以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。なお、特に説明しない限り、本願において軸方向とは、内管の中心線の方向を意味する。下記の実施形態では、内管の中心線は、外管の中心線に一致している。特に説明しない限り、本願において周方向とは、内管の周方向を意味する。下記の実施形態では、内管の周方向は、外管の周方向に一致している。特に説明しない限り、本願において半径方向とは、内管の半径方向を意味する。下記の実施形態では、内管の半径方向は、外管の半径方向に一致している。
本願では、「管中央側」及び「管端側」との文言が用いられる。「管中央側」とは二重管の中央側を意味する。「管端側」とは、管中央側の反対側を意味する。
本願では、各部品の説明においても、二重管での状態に基づいて、軸方向、周方向、半径方向、管中央側及び管端側との用語が用いられる。
図1は、第1実施形態の二重管100と第2実施形態の二重管300とを含む流体取扱装置10の斜視図である。流体取扱装置10は、本開示の二重管の用途の一例である。本開示の二重管は、流体を通すあらゆる用途に用いられうる。本実施形態の流体取扱装置10は、流体を排出する装置である。本実施形態では、流体は液体である。本実施形態では、流体は水である。二重管100は、通水管である。二重管300は、通水管である。二重管100は二重管300に接続されうる。
流体取扱装置10は、本体部12と、把持操作部14とを有する。本実施形態では、本体部12が2つに分離している。本体部12は、第1の本体部16と、第2の本体部18とを有する。本体部12(本体部16)は、ホースを介して水栓に接続されている。本実施形態では、本体部12(本体部16)が流体駆動部20を有する。流体駆動部20は、水を昇圧するポンプである。このポンプは、加圧ポンプである。第2の本体部18は、ホースリールである。把持操作部14は、ホースを介して本体部12(本体部16)に接続されている。ポンプの種類は限定されず、本実施形態では容積式ポンプの一種である往復ポンプ(ダイヤフラムポンプ)が用いられている。なお、本体部12は、2つ以上に分離していなくてもよい。また、本体部16のみが流体取扱装置10の本体部とみなされ、ホースリールは本体部から除外されてもよい。
流体取扱装置10は、水栓に接続して用いられうる。流体取扱装置10は、散水機(散水ノズル装置)である。流体取扱装置10は、洗浄機(洗浄ノズル装置)である。流体取扱装置10は、水道水圧を昇圧して散水できる装置である。水道水圧は、0.15MPa以上が基準とされており、典型的には0.2MPa以上0.3MPa以下である。昇圧後の水圧は限定されない。本実施形態では、昇圧後の水圧は、例えば0.5MPa以上3.0MPa以下、更には0.5MPa以上1.0MPa以下とすることができる。流体取扱装置10は、洗浄、散水などの用途に使用されうる。
本開示では、把持操作部14は、吐水ノズルである。把持操作部14は、グリップ部22と、流体口24と、延在部26とを有する。流体口24は、吐水ノズルの吐出口である。流体口24は、吐水口である。
グリップ部22は、使用者によって握られる部分である。グリップ部22は、操作により吐水と止水とを切り換えうる切替部28を有する。切替部28は押圧スイッチである。切替部28は、オルタネイト動作で、吐水と止水とを切り換える。片手でグリップ部22を把持することで、把持操作部14の姿勢及び位置を制御しながら、吐止水の切替をすることができる。グリップ部22の内部には、流体が通る流路が形成されている。グリップ部22の後端部は、ホースを介して本体部16に接続されている。グリップ部22の先端部は、延在部26に接続されている。
流体口24では、流体が吐出又は吸引される。本開示では、流体口24では、水が吐出される。流体口24は、グリップ部22及び延在部26の内部で連通する流路の出口である。流体口24は、先端部30に形成されている。把持操作部14は先端部30を有しており、先端部30が流体口24を有している。先端部30は、延在部26に、取り外し可能に取り付けられている。先端部30は、交換可能である。
延在部26は、グリップ部22と先端部30との間に延びている。延在部26は、グリップ部22と流体口24との間に延びている。延在部26は流体を通しうる管状部である。延在部26の内部には、グリップ部22の内部の流路と連通し流体が通る流路が形成されている。本開示では、延在部26は真っ直ぐに延びている。延在部26は、曲がっていても良い。延在部26の第1端(後端)はグリップ部22に接続されている。延在部26の第1端(後端)は、グリップ部22に、取り外し可能に取り付けられている。延在部26の第2端(先端)は、先端部30に接続されている。延在部26の第2端(先端)は、先端部30に、取り外し可能に取り付けられている。
延在部26により、流体口24がグリップ部22から離れる。延在部26により、把持操作部14の長さが確保される。延在部26により、狙った場所に流体(水)を噴射することが容易となる。
把持操作部14は複数の分割体に分割されるように構成されている。これらの分割体は、グリップ部22、先端部30、第1分割体32及び第2分割体34である。第1分割体32は、延在部26の一部である。第2分割体34は、延在部26の一部である。延在部26は、第1分割体32と第2分割体34とから構成されている。グリップ部22は、ホースに取り外し可能に結合されている。これらの分割体同士は、取り外し可能に結合されている。分割体同士は、公知の方法で結合されている。把持操作部14の分解及び再組み立ては容易である。
第1分割体32及び第2分割体34は、本体部16の取っ手として、本体部16に取り付けられうる。本体部16は、取っ手装着部36を有する。第1分割体32及び第2分割体34は、取っ手装着部36に、取り外し可能に取り付けられる。第1分割体32と第2分割体34とは、互いに平行な状態で、取っ手装着部36に取り付けられる。
第1分割体32は、本開示の第1実施形態である二重管100である。二重管100は、延在部26の一部を構成する。二重管100は、延在部26におけるグリップ側の部分を構成する。第2分割体34は、本開示の第2実施形態である二重管300である。二重管300は、延在部26の一部を構成する。二重管300は、延在部26における先端部30側の部分を構成する。延在部26は、二重管100と二重管300とで構成されている。延在部26は、グリップ部22と流体口(吐水口)24との間に延びる通水管である。
図2は、本開示の第1実施形態である二重管100の平面図である。図3は、二重管100の一部切欠き斜視図である。図4は、図2のA-A線に沿った断面図である。
二重管100は、第1端100aと、第2端100bとを有する。第1端100aは、二重管100の一方側の端である。第2端100bは、二重管100の他方側の端である。
二重管100は、内管102を有する。図4が示すように、内管102は、第1端部104と、第1端面106と、第2端部108と、第2端面110とを有する。内管102は、真っ直ぐな管である。内管102は、流路f1を構成している。内管102の内部空間が、流路f1である。本実施形態では、流路f1は通水路である。内管102は、外周面102aと内周面102bとを有している。内管102の内径は一定である。内管102の外径は一定である。内管102は、外側から視認されない。
二重管100は、外管112を有する。図4が示すように、外管112は、第1端部114と、第1端面116と、第2端部118と、第2端面120とを有する。外管112は、真っ直ぐな管である。外管112は、外周面112aと内周面112bとを有している。図2が示すように、外管112(外周面112a)は二重管100の外面を構成している。外管112の内径は一定である。外管112の外径は一定である。
外管112は、第1係止孔122と第2係止孔124とを有する。第1係止孔122は、第1端部114に設けられている。第1係止孔122は、外管112の周壁を貫通している。第1係止孔122は、外周面112aから内周面112bまで貫通している。第2係止孔124は、第2端部118に設けられている。第2係止孔124は、外管112の周壁を貫通している。第2係止孔124は、外周面112aから内周面112bまで貫通している。第1係止孔122と第2係止孔124とは同じ形状である。第1係止孔122と第2係止孔124とは、係止孔126と総称される。
二重管100は、第1接続部材130を有する。第1接続部材130は、外管112の第1端部114に固定されている。第1接続部材130の内側には、内管102の第1端部104が挿入されている。二重管100の第1端100aは、第1接続部材130の管端側の端面131である。
二重管100は、第2接続部材150を有する。第2接続部材150は、外管112の第2端部118に固定されている。第2接続部材150の内側には、内管102の第2端部108が挿入されている。二重管100の第2端100bは、第2接続部材150の管端側の端面151である。
