まず、EML及びMRについて説明する。EMLやMRは、サーカディアンリズムに関係する評価パラメータといえる。ヒトのサーカディアンリズムは1日より長く約25時間であり、これを1日、つまり24時間周期に合わせなければ、1日とずれたリズム周期となってしまう。そこで、24時間に合わせるための同調因子として光が重要な役割を果たしている。太陽の光を浴びることでヒトの体内時計が24時間に調整され、これにより、生来的にヒトは朝起きて夜寝るといった1日のリズムの中で生活している。
つまり、人間の体内には、24時間周期のリズムで生活するために、光を利用した同調機能が備わっている。具体的には、脳の視床下部に視交叉上核という非常に小さい領域があり、これがサーカディアンリズムを統率する体内時計の役割を担っている。また、この視交叉上核に光信号を与える細胞として、網膜上の内因性光感受性網膜神経節細胞(intrinsically photosensitive Retinal Ganglion Cell:以下、ipRGCと呼ぶ。)がある。
ipRGCはメラノプシンという光受容タンパク質を含み、メラノプシンがサーカディアンリズムの光同調に関与することが明らかにされている。メラノプシンは光の波長に応じた吸収特性を有しているため、このメラノプシンの分光感度特性を利用してipRGCへの刺激量を制御することが考えられる。
また、メラノプシンは睡眠促進ホルモンであるメラトニンの分泌または抑制にも関与しているとされ、例えばipRGCへの刺激量が増えることによって、メラトニンの分泌が抑制されると考えられている。なお、通常であれば、体内のメラトニンの分泌ピークは夜間に訪れ、メラトニンが分泌されることで睡眠が促進される。従って、日中はメラトニンの分泌は抑制されている。
MRは、下記の式(1)で求められる。
ここで、Lightは照明灯具による光の分光分布、Circadianは上述したメラノプシンの分光感度特性に基づくサーカディアン応答、Visualは視感度応答を示す。図1は、サーカディアン応答及び視感度応答の曲線を記した図である。
地球の自然な動きに適応してサーカディアンリズムは調整されることから、HCLを検討する上での一つの指針として、太陽光などの自然光に照明を同調させることが考えられる。例えば、太陽光から算出されるMRの値は、一日の動きに応じて変動する。この変動の度合いは、天候条件、緯度経度、方角などによる影響を受けるため、毎日同じというわけではないが、HCLを考える上で有用なアプローチといえる。
一例として、標準光源に基づいて、所定の相関色温度におけるMRの値を算出した結果を表1に示す。表1に示すように、相関色温度を2700Kから6500Kまで調色すると、MRの値はおよそ0.6変動する。このMR値は、一種の擬似的な指標とすることができる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。また、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る照明装置1について説明する。図2は、照明装置1の構成の一例を示す模式図である。図3は、照明装置から出射される照明の相関色温度とMRの相関図である。図4A乃至図4Eはそれぞれ、照明装置1における照明の制御方法の一例を説明する図である。図5A及び図5Bはそれぞれ、発光装置10の構成の一例を示す図である。図6は、照明装置1が有する複数の光の一例として、第1の光から第4の光までの色度図上の色度点を示す図である。図7及び図8はそれぞれ、照明装置1が有する第1の光乃至第4の光のそれぞれの発光スペクトルの一例を示す図である。
照明装置1は、発光装置10と、制御装置20と、を備える。発光装置10は、照明用の光を出射する。照明装置1は、複数の発光装置10を備える。制御装置20は、1または複数の発光装置10を制御する。制御装置20は、HCLに配慮して、発光装置10から出射される照明用の光を制御する。
図3は、相関色温度とMRの関係から、発光装置10から出射することのできる光を示している。曲線L1は、発光装置10から出射される光の相関色温度に対するMR値の最大値を示している。曲線L2は、発光装置10から出射される光の相関色温度に対するMR値の最小値を示している。図3において2つの曲線に挟まれる領域が、発光装置10から出射可能な光の範囲である。
図3に示すように、発光装置10は、相関色温度が1800K以上の光を出射することができる。発光装置10は、同じ相関色温度において、MRの値の異なる光を出射することができる。照明装置1は、制御装置20によって発光装置10を制御することで、同じ相関色温度において、MRの値を変化させることができる。これにより、相関色温度を維持しつつ、MRの値を変動させるような、照明の制御ができる。なお、発光装置10は、最低限、制御される相関色温度の範囲で光を出射できればよい。
図3における曲線L3は、特定の相関色温度を維持しつつMRの値を変化させることのできない発光装置によって出射される光の相関色温度に対するMR値を示す一例である。例えば、相関色温度の高い光と低い光の2色配光によって色温度を制御すると、特定の相関色温度においてMRの値は一意に定まるため、同じ相関色温度でMRの値を変化させるように制御することはできない。なお、2色配光は、照明装置における一般的な形態である。
表2は、所定の相関色温度における曲線L1、L2、及びL3のMRの値と、同じ相関色温度における曲線L1の値(MRの最大値)とL2の値(MRの最小値)のギャップを示した表である。以下、ある相関色温度におけるMRの最大値と、この相関色温度と同じかそれ以下の相関色温度におけるMRの最小値のギャップをMRギャップというものとする。表2のMRギャップは、発光装置10における、同じ相関色温度でのMRの可能変動幅ということができる。
図3及び表2に基づき、発光装置10について以下のことがいえる。
相関色温度が1800K以上8000K以下の範囲において、MRギャップは単調増加している。つまり、発光装置10に関し、ある特定の相関色温度におけるMRギャップよりも、それ以上の相関色温度におけるMRギャップの方が大きい。例えば、発光装置10が、相関色温度が3000Kの光において、0.2以上のMRギャップを有する場合、発光装置10は、3000K以上8000K以下のいずれの相関色温度においても、0.2以上のMRギャップを有することになる。
なお、発光装置10は、特定の相関色温度において実現されるMRギャップを、それ以上の相関色温度においても常に実現しなければならないわけではない。本実施形態は例示的な実施形態であり、発光装置10は、1800K以上8000K以下の範囲において、特定の相関色温度以上であるいずれかの相関色温度においてMRギャップを実現するだけでもよい。上記の例でいえば、発光装置10は、3000K以上8000K以下の全範囲の相関色温度の光において0.2以上のMRギャップを実現しておらず、3000K以上8000K以下にある所定の相関色温度の光において0.2以上のMRギャップを実現するだけでもよい。
発光装置10は、相関色温度が3500K以上8000K以下の範囲にある第1色温度の光を出射することができる。発光装置10から出射される第1色温度の光のMRギャップは0.30以上である。発光装置10は、0.30以上のMRギャップを有するMRの変動範囲内で、任意の値のMRを有する第1色温度の光を出射することができる。
