JP7453542B2 - 推定装置、推定方法、およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、推定装置、推定方法、およびプログラムに関し、特に、外力が作用する物体の状態を推定するために用いて好適なものである。
鉄道車両の台車枠等、外力が作用する物体の状態を推定する技術が求められている。この種の技術として特許文献1に記載されているように、物体に歪みゲージを取り付け、歪みゲージの測定値に基づいて当該物体の応力を導出する技術がある。
特開平8-86707号公報
しかしながら、歪みゲージは耐久性が低い。このため、歪みゲージを定期的に取り換える必要がある。また、特許文献1に記載のように複数の歪みゲージを用いる場合には正しく動作していない歪みゲージを特定する必要がある。従って、外力が作用する物体の状態を推定するためにかかる労力が増大する。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、歪ゲージで歪みを測定しなくても外力が作用する物体の状態を推定することができるようにすることを目的とする。
本発明の推定装置は、外力が作用する物体の状態を推定する推定装置であって、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標と、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位の計算値または測定値とに基づいて、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標を導出する位置座標導出手段と、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標と、前記位置座標導出手段により導出された前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標とに基づいて、変換行列の成分を導出する行列導出手段と、前記行列導出手段により導出された前記成分を有する前記変換行列を特異値分解する特異値分解手段と、前記特異値分解手段により特異値分解を実行することにより導出された対角行列の成分である特異値を、前記物体の主歪みとして導出する歪み導出手段と、を有し、前記変換行列は、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標をアフィン変換して前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標を導出する際に前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標に乗算される行列であることを特徴とする。
本発明の推定方法は、外力が作用する物体の状態を推定する推定方法であって、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標と、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位の計算値または測定値とに基づいて、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標を導出する位置座標導出工程と、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標と、前記位置座標導出工程により導出された前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標とに基づいて、変換行列の成分を導出する行列導出工程と、前記行列導出工程により導出された前記成分を有する前記変換行列を特異値分解する特異値分解工程と、前記特異値分解工程により特異値分解を実行することにより導出された対角行列の成分である特異値を、前記物体の主歪みとして導出する歪み導出工程と、を有し、前記変換行列は、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標をアフィン変換して前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標を導出する際に前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標に乗算される行列であることを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記推定装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、歪ゲージで歪みを測定しなくても外力が作用する物体の状態を推定することができる。
図1は、鉄道車両の概略の一例を示す図である。 図2は、台車枠およびその周辺の部品の構成の一例を示す図である。 図3は、推定装置の機能的な構成の一例を示す図である。 図4は、推定方法の一例を説明するフローチャートである。 図5は、推定対象領域における最大主歪みと時間との関係の一例を示す図である。 図6は、推定対象領域における最大主応力と時間との関係の一例を示す図である。 図7は、推定対象領域における最大主応力と基準点に取り付けた歪ゲージの測定値に基づく最大主応力との関係の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態では、外力が作用する物体の一例として鉄道車両の台車の台車枠を例に挙げて説明する。そこで、鉄道車両の概要を説明する。
<鉄道車両の概略構成>