二重管100は、第1内管シール部材170を有する。第1内管シール部材170は環状である。第1内管シール部材170はOリングである。第1内管シール部材170に内管102の第1端部104が挿入されている。第1内管シール部材170の内側に外周面102aが密着している。第1内管シール部材170は、内管102の第1端部104と第1接続部材130との間をシールしている。
二重管100は、第2内管シール部材172を有する。第2内管シール部材172は環状である。第2内管シール部材172はOリングである。第2内管シール部材172に内管102の第2端部108が挿入されている。第2内管シール部材172の内側に外周面102aが密着している。第2内管シール部材172は、内管102の第2端部108と第2接続部材150との間をシールしている。第2内管シール部材172は、第1内管シール部材170と同じ部材である。第1内管シール部材170及び第2内管シール部材172は、内管シール部材174と総称される。
二重管100は、第1シール押さえ部材180を有する。第1シール押さえ部材180は、第1接続部材130に取り付けられている。第1シール押さえ部材180は、第1内管シール部材170の軸方向位置を規制する。
二重管100は、第2シール押さえ部材182を有する。第2シール押さえ部材182は、第2接続部材150に取り付けられている。第2シール押さえ部材182は、第2内管シール部材172の軸方向位置を規制する。第2シール押さえ部材182は、第1シール押さえ部材180と同じ部材である。第1シール押さえ部材180及び第2シール押さえ部材182は、シール押さえ部材184と総称される。
二重管100は、第1係止部材200を有している。第1係止部材200は、係止孔126(第1係止孔122)に挿入されている。第1係止部材200は、外管112の第1端部114に第1接続部材130を固定している。
二重管100は、第2係止部材202を有している。第2係止部材202は、係止孔126(第2係止孔124)に挿入されている。第2係止部材202は、外管112の第2端部118に第2接続部材150を固定している。第2係止部材202は、第1係止部材200と同じ部材である。第1係止部材200及び第2係止部材202は、係止部材204と総称される。
図5(a)は第1接続部材130の斜視図であり、図5(b)は第1接続部材130の平面図であり、図5(c)は図5(b)のc-c線に沿った断面図である。なおこれらの図面では、接続シール部材138の記載が省略されている。
第1接続部材130は、内部に空洞を有する管状部材である。第1接続部材130の外形は、この第1接続部材130が接続される他部材(グリップ部22)の接続部に対応した形状を有している。
第1接続部材130は、管端側開口132と、管中央側開口134とを有する。第1接続部材130は、その外面に、シール部材配置部136を有する。シール部材配置部136は、円周に沿って延びる溝である。シール部材配置部136に、接続シール部材138が配置されている(図4参照)。
第1接続部材130は、被係止部E1を有する。被係止部E1は、第1接続部材130の外面に形成された凹凸部である。被係止部E1は、係止部材204(第1係止部材200)に係合される。係止部材204は、第1接続部材130の被係止部E1及び外管112の係止孔126(第1係止孔122)と係合することで、外管112に第1接続部材130を固定している。
図5(c)が示すように、第1接続部材130の内面は、シール位置規定面140を有する。シール位置規定面140は、管中央側に向いた面である。シール位置規定面140は、第1接続部材130の内径が管中央側から管端側に向かって小さくなることで形成された段差面である。シール位置規定面140よりも管中央側の部分に、シール押さえ部材184(第1シール押さえ部材180)が挿入される。シール押さえ部材184の先端とシール位置規定面140との間に、内管シール部材174(第1内管シール部材170)が配置されている(図4参照)。
図5(c)が示すように、第1接続部材130の内面は、内管位置規定部142を有する。内管位置規定部142は、管中央側に向いた面である。内管位置規定部142は、第1接続部材130の内径が管中央側から管端側に向かって小さくなることで形成された段差面である。内管位置規定部142よりも管中央側の部分に、内管102(第1端部104)が挿入される。内管位置規定部142は、内管102の端面111(第1端面106)に対向している(図4参照)。内管位置規定部142よりも管端側には、管端孔144が形成されている。管端孔144は、内管位置規定部142から管端側開口132まで延びている。管端孔144の内径は、内管102の外径よりも小さい。内管位置規定部142に内管102の端面111(第1端面106)が当たることで、内管102の管端側への移動が阻止される。
第1接続部材130は、内径が内管102の外径に略等しい内管対応部146を有する。シール位置規定面140から内管位置規定部142までの部分が、内管対応部146である。内管102の外径がD1とされ、内管対応部146の内径がDsとされる。内径Dsは、外径D1と同じでもよい。内管102の円滑な挿入の観点、及び、内管102の熱膨張の観点から、内径Dsは外径D1よりも大きいのが好ましい。一方、内管102の支持により第1接続部材130の変形を抑制し、第1接続部材130の強度を高める観点から、差(Ds-D1)は最小限とされるのが好ましい。これらの観点から、差(Ds-D1)は、0.1mm以上0.5mm以下が好ましい。内径Ds及び外径D1は、20℃の環境下で測定される。
第1接続部材130は、管中央側の端面147を有する。端面147の内側は、管中央側開口134である。
第1接続部材130は、外管112に挿入されて外管112に覆われる外管包囲部148を有する。外管包囲部148は、外管112の内周面に当接する当接面と当該当接面よりも凹んだ面とを有し、外管112に圧入されている。外管包囲部148は、被係止部E1を含む。外管包囲部148は、シール押さえ部材184が挿入される部分(シール押さえ挿入部364)を含む。
図6(a)は第2接続部材150の斜視図であり、図6(b)は第2接続部材150の平面図であり、図6(c)は図6(b)のc-c線に沿った断面図である。なお、図6(b)は、図6(a)の斜視図を基準とすると、側面図である。これらの図面では、接続シール部材158の記載が省略されている。
第2接続部材150は、内部に空洞部を有する管状部材である。第2接続部材150の外形は、この第2接続部材150が接続される部材(二重管300の第1接続部材330)に対応した形状を有している。
第2接続部材150は、管端側開口152と、管中央側開口154とを有する。第2接続部材150は、その外面に、シール部材配置部156を有する。シール部材配置部156は、円周に沿って延びる溝である。シール部材配置部156に、接続シール部材158が配置されている(図4参照)。
第2接続部材150は、被係止部E1を有する。被係止部E1は、第2接続部材150の外面に形成された凹凸部である。被係止部E1は、係止部材204(第2係止部材202)に係合される。係止部材204は、第2接続部材150の被係止部E1及び外管112の係止孔126(第2係止孔124)と係合することで、外管112に第2接続部材150を固定している。第2接続部材150の被係止部E1の形状は、第1接続部材130の被係止部E1の形状と同じである。
図6(c)が示すように、第2接続部材150の内面は、シール位置規定面160を有する。シール位置規定面160は、管中央側に向いた面である。シール位置規定面160は、第2接続部材150の内径が管中央側から管端側に向かって小さくなることで形成された段差面である。第1当接部160よりも管中央側の部分に、シール押さえ部材184(第1シール押さえ部材180)が挿入される。シール押さえ部材184の先端190とシール位置規定面160との間に、内管シール部材174(第2内管シール部材172)が配置されている(図3の拡大部A、B及び図4参照)。
図6(c)が示すように、第2接続部材150の内面は、内管位置規定部162を有する。内管位置規定部162は、管中央側に向いた面である。内管位置規定部162は、第2接続部材150の内径が管中央側から管端側に向かって小さくなることで形成された段差面である。内管位置規定部162よりも管中央側の部分に、内管102(第2端部108)が挿入される。内管位置規定部162は、内管102の端面111(第2端面110)に対向している(図4参照)。内管位置規定部162よりも管端側には、管端孔164が形成されている。管端孔164は、内管位置規定部162から管端側開口152まで延びている。管端孔164の内径は、内管102の外径よりも小さい。内管位置規定部162に内管102の端面111(第2端面110)が当たることで、内管102の管端側への移動が阻止される。
第2接続部材150は、内径が内管102の外径に略等しい内管対応部166を有する。シール位置規定面160から内管位置規定部162までの部分が、内管対応部166である。前述の通り、内管対応部166の内径Dsと内管102の外径D1との差(Ds-D1)は、0.1mm以上0.5mm以下が好ましい。
第2接続部材150は、管中央側の端面167を有する。端面167の内側は、管中央側開口154である。