発光装置10において、第1色温度の相関色温度を、3500K以上4000K以下とすることができる。第1色温度の光におけるMRの変動範囲(以下、第1変動範囲と呼ぶ。)には、0.65から0.75までのMRの値を含むことができる。また、第1変動範囲には、0.60から0.80までのMRの値を含むことができる。また、第1変動範囲には、0.55から0.80までのMRの値を含むことができる。
発光装置10は、相関色温度が4000K以上8000K以下の範囲にある第2色温度の光を出射することができる。発光装置10から出射される第2色温度の光のMRギャップは0.35以上である。発光装置10は、0.35以上のMRギャップを有するMRの変動範囲内で、任意の値のMRを有する第2色温度の光を出射することができる。
発光装置10において、第2色温度の相関色温度を、4000K以上4500K以下とすることができる。第2色温度の光におけるMRの変動範囲(以下、第2変動範囲と呼ぶ。)には、0.70から0.80までのMRの値を含むことができる。また、第2変動範囲には、0.65から0.85までのMRの値を含むことができる。また、第2変動範囲には、0.60から0.90までのMRの値を含むことができる。
発光装置10は、相関色温度が4500K以上8000K以下の範囲にある第3色温度の光を出射することができる。発光装置10から出射される第3色温度の光のMRギャップは0.40以上である。発光装置10は、0.40以上のMRギャップを有するMRの変動範囲内で、任意の値のMRを有する第3色温度の光を出射することができる。
発光装置10において、第3色温度の相関色温度を、4500K以上5000K以下とすることができる。第3色温度の光におけるMRの変動範囲(以下、第3変動範囲と呼ぶ。)には、0.80から0.90までのMRの値を含むことができる。また、第3変動範囲には、0.75から0.95までのMRの値を含むことができる。また、第3変動範囲には、0.70から1.00までのMRの値を含むことができる。
発光装置10は、相関色温度が5000K以上8000K以下の範囲にある第4色温度の光を出射することができる。発光装置10から出射される第4色温度の光のMRギャップは0.45以上である。発光装置10は、0.45以上のMRギャップを有するMRの変動範囲内で、任意の値のMRを有する第4色温度の光を出射することができる。
発光装置10において、第4色温度の相関色温度を、5000K以上5500K以下とすることができる。第4色温度の光におけるMRの変動範囲(以下、第4変動範囲と呼ぶ。)には、0.90から1.00までのMRの値を含むことができる。また、第4変動範囲には、0.85から1.05までのMRの値を含むことができる。また、第4変動範囲には、0.80から1.10までのMRの値を含むことができる。また、第4変動範囲には、0.70から1.10までのMRの値を含むことができる。
発光装置10は、相関色温度が5500K以上8000K以下の範囲にある第5色温度の光を出射することができる。発光装置10から出射される第5色温度の光のMRギャップは0.50以上である。発光装置10は、0.50以上のMRギャップを有するMRの変動範囲内で、任意の値のMRを有する第5色温度の光を出射することができる。
発光装置10において、第5色温度の相関色温度を、5500K以上6000K以下とすることができる。第5色温度の光におけるMRの変動範囲(以下、第5変動範囲と呼ぶ。)には、0.95から1.05までのMRの値を含むことができる。また、第5変動範囲には、0.90から1.10までのMRの値を含むことができる。また、第5変動範囲には、0.85から1.15までのMRの値を含むことができる。また、第5変動範囲には、0.80から1.15までのMRの値を含むことができる。また、第5変動範囲には、0.75から1.15までのMRの値を含むことができる。
発光装置10は、相関色温度が6000K以上8000K以下の範囲にある第6色温度の光を出射することができる。発光装置10から出射される第6色温度の光のMRギャップは0.50以上である。発光装置10は、0.50以上のMRギャップを有するMRの変動範囲内で、任意の値のMRを有する第6色温度の光を出射することができる。
発光装置10において、第6色温度の相関色温度を、6000K以上6500K以下とすることができる。第6色温度の光におけるMRの変動範囲(以下、第6変動範囲と呼ぶ。)には、1.00から1.10までのMRの値を含むことができる。また、第6変動範囲には、0.95から1.15までのMRの値を含むことができる。また、第6変動範囲には、0.90から1.20までのMRの値を含むことができる。また、第6変動範囲には、0.85から1.25までのMRの値を含むことができる。また、第6変動範囲には、0.80から1.30までのMRの値を含むことができる。
発光装置10は、相関色温度が6500K以上8000K以下の範囲にある第7色温度の光を出射する。発光装置10から出射される第7色温度の光のMRギャップは、少なくとも0.55以上である。発光装置10は、0.55以上のMRギャップを有するMRの変動範囲内で、任意の値のMRを有する第7色温度の光を出射することができる。
発光装置10において、第7色温度の相関色温度を、6500K以上7000K以下とすることができる。第7色温度の光におけるMRの変動範囲(以下、第7変動範囲と呼ぶ。)には、1.05から1.15までのMRの値を含むことができる。また、第7変動範囲には、1.00から1.20までのMRの値を含むことができる。また、第7変動範囲には、0.95から1.25までのMRの値を含むことができる。また、第7変動範囲には、0.90から1.30までのMRの値を含むことができる。また、第7変動範囲には、0.85から1.35までのMRの値を含むことができる。
第1色温度乃至第7色温度に係る上述の特性を利用して、制御装置20により、特定の相関色温度においてMRの値を変動させて照明用の光を出射させる制御が可能となる。例えば、相関色温度をおよそ一定に保ちつつ、MRの値を一日のリズムに対応させて変化させる制御が可能となる。
制御装置20は、発光装置10から出射される光を、第L色温度(Lは1~7の自然数)の相関色温度となるように調整しつつ、第L色温度に係る上述のMRギャップの範囲でMRを変動させるように、発光装置10を制御することができる。例えば、制御装置20は、発光装置10から出射される光を、第1色温度の相関色温度に調整しつつ、MRを0.30以上変動させるように発光装置10を制御する。なお、相関色温度を一定にする調整は、厳密に同じ色温度に調整される必要はない。例えば、第L色温度から第L色温度の±100Kの範囲で調整されればよい。また例えば、第L色温度からMacAdam楕円3-Stepの範囲で調整されればよい。また例えば、第L色温度から第L色温度の±5%の範囲で調整されればよい。
表1に示すように、標準光源に基づけば、相関色温度2700Kと、相関色温度6500Kとの間で、MRギャップはおよそ0.6となる。従って、標準光源の相関色温度が2700Kから6500Kまで調色されると、MRの値はおよそ0.6変動する。例えば、相関色温度を一定に調整しつつ同等のMRギャップを実現したい場合、制御装置20は、第7色温度の相関色温度の光を発光装置10から出射させるとよい。
標準光源に基づけば、標準光源の相関色温度が2700Kから6500Kまで調色されると、MRの値は0.51から1.10の範囲で変動する。例えば、照明装置1から一定の相関色温度の光を照明用の光として出射し、このMR値の範囲内でMRを変動させたい場合、制御装置は、3000K以上5000K以下の範囲にある所定の相関色温度の光を、発光装置10から出射させるとよい。
