JP7457242B2 - 最適化支援装置、最適化支援方法、プログラムおよび最適化システム - Google Patents

最適化支援装置、最適化支援方法、プログラムおよび最適化システム Download PDF

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Description

本発明は、最適化支援装置、最適化支援方法、プログラムおよび最適化システムに関する。
多段工程を含む生産物流プロセスでは、例えば、操業条件(製造作業、仕分作業など)の簡略化及び効率化を目的として、製品を操業条件によって識別し、ロット番号で管理している。ロットとは、同一の操業条件で処理可能な製品をまとめた生産単位を意味する。例えば、熱延工程において同一の加熱及び圧延条件で製造される10個のコイルがあった場合、それらに同一のロット番号を付与し、ロットという単位でまとめて管理される。各工程では、同一のロット番号が付与された複数の製品が連続して生産されることが効率性の観点から望ましい。以下、ロット単位にまとめられた複数の製品を連続して生産する処理を「ロットまとめ」という。
各工程では、通常、ロットが変わるたびに段取り替えが必要となる。段取り替えとは、各工程における処理設備の設定変更、部品交換、メンテナンスなどを指す。段取り替えには、通常多くの時間を要する。このため、各工程の作業スケジュールは、出来るだけ段取り替え作業が少なくて済むように作成されることが好ましい。しかしながら、近年、顧客から注文される製品仕様は細分化しており、大きなロットにまとめられる製品群は少ない。仮に、大きなロットにまとめることができる製品群があったとしても、通常、納期にばらつきがあることが多い。そのような大きなロットにまとめることができる製品を優先的に連続して製造すると、納期に時間的な余裕がある製品を先に製造することとなり、その結果、本来、先に製造すべき製品が後回しになってしまう場合がある。そのため、後回しとなった製品の生産が納期に間に合わないという問題を引き起こすおそれがある。
また、ロットまとめの条件は、工程ごとに異なる。そのため、製造する製品の種類によっては、ある工程では同一のロットとしてまとめられても、他の工程では同一のロットとしてまとめられない製品の組合せが生じ得る。このため、工程ごとに個別にスケジュールを作成する方法が考えられるが、全工程を通してみると生産効率が低下するおそれがある。このように、複数の工程にわたる生産計画を策定する際には、納期と生産効率とのトレードオフを全工程にわたり調整して、適切なロットまとめをする必要がある。しかしながら、全工程にわたるスケジュールを作成しようとすると、以下のような問題がある。
すなわち、生産効率を決める条件の組合せが多く、解くべきスケジュール問題が大規模化し、求解に膨大な計算量および多大な時間を要する。そのうえ、プロセスの遅延、作業停止などの外的要因によって、頻繁かつ迅速なスケジュールの修正(リスケジュール)が必要となる。このため、従来は、工程毎の個別のスケジュールを作成することが一般的であり、全工程にわたり任意製品の任意工程での処理順を最適化したスケジュールを作成することは困難であった。
特許文献1(特開2010-97506号公報)には、1つ以上の製品がグルーピングされたロットを処理単位としてそれぞれ処理を実行する複数の工程を含む生産物流プロセスの作業スケジュールを作成するシステムに関する発明が開示されている。
特開2010-97506号公報
特許文献1の発明は、工程間で必要となるデータの受け渡しに関するシステム構成を提案しているが、全工程にわたる納期と生産効率とのトレードオフを解消する具体的な処理順の決定方法について言及していない。
本発明者らは、上記の問題を解決するべく、近年、量子力学的な状態の重ね合わせを用いることにより、従来の計算装置では実現できない規模の並列性を実現する量子計算の技術に着目した。量子計算技術には、例えば、最近、話題を呼んでいる、1)超伝導量子ビットを用いて最適化計算を行うことに特化したレーザネットワークや量子アニーリングマシンなどの量子イジングモデル方式の量子コンピュータ技術、2)量子ゲートを組み合わせて汎用的な量子計算が可能な量子ゲート方式の量子コンピュータ技術、3)量子現象に着想を得てイジングモデルをデジタル回路を用いて解くことに特化した技術、などが含まれる。以降、これらの技術を量子計算技術と呼ぶ。
しかしながら、上述のように任意製品の任意工程での処理順について最適化するために量子計算技術を用いて最適化問題(例えば、数理計画問題)を求解させようとすると、事前に最適化問題の制約式を目的関数に変換する必要がある。これは、現時点の量子計算技術を用いた手法では、最適化問題の制約式については設定できず、目的関数についての設定しかできないためである。そのため、最適化問題を量子計算技術を用いて求解させるために、例えば、等式制約については、両辺の対象項を左辺または右辺のいずれかに全て移行し、その辺の2乗和に対しペナルティを課すことで、比較的容易に目的関数化できる。しかし、等式制約以外の不等式制約については、いまだ統一的な目的関数化方法は知られていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、不等式制約が含まれる最適化問題を量子計算技術を用いて比較的容易に求解させる最適化支援装置等を提供することを目的とする。
(A)複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、不等式制約が含まれる最適化問題を求解させる最適化支援装置であって、
前記最適化問題に関する入力情報を取得する、入力情報取得部と、
前記最適化問題の決定変数を設定する、決定変数設定部と、
前記不等式制約を表す不等式の各辺の生起有無が前記決定変数の積の形式に変換された制約式の要素と、前記不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重み要素とを含む目的関数を設定する、目的関数設定部と、
