JP7448872B1 - Dc-dcコンバータおよび制御方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007448872000001
【課題】損失が最小化されたDC-DCコンバータを実現する。
【解決手段】第1端子対(13)に接続された1次側ブリッジ回路(10)と、第2端子対(23)に接続された2次側ブリッジ回路(20)と、の間にトランス(Tr)を備えたDC-DCコンバータ(1)は、トランスについての換算電圧として表した第1端子対および第2端子対における端子管電圧のより大きくない方を第1電圧と称し、より小さくない方を第2電圧と称し、送電する電流、第1電圧および第2電圧に基づき、ブリッジ間位相差、第1レグ間位相差、および第2レグ間位相差を決定し、各スイッチング素子を制御する。
【選択図】図1

Description

本開示は、DC-DCコンバータおよびその制御方法に関する。
直流電力の送電に、デュアルアアクティブブリッジ方式(以下、DABと省略する)のDC-DCコンバータが広く用いられている。特許文献1に開示されているDC-DCコンバータは、第1端子対に接続されたブリッジ回路と、第2端子対に接続されたブリッジ回路と、の間にトランスを備える。当該DC-DCコンバータでは、トランスについての換算電圧として表した第1端子対および第2端子対における端子間電圧のより大きくない方を第1電圧と称し、より小さくない方を第2電圧と称する。さらに、当該DC-DCコンバータでは、送電する電流、第1電圧および第2電圧に基づき、ブリッジ間位相差、第1レグ間位相差、および第2レグ間位相差を決定し、各スイッチング素子を制御する。
特許第7315886号
特許文献1のDC-DCコンバータによれば、導通損およびスイッチング損は最小となる。しかしながら、特許文献1では、鉄損は考慮されていない。このため、特許文献1のDC-DCコンバータにおいては、全体としての損失が最小であるとは限らない。
本開示の一態様は、損失が最小化されたDC-DCコンバータなどを実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るDC-DCコンバータは、複数のスイッチング素子を含み、第1端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、複数のスイッチング素子を含み、第2端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、トランスを有し、前記2つのブリッジ回路の間に接続される変換部と、前記2つのブリッジ回路の各スイッチング素子のスイッチングを制御する制御部と、を備えたDC-DCコンバータであって、前記制御部は、前記トランスについての換算電圧として表した、前記第1端子対および前記第2端子対における端子間電圧のうち、より大きくない方の端子間電圧を第1電圧Vsmallと称し、より小さくない方の端子間電圧を第2電圧Vlargeと称したとき、前記第1端子対側から前記第2端子対側へと送電する電力または電流に応じて、前記第1電圧側における前記ブリッジ回路と、前記第2電圧側における前記ブリッジ回路と、の間のブリッジ間位相差φBを決定し、前記第1電圧の前記第2電圧に対する比と前記ブリッジ間位相差とに基づいて、前記第1電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第1レグ間位相差を決定し、前記第1レグ間位相差に前記比を乗じて、前記第2電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第2レグ間位相差を決定し、前記各スイッチング素子におけるデューティを固定して、決定した前記ブリッジ間位相差と前記第1レグ間位相差と前記第2レグ間位相差とに従って、前記各スイッチング素子のスイッチングを制御し、前記第1レグ間位相差は、第1関係式(1)および第2関係式(2)を満たす範囲において第3関係式(3)を最小とするφlargeの値とする。
φlarge≦(Vlarge/Vsmall)×(π-φB) (1)
φlarge≦(Vlarge/(Vlarge-Vsmall))×φB (2)
Wloss(φlarge)=Wfe+Wsw+Wcon (3)
Wfe:鉄損
Wsw:スイッチング損
Wcon:導通損
また、本開示の一態様に係る制御方法は、複数のスイッチング素子を含み、第1端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、複数のスイッチング素子を含み、第2端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、トランスを有し、前記2つのブリッジ回路の間に接続される変換部と、を備えたDC-DCコンバータにおいて、前記2つのブリッジ回路の各スイッチング素子のスイッチングを制御する制御方法であって、前記トランスについての換算電圧として表した、前記第1端子対および前記第2端子対における端子間電圧のうち、より大きくない方の端子間電圧を第1電圧Vsmallと称し、より小さくない方の端子間電圧を第2電圧Vlargeと称したとき、前記第1端子対側から前記第2端子対側へと送電する電力または電流に応じて、前記第1電圧側における前記ブリッジ回路と、前記第2電圧側における前記ブリッジ回路と、の間のブリッジ間位相差φBを決定するステップと、前記第1電圧の前記第2電圧に対する比と前記ブリッジ間位相差とに基づいて、前記第1電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第1レグ間位相差を決定するステップと、前記第1レグ間位相差に前記比を乗じて、前記第2電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第2レグ間位相差を決定するステップと、を含み、前記各スイッチング素子におけるデューティを固定して、決定した前記ブリッジ間位相差と前記第1レグ間位相差と前記第2レグ間位相差とに従って、前記各スイッチング素子のスイッチングを制御し、前記第1レグ間位相差は、第1関係式(1)および第2関係式(2)を満たす範囲において第3関係式(3)を最小とするφlargeの値とする。
φlarge≦(Vlarge/Vsmall)×(π-φB) (1)
φlarge≦(Vlarge/(Vlarge-Vsmall))×φB (2)
Wloss(φlarge)=Wfe+Wsw+Wcon (3)
Wfe:鉄損
Wsw:スイッチング損