第2接続部材150は、外管112に挿入されて外管112に覆われる外管包囲部168を有する。外管包囲部168は、外管112の内周面に当接する当接面と当該当接面よりも凹んだ面とを有し、外管112に圧入されている。外管包囲部168は、被係止部E1を含む。外管包囲部168は、シール押さえ部材184が挿入される部分(シール押さえ挿入部364)を含む。
図7は、本開示の第2実施形態である二重管300の平面図である。図8は、二重管300の一部切欠き斜視図である。図9は、図7のA-A線に沿った断面図である。
二重管300は、第1端300aと、第2端300bとを有する。第1端300aは、二重管300の一方側の端である。第2端300bは、二重管300の他方側の端である。
二重管300は、内管102を有する。内管102は、第1実施形態の内管と同じである。図9が示すように、内管102は、第1端部104と、第1端面106と、第2端部108と、第2端面110とを有する。内管102は、真っ直ぐな管である。内管102は、流路f1を構成している。内管102の内部空間が、流路f1である。内管102は、外周面102aと内周面102bとを有している。内管102の内径は一定である。内管102の外径は一定である。内管102は、外側から視認されない。第1端面106及び第2端面110は、端面111と総称される。内管102は、通水管である。
二重管300は、外管112を有する。外管112は、第1実施形態の外管と同じである。図9が示すように、外管112は、第1端部114と、第1端面116と、第2端部118と、第2端面120とを有する。外管112は、真っ直ぐな管である。外管112は、外周面112aと内周面112bとを有している。図7が示すように、外管112(外周面112a)は二重管300の外面を構成している。外管112の内径は一定である。外管112の外径は一定である。
外管112は、第1係止孔122と第2係止孔124とを有する。第1係止孔122は、第1端部114に設けられている。第1係止孔122は、外周面112aから内周面112bまで貫通している。第2係止孔124は、第2端部118に設けられている。第2係止孔124は、外周面112aから内周面112bまで貫通している。第1係止孔122と第2係止孔124とは同じ形状である。第1係止孔122と第2係止孔124とは、係止孔126と総称される。
二重管300は、第1接続部材330を有する。第1接続部材330は、外管112の第1端部114に固定されている。第1接続部材330の内側には、内管102の第1端部104が挿入されている。二重管300の第1端300aは、第1接続部材330の管端側の端面331である。
二重管300は、第2接続部材150を有する。第2接続部材150は、第1実施形態の第2接続部材と同じである。第2接続部材150は、外管112の第2端部118に固定されている。第2接続部材150の内側には、内管102の第2端部108が挿入されている。二重管300の第2端300bは、第2接続部材150の管端側の端面151である。
二重管300は、第1内管シール部材170を有する。第1内管シール部材170は環状である。第1内管シール部材170はOリングである。第1内管シール部材170に内管102の第1端部104が挿入されている。第1内管シール部材170の内側に外周面102aが密着している。第1内管シール部材170は、内管102の第1端部104と第1接続部材330との間をシールしている。
二重管300は、第2内管シール部材172を有する。第2内管シール部材172は環状である。第2内管シール部材172はOリングである。第2内管シール部材172に内管102の第2端部108が挿入されている。第2内管シール部材172の内側に外周面102aが密着している。第2内管シール部材172は、内管102の第2端部108と第2接続部材150との間をシールしている。第2内管シール部材172は、第1内管シール部材170と同じ部材である。第1内管シール部材170及び第2内管シール部材172は、内管シール部材174と総称される。内管シール部材174は、第1実施形態の内管シール部材と同じである。
二重管300は、第1シール押さえ部材180を有する。第1シール押さえ部材180は、第1接続部材330に取り付けられている。第1シール押さえ部材180は、第1内管シール部材170の軸方向位置を規制する。
二重管300は、第2シール押さえ部材182を有する。第2シール押さえ部材182は、第2接続部材150に取り付けられている。第2シール押さえ部材182は、第2内管シール部材172の軸方向位置を規制する。第2シール押さえ部材182は、第1シール押さえ部材180と同じ部材である。第1シール押さえ部材180及び第2シール押さえ部材182は、シール押さえ部材184と総称される。シール押さえ部材184は、第1実施形態のシール押さえ部材と同じである。
二重管300は、第1係止部材200を有している。第1係止部材200は、係止孔126(第1係止孔122)に挿入されている。第1係止部材200は、外管112の第1端部114に第1接続部材330を固定している。
二重管300は、第2係止部材202を有している。第2係止部材202は、係止孔126(第2係止孔124)に挿入されている。第2係止部材202は、外管112の第2端部118に第2接続部材150を固定している。第2係止部材202は、第1係止部材200と同じ部材である。第1係止部材200及び第2係止部材202は、係止部材204と総称される。係止部材204は、第1実施形態の係止部材と同じである。
図10(a)は第1接続部材330の斜視図であり、図10(b)は第1接続部材330の平面図であり、図5(c)は図5(b)のc-c線に沿った断面図である。なおこれらの図面では、接続シール部材338の記載が省略されている。
第1接続部材330は、内部に空洞を有する管状部材である。第1接続部材330の外形は、この第1接続部材330が接続される他部材(二重管100の第2接続部材150)に対応した形状を有している。
第1接続部材330は、管端側開口332と、管中央側開口334とを有する。第1接続部材330は、シール部材配置部を有さない。第1接続部材330は、接続シール部材を有さない。
第1接続部材330は、被係止部E1を有する。被係止部E1は、第1接続部材330の外面に形成された凹凸部である。被係止部E1は、係止部材204(第1係止部材200)に係合される。係止部材204は、第1接続部材330の被係止部E1及び外管112の係止孔126(第1係止孔122)と係合することで、外管112に第1接続部材330を固定している。
図10(c)が示すように、第1接続部材330の内面は、シール位置規定面340を有する。シール位置規定面340は、管中央側に向いた面である。シール位置規定面340は、第1接続部材330の内径が管中央側から管端側に向かって小さくなることで形成された段差面である。シール位置規定面340よりも管中央側の部分に、シール押さえ部材184(第1シール押さえ部材180)が挿入される。シール押さえ部材184の先端190とシール位置規定面340との間に、内管シール部材174(第1内管シール部材170)が配置されている(図8の拡大部及び図9参照)。
図10(c)が示すように、第1接続部材330の内面は、内管位置規定部342を有する。内管位置規定部342は、管中央側に向いた面である。内管位置規定部342は、第1接続部材330の内径が管中央側から管端側に向かって小さくなることで形成された段差面である。内管位置規定部342よりも管中央側の部分に、内管102(第1端部104)が挿入される。内管位置規定部342は、内管102の端面(第1端面106)に対向している(図9参照)。内管位置規定部342よりも管端側には、管端孔344が形成されている。管端孔344は、内管位置規定部342から管端側に延びている。管端孔344の内径は、内管102の外径よりも小さい。内管位置規定部342に内管102の端面(第1端面106)が当たることで、内管102の管端側への移動が阻止される。
第1接続部材330は、内径が内管102の外径に略等しい内管対応部346を有する。シール位置規定面340から内管位置規定部342までの部分が、内管対応部346である。
第1接続部材330は、管中央側の端面347を有する。端面347の内側は、管中央側開口334である。
第1接続部材330は、外管112に挿入されて外管112に覆われる外管包囲部348を有する。外管包囲部348は、外管112の内周面に当接する当接面と当該当接面よりも凹んだ面とを有し、外管112に圧入されている。外管包囲部348は、被係止部E1を含む。外管包囲部348は、シール押さえ部材184が挿入される部分(シール押さえ挿入部364)を含む。
第1接続部材330は、接続受容部350を有する。接続受容部350は、管端孔344よりも管端側に設けられている。接続受容部350は、第1接続部材330の管端側の端面331から管中央側に延びる空洞部352を形成している。この接続受容部350に、第1接続部材330に接続される部材(二重管100の第2接続部材150)が挿入される。接続受容部350の内面の形状は、この挿入される部材の形状に対応している。接続受容部350の雌ねじ部s1に、第2接続部材150の雄ねじ部s2が締結される。