作業者の作業性を考えれば、相関色温度が一定である方が白色照明の色に大きな変化がなく望ましいという場合がある。例えば、対象物の色彩を確認するような作業では、照明の色の変化によって対象物の色彩が大きく変わることは好ましくない。また、デスクワークを行う者にとって、業務時間中は、電球色よりも昼白色の光が良いという場合も考えられる。ユーザのニーズに合わせつつ好適なHCLの形態を検討すると、相関色温度の変動を抑えながらMRギャップやMR値を制御することが有益といえる。
制御装置20による発光装置10の制御方法は、一定の相関色温度の下でMR値を変動させる制御に限らない。制御装置20は、相関色温度を変化させながら、MRの値を変化させる制御を行うこともできる。そこで、発光装置10が、特定の相関色温度の範囲において、MRの値をどれくらい変動させることができるかについて説明する。
ここで、説明の便宜から、相関色温度が2000K以上2500K以下を第1色温度帯、相関色温度が2500K以上3000K以下を第2色温度帯、相関色温度が3000K以上3500K以下を第3色温度帯、相関色温度が3500K以上4000K以下を第4色温度帯、相関色温度が4000K以上4500K以下を第5色温度帯、相関色温度が4500K以上5000K以下を第6色温度帯、相関色温度が5000K以上5500K以下を第7色温度帯、相関色温度が5500K以上6000K以下を第8色温度帯、相関色温度が6000K以上6500K以下を第9色温度帯、相関色温度が6500K以上7000K以下を第10色温度帯、と呼ぶものとする。
また、「第1色温度帯で光を調色する」とは、2000K以上2500K以下の相関色温度の範囲で光を調色することを意味する。なお、光を調色するというのは、連続的に光を調色することに限る意味ではない。2000K以上2500K以下の相関色温度の範囲で光を調色するとは、最大の相関色温度が2500K以下であり、最小の相関色温度が2000K以上である範囲で、少なくとも2つの異なる相関色温度の光を発するように、光を制御することである。第1色温度帯以外の色温度帯についても同様である。
また、「第1色温度帯から第3色温度帯までで光を調色する」というときは、2000K以上3500K以下の相関色温度の範囲で光を調色することを意味する。他の色温度帯の組合せについても同様である。なお、解釈の混乱を防止するため、例えば、2500K以上4000K以下の相関色温度の範囲を特定したい場合、「第2色温度帯から第4色温度帯まで」と表記し、「第4色温度帯から第2色温度帯まで」とは表記しない。つまり、「第M色温度帯から第N色温度帯まで」(M及びNは1から10までの自然数、かつ、M<N)というときは、第M色温度帯における最小相関色温度から第N色温度帯における最大相関色温度までをいう。
発光装置10の第1色温度帯におけるMRギャップは、0.20以上である。なお、第1色温度帯におけるMRギャップは、第1色温度帯の相関色温度の最大におけるMRの最大値と相関色温度の最小におけるMRの最小値とのギャップである。他の色温度帯についても同様である。
発光装置10の第2色温度帯におけるMRギャップは、0.25以上である。発光装置10の第3色温度帯におけるMRギャップは、0.30以上である。発光装置10の第4色温度帯におけるMRギャップは、0.35以上である。発光装置10の第5色温度帯におけるMRギャップは、0.40以上である。発光装置10の第6色温度帯におけるMRギャップは、0.45以上である。発光装置10の第7色温度帯におけるMRギャップは、0.50以上である。発光装置10の第8色温度帯におけるMRギャップは、0.55以上である。発光装置10の第9色温度帯におけるMRギャップは、0.60以上である。発光装置10の第10色温度帯におけるMRギャップは、0.60以上である。
発光装置10の第1色温度帯におけるMRの変動範囲内に、0.40のMRの値が含まれる。発光装置10の第2色温度帯におけるMRの変動範囲内に、0.50のMRの値が含まれる。発光装置10の第3色温度帯におけるMRの変動範囲内に、0.60のMRの値が含まれる。発光装置10の第4色温度帯におけるMRの変動範囲内に、0.70のMRの値が含まれる。発光装置10の第5色温度帯におけるMRの変動範囲内に、0.80のMRの値が含まれる。発光装置10の第6色温度帯におけるMRの変動範囲内に、0.90のMRの値が含まれる。発光装置10の第7色温度帯におけるMRの変動範囲内に、0.95のMRの値が含まれる。発光装置10の第8色温度帯におけるMRの変動範囲内に、1.05のMRの値が含まれる。発光装置10の第9色温度帯におけるMRの変動範囲内に、1.10のMRの値が含まれる。発光装置10の第10色温度帯におけるMRの変動範囲内に、1.15のMRの値が含まれる。
発光装置10の第1色温度帯から第2色温度帯までのMRギャップは、0.30以上である。なお、第1色温度帯から第2色温度帯までのMRギャップは、第2色温度帯における相関色温度の最大値におけるMRの最大値と第1色温度帯における相関色温度の最小値におけるMRの最小値とのギャップである。他の色温度帯の組合せについても同様である。
発光装置10の第1色温度帯から第3色温度帯までのMRギャップは、0.40以上である。発光装置10の第1色温度帯から第4色温度帯までのMRギャップは、0.50以上である。発光装置10の第1色温度帯から第5色温度帯までのMRギャップは、0.60以上である。発光装置10の第1色温度帯から第6色温度帯までのMRギャップは、0.70以上である。発光装置10の第1色温度帯から第7色温度帯までのMRギャップは、0.80以上である。発光装置10の第1色温度帯から第8色温度帯までのMRギャップは、0.90以上である。発光装置10の第1色温度帯から第9色温度帯までのMRギャップは、1.00以上である。発光装置10の第1色温度帯から第10色温度帯までのMRギャップは、1.10以上である。
発光装置10の第2色温度帯から第3色温度帯までのMRギャップは、0.35以上である。発光装置10の第2色温度帯から第4色温度帯までのMRギャップは、0.45以上である。発光装置10の第2色温度帯から第5色温度帯までのMRギャップは、0.55以上である。発光装置10の第2色温度帯から第6色温度帯までのMRギャップは、0.65以上である。発光装置10の第2色温度帯から第7色温度帯までのMRギャップは、0.75以上である。発光装置10の第2色温度帯から第8色温度帯までのMRギャップは、0.85以上である。発光装置10の第2色温度帯から第9色温度帯までのMRギャップは、0.90以上である。発光装置10の第2色温度帯から第10色温度帯までのMRギャップは、1.00以上である。
発光装置10の第3色温度帯から第4色温度帯までのMRギャップは、0.40以上である。発光装置10の第3色温度帯から第5色温度帯までのMRギャップは、0.50以上である。発光装置10の第3色温度帯から第6色温度帯までのMRギャップは、0.60以上である。発光装置10の第3色温度帯から第7色温度帯までのMRギャップは、0.70以上である。発光装置10の第3色温度帯から第8色温度帯までのMRギャップは、0.80以上である。発光装置10の第3色温度帯から第9色温度帯までのMRギャップは、0.85以上である。発光装置10の第3色温度帯から第10色温度帯までのMRギャップは、0.95以上である。
