JP7452414B2 - 打込み工具 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮空気等の流体で駆動される打込み工具に関する。
圧縮空気等の流体を動力源として打込機構で打込ピストンを作動させ、打込ピストンに結合したドライバを駆動してノーズに供給された釘等のファスナーを打ち込むようにした釘打機と称す打込み工具が知られている。このような釘打機では、ハンドルに設けられたトリガを引く一の操作と、ノーズの先端に突出させて往復移動可能に設けられたコンタクトアームを被打込材へ押し付ける他の操作の2つの部材の操作により打込機構を作動させて、釘を打ち込むように構成されている。
以下の説明で、一の操作でトリガが引かれた状態をトリガのON、一の操作が解除されてトリガが引かれていない状態をトリガのOFFと称す。また、他の操作でコンタクトアームが押し付けられた状態をコンタクトアームのON、他の操作が解除されてコンタクトアームが押し付けられていない状態をコンタクトアームのOFFと称す。
釘打機では、例えば、コンタクトアームをONとした後、コンタクトアームをONとした状態でトリガをONとすることで打込機構が作動し、釘の打ち込みが行われる。
釘の打ち込み後、トリガ及びコンタクトアームをOFFにし、上述したようにトリガ及びコンタクトアームを再びONとすることで打込機構が作動し、次の釘の打ち込みが行われる。このように、釘の打込み毎に、トリガ及びコンタクトアームをOFFにした後、トリガ及びコンタクトアームをONにすると、次の釘の打ち込みが行われる動作を単発打ちモードと称す。
これに対し、釘の打ち込み後、トリガをONの状態としたままコンタクトアームをOFFにし、トリガをONの状態としたままコンタクトアームを再びONとすることで打込機構が作動し、次の釘の打ち込みが行われるようにした技術も提案されている。このように、トリガをONの状態としたままコンタクトアームのONとOFFを繰り返すことで、連続的な釘の打ち込みが行われる動作を連続打ちモードと称す。
連続打ちモードでは、釘の打ち込み後、トリガを引いたままでコンタクトアームを被打込材へ押し付ける毎に連続的に釘の打込みが行えるので、素早い作業に向いている。一方、単発打ちモードでは、釘の打ち込み後、トリガ及びコンタクトアームの操作を解除し、再びコンタクトアームを被打込材へ押し付けてからトリガを引く操作をすることで次の釘の打ち込みが行われるので、不用意な動作を規制する効果はあるが、素早い作業には不向きである。そこで、コンタクトアームを被打込材に押し付け、次にトリガを引く操作をすることで1回目の釘の打ち込みを行った後、一定時間はトリガの操作を解除することなく、コンタクトアームを被打込材へ押し付ける動作のみで釘の連続打ち動作を可能とした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
日本国特開2016-179526号公報
トリガの操作を解除することなく、コンタクトアームを被打込材へ押し付ける動作のみで釘等の連続打ちを行えるようにした構成では、一定時間連続打ち動作を可能とする制御を、電気的なタイマを使用して行うことで、計時を安定して行うことができる。しかし、圧縮空気で駆動される釘打機は、電気の供給源を備えていない。このため、電気的なタイマを使用するためには、電源及び回路が必要となる。
また、トリガに機械的な計時機構を組み込む構成も考えられる。しかし、限られたスペースで機械的な計時機構を組み込む必要があり、計時を安定して行うことが困難である。計時を安定して行うことができないと、連続打ち動作が可能となる時間が一定せず、操作感が悪化する。
機械的な計時機構としては、オイルダンパの応用が考えられる。オイルダンパは、オイルの抵抗によりピストンの移動に負荷を与える構成で、バネの力でピストンを移動させる構成であれば、バネの力によるピストンの移動速度を減速して一定に保つことで、移動に要する時間を計時に利用することができる。
計時機構としてオイルダンパを用いた構成で、コンタクトアームが被打込材に押し付けられる動作をオイルダンパに伝達し、オイルダンパを作動させる構成とすると、オイルの粘性が負荷となり、コンタクトアームの操作荷重が増加する。また、連続打ち動作を行う場合、コンタクトアームを被打込材に押し付ける1回目の動作では、オイルダンパを作動させるため操作荷重が増加する。一方、コンタクトアームを被打込材に押し付ける2回目以降の動作では、オイルダンパの作動量が少なくなるため操作荷重が軽くなる。このような操作荷重の変動は、操作性の悪化につながる。オイル以外の摩擦等による抵抗で負荷を与える場合でも同様である。