前記決定変数を前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、入力部と、
前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記最適化問題の解として取得する、結果取得部と、
を備える、
最適化支援装置。
(B)複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、不等式制約が含まれる最適化問題を求解させるに際して、下記の(1)~(5)のステップを備える最適化支援方法。
(1)前記最適化問題に関する入力情報を取得する、ステップ、
(2)前記最適化問題の決定変数を設定する、ステップ、
(3)前記不等式制約を表す不等式の各辺の生起有無が前記決定変数の積の形式に変換された制約式の要素と、前記不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重みの要素とを含む目的関数を設定する、ステップ、
(4)前記決定変数を前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、ステップ、および
(5)前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記最適化問題の解として取得する、ステップ。
(C)複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、不等式制約が含まれる最適化問題を求解させるに際して、
コンピュータに、
下記の(1)~(5)のステップを備える最適化支援方法を実行させる、プログラム。
(1)前記最適化問題に関する入力情報を取得する、ステップ、
(2)前記最適化問題の決定変数を設定する、ステップ、
(3)前記不等式制約を表す不等式の各辺の生起有無が前記決定変数の積の形式に変換された制約式の要素と、前記不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重みの要素とを含む目的関数を設定する、ステップ、
(4)前記決定変数を前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、ステップ、および
(5)前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記最適化問題の解として取得する、ステップ。
(D)複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置と、
前記最適化問題に関する入力情報を取得する、入力情報取得部と、
前記最適化問題の決定変数を設定する、決定変数設定部と、
前記不等式制約を表す不等式の各辺の生起有無が前記決定変数の積の形式に変換された制約式の要素と、前記不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重みの要素とを含む目的関数を設定する、目的関数設定部と、
前記決定変数を前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、入力部と、
前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記最適化問題の解として取得する、結果取得部と、
を備える、
最適化システム。
本発明によれば、不等式制約が含まれる最適化問題を量子計算技術を用いて比較的容易に求解させることができる。
本実施形態に係る最適化システムの概略構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る量子計算機のハードウェア構成を示す図である。 量子計算機の原理を説明するための図である。 本実施形態に係る最適化支援装置の動作を示すフロー図である。 本実施形態に係る最適化支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
[装置の構成]
最初に、本実施形態に係る最適化システムの概略構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る最適化システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る最適化システムは、汎用計算機(最適化支援装置)10と、量子計算機(最適化装置)20とを備える。量子計算機20は、量子計算技術を用いた装置である。汎用計算機10は、求解すべき最適化問題(例えば、数理計画問題)を、量子計算機20が処理可能な形式で量子計算機20に入力する。また、汎用計算機10は、量子計算機20で得られた最適化問題の求解結果を取得する。量子計算機20は、汎用計算機10から入力された最適化問題を求解し、その求解結果を汎用計算機10へ出力する。
以下、主として、量子計算機20として、超伝導量子ビットを使った量子アニーリングマシンを用いる場合を例にとって説明する。なお、以下の説明においては、変数に対応する「ノード」の例として「量子ビットノード」を、「特性関数」の例として「ハミルトニアン」を、「ネットワークモデル」の例として「イジングモデル」を、「変数」の例として「イジング変数」をそれぞれ用いる。
(汎用計算機10)
まず、汎用計算機10について説明する。汎用計算機10は、最適化支援装置として機能し、図1に示すように、少なくとも、入力情報取得部11と、決定変数設定部12と、目的関数設定部13と、入力部14と、結果取得部15とを備える。
(入力情報取得部11)
入力情報取得部11は、最適化問題の構築に必要な入力情報を取得する。入力情報の例としては、任意製品の任意工程での処理順について最適化するための最適化問題を求解する場合には、工程数、製品数、ロット番号、納期などである。入力情報取得部11は、汎用計算機10に対するオペレータによる操作、外部装置からネットワーク等を介して送信された情報の受信、または可搬型記憶媒体に記憶された情報の読み出しを行うことにより入力情報を取得する。
