JP7450560B2 - リソース決定装置、リソース決定方法及びリソース決定プログラム - Google Patents
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Description
衛星通信ネットワークにおいては衛星と地上局との間の伝送距離に比例する伝送遅延が発生する。そのため、天候又は干渉電波等の影響により衛星回線性能が劣化する場合と、トラヒック量が増加して輻輳が発生する場合とに、衛星通信回線のQoSが大幅に劣化する。そして、QoSの劣化が、ユーザに対するQoE(Quality of Experience)の劣化として顕著に表れる可能性が高い。
本開示は、マルチビーム対応衛星を用いた衛星通信において、QoSの変化に応じてQoSを適切に補償する制御を実現可能にすることを目的とする。
複数のビームを送信可能なマルチビーム対応衛星に割り当てるリソースを決定するリソース決定装置であり、
前記複数のビームによって生成された複数のユーザリンクセルそれぞれを計算対象のユーザリンクセルとして、前記計算対象のユーザリンクセルについての周波数利用効率を計算する指標計算部と、
前記指標計算部によって計算された前記複数のユーザリンクセルそれぞれについての前記周波数利用効率に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定するリソース決定部と
を備える。
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る衛星通信システム100の構成を説明する。
衛星通信システム100は、衛星10と、衛星通信端末20,21と、GW局30(ゲートウェイ局)と、NW40(ネットワーク)と、SOC50(Satellite Operation Center)と、リソース決定装置60とを備える。
衛星10は、複数のビームを送信可能なマルチビーム対応衛星である。衛星通信端末20,21は、VSAT(Very Small Aperture terminal)等の衛星通信用の端末である。GW局30は、衛星10を介して衛星通信端末20,21に通信サービスを提供するシステムである。NW40は、GW局30に繋がる専用回線と、衛星通信オペレータが管理する伝送路と、インターネットと等を包含した伝送路である。SOC50は、衛星10からのテレメトリ信号を受信するとともに、衛星10を制御するためのコマンドを送信するシステムである。リソース決定装置60は、衛星10に割り当てるリソースを決定する装置である。リソース決定装置60は、実施の形態1では、NOC(Network Operation Center)によって実現される。
なお、実施の形態1では、2つのビーム及び2つのユーザリンクセルを用いて説明するが、ビーム及びユーザリンクセルの数は2つに限るものではない。
リソース決定装置60は、コンピュータである。
リソース決定装置60は、プロセッサ61と、メモリ62と、ストレージ63と、通信インタフェース64とのハードウェアを備える。プロセッサ61は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
ストレージ63には、リソース決定装置60の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ61によりメモリ62に読み込まれ、プロセッサ61によって実行される。これにより、リソース決定装置60の各機能構成要素の機能が実現される。
図3から図5を参照して、実施の形態1に係るリソース決定装置60の動作を説明する。
実施の形態1に係るリソース決定装置60の動作手順は、実施の形態1に係るリソース決定方法に相当する。また、実施の形態1に係るリソース決定装置60の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係るリソース決定プログラムに相当する。
情報取得部611は、衛星通信端末20,21とGW局30との間の衛星通信回線の情報をGW局30から取得する。
具体的には、情報取得部611は、衛星通信回線の情報をGW局30から定期的に一括して取得する。又は、情報取得部611は、衛星通信回線の情報に変化があり次第、衛星通信回線の情報をGW局30から取得する。実施の形態1では、衛星通信回線の情報は、各衛星通信回線で使用される変調方式及び符号化率と、PER(Packet Error Rate)といった情報である。衛星通信回線の情報に変化があり次第とは、各衛星通信回線における変調方式又は符号化率の変化があり次第、あるいは、PERについてある一定の変化があり次第という意味である。
GW局30が衛星通信端末20,21からのフィードバック情報として、衛星通信端末20,21で測定した受信CNR(Carrier to Noise Ratio)情報を取得している場合がある。この場合には、情報取得部611は、受信CNRも衛星通信回線の情報に含めて取得してもよい。
指標計算部612は、ステップS11で取得されたフォワードリンクの各衛星通信回線の変調方式及び符号化率から、周波数利用効率を概算する。
