(1)実施形態
(1-1)概要
図1は、本実施形態の価格決定システム10の構成を示す概略図である。価格決定システム10は、対象店舗20の経営状況の改善に適した対象商材3の価格を決定するためのシステムである。対象店舗20は、図2に示すように、複数の陳列棚201に複数種類の商材3を陳列して販売する店舗である。対象店舗20は、複数の店舗2のうち、価格決定システム10により決定された価格で対象商材3を販売する店舗である。本実施形態では、店舗2は、小売店の店舗であり、その例としては、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、ドラッグストア、衣料品店、家電量販店、及びホームセンターが挙げられる。
価格決定システム10は、対象店舗20で販売する対象商材3の価格を適正に設定することによって、対象店舗20の経営状況の改善を図ること目的とする。より具体的には、価格決定システム10は、対象店舗20における客単価、LTV(Life Time Value)の平均値、又は利益(粗利及び営業利益等を含む)等の向上を図る。これにより、価格決定システム10は、対象店舗20の売上高を向上させて、対象店舗20の経営状況の改善を図ることを目的とするシステムである。
本開示でいう「LTV(Life Time Value)」は、商品の購入又はサービスの提供を受ける顧客が、商品又はサービスに対する対価として所定期間(Life Time)に支払う対価を意味する。一例として、所定期間が1日(24日)であれば、ある顧客が1日に対象店舗で使用する金額が、この顧客のLTVとなる。そのため、ある顧客が1日にN回(Nは2以上)、対象店舗で買物をするようなケースにおいては、この顧客が1回の買物で使用する金額ではなく、N回の買物で使用した合計金額が、この顧客のLTVとなる。このように、LTVは、一見すると客単価に類似するものの、所定期間に使用した合計金額を表す点で、客単価とは相違する。
本開示でいう「利益」は、対象店舗20における売上高に関係する利益全般を意味し、例えば、粗利(売上総利益)、営業利益、経営利益、税引前当期純利益、及び税引後当期純利益等を含む。
価格決定システム10は、上述したような対象店舗20の売上高の向上を図るための手段として、対象店舗20における対象商材3の価格の適正化を提案する。対象店舗20においては、対象商材3を、適正化された価格で販売することにより、売上高の向上を図ることが可能となる。
価格決定システム10は、図3に示すように、第1決定部122と、第2決定部123とを備える。第1決定部122は、対象商材3について複数の暫定価格を決定する。第2決定部123は、対象商材3の複数の暫定価格での対象店舗20での販売結果から得られる対象店舗20に関する経営指標の変化に基づいて対象商材3の価格を決定する。
上述した価格決定システム10によれば、例えば、対象店舗20の売上高の向上につながり、ひいては対象店舗20の経営状況の改善につながるような、対象商材3の価格が得られる。つまり、価格決定システム10によれば、対象店舗20の経営状況の改善に適した対象商材3の価格を決定できる、という利点がある。
(1-2)詳細
以下、本実施形態に係る価格決定システム10について詳しく説明する。本実施形態では、価格決定システム10が導入される店舗2としてコンビニエンスストアを例に説明する。つまり、「店員」はコンビニエンスストアの店員(アルバイト及びパートタイマを含む)、「顧客」はコンビニエンスストアの来客である。本実施形態においては一例として、店舗2の数が、10000店以上である場合を想定する。以下では、これら複数(多数)の店舗2のうちの1つが、対象店舗20である場合について説明するが、実際には、複数の店舗2がそれぞれ対象店舗20となり得る。すなわち、価格決定システム10は、複数の店舗2のそれぞれを支援の対象とし得るが、以下では、説明を簡単にするため、対象店舗20が1つである場合を例に説明する。
店舗2においては、複数種類の商材3が店内に陳列された状態で、複数種類の商材3の販売が行われている。顧客は、店内に陳列されている複数種類の商材3の中から所望の商材3をピックアップし、ピックアップした商材3について精算を行うことで、所望の商材3を購入する。商材3の「精算」は、売主(店舗2)から買主(顧客)に商材3の所有権を移転し、これに対する対価(代金)を買主が売主に支払う行為(売買)に必要な、買主側の決済処理を意味する。本実施形態では、顧客は、商材3の代金を、例えば、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、ポイントカード又は現金等で支払うことにより、商材3の精算を実行する。
(2.1)構成
価格決定システム10は、サーバ装置1で構成されている。本実施形態では、価格決定システム10は、複数の店舗2(対象店舗20を含む)にそれぞれ設置されている、POS(Point Of Sales)システム21、及びストア端末22に、インターネット等のネットワークNT1を通じて接続されている。また、本実施形態では、価格決定システム10は、複数の店舗2を展開するチェーン本部5に設置されている本部端末51に、ネットワークNT1を通じて接続されている。
ここで、価格決定システム10は、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の各々と通信可能に構成されている。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワークNT1若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。本実施形態では、価格決定システム10は、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の各々と、双方向に通信可能である。さらに、本実施形態では、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の間でも、相互に通信可能に構成されている。
各店舗2(対象店舗20を含む)には、上述したように、POSシステム21及びストア端末22が、それぞれ1台以上設置されている。POSシステム21及びストア端末22は、それぞれ1つの店舗2に複数台設けられていてもよい。図1においては、各店舗2がネットワークNT1に接続されているかのように表記しているが、実際には、各店舗2に設置されているPOSシステム21及びストア端末22等の機器が、ゲートウェイ等を介してネットワークNT1に接続される。
POSシステム21及びストア端末22の各々は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、POSシステム21及びストア端末22の各々として機能する。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
本実施形態では特に、POSシステム21は、ID-POSデータを取り扱うことが可能な、いわゆる「ID-POS」である。ここでいう「ID-POSデータ」は、POSデータに顧客の識別情報(ID:identification)としての「顧客ID」が付加されたデータである。この種のPOSシステム21(ID-POS)は、顧客が買物を行う際に顧客の認証を行うことで、顧客の識別情報(顧客ID)を取得する。顧客の認証は、一例として、会員カード、ポイントカード又はクレジットカード等の各種カード等で実現されてもよいし、顧客の携帯情報端末との通信、又は生体認証(顔認証を含む)等によって実現されてもよい。なお、POSシステム21は、ID-POSではなく、単なるPOSであってもよい。
ストア端末22は、店舗2の店員又はオーナ等が所有する情報端末である。ストア端末22は、ユーザインタフェースとしてタッチパネルディスプレイを有しており、ユーザの操作の受け付けと、ユーザへの情報の提示(表示)を行う。
このようなPOSシステム21及びストア端末22によれば、少なくとも店舗2における商材3の購買履歴をデータとして、ネットワークNT1経由で、サーバ装置1(価格決定システム10)に送信することが可能である。特に、本実施形態では、POSシステム21は、ID-POSデータを取り扱うことが可能であるため、例えば、会計が行われる度に、購入された商材3の情報を、顧客の識別情報(顧客ID)と対応付けた状態で購買履歴として出力できる。