(決定変数設定部12)
決定変数設定部12は、求解対象の最適化問題の決定変数を設定する。例えば、決定変数設定部12は、任意製品の任意工程での処理順について最適化するための最適化問題を求解する場合には、その処理順を決定変数として設定する。なお、複数の決定変数を設定してもよい。ここで、決定変数の設定とは、汎用計算機10に対する入力情報に基づき、何を決定変数とすべきかを定める処理を指す。決定変数には、ロット情報および納期情報などが含まれる。
(目的関数設定部13)
目的関数設定部13は、求解対象の最適化問題の目的関数を生成し、設定する。求解対象の最適化問題に制約条件が含まれており目的関数設定部13は、その制約条件の違反に対してペナルティを課すような要素を含む目的関数を設定する。具体的には、目的関数設定部13は、本来の評価すべき事項を数式で表した評価指標の要素(後述するH~H)と、制約条件の違反に対してペナルティを課すような数式で表した制約式の要素(後述するH~H)とを含む目的関数を設定する。また、評価指標の要素および制約式の要素には、それぞれの要素の重みを表す重み要素(後述するq,q,q,qBig)が含まれている。なお、評価指標の要素には、例えば、ロットまとめおよび納期遵守の評価などが含まれる。また、制約式の要素には、任意の製品はいずれかの処理順に割り当てなければならないという制約、任意の製品において前工程の処理が終わらないと、次工程の処理が始まらないという制約、後工程に処理の中断が起こらないよう、所定の間隔をおいて後工程の処理を実施するという制約などが含まれる。
求解対象の最適化問題には不等式制約が含まれ、そのような不等式制約に対しては、目的関数設定部13は、その不等式制約の各辺の生起有無が決定変数の積の形式に変換された制約式の要素(後述するH~H)と、その不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重み要素(後述するqBig)とを含む目的関数を設定する。
目的関数設定部13は、上記のような目的関数を少なくとも制約条件毎に作成し、作成した目的関数を統合して最終的な目的関数として設定する。このとき、最終的な目的関数は決定変数の二次の多項式で表される。ここで、制約条件毎に作成した各目的関数に含まれていた重み要素は、最終的な目的関数においては項別に合算した多項式の各項の係数に反映される。この各項の係数を、以下では「目的関数の係数」と称する。
(入力部14)
入力部14は、決定変数設定部12により設定された決定変数を、量子計算機20内において格子状に配列したノード(すなわち、後述するイジング変数)に対応させ、目的関数設定部13により設定された目的関数の係数を、各ノード(イジング変数)間の関係性を示す係数(結合の重み)として、上記生成した格子モデルの特性関数、すなわちハミルトニアンに対応させて、量子計算機20に入力する。なお、用いる量子計算機によっては、ある一つのノードから結合するノードの数に限りがあるために、そのままでは全ての結合の重み係数を表現できない場合がある。このような際には例えば、ある一つのイジング変数に複数のノードを割り当てることで、結合するノードの数を実効的に増やす対策を施しても構わない。また、本発明の実施形態の説明においてはノードの配列を格子状として説明するが、ノードの配列としては格子状に限らず任意の形状が可能である。
(結果取得部15)
結果取得部15は、入力部14により入力された目的関数の係数に基づいて計算された量子計算機20の計算結果(最適化問題の解)を取得する。具体的には、ノード(イジング変数)の基底状態での測定値を、それらのノード(イジング変数)に対応する決定変数の値として取得する。結果取得部15により取得された量子計算機20の計算結果は、表示部(図示省略)により表示される。
(量子計算機20)
次に、量子計算機20について説明する。図2は、本実施形態に係る量子計算機20のハードウェア構成を示す図である。また、図3は、量子計算機の原理を説明するための図である。ここでは、量子計算機は、イジングモデルのノードに決定変数、ノード間の関係性を示す係数に目的関数の係数を対応させて、ハミルトニアンを生成する例について説明する。しかしながら、これらは上記に限定されるものではなく、ハイゼンベルクモデル等の任意の次元の格子モデルであっても構わない。
量子計算機20は、格子状に配列した複数のノード(イジング変数)と、各ノード間の結合の重みの値(上述した目的関数の係数)を入力パラメータとして構成されるハミルトニアンとを備えるイジングモデルにおいて、量子揺らぎ(量子アニーリング)を用いてそのハミルトニアンの値が最小値となるイジングモデルの基底状態を求める量子アニーリングや、量子現象に着想を得てイジングモデルをデジタル回路を用いて解く等の特性を用いて計算を行う計算機である。量子アニーリングマシンを用いる場合には、異なる二つの状態を同時に重ね合わせることができる量子ビットを基本単位とする。
本実施例では、図2に示すとおり、量子計算機20として量子アニーリングマシンを使用した例を示す。量子計算機20は、格子状に配列した複数の量子ビットノード21(上述のノードに対応)と、各量子ビットノード21を制御する量子ビット制御部22と、各量子ビットノード21間を結合する結合器23と、結合器23を制御する結合器制御部24と、イジングモデルが基底状態(最小値)となったときの各量子ビットノード21(ビットノード1,2,・・・,n)の値(イジング変数の値)を測定して出力する読出部25と、を備える。
量子ビットノード21は、図3に示すように、超伝導リングなどにより実現できる。例えば、超電導リングは、ニオブなどの金属でリング(閉回路)を作り、極低温にして、一の方向の電流と、それとは逆方向の電流とを同時に存在させることにより構成することができる。このとき、それぞれの電流をイジングスピンの上向き(+1)および下向き(-1)に対応させると±1の状態が回路中に同時に存在することとなる。
