JP7457243B2 - 最適化支援装置、最適化支援方法、プログラムおよび最適化システム - Google Patents

最適化支援装置、最適化支援方法、プログラムおよび最適化システム Download PDF

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Description

本発明は、最適化支援装置、最適化支援方法、プログラムおよび最適化システムに関する。
最適化問題として、物流・生産計画決定問題がある。大規模な物流・生産計画決定問題は、2値(例えば0-1)変数を含む複数の決定変数を使い記述された、複数の等式・不等式により前記決定変数のとり得る範囲を限定された中で、目的とする関数を最小化または最大化する決定変数を求める組合せ要素を含む。このような問題では、本来すべての条件を考慮した最適な解を得ることが望まれるが、規模が大きすぎると現時点の汎用計算機では計算時間や計算機メモリの制限により計算が困難となる。このため、期間や工程などの要素により分割した問題の解によって代用することが行われる。これにより本来一括で求解したときの解に比べ、1~3割程度劣化した解による生産計画での操業を余儀なくされる。
多段工程を含む生産物流プロセスでは、例えば、操業条件(製造作業、仕分作業など)の簡略化及び効率化を目的として、製品を操業条件によって識別し、ロット番号で管理している。ロットとは、同一の操業条件で処理可能な製品をまとめた生産単位を意味する。例えば、熱延工程において同一の加熱及び圧延条件で製造される10個のコイルがあった場合、それらに同一のロット番号を付与し、ロットという単位でまとめて管理される。各工程では、同一のロット番号が付与された複数の製品が連続して生産されることが効率性の観点から望ましい。以下、ロット単位にまとめられた複数の製品を連続して生産する処理を「ロットまとめ」という。
各工程では、通常、ロットが変わるたびに段取り替えが必要となる。段取り替えとは、各工程における処理設備の設定変更、部品交換、メンテナンスなどを指す。段取り替えには、通常多くの時間を要する。このため、各工程の作業スケジュールは、出来るだけ段取り替え作業が少なくて済むように作成されることが好ましい。しかしながら、近年、顧客から注文される製品仕様は細分化しており、大きなロットにまとめられる製品群は少ない。仮に、大きなロットにまとめることができる製品群があったとしても、通常、納期にばらつきがあることが多い。そのような大きなロットにまとめることができる製品を優先的に連続して製造すると、納期に時間的な余裕がある製品を先に製造することとなり、その結果、本来、先に製造すべき製品が後回しになってしまう場合がある。そのため、後回しとなった製品の生産が納期に間に合わないという問題を引き起こすおそれがある。
また、ロットまとめの条件は、工程ごとに異なる。そのため、製造する製品の種類によっては、ある工程では同一のロットとしてまとめられても、他の工程では同一のロットとしてまとめられない製品の組合せが生じ得る。このため、工程ごとに個別にスケジュールを作成する方法が考えられるが、全工程を通してみると生産効率が低下するおそれがある。このように、複数の工程にわたる生産計画を策定する際には、納期と生産効率とのトレードオフを全工程にわたり調整して、適切なロットまとめをする必要がある。しかしながら、全工程にわたるスケジュールを作成しようとすると、以下のような問題がある。
すなわち、生産効率を決める条件の組合せが多く、解くべきスケジュール問題が大規模化し、求解に膨大な計算量および多大な時間を要する。そのうえ、プロセスの遅延、作業停止などの外的要因によって、頻繁かつ迅速なスケジュールの修正(リスケジュール)が必要となる。このため、従来は、工程毎の個別のスケジュールを作成することが一般的であり、全工程にわたり任意製品の任意工程での処理順を最適化したスケジュールを作成することは困難であった。
特許文献1(特開2010-97506号公報)には、1つ以上の製品がグルーピングされたロットを処理単位としてそれぞれ処理を実行する複数の工程を含む生産物流プロセスの作業スケジュールを作成するシステムに関する発明が開示されている。
特開2010-97506号公報
特許文献1の発明は、工程間で必要となるデータの受け渡しに関するシステム構成を提案しているが、全工程にわたる納期と生産効率とのトレードオフを解消する具体的な処理順の決定方法について言及していない。
本発明者らは、上記の問題を解決するべく、近年、量子力学的な状態の重ね合わせを用いることにより、従来の計算装置では実現できない規模の並列性を実現する量子計算の技術に着目した。量子計算技術には、例えば、最近、話題を呼んでいる、1)超伝導量子ビットを用いて最適化計算を行うことに特化したレーザネットワークや量子アニーリングマシンなどの量子イジングモデル方式の量子コンピュータ技術、2)量子ゲートを組み合わせて汎用的な量子計算が可能な量子ゲート方式の量子コンピュータ技術、3)量子現象に着想を得てイジングモデルをデジタル回路を用いて解くことに特化した技術、などが含まれる以降、これらの技術を量子計算技術と呼ぶ。
しかしながら、上述のように任意製品の任意工程での処理順について最適化するために量子計算技術を用いてに最適化問題(例えば、数理計画問題)を求解させようとすると、事前に最適化問題の制約式を目的関数に変換する必要がある。これは、現時点の量子計算技術を用いた手法では、最適化問題の制約式については設定できず、目的関数についての設定しかできないためである。そのため、最適化問題を量子計算技術を用いて求解させるために、例えば、等式制約については、両辺の対象項を左辺または右辺のいずれかに全て移行し、その辺の2乗和に対しペナルティを課すことで、比較的容易に目的関数化できる。しかし、等式制約以外の不等式制約については、いまだ統一的な目的関数化方法は知られていない。さらに、現時点において実用化されている量子計算技術を用いた装置では、利用可能なノードの数が限られており、大規模な問題を解くためには必ずしも十分とはいえない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、汎用計算機による求解が困難な規模の最適化問題を、利用可能なノードの数に限りがある量子計算技術を用いて比較的容易に求解できる最適化支援装置等を提供することを目的とする。
本発明は、下記の最適化支援装置等を要旨とする。
〔1〕複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、最適化問題を求解させる最適化支援装置であって、
前記最適化問題に関する入力情報を取得する、入力情報取得部と、
前記最適化問題の決定変数を設定する、決定変数設定部と、
前記最適化問題について一部の制約条件を緩和した複数の子問題に分解し、前記子問題それぞれについての目的関数を設定する、目的関数設定部と、
前記決定変数を前記子問題それぞれについての決定変数に分解して前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、入力部と、
前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記子問題の最適解として取得し、前記最適解に基づき前記子問題の目的関数の最適値を求める、結果取得部と、
前記最適解を束ねた緩和解と、前記最適値を加え合わせた緩和最適値とに基づき、前記一部の制約条件が満たされるか否かを判定し、前記一部の制約条件が満たされる場合には前記緩和解を元の最適化問題の最適解とし、前記一部の制約条件が満たされない場合には前記緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解を元の最適化問題の最適解とする、最適解決定部と、を備える、最適化支援装置。
〔2〕格子状に配列した複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、最適化問題を求解させる最適化支援方法であって、
(1)前記最適化問題に関する入力情報を取得する、ステップ、
(2)前記最適化問題の決定変数を設定する、ステップ、