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、連続打ち動作の実行の有無の切り替えを、操作荷重を増加させることなく機械的な構成で安定して行えるようにした打込み工具を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、ノーズ部に供給されたファスナーを、流体で駆動される打込機構によって打込む打込み工具であって、一の操作を受けるトリガと、被打込材に押し付けられる他の操作を受けて移動するコンタクトアームと、一の操作を受けたトリガの動作及び他の操作を受けたコンタクトアームの動作で作動可能に設けられるコンタクトレバーと、打込機構の連続打ち動作の実行の有無を切り替える時間の計時を行う計時機構を備え、計時機構は、流体が供給されて打込機構が作動すると、打込機構を作動させるために供給された流体によって、移動部材を初期位置から計時を開始する計時開始位置へ移動させると共に、流体の供給が停止すると、計時開始位置から初期位置へ移動部材が移動する際に抵抗による負荷を与えることで、移動部材の移動を制御して計時を行い、打込機構は、計時開始位置から初期位置へ移動部材が移動する間、コンタクトレバーがコンタクトアームの移動軌跡上に位置し、トリガが一の操作を受けている間に、他の操作を受けたコンタクトアームの動作で連続打ち動作が可能となり、初期位置まで移動部材が移動することで、コンタクトアームの移動軌跡上からコンタクトレバーが退避して、トリガが一の操作を受けている間の連続打ち動作が規制される打込み工具である。
本発明では、流体が供給されて打込機構が作動すると、打込機構を作動させる流体が計時機構に供給され、移動部材が計時開始位置に移動して、打込機構の作動の有無を切り替える時間の計時が開始する。打込機構の作動を停止させる時間が経過した後は、所定の操作を行うことで、打込機構を作動させることが可能となる。
本発明では、機械的な計時機構を作動させるために操作荷重が増加することなく、機械的な計時機構で安定した計時が可能となり、打込機構の作動の有無を、所定のタイミングで切り替えることができる。
第1の実施の形態の釘打機の一例を示す要部構成図である。 第1の実施の形態の釘打機の一例を示す全体構成図である。 第1の実施の形態の釘打機の動作の一例を示す説明図である。 第1の実施の形態の釘打機の動作の一例を示す説明図である。 第1の実施の形態の釘打機の動作の一例を示す説明図である。 第1の実施の形態の釘打機の動作の一例を示す説明図である。 第1の実施の形態の釘打機の動作の一例を示す説明図である。 第1の実施の形態の釘打機の動作の一例を示す説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の打込み工具の一例である釘打機の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態の釘打機の構成例>
図1は、第1の実施の形態の釘打機の一例を示す要部構成図、図2は、第1の実施の形態の釘打機の一例を示す全体構成図である。
第1の実施の形態の釘打機1Aは、動力源である流体としての圧縮空気で作動して打撃動作を行う打込シリンダ2と、図示しない外部のエアコンプレッサから供給された圧縮空気が貯留されるエアチャンバ3を備える。釘打機1Aは、一の方向に延伸する形状のハウジング10の内部に打込シリンダ2が設けられ、ハウジング10から他の方向に延伸するハンドル11の内部にエアチャンバ3が設けられる。また、釘打機1Aは、ハウジング10の内部で打込シリンダ2の下部の周囲に、ブローバックチャンバ31が設けられる。
打込シリンダ2は打込機構の一例で、図示しない釘等を打ち出すドライバ20と、ドライバ20が設けられた打込ピストン21を備え、打込ピストン21が摺動可能に設けられる。打込シリンダ2は、打込ピストン21が圧縮空気で押圧されることで打込ピストン21が移動し、ドライバ20を駆動する。