Wcon:導通損
本開示の一態様によれば、損失が最小化されたDC-DCコンバータなどを実現できる。
本実施形態に係るDC-DCコンバータの回路図である。 制御部の動作を示すブロック図である。 φlargeが第2関係式を満たさない場合におけるDC-DCコンバータの動作を示すグラフである。 本実施形態に係るDC-DCコンバータにおける、第1レグ間位相差と損失との関係の例を示すグラフである。 交流電圧、交流電力、トランスにおける磁束密度、およびDC-DCコンバータの出力電力の関係を示すグラフである。 スイッチング素子のそれぞれにおける、電流および電圧の波形を示すグラフである。 スイッチング損について説明するための図である。 DC-DCコンバータが四角モードで動作している場合における電流計算式について説明するための図である。 DC-DCコンバータが三角モードで動作している場合における電流計算式について説明するための図である。 実施例および従来例の効率を比較したグラフである。 実施例および従来例のブリッジ間位相差を比較したグラフである。 実施例および従来例の第1レグ間位相差を比較したグラフである。
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るDC-DCコンバータ1の回路図である。DC-DCコンバータ1は、1次側ブリッジ回路10と、2次側ブリッジ回路20と、変換部30と、制御部40と、を備える。
(DC-DCコンバータ1の構成)
1次側ブリッジ回路10は、第1端子対13に接続されている。第1端子対13の電圧、すなわち、端子13aから端子13bに向けた電圧は電圧V1である。なお、第1端子対13には、電源または負荷が接続されていてもよい。また、端子13bに流れ込む電流は電流I1である。
2次側ブリッジ回路20は、第2端子対23に接続されている。第2端子対23の電圧、すなわち、端子23aから端子23bに向けた電圧は電圧V2である。なお、第2端子対23には、電源または負荷が接続されていてもよい。また、端子23bに流れ込む電流は電流I2である。
なお、電圧V1、電圧V2、電流I1、および電流I2は、制御部40が取得する時間平均値であり、後述する制御に用いる。
ここで、本明細書では、1次側ブリッジ回路10から2次側ブリッジ回路20へと電力が伝送されることを「力行」という表現を用い、2次側ブリッジ回路20から1次側ブリッジ回路10へと電力が伝送されることを「回生」という表現を用いる。また、1次側ブリッジ回路10側を「1次側」、2次側ブリッジ回路20側を「2次側」とも称する。「力行」は、出力電力Pout>0となる。「回生」は、出力電力Pout<0となる。
1次側ブリッジ回路10は、4つのスイッチング素子S1~S4が設けられたフルブリッジ回路に、コンデンサ素子C1が並列に接続されている回路である。1次側ブリッジ回路10は、第1レグ11と、第2レグ12と、コンデンサ素子C1とにより構成されている。第1レグ11は、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2とが直列に接続されて構成される。第2レグ12は、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4とが直列に接続されて構成される。
2次側ブリッジ回路20は、4つのスイッチング素子S5~S8が設けられたフルブリッジ回路に、コンデンサ素子C2が並列に接続されている回路である。2次側ブリッジ回路20は、第3レグ21と、第4レグ22と、コンデンサ素子C2とにより構成されている。第3レグ21は、スイッチング素子S5とスイッチング素子S6とが直列に接続されて構成される。第4レグ22は、スイッチング素子S7とスイッチング素子S8とが直列に接続されて構成される。
スイッチング素子S1~S8はそれぞれMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)またはその他のFET(Field Effect Transistor)で構成できる。あるいは、スイッチング素子S1~S8は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、その他のトランジスタで構成されてもよい。
変換部30は、巻線比nのトランスTrと、リアクトルLとを備え、1次側ブリッジ回路10と2次側ブリッジ回路20との間に接続される。図1の回路図においては、変換部30のインダクタンス成分が、1次側に設けられたリアクトルLとして等価的に表されている。
ここで、リアクトルLは、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2との接続点と、トランスTrの1次側の巻線の一端に接続されているようにあらわされている。また、トランスTrの1次側の巻線の他端は、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4との接続点に接続されているようにあらわされている。
ここでは、リアクトルLをトランスTrの1次側の巻線に接続するように記載したが、これに限定されない。また、リアクトルLはトランスTrに含まれないインダクタンス成分を含めて表すが、現実のリアクトル素子は回路上に存在しなくても構わない。変換部30に現実の素子としてのリアクトル素子が設けられる場合には、リアクトル素子は、トランスTrの1次側に配置されても、2次側に配置されても、あるいは両方に配置されてもよい。
リアクトルLは、トランスTrの漏れインダクタンスを含んでもよい。図1の回路図においては、トランスTrの2次側の巻線は、スイッチング素子S5とスイッチング素子S6との接続点およびスイッチング素子S7とスイッチング素子S8との接続点に接続されているように表されている。
変換部30の1次側の電圧、すなわち、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4との接続点から、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2との接続点までの電圧を、1次側交流電圧Vac1とする。また、変換部30の1次側の電流、すなわち、変換部30と1次側ブリッジ回路10との間に流れる電流を、1次側交流電流Iac1とする。
変換部30の2次側の電圧、すなわち、スイッチング素子S7とスイッチング素子S8との接続点から、スイッチング素子S5とスイッチング素子S6との接続点までの電圧を、2次側交流電圧Vac2とする。また、変換部30の2次側の電流、すなわち、変換部30と2次側ブリッジ回路20との間に流れる電流を、2次側交流電流Iac2とする。
