JP7453235B2 - 香味ディスペンサー装置 - Google Patents

Description

本発明は、香味ディスペンサー装置に関する。

食品等に煙を晒すことで香り付けする技術として、燻製技術が知られている。燻製は、例えばスモークチップやスモークウッドなどの燻材をバーナなどの炎であぶって燻煙を発生させ、この燻煙を食材に当てることで当該食材に香り付けを行う技術である。

また、レストラン等において、液体窒素をかけた料理が客に提供される場合がある。液体窒素の沸点は非常に低く、常温で気化する。そのため、液体窒素を使用することで、ドライアイスが溶けるときのような煙が立ち込めている料理を客に提供することができ、パフォーマンス性を高めることに適している。

また、加圧エアロゾル缶からスプレーされた料理用補助剤を調理器具に塗付することによって調理中に食材が調理器具に粘着することを抑制する技術が知られている（例えば、特許文献１を参照）。

また、飲料および蒸気を供給するディスペンサーが知られている（例えば、特許文献２を参照）。

特表２００３－５０２０６８号公報 国際公開第２０１８／２２７２７５号

しかしながら、上述した燻製技術は、食品が使用者に提供される際には、既に煙が消失してしまっている。

また、液体窒素を使用して食品を提供する場合、液体窒素によって食品の性状が変化してしまう場合がある一方、液体窒素は無味無臭であるため、食品に対する香り付けという観点では液体窒素は寄与しない。

本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、食事の際等に香り付けされたエアロゾルをグラスや皿等の食器内に供給可能な香味ディスペンサー装置を提供することにある。

上記課題を解決するための本発明に係る香味ディスペンサー装置は、エアロゾル生成液を貯留する貯留部と、前記エアロゾル生成液を加熱するヒーターを有し、前記エアロゾル生成液を霧化させることによりエアロゾルを発生させる加熱ユニットと、前記貯留部に貯留されている前記エアロゾル生成液を前記加熱ユニットに送液する送液ユニットと、前記加熱ユニットにおいて発生したエアロゾルを流通させる流路であって、先端側にエアロゾルを外部に吐出するためのエアロゾル吐出口を有するエアロゾル流路と、前記エアロゾル流路の途中に設けられ、当該エアロゾル流路を流通するエアロゾルを通気可能に、香味源を保持する香味源保持部と、前記加熱ユニットにおいて発生したエアロゾルを、前記エアロゾル流路を通じて前記香味源保持部に向けて輸送し、エアロゾルに前記香味源保持部における香味源を通気させると共に当該香味源によって香り付けされたエアロゾルを前記エアロゾル吐出口から吐出させる、エアロゾル圧送ユニットと、を備えることを特徴とする。

ここで、前記エアロゾル圧送ユニットは、前記加熱ユニットにおいて発生したエアロゾルを、前記エアロゾル流路を通じて前記香味源保持部に向けて空気圧送するポンプ又はボンベを含んでいても良い。

また、前記エアロゾル生成液は、蒸気圧が６．０kPa（２０℃）以下であっても良い。

また、前記香味源は、固体の香味材料を含んでいても良い。

また、前記香味源は、内部に固体の香味材料を収容すると共にエアロゾルを通気可能な香味ケースを含み、且つ、前記香味源保持部に対して着脱自在に装着されるカートリッジであっても良い。

また、前記香味ケースは、透明又は半透明材料によって形成されていても良い。

また、前記香味ケースは、少なくとも一部がメッシュ構造又は有孔構造となっていても良い。

また、前記香味源は、外部から視認可能な態様で前記香味源保持部に装着されても良い。

また、前記香味ディスペンサー装置は、ハンディ型のハウジングを有すると共に、前記香味源によって香り付けされたエアロゾルを食器に分注するための分注ノズルを更に有し、前記分注ノズルの先端に前記エアロゾル吐出口が形成されていても良い。

また、前記香味源は、内部に固体の香味材料を収容すると共にエアロゾルを通気可能な香味ケースを含み、且つ、前記香味源保持部に対して着脱自在に装着されるカートリッジであり、前記ハウジングには、前記香味源保持部に装着された前記香味源を外部から視認可能な透明窓が設けられていても良い。

また、前記香味ディスペンサー装置は、上部に前記エアロゾル吐出口が設けられた据え置き型のハウジングを有し、前記ハウジングの上部に、前記エアロゾル吐出口から吐出されたエアロゾルを貯留するためのエアロゾル貯留部を当該エアロゾル貯留部の側方外部空間と区画するための筒状壁が立設されていても良い。

なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。

本発明によれば、食事の際等に香り付けされたエアロゾルをグラスや皿等の食器内に供給可能な香味ディスペンサー装置を提供できる。

図１は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置の外観を示す斜視図である。 図２は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置の外観を示す斜視図である。 図３は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置の内部構造を説明する図である。 図４は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置における分注ノズルをハウジングから分離した状態を示す図である。 図５は、実施形態１に係る香味カートリッジを説明する図である。 図６は、実施形態１に係る貯留部、送液ユニット、加熱ユニット、エアロゾル圧送ユニットの詳細を説明する図である。 図７は、実施形態１に係る貯留部、送液ユニット、加熱ユニット、エアロゾル圧送ユニットの詳細を説明する図である。 図８は、実施形態１に係る貯留部、送液ユニット、加熱ユニット、エアロゾル圧送ユニットの詳細を説明する図である。 図９は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置の作動状況の一例を示すタイミングチャートである。 図１０は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置の使用時の状況を説明する図である。 図１１は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置の適用例を説明する図である。 図１２は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置の適用例を説明する図である。 図１３は、実施形態１の変形例１に係る香味カートリッジを示す図である。 図１４は、実施形態１の変形例１に係る香味カートリッジを香味ディスペンサー装置に装着した状態を示す図である。 図１５は、実施形態１の変形例２に係る香味カートリッジを示す図である。 図１６は、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置の外観図である。 図１７は、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置において、ベースユニットから上部ユニットを離脱させた状態を示す図である。 図１８は、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置の縦断面を示す図である。 図１９は、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置のベースユニットの内部構造を示す図である。 図２０は、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置のベースユニットの内部構造を示す図である。 図２１は、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置に用いられる香味カートリッジの一例を示す図である。 図２２は、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置において、香味源保持部への香味カートリッジの装着方法を説明する図である。 図２３は、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置を斜め上方から眺めた図である。 図２４は、実施形態３に係る貯留部、送液ユニット、加熱ユニット、エアロゾル圧送ユニットの詳細を説明する図である。 図２５は、実施形態３に係る貯留部、送液ユニット、加熱ユニット、エアロゾル圧送ユニットの詳細を説明する図である。

ここで、本発明に係る香味ディスペンサー装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。

＜実施形態１＞
図１および図２は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置１の外観を示す斜視図である。実施形態１に係る香味ディスペンサー装置１は、グラスや皿等といった食器に香り付きのエアロゾルを供給（提供）するための装置である。香味ディスペンサー装置１は、ハンディ型のハウジング１０を有している。

図１および図２に示す符号４０は、電源ケーブルが付属するスタンド型のクレードル（ホルダー）である。図１および図２に示すように、香味ディスペンサー装置１は、クレードル４０に載置することが可能であり、クレードル４０に載置された状態において、電源ケーブルから香味ディスペンサー装置１のバッテリー（電源）に給電することができる。なお、本明細書においては、便宜上、香味ディスペンサー装置１をクレードル４０に載置した姿勢を基準として、上下方向について規定する。

香味ディスペンサー装置１におけるハウジング１０は、例えば平坦な底部を有しており、平坦面に自立することができる。また、ハウジング１０の側面１０１には、香味ディスペンサー装置１の使用者が操作するための操作部１２や発光素子１３が設けられている。操作部１２は、例えば使用者によって操作される操作レバーであるが、操作ボタンや他の操作スイッチ類であっても良い。また、発光素子１３は、例えば、ＬＥＤや電灯等の光源である。発光素子１３は、香味ディスペンサー装置１の動作状況を使用者に通知するためのインジケータとして使用され、香味ディスペンサー装置１の動作状況に応じて所定のパターンで発光するように制御される。

図１および図２に示すように、香味ディスペンサー装置１は、上端側に分注ノズル３０を有している。分注ノズル３０の先端には、エアロゾル吐出口３１が開口形成されており、エアロゾル吐出口３１からは香味源によって香り付けがなされたエアロゾルを吐出することができるようになっている。香味ディスペンサー装置１は、分注ノズル３０におけるエアロゾル吐出口３１から香り付きエアロゾルを吐出することで、当該香り付きエアロゾルをグラスや皿等といった食器に注ぐことができる。

