JP7451975B2 - 電磁波測定装置、及び電磁波測定方法 - Google Patents

電磁波測定装置、及び電磁波測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、電磁波測定装置、及び電磁波測定方法に関する。
電子機器から放射される電磁波の測定において反射箱を用いる方法についての研究、開発が行われている。
これに関し、筐体と、電磁攪拌器と、筐体内の所定の有効空間外に配置された送信アンテナと、有効空間内に配置された受信アンテナとを備える反射箱を用いる電磁波測定方法であって、有効空間内に配置された電子機器から放射される電磁波に関する測定を行う電磁波測定方法が知られている(非特許文献1参照)。なお、有効空間は、電磁攪拌器による電磁波の攪拌によって電界強度が均一になる空間のことである。また、当該電磁波に関する測定は、例えば、当該電子機器の放射電力の測定、当該電磁波の強度の測定等のことである。
Nico van Dijk, New concepts for EMC standards applicable to multimedia products, The Kingdom of the Netherlands, "Technische Universiteit Eindhoven", DOI: 10.6100/IR628317, 01/01/2007.
ここで、非特許文献1に記載された電磁波測定方法では、有効空間内の体積のうち受信アンテナにより占有される体積が小さいほど、より大きな電子機器を有効空間内に配置することができる。より大きな電子機器を有効空間内に配置することができることは、電磁波に関する測定を行う対象となる電子機器の種類を増やすことができるため、当該電磁波測定方法において望ましいことである。しかしながら、電子機器から放射される電磁波の強度は、送信アンテナから放射される電磁波の強度と比べて微弱であることが多い。当該電磁波測定方法では、電子機器から放射される電磁波の強度が微弱であるほど、受信アンテナの感度を高くする必要がある。その結果、当該電磁波測定方法では、受信アンテナの大きさを大きくしなければならない場合があった。すなわち、当該電磁波測定方法では、有効空間内の体積のうち受信アンテナにより占有される体積を小さくすることが困難な場合があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、有効空間内の体積のうちアンテナにより占有される体積を小さくすることができる電磁波測定装置、及び電磁波測定方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、筐体と、取得した電気信号に応じた電磁波を放射する第1アンテナと、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第2アンテナと、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第3アンテナと、前記筐体内の電磁波を攪拌する電磁攪拌器と、を備え、前記第1アンテナ及び前記第3アンテナは、前記筐体内において、前記筐体内における所定の有効空間外に設置されており、前記第2アンテナは、前記筐体内において、前記有効空間内に設置されている、電磁波測定装置である。
本発明によれば、有効空間内の体積のうちアンテナにより占有される体積を小さくすることができる。
実施形態に係る電磁波測定装置1の構成の一例を示す図である。 電磁波測定装置1を用いて電子機器Pの放射電力の測定を行う方法の流れの一例を示す図である。 基準状態の有効空間WV内に電界プローブPBが配置された場合の電磁波測定装置1の一例を示す図である。 基準状態の有効空間WV内に電子機器Pが配置された場合の電磁波測定装置1の一例を示す図である。 電磁波測定系Xの等価回路の一例を示す図である。 筐体11内における空間の電波伝搬の特性がチャンバーゲインGによって表される場合における電磁波測定系Xの等価回路の一例を示す図である。 筐体11内における空間の電波伝搬の特性がチャンバーゲインGによって表される場合における電磁波測定系Xの等価回路の他の例を示す図である。 図4に示した電磁波測定系の等価回路の一例を示す図である。 実施形態の変形例に係る電磁波測定装置1の構成の一例を示す図である。
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では、説明の便宜上、ある電界EF1の電界強度を検出することを、電界EF1を検出すると称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、検出した当該電界強度のことを、検出した電界EF1と称して説明する。また、以下では、ある物理量の測定は、当該物理量の検出、又は、当該物理量の算出のことを意味する。
<反射箱の構成>
まず、図1を参照し、実施形態に係る電磁波測定装置1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る電磁波測定装置1の構成の一例を示す図である。
電磁波測定装置1は、例えば、電磁波測定装置1の筐体11と、電磁攪拌器12と、第1アンテナA1と、第2アンテナA2を備える。なお、電磁波測定装置1は、筐体11と電磁攪拌器12と第1アンテナA1と第2アンテナA2とに加えて、他の装置、他の部材等を備える構成であってもよい。
電磁波測定装置1は、例えば、反射箱である。電磁波測定装置1は、筐体11内に配置した電磁波源から放射される電磁波に関する測定に用いられる装置である。当該測定の一例としては、例えば、筐体11内に電磁波源として配置した電子機器の放射電力の測定、当該電子機器により放射される放射妨害波の強度の測定等が挙げられる。以下では、一例として、筐体11内に配置される電磁波源が、電子機器Pである場合について説明する。なお、電子機器Pは、図1において図示されておらず、図4において図示されている。筐体11内に配置される電磁波源(例えば、電子機器P)は、被測定物の一例である。
筐体11は、電磁波測定装置1が備える各部材を収容する容器である。また、筐体11内には、電子機器Pも配置される。
電磁攪拌器12は、筐体11内の電磁波を攪拌する。これにより、電磁攪拌器12は、筐体内11における所定の有効空間WV内の電界の電界強度を均一にする。ここで、有効空間WVは、筐体11内の空間のうちの一部の空間である。また、有効空間WVは、電磁攪拌器12による電磁波の攪拌によって電界の電界強度が均一になる空間のことである。換言すると、有効空間WVは、電磁攪拌器12による電磁波の攪拌によって電界の電界強度のばらつきを示す量が所定量未満となる空間のことである。有効空間WV内の電界の電界強度を均一にするための電磁攪拌器12による電磁波の攪拌方法については、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。また、電磁攪拌器12の形状は、有効空間WV内の電磁波を攪拌し、有効空間WV内の電界の電界強度を均一にすることが可能な形状であれば、如何なる形状であってもよい。
