JP7445939B1 - 金属機器粗解体機 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子機器等の廃棄物からより効率的に金属を回収することを可能にした金属機器粗解体機を提供すること。【解決手段】金属機器粗解体機1は、上部に原料を投入する供給口2と下部に粗解体した原料を排出する排出口3とを有する円筒形の粉砕室5と、粉砕室5の内部に設けられた回転軸14と、回転軸14を回転駆動させるモータ13と、回転軸14の先端部に取り付けられ、回転軸14の回転により回転して原料を叩くハンマー部11bを有し、原料の外装を破砕させるメタルツイスター11と、回転軸14におけるメタルツイスター11の下方に取り付けられ、回転軸14の回転により回転して原料を叩くチェーン体を有し、原料の外装と基板とを分離させるチェーンクラシャー12と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、湯沸し器、ガスメータ、電気メータ等の廃棄機器を粗解体する金属機器粗解体機に関するものである。
近年、廃家電製品、パソコン、携帯電話等の基板から貴金属を回収することが盛んに行われるようになってきている。このため、より効率的な金属の回収方法の出現が望まれている。
従来、この種の技術として、特許文献1に記載された技術が提案されている。特許文献1には、電気電子部品屑の選別処理で発生するプラスチックを含む部品屑に対し、塩水を用いた比重選別処理を行い、有価物付きプラスチック屑を分離して回収する工程を含む電気電子部品屑の処理方法について開示されている。
特開2022-166728号公報
ところで、湯沸し器、ガスメータ、電気メータ等、金属筐体を有する廃棄物から基板を取り出す場合には、作業員が廃棄物を解体して金属筐体を分離することによって基板の取り出しが可能になる。しかし、この解体作業が容易でないため、大量の廃棄物から大量の基板を取り出すことが困難である。そこで、金属筐体を、破砕機を用いて破砕してから基板を取り出すことが考えられる。しかしながら、金属筐体を破砕する際に基板も細かく破砕されてしまい、基板からの金属の回収が困難になるおそれがある。しかも、他の金属も細かくなりすぎて回収が困難になり、後段の工程において回収目的の金属に他の金属が混ざってしまって、回収した金属の純度が低下するおそれがある。
このような問題点があることから、残渣スクラップは、東南アジア等の諸外国に輸出されていたのが実情である。しかしながら、マレーシア国際貿易産業省(MITI)は、このほど、鉄・銅・アルミスクラップの輸入に定めた品質基準を2022年1月10日から発効すると発表した。この発表によると、歩留94.75%以上、異物混入率0.25%以内の基準を満たさないスクラップは、原則として輸入を禁止し、廃基板や電気電子部品等の混入を一切禁じている。日本では、銅、アルミスクラップの総輸出量の約3割をマレーシアに輸出しているのが実情であり、国内都市鉱山資源循環の課題も併せると、廃棄物からのより効率的な金属回収は、喫緊の課題である。
本発明は、このような問題点を解決し、電子機器等の廃棄物からより効率的に金属を回収することを可能にした金属機器粗解体機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
(1) 上部に原料を投入する供給口と下部に粗解体した原料を排出する排出口とを有する円筒形の粉砕室と、
当該粉砕室の内部に設けられた回転軸と、
当該回転軸を回転駆動させるモータと、
前記回転軸の先端部に取り付けられ、前記回転軸の回転により回転して原料を叩くハンマー体を有し、前記原料の外装を破砕させるメタルツイスターと、
前記回転軸における前記メタルツイスターの下方に取り付けられ、前記回転軸の回転により回転して原料を叩くチェーン体を有し、前記原料の外装と基板とを分離させるチェーンクラシャーと、を有する、金属機器粗解体機。
(1)によれば、供給口から粉砕室に供給した原料を、メタルツイスターが回転によって叩くことによって、原料の外装が遠心力によって粉砕室の壁面に叩きつけられることにより粉砕され、外装が小さくなることによって、基板を大きく粉砕することなくチェーンクラシャー側に落下させることが可能になる。しかも、チェーンクラシャーにより外装と基板とを分離させることができる。これにより、外装と基板とを分離させた状態で原料を粗解体して排出することが可能になる。その結果、基板を大きく破壊させることなく回収することが可能になり、基板に含まれる貴金属を効率よく取り出すことが可能になる。
(2) (1)において、
前記供給口に設けられ、原料を撮影する画像認識センサと、
前記画像認識センサが撮影した画像に基づいて、原料の大きさや落下速度を求め、この原料の大きさや落下速度に基づいて前記回転軸の回転速度を制御するコンピュータと、を更に備える金属機器粗解体機。
(2)によれば、原料の外装が大きい場合には、回転軸の回転速度を速くして、原料の外装の粉砕を促進したり、原料の外装が小さい場合には、回転軸の回転速度を遅くして、原料の外装の粉砕を遅らせたりすることにより、基板を粉砕することなく、外装の内部から基板を取り出しやすい状態にすることができる。