次に、香味ディスペンサー装置１の内部構造について詳しく説明する。図３は、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置１の内部構造を説明する図である。図３には、香味ディスペンサー装置１の縦断面が示されている。ハウジング１０は中空構造となっている有底円筒形状の筐体であり、香味ディスペンサー装置１を構成する各種部品が内部に収容されている。本実施形態におけるハウジング１０には、制御基板１４、貯留部１５、送液ユニット１６、加熱ユニット１７、香味カートリッジ（香味源）１８、バッテリー２０、エアロゾル圧送ユニット２１等が収容されている。

ここで、ハウジング１０は、円筒状の側面１０１および円形の底面１０２を有し、その上端は開放端となっている。そして、ハウジング１０の開放端には、分注ノズル３０が着脱自在となっている。ハウジング１０に対する分注ノズル３０の着脱機構は特に限定されず、例えばネジによる接続、嵌合接続等といった公知の接続手段を用いることができる。また、ハウジング１０の形状は特に限定されない。なお、分注ノズル３０の内部には、エアロゾルを流通させるエアロゾル通路３２が形成されており、エアロゾル吐出口３１はエアロゾル通路３２の先端に位置付けされている。

図４は、香味ディスペンサー装置１における分注ノズル３０をハウジング１０から分離した状態を概略的に示している。ハウジング１０の上部開放端側には、図５に示す香味カートリッジ（香味源）１８を受け入れ可能な凹部である香味源保持部１９が外部に開放されるようにして形成されている。香味カートリッジ（香味源）１８は、香味ケース１８１と、当該香味ケース１８１の内部に収容された固体の香味材料１８２を含む。香味材料１８２は、後述する加熱ユニット１７において生成されたエアロゾルに香り付けをするための材料であり、種々の材料を用いることができる。香味材料１８２としては、コショウ、ラベンダー、たばこ、コーヒー豆などの植物性原料、鰹節などの動物性原料等を一例として用いることができる。これら香味材料１８２の原料はそのまま用いても良いし、粉砕・成型を経たものであっても良い。また、これら原料から香味成分を抽出し、抽出した香味成分を担持体に担持させたものでも良い。

図５に示す香味ケース１８１は、内部に香味材料１８２を収容可能な収容空間を有する円柱形状の外形を有するケースであり、上面１８１Ａ、底面１８１Ｂ、側面１８１Ｃを有している。香味ケース１８１は、例えば透明な樹脂によって形成されており、内部に収容する香味材料１８２を外部から視認可能になっている。また、本実施形態における香味ケース１８１は、エアロゾルを通気することが可能に構成されており、エアロゾルが香味ケース１８１を香味カートリッジ１８を通気した際に、香味材料１８２によってエアロゾルが付香されるようになっている。図５に示す形態では、香味ケース１８１の上面１８１Ａおよび底面１８１Ｂに無数の通気孔１８３が貫通形成された有孔構造として形成されており、エアロゾルが香味ケース１８１の底面１８１Ｂおよび上面１８１Ａを通過することで、通気することができる。なお、香味ケース１８１は、上面１８１Ａおよび底面１８１Ｂを有孔構造とする代わりにメッシュ構造としても良い。より詳しくは、香味ケース１８１は、少なくとも一部がメッシュ構造又は有孔構造となっていると好ましく、このようにすることでエアロゾルを好適に通気することができる。

ここで、ハウジング１０における香味源保持部１９は、図４に示す透明窓部１０５およびガイド壁１０４によって形成されている。透明窓部１０５は、ハウジング１０における開口端を含む側面１０１の一部であり、円筒状のスリーブ部材によって形成されている。ガイド壁１０４は、透明窓部１０５の下端近傍からハウジング１０の内側空間に向かって延在する壁体であり、香味源保持部１９の下方に配置される加熱ユニット１７に向かって斜め下方に伸びている。透明窓部１０５の内径は、図５で説明した香味ケース１８１における側面１８１Ｃの直径より僅かに大きな寸法に設定されており、香味源保持部１９に対する香味カートリッジ１８の装着、および、香味カートリッジ１８取り外しを使用者が円滑に行うことができる。

なお、香味カートリッジ１８が香味源保持部１９に収容された際に、ハウジング１０の内部に配置されるガイド壁１０４に香味ケース１８１の底面１８１Ｂが当接することで香味カートリッジ１８が位置決めされる。また、ハウジング１０における香味源保持部１９の側方を覆う透明窓部１０５は透明材料（例えば、透明樹脂やガラス等）によって形成されている。これにより、香味源保持部１９に保持された香味カートリッジ１８を、使用者が外部から視認することができる。また、香味ディスペンサー装置１におけるハウジング１０に分注ノズル３０を装着した状態において、香味源保持部１９は、分注ノズル３０のエアロゾル通路３２と連通した状態となる。なお、香味ケース１８１は、使い捨てとしても良いし、使用者が香味ケース１８１内の香味材料１８２を入れ替えることによって繰り返し使用しても良い。また、香味源保持部１９と加熱ユニット１７の間には、香味ケース１８１のメッシュ構造又は有孔構造からこぼれた香味材料１８２が加熱ユニット１７に混入するのを防ぐためのフィルタが設けられていてもよい。当該フィルタは、通気性を有する材料であれば、任意の材料から形成される。

次に、バッテリー２０について説明する。バッテリー２０は、ハウジング１０内における底部側に収容されている。バッテリー２０は、クレードル４０に付属される電源ケーブルから電力の供給を受けると共に、電源ケーブルから供給された電力を充電する。バッテリー２０は、香味ディスペンサー装置１の動作に必要な電力を、香味ディスペンサー装置１における各種電子部品に供給する。バッテリー２０は、例えば、リチウムイオン電池であっても良い。

制御基板１４は、香味ディスペンサー装置１の動作を制御するための制御回路を有する電子回路基板である。制御基板１４は、例えばプロセッサ、メモリ等が実装されており、マイクロプロセッサの形態で設けられていても良い。また、制御基板１４には、ブザー等といった発音部品１１が実装されている。発音部品１１は、例えば圧電ブザー等であっても良い。但し、本実施形態における香味ディスペンサー装置１において、ブザー等の発音部品１１を備えていなくても良い。制御基板１４のプロセッサは、バッテリー２０から各電子部品への電力供給を制御する。

次に、貯留部１５、送液ユニット１６、加熱ユニット１７、エアロゾル圧送ユニット２１の詳細について説明する。図６～図８は、貯留部１５、送液ユニット１６、加熱ユニット１７、エアロゾル圧送ユニット２１の詳細を説明する図である。図６～図８は、ハウジング１０の一部における内部構造を示している。

貯留部１５は、内部にエアロゾル生成液を貯留する貯留タンクである。エアロゾル生成液は加熱ユニット１７の後述するヒーターによって加熱されることによって霧化することでエアロゾルを生成するための基材となる液体である。エアロゾル生成液としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、ホホバオイル、スイートアーモンドオイル、オリーブオイル等が挙げられる。また、エアロゾル生成液には香料や水等が含まれていても良い。また、貯留部１５に用いられる材料は特に限定されないが、例えばＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）やＰＰ（ポリプロピレン）等を用いても良い。なお、貯留部１５（貯留タンク）は、ハウジング１０に対して着脱自在に収容されている。これにより、貯留部１５内のエアロゾル生成液を使い切った際に、使用済みの貯留部１５を新しいものと容易に交換することができる。