(3)前記最適化問題の一部の制約条件を緩和した複数の子問題に分解し、前記子問題それぞれについての目的関数を設定する、ステップ、
(4)前記決定変数を前記子問題それぞれについての決定変数に分解して前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、ステップ、
(5)前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記子問題の最適解として取得し、前記最適解に基づき前記子問題の目的関数の最適値を求める、ステップ、および、
(6)前記最適解を束ねた緩和解と、前記最適値を加え合わせた緩和最適値とに基づき、前記一部の制約条件が満たされるか否かを判定し、前記一部の制約条件が満たされる場合には前記緩和解を元の最適化問題の最適解とし、前記一部の制約条件が満たされない場合には前記緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解を元の最適化問題の最適解とする、ステップを備える、最適化支援方法。
〔3〕格子状に配列した複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、最適化問題を求解させるに際して、
コンピュータに、
(1)前記最適化問題に関する入力情報を取得する、ステップ、
(2)前記最適化問題の決定変数を設定する、ステップ、
(3)前記最適化問題の一部の制約条件を緩和した複数の子問題に分解し、前記子問題それぞれについての目的関数を設定する、ステップ、
(4)前記決定変数を前記子問題それぞれについての決定変数に分解して前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、ステップ、
(5)前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記子問題の最適解として取得し、前記最適解に基づき前記子問題の目的関数の最適値を求める、ステップ、および、
(6)前記最適解を束ねた緩和解と、前記最適値を加え合わせた緩和最適値とに基づき、前記一部の制約条件が満たされるか否かを判定し、前記一部の制約条件が満たされる場合には前記緩和解を元の最適化問題の最適解とし、前記一部の制約条件が満たされない場合には前記緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解を元の最適化問題の最適解とする、ステップを実行させるプログラム。
〔4〕最適化問題を最適化するシステムであって、
格子状に配列した複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子技術を用いた装置と、
前記最適化問題に関する入力情報を取得する、入力情報取得部と、
前記最適化問題の決定変数を設定する、決定変数設定部と、
前記最適化問題について一部の制約条件を緩和した複数の子問題に分解し、前記子問題それぞれについての目的関数を設定する、目的関数設定部と、
前記決定変数を前記子問題それぞれについての決定変数に分解して前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、入力部と、
前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記子問題の最適解として取得し、前記最適解に基づき前記子問題の目的関数の最適値を求める、結果取得部と、
前記最適解を束ねた緩和解と、前記最適値を加え合わせた緩和最適値とに基づき、前記一部の制約条件が満たされるか否かを判定し、前記一部の制約条件が満たされる場合には前記緩和解を元の最適化問題の最適解とし、前記一部の制約条件が満たされない場合には前記緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解を元の最適化問題の最適解とする、最適解決定部と、を備える、最適化システム。
本発明によれば、汎用計算機による求解が困難な規模の最適化問題を、利用可能なノードの数に限りがある量子計算技術を用いて比較的容易に求解できる。
本実施形態に係る最適化システムの概略構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る量子計算機のハードウェア構成を示す図である。 量子計算機の原理を説明するための図である。 本実施形態に係る最適化支援装置の動作を示すフロー図である。 本実施形態に係る最適化支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
[装置の構成]
最初に、本実施形態に係る最適化システムの概略構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る最適化システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る最適化システム30は、汎用計算機(最適化支援装置)10と、量子計算機(最適化装置)20とを備える。量子計算機20は、量子計算技術を用いた装置である。汎用計算機10は、求解すべき最適化問題(例えば、数理計画問題)を、量子計算機20が処理可能な形式で量子計算機20に入力する。また、汎用計算機10は、量子計算機20で得られた最適化問題の求解結果を取得する。量子計算機20は、汎用計算機10から入力された最適化問題を求解し、その求解結果を汎用計算機10へ出力する。
以下、主として、量子計算機20として、超伝導量子ビットを使った量子アニーリングマシンを用いる場合を例にとって説明する。なお、以下の説明においては、変数に対応する「ノード」の例として「量子ビットノード」を、「特性関数」の例として「ハミルトニアン」を、「ネットワークモデル」の例として「イジングモデル」を、「変数」の例として「イジング変数」をそれぞれ用いる。
(汎用計算機10)
まず、汎用計算機10について説明する。汎用計算機10は、最適化支援装置として機能し、図1に示すように、少なくとも、入力情報取得部11と、決定変数設定部12と、目的関数設定部13と、入力部14と、結果取得部15と、最適解決定部16とを備える。
(入力情報取得部11)
入力情報取得部11は、最適化問題の構築に必要な入力情報を取得する。入力情報の例としては、任意製品の任意工程での処理順について最適化するための最適化問題を求解する場合には、工程数、製品数、ロット番号、納期などである。入力情報取得部11は、汎用計算機10に対するオペレータによる操作、外部装置からネットワーク等を介して送信された情報の受信、または可搬型記憶媒体に記憶された情報の読み出しを行うことにより入力情報を取得する。
(決定変数設定部12)
決定変数設定部12は、求解対象の最適化問題の決定変数を設定する。例えば、決定変数設定部12は、任意製品の任意工程での処理順について最適化するための最適化問題を求解する場合には、その処理順を決定変数として設定する。なお、複数の決定変数を設定してもよい。ここで、決定変数の設定とは、汎用計算機10に対する入力情報に基づき、何を決定変数とすべきかを定める処理を指す。決定変数には、ロット情報および納期情報などが含まれる。
(目的関数設定部13)
目的関数設定部13は、求解対象の最適化問題を子問題に分解し、子問題それぞれについての目的関数を設定する。ここで、子問題とは、求解対象の最適化問題の一部の制約条件を緩和した問題である。例えば、目的関数設定部13は、任意製品の任意工程での処理順について最適化するための最適化問題を求解する場合には、原問題における工程間の制約条件を緩和することにより、工程j(∈P)毎に分解して、子問題Pjを生成する。また、例えば、複数の仕事を複数の機械で処理する場合には各機械の負荷容量以上に仕事を割り当てられないという割り当て制約条件があるが、この制約条件を緩和して、仕事毎の子問題に分割してもよい。一方、各仕事への機械の割り当て制約条件を緩和して、機械毎の子問題に分割してもよい。
