JP7458938B2 - 表面処理液、表面処理方法、樹脂、及び化合物 - Google Patents

表面処理液、表面処理方法、樹脂、及び化合物 Download PDF

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本発明は、表面処理液と、当該表面処理液を用いる表面処理方法と、前述の表面処理液の成分として好適な樹脂と、当該樹脂の単量体として好適な化合物とに関する。
従来より、種々の物品の表面の性質を改質するために、様々な表面処理液を用いて表面処理が行われている。表面改質の中でも、物品の表面の親水性の調整についての要求は大きく、親水化用や疎水化用の薬剤や表面処理液について多数提案されている。親水化用や疎水化用の薬剤や表面処理液を用いて対象物を表面処理することにより、対象物の表面に被膜が形成され、対象物の表面が親水化又は疎水化される。
かかる薬剤や表面処理液としては、例えば、親水性を発現させるための成分として少なくともアクリルアミドモノマーとモノ(メタ)アクリレートモノマーと用いた共重合物を含む親水化処理剤(特許文献1)や、メルカプト基を有するポリビニルアルコール樹脂ブロックと1分子中に少なくとも1つのカルボキシ基及び/又はスルホン酸基を有する重合性モノマーが重合してなるポリアニオン樹脂ブロックとのブロック共重合体、及びポリアクリル酸を含む親水化処理剤(特許文献2)が提案されている。
特許第5437523号公報 特開2009-126948号公報
ところで、例えば、窓や鏡等、表面処理の対象物は、洗浄時に用いられる洗浄剤等の薬品で曝露される場合がある。特に水回りで使用される窓や鏡については、水垢の除去等に使用される酸性洗剤や、カビ取りに使用される塩基性洗剤に晒される機会が多い。また、洗浄剤のpHによらず、石鹸やシャンプー等も含む種々の洗浄剤には、脂肪酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、直鎖アルキルエーテルスルホン酸ナトリウム等の種々のイオン性界面活性剤も含まれる。さらに、洗浄剤には、オレイン酸、ベヘン酸、ジメチルステアリルアミン、ジメチルココナッツアミン等の疎水性部位を有するアニオン又はカチオンを生成させ得る有機酸や有機塩基が含まれる場合もある。
しかし、特許文献1や特許文献2等に記載される従来の親水化処理剤により表面処理された物品について、酸、及びアルカリや、種々のイオン性界面活性剤や、疎水性部位を有するアニオン又はカチオンを生成し得る有機酸や有機塩基等を含む洗浄剤に曝露されると、表面処理された物品の表面の親水性が経時的に徐々に低下してしまう場合があるという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、表面処理対象物である被処理体に対する表面処理効果をもたらす成分の密着性が良好であり、表面処理された物品が種々の薬剤に晒されても表面処理の効果が経時的に低下しにくい表面処理液と、当該表面処理液を用いる表面処理方法と、前述の表面処理液の成分として好適な樹脂と、当該樹脂の単量体として好適な化合物とを提供することを目的とする。
本発明者らは、樹脂(A)と、溶媒(S)とを含み、樹脂(A)が、エチレン性不飽和二重結合を有する基と、カチオン性基と、アニオン性基と、加水分解性シリル基とを分子内に組み合わせて含む所定の構造のベタインモノマーに由来する構成単位(a1)を含む表面処理液によって、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より詳細には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第1の態様は、樹脂(A)と、溶媒(S)とを含み、
前記樹脂(A)が、下記式(a-1)で表される化合物に由来する構成単位(a1)を含む、表面処理液である。
Figure 0007458938000001
(式(a-1)中、R、及びRは、それぞれ独立にエチレン性不飽和二重結合を有する基であり、Rは、スルホン酸アニオン基、又はカルボン酸アニオン基であり、Rは、加水分解性シリル基であり、X、及びYは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基である。)
である。
本発明の第2の態様は、第1の態様にかかる表面処理液を塗布して、被処理体の表面に被膜を形成することを含む、被処理体の表面に対する表面処理方法である。
本発明の第3の態様は、下記式(a-1)で表される化合物である。
Figure 0007458938000002
(式(a-1)中、R、及びRは、それぞれ独立にエチレン性不飽和二重結合を有する基であり、Rは、スルホン酸アニオン基、又はカルボン酸アニオン基であり、Rは、加水分解性シリル基であり、X、及びYは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基である。)
本発明の第4の態様は、第3の態様にかかる化合物の単独重合体、又は第3の態様にかかる化合物と、エチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体化合物との共重合体である、樹脂である。
本発明によれば、表面処理対象物に対する表面処理効果をもたらす成分の密着性が良好であり、表面処理された物品が種々の薬剤に晒されても表面処理効果が経時的に低下しにくい表面処理液と、当該表面処理液を用いる表面処理方法と、前述の表面処理液の成分として好適な樹脂と、当該樹脂の単量体として好適な化合物とを提供することができる。
実施例1で得た単量体化合物B/Si-1のFT-IRスペクトルを示す図である。 実施例2で得た単量体化合物B/Si-2のFT-IRスペクトルを示す図である。 実施例3で得た単量体化合物B/Si-3のFT-IRスペクトルを示す図である。
≪表面処理液≫
表面処理液は、樹脂(A)と、溶媒(S)とを含む。かかる表面処理液は、樹脂(A)の種類に応じて、表面処理の対象物である被処理体の表面の水に対する親和性を変化させることができる。
以下、表面処理液に関して、任意の成分、必須の成分等について説明する。
〔樹脂(A)〕
樹脂(A)は、エチレン性不飽和二重結合を有する基とカチオン性基とアニオン性基とを有し且つエステル結合及びアミド結合を含まない後述する特定の構造のベタインモノマーに由来する構成単位(a1)を含む。樹脂(A)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、構成単位(a1)以外の構成単位を含んでいてもよい。
樹脂(A)は、表面処理の対象物である被処理体に対して表面処理効果をもたらす成分である。
(構成単位(a1))
樹脂(A)は、樹脂(A)からなる被膜を被処理体の表面に強固に結合させつつ、被処理体の表面の水に対する親和性を調整する目的で、エチレン性不飽和二重結合を有する基とカチオン性基とアニオン性基とを有するベタインモノマー(以下単に「ベタインモノマー」とも記載する)に由来する構成単位(a1)を含む。かかるベタインモノマーは、下記式(a-1)で表される化合物である。
Figure 0007458938000003
(式(a-1)中、R、及びRは、それぞれ独立にエチレン性不飽和二重結合を有する基であり、Rは、スルホン酸アニオン基、又はカルボン酸アニオン基であり、Rは、加水分解性シリル基であり、X、及びYは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基である。)
上記式(a-1)で表されるベタインモノマーは、第四級アンモニウム構造を有するため、Nを含むカチオン性基を有する。また、上記式(a-1)で表されるベタインモノマーは、Rとして、アニオン性基であるスルホン酸アニオン基、又はカルボン酸アニオン基を有する。ベタインモノマーが有するカチオン性基及びアニオン性基は、樹脂(A)において親水性基として作用する。
なお、樹脂(A)における構成単位(a1)の比率が、例えば80モル%以上である場合であっても、絶対的には樹脂(A)が親水的な性質を示すが、構成単位(a1)の含有量が多い樹脂(A)を含む表面処理液を用いて、親水性がある程度高い被処理体を表面処理する場合、表面処理後の被処理体の表面の親水性が、表面処理前の被処理体の表面の親水性よりも低下する場合がある。