(ブロック図)
図2は、制御部40の動作を示すブロック図である。制御部40は、ブロック図に従って各スイッチング素子S1~S8を制御する。ブロック図では、各スイッチング素子同士の位相差を決定している。
(ブリッジ間位相差φB)
符号41において、制御部40は、目標電流Irefと、現在の出力電流Ioutとを比較する。なお、目標電流Irefおよび出力電流Ioutは、2次側ブリッジ回路20の電流I2の目標値と現在値であり、1次側から2次側への送電を正とする。つまり、制御部40は、符号41では出力電流Ioutの目標電流Irefに対する偏差を求めている。
符号42において、制御部40は、該偏差に対してPI制御を行う。PI制御をおこなった結果は、ブリッジ間位相差φBとなる。ここで、ブリッジ間位相差φBは、1次側ブリッジ回路10と2次側ブリッジ回路20との位相差である。ブリッジ間位相差φBは、1次側交流電圧Vac1および2次側交流電圧Vac2に着目して、1次側交流電圧Vac1が、2次側交流電圧Vac2に対して進み位相の場合が正である。すなわち、制御部40は、ブリッジ間位相差φBを、第1端子対13側から第2端子対23側へと送電する電力または電流を参照したフィードバック制御により決定する。なお、ブリッジ間位相差φBは負の値をとることもあり、正の値の場合は力行となり、負の値の場合は回生となる。また、ブリッジ間位相差φBは、-π/2~π/2の範囲の値となる。
(巻線比n、第1電圧Vsmallおよび第2電圧Vlarge)
トランスTrの巻線比nは、1次巻線の巻き数n1と2次巻線の巻き数n2とでもって、以下の式(4)により表せる。
n=n1/n2 (4)
そのため、トランスTrについての1次側の換算電圧として表した、第1端子対13の電圧はV1であり、第2端子対23の電圧はnV2である。符号43において、制御部40は、数2に示すように、これらの電圧の大小を比較して、電圧がより大きくない方をVsmallとし、電圧がより小さくない方をVlargeと呼称する。
V1≧n×V2の場合、Vsmall=n×V2、Vlarge=V1
V1<n×V2の場合、Vsmall=V1、Vlarge=n×V2
(第1レグ間位相差φlarge)
符号44において、制御部40は、VsmallおよびVlargeを用いて、以下の第1関係式(5)を導出する。
φlarge≦(Vlarge/Vsmall)×(π-|φB|) (5)
符号45において、制御部40は、VsmallおよびVlargeを用いて、以下の第2関係式(6)を導出する。
φlarge≦(Vlarge/(Vlarge-Vsmall))×|φB| (6)
符号46において、制御部40は、以下の第3関係式(7-1)を導出する。第3関係式(7-1)における各項の具体的な内容については後述する。
Wloss(φlarge)=Wfe+Wsw+Wcon (7-1)
Wfe:鉄損
Wsw:スイッチング損
Wcon:導通損
符号47において、制御部40は、第1関係式(5)および第2関係式(6)を満たす範囲内で第3関係式(7-1)を最小とするφlargeを算出し、第1レグ間位相差φlargeとする。
また、第3関係式(7-1)が第1関係式(5)および第2関係式(6)を満たす範囲内で極小点を有する場合、当該極小点において損失の勾配が0となる。このため、制御部40は、以下の式(7-2)を満たすφlargeを算出してもよい。
dWloss/dφlarge=0 (7-2)
ただし、第1関係式(5)および第2関係式(6)を満たす範囲内に、第3関係式(7-1)が極小点を有しない場合もある。換言すれば、第1関係式(5)および第2関係式(6)を満たす範囲内において、損失が単調減少している場合もある。この場合には、制御部40は、上記の第3関係式(7-1)を用いてφlargeを算出すればよい。
第1レグ間位相差φlargeは、第1電圧Vsmall側のブリッジ回路における2つのレグ間の位相差である。仮に、第1電圧Vsmallが1次側のブリッジ回路の場合、第1レグ間位相差φlargeは、第1レグ11に対して第2レグ12が進んでいる場合が正である。仮に、第1電圧Vsmallが2次側のブリッジ回路の場合、第1レグ間位相差φlargeは、第3レグ21に対して第4レグ22が進んでいる場合が正である。なお、第1レグ間位相差φlargeは常に正の値を取る。また、第1レグ間位相差φlargeは、0~πの範囲の値となる。
なお、上記の第1関係式(5)および第2関係式(6)は、トランスTrを流れる交流電流において電流ゼロ区間を設け、かつ効率を高くなるように第1レグ間位相差φlargeを決定するための条件を示す。具体的には、φlargeが第1関係式(5)を満たさない場合、電流ゼロ区間が存在しなくなる。また、φlargeが第2関係式(6)を満たさない場合、無効電流の割合が増え、効率が低下する。
図3は、φlargeが第2関係式(6)を満たさない場合におけるDC-DCコンバータ1の動作を示すグラフである。図3において、符号301は、1次側交流電圧Vac1および2次側交流電圧Vac2を示し、符号302は、1次側交流電流Iac1および2次側交流電流Iac2を示す。また、図3において、符号303~306は、スイッチング素子S1,S3,S5,S7のそれぞれにおける、電流および電圧の波形を示すグラフである。スイッチング素子S2、S4、S6、およびS8のオンオフは、それぞれスイッチング素子S1、S3、S5、およびS7のオンオフの逆位相である。
φlargeが第2関係式(6)を満たす場合、スイッチング損はスイッチング素子S5のみで発生する。一方、φlargeが第2関係式(6)を満たさない場合、図3に示すように、スイッチング素子S5,S7において、電圧の立ち上がり時に電流が0にならない。このため、φlargeが第2関係式(6)を満たす場合と比較して、スイッチング損が発生する素子が増加し、効率が低下する。また、この場合、電圧が正である区間において電流が負になる期間が生じるため、無効電流が増加する。これらの理由により、φlargeが第2関係式(6)を満たさない場合には、φlargeが第2関係式(6)を満たす場合と比較して、DC-DCコンバータ1の効率が低下する。
従来技術では、φlargeの値を、第1関係式(5)および第2関係式(6)を満たす最大の値としていた。本願においては、制御部40は、上記の条件のもとで、さらに損失Wlossを最小化するようにφlargeを決定する。
(第2レグ間位相差φsmall)