図1は、鉄道車両の概略の一例を示す図である。図2は、台車枠およびその周辺の部品の構成の一例を示す図である。尚、図1、図2において、鉄道車両は、x1軸の正の方向に進むものとする(x1軸は、鉄道車両の走行方向に沿う軸である)。また、x3軸は、軌道20(地面)に対し垂直方向(鉄道車両の高さ方向)であるものとする。x2軸は、鉄道車両の走行方向に対して垂直な水平方向(鉄道車両の走行方向と高さ方向との双方に垂直な方向)であるものとする。また、鉄道車両は、営業車両であるものとする。尚、各図において、○の中に●が付されているものは、紙面の奥側から手前側に向かう方向を示す。
図1、図2に示すように本実施形態では、鉄道車両は、車体11と、台車12a、12bと、輪軸13a~13dと、を有する。このように本実施形態では、1つの車体11に、2つの台車12a、12bと、4組の輪軸13a~13dと、が備わる鉄道車両を例に挙げて説明する。輪軸13a~13dは、車軸15a~15dと、その両端に設けられた車輪14a~14dと、を有する。本実施形態では、台車12a、12bが、ボルスタレス台車である場合を例に挙げて説明する。
図1では、表記の都合上、輪軸13a~13dの一方の車輪14a~14dのみを示す。輪軸13a~13dの他方にも車輪が配置されている(図1に示す例では、車輪は合計8個ある)。
図2において、輪軸13a、13bのx2軸に沿う方向の両側には、軸箱17a、17bが配置される。軸箱17a、17bは、モノリンク18a、18bを介して台車枠16と接続されている。また、軸箱17a、17bは、軸バネ19a、19bを介して台車枠16と接続されている。尚、鉄道車両は、図1、図2に示す構成要素以外の構成要素を有するが、表記および説明の都合上、図1、図2では、当該構成要素の図示を省略する。例えば、図2において、鉄道車両が軸ダンパを有し、軸箱17a、17bは、軸ダンパを介して台車枠16と接続されている場合もある。
図2において、1つの台車12aに、1つの台車枠16が配置される。軸箱17a、17b、モノリンク18a、18b、および軸バネ19a、19bは、1つの車輪に対して1つずつ配置される。前述したように1つの台車12aには、4つの車輪が設けられる。従って、1つの台車12aには、軸箱、モノリンク、および軸バネが、それぞれ4つずつ設けられる。
図2では、台車12aにおける台車枠16、軸箱17a、17b、モノリンク18a、18b、および軸バネ19a、19bのみを示す。台車12bにおける台車枠、軸箱、モノリンク、および軸バネも図2に示すものと同じもので実現される。尚、鉄道車両自体は公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
後述するように本実施形態では、歪ゲージで歪みを測定するのではなく、変位の測定値または計算値に基づいて、台車枠16の推定対象領域における主歪みを導出(推定)する。本実施形態では、台車枠16の基準点を含む領域を、推定対象領域とする。基準点は、例えば、台車枠16において亀裂が発生しやすい点(位置)に対応する。例えば、鉄道車両を走行させた場合に台車枠16に発生する応力を有限要素法等の数値解析により導出し、導出した応力に基づいて基準点を決定することができる。例えば、最大主応力の絶対値が最大となる点を基準点として決定する。また、鉄道車両を実際に走行させることにより基準点を決定してもよい。例えば、過去に発生した台車枠16の亀裂の発生箇所や、台車枠16に取り付けた振動計の測定値に基づいて、基準点を決定してもよい。
推定対象領域は、基準点を含み、且つ、加速度センサ21a~21dを取り付けることができる大きさを有する。従って、推定対象領域は、複数の加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)を含む。例えば、基準点に複数の加速度センサ21a~21dのうちの1つを取り付け、その周囲にその他の加速度センサを取り付ける。推定対象領域の境界(外縁)は、例えば、当該その他の加速度センサの取り付けられた点(位置)に基づいて定められる。例えば、当該その他の加速度センサの取り付けられた点(位置)を通るように、当該その他の加速度センサの取り付けられた点(位置)の間を線分で結ぶことにより定まる線を境界線とする領域を推定対象領域とすることができる。
一般的に、基準点における最大主応力と推定対象領域における最大主応力とは一致しない。そこで、推定対象領域における最大主応力で基準点における最大主応力を近似する場合には、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)は、例えば、以下のようにして決定することができる。まず、推定対象領域の候補に含まれる基準点に歪みゲージを取り付けて鉄道車両を走行させ、歪みゲージの測定値に基づいて推定対象領域の候補における最大主応力を導出する。また、当該推定対象領域の候補に加速度センサを取り付けて鉄道車両を走行させ、加速度センサの測定値に基づいて後述するようにして推定対象領域の候補における最大主応力を導出する。推定対象領域の候補を異ならせて、以上のような推定対象領域の候補における最大主応力の導出を、歪みゲージを用いる場合と加速度センサを用いる場合とのそれぞれについて実行する。歪みゲージの測定値に基づいて導出される最大主応力と、加速度センサの測定値を用いて後述するようにして導出される最大主応力とが近くなる(好ましくは一致する)推定対象領域の候補を探索する。このようにして探索された推定対象領域の候補における加速度センサの取り付けられた点(位置)を、推定対象領域における加速度センサの取り付けられた点(位置)として決定する。また、以上のようにして推定対象領域における加速度センサの取り付けられた点(位置)を決定するに際し、例えば、鉄道車両を走行させた場合の台車枠16の歪みや加速度を有限要素法等の数値解析により導出し、導出した歪みや加速度を、歪みゲージの測定値や加速度センサの測定値に代えて用いてもよい。
