JP7454815B2 - 揮発成分供給装置、揮発成分供給方法、及び揮発成分の評価方法 - Google Patents

揮発成分供給装置、揮発成分供給方法、及び揮発成分の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、揮発成分供給装置、揮発成分供給方法、及び揮発成分の評価方法に関し、特に、揮発成分を一定量ずつ供給可能にした装置と、当該装置を用いた揮発成分供給方法及び揮発成分の評価方法に関する。
香料等の揮発成分(すなわち、香気成分)に触れることにより脳は活性化され、交感神経が優位になったり、または副交感神経が優位になったりと覚醒または沈静と精神状態も変化する。そこで、手軽に香気成分を鼻腔から摂取するための吸引器具が提案されている(特許文献1参照。)。
香気成分と脳、精神の作用、さらには身体変化を解析するに際し、血流量、体温、発汗量等は検査機器を通じて計測することが可能となった。結果、香気成分と身体変化との関連性が徐々に明らかにされている。このように、香気成分は、食品、医薬品等とともに生理作用を身体に生じさせる成分として、近時注目度が高まり、活用の機会も増している。
しかしながら、現状、香気成分の供給方法は、濾紙に含浸させた成分を揮発させたり、香水を噴霧したりする等の手法に限られ、単に香気成分の種類を変更して曝露させるのみ評価の域に留まっていた。また、前出の特許文献1においても香気成分の空気ポンプによる供給に留まっていた。このため、実際に被験者、被験動物等が所定の時間内に、どの程度(量)の香気成分に曝露されるのかに関する定量化は、依然として進んでいなかった。
特開2006-325756号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、揮発成分の保持と拡散の制御から定量的な揮発と拡散を実現する揮発成分供給装置を提供し、併せて、当該装置を用いた揮発成分供給方法並びに揮発成分の評価方法を提供する。
すなわち、第1の形態の揮発成分供給装置は、揮発成分を保持する保持部と、保持部から揮発成分を分散化して分離する分離部と、分離部により分離された揮発成分を保持部から移送する移送部と、分離部における揮発成分の分離量を制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
第2の形態の揮発成分供給装置では、分離部における揮発成分の分散化がガス化であることを特徴とする。
第3の形態の揮発成分供給装置では、分離部における揮発成分の分散化がエアロゾル化であることを特徴とする。
第4の形態の揮発成分供給装置では、保持部は揮発成分を溶解する溶媒を保持していることを特徴とする。
第5の形態の揮発成分供給装置では、保持部は前記揮発成分を含浸させる担持体を備えることを特徴とする。
第6の形態の揮発成分供給装置では、分離部は保持部を加温する加温部を備えることを特徴とする。
第7の形態の揮発成分供給装置では、制御部は加温部の発熱量を制御することを特徴とする。
第8の形態の揮発成分供給装置では、揮発成分は加温部の発熱により香気を生じさせる成分であることを特徴とする。
第9の形態の揮発成分供給装置では、分離部は保持部を振動させる振動部を備えることを特徴とする。
第10の形態の揮発成分供給装置では、制御部は振動部の振動量を制御することを特徴とする。
第11の形態の揮発成分供給装置では、揮発成分は振動部の振動により香気を生じさせる成分であることを特徴とする。
第12の形態の揮発成分供給装置では、移送部は送気ポンプまたはファンを備えることを特徴とする。
第13の形態の揮発成分供給装置では、制御部に無線送受信部が接続されていることを特徴とする。
第14の形態の揮発成分供給装置では、保持部と、分離部と、制御部とを収容する筐体部が備えられることを特徴とする。
また、揮発成分供給方法は、第1の形態の揮発成分供給装置を用い揮発成分を供給することを特徴とする。
さらに、揮発成分の有効性を評価する評価方法であって、第1の形態の揮発成分供給装置を用い揮発成分を評価部に供給することを特徴とする。