加熱ユニット１７は、ヒーター２２、加熱用パイプ２３、ヒーターホルダー２４、チャンバー用スリーブ２５等を含んでいる。加熱用パイプ２３は、貯留部１５から延びる送液ホース２７が接続される中空管状部材（例えば、金属製）であり、送液ホース２７を介して貯留部１５に貯留されているエアロゾル生成液が加熱用パイプ２３に送液されるようになっている。また、加熱用パイプ２３の先端側にはヒーター２２が取り付けられている。ヒーター２２は、例えばセラミックヒーターであり、加熱用パイプ２３の外周を覆うように設けられている。なお、ヒーター２２は、加熱用パイプ２３の外周の一部を覆っていても良いし、加熱用パイプ２３の外周の全体を覆っていても良い。ヒーターホルダー２４は、ヒーター２２および加熱用パイプ２３を保持する部材であり、例えば、ステンレスや耐熱ガラス等のような耐熱材料によって形成されている。ヒーター２２が発熱することで、加熱用パイプ２３の内部に送液されたエアロゾル生成液は、ヒーター２２の内壁からの直接加熱またはヒーター２２の熱が加熱用パイプ２３に伝導することで加熱される。なお、ヒーター２２は上記態様に限られず種々の態様を採用することができる。例えば、ヒーター２２は中空状ヒーターであっても良い。この場合、加熱用パイプ２３の下流端（後端）に、中空状ヒーター（ヒーター２２）を連なって接続する態様が一例として挙げられる。中空状ヒーター（ヒーター２２）は、例えば加熱用パイプ２３と同様の中空管状部材であり、エアロゾル生成液を流通させる内部流路が軸方向に貫通形成されている。このように構成される中空状ヒーター（ヒーター２２）は、通電によって発熱することで、内部流路を流通するエアロゾル生成液を加熱することができる。これにより、加熱用パイプ２３から送られてくるエアロゾル生成液が中空状ヒーター（ヒーター２２）の内部流路を通過する際に、中空状ヒーター（ヒーター２２）によってエアロゾル生成液を加熱することができる。

チャンバー用スリーブ２５は、香味源保持部１９側に位置する大径部２５Ａと、大径部２５Ａの下方に位置する小径部２５Ｂから構成されており、大径部２５Ａおよび小径部２５Ｂの境界部分には底壁２５Ｃが設けられている。チャンバー用スリーブ２５における大径部２５Ａの内側には、エアロゾルが生成される空間であるチャンバー２６が形成されている。また、チャンバー用スリーブ２５における小径部２５Ｂは、その内側にヒーターホルダー２４が配置されるように当該ヒーターホルダー２４を保持している。チャンバー用スリーブ２５における大径部２５Ａの内側には、チャンバー２６が形成されている。チャンバー２６は、霧化したエアロゾル生成液によってエアロゾルが生成される空間である。加熱ユニット１７における加熱用パイプ２３は、先端開口２３Ａがチャンバー２６内を臨むように配置されている。ヒーター２２によって加熱用パイプ２３内のエアロゾル生成液を加熱することで形成されたエアロゾル生成液の蒸気は、加熱用パイプ２３の先端開口２３Ａからチャンバー２６内に導入され、チャンバー２６内の空気とエアロゾル生成液の蒸気が混合されることで、エアロゾルが生成される。なお、ヒーター２２を、上記のように中空状ヒーターとし、加熱用パイプ２３の下流端（後端）に中空状ヒーター（ヒーター２２）を連設する場合には、中空状ヒーター（ヒーター２２）の先端がチャンバー２６内を臨むように配置し、中空状ヒーター（ヒーター２２）内の内部流路からエアロゾル生成液の蒸気をチャンバー２６内に導入しても良い。

送液ユニット１６は、貯留部１５に貯留されているエアロゾル生成液を加熱ユニット１７に送液するためのユニットである。送液ユニット１６は、貯留部１５および加熱ユニット１７の加熱用パイプ２３を接続する送液ホース２７と、送液ホース２７を介して貯留部１５から加熱用パイプ２３にエアロゾル生成液を送液するための送液ポンプ２８を有する。送液ポンプ２８は、例えばピエゾポンプ、シリンジポンプ、チューブポンプ等であっても良い。送液ホース２７に用いる材料は特に限定されないが、例えばＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）やシリコン等を用いても良い。送液ホース２７は、第１送液ホース２７Ａおよび第２送液ホース２７Ｂを有する。第１送液ホース２７Ａは、貯留部１５と送液ポンプ２８を接続し、第２送液ホース２７Ｂは、送液ポンプ２８と加熱用パイプ２３を接続している。

次に、エアロゾル圧送ユニット２１について説明する。エアロゾル圧送ユニット２１は、ダイアフラムポンプ２９と、空気圧送ホース３５を含む。ダイアフラムポンプ２９は、空気取り入れ口２９Ａおよび空気吐出口２９Ｂを有している。また、ハウジング１０には、外部の空気（外気）を、ハウジング１０の内部に取り入れるための通気孔１０３が設けられており、通気孔１０３を介してハウジング１０の内外が連通している。ここで、ハウジング１０に設けられる通気孔１０３の数、大きさ、位置等は特に限定されない。

ダイアフラムポンプ２９における空気吐出口２９Ｂには、空気圧送ホース３５の一方の端部が接続されている。また、上述したチャンバー用スリーブ２５における底壁２５Ｃには接続口２５０が設けられている。そして、空気圧送ホース３５における他方の端部が接続口２５０に接続されることで、空気圧送ホース３５を介して、ダイアフラムポンプ２９における空気吐出口２９Ｂとチャンバー用スリーブ２５内に形成されるチャンバー２６とが連通されている。ダイアフラムポンプ２９が作動すると、通気孔１０３からハウジング１０の内部に取り入れた空気がダイアフラムポンプ２９の空気取り入れ口２９Ａからダイアフラムポンプ２９内に取り込まれ、空気吐出口２９Ｂから吐出される。空気吐出口２９Ｂから吐出された空気は、空気圧送ホース３５を流通し、チャンバー２６に圧送される。

以上のように構成される香味ディスペンサー装置１において、バッテリー２０は、電気配線を介して制御基板１４に実装されたプロセッサや発音素子（ブザー）、発光素子１３、加熱ユニット１７のヒーター２２、送液ユニット１６の送液ポンプ２８、エアロゾル圧送ユニット２１のダイアフラムポンプ２９等と接続されている。制御基板１４のプロセッサは、操作部１２を介して使用者から受け付けたデバイス操作に応じて、バッテリー２０から発光素子１３、発音部品１１、加熱ユニット１７のヒーター２２、送液ユニット１６の送液ポンプ２８、エアロゾル圧送ユニット２１のダイアフラムポンプ２９等への電力供給を制御し、これらの各種電子部品を作動させる。

次に、香味ディスペンサー装置１の動作状態について例示する。香味ディスペンサー装置１における制御基板１４のプロセッサは、電源がオフの状態から操作部１２を介して使用者から起動操作を受け付けたことを検知した場合、香味ディスペンサー装置１を起動させる。上記起動操作は特に限定されないが、例えば、操作部１２を使用者が押し込む操作等であっても良い。例えば、ハウジング１０内には、操作部１２のオン、オフ状態を検出する操作検出スイッチが設けられており、操作検出スイッチが、使用者が操作部１２を押し込む起動操作を検出したことをトリガーとして、制御基板１４のプロセッサは、上述した各種電子部品を作動させるための制御信号をバッテリー２０に出力することで、香味ディスペンサー装置１を作動させる。

図９は、香味ディスペンサー装置１を使用する際の各種電子部品の作動状況の一例を示すタイミングチャートである。時間Ｔ１において、操作部１２に対する使用者の起動操作を操作検出スイッチが検出すると、制御基板１４に実装されたプロセッサは、バッテリー２０に制御信号を出力し、発光素子１３を第１の発光態様で発光させても良い。ここでの例では、時間Ｔ１から時間Ｔ２まで、発光素子１３を発光させる。発光素子１３における第１の発光態様は、香味ディスペンサー装置１が起動することを使用者に通知する態様であれば良い。

次に、時間Ｔ３において、制御基板１４のプロセッサは、加熱ユニット１７のヒーター２２を作動させて、加熱用パイプ２３の予備加熱を行う。具体的には、制御基板１４のプロセッサは、バッテリー２０に制御信号を出力し、バッテリー２０からヒーター２２に電力を供給することで、ヒーター２２を発熱させ、加熱用パイプ２３を加熱する。加熱用パイプ２３の予備加熱におけるヒーター２２の制御温度は特に限定されないが、例えば２５０～３００℃程度であっても良い。図９に示す例では、時間Ｔ３から時間Ｔ４に亘ってヒーター２２による加熱用パイプ２３の予備加熱が継続される。

また、ヒーター２２による加熱用パイプ２３の予備加熱が開始される時間Ｔ３において、制御基板１４のプロセッサは、発音部品１１から第１の発音態様で電子音を出力させても良い。発音部品１１における第１の発音態様は、ヒーター２２による加熱用パイプ２３の予備加熱が開始されることを使用者に通知する態様であれば良い。また、発音部品１１の作動は、ヒーター２２による加熱用パイプ２３の予備加熱が終了されるまで継続する必要はない。また、制御基板１４のプロセッサは、ヒーター２２による加熱用パイプ２３の予備加熱期間（時間Ｔ３～Ｔ４）において、発光素子１３を第２の発光態様で発光させても良い。発光素子１３における第２の発光態様は、加熱用パイプ２３の予備加熱が行われていることを使用者に通知する態様であれば良く、第１の発光態様とは異なる発光態様であることが好ましい。また、第２の発光態様は、予備加熱期間の終期が近づくにつれて発光素子１３の発光量、発光パターン等を段階的に或いは徐々に変化させても良い。