エアチャンバ3は、ハンドル11の端部に設けたエアプラグ30を介して、エアコンプレッサ等の圧縮空気源から圧縮空気が供給される。ブローバックチャンバ31は、打込動作後の打込ピストン21を初期位置にリターン駆動させるため、圧縮空気が供給される。ブローバックチャンバ31は、流入排出口31aを介して打込シリンダ2とつながる。流入排出口31aは、空気が流れる方向を1方向に規制する逆止弁31bを備える。逆止弁31bは、打込シリンダ2からブローバックチャンバ31へは空気を流し、ブローバックチャンバ31から打込シリンダ2への空気の逆流は規制する。
釘打機1Aは、ハウジング10の一方の端部に、ドライバ20が入るノーズ12を備えると共に、ノーズ12に図示しない釘を供給するマガジン13を備える。ノーズ12は、ドライバ20の移動方向に沿って延伸する。なお、釘打機1Aの使用形態を考慮して、ノーズ12を備える側を下方向とする。
釘打機1Aは、エアチャンバ3内の圧縮空気の流入・流出を規制して打込ピストン21を往復移動させるメインバルブ4と、メインバルブ4を作動させる起動バルブ5を備える。メインバルブ4は、エアチャンバ3から打込シリンダ2内への圧縮空気の流入、打込シリンダ2内から外部への圧縮空気の排出を切り替えることで、打込ピストン21を往復移動させる。起動バルブ5は、往復移動可能に設けられるバルブステム50を備え、バルブステム50が所定量移動することで流路40を開き、メインバルブ4を作動させる。
釘打機1Aは、起動バルブ5を作動させる一の操作を受けるトリガ6と、釘が打たれる被打込材に押し付けられる他の操作を受けて移動するコンタクトアーム8と、一の操作を受けたトリガ6の動作及び他の操作を受けたコンタクトアーム8の動作で作動可能に設けられ、起動バルブ5の作動の有無を切り替えるコンタクトレバー7を備える。また、釘打機1Aは、コンタクトレバー7の移動、移動速度または移動量を所定の時間の間規制して、コンタクトアーム8によるコンタクトレバー7の作動の有無を、本例では、コンタクトレバー7とコンタクトアーム8との係止の有無で切り替える規制部9を備える。
トリガ6は、ノーズ12が設けられる側であるハンドル11の一の側に設けられる。トリガ6は、ハウジング10に近い側である一方の端部側が軸60により回転可能に支持される。また、トリガ6は、軸60で支持される側と反対側、すなわち、ハウジング10から遠い側である他方の端部側が、軸60を支点とした回転動作で、ノーズ12が備えられている側に移動する方向にバネ61で付勢される。
トリガ6は、軸60を支点とした回転動作による移動範囲が、本例では、ハウジング10及びハンドル11に形成された突き当て部にトリガ6が突き当たることで規制される。
コンタクトレバー7は、一方の端部にコンタクトアーム8が係止可能な係止部70を備え、他方の端部が軸71によりトリガ6に回転可能に支持される。また、係止部70と軸71の間に、起動バルブ5のバルブステム50を押圧可能な押圧部72を備える。更に、コンタクトレバー7は、軸71で支持される側と反対側、すなわち、係止部70が備えられる一方の端部側が、軸71を支点とした回転動作で、ノーズ12が備えられている側に移動する方向に、捩じりコイルばね等のバネ73で付勢される。
コンタクトアーム8は、ノーズ12の延伸方向に沿って移動可能に設けられ、ノーズ12の先端側に、被打込材に突き当てられる突き当て部80を備える。また、コンタクトアーム8は、コンタクトレバー7を作動させる押圧部81を備える。コンタクトアーム8は、バネ83でノーズ12の先端側から突出する方向に付勢される。
トリガ6は、操作が解除された状態では、バネ61に付勢されて、軸60を支点とした回転動作で初期位置に移動する。トリガ6は、引く操作により、軸60を支点とした回転動作で、初期位置から、コンタクトレバー7で起動バルブ5を作動させることが可能な操作位置まで移動する。
コンタクトレバー7は、コンタクトアーム8に押されることで、軸71を支点とした回転動作で、初期位置からトリガ6の位置に応じて打込シリンダ2を作動させることが可能な位置、本例では、バルブステム50を押して起動バルブ5を作動させることが可能な作動可能位置まで移動する。
コンタクトアーム8は、被打込材に突き当て部80が突き当てられて押されることで、初期位置から、押圧部81でコンタクトレバー7を作動させる作動位置まで移動する。
コンタクトアーム8は、初期位置から作動位置に移動する動作で、押圧部81がコンタクトレバー7の係止部70と係止すると、コンタクトアーム8の動作でコンタクトレバー7を作動させ、コンタクトレバー7を初期位置から作動可能位置に移動させる。また、コンタクトアーム8は、トリガ6の位置及びコンタクトレバー7の位置に応じて、コンタクトレバー7の係止部70とコンタクトアーム8の押圧部81の係止の有無が切り替えられる。