発光装置10の第4色温度帯から第5色温度帯までのMRギャップは、0.45以上である。発光装置10の第4色温度帯から第6色温度帯までのMRギャップは、0.55以上である。発光装置10の第4色温度帯から第7色温度帯までのMRギャップは、0.65以上である。発光装置10の第4色温度帯から第8色温度帯までのMRギャップは、0.75以上である。発光装置10の第4色温度帯から第9色温度帯までのMRギャップは、0.80以上である。発光装置10の第4色温度帯から第10色温度帯までのMRギャップは、0.85以上である。
発光装置10の第5色温度帯から第6色温度帯までのMRギャップは、0.50以上である。発光装置10の第5色温度帯から第7色温度帯までのMRギャップは、0.60以上である。発光装置10の第5色温度帯から第8色温度帯までのMRギャップは、0.70以上である。発光装置10の第5色温度帯から第9色温度帯までのMRギャップは、0.75以上である。発光装置10の第5色温度帯から第10色温度帯までのMRギャップは、0.80以上である。
発光装置10の第6色温度帯から第7色温度帯までのMRギャップは、0.55以上である。発光装置10の第6色温度帯から第8色温度帯までのMRギャップは、0.60以上である。発光装置10の第6色温度帯から第9色温度帯までのMRギャップは、0.70以上である。発光装置10の第6色温度帯から第10色温度帯までのMRギャップは、0.75以上である。
発光装置10の第7色温度帯から第8色温度帯までのMRギャップは、0.55以上である。発光装置10の第7色温度帯から第9色温度帯までのMRギャップは、0.65以上である。発光装置10の第7色温度帯から第10色温度帯までのMRギャップは、0.70以上である。発光装置10の第8色温度帯から第9色温度帯までのMRギャップは、0.60以上である。発光装置10の第8色温度帯から第10色温度帯までのMRギャップは、0.65以上である。発光装置10の第9色温度帯から第10色温度帯までのMRギャップは、0.60以上である。
なお、例えば、ある相関色温度の範囲内でMRを0.7以上のMRギャップで変動させることができるということは、当然に、0.7よりも小さいMRギャップでMRの値を変動させることができるということである。標準光源に基づき、0.5あるいは0.6のMRギャップでMRの値を変動させたい場合、上述したMRギャップのうち、0.5以上あるいは0.6以上のMRギャップを達成する色温度帯の組合せを適宜選択した上で、MRの値の変動幅が0.5以上あるいは0.6以上になるように制御すればよい。
制御装置20は、発光装置10を制御して、所望の色温度帯を含む相関色温度の範囲で色温度を調整しつつ、上述した変動範囲でMRの値を変動させて、照明用の光を出射することができる。制御装置20は、第M色温度帯から第N色温度帯までで(M及びNは1から10までの自然数、かつ、M<N)光を調色し、上述の第M色温度帯から第N色温度帯までのMRギャップでMRを変動させるように発光装置10を制御することができる。このとき、第M色温度帯から第N色温度帯までで調色される光のMRの変動範囲には、第M色温度帯におけるMRの変動範囲内に含まれる上述のMRの値と、第N色温度帯におけるMRの変動範囲内に含まれる上述のMRの値と、が含まれる。
例えば、制御装置20は、少なくとも第4色温度帯から第6色温度帯までを含む相関色温度の範囲で発光装置10から出射させる照明用の光を調色し、かつ、第4色温度帯から第6色温度帯までで0.55以上のMRギャップでMRの値を変動させる。また、第4色温度帯から第6色温度帯までで調色される光の変動範囲に、0.70のMR値と0.90のMR値を含むことができる。
制御装置20は、発光装置10を制御して、一日のうちの所定の時間内に、少なくとも0.3以上、MRを変動させることが望ましい。このとき、制御装置20は、発光装置10から出射される光の相関色温度を、所定の色温度から0K以上、かつ、±500K以下の範囲で調整することができる。これにより、相関色温度の変化に対して、大きくMRを変動させることができ、HCLに配慮した照明制御ができる。
また、所定の時間とは、数時間以上24時間以内である。より望ましくは、制御装置20は、0.4以上、あるいは、0.5以上、MRを変動させるように発光装置10を制御することが望ましい。またあるいは、0.6以上、MRを変動させることが望ましい。また、表1に示される標準光源の2700Kから6500KまでのMRギャップに基づけば、MRの変動は、0.7以下で足りる。この程度のMRの変動範囲を確保することで、日中のMRの変動範囲をより適切に反映させた照明の制御が可能となる。なお、日が昇る前のMR値を0とすれば、これに対応するMRの変動は1.0以上となる。
また、制御装置20は、発光装置10から出射させる光の相関色温度の変動範囲を、通常のオフィスで想定される適切な白色光の範囲内に抑えつつ、MRの値を変動させることが好ましい。どのような相関色温度の範囲が好ましいかは、一義的ではなく、例えば、虹彩の色(目の色)によって異なり得る。そのため、国や地域によって好ましい白色光の範囲が異なり得る。例えば、日本と比べて欧米は、相関色温度が6000K程度の白色光は採用されない傾向にある。
ここで、照明光を調色するときの相関色温度の変動範囲について、いくつかの例を挙げておく。例示的な一形態として、照明装置1は、3000Kから5000Kまでの相関色温度の範囲で光を調色する。また、例示的な一形態として、照明装置1は、2700Kから5000Kまでの相関色温度の範囲で光を調色する。また、例示的な一形態として、照明装置1は、2700Kから4000Kまでの相関色温度の範囲で光を調色する。また、例示的な一形態として、照明装置1は、2200Kから4000Kまでの相関色温度の範囲で光を調色する。また、例示的な一形態として、照明装置1は、1800Kから3000Kまでの相関色温度の範囲で光を調色する。また、例示的な一形態として、照明装置1は、3000Kから6500Kまでの相関色温度の範囲で光を調色する。また、例示的な一形態として、照明装置1は、2700Kから6500Kまでの相関色温度の範囲で光を調色する。
上述の各例に対するMRギャップ及び変動範囲は次のようになる。3000Kから5000Kまでの相関色温度の範囲に対して、照明装置1は、0.6以上のMRギャップを実現できる。また、このMRの値を、少なくとも、0.50から1.10までの変動範囲で変動させることができる。照明装置1では、3000Kから5000Kまでの相関色温度の範囲で調色することで、2700Kから6500Kまでの相関色温度の範囲における標準光源のMRの変動範囲をカバーすることができる。なお、3000Kから5000Kまでの相関色温度の範囲は、第3色温度帯から第6色温度帯までの相関色温度に含まれる。
2700Kから5000Kまでの相関色温度の範囲に対して、照明装置1は、0.65以上のMRギャップを実現できる。また、このMRの値を、少なくとも、0.45から1.10までの変動範囲で変動させることができる。照明装置1では、2700Kから5000Kまでの相関色温度の範囲で調色することで、2700Kから6500Kまでの相関色温度の範囲における標準光源のMRの変動範囲をカバーすることができる。なお、この場合の照明装置1のMRギャップは0.60以上でもよい。なお、2700Kから5000Kまでの相関色温度の範囲は、第2色温度帯から第6色温度帯までの相関色温度に含まれる。