また、各店舗2には、POSシステム21及びストア端末22以外にも、ネットワークNT1に接続される機器があってもよい。一例として、ストアコンピュータ、又は各店員が所持する携帯端末(スマートフォン及びウェアラブル端末等を含む)等のコンピュータシステムを主構成とする機器が、各店舗2に設けられ、ネットワークNT1に接続されていてもよい。
本部端末51は、上述したように、複数の店舗2を展開するチェーン本部5に設置されている。本部端末51は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、本部端末51として機能する。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
本部端末51は、ユーザインタフェースとしてタッチパネルディスプレイを有しており、ユーザの操作の受け付けと、ユーザへの情報の提示(表示)を行う。本部端末51のユーザは、主としてチェーン本部5のオペレータ等である。
価格決定システム10は、図3に示すように、通信部11と、処理部12とを備える。価格決定システム10は、例えば、価格決定システム10を提供するサービス会社、又は店舗2の運営会社等に設置される。価格決定システム10は、Paas(Platform as a Service)環境を用い、OS、ランタイム及びミドルウェアの管理が無いパブリッククラウド環境であることが好ましい。
通信部11は、通信インタフェースである。特に、通信部11は、ネットワークNT1に接続可能な通信インタフェースであり、ネットワークNT1を通じた通信を行う機能を有する。これにより、価格決定システム10は、ネットワークNT1を通じて、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の各々と通信可能である。なお、通信部11の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
処理部12は、価格決定システム10の全体的な制御をするように構成される。処理部12は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部12として機能する。プログラムは、ここでは処理部12のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
処理部12は、図3に示すように、取得部121と、第1決定部122と、第2決定部123と、変更評価部124と、競合評価部125と、グループ変更部126とを備える。図3において、取得部121と、第1決定部122と、第2決定部123と、変更評価部124と、競合評価部125と、グループ変更部126とは実体のある構成を示しているわけではなく、処理部12によって実現される機能を示している。
取得部121は、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の各々から種々の情報を取得する。より詳細には、取得部121は、ネットワークNT1を通じて、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の各々と通信して、価格決定システム10での対象商材3の価格の決定に用いる情報を取得する。
第1決定部122は、対象商材3について複数の暫定価格を決定する。対象商材3は、対象店舗20で販売される複数種類の商材3のうち、価格決定システム10により決定された価格で販売される種類の商材である。商材3は、商品及びサービスを含み得る。商品の例としては、食品、衣類、医薬品、美容関連商品、電化品、日用品等が挙げられる。サービスの例としては、レジャー、宿泊、金融、教育、情報、医療、レンタル、専門技術、業務請負、人材派遣、職業紹介、配達、通信、外食、及び娯楽に関するサービスが挙げられる。本実施形態では、商材3は、商品である。商材3は、アイテム又はSKU(Stock Keeping Unit)で管理される。本実施形態では、SKUが商材3の管理に用いられる。本開示でいう「SKU(Stock Keeping Unit)」は、商品の受発注管理又は在庫管理における最小の管理単位を意味する。例えば、同一商品名の商品でも、サイズ、色、パッケージ又は入り数等の違いで個別のSKUとしてカウントされ、SKUとしてはアイテムよりも小さな単位に分類される。本開示でいう「アイテム」は、広義の1つの商品を意味し、例えば、同一商品名の商品は1つのアイテムとしてカウントする。一例として、「ABC食パン」という名称の商品に4枚切り、5枚切り及び6枚切りの3種類がある場合、「ABC食パン」についてのアイテム数は「1」であって、SKU数は「3」となる。
第1決定部122は、対象店舗20で販売する商材3から、対象商材3を選択する。本実施形態では、第1決定部122は、属性が類似する商材3のグループから対象商材3を選択する。対象店舗20で販売される複数種類の商材3は、属性で管理されている。属性は、例えば、商材カテゴリを含む。商材カテゴリが一致する場合には、属性が類似するといってよい。本開示でいう「商材カテゴリ」は、商材3を用途、機能又は客層等で分類するためのラベルであって、例えば、食品、衣類、医薬品、美容関連商品、電化品又は日用品等のように、比較的大きな分類(大カテゴリ)であってもよい。さらに、商品カテゴリは、大カテゴリを更に複数に分類する中カテゴリであってもよく、中カテゴリの具体例として、食品の中には、ソフトドリンク、お酒、弁当、総菜、スイーツ、お菓子及びアイス等の中カテゴリがある。さらに、商品カテゴリは、中カテゴリを更に複数に分類する小カテゴリであってもよく、小カテゴリの具体例として、ソフトドリンクの中には、麦茶、緑茶、紅茶、コーヒ、乳酸飲料、炭酸飲料、ミネラルウォータ及びスポーツドリンク等の小カテゴリがある。また、商材カテゴリは、大カテゴリ、中カテゴリ、及び小カテゴリで構成されていてよい。この場合には、商材カテゴリに含まれるいずれかのカテゴリが一致する場合には、属性が類似するといってよい。
対象商材3の選択は、ユーザが行ってもよいし、価格決定システム10が行ってもよい。例えば、第1決定部122は、ユーザの入力に応じて、対象商材3を選択してよい。この場合、ユーザは、ストア端末22又は本部端末51を用いて対象商材3を選択すればよい。第1決定部122は、取得部121によりユーザの選択の結果を取得し、ユーザの選択の結果に応じて対象商材3を選択する。
第1決定部122は、グループに含まれる商材から、対象商材3を選択する。ここでは、グループ内でのカニバリゼーションの影響が考慮される。グループにおいて利益又は利益率が最下位の商材を値下げした場合には、次のことが起こると考えられる。つまり、グループにおいて利益又は利益率が最下位の商材の販売数が増加し、これに伴い、グループにおいて利益又は利益率が最下位以外の商材の販売数が減少する。これは、グループとしての利益の低下の原因となる。一方、グループにおいて利益又は利益率が最下位以外の商材を値下げした場合には、次のことが起こると考えられる。つまり、グループにおいて利益又は利益率が最下位以外の商材の販売数が増加し、これに伴い、グループにおいて利益又は利益率が最下位の商材の販売数が減少する。これは、グループとしての利益の低下が起きにくくなる。そこで、本実施形態では、第1決定部122は、グループにおいて利益又は利益率が最下位ではない商材から、対象商材3を選択する。特に、第1決定部122は、グループにおいて、利益又は利益率が最も高い商材3を対象商材3として選択する。例えば、グループに属する商材が、コーヒA、コーヒB、及びコーヒCであって、コーヒAの利益が最も高い場合には、第1決定部122は、コーヒAを対象商材3として選択する。グループに属する商材の利益又は利益率の情報は、取得部121を通じて、ストア端末22又は本部端末51から取得可能である。