加えて、揮発成分反応惹起方法は、第1の形態の揮発成分供給装置を用いて揮発成分を生物種に供給し、生物種に揮発成分に起因する反応を惹起させることを特徴とする。
本発明の揮発成分供給装置によると、揮発成分を保持する保持部と、保持部から揮発成分を分散化して分離する分離部と、分離部により分離された揮発成分を保持部から移送する移送部と、分離部における揮発成分の分離量を制御する制御部とを備えたため、揮発成分の保持と拡散の制御から定量的な揮発と拡散を実現することができ、生体への作用の閾値の評価にも役立つ。そして、定量性を踏まえた揮発成分の香気の評価精度を向上させることが可能となる。
揮発成分供給装置の全体構成図である。 保持部及び分離部の構成を示す模式図である。 揮発成分の揮発量と時間との関係を示すグラフである。 揮発成分供給装置の内部構成を示すブロック図である。 実験動物の運動量と経時変化を示すグラフである。 揮発成分の濃度と運動量を示すグラフである。
図1の全体構成図を用い、揮発成分供給装置1について説明する。揮発成分供給装置1は、揮発成分を保持する保持部11と、保持部11から揮発成分を分散化して分離する分離部12と、分離部12において分離された揮発成分を保持部11から移送する移送部13を備える。そして、揮発成分供給装置1は、分離部12における揮発成分の分離量を制御する制御部15を備える。さらに、実施形態の揮発成分供給装置1は当該装置の全体を覆う筐体部5を有している。筐体部5の内部に保持部11、分離部12、制御部15が収容されている。筐体部5の形状と大きさは、意匠性と使い勝手が加味されて規定される。また、揮発成分供給装置1は、民家の室内用または車内用を想定した小型から商業施設等に設置する大型まで幅広い大きさが用意される。筐体部5の材質は、揮発成分の付着を防ぐため、公知のオレフィン樹脂(エンジニアリングプラスチックを含む。)、PET樹脂、さらには、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属である。
揮発成分は、例えば、常温下(室温下)において気体の成分、または液体が微粒子化したエアロゾルの成分である。例えば、芳香を呈する香料が主である。香料には、リモネン、メントール、バニリン、酢酸エチル等の化合物単体の香気成分に加え、複数の化合物を混合した混合物の香気成分も含まれる。揮発成分の由来は、合成化合物または天然抽出物のいずれであっても良い。例えば、バラ香、ラベンダ香等の果実、野菜、香草等の抽出物が挙げられる。さらに、揮発成分はヒトに不快な臭気を発する化合物、例えば、アンモニア、メルカプトエタノール、酢酸、ピリジン等も包含する。さらには、アンドロステノン等の各種のフェロモンも揮発成分に含められる。加えて、セドロール等の無臭の化合物も含められる。すなわち、揮発成分は、ヒト、ペット、家畜、家禽(鳥類)、昆虫、魚類または植物等に対して何らかの影響を及ぼす成分である。
揮発成分の形態は常温下において液体または固体である。揮発成分供給装置1から揮発成分を供給するに際し、自明ながら揮発成分の量は調整される。そこで、液体または気体の揮発成分は、水、アルコール類、油脂類、有機溶剤等の溶媒に所定濃度溶解される。液体の形態のため、計量の利便性が高まる。なお、アンモニア等の気体の揮発成分は水に溶解されアンモニア水の形態となる。揮発成分が樟脳、松脂、乳香等の固体の場合、適量秤量することが可能である。この場合には溶媒への溶解は省略される。
保持部11は液体または固体の揮発成分を収容するとともに揮発成分が拡散可能な容器形状である。従って、保持部11はタンク形状、箱形状、円筒形状等の適宜の容器である。後述する分離部12と接触可能な形状であれば特段限定されない。液体の揮発成分、揮発成分の溶液は、濾紙、布、スポンジ等に含浸される。さらには、液体の揮発成分、揮発成分の溶液は、活性炭、ゼオライト、雲母等の多孔質、ゼラチン、アガロース、マンノース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールのゲル化物またはゾル化物等にも含浸される。列記の含浸に用いられる部材は揮発成分の担持体である。揮発成分(揮発成分溶液)を担持体に含浸することにより、揮発成分供給装置1への装着、使用後の廃棄は容易となり、使い勝手が向上する。保持部11は、液体または固体の揮発成分を直接収容する他、含浸済みの担持体も収容する。