具体例としては、指標計算部612は、衛星通信回線が変調方式BPSK(Binary Phase Shift Keying)、符号化率が1/2である場合には、周波数利用効率=1×1/2=0.5と計算する。また、指標計算部612は、衛星通信回線が変調方式QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、符号化率が3/4である場合には、周波数利用効率=2×3/4=1.5と計算する。
指標計算部612は、PERについても考慮して周波数利用効率を概算してもよい。具体例としては、指標計算部612は、PER=0.8、衛星通信回線が変調方式QPSK、符号化率が3/4である場合には、周波数利用効率=2×3/4×0.8=1.2と計算する。
指標計算部612は、ステップS12で計算されたフォワードリンクの各衛星通信回線の周波数利用効率を、ユーザリンクセル70,71毎にグルーピングし、周波数利用効率の統計値を計算する。ユーザリンクセル70,71毎にグルーピングするとは、ユーザリンクセル70,71に対応するユーザリンクのビーム毎にグルーピングするという意味である。
具体的には、指標計算部612は、グルーピングされた周波数利用効率の平均値又は分散値を統計値として計算する。あるいは、指標計算部612は、別途決定する時間単位での周波数利用効率の平均値の変化率を統計値として計算してもよい。
リソース決定部613は、ステップS13で計算された複数のユーザリンクセルそれぞれについての周波数利用効率の統計値に基づき、衛星10によって送信される複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する。
具体的には、リソース決定部613は、干渉が発生するビーム間で周波数利用効率が平準化するように、複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する。
ストレージ63には、図4に示すような周波数利用効率の平均値と、帯域リソースの割当制御値とを対応付けたテーブルが記憶されている。なお、図4では、周波数利用効率の統計値として周波数利用効率の平均値が用いられている。リソース決定部613は、このテーブルを参照して、複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する。
図5は、ユーザリンクセル70を生成するビームの帯域幅であるユーザリンクセル70用帯域幅とユーザリンクセル71を生成するビームの帯域幅であるユーザリンクセル71用帯域幅とが初期値としてそれぞれ500MHz割り当てられていた場合に、ユーザリンクセル70とユーザリンクセル71との間で帯域幅の調整を行う例を示す。
図5の(A)に示すように、ユーザリンクセル70の周波数利用効率が1.0、ユーザリンクセル71の周波数利用効率が1.0の場合には、図4のテーブルに記載された通り、帯域リソースの割当制御値が0である。そのため、リソース決定部613は、ユーザリンクセル70用帯域幅とユーザリンクセル71用帯域幅とは、それぞれ500MHzの割り当てのままに決定する。
次に、図5の(B)に示すように、ユーザリンクセル70の周波数利用効率が0.6、ユーザリンクセル71の周波数利用効率が1.4の場合には、図4のテーブルに記載された通り、前者が+80、後者が-80である。そのため、リソース決定部613は、ユーザリンクセル70用帯域幅とユーザリンクセル71用帯域幅とをそれぞれ580MHzと420MHzとする。
次に、図5の(C)に示すように、ユーザリンクセル70の周波数利用効率が0.6、ユーザリンクセル71の周波数利用効率が0.8の場合には、図4のテーブルに記載された通り、前者が+80、後者が+40となる。しかし、ユーザリンクセル70用帯域幅とユーザリンクセル71用帯域幅とをそれぞれ580MHzと540MHzとするとトータルの帯域幅が1000MHzを超えてしまう。そのため、そのまま割り当てるとビーム間干渉が発生することになる。そこで、リソース決定部613は、合計で超えた分の120MHzについては、2つのユーザリンクセルで等分して割り当てを減少させる。つまり60MHzずつ割り当てを減少させる。その結果、リソース決定部613は、ユーザリンクセル70用帯域幅とユーザリンクセル71用帯域幅とをそれぞれ520MHzと480MHzと決定する。これにより、ビーム間干渉の発生が回避される。
制御実行部614は、ステップS14で決定された周波数の帯域幅が複数のビームそれぞれに割り当てられるように制御を行う。
制御実行部614は、ステップS14で割り当てる周波数の帯域幅が決定される都度、衛星10への制御を実行してもよいし、一定の時間間隔で、その時間における平均値あるいは切り捨て等に基づいた制御値により衛星10への制御を実行してもよい。
以上のように、実施の形態1に係るリソース決定装置60は、複数のユーザリンクセルそれぞれについての周波数利用効率に基づき、複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する。これにより、天候又は干渉電波等の影響により衛星回線性能が劣化し、一部の衛星通信回線のQoSが大幅に劣化してしまうような場合に、QoSの劣化を低減することが可能である。