本実施形態では、加速度センサ21a~21dが、3次元加速度センサである場合を例に挙げて説明する。即ち、実空間での位置を示す座標系は3軸の座標系である。加速度センサ21a~21dで測定される加速度のデータから、加速度のx1軸方向成分、x2軸方向成分、x3軸方向成分が得られる。尚、後述するように3次元の測定を行う場合には、加速度センサの数は4以上である。2次元の測定を行う場合には、加速度センサの数は3以上である。従って、図2では、4つの加速度センサ21a~21dを台車枠16に取り付ける場合を例に挙げて示すが、加速度センサの数は4に限定されない。また、同一の台車枠16に複数の基準点を設定する場合には、それぞれの基準点に対する推定対象領域に加速度センサがそれぞれ取り付けられる。
<変位に基づく歪みの導出>
本発明者らは、推定対象領域における変位前の位置を示す座標をアフィン変換することにより変位後の位置を示す座標が表現されることに着目した。尚、当該変位前の位置、変位後の位置を示す座標は、実空間での位置を示す座標(実空間座標)である。以下の説明では、実空間での位置を示す座標を必要に応じて位置座標と称する。
変位前の位置座標を格納する縦ベクトルをX1とし、変位後の位置座標を格納する縦ベクトルをX2とする。縦ベクトルX1、X2は、以下の(1)式で表される。
Figure 0007453542000001
ここで、Mは、変位前の位置座標を格納する縦ベクトルX1に対して乗算される行列である。変位前の位置座標を格納する縦ベクトルX1と行列Mとの積により、変位前の位置座標を格納する縦ベクトルX1は線型変換される。vは、変位前の位置座標を格納する縦ベクトルX1と行列Mとの積に加算される縦ベクトルである。変位前の位置座標を格納する縦ベクトルX1と行列Mとの積に、縦ベクトルvを加算することにより、縦ベクトルMX1は平行移動される。縦ベクトルMX1は、変位前の位置座標を格納する縦ベクトルX1と行列Mとの積である。
(1)式において、縦ベクトルX1、X2、vの下に余分な行の成分として1を加えると共に、行列Mの全ての列の下に0のみからなる余分な行を加えることにより、縦ベクトル[X1 T,1]T、[X2 T,1]T、[vT,1]Tと、行列[MT,0]Tとが構成される。Tは転置行列であることを表す(このことは以降の説明でも同じである)。そして、平行移動を表す縦ベクトルvを含む縦ベクトル(行列)[vT,1]Tを、行列Mを含む行列[MT,0]Tの右に加える。すると、以下の(2)式のように(1)式を行列の積で表すことができる。
Figure 0007453542000002
(1)式および(2)式はアフィン変換を表す式であり等価な式であるが、行列Mが正則行列であれば、(2)式の右辺の左側の行列は群の構造を有する。ここでは、(2)式の左側の行列をアフィン変換群と称することとする。アフィン変換群(群の構造を有する行列)は行列の積で以て群演算ができる。そして、アフィン変換群に属する行列は、物体の変形(回転,せん断,引張,圧縮など)や平行移動といった挙動を表現する行列の積という形に分解することが可能である。
変位前のx1軸方向の位置座標、x2軸方向の位置座標、x3軸方向の位置座標をそれぞれ、x11、x21、x31とする。変位後のx1軸方向の位置座標、x2軸方向の位置座標、x3軸方向の位置座標をそれぞれ、x12、x22、x32とする。すると、変位前の位置座標を表す縦ベクトルX1と、変位後の位置座標を表す縦ベクトルX2はそれぞれ、以下の(3a)式、(3b)式で表される。尚、x11、x21、x31、x12、x22、x32の11、21、31、12、22、32の下1桁目の1、2は、それぞれ、変位前、変位後を表す。x11、x21、x31、x12、x22、x32の11、21、31、12、22、32の下2桁目の1、2、3は、それぞれ、x1軸方向成分の値、x2軸方向成分の値、x3軸方向成分の値であることを表す。
Figure 0007453542000003
また、行列Mの成分をa1、a2、a3、a5、a6、a7、a9、a10、a11とし、縦ベクトルvの成分をa4、a8、a12とする。すると、(2)式は、以下の(4)式のようになる。
Figure 0007453542000004
(4)式を連立方程式に書き直すと以下の(5)式のようになる。(5)式の連立方程式の12個の未知係数a1~a12を決定するためには、推定対象領域内に4箇所以上の測定点があればよい。推定対象領域内の4箇所以上の測定点にそれぞれ3次元加速度センサを取り付ければ、x1軸方向、x2軸方向、x3軸方向の加速度の組が4つ以上得られるからである。
1軸方向、x2軸方向、x3軸方向の変位は、例えば、当該加速度を時間に関して2階積分することにより得られる。変位前の位置座標に、このようにして得られる変位を加算することにより、変位後のx1軸方向、x2軸方向、x3軸方向の位置座標の組が得られる。
Figure 0007453542000005
以上のようにして得られた変位前および変位後のx1軸方向、x2軸方向、x3軸方向の位置座標の組として4つ以上の組を用いることによって、未知係数a1~a12に関する12以上の数の方程式が得られることから、例えば、最小二乗法等の手段を使い未知係数a1~a12を決定することができる。
ここで、(4)式より(2)式の右辺の左側の行列を以下の(6)式のように表す。即ち、(2)式の右辺の左側の行列を、以下の(7)式、(8)式に示す行列M、縦ベクトルvをブロックとする区分行列に分解する。
Figure 0007453542000006
行列M∈R3×3は回転を含む一般線形群GL3であり、縦ベクトルv∈R3は平行移動を表す正規部分群である。Rは(2)式と同様に実数全体の集合を表す(このことは以降の説明でも同じである)。以下の(9)式の行列((2)式の右辺の左側の行列)は、アフィン変換群のひとつの元である。アフィン変換群の性質から、積演算は、以下の(10)式のように群の半直積演算で記述される。