第1アンテナA1は、入力された電気信号に応じた電磁波を放射するアンテナである。また、第1アンテナA1は、可逆性を有するアンテナである。このため、第1アンテナA1は、電界を検出し、検出した電界に応じた電圧を出力するアンテナとしても用いることができる。そこで、実施形態では、第1アンテナA1は、電界を検出し、検出した電界に応じた電圧を出力するアンテナとしても用いられる。すなわち、実施形態では、第1アンテナA1は、可逆性を有し、電磁波の放射と電界の検出との両方に用いられるアンテナである。なお、第1アンテナA1は、電磁波の放射にのみ用いられるアンテナであってもよい。この場合、電磁波測定装置1は更に、第3アンテナを備える。第3アンテナは、電界の検出にのみ用いられるアンテナのことである。電磁波測定装置1が第3アンテナを備える場合についての詳細は、実施形態の変形例において説明する。
第1アンテナA1は、筐体11内において、有効空間WV外に設置される。ここで、図1に示した例では、第1アンテナA1は、情報処理装置2と接続されている。このため、当該例では、第1アンテナA1は、情報処理装置2から電気信号を取得し、取得した電気信号に応じた電磁波を放射する。また、当該例では、第1アンテナA1は、電界を検出する。そして、当該例では、第1アンテナA1は、検出した電界に応じた電圧を示す電気信号を情報処理装置2に出力する。なお、第1アンテナA1は、情報処理装置2と別体の他の装置を介して情報処理装置2と接続される構成であってもよい。当該他の装置は、情報処理装置2からの要求に応じて第1アンテナA1に電磁波の放射を行わせる送信機、情報処理装置2からの要求に応じて第1アンテナA1から取得した電圧を情報処理装置2に出力する受信機等である。図1に示した例では、情報処理装置2は、当該他の装置と一体に構成されている。
情報処理装置2は、例えば、デスクトップPC(Personal Computer)である。なお、情報処理装置2は、ノートPC、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の他の情報処理装置であってもよい。
情報処理装置2は、ユーザから受け付けた操作に応じて、第1アンテナA1からユーザが所望する波長帯の電磁波が放射されるように、第1アンテナA1に対して電気信号を出力する。また、情報処理装置2は、ユーザから受け付けた操作に応じて、第1アンテナA1が検出した電界に応じた電圧を示す電気信号を、第1アンテナA1から取得する。なお、実施形態では、電磁波測定装置1は、情報処理装置2を備えない構成であるが、これに代えて、情報処理装置2を備える構成であってもよい。
第2アンテナA2は、電界を検出し、検出した電界に応じた電圧を出力するアンテナである。第2アンテナA2は、筐体11内において、有効空間WV内に設置される。ここで、図1に示した例では、第2アンテナA2は、受信装置3と接続されている。このため、当該例では、第2アンテナA2は、検出した電界に応じた電圧を示す電気信号を受信装置3に出力する。
受信装置3は、有線又は無線によって情報処理装置2と通信可能に接続されている。受信装置3は、第2アンテナA2から出力された電気信号を、第2アンテナA2から取得する。受信装置3は、取得した電気信号を情報処理装置2に出力する。このため、情報処理装置2は、受信装置3から電気信号を取得する。なお、受信装置3は、情報処理装置2と一体に構成されてもよい。また、実施形態では、電磁波測定装置1は、受信装置3を備えない構成であるが、これに代えて、受信装置3を備える構成であってもよい。
以上のような構成の電磁波測定装置1は、前述した通り、筐体11内に配置した電子機器Pにより放射される電磁波に関する測定に用いられる。
<電磁波測定装置を用いて電子機器により放射される電磁波に関する測定を行う方法>
以下、電磁波測定装置1を用いて電子機器Pにより放射される電磁波に関する測定を行う方法について説明する。なお、以下では、一例として、当該測定が、有効空間WV内に配置した電子機器Pの放射電力の測定である場合について説明する。また、以下では、説明の便宜上、電磁波測定装置1のユーザを、単にユーザと称して説明する。
図2は、電磁波測定装置1を用いて電子機器Pの放射電力の測定を行う方法の流れの一例を示す図である。
ここで、ユーザは、図2に示したステップS110及びステップS120の手順により、検出された電界を電圧に変換する変換係数を測定する。すなわち、ステップS110及びステップS120の手順は、変換係数測定手順である。このため、ユーザは、他の装置、他の方法等によって変換係数を測定済みである場合、電磁波測定装置1を用いて電子機器Pにより放射される電磁波の測定を行う方法において、ステップS110及びステップS120の手順を省略してもよい。
また、ユーザは、図2に示したステップS130~ステップS150の手順により、補正係数を測定する。この補正係数は、有効空間WV内における電子機器Pの有無によって変化してしまうことがある変換係数を補正する係数である。補正係数についての詳細は、後述する。すなわち、ステップS130~ステップS150の手順は、補正係数測定手順である。このため、ユーザは、他の装置、他の方法等によって補正係数を測定済である場合、電磁波測定装置1を用いて電子機器Pにより放射される電磁波の測定を行う方法において、ステップS130~ステップS150の手順を省略してもよい。
なお、ユーザは、図2に示したステップS160及びステップS170の手順により、ステップS110~ステップS150の手順によって測定された変換係数及び補正係数を用いて、電子機器Pの放射電力を測定する。このため、他の装置、他の方法等によって変換係数及び補正係数を測定済みである場合、ユーザは、電磁波測定装置1を用いて電子機器Pの放射電力の測定を行う方法において、ステップS160及びステップS170の処理のみを行ってもよい。
また、以下では、説明の便宜上、有効空間WV内の状態のうち基準となる状態を、基準状態と称して説明する。基準状態は、例えば、有効空間WV内の状態のうち、図1に示したように、第2アンテナA2と受信装置3とを接続するケーブル、及び第2アンテナA2のみが有効空間WV内に配置されている状態のことである。なお、基準状態は、有効空間WV内の状態として実現可能な状態であれば、如何なる状態であってもよい。
ユーザは、検出手順D1を行う(ステップS110)。ここで、検出手順D1について説明する。