量子ビット制御部22は、超伝導リングにもう一つの超伝導回路を挟み込み、超伝導電流が反転できる仕組みを備える。例えば、量子ビット制御部22は、後述する数式2におけるイジング変数の一次の項の係数(h)あるいは横磁場を実現すべく量子ビットノード21の超伝導リングに印加する磁束を制御する。超伝導リングに流れる超伝導電流を反転させることにより、上向き(+1)および下向き(-1)のイジングスピンを適宜入れ替える(スピンの向きを反転させる)ことができる。そして、この超電導リングに印加する磁場を調整して、最適な状態を探っていく。
結合器23は、異なる量子ビットノード21に対応する超伝導リング間に磁気的相互作用を促すよう、それらの量子ビットノード21とは別に用意された超伝導リングにより構成される。
結合器制御部24は、汎用計算機10から入力された目的関数(H)の係数の値に基づき、量子ビットノード(超電導リング)21間の結合の重みを設定する。例えば、結合器制御部24は、後述する数式2におけるイジング変数の二次の項の係数(Jij)を実現すべく結合器23の超伝導リングに印加する磁束を制御する。
ここで、各量子ビットノード21間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成されるハミルトニアンは、下記の数式1で表される。数式1において、第1項は、イジングモデルの状態を示し、第2項は、横磁場といわれる交流磁場を示しており、交流磁場は、±1の状態間の遷移を引き起こし最適解の探索を主導する。
Figure 0007457242000001
量子アニーリングマシンでは、イジングモデルの基底状態を求めるために、まず、各スピンの状態を量子力学的に不確定(どの量子ビットも上向き(+1)および下向き(-1)の確率がそれぞれ1/2の最も無秩序な状態)にする。そして、初期状態(t=0)では、A(0)=0、B(0)=1とする。初期状態は、横磁場により全てのスピンの組み合わせが重ね合わされた状態であり、横磁場が支配的な場合には、この状態がエネルギー最小の状態である。そして、時間の経過(t>0)とともに、徐々にA(t)は、1に近づき、B(t)は、0に近づいていく。そして、予め決めておいた有限時間(t=τ)に到達したときに、A(τ)=1、B(τ)=0となるように、横磁場を停止する(第2項はゼロ)。
つまり、初期状態は、横磁場のみを作用させて、全てのスピン配列が重ねあわさった状態が最もエネルギーが低い状態を作り、次第に、横磁場の値を弱めながら、本来のイジングモデルのハミルトニアンの寄与を大きくしていく。このとき、量子断熱時間発展の現象(エネルギーの最小の状態から出発して、ゆっくり時間発展させていくと、常にエネルギー最小の状態に留まるという現象)が生じる。そうすると、最終的には、ハミルトニアンが最小値を取る、イジングモデルの基底状態(エネルギー最小状態)となり、最適化問題の解に到達する。
読出部25は、汎用計算機10からの入力(すなわち、目的関数(H)の係数の入力)に基づき量子ビットノード(超電導リング)21間の結合の重みが結合器制御部24により設定された後、量子ビット制御部22による上記の作用によりイジングモデルが基底状態(エネルギー最小状態)になると、このときの量子ビットノード21の各イジング変数σの値を読み出す。読出部25は、ここで読み出した各イジング変数の値を、最適化問題の解として汎用計算機10に出力する。
量子計算機20が、イジングモデルが基底状態(最小値)となったときの各ノードの値(イジング変数の値)を測定する処理は、上記量子アニーリングマシンに限定されるものではない。例えば、量子現象に着想を得てイジングモデルを、デジタル回路を用いて解く等の特性を用いて計算を行うことに特化した計算機を用いても構わない。また、格子モデル等の断熱モデルと、任意の量子回路を用いた回路モデルとは、量子計算においては等価である。このため、量子アニーリングを用いた量子計算は、連続的に量子ゲートを作用させる量子回路と等価であり、ハミルトニアンが示すイジングモデルを、量子ゲートを組み合わせた量子回路を再現する任意のハードウェアによって実現した計算機であっても構わない。
以上のような最適化システムによれば、量子計算機20を用いて、不等式制約が含まれる最適化問題を比較的容易に求解することができる。例えば、製品数および工程数が多く、複雑な制約(不等式制約など)が含まれる多段工程処理スケジュールの最適化問題であっても、量子計算機20に求解させることができ、従来の汎用コンピュータのみを用いて求解する場合と比べて、計算に要する時間を短縮することができる。
[装置の具体例]
以下、下記の最適化モデルを例にとって、汎用計算機10の決定変数設定部12および目的関数設定部13における具体的な設定方法を説明する。
(最適化モデル)
決定変数として、例えば、複数の工程(以下、「多段工程」ともいう)における、各製品iの各工程jにおける処理順kを表す、割当変数x[i][k][j](i∈N,k∈K(j),j∈J)がある。この割当変数x[i][k][j]の組は、イジングモデルの各ノードにマッピングされる。
一方、例えば、ロットの不揃いなどのロット情報、納期とのずれなどの納期情報などに応じて、ノード間の相互作用の値を設定したイジングモデルのハミルトニアンを設定する。例えば、ある工程jにおいて、製品iおよびiとのロットl(i)、およびl(i)が異なるケース(l(i)≠l(i))を想定する。このとき、iおよびiを隣接する処理順kおよび(k+1)で処理する場合、ロットまとめができないことになる。その条件が成立する場合には、割当変数x[i][k][j]とx[i][k+1][j]とが共に真となる。このとき、ハミルトニアンとして入力される目的関数は、想定される目的関数値よりも十分に大きく設定された重み要素とを含むものとする。ここで、重み要素は、割当変数x[i][k][j]とx[i][k+1][j]に対応するノード(イジング変数)の間の相互作用を示す係数、すなわち、x[i][k][j]とx[i][k+1][j]とのノード間を連結する重みの値であり、積x[i][k][j]・x[i][k+1][j]に対する重みに該当する。