第1決定部122は、選択された対象商材3について、複数の暫定価格を決定する。暫定価格は、所定の販売期間のあいだ、対象商材3を対象店舗で販売する際の価格である。特に、第1決定部122は、グループに含まれる対象商材3以外の商材3である参照商材への対象商材3の価格の変更の影響を小さくする制約条件を満たすように、対象商材3の複数の暫定価格の少なくとも一つを決定する。ここで、参照商材への対象商材3の価格の変更の影響は、グループに含まれる商材3の販売結果に基づいて評価される。ここで、参照商材への対象商材の価格の変更の影響は、参照商材の販売数の低下を含む。例えば、グループに属する商材が、コーヒA、コーヒB、及びコーヒCであって、コーヒAが対象商材3であり、コーヒB及びコーヒCが参照商材であるとする。この場合、参照商材への対象商材3の価格の変更の影響は、コーヒA、コーヒB、及びコーヒCの販売結果に基づいて評価される。コーヒAの値下げによって、コーヒB及びコーヒCの販売数が低下する場合、コーヒAと、コーヒB及びコーヒCとは競合関係にある。つまり、コーヒA、コーヒB、及びコーヒCを含むグループについては、カニバリゼーションが生じる可能性がある。このような場合には、カニバリゼーションの影響を考慮してコーヒAの暫定価格を設定することが望まれる。つまり、カニバリゼーションの影響を全く考慮しなければ、コーヒAを暫定価格で販売した場合に、損失が生じる可能性が高い。
そこで、価格決定システム10は、図3に示すように、競合の判定のために、競合評価部125を備える。競合評価部125は、対象商材3と参照商材との競合の指標となる競合評価値を求めるように構成されている。競合評価部125は、グループに含まれる商材3の販売結果に基づいて、対象商材3と参照商材との競合の指標となる競合評価値を求める。グループに含まれる商材3の販売結果の情報は、取得部121を通じて、ストア端末22又は本部端末51から取得可能である。競合評価値は、対象商材3の販売数の変化と参照商材の販売数の変化との相関関係を示す。特に、本実施形態では、競合評価値は、対象商材3の販売数の増加と参照商材の販売数の減少との相関関係を示す。一例として、相関関係は、要素として、対象商材3の販売数と参照商材の販売数との相関係数、及び、対象商材3の販売数と参照商材の販売数との比例係数を含み得る。つまり、相関関係(競合評価値)は、相関係数と比例係数とで評価され得る。競合評価値が小さいほど対象商材3の販売数の増加と参照商材の販売数の減少との相関が小さく、対象商材3と参照商材との間には競合が生じていないと考えられる。一方で、競合評価値が大きいほど対象商材3の販売数の増加と参照商材の販売数の減少との相関が大きく、対象商材3と参照商材との間には競合が生じていると考えられる。
また、価格決定システム10では、第1決定部122は、属性が類似する商材3のグループから対象商材3を選択する。商材3のグループは、競合が生じる可能性があるグループとして、属性が類似するという観点から形成されている。しかしながら、競合は、必ずしも、属性が類似する場合にのみ生じるわけではないし、属性が類似していても生じるとは限らない。そこで、価格決定システム10は、グループの適正化を図るために、図3に示すように、グループ変更部126を備える。グループ変更部126は、対象商材3の価格の変更の影響に応じてグループを変更するように構成される。つまり、グループ変更部126によれば、実際に対象商材3の価格を変更して得られた販売結果に応じて、商材3のグループの編成を修正することが可能である。
本実施形態では、グループ変更部126は、グループに含まれているが対象商材3の価格の変更の影響を受けない商材3を、グループから除外する。つまり、当初のグループにおいては、対象商材3と競合が生じる可能性があるとして含まれていた商材3であっても、実際には対象商材3と競合が生じなかった場合には、グループから除外してよい。例えば、対象商材3がコーヒ(加糖)である場合に、コーヒ(無糖)を対象商材3と属性が同じであるために同じグループに含めていたとする。ここで、コーヒ(加糖)とコーヒ(無糖)とに競合が生じなかった場合、グループ変更部126は、コーヒ(無糖)をグループから除外する。これによって、グループの適正化が図れる。
また、グループ変更部126は、グループに含まれていないが対象商材3の価格の変更の影響を受ける商材3を、グループに含める。つまり、当初のグループにおいては、対象商材3と競合が生じる可能性がないとして含まれていなかった商材3であっても、実際には対象商材3と競合が生じた場合には、グループに含めてよい。例えば、対象商材3がおにぎりである場合に、サンドイッチを対象商材3と属性が異なるとして同じグループに含めていなかったとする。ここで、おにぎりとサンドイッチとに競合が生じた場合、グループ変更部126は、サンドイッチをグループに含める。これによって、グループの適正化が図れる。
なお、グループ変更部126によってグループが変更された場合、第1決定部122は、再度、対象商材3の選択を行ってもよい。
第1決定部122は、競合評価値が競合閾値以上である場合に制約条件を適用し、競合評価値が競合閾値未満である場合は、制約条件を適用しない。これによって、対象商材3と参照商材との競合によって、対象商材3の暫定価格での販売時に起きうる対象店舗20での損失を低減することが期待できる。なお、競合閾値は、制約条件を適用するか否かの判定となる値である。よって、競合閾値は、対象商材3と参照商材とがどの程度競合していれば制約条件を適用するかという観点により適宜決定され得る。
本実施形態では、制約条件は、対象商材3の暫定価格を、グループに含まれる商材3の価格の代表値以上に設定することである。代表値は、平均値、最大値、最小値、最頻値等から適宜選択され得る。本実施形態では、代表値は、平均値である。例えば、グループに属する商材が、コーヒA、コーヒB、及びコーヒCであって、コーヒAが対象商材3であり、コーヒB及びコーヒCが参照商材であるとする。そして、コーヒAの販売価格がPA、コーヒBの販売価格がPB、及びコーヒCの販売価格がPCである場合、グループに含まれる商材3の価格の代表値は、(PA+PB+PC)/3となる。よって、コーヒAの暫定価格は、(PA+PB+PC)/3以上に設定される。
複数の暫定価格は、例えば、対象商材3の基準価格に基づいて設定され得る。基準価格は、対象商材3についての、希望小売価格、参考小売価格、現行価格(店頭価格、実売価格)から選択され得る。本実施形態では、複数の暫定価格は、対象商材3の現行価格に基づいて設定される。複数の暫定価格は、対象商材3の現行価格以下に設定される。また、基準価格自体が暫定価格にも採用され得る。
本実施形態では、第1決定部122は、複数の暫定価格として、対象商材3の現行価格、最低価格、及び中間価格の3つの暫定価格を決定する。ここで、現行価格は、複数の暫定価格のうち最も高い価格である。最低価格は、複数の暫定価格のうち最も低い価格である。中間価格は、現行価格と最低価格との間の価格である。一例として、中間価格は、現行価格と最低価格との間の中央値であり得る。ここで、制約条件を適用する場合には、最低価格は、グループに含まれる商材3の価格の代表値であってよい。上記の例では、最低価格は、グループに含まれる商材3の価格の平均値となる。
第1決定部122は、対象商材3の複数の暫定価格を決定すると、決定した対象商材3の複数の暫定価格の情報を、価格決定システム10から外部装置に出力してよい。本実施形態では、第1決定部122は、通信部11を通じて、外部装置である、ストア端末22及び本部端末51等に出力(送信)する。これによって、ユーザは、ストア端末22又は本部端末51によって、価格決定システム10で決定された対象商材3の複数の暫定価格を知ることができる。そして、ユーザは、対象店舗20において、対象商材3を、複数の暫定価格で順番に販売し、これによって、対象商材3の複数の暫定価格での対象店舗20での販売結果を得る。このような販売結果は、ストア端末22及び本部端末51に記憶され得る。