表面処理された被処理体の表面は、疎水性基を有するアニオンや疎水性基を有するカチオンを多量に含む洗浄液に接触する場合がある。表面処理液中の樹脂が、カルボキシ基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基等のアニオン性基のみを有する場合、これらのアニオン性基が疎水性基を有するカチオンと反応又は結合することにより、表面処理された被処理体の表面の水との親和性が疎水性側に大きく変化する場合がある。また、表面処理液中の樹脂が、第四級アンモニウム基のようなカチオン性基のみを有する場合、カチオン性基が疎水性基を有するアニオンと反応又は結合することにより、表面処理された被処理体の表面の水との親和性が疎水性側に大きく変化する場合がある。
しかし、樹脂(A)が、カチオン性基及びアニオン性基の双方を有すると、表面処理された被処理体の表面が、疎水性基を有するカチオンを豊富に含む洗浄剤と接触しても、疎水性基を有するアニオンを豊富に含む洗浄剤と接触しても、表面処理された被処理体の表面の水との親和性のレベルを維持しやすい。
このため、被処理体の表面に表面処理液を用いて被膜を形成することにより、表面処理された物品の表面の水の接触角を、35°以下、好ましくは20°以下、さらに好ましくは15°以下、さらにより好ましくは10°以下とすることができる。
構成単位(a1)を与えるベタインモノマーは、エステル結合(R01-COO-R02)及びアミド結合(R03-CONH-R04)のいずれも含まないのが好ましい。R01、及びR03は、水素原子又は有機基である。R02、及びR04は、有機基である。
ベタインモノマーがエステル結合やアミド結合を有する場合、かかるベタインモノマーに由来する構成単位を有する樹脂において、エステル結合やアミド結合の少なくとも一部が酸やアルカリの作用によって加水分解され得る。このため、かかる樹脂を含む表面処理液を用いて表面処理する場合、表面処理された物品が酸やアルカリを含む洗浄剤に接触することにより表面処理効果が低下し得る。
他方、エステル結合及びアミド結合を含まないベタインモノマーによれば、酸やアルカリの作用によるエステル結合やアミド結合の加水分解が抑制され、表面処理効果の低下が抑制される。
構成単位(a1)を与えるベタインモノマーにおける、カチオン性基の数とアニオン性基の数とは、特に限定されない。
構成単位(a1)を与えるベタインモノマーにおいて、カチオン性基の数とアニオン性基の数とが同一であるのが好ましい。
構成単位(a1)を与えるベタインモノマーの合成や入手が容易であることから、構成単位(a1)を与えるベタインモノマーにおける、カチオン性基の数とアニオン性基の数とは、それぞれ1であるのが好ましい。
前述の式(a-1)中、R、及びRは、それぞれ独立にエチレン性不飽和二重結合を有する基である。R、及びRについて、エチレン性不飽和二重結合を有する限り特に限定はない。エチレン性不飽和二重結合を有する基は、炭化水素基であってもよく、O、N、S、P、B、Si、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む有機基であってもよい。
、及びRとしてのエチレン性不飽和二重結合を有する基としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-n-プロペニル基(アリル基)、1-n-ブテニル基、2-n-ブテニル基、及び3-n-ブテニル基等のアルケニル基が挙げられる。これらの基の中では、ビニル基、及び2-n-プロペニル基(アリル基)が好ましく、2-n-プロペニル基(アリル基)基がより好ましい。
式(a-1)において、X、及びYは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基である。置換基としては特に限定されないが、例えば、水酸基、ハロゲン原子、及び炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基等が挙げられる。
2価の脂肪族炭化水素基の構造は特に限定されない。2価の脂肪族炭化水素基の構造は、鎖状であっても、環状であっても、鎖状構造と環状構造との組み合わせてであってもよい。Rとしてのスルホン酸アニオン基、又はカルボン酸アニオン基、並びにRとしての加水分解性シリル基の立体的な自由度の大きさから、X、及びYとしての2価の脂肪族炭化水素基において、R及びRと結合する部分の構造が、鎖状構造であるのが好ましく、直鎖状構造であるのがより好ましい。
としての加水分解性シリル基は、加水分解によりシラノール基を生成させ得るシリル基である。構成単位(a1)において、Rとしてのスルホン酸アニオン基、又はカルボン酸アニオン基と、加水分解性シリル基が同一の単位中に存在することにより、加水分解性基が有する加水分解性基の加水分解が良好に進行しやすい。その結果、構成単位(a1)を有する樹脂は、被処理体の表面に存在する水酸基、アミノ基、カルボキシ基等の官能基と容易且つ強固に結合しやすい。その結果、樹脂(A)を含む表面処理液を用いて表面処理を行うと、樹脂(A)が被処理体の表面から脱落しにくく、表面処理効果が長期間保持される。
加水分解性シリル基の好適な例としては、-SiR 3-aで表される基が挙げられる。ここで、Rは、アルコキシ基、及びハロゲン原子等の加水分解によりシラノール基を生成させ得る基である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、及びn-ブチルオキシ基等の炭素原子数以下の1以上4以下のアルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、及び臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
は、本発明の目的を阻害しない範囲であって、加水分解によりシラノール基を生成させ得る基に該当しない種々の有機基であってよい。かかる有機基としては、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基が好ましい。炭化水素基は、脂肪族基であっても、芳香族基であってもよい。炭化水素基の構造は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であってもこれらの組み合わせでもよい。炭素原子数1以上10以下の炭化水素基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基、ベンジル基、及びフェネチル基等が挙げられる。これらの中では、メチル基、及びエチル基が好ましい。
以上説明した炭化水素基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、及びシアノ基等の置換基を有していてもよい。
aとしては2又は3が好ましく、3がより好ましい。また、aが2又は3の場合、被処理体表面において隣接して存在する-SiR 3-aで表される基の間でも縮合反応が生じやすい。その結果、表面処理液を用いて形成される被膜中に、被処理体の表面に沿って広がるシロキサン結合のネットワークが形成されることにより、樹脂(A)を、被処理体表面に特に強固に結合させやすい。
-SiR 3-aで表される加水分解性シリル基の好適な具体例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、及びエチルジエトキシシリル基が挙げられる。
式(a-1)において、X、及びYは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基の構造は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であっても、これらの構造の組み合わせでもよい。脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、特に限定されず、例えば、1以上10以下が好ましく、1以上8以下がより好ましい。X、及びYとしての脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、及びデカン-1,10-ジイル基が好ましい。
以上説明した炭化水素基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、及びシアノ基等の置換基を有していてもよい。