2700Kから4000Kまでの相関色温度の範囲に対して、照明装置1は、0.45以上のMRギャップを実現できる。また、このMRの値を、少なくとも、0.45から0.90までの変動範囲で変動させることができる。照明装置1では、2700Kから4000Kまでの相関色温度の範囲で調色することで、2700Kから5000Kまでの相関色温度の範囲における標準光源のMRの変動範囲をカバーすることができる。なお、この場合の照明装置1のMRギャップは0.40以上でもよい。また、MRの変動範囲は、0.50から0.90を含む範囲でもよい。なお、2700Kから4000Kまでの相関色温度の範囲は、第2色温度帯から第4色温度帯までの相関色温度に含まれる。
2200Kから4000Kまでの相関色温度の範囲に対して、照明装置1は、0.50以上のMRギャップを実現できる。また、このMRの値を、少なくとも、0.40から0.90までの変動範囲で変動させることができる。なお、2200Kから4000Kまでの相関色温度の範囲は、第1色温度帯から第4色温度帯までの相関色温度に含まれる。
1800Kから3000Kまでの相関色温度の範囲に対して、照明装置1は、0.35以上のMRギャップを実現できる。また、このMRの値を、少なくとも、0.30から0.65までの変動範囲で変動させることができる。
3000Kから6500Kまでの相関色温度の範囲に対して、照明装置1は、0.85以上のMRギャップを実現できる。また、このMRの値を、少なくとも、0.50から1.35までの変動範囲で変動させることができる。なお、3000Kから6500Kまでの相関色温度の範囲は、第3色温度帯から第9色温度帯までの相関色温度に含まれる。
2700Kから6500Kまでの相関色温度の範囲に対して、照明装置1は、0.90以上のMRギャップを実現できる。また、このMRの値を、少なくとも、0.45から1.35までの変動範囲で変動させることができる。なお、2700Kから6500Kまでの相関色温度の範囲は、第2色温度帯から第9色温度帯までの相関色温度に含まれる。
なお、制御装置20は、上述の例示した相関色温度の範囲に限らず、少なくとも上述の例示した相関色温度の範囲を含む範囲内で発光装置10から出射される光を制御することができる。この場合に、制御装置20は、少なくとも例示した相関色温度の範囲においては、上述の範囲でMRの値を変動させるように、発光装置10を制御することができる。
例えば、制御装置20は、少なくとも相関色温度が3000Kの光と5000Kの光を発光装置10から出射させる。また、制御装置20は、相関色温度が3000Kにおけるメラノピック比の最小値と相関色温度が5000Kにおけるメラノピック比の最大値との差が0.35以上、0.40以上、0.45以上、0.50以上、0.55以上、0.60以上、0.65以上、あるいは、0.70以上となるように発光装置10から出射させる光を制御する。
例えば、制御装置20は、少なくとも相関色温度が2700Kの光と5000Kの光を発光装置10から出射させる。また、制御装置20は、相関色温度が2700Kにおけるメラノピック比の最小値と相関色温度が5000Kにおけるメラノピック比の最大値との差が0.35以上、0.40以上、0.45以上、0.50以上、0.55以上、0.60以上、0.65以上、あるいは、0.70以上となるように発光装置10から出射させる光を制御する。
例えば、制御装置20は、少なくとも相関色温度が2700Kの光と4000Kの光を発光装置10から出射させる。また、制御装置20は、相関色温度が2700Kにおけるメラノピック比の最小値と相関色温度が4000Kにおけるメラノピック比の最大値との差が0.25以上、0.30以上、0.35以上、0.40以上、0.45以上、あるいは、0.50以上となるように発光装置10から出射させる光を制御する。
例えば、制御装置20は、少なくとも相関色温度が2200Kの光と4000Kの光を発光装置10から出射させる。また、制御装置20は、相関色温度が2200Kにおけるメラノピック比の最小値と相関色温度が4000Kにおけるメラノピック比の最大値との差が0.35以上、0.40以上、0.45以上、0.50以上、あるいは、0.55以上となるように発光装置10から出射させる光を制御する。
例えば、制御装置20は、少なくとも相関色温度が1800Kの光と3000Kの光を発光装置10から出射させる。また、制御装置20は、相関色温度が1800Kにおけるメラノピック比の最小値と相関色温度が3000Kにおけるメラノピック比の最大値との差が0.30以上、0.35以上、あるいは、0.40以上となるように発光装置10から出射させる光を制御する。
例えば、制御装置20は、少なくとも相関色温度が3000Kの光と6500Kの光を発光装置10から出射させる。また、制御装置20は、相関色温度が3000Kにおけるメラノピック比の最小値と相関色温度が6500Kにおけるメラノピック比の最大値との差が0.45以上、0.50以上、0.55以上、0.60以上、0.65以上、0.70以上、0.75以上、0.80以上、0.85以上、あるいは、0.90以上となるように発光装置10から出射させる光を制御する。
例えば、制御装置20は、少なくとも相関色温度が2700Kの光と6500Kの光を発光装置10から出射させる。また、制御装置20は、相関色温度が2700Kにおけるメラノピック比の最小値と相関色温度が6500Kにおけるメラノピック比の最大値との差が0.50以上、0.55以上、0.60以上、0.65以上、0.70以上、0.75以上、0.80以上、0.85以上、0.90以上、あるいは、0.95以上となるように発光装置10から出射させる光を制御する。
図4A乃至図4Eは、制御装置20による制御方法を例示している。これらの図は、1日(0時から24時まで)の間に、どれくらいの相関色温度かつMRで照明装置1から照明用の光が出射されるかを図示している。実線は、制御される相関色温度の値を示すものであり、破線は、制御されるMRの値を示すものである。
図4A乃至図4Eに示すように、照明装置1は、制御装置20が1または複数の発光装置10を制御することにより、1日のうちの所定の時間において、照明用の光の相関色温度またはMRの値を変化させることができる。所定の時間は、24時間であってもよいし、例えば、9時から17時まででもよい。どの時間帯においてどのように照明を制御するかを、利用者のニーズに合わせて決定することができる。制御装置20は、どの時間帯においてどのように照明を制御するかを定めたルール情報に基づいて発光装置10を制御する。ルール情報は、制御装置20が保持していてもよく、照明装置1と通信可能に接続された管理装置が保持していてもよい。図4A乃至図4Eは、このルール情報に基づいて制御される態様の例をわかり易く可視化した図である。以下、各例について説明する。
図4Aは、所定の時間、相関色温度を一定にしつつMRの値を変動させて照明用の光を出射する制御の例である。この例では、6時から21時までを、制御装置20によって制御される所定の時間としている。つまり、6時から21時までの間、照明装置1の制御がONとなり、21時から翌6時までの間、照明装置1の制御がOFFとなる。なお、制御装置20による制御をOFFにしているが、21時から翌6時までの間は手動で照明を点けるようにしてもよい。またあるいは、21時から翌6時までは照明装置1がOFFになるように制御装置20による制御が行われてもよい。