二重管300の第2接続部材150及びその取り付け構造は、二重管100と同じである(図9参照)。
第1接続部材130、第2接続部材150及び第1接続部材330は、二重管の管端部を構成し、二重管と他部材との接続を可能としている。また、第1接続部材130、第2接続部材150及び第1接続部材330は、その内側に挿入される内管102を支持しつつ、その外側を包囲する外管112に固定されている。第1接続部材130、第2接続部材150及び第1接続部材330は共通の機能を有する。第1接続部材130、第2接続部材150及び第1接続部材330は、接続部材360と総称される。
各接続部材360において、管中央側開口134、154及び334からシール押さえ部材184が差し込まれ、更にこのシール押さえ部材184の内側に内管102が差し込まれることで、内管シール部材174が固定される。管中央側開口134、154及び334は共通の機能を有する。管中央側開口134、154及び334は管中央側開口370と総称される。
管中央側の端面147、167及び347には、シール押さえ部材184のフランジ部が当接する。管中央側の端面147、167及び347は共通の機能を有する。管中央側の端面147、167及び347は、管中央側の端面380と総称される。
各接続部材360において、外管包囲部148、168及び348は、外管112の内側に差し込まれ、外管112を支持する。また外管包囲部148、168及び348には被係止部E1が設けられ、係止部材204を介して接続部材360を外管112に固定する。外管包囲部148、168及び348は共通の機能を有する。外管包囲部148、168及び348は、外管包囲部390と総称される。
各接続部材360において、内管位置規定部142、162及び342は、内管102の端面111と対向しており、端面111と当接することで内管102の軸方向における移動を制限する。内管位置規定部142、162及び342は共通の機能を有する。内管位置規定部142、162及び342は、内管位置規定部400と総称される。
各接続部材360において、シール位置規定面140、160及び340は、シール押さえ部材184との協働により第1内管シール部材170の軸方向移動を規制している。シール位置規定面140、160及び340は共通の機能を有する。シール位置規定面140、160及び340は、シール位置規定面410と総称される。
各接続部材360において、内管対応部146、166及び346は、最小限の内径で内管102が挿入されうる部分を構成している。内管対応部146、166及び346は共通の機能を有する。内管対応部146、166及び346は、内管対応部420と総称される。
図11(a)はシール押さえ部材184の斜視図であり、図11(b)はシール押さえ部材184の平面図であり、図11(c)はシール押さえ部材184の正面図であり、図11(d)はシール押さえ部材184の側面図である。
シール押さえ部材184は、内部が空洞の円筒部材である。シール押さえ部材184は、フランジ部186と、挿入部188とを有する。フランジ部186は、シール押さえ部材184の管中央側の端部を形成している。挿入部188は、フランジ部186よりも管端側に位置する。挿入部188は、接続部材130、150、330に挿入される。挿入部188は、先端190を有する。先端190は、端面を形成している。先端190は、シール押さえ部材184の管端側の端である。
挿入部188は、撓み部192と円筒部194とを有している。円筒部194の周方向における複数箇所(2箇所)に欠落部(切欠き)k1が設けられており(図11(d))参照)、この欠落部k1のそれぞれに、撓み部192が設けられている。
撓み部192は、傾斜面192aと係合面192bと延在部192cとを有する。傾斜面192a及び係合面192bは、撓み部192の先端部192dを構成している。傾斜面192aは、先端190側(管端側)にいくにつれて円筒部194の中心線Z1に近づくように傾斜している。係合面192bは、傾斜面192aの管中央側に位置する。傾斜面192aは、管中央側を向いた面である。係合面192bは、中心線Z1に対して垂直である。係合面192bは、傾斜面192aと延在部192cとの間に位置する。延在部192cは、フランジ部186と先端部192dとの間に延びている。
撓み部192は、内面192eを有する(図11(b)参照)。円筒部194の内周面194aと共に、撓み部192の内面192eも、シール押さえ部材184の内周面184aを構成している。
撓み部192は、その管中央側の根元部のみでフランジ部186に繋がっている。撓み部192は、管中央側のみが支持された片持ち状態にある。撓み部192の先端部192dは自由端とされている。
傾斜面192a及び係合面192bは、円筒部194の外周面194bよりも半径方向外側に位置する。先端部192dを半径方向内側に押圧することで、撓み部192が撓む。この撓みにより、先端部192dが半径方向内側に変位する。この変位により、傾斜面192a及び係合面192bが外周面194bの半径方向内側に収まる。撓み部192の撓みに伴い、撓み部192の内面192eは、円筒部194の内周面194aよりも半径方向内側に変位する。半径方向とは、円筒部194の半径方向である。
図12は、シール押さえ部材184の近傍を示す拡大断面図である。シール押さえ部材184に係る構造は、第1及び第2実施形態の合計4箇所において同じである。
シール押さえ部材184は、管中央側の端面380から接続部材360に差し込まれる。シール押さえ部材184は、スナップ係合(後述)が形成される位置まで挿入される。フランジ部186が端面380に当接する位置まで挿入されると、スナップ係合の形成が確認される。接続部材360は、シール押さえ部材184の撓み部192と係合するスナップ係合部362を有する。本実施形態では、スナップ係合部362は、接続部材360の内面から外面まで貫通する貫通孔である(図5(a)、図6(a)及び図10(a)参照)。スナップ係合部362の位置は、撓み部192の先端部192dの位置に対応している。先端部192dがスナップ係合部362に入り込み、係合面192bがスナップ係合部362に係合する。この係合により、シール押さえ部材184の抜けが防止される。
シール押さえ部材184を接続部材360に挿入する際には、撓み部192を撓ませて、管中央側開口370を通る位置まで先端部192dを変位させる。この撓みは、先端部192dを押すか、又は傾斜面192aを管中央側開口370の内縁に押し付けることで達成されうる。挿入中は、先端部192dは接続部材360の内面で押さえられ、撓み部192の撓み変形が維持される。挿入が進行し、先端部192dが接続部材360の位置に達すると、先端部192dがスナップ係合部362に入り込み、撓み部192の弾性変形が解消される。この撓み部192とスナップ係合部362との係合が、スナップ係合とも称される。
内管102がシール押さえ部材184に挿入されると、撓み部192の半径方向内側への撓みは内管102によって阻止される。シール押さえ部材184の挿入が完了した後、内管102をシール押さえ部材184に挿入することで、前記スナップ係合は解除されない。内管102の挿入により、シール押さえ部材184の外れが防止される。
シール押さえ部材184が挿入される際には、内管シール部材174が先に接続部材360に挿入される。シール押さえ部材184の挿入中に、内管シール部材174は先端190に押されて奥に移動する。シール押さえ部材184の挿入が完了すると、内管シール部材174は、先端190とシール位置規定面410との間に位置決めされる。
図13は、二重管100、300の組立工程を示す工程図である。この組立では、内管シール部材174を押込みつつ、シール押さえ部材184を接続部材360のシール押さえ挿入部364に挿入する(ステップSt1)。ステップSt1により、前記スナップ係合が達成され、内管シール部材174が所定の位置に配置される。
次に、内管102が管中央側から接続部材360に挿入される(ステップSt2)。ステップSt2により、内管102は、シール押さえ部材184の内側を貫通して、シール押さえ部材184よりも管端側に位置する内管対応部420に到達している。
次に、外管112に外管包囲部390が挿入される(ステップSt3)。ステップSt3では、被係止部E1と係止孔126とが係止部材204を介して係合できるように、被係止部E1と係止孔126との位置関係が調整される。
次に、係止部材204が装着される(ステップSt4)。ステップSt4では、係止部材204が係止孔126から半径方向内側に押し込まれる。ステップSt4により、二重管の第1端部における組立が完了する。二重管の第2端部においても同様の組立を行うことで、二重管が完成する。
図14(a)は係止部材204の斜視図であり、図14(b)は係止部材204の平面図であり、図14(c)は係止部材204の正面図であり、図14(d)は係止部材204の側面図である。図15は、図2のB-B線に沿った断面図である。二重管100及び二重管300における合計4つの係止部材204の取付構造は同一である。