また、Xとしては、下記の基も好ましい。下記の基において、**で示された結合手は窒素原子に結合し、*で示された結合手はRに結合する。
Figure 0007458938000004
式(a-1)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。式(a-1)で表される化合物は、例えば、R-NH-Rで表されるジアミン化合物を原料として以下の方法により製造できる。
まず、R-NH-Rで表される第二級アミン化合物を、Hal-Y-Rで表されるハロゲン化化合物により常法に従い第三級化する。典型的には、この第三級化反応は、アセトニトリル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等の不活性な溶媒中で、30℃以上200℃以下程度の温度で1時間以上48時間以下の時間行われる。反応温度は、50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上130℃以下がより好ましい。第三級化反応は、第一級アミン、又は第二級アミンに該当しない、トリエチルアミン等の有機塩基の存在下に行うことができる。
次いで、得られた第三級アミン化合物を、Hal-X-Rで表されるハロゲン化化合物により第四級化することにより式(a-1)で表される化合物が得られる。第四級化反応は、上記の第三級化反応と同様に行うことができる。
Hal-X-Rで表されるハロゲン化化合物により第二級アミン化合物の第三級化を行った後に、Hal-Y-Rで表されるハロゲン化化合物による第四級化を行ってもよい。なお、上記のハロゲン化化合物における、X、Y、R、及びRは、式(a-1)中のこれらと同様である。Halは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子である。
Figure 0007458938000005
上記の方法以外の方法としては、R-NH-Rで表される第二級アミン化合物を、Hal-X-Rで表されるハロゲン化化合物により常法に従い第三級化させた後に、得られた第三級アミンにスルトンを反応させる方法が挙げられる。
第三級化反応は、前述したように行われる。
第三級アミン化合物とスルトンとの反応は、例えば、アセトニトリル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等の不活性な溶媒中で、30℃以上200℃以下程度の温度で1時間以上48時間以下の時間行われる。なお、下記式では、1,4-ブタンスルトンを用いた第四級化反応について示す。スルトンとしては、4員環以上10員環以下のスルトンが挙げられ、1,3-プロパンスルトン、及び1,4-ブタンスルトンが好ましい。
Figure 0007458938000006
さらに、R-NH-Rで表される第二級アミン化合物の第三級化は、下記式で表されるエポキシ化合物を用いて行われてもよい。下記式において、R、R、及びRは、水素原子又は1価脂肪族炭化水素基である。R10は、2価の脂肪族炭化水素基である。Rは、R10と結合して環を形成してもよい。第三級アミン化合物とエポキシ化合物との反応は、例えば、アセトニトリル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等の不活性な溶媒中で、30℃以上200℃以下程度の温度で1時間以上48時間以下の時間行われる。
下記式に記載の方法により、第二級アミンの第三級化を行った後、スルトンを用いる前述の方法により式(a-1)に包含される第四級アミン化合物が得られる。下記式では、1,4-ブタンスルトンを用いた第四級化反応について示す。
Figure 0007458938000007
以上説明した式(a-1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007458938000008
Figure 0007458938000009
以上説明した式(a1-1)で表される化合物は、単独重合体として使用されてもよく、エチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体化合物との共重合体として使用されてもよい。
樹脂(A)における前述の式(a1-1)で表される化合物からなるベタインモノマーに由来する構成単位(a1)の比率は特に限定されない。樹脂(A)の全構成単位に対する、構成単位(a1)の比率は、例えば20モル%以上100モル%以下が好ましく、30モル%以上100モル%以下がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましい。
樹脂(A)は、前述の式(a1-1)で表される化合物からなるベタインモノマーに由来する構成単位(a1)とともに、他の構成単位(a2)を含んでいてもよい。他の構成単位(a2)の好適な例としては、式(a1-1)で表される化合物からなるベタインモノマー以外の他のベタインモノマーに由来する構成単位が挙げられる。
他のベタインモノマーの好適な例としては、下記式(a2-i)又は式(a2-ii)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 0007458938000010
(式(a2-i)中、
a1は、エチレン性不飽和二重結合を含む炭化水素基であり、
a2は、炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基であり、
Rは、アニオン性基であり、
環Aは、複素環である。)
Figure 0007458938000011
(式(a2-ii)中、Ra3、Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、エチレン性不飽和二重結合を有する炭化水素基、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、
a3、Ra4及びRa5のうちの少なくとも1つは、エチレン性不飽和二重結合を有する炭化水素基であり、
a6は、炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基であり、
Rは、アニオン性基である。)
式(a2-i)において、Ra1としてのエチレン性不飽和二重結合を含む炭化水素基としては、式(a2-1)について前述したエチレン性不飽和二重結合を有する基と同様の基が挙げられる。
式(a2-i)において、Ra2としての2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、及びアルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基が挙げられ、アルキレン基が好ましい。
a2としてのアルキレン基の好適な具体例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、及びデカン-1,10-ジイル基が挙げられる。
式(a2-i)において、環Aとしての複素環は、芳香族複素環でもあっても脂肪族複素環であってもよい。
芳香族複素環としては、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3-トリアゾール環、1,2,4-トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環及びピラジン環等の含窒素芳香族複素環において、当該含窒素芳香族複素環中の任意の1つの窒素原子が四級化された環が挙げられる。
脂肪族複素環としては、ピロリジン環、ピペリジン環及びピペラジン環等の含窒素複素環において、当該含窒素複素環中の任意の1つの窒素原子が四級化された環が挙げられる。
式(a2-ii)において、Ra3~Ra5としてのエチレン性不飽和二重結合を含む炭化水素基としては、上記エチレン性不飽和二重結合を有する基と同様の基が挙げられる。
式(a2-ii)において、Ra3~Ra5としての炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。