分離部12は、保持部11から揮発成分を分散化して分離する部材である。分散化の態様としては、ガス化またはエアロゾル化であり、揮発成分自体の種類、保持部11における保持の形態により適宜選択される。具体的には、保持部11を加温する加温部12a、または、保持部11を振動する振動部12bである(図2参照)。図2は模式図であるため、加温部12a及び振動部12bは共通の部材に表している。
加温部12aは制御部15の制御下において保持部11を加熱する部材であり揮発成分のガス化に際し用いられる。加温部12aは公知の電熱線(ニクロム線)、抵抗発熱器等の熱量が可変の器具が用いられる。保持部11内に充填された液体または固体の揮発成分、もしくは担持体は、加温部12aと接触することにより同加温部12aの熱(熱エネルギー)が伝導する。この結果、保持部11において揮発成分は蒸発によりガス化する。分離部12が加温部12aの構成であることにより、装置構造が簡素化する。加温部12aにおける加温の態様として、前述の単純な発熱に加えて光の照射も加えられる。つまり、光量子としてエネルギーの供給源となり得る。このとき揮発成分の電子に生じた変化に伴う極性の変化から揮発成分の飛散にも変化が生じ得る。
また、振動部12bは制御部15の制御下において保持部11を振動する部材であり揮発成分のエアロゾル化に際し用いられる。振動部12bは公知の超音波振動子等の振動量が可変の器具が用いられる。保持部11内に充填された液体または固体の揮発成分、もしくは担持体は、振動部12bと接触することにより同振動部12bの振動が伝導する。この結果、保持部11において揮発成分は振動を通じた蒸発(摩擦熱等)によりエアロゾル化する。沸点の低い揮発成分、または熱分解を受けやすい揮発成分の場合には、加温とするよりも振動の方が温和な条件であるため好ましい。
前述の説明に加え、揮発成分の発生態様として、保持部11における生成も加えられる。すなわち、保持部11は生成部11sとしても機能する。例えば、揮発成分(化合物等の物質)が保持部11において、その場で生成されることである。揮発成分の生成方法として、「化学反応」、「酵素反応」等がある。例示すると、植物由来の酵素を基盤に貼り付け、同酵素と保持部内の基質との酵素反応により揮発成分が生成される。あるいは「生物体(植物体等)」そのものからの揮発成分の生成の余地もある。これについては、例えば、揮発成分供給装置1の保持部11において実際に植物が栽培され、当該植物から揮発成分が拡散される。これらの態様においても、分離部12(加温部12a及び振動部12b)が備えられるため、揮発成分の拡散の制御は容易である。
さらに、揮発成分には、分離部12(加温部12a)において加えられるエネルギー量(発熱量)に依存して、当初の無臭から香気を発する成分、または当初の香気から別の香気に変化する成分も含められる。同様に、分離部12(振動部12b)において加えられるエネルギー量(振動量)に依存して、当初の無臭から香気を発する成分、または当初の香気から別の香気に変化する成分も含められる。
そこで、加えられる熱量により変化、分解する成分として、例えば、クロモン類化合物がある。クロモン類化合物は、加温部12aを通じて180ないし200℃の加熱により、アセトフェノン、ベンジルアセトン、ベンズアルデヒド等の香気を呈する成分を生じさせる。そこで、当初クロモン類化合物を保持部11に充填することができる。
また、加えられる熱量により変化する成分として、例えば、メントールがある。当初、無臭のメントール異性体が保持部11に充填され、加温部12aを通じての加熱により、清涼感ある香気を呈するメントールへ変化させることができる。
他に、加えられる熱量または振動量により変化する成分として、クラウンエーテル、シクロデキストリン等に包摂された香気を呈する成分も挙げられる。さらに、包摂させる部材として、カーボンナノチューブ(CNT)を用いても良い。