<変形例1>
実施の形態1では、リソース決定装置60は、NOCによって実現されるとした。しかし、これに限るものではなく、リソース決定装置60は、NOCとSOC50とが一体として実現されてもよい。また、リソース決定装置60は、衛星10に搭載されるデジタルペイロードを動的に制御するDPRM(Digital Payload Resource Management)又はSDRM(System Dynamic Resource Management)といった、別の呼び名のシステムによって実現されてもよい。
実施の形態1では、リソース決定部613は、図4に示すようなテーブルを用いて周波数利用効率に対応する帯域リソースの割当制御値を特定した。しかし、リソース決定部613は、以下のような式1を用いて、周波数利用効率に対応する帯域リソースの割当制御値を特定してもよい。
(式1)
帯域リソースの割当制御値=α×(周波数利用効率の平均値-基準となる周波数利用効率)
ここでαは任意に設定可能な定数である。
実施の形態1では、2つのユーザリンクセル70,71を用いた説明がされた。そのため、図3のステップS14のリソース決定処理についても、2つのユーザリンクセル70,71についての帯域リソースの割当制御値が決定された。しかし、3つ以上のユーザリンクセルの場合であっても同様に帯域リソースの割当制御値を決定可能である。
この場合には、リソース決定部613は、周波数利用効率が一番低いユーザリンクセルと、そのユーザリンクセルと隣接しかつ帯域幅調整の対象となるユーザリンクセルの中で周波数利用効率が一番低いユーザリンクセルとを選択する。そして、選択された2つのユーザリンクセルについて、図5を参照して説明した方法と同様に、周波数の帯域幅の調整を行う
この場合には、まず、リソース決定部613は、周波数利用効率が一番低いユーザリンクセル70を選択し、次に、ユーザリンクセル70に隣接しかつ帯域幅調整の対象となるユーザリンクセル71,72の中で周波数利用効率が一番低いユーザリンクセル71を選択する。そして、リソース決定部613は、図5を参照して説明した方法により、ユーザリンクセル70用帯域幅とユーザリンクセル71用帯域幅をそれぞれ520MHzと480MHzに決定する。
次に、ユーザリンクセル70用帯域幅は520MHzと決まったため、その隣接セルとなるユーザリンクセル72では、干渉の発生を回避するためには480MHzが割り当ての上限となる。ユーザリンクセル72の帯域割当制御値は0であるため、現在の500MHzと上限である480MHzとの小さい方、すなわち、ユーザリンクセル72用帯域幅は480MHzと決まる。
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例4として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例4について、実施の形態1と異なる点を説明する。
各機能構成要素を1つの電子回路で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路に分散させて実現してもよい。
変形例5として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
実施の形態2は、周波数の帯域幅の制御に加えて、送信電力の制御を行う点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
図7及び図8を参照して、実施の形態2に係るリソース決定装置60の動作を説明する。
図7のステップS21からステップS22の処理は、図3のステップS11からステップS12の処理と同じである。
指標計算部612は、図3のステップS13と同様に、周波数利用効率の統計値を計算する。
また、指標計算部612は、ステップS21で取得されたフォワードリンクの各衛星通信回線のPERを、ユーザリンクセル70,71毎にグルーピングし、PERの統計値を計算する。具体的には、指標計算部612は、グルーピングされたPERの平均値又は分散値を統計値として計算する。あるいは、指標計算部612は、別途決定する時間単位でのPERの平均値の変化率を統計値として計算してもよい。
リソース決定部613は、図3のステップS14と同様に、衛星10によって送信される複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する。
また、リソース決定部613は、ステップS23で計算されたPERの統計値に基づき、衛星10によって送信される複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定する。具体的には、リソース決定部613は、PERの統計値に応じて、送信電力が適切な値になるように、送信電力の制御値を決定する。但し、リソース決定部613は、送信電力に上限値がある場合には、ユーザリンクセル70,71についてのPERが平準化するように、複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定する。