Figure 0007453542000007
すると、I∈R3×3を単位行列として半直積演算のルールを用いれば、アフィン変換群の元は、以下の(11)式のように分解される。
Figure 0007453542000008
以下の(12)式のように行列Mを特異値分解する。行列Mを特異値分解した結果を(11)式に代入すると、以下の(13)式が得られる。
Figure 0007453542000009
ここで、U∈R3×3は、直交行列である。Σ∈R3×3は、特異値を対角成分として有する対角行列である。VTは、直交行列V∈R3×3の転置行列を表す。
半直積の演算のルールを用いて(13)式を、以下の(14)式のように分解する。
Figure 0007453542000010
(14)式は、(9)式で表されるアフィン変換が、以下の(1)~(4)の一連の変形・平行移動操作を、(1)、(2)、(3)、(4)の順に実行して得られるものであることを意味する。
(1) 転置行列VTの中から回転行列を選択し、選択した回転行列に基づく回転角で物体を回転させる。
(2) 特異値を対角成分として有する対角行列Σに基づいて物体を歪み変形させる。
(3) 直交行列Uの中から回転行列を選択し、選択した回転行列に基づく回転角で物体を再び回転させる。
(4) 縦ベクトルvに基づいて物体を平行移動する。
本発明者らは、アフィン変換が(14)式で表されることに着目し、行列Mを特異値分解することにより導出される対角行列Σの対角成分が主歪みに対応することを見出した。
前述したように、変位前のx1軸方向の位置座標x11、x2軸方向の位置座標x21、x3軸方向の位置座標x31と変位とに基づいて、変位後のx1軸方向の位置座標x12、x2軸方向の位置座標x22、x3軸方向の位置座標x32が導出される。そして、変位前のx1軸方向の位置座標x11、x2軸方向の位置座標x21、x3軸方向の位置座標x31と、変位後のx1軸方向の位置座標x12、x2軸方向の位置座標x22、x3軸方向の位置座標x32とに基づいて、未知係数a1~a12が導出される。即ち、行列Mの成分a1、a2、a3、a5、a6、a7、a9、a10、a11が導出される。そして、行列Mを特異値分解することにより、特異値を対角成分として有する対角行列Σが導出される。
対角行列Σの対角成分をε11、ε22、ε33とする。対角行列Σの対角成分ε11、ε22、ε33は、未知係数a1~a12を導出する際に用いたh個の位置座標の集合{(x11,x21,x31T 1、・・・、(x11,x21,x31T h}で構成される基準領域(推定対象領域)が、弾性変形により移動し、新たな位置座標の集合{(x12,x22,x32T 1、・・・、(x12,x22,x32T h}に変化したときの、前記基準領域(推定対象領域)の主歪み成分に該当する。ここで、h≧4である。このような対角行列Σの対角成分ε11、ε22、ε33のうち絶対値が最大となるものが最大主歪みに対応する。
本実施形態は、以上の知見に基づいてなされたものである。
本実施形態では、3次元の測定を行う場合を例に挙げて説明する。2次元の測定を行う場合には、3次元の測定を行う場合に対し、測定を実行しない軸方向の値を0(ゼロ)とすることにより実現することができる。従って、ここでは、2次元の測定を行う場合の詳細な説明を省略する。例えば、推定対象領域がモノリンク18a、18bの場合には、x2軸方向に生じる変位が無視できるほど小さい。このため、x1軸方向とx3軸方向との2次元の測定を行えばよい。尚、2次元の測定を行う場合には、(5)式の連立方程式において未知係数の数は6個になるので、3箇所以上の測定点があればよい。即ち、推定対象領域内の3箇所以上にそれぞれ2次元加速度センサを取り付ければ、x1軸方向、x2軸方向、x3軸方向のうち、測定対象の2つの軸方向の加速度の組が3個以上得られる。従って、6個の未知係数に関する6以上の数の方程式が得られる。よって、6個の未知係数を決定することができる。
<推定装置300の構成>
図1に示すように、本実施形態では、推定装置300は、鉄道車両の車体11内に配置される。ただし、推定装置300を車体11内に配置せず、鉄道車両の外部に配置してもよい。このようにする場合、鉄道車両で測定されるデータは、例えば、無線通信により、鉄道車両から推定装置300に送信されるようにする。
図3は、推定装置300の機能的な構成の一例を示す図である。以下に、図3を参照しながら、推定装置300が有する機能の一例を説明する。推定装置300のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。尚、以下に説明する処理において、事前に設定する必要があるデータは、測定開始前に推定装置300に記憶されているものとする。
<<データ取得部301>>
データ取得部301は、一定周期のサンプリング時刻が到来する度に、加速度センサ21a~21dで測定された加速度を示すデータと、鉄道車両の走行位置を示すデータと、を含むデータを取得する。鉄道車両の走行位置を示すデータを取得する方法は、特に限定されない。鉄道車両の走行位置を示すデータは、例えば、鉄道車両に配置されたGPS(Global Positioning System)を用いることにより得ることができる。また、鉄道車両の走行速度と、測定の開始時からの経過時間とに基づいて、各時刻における鉄道車両の、測定の開始時点からの移動距離を導出し、当該移動距離と、当該鉄道車両が走行する軌道20の配置とに基づいて、鉄道車両の各時刻における走行位置を導出してもよい。このようにする場合、測定の開始時点における鉄道車両の位置を示すデータは、測定開始前に推定装置300に記憶される。