検出手順D1は、有効空間WV内が基準状態である場合において、有効空間外の第1アンテナA1に電磁波を放射させ、有効空間WV内の電界を、有効空間WV内の電界プローブPBにより検出する手順である。ここで、検出手順D1における有効空間WV内の電界は、有効空間外の第1アンテナA1から放射された電磁波に応じた電界である。このため、検出手順D1では、ユーザは、図3に示すように、基準状態の有効空間WV内に電界プローブPBを配置する。なお、ユーザは、有効空間WV内の状態が基準状態となっていない場合、例えば、有効空間WV内の状態を基準状態にしてから、有効空間WV内に電界プローブPBを配置する。図3は、基準状態の有効空間WV内に電界プローブPBが配置された場合の電磁波測定装置1の一例を示す図である。
電界プローブPBは、情報処理装置2と接続されてもよく、受信装置3と接続されてもよい。以下では、一例として、電界プローブPBが情報処理装置2と接続されている場合について説明する。ただし、図3では、図が煩雑になるのを防ぐため、電界プローブPBと情報処理装置2とを接続するケーブルについては、省略されている。
基準状態の有効空間WV内に電界プローブPBを配置した後、検出手順D1では、ユーザは、情報処理装置2を操作し、第1アンテナA1に所定の波長帯の電磁波を放射させる。これにより、有効空間WV内では、電磁攪拌器12による電磁波の攪拌によって、第1アンテナA1から放射された電磁波に応じた電界の電界強度が均一になる。電界プローブPBは、このようにして有効空間WV内において均一になった電界強度に応じた電圧を示す電気信号を出力する。従って、情報処理装置2は、電界プローブPBから当該電気信号を取得する。情報処理装置2は、取得した当該電気信号に基づいて、当該電界強度に応じた電圧を示す情報を、第2検出情報として情報処理装置2が備える図示しない記憶部に記憶させる。ユーザは、以上のような検出手順D1を、ステップS110において行う。なお、以下では、説明の便宜上、当該所定の波長帯の電磁波を、放射電磁波と称して説明する。
ステップS110において検出手順D1が行われた後、ユーザは、算出手順C1を行う(ステップS120)。ここで、算出手順C1について説明する。
算出手順C1は、ステップS110における検出手順D1により検出された電圧に基づいて、前述の変換係数を算出する手順である。なお、ステップS110における検出手順D1により検出された電圧に基づいて変換係数を算出する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。例えば、算出手順C1において、ユーザは、情報処理装置2を操作し、情報処理装置2に記憶された第2検出情報が示す電圧に基づいた変換係数の算出を、情報処理装置2に行わせる。すなわち、算出手順C1では、情報処理装置2は、ユーザから受け付けた操作に応じて、記憶部に記憶された第2検出情報を読み出し、読み出した第2検出情報が示す電圧と、放射電磁波に応じた電界の電界強度とに基づいて、変換係数を算出する。そして、算出手順C1では、情報処理装置2は、算出した変換係数を示す変換係数情報を、記憶部に記憶させる。なお、放射電磁波に応じた電界の電界強度は、例えば、事前に算出又は検出される。
ステップS120において算出手順C1が行われた後、ユーザは、検出手順D2を行う(ステップS130)。ここで、検出手順D2について説明する。
検出手順D2は、有効空間WV内が基準状態である場合において、有効空間外の第1アンテナA1に放射電磁波を放射させ、有効空間WV内の電界の電界強度に応じた電圧を、有効空間WV内の第2アンテナA2により検出する手順である。ここで、検出手順D2における有効空間WV内の電界は、有効空間外の第1アンテナA1から放射された放射電磁波に応じた電界である。このため、検出手順D2では、ユーザは、有効空間WV内の状態を基準状態にする。そして、検出手順D2では、ユーザは、情報処理装置2を操作し、第1アンテナA1に放射電磁波を放射させる。これにより、有効空間WV内では、電磁攪拌器12による放射電磁波の攪拌によって、第1アンテナA1から放射された放射電磁波に応じた電界の電界強度が均一になる。第2アンテナA2は、このようにして有効空間WV内において均一になった電界強度に応じた電圧を示す電気信号を出力する。従って、受信装置3は、第2アンテナA2から当該電気信号を取得する。受信装置3は、取得した当該電気信号を、情報処理装置2に出力する。情報処理装置2は、受信装置3から当該電気信号を取得する。情報処理装置2は、取得した当該電気信号に基づいて、当該電界強度に応じた電圧を示す情報を、第3検出情報として情報処理装置2の記憶部に記憶させる。ユーザは、以上のような検出手順D2を、ステップS130において行う。
ステップS130において検出手順D2が行われた後、ユーザは、検出手順D3を行う(ステップS140)。ここで、検出手順D3について説明する。
検出手順D3は、基準状態の有効空間WV内に電子機器Pを配置し、有効空間外の第1アンテナA1に放射電磁波を放射させ、有効空間WV内の電界の電界強度に応じた電圧を、有効空間WV内の第2アンテナA2により検出する手順である。ここで、検出手順D3における有効空間WV内の電界は、有効空間外の第1アンテナA1から放射された放射電磁波に応じた電界である。このため、検出手順D3では、ユーザは、検出手順D2において基準状態にされたままの有効空間WV内に電子機器Pを配置する。なお、ユーザは、振動、作業中のユーザの動き等によって有効空間WV内の状態が基準状態と異なる状態となっている場合、例えば、有効空間WV内の状態を基準状態にしてから、有効空間WV内に電子機器Pを配置する。図4は、基準状態の有効空間WV内に電子機器Pが配置された場合の電磁波測定装置1の一例を示す図である。
基準状態の有効空間WV内に電子機器Pを配置した後、検出手順D3では、ユーザは、情報処理装置2を操作し、第1アンテナA1に放射電磁波を放射させる。これにより、有効空間WV内では、電磁攪拌器12による電磁波の攪拌によって、第1アンテナA1から放射された放射電磁波に応じた電界の電界強度が均一になる。第2アンテナA2は、このようにして有効空間WV内において均一になった電界強度に応じた電圧を示す電気信号を出力する。従って、受信装置3は、第2アンテナA2から当該電気信号を取得する。受信装置3は、取得した当該電気信号を、情報処理装置2に出力する。情報処理装置2は、受信装置3から当該電気信号を取得する。情報処理装置2は、取得した当該電気信号に基づいて、当該電界強度に応じた電圧を示す情報を、第4検出情報として情報処理装置2の記憶部に記憶させる。ユーザは、以上のような検出手順D3を、ステップS130において行う。
ステップS140において検出手順D3が行われた後、ユーザは、算出手順C2を行う(ステップS150)。ここで、算出手順C2について説明する。