制御装置20は、所定の時間内において、発光装置10から出射される光を、所定の相関色温度から±100K以下の範囲で、相関色温度が一定になるように調整しつつ、MRの値を0.17以上0.56以下で変動させるように発光装置10を制御する。図4Aでは、制御装置20は、相関色温度を4500Kで一定にし、MRの値を0.35以上0.45以下で変動させている。このようにして、相関色温度を一定にしつつも、HCLに配慮された照明を提供することができる。
制御装置20による制御には、午前中のある時間帯において、相関色温度を一定にしつつ、MRの値を増加させる制御が含まれる。制御装置20による制御には、12時から15時の間のある時間帯において、相関色温度を一定にしつつ、MRの値を一定にする制御が含まれる。制御装置20による制御には、15時から18時の間のある時間帯において、相関色温度を一定にしつつ、MRの値を減少させる制御が含まれる。制御装置20による発光装置10の制御には、18時以降のある時間帯において、相関色温度を一定にしつつ、MRの値を一定にする制御が含まれる。
制御装置20は、相関色温度を一定にしつつ、ある時間において、この相関色温度における標準光源のMRよりも低いMRの値となる照明用の光を出射させ、また別のある時間において、この相関色温度における標準光源のMRと同じMRの値となる照明用の光を出射させ、また別のある時間において、この相関色温度における標準光源のMRよりも高いMRの値となる照明用の光を出射させる。これにより、相関色温度が一定であることで、照明の見え方の違いを抑えつつ、標準光源における同じ相関色温度のMRだけでなく、その前後の相関色温度のMRも実現することができる。
制御装置20は、所定の相関色温度の光であって、500K以上1500K以下でこの相関色温度よりも低い相関色温度における標準光源のMRと同じ値のMRの光を、発光装置10から出射させる。制御装置20は、所定の相関色温度の光であってMRが、この相関色温度よりも500K低い相関色温度における標準光源のMRの値となる光、または、この相関色温度よりも1000K低い相関色温度における標準光源のMRの値となる光を、発光装置10から出射させることができる。
制御装置20は、所定の相関色温度の光であって、500K以上1500K以下でこの相関色温度よりも高い相関色温度における標準光源のMRと同じ値のMRの光を、発光装置10から出射させる。制御装置20は、所定の相関色温度の光であってMRが、この相関色温度よりも500K高い相関色温度における標準光源のMRの値となる光、または、この相関色温度よりも1000K高い相関色温度における標準光源のMRの値となる光を、発光装置10から出射させることができる。
図4Bは、所定の時間、相関色温度を変化させ、かつ、MRの値を変動させて照明用の光を出射する制御の例である。この例でも、図4Aと同様に、6時から21時までを、制御装置20によって制御される所定の時間としている。
制御装置20は、所定の時間内において、発光装置10から出射される光の相関色温度を1000K以上4500K以下で変化させ、MRの値を0.36以上1.06以下で変動させるように発光装置10を制御する。図4Bでは、制御装置20は、相関色温度を3000Kから5000Kまでの2000K変化させた上で、MRの値を0.50以上0.70以下の幅で変動させている。
制御装置20による制御には、午前のある時間帯と午後のある時間帯とで、同じ相関色温度の光を出射させ、かつ、この相関色温度における午前のMRの最小値よりも午後のMRの最小値の方を小さくさせる制御が含まれる。この相関色温度は、2000K以上4000K以下である。また、この相関色温度は、制御装置20により制御されて発光装置10から出射される光における最小の相関色温度である。午前においてこの相関色温度でMRを最小とする時間は、6時から10時の間に訪れ、午後においてこの相関色温度でMRを最小とする時間は、16時から21時の間に訪れる。およそ9時前後から業務を開始し、17時前後にその日の業務が終了するという一つの典型的な業務形態に基づけば、このように同じ相関色温度の光であっても、業務の始業時間と、業務の終業時間とで、終業時間の方のMRをより小さくすることができる。
制御装置20は、所定の相関色温度の光を、ある時間において、この相関色温度における標準光源のMRよりも低いMRの値となるように出射させ、また別のある時間において、この相関色温度における標準光源のMRと同じMRの値となるように出射させ、また別のある時間において、この相関色温度における標準光源のMRよりも高いMRの値となるように出射させる。これにより、照明の見え方の違いを抑えつつ、標準光源でみれば幅のある相関色温度のMRを実現することができる。
制御装置20は、相関色温度の値を第1の値から、第1の値よりも大きい第2の値まで、時間的に連続に変化させる。制御装置20は、MRの値を第3の値から、第3の値よりも大きい第4の値まで、時間的に連続に変化させる。制御装置20により、相関色温度の値が第1の値から第2の値になるまでの所要時間は、MRの値が第3の値から第4の値になるまでの所要時間よりも短い。制御装置20は、MRの値を第3の値から第4の値に変化させる時間帯において、より短い所要時間で、相関色温度の値を第1の値から第2の値にまで変化させる。第3の値は、相関色温度の値が第1の値における標準光源のMRの値以下であり、第4の値は、相関色温度の値が第2の値における標準光源のMRの値以上である。このように、相関色温度の変化とMRの変化をそれぞれに調整できることで、明かりとしての照明の利用態様に合わせながら、HCLに配慮された照明を提供することができる。
制御装置20は、第1の値の相関色温度の光であって、500K以上1000K以下でこの相関色温度よりも低い相関色温度における標準光源のMRと同じ値のMRの光を、発光装置10から出射させる。制御装置20は、第1の値の相関色温度の光であってMRが、この相関色温度よりも500K低い相関色温度における標準光源のMRの値となる光を発光装置10から出射させることができる。
制御装置20は、第2の値の相関色温度の光であって、500K以上1500K以下でこの相関色温度よりも高い相関色温度における標準光源のMRと同じ値のMRの光を、発光装置10から出射させる。制御装置20は、第2の値の相関色温度の光であってMRが、この相関色温度よりも500K高い相関色温度における標準光源のMRの値となる光、または、この相関色温度よりも1000K高い相関色温度における標準光源のMRの値となる光、または、この相関色温度よりも1500K高い相関色温度における標準光源のMRの値となる光を、発光装置10から出射させることができる。
図4Cは、所定の時間、相関色温度を変化させ、かつ、MRの値を変動させて照明用の光を出射する制御の例である。この例でも、図4Bと同様に、6時から21時までを、制御装置20によって制御される所定の時間としている。なお、上記の図4Bの例に関する説明のうち、図4Cに基づいて不整合が生じない内容は、図4Cの例についてもいえる。
制御装置20は、午後に、相関色温度の値を第2の値から第1の値にまで下げるように発光装置10を制御する。また、制御装置20は、相関色温度の値が第2の値から下がり始める時間よりも先にMRの値を第4の値から下げ始め、相関色温度の値が第1の値になる時刻とMRの値が第3の値になる時刻が揃うようにして、それぞれを連続的に変化させる。図4Cでは、制御装置20は、第2の値を5000Kとし、第1の値を4000Kとした上で、第4の値を1.0以上1.15以下とし、第3の値を0.57以上0.68以下としている。