符号48において、制御部40は、第1レグ間位相差φlargeに、第1電圧Vsmallに対する第2電圧Vlargeの比(Vlarge/Vsmall)を乗算することで、第2レグ間位相差φsmallを求める。
第2レグ間位相差φsmallは、第2電圧Vlarge側のブリッジ回路における2つのレグ間の位相差である。仮に、第2電圧Vlargeが1次側のブリッジ回路の場合、第2レグ間位相差φsmallは、第1レグ11に対して第2レグ12が進んでいる場合が正である。仮に、第2電圧Vlargeが2次側のブリッジ回路の場合、第2レグ間位相差φsmallは、第3レグ21に対して第4レグ22が進んでいる場合が正である。なお、第2レグ間位相差φsmallは常に正の値を取る。また、第2レグ間位相差φsmallは、0~πの範囲の値となる。
(三角波比較)
符号49において、制御部40は、決定されたブリッジ間位相差φB、第1レグ間位相差φlarge、および第2レグ間位相差φsmallに従って、各スイッチング素子S1~S8のスイッチングを制御する。このとき、各スイッチング素子S1~S8のデューティは、例えば0.5として固定する。なお、制御部40は、各スイッチング素子S1~S8についての所要のスイッチングの位相差を生じさせるために、三角波と位相差に応じた値の大小を比較してスイッチングのタイミングを決定する、いわゆる三角波比較法を用いてもよい。
なお、制御信号を作る手段は限定されず、制御部40は、ブリッジ間位相差φB、第1レグ間位相差φlarge、および第2レグ間位相差φsmallを考慮した任意の手段を用いてもよい。
(DC-DCコンバータ1の動作)
図2に示したブロック図に基づいて制御を行う場合、DC-DCコンバータ1の動作について、電力の送電方向と、1次側と2次側との電圧差と、の二種類の観点で区分することができる。電力の送電方向では、上述したように、1次側から2次側へと送電する場合を「力行」と称し、2次側から1次側へと送電する場合を「回生」と称する。2次側交流電圧Vac2が、1次側交流電圧Vac1に対して遅れ位相の場合では、力行となる。逆に、1次側交流電圧Vac1が、2次側交流電圧Vac2に対して遅れ位相の場合では、回生となる。
また、1次側と2次側との電圧差では、大きく分けて3パターンあり、定格電圧動作、昇圧動作、および降圧動作がある。定格電圧動作は、1次側と2次側との換算電圧がほぼ釣り合っている状態である。昇圧動作は、1次側よりも2次側の電圧が大きい状態である。降圧動作は、1次側よりも2次側の電圧が小さい状態である。上述したブロック図では、電力の送電方向と、1次側と2次側との電圧差と、を合わせた合計6種類の動作パターンがあり、全て実行可能である。
図4は、DC-DCコンバータ1における、第1レグ間位相差φlargeと損失との関係の例を示すグラフである。本明細書において、損失とは、DC-DCコンバータ1に入力される電力に対する、出力される電力の減少量である。
DC-DCコンバータ1の動作の説明に先駆けて、DC-DCコンバータ1の動作の、3通りの例について説明する。図4において、横軸は第1レグ間位相差φlarge(°)であり、縦軸は損失(W)である。図4において、グラフ401は導通損Wconおよびスイッチング損Wswの和を示し、グラフ402は鉄損Wfeを示す。また、図4において、グラフ403は導通損Wcon、スイッチング損Wswおよび鉄損Wfeの合計を示す。これらのグラフはいずれも、DC-DCコンバータ1の出力電力を定格値の20%とした場合のものである。
DC-DCコンバータ1における損失として、導通損Wcon、スイッチング損Wsw、および鉄損Wfeが挙げられる。導通損Wconは、スイッチング素子S1~S8およびトランスTrにおける抵抗による損失であり、スイッチング素子S1~S8およびトランスTrに短時間で大電流を流すと大きくなる。スイッチング損Wswは、スイッチング素子S1~S8におけるスイッチング時に生じる損失であり、スイッチング素子S1~S8のスイッチング時に流れている電流が大きいと大きくなる。鉄損Wfeは、トランスTrにおいて鉄芯が磁化されることで生じる損失であり、トランスTrへの通電時間が長いと大きくなる。このため、導通損Wconおよびスイッチング損Wswは第1レグ間位相差φlargeの増加に伴って減少するが、鉄損Wfeは第1レグ間位相差φlargeの増加に伴って増加する。
特許文献1のDC-DCコンバータでは、導通損Wconが最小となるように第1レグ間位相差φlargeを決定する。図4に示す例において、特許文献1のDC-DCコンバータでは、第1レグ間位相差φlargeは160°辺りとなる。この場合、スイッチング損Wswについても最小となる。しかし、この場合には鉄損Wfeが大きくなるため、導通損Wcon、スイッチング損Wsw、および鉄損Wfeを合わせたDC-DCコンバータ全体での損失Wloss(φlarge)は最小とはならない。つまり特許文献1のDC-DCコンバータでは、スイッチング素子での損失及び発熱を抑制することを主眼に第1レグ間位相差φlargeが決定されていた。
本開示のDC-DCコンバータ1では、上述したとおり、DC-DCコンバータ1全体での損失Wloss(φlarge)が最小となるように第1レグ間位相差φlargeを決定する。図4に示す例において、DC-DCコンバータ1では、第1レグ間位相差φlargeは85°辺りとなる。
また、図4に示す例において、仮に鉄損Wfeを最小化するように第1レグ間位相差φlargeを決定する場合、第1レグ間位相差φlargeは40°辺りとなる。ただし、この場合には、導通損Wconおよびスイッチング損Wswが大きくなるため、DC-DCコンバータ1全体での損失は最小とはならない。
以下の説明では、DC-DCコンバータ1について、φlargeを85°とした例を実施例と称する。また、φlargeを160°とした例を従来例と称し、φlargeを40°とした例を動作例と称する。
図5は、交流電圧、交流電力、トランスTrにおける磁束密度、およびDC-DCコンバータ1の出力電力の関係を示すグラフである。図5において、符号501は、動作例についてのグラフ群であり、符号502は、実施例についてのグラフ群であり、符号503は、従来例についてのグラフ群である。符号501~503のそれぞれのグラフ群に含まれているグラフは、上から順に、
・1次側交流電圧Vac1および2次側交流電圧Vac2
・1次側交流電流Iac1および2次側交流電流Iac2
・トランスTrにおける磁束密度
・DC-DCコンバータ1の出力電力
を示す。