係止部材204は、中央部206と、中央部206の一方側に延びる第1アーム部208と、中央部206の他方側に延びる第2アーム部210とを有する。第1アーム部208と第2アーム部210とを総称して、アーム部212と称する。
中央部206は、外面214を有する。外面214は、円筒面を構成している。二重管100、300において、外面214は、係止孔126内に、外管112の外周面112aに略一致する曲面を形成する(図3の拡大部A参照)。
中央部206は、側面突起216を有する。側面突起216は、中央部206の側面に設けられた小さな突起である。側面突起216は、複数箇所(4箇所)に設けられている。
第1アーム部208は、外面208aと内面208bとを有する。外面208aは、凸曲面である。内面208bは、凹曲面である。第2アーム部210は、外面210aと内面210bとを有する。210aは、凸曲面である。内面210bは、凹曲面である。内面208b及び内面210bは、(共通の)仮想円筒面CS1に沿って延びている。外面208a及び外面210aは、(共通の)仮想円筒面CS2に沿って延びている。
係止部材204では、仮想円筒面CS1に基づいて、軸方向、周方向及び半径方向が定められる。係止部材204の説明において、軸方向、周方向及び半径方向は、それぞれ、仮想円筒面CS1の軸方向、周方向及び半径方向である。ただし、本実施形態では、仮想円筒面CS1の軸方向、周方向及び半径方向は、それぞれ、内管102の軸方向、周方向及び半径方向に一致している。
内面208b及び内面210bは、仮想円筒面CS1に完全に沿っていなくてもよい。換言すれば、仮想円筒面CS1は、内面208b及び内面210bを含んでいなくてもよい。仮想円筒面CS1は、次のように決定される。内面208b、210bと円筒面との間の隙間の体積ができるだけ小さくなる状態で、半径の異なる円筒面を内面208b、210bに当接させるとき、この隙間の体積を最小とする円筒面が、仮想円筒面CS1と定義される。仮想円筒面CS1の決定において、係止部材204は、外力による弾性変形が生じていない自然状態とされる。仮想円筒面CS2の中心軸は、仮想円周面CS1の中心軸L1と共通である。外面208a及び外面210aは、仮想円筒面CS2に完全に沿っていなくてもよい。仮想円筒面CS2は、少なくとも1箇所において外面208a又は外面210aに接している。
係止部材204は、面対称性を有する。係止部材204は、対称面PS1を有している。この対称面PS1は、仮想円筒面CS1の中心線L1を含んでいる。中心軸L1は図14において点で示されている。係止部材204は、この対称面PS1に関して面対称である(図14(b)参照)。係止部材204は、仮想円筒面CS1の中心軸L1に垂直な対称面PS2を有しており、この対称面PS2に関して面対称である。係止部材204は、2回回転対称である。このため、係止部材204は、取り付け方向の自由度に優れる。
係止部材204は、内側係合部220を有する(図14(c)参照)。内側係合部220は、中央部206の内側(半径方向内側)に設けられている。内側係合部220は、凹部である。内側係合部220は、半径方向内側に向かって開放されている。内側係合部220は、軸方向に沿って延びる溝部を構成している。内側係合部220は、貫通孔であってもよい。
内側係合部220は、開口222を有する。更に、内側係合部220は、互いに対向する第1側面224及び第2側面226を有する。
図14(c)において両矢印W1で示されるのは、内側係合部220の開口幅である。図14(c)において両矢印W2で示されるのは、内側係合部220の内部幅である。内部幅W2は、第1側面224と第2側面226との距離である。開口幅W1及び内部幅W2は、周方向に沿った円弧線が交差する2箇所の点同士の直線距離である。開口幅W1及び内部幅W2は、仮想円筒面CS1の中心線に垂直な平面に沿った断面において測定される。開口幅W1及び内部幅W2の測定において、係止部材204は、外力による弾性変形が生じていない自然状態(以下、単に自然状態ともいう)とされる。
内側係合部220は、開口幅W1よりも大きな内部幅W2を有している。内部幅W2は、半径方向外側にいくにつれて徐々に大きくなっている。
第1アーム部208は、外側凸部230を有する。外側凸部230は、外面208aに設けられている。外側凸部230は、突出端232を有する。突出端232は端面を形成している。外側凸部230は、対称面PS1に対して傾斜している。外側凸部230は、突出端232に近づくほど対称面PS1から離れるように傾斜している。
第2アーム部210は、外側凸部240を有する。外側凸部240は、外面210aに設けられている。外側凸部240は、突出端242を有する。突出端242は端面を形成している。外側凸部240は、対称面PS1に対して傾斜している。外側凸部240は、突出端242に近づくほど対称面PS1から離れるように傾斜している。外側凸部230及び外側凸部240は、半径方向外側にいくにつれて互いの距離が離れている。この距離の測定方法は、内部幅W2の測定方法と同じである。この距離は、周方向に沿った円弧線が外側凸部230に交差する点と外側凸部240に交差する点との直線距離(最短距離)である。
係止部材204に係合する接続部材360の被係止部E1は、係止部材204の内面に対応した形状を有している。被係止部E1は、被係止係合部430と、第1凹部432と、第2凹部434とを有する(図5(a)、図5(b)及び図15参照)。被係止係合部430は凸部である。被係止係合部430は、軸方向に沿って延びる凸部を形成している。第1凹部432は、被係止係合部430の周方向一方側に設けられている。第2凹部434は、被係止係合部430の周方向他方側に設けられている。
被係止係合部430は、半径方向外側にいくにつれて外形幅W3が大きくなっている。この外形幅W3の測定方法は、前述した内部幅W2の測定方法と同じである。この被係止係合部430が、内側係合部220に係合している。被係止係合部430が内側係合部220に入り込んでいる。被係止係合部430と内側係合部220との係合により、接続部材360が係止部材204に対して周方向に移動することが規制されている。すなわち、被係止係合部430と内側係合部220との係合により、接続部材360の回り止めが達成されている。なお、被係止係合部430と内側係合部220との係合により、前記回り止めに加えて、接続部材360の抜け止めが達成されてもよい。
第1凹部432は、第1アーム部208に係合している。第1アーム部208が第1凹部432に入り込んでいる。また、第2凹部434は、第2アーム部210に係合している。第2アーム部210が第2凹部434に入り込んでいる。これらの係合により、接続部材360が係止部材204に対して軸方向に移動することが規制されている。すなわち、これらの係合により、接続部材360の抜け止め及び回り止めが達成されている。
中央部206は、係止孔126に係合している。中央部206は、係止孔126に圧入される外形及び寸法を有している。中央部206は、係止孔126に嵌め込まれている(図3の拡大部A参照)。側面突起216は、この嵌め込みに寄与している。中央部206は、側面突起216が係止孔126の縁で削られつつ、中央部206に圧入されている。この係合により、外管112が係止部材204に対して軸方向及び周方向に移動することが規制されている。
このように、係止部材204を介して外管112と接続部材360とが係合することで、外管112が接続部材360に対して軸方向及び周方向に移動することが規制されている。係止部材204は接続部材360を外管112に固定している。
図15が示すように、突出端232は、外管112の内周面112bに対向する位置にある。突出端232は、係止孔126の周方向一方側において内周面112bに対向している。突出端232と内周面112bとは、互いに当接していてもよいし、僅かな間隔を介して対向していてもよい。少なくとも、係止部材204が脱落しようとする際には、突出端232が内周面112bに当接する。同様に、突出端242は、内周面112bに対向する位置にある。突出端242は、係止孔126の周方向他方側において内周面112bに対向している。突出端242と内周面112bとは、互いに当接していてもよいし、僅かな間隔を介して対向していてもよい。少なくとも、係止部材204が脱落しようとする際には、突出端242が内周面112bに当接する。突出端232、242により、係止部材204は外れにくい。突出端232、242の高さは、内周面112bの半径方向位置を考慮して決定されうる。
中央部206の真上から見た平面視(図14(b))において、外側凸部230と外側凸部240との最大距離W4は、中央部206の最大幅W5よりも大きい。この平面視において、外側凸部230の突出端232は、中央部206における第1アーム部208側の端位置P1よりも外側に位置する外側配置部234を有する。この平面視において、外側凸部240の突出端242は、中央部206における第2アーム部210側の端位置P2よりも外側に位置する外側配置部244を有する。最大距離W4及び最大幅W5は、軸方向に対して垂直な方向に沿って測定される。この平面視は、対称面PS1とPS2との交線上の点を視点とした、係止部材204の平面図とされうる。