算出手順C2は、ステップS130における検出手順D2により検出された電圧と、ステップS140における検出手順D3により検出された電圧とに基づいて、前述の補正係数を算出する手順である。なお、当該第3検出電界と当該第4検出電界とに基づいて補正係数を算出する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。例えば、算出手順C2では、ユーザは、情報処理装置2を操作し、情報処理装置2に記憶された第3検出情報及び第4検出情報のそれぞれが示す電圧に基づいた補正係数の算出を、情報処理装置2に行わせる。すなわち、算出手順C2では、情報処理装置2は、ユーザから受け付けた操作に応じて、記憶部に記憶された第3検出情報及び第4検出情報を読み出し、読み出した第3検出情報及び第4検出情報のそれぞれが示す電圧と、放射電磁波に応じた電界の電界強度とに基づいて、補正係数を算出する。そして、算出手順C2では、情報処理装置2は、算出した補正係数を示す補正係数情報を、記憶部に記憶させる。
ステップS150において算出手順C2が行われた後、ユーザは、検出手順D4を行う(ステップS160)。ここで、検出手順D4について説明する。
検出手順D4は、基準状態の有効空間WV内に電子機器Pを配置し、電子機器Pを稼働させ、筐体11内の電界の電界強度に応じた電圧を、有効空間WV外の第1アンテナA1により検出する手順である。ここで、検出手順D4における有効空間WV内の電界は、有効空間WV内の電子機器Pから放射される電磁波に応じた電界である。このため、検出手順D4では、ユーザは、有効空間WV内の状態を基準状態にする。その後、検出手順D4では、ユーザは、電子機器Pを操作し、電子機器Pを稼働させる。これにより、有効空間WV内では、電磁攪拌器12による当該電磁波の攪拌によって、当該電磁波に応じた電界の電界強度が均一になる。そして、有効空間WV外の第1アンテナA1は、有効空間WV外の電界の電界強度に応じた電圧を示す電気信号を出力する。従って、情報処理装置2は、第1アンテナA1から当該電気信号を取得する。情報処理装置2は、取得した当該電気信号に基づいて、当該電界強度に応じた電圧を示す情報を、第1検出情報として記憶部に記憶させる。ユーザは、以上のような検出手順D4を、ステップS160において行う。
ステップS160において検出手順D4が行われた後、ユーザは、算出手順C3を行う(ステップS170)。ここで、算出手順C3について説明する。
算出手順C3は、ステップS160において検出手順D4により検出された電圧と、ステップS120において算出手順C1により算出された変換係数と、ステップS150において算出手順C2により算出された補正係数と基づいて、電子機器Pの放射電力を算出する手順である。なお、当該変換係数と、当該補正係数と、当該第1検出電界とに基づいて当該放射電力を算出する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。例えば、ユーザは、情報処理装置2を操作し、情報処理装置2に記憶された第1検出情報、変換係数情報、補正係数情報のそれぞれに基づいた当該放射電力の算出を、情報処理装置2に行わせる。すなわち、第2算出手段では、情報処理装置2は、ユーザから受け付けた操作に応じて、記憶部に記憶された第1検出情報、変換係数情報、補正係数情報のそれぞれを読み出し、読み出した第1検出情報が示す電圧と、読み出した変換係数情報が示す変換係数と、読み出した補正係数情報が示す補正係数とに基づいて、当該放射電力を算出する。そして、算出手順C3では、情報処理装置2は、算出した当該放射電力を示す放射電力情報を記憶部に記憶させる。
ステップS170において算出手順C3が行われた後、ユーザは、電磁波測定装置1を用いて電子機器Pの放射電力の測定を終了する。
なお、図2に示したフローチャートにおいて、検出手段D1は、検出手段D2と並列に行われる構成であってもよい。この場合、検出手段D2において、有効空間WV内の状態は、検出手段D1における有効空間WV内の状態と同じ状態であってもよい。すなわち、当該場合、検出手段D2において、有効空間WV内の状態は、電界プローブPBが配置されたままの状態であってもよい。これは、有効空間WV内における電界プローブPBの存在が、有効空間WV内において送受信される電磁波の波長に対して小さいため、有効空間WV内の電磁界を乱さないと考えられているからである。このような事情から、検出手順D3及び検出手順D4においても、有効空間WV内の状態は、電界プローブPBはが配置されたままの状態であってもよい。また、検出手順D1~検出手順D4のすべてにおいて、有効空間WV内に電界プローブPBが配置されるならば、上記において説明した基準状態を、電界プローブPBが配置された状態として規定してもよい。
以上のように、ユーザは、図2に示したフローチャートに含まれる各手順を行うことにより、電磁波測定装置1を用いて電子機器Pの放射電力の測定を行う。ここで、上記において説明したステップS160では、電界を検出するアンテナとして第1アンテナA1が用いられている。より具体的には、当該フローチャートでは、ステップS130及びステップS140において電磁波を放射するアンテナとして用いられる第1アンテナA1が、ステップS160において電界を検出するアンテナとして用いられている。これは、図5に示した電磁波測定系を表す等価回路において、送信側の回路の役割と受信側の回路の役割とを入れ替えたことと等価である。第1アンテナA1が可逆性を有する場合、このような役割の入れ替えが可能である。そこで、以下では、第1アンテナA1が可逆性を有する場合において、このような役割の入れ替えが可能となる原理について説明する。また、以下では、説明の便宜上、当該原理を、入替可能原理と称して説明する。
<入替可能原理>
以下、入替可能原理について説明する。入替可能原理を説明するため、電磁波を放射するあるアンテナX1が筐体11内において有効空間WV外に設置されている場合であり、且つ、電界を検出するあるアンテナX2が筐体11内において有効空間WV内に設置されている場合を考える。この場合、筐体11内において、アンテナX1は、入力された電気信号に応じた電磁波を放射する。また、筐体11内において、アンテナX2は、筐体11内における電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する。このため、当該場合、アンテナX1とアンテナX2とによって構成される電磁波測定系Xの等価回路は、図5に示したような回路となる。図5は、電磁波測定系Xの等価回路の一例を示す図である。