そして、汎用計算機10は、量子計算機20に、ハミルトニアンが最小値を取る、すなわち、イジングモデルの基底状態(エネルギー最小状態)となる解を算出させる。そして、基底状態における各ノードにおける、割当変数x[i][k][j]の値に基づいて、任意製品の任意工程の処理順に関する最適条件を見出すことができる。以下、具体的な問題設定に基づいて、さらに詳しく説明する。
(問題設定)
製品の製造プロセスが複数工程にまたがる処理工程において、各工程における最適な処理順を求める問題を考える。この問題において、それぞれの工程における処理順は、連続する処理順の中で同一ロットをできるだけ大ロットにまとめること、即ち、ロット変更に伴う段取り替えをできる限り少なくすることを評価する。また、工程間の制約として、任意の製品について、前工程の処理が終了していることが次工程での当該製品の処理開始の条件とする。目的関数は、ロット変更回数および納期遅れと早作りをそれぞれ異なるペナルティを課して評価するものとする。
仮定および定式化に用いる記号の定義は、下記の通りである。
・対象製品集合をN(=1,2,…i,…,n)とする。
・各製品iの(最終工程における)納期をdとし、工程jでの所属ロットをlijとする。この値は、所与とする。
・工程集合をJ(=1,2,…j,…,p)とする。
・任意の製品iの任意の工程jでの処理時間は,一律同じであることとし、その処理時間を単位時間とする。
・上流工程での処理が完了していない製品は、それより下流工程で処理はできないこととする。すなわち第j工程での処理順(処理時刻)kで処理された製品は第j+1工程では処理順(処理時刻)k以降であれば処理可能であるとする。工程jで考慮すべき時刻範囲K(j)は1≦K(j)≦j(n-1)+1とする。
・各製品iは、最終工程(J=p)での納期dが付与されており、最終工程での処理時刻がこれより大きい場合は納期遅れとし、これより小さい場合は早く作りすぎたものとし、それぞれ異なるペナルティを課すものとする。
(量子アニーリング型定式化)
以下、定式化した多段工程処理順モデルを量子アニーリング計算に利用するイジングモデルに変換する方法を詳細に示す。
イジング変数(イジングモデルのノード)の設定
各製品iの各工程jにおける処理順kを表す割当変数x[i][k][j](i∈N,k∈K(j),j∈J)をイジング変数とする。ここで、上記の仮定に従い、同一製品の処理タイミング(時刻)は、第二工程以降(j≧2)では前工程での製造順以降となる。例えば、第二工程では可能性のある処理時刻範囲が(1≦k≦2n-1)となる。この範囲は工程が進むに従い拡張されるので、『k∈K(j)』とする。これに対応し、対象製品集合については、i∈N∪E(j)とする。E(j)は、処理が行われない時刻に仮想的に処理されるダミー製品を表すものとする。
ハミルトニアンへの変換方法
量子計算機において、イジングモデルのハミルトニアンは、下記数式2のH(σ)で表される。ハミルトニアンH(σ)は、±1という二つの値をとるイジング変数σ(i=1,…,Q)に重みパラメータhをかけたσ・hと、二つのイジング変数σとσの積に重みパラメータJijをかけた、二つのイジング変数間の相互作用エネルギーを表すJij・σσとを合わせた値であり、全エネルギーを意味する。なお、イジング変数はσ∈{-1,1}であるが、通常の数理計画問題における数理モデルでは、変数sをs∈{0,1}としてモデル化される。その場合には、σ=s-1または、s=(σ+1)/2の変数変換を行う。
Figure 0007457242000002
ここで、従来の計算装置で定式化するモデルを全てハミルトニアンに変換する必要がある。特に、従来の計算装置において不等式でモデル化していた制約式の変換方法が課題となるが、以下のように変換する。
例えば、最適化モデルの中に『特性値x≦特性値y』という不等式制約が含まれる場合を想定する。このとき、「特性値xがk以上」という事象Aと、「特性値yがk未満」という事象Bとが任意のkに対し同時に成立する場合、前記不等式制約に違反することとなる。事象Aおよび事象Bの生起有無をそれぞれイジング変数σ,σに対応づけられれば、両事象が同時に生起することを表すσ、σ間の相互作用であるσ・σに対してペナルティを課すことにより、前記不等式制約と同様の効果を発揮することができる。具体的な変換方法は下記の通りである。
イジング変数である割当変数x[i][k][j](i∈N,k∈K(j),j∈J)は、いずれの工程jにおいても任意の製品iはいずれかの処理順kに割り当てられねばならない。また、いずれの工程jにおいても、任意の処理順(時刻)kには、ダミー材を含むいずれかの製品iが割り当てられねばならない。製品割当て制約および処理順割当て制約は、下記数式3および数式4として記述できる。
Figure 0007457242000003
Figure 0007457242000004
これらの制約は、量子計算機においては、下記数式5として表すことができる。下記式中、第1項が処理順割当て制約に対応し、第2項が製品割当て制約に対応する。下記式は、それぞれの割当て制約に違反する処理順にペナルティを課すものであり、「Σi∈N∪E(j)[i][k][j]」および「Σk∈K(j)[i][k][j]」が1以外の値をとる処理順に対し、固有値qBigを大きくする項を加えるものである。qBigを“十分”大きくすれば、「Σi∈N∪E(j)[i][k][j]」および「Σk∈K(j)[i][k][j]」が1以外の値をとる場合にハミルトニアンが大きくなり、その条件に関するエネルギーが大きくなり、その結果、前記割当制約を満たすこととなる。
Figure 0007457242000005
多段工程処理スケジュールでは製品iの前工程jで処理が未完了だと後工程(j+1)でiの処理が開始できない。この制約は、下記数式6として記述できる。下記式の左辺は、製品iの前工程jでの処理順を表し、右辺は製品iの後工程(j+1)での処理順を表しており、後者が前者以降であることを規定している。
Figure 0007457242000006