ストレージ63には、図8に示すようなPERの平均値と、送信電力の制御値とを対応付けたテーブルが記憶されている。なお、図8では、PERの統計値としてPERの平均値が用いられている。リソース決定部613は、このテーブルを参照して、複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定する。
例えば、ユーザリンクセル70の平均PERが0.6、ユーザリンクセル71の平均PERが0.2であった場合には、図8のテーブルに記載された通り、リソース決定部613は、ユーザリンクセル70,71に対応する各ビームの送信電力の制御値をそれぞれ+3、+6に決定する。ここで、衛星10において例えば総送信電力の上限が決まっている場合には、リソース決定部613は、上限の値に従ってそれぞれの送信電力の制御値を正規化することにより、実際の衛星10に対する制御値を決定する。
制御実行部614は、ステップS24で決定された周波数の帯域幅が複数のビームそれぞれに割り当てられるように制御を行う。また、制御実行部614は、ステップS24で決定された送信電力の制御値をdB(デシベル)値として、送信電力を制御する。
以上のように、実施の形態2に係るリソース決定装置60は、複数のユーザリンクセルそれぞれについてのPERに基づき、複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定する。これにより、衛星通信回線が例えばCCM(Constant Coding
and Modulation)の場合にも、QoSの劣化を低減することが可能である。
<変形例5>
実施の形態2では、リソース決定部613は、図8に示すようなテーブルを用いて送信電力の制御値を特定した。しかし、リソース決定部613は、数式を用いてPERに対応する送信電力の制御値を特定してもよい。
また、図8ではPERの平均値が用いられたが、平均値に代えて分散値、平均値の変化率といった他の統計値を用いてもよい。さらに、図8にしめすようなテーブルについては、ユーザリンクセル70,71毎に別々に設定してもよいし、PERの統計値に基づき随時値を変更してもよい。
実施の形態3は、周波数の帯域幅の制御を行うに当たり、トラヒック量も考慮する点が実施の形態1,2と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態3では、実施の形態1に機能を加えた場合について説明する。しかし、実施の形態2に機能を加えることも可能である。
図9を参照して、実施の形態3に係るリソース決定装置60の動作を説明する。
図9のステップS32の処理は、図3のステップS12の処理と同じである。
情報取得部611は、衛星通信端末20,21とGW局30との間の衛星通信回線の情報に加えて、衛星通信端末20,21とGW局30との間の衛星通信回線のトラヒック量を取得する。衛星通信回線のトラヒック量は、具体例としては、事前に決められた要求トラヒック量、又は、実際に測定されたトラヒック量である。
指標計算部612は、ステップS32で計算されたフォワードリンクの各衛星通信回線の周波数利用効率を、ユーザリンクセル70,71毎にグルーピングする。また、指標計算部612は、ステップS31で取得されたフォワードリンクの各衛星通信回線のトラヒック量を、ユーザリンクセル70,71毎にグルーピングする。
リソース決定部613は、ユーザリンクセル70,71それぞれを対象のユーザリンクセルに設定する。リソース決定部613は、対象のユーザリンクセルのグループについて、衛星通信回線毎に、単位時間あたりのトラヒック量を周波数利用効率で除すことにより必要となる帯域幅を概算し、概算された帯域幅を加算する。これにより、リソース決定部613は、対象のユーザリンクセルに対応するユーザリンクのビームで必要となる帯域幅を計算する。
例えば、ユーザリンクセル70,71について計算された帯域幅がそれぞれ600MHz、400MHzであり、ユーザリンクセル70用帯域幅とユーザリンクセル71用帯域幅との初期値がそれぞれ500MHzであるとする。この場合には、リソース決定部613は、ユーザリンクセル70,71に対応するユーザリンクのビームについての帯域リソースの制御値はそれぞれ+100、-100であると特定する。そして、リソース決定部613は、図5を参照して説明した方法によりビーム毎の周波数の帯域幅の調整を行い、ビーム毎の周波数の帯域幅を決定する。
制御実行部614は、ステップS34で決定された周波数の帯域幅が複数のビームそれぞれに割り当てられるように制御を行う。
以上のように、実施の形態3に係るリソース決定装置60は、衛星通信回線の周波数利用効率に加え、単位時間当たりのトラヒック量を用いて、ビーム間の周波数の帯域幅調整を行う。これにより、QoSの劣化を低減することが可能である。