ここで、図5に示した等価回路は、2端子対回路である。以下では、説明の便宜上、当該等価回路に含まれる回路のうち点線TCによって囲まれた回路を、送信側回路と称して説明する。送信側回路は、アンテナX1に対応する回路である。また、以下では、説明の便宜上、当該等価回路に含まれる回路のうち点線RCによって囲まれた回路を、受信側回路と称して説明する。受信側回路は、アンテナX2に対応する回路である。
図5に示したRは、送信側回路の特性インピーダンスを示す。また、図5に示したVは、送信側回路に交流電力を供給する電力源を示す。また、図5に示したRは、受信側回路の特性インピーダンスを示す。また、図5に示した行列の各成分(すなわち、Z11、Z12、Z21、Z22)は、電磁波測定系XのZパラメータである。電磁波測定系XのSパラメータ(すなわち、S11、S12、S21、S22)は、当該Zパラメータを用いて算出することができる。そして、当該SパラメータのうちのS12は、以下の式(1)のように算出される。なお、当該Zパラメータ及び当該Sパラメータの各成分が如何なる量であるかについての説明は、既知であるため、説明を省略する。
Figure 0007451975000001
上記の式(1)に含まれるZ12は、アンテナX2の実効長lに比例し、反射箱の性質からアンテナX2の指向性利得Gに反比例すると考えられる。このため、実効長l及び指向性利得Gの寄与をZ12から除外した場合に残る成分をZ12’とすると、Z12は、以下の式(2)のように表すことができる。
Figure 0007451975000002
ここで、アンテナX1とアンテナX2との結合が十分に小さいと仮定すると、以下の式(3)が成り立つ。
Figure 0007451975000003
そして、上記の式(2)及び式(3)から、以下の式(4)を導出することができる。
Figure 0007451975000004
一方、アンテナX2のアンテナファクタAFは、以下の式(5)によって定義される。
Figure 0007451975000005
上記の式(5)を式(4)に代入することにより、以下の式(6)を導出することができる。
Figure 0007451975000006
ここで、図5に示した等価回路は、アンテナX1を第1アンテナA1に対応付け、且つ、アンテナX2を電界プローブPBに対応付けることができる。この場合、当該等価回路は、図3に示した電磁波測定装置1において第1アンテナA1と電界プローブPBとによって構成される電磁波測定系の等価回路として考えることができる。この場合、前述の指向性利得Gは、ダイポールアンテナの指向性利得である。また、ステップS110において使われる電界プローブPBとしては、アンテナファクタAFの校正が済んでいる電界プローブPBが用いられる。すなわち、ステップS110において使われる電界プローブPBのアンテナファクタAFは、既知の量である。そこで、当該場合、アンテナファクタAFが1に校正されているとすると、式(6)からアンテナファクタAFを消すことができる。このようにアンテナファクタAFを式(6)から消した後に残った量が、チャンバーゲインGとして、以下の式(7)のように定義される量である。
Figure 0007451975000007
このようにして定義されるチャンバーゲインGが、前述の変換係数である。すなわち、ユーザは、ステップS120において、第2検出情報が示す電圧に基づくチャンバーゲインGを、変換係数として算出する。上記の式(7)の左辺のチャンバーゲインGを測定することにより、ユーザは、上記の式(7)に基づいて、Z21’を算出することができる。
このチャンバーゲインGは、電磁波測定装置1の特性として得られた量である。換言すると、このチャンバーゲインGは、筐体11内における空間の電波伝搬の特性を表す量である。すなわち、アンテナX1とアンテナX2との間における電磁波の伝搬の仕方は、チャンバーゲインGによって特徴付けられる。そして、筐体11内は、電磁攪拌器12によって電磁波が攪拌されている。このため、アンテナX1が可逆性を有していると、アンテナX2を電界プローブPBから他のアンテナに換えた場合であっても、アンテナX1とアンテナX2との間における電磁波の伝搬の仕方は、チャンバーゲインGによって特徴付けられる。これは、当該場合において、アンテナX1が検出した電界と、アンテナX2が検出した電界との間には、可逆性が成り立つことを意味している。なお、電子機器Pを反射箱に入れた場合、チャンバーゲインGは、低下する場合がある。このチャンバーゲインGの低下、すなわち、変換係数の低下を補正する係数が、前述の補正係数である。
ここで、筐体11内における空間の電波伝搬の特性がチャンバーゲインGによって表される場合、図5に示した等価回路は、図6に示した等価回路のように書き換わる。図6は、筐体11内における空間の電波伝搬の特性がチャンバーゲインGによって表される場合における電磁波測定系Xの等価回路の一例を示す図である。なお、図6では、受信側回路の特性インピーダンスRrが1[Ω]として表されている。また、アンテナX1が検出した電界と、アンテナX2が検出した電界との間に可逆性が成り立つ場合、図6に示した行列が有する2つの非対角成分は、互いに等しい。このことから、図6に示した等価回路において受信回路の特性インピーダンスの両端電圧Vr1は、以下の式(8)のように算出される。
Figure 0007451975000008
一方、前述の電力源Vを送信側回路から受信側回路へと移した場合、図6に示した等価回路は、図7に示した等価回路のように書き換わる。図7は、筐体11内における空間の電波伝搬の特性がチャンバーゲインGによって表される場合における電磁波測定系Xの等価回路の他の例を示す図である。図7に示した等価回路において受信回路の特性インピーダンスの両端電圧Vr2は、以下の式(9)のように算出される。
Figure 0007451975000009
上記の式(8)と式(9)とを比較することにより、筐体11内における空間の電波伝搬の特性がチャンバーゲインGによって表される場合、アンテナX1によって検出された電界強度と、アンテナX2によって検出された電界強度との間には、可逆性が成り立つことが分かる。すなわち、ユーザは、このような入替可能原理により、図2に示したフローチャートにおいて、ステップS130及びステップS140においての第1アンテナA1の役割と、ステップS160においての第1アンテナA1の役割とを逆にすることができる。
<電子機器の放射電力の算出方法の一例>
以下、図2に示したステップS170における電子機器Pの放射電力の算出方法の一例について説明する。当該放射電力の算出は、前述した通り、ステップS160において第1アンテナA1が検出した電界を示す電圧に基づいて行われる。そして、当該電界の検出は、図4に示した電磁波測定系において行われる。図8は、図4に示した電磁波測定系の等価回路の一例を示す図である。