これら以外に、糖にリモネン等の香気を呈する成分を含浸させた粉末を保持部11に充填しても良い。また、カレー粉、桜の葉の抽出物等をアルコールまたは油脂に溶解させた液体、固体を保持部11に充填してもよい。
保持部11からガス化またはエアロゾル化して分離される揮発成分量は、図3のグラフとして模式的に示される。縦軸は揮発成分量(V)であり、横軸は時間(T)である。揮発成分供給装置1の起動時(t)から時点(t)の間は、分離部12から保持部11への熱または振動のエネルギー量の供給が十分ではないため、揮発成分のガス化またはエアロゾル化は生じておらず、見かけ上の揮発成分量は0のままである。時点(t)の後、時点(t)では、熱または振動のエネルギー量の供給が一定量を超えているため揮発成分はガス化またはエアロゾル化し拡散する。こうして、保持部11の液体または固体の揮発成分が無くなるまで、または揮発成分供給装置1の停止まで揮発成分はガス化またはエアロゾル化し拡散する。
グラフ中の斜線を付した領域はガス化またはエアロゾル化した揮発成分の総量(積算量)である。すなわち、揮発成分量は、揮発成分供給装置1の稼働時間に比例しほぼ直線的に増加する。このため、揮発成分供給装置1において揮発成分の定量的な供給が可能となる。
移送部13は、分離部にガス化またはエアロゾル化を伴う分散化により分離された揮発成分を保持部11から移送するためのダクト、チューブ等に相当する。実施形態の揮発成分供給装置1では筐体部5内に保持部11が収容されている。そのため、ガス化またはエアロゾル化して発生した揮発成分は筐体部5の内部に籠もってしまい揮発成分供給装置1の外部に供給されにくい。そこで、移送部13を経由することにより、内部発生の揮発成分が効率良く揮発成分供給装置1の外部に送り出される。移送部13の形状は、筐体部5の形状に適合させた適宜の形状である。また、移送部13は、オレフィン樹脂、PET樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、金属等から形成される。加えて、管状形態の移送部13では、列記の樹脂のチューブが用いられる。
また、移送部13には送気ポンプ17またはファン18が備えられる(図1参照)。保持部11からガス化またはエアロゾル化して分離された揮発成分は移送部13を通じて移動する。そこで、移送部13内に空気の流れ(気流)が意図的に形成されることにより、揮発成分の移動が向上し、素早く目的の部位に揮発成分が到達可能となる。
送気ポンプ17には、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ベローズポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギヤポンプ、ベーンポンプ等の適宜のポンプが使用される。ファン18は、複数枚の羽根を備えたプロペラファン、シロッコファン、ターボファン等の適宜のファンが使用される。送気ポンプ17及びファン18にはモータ(図示せず)が装着され、制御部15によりモータの回転数等は制御される。
制御部15は、図4のブロック図に表されるように主にマイクロコンピュータ100により構成される。マイクロコンピュータ100には、CPU101、ROM102、RAM103が実装される。そして、イン/アウトバッファ104が接続される。イン/アウトバッファ104を介して入出力部110、分離部12(加温部12aまたは振動部12b)が接続される。さらに、イン/アウトバッファ104を介してポンプ17またはファン18、無線送受信部16が接続される。
入出力部110は、公知のスイッチ類である。揮発成分供給装置1の電源のオンまたはオフ、分離部12における出力調整を担う。ポンプ17またはファン18はガス化した揮発成分を送気のために設けられる。無線送受信部16は揮発成分供給装置1の外部機器との信号の送受信を担う。
CPU101は揮発成分供給装置1の全体の制御を行う。具体的には、CPU101は分離部12(加温部12aまたは振動部12b)の発熱量または振動量を調整するため、分離部12(加温部12aまたは振動部12b)に対する通電量を制御する。また、無線送受信部16からの送信信号の生成、受信信号を解析して分離部12、ポンプ17またはファン18の制御等に関する適式な命令、信号を生成する。