実施の形態4は、フィーダリンクセルに対するビームの周波数の帯域幅を制御する点が実施の形態1~3と異なる。実施の形態4では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態4では、実施の形態1におけるユーザリンクセルに対するビームの周波数の帯域幅の制御に代えて、フィーダリンクセルに対するビームの周波数の帯域幅の制御を行う場合について説明する。しかし、実施の形態1~3の機能に加えて、フィーダリンクセルに対するビームの周波数の帯域幅の制御を行うことも可能である。
図10を参照して、実施の形態4に係る衛星通信システム100の構成を説明する。
実施の形態4に係る衛星通信システム100は、衛星10によって送信される複数のビームによって複数のフィーダリンクセルが生成され、各フィーダリンクセルにGW局が存在する点が図1に示す衛星通信システム100と異なる。実施の形態4では、衛星10によって送信される2つのビームそれぞれによってフィーダリンクセル80とフィーダリンクセル81との2つのフィーダリンクセルが生成されるとする。フィーダリンクセル80,81には、それぞれGW局30,31が存在しているとする。
なお、実施の形態4では、2つのビーム及び2つのフィーダリンクセルを用いて説明するが、ビーム及びフィーダリンクセルの数は2つに限るものではない。
図3を参照して、実施の形態4に係るリソース決定装置60の動作を説明する。
ステップS11からステップS12の処理と、ステップS14からステップS15の処理とは、原則として実施の形態1と同じである。但し、実施の形態4では、ユーザリンクセルではなく、フィーダリンクセルが対象である。したがって、実施の形態1の説明におけるユーザリンクセルをフィーダリンクセルに読み替える必要がある。
指標計算部612は、ステップS12で計算されたフォワードリンクの各衛星通信回線の周波数利用効率を、フィーダリンクセル80,81毎にグルーピングし、周波数利用効率の統計値を計算する。フィーダリンクセル80,81毎にグルーピングするとは、フィーダリンクセル80,81に対応するフィーダリンクを生成するビーム毎にグルーピングするという意味である。
以上のように、実施の形態4に係るリソース決定装置60は、複数のフィーダリンクセルそれぞれについての周波数利用効率に基づき、複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する。これにより、天候又は干渉電波等の影響により衛星回線性能が劣化し、一部の衛星通信回線のQoSが大幅に劣化してしまうような場合に、QoSの劣化を低減することが可能である。
実施の形態5は、ユーザリンクセルの形状を変更する点が実施の形態1~4と異なる。実施の形態5では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態5では、実施の形態1に機能を加えた場合について説明する。しかし、実施の形態2~4に機能を加えることも可能である。
図11を参照して、実施の形態5に係る衛星通信システム100の構成を説明する。
実施の形態5に係る衛星通信システム100は、ユーザリンクセル70,71を生成するビームに対して、DBF(Digital Beam Forming)機能の励振係数制御を行うにより、ユーザリンクセル70,71の形状を変更できる点が図1に示す衛星通信システム100と異なる。図11では、ユーザリンクセル70,71のエリア90,91をそれぞれ、DBF機能の励振係数制御により、エリア92,93に変更できることが示されている。
図12を参照して、実施の形態5に係るリソース決定装置60の動作を説明する。
図12のステップS41からステップS42の処理は、図3のステップS11からステップS12の処理と同じである。
指標計算部612は、ステップS42で計算されたフォワードリンクの各衛星通信回線の周波数利用効率を、衛星通信システム100全体でグルーピングし、周波数利用効率の統計値を計算する。
具体的には、指標計算部612は、グルーピングされた周波数利用効率の平均値又は分散値を統計値として計算する。あるいは、指標計算部612は、別途決定する時間単位での周波数利用効率の平均値の変化率を統計値として計算してもよい。
リソース決定部613は、ステップS43で計算された周波数利用効率の統計値に基づき、DBF機能の励振係数制御を実行するか否かを判定する。
具体例としては、リソース決定部613は、周波数利用効率の平均値から基準となる周波数利用効率を減算して得られた値が0を下回るか否かによって、DBF機能の励振係数制御を実行するか否かを判定する。なお、リソース決定部613は、値が0を下回る場合には、DBF機能の励振係数制御を実行すると判定し、値が0を下回らない場合には、DBF機能の励振係数制御を実行しないと判定する。リソース決定部613は、DBF機能の励振係数制御を実行すると判定した場合には、処理をステップS45に進める。一方、リソース決定部613は、DBF機能の励振係数制御を実行しないと判定した場合には、処理をステップS41に戻す。
ここでは、統計値として平均値を用いた場合を説明したが、統計値は、平均値に限らず分散値、平均値の変化率等であってもよい。また、基準となる周波数利用効率は、予め決めた値が用いられてもよいし、周波数利用効率の統計値に基づいて値が随時変更されてもよい。