すなわち、コンタクトレバー7は、トリガ6が操作されると、軸60を支点としたトリガ6の回転動作で、トリガ6と共に移動する。これにより、コンタクトレバー7の初期位置及び作動可能位置は、トリガ6の位置に応じて変化する相対的な位置であり、コンタクトレバー7の係止部70及び押圧部72の位置は、トリガ6が初期位置にあるか操作位置にあるかに応じて変化する。
トリガ6及びコンタクトレバー7が初期位置に移動した状態では、コンタクトレバー7の押圧部72が起動バルブ5のバルブステム50に接しない。また、コンタクトレバー7が初期位置に移動した状態では、トリガ6が操作位置に移動しても、コンタクトレバー7の押圧部72が起動バルブ5のバルブステム50に接しない。
これに対し、トリガ6が初期位置に移動している状態で、コンタクトアーム8が作動位置に移動すると、コンタクトアーム8の押圧部81がコンタクトレバー7の係止部70と係止し、コンタクトレバー7が作動可能位置に移動する。これにより、トリガ6が操作位置に移動すると、コンタクトレバー7の押圧部72が起動バルブ5のバルブステム50を押し、コンタクトレバー7で起動バルブ5を作動させることが可能となる。
一方、コンタクトアーム8が初期位置に移動している状態で、トリガ6が操作位置に移動すると、コンタクトアーム8が移動しても、押圧部81がコンタクトレバー7の係止部70と係止できず、トリガ6が操作位置に移動しても、コンタクトレバー7の押圧部72が起動バルブ5のバルブステム50を押すことができない。
これにより、トリガ6を先に操作し、次にコンタクトアーム8を操作しても、起動バルブ5を作動させることができず、コンタクトアーム8を被打込材に押し付ける操作による連続打ちができない構成としていた。本実施の形態では、規制部9を備えることで、コンタクトアーム8を先に操作し、次にトリガ6を操作すると、所定時間、コンタクトアーム8の操作の有無で、連続打ちを可能としている。
規制部9は、コンタクトレバー7の位置を、コンタクトアーム8で作動させることが可能な作動待機位置に規制する規制部材90を備える。また、規制部9は、コンタクトレバー7が作動待機位置にある状態を所定時間保持するオイルダンパ91を備える。
コンタクトレバー7の作動待機位置は、コンタクトレバー7がコンタクトアーム8と係止可能な位置または範囲であり、この位置または範囲にコンタクトレバー7がある間は、コンタクトアーム8でコンタクトレバー7を作動させることが可能である。以下の説明では、作動待機位置を係止可能位置と称す。
規制部材90は、コンタクトアーム8の移動方向に沿って移動可能に設けられ、移動方向に沿った一方の端部に、コンタクトレバー7を押圧する押圧部90aを備える。規制部材90は、押圧部90aがコンタクトアーム8の押圧部81と隣接して設けられる。また、規制部材90は、オイルダンパ91と係止可能な被係止部90bを備える。
規制部材90は、バネ90cにより押圧部90aがコンタクトレバー7に近づく方向に付勢される。
そして、規制部材90は、押圧部90aがコンタクトレバー7と接しない初期位置から、コンタクトレバー7の位置を、コンタクトレバー7とコンタクトアーム8が係止可能な係止可能位置に規制する復帰規制位置まで移動する。規制部材90の復帰規制位置は、規制部材90がバネ90cで押されて移動する動作で、コンタクトアーム8が初期位置に移動した状態での押圧部81より押圧部90aが突出し、押圧部90aがコンタクトレバー7の係止部70と接することが可能とした位置である。
オイルダンパ91は計時機構の一例で、オイルの粘性等による抵抗で移動速度が制御される図示しないピストンにピストン軸部91aが連結される。オイルダンパ91は、規制部材90を移動させる移動部材92を備え、移動部材92の移動、移動速度または移動量を制御する。オイルダンパ91は、本例では、移動部材92の移動速度を制御する。移動部材92は、規制部材90の移動方向に沿って移動可能に設けられ、ピストン軸部91aと連結される被押圧部92aと、規制部材90の被係止部90bに係止する係止部92bを備える。
オイルダンパ91は、規制部材90を初期位置に移動させる初期位置から、コンタクトアーム8の操作が解除されて係止可能位置に移動したコンタクトレバー7の移動を規制する時間、本例では、復帰規制位置に移動した規制部材90を初期位置に移動させるまでの時間の計時を開始する計時開始位置まで、移動部材92を移動させる。