a3~Ra5としての炭化水素基は置換基を有していてもよい。Ra3~Ra5としての炭化水素基が有していてもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。当該置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上4以下のアシル基、炭素原子数2以上4以下のアシルオキシ基、アミノ基、及び1つ又は2つの炭素原子数1以上4以下のアルキル基で置換されたアルキルアミノ基等が挙げられる。
a3~Ra5としてのアルキル基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、及びn-デシル基が挙げられる。
式(a2-ii)において、Ra6としての2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、及びアルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基が挙げられ、アルキレン基が好ましい。
a6としてのアルキレン基の好適な具体例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、及びデカン-1,10-ジイル基が挙げられる。
アニオン性基がスルホン酸アニオン基であるベタインモノマーとしては、合成や入手が容易であることから、下記式(a2-iii)又は式(a2-iv)で表されるモノマーが好ましい。
Figure 0007458938000012
(式(a2-iii)中、Ra1、Ra2、及び環Aは、式(a2-i)におけるRa1、Ra2、及び環Aと同様である。)
Figure 0007458938000013
(式(a2-iv)中、Ra3、Ra4、Ra5、及びRa6は、式(a2-ii)におけるRa3、Ra4、Ra5、及びRa6と同様である。)
上記式(a2-iii))又は式(a2-iv)で表されるモノマーとしては、下記式(a2-v)、(a2-vi)又は(a2-vii)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 0007458938000014
(式(a2-v)、(a2-vi)、及び(a2-vii)中、Ra2は、式(a2-iii)におけるRa2と同様であり、Ra5及びRa6は、式(a2-iv)におけるRa5及びRa6と同様であり、Ra11及びRa12は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であり、Ra13及びRa14は、それぞれ独立に、単結合、又は炭素原子数1以上4以下のアルキレン基である。)
式(a2-v)、(a2-vi)及び(a2-vii)において、Ra13及びRa14としての炭素原子数1以上4以下のアルキレン基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、及びブタン-1,4-ジイル基が挙げられる。
アニオン性基がホスホン酸アニオン基やカルボン酸アニオン基であるベタインモノマーとしては、上記式(a2-iii)又は式(a2-iv)で表されるモノマーや、上記式(a2-v)、(a2-vi)又は(a2-vii)で表されるモノマーにおける、スルホン酸アニオン基(-SO )が、ホスホン酸アニオン基(-(PO2-)やカルボン酸アニオン基(-COO)に置き換わったモノマーが挙げられる。
構成単位(a2)を与える他のベタインモノマーの具体例としては、下記式の化合物や、下記式の化合物における、スルホン酸アニオン基(-SO )が、ホスホン酸アニオン基(-(PO2-)やカルボン酸アニオン基(-COO)に置き換わったモノマーが挙げられる。
Figure 0007458938000015
構成単位(a2)を与える上記の他のベタインモノマーは、公知の反応により合成することができる。例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する基とカチオン性基となる基とを有する化合物に、アニオン性基を有する化合物を反応させることにより得られる。具体例としては、例えば式(a2-iii)で表される化合物は、下記化合物とスルトンとを、溶媒中で反応させることにより得られる。スルトンとしては、4員環以上10員環以下のスルトンが挙げられ、1,3-プロパンスルトン、及び1,4-ブタンスルトンが好ましい。
Figure 0007458938000016
(式中、Ra1は、上記(a2-i)におけるRと同様であり、環Aは、複素環である。)
構成単位(a2)を与える他のベタインモノマーとしては、下記式(a2-viii)で表される化合物も好ましい。
CH=CRa15-CO-NH-Ra16-N(Ra17)(Ra18)-Ra19-Ra20・・・(a2-viii)
(式(a2-viii)中、Ra15は水素原子又はメチル基であり、Ra16及びRa19は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基であり、Ra17及びRa18は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra20は、スルホン酸アニオン基(-SO )、ホスホン酸アニオン基(-(PO2-)、又はカルボン酸アニオン基(-COO)である。)
式(a2-viii)において、Ra16及びRa19としての2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、及びアルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基が挙げられ、アルキレン基が好ましい。
a16及びRa19としてのアルキレン基の好適な具体例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、及びデカン-1,10-ジイル基が挙げられる。
式(a2-viii)において、Ra17及びRa18としての炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。
a17及びRa18としての炭化水素基は置換基を有していてもよい。Ra17及びRa18としての炭化水素基が有していてもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。当該置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上4以下のアシル基、炭素原子数2以上4以下のアシルオキシ基、アミノ基、及び1つ又は2つの炭素原子数1以上4以下のアルキル基で置換されたアルキルアミノ基等が挙げられる。
a17及びRa18としてのアルキル基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、及びn-デシル基が挙げられる。
式(a2-viii)において、Ra20は、スルホン酸アニオン基(-SO )、ホスホン酸アニオン基(-PO 2-)、又はカルボン酸アニオン基(-COO)であり、スルホン酸アニオン基(-SO )が好ましい。
式(a2-viii)で表されるN置換(メタ)アクリルアミドの好適な例としては、下記式の化合物が挙げられる。下記式において、Ra15は水素原子又はメチル基である。
Figure 0007458938000017
構成単位(a2)は、アニオン性基、アニオン化され得る官能基、カチオン性基、又はカチオン化され得る官能基を有する非ベタインモノマーに由来する構成単位であってもよい。樹脂(A)中のこれらの官能基は、被処理体に対して親水性をもたらす。
カチオン性基に由来するカチオンは、例えば、N、C、B、及びP等を含むカチオンであるのが好ましく、Nを含むカチオンであるのがより好ましい。
カチオン性基としては、樹脂(A)の入手の容易性や、良好な表面処理効果を得やすいことから、環式、又は非環式のアミノ基や、4級アンモニウム塩基が好ましい。
上記のカチオン性基、又はカチオン化され得る官能基を有する非ベタインモノマーとしては、例えば、下記式(a2)で表される化合物が好ましい。
CH=CRa21-(CO)-Ra22・・・(a2-ix)
(式(a2-ix)中、Ra21は水素原子又はメチル基であり、Ra22は-Y-Ra23-Ra24で表される基、又はアミノ基であり、Yは、-O-、又は-NH-であり、Ra23は置換基を有してもよい2価の有機基であり、Ra24は炭素原子数1以上6以下の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基、又は-Na25a26a27・Zで表される第四級アンモニウム塩基であり、Ra25、Ra26、及びRa27は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上6以下の炭化水素基であり、Zは対アニオンであり、pは0又は1である。)