ここで、子問題それぞれについての目的関数は、緩和した制約条件に対する違反量に乗数(後述するラグランジュ乗数λ)を乗じた項を含む。また、子問題の目的関数は、本来の評価すべき事項を数式で表した評価指標の要素(後述するJj2、Jp4、Jp5、Jj6)と、制約条件の違反に対してペナルティを課すような数式で表した制約式の要素(後述するJj1、Jj3)とを含む(なお、Jj2は、元の問題では、制約条件の違反に対してペナルティを課すような数式で表した制約式の要素であるが、この子問題では、その制約を緩和したことにより、評価指標の要素として位置づけられる)。評価指標の要素および制約式の要素には、それぞれの要素の重みを表す重み要素(後述するq,q,q,qBig)が含まれている。なお、評価指標の要素には、例えば、ロットまとめおよび納期遵守の評価などが含まれる。また、制約式の要素には、任意の製品はいずれかの処理順に割り当てなければならないという制約、任意の製品において前工程の処理が終わらないと、次工程の処理が始まらないという制約、後工程に処理の中断が起こらないよう、所定の間隔をおいて後工程の処理を実施するという制約などが含まれる。
目的関数設定部13は、求解対象の最適化問題に不等式制約が含まれる場合には、その不等式制約の各辺の生起有無が決定変数の積の形式に変換された制約式の要素(後述するJj1、Jj2、Jj3)と、その不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重み要素(後述するqBig)とを含む目的関数を設定する。
目的関数設定部13は、上記のような子問題それぞれについての目的関数を少なくとも制約条件毎に作成し、作成した目的関数を統合して最終的な目的関数として設定する。このとき、最終的な目的関数は決定変数の二次の多項式で表される。ここで、制約条件毎に作成した各目的関数に含まれていた重み要素は、最終的な目的関数においては項別に合算した多項式の各項の係数に反映される。この各項の係数を、以下では「目的関数の係数」と称する。
(入力部14)
入力部14は、決定変数設定部12により設定された元の問題の決定変数を、各子問題の決定変数に分解し、量子計算機20内において格子状に配列したノード(すなわち、後述するイジング変数)に対応させ、目的関数設定部13により設定された、子問題それぞれについての目的関数の係数を、各ノード(イジング変数)間の関係性を示す係数(結合の重み)として量子計算機20に入力する。なお、用いる量子計算機によっては、ある一つのノードから結合するノードの数に限りがあるために、そのままでは全ての結合の重み係数を表現できない場合がある。このような際には例えば、ある一つのイジング変数に複数のノードを割り当てることで、結合するノードの数を実効的に増やす対策を施しても構わない。また、本発明の実施形態の説明においてはノードの配列を格子状として説明するが、ノードの配列としては格子状に限らず任意の形状が可能である。
(結果取得部15)
結果取得部15は、入力部14により入力された目的関数の係数に基づいて計算された量子計算機20の計算結果(子問題のイジング変数の最適(収束)値の組み合わせである最適解)を取得する。具体的には、ノード(イジング変数)の基底状態での測定値を、それらのノード(イジング変数)に対応する決定変数の値(最適解)として取得する。また、結果取得部15は、取得した最適解に基づいて、子問題の目的関数(ハミルトニアン)の最適値を求める。具体的には、取得した最適解を子問題の目的関数に代入して算出された目的関数値を最適値とする。
(最適解決定部16)
最適解決定部16は、結果取得部15が取得した各子問題の最適解を束ねて、元の最適化問題の緩和解を得る。また、最適解決定部16は、結果取得部15が取得した各子問題の目的関数の最適値を加え合わせて、元の最適化問題の緩和最適値を得る。ここで、最適解決定部16は、結果取得部15が取得した各子問題の最適解を束ねた緩和解が緩和した一部の制約を満たすか否かを判定し、満たす場合には、緩和解を元の問題の最適解とする。一方、緩和した一部の制約を満たさない場合は、最適解決定部16は、緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解を元の最適化問題の最適解とする。また、緩和した一部の制約を満たさない場合は、最適解決定部16は、緩和解と、緩和最適値とに基づいて前記目的関数を更新する。具体的には、最適解決定部16は、緩和した制約毎に、その違反量である劣勾配ベクトルを求めると共に、緩和解の違反部分を修正し、実行可能解(暫定最適解)とする。そして、最適解決定部16は、その実行可能解を元の問題の目的関数に代入し、暫定最適値を得る。
ここで、最適化問題が最小化問題の場合、その暫定最適値とそれまでに得られている上界値とを比較して、暫定最適値の方が小さい場合は、暫定最適値により上界値を更新する。また、最適解決定部16は、結果取得部15が取得した各子問題の目的関数の最適値から得られた緩和最適値と、元の最適化問題における更新直前の下界値とを比較して、緩和最適値の方が大きい場合は、緩和最適値により下界値を更新する。
一方、最適化問題が最大化問題の場合、その暫定最適値とそれまでに得られている下界値とを比較して、暫定最適値の方が大きい場合は、暫定最適値により下界値を更新する。また、最適解決定部16は、結果取得部15が取得した各子問題の目的関数の最適値から得られた緩和最適値と、元の最適化問題における更新直前の上界値とを比較して、緩和最適値の方が小さい場合は、緩和最適値により上界値を更新する。
そして、最適解決定部16は、緩和した制約毎の違反量である劣勾配ベクトルと、更新した上界値、下界値とに基づいて各子問題の目的関数を更新する。なお、各子問題の目的関数の更新は、子問題において緩和した制約条件に対する違反量に乗ずる乗数(後述するラグランジュ乗数λ)を更新することで行われる。
目的関数設定部13は、結果取得部15が取得した各子問題の最適解を束ねた緩和解が緩和した制約を満たさない場合には、最適解決定部16によって更新された目的関数を前記子問題それぞれについての目的関数として再設定する。そして、再設定された目的関数は、入力部14により、量子計算機20に入力され、結果取得部15により、更新された目的関数についての計算結果(各子問題の最適解)が取得される。また、結果取得部15により、更新された目的関数についての計算結果に基づいて、各子問題の目的関数(ハミルトニアン)の最適値が求められる。最適解決定部16は、これらの各子問題の最適解と最適値に基づいて、各子問題の目的関数の更新をさらに行う。この一連の作業は、予め定められた状態に収束する(緩和解が緩和した一部の制約条件を満たす、または、所定の終了条件(上界値と下界値との差が閾値未満)を満たす)まで継続される。そして、先に緩和した一部の制約条件が満たされた場合には、その時点で前記結果取得部により取得された最新の最適解を束ねた緩和解を元の最適化問題の最適解とし、先に前記所定の終了条件が満たされた場合には、その時点で得られている最良の実行可能解を元の最適化問題の最適解とする。最適化問題の解は、表示部(図示省略)により表示される。
(量子計算機20)
次に、量子計算機20について説明する。図2は、本実施形態に係る量子計算機20のハードウェア構成を示す図である。また、図3は、量子計算機の原理を説明するための図である。ここでは、量子計算機は、イジングモデルのノードに決定変数、格子間の関係性を示す係数に目的関数の係数を対応させて、ハミルトニアンを生成する例について説明する。しかしながら、これらは上記に限定されるものではなく、ハイゼンベルクモデル等の任意の次元の格子モデルであっても構わない。
量子計算機20は、格子状に配列した複数のノード(イジング変数)と、各ノード間の結合の重みの値(上述した目的関数の係数)を入力パラメータとして構成されるハミルトニアンとを備えるイジングモデルにおいて、量子揺らぎ(量子アニーリング)を用いてそのハミルトニアンの値が最小値となる、イジングモデルの基底状態を求める量子アニーリングや、量子現象に着想を得てイジングモデルをデジタル回路を用いて解く等の特性を用いて計算を行う計算機である。量子アニーリングマシンは、異なる二つの状態を同時に重ね合わせることができる量子ビットを基本単位とする。