規制部材90は、移動部材92の移動による係止部92bの移動経路に被係止部90bが設けられる。オイルダンパ91は、移動部材92が初期位置から計時開始位置まで移動する動作で、移動部材92の係止部92bと規制部材90の被係止部90bの係止が解除される。これにより、規制部材90がバネ90cで押されて、初期位置から復帰規制位置まで移動する。
また、オイルダンパ91は、移動部材92が計時開始位置から初期位置まで移動する動作で、移動部材92の係止部92bと規制部材90の被係止部90bが係止される。これにより、規制部材90が復帰規制位置から初期位置まで移動する。
オイルダンパ91は、釘打機1Aの動力源である圧縮空気で作動する。このため、圧縮空気で作動するエアシリンダ93を備える。エアシリンダ93は、圧縮空気で押圧されて移動するエアピストン93aと、エアピストン93aに連結されたピストン軸部93bを備える。エアシリンダ93は、ピストン軸部93bが移動部材92の被押圧部92aに連結される。
エアシリンダ93は、本例ではブローバックチャンバ31から圧縮空気が供給される。このため、ブローバックチャンバ31とエアシリンダ93の間に、ブローバックチャンバ31の排出口31cと連結された作動空気流路93cを備える。後述する打ち込み動作でブローバックチャンバ31に圧縮空気が供給されると、圧縮空気の一部が排出口31cから作動空気流路93cを通りエアシリンダ93に供給される。これにより、エアピストン93aが押圧され、ピストン軸部93bを介してオイルダンパ91及び移動部材92が作動する。
これにより、移動部材92が計時開始位置から初期位置まで移動する時間が制御され、規制部材90が復帰規制位置から初期位置に移動する時間が制御される。従って、コンタクトアーム8が初期位置へ移動する動作で係止可能位置に移動したコンタクトレバー7は、初期位置に戻るまでの時間が、規制部材90及び移動部材92の動作で制御される。
<第1の実施の形態の釘打機の動作例>
図3~図8は、第1の実施の形態の釘打機の動作の一例を示す説明図であり、以下に、各図を参照して、第1の実施の形態の釘打機1Aの動作について説明する。
初期状態では、図1に示すように、トリガ6が引かれておらず、初期位置にあり、また、コンタクトアーム8が被打込材に押しけられておらず、初期位置にある。このため、コンタクトレバー7、規制部材90及び移動部材92もそれぞれ初期位置にある。
トリガ6が初期位置、コンタクトレバー7が初期位置にある初期状態では、コンタクトレバー7の係止部70が、コンタクトアーム8の押圧部81の移動経路に位置する。
図1に示す初期状態から、コンタクトアーム8が被打込材に押し付けられて、当該コンタクトアーム8が初期位置から作動位置に移動すると、図3に示すように、コンタクトアーム8の押圧部81が、コンタクトレバー7の係止部70を押す。これにより、コンタクトレバー7が、軸71を支点とした回転動作で、初期位置から起動バルブ5のバルブステム50を押して起動バルブ5を作動させることが可能な作動可能位置に移動する。なお、コンタクトレバー7が作動可能位置に移動しても、トリガ6が操作位置に移動しなければ、コンタクトレバー7でバルブステム50は押されない。
初期状態からコンタクトアーム8が被打込材に押し付けられて作動位置に移動した後、トリガ6が引かれて、当該トリガ6が初期位置から操作位置に移動すると、図4に示すように、作動可能位置にあるコンタクトレバー7の押圧部72が起動バルブ5のバルブステム50を押す。これにより、メインバルブ4が制御されて打込シリンダ2が圧縮空気で作動して、打込ピストン21が図示しないファスナー、本例では釘を打ち出す方向に移動し、ドライバ20で図示しない釘の打ち込み動作が行われる。また、打込シリンダ2内の空気の一部が、流入排出口31aからブローバックチャンバ31に供給される。打ち込み動作後、ブローバックチャンバ31から打込シリンダ2に圧縮空気が供給され、ドライバ20を復帰させる方向に打込ピストン21が移動する。
更に、ブローバックチャンバ31に供給される圧縮空気の一部は、作動空気流路93cを通りエアシリンダ93に供給される。これにより、エアピストン93aが押圧され、ピストン軸部93bを介してオイルダンパ91及び移動部材92が作動し、移動部材92が初期位置から計時開始位置に移動する。また、移動部材92が計時開始位置に移動すると、移動部材92の係止部92bと規制部材90の被係止部90bの係止が解除され、規制部材90がバネ90cで押されて、初期位置から復帰規制位置まで移動する。