本願では、第1アーム部208と第2アーム部210とが互いに近づくような係止部材204の弾性変形が圧縮変形とも称される。
自然状態では、係止部材204は係止孔126に入らない。係止部材204を係止孔126に挿入するために、圧縮変形が施される。係止部材204を指で持って潰すように力を加えることで、この圧縮変形が達成される。この圧縮変形(圧縮変形A)で第1アーム部208の先端208cと第2アーム部210の先端210cとの距離を縮めることで、係止部材204がこれら先端208c、210cから係止孔126に挿入される。その後は、中央部206の外面214を押圧することで、係止部材204の挿入が完了する。
アーム部208、210の存在により、それらの先端208c、210c同士の距離を小さくする圧縮変形が容易となる。このため、係止部材204を挿入可能状態とすることが容易となり、挿入しやすさが向上する。
係止部材204の挿入の過程で、外側凸部230、240が係止孔126を通過する。最大距離W4の大きさに起因して、自然状態では、外側凸部230、240は係止孔126に入らない。圧縮変形により最大距離W4を小さくすることで、外側凸部230、240が係止孔126を通過しうる。この圧縮変形(圧縮変形B)は、係止部材204の挿入の過程で係止孔126の縁が外側凸部230及び外側凸部240を押圧することで、達成される。
係止部材204の挿入の過程で、被係止係合部430が内側係合部220に入り込む。被係止係合部430の外形幅W3の最大値は、内側係合部220の開口幅W1よりも大きい。このため、被係止係合部430が内側係合部220に入り込むには、開口幅W1が拡大されるような係止部材204の変形が必要となる。係止部材204の挿入の過程で、この開口幅W1を拡大する変形が起こる。この変形は、前記挿入の過程で被係止係合部430が開口222を押圧することで、達成される。被係止係合部430と内側係合部220との係合は、回り止めのみならず、抜け止めにも寄与する。
このように、係止部材204の挿入の過程で、係止部材204には、前記圧縮変形(圧縮変形A及びB)と、開口幅W1が拡大される変形とが起こる。係止部材204は、挿入中におけるこれらの変形を許容するように構成されている。
図15が示すように、中央部206と外側凸部230との間に、隙間g1が形成されている。また、中央部206と外側凸部240との間に、隙間g2が形成されている。これらの隙間g1,g2は、係止部材204の挿入時において外側凸部230、240が中央部206側に倒れやすくなり、外側凸部230、240が係止孔126を通過するのを容易とする。
図15において両矢印θ1で示されるのは、係止部材204の周方向存在角度である。係止部材204は、外側凸部230及び外側凸部240を有しているため、アーム部212で内側の係合対象物(接続部材360)を抱き込まなくても脱落しにくい。また、角度θ1を抑制することで、外側の係合対象物の開口(係止孔126)への挿入が容易となる。これらの観点から、係止部材204では、角度θ1を小さくすることが可能である。角度θ1は、180°以下、更には170°以下、更には160°以下とすることができる。もちろん、θ1は大きくてもよい。角度θ1が過小であると、係止部材204の挿入開始時における、先端208c、210c同士を近づける圧縮変形が困難となる。また、角度θ1が過小であると、外側凸部230、240の配置の自由度(下記θ2の自由度)が低下する。これらの観点から、角度θ1は、90°以上が好ましく、100°以上がより好ましく、110°以上がより好ましい。
図16は、図15の拡大図である。
外側凸部230の突出端232は、外管112の内周面112bに対向する外管対向部250を有する。外管対向部250は、突出端232を構成する端面の一部である。上述した外側配置部234の少なくとも一部が、外管対向部250である。本実施形態では、外側配置部234が外管対向部250に一致している。
外管112の内周面112bは、対向面部252を有する。対向面部252は、内周面112bのうち、外管対向部250に対向する部分である。
外側凸部240の突出端242は、外管112の内周面112bに対向する外管対向部260を有する。外管対向部260は、突出端242を構成する端面の一部である。上述した外側配置部244の少なくとも一部が、外管対向部260である。本実施形態では、外側配置部244が外管対向部260に一致している。
外管112の内周面112bは、対向面部262を有する。対向面部262は、内周面112bのうち、外管対向部260に対向する部分である。
突出端232、242と内周面112bとの対向性は、半径方向(内管102の半径方向)により判断される。突出端232、242及び内周面112bの両方に交わる半径方向線が存在する領域が、対向領域である。図16が示すように、突出端232のうち、周方向範囲R1に属する領域が、外管対向部250である。内周面112bのうち、周方向範囲R1に属する領域が、対向面部252である。突出端242のうち、周方向範囲R2に属する領域が、外管対向部260である。内周面112bのうち、周方向範囲R2に属する領域が、対向面部262である。
対向面部252、262は、係止孔126に隣接している。対向面部252、262は、係止孔126の半径方向内側縁126aに隣接している。外側凸部230、240の係止孔126への通過を達成しつつ、外管対向部250、260の形成を可能とする観点から、対向面部252、262は、係止孔126に隣接しているのが好ましい。
係止部材204の抜けを抑制する観点から、外管対向部250、260と対向面部252、262との距離は、0.25mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましく、0.15mm以下がより好ましい。この距離はゼロであってもよい。すなわち、外管対向部250、260が対向面部252、262に当接していてもよい。係止部材204の挿入容易性の観点からは、外管対向部250、260と対向面部252、262とは離れているのが好ましい。外管対向部250、260と対向面部252、262との距離は、0mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上がより好ましい。この距離は、半径方向に沿って測定されうる。係止部材204は、弾性変形した状態で取り付けられていてもよい。例えば、外管対向部250、260が対向面部252、262に接触している場合、取り付け状態における係止部材204の弾性変形が維持されうる。
図16において両矢印θ2で示されているのは、外側凸部230の突出端232と、外側凸部240の突出端242との間の周方向角度である。本実施形態のように、突出端232、242に幅がある場合、角度θ2が最大となるように測定基準点が決定される。本実施形態では、突出端232において外側凸部240から最も遠い端T1が決定され、突出端242において外側凸部230から最も遠い端T2が決定とされる。これら端T1及び端T2が測定基準点である。本実施形態では、端T1と端T2との間の周方向角度が角度θ2である。角度θ2が小さいほど、外管対向部250、260の配向を係止部材204の抜け方向に対して垂直に近づけることができ、係止部材204を抜けにくくすることができる。この観点から、角度θ2は、100°以下が好ましく、90°以下がより好ましく、80°以下がより好ましい。角度θ2が小さすぎると、内側係合部220の設計自由度が制約される。また、係止孔126への挿入を可能としつつ周方向範囲R1、R2を大きくするためには、角度θ2が小さいほど突出端232、242が長くなる。これらの観点から、角度θ2は、30°以上が好ましく、40°以上がより好ましく、50°以上がより好ましい。
係止部材204は、外側部材である外管112と、内側部材である接続部材360とに結合し、前記外側部材に前記内側部材を固定しうる。係止部材204は、前記外側部材に係合する中央部206と、中央部206の内側に形成されている内側係合部220と、第1端面106の一方側に延びる第1アーム部208と、第1端面106の他方側に延びる第2アーム部210とを有している。第1アーム部208及び第2アーム部210のそれぞれが、外側に突出する外側凸部230、240を有している。平面視において、第1アーム部208の外側凸部230の突出端232が、中央部206における第1アーム部208側の端位置P1よりも外側に位置する第1外側配置部234を有している。平面視において、第2アーム部210外側凸部240の突出端242が、中央部206における第2アーム部210側の端位置P2よりも外側に位置する第2外側配置部244を有している。2つの外側配置部234、244が前記外側部材の内面112bに対向している。
外管112と接続部材360との接合は、係止部材204を用いた上記構成に限定されない。他の固定方法として、ネジ止め及び接着が例示される。また、接続部材360の金型に外管112をセットしたインサート成形で、接続部材360を外管112に固定してもよい。接合作業性及び接合強度に優れ、接合強度のばらつきが少なく、コストにも優れるとの観点から、係止部材204を用いた上記接合が好ましい。