位置座標導出部302、行列導出部303、特異値分解部304、歪み導出部305、および応力導出部306は、サンプリング時刻が到来する度に、以下に説明する処理を実行する。これらは、同一のサンプリング時刻に得られた情報を用いて、以下に説明する処理を実行する。例えば、各部が、或るサンプリング時刻の処理においてデータ取得部301で取得されたデータを用いる場合、当該データは、当該サンプリング時刻においてデータ取得部301で取得されたデータになる。
<<位置座標導出部302>>
位置座標導出部302は、データ取得部301により取得されたデータに含まれる加速度センサ21a~21dで測定された加速度に基づいて、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位を導出する。位置座標導出部302は、例えば、加速度センサ21a~21dで測定された加速度を時間に関して2階積分することにより、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位u1、u2、u3を導出する。u1、u2、u3の1、2、3は、それぞれ、x1軸方向成分の値、x2軸方向成分の値、x3軸方向成分の値であることを表す。
位置座標導出部302は、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位前の位置座標x11、x21、x31に、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位u1、u2、u3を加算することにより、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位後の位置座標x12、x22、x32を導出する。
尚、変位前の位置座標x11、x21、x31は、例えば、静止時または静止時と等価な外力が作用する時刻に導出された位置座標x12、x22、x32である。また、加速度センサ21a~21dの取り付け位置における変位前の位置座標x11、x21、x31の初期値は、例えば、台車枠16の仕様に基づいて定められ、推定装置300に予め設定される。
<<行列導出部303>>
行列導出部303は、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位前の位置座標x11、x21、x31と、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位後の位置座標x12、x22、x32とに基づいて、行列Mの成分a1、a2、a3、a5、a6、a7、a9、a10、a11を導出する。尚、このとき、縦ベクトルvの成分a4、a8、a12を導出することもできる。本実施形態では、行列Mにより変換行列の一例が実現される。
<<特異値分解部304>>
特異値分解部304は、行列導出部303により導出された成分a1、a2、a3、a5、a6、a7、a9、a10、a11を有する行列Mを特異値分解し、特異値を対角成分として有する対角行列Σを導出する。尚、このとき、直交行列U、直交行列Vの転置行列VTも導出される。
<<歪み導出部305>>
歪み導出部305は、特異値分解部304により導出された対角行列Σに基づいて、推定対象領域における主歪みを導出する。本実施形態では、歪み導出部305は、特異値分解部304により導出された対角行列Σの対角成分ε11、ε22、ε33を推定対象領域における主歪みとして導出する。以下の説明を簡単にするため、対角行列Σの対角成分ε11、ε22、ε33は、ε11≧ε22≧ε33となるように並べ変えられているものとする。また、歪み導出部305は、以下の(15)式により、推定対象領域における最大主歪みεmaxを導出する。ここで、特異値分解部304により導出された対角行列Σの対角成分ε11、ε22、ε33のうち、符号を含めて最大の対角成分をε11とし、最小の対角成分をε33とする。
Figure 0007453542000011
(15)式は、対角行列Σの対角成分ε11、ε22、ε33のうち絶対値が最大となるものを、最大主歪みεmaxとして選択することと等価である。ただし、主歪みは1であるときに歪みが生じていないことを表す(主歪みが1を超えれば引張を表し、1を下回れば圧縮を表す)。そこで、(15)式においては、直感的に分かりやすいように、対角行列Σの対角成分ε11、ε33を1から減算した値の絶対値(|1.0-ε11|、|1.0-ε33|)に基づいて、対角行列Σの対角成分ε11またはε33を最大主歪みεmaxとして選択する場合を例に挙げて示す。
<<応力導出部306>>
応力導出部306は、歪み導出部305により導出された推定対象領域における主歪みに基づいて、推定対象領域における応力を導出する。本実施形態では、応力導出部306は、推定対象領域における主歪み(対角行列Σの対角成分)ε11、ε22、ε33に基づいて、推定対象領域における主応力σ11、σ22、σ33を、以下の(16)式により導出する。
Figure 0007453542000012
ここで、σ11、σ22、σ33の11、22、33は、それぞれ、せん断応力が0(ゼロ)となる座標系の相互に直交する3つの軸方向成分の値であることを表す。
尚、(16)式において、対角行列Σの対角成分ε11、ε22、ε33から1を減算しているのは、本実施形態では、主歪みは1を基準とする値であるのに対し、主応力は0(ゼロ)を基準とする値だからである。即ち、本実施形態では、主歪みは1のときに歪みが生じていないことを示すのに対し、主応力は0のときに応力が生じていないことを示す。尚、主応力は、0(ゼロ)を上回る場合、引張応力であることを示し、0(ゼロ)を下回る場合、圧縮応力であることを示す。
また、λ、μは、それぞれ、ラメ定数、剛性率である。ラメ定数λ、剛性率μは、それぞれ、以下の(17)式、(18)式で表される。