この不等式制約をイジング模型(モデル)で表現するには上記式で不等号の向きが変わる事象、つまり、製品iの前工程jで処理順が後工程(j+1)での処理順より大きくなる事象に対してペナルティを課す項を追加すればよい。これは、製品iの工程jでの処理順kの真偽に対応するイジング変数x[i][k][j]と、その製品iの次工程(j+1)での処理順kの真偽に対応するイジング変数x[i][k][j+1]が『k>k』の際に、同時に真となる事象が違反事象に対応するので、これにペナルティを課せば良い。従って、前記不等式制約に反する『k>k』となる事象の時に、両イジング変数間を連結する重みの値である下記式数式7のqBigを“十分”大きくすれば、ハミルトニアンが大きくなり、その条件に関するエネルギーが大きくなり、その結果、処理順の違反を回避することとなる。
Figure 0007457242000007
第二工程以降(j≧2)の処理では、工程間制約により、最初の処理開始がk=1とは限らず、例えば、第二工程では、最初に処理を行う時刻が1≦k≦2n-1の可能性がある。また、仮にk=3に最初の処理が行われた場合、最後の処理はk=n-2(=3+n-1)に行われなければならない。つまり、途中に処理の隙間ができないようにしなければならない。処理順に隙間を作らないということは、「Σi∈Nx[i][k][j]」が連続する処理順k-1,k,k+1にて『1,0,1』とはならないということと等価であるため、この制約は、下記数式8で表される。
Figure 0007457242000008
しかし、上記式は、不等式制約であるため、そのままイジングモデルのハミルトニアンとすることはできない。ここで、本発明者らは、連続処理における事象について検討し、連続処理では、『処理順k,k+1の間でダミー処理から実処理に切り替わるのは高々1回しかない(事象1)』ということを見出した。また、本発明者らは、『k=1から処理を開始できた場合に限り、このような切り替わりは、一度も起こらない(事象2)』ということも見出した。そして、事象1と事象2とは連続処理が実現されている場合には排反事象であり、いずれかは必ず生起する。この制約は、下記数式9で表される。下記式の第1項は、ダミー処理から実処理に切り替わる回数、第2項は、事象2の生起有無に対応し、連続処理では、この総数が1となることが要請され、かついかなる場合も、この和が1以下となることはないので、2乗の項としなくても、二つのイジング変数の相互作用を規定することによりモデル化できる。そして、下記数式9のqBigを“十分”大きくすれば、ハミルトニアンが大きくなり、その条件に関するエネルギーが大きくなり、その結果、処理の途中に隙間ができることを回避することとなる。
Figure 0007457242000009
多段工程処理順モデルにおいて評価すべき項目は、前記のように『納期に対する最終工程処理順のずれの少なさ』(納期情報)と『処理順に対するロットのまとまり』(ロット情報)との2項目である。前者は、下記数式10および数式11でモデル化できる。数式10は、納期遅れに対するペナルティを表すもので、数式11は、納期に対し早く作りすぎた時間に対するペナルティを表すものである。各製品iの最終工程pにおける処理時刻を表すイジング変数x[i][k][p]に、それぞれ納期に対するずれに比例した値をかけることにより、ずれが大きいほど、ハミルトニアン即ちエネルギーが大きくなるようモデル化されている。また、q,qは、納期遅れと納期早作りに対するペナルティを識別するための重み(比例)係数である(通常、納期遅れの重みq方が納期早作りの重みqより大きい数値に設定する)。
後者の『処理順に対するロットのまとまり』に対しては、下記数式12でモデル化できる。ここで、LCは、工程jにおいてロットが異なる(l(i)≠l(i))製品ペア(i,i)の集合を表す。数式12は、LCに属する製品ペア(i,i)が連続する処理順k,k+1に処理されることに対応する二つのイジング変数x[i][k][j]とx[i][k+1][j]との積に、ロットがまとまらないことに対するペナルティを表す重み係数qをかけた二つのイジング変数間の相互作用のエネルギーを表している。従って、このモデルにより、連続する処理順でロットが異なる場合、即ちロットがまとまらない場合、ハミルトニアン即ちエネルギーが大きくなるようモデル化されているので、qを大きくするほど、基底状態では、ロットがまとまるような処理順に収束することが期待できる。
そして、ハミルトニアンHは、上記全ての目的関数を考慮した、H~Hの総和に関する下記数式13で表現することができる。
Figure 0007457242000010
Figure 0007457242000011
Figure 0007457242000012
Figure 0007457242000013
ここで、H~Hの重み係数qBig,q,q,qを設定する際の指針を示す。H~Hは、制約式を目的関数化したもので、従来の計算機であれば、制約式として表現すべきものであることから、違反が発生する場合には、本来の目的関数に該当するH~Hの総和よりも、より十分大きな値(例えば10倍程度)となるよう、qBigを設定することが前記の「十分大きく」の意味合いとなる。この数式13において、x[i][k][j]・x[i][k+1][j]などのxの二次項の係数が数式2のJijに対応し、数式13に含まれるx[i][k][j]などのxの一次の項が数式2のhに対応する。
以上、決定変数設定部12により設定された決定変数が、量子計算機20内において格子状に配列した量子ビットノードに対応付けられる。また、目的関数設定部13により設定された目的関数の係数が、各量子ビットノード(イジング変数)間の関係性を示す係数(結合の重み)として量子計算機20に入力される。
ここでは、特定関数を、±1を値にとるイジング変数を用いて記述したが、0,1の2値をとる変数を用いてQUBO形式により与えられても、勿論構わない。
[装置の動作]