図4Dは、所定の時間、相関色温度を変化させ、かつ、MRの値を変動させて照明用の光を出射する制御の例である。この例でも、図4B及び図4Cと同様に、6時から21時までを、制御装置20によって制御される所定の時間としている。なお、上記の図4Bの例に関する説明のうち、図4Dに基づいて不整合が生じない内容は、図4Dの例についてもいえる。
制御装置20は、相関色温度の値を第2の値から第1の値へと、連続的にではなく、Lに切り替える。一方で、相関色温度の値の切り替えの前後に亘って、MRの値を第4の値から第3の値へと連続的に変化させる。相関色温度の値を第1の値としたときに提供可能なMRの値の範囲と相関色温度の値を第2の値としたときに提供可能なMRの値の範囲とに重複部分があることで、このような制御が可能となる。これにより、照明用の光の相関色温度の値を瞬時に切り替えるような制御の形態であっても、MRの値が突然大きく変化するのではなく、連続的に変化させることができ、HCLに配慮された照明を提供することができる。
なお、ここでの瞬時とは、例えば、1秒以内の時間とする。また、一日のうちの制御時間に対し、実質的に十分に短いといえる時間であればよく、例えば、一日のうちの制御時間が数時間以上であるのに対し、1分以内を瞬時としてもよい。また、瞬時の切り替えにおいて、「瞬時」に相当する時間内に、制御装置20は、相関色温度を100K以上変化させる。また例えば、制御装置20は、「瞬時」に相当する時間内に、相関色温度を300K以上変化させることができる。制御装置20は、照明装置1から出射される照明光によって実現できる相関色温度の範囲内で、相関色温度を変化させることができる。「瞬時」と対照に、「連続的」に変化させるとは、例えば、10分以上の時間をかけて相関色温度を500K以上変化させることとしてもよい。
図4Eは、所定の時間、相関色温度を変化させ、かつ、MRの値を変動させて照明用の光を出射する制御の例である。この例では、0時から24時までを、制御装置20によって制御される所定の時間としている。例えば、従業員を交代制で勤務させ24時間稼働する工場のような場所を想定することができる。なお、上記の図4Bの例に関する説明のうち、図4Eに基づいて不整合が生じない内容は、図4Eの例についてもいえる。
制御装置20は、18時以降の所定の時刻において、18時における相関色温度よりも高い値の相関色温度となるように、発光装置10を制御する。この所定の時刻は、20時以降24時以前の時刻である。これは、例えば、夜勤の勤務の開始時刻に基づいて決定される。例えば、夜勤の開始時刻に合わせて、照明用の光の相関色温度を高くする。その後、制御装置20は、翌6時までに、この所定の時刻における相関色温度よりも低い値の相関色温度の光を出射するように、発光装置10を制御する。また、制御装置20は、この所定の時刻から翌3時までの間、相関色温度の値を変化させつつ、MRの値を一定に保つ。一定に保たれるMRの値は、0.5以上0.8以下である。つまり、制御装置20は、日中ほどMRの値を高くせず、かつ、MRの値を一定にすることで、睡眠を誘発しにくくしつつも、MRの値の変動が起こらないという点で夜間に類する状況を作り出す。このようにして、作業環境を損なわないようにしながら、HCLに配慮された照明を提供することができる。
次に、このように、広いMRの変動幅を有する照明装置1の具体的な構成の例を挙げる。なお、照明装置1は、ここで挙げる具体例に限らずに製造することができる。
(照明装置1)
照明装置1は、1または複数の発光装置10を備える。1または複数の発光装置10は、発光ダイオード等の発光素子39を、あるいは、この発光素子39と蛍光体41とを有する。また、発光装置10は、発光素子39による光、あるいは、発光素子39による光と蛍光体41による光の混合光を出射する。1または複数の発光装置10によって、第1の光11、第2の光12、第3の光13、及び、第4の光14が出射される。これらの光はいずれも、発光素子39による光、あるいは、発光素子39による光と蛍光体41による光の混合光である。図5Aは、発光素子39を有する発光装置10の一例を、図5Bは、発光素子39と蛍光体41を有する発光装置10の一例を示している。
図6は、CIE1931表色系の色度図における第1の光11、第2の光12、第3の光13、及び、第4の光14の色度座標の一例を示している。以下では、第1の光11の色度座標を第1色度点、第2の光12の色度座標を第2色度点、第3の光13の色度座標を第3色度点、そして、第4の光14の色度座標を第4色度点と呼ぶものとする。
第1色度点は、CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxが0.280及びyが0である第一の点と、色度座標におけるxが0.280及びyが0.250である第二の点と、を結ぶ第一の線分と、第二の点と、色度座標におけるxが0及びyが0.250である第三の点と、を結ぶ第二の線分と、純紫軌跡と、スペクトル軌跡と、で画定された領域内にある。
第2色度点は、CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxが0.280及びyが0.300である第四の点と、色度座標におけるxが0.280及びyが0.600である第五の点と、を結ぶ第三の線分と、第四の点と、色度座標におけるxが0及びyが0.300である第六の点と、を結ぶ第四の線分と、第五の点と、色度座標におけるxが0及びyが0.600である第七の点と、を結ぶ第五の線分と、スペクトル軌跡と、で画定された領域内にある。
第3色度点は、CIE1931表色系の色度図において、x座標の値が、第1色度点及び第2色度点のx座標の値よりも大きい。第3色度点のx座標の値は、0.250以上0.500以下であり、y座標の値は、0.400以上である。
第4色度点は、CIE1931表色系の色度図において、x座標の値が、第1色度点及び第2色度点のx座標の値よりも大きく、かつ、第3色度点のx座標の値と異なる。第4色度点のx座標の値は、0.400以上であり、y座標の値は、0.500以下である。
例えば、このような第1の光11から第4の光14を用いて、第1の光11と第2の光12の割合を調整することで、同じ相関色温度において異なるMRの値で照明用の光を出射させることができる。そのため、同じ相関色温度におけるMRの値を変動させる制御ができる。
図7は、第1の光11、第2の光12、第3の光13、及び、第4の光14の発光スペクトルの一例を示している。図8は、第1の光11、第2の光12、第3の光13、及び、第4の光14の発光スペクトルの他の一例を示している。
図7に示す第1の光11は、例えば、400nm以上470nm以下の範囲に発光ピークを有する、より好ましくは420nm以上460nm以下の範囲に発光ピークを有する、窒化物半導体である発光素子39と、主として式 (Ca,Sr)10(PO4)6Cl2:Euで表される組成を有するアルカリ土類金属ハロゲンリン酸塩蛍光体を含有し、460nmに発光ピークを有する蛍光体41と、によって実現することができる。第1の光11は、400nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する。また、第1の光11は、400nm以上450nm以下の範囲に1つ目のピーク波長を有し、430nm以上470nm以下の範囲に2つ目のピーク波長を有する。なお、2つ目のピーク波長は、1つ目のピーク波長よりも長波長である。第1の光11の発光スペクトルにおける半値全幅は40nm以上である。また、第1の光11の発光スペクトルにおける半値全幅は40nm以上150nm以下である。あるいは、第1の光11の発光スペクトルにおける半値全幅は50nm以上100nm以下である。