制御実行部614は、DBF機能の励振係数制御を実行する。
具体的には、制御実行部614は、各ビームに対して事前に決められた励振係数の組の候補の中から、仮変更する励振係数の組を選択する。制御実行部614は、選択された励振係数の組を用いて、衛星10に対して励振係数制御を実行する。
リソース決定部613は、ステップS48で計算された統計値を、ステップS43で計算された統計値と比較することにより、周波数利用効率が改善したか否かを判定する。
具体例としては、リソース決定部613は、ステップS48で計算された周波数利用効率の平均値から、ステップS43で計算された励振係数仮変更前の周波数利用効率の平均値を減算して得られた値が基準値以上であるか否かを判定する。リソース決定部613は、値が基準値以上である場合には、周波数利用効率が改善したと判定し、値が基準値未満である場合には、周波数利用効率が改善していないと判定する。リソース決定部613は、周波数利用効率が改善したと判定した場合には、仮変更した励振係数処理をそのまま使用することとして、処理をステップS41に戻す。一方、リソース決定部613は、周波数利用効率が改善していないと判定した場合には、処理をステップS50に進める。
ここでは、統計値として平均値を用いた場合を説明したが、統計値は、平均値に限らず分散値、平均値の変化率等であってもよい。
リソース決定部613は、ステップS45で未だ選択されていない励振係数の組が残っているか否かを判定する。なお、リソース決定部613は、励振係数の仮変更の回数が規定回数を超えているような場合に、候補が無いと判定してもよい。
リソース決定部613は、励振係数の組が残っている場合には、処理をステップS45に戻す。一方、リソース決定部613は、励振係数の組が残っていない場合には、処理をステップS51に進める。
リソース決定部613は、ステップS45で仮変更した励振係数を元の励振係数に戻して、衛星10に対して励振係数制御を実行した上で、処理をステップS41に戻す。この際、リソース決定部613は、ステップS44で使用する基準となる周波数利用効率の値から補正値だけ減じるといった調整を行ってもよい。
以上のように、実施の形態5に係るリソース決定装置60は、周波数利用効率に基づきDBFの励振係数制御を行う。これにより、天候又は干渉電波等の影響により衛星回線性能が劣化し、一部の衛星通信回線のQoSが大幅に劣化してしまうような場合に、QoSの劣化を低減することが可能である。
Claims (10)
- 複数のビームを送信可能なマルチビーム対応衛星に割り当てるリソースを決定するリソース決定装置であり、
前記複数のビームによって生成された複数のユーザリンクセルそれぞれを計算対象のユーザリンクセルとして、前記計算対象のユーザリンクセルについての周波数利用効率及びPER(Packet Error Rate)を計算する指標計算部と、
前記指標計算部によって計算された前記複数のユーザリンクセルそれぞれについての前記周波数利用効率に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定するとともに、前記PERに基づき、前記複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定するリソース決定部であって、前記送信電力に上限値がある場合には、前記複数のユーザリンクセルについてのPERが平準化するように、前記複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定するリソース決定部と
を備えるリソース決定装置。 - 複数のビームを送信可能なマルチビーム対応衛星に割り当てるリソースを決定するリソース決定装置であり、
前記複数のビームによって生成された複数のユーザリンクセルそれぞれを計算対象のユーザリンクセルとして、前記計算対象のユーザリンクセルについての周波数利用効率を計算するとともに、前記複数のビームについての周波数利用効率を計算する指標計算部と、
前記指標計算部によって計算された前記複数のユーザリンクセルそれぞれについての前記周波数利用効率に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定するとともに、前記複数のビームについての周波数利用効率によって、DBF(Digital Beam Forming)の励振係数を決定するリソース決定部と
を備えるリソース決定装置。 - 前記リソース決定部は、干渉が発生するビーム間で前記周波数利用効率が平準化するように、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する
請求項1又は2に記載されたリソース決定装置。 - 前記指標計算部は、前記計算対象のユーザリンクセルについての単位時間当たりのトラヒック量を計算し、
前記リソース決定部は、前記周波数利用効率及び前記トラヒック量に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する