図6は、スイッチング素子S1,S3,S5,S7のそれぞれにおける、電流および電圧の波形を示すグラフである。図6において、符号601は、動作例についてのグラフ群であり、符号602は、実施例についてのグラフ群であり、符号603は、従来例についてのグラフ群である。符号601~603のそれぞれにおけるグラフは、上から順に、
・スイッチング素子S1に印加される電圧および流れる電流
・スイッチング素子S3に印加される電圧および流れる電流
・スイッチング素子S5に印加される電圧および流れる電流
・スイッチング素子S7に印加される電圧および流れる電流
を示す。スイッチング素子S2、S4、S6、およびS8のオンオフは、それぞれスイッチング素子S1、S3、S5、およびS7のオンオフの逆位相である。各スイッチング素子S1~S8の動作には、実際には短絡を防止するためのデッドタイムを設けるが、簡素化のためにここではデッドタイムを省略して記載している。また、図5において、電流Iswは、スイッチング時の電流の一例を示す。
上述したとおり、φlargeは、第1関係式(5)および第2関係式(6)を満たすように決定される。この場合、スイッチング素子S1~S8のうち4つ以上の素子において、ゼロ電流スイッチング(ZCS、Zero Current Switching)が可能となり、低損失となる。
DC-DCコンバータ1においては、トランスTrにおける磁束密度の変動幅が大きい程、鉄損Wfeが大きくなる。図4に示すように、従来例(φlarge=160°)では実施例(φlarge=85°)と比較して磁束密度の変動幅が大きいため、鉄損Wfeが大きくなっていると言える。
また、DC-DCコンバータ1においては、スイッチング素子S1~S8およびトランスTrに流れる電流が大きい程、導通損Wconが大きくなる。図4に示すように、動作例(φlarge=40°)では実施例と比較して交流電流が大きいため、導通損Wconが大きくなっていると言える。
また、DC-DCコンバータ1においては、スイッチング時の電流が大きいほど、それを遮断する時に生じるスイッチング損Wswが大きくなる。図5に示すように、動作例においては、実施例および従来例よりもスイッチング時の電流が大きいため、スイッチング損Wswが大きくなっていると言える。
(鉄損)
一般に、鉄損Wfeは、以下の式(8)で記述される。
Wfe=Kh×f×Bβ+Ke×B×f (8)
Kh:ヒステリシス損失係数
β:シュタインメッツ定数
Ke:渦電流損失係数
f:周波数
B:磁束密度
式(8)において、第1項はヒステリシス損に対応し、第2項は渦電流損に対応する。ここで、式(8)における最大磁束密度Bは、以下の式(9)により計算される。
Figure 0007448872000002
式(9)において、Nは、第1端子対13および第2端子対23のうち、端子間の電圧がVsmallである側の、トランスTrの巻線の巻き数である。換言すれば、Nは、ブリッジ回路における2つのレグ間の位相差がφlargeである側の巻線の巻き数である。また、Sは鉄心断面積である。これにより、鉄損Wfeをφlargeの関数として表すことができる。
(スイッチング損)
スイッチング損Wswは、スイッチング素子S1~S8のそれぞれにおける導通の開始時および終了時に発生する。スイッチング損Wswは、各スイッチング素子S1~S8における、1回あたりのスイッチング損失-遮断電流特性、および各スイッチング素子S1~S8における導通の開始時または終了時の電流条件に基づいて算出した、各スイッチング素子S1~S8におけるスイッチング損失を総合して導出される。具体的には、スイッチング損Wswは、後述する電流計算式により算出される、スイッチング素子S1~S8における導通の開始時および終了時、すなわちターンオンおよびターンオフに係る電流条件を元に、スイッチング素子S1~S8のデータシートを参照して導出できる。
具体的には、スイッチング素子S1~S8のデータシートには、1回あたりのスイッチング損失[J]-遮断電流[A]特性が記載されている。当該特性、および後述する電流計算式により算出した電流条件により、1回のスイッチングで生じるスイッチング損を算出し、さらに駆動周波数を乗じることで単位時間当たりのスイッチング損[W]を算出できる。
なお、ZCS動作時にはスイッチング損Wswは0となる。このため、スイッチング損Wswは、スイッチング素子S1~S8のうち、ZCS動作していないものについてのみ算出すればよい。
図7は、スイッチング損Wswについて説明するための図である。図7において、横軸は時間であり、縦軸は電流または電圧である。図7において、符号701は、動作例においてスイッチング時にスイッチング素子S1~S8に流れる電流であり、符号702は、実施例においてスイッチング時にスイッチング素子S1~S8に流れる電流である。また、符号703は、動作例および実施例の両方において、スイッチング時にスイッチング素子S1~S8に印加される電圧である。
図7において、電流と電圧とが重畳する領域がスイッチング損Wswを示す。図7に示すように、実施例における電流のグラフの方が、動作例における電流のグラフよりも、電圧のグラフと重畳する領域が小さい。したがって、実施例の方が動作例よりも、スイッチング損Wswが小さいと言える。
(導通損)
導通損Wconは、前記各スイッチング素子の導通時のオーム損を総合した損失と、前記トランスの銅損とから導出される。具体的には、導通損Wconは、後述する電流計算式から算出した、1次側交流電流Iacの電流実効値Irms、並びに、スイッチング素子S1~S8のうち電流が流れる経路上の素子の抵抗値およびトランスTrの巻線抵抗値の合計値Rを用いて以下の式(10)により計算できる。
Wcon=R×Irms (10)
図1に示した例においては、スイッチング素子S1,S4,S6,S7の組と、スイッチング素子S2,S3,S5,S8の組とに、交互に電流が流れる。
後述するように、電流値は、動作モードに応じて、1周期内における区間ごとにI1~I3、またはI1およびI2に分かれる。式(10)におけるIrmsは、以下の式(11)により計算できる。電流値がI1およびI2に分かれる場合には、式(11)におけるI3は0となる。
Figure 0007448872000003
(電流計算式)
DC-DCコンバータ1の動作モードには、四角モードおよび三角モードが存在する。四角モードは、1次側交流電流Iac1および2次側交流電流Iac2の波形と、電流値がゼロの直線とがなす形状が、四角形となっている動作モードである。四角モードは、主にDC-DCコンバータ1の出力を高出力としている場合の動作モードである。三角モードは、1次側交流電流Iac1および2次側交流電流Iac2の波形と、電流値がゼロの直線とがなす形状が、三角形となっている動作モードである。三角モードは、主にDC-DCコンバータ1の出力を低出力としている場合の動作モードである。
