換言すれば、ピーク周波数をf、ピーク周波数における利得GをG=Gfとした場合、スペクトル面積Aは、パワースペクトルの曲線と、G=Gf/2の直線と、で囲まれるエリアの面積である。スペクトル面積Aは、G=Gf/2をとる2点の周波数幅Δfsを、式(2)に入力することで算出される。
式(2)において、添字xは、制御対象Pまたは機械モデルmを表す文字のいずれか一方が当てはまる。再び、図2を参照すると、算出されたピーク周波数f,fとスペクトル面積A,Aは変化率演算部12に入力され、共振周波数変化率Δf及び減衰特性変化率Δζが算出される(S22,S24)。ΔfとΔζは、それぞれ式(3)、式(4)により算出される。
共振周波数変化率Δfと減衰特性変化率Δζは、抽出したピーク周波数とスペクトル面積の数だけ、算出する。すなわち、上述した通り、ピーク周波数f,fは、極大値が大きい順から抽出され、その最大数は、振動モード数nと同じである。例えば、振動モード数nが3の場合において、第一ピーク周波数fとして、fp1,fp2,fp3(なおfp1>fp2>fp3)が抽出され、第二ピーク周波数fとして、fm1,fm2,fm3(なおfm1>fm2>fm3)が抽出されたとする。この場合、共振周波数変化率Δfとして、Δf1=(fp1-fm1)/fm1、Δf2=(fp2-fm2)/fm2、Δf3=(fp3-fm3)/fm3が算出される。
また、ピーク周波数の抽出数が、振動モード数nに達していなくても、ピーク周波数の利得が閾値Gs以下の場合には、抽出されない。そのため、第一ピーク周波数fの抽出数と、第二ピーク周波数fの抽出数と、が一致しない場合がある。例えば、第一ピーク周波数fとして、fp1,fp2,fp3(なおfp1>fp2>fp3)が抽出され、第二ピーク周波数fとして、fm1,fm2(なおfm1>fm2)のみが抽出される場合もある。この場合には、共振周波数変化率Δfとして、Δf1=(fp1-fm1)/fm1、Δf2=(fp2-fm2)/fm2の二つのみが算出される。減衰特性変化率Δζについても、同様である。
ステップS22,S24で算出された共振周波数変化率Δf及び減衰特性変化率Δζは、異常診断部13に入力され、それぞれの絶対値|Δf|,|Δζ|が、事前に設定した基準値fb1,Zb1と比較される(S26,S30)。なお、基準値fb1,Zb1の値は、異常状態判断部15にて事前に設定される。
共振周波数変化率の絶対値|Δf|及び減衰特性変化率の絶対値|Δζ|が事前に設定した基準値fp1,Zb1より小さい場合(S26でNoかつS30でNo)、異常診断処理を終了する。また、抽出するピーク周波数及びスペクトル面積が存在しない場合は、ステップS22に進まずに、処理を終了する。
一方、|Δf|≧fp1、および/または、|Δζ|≧Zb1の場合(S26でYes、および/または、S30でYes)、異常箇所を推定し、異常状態を検出し、通知する(S28,S32)。具体的に、この処理について説明する。
|Δf|≧fb1の場合において、Δfが正値であれば、機械出荷時より共振周波数が高いと、Δfが負値であれば、機械出荷時より共振周波数が低いと、それぞれ判断できる。ここで、共振周波数(固有振動数)fnは、式(5)で表される。式(5)において、Kは、ばね定数(機械剛性)、Jは、負荷の大きさ(質量)を表す。
式(5)に示すように、共振周波数fnは、ばね定数(機械剛性)Kが向上する、または、負荷(質量)Jが小さくなると高くなり、ばね定数(機械剛性)Kが低下する、または負荷(質量)Jが大きくなると低くなる。負荷(質量)Jについては、機械の経年変化や、機台バラつき等により変化することは考えにくいため、機械剛性の変化についてのみ評価する。機械の共振周波数fnは、経年変化等により、低下することは知られており、要因として機械部品の組付け緩みによる機械剛性の低下が考えられる。一方、機械剛性の向上は、経年変化により発生することは考えにくく、組立バラつき等によるものと推定できる。そのため、共振周波数が機械出荷時より低下した場合、すなわち、|Δf|≧fb1かつΔf<0の場合、異常状態通知部16にて、機械剛性の低下と部品の組付け緩み等の点検の必要性をNC装置の画面に通知、表示する。