上記式(a2-ix)中、Ra22が-Y-Ra23-Ra24で表される基である場合、Ra23は置換基を有してもよい2価の有機基である。2価の有機基としては特に限定されないが、2価の炭化水素基が好ましい。2価の炭化水素基の炭素原子数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。樹脂(A)の入手や調製が容易である事から、Ra23が2価の炭化水素基である場合、2価の炭化水素基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上10以下が特に好ましく、1以上6以下が最も好ましい。
a23としての2価の炭化水素基は、脂肪族基でも、芳香族基でも、脂肪族部分と芳香族部分とを含む炭化水素基であってもよい。2価の炭化水素基が、脂肪族基である場合、当該脂肪族基は、飽和脂肪族基でも不飽和脂肪族基でもよい。また、当該脂肪族基の構造は、直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、これらの構造の組み合わせであってもよい。
a23の好適な具体例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、n-ブタン-1,4-ジイル基、n-ペンタン-1,5-ジイル基、n-ヘキサン-1,6-ジイル基、n-ヘプタン-1,7-ジイル基、n-オクタン-1,8-ジイル基、n-ノナン-1,9-ジイル基、n-デカン-1,10-ジイル基、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ビフェニル-4,4’-ジイル基等が挙げられる。
a23としての2価の炭化水素基が置換基を有する場合、当該置換基としては、水酸基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上6以下の脂肪族アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
a24が炭素原子数1以上6以下の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基である場合、その好適な具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-n-ペンチルアミノ基、ジ-n-ヘキシルアミノ、及びジフェニルアミノ基が挙げられる。
a24が-Na25a26a27・Zで表される4級アンモニウム塩基である場合、Ra25、Ra26、及びRa27は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上6以下の炭化水素基であり、Zは対アニオンである。
炭素原子数1以上6以下の炭化水素基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、及びフェニル基が挙げられる。
としての対アニオンは、1価のアニオンであれば特に限定されずハロゲン化物イオンが好ましい。ハロゲン化物イオンの好適な例としては、塩化物イオン、臭化物イオン、及びヨウ化物イオンが挙げられる。
以上説明した式(a2-ix)で表される化合物に由来する構成単位の好適な具体例としては、下記の構成単位a2-ix-1~a2-ix-24が挙げられる。これらの構成単位の中では、単量体化合物の入手が容易である点や、良好な表面処理効果を得やすいことから、構成単位a2-ix-1~a2-ix-4、a2-ix-17、及びa2-18が好ましい。
Figure 0007458938000018
アニオン化され得る官能基は、典型的には、ブレンステッド酸性を示す官能基、及びブレンステッド酸性を示す官能基の塩である。ブレンステッド酸性を示す官能基の好適な例としては、カルボキシ基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、及びフェノール性水酸基が挙げられる。
これらのブレンステッド酸性基は、対カチオンとともに塩を形成してもよい。対カチオンは、特に限定されず、有機カチオンであっても、金属イオンのような無機カチオンであってもよく、金属イオンが好ましい。金属イオンとしては、アルカリ金属イオンが好ましく、例えば、Li+、Na+、K+、及びSr+が好ましい。
アニオン化され得る官能基としてブレンステッド酸性基を有する非ベタインモノマーとしては、下記式(a2-x)で表される化合物が好ましい。
CH=CRa31-(CO)-Ra32・・・(a2-x)
(式(a2-x)中、Ra31は水素原子又はメチル基であり、Ra32は、水酸基、又は-A-Ra33-Ra34で表される基であり、Aは単結合、-O-、又は-NH-であり、Ra33は置換基を有してもよい2価の有機基であり、Ra34はブレンステッド酸性基であり、bは0又は1である。ただし、bが0である場合、Ra32は水酸基でなく、且つAは単結合である。)
上記式(a2-x)中、Ra32が-A-Ra33-Ra34で表される基である場合、Ra33は置換基を有してもよい2価の有機基である。2価の有機基としては特に限定されないが、2価の炭化水素基が好ましい。2価の炭化水素基の炭素原子数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。樹脂(A)の入手や調製が容易である事から、Ra33が2価の炭化水素基である場合、2価の炭化水素基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上10以下が特に好ましく、1以上6以下が最も好ましい。
a33としての2価の炭化水素基は、脂肪族基でも、芳香族基でも、脂肪族部分と芳香族部分とを含む炭化水素基であってもよい。2価の炭化水素基が、脂肪族基である場合、当該脂肪族基は、飽和脂肪族基でも不飽和脂肪族基でもよい。また、当該脂肪族基の構造は、直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、これらの構造の組み合わせであってもよい。
a33の好適な具体例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、n-ブタン-1,4-ジイル基、n-ペンタン-1,5-ジイル基、n-ヘキサン-1,6-ジイル基、n-ヘプタン-1,7-ジイル基、n-オクタン-1,8-ジイル基、n-ノナン-1,9-ジイル基、n-デカン-1,10-ジイル基、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ビフェニル-4,4’-ジイル基等が挙げられる。
a33としての2価の炭化水素基が置換基を有する場合、当該置換基としては、水酸基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上6以下の脂肪族アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
a34としてのブレンステッド酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、及びフェノール性水酸基が好ましく、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及びフェノール性水酸基がより好ましい。
a34がフェノール性水酸基でない場合、-Ra33-Ra34で表されるとしては、以下の基が好ましい。下記構造式において、Ra34はフェノール性水酸基以外のブレンステッド酸性基である。
Figure 0007458938000019
以上説明した式(a2-x)で表される化合物に由来する構成単位の好適な具体例としては、下記の構成単位a2-x-1~a2-x-20が挙げられる。これらの構成単位の中では、単量体化合物の入手が容易である点や、良好な表面処理効果を得やすいことから、構成単位a2-x-1~a2-x-10、a2-x-19、及びa2-x-20が好ましい。
Figure 0007458938000020