四角モードでは、波形と電流値がゼロの直線とがなす形状の面積が大きくなり易く、高出力での送電が可能となっている。一方、三角モードでは、波形と電流値がゼロの直線とがなす形状の面積が小さくなり易く、低出力での送電となる。
電流計算式は、DC-DCコンバータ1が、四角モードおよび三角モードのいずれで動作しているかによって異なる。それぞれのモードにおける電流計算式について、以下に説明する。
(四角モードにおける電流計算式)
図8は、DC-DCコンバータ1が四角モードで動作している場合における電流計算式について説明するための図である。図8において、符号801は、横軸を時間、縦軸を1次側交流電圧Vac1および2次側交流電圧Vac2とするグラフである。また、図8において、符号802は、横軸を時間、縦軸を1次側交流電流Iac1および2次側交流電流Iac2とするグラフである。また、図8において、φL1は、1次側交流電圧Vac1の立ち上がりから立ち下がりまでの期間を示し、φL2は、2次側交流電圧Vac2の立ち上がりから立ち下がりまでの期間を示す。
図8に示すように、1次側交流電圧Vac1の立ち上がりから2次側交流電圧Vac2の立ち上がりまでの区間を第1区間sq1とする。このとき、第1区間sq1における電流I1は、以下の式(12-1)で表される。
I1=(V1/L)×t (12-1)
式(10-1)におけるtは、第1区間sq1の開始時刻をt=0とする経過時間を位相で示したものである。
また、図8に示すように、1次側交流電圧Vac1および2次側交流電圧Vac2が両方とも立ち上がった状態である区間を第2区間sq2とする。このとき、第2区間sq2における電流I2は、以下の式(12-2)で表される。
I2=(V1/L)×φB+((V1-V2)/L)×t (12-2)
また、図8に示すように、1次側交流電圧Vac1の立ち下がりから2次側交流電圧Vac2の立ち下がりまでの区間を第3区間sq3とする。このとき、第3区間sq3における電流I3は、以下の式(12-3)で表される。
I3=(V1/L)×φB+((V1-V2)/L)×(φL1-φB)-(V2/L)×t (12-3)
また、第1レグ間位相差φlargeと第2レグ間位相差φsmallとの関係は、以下の式(13)で表される。
φlarge=(Vlarge/Vsmall)×φsmall (13)
V1およびV2を比較し、大きい方をVlarge、小さい方をVsmallとする。また、Vlargeのパルス幅をφsmall、Vsmallのパルス幅をφlargeとする。このとき、出力電力Psqは、1周期の時間をTとして、以下の式(14-1)で表される。
Figure 0007448872000004
式(14-1)を式変形することで、以下の式(14-2)が得られる。
Figure 0007448872000005
式(12-2)をφBの二次方程式と考えて、一次の係数をb、定数をcとして平方完成すると、以下の式(14-3)が得られる。
Figure 0007448872000006
式(14-3)は、下に凸である二次関数となり、2つの解を持つ。しかし、大きい方の解を採用すると、電流のピーク値が大きくなることで導通損Wconが大きくなり、DC-DCコンバータ1の効率が低下する。このため、通常は以下の式(14-4)のとおり、小さい方の解のみを採用する。
Figure 0007448872000007
これにより、DC-DCコンバータ1が四角モードで動作している場合の電流計算式、さらにはスイッチング損Wswおよび導通損Wconを、φlargeの式として表現できる。
(三角モードにおける電流計算式)
図9は、DC-DCコンバータ1が三角モードで動作している場合における電流計算式について説明するための図である。図9において、符号901は、横軸を時間、縦軸を1次側交流電圧Vac1および2次側交流電圧Vac2とするグラフである。また、図9において、符号902は、横軸を時間、縦軸を1次側交流電流Iac1および2次側交流電流Iac2とするグラフである。また、図9におけるφL1およびφL2は、図8におけるφL1およびφL2と同じである。
図9に示すように、1次側交流電圧Vac1の立ち上がりから2次側交流電圧Vac2の立ち上がりまでの区間を第1区間tri1とする。このとき、第1区間tri1における電流I1は、以下の式(15-1)で表される。
I1=(V1/L)×t (15-1)
また、図9に示すように、2次側交流電圧Vac2の立ち上がりから1次側交流電圧Vac1および2次側交流電圧Vac2の立ち下がりまでの区間を第2区間tri2とする。このとき、第2区間tri2における電流I2は、以下の式(15-2)で表される。
I2=(V1/L)×φB+((V1-V2)/L)×t (15-2)
第1レグ間位相差φlargeと第2レグ間位相差φsmallとの関係は、上述した式(13)に加えて、以下の式(16)によって表される。
φB=((Vlarge-Vsmall)/Vlarge)×φlarge (14)
DC-DCコンバータ1が三角モードで動作している場合、式(16)のとおり、φBをφlargeで書き換えることができる。これにより、DC-DCコンバータ1が三角モードで動作している場合の電流計算式、さらにはスイッチング損Wswおよび導通損Wconを、φlargeの式として表現できる。
なお、DC-DCコンバータ1が三角モードで動作している場合における電力計算式は、以下の式(17)となる。
Figure 0007448872000008
〔実施例と従来例との比較〕
図10は、実施例および従来例の効率を比較したグラフである。図10において、横軸は出力電力の定格値に対する比率を示し、縦軸は効率を示す。図10において、グラフ1001は実施例の効率を示し、グラフ1002は比較例の効率を示す。
図11は、実施例および従来例のブリッジ間位相差φBを比較したグラフである。図11において、横軸は出力電力の定格値に対する比率を示し、縦軸はブリッジ間位相差φBを示す。図11において、グラフ1101は実施例のブリッジ間位相差φBを示し、グラフ1102は比較例のブリッジ間位相差φBを示す。
図12は、実施例および従来例の第1レグ間位相差φlargeを比較したグラフである。図12において、横軸は出力電力の定格値に対する比率を示し、縦軸は第1レグ間位相差φlargeを示す。図12において、グラフ1101は実施例の第1レグ間位相差φlargeを示し、グラフ1102は比較例の第1レグ間位相差φlargeを示す。