また、共振周波数が機械出荷時より向上した場合、すなわち、|Δf|≧fb1かつΔf>0の場合、機械出荷時と機械特性が異なることのみをNC装置の画面に通知、表示する。算出した共振周波数変化率Δfが複数ある場合、Δf全てにおいて、基準値fb1との比較、比較結果に基づく異常状態の通知処理を実施する。
共振周波数fnは、式(5)で与えられるため、機械設計時のばね定数Kや質量等の数値があれば、部品ごとの共振周波数は推定できる。そのため、送り駆動機構を構成するモータやボールネジ、カップリングなどの主要部品ごとの共振周波数の理論値は、算出でき、その共振周波数が妥当であるかは、出荷前の機械の共振周波数を見れば判断できる。
そのため、機械出荷前に、ボールネジやカップリング等の主要部品の共振周波数の理論値を算出し、主要部品と対応した共振周波数理論値のデータを機械特性記憶部14に記憶しておく。共振周波数変化率|Δf|が基準値fb1以上となった場合、その共振周波数変化率|Δf|の算出に用いた第二ピーク周波数fを機械特性記憶部14に入力し、当該第二ピーク周波数fと一致する、または一番近い共振周波数を特定する。そして、特定された共振周波数に対応する主要部品情報を点検が必要な部品と推定し、推定結果を異常状態通知部16に出力する。異常状態通知部16では、機械剛性の低下、点検の必要性と併せて、点検部品をNC装置の画面に通知、表示する。
次に、スペクトル面積A,Aと減衰特性ζの相関関係について説明する。減衰特性や減衰比の算出方法には半値幅法という手法がある。これは、振幅倍率を表す式(6)と共振周波数を表す式(7)の関係より減衰特性ζを式(8)で算出するものである。
式(6)および式(7)において、xは、定常状態の振幅、xは、静的変化量、ωは、固有振動数、ωは、共振角周波数を表す。式(8)では、パワースペクトルにおいて、振幅のピーク周波数f、および、ピーク値より3dB下がった点の周波数幅Δf、から減衰特性ζを算出しており、減衰特性ζは、Δfとfに依存することを表している。パワースペクトルにおける周波数幅Δfは、ピーク周波数f付近のスペクトル面積A,Aで代用可能と考えられるため、スペクトル面積A,Aから減衰特性の変化率を推定できる。また、半値幅法では、ピーク周波数fにおけるピーク値が3dBより小さい場合に減衰特性を算出できない。さらに、ピーク周波数fのみが変化した場合においても減衰特性が変動してしまい、減衰特性(周波数幅)の変動と、共振周波数の変動を切り分けて判断することができないため、スペクトル面積から減衰特性の変化率を算出する。
|Δζ|≧Zb1の場合において、Δζが正値であれば、機械出荷時より減衰特性が向上したと、Δζが負値であれば、機械出荷時より減衰特性が低下したと、判断できる。減衰特性は、送り軸駆動の摺動面の摩擦係数に依存し、摩擦係数は、摺動面の潤滑状態に影響する。経年変化により摺動面の潤滑状態が悪化することによる、減衰特性の低下は考えられるが、減衰特性の向上はないと推定できる。そのため、減衰特性が、機械出荷時より低下した場合、すなわち、|Δζ|≧Zb1かつΔζ<0の場合、異常状態通知部16にて減衰特性の低下、潤滑状態の点検の必要性をNC装置の画面に通知、表示する。一方で、Δζ>0の場合には、|Δζ|≧Zb1であっても、NC装置の画面への通知、表示は実施せず、処理を終了する。
次に、第2の実施形態のモータ制御装置について説明する。図5は、第2の実施形態のモータ制御装置のブロック図である。図5のモータ制御装置は、図1のモータ制御装置と比べて、帯域遮断フィルタ3のパラメータを、制御対象6の特性変動に応じて変更、更新する点で異なる。帯域遮断フィルタ3は、トルク指令τに含まれる制御対象6の共振周波数成分を遮断することで、機械共振に起因する振動が抑制できる。しかし、制御対象6の共振周波数が変化した場合、すなわち、|Δf|が一定以上大きい場合、および/または、|Δζ|が一定以上大きい場合、帯域遮断フィルタ3による共振周波数成分の遮断効果が十分に発揮されず、機械共振に起因する振動を抑制できないことがある。そこで、図5のモータ制御装置では、異常状態判断部15で比較する基準値を細分化し、機械特性の変化率が、ある範囲内にある場合、帯域遮断フィルタ3のパラメータを変更、更新する。帯域遮断フィルタ3の伝達特性は、例えば、式(9)で表現する。式(9)中、ωは、フィルタ中心角周波数、ζは、フィルタ減衰定数を表す。