打ち込み動作後、トリガ6を引いた状態で操作位置としたまま、コンタクトアーム8を押し付ける力が解除されることで、図5に示すように、コンタクトアーム8がバネ83の力で作動位置から初期位置に移動する。
コンタクトアーム8が初期位置に移動すると、押圧部81によるコンタクトレバー7の押圧が解除され、コンタクトレバー7が、バネ73の力による軸71を支点とした回転動作で、作動可能位置から初期位置へ復帰する方向へ移動を開始する。
復帰規制位置に移動している規制部材90は、押圧部90aがコンタクトレバー7の移動軌跡上に位置し、作動可能位置から初期位置へ復帰する方向へ移動するコンタクトレバー7の移動を規制する。
これにより、コンタクトアーム8が初期位置に移動すると、コンタクトレバー7は、規制部材90の押圧部90aに接するまで移動し、係止可能位置で停止する。そして、係止可能位置に移動したコンタクトレバー7は、係止部70がコンタクトアーム8の押圧部81の移動軌跡上に位置する。
また、打込シリンダ2からブローバックチャンバ31への圧縮空気の供給が終了すると、オイルダンパ91の図示しないバネの力で、移動部材92が計時開始位置から初期位置へ復帰する方向へ移動を開始する。
移動部材92は、図示しないバネの力で計時開始位置から初期位置へ移動するが、移動部材92の移動速度がオイルの粘性等による抵抗で制御される。これにより、計時開始位置から初期位置へ移動するまでの時間が制御され、図6に示すように、移動部材92が初期位置へ移動するまでの所定時間の間、移動部材92の係止部92bと規制部材90の被係止部90bが非係止状態であり、規制部材90は復帰規制位置で停止している。
このため、移動部材92が計時開始位置から初期位置に移動する所定時間の間で、移動部材92の係止部92bと規制部材90の被係止部90bが非係止状態である間は、コンタクトレバー7は係止可能位置で停止し、係止部70がコンタクトアーム8の押圧部81の移動軌跡上に位置する。
これにより、トリガ6を引いた状態で操作位置としたまま、コンタクトアーム8が初期位置に移動した後、移動部材92が計時開始位置から初期位置に移動するまでの所定時間が経過するより前に、コンタクトアーム8が再度被打込材に押し付けられて、当該コンタクトアーム8が初期位置から作動位置に移動すると、コンタクトアーム8の押圧部81が、コンタクトレバー7の係止部70を押すことが可能である。
従って、トリガ6を引いた状態で操作位置としたまま、コンタクトアーム8を初期位置へ移動させた後、所定時間内に再度コンタクトアーム8を作動位置に移動させると、図4に示すように、コンタクトアーム8の押圧部81でコンタクトレバー7の係止部70が押され、コンタクトレバー7が作動可能位置に移動して、押圧部72が起動バルブ5のバルブステム50を押す。
よって、トリガ6を引いた状態で操作位置としたまま、所定時間の間にコンタクトアーム8を被打込材に押し付ける動作で、連続的な打ち込み動作が可能となる。
これに対し、トリガ6を引いた状態で操作位置としたまま、コンタクトアーム8が初期位置に移動してから、所定の時間が経過すると、移動部材92がオイルダンパ91により初期位置まで移動する。
移動部材92が初期位置まで移動すると、図7に示すように、移動部材92の係止部92bと規制部材90の被係止部90bが係止される。これにより、オイルダンパ91により移動する移動部材92に押圧されて、規制部材90が復帰規制位置から初期位置まで移動する。
規制部材90が初期位置に移動すると、コンタクトレバー7がバネ73による軸71を支点とした回転動作で、トリガ6が操作位置にある場合における係止可能位置から初期位置まで移動する。トリガ6を操作位置としたまま、コンタクトレバー7が初期位置に移動すると、コンタクトレバー7の係止部70が、コンタクトアーム8の押圧部81の移動経路から退避する。
これにより、コンタクトアーム8が初期位置に移動してから、トリガ6を引いた状態で操作位置としたまま、所定時間が経過すると、図8に示すように、コンタクトアーム8を被打込材に押し付ける動作で、コンタクトアーム8が作動位置に移動しても、コンタクトアーム8の押圧部81がコンタクトレバー7の係止部70と接せず、コンタクトレバー7が押されない。
よって、コンタクトレバー7で起動バルブ5が押されず、打ち込み動作は行われない。従って、トリガ6を引いた状態で操作位置としたままで、コンタクトアーム8を被打込材に押し付けることでの連続的な打ち込み動作を、機械的な構成を使用して、時間の経過で規制できる。