第2決定部123は、対象商材3の複数の暫定価格での対象店舗20での販売結果から得られる対象店舗20に関する経営指標の変化に基づいて対象商材3の価格を決定する。本実施形態では、経営指標は、対象店舗20の売上高に関する情報である。経営指標の具体例としては、対象商材3の販売数と、対象店舗20での対象商材3に関するバスケット利益と、対象店舗20での対象商材3に関するグループ利益とを含む。対象商材3の販売数は、販売期間において、対象商材3が購入された数を表す。対象商材3の販売数は、販売期間における対象商材3の総販売数であってもよいが、所定期間あたり(例えば一日あたり)の販売数であってもよい。バスケット利益は、対象商材3の複数の暫定価格での販売期間のいずれかで対象商材3とともに購入された商材の売上に基づく指標の一例である。バスケット利益は、販売期間において、対象商材3と、対象商材3とともに購入された商材3とにより得られた利益を表す。バスケット利益は、販売期間全体での利益であってもよいし、顧客一人当たりの利益、又は、買い物一回当たりの利益であってもよい。つまり、バスケット利益は、対象商材3と、対象商材3とともに購入された商材3とにより得られた利益を、販売期間において対象商材3を購入した顧客の数で割って得られた値であってもよい。また、バスケット利益は、対象商材3と、対象商材3とともに購入された商材3とにより得られた利益を、顧客が対象商材3を購入した回数(つまり、販売期間において発行された対象商材3を含むレシートの枚数)で割って得られた値であってもよい。なお、販売期間は、複数の暫定価格において同じ長さであるとよいが、異なっていてもよい。販売期間が異なる場合には、同一の販売期間と考えられるように、各暫定価格に対応するバスケット利益を補正すればよい。グループ利益は、販売期間において、対象商材3を含むグループに属する商材3により得られた利益を表す。グループ利益は、販売期間全体での利益であってもよいし、顧客一人当たりの利益、又は、買い物一回当たりの利益であってもよい。つまり、グループ利益は、対象商材3を含むグループに属する商材3により得られた利益を、販売期間において対象商材3を購入した顧客の数で割って得られた値であってもよい。また、グループ利益は、対象商材3を含むグループに属する商材3により得られた利益を、顧客が対象商材3を購入した回数(つまり、販売期間において発行された対象商材3を含むレシートの枚数)で割って得られた値であってもよい。なお、販売期間は、複数の暫定価格において同じ長さであるとよいが、異なっていてもよい。販売期間が異なる場合には、同一の販売期間と考えられるように、各暫定価格に対応するグループ利益を補正すればよい。
一例として、対象商材3がコーヒである場合を挙げる。販売期間の間に、コーヒが3人の顧客A,B,Cによって購入されたとする。ここで、顧客Aはコーヒのみを購入し、顧客Bはコーヒとサンドイッチとを購入し、顧客Cはコーヒとプリンとを購入したとする。この場合、対象商材3の販売数は3であり、バスケット利益は、3本のコーヒと、1個のサンドイッチと、1個のプリンとの販売によって得られる利益である。
経営指標は、複数の暫定価格毎に得られる。経営指標の変化は、暫定価格の変化(つまりは、対象商材3の価格の変化)による経営指標の影響を表すことになる。
図4~図8の各々は、複数の暫定価格それぞれについての対象商材3の販売数とバスケット利益との関係を示す。つまり、図4~図8の各々は、経営指標の変化を示している。図4~図8の各々において、P0は、現行価格に対応する経営指標、販売数n0とバスケット利益r0とで表されている。P1は、最低価格に対応する経営指標であり、販売数n1とバスケット利益r1とで表されている。P2は、中間価格に対応する経営指標であり、販売数n2とバスケット利益r2とで表されている。
図4~図6では、販売数とバスケット利益との関係は特に見いだせない。ただし、図4~図6では、経営指標P1の販売数n1及び経営指標P2の販売数n2は、経営指標P0の販売数n0を中心とする範囲nL~nH内にある。そのため、図4~図6では、対象商材3の価格の変更によって、対象商材3の販売数があまり変化していないと考えられる。一方、図7及び図8では、販売数とバスケット利益との関係は直線L0で表される。図7では直線L0の傾きが負であるが、図8では直線L0の傾きは正である。更に、図7及び図8では、経営指標P1の販売数n1及び経営指標P2の販売数n2は、経営指標P0の販売数n0を中心とする範囲nL~nH外にあり、特に、n1及びn2はnHよりも大きい。ここで、範囲nL~nHは、経営指標P0の販売数n0の標準偏差により決定され得る。つまり、nHは、販売数n0に標準偏差を加えた値であり、nLは、販売数n0から標準偏差を引いた値である。そのため、図7及び図8では、対象商材3の価格の変更によって、対象商材3の販売数が大きく変化していると考えられる。
第2決定部123は、このような対象商材3の価格の変更による対象商材3の販売数(つまり経営指標)への影響に応じて、対象商材3の価格の決定の仕方を変える。
そこで、価格決定システム10は、図3に示すように、対象商材3の価格の変更による経営指標への影響の判定のために、変更評価部124を備える。変更評価部124は、経営指標の変化に基づいて経営指標への対象商材3の価格の変更の影響の指標となる変更評価値を求める。例えば、変更評価値は、対象商材3の暫定価格での販売数と対象商材3の基準価格での販売数との差の代表値であってよい。代表値は、平均値、最大値、最小値、最頻値等から適宜選択され得る。本実施形態では、代表値は、平均値である。例えば、図4~図8の各々に関しては、経営指標P0が基準価格(現行価格)に対応するから、変更評価値は、(|n1-n0|+|n2-n0|)/2で与えられ得る。なお、変更評価値は、対象商材3の価格弾力性であってもよい。
第2決定部123は、変更評価部124から得られる変更評価値を利用して、対象商材3の価格の決定の仕方を変える。より詳細には、第2決定部123は、対象商材3の価格を決定するための複数の価格決定モデルを用いる。第2決定部123は、複数の価格決定モデルから、変更評価値に応じて対象商材3の価格の決定に使用する価格決定モデルを選択する。複数の価格決定モデルの各々は、複数の暫定価格と複数の暫定価格にそれぞれ対応する経営指標とに基づいて対象商材3の価格を決定するモデルである。複数の価格決定モデルは、演算モデルと、選択モデルとを含む。第2決定部123は、変更評価値が変更閾値以上である場合に、演算モデルを選択する。また、第2決定部123は、変更評価値が変更閾値未満である場合に、選択モデルを選択する。ここで、変更閾値は、対象商材3の価格の変更による経営指標への影響の判定のための閾値である。変更閾値は、変更評価値と対象商材3の価格の変更による経営指標への影響の程度との関係により決定される。本実施形態では、変更閾値は、変更評価値が変更閾値未満であれば、対象商材3の価格の変更による経営指標への影響がないと考えられる値に設定されている。上述のように、変更評価値が、(|n1-n0|+|n2-n0|)/2で与えられる場合、変更閾値は、経営指標P0の販売数n0の標準偏差に対応する値である。
選択モデルは、複数の暫定価格のうち経営指標が最も良好な暫定価格を対象商材3の価格として選択するモデルである。つまり、第2決定部123は、対象商材3の価格の変更による経営指標への影響がないと考えられる場合には、複数の暫定価格のうち経営指標が最も良好な暫定価格を対象商材3の価格として選択する。以下の例では、経営指標としては、バスケット利益が用いている。ただし、経営指標は、グループ利益であってもよい。
例えば、図4~図6の例では、経営指標P1の販売数n1及び経営指標P2の販売数n2は、経営指標P0の販売数n0を中心とする範囲nL~nH内にある。そのため、第2決定部123は、図4~図6の例では、対象商材3の価格の変更による経営指標への影響がないと判断する。そして、第2決定部123は、選択モデルによって、対象商材3の価格を決定する。図4の例では、経営指標P0のバスケット利益r0が、他の経営指標P1,P2のバスケット利益r1,r2より大きい。つまり、経営指標P0に対応する暫定価格、つまり、現行価格が対象商材3の価格として選択される。また、図5の例では、経営指標P1のバスケット利益r1が、他の経営指標P0,P2のバスケット利益r0,r2より大きい。つまり、経営指標P1に対応する暫定価格、つまり、最低価格が対象商材3の価格として選択される。図6の例では、経営指標P2のバスケット利益r2が、他の経営指標P0,P1のバスケット利益r0,r1より大きい。つまり、経営指標P2に対応する暫定価格、つまり、中間価格が対象商材3の価格として選択される。
演算モデルは、複数の暫定価格と複数の暫定価格にそれぞれ対応する経営指標から求められる、対象商材3の価格と経営指標との関係を示すグラフの極値に基づいて対象商材3の価格を決定するモデルである。本実施形態では、演算モデルは、対象商材3の価格と経営指標であるバスケット利益との関係を示すグラフを求め、当該グラフの極大値に基づいて対象商材3の価格を決定する。本実施形態では、グラフは、2次関数を用いた近似によって求めている。また、グラフに極大値がない場合には、演算モデルは、選択モデルと同じ基準で、対象商材3の価格を決定する。つまり、複数の暫定価格のうち経営指標が最も良好な暫定価格が対象商材3の価格として選択される。