時間Ｔ４において予備加熱期間が終了すると、制御基板１４のプロセッサは、バッテリー２０に制御信号を出力し、送液ユニット１６の送液ポンプ２８、エアロゾル圧送ユニット２１のダイアフラムポンプ２９への電力供給を開始させる。その際、バッテリー２０からヒーター２２への通電は継続させる。

送液ユニット１６の送液ポンプ２８が作動することで、貯留部１５に貯留されているエアロゾル生成液が、送液ホース２７を通じて加熱ユニット１７の加熱用パイプ２３に送液される。その際、ヒーター２２による予備加熱によって既に加熱用パイプ２３は高温になっており、且つ、ヒーター２２への通電は継続されるため、送液ホース２７を通じて加熱用パイプ２３に供給されるエアロゾル生成液が、順次、加熱用パイプ２３において霧化する。そして、加熱用パイプ２３内で霧化したエアロゾル生成液は、順次、加熱用パイプ２３の先端開口２３Ａからチャンバー２６内に流入する。

また、エアロゾル圧送ユニット２１のダイアフラムポンプ２９が作動することで、空気圧送ホース３５を通じて空気がチャンバー２６に圧送される。チャンバー２６内においては、加熱用パイプ２３から導入される霧化した状態のエアロゾル生成液と、空気圧送ホース３５から圧送される空気が混合されることで、エアロゾルが生成される。チャンバー２６で生成されたエアロゾルは、ダイアフラムポンプ２９の加圧力、すなわち、空気圧送ホース３５を通じて圧送される加圧空気の流れによって香味源保持部１９へと輸送される。本実施形態における香味カートリッジ１８は、香味材料１８２を収容する香味ケース１８１がエアロゾルを通気可能となっているため、チャンバー２６から香味源保持部１９に輸送されたエアロゾルは香味カートリッジ１８を通気してから、香味源保持部１９と連通する分注ノズル３０に送られる。ここで、香味カートリッジ１８をエアロゾルが通気することで、エアロゾルを香味材料１８２によって容易に香り付けすることができる。香味材料１８２によって香り付けされたエアロゾルは、分注ノズル３０のエアロゾル通路３２を流通し、最終的に当該エアロゾル通路３２の先端に形成されたエアロゾル吐出口３１から外部に噴射（吐出）される。本実施形態においては、チャンバー２６、香味源保持部１９、およびエアロゾル通路３２がエアロゾル流路を構成する。

図９に示す例では、時間Ｔ４から時間Ｔ５に亘って、送液ユニット１６によるエアロゾル生成液の送液制御、エアロゾル圧送ユニット２１による空気圧送制御、およびヒーター２２の加熱制御が行われる。以下、これらの各制御が行われる時間Ｔ４から時間Ｔ５までの期間を「エアロゾル噴射期間」という。エアロゾル噴射期間は適宜の長さに設定することができ、例えば３０秒程度であっても良い。

エアロゾル噴射期間において、制御基板１４のプロセッサは、ヒーター２２を所定の制御温度にヒステリシス温調しても良い。エアロゾル噴射期間におけるヒーター２２の制御温度は特に限定されないが、例えば２５０～３００℃程度であっても良い。なお、エアロゾル噴射期間と予備加熱期間において、ヒーター２２の制御温度を異なる温度に設定しても良い。ここで、香味ディスペンサー装置１は、ヒーター２２の発熱温度を検出する温度センサを備えていても良く、温度センサの検出結果に基づいてヒーター２２への電力供給を制御しても良い。

また、エアロゾル噴射期間において、送液ユニット１６の送液ポンプ２８が単位時間当たりにエアロゾル生成液を送液する単位時間送液量は自由に設定することができる。同様に、エアロゾル噴射期間において、エアロゾル圧送ユニット２１のダイアフラムポンプ２９が単位時間当たりに空気を圧送する単位時間空気圧流量やダイアフラムポンプ２９の加圧強度は自由に設定することができる。すなわち、送液ポンプ２８およびダイアフラムポンプ２９の各種設定は、エアロゾル噴射期間に亘り、所期の量のエアロゾルを分注ノズル３０のエアロゾル吐出口３１から安定して噴射することができる範囲で自由に設定すれば良い。

また、エアロゾルの噴射動作が開始される時間Ｔ４において、制御基板１４のプロセッサは、第２の発音態様によって発音部品１１から電子音を出力させても良い。発音部品１１における第２の発音態様は、エアロゾルの噴射動作が開始されることを使用者に通知する態様であれば良く、第１の発音態様とは音声出力のパターン、長さ等が異なる態様とすることが好ましい。また、エアロゾル噴射期間において、制御基板１４のプロセッサは発光素子１３を第３の発光態様で発光させても良い。発光素子１３における第３の発光態様は、香味ディスペンサー装置１が現在、エアロゾルの噴射動作を行っていることを使用者に通知する態様であれば良く、第１および第２の発光態様と異なる発光態様とすることが好ましい。例えば、第３の発光態様は、時間Ｔ４からＴ５に亘って、発光素子１３を点灯させる態様であっても良い。

そして、エアロゾルの噴射動作を終了すべき時間Ｔ５が到来すると、制御基板１４のプロセッサは、ヒーター２２および送液ポンプ２８の作動を停止させる。その結果、加熱ユニット１７におけるエアロゾルの生成が行われなくなる。ここで、図９における時間Ｔ５から時間Ｔ６までを「冷却インターバル期間」と呼ぶ。本実施形態においては、冷却インターバル期間に亘りダイアフラムポンプ２９を継続して作動させることが好ましい。冷却インターバル期間の長さは自由に設定することができるが、例えば１０秒程度であっても良い。ヒーター２２および送液ポンプ２８の作動停止後においても、冷却インターバル期間に亘りダイアフラムポンプ２９を継続して作動させることで、チャンバー２６、香味源保持部１９（香味カートリッジ１８）、エアロゾル通路３２にエアロゾルを残留させることなく、エアロゾル吐出口３１から外部に噴射（吐出）することができる。

なお、冷却インターバル期間が開始される時間Ｔ５において、制御基板１４のプロセッサは、第３の発音態様によって発音部品１１から電子音を出力させても良い。発音部品１１における第３の発音態様は、エアロゾルの生成が終了することを使用者に通知する態様であれば良く、第１および第２の発音態様とは音声出力のパターン、長さ等が異なる態様とすることが好ましい。また、冷却インターバル期間において、制御基板１４のプロセッサは発光素子１３を第４の発光態様で発光させても良い。発光素子１３における第４の発光態様は、香味ディスペンサー装置１によるエアロゾルの生成が終了し、エアロゾル通路３２等に残留するエアロゾルを噴射する動作を行っていることを使用者に通知する態様であれば良い。また、第４の発光態様は、第１～第３の発光態様と異なる発光態様とすることが好ましく、例えば、第４の発光態様は、冷却インターバル期間が終了する時間Ｔ６が近づくにつれて、発光素子１３を徐々に消灯させる態様であっても良い。

以上のように、本実施形態における香味ディスペンサー装置１によれば、加熱ユニット１７のチャンバー２６内で発生したエアロゾルを、エアロゾル圧送ユニット２１によってチャンバー２６を通じて香味源保持部１９に向けて輸送し、香味源保持部１９における香味カートリッジ１８（香味源）をエアロゾルに通気させると共に当該香味カートリッジ１８の香味材料１８２によって香り付けされたエアロゾルをエアロゾル通路３２のエアロゾル吐出口３１から噴射（吐出）させることができる。そして、本実施形態における香味ディスペンサー装置１は、ハンディ型のハウジング１０および分注ノズル３０を有しているため、図１０に示すように、分注ノズル３０のエアロゾル吐出口３１から噴射（吐出）した香り付きエアロゾル３００を、使用者はグラスや皿等といった食器２００に容易に注ぐことができる。