本実施例では、図2に示すとおり、量子計算機20として量子アニーリングマシンを使用した例を示す。量子計算機20は、格子状に配列した複数の量子ビットノード21(上述のノードに対応)と、各量子ビットノード21を制御する量子ビット制御部22と、各量子ビットノード21間を結合する結合器23と、結合器23を制御する結合器制御部24と、イジングモデルが基底状態(最小値)となったときの各量子ビットノード21(ビットノード1,2,・・・,n)の値(イジング変数の値)を測定して出力する読出部25と、を備える。
量子ビットノード21は、図3に示すように、超伝導リングなどにより実現できる。例えば、超電導リングは、ニオブなどの金属でリング(閉回路)を作り、極低温にして、一の方向の電流と、それとは逆方向の電流とを同時に存在させることにより構成することができる。このとき、それぞれの電流をイジングスピンの上向き(+1)および下向き(-1)に対応させると±1の状態が回路中に同時に存在することとなる。
量子ビット制御部22は、超伝導リングにもう一つの超伝導回路を挟み込み、超伝導電流が反転できる仕組みを備える。例えば、量子ビット制御部22は、後述する数式2におけるイジング変数の一次の項の係数(h)あるいは横磁場を実現すべく量子ビットノード21の超伝導リングに印加する磁束を制御する。超伝導リングに流れる超伝導電流を反転させることにより、上向き(+1)および下向き(-1)のイジングスピンを適宜入れ替える(スピンの向きを反転させる)ことができる。そして、この超電導リングに印加する磁場を調整して、最適な状態を探っていく。
結合器23は、異なる量子ビットノード21に対応する超伝導リング間に磁気的相互作用を促すよう、それらの量子ビットノード21とは別に用意された超伝導リングにより構成される。
結合器制御部24は、汎用計算機10から入力された目的関数(H)の係数の値に基づき、量子ビットノード(超電導リング)21間の結合の重みを設定する。例えば、結合器制御部24は、後述する数式2におけるイジング変数の二次の項の係数(Jij)を実現すべく結合器23の超伝導リングに印加する磁束を制御する。
ここで、各量子ビットノード21間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成されるハミルトニアンは、下記の数式1で表される。数式1において、第1項は、イジングモデルの状態を示し、第2項は、横磁場といわれる交流磁場を示しており、交流磁場は、±1の状態間の遷移を引き起こし最適解の探索を主導する。
Figure 0007457243000001
量子アニーリングマシンでは、イジングモデルの基底状態を求めるために、まず、各スピンの状態を量子力学的に不確定(どの量子ビットも上向き(+1)および下向き(-1)の確率がそれぞれ1/2の最も無秩序な状態)にする。そして、初期状態(t=0)では、A(0)=0、B(0)=1とする。初期状態は、横磁場により全てのスピンの組み合わせが重ね合わされた状態であり、横磁場が支配的な場合には、この状態がエネルギー最小の状態である。そして、時間の経過(t>0)とともに、徐々にA(t)は、1に近づき、B(t)は、0に近づいていく。そして、予め決めておいた有限時間(t=τ)に到達したときに、A(τ)=1、B(τ)=0となるように、横磁場を停止する(第2項はゼロ)。
つまり、初期状態は、横磁場のみを作用させて、全てのスピン配列が重ねあわさった状態が最もエネルギーが低い状態を作り、次第に、横磁場の値を弱めながら、本来のイジングモデルのハミルトニアンの寄与を大きくしていく。このとき、量子断熱時間発展の現象(エネルギーの最小の状態から出発して、ゆっくり時間発展させていくと、常にエネルギー最小の状態に留まるという現象)が生じる。そうすると、最終的には、ハミルトニアンが最小値を取る、イジングモデルの基底状態(エネルギー最小状態)となり、最適化問題の解に到達する。
読出部25は、汎用計算機10からの入力(すなわち、目的関数(H)の係数の入力)に基づき量子ビットノード(超電導リング)21間の結合の重みが結合器制御部24により設定された後、量子ビット制御部22による上記の作用によりイジングモデルが基底状態(エネルギー最小状態)になると、このときの量子ビットノード21の各イジング変数σの値を読み出す。読出部25は、ここで読み出した各イジング変数の値を最適化問題の解として汎用計算機10に出力する。
量子計算機20が、イジングモデルが基底状態(最小値)となったときの各ノードの値(イジング変数の値)を測定する処理は、上記量子アニーリングマシンに限定されるものではない。例えば、量子現象に着想を得てイジングモデルを、デジタル回路を用いて解く等の特性を用いて計算を行うことに特化した計算機を用いても構わない。また、格子モデル等の断熱モデルと、任意の量子回路を用いた回路モデルとは、量子計算においては等価である。このため、量子アニーリングを用いた量子計算は、連続的に量子ゲートを作用させる量子回路と等価であり、ハミルトニアンが示すイジングモデルを、量子ゲートを組み合わせた量子回路を再現する任意のハードウェアによって実現した計算機であっても構わない。
以上のような最適化システムによれば、利用可能な量子ビットの数に限りがある量子計算機20を用いて、汎用計算機による求解が困難な大規模な最適化問題であったとしても、比較的容易に求解することができる。例えば、製品数および工程数が多く、複雑な制約(不等式制約など)が含まれる多段工程処理スケジュールの最適化問題であっても、量子計算機20に求解させることができ、従来の汎用計算機のみを用いて求解する場合と比べて、計算に要する時間を短縮することができる。なお、上記実施形態では、複数の子問題を1台の量子計算機20に求解(各子問題を連続して処理)させる例を挙げて説明しているが、これに限定されず、子問題ごとに異なる量子計算機20に求解(各子問題を並列に処理)させてもよいし、一部の子問題のみを異なる量子計算機20に求解させてもよい。
[装置の具体例]
以下、下記の最適化モデルを例にとって、汎用計算機10の決定変数設定部12および目的関数設定部13における具体的な設定方法、ならびに、最適解決定部16における具体的な更新方法を説明する。
(最適化モデル)
求解対象の最適化問題の決定変数として、例えば、複数の工程(以下、「多段工程」ともいう)における、各製品iの各工程jにおける処理順kを表す、割当変数x[i][k](i∈N,k∈K(j),j∈J)がある。この割当変数x[i][k]の組は、各子問題の決定変数に分解され、イジングモデルの各ノードにマッピングされる。なお、工程jで考慮すべき時刻範囲K(j)は、K(j)={1,2,…,j(n-1)+1}とする。
一方、例えば、ロットの不揃いなどのロット情報、納期とのずれなどの納期情報などに応じて、ノード間の相互作用の値を設定したイジングモデルのハミルトニアンを設定する。例えば、ある工程jにおいて、製品iおよびiとのロットl(i)、およびl(i)が異なるケース(l(i)≠l(i))を想定する。このとき、iおよびiを隣接する処理順kおよび(k+1)で処理する場合、ロットまとめができないことになる。その条件が成立する場合には、割当変数x[i][k]とx[i][k+1]とが共に真となる。このとき、ハミルトニアンとして入力される目的関数は、想定される目的関数値よりも十分に大きく設定された重み要素とを含むものとする。ここで、重み要素は、割当変数x[i][k]とx[i][k+1]に対応するノード(イジング変数)の間の相互作用を示す係数、すなわち、x[i][k]とx[i][k+1]とのノード間を連結する重みの値であり、積x[i][k]・x[i][k+1]に対する重みに該当する。
そして、汎用計算機10は、量子計算機20に、ハミルトニアンが最小値を取る、すなわち、イジングモデルの基底状態(エネルギー最小状態)となる解を算出させる。そして、基底状態における各ノードにおける、割当変数x[i][k]の値に基づいて、任意製品の任意工程の処理順に関する最適条件を見出すことができる。以下、具体的な問題設定に基づいて、さらに詳しく説明する。
(問題設定)