帯域遮断フィルタ3は、トルク指令τに含まれる共振周波数成分を遮断するようにパラメータを調整するため、出荷前の機械特性に合わせて調整する。制御対象に複数の共振周波数が存在する場合、複数の帯域遮断フィルタ3を直列に設置することもある。
式(9)で表現した帯域遮断フィルタ3のパラメータ更新手順及び異常診断手順を図6に示すフローチャート図に沿って説明する。ステップS10~S32については、第1の実施形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
図2の処理では、|Δf|<fb1の場合(S26でNo)、そのまま、処理を終了していたが、図6の処理では、|Δf|<fb1の場合には、続いて、|Δf|と、事前に規定された基準値fb2と、を比較する(S40)。比較の結果、|Δf|≧fb2の場合(S40でYes)、フィルタ更新部20は、Δfを式(10)に代入し、新たなフィルタ中心角周波数ω’を算出する(S42)。
同様に、|Δζ|<Zb1の場合(S30でNo)には、|Δζ|と、事前に規定された基準値Zb2と、を比較する(S44)。比較の結果、|Δζ|≧Zb2の場合(S44でYes)、フィルタ更新部20は、Δζを式(11)に代入し、新たなフィルタ減衰定数ζ’を算出する(S50)。
新たなフィルタ中心角周波数ω’または新たなフィルタ減衰定数ζ’が算出された場合(S48でYes)、フィルタ更新部20は、帯域遮断フィルタのパラメータをω’およびζ’に更新する(S50)。特性変更した共振周波数や減衰特性が複数存在する場合、全てに対して帯域遮断フィルタを変更、更新するが、特性変更後の共振周波数付近に帯域遮断フィルタが設定されていない場合は、パラメータの変更、更新は実施せず、処理を終了する。なお、上述した実施形態では、帯域遮断フィルタの伝達関数を式(9)で表現したが、パラメータや分子項などを追加した伝達関数を使用するようにしてもよい。
次に、第3の実施形態のモータ制御装置について説明する。図7は、第3の実施形態のモータ制御装置のブロック図である。図7のモータ制御装置は、図1、図5に示したモータ制御装置と異なり、機械モデルを使用しない。図7のモータ制御装置では、出荷前の機械の周波数特性を測定し、周波数特性より第二ピーク周波数fおよび第二スペクトル面積Aを抽出し、データとして正常特性記憶部21に保存しておく。そして、変化率演算部12に、制御対象の第一ピーク周波数fおよび第一スペクトル面積Aと、正常特性記憶部21に保存してある第二ピーク周波数fと第二スペクトル面積Aを入力することで、共振周波数変化率と減衰特性変化率を算出する。かかる構成とすることで、制御対象を含めた制御系の特性から機械モデルを設計する工程を省略できる。
次に、第4の実施形態のモータ制御装置について説明する。図8は、第4の実施形態のモータ制御装置のブロック図である。図8のモータ制御装置は、図1、図5に示したモータ制御装置と比べて、機械モデル8の構造及び機械モデル入力信号が異なる。図8のモータ制御装置では、速度指令ωからモータ位置θまでの閉ループ特性を伝達関数表現した機械モデル8を設計し、機械モデル8の入力信号は、速度指令ωを用いる。機械モデル8に帯域遮断フィルタ3を含めると、解析に必要な周波数成分を遮断してしまうため、機械モデルとする閉ループ系については、帯域遮断フィルタ3の伝達関数を1とする。