図8に示したR’は、第1アンテナA1の特性インピーダンスを示す。また、図8に示したVは、電子機器Pの出力電圧を示す。また、図8に示したZは、電子機器Pの特性インピーダンスを示す。また、図8に示した行列の各成分は、図4に示した電磁波測定系のZパラメータである。ここで、図8に示したlは、電子機器Pの実効長を示す。また、図8に示したGは、電子機器Pの指向性利得を示す。
図8に示した等価回路において、電子機器Pの特性インピーダンスZsの両端電圧Vは、以下の式(10)のように算出される。
Figure 0007451975000010
なお、電子機器Pの特性インピーダンスZの両端電圧Vは、図4に示した電磁波測定系において開放端電圧である。しかしながら、当該両端電圧Vは、スペクトラムアナライザ等の高周波で測定される場合、一般的に終端電圧となる。このため、当該場合、当該両端電圧Vは、以下の式(11)のように表される。
Figure 0007451975000011
ここで、置換法であることを考慮すると、以下の式(12)が成り立つ。
Figure 0007451975000012
そして、上記の式(11)及び式(12)から、以下の式(13)が導出される。
Figure 0007451975000013
また、図8に示した等価回路においても、筐体11内における空間の電波伝搬の特性は、チャンバーゲインGによって表される。このため、図8に示した行列の非対角成分は、互いに等しい。そして、電子機器Pの特性インピーダンスZに流れる電流Iは、I=V/Zであるため、上記の式(13)は、以下の式(14)のように表される。
Figure 0007451975000014
上記の式(14)は、をまとめ直すと以下の式(15)のように表すこともできる。
Figure 0007451975000015
ここで、実効長lは、以下の式(16)のように定義される。
Figure 0007451975000016
ここで、上記の式(16)に示したRは、放射抵抗を示す。また、式(16)に示したGは、絶対利得を示す。そして、式(16)の両辺にIを乗じることにより、以下の式(17)が得られる。
Figure 0007451975000017
上記の式(17)におけるWは、W=R×I によって算出される電力であり、すなわち、電子機器Pの放射電力を示す。そして、このWに絶対利得Gを乗じたGWは、実効放射電力を示す。この実効放射電力GWが、図2に示したステップS170において算出される電子機器Pの放射電力である。
上記の式(17)は、まとめ直すと以下の式(18)のように表すことができる。
Figure 0007451975000018
ここで、上記の式(18)の右辺は、電子機器Pの指向性利得Gを除いてすべて既知の量である。すなわち、ユーザは、電子機器Pの指向性利得Gを何らかの方法によって推定することができれば、式(18)を用いて、電子機器Pの実効放射電力を算出することができる。なお、例えば、電子機器Pから放射される電磁波の波長が電子機器Pの大きさに対して十分に小さい場合、電子機器Pの指向性利得Gは、電界プローブPBの指向性利得Gと等しくなる。このような性質を利用し、ユーザは、式(18)を用いて、電子機器Pの実効放射電力を算出することができる。
なお、ユーザは、以下の式(19)を用いて、電子機器Pにより放射される電磁波に応じた電界の電界強度のうち、電子機器Pから距離r離れた位置における電界強度を推定することができる。
Figure 0007451975000019
このようにして推定される電界を、ユーザは、例えば、電子機器Pの放射妨害波の強度の測定に応用することもできる。
なお、上記において説明した実施形態では、第2アンテナA2のアンテナファクタは、第1アンテナA1のアンテナファクタ以上であってもよい(すなわち、第2アンテナA2の感度は、第1アンテナA1の感度以下であってもよい)。これは、検出手段D2及び検出手段D3では、情報処理装置2の設定によって第1アンテナA1に放射させる電磁波の強度を強くすることができるため、第2アンテナA2の感度が低くても、第2アンテナA2が電界の検出を行うことができるためである。そして、これは、検出手段D4において、電子機器Pから放射される強度の弱い電磁波(更に、強度を強くすることもできない電磁波)に応じた電界を、第1アンテナA1によって検出し、第2アンテナA2によって検出する必要がないためでもある。以上のことから、電磁波測定装置1は、有効空間内の体積のうち第2アンテナにより占有される体積を小さくすることができる。同様の理由により、当該実施形態では、第1アンテナA1及び第2アンテナA2がエレメントを有するアンテナである場合、第2アンテナA2のエレメントの最大長さは、第1アンテナA1のエレメントの最大長さ以下であってもよい。また、同様の理由により、当該実施形態では、第1アンテナA1及び第2アンテナA2が開口面を有するアンテナである場合、第2アンテナA2の開口面の最大長さは、第1アンテナA1の開口面の最大長さ以下であってもよい。
また、上記において説明した実施形態では、ステップS160において電子機器Pから放射される電磁波に応じた電界を検出するアンテナが、第2アンテナA2ではなく第1アンテナA1である。このため、第2アンテナA2と接続している受信装置3は、当該電磁波に応じた電界を検出するわけではない。このことから、受信装置3のノイズフロアは、如何なる値であってもよく、例えば、電子機器Pに対する放射電力値の許容値の100分の1以上であってもよい。なお、受信装置3が情報処理装置2と一体に構成される場合、情報処理装置2のノイズフロアは、電子機器Pに対する放射電力値の許容値の100分の1以上であってもよい。
<実施形態の変形例>
以下、図9を参照し、実施形態の変形例について説明する。図9は、実施形態の変形例に係る電磁波測定装置1の構成の一例を示す図である。なお、実施形態の変形例では、実施形態と同様な構成部に対して同じ符号を付して説明を省略する。
実施形態の変形例では、第1アンテナA1は、入力された電気信号に応じた電磁波を放射するアンテナである。そして、実施形態の変形例では、第1アンテナA1は、電磁波の放射にのみ用いられるアンテナである。このため、実施形態の変形例に係る電磁波測定装置1は、実施形態において第1アンテナA1が担っていた役割、すなわち、電界の検出を行う第3アンテナA3を備える。
実施形態の変形例に係る電磁波測定装置1は、例えば、電磁波測定装置1の筐体11と、電磁攪拌器12と、第1アンテナA1と、第2アンテナA2と、第3アンテナA3を備える。なお、電磁波測定装置1は、筐体11と電磁攪拌器12と第1アンテナA1と第2アンテナA2と第3アンテナA3に加えて、他の装置、他の部材等を備える構成であってもよい。