製品の製造プロセスが複数工程にまたがる処理工程において、各工程における最適な処理順を求める問題を考える。この問題において、それぞれの工程における処理順は、連続する処理順の中で同一ロットをできるだけ大ロットにまとめること、即ち、ロット変更に伴う段取り替えをできる限り少なくすることを評価する。また、工程間の制約として、任意の製品について、前工程の処理が終了していることが次工程での当該製品の処理開始の条件とする。目的関数は、ロット変更回数および納期遅れと早作りをそれぞれ異なるペナルティを課して評価するものとする。
仮定および定式化に用いる記号の定義は、下記の通りである。
・対象製品集合をN(=1,2,…i,…,n)とする。
・各製品iの(最終工程における)納期をdとし、工程jでの所属ロットをlijとする。この値は、所与とする。
・工程集合をJ(=1,2,…j,…,p)とする。
・任意の製品iの任意の工程jでの処理時間は、一律同じであることとし、その処理時間を単位時間とする。
・上流工程での処理が完了していない製品は、それより下流工程で処理はできないこととする。すなわち第j工程での処理順(処理時刻)kで処理された製品は第j+1工程では処理順(処理時刻)k以降であれば処理可能であるとする。工程jで考慮すべき時刻範囲K(j)は、K(j)={1,2,…,j(n-1)+1}としている。
・各製品iは、最終工程(J=p)での納期dが付与されており、最終工程での処理時刻がこれより大きい場合は納期遅れとし、これより小さい場合は早く作りすぎたものとし、それぞれ異なるペナルティを課すものとする。
(量子アニーリング型定式化)
以下、定式化した多段工程処理順モデルを量子アニーリング計算に利用するイジングモデルに変換する方法を詳細に示す。
イジング変数(イジングモデルのノード)の設定
各製品iの各工程jにおける処理順kを表す割当変数x[i][k](i∈N,k∈K(j),j∈J)をイジング変数とする。ここで、上記の仮定に従い、同一製品の処理タイミング(時刻)は、第二工程以降(j≧2)では前工程での製造順以降となる。例えば、第二工程では可能性のある処理時刻範囲が(1≦k≦2n-1)となる。この範囲は工程が進むに従い拡張されるので、『k∈K(j)』とする。これに対応し、対象製品集合については、i∈N∪E(j)とする。E(j)は、処理が行われない時刻に仮想的に処理されるダミー製品を表すものとする。
ハミルトニアンへの変換方法
量子計算機において、イジングモデルのハミルトニアンは、下記数式2のH(σ)で表される。ハミルトニアンH(σ)は、±1という二つの値をとるイジング変数σ(i=1,…,Q)に重みパラメータhをかけたσ・hと、二つのイジング変数σとσの積に重みパラメータJijをかけた、二つのイジング変数間の相互作用エネルギーを表すJij・σσとを合わせた値であり、全エネルギーを意味する。なお、イジング変数はσ∈{-1,1}であるが、通常の数理計画問題における数理モデルでは、変数sをs∈{0,1}としてモデル化される。その場合には、σ=s-1または、s=(σ+1)/2の変数変換を行う。
Figure 0007457243000002
ここで、従来の計算装置で定式化するモデルを全てハミルトニアンに変換する必要がある。特に、従来の計算装置において不等式でモデル化していた制約式の変換方法が課題となるが、以下のように変換する。
例えば、最適化モデルの中に『特性値x≦特性値y』という不等式制約が含まれる場合を想定する。このとき、「特性値xがk以上」という事象Aと、「特性値yがk未満」という事象Bとが任意のkに対し同時に成立する場合、前記不等式制約に違反することとなる。事象Aおよび事象Bの生起有無をそれぞれイジング変数σ,σに対応づけられれば、両事象が同時に生起することを表すσ、σ間の相互作用であるσ・σに対してペナルティを課すことにより、前記不等式制約と同様の効果を発揮することができる。具体的な変換方法は下記の通りである。
イジング変数である割当変数x[i][k](i∈N,k∈K(j),j∈J)は、いずれの工程jにおいても任意の製品iはいずれかの処理順kに割り当てられねばならない。また、いずれの工程jにおいても、任意の処理順(時刻)kには、ダミー材を含むいずれかの製品iが割り当てられねばならない。製品割当て制約および処理順割当て制約は、下記数式3および数式4として記述できる。
Figure 0007457243000003
Figure 0007457243000004
これらの制約は、量子計算機においては、下記数式5として表すことができる。下記式中、第1項が処理順割当て制約に対応し、第2項が製品割当て制約に対応する。下記式は、それぞれの割当て制約に違反する処理順にペナルティを課すものであり、「Σi∈N∪E(j)[i][k]」および「Σk∈K(j)[i][k]」が1以外の値をとる処理順に対し、固有値qBigを大きくする項を加えるものである。qBigを“十分”大きくすれば、「Σi∈N∪E(j)[i][k]」および「Σk∈K(j)[i][k]」が1以外の値をとる場合にハミルトニアンが大きくなり、その条件に関するエネルギーが大きくなり、その結果、前記割当制約を満たすこととなる。
Figure 0007457243000005
多段工程処理スケジュールでは製品iの前工程jで処理が未完了だと後工程(j+1)で製品iの処理が開始できない。この制約は、下記数式6として記述できる。工程毎の分解子問題を定義するには、この制約を緩和し、違反量をラグランジュ緩和項として目的関数に組み込む必要がある。
Figure 0007457243000006
上記数式6で示される制約条件に対する違反量は、下記数式7となる。
Figure 0007457243000007
ラグランジュ緩和項として工程j毎の分解問題の目的関数に取り込む際には数式7にラグランジュ乗数λj,i,ljを乗じた項をj毎に分解し、定数項を除いた数式8として反
映される。
Figure 0007457243000008
従って、工程jの子問題の目的関数におけるラグランジュ緩和項Jj2は、数式9となる。数式9は元の問題で制約である工程間制約(前工程の処理が終わらないと次工程での処理ができない)を緩和し、その制約に対する違反量を子問題に分解したもので、子問題ではもはや制約ではなく、違反することが認められていることから、重み(qBig)の項
は不要となる。
Figure 0007457243000009
第二工程以降(j≧2)の処理では、工程間制約により、最初の処理開始がk=1とは限らず、例えば、第二工程では、最初に処理を行う時刻が1≦k≦2n-1の可能性がある。また、仮にk=3に最初の処理が行われた場合、最後の処理はk=n-2(=3+n-1)に行われなければならない。つまり、途中に処理の隙間ができないようにしなければならない。処理順に隙間を作らないということは、「Σi∈Nxj[i][k]」が連続する処理順k-1,k,k+1にて『1,0,1』とはならないということと等価であるため、この制約は、下記数式10で表される。
Figure 0007457243000010
しかし、上記式は、不等式制約であるため、そのままイジングモデルのハミルトニアンとすることはできない。ここで、本発明者らは、連続処理における事象について検討し、連続処理では、『処理順k,k+1の間でダミー処理から実処理に切り替わるのは高々1回しかない(事象1)』ということを見出した。また、本発明者らは、『k=1から処理を開始できた場合に限り、このような切り替わりは、一度も起こらない(事象2)』ということも見出した。そして、事象1と事象2とは連続処理が実現されている場合には排反事象であり、いずれかは必ず生起する。この制約は、数式11で表される。数式11の第1項は、ダミー処理から実処理に切り替わる回数、第2項は、事象2の生起有無に対応し、連続処理では、この総数が1となることが要請され、かついかなる場合も、この和が1以下となることはないので、2乗の項としなくても、二つのイジング変数の相互作用を規定することによりモデル化できる。そして、下記数式9のqBigを“十分”大きくすれば、ハミルトニアンが大きくなり、その条件に関するエネルギーが大きくなり、その結果、処理の途中に隙間ができることを回避することとなる。
Figure 0007457243000011