次に、第5の実施形態のモータ制御装置について説明する。図9は、第5の実施形態のモータ制御装置のブロック図である。図9のモータ制御装置は、図1、図5、図8に示したモータ制御装置と比べて、機械モデル8の構造及び機械モデル入力信号が異なる。図9のモータ制御装置では、位置指令θからモータ位置θまでの閉ループ特性を伝達関数表現した機械モデル8を設計し、機械モデルの入力信号は、位置指令θを用いる。機械モデル8に帯域遮断フィルタ3を含めると、解析に必要な周波数成分を遮断してしまうため、機械モデルとする閉ループ系では、帯域遮断フィルタ3の伝達関数を1とする。
以上の説明から明らかなとおり、図1のモータ制御装置によれば、通常のモータ制御の過程で得られる位置偏差信号とモデル位置偏差信号をFFT処理することで、制御対象の共振周波数と減衰特性の変化をリアルタイムかつ通常動作時に検出でき、経年変化等で機械特性が大きく変化した場合に即座に異常状態の検出、通知が可能となる。さらに、異常箇所の推定により、異常状態が検出されてから、直ちに点検等の対応ができる。
また、図7のモータ制御装置によれば、機械出荷前の周波数特性より共振周波数および減衰特性を抽出して保存しておくことで、同様に制御対象の特性変化を検出でき、機械モデル設計の工程を省略できる。
また、図5、図7、図8、図9のモータ制御装置によれば、共振周波数及び減衰特性の変化が小さい場合に、帯域遮断フィルタのパラメータを特性変化に応じて更新することで、制御系の安定化を図り、加工精度の劣化を防ぐことができる。
1 位置制御部、2 速度制御部、3 帯域遮断フィルタ、4 モータ、5 位置検出部、6 制御対象、7 速度変換部、8 機械モデル、10a 第一FFT演算部、10b 第二FFT演算部、11a 第一スペクトル解析部、11b 第二スペクトル解析部、12 変化率演算部、13 異常診断部、14 機械特性記憶部、15 異常状態判断部、16 異常状態通知部、17 第1加減算部、18 第2加減算部、19 第3加減算部、20 フィルタ更新部、21 正常特性記憶部。

Claims (9)

  1. 送り駆動機構を駆動するモータを制御対象として、前記制御対象の位置および速度をフィードバックして前記制御対象の駆動を制御するモータ制御装置であって、
    前記制御対象の駆動制御の過程で得られる前記制御対象の位置偏差信号のパワースペクトルを、第一パワースペクトルとして算出する第一FFT演算部と、
    前記第一パワースペクトルのピーク周波数およびスペクトル面積を第一ピーク周波数および第一スペクトル面積として算出する第一スペクトル解析部と、
    初期状態の前記制御対象の位置偏差信号のピーク周波数である第二ピーク周波数および前記第一ピーク周波数に基づいて前記制御対象の共振周波数の変化率を、初期状態の前記制御対象の位置偏差信号のスペクトル面積である第二スペクトル面積および前記第一スペクトル面積に基づいて前記制御対象の減衰特性の変化率を、それぞれ、算出する変化率演算部と、
    を備える、ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置であって、さらに、
    前記制御対象を含む制御系の初期状態の特性を伝達関数表現した機械モデルと、
    位置指令から前記機械モデルの出力を減算して算出されるモデル位置偏差信号のパワースペクトルを、第二パワースペクトルとして算出する第二FFT演算部と、
    前記第二パワースペクトルのピーク周波数およびスペクトル面積を前記第二ピーク周波数および前記第二スペクトル面積として算出する第二スペクトル解析部と、
    を備える、ことを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1に記載のモータ制御装置であって、さらに、
    前記第二ピーク周波数および前記第二スペクトル面積を予め記憶する正常特性記憶部を備える、ことを特徴とするモータ制御装置。
  4. 送り駆動機構を駆動するモータを制御対象として、前記制御対象の位置および速度をフィードバックして前記制御対象の駆動を制御するモータ制御装置であって、
    制御対象を含む制御系の初期状態の特性を伝達関数表現した機械モデルと、