図１１および図１２は、香味ディスペンサー装置１の適用例として、香り付きエアロゾル３００を食器に注いだ状態を示す図である。図１１は、香味ディスペンサー装置１を用いて皿２０１およびグラス２０２内に、香り付きエアロゾルを注いだ状態を示す。ここで示す例では、皿２０１内の料理（食品）３０１やグラス２０２内の飲料３０２に香り付きエアロゾルをかけ、香り付きエアロゾル３００によって香りされた料理（食品）３０１や飲料３０２を見たり、味わったり、匂いを嗅ぐことで楽しむことができる。例えば、レストラン等で、従業員が香味ディスペンサー装置１を用いて皿２０１やグラス２０２に香り付きエアロゾル３００を注ぐようにしても良く、レストランに来店した客は、提供された料理を視覚、味覚、嗅覚によって楽しむことができる。また、香味ディスペンサー装置１の使用例としては、料理や飲料等が入っていない空の食器に香り付きエアロゾル３００を注ぐようにしても良い。図１２は、香味ディスペンサー装置１を用いて空のグラス２０３に香り付きエアロゾル３００を注いだ例を示す。このようにして、グラス２０３内に留まった香り付きエアロゾル３００を目で見たり、匂いを嗅いで楽しむことができる。

なお、本実施形態における香味ディスペンサー装置１は、エアロゾル生成液として、グリセリン、プロピレングリコール等の蒸気圧が比較的低い物質を用いるようにしたので、霧化したエアロゾル生成液の蒸発を抑制することができ、食器内において香り付きエアロゾル３００を長時間に亘って留まらせておくことができる。これにより、食器に注がれた香り付きエアロゾルの視認時間を長くすることでき、長期に亘って食器内に滞留する香り付きエアロゾル３００を楽しむことができる。特に、エアロゾル生成液は、蒸気圧が６．０kPa（２０℃）以下であることが好ましい。これにより、霧化したエアロゾル生成液の蒸発をより一層好適に抑制することができ、香り付きエアロゾル３００をより一層長期に亘って食器内に留まらせておくことができる。

また、本実施形態におけるエアロゾル圧送ユニット２１は、加熱ユニット１７において発生したエアロゾルを、ダイアフラムポンプ２９を用いてチャンバー２６から香味源保持部１９に向けて空気圧送するようにしたので、香味カートリッジ１８（香味源）において好適にエアロゾルを香り付けすることができると共に、香り付きエアロゾル３００をエアロゾル吐出口３１から好適に吐出させることができる。特に、ダイアフラムポンプ２９のように、加圧空気によってエアロゾルを圧送するポンプを使用することで、エアロゾルの流速が過度に高くなることを抑制しつつエアロゾルの輸送能力を十分に得ることができる。これにより、分注ノズル３０のエアロゾル吐出口３１から食器内に香り付きエアロゾル３００を速やかに注ぐことができ、且つ、食器内に注いだ香り付きエアロゾル３００が外部に拡散し難くすることができる。但し、本実施形態におけるエアロゾル圧送ユニット２１は、加圧方式のポンプ以外の手段を利用してエアロゾルを輸送しても良い。例えば、送風ファン等を用いた送風によってエアロゾルを輸送しても良い。また、本実施形態におけるエアロゾル圧送ユニット２１は、ダイアフラムポンプ２９の代わりに圧縮ガスを収容するボンベと、当該ボンベに収容されている圧縮ガスをチャンバー２６に圧送する圧送ホースと、を含んでいても良い。ボンベには、空気あるいは任意のガスが加圧された状態で収容される。そして、当該ボンベは圧縮ガスを吐出する吐出口を有し、当該吐出口から吐出された圧縮ガス（例えば、圧縮空気）が圧送ホースを通じてチャンバー２６に圧送される。このようにボンベからチャンバー２６に圧送された圧縮ガスにより、チャンバー２６内におけるエアロゾルが香味源保持部１９に向けて圧送される。その結果、エアロゾルを香味カートリッジ１８（香味源）において香り付けした後、香り付きエアロゾル３００をエアロゾル吐出口３１から吐出させることができる。なお、このようにダイアフラムポンプ２９の代わりにボンベを用いる場合には、空気取入れ口２９Ａ及び通気孔１０３は不要である。

また、香味ディスペンサー装置１は、加熱ユニット１７においてエアロゾル生成液を霧化させて生成したエアロゾルの粒径が０．１μｍ～１０μｍ程度とすることが好ましい。これにより、食器に注がれた香り付きエアロゾル３００の視認性を好適に高めることができる。なお、加熱ユニット１７において生成するエアロゾルの粒径は、例えば、エアロゾル生成液の組成やヒーター２２を発熱する際の制御温度、ダイアフラムポンプ２９によって圧送される加圧空気の流量や流速等の各パラメータを制御することで、所望の粒径に調整することができる。

また、本実施形態における加熱ユニット１７において、ヒーター２２としてセラミックヒーターを採用したので、通電によって発熱させた際にヒーター２２が焦げたり、当該焦げに起因して好ましくない臭いが発生することを抑制できる。また、発熱時の焦げや、それに伴う臭いの発生を抑制する観点から、ヒーター２２として中空状或いはメッシュ状の金属製ヒーターを採用しても良い。

更に、本実施形態における香味カートリッジ１８によれば、図５で説明したように、香味ケース１８１が透明材料によって形成されており、内部に収容する香味材料１８２を外部から視認可能になっている。そのため、使用者は、ハウジング１０における香味源保持部１９に香味カートリッジ１８を装着する際、香味ケース１８１内にどのような種類の香味材料１８２が収容されているのかを、一目見ただけで容易に把握することができる。従って、香味源保持部１９に対する香味カートリッジ１８の入れ間違いが起こり難く、エアロゾルに使用者が意図しない香りが付いてしまうことを好適に抑制できる。なお、香味ケース１８１は、半透明材料によって形成しても良く、香味材料１８２を外部から容易に視認することが可能となる。但し、香味ケース１８１は必ずしも透明又は半透明材料によって形成されていなくても良い。また、本実施形態においては、香味源保持部１９に対して香味カートリッジ１８を着脱自在に装着することができるため、香味カートリッジ１８を入れ替える際に手間が掛からず、使い勝手が優れる。

更に、本実施形態において、香味カートリッジ１８の香味ケース１８１に収容する香味材料１８２を固体形状としたので、使用者による取り扱いの簡便性が非常に優れている。また、通常のアロマディフューザーは、水やプロピレングリコール等といった基材に溶けない固体形状の香味材料を使用することが難しいが、本実施形態における香味ディスペンサー装置１によれば、エアロゾルを通気させることによって固体の香味材料１８２から香気をエアロゾルに好適に移香させることができる。

また、本実施形態における香味ディスペンサー装置１は、香味カートリッジ１８を、外部から視認可能な態様で香味源保持部１９に装着可能となっている。具体的には、ハウジング１０における側面１０１のうち、香味源保持部１９に対応する部位に透明窓部１０５を設けるようにした。これにより、香味源保持部１９に装着された香味カートリッジ１８を外部から視認することができる。これにより、ハウジング１０に装着された香味カートリッジ１８における香味ケース１８１に収容されている香味材料１８２を、ハウジング１０の外部から一見しただけで把握することができる。

ここで、図１３は、変形例１に係る香味カートリッジ１８Ａを示す図である。図５に示す香味カートリッジ１８と同じ構成については、同じ参照符号を付すことで詳しい説明を省略する。変形例１に係る香味カートリッジ１８Ａは、香味ケース１８１内に形成される、香味材料１８２は、外形が円柱形状であり、内部に形成される収容空間Ｓが円錐台形状となっている。そして、香味カートリッジ１８Ａの香味ケース１８１は、底面１８１Ｂから上面１８１Ａに向かって、香味材料１８２の収容空間Ｓの横断面（直径）が徐々に縮小している。変形例１における香味カートリッジ１８Ａは、収容空間Ｓの横断面が大きい底面１８１Ｂ側がチャンバー２６に面するように、ハウジング１０の香味源保持部１９に装着する。

図１４は、変形例１に係る香味カートリッジ１８Ａを香味ディスペンサー装置１に装着した状態を示す図である。図１４に示すように香味カートリッジ１８Ａを装着することで、加熱ユニット１７のチャンバー２６で生成されたエアロゾルが香味カートリッジ１８Ａの収容空間Ｓを通気する際、エアロゾルの流路断面積が徐々に小さくなる。このように、香味カートリッジ１８Ａにおける香味ケース１８１内の流路断面積を徐々に絞ることで、香味ケース１８１の収容空間Ｓに収容される香味材料１８２から、より一層効率良く香りをエアロゾルに移すことができる。すなわち、香味カートリッジ１８Ａを通気するエアロゾルに対する香り付けをより一層促すことができる。なお、図１５に示す変形例２に係る香味カートリッジ１８Ｂのように、香味ケース１８１の外形および収容空間Ｓの形状が共に円錐台形状となっていても良く、変形例１に係る香味カートリッジ１８Ａと同様、通気するエアロゾルに対しての香り付けを効率良く行うことができる。