多段工程処理順モデルにおいて評価すべき項目は、前記のように『納期に対する最終工程処理順のずれの少なさ』(納期情報)と『処理順に対するロットのまとまり』(ロット情報)との2項目である。前者は、下記数式12および数式13でモデル化できる。数式12は、納期遅れに対するペナルティを表すもので、数式13は、納期に対し早く作りすぎた時間に対するペナルティを表すものである。各製品iの最終工程pにおける処理時刻を表すイジング変数x[i][k]に、それぞれ納期に対するずれに比例した値をかけることにより、ずれが大きいほど、ハミルトニアン即ちエネルギーが大きくなるようモデル化されている。また、q,qは、納期遅れと納期早作りに対するペナルティを識別するための重み(比例)係数である(通常、納期遅れの重みq方が納期早作りの重みqより大きい数値に設定する)。
後者の『処理順に対するロットのまとまり』に対しては、下記数式14でモデル化できる。ここで、LCは、工程jにおいてロットが異なる(l(i)≠l(i))製品ペア(i,i)の集合を表す。数式12は、LCに属する製品ペア(i,i)が連続する処理順k,k+1に処理されることに対応する二つのイジング変数x[i][k]とx[i][k+1]との積に、ロットがまとまらないことに対するペナルティを表す重み係数qをかけた二つのイジング変数間の相互作用のエネルギーを表している。従って、このモデルにより、連続する処理順でロットが異なる場合、即ちロットがまとまらない場合、ハミルトニアン即ちエネルギーが大きくなるようモデル化されているので、qを大きくするほど、基底状態では、ロットがまとまるような処理順に収束することが期待できる。
そして、ハミルトニアンJは、上記全ての目的関数を考慮した総和に関する下記数式15および数式16で表現することができる。
Figure 0007457243000012
Figure 0007457243000013
Figure 0007457243000014
Figure 0007457243000015
Figure 0007457243000016
ここで、Jj1、Jj2、Jj3、Jp4、Jp5、Jj6の重み係数qBig,q,q,qを設定する際の指針を示す。Jj1、Jj2、Jj3は、制約式を目的関数化したもので、従来の計算機であれば、制約式として表現すべきものであることから、違反が発生する場合には、本来の目的関数に該当するJp4、Jp5、Jj6の総和よりも、より十分大きな値(例えば10倍程度)となるよう、qBigを設定することが前記の「十分大きく」の意味合いとなる。この数式15および数式16において、x[i][k]・x[i][k+1]などのxの二次項の係数が数式2のJijに対応し、数式15および数式16に含まれるx[i][k]などのxの一次の項が数式2のhに対応する。
以上、決定変数設定部12により設定された決定変数が、量子計算機20内において格子状に配列した量子ビットノードに対応付けられる。また、目的関数設定部13により設定された子問題についての目的関数の係数が、各量子ビットノード(イジング変数)間の関係性を示す係数(結合の重み)として量子計算機20に入力される。
ここでは、特定関数を、±1を値にとるイジング変数を用いて記述したが、0,1の2値をとる変数を用いてQUBO形式により与えられても、勿論構わない。
[装置の動作]
次に、本実施形態における最適化支援装置10の動作について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態における最適化支援装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図1を参酌する。また、本実施形態では、最適化支援装置10を動作させることによって、最適化支援方法が実施される。よって、本実施形態における最適化支援方法の説明は、以下の最適化支援装置10の動作説明に代える。
本実施形態における最適化支援装置10は、格子状に配列した複数の量子ビットノードと、前記量子ビットノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成されるハミルトニアンとを備えるイジングモデルにおいて、量子揺らぎを用いて前記ハミルトニアンの値が最小値となる、前記イジングモデルの基底状態を求める量子計算機20に、最適化問題を求解させる。
ここで、図4に示すように、入力情報取得部11は、最適化問題の構築に必要な入力情報を取得する(S1)。入力情報の例としては、任意製品の任意工程での処理順について最適化するための最適化問題を求解する場合には、工程数、製品数、ロット番号、納期などである。より具体的には、工程集合J、製品情報(製品集合i、工程別ロット属性、納期など)、また、評価重みのパラメータ(qBig,q,q,qなど)である。
決定変数設定部12は、求解対象の最適化問題の決定変数を設定する(S2)。例えば、決定変数設定部12は、任意製品の任意工程での処理順について最適化するための最適化問題を求解する場合には、その処理順kを決定変数として設定する。
目的関数設定部13は、求解対象の最適化問題の一部の制約条件を緩和した複数の子問題に分解し、子問題それぞれについての目的関数を設定する(S3)。求解対象の最適化問題に制約条件が含まれている場合、目的関数設定部13は、子問題それぞれについての目的関数は、緩和した制約条件に対する違反量に乗数(後述するラグランジュ乗数λ)を乗じた項を含む。また、その制約条件の違反に対してペナルティを課すような要素を含む目的関数を設定する。具体的には、目的関数設定部13は、また、本来の評価すべき事項を数式で表した評価指標の要素(例えばJj2、Jp4、Jp5、Jj6)と、制約条件の違反に対してペナルティを課すような数式で表した制約式の要素(例えばJj1、Jj3)とを含む目的関数を設定する。さらに、評価指標の要素および制約式の要素には、それぞれの要素の重みを表す重み要素(例えばq,q,q,qBig)が含まれている。ここで、最適化問題に不等式制約が含まれている場合には、目的関数設定部13は、決定変数設定部12により設定された決定変数の積の項を少なくとも含む数式で表した制約式の要素(例えばJj1、Jj3)と、制約条件に違反する場合に、想定される基準値(目的関数値)よりも十分に大きく設定される重み要素(例えばqBig)とを含む目的関数を設定する。
目的関数設定部13は、上記のような目的関数を少なくとも制約条件毎に作成し(例えば、Jj1、Jj2、Jj3、Jp4、Jp5、Jj6)、作成した目的関数を統合して最終的な目的関数(例えば、J、J)として設定する。なお、Jj2のラグランジュ乗数λとしては、最適解決定部16により、数式20で更新された最新の値が用いられる。
なお、上記実施形態では、目的関数設定部13が入力情報取得部11により取得された入力情報に基づいて目的関数を生成するものとして説明しているが、本発明はこれに限定されず、ユーザによって生成済みの目的関数が汎用計算機10に入力(手入力を含む)される形態としてもよい。
入力部14は、決定変数設定部12により設定された決定変数を子問題それぞれについての決定変数に分解し、分解した決定変数を、量子計算機20内において格子状に配列した量子ビットノード(すなわち、イジング変数)に対応させ、目的関数設定部13により設定された子問題についての目的関数の係数を、各量子ビットノード(イジング変数)間の関係性を示す係数(結合の重み)として量子計算機20に入力する(S4)。
結果取得部15は、入力部14により入力された各子問題の目的関数の係数に基づいて計算された量子計算機20の計算結果(各子問題の最適解)を取得する(S5)。具体的には、量子ビットノード(イジング変数)の基底状態での測定値を、それらの量子ビットノード(イジング変数)に対応する各子問題の決定変数の値として取得し、また、各子問題の最適解に基づいて、各子問題の目的関数(ハミルトニアン)の最適値を求める。
最適解決定部16は、結果取得部15が取得した最適解を束ねて緩和解を得る。また、最適解決定部16は、結果取得部15が取得した最適値を加え合わせて緩和最適値を得る。最適解決定部16は、緩和解と、緩和最適値とに基づいて前記目的関数を更新する(S6)。