このような二重管100、300は、以下のような作用効果を奏する。
外管112により強度及び剛性を担保しつつ、内管102を通水管とすることで、通水断面積を小さくし、特に通水時の全体重量を小さくすることができる。吐水ノズルのような回動操作(振り回す操作)を伴う長尺部材として用いられる場合、グリップ部から遠い部分が重いほど、大きなモーメントがグリップ部に作用する。この軽量化により、操作性及び耐久性が向上する。
通水断面積が小さくなることで、滞留水が少なくなる。このため、滞留水の凍結による破損が起こりにくい。
外管112は、その両端部に接続部材360が固定され、二重管の強度及び剛性を担保する構造管として機能する。内管102に比べて大きな内外径を有し構造上有利な外管112に接続部材360を取り付けることで、二重管の強度及び剛性を効果的に高めることができる。
内管102は、2つの内管シール部材174との密着を維持しつつ軸方向に動きうる非固定状態である。図4では、内管102の第2端面110と内管位置規定部162との間の隙間が示されている。第1接続部材130の内管位置規定部142と第2接続部材150の内管位置規定部162との間の軸方向距離は、内管102の長さよりも大きい。内管102は、第1端面106が内管位置規定部142に当接する位置と、第2端面110が内管位置規定部162に当接する位置との間を移動しうる。内管102は、2つの内管シール部材174で安定的に支持されつつ、内管シール部材174の内側を摺動することができる。
内管位置規定部400により、軸方向における内管102の可動範囲は規制されている。内管102の軸方向における可動範囲は、2つの内管シール部材174は内管102から外れない範囲に規制されている。内管102の軸方向における可動範囲は、2つの内管シール部材174との密着が解除されない範囲に規制されている。よって、流路の水密性は担保されている。
内管102と2つの内管シール部材174との密着により、内管102の軸方向位置に関わらず、水密性は担保されている。よって内管102は通水管として機能することができる。また、非固定状態により、公差が吸収される。
複数の部材が組み合わされる場合、各部材の公差が積み重なることで、積み重ね公差が生じる。長尺物では、特に軸方向(長手方向)の寸法において積み重ね公差が大きくなる。二重管100で言えば、外管112の長さ、外管112における係止孔126の位置、第1接続部材130における被係止部E1の位置、第1接続部材130の長さ、第2接続部材150における被係止部E1の位置、及び、第2接続部材150の長さについて、公差が生じる。これらの公差が足し合わされることで、軸方向の寸法における積み重ね公差は大きくなる。内管102が軸方向において固定されていない構造により、この積み重ね公差が吸収される。
内管102が環状の内管シール部材174(Oリング)に差し込まれることで、水密性を確保しつつ内管シール部材174を軸方向に固定しない構造が容易に構成される。図13で説明した通り、この構造では、組立も容易とされうる。他の構造として、例えば、内管102の両端面111の管端側のそれぞれに環状のシール部材を配置する構成が採用されうる。この構成では、当該端面111とシール部材との密着により水密性が達成されうる。当該シール部材のつぶし代の範囲内で内管102は軸方向に動きうる。シール維持の確実性及び内管102の移動の自由度(公差吸収性)の観点から、内管102が環状の内管シール部材174に差し込まれた構造が好ましい。
外管112及び内管102は真っ直ぐな管である。外管112と内管102とは中心線を共通とした同軸状態で配置されている。外管112の中心線は内管102の中心線と一致した直線である。よって、内管102が2つの環状シール部材174に差し込まれ軸方向に移動可能な態様が単純な構造で達成されている。
外管112と接続部材360との間はシールされていない。すなわち、外管112は、接続部材360と水密に接続されていない。内管102と接続部材360との間がシールされ、この内管102が通水管とされているため、外管112と接続部材360との間をシールする必要がない。よって、構造を単純化することができ、部品点数の削減及び組立工程の削減が可能となる。また、外管112と接続部材360との接続領域における高い精度が不要とされうる。なお、外管112と接続部材360との間はシールされていてもよい。
外管112に剛性を担保させているため、内管102に高い剛性は不要である。よって、内管102の素材選択の幅が拡がり、内管102の軽量化も可能となる。なお、内管102が高い剛性を有していてもよい。
外管112と接続部材360とは、係止部材204を介して係合している。この係合により、接続部材360が外管112から抜けない抜け止めが達成されている。また、この係合により、接続部材360に対して外管112が回転しない回り止めが達成されている。外管112と接続部材360とは一体で周方向に回転操作しうるため、接続部材360と他部材とを回転操作で接続することが容易となる。
内管シール部材174は筒状のシール押さえ部材184により移動が規制されている。また接続部材360にスナップ係合したシール押さえ部材184に内管102が挿入されることで、当該スナップ係合の解除が阻止されている。このため、内管シール部材174は所定の位置に保持され、内管102と接続部材360との水密性が確実に維持される。
図4の実施形態が示すように、内管102は、その両端側において、内管位置規定部400の近くまで延びている。内管102は、その可動範囲の全位置で2つの内管シール部材174と内管102との密着が維持されていれば、内管102は通水路として機能することができる。よって、図4の実施形態において、内管102はより短くされうる。内管102を内管位置規定部400の近くまで延在させることで、接続部材360を補強する効果が高まる。接続部材360の外面は円筒面ではなく、応力が集中しやすい箇所が存在する。例えば、図4の接続部材360(第2接続部材150)は、管中央側から管端側に向かって外径が小さくなることで形成された段差部440を有している。段差部440の管端側では、接続部材360の外径が外管112の内径よりも小さくなっている。また段差部440よりも管端側に、他部材とネジ結合される雄ねじ部s2が設けられている。この段差部440には応力が集中しやすい。内管102がこの段差部440よりも管端側まで延在することで、接続部材360も強度が効果的に高められている。
上記実施形態では、内管シール部材174が、内管102と接続部材360との間をシールしている(図4及び図9参照)。これに代えて、内管シール部材174が内管102と外管112との間をシールしていてもよい。すなわち、第1内管シール部材170が外管112の第1端部114と内管102との間をシールしており、且つ、第2内管シール部材172が外管112の第2端部118と内管102との間をシールしていてもよい。内管シール部材174が、内管102と接続部材360との間ではなく、内管102と外管112との間に位置していても、流路の接続部分の水密性が確保されうる(図4、図9参照)。
流量の観点から、内管102の内径は、3.0mm以上が好ましく、4.0mm以上がより好ましく、5.0mm以上がより好ましい。滞留水の削減の観点から、内管102の内径は、8.0mm以下が好ましく、7.0mm以下がより好ましく、6.0mm以下がより好ましい。
軽量化の観点から、内管102の肉厚は、1.5mm以下が好ましく、1.3mm以下がより好ましく、1.1mm以下がより好ましい。二重管の組立時の取り扱い性等を考慮した最小限の剛性を確保する観点から、内管102の肉厚は、0.6mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましく、1.0mm以上がより好ましい。
強度及び剛性の観点から、外管112の内径は、8.0mm以上が好ましく、10.0mm以上がより好ましく、12.0mm以上がより好ましい。軽量化の観点から、外管112の内径は、17.0mm以下が好ましく、15.0mm以下がより好ましく、13.0mm以下がより好ましい。
強度及び剛性の観点から、外管112の肉厚は、0.6mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上がより好ましい。軽量化の観点から、外管112の肉厚は、1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、0.9mm以下がより好ましい。
二重管の強度及び剛性を担保しつつ、滞留水を減らす観点から、外管112の内径d2の、内管102の内径d1に対する比(d2/d1)は、1.5以上が好ましく、1.7以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。二重管の軽量化を達成しつつ、流量を確保する観点から、外管112の内径d2の、内管102の内径d1に対する比(d2/d1)は、4.3以下が好ましく、3.3以下がより好ましく、2.6以下が更に好ましい。