ROM102には揮発成分供給装置1の制御に関するプログラム、分離部12、ポンプ17またはファン18に対する出力条件(モータの制御)等が記憶されている。RAM103には入出力部110から入力される信号等が随時記憶される。
無線送受信部16は、揮発成分供給装置1の外部の機器、ルータを介してインターネット回線と無線接続し、揮発成分供給装置1の外部から信号を受信し、また信号を発信する。例えば、無線LANに対応した2.4GHz帯を使用する他、Bluetooth(登録商標)による信号の送受信も可能である。
揮発成分供給装置1の無線送受信部16との間にて信号が送受信される機器は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等であり、インターネット回線を介したサーバ(図示せず)である。例えば、スマートフォン等から揮発成分供給装置1に対して動作の起動と終了、分離部12における作動量(発熱量または振動量)の制御が実行される。また、揮発成分供給装置1の保持部11に装填した揮発成分の種類、分離部12における作動量(発熱量または振動量)の制御状態等も機器のディスプレイ等の表示部に表示される。外部の機器を通じて揮発成分供給装置1の操作を可能とすることにより、揮発成分供給装置1自体の操作性は向上する。
揮発成分供給装置1は主に一連の説明により構成される。特に、揮発成分供給装置1は前出の図3の説明にあるように、揮発成分量の総量は直線的に増加させることが可能である。同時に、揮発成分供給装置1の稼働時間から揮発成分の量は定量化される。従って、揮発成分供給装置1を用いる揮発成分の供給方法を提示することが出来る。そこで、揮発成分単体または揮発成分に含まれる分子の有効性の測定に際し、揮発成分供給装置1を用い揮発成分は測定系の評価部20(図1参照)に対して供給される。揮発成分の濃度の一定化(維持)は容易であり、測定系の評価部20における定量的な評価が可能となる。
評価部20は、例えば、マウス等の実験動物を収容したかご、箱、または被験者(ヒト)のいる部屋等の一定時間にわたり揮発成分を曝露可能な環境、空間である。さらには、直接鼻腔へ供給しても良い。評価部20への揮発成分の定量的な供給が可能となったことにより、空間に占める揮発成分の濃度計算も可能となり、生体への作用の閾値の評価にも役立つ。例えば、食品、香料、化粧品、香水、洗剤、その他の化合物の臭気の影響について、従前の香気の有無の評価から、揮発成分の定性分析に定量分析も加わり、定量性を踏まえた揮発成分の香気の評価精度を向上させることが可能となる。
揮発成分供給装置1を用いた「揮発成分の定量的な評価(定量性の評価)」とは、主に次のような評価の態様である。(a)揮発成分自体が定量的に揮発成分供給装置1から観察対象(生物種)に送り込まれる。(b)揮発成分が適切に観察対象に送り込まれていることについて量による裏付けを伴って測定される。(c)観察対象(生物種)に送り込まれた結果、揮発成分の生体に対する効果をアンケートのような「定性的な評価手法」での評価に留まらない。(a)と(b)については、揮発成分供給装置1から供給される揮発成分の量の把握が容易となり、当該揮発成分の評価、分析の精度が向上する。また、(c)については、揮発成分の定量的な供給を通じて当該揮発成分に起因して生物種に発現する変化の定量的な(数値変化を伴う)把握が可能となる。例示すると、マウスであればその運動増進効果が回し車の回転回数のような量による裏付けが伴われる。また、ヒトであればストレス指標として、例えばコルチゾール値がxxxからyyyに低下した等の定量化を伴う評価である。
さらに加えると、これまでの説明のとおり、揮発成分供給装置1を用いて揮発成分は、実験動物またはヒト等をはじめとする生物種に供給される。そうすると、生物種は揮発成分に応じた反応を呈することになる。すなわち、揮発成分に起因した反応が生物種に惹起される。いわば、揮発成分反応惹起方法として提案することができる。