例えば、図7及び図8の例では、経営指標P1の販売数n1及び経営指標P2の販売数n2は、経営指標P0の販売数n0を中心とする範囲nL~nH外にある。そのため、第2決定部123は、図7及び図8の例では、対象商材3の価格の変更による経営指標への影響があると判断する。そして、第2決定部123は、演算モデルによって、対象商材3の価格を決定する。
図9~図16は、演算モデルを適用する場合の例を示す。図9~図16において、p0は現行価格、p1は最低価格、p2は中間価格をそれぞれ示す。また、図9~図16において、G1は、経営指標P0~P2を用いた2次関数の近似により得られたグラフ、つまり、対象商材3の価格と経営指標であるバスケット利益との関係を示すグラフである。
図9の例では、最低価格p1に対応する経営指標P1のバスケット利益r1が最も大きく、次に、中間価格p2に対応する経営指標P2のバスケット利益r2、現行価格p0に対応する経営指標P0のバスケット利益r0の順に多い。図9において、G1は、上に凸の放物線であって、最低価格p1より低い価格p3において極大値P3を持ち、極大値P3におけるバスケット利益r3が、経営指標P0~P2のバスケット利益r0~r2のいずれよりも大きい。そのため、演算モデルは、極大値P3における価格p3を、対象商材3の価格として決定する。
図10の例では、最低価格p1に対応する経営指標P1のバスケット利益r1が最も大きく、次に、中間価格p2に対応する経営指標P2のバスケット利益r2、現行価格p0に対応する経営指標P0のバスケット利益r0の順に多い。図10において、G1は、上に凸の放物線であって、最低価格p1と中間価格p2との間の価格p3において極大値P3を持ち、極大値P3におけるバスケット利益r3が、経営指標P0~P2のバスケット利益r0~r2のいずれよりも大きい。そのため、演算モデルは、極大値P3における価格p3を、対象商材3の価格として決定する。
図11の例では、中間価格p2に対応する経営指標P2のバスケット利益r2が最も大きく、次に、現行価格p0に対応する経営指標P0のバスケット利益r0、最低価格p1に対応する経営指標P1のバスケット利益r1の順に多い。図11において、G1は、上に凸の放物線であって、中間価格p2と現行価格p0との間の価格p3において極大値P3を持ち、極大値P3におけるバスケット利益r3が、経営指標P0~P2のバスケット利益r0~r2のいずれよりも大きい。そのため、演算モデルは、極大値P3における価格p3を、対象商材3の価格として決定する。
図12の例では、現行価格p0に対応する経営指標P0のバスケット利益r0が最も大きく、次に、中間価格p2に対応する経営指標P2のバスケット利益r2、最低価格p1に対応する経営指標P1のバスケット利益r1の順に多い。図12において、G1は、上に凸の放物線であって、現行価格p0より高い価格p3において極大値P3を持ち、極大値P3におけるバスケット利益r3が、経営指標P0~P2のバスケット利益r0~r2のいずれよりも大きい。そのため、演算モデルは、極大値P3における価格p3を、対象商材3の価格として決定する。
このように、演算モデルは、対象商材3の価格と経営指標であるバスケット利益との関係を示すグラフが極大値を持つ場合には、極大値に対応する価格を、対象商材3の価格として決定する。
図13の例では、現行価格p0に対応する経営指標P0のバスケット利益r0が最も大きく、次に、中間価格p2に対応する経営指標P2のバスケット利益r2、最低価格p1に対応する経営指標P1のバスケット利益r1の順に多い。しかし、図13において、G1は、極大値を持たない。G1は、下に凸の放物線であって、極値は、極大値ではなく極小値である。図13では、最低価格p1より低い価格において極小値が存在する。更に、暫定価格(現行価格p0、最低価格p1、及び中間価格p2)においては、価格とバスケット利益との関係を表す直線L1は傾きが正である。また、現行価格p0に対応する経営指標P0でのバスケット利益r0が、経営指標P0~P2のバスケット利益r0~r2のなかで最も大きい。つまり、現行価格p0が、複数の暫定価格のうち経営指標が最も良好な暫定価格である。そのため、演算モデルは、現行価格p0を、対象商材3の価格として選択する。
図14の例では、現行価格p0に対応する経営指標P0のバスケット利益r0が最も大きく、次に、中間価格p2に対応する経営指標P2のバスケット利益r2、最低価格p1に対応する経営指標P1のバスケット利益r1の順に多い。図14において、G1は、極大値を持たない。G1は、下に凸の放物線であって、極値は、極大値ではなく極小値である。図14では、最低価格p1と中間価格p2との間の価格において極小値が存在する。更に、暫定価格(現行価格p0、最低価格p1、及び中間価格p2)においては、価格とバスケット利益との関係を表す直線L1は傾きが正である。現行価格p0に対応する経営指標P0でのバスケット利益r0が、経営指標P0~P2のバスケット利益r0~r2のなかで最も大きい。つまり、現行価格p0が、複数の暫定価格のうち経営指標が最も良好な暫定価格である。そのため、演算モデルは、現行価格p0を、対象商材3の価格として選択する。
図15の例では、最低価格p1に対応する経営指標P1のバスケット利益r1が最も大きく、次に、現行価格p0に対応する経営指標P0のバスケット利益r0、中間価格p2に対応する経営指標P2のバスケット利益r2の順に多い。図15において、G1は、極大値を持たない。G1は、下に凸の放物線であって、極値は、極大値ではなく極小値である。図15では、中間価格p2と現行価格p0との間の価格において極小値が存在する。更に、暫定価格(現行価格p0、最低価格p1、及び中間価格p2)においては、価格とバスケット利益との関係を表す直線L1は傾きが負である。最低価格p1に対応する経営指標P1でのバスケット利益r1が、経営指標P0~P2のバスケット利益r0~r2のなかで最も大きい。つまり、最低価格p1が、複数の暫定価格のうち経営指標が最も良好な暫定価格である。そのため、演算モデルは、最低価格p1を、対象商材3の価格として選択する。
図16の例では、最低価格p1に対応する経営指標P1のバスケット利益r1が最も大きく、次に、中間価格p2に対応する経営指標P2のバスケット利益r2、現行価格p0に対応する経営指標P0のバスケット利益r0の順に多い。図16において、G1は、極大値を持たない。G1は、下に凸の放物線であって、極値は、極大値ではなく極小値である。図16では、現行価格p0より高い価格において極小値が存在する。更に、暫定価格(現行価格p0、最低価格p1、及び中間価格p2)においては、価格とバスケット利益との関係を表す直線L1は傾きが負である。最低価格p1に対応する経営指標P1でのバスケット利益r1が、経営指標P0~P2のバスケット利益r0~r2のなかで最も大きい。つまり、最低価格p1が、複数の暫定価格のうち経営指標が最も良好な暫定価格である。そのため、演算モデルは、最低価格p1を、対象商材3の価格として選択する。
このように、演算モデルは、対象商材3の価格と経営指標であるバスケット利益との関係を示すグラフが極大値を持たない場合には、複数の暫定価格のうち経営指標が最も良好な暫定価格を、対象商材3の価格として選択する。
第2決定部123は、対象商材3の価格を決定すると、決定した対象商材3の価格の情報を、価格決定システム10から外部装置に出力してよい。本実施形態では、第2決定部123は、通信部11を通じて、外部装置である、ストア端末22及び本部端末51等に出力(送信)する。これによって、ユーザは、ストア端末22又は本部端末51によって、価格決定システム10で決定された対象商材3の価格を知ることができる。
(1-3)動作
以下、本実施形態に係る価格決定システム10の動作、すなわち、本実施形態に係る価格決定方法について、図17を参照して簡単に説明する。
まず、価格決定システム10では、第1決定部122が、対象商材3の選択を行う(S11)。次に、競合評価部125が、対象商材3に関して競合評価値を求める(S12)。競合評価値が競合閾値以上であれば(S13;YES)、第1決定部122は、制約条件を適用して対象商材3の暫定価格を決定する(S14)。一方、競合評価値が競合閾値未満であれば(S13;NO)、第1決定部122は、制約条件を適用せずに対象商材3の暫定価格を決定する(S15)。