＜実施形態２＞
次に、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置１Ａを説明する。以下、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置１Ａにおいて、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置１と同一の構成については、同一の参照符号を付すことで詳しい説明を省略する。

図１６は、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置１Ａの外観図である。香味ディスペンサー装置１Ａは、上部ユニット５０およびベースユニット６０を有している。ベースユニット６０は、各種部品を収容するための据え置き型のベースハウジング４００を有している。香味ディスペンサー装置１Ａは、テーブル等に据え置くタイプのデバイスである点で、ハンディタイプの香味ディスペンサー装置１と相違するが、エアロゾルの生成および香り付けに関する基本的な機構は同一構造である。

本実施形態における香味ディスペンサー装置１Ａは、ベースユニット６０に対して上部ユニット５０が着脱自在となっている。図１７は、ベースユニット６０から上部ユニット５０を離脱させた状態を示している。図１６および図１７に示すように、上部ユニット５０は、エアロゾル吐出ユニット７０および筒状壁８０を含んで構成され、全体でカップ形状を有している。上部ユニット５０の内側には、香味源によって香り付けされた香り付きエアロゾルを貯留するための空間であるエアロゾル貯留部９０が形成されている。本明細書では便宜上、エアロゾル吐出ユニット７０のうち、エアロゾル貯留部９０に面する方を上面、反対側を下面と呼ぶ。

上部ユニット５０の筒状壁８０は、例えば透明の樹脂やガラス等で形成された筒状部材であり、エアロゾル貯留部９０を側方の外部空間と区画している。図１６および図１７に示す例では、エアロゾル吐出ユニット７０は平面視において円形状を有している。筒状壁８０は円筒形状を有し、エアロゾル吐出ユニット７０の外縁部から上方に向けて立設している。

図１７に示すように、エアロゾル吐出ユニット７０の下部側には、上部ユニット５０をベースユニット６０に着脱自在に接続するための上部ユニット側接続部７１が設けられている。一方、ベースユニット６０は、上部ユニット側接続部７１と着脱自在なベースユニット側接続部６１を有している。ベースユニット側接続部６１および上部ユニット側接続部７１は、例えば螺着およびその解除が可能であり、これによってベースユニット６０に対する上部ユニット５０の自由な着脱が実現されている。なお、本実施形態においては、上部ユニット５０におけるエアロゾル吐出ユニット７０およびベースハウジング４００によって、香味ディスペンサー装置１のハウジング１０Ａが構成されている。また、ベースユニット６０には、操作部１２、発光素子１３、給電口４１等が設けられている。操作部１２は、例えば、使用者によって操作される押しボタンであるが、これには限定されない。給電口４１には、給電ケーブルの端子を接続することができる。

図１８は、実施形態２における香味ディスペンサー装置１Ａの縦断面を示す図である。図１９および図２０は、ベースユニット６０（ベースハウジング４００）の内部構造を示す図である。図１９および図２０は、ベースユニット６０（ベースハウジング４００）の縦断面を、９０°異なる方向から眺めた状態を示している。ベースユニット６０のベースハウジング４００内には、底部側から第１収容空間Ｓ１、第２収容空間Ｓ２が形成されている。図１９に示すように、ベースユニット６０（ベースハウジング４００）の第１収容空間Ｓ１には、制御基板１４およびバッテリー２０が配置されている。バッテリー２０は、例えば、ベースユニット６０の給電口４１に接続された給電ケーブルから給電された電力を充電することができる。また、バッテリー２０は、例えば、無線給電システムから給電された電力を充電しても良い。

また、ベースユニット６０（ベースハウジング４００）の第２収容空間Ｓ２には、貯留部１５、送液ユニット１６Ａ、加熱ユニット１７Ａ、エアロゾル圧送ユニット２１Ａ等が収容されている。加熱ユニット１７Ａは、ヒーター２２、加熱用パイプ２３、チャンバー用スリーブ２５Ｄ等を含んでいる。チャンバー用スリーブ２５Ｄは、側壁２５１および底壁２５２を有する有底筒状部材であり、内側にチャンバー２６が形成されている。チャンバー用スリーブ２５Ｄの底壁２５２における中心部には、加熱用パイプ２３を挿通する挿通孔が形成されており、加熱用パイプ２３がチャンバー２６内に配置されるように、チャンバー用スリーブ２５Ｄに加熱用パイプ２３が固定されている。また、加熱用パイプ２３には、その外周を覆うようにヒーター２２が設けられている。

送液ユニット１６Ａは、実施形態１と同様、送液ホース２７（第１送液ホース２７Ａおよび第２送液ホース２７Ｂ）および送液ポンプ２８を有している。送液ユニット１６における第１送液ホース２７Ａは、貯留部１５と送液ポンプ２８を接続し、第２送液ホース２７Ｂは、送液ポンプ２８と加熱用パイプ２３を接続している。また、エアロゾル圧送ユニット２１Ａは、ダイアフラムポンプ２９、一対の空気圧送ホース３５を含む。ダイアフラムポンプ２９は、空気取り入れ口２９Ａ、および、一対の空気吐出口２９Ｂを有している。また、ハウジング１０Ａには、外部の空気（外気）を、ハウジング１０Ａの内部に取り入れるための通気孔１０３が設けられており、通気孔１０３を介してハウジング１０の内外が連通している。チャンバー用スリーブ２５Ｄの底壁２５２には、一対の空気圧送ホース３５を挿通する挿通孔が形成されており、一対の空気圧送ホース３５がチャンバー２６内を臨むように、チャンバー用スリーブ２５Ｄに各空気圧送ホース３５の端部が固定されている。

更に、ベースユニット６０におけるチャンバー用スリーブ２５Ｄの開口部２５３の上部には、香味カートリッジ１８Ｃを支持する香味源保持部６３が設けられている。図２１は、実施形態２における香味ディスペンサー装置１Ａに用いられる香味カートリッジ１８Ｃの一例を示す図である。香味カートリッジ１８Ｃは、固体の香味材料１８２を収容する香味ケース１８１の底面１８１Ｂと側面１８１Ｃにエアロゾルを通気させるための通気孔１８３が形成されている。すなわち、香味カートリッジ１８Ｃにおける香味ケース１８１は、エアロゾルを底面１８１Ｂから内部に取り込み、香味材料１８２によって香り付けをした後、エアロゾルを側面１８１Ｃから排出することができる。なお、香味カートリッジ１８Ｃにおける香味ケース１８１も、上述までの香味ケースと同様、透明又は半透明の材料によって形成されている。図１８には、香味源保持部６３によって香味ケース１８１の底面１８１Ｂが支持されるように、香味カートリッジ１８Ｃを香味源保持部６３に装着した状態を示している。また、香味源保持部６３への香味カートリッジ１８Ｃの装着は、図２２に示すように、香味カートリッジ１８Ｃをベースユニット６０の上部から降ろしてゆき、香味源保持部６３へ載置することで容易に行うことができる。

次に、香味ディスペンサー装置１Ａにおける上部ユニット５０の詳細について説明する。上部ユニット５０におけるエアロゾル吐出ユニット７０の中央部には、カートリッジ挿入孔７２が形成されている（図１７を参照）。エアロゾル吐出ユニット７０のカートリッジ挿入孔７２は、ベースユニット６０に上部ユニット５０を取り付ける際、ベースユニット６０の香味源保持部６３に装着された香味カートリッジ１８Ｃを挿入可能な貫通孔である。ベースユニット６０に上部ユニット５０を取り付ける際、カートリッジ挿入孔７２に受け入れられた香味カートリッジ１８Ｃは、図１８に示すように上部ユニット５０のエアロゾル貯留部９０内に臨んだ状態となる。

また、図１７および図１８に示すように、エアロゾル吐出ユニット７０の上面７３は、カートリッジ挿入孔７２の周囲がクレーター形状あるいはお碗形状に窪んだ凹面部７４が設けられている。また、エアロゾル吐出ユニット７０における凹面部７４の上部には、香味カートリッジ１８Ｃの側部上方を覆うためのガイド壁７５が横方向に延在している。図１７に示す例では、ガイド壁７５は円盤形状を有しており、エアロゾル吐出ユニット７０の凹面部７４から立設する支持片７６によって支持されている。また、ガイド壁７５の中央部には、ガイド壁７５を貫通する円形の開口窓７７が形成されている。これにより、図２３に示すように、ベースユニット６０の香味源保持部６３に装着された状態の香味カートリッジ１８Ｃを上方から視認できるようになっている。