樹脂(A)は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1以上の基を有する構成単位を、構成単位(a2)として含んでいてもよい。樹脂(A)がかかる構成単位を含む場合、樹脂(A)の被処理体表面への密着性が良好である傾向がある。
なお、ブレンステッド酸性基としてカルボキシ基を有する前述の構成単位は、当然、カルボキシ基を有する構成単位に該当する。
水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1以上の基を有する構成単位を与えるモノマーとしては、下記式(a2-xi)で表される化合物が好ましい。
CH=CRa41-(Ra42-CO-Ra43・・・(a2-xi)
(式(a2-xi)中、Ra41は水素原子又はメチル基であり、Ra42は2価の炭化水素基であり、cは0又は1であり、Ra43は、-OH、-O-Ra44、又は-NH-Ra44であり、Ra44は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1以上の官能基で置換された炭化水素基である。)
上記式(a2-xi)中、Ra42は2価の炭化水素基である。2価の炭化水素基の炭素原子数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。樹脂(A)の入手や調製が容易である事から、Ra42としての2価の炭化水素基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上10以下が特に好ましく、1以上6以下が最も好ましい。
a42としての2価の炭化水素基は、脂肪族基でも、芳香族基でも、脂肪族部分と芳香族部分とを含む炭化水素基であってもよい。2価の炭化水素基が、脂肪族基である場合、当該脂肪族基は、飽和脂肪族基でも不飽和脂肪族基でもよい。また、当該脂肪族基の構造は、直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、これらの構造の組み合わせであってもよい。
a42の好適な具体例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、n-ブタン-1,4-ジイル基、n-ペンタン-1,5-ジイル基、n-ヘキサン-1,6-ジイル基、n-ヘプタン-1,7-ジイル基、n-オクタン-1,8-ジイル基、n-ノナン-1,9-ジイル基、n-デカン-1,10-ジイル基、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ビフェニル-4,4’-ジイル基等が挙げられる。
a43は、-OH、-O-Ra44、又は-NH-Ra44である。Ra44は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1以上の官能基で置換された炭化水素基である。
a44の基の主骨格を構成する炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基の炭素原子数は1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましい。
直鎖状、又は分岐鎖状の脂肪族基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
環状の脂肪族基の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等のシクロオクチル基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、及びテトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基や、これらのポリシクロアルカンのC1-C4アルキル置換体から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
芳香族炭化水素基の好適な例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、及びビフェニリル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基は、メチル基、エチル基等のC1-C4アルキル基で置換されていてもよい。
式(a2-xi)で表される化合物に由来する構成単位の特に好ましい具体例としては、下記a2-xi-1~a2-xi-9の構成単位が挙げられる。下記a2-xi-1~a2-xi-9の単位の中では、a2-xi-1~a2-xi-4の構成単位がより好ましい。
Figure 0007458938000021
以上説明した化合物以外の、樹脂(A)における構成単位(a2)を与える化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸フェニル、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ペンチル(メタ)アクリルアミド、N-イソペンチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-ペンチル(メタ)アクリルアミド、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、及びクロルスチレン、ジアリルアミン、メチルジアリルアミン、エチルジアリルアミン、トリアリルアミン等が挙げられる。
(樹脂(A)の合成方法)
樹脂(A)は、構成単位(a1)を与えるベタインモノマーである前述の式(a-1)で表される化合物と、必要に応じて構成単位(a2)を与えるモノマーとを、周知の方法に従って重合させることにより調製できる。好ましい方法としては、樹脂(A)を構成する構成単位を与えるモノマーを、重合開始剤の存在下に、ラジカル重合させる方法が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、アゾ重合開始剤が挙げられる。このような重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(ジヒドロクロリド)、2,2’-アゾビス[2-(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[N-(4-クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[N-(4-ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(N-ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(N-アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[N-(4-ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の使用量は、重合反応を良好に行うことができれば特に限定されない。重合開始剤の使用量は、モノマー全体のモル数に対して、0.1モル%以上20モル%以下が好ましく、0.1モル%以上15モル%以下がより好ましい。
表面処理液の質量に対する、樹脂(A)の質量の比率は、特に限定されないが、0.1質量%5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましい。
<電解質(B)>
表面処理液は電解質(B)を含んでいてもよい。表面処理液が電解質(B)を含む場合、表面処理液に、樹脂(A)を均一且つ安定して溶解させやすい。
なお、電解質(B)は、樹脂(A)以外の物質である。例えば、樹脂(A)に該当し、表面処理液中で電離し得る高分子化合物については、電解質(B)ではなく樹脂(A)として定義される。
電解質(B)の種類は、樹脂(A)を分解させたりしない物質であれば特に限定されない。
電解質(B)の種類は、特に限定されない。電解質(B)は、塩酸、塩化ナトリウム、及び塩化カリウム等の一般的に強電解質とされる物質であっても、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム等)やカチオン性界面活性剤(例えば、塩化ベンザルコニウム等)等の一般的に弱電解質とされる物質であってもよい。