図8に示す第1の光11は、例えば、400nm以上470nm以下の範囲に発光ピークを有する、より好ましくは420nm以上460nm以下の範囲に発光ピークを有する、窒化物半導体である発光素子39によって実現することができる。第1の光11は、400nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する。第1の光11の発光スペクトルにおける半値全幅は1nm以上40nm未満である。
図7または図8に示す第2の光12は、例えば、410nm以上470nm以下の範囲に発光ピークを有する、より好ましくは420nm以上460nm以下の範囲に発光ピークを有する、窒化物半導体である発光素子39と、主として式Sr4Al14O25:Euで表される組成を有するアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体を含有し、495nmに発光ピークを有する蛍光体41と、によって実現することができる。第2の光12は、470nm以上510nm以下の範囲にピーク波長を有する。また、第2の光12のピーク波長は、第1の光11のピーク波長よりも長波長である。第2の光12の発光スペクトルにおける半値全幅は50nm以上150nm以下である。
図7または図8に示す第3の光13は、例えば、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子39と、主として式Y3(Al,Ga)5O12:Ceで表される組成と式Y3Al5O12:Ceで表される組成とを有する希土類アルミン酸塩蛍光体を含有し、530nm以上590nm以下に発光ピークを有する蛍光体41と、によって実現することができる。第3の光13は、500nm以上600nm以下の範囲に、あるいは、520nm以上570nm以下の範囲に、ピーク波長を有する 。また、第3の光13のピーク波長は、第2の光12のピーク波長よりも長波長である。第3の光13の発光スペクトルにおける半値全幅は50nm以上150nm以下である。
図7または図8に示す第4の光14は、例えば、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子39と、主として式Y3Al5O12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、式(Y,Gd)3Al5O12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、及び、式(Sr,Ca)AlSiN3:Euで表される組成を有するシリコンナイトライド蛍光体を含有する蛍光体41と、によって実現することができる。第4の光14は、550nm以上700nm以下の範囲に、あるいは、600nm以上650nm以下の範囲に、ピーク波長を有する 。また、第4の光14のピーク波長は、第3の光13のピーク波長よりも長波長である。第4の光14の発光スペクトルにおける半値全幅は50nm以上150nm以下である。
表3は、図7に示す第1の光11乃至第4の光14に基づいて、相関色温度を6500K、MRを1.10としたときの演色性(Ra、R9、R12、R15)と、図8に示す第1の光11乃至第4の光14に基づいて、相関色温度を6500K、MRを1.10としたときの演色性とを記している。なお、このMRの値は、標準光源の6500KにおけるMRの値から選定している。
図7及び図8のいずれも、80以上の演色評価数を実現しており、演色性に優れた照明光となっている。また、全体的に、図7の方が図8よりも、演色評価数の値が良い。図7に示す第1の光11乃至第4の光14は、相関色温度を6500K、MRを1.10としたときのRa、R9、R12、及び、R15の演色評価数がいずれも90以上となる。図7の例の方が、第1の光11の半値全幅が大きいことで、このような結果が得られたといえる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る照明制御システム100について説明する。第1実施形態では、照明装置1から出射される照明用の光の制御について説明したが、第2実施形態では、照明装置1から出射される照明用の光を、リモートで制御する形態を説明する。相関色温度とMRの具体的な制御態様については、第1実施形態で説明した内容と同様である。
図9は、照明制御システム100のシステム構成図の一例を示している。図9に示すように、照明制御システム100は、1または複数の照明装置1と、1または複数の照明装置1に通信可能に接続する照明制御装置2と、を備える。また、照明制御装置2は、照明装置1による照明をリモートで制御するための遠隔制御装置60を備える。
照明制御装置2は、コンピュータ、サーバ装置、スマートデバイスなどの情報処理装置によって実現することができる。図10は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置において、CPU70、ROM71、RAM72、ストレージ73、グラフィクスI/F74、データI/F75、通信I/F76、及び、入力デバイス77が、バスに対して接続される。
ストレージ73は、データを不揮発に記憶することが可能な記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどを用いることができる。CPU70は、ROM71およびストレージ73に記憶されるプログラムに従い、RAM72をワークメモリとして用いて処理を実行するプロセッサである。グラフィクスI/F74は、生成された表示制御信号を、装置が表示可能な信号に変換して出力するインタフェースである。
データI/F75は、外部からのデータの入力を行うためのインタフェースである。例えば、USBなどによるインタフェースを適用することができる。通信I/F76は、所定のプロトコルを用いてネットワークと通信を行うためのインタフェースである。入力デバイス77は、ユーザ入力を受け付けて所定の制御信号を出力する。
照明制御装置2の遠隔制御装置60は、制御対象となる各照明装置1の制御装置20に対して照明光を制御するための制御命令を送信する処理を実行する。遠隔制御装置60による処理は、例えば、CPU70がプログラムを実行することで実現される。遠隔制御装置60から送信された制御命令を受信した照明装置1の制御装置20は、制御命令に従って、発光装置10を制御する。このように、照明制御装置2からリモートで複数の照明装置1の制御を可能とすることで、例えば、オフィスビルなどにおいて、全フロアあるいは各フロアの照明装置1を一元的に管理し、照明を制御することが可能な照明制御システム100が実現される。
以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明の技術思想は、説明してきた具体的な実施形態に限定されるわけではない。各実施形態により開示された全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずとも、本発明は適用され得る。当業者、あるいは、発明の属する技術分野において、設計の自由度の範囲であれば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された構成要素の一部が記載されていないとしても、本発明の適用は可能であり、本明細書はこれを含むものであることを前提として発明を開示する。