第1決定部122で決定された対象商材3の複数の暫定価格の情報は、価格決定システム10から外部装置、ストア端末22又は本部端末51に出力される。これによって、ユーザは、ストア端末22又は本部端末51によって、価格決定システム10で決定された対象商材3の複数の暫定価格を知ることができる。そして、ユーザは、対象店舗20において、対象商材3を、複数の暫定価格で順番に販売し、これによって、対象商材3の複数の暫定価格での対象店舗20での販売結果を得る。このような販売結果は、ストア端末22及び本部端末51に記憶され得る。
価格決定システム10では、取得部121が、対象商材3の複数の暫定価格での対象店舗20での販売結果を、ストア端末22又は本部端末51から取得する(S16)。そして、変更評価部124が、対象商材3の複数の暫定価格での対象店舗20での販売結果を利用して、対象商材3に関して変更評価値を求める(S17)。変更評価値が変更閾値以上であれば(S18;YES)、第2決定部123は、演算モデルを用いて対象商材3の価格を決定する(S19)。一方、変更評価値が変更閾値未満であれば(S18;NO)、第2決定部123は、選択モデルを用いて対象商材3の価格を決定する(S20)。
そして、第2決定部123で決定された対象商材3の価格の情報は、価格決定システム10から外部装置、ストア端末22又は本部端末51に出力される(S21)。これによって、ユーザは、ストア端末22又は本部端末51によって、価格決定システム10で決定された対象商材3の価格を知ることができる。
(1-4)まとめ
以上述べたように、本実施形態の価格決定システム10は、第1決定部122と、第2決定部123とを備える。第1決定部122は、対象商材3について複数の暫定価格を決定する。第2決定部123は、対象商材3の複数の暫定価格での対象店舗20での販売結果から得られる対象店舗20に関する経営指標の変化に基づいて対象商材3の価格を決定する。したがって、価格決定システム10によれば、対象店舗20の経営状況の改善に適した対象商材3の価格を決定できる。
換言すれば、価格決定システム10は、下記の価格決定方法を実行しているといえる。価格決定方法は、第1決定ステップと、第2決定ステップとを含む。第1決定ステップは、対象商材3について複数の暫定価格を決定するステップである。第2決定ステップは、対象商材3の複数の暫定価格での対象店舗20での販売結果から得られる対象店舗20に関する経営指標の変化に基づいて対象商材3の価格を決定するステップである。このような価格決定方法によれば、対象店舗20の経営状況の改善に適した対象商材3の価格を決定できる。
価格決定システム10は、1以上のプロセッサを含むコンピュータシステムにより実現されている。つまり、価格決定システム10は、1以上のプロセッサがプログラム(価格決定プログラム)を実行することにより実現される。このプログラムは、1以上のプロセッサに価格決定方法を実行させるためのプログラム(コンピュータプログラム)である。このようなプログラムによれば、価格決定方法と同様に、対象店舗20の経営状況の改善に適した対象商材3の価格を決定できる。
(2)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
一変形例では、経営指標は、対象商材3の複数の暫定価格での販売期間のいずれかで対象商材3を購入した顧客に関する指標を含んでいてもよい。ここで、顧客に関する指標は、顧客のLTVの代表値であってよい。代表値は、平均値、最大値、最小値、最頻値等から適宜選択され得る。
一変形例では、対象商材3の数と参照商材の数との少なくとも一方は2以上であってもよい。例えば、属性が類似する商材のグループがコーヒA、コーヒB、コーヒC、ジュースA、及びジュースBを含む場合に、コーヒA及びジュースAを対象商材3としてよい。この場合に、コーヒAについてはコーヒB及びコーヒCを参照商材としてもよいし、コーヒB、コーヒC、ジュースA、及びジュースBを参照商材としてもよい。同様に、ジュースAについてはジュースBを参照商材としてもよいし、コーヒA、コーヒB、コーヒC、及びジュースBを参照商材としてもよい。
一変形例では、制約条件は、対象商材3の暫定価格を、参照商材の価格以上に設定することであってもよい。この場合、参照商材は、グループにおいて利益又は利益率が対象商材3よりも大きい商材3である。例えば、グループに属する商材が、コーヒA及びコーヒBであって、コーヒAが対象商材3であり、コーヒBが利益又は利益率がコーヒAよりも大きい商材3であるとする。そして、コーヒAの販売価格がPA、コーヒBの販売価格がPBである場合、コーヒAの暫定価格は、参照商材であるコーヒBの販売価格PB以上に設定される。言い換えれば、コーヒBの販売価格PBがコーヒAの暫定価格の最低値として利用される。このようにすれば、対象商材3の暫定価格での販売時であっても対象店舗20の経営状況の改善が図れる。
一変形例では、制約条件は、対象商材3の暫定価格を、参照商材の価格と異ならせることであってもよい。この場合、参照商材は、グループにおいて、対象商材3と質と量のいずれかが異なる商材3である。例えば、グループに属する商材が、コーヒA、コーヒB、及びコーヒCであって、コーヒAが対象商材3であるとする。更に、コーヒBがコーヒAと質は同じであるが量が異なる商材3であり、コーヒCがコーヒAと量は同じであるが室が異なる商材3であるとする。一例として、コーヒAの量が500ml、コーヒBの量が200mlであるとする。また、コーヒAの品質がコーヒCよりも良いとする。そして、コーヒAの販売価格がPA、コーヒBの販売価格がPB、コーヒCの販売価格がPCである場合、コーヒAの暫定価格は、参照商材であるコーヒBの販売価格PB及びコーヒCの販売価格PCと異なる価格に設定される。特に、コーヒAの暫定価格は、参照商材であるコーヒB及びコーヒCと差別化が図れる価格であるとよい。コーヒAの暫定価格とコーヒBの販売価格PBの差が小さいと、コーヒBを購入するメリットが希薄になる。また、コーヒAの暫定価格とコーヒCの販売価格PCの差が小さいと、コーヒCを購入するメリットが希薄になる。このような場合には、コーヒAの暫定価格について適切な顧客からのフィードバックが得られなくなる。したがって、このような状況を回避することによって、対象商材3の暫定価格での販売時であっても対象店舗20の経営状況の改善が図れる。
一変形例では、制約条件は、グループに含まれる商材をすべて含む上位グループへの対象商材3の価格の変更の影響を考慮した条件であってよい。例えば、グループは、コーヒ飲料のグループである場合には、上位グループは飲料のグループであってよい。例えば、対象商材3の価格の変更の影響がグループにはなくても、上位グループには生じる場合がある。このような場合を考慮して、制約条件を定めてよい。つまり、制約条件は、上位グループに関する対象店舗20の経営指標が悪化しないように、対象商材3の暫定価格を決定するための条件であってよい。一例として、制約条件は、対象商材3の暫定価格を、上位グループにおいて利益又は利益率が対象商材3よりも大きい商材の価格以上に設定することであってよい。また、制約条件は、対象商材3の暫定価格を、上位グループにおいて対象商材3と質と量のいずれかが異なる商材の価格と異ならせることであってよい。また、制約条件は、対象商材3の暫定価格を、上位グループに含まれる商材の価格の代表値以上に設定することであってよい。このように、制約条件は、対象店舗20で対象商材3を暫定価格で販売する場合に、対象店舗20の経営指標に悪影響が生じないようにするための条件であれば、特に限定されない。
一変形例では、第1決定部122が決定する複数の暫定価格は、現行価格を含まなくてよい。現行価格については既に販売結果が得られているため、あえて複数の暫定価格に含める必要はない。この場合、現行価格については既に販売結果は、対象商材3の複数の暫定価格での対象店舗20での販売結果ともに、経営指標の変化の評価に利用される。また、一変形例では、複数の暫定価格は、最低価格と現行価格との間の1以上の中間価格を含み得る。また、複数の暫定価格は、現行価格より高い最高価格を含んでよく、最高価格と現行価格との間の1以上の中間価格も含み得る。ただし、暫定価格の数が増えると、販売結果を得るために必要な期間も増える点には留意すべきである。
一変形例では、演算モデルは、二次関数以外の関数で、対象商材3の価格と経営指標であるバスケット利益との関係を示すグラフを求めてよい。例えば、三次関数や四次関数を用いることも考えられるが、極値を持つ関数であることが望ましい。また、極大値が複数ある場合には、大きいほうの極大値を採用することが好ましい。