上述の通り、外管112が剛性を担保するため、内管102には剛性が要求されない。よって例えば内管102は、ホースであってもよい。ただし、ホースにおいて耐圧性を確保するには、糸を入れる等の加工が必要となる。糸を入れるためには厚みが必要なため、ホースが重くなる。耐圧性が不足し、水圧で膨らむホースを用いた場合には、ホースを膨らませることにエネルギーが消費され、流量や水圧が減少しうる。内管102は、ホースでないのが好ましい。
内管102は、樹脂製とされてもよい。樹脂の場合、射出成形及び押出成形を採用することで、内管102の生産性が向上しうる。ただし、射出成型の場合、金型を抜くためのテーパーが必要となり、全体として流路断面積を抑制することができず、滞留水を十分に減らすことが難しい。樹脂による押出成形の場合、薄肉化に限界があり、重量が増加する。これらの観点から、内管102の材質は、金属が好ましい。内径及び外径が一定で耐圧性に優れた管を軽量且つ安価に生産できるとの観点からも、金属が好ましい。
内管102の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が挙げられる。上述の観点からは、金属が好ましい。また、耐食性の観点からは、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、チタン合金、アルミニウム合金及びステンレス鋼が好ましい。コスト、耐食性及び軽量性の観点から、アルミニウム合金がより好ましい。内管102は、押し出し管又は引き抜き管であってもよい。耐食性の観点から、アルミニウム合金の場合、アルマイト処理がなされるのが好ましい。上記実施形態の内管102は、アルミニウム合金の押し出し管である。内管102にはアルマイト処理が施されている。
外管112の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が挙げられる。耐食性の観点から、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、チタン合金、アルミニウム合金及びステンレス鋼が好ましい。コスト、耐食性及び軽量性の観点から、アルミニウム合金がより好ましい。外管112は、押し出し管又は引き抜き管であってもよい。外観性、耐摩耗性及び耐食性の観点から、アルミニウム合金の場合、アルマイト処理がなされるのが好ましい。上記実施形態の外管112は、アルミニウム合金の押し出し管である。外管112にはアルマイト処理が施されている。
係止部材204の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が挙げられる。複雑な形状に対する成形性及び使用時の弾性変形の観点から、樹脂が好ましい。成形性及び弾性を有しつつ、部材間の接合に要求される靱性及び強度を確保する観点から、好ましい樹脂として、PP(ポリプロピレン)、POM(ポリアセタール)が挙げられる。上記実施形態では、POMが用いられた。
接続部材360の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が挙げられる。複雑な形状に対する成形性の観点から、樹脂が好ましい。部材間の接続部分に要求される強度の観点から、好ましい樹脂として、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合合成樹脂)、POM、PPS(ポリフェニレンサルファイド)が挙げられる。上記実施形態では、ABS、POMが用いられた。
内管シール部材174(Oリング)の材質としては、一般的なシール材の材質が用いられうる。コストの観点から、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)が好ましい。
上記実施形態では、流体が水の場合についての効果を説明したが、水以外の流体の場合も、当該流体に応じた効果が奏される。
二重管の内管102を通る流体として、液体及び気体が挙げられる。液体として、水、洗浄液、薬液及び液体燃料が例示される。洗浄液として、界面活性剤を含む液体が例示される。薬液として、農薬含有液、肥料含有液及び消毒液が例示される。農薬含有液として、殺虫剤含有液、殺菌剤含有液及び除草剤含有液が例示される。液体燃料として、ガソリン、灯油、軽油及び重油が例示される。気体として、空気及び水蒸気が例示される。
流体取扱装置として、散水機、洗浄機、液体移送装置、掃除機及び噴霧器が例示される。散水機又は洗浄機の水源として、上水道及び貯水タンクが例示される。散水機と洗浄機とは、共に水を吐出できるものであり、用途、吐出時の水圧によって区別されうる。上記実施形態のように、散水機と洗浄機とを兼ねた装置であってもよい。洗浄機として、中圧洗浄機及び高圧洗浄機が例示される。液体移送装置として、液体燃料を容器(18リットル缶、ドラム缶等)から暖房機のタンクに移送する装置が例示される。掃除機の典型例は、電気掃除機である。掃除機として、真空洗浄機及びスチームクリーナーが例示される。また、掃除機(特に真空掃除機)のタイプとして、キャニスター型及びハンディー型が例示される。噴霧器として、蓄圧式及びポンプ式が例示される。蓄圧式噴霧器は、手動式であってもよいし、自動式であってもよい。
流体駆動部として、ポンプ、送風機、加圧機構部と圧力室とを備えた蓄圧機構部、等が挙げられる。流体駆動部は、タービン、プロペラ等を有している装置であってもよい。流体駆動部は、手動であってもよいし、自動であってもよい。自動の場合の動力源として、電気モーター及びエンジンが例示される。
以下の付記は、本開示に含まれる発明の一部である。
[付記1]
流路を構成する内管と、
前記内管の外側に位置する外管と、
前記外管の第1端部に固定されている第1接続部材と、
前記外管の第2端部に固定されている第2接続部材と、
前記第1接続部材又は前記第1端部と前記内管との間をシールする第1内管シール部材と、
前記第2接続部材又は前記第2端部と前記内管との間をシールする第2内管シール部材と、
を有しており、
前記内管が、前記第1内管シール部材及び前記第2内管シール部材との密着を維持しつつ軸方向に動きうる非固定状態である二重管。
[付記2]
前記第1内管シール部材が、前記第1接続部材と前記内管との間をシールしており、
前記第2内管シール部材が、前記第2接続部材と前記内管との間をシールしている付記1に記載の二重管。
[付記3]
前記外管と前記第1接続部材との間がシールされておらず、
前記外管と前記第2接続部材との間がシールされていない付記1又は2に記載の二重管。
[付記4]
前記第1内管シール部材及び前記第2内管シール部材が、環状であり、
前記内管が、第1内管シール部材及び前記第2内管シール部材の内側に差し込まれている付記1から3のいずれか1項に記載の二重管。
[付記5]
前記外管の中心線が前記内管の中心線と一致した直線である付記1から4のいずれか1項に記載の二重管。
[付記6]
前記外管が、前記第1端部及び前記第2端部の少なくともいずれかに、前記外管の周壁を貫通する係止孔を有しており、
前記第1接続部材及び前記第2接続部材の少なくともいずれかが、被係止部を有しており、
前記係止孔と前記被係止部とに係合する係止部材が設けられており、
前記被係止部が、被係止係合部を有しており、
前記係止部材が、前記係止孔に嵌め込まれている中央部と、前記中央部の内側に形成されている内側係合部と、前記中央部の一方側に延びる第1アーム部と、前記中央部の他方側に延びる第2アーム部とを有しており、
前記第1アーム部及び前記第2アーム部のそれぞれが、外側に突出する外側凸部を有しており、
前記外側凸部の突出端が、前記外管の内周面に対向する外管対向部を有している付記1から5のいずれか1項に記載の二重管。
[付記7]
グリップ部と、吐水口と、前記グリップ部と前記吐水口との間に延びる通水管とを備えた吐水ノズルであって、
前記通水管が付記1から6のいずれか1項に記載の前記二重管である吐水ノズル。
[付記8]
外側部材と前記外側部材の内側に位置する内側部材とに係合し、前記外側部材に前記内側部材を固定しうる係止部材であって、
前記外側部材に係合する中央部と、前記中央部の内側に形成されている内側係合部と、前記中央部の一方側に延びる第1アーム部と、前記中央部の他方側に延びる第2アーム部とを有しており、
前記第1アーム部及び前記第2アーム部のそれぞれが、外側に突出する外側凸部を有しており、
平面視において、前記第1アーム部の前記外側凸部の突出端が、前記中央部における第1アーム部側の端位置よりも外側に位置する第1外側配置部を有しており、
平面視において、前記第2アーム部の前記外側凸部の突出端が、前記中央部における第2アーム部側の端位置よりも外側に位置する第2外側配置部を有している係止部材。
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も開示されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成及びそれらの組み合わせは、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
前記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。