第3アンテナA3は、電界を検出し、検出した電界に応じた電圧を出力するアンテナである。第3アンテナA3は、筐体11内において、有効空間WV内に設置される。ここで、図1に示した例では、第3アンテナA3は、情報処理装置2と接続されている。このため、当該例では、第3アンテナA3は、検出した電界に応じた電圧を示す電気信号を情報処理装置2に出力する。
ここで、ユーザは、図2に示したフローチャートに含まれる各手順を行うことにより、実施形態の変形例に係る電磁波測定装置1を用いて電子機器Pの放射電力の測定を行う場合、ステップS160において、第1アンテナA1に代えて、第3アンテナA3により電界を検出する。これにより、実施形態の変形例に係る電磁波測定装置1は、当該場合であっても、実施形態に係る電磁波測定装置1と同様の効果を得ることができる。
なお、上記において説明した実施形態の変形例では、第2アンテナA2のアンテナファクタは、第3アンテナA3のアンテナファクタ以上であってもよい(すなわち、第2アンテナA2の感度は、第3アンテナA3の感度以下であってもよい)。これは、ステップS160において電子機器Pから放射される電磁波に応じた電界を検出するアンテナが、第2アンテナA2ではなく第3アンテナA3であるためである。このため、電磁波測定装置1は、有効空間内の体積のうち第2アンテナにより占有される体積を小さくすることができる。同様の理由により、当該実施形態の変形例では、第2アンテナA2及び第3アンテナA3がエレメントを有するアンテナである場合、第2アンテナA2のエレメントの最大長さは、第3アンテナA3のエレメントの最大長さ以下であってもよい。また、同様の理由により、当該実施形態の変形例では、第2アンテナA2及び第3アンテナA3が開口面を有するアンテナである場合、第2アンテナA2の開口面の最大長さは、第3アンテナA3の開口面の最大長さ以下であってもよい。
また、上記において説明した実施形態の変形例では、ステップS160において電子機器Pから放射される電磁波に応じた電界を検出するアンテナが、第2アンテナA2ではなく第3アンテナA3である。このため、第2アンテナA2と接続している受信装置3は、当該電磁波に応じた電界を検出するわけではない。このことから、受信装置3のノイズフロアは、如何なる値であってもよく、例えば、電子機器Pに対する放射電力値の許容値の100分の1以上であってもよい。なお、受信装置3が情報処理装置2と一体に構成される場合、情報処理装置2のノイズフロアは、電子機器Pに対する放射電力値の許容値の100分の1以上であってもよい。
以上のように、実施形態に係る電磁波測定装置は、筐体と、取得した電気信号に応じた電磁波(上記において説明した例では、放射電磁波)を放射する第1アンテナ(上記において説明した例では、第1アンテナA1)と、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第2アンテナ(上記において説明した例では、第2アンテナA2)と、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第3アンテナ(上記において説明した例では、第1アンテナA1、又は、第3アンテナA3)と、筐体内の電磁波を攪拌する電磁攪拌器(上記において説明した例では、電磁攪拌器12)と、を備え、第1アンテナ及び第3アンテナは、筐体内において、筐体内における所定の有効空間(上記において説明した例では、有効空間WV)外に設置されており、第2アンテナは、筐体内において、有効空間内に設置されている。これにより、電磁波測定装置は、有効空間内の体積のうちアンテナ(すなわち、第2アンテナ)により占有される体積を小さくすることができる。
また、電磁波測定装置では、第3アンテナは、第1アンテナと一体に構成されている、構成が用いられてもよい。
また、電磁波測定装置では、第2アンテナのアンテナファクタは、第3アンテナのアンテナファクタ以上である、構成が用いられてもよい。
また、電磁波測定装置では、第2アンテナ及び第3アンテナは、エレメントを有しており、第2アンテナのエレメントの最大長さは、第3アンテナのエレメントの最大長さ以下である、構成が用いられてもよい。
また、電磁波測定装置では、第2アンテナ及び第3アンテナは、開口面を有しており、第2アンテナの開口面の最大長さは、第3アンテナの開口面の最大長さ以下である、構成が用いられてもよい。
また、電磁波測定装置は、第2アンテナに接続される受信装置を備え、受信装置のノイズフロアが、電磁波を放射する被測定物に対する放射電力値の許容値の100分の1以上である、構成が用いられてもよい。
また、電磁波測定方法では、有効空間は、前記筐体内の空間のうち、前記電磁攪拌器による電磁波の攪拌によって電界の電界強度が均一になる空間のことである、構成が用いられてもよい。
また、実施形態に係る電磁波測定方法は、筐体と、入力された電気信号に応じた電磁波を放射する第1アンテナと、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第2アンテナと、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第3アンテナと、筐体内の電磁波を攪拌する電磁攪拌器とを備えた電磁波測定装置において、第1アンテナ及び第3アンテナは、筐体内において、筐体内における所定の有効空間外に設置されており、第2アンテナは、筐体内において、有効空間内に設置されており、所定の基準状態の有効空間内に被測定物を配置し、被測定物を稼働させ、第3アンテナから出力される電圧を検出する第1検出手順(上記において説明した例では、検出手順D4)を有する。これにより、電磁波測定方法は、有効空間内の体積のうち第2アンテナにより占有される体積を小さくすることができる。
また、電磁波測定方法は、基準状態の有効空間内に電界プローブ(上記において説明した例では、電界プローブPB)を配置し、第1アンテナから電磁波を放射させ、電界プローブから出力される電圧を検出する第2検出手順(上記において説明した例では、検出手順D1)と、第1アンテナに放射させた電磁波に応じた電界の電界強度と、第2検出手順により検出された電圧とに基づいて、電界強度を電圧に変換する変換係数を算出する第1算出手順(上記において説明した例では、算出手順C1)と、第1検出手順により検出された電圧と、第1算出手順により算出された変換係数とに基づいて、被測定物の放射電力を算出する第2算出手順(上記において説明した例では、算出手順C3)と、を更に有する、構成が用いられてもよい。