Figure 0007453542000013
ここで、Eは、ヤング率である。νは、ポアソン比である。
応力導出部306は、以上のようにして導出した推定対象領域における主応力σ11、σ22、σ33に基づいて、推定対象領域における最大主応力σmaxを、以下の(19)式により導出する。
Figure 0007453542000014
応力導出部306は、以上のようにして導出した推定対象領域における主応力σ11、σ22、σ33および最大主応力σmaxの少なくとも一方と、データ取得部301で取得されたデータに含まれる鉄道車両の走行位置と、を相互に関連付けて記憶する。以下の説明では、このようにして相互に関連付けられた、推定対象領域における主応力σ11、σ22、σ33および最大主応力σmaxの少なくとも一方と鉄道車両の走行位置を、必要に応じて、応力-位置関係情報と称する。以上のようにして各サンプリング時刻における応力-位置関係情報が得られる。
<<出力部307>>
出力部307は、応力導出部306により導出された応力-位置関係情報を出力する。出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、および推定装置300の内部または外部の記憶媒体への記憶の少なくとも1つを採用することができる。
オペレータは、応力-位置関係情報に基づいて、台車枠16の推定対象領域における最大主応力がどの程度の大きさであるのかを特定することができる。また、オペレータは、台車枠16の推定対象領域における最大主応力が大きくなっている鉄道車両の走行位置を特定することができる。尚、応力導出部306が、台車枠16の推定対象領域における最大主応力が閾値を上回る鉄道車両の走行位置を特定し、出力部307が特定した鉄道車両の走行位置を示す情報を出力してもよい。
また、出力部307は、応力-位置関係情報に代えてまたは加えて、歪み-位置関係情報を出力してもよい。歪み-位置関係情報は、歪み導出部305により導出された主歪みε11、ε22、ε33および最大主歪みεmaxの少なくとも一方と、鉄道車両の走行位置と、を相互に関連付けた情報である。
<フローチャート>
図4のフローチャートを参照しながら、本実施形態の推定装置300を用いた推定方法の一例を説明する。図4のフローチャートのステップS401~S409の繰り返し処理は、サンプリング時刻が到来する度に実行されるものとする。
まず、ステップS401において、データ取得部301は、加速度センサ21a~21dで測定された加速度を示すデータと、鉄道車両の走行位置を示すデータと、を含むデータを取得する。
次に、ステップS402において、位置座標導出部302は、ステップS401で取得されたデータに含まれる加速度センサ21a~21dで測定された加速度に基づいて、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位u1、u2、u3を導出する。
次に、ステップS403において、位置座標導出部302は、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位前の位置座標x11、x21、x31に、ステップS402で導出した加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位u1、u2、u3を加算することにより、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位後の位置座標x12、x22、x32を導出する。尚、変位前の位置座標x11、x21、x31は、静止時の位置座標x12、x22、x32である。
次に、ステップS404において、行列導出部303は、加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位前の位置座標x11、x21、x31と、ステップS403で導出された加速度センサ21a~21dの取り付けられた点(位置)における変位後の位置座標x12、x22、x32とに基づいて、行列Mの成分a1、a2、a3、a5、a6、a7、a9、a10、a11を導出する。
次に、ステップS405において、特異値分解部304は、ステップS404で導出された成分a1、a2、a3、a5、a6、a7、a9、a10、a11を有する行列Mを特異値分解し、特異値を対角成分として有する対角行列Σを導出する。
次に、ステップS406において、歪み導出部305は、ステップS405で導出された対角行列Σの対角成分ε11、ε22、ε33を推定対象領域における主歪みとして導出する。そして、歪み導出部305は、(15)式により、推定対象領域における最大主歪みεmaxを導出する。
次に、ステップS407において、応力導出部306は、ステップS406で導出された推定対象領域における主歪み(対角行列Σの対角成分)ε11、ε22、ε33に基づいて、推定対象領域における主応力σ11、σ22、σ33を、(16)式により導出する。そして、応力導出部306は、推定対象領域における主応力σ11、σ22、σ33に基づいて、推定対象領域における最大主応力σmaxを、(19)式により導出する。
次に、ステップS408において、応力導出部306は、推定対象領域における主応力σ11、σ22、σ33および最大主応力σmaxと、ステップS401で取得されたデータに含まれる鉄道車両の走行位置と、を相互に関連付けて記憶する(応力-位置関係情報を記憶する)。
次に、ステップS409において、推定装置300は、測定を終了するか否かを判定する。この判定は、例えば、オペレータによる推定装置300に対する所定の操作があったか否かに基づいて行われる。また、この判定は、予め定められたタイミングになったか否かに基づいて行われてもよい。予め定められたタイミングとしては、例えば、鉄道車両の所定の区間における走行が終了したタイミングが挙げられる。