この場合、生物種に特定の揮発成分を定量的に供給することにより、その生物種に対して意図する効果を誘導、誘因可能である。例えば、家畜であれば、所定の場所への誘導等の行動、おとなしくする、眠らせる等が想定される。さらには、害虫、害獣に対する忌避、駆除等も想定される。加えて、植物等に対しては、成長促進、合成促進等が想定される。あるいは、有用微生物に対する増殖向上、また有害微生物に対する増殖抑制、殺菌、滅菌作用等も想定される。
揮発成分供給装置は既述の揮発成分に起因した各種の効果を発揮する。特に揮発成分供給装置の利点として、揮発成分供給装置側の各種の指標を制御することにより、発揮される効果を定量化して把握することができる。従前、揮発成分の効果とは、変化の有無等の曖昧な評価に留まっていた。これに対し、各種の指標を定量的に変化させることにより、発現される効果との間において、変化させた指標との相関性が導かれやすくなる。
具体的に揮発成分供給装置により制御できる指標は、(a)揮発成分自体の種類、(b)装置に保持されている揮発成分の量、(c)保持部または担持体の種類及び量、(d)分離部に加えられるエネルギー量(加熱量または振動量)、(e)時間(揮発している時間)である。さらに、(f)揮発成分供給装置が設置されている空間(部屋等の大きさ)も加えられる。そこで、揮発成分に曝露された際の効果とは、「効果=(a)×(b)×(c)×(d)×(e)×(f)」等のように、各指標の組み合わせ(例えば積)として導き出される。
そうすると、各指標を選択して適時調整(加減)して揮発成分に起因した効果を捉えた場合、ある指標のみを変化させて他の指標を固定する等の実験系の組み立てが容易となる。結果、揮発成分の効果の評価に定量評価の考え方が導入される。
[試薬]
・ベンジルアセトン:東京化成工業株式会社製
・ラベンダーオイル:ナカライテスク株式会社製
・クエン酸トリエチル:メルク株式会社製(溶媒としての使用)
[実験動物]
4週齢のddY系雄性マウス(日本SLC株式会社より購入)を、室温25±2℃、明暗周期12時間(8ないし20時を明期とした。)の条件下にて飼育した。実験に供するまで飼料と水分を自由に摂取させた。後述の行動観察実験は、10ないし17時の間に実施した。
[実験方法]
鎮静活性にはオープンフィールド法を用い、実験に供したマウスの自発運動量の指標として評価した。フッ素樹脂のチューブによりポンプ(出力11.4L/分)(送気ポンプに相当)とデシケータ(筐体部に相当)を接続した。そして、同寸法のフッ素樹脂のチューブ(移送部に相当)により同デシケータとガラスケージ(容積61.2L:幅600mm,長さ30mm,高さ340mm)(評価部に相当)も接続した。
デシケータ内に40℃に加温したヒートブロック(分離部に相当)を設置し、同ヒートブロックの下方に一辺133mmの正方形に裁断した濾紙(アドバンテッククロマトグラフィー用、No.50)を3枚敷いた。試料を加熱する容器には、アルミ箔により被覆したカセット(保持部に相当する容器)を使用した。デシケータ内の揮発成分はポンプの送気を通じてガラスケージ内へ供給可能とした。
計量したベンジルアセトンとラベンダーオイルは、それぞれクエン酸トリエチル400μLに溶解した。カセット内に溶液を注液し同カセットをヒートブロック上に載置して加温した。ポンプにより加温により揮発した揮発成分を含む空気をデシケータ内からガラスケージ内へ10分間供給した。揮発成分の供給後、フッ素樹脂のチューブをガラスケージから取り外し、ガラスケージ内にマウスを投入した。マウスの行動をビデオカメラにより60分間撮影した。行動解析に際し、総自発運動量(Area Under Curve:AUC)について、ガラスケージの底面に100mm間隔の格子状の線をマウスが横切る回数を数えて算出した。
Controlは溶媒のクエン酸トリエチルのみである。
実験に使用したラベンダーオイルの濃度は、「1.0mg/400μL」とした。
実験に使用したベンジルアセトンの濃度は、「4.0×10-4mg/400μL」、「4.0×10-3mg/400μL」、「4.0×10-2mg/400μL」、「4.0×10-1mg/400μL」、「4.0mg/400μL」とした。