次に、本実施形態における最適化支援装置10の動作について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態における最適化支援装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図1を参酌する。また、本実施形態では、最適化支援装置10を動作させることによって、最適化支援方法が実施される。よって、本実施形態における最適化支援方法の説明は、以下の最適化支援装置10の動作説明に代える。
本実施形態における最適化支援装置10は、格子状に配列した複数の量子ビットノードと、前記量子ビットノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成されるハミルトニアンとを備えるイジングモデルにおいて、量子揺らぎを用いて前記ハミルトニアンの値が最小値となる、前記イジングモデルの基底状態を求める量子計算機に、不等式制約が含まれる最適化問題を求解させる。
ここで、図4に示すように、入力情報取得部11は、最適化問題の構築に必要な入力情報を取得する(S1)。入力情報の例としては、任意製品の任意工程での処理順について最適化するための最適化問題を求解する場合には、工程数、製品数、ロット番号、納期などである。より具体的には、工程集合J、製品情報(製品集合i、工程別ロット属性、納期など)、また、評価重みのパラメータ(qBig,q,q,qなど)である。
決定変数設定部12は、求解対象の最適化問題の決定変数を設定する(S2)。例えば、決定変数設定部12は、任意製品の任意工程での処理順について最適化するための最適化問題を求解する場合には、その処理順kを決定変数として設定する。
目的関数設定部13は、求解対象の最適化問題の目的関数を設定する(S3)。求解対象の最適化問題に制約条件が含まれている場合、目的関数設定部13は、その制約条件の違反に対してペナルティを課すような要素を含む目的関数を設定する。具体的には、目的関数設定部13は、本来の評価すべき事項を数式で表した評価指標の要素(例えばH~H) と、制約条件の違反に対してペナルティを課すような数式で表した制約式の要素(例えばH~H)とを含む目的関数を設定する。また、評価指標の要素および制約式の要素には、それぞれの要素の重みを表す重み要素(例えばq,q,q,qBig)が含まれている。ここで、最適化問題に不等式制約が含まれている場合には、目的関数設定部13は、決定変数設定部12により設定された決定変数の積の項を少なくとも含む数式で表した制約式の要素(例えばH~H)と、制約条件に違反する場合に、想定される基準値(目的関数値)よりも十分に大きく設定される重み要素(例えばqBig)とを含む目的関数を設定する。
目的関数設定部13は、上記のような目的関数を少なくとも制約条件毎に作成し(例えば、H~H)、作成した目的関数を統合して最終的な目的関数(例えば、H)として設定する。
なお、上記実施形態では、目的関数設定部13が入力情報取得部11により取得された入力情報に基づいて目的関数を生成するものとして説明しているが、本発明はこれに限定されず、ユーザによって生成済みの目的関数が最適化支援装置10に入力(手入力を含む)される形態としてもよい。
入力部14は、決定変数設定部12により設定された決定変数を、量子計算機20内において格子状に配列した量子ビットノード(すなわち、イジング変数)に対応させ、目的関数設定部13により設定された目的関数の係数を、各量子ビットノード(イジング変数)間の関係性を示す係数(結合の重み)として量子計算機20に入力する(S4)。
結果取得部15は、入力部14により入力された目的関数の係数に基づいて計算された量子計算機20の計算結果(最適化問題の解)を取得する(S5)。具体的には、量子ビットノード(イジング変数)の基底状態での測定値を、それらの量子ビットノード(イジング変数)に対応する決定変数の値として取得する。
(プログラム)
本実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、図4に示すステップS1~S5を実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における最適化支援装置と最適化支援方法とを実現することができる。この場合、情報処理装置となるコンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、入力情報取得部11、決定変数設定部12、目的関数設定部13、入力部14および結果取得部15として機能し処理を行なう。
また、本実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、入力情報取得部11、決定変数設定部12、目的関数設定部13、入力部14および結果取得部15のいずれかとして機能してもよい。
[物理構成]
ここで、本実施形態におけるプログラムを実行することによって、情報処理装置を実現するコンピュータについて図を用いて説明する。図5は、本実施形態における情報処理装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
図5に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボードおよびマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、およびコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))およびSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、またはCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
なお、本実施形態における最適化支援装置は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェアを用いることによっても実現可能である。更に、最適化支援装置は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。
本発明によれば、迅速に、任意製品の任意工程の処理順の最適化を行うことができる。