請求項1から3までのいずれか1項に記載のリソース決定装置。 - 前記リソース決定部は、前記複数のユーザリンクセルそれぞれを決定対象のユーザリンクセルとして、前記決定対象のユーザリンクセルの前記トラヒック量を前記決定対象のユーザリンクセルの周波数利用効率で除して得られた値に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する
請求項4に記載のリソース決定装置。 - 前記指標計算部は、前記複数のビームによって生成された複数のフィーダリンクセルであって、前記複数のユーザリンクセルに存在する衛星通信端末にサービスを提供するゲートウェイが存在する複数のフィーダリンクセルそれぞれを計算対象のフィーダリンクセルとして、前記計算対象のフィーダリンクセルについての周波数利用効率を計算し、
前記リソース決定部は、前記複数のフィーダリンクセルそれぞれについての前記周波数利用効率に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定する
請求項1から5までのいずれか1項に記載のリソース決定装置。 - 複数のビームを送信可能なマルチビーム対応衛星に割り当てるリソースを決定するリソース決定方法であり、
指標計算部が、前記複数のビームによって生成された複数のユーザリンクセルそれぞれを計算対象のユーザリンクセルとして、前記計算対象のユーザリンクセルについての周波数利用効率及びPER(Packet Error Rate)を計算し、
リソース決定部が、前記複数のユーザリンクセルそれぞれについての前記周波数利用効率に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定するとともに、前記PERに基づき、前記複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定し、前記送信電力に上限値がある場合には、前記複数のユーザリンクセルについてのPERが平準化するように、前記複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定するリソース決定方法。 - 複数のビームを送信可能なマルチビーム対応衛星に割り当てるリソースを決定するリソース決定方法であり、
指標計算部が、前記複数のビームによって生成された複数のユーザリンクセルそれぞれを計算対象のユーザリンクセルとして、前記計算対象のユーザリンクセルについての周波数利用効率を計算するとともに、前記複数のビームについての周波数利用効率を計算し、
リソース決定部が、前記複数のユーザリンクセルそれぞれについての前記周波数利用効率に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定するとともに、前記複数のビームについての周波数利用効率によって、DBF(Digital Beam Forming)の励振係数を決定するリソース決定方法。 - 複数のビームを送信可能なマルチビーム対応衛星に割り当てるリソースを決定するリソース決定プログラムであり、
前記複数のビームによって生成された複数のユーザリンクセルそれぞれを計算対象のユーザリンクセルとして、前記計算対象のユーザリンクセルについての周波数利用効率及びPER(Packet Error Rate)を計算する指標計算処理と、
前記指標計算処理によって計算された前記複数のユーザリンクセルそれぞれについての前記周波数利用効率に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定するとともに、前記PERに基づき、前記複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定するリソース決定処理であって、前記送信電力に上限値がある場合には、前記複数のユーザリンクセルについてのPERが平準化するように、前記複数のビームそれぞれに対する送信電力の制御値を決定するリソース決定処理と
を行うリソース決定装置としてコンピュータを機能させるリソース決定プログラム。 - 複数のビームを送信可能なマルチビーム対応衛星に割り当てるリソースを決定するリソース決定プログラムであり、
前記複数のビームによって生成された複数のユーザリンクセルそれぞれを計算対象のユーザリンクセルとして、前記計算対象のユーザリンクセルについての周波数利用効率を計算するとともに、前記複数のビームについての周波数利用効率を計算する指標計算処理と、
前記指標計算処理によって計算された前記複数のユーザリンクセルそれぞれについての前記周波数利用効率に基づき、前記複数のビームそれぞれへ割り当てる周波数の帯域幅を決定するとともに、前記複数のビームについての周波数利用効率によって、DBF(Digital Beam Forming)の励振係数を決定するリソース決定処理と
を行うリソース決定装置としてコンピュータを機能させるリソース決定プログラム。
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