一変形例では、演算モデルは、許容価格範囲内で、対象商材3の価格を決定してよい。ここで、許容価格範囲は、対象商材3の価格として設定することが許容されている価格の範囲である。許容価格範囲は、一例として、店舗2の経営者等によって設定され得る。例えば、演算モデルは、複数の暫定価格と複数の暫定価格にそれぞれ対応する経営指標から求められる、対象商材3の価格と経営指標との関係を示すグラフの極値に基づいて対象商材3の価格を決定する。このとき、極値が許容価格範囲内に含まれていなければ、演算モデルは、許容価格範囲内の価格のうち経営指標が最大となる価格を、対象商材3の価格として選択してよい。一方、演算モデルは、対象商材3の価格と経営指標との関係を示すグラフに極大値がない場合には、許容価格範囲内の価格のうち経営指標が最大となる価格を、対象商材3の価格として選択してよい。このように許容価格範囲を設定しておくことによって、対象商材3の価格が予期しない値(現実的でない値)になってしまう可能性を低減できる。
本開示における価格決定システム10は、例えば、サーバ装置1等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における価格決定システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(UltraLarge Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、価格決定システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは価格決定システム10に必須の構成ではなく、価格決定システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、価格決定システム10の少なくとも一部の機能、例えば、サーバ装置1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
反対に、複数の装置に分散されている価格決定システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
また、価格決定システム10の用途はコンビニエンスストアに限らず、コンビニエンスストア以外の店舗2に価格決定システム10が導入されていてもよい。
また、ストア端末22等におけるユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに限らず、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、メカニカルなスイッチ、又はジェスチャセンサ等の入力装置を有していてもよい。さらに、ユーザインタフェースは、例えば、プロジェクションマッピング技術により映像を投影するプロジェクタ等の表示装置を含んでいてもよい。また、ユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに代えて、又はタッチパネルディスプレイと共に、音声入出力部を有していてもよい。この場合、ユーザインタフェースは、スピーカから出力される音声により、店員等に向けて各種の情報を提示することが可能である。さらに、ユーザインタフェースは、マイクロホンから出力された音声信号に対して音声認識及び意味解析の処理を施すことで、店員等においては音声による操作(音声入力)も可能になる。
また、上記実施形態では、価格決定システム10は、変更評価部124、競合評価部125、及びグループ変更部126を備えるが、これらは必須ではない。つまり、価格決定システム10は、少なくとも、第1決定部122及び第2決定部123を有していればよい。一例として、変更評価部124、競合評価部125、及びグループ変更部126での処理は、人が実行してよい。
店舗2での商材3の販売形態は、図2のように、複数の商材3が店内に陳列された状態で販売される形態に限らない。例えば、複数の商材3をストックする自動販売機を用いて、顧客が選択した商材3について、精算及び商材3の払い出しを実行するような形態で、商材3が販売されてもよい。さらに、複数の商材3店内に陳列された状態で販売される形態であっても、例えば、セルフレジ(Self-checkout)等を用いることにより、顧客が店員を介さずに精算を行う販売形態であってもよい。また、店舗2は、実店舗に限定されず、仮想的な店舗も含み得る。仮想的な店舗とは、実店舗ではないものの、商材の販売のために利用され得る手段、方法等をいう。仮想的な店舗の例としては、通信販売での商材の情報を提供する媒体が挙げられる。媒体の例としては、テレビ・ラジオ等の専門チャンネル、カタログ、はがき(リーフレット、ブックレット)、メール、ウェブページ、オンラインショップ(ネットショップ)等が挙げられる。
(3)態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
第1の態様は、価格決定システム(10)であって、第1決定部(122)と、第2決定部(123)とを備える。前記第1決定部(122)は、対象商材(3)について複数の暫定価格(p0~p2)を決定する。前記第2決定部(123)は、前記対象商材(3)の前記複数の暫定価格(p0~p2)での対象店舗(20)での販売結果から得られる前記対象店舗(20)に関する経営指標(P0~P2)の変化に基づいて前記対象商材(3)の価格を決定する。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格を決定できる。
第2の態様は、第1の態様に基づく価格決定システム(10)である。前記価格決定システム(10)は、前記経営指標(P0~P2)の変化に基づいて前記経営指標(P0~P2)への前記対象商材(3)の価格の変更の影響の指標となる変更評価値を求める変更評価部(124)を更に備える。前記第2決定部(123)は、前記変更評価値を用いて前記対象商材(3)の価格を決定する。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格の決定の精度を向上できる。
第3の態様は、第1の態様に基づく価格決定システム(10)である。前記価格決定システム(10)は、前記経営指標(P0~P2)の変化に基づいて前記経営指標(P0~P2)への前記対象商材(3)の価格の変更の影響の指標となる変更評価値を求める変更評価部(124)を更に備える。前記第2決定部(123)は、前記対象商材(3)の価格を決定するための複数の価格決定モデルから、前記変更評価値に応じて前記対象商材(3)の価格の決定に使用する価格決定モデルを選択する。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格の決定の精度を向上できる。
第4の態様は、第3の態様に基づく価格決定システム(10)である。第4の態様では、前記複数の価格決定モデルの各々は、前記複数の暫定価格(p0~p2)と前記複数の暫定価格(p0~p2)にそれぞれ対応する経営指標(P0~P2)とに基づいて前記対象商材(3)の価格を決定するモデルである。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格の決定の精度を向上できる。
第5の態様は、第4の態様に基づく価格決定システム(10)である。第4の態様では、前記複数の価格決定モデルは、演算モデルを含む。前記演算モデルは、前記対象商材(3)の価格と経営指標(P0~P2)との関係を示すグラフの極値に基づいて前記対象商材(3)の価格を決定するモデルである。前記グラフは、前記複数の暫定価格(p0~p2)と前記複数の暫定価格(p0~p2)にそれぞれ対応する経営指標(P0~P2)から求められる。前記第2決定部(123)は、前記変更評価値が変更閾値以上である場合に、前記演算モデルを選択する。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格の決定の精度を向上できる。