具体的には、最適解決定部16は、最適化問題における更新直前の下界値と緩和最適値とを比較して、下界値を更新し、緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解に基づいて、上界値を更新する。最適解決定部16は、緩和解に基づいて、緩和した制約条件に対する違反量を要素として劣勾配ベクトルGを算出する。そして、最適解決定部16は、劣勾配ベクトル、更新した下界値と、更新した上界値とにより、緩和した制約条件に対する違反量に乗数(後述するラグランジュ乗数λ)を更新する。これによって、目的関数が更新される。
(下界値の更新)
原問題における工程間の制約条件を緩和することにより、工程j(∈P)毎に分解して生成した、子問題Pjについて、量子計算機20から得られた緩和解xj_opt[i][k]を束ねた解を緩和解xrelxとし、各子問題Pjの最適値をVj_optとするとき、それらを全工程に渡り総和をとった緩和最適値Vrelxは数式17から求められる。Vrelxと、予め設定された下界値ZLBと比較し、ZLB<Vrelxが成立する場合(最小化問題前提)、下界値ZLBをVrelxで更新する。ただし、子問題の最適値を加え合わせる際、Jj2にて元の定数項を省略している場合は、それを考慮する必要ある。数式17の第二項の「-(p-1)」によってそれを示している。なお、最大化問題の場合には、Vrelxと、予め設定された上界値ZUBと比較を比較して、ZUB>Vrelxが成立する場合、上界値ZUBをVrelxで更新する。
Figure 0007457243000017
(上界値の更新)
緩和解xrelxを用いて、違反がなくなるまで後工程の処理時刻をずらすことにより工程間制約に違反する箇所を修正し、実行可能解xfesを導出する。以下、表1に示す例に従って、修正方法を詳細に説明する。
Figure 0007457243000018
表1に示す例において、工程jと工程(j+1)の間での工程間制約(すなわち、製品iの前工程jで処理が未完了だと後工程(j+1)で製品iの処理が開始できないとの制約)に反する製品は、製品5と製品1である。製品5は工程jではk=2処理しているのに工程j+1では、k=1で処理しているので1時刻逆転している。製品1は工程jではk=5処理しているのに工程j+1では、k=2で処理しているので3時刻逆転となっている。そこで、逆転現象を回避するには工程j+1での処理順を最大逆転時刻にあたる3時刻分後ろにずらせばよい。すらした結果を表1の「j+1修正」の欄に記している。修正後の実行可能解xfesとするとき、実行可能解xfesとに基づいて目的関数を計算して得たVfesを、予め設定された上界値ZUBと比較し、Vfes<ZUBが成立する場合(最小化問題前提)、上界値ZUBをVfesで更新する。なお、最大化問題の場合には、Vfesと、予め設定された下界値ZLBと比較を比較して、Vfes>LBが成立する場合、下界値ZLBをVfesで更新する。
なお、緩和解の修正方法は、表1に示す例に限定されない。例えば、違反箇所の製品のみを変数として工程間制約を含む原問題を解き直すという方法なども考えられる。この様に、子問題の解を統合した緩和解を参照して、それに対し、上記の様な調整を加えることにより、実行可能解を得る処理及びその際の目的関数値である原問題の上界値を求める処理を調整と称している。
(劣勾配ベクトルGの算出)
前述の緩和解xrelxに基づいて緩和した工程間制約(数式9)に対する制約違反量を要素とするベクトルである列勾配ベクトルGを算出する。数式9は、i∈N,l=1,…,K(j)-1,j∈P\1に対して定義されるので、Gの次元はn×(K(j)-1)×(p-1)となり、各要素は、対応する制約違反量となり、汎用計算機により数式18で計算できる。
Figure 0007457243000019
(ラグランジュ乗数λの算出)
上記のようにして得られた下界値ZLB、上界値ZUBおよび劣勾配ベクトルGに基づいて、ラグランジュ乗数更新ステップサイズξを数式18により求める。得られたξを用いて、数式19によりラグランジュ乗数λ(r)をλ(r+1)に更新する。
Figure 0007457243000020
Figure 0007457243000021
最適解決定部16は、更新したラグランジュ乗数λ(r+1)を用いて、数式9を更新して、量子計算機20に入力する目的関数を更新する。更新された目的関数は、入力部14により、量子計算機20に入力され、結果取得部15により、更新された目的関数についての計算結果(各子問題の最適解)が取得され、各子問題の最適解に基づいて各子問題の目的関数(ハミルトニアン)の最適値が求められる。最適解決定部16は、この計算結果(最適解)および最適値に基づいて、目的関数の更新を行う。この一連の作業は、予め定められた状態に収束する(緩和解が緩和した一部の制約条件を満たす、または、所定の終了条件(上界値と下界値との差が閾値未満)を満たす)まで継続される。図4では、これらの条件を総称して「所定の条件」としている。そして、先に緩和した一部の制約条件が満たされた場合には、その時点で前記結果取得部により取得された最新の最適解を束ねた緩和解を元の最適化問題の最適解とし、先に前記所定の終了条件が満たされた場合には、その時点で得られている最良の実行可能解を元の最適化問題の最適解とする。最適化問題の解は、表示部(図示省略)により表示される。
(プログラム)
本実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、図3に示すステップS1~S6を実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における最適化支援装置と最適化支援装置とを実現することができる。この場合、情報処理装置となるコンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、入力情報取得部11、決定変数設定部12、目的関数設定部13、入力部14、結果取得部15および最適解決定部16として機能し処理を行なう。
また、本実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、入力情報取得部11、決定変数設定部12、目的関数設定部13、入力部14、結果取得部15および最適解決定部16のいずれかとして機能してもよい。
[物理構成]
ここで、本実施形態におけるプログラムを実行することによって、最適化支援装置を実現するコンピュータについて図を用いて説明する。図5は、本実施形態における最適化支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
図5に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボードおよびマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、およびコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))およびSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、またはCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
なお、本実施形態における最適化支援装置は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェアを用いることによっても実現可能である。更に、最適化支援装置は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。
本発明によれば、迅速に、任意製品の任意工程の処理順の最適化を行うことができる。
10 汎用計算機(最適化支援装置)
11 入力情報取得部
12 決定変数設定部
13 目的関数設定部
14 入力部
15 結果取得部
16 最適解決定部
20 量子計算機(最適化装置)
21 量子ビットノード
22 量子ビット制御部
23 結合器
24 結合器制御部
25 読出部
30 最適化システム
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス

Claims (10)

  1. 複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、最適化問題を求解させる最適化支援装置であって、
    前記最適化問題に関する入力情報を取得する、入力情報取得部と、
    前記最適化問題の決定変数を設定する、決定変数設定部と、
    前記最適化問題について一部の制約条件を緩和した複数の子問題に分解し、前記子問題それぞれについての目的関数を設定する、目的関数設定部と、
    前記決定変数を前記子問題それぞれについての決定変数に分解して前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、入力部と、
    前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記子問題の最適解として取得し、前記最適解に基づき前記子問題の目的関数の最適値を求める、結果取得部と、
    前記最適解を束ねた緩和解と、前記最適値を加え合わせた緩和最適値とに基づき、前記一部の制約条件が満たされるか否かを判定し、前記一部の制約条件が満たされる場合には前記緩和解を元の最適化問題の最適解とし、前記一部の制約条件が満たされない場合には前記緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解を元の最適化問題の最適解とする、最適解決定部と、を備える、最適化支援装置。
  2. 前記最適解決定部は、前記一部の制約条件が満たされない場合には、前記緩和解および前記緩和最適値に基づき前記目的関数を更新し、
    前記目的関数設定部は、前記最適解決定部により更新された目的関数を前記子問題それぞれについての目的関数として再設定する、請求項1に記載の最適化支援装置。
  3. 前記最適解決定部は、前記一部の制約条件が満たされない場合において、前記最適化問題が最小化問題の場合は、更新直前の下界値と前記緩和最適値とを比較して、下界値を更新し、前記最適化問題が最大化問題の場合は、更新直前の上界値と前記緩和最適値とを比較して、上界値を更新し、前記下界値または前記上界値に基づいて前記目的関数を更新する、
    請求項2に記載の最適化支援装置。
  4. 前記最適解決定部は、前記一部の制約条件が満たされない場合において、前記実行可能解に基づいて、前記最適化問題が最小化問題の場合は、上界値を更新し、前記最適化問題が最大化問題の場合は、下界値を更新し、前記上界値または前記下界値に基づいて前記目的関数を更新する、
    請求項2または3に記載の最適化支援装置。
  5. 前記最適解決定部は、前記一部の制約条件が満たされる、または所定の終了条件が満たされるまで、前記目的関数の更新を繰り返し、先に前記一部の制約条件が満たされた場合には、その時点で前記結果取得部により取得された最新の最適解を束ねた緩和解を元の最適化問題の最適解とし、先に前記所定の終了条件が満たされた場合には、その時点で得られている最良の実行可能解を元の最適化問題の最適解とする、請求項2から4までのいずれかに記載の最適化支援装置。
  6. 前記目的関数設定部は、前記緩和した制約条件に対する違反量に乗数を乗じた項を含む目的関数を設定する、
    請求項1から5までのいずれかに記載の最適化支援装置。
  7. 前記最適解決定部は、前記緩和解に基づいて、前記緩和した制約条件に対する違反量を要素として算出した劣勾配ベクトルと、更新した下界値と、更新した上界値とにより、前記、乗数を更新する、
    請求項6に記載の最適化支援装置。
  8. 格子状に配列した複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、最適化問題を求解させる最適化支援方法であって、
    コンピュータが、
    (1)前記最適化問題に関する入力情報を取得する、ステップ、
    (2)前記最適化問題の決定変数を設定する、ステップ、
    (3)前記最適化問題の一部の制約条件を緩和した複数の子問題に分解し、前記子問題それぞれについての目的関数を設定する、ステップ、
    (4)前記決定変数を前記子問題それぞれについての決定変数に分解して前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、ステップ、
    (5)前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記子問題の最適解として取得し、前記最適解に基づき前記子問題の目的関数の最適値を求める、ステップ、および、
    (6)前記最適解を束ねた緩和解と、前記最適値を加え合わせた緩和最適値とに基づき、前記一部の制約条件が満たされるか否かを判定し、前記一部の制約条件が満たされる場合には前記緩和解を元の最適化問題の最適解とし、前記一部の制約条件が満たされない場合には前記緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解を元の最適化問題の最適解とする、ステップを実行する、最適化支援方法。
  9. 格子状に配列した複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、最適化問題を求解させるに際して、
    コンピュータに、
    (1)前記最適化問題に関する入力情報を取得する、ステップ、
    (2)前記最適化問題の決定変数を設定する、ステップ、
    (3)前記最適化問題の一部の制約条件を緩和した複数の子問題に分解し、前記子問題それぞれについての目的関数を設定する、ステップ、
    (4)前記決定変数を前記子問題それぞれについての決定変数に分解して前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、ステップ、
    (5)前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記子問題の最適解として取得し、前記最適解に基づき前記子問題の目的関数の最適値を求める、ステップ、および、
    (6)前記最適解を束ねた緩和解と、前記最適値を加え合わせた緩和最適値とに基づき、前記一部の制約条件が満たされるか否かを判定し、前記一部の制約条件が満たされる場合には前記緩和解を元の最適化問題の最適解とし、前記一部の制約条件が満たされない場合には前記緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解を元の最適化問題の最適解とする、ステップを実行させるプログラム。
  10. 最適化問題を最適化するシステムであって、
    格子状に配列した複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置と、
    前記最適化問題に関する入力情報を取得する、入力情報取得部と、
    前記最適化問題の決定変数を設定する、決定変数設定部と、
    前記最適化問題について一部の制約条件を緩和した複数の子問題に分解し、前記子問題それぞれについての目的関数を設定する、目的関数設定部と、
    前記決定変数を前記子問題それぞれについての決定変数に分解して前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、入力部と、
    前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記子問題の最適解として取得し、前記最適解に基づき前記子問題の目的関数の最適値を求める、結果取得部と、
    前記最適解を束ねた緩和解と、前記最適値を加え合わせた緩和最適値とに基づき、前記一部の制約条件が満たされるか否かを判定し、前記一部の制約条件が満たされる場合には前記緩和解を元の最適化問題の最適解とし、前記一部の制約条件が満たされない場合には前記緩和解に含まれる違反を修正して得た実行可能解を元の最適化問題の最適解とする、最適解決定部と、を備える、最適化システム。
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