ステップS409の判定の結果、測定を終了しない場合、処理は、ステップS401に戻る。そして、次のサンプリング時刻におけるステップS401~S409の処理が実行される。
一方、ステップS409の判定の結果、測定を終了する場合、処理は、ステップS410に進む。処理がステップS410に進むと、出力部307は、応力-位置関係情報を出力する。そして、図4のフローチャートによる処理が終了する。
尚、ステップS410の処理を、ステップS408の次に行ってもよい。この場合、応力-位置関係情報は、サンプリング時刻の単位で出力される。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、推定装置300は、推定対象領域における変位前の位置座標x11、x21、x31と、推定対象領域における変位後の位置座標x12、x22、x32とに基づいて、行列Mの成分a1、a2、a3、a5、a6、a7、a9、a10、a11を導出する。行列Mは、アフィン変換の際に変位前の位置座標x11、x21、x31に乗算される行列である。推定装置300は、行列Mを特異値分解し、特異値を対角成分として有する対角行列Σを導出する。推定装置300は、対角行列Σに基づいて、推定対象領域における主歪みε11、ε22、ε33を導出する。従って、歪ゲージで歪みを測定しなくても(即ち、歪みそのものの測定値を得なくても)、歪みを導出することができる。よって、歪ゲージで歪みを測定しなくても、外力が作用する物体の状態を推定することができる。
また、本実施形態では、推定装置300は、対角行列Σの成分ε11、ε22、ε33に基づいて推定対象領域における最大主歪みεmaxを導出する。従って、外力が作用する物体の状態を示す情報としてより多くの情報を導出することができる。
また、本実施形態では、推定装置300は、対角行列Σの成分ε11、ε22、ε33に基づいて推定対象領域における主応力σ11、σ22、σ33を導出し、推定対象領域における主応力σ11、σ22、σ33に基づいて、最大主応力σmaxを導出する。従って、外力が作用する物体の状態を示す情報としてより一層多くの情報を導出することができる。
<変形例>
本実施形態では、外力が作用する物体が台車枠16である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、外力が作用する物体は、台車枠16に限定されない。例えば、外力が作用する物体は、台車枠16以外の鉄道車両を構成する装置であってもよい。また、外力が作用する物体は、鉄道車両を構成する装置以外の物体であってもよく、例えば、鉄道車両以外で用いられる機械構造部材や建築構造部材などであってもよい。
また、本実施形態では、加速度センサ21a~21dにより測定された加速度に基づいて、変位u1、u2、u3を導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、この他の方法で変位u1、u2、u3を導出してもよいし、変位u1、u2、u3を直接測定してもよい。例えば、レーザー変位計で変位u1、u2、u3を直接測定してもよい。このように、変位u1、u2、u3は、計算値であっても測定値であってもよい。
<実施例>
次に、実施例を説明する。本実施例では、実際の鉄道車両の台車枠16をモデル化し、本実施形態で説明した手法により、台車枠16の推定対象領域における最大主歪みεmaxおよび最大主応力σmaxを導出した。
鉄道車両を走行させた場合に台車枠16に発生する応力を有限要素法により導出した。台車枠16に発生する応力に基づいて、最大主応力が発生する箇所を特定し、最大主応力が発生する箇所を基準点とした。鉄道車両を走行させた場合の基準点における変位と、基準点の周囲の12箇所の点における変位とを、当該点に取り付けた加速度センサの測定値に基づいて導出した。このようにして導出した変位に基づいて、行列Mの成分をa1、a2、a3、a5、a6、a7、a9、a10、a11を導出し、行列Mを特異値分解して対角行列Σを導出した。そして、対角行列Σに基づいて、基準点と基準点の周囲の12箇所の点とを含む推定対象領域における最大主歪みεmaxおよび最大主応力σεmaxを導出した。尚、本実施例では、ヤング率Eを205.9GPaとし、ポアソン比νを0.3とした。
また、鉄道車両を走行させた場合の基準点における最大主応力を基準点に取り付けた歪ゲージの測定値に基づいて導出した。
図5は、推定対象領域における最大主歪みεmaxと時間との関係の一例を示す図である。図6は、推定対象領域における最大主応力σmaxと時間との関係の一例を示す図である。図6において、推定値は、本実施形態の手法で導出した推定対象領域における最大主応力σmaxと時間との関係を示す。測定値は、基準点に取り付けた歪ゲージの測定値に基づく最大主応力σmaxと時間との関係を示す。図7は、本実施形態の手法で導出した推定対象領域における最大主応力σmaxと、基準点に取り付けた歪ゲージの測定値に基づく最大主応力σmaxとの関係の一例を示す図である。図7は、図6において、同一時刻の推定値および測定値の組をプロットすることにより得られる。
図7において、基準点に取り付けた歪ゲージの測定値に基づく最大主応力σmax(測定値)と、本実施形態の手法で導出した推定対象領域における最大主応力σmax(推定値)との平均誤差は1.4MPaであり、標準偏差は1.5MPaである。従って、本実施形態の手法により、歪ゲージを用いた場合と同等の結果が得られることが分かる。
<その他の変形例>
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