第6の態様は、第4又は第5の態様に基づく価格決定システム(10)である。第6の態様では、前記複数の価格決定モデルは、選択モデルを含む。前記選択モデルは、前記複数の暫定価格(p0~p2)のうち経営指標(P0~P2)が最も良好な暫定価格(p0~p2)を前記対象商材(3)の価格として選択するモデルである。前記第2決定部(123)は、前記変更評価値が変更閾値未満である場合に、前記選択モデルを選択する。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格の決定の精度を向上できる。
第7の態様は、第2~第6の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第7の態様では、前記変更評価値は、前記対象商材(3)の価格弾力性である。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格の決定の精度を向上できる。
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第8の態様では、前記経営指標(P0~P2)は、前記対象商材(3)の前記複数の暫定価格(p0~p2)での販売期間のいずれかで前記対象商材(3)とともに購入された商材の売上に基づく指標を含む。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格の決定の精度を向上できる。
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第9の態様では、前記経営指標(P0~P2)は、前記対象商材(3)の前記複数の暫定価格(p0~p2)での販売期間のいずれかで前記対象商材(3)を購入した顧客に関する指標を含む。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格の決定の精度を向上できる。
第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第10の態様では、前記第1決定部(122)は、属性が類似する商材(3)のグループから前記対象商材(3)を選択する。前記第1決定部(122)は、参照商材への前記対象商材(3)の価格の変更の影響を小さくする制約条件を満たすように、前記対象商材(3)の前記複数の暫定価格(p0~p2)の少なくとも一つを決定する。前記参照商材は、前記グループに含まれる前記対象商材(3)以外の商材(3)である。この態様によれば、対象商材(3)の暫定価格での販売時であっても対象店舗(20)の経営状況の改善が図れる。
第11の態様は、第10の態様に基づく価格決定システム(10)である。第11の態様では、前記参照商材への前記対象商材(3)の価格の変更の影響は、前記グループに含まれる商材(3)の販売結果に基づいて評価される。この態様によれば、対象商材(3)の暫定価格での販売時であっても対象店舗(20)の経営状況の改善が図れる。
第12の態様は、第10又は第11の態様に基づく価格決定システム(10)である。第12の態様では、前記参照商材への前記対象商材(3)の価格の変更の影響は、前記参照商材の販売数の低下を含む。この態様によれば、対象商材(3)の暫定価格での販売時であっても対象店舗(20)の経営状況の改善が図れる。
第13の態様は、第10~第12の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第13の態様では、前記価格決定システム(10)は、前記対象商材(3)の価格の変更の影響に応じて前記グループを変更するグループ変更部(126)を更に備える。この態様によれば、商材(3)のグループを適正に変更できる。
第14の態様は、第13の態様に基づく価格決定システム(10)である。第14の態様では、前記グループ変更部(126)は、前記グループに含まれているが前記対象商材(3)の価格の変更の影響を受けない商材(3)を、前記グループから除外する。この態様によれば、商材(3)のグループを適正に変更できる。
第15の態様は、第13又は第14の態様に基づく価格決定システム(10)である。第15の態様では、前記グループ変更部(126)は、前記グループに含まれていないが前記対象商材(3)の価格の変更の影響を受ける商材(3)を、前記グループに含める。この態様によれば、商材(3)のグループを適正に変更できる。
第16の態様は、第10~第15の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第16の態様では、前記制約条件は、前記グループに含まれる商材(3)をすべて含む上位グループへの前記対象商材(3)の価格の変更の影響を考慮した条件である。この態様によれば、対象商材(3)の暫定価格での販売時であっても対象店舗(20)の経営状況の改善が図れる。
第17の態様は、第10~第16の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第17の態様では、前記対象商材の数と前記参照商材の数との少なくとも一方は2以上である。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格を決定できる。
第18の態様は、第10~第17の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第18の態様では、前記参照商材は、前記グループにおいて利益又は利益率が前記対象商材(3)よりも大きい商材(3)である。前記制約条件は、前記対象商材(3)の暫定価格(p0~p2)を、前記参照商材の価格以上に設定することである。この態様によれば、対象商材(3)の暫定価格での販売時であっても対象店舗(20)の経営状況の改善が図れる。
第19の態様は、第10~第17の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第19の態様では、前記参照商材は、前記グループにおいて前記対象商材(3)と質と量のいずれかが異なる商材である。前記制約条件は、前記対象商材(3)の暫定価格(p0~p2)を、前記参照商材の価格と異ならせることである。この態様によれば、対象商材(3)の暫定価格での販売時であっても対象店舗(20)の経営状況の改善が図れる。
第20の態様は、第10~第17の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第20の態様では、前記制約条件は、前記対象商材(3)の暫定価格(p0~p2)を、前記グループに含まれる商材(3)の価格の代表値以上に設定することである。この態様によれば、対象商材(3)の暫定価格での販売時であっても対象店舗(20)の経営状況の改善が図れる。
第21の態様は、第10~第20の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第21の態様では、前記第1決定部(122)は、前記グループにおいて利益又は利益率が最下位ではない商材(3)から、前記対象商材(3)を選択する。この態様によれば、対象商材(3)の暫定価格での販売時であっても対象店舗(20)の経営状況の改善が図れる。
第22の態様は、第10~第21の態様のいずれか一つに基づく価格決定システム(10)である。第22の態様では、前記価格決定システム(10)は、前記対象商材(3)と前記参照商材との競合の指標となる競合評価値を求める競合評価部(125)を更に備える。前記第1決定部(122)は、前記競合評価値が競合閾値以上である場合に前記制約条件を適用し、前記競合評価値が前記競合閾値未満である場合は、前記制約条件を適用しない。この態様によれば、対象商材(3)の暫定価格での販売時であっても対象店舗(20)の経営状況の改善が図れる。
第23の態様は、価格決定方法であって、第1決定ステップと、第2決定ステップとを含む。前記第1決定ステップは、対象商材(3)について複数の暫定価格(p0~p2)を決定するステップである。前記第2決定ステップは、前記対象商材(3)の前記複数の暫定価格(p0~p2)での対象店舗(20)での販売結果から得られる前記対象店舗(20)に関する経営指標(P0~P2)の変化に基づいて前記対象商材(3)の価格を決定するステップである。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格を決定できる。
第24の態様は、プログラムであって、1以上のプロセッサに、第23の態様の価格決定方法を実行させるための、プログラムである。この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した対象商材(3)の価格を決定できる。