また、電磁波測定方法は、有効空間内が基準状態である場合において、第1アンテナから電磁波を放射させ、第2アンテナから出力される電圧を検出する第3検出手順(上記において説明した例では、検出手順D2)と、基準状態の有効空間内に被測定物を配置し、第1アンテナから電磁波を放射させ、第2アンテナから出力される電圧を検出する第4検出手順(上記において説明した例では、検出手順D3)と、第1アンテナに放射させた電磁波に応じた電界の電界強度と、第3検出手順により検出された電圧と、第4検出手順により検出された電圧とに基づいて、変換係数を補正する補正係数を算出する第3算出手順(上記において説明した例では、算出手順C2)と、を更に有し、第2算出手順は、第1検出手順により検出された電圧と、第1算出手順により算出された変換係数と、第3算出手順により算出された補正係数と基づいて、被測定物の放射電力を算出する手順である、構成が用いられてもよい。
また、電磁波測定方法では、第3アンテナは、第1アンテナと一体に構成されている、構成が用いられてもよい。
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
1…電磁波測定装置、2…情報処理装置、3…受信装置、11…筐体、12…電磁攪拌器、A1…第1アンテナ、A2…第2アンテナ、A3…第3アンテナ、C1、C2、C3…算出手順、D1、D2、D3、D4…検出手順、P…電子機器、PB…電界プローブ、WV…有効空間

Claims (10)

  1. 筐体と、
    取得した電気信号に応じた電磁波を放射する第1アンテナと、
    電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第2アンテナと、
    電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第3アンテナと、
    前記筐体内の電磁波を攪拌する電磁攪拌器と、
    を備え、
    前記第1アンテナ及び前記第3アンテナは、前記筐体内において、前記筐体内における所定の有効空間外に設置されており、
    前記第2アンテナは、前記筐体内において、前記有効空間内に設置されており
    前記有効空間は、前記電磁攪拌器による電磁波の攪拌によって電界の電界強度のばらつきを示す量が所定量未満となる空間である、
    電磁波測定装置。
  2. 前記第3アンテナは、前記第1アンテナと一体に構成されている、
    請求項1に記載の電磁波測定装置。
  3. 前記第2アンテナのアンテナファクタは、前記第3アンテナのアンテナファクタ以上である、
    請求項1又は2に記載の電磁波測定装置。
  4. 前記第2アンテナ及び前記第3アンテナは、エレメントを有しており、
    前記第2アンテナのエレメントの最大長さは、前記第3アンテナのエレメントの最大長さ以下である、
    請求項1から3のうちいずれか一項に記載の電磁波測定装置。
  5. 前記第2アンテナ及び前記第3アンテナは、開口面を有しており、
    前記第2アンテナの開口面の最大長さは、前記第3アンテナの開口面の最大長さ以下である、
    請求項1から3のうちいずれか一項に記載の電磁波測定装置。
  6. 前記第2アンテナに接続される受信装置を備え、
    前記受信装置のノイズフロアが、電磁波を放射する被測定物に対する放射電力値の許容値の100分の1以上である、
    請求項1から5のうちいずれか一項に記載の電磁波測定装置。
  7. 筐体と、入力された電気信号に応じた電磁波を放射する第1アンテナと、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第2アンテナと、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第3アンテナと、前記筐体内の電磁波を攪拌する電磁攪拌器とを備えた電磁波測定装置において、
    前記第1アンテナ及び前記第3アンテナは、前記筐体内において、前記筐体内における所定の有効空間外に設置されており、
    前記第2アンテナは、前記筐体内において、前記有効空間内に設置されており、
    前記有効空間は、前記電磁攪拌器による電磁波の攪拌によって電界の電界強度のばらつきを示す量が所定量未満となる空間であり、
    所定の基準状態の前記有効空間内に被測定物を配置し、前記被測定物を稼働させ、前記第3アンテナから出力される電圧を検出する第1検出手順を有する、
    電磁波測定方法。
  8. 筐体と、入力された電気信号に応じた電磁波を放射する第1アンテナと、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第2アンテナと、電界の電界強度を検出し、検出した電界強度に応じた電圧を出力する第3アンテナと、前記筐体内の電磁波を攪拌する電磁攪拌器とを備えた電磁波測定装置において、
    前記第1アンテナ及び前記第3アンテナは、前記筐体内において、前記筐体内における所定の有効空間外に設置されており、
    前記第2アンテナは、前記筐体内において、前記有効空間内に設置されており、
    所定の基準状態の前記有効空間内に被測定物を配置し、前記被測定物を稼働させ、前記第3アンテナから出力される電圧を検出する第1検出手順と、
    前記基準状態の前記有効空間内に電界プローブを配置し、前記第1アンテナから電磁波を放射させ、前記電界プローブから出力される電圧を検出する第2検出手順と、
    前記第1アンテナに放射させた電磁波に応じた電界の電界強度と、前記第2検出手順により検出された電圧とに基づいて、電界強度を電圧に変換する変換係数を算出する第1算出手順と、
    前記第1検出手順により検出された電圧と、前記第1算出手順により算出された前記変換係数とに基づいて、前記被測定物の放射電力を算出する第2算出手順と、
    を有する、
    磁波測定方法。
  9. 前記有効空間内が前記基準状態である場合において、前記第1アンテナから電磁波を放射させ、前記第2アンテナから出力される電圧を検出する第3検出手順と、
    前記基準状態の前記有効空間内に前記被測定物を配置し、前記第1アンテナから電磁波を放射させ、前記第2アンテナから出力される電圧を検出する第4検出手順と、
    前記第1アンテナに放射させた電磁波に応じた電界の電界強度と、前記第3検出手順により検出された電圧と、前記第4検出手順により検出された電圧とに基づいて、前記変換係数を補正する補正係数を算出する第3算出手順と、
    を更に有し、
    前記第2算出手順は、前記第1検出手順により検出された電圧と、前記第1算出手順により算出された前記変換係数と、前記第3算出手順により算出された前記補正係数と基づいて、前記被測定物の放射電力を算出する手順である、
    請求項に記載の電磁波測定方法。
  10. 前記第3アンテナは、前記第1アンテナと一体に構成されている、
    請求項からのうちいずれか一項に記載の電磁波測定方法。
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