図10~図12に示すように、出力電力を定格値の60%未満とした場合、実施例の効率は比較例の効率よりも向上した。また、実施例におけるブリッジ間位相差φBは比較例におけるブリッジ間位相差φBよりも増加し、実施例における第1レグ間位相差φlargeは比較例における第1レグ間位相差φlargeよりも減少した。
以上により、本開示のDC-DCコンバータ1は、特に出力電力が低い状態で運用する場合において、特許文献1のDC-DCコンバータよりも性能が向上すると言える。
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るDC-DCコンバータは、複数のスイッチング素子を含み、第1端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、複数のスイッチング素子を含み、第2端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、トランスを有し、前記2つのブリッジ回路の間に接続される変換部と、前記2つのブリッジ回路の各スイッチング素子のスイッチングを制御する制御部と、を備えたDC-DCコンバータであって、前記制御部は、前記トランスについての換算電圧として表した、前記第1端子対および前記第2端子対における端子間電圧のうち、より大きくない方の端子間電圧を第1電圧Vsmallと称し、より小さくない方の端子間電圧を第2電圧Vlargeと称したとき、前記第1端子対側から前記第2端子対側へと送電する電力または電流に応じて、前記第1電圧側における前記ブリッジ回路と、前記第2電圧側における前記ブリッジ回路と、の間のブリッジ間位相差φBを決定し、前記第1電圧の前記第2電圧に対する比と前記ブリッジ間位相差とに基づいて、前記第1電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第1レグ間位相差を決定し、前記第1レグ間位相差に前記比を乗じて、前記第2電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第2レグ間位相差を決定し、前記各スイッチング素子におけるデューティを固定して、決定した前記ブリッジ間位相差と前記第1レグ間位相差と前記第2レグ間位相差とに従って、前記各スイッチング素子のスイッチングを制御し、前記第1レグ間位相差は、第1関係式(1)および第2関係式(2)を満たす範囲において第3関係式(3)を最小とするφlargeの値とする。
φlarge≦(Vlarge/Vsmall)×(π-φB) (1)
φlarge≦(Vlarge/(Vlarge-Vsmall))×φB (2)
Wloss(φlarge)=Wfe+Wsw+Wcon (3)
Wfe:鉄損
Wsw:スイッチング損
Wcon:導通損
本開示の態様2に係るDC-DCコンバータは、態様1において、前記第3関係式(3)における鉄損Wfeは、以下の式(4)により表される。
Wfe=Kh×f×Bβ+Ke×B×f (4)
Kh:ヒステリシス損失係数
β:シュタインメッツ定数
Ke:渦電流損失係数
f:周波数
B:磁束密度
本開示の態様3に係るDC-DCコンバータは、態様1または2において、前記第3関係式(3)におけるスイッチング損Wswは、前記各スイッチング素子における、1回あたりのスイッチング損失-遮断電流特性、および前記各スイッチング素子における導通の開始時または終了時の電流条件に基づいて算出した、前記各スイッチング素子におけるスイッチング損失を総合して導出される。
本開示の態様4に係るDC-DCコンバータは、態様1から3のいずれかにおいて、導通損Wconは、前記各スイッチング素子の導通時のオーム損を総合した損失と、前記トランスの銅損とから導出される、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
本開示の態様5に係るDC-DCコンバータは、態様1から4のいずれかにおいて、前記制御部は、前記ブリッジ間位相差φBを、前記第1端子対側から前記第2端子対側へと送電する電力または電流を参照したフィードバック制御により決定する。
本開示の態様6に係る制御方法は、複数のスイッチング素子を含み、第1端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、複数のスイッチング素子を含み、第2端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、トランスを有し、前記2つのブリッジ回路の間に接続される変換部と、を備えたDC-DCコンバータにおいて、前記2つのブリッジ回路の各スイッチング素子のスイッチングを制御する制御方法であって、前記トランスについての換算電圧として表した、前記第1端子対および前記第2端子対における端子間電圧のうち、より大きくない方の端子間電圧を第1電圧Vsmallと称し、より小さくない方の端子間電圧を第2電圧Vlargeと称したとき、前記第1端子対側から前記第2端子対側へと送電する電力または電流に応じて、前記第1電圧側における前記ブリッジ回路と、前記第2電圧側における前記ブリッジ回路と、の間のブリッジ間位相差φBを決定するステップと、前記第1電圧の前記第2電圧に対する比と前記ブリッジ間位相差とに基づいて、前記第1電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第1レグ間位相差を決定するステップと、前記第1レグ間位相差に前記比を乗じて、前記第2電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第2レグ間位相差を決定するステップと、を含み、前記各スイッチング素子におけるデューティを固定して、決定した前記ブリッジ間位相差と前記第1レグ間位相差と前記第2レグ間位相差とに従って、前記各スイッチング素子のスイッチングを制御し、前記第1レグ間位相差は、第1関係式(1)および第2関係式(2)を満たす範囲において第3関係式(3)を最小とするφlargeの値とする。
φlarge≦(Vlarge/Vsmall)×(π-φB) (1)
φlarge≦(Vlarge/(Vlarge-Vsmall))×φB (2)
Wloss(φlarge)=Wfe+Wsw+Wcon (3)
Wfe:鉄損
Wsw:スイッチング損
Wcon:導通損