上述したように、打ち込み動作が終了して所定時間が経過すると、コンタクトレバー7が初期位置に移動する。コンタクトレバー7が初期位置に移動した後、コンタクトアーム8を押し付ける力が解除されることで、当該コンタクトアーム8が初期位置に移動する。また、トリガ6を引く力が解除されることで、当該トリガ6が初期位置に移動する。これにより、図1に示すように初期状態に戻る。初期状態では、コンタクトレバー7の係止部70が、コンタクトアーム8の押圧部81の移動経路に移動する。
これにより、図3に示すように、コンタクトアーム8を被打込材に押し付ける動作で、コンタクトアーム8が作動位置に移動した後、図4に示すように、トリガ6が引かれて操作位置に移動すると、作動可能位置に移動しているコンタクトレバー7で起動バルブ5のバルブステム50が押され、打ち込み動作が行われる。
なお、図1に示す初期状態から、コンタクトアーム8を被打込材に押し付ける前に、トリガ6が引かれて当該トリガ6が操作位置に移動すると、コンタクトレバー7の係止部70が、コンタクトアーム8の押圧部81の移動経路から退避する。
これにより、初期状態からトリガ6を引いた状態で操作位置とした後、コンタクトアーム8を被打込材に押し付ける動作で、コンタクトアーム8が作動位置に移動しても、コンタクトアーム8の押圧部81がコンタクトレバー7の係止部70と接せず、コンタクトレバー7が押されない。
よって、コンタクトレバー7で起動バルブ5のバルブステム50が押されず、打ち込み動作は行われない。従って、トリガ6を引く前に、コンタクトアーム8を被打込材に押し付けるという正規の手順以外での動作による打ち込み動作を規制できる。
<第1の実施の形態の釘打機の作用効果例>
オイルダンパ91は、移動部材92が計時開始位置から初期位置へ移動する動作での移動速度を減速させるために設けられ、オイルの粘性で負荷を与えている。このため、コンタクトアーム8が被打込材に押し付けられる動作を移動部材92に伝達し、移動部材92が初期位置から計時開始位置へ移動する構成とすると、オイルの粘性が負荷となり、コンタクトアーム8の操作荷重が増加する。また、オイルダンパ91の移動量を、コンタクトアーム8の移動量に合わせる必要があり、計時に必要なオイルダンパ91の移動量を確保することに制約がある。更に、コンタクトアーム8の動作を移動部材92に伝達し、コンタクトアーム8の動作で移動部材92を計時開始位置へ移動させる構成とすると、実際の打込み動作が行われなくても計時が開始され、連続的な打ち込み動作が可能となるので、不用意な打込み動作が行われる可能性がある。
そこで、オイルダンパ91及び移動部材92を、釘打機1Aの動力源である圧縮空気で作動させるようにした。本例では、ブローバックチャンバ31から圧縮空気が供給されるエアシリンダ93を備え、エアシリンダ93でオイルダンパ91及び移動部材92を作動させる。
これにより、コンタクトアーム8の操作荷重を増加させることなく、機械的な計時機構を作動させることができる。また、コンタクトアーム8の移動量と関係なく、計時に必要なオイルダンパ91の移動量を設定することができる。更に、ドライバ20が作動することで打込シリンダ2からブローバックチャンバ31に圧縮空気が供給されると、オイルダンパ91及び移動部材92が作動するので、実際の打込み動作が行われることで計時が開始され、連続的な打ち込み動作が可能となる。よって、実際の打込み動作が行われなければ、連続的な打ち込み動作が可能とならず、不用意な打込み動作が行われることを確実に規制できる。なお、本例では、エアシリンダ93にブローバックチャンバ31から圧縮空気を供給する構成としたが、打込シリンダ2から供給される構成としても良い。また、起動バルブ5が操作されることで、エアシリンダ93に圧縮空気が供給される構成としても良く、例えば、起動バルブ5が操作されることでメインバルブ4を作動させる圧縮空気がエアシリンダ93に供給される構成、起動バルブ5が操作され、メインバルブ4が作動することで、エアチャンバ3から打込シリンダ2に供給される圧縮空気の一部がエアシリンダ93に供給される構成としても良い。更に、計時機構は、オイルの粘性等による抵抗で移動部材92の移動に負荷を与えるオイルダンパ91としたが、これに限定されない。例えば、オイルとは異なる液体をシリンダに充填及び封入し、それによる抵抗で移動部材92の移動に負荷を与えるダンパ、オイルの代わりに窒素ガス等の気体をシリンダに充填及び封入するダンパ、又はシリンダ内への気体の流入及びシリンダ内からの気体の流出を制御する構成を有するダンパでも良い。また、摩擦による抵抗で移動部材92の移動に負荷を与えるフリクションダンパでも良い。