また、ガイド壁７５の下面には、凹面部７４と対向するガイド面７５Ａが形成されている。なお、図１８に示すように、ガイド壁７５は、香味源保持部６３に装着された状態の香味カートリッジ１８Ｃにおける上面１８１Ａと干渉しないように、上面１８１Ａよりも僅かに高い位置にガイド面７５Ａが配置されるように設けられている。また、エアロゾル吐出ユニット７０の凹面部７４とガイド壁７５に挟まれた領域には、エアロゾルを流通させるためのエアロゾル通路７８が形成され、ガイド壁７５の外円縁７５Ｂの下方にエアロゾル吐出口７９が形成される。以上のように構成される香味ディスペンサー装置１Ａは、エアロゾル通路７８に香味カートリッジ１８Ｃが位置付けられている。また、エアロゾル吐出口７９は、ハウジング１０Ａの上部に配置されている。

次に、実施形態２に係る香味ディスペンサー装置１Ａの動作について説明する。香味ディスペンサー装置１Ａの操作部１２を介して使用者からの起動操作を受け付けると、制御基板１４のプロセッサは香味ディスペンサー装置１を起動させる。香味ディスペンサー装置１Ａにおいても、例えば、図９で説明したタイミングチャートに従って、制御基板１４のプロセッサが、送液ユニット１６Ａ、加熱ユニット１７Ａ、エアロゾル圧送ユニット２１Ａ等を制御する。

すなわち、制御基板１４のプロセッサは、加熱ユニット１７Ａのヒーター２２を作動させて、加熱用パイプ２３の予備加熱を行う。ヒーター２２による加熱用パイプ２３の予備加熱の完了後、制御基板１４のプロセッサは、ヒーター２２の加熱制御を継続して行いつつ、送液ユニット１６Ａによるエアロゾル生成液の送液制御、およびエアロゾル圧送ユニット２１Ａによる空気圧送制御を行う。送液ユニット１６Ａの送液ポンプ２８が作動すると、貯留部１５に貯留されているエアロゾル生成液が送液ホース２７（第１送液ホース２７Ａおよび第２送液ホース２７Ｂ）を通じて加熱ユニット１７Ａの加熱用パイプ２３に送液される。加熱用パイプ２３に送液されたエアロゾル生成液は、高温の加熱用パイプ２３によって加熱されることで霧化し、加熱用パイプ２３内で霧化したエアロゾル生成液は、加熱用パイプ２３の先端開口２３Ａからチャンバー２６内に流入する。

また、エアロゾル圧送ユニット２１Ａのダイアフラムポンプ２９が作動することで、通気孔１０３からベースハウジング４００内に導入された空気がダイアフラムポンプ２９の空気取り入れ口２９Ａからダイアフラムポンプ２９内に取り込まれ、一対の空気吐出口２９Ｂから吐出される。その結果、一対の空気圧送ホース３５を通じてチャンバー２６内に空気が圧送される。その結果、チャンバー２６内においてエアロゾルが生成されると共に、そのエアロゾルがチャンバー２６から香味カートリッジ１８Ｃに向かって押し出される。チャンバー２６から香味カートリッジ１８Ｃに向かって加圧圧送されたエアロゾルは、香味カートリッジ１８Ｃ（香味ケース１８１）の底面１８１Ｂから内部に取り込み、側面１８１Ｃから排出される。このように、エアロゾルが香味カートリッジ１８Ｃを通気する過程で、香味ケース１８１内に収容されている香味材料１８２によってエアロゾルが香り付けされる。そして、香味カートリッジ１８Ｃを通気した後の香り付きエアロゾルは、エアロゾル通路７８を通過し、エアロゾル通路７８の先端に位置付けられているエアロゾル吐出口７９からエアロゾル貯留部９０に噴射（吐出）される。

本実施形態における香味ディスペンサー装置１Ａは、エアロゾル貯留部９０の側方を上部ユニット５０の筒状壁８０を備えているため、エアロゾル吐出口７９から噴射（吐出）された香り付きエアロゾルを、エアロゾル貯留部９０に長時間に亘って留めておくことができる。例えば、香味ディスペンサー装置１Ａは、家庭で個人が使用しても良い。例えば、食事の際などに香味ディスペンサー装置１Ａを食卓上に据え置き、香味ディスペンサー装置１を使用することで、エアロゾル貯留部９０内に滞留する香り付きエアロゾルを目で見て、匂いを嗅いで楽しむことができる。また、エアロゾル貯留部９０内に予め食品を入れた状態で香味ディスペンサー装置１Ａを作動させ、エアロゾル貯留部９０内の食品を香り付きエアロゾルによって香り付けするようにしても良い。

なお、本実施形態おける香味ディスペンサー装置１Ａによれば、エアロゾル貯留部９０の底部にガイド壁７５を側方（筒状壁８０）に向かって延在させ、当該ガイド壁７５によって香味カートリッジ１８Ｃの側部上方を覆うようにしたので、エアロゾル吐出口７９から香り付きエアロゾルを側方（筒状壁８０）に向かって噴射（吐出）することができる。これにより、香り付きエアロゾルが筒状壁８０の上部開放端からエアロゾル貯留部９０の外部に流出しにくくなり、香り付きエアロゾルをより一層長時間に亘ってエアロゾル貯留部９０内に滞留させることができる。

＜実施形態３＞
次に、実施形態３に係る香味ディスペンサー装置１Ｂを説明する。実施形態３に係る香味ディスペンサー装置１Ｂは、チャンバー２６の形状と、チャンバー２６に対する空気圧送ホース３５の接続態様が実施形態１に係る香味ディスペンサー装置１と相違する点を除いて、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置１と実質的に同一構造である。以下、実施形態３に係る香味ディスペンサー装置１Ｂと実施形態１に係る香味ディスペンサー装置１との相違点を中心に説明し、実施形態１に係る香味ディスペンサー装置１と同一の構成については同一の参照符号を付すことで詳しい説明を省略する。

図２４および図２５は、実施形態３に係る香味ディスペンサー装置１Ｂの貯留部１５、送液ユニット１６、加熱ユニット１７、エアロゾル圧送ユニット２１の詳細を説明する図である。図２４および図２５は、香味ディスペンサー装置１Ｂにおいて互いに直交する縦断面に沿った内部構造の一部を示している。

実施形態３に係る香味ディスペンサー装置１Ｂにおけるチャンバー用スリーブ２５は、小径部２５Ｂから上方に延設された第１筒壁部２５０Ａと、第１筒壁部２５０Ａよりも大きな直径を有すると共に第１筒壁部２５０Ａの上方に連設された第２筒壁部２５０Ｂと、第１筒壁部２５０Ａの上端部と第２筒壁部２５０Ｂの下端部を接続する接続壁部２５０Ｃを含む。本実施形態における小径部２５Ｂは、実施形態１の小径部２５Ｂと同一構成であり、その内側にヒーターホルダー２４を保持している。本実施形態において、第１筒壁部２５０Ａおよび第２筒壁部２５０Ｂは共に同軸の円筒スリーブ部材であり、第１筒壁部２５０Ａおよび第２筒壁部２５０Ｂの内側にチャンバー２６が形成される。図２４および図２５に示す例では、第１筒壁部２５０Ａが小径部２５Ｂと同一径として形成されている。但し、第１筒壁部２５０Ａの直径は、小径部２５Ｂの直径よりも大きくても良い。

図２４および図２５に示す例では、第１筒壁部２５０Ａと第２筒壁部２５０Ｂの境界部に形成された接続壁部２５０Ｃは、第１筒壁部２５０Ａおよび第２筒壁部２５０Ｂの軸方向と直交する方向に延在しているが、当該軸方向に対して傾斜していても良い。本実施形態におけるチャンバー２６は、第１筒壁部２５０Ａの内側に形成される第１チャンバー部２６Ａと、第２筒壁部２５０Ｂの内側に形成される第２チャンバー部２６Ｂを含んで構成されている。図２４および図２５から明らかなように、第２チャンバー部２６Ｂは第１チャンバー部２６Ａよりも横断面が大きい。より詳しくは、第１チャンバー部２６Ａおよび第２チャンバー部２６Ｂは同軸の円柱状形状を有する空洞部として形成されており、第１チャンバー部２６Ａと比較して第２チャンバー部２６Ｂは直径が大きい。また、第２チャンバー部２６Ｂは第１チャンバー部２６Ａの上方に配置されると共に、香味カートリッジ１８を保持する香味源保持部１９に面して配置されている。