    位置指令からモータ位置を減算して算出する位置偏差信号と、前記位置指令から前記機械モデルの出力を減算して算出されるモデル位置偏差信号と、をそれぞれ、周波数解析する周波数解析部と、
    前記周波数解析部による周波数解析結果に基づいて、前記送り駆動機構の異常状態を診断する異常診断部と、
    を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項4に記載のモータ制御装置であって、
    前記異常診断部は、
    前記制御対象の初期状態の共振周波数と、前記共振周波数に対応する部品と、を対応付けて記憶する機械特性記憶部と、
    前記周波数解析部による解析結果に基づいて異常の有無を判断するとともに、異常がある場合に、異常箇所を推定する異常状態判断部と、
    前記異常状態判断部による異常判断結果と異常箇所の推定結果を、オペレータに通知する異常状態通知部と、
    を備える、ことを特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項5に記載のモータ制御装置であって、
    前記周波数解析部は、前記制御対象の共振周波数の変化率と、前記制御対象の減衰特性の変化率と、を算出し、
    前記異常状態判断部は、前記共振周波数の変化率および前記減衰特性の変化率の少なくとも一方の絶対値が、予め規定された基準値以上となった場合に、前記基準値以上となった前記共振周波数の変化率および前記減衰特性の変化率の算出に用いたピーク周波数を、前記機械特性記憶部に記憶された情報に照らし合わして、前記算出に用いたピーク周波数に近い共振周波数に対応する部品を特定し、特定された部品を異常箇所として推定する、
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  7. 送り駆動機構を駆動するモータを制御対象として、前記制御対象の位置および速度をフィードバックして前記制御対象の駆動を制御するモータ制御装置であって、
    前記制御対象の入力信号として、前記制御対象の共振周波数に該当する成分を遮断した信号を出力する帯域遮断フィルタと、
    前記制御対象を含む制御系の初期状態の特性を伝達関数表現した機械モデルと、
    位置指令からモータ位置を減算して算出される位置偏差信号と、前記位置指令から前記機械モデルの出力を減算して算出されるモデル位置偏差信号と、をそれぞれ、周波数解析する周波数解析部と、
    前記周波数解析部による周波数解析結果に基づいて、前記帯域遮断フィルタのパラメータを更新するフィルタ更新部と、
    を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  8. 請求項7に記載のモータ制御装置であって、
    前記周波数解析部は、前記制御対象の共振周波数の変化率と、前記制御対象の減衰特性の変化率と、を算出し、
    前記フィルタ更新部は、前記共振周波数の変化率および前記減衰特性の変化率の少なくとも一方の絶対値が、予め規定された基準値以上となった場合に、前記基準値以上となった前記共振周波数の変化率および前記減衰特性の変化率に基づいて帯域遮断フィルタのパラメータを再演算し、更新すること、を特徴とするモータ制御装置。
  9. 請求項2,4,7のいずれか1項に記載のモータ制御装置であって、
    前記機械モデルは、制御入力からモータ位置までの特性を表現する伝達関数、速度指令からモータ位置までの閉ループ特性を表現する伝達関数、および、前記位置指令から前記モータ位置までの閉ループ特性を表現する伝達関数、のいずれか1つの伝達関数で表現され、
    前記制御入力、前記速度指令、および、前記位置指令、のいずれかの前記機械モデルの伝達関数に対応する信号を機械モデルに入力することで前記機械モデルの出力が生成される、
    ことを特徴とするモータ制御装置。
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