入手が容易で安価であること等から、電解質(B)の好適な例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、過塩素酸、塩酸、及び硫酸等が挙げられる。
電解質(B)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、表面処理液に対する溶解性等を勘案して適宜定められる。
電解質(B)の含有量は、例えば、樹脂(A)100質量部に対して、0質量部以上700質量部以下が好ましく、0質量部以上600質量部以下がより好ましく、0質量部以上500質量部以下がさらに好ましい。
〔溶媒(S)〕
表面処理液は、溶媒(S)を含む。溶媒(S)は、水であっても、有機溶剤であっても、有機溶剤の水溶液であってもよい。溶媒(S)としては、樹脂(A)の溶解性、表面処理の作業の安全性、及び低コストである点等から、水が好ましい。
溶媒(S)として使用される有機溶剤の好適な例としては、アルコールが挙げられる。該アルコールとしては、脂肪族アルコールが挙げられ、炭素原子数1以上3以下のアルコールが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、及びイソプロピルアルコール(IPA)が挙げられ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。該アルコールは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒(S)における水の含有量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
〔その他の成分〕
表面処理液は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤の例としては、熱重合禁止剤、光重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、消泡剤、及び粘度調整剤等が挙げられる。これらの添加剤の含有量は、これらの添加剤の通常使用される量を勘案して、適宜決定される。
≪表面処理方法≫
表面処理方法は、被処理体の表面の水に対する親和性を所望する程度に調整できるように、被処理体の表面に樹脂(A)を結合又は付着させることができる方法であれば特に限定されない。
典型的には、表面処理方法は、前述の表面処理液を塗布して、被処理体の表面に被膜を形成することを含む。ただし、被処理体の表面の水に対する親和性が所望する程度に調整される限りにおいて、被処理体の表面処理される表面の全面に均一な被膜が形成される必要はない。
表面処理方法は、さらに、表面処理液の塗布後に、被処理体の表面をリンス液によりリンスすることを含むのが好ましい。
以下、表面処理液を塗布して、被処理体の表面に被膜を形成することを「塗布工程」とも記す。また、表面処理液の塗布後に、被処理体の表面をリンス液によりリンスすることを「リンス工程」とも記す。
以下、塗布工程、リンス工程、及び表面処理液について詳細に説明する。
<塗布工程>
塗布工程では、前述の表面処理液を被処理体の表面に塗布して被膜を形成する。
塗布方法は特に限定されない。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法等が挙げられる。被処理体が基板である場合、基板の表面に、均一な膜厚の被膜をむらなく形成しやすいことから、塗布方法としてスピンコート法が好ましい。
被処理体の表面処理液が塗布される面の材質は特に限定されず、有機材料であっても、無機材料であってもよい。
有機材料としては、PET樹脂やPBT樹脂等のポリエステル樹脂、各種ナイロン、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、及びシリコーン樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のポリオルガノシロキサン等)等、種々の樹脂材料が挙げられる。
また、種々のレジスト材料に含まれる感光性の樹脂成分や、アルカリ可溶性の樹脂成分も有機材料として好ましい。
無機材料としては、ガラス、シリコンや、銅、アルミニウム、鉄、タングステン等の種々の金属が挙げられる。金属は、合金であってもよい。
被処理体の形状は特に限定されない。被処理体は平坦であってもよく、例えば、球状や、柱状等の立体形状であってもよい。
被処理体は、洗浄剤等の薬品に曝露される場合がある。被処理体の表面に付着する被膜が種々の薬品に曝露されると、薬品の種類によっては、被膜によりもたらされた表面処理効果が大きく損なわれることが懸念される。しかしながら、上述の表面処理液を用いることにより、表面処理された表面が種々の薬品に接触した場合の表面処理効果の低下を抑制できる。そのため、洗浄液等の薬品に曝露されることが多い被処理体、例えば、窓、鏡、家具、光学装置(例えば、レンズを有する装置)が備えるガラス部材や、透光性樹脂部材を、被処理体とすることで、表面処理効果についての薬品耐性を特に発揮することができる。
表面処理液を被処理体の表面に塗布した後は、周知の乾燥方法により、必要に応じて、表面処理液からなる被膜から溶媒(S)の少なくとも一部を除去してもよい。
塗布工程において形成される被膜の膜厚は、特に限定されない。塗布工程において形成される被膜の厚さは、例えば、1μm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。
塗布工程によって形成される被膜の厚さは、表面処理液の固形分濃度、塗布条件等を調整することにより調整可能である。
<リンス工程>
リンス工程では、表面処理液の塗布後に、被処理体の表面をリンス液によりリンスする。リンスによって、被処理体の表面に形成される被膜を薄膜化できる。
リンス液としては、所望の膜厚の被膜を形成できる限り特に限定されない。リンス液としては、水、有機溶剤、及び有機溶剤の水溶液を用いることがでる。リンス液としては水が好ましい。
被膜をリンスする方法としては、特に限定されない。典型的には、前述の塗布方法と同様の方法によって、リンス液を被膜に接触させることにより、リンスが行われる。
なお、リンスを行う前に、被膜を加熱し、被膜に含まれる溶媒(S)の一部又は全部を除去してもよい。加熱温度は、被処理体や樹脂(A)の劣化や分解が生じない温度であれば特に限定されない。典型的な加熱温度としては、50℃以上300℃以下程度の温度が挙げられる。加熱時間は特に制限されず、例えば、5秒以上24時間以下であり、10秒以上6時間以下が好ましい。
リンス後に得られる被膜の膜厚は、例えば、10nm以下が好ましく、0.1nm以上10nm以下がより好ましく、0.1nm以上8nm以下がさらに好ましく、0.5nm以上5nm以下がさらにより好ましく、0.5nm以上3nm以下が特に好ましい。
被膜の厚さは、表面処理液の固形分濃度、塗布条件、リンス液の使用量、リンス液の種類、及びリンス液の温度等を調整することにより調整可能である。
リンス後、必要に応じて被処理体を乾燥させた後、被処理体は種々の用途に好適に使用される。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されない。
〔実施例1〕
ジアリルアミン1.5gと、3-クロロプロピルトリメトキシシラン3.07gと、トリエチルアミン0.16gを、アセトニトリル中で80℃24時間攪拌して反応させて、N-3-トリメトキシプロピル-N,N-ジアリルアミンを得た。得られたN-3-トリメトキシプロピル-N,N-ジアリルアミン4.0gと、1,4-ブタンスルトン2.69gとを、アセトニトリル中で80℃12時間攪拌して反応させて下記構造の単量体化合物B/Si-1を4.7g得た。得られた単量体化合物B/Si-1のFT-IRスペクトルを、図1に記す。
Figure 0007458938000022
〔実施例2〕
ジアリルアミン1.6gと、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン3.9gとを、アセトニトリル中で100℃24時間攪拌して反応させて、下記構造の第三級アミン化合物を得た。
Figure 0007458938000023
得られた第三級アミン化合物4.0gと、1,4-ブタンスルトン1.6gとを、アセトニトリル中で80℃12時間攪拌して反応させて下記構造の単量体化合物B/Si-23.6gを得た。得られた単量体化合物B/Si-2のFT-IRスペクトルを、図2に記す。