11:車体、12a、12b:台車、13a~13d:輪軸、14a~14d:車輪、15a~15d:車軸、16:台車枠、17a~17b:軸箱、18a、18b:モノリンク、19a~19b:軸バネ、21a~21d:加速度センサ、300:推定装置、301:データ取得部、302:位置座標導出部、303:行列導出部、304:特異値分解部、405:歪み導出部、406:応力導出部、407:出力部

Claims (9)

  1. 外力が作用する物体の状態を推定する推定装置であって、
    前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標と、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位の計算値または測定値とに基づいて、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標を導出する位置座標導出手段と、
    前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標と、前記位置座標導出手段により導出された前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標とに基づいて、変換行列の成分を導出する行列導出手段と、
    前記行列導出手段により導出された前記成分を有する前記変換行列を特異値分解する特異値分解手段と、
    前記特異値分解手段により特異値分解を実行することにより導出された対角行列の成分である特異値を、前記物体の主歪みとして導出する歪み導出手段と、を有し、
    前記変換行列は、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標をアフィン変換して前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標を導出する際に前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標に乗算される行列であることを特徴とする推定装置。
  2. 前記歪み導出手段は、前記対角行列に基づいて、前記物体の最大主歪みを更に導出することを特徴とする請求項1に記載の推定装置。
  3. 前記歪み導出手段により導出された前記物体の主歪みに基づいて、前記物体の主応力を導出する応力導出手段を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の推定装置。
  4. 前記応力導出手段は、前記物体の主応力に基づいて、前記物体の最大主応力を更に導出することを特徴とする請求項3に記載の推定装置。
  5. 前記位置座標導出手段は、前記物体の少なくとも3箇所の点に取り付けられた加速度センサにより測定された加速度に基づいて、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位を導出し、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標と、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位の計算値または測定値とに基づいて、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標を導出することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の推定装置。
  6. 前記少なくとも3箇所の点は、少なくとも4箇所の点であり、
    前記位置座標は、3軸の座標系における位置座標であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の推定装置。
  7. 前記物体は、鉄道車両を構成する装置であることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の推定装置。
  8. 外力が作用する物体の状態を推定する推定方法であって、
    前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標と、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位の計算値または測定値とに基づいて、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標を導出する位置座標導出工程と、
    前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標と、前記位置座標導出工程により導出された前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標とに基づいて、変換行列の成分を導出する行列導出工程と、
    前記行列導出工程により導出された前記成分を有する前記変換行列を特異値分解する特異値分解工程と、
    前記特異値分解工程により特異値分解を実行することにより導出された対角行列の成分である特異値を、前記物体の主歪みとして導出する歪み導出工程と、を有し、
    前記変換行列は、前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標をアフィン変換して前記物体の少なくとも3箇所の点における変位後の位置座標を導出する際に前記物体の少なくとも3箇所の点における変位前の位置座標に乗算される行列であることを特徴とする推定方法。
  9. 請求項1~7の何れか1項に記載の推定装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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