10 汎用計算機(最適化支援装置)
11 入力情報取得部
12 決定変数設定部
13 目的関数設定部
14 入力部
15 結果取得部
20 量子計算機(最適化装置)
21 量子ビットノード
22 量子ビット制御部
23 結合器
24 結合器制御部
25 読出部
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス

Claims (9)

  1. 複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、不等式制約が含まれる最適化問題を求解させる最適化支援装置であって、
    前記最適化問題に関する入力情報を取得する、入力情報取得部と、
    前記最適化問題の決定変数を設定する、決定変数設定部と、
    前記不等式制約を表す不等式の各辺の生起有無が前記決定変数の積の形式に変換された制約式の要素と、前記不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重み要素とを含む目的関数を設定する、目的関数設定部と、
    前記決定変数を前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、入力部と、
    前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記最適化問題の解として取得する、結果取得部と、
    を備える、
    最適化支援装置。
  2. 前記最適化問題が、任意製品の任意工程の処理順を決定する最適化問題であり、
    前記決定変数が、ロット情報および納期情報を含み、
    前記目的関数が、ロットまとめおよび納期遵守の評価に関する評価指標の要素を含む、
    請求項1に記載の最適化支援装置。
  3. 前記重み要素が、納期遵守の評価に対応して設定される、
    請求項2に記載の最適化支援装置。
  4. 前記重み要素が、ロットまとめの評価に対応して設定される、
    請求項2または3に記載の最適化支援装置。
  5. 前記重み要素が、任意の製品において前工程の処理が終わらないと、次工程の処理が始まらないという制約に対応して設定される、
    請求項2~4のいずれかに記載の最適化支援装置。
  6. 前記重み要素が、所定の間隔で後工程の処理を実施するという制約に対応して設定される、
    請求項2~5のいずれかに記載の最適化支援装置。
  7. 複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、不等式制約が含まれる最適化問題を求解させるに際して、コンピュータが下記の(1)~(5)のステップを実行する最適化支援方法。
    (1)前記最適化問題に関する入力情報を取得する、ステップ、
    (2)前記最適化問題の決定変数を設定する、ステップ、
    (3)前記不等式制約を表す不等式の各辺の生起有無が前記決定変数の積の形式に変換された制約式の要素と、前記不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重みの要素とを含む目的関数を設定する、ステップ、
    (4)前記決定変数を前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、ステップ、および
    (5)前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記最適化問題の解として取得する、ステップ。
  8. 複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置に、不等式制約が含まれる最適化問題を求解させるに際して、
    コンピュータに、
    下記の(1)~(5)のステップを備える最適化支援方法を実行させる、プログラム。
    (1)前記最適化問題に関する入力情報を取得する、ステップ、
    (2)前記最適化問題の決定変数を設定する、ステップ、
    (3)前記不等式制約を表す不等式の各辺の生起有無が前記決定変数の積の形式に変換された制約式の要素と、前記不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重みの要素とを含む目的関数を設定する、ステップ、
    (4)前記決定変数を前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、ステップ、および
    (5)前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記最適化問題の解として取得する、ステップ。
  9. 不等式制約が含まれる最適化問題を最適化するシステムであって、
    複数のノードと、前記ノード間の結合の重みの値を入力パラメータとして構成される特性関数とを備えるネットワークモデルにおいて、前記特性関数の値が最小値となる、前記ネットワークモデルの基底状態を求める量子計算技術を用いた装置と、
    前記最適化問題に関する入力情報を取得する、入力情報取得部と、
    前記最適化問題の決定変数を設定する、決定変数設定部と、
    前記不等式制約を表す不等式の各辺の生起有無が前記決定変数の積の形式に変換された制約式の要素と、前記不等式制約を満たさない場合に大きくなるように設定された重みの要素とを含む目的関数を設定する、目的関数設定部と、
    前記決定変数を前記ノードに対応する変数とし、前記目的関数の係数を前記ノード間の結合の重みの値として前記量子計算技術を用いた装置に入力する、入力部と、
    前記量子計算技術を用いた装置において前記ネットワークモデルが基底状態となったときの前記ノードの値を前記最適化問題の解として取得する、結果取得部と、
    を備える、
    最適化システム。
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