上述の実施の形態において、本発明の打込み工具の一例として釘を打込む釘打機を説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、例えば、ねじを打込むねじ打機にも適用可能である。
本出願は、2018年3月1日出願の日本特許出願特願2018-036898に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1A・・・釘打機(打込み工具)、10・・・ハウジング、11・・・ハンドル、12・・・ノーズ、13・・・マガジン、2・・・打込シリンダ(打込機構)、20・・・ドライバ、21・・・打込ピストン、3・・・エアチャンバ、30・・・エアプラグ、31・・・ブローバックチャンバ、31a・・・流入排出口、31b・・・逆止弁、31c・・・排出口、4・・・メインバルブ、5・・・起動バルブ、50・・・バルブステム、6・・・トリガ、60・・・軸、61・・・バネ、7・・・コンタクトレバー、70・・・係止部、71・・・軸、72・・・押圧部、73・・・バネ、8・・・コンタクトアーム、80・・・突き当て部、81・・・押圧部、83・・・バネ、9・・・規制部、90・・・規制部材、90a・・・押圧部、90b・・・被係止部、90c・・・バネ、91・・・オイルダンパ、92・・・移動部材、92a・・・被押圧部、92b・・・係止部、93・・・エアシリンダ、93a・・・エアピストン、93b・・・ピストン軸部、93c・・・作動空気流路

Claims (5)

  1. ノーズ部に供給されたファスナーを、流体で駆動される打込機構によって打込む打込み工具であって、
    一の操作を受けるトリガと、
    被打込材に押し付けられる他の操作を受けて移動するコンタクトアームと、
    一の操作を受けた前記トリガの動作及び他の操作を受けた前記コンタクトアームの動作で作動可能に設けられるコンタクトレバーと、
    前記打込機構の連続打ち動作の実行の有無を切り替える時間の計時を行う計時機構を備え、
    前記計時機構は、流体が供給されて前記打込機構が作動すると、前記打込機構を作動させるために供給された流体によって、移動部材を初期位置から計時を開始する計時開始位置へ移動させると共に、流体の供給が停止すると、計時開始位置から初期位置へ前記移動部材が移動する際に抵抗による負荷を与えることで、前記移動部材の移動を制御して計時を行い、
    前記打込機構は、計時開始位置から初期位置へ前記移動部材が移動する間、前記コンタクトレバーが前記コンタクトアームの移動軌跡上に位置し、前記トリガが一の操作を受けている間に、他の操作を受けた前記コンタクトアームの動作で連続打ち動作が可能となり、初期位置まで前記移動部材が移動することで、前記コンタクトアームの移動軌跡上から前記コンタクトレバーが退避して、前記トリガが一の操作を受けている間の連続打ち動作が規制される
    打込み工具。
  2. 前記打込機構は圧縮空気で駆動され、
    圧縮空気が供給されて作動するエアピストンを有したエアシリンダを備え、前記エアピストンの動きが前記計時機構に伝達されて前記移動部材を移動させる
    請求項1に記載の打込み工具。
  3. 前記打込機構は、圧縮空気が供給されて作動する打込ピストンを有した打込シリンダと、
    前記打込シリンダから圧縮空気が供給され、前記打込ピストンを復帰させる圧縮空気を前記打込シリンダに供給するブローバックチャンバを備え、
    前記エアシリンダは、前記ブローバックチャンバから圧縮空気が供給される
    請求項2に記載の打込み工具。
  4. 前記打込機構は、圧縮空気が供給されて作動する打込ピストンを有した打込シリンダを備え、
    前記エアシリンダは、前記打込シリンダから圧縮空気が供給される
    請求項2に記載の打込み工具。
  5. 前記計時機構は、オイルによる抵抗で前記移動部材が移動する際の負荷を与えるオイルダンパである
    請求項1~請求項4の何れか1項に記載の打込み工具。
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