また、図２５に示すように、第１筒壁部２５０Ａに接続口２５０が設けられており、接続口２５０に空気圧送ホース３５が接続されている。言い換えると、空気圧送ホース３５の一端は、第１筒壁部２５０Ａの接続口２５０を通じて第１チャンバー部２６Ａに連通している。また、図２５に示すように、空気圧送ホース３５は、第１筒壁部２５０Ａにおける接続口２５０に対して横方向から接続されている点で、空気圧送ホース３５をチャンバー２６に対して下方から接続していた実施形態１に係る香味ディスペンサー装置１と接続態様が相違している。

上記のように構成される香味ディスペンサー装置１Ｂは、ダイアフラムポンプ２９を作動させた際に、空気圧送ホース３５を流通する空気が、第１チャンバー部２６Ａに対しての横方向（側方）から第１チャンバー部２６Ａの径方向中心側に向かって流入する構成となっている。一方、図２４および図２５に示すように、加熱ユニット１７における加熱用パイプ２３は、第１チャンバー部２６Ａの軸方向に沿って延設されており、先端開口２３Ａが第１チャンバー部２６Ａの底面中央において第１チャンバー部２６Ａ内を臨むように配置されている。従って、送液ユニット１６および加熱ユニット１７の作動時において、送液ホース２７を通じてエアロゾル生成液が加熱ユニット１７の加熱用パイプ２３に送液され、ヒーター２２によって加熱用パイプ２３内のエアロゾル生成液が加熱されることで形成されたエアロゾル生成液の蒸気は、加熱用パイプ２３の先端開口２３Ａを通じて第１チャンバー２６Ａ内に下方（底部）から第１チャンバー２６Ａの軸方向上方に向かって吐出される。

以上のように、香味ディスペンサー装置１Ｂにおいては、加熱ユニット１７における加熱用パイプ２３から第１チャンバー部２６Ａ内に吐出されるエアロゾル生成液の蒸気の吐出方向と、エアロゾル圧送ユニット２１における空気圧送ホース３５を通じて第１チャンバー部２６Ａ内に圧送される空気の流入方向とが直交するように設定されている。そのため、第１チャンバー部２６Ａ内において、加熱用パイプ２３から導入される蒸気化（霧化）したエアロゾル生成液と、空気圧送ホース３５から圧送される空気の混合がより一層促進され、第１チャンバー部２６Ａ内で生成されるエアロゾルの濃度を高め、且つ均一にすることができる。

更に、本実施形態におけるチャンバー２６は、小径の第１チャンバー部２６Ａの上方に、香味カートリッジ１８を保持する香味源保持部１９に面する大径の第２チャンバー部２６Ｂを積層した構造となっている。そのため、加熱用パイプ２３からの蒸気化（霧化）したエアロゾル生成液と空気圧送ホース３５からの空気が第１チャンバー部２６Ａにおいて混合されることで生成されたエアロゾルは、小径の第１チャンバー部２６Ａから大径の第２チャンバー部２６Ｂに順次押し出された後、香味源保持部１９に保持されている香味カートリッジ１８を通気することによって香り付けされる。なお、ここでいうエアロゾルの押し出しとは、第１チャンバー部２６Ａ内に充満したエアロゾルが、第１チャンバー部２６Ａに連通する第２チャンバー部２６Ｂに成り行きで押し出される態様を意味している。

本実施形態に係る香味ディスペンサー装置１Ｂによれば、直径の大きな第２チャンバー部２６Ｂに対して蒸気化したエアロゾル生成液と空気を直接導入するのではなく、直径（容積）の小さな第１チャンバー部２６Ａにおいて蒸気化したエアロゾル生成液と空気を予め混合しておく。このように、直径（容積）の小さな第１チャンバー部２６Ａにおいて蒸気化したエアロゾル生成液と空気を予混合した後、これによって生成されたエアロゾルを直径（容積）の大きな第２チャンバー部２６Ｂに導入することで、濃度が均一で且つ高濃度のエアロゾルを生成することができる。

以上、本発明に係る香味ディスペンサー装置の実施形態を説明したが、本発明に係る香味ディスペンサー装置は上記実施形態に限られず、種々の変形を加えることができる。また、上述した各実施形態および変形例は適宜組み合わせることができる。

１・・・香味ディスペンサー装置
１０・・・ハウジング
１１・・・発音部品
１２・・・操作部
１３・・・発光素子
１４・・・制御基板
１５・・・貯留部
１６・・・送液ユニット
１７・・・加熱ユニット
１８・・・香味カートリッジ
１９・・・香味源保持部
２０・・・バッテリー
２１・・・エアロゾル圧送ユニット
２２・・・ヒーター
２３・・・加熱用パイプ
２６・・・チャンバー
２８・・・送液ポンプ
２９・・・ダイアフラムポンプ
３０・・・分注ノズル
３１・・・エアロゾル吐出口
３５・・・空気圧送ホース
４０・・・クレードル

Claims (11)

1. エアロゾル生成液を貯留する貯留部と、
   前記エアロゾル生成液を加熱するヒーターを有し、前記エアロゾル生成液を霧化させることによりエアロゾルを発生させる加熱ユニットと、
   前記貯留部に貯留されている前記エアロゾル生成液を前記加熱ユニットに送液する送液ユニットと、
   前記加熱ユニットにおいて発生したエアロゾルを流通させる流路であって、先端側にエアロゾルを外部に吐出するためのエアロゾル吐出口を有するエアロゾル流路と、
   前記エアロゾル流路の途中に設けられ、当該エアロゾル流路を流通するエアロゾルを通気可能に、香味源を保持する香味源保持部と、
   前記加熱ユニットにおいて発生したエアロゾルを、前記エアロゾル流路を通じて前記香味源保持部に向けて輸送し、エアロゾルに前記香味源保持部における香味源を通気させると共に当該香味源によって香り付けされたエアロゾルを前記エアロゾル吐出口から吐出させる、エアロゾル圧送ユニットと、
   を備える、
   香味ディスペンサー装置。
2. 前記エアロゾル圧送ユニットは、前記加熱ユニットにおいて発生したエアロゾルを、前記エアロゾル流路を通じて前記香味源保持部に向けて空気圧送するポンプ又はボンベを含む、請求項１に記載の香味ディスペンサー装置。
3. 前記エアロゾル生成液は、蒸気圧が６．０kPa（２０℃）以下である、請求項１又は２に記載の香味ディスペンサー装置。
4. 前記香味源は、固体の香味材料を含む、請求項１から３の何れか一項に記載の香味ディスペンサー装置。
5. 前記香味源は、内部に固体の香味材料を収容すると共にエアロゾルを通気可能な香味ケースを含み、且つ、前記香味源保持部に対して着脱自在に装着されるカートリッジである、請求項４に記載の香味ディスペンサー装置。
6. 前記香味ケースは、透明又は半透明材料によって形成されている、請求項５に記載の香味ディスペンサー装置。
7. 前記香味ケースは、少なくとも一部がメッシュ構造又は有孔構造となっている、請求項５又は６に記載の香味ディスペンサー装置。
8. 前記香味源は、外部から視認可能な態様で前記香味源保持部に装着される、請求項５から７の何れか一項に記載の香味ディスペンサー装置。
9. 前記香味ディスペンサー装置は、ハンディ型のハウジングを有すると共に、前記香味源によって香り付けされたエアロゾルを食器に分注するための分注ノズルを更に有し、
   前記分注ノズルの先端に前記エアロゾル吐出口が形成されている、
   請求項１から８の何れか一項に記載の香味ディスペンサー装置。
10. 前記香味源は、内部に固体の香味材料を収容すると共にエアロゾルを通気可能な香味ケースを含み、且つ、前記香味源保持部に対して着脱自在に装着されるカートリッジであり、
    前記ハウジングには、前記香味源保持部に装着された前記香味源を外部から視認可能な透明窓が設けられている、
    請求項９に記載の香味ディスペンサー装置。
11. 前記香味ディスペンサー装置は、上部に前記エアロゾル吐出口が設けられた据え置き型のハウジングを有し、
    前記ハウジングの上部に、前記エアロゾル吐出口から吐出されたエアロゾルを貯留するためのエアロゾル貯留部を当該エアロゾル貯留部の側方外部空間と区画するための筒状壁が立設されている、
    請求項１から８の何れか一項に記載の香味ディスペンサー装置。

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