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
1 DC-DCコンバータ
10 1次側ブリッジ回路
11 第1レグ
12 第2レグ
13 第1端子対
20 2次側ブリッジ回路
21 第3レグ
22 第4レグ
23 第2端子対
30 変換部
40 制御部
S1~S8 スイッチング素子
Tr トランス

Claims (6)

  1. 複数のスイッチング素子を含み、第1端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、
    複数のスイッチング素子を含み、第2端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、
    トランスを有し、前記2つのブリッジ回路の間に接続される変換部と、
    前記2つのブリッジ回路の各スイッチング素子のスイッチングを制御する制御部と、を備えたDC-DCコンバータであって、
    前記制御部は、
    前記トランスについての換算電圧として表した、前記第1端子対および前記第2端子対における端子間電圧のうち、より大きくない方の端子間電圧を第1電圧Vsmallと称し、より小さくない方の端子間電圧を第2電圧Vlargeと称したとき、
    前記第1端子対側から前記第2端子対側へと送電する電力または電流に応じて、前記第1電圧側における前記ブリッジ回路と、前記第2電圧側における前記ブリッジ回路と、の間のブリッジ間位相差φBを決定し、
    前記第1電圧の前記第2電圧に対する比と前記ブリッジ間位相差とに基づいて、前記第1電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第1レグ間位相差を決定し、
    前記第1レグ間位相差に前記比を乗じて、前記第2電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第2レグ間位相差を決定し、
    前記各スイッチング素子におけるデューティを固定して、決定した前記ブリッジ間位相差と前記第1レグ間位相差と前記第2レグ間位相差とに従って、前記各スイッチング素子のスイッチングを制御し、
    前記第1レグ間位相差は、第1関係式(1)および第2関係式(2)を満たす範囲において第3関係式(3)を最小とするφlargeの値とする、DC-DCコンバータ。
    φlarge≦(Vlarge/Vsmall)×(π-φB) (1)
    φlarge≦(Vlarge/(Vlarge-Vsmall))×φB (2)
    Wloss(φlarge)=Wfe+Wsw+Wcon (3)
    Wfe:鉄損
    Wsw:スイッチング損
    Wcon:導通損
  2. 前記第3関係式(3)における鉄損Wfeは、以下の式(4)により表される、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
    Wfe=Kh×f×Bβ+Ke×B×f (4)
    Kh:ヒステリシス損失係数
    β:シュタインメッツ定数
    Ke:渦電流損失係数
    f:周波数
    B:磁束密度
  3. 前記第3関係式(3)におけるスイッチング損Wswは、前記各スイッチング素子における、1回あたりのスイッチング損失-遮断電流特性、および前記各スイッチング素子における導通の開始時または終了時の電流条件に基づいて算出した、前記各スイッチング素子におけるスイッチング損失を総合して導出される、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
  4. 前記第3関係式(3)における導通損Wconは、前記各スイッチング素子の導通時のオーム損を総合した損失と、前記トランスの銅損とから導出される、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
  5. 前記制御部は、前記ブリッジ間位相差φBを、前記第1端子対側から前記第2端子対側へと送電する電力または電流を参照したフィードバック制御により決定する、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
  6. 複数のスイッチング素子を含み、第1端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、
    複数のスイッチング素子を含み、第2端子対の間に2つのレグを有したブリッジ回路と、
    トランスを有し、前記2つのブリッジ回路の間に接続される変換部と、を備えたDC-DCコンバータにおいて、前記2つのブリッジ回路の各スイッチング素子のスイッチングを制御する制御方法であって、
    前記トランスについての換算電圧として表した、前記第1端子対および前記第2端子対における端子間電圧のうち、より大きくない方の端子間電圧を第1電圧Vsmallと称し、より小さくない方の端子間電圧を第2電圧Vlargeと称したとき、
    前記第1端子対側から前記第2端子対側へと送電する電力または電流に応じて、前記第1電圧側における前記ブリッジ回路と、前記第2電圧側における前記ブリッジ回路と、の間のブリッジ間位相差φBを決定するステップと、
    前記第1電圧の前記第2電圧に対する比と前記ブリッジ間位相差とに基づいて、前記第1電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第1レグ間位相差を決定するステップと、
    前記第1レグ間位相差に前記比を乗じて、前記第2電圧側の前記ブリッジ回路における前記2つのレグ間での第2レグ間位相差を決定するステップと、を含み、
    前記各スイッチング素子におけるデューティを固定して、決定した前記ブリッジ間位相差と前記第1レグ間位相差と前記第2レグ間位相差とに従って、前記各スイッチング素子のスイッチングを制御し、
    前記第1レグ間位相差は、第1関係式(1)および第2関係式(2)を満たす範囲において第3関係式(3)を最小とするφlargeの値とする、制御方法。
    φlarge≦(Vlarge/Vsmall)×(π-φB) (1)
    φlarge≦(Vlarge/(Vlarge-Vsmall))×φB (2)
    Wloss(φlarge)=Wfe+Wsw+Wcon (3)
    Wfe:鉄損
    Wsw:スイッチング損
    Wcon:導通損
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