Figure 0007458938000024
〔実施例3〕
ジアリルアミン1.6gと、5,6-エポキシへキシルトリメトキシシラン4.2gとを、アセトニトリル中で100℃24時間攪拌して反応させて、下記構造の第三級アミン化合物を得た。
Figure 0007458938000025
得られた第三級アミン化合物4.0gと、1,4-ブタンスルトン1.5gとを、アセトニトリル中で80℃12時間攪拌して反応させて下記構造の単量体化合物B/Si-3を3.3g得た。得られた単量体化合物B/Si-3のFT-IRスペクトルを、図3に記す。
Figure 0007458938000026
〔調整例1〕
ジアリルメチルアミン4.5gと1,4-ブタンスルトン5.5gとを、アセトニトリル中で80℃12時間攪拌して反応させることにより、下記構造のベタインモノマーB-1を得た。
Figure 0007458938000027
〔調整例2〕
4-ビニルピリジン4.5gと1,4-ブタンスルトン5.8gとを、アセトニトリル中で80℃12時間攪拌して反応させることにより、下記構造のベタインモノマーB-2を得た。
Figure 0007458938000028
〔実施例4~11、及び比較例1~3〕
実施例4~7、及び比較例1~3において、表1に記載の組成の単量体を単独重合又は共重合して樹脂を得た。
実施例3~7、及び比較例1~3において、上記のB/Si-1、B/Si-2、B-1、及びB-2以外に下記の単量体化合物を用いた。
具体的には、表1に記載の種類及び量(mmol)の単量体化合物及び重合開始剤を、モノマー濃度が40質量%の水溶液とし、80℃で4時間、窒素雰囲気下でラジカル重合を行い、樹脂の水溶液、又は懸濁液を得た。重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩を用いた。
なお、比較例1では、単量体化合物が溶解せず、樹脂を得ることができなかった。このため、比較例1については、得られた樹脂を用いて調製された表面処理液の評価を行わなかった。
Figure 0007458938000029
各実施例、比較例で得られた樹脂の水溶液、又は懸濁液に対して、樹脂の質量の4倍の塩化ナトリウムを加えて表面処理液を得た。塩化ナトリウムを添加することにより、表面処理液が清澄になった。得られた表面処理液を用いて、以下の評価を行った。
<水接触角>
シリコンウエハー上に表面処理液を1000rpm、60秒の条件でスピンコートした後、ウエハーを80℃で60秒間加熱した。次いで、ウエハー表面を水洗して、上記の樹脂からなる単分子膜レベルの膜厚の被膜をウエハー上に形成した。
Dropmaster700(協和界面科学株式会社製)を用い、シリコンウエハーの表面処理された表面に純水液滴(2.0μL)を滴下して、滴下10秒後における接触角として、水の接触角を測定した。シリコンウエハー上の3点の水の接触角の平均値を、表1に記す。
なお、未処理のシリコンウエハーの水の接触角は13.8°である。
<薬液耐性>
水接触角の測定と同様の方法で表面処理されたシリコンウエハーを、アニオン性の薬液である濃度1質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬した。その後、シリコンウエハーの表面を純水で1分間シャワー洗浄した。洗浄後のシリコンウエハーの表面処理された表面の水接触角を上記の方法に従って測定した。測定された水の接触角を表1に記す。
また、実施例4の表面処理液で表面処理されたシリコンウエハーと、実施例5の表面処理液で表面処理されたシリコンウエハーとについては、濃度1質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液を、カチオン性の薬液である濃度1質量%のドデシルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液に変えることの他は、上記の方法と同様にして、カチオン性の薬液に対する薬液耐性の試験を行った。カチオン性の薬液への浸漬、及び純水洗浄後のシリコンウエハーの水接触角を表1に記す。
なお、表面処理されていないシリコンウエハーについても、上記のカチオン性の薬液に対する試験を行った。その結果、カチオン性の薬液への浸漬、及び純水洗浄後のシリコンウエハーの水接触角は71.2°であった。未処理のシリコンウエハーの表面には、活性なSi-OH基が存在するため、シリコンウエハーの表面にドデシルトリメチルアンモニウムクロリドが吸着又は結合され、その結果として水接触角の値が大きくなったと考えられる。
<S2s強度>
水接触角の測定と同様の方法で表面処理されたシリコンウエハーの表面について、X線光電子分光法(XPS)により測定して、樹脂が有するスルホン酸アニオン基、又はスルホン酸基に含まれるSに由来する、S2sピークの強度を測定した。S2sピーク強度の値が大きいほど、樹脂が良好に基板に結合していると言える。
Figure 0007458938000030
実施例4~11によれば、式(a-1)で表される化合物に該当するB/Si-1又はB/Si-2に由来する構成単位(a1)を含む樹脂(A)を含有する表面処理液を用いて表面処理すると、樹脂(A)の種類に応じて非処理体の表面の親水性が調整されることが分かる。また、薬液耐性試験の結果から、構成単位(a1)を含む樹脂(A)を含有する表面処理液を用いて表面処理すると、ドデシル硫酸ナトリウムやドデシルトリメチルアンモニウムクロリドのようなイオン性の薬液に表面処理された面を接触させても親水化の効果が損なわれにくいことが分かる。さらに、S2s強度の測定結果から、構成単位(a1)を含む樹脂(A)は、良好に非処理体表面に結合することが分かる。

Claims (9)

  1. 樹脂(A)と、溶媒(S)とを含み、
    前記樹脂(A)が、下記式(a-1)で表される化合物に由来する構成単位(a1)を含む、表面処理液。
    Figure 0007458938000031
    (式(a-1)中、R、及びRは、それぞれ独立にエチレン性不飽和二重結合を有する基であり、Rは、スルホン酸アニオン基、又はカルボン酸アニオン基であり、Rは、加水分解性シリル基であり、X、及びYは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基である。)
  2. 前記樹脂(A)の全構成単位に対する、前記構成単位(a1)の比率が20モル%以上である、請求項1に記載の表面処理液。
  3. 前記表面処理液中の、前記樹脂(A)の含有量が、0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1又は2に記載の表面処理液。
  4. さらに、電解質(B)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理液。
  5. 前記溶媒(S)が、水を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理液。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の表面処理液を塗布して、被処理体の表面に被膜を形成することを含む、被処理体の表面に対する表面処理方法。
  7. さらに、前記表面処理液の塗布後に、前記被処理体の表面をリンス液によりリンスすることを含む、請求項6記載の表面処理方法。
  8. 下記式(a-1)で表される化合物。
    Figure 0007458938000032
    (式(a-1)中、R、及びRは、それぞれ独立にエチレン性不飽和二重結合を有する基であり、Rは、スルホン酸アニオン基、又はカルボン酸アニオン基であり、Rは、加水分解性シリル基であり、X、及びYは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基である。)
  9. 請求項8に記載の化合物の単独重合体、又は請求項8に記載の化合物と、エチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体化合物との共重合体である、樹脂。
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