[統計]
全ての結果は、平均値±標準誤差として表した。有意差検定にはStudent’s t-test及びDunnett’s testにより評価し、危険率が5%未満の場合に有意差ありと判断した。
[結果]
結果は図5及び図6のグラフである。図5は各濃度の揮発成分を10分間供給し、当該供給以降の60分間において5分毎の運動量についての推移である。図6は各濃度の揮発成分についての総自発運動量である。4.0×10-3mg/400μL、4.0×10-2mg/400μLのベンジルアセトンを加温して吸入投与した群において、p<0.01で自発運動量の有意な低下が観察された。図6において、平均値±標準誤差、n=5または6、*P<0.05、**P<0.01vsControl群とした。
本発明の揮発成分供給装置は、揮発成分の保持と拡散の制御を通じて定量的な揮発と拡散を実現する。そこで、供給される揮発成分の量の把握が可能となり当該揮発成分の評価精度は向上する。また、揮発成分の定量的な供給を通じて当該揮発成分に起因した生物種に発現する変化も定量的な把握が可能となる。このため、従前の定性的な方法に留まっていた揮発成分の保持と拡散について定量的な供給を実現するとともに、揮発成分の効果の評価においても、行動試験や生理データ測定等の検証方法を通じて、定量的な評価を実現できるため、これまでの定性に留まっていた評価の手法を大きく変えることができる。
1 揮発成分供給装置
5 筐体部
11 保持部
11s 生成部
12 分離部
12a 加温部
12b 振動部
13 移送部
15 制御部
17 送気ポンプ
18 ファン
20 評価部
100 マイクロコンピュータ
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 イン/アウトバッファ
110 入出力部

Claims (14)

  1. 揮発成分を保持する保持部と、
    前記保持部から前記揮発成分を分散化して分離する分離部と、
    前記分離部により分離された前記揮発成分を前記保持部から移送する移送部と、
    前記分離部における前記揮発成分の分離量を制御する制御部と、
    前記保持部と、前記分離部と、前記制御部とを収容する筐体部と、を備え
    前記移送部は送気ポンプまたはファンを備え、前記保持部から前記分離部により分離された前記揮発成分を移送して前記揮発成分を前記筐体部の外部に送り出す
    ことを特徴とする揮発成分供給装置。
  2. 前記分離部における前記揮発成分の分散化がガス化である請求項1に記載の揮発成分供給装置。
  3. 前記分離部における前記揮発成分の分散化がエアロゾル化である請求項1に記載の揮発成分供給装置。
  4. 前記保持部は前記揮発成分を溶解する溶媒を保持している請求項1に記載の揮発成分供給装置。
  5. 前記保持部は前記揮発成分を含浸させる担持体を備える請求項1に記載の揮発成分供給装置。
  6. 前記分離部は前記保持部を加温する加温部を備える請求項1に記載の揮発成分供給装置。
  7. 前記制御部は前記加温部の発熱量を制御する請求項6に記載の揮発成分供給装置。
  8. 前記揮発成分は前記加温部の発熱により香気を生じさせる成分である請求項6に記載の揮発成分供給装置。
  9. 前記分離部は前記保持部を振動させる振動部を備える請求項1に記載の揮発成分供給装置。
  10. 前記制御部は前記振動部の振動量を制御する請求項9に記載の揮発成分供給装置。
  11. 前記揮発成分は前記振動部の振動により香気を生じさせる成分である請求項9に記載の揮発成分供給装置。
  12. 前記制御部に無線送受信部が接続されている請求項1に記載の揮発成分供給装置。
  13. 請求項1に記載の揮発成分供給装置を用い揮発成分を供給することを特徴とする揮発成分供給方法。
  14. 揮発成分の有効性を評価する評価方法であって、
    請求項1に記載の揮発成分供給装置を用い揮発成分を評価部に供給することを特徴とする揮発成分の評価方法。
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