(3) (1)又は(2)において、
前記メタルツイスターと前記粉砕室の内壁との間に、前記原料に含まれる基板が通過可能な隙間を有する金属機器粗解体機。
(3)によれば、原料の外装が小さくなることによって、メタルツイスターと粉砕室の内壁との間から基板が下方に落下しやすくなる。これにより、基板を必要以上に粉砕することなく、チェーンクラシャーに送ることができる。
本発明によれば、電子機器等の廃棄物からより効率的に金属を回収することを可能にした金属機器粗解体機を提供することができる。
本実施形態に係る金属回収方法の説明図である。 金属機器粗解体機1の内部構成を示す説明図である。 メタルツイスター11の外観を示す説明図である。 電磁誘導渦電流複合選別機20の概要を示す模式図である。 実施例に係る金属回収方法を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の金属回収方法の実施形態を構成する各工程を示す説明図である。
<金属回収方法を構成する各工程>
本発明の金属回収方法は、基板や金属を内蔵しながら回収困難でこれまでスクラップ輸出されていた「家屋解体由来の基板内蔵機器」や「工業雑品金属機器」から有価金属をできるだけ多く回収することで、特に銅、アルミニウム、ステンレス及び貴金属等の回収率を向上すると同時に、国内都市鉱山資源循環を増量することを目的としている。
本発明の金属回収方法は、リサイクルが困難で埋め立て処分されるような家屋解体由来の金属雑品(基板内蔵機器や工業雑品金属機器)を含む基板・金属筐体・プラスチック筐体等で構成されるあらゆる雑品から、銅、アルミニウム、ステンレス、貴金属等の各種金属をそれぞれの金属元素ごとに分離して回収するものである。家屋解体由来の基板内蔵機器としては、湯沸かし器コントローラ、ガスメータ、電気メータ、インターフォン等が該当する。工業雑品金属機器としては、パーソナルコンピュータ、大型コンピュータ、湯沸かし器本体等が該当する。中でも、家屋解体由来の基板内蔵機器は、筐体が相対的に小さく固いため、そもそも解体できないか、あるいは内蔵基板含めて木っ端微塵となり、基板を回収できないという課題があった。本発明は、この課題を解決するものである。
なお、以下の説明において、「家屋解体由来の金属雑品を含む基板・金属筐体・プラスチック筐体等で構成されるあらゆる雑品」を原料と称することにする。
図1は、本実施形態に係る金属回収方法の説明図である。本方法は、少なくとも、原料を粗解体する粗解体工程、磁石を用いて鉄を選別する第1次磁気選別工程、アルミを選別するX線光学選別工程、破砕工程、磁石を用いて鉄を選別する第2次磁気選別工程、電磁誘導渦電流複合選別機によるステンレス選別工程、色選別装置による銅選別工程、色選別装置による真鍮選別工程、を備えており、各工程がこの順番で実行されることにより、原料から金属が回収される。この順番で実行されないと、基板内蔵機器や工業雑品金属機器から金属を回収するに際し、何らかの元素の歩留まりが低くなったり、コスト面での効率が下がったりすることがあり得るため、本実施形態において、この順番以外の回収方法では、好ましくない。
また、必須の構成ではないが、本方法は、第1次磁気選別工程とX線光学選別工程との間(第1次磁気選別工程の後であって、X線光学選別工程の前)に、X線AI選別工程を行うことが好ましい。X線AI選別工程を行うことで、より高精度かつ高効率の選別が可能となる。
〔粗解体工程〕
粗解体工程は、金属機器粗解体機によって実行される。原料はベルトコンベアによって搬送され、表面を振動させながら原料を搬送することにより、原料が分離されながら金属機器粗解体機に供給される。金属機器粗解体機は、内部にメタルツイスターとチェーンクラシャーとを備えており、メタルツイスターとチェーンクラシャーとが回転することにより、原料が粗解体される。
[金属機器粗解体機の構成]
図2は金属機器粗解体機1の内部構成を示す説明図である。金属機器粗解体機1は、上部に原料を投入する供給口2と下部に粗解体した原料を排出する排出口3とを有する円筒形の破砕室5と、画像認識センサ10と、メタルツイスター11と、チェーンクラシャー12と、モータ13と、回転軸14と、を備えている。画像認識センサ10、メタルツイスター11、チェーンクラシャー12及び回転軸14は、破砕室5の内部に配置されており、画像認識センサ10は、供給口2に設置され、供給口2の下方にメタルツイスター11が配置され、メタルツイスター11の下方にチェーンクラシャー12が配置されている。回転軸14は破砕室5の底部に立設されており、回転軸14の先端部にメタルツイスター11が固定され、回転軸14における下部にチェーンクラシャー12が固定される。
画像認識センサ10は、供給口2に投入される原料の画像を撮影して、破片等の形状認識を行い、金属機器粗解体機1をコントロールするコンピュータにデータを送信する。コンピュータは、画像認識センサ10からのデータに基づいて、あらかじめ学習・記録された原型の材料の大きさに対応するノック速度(メタルツイスター11によって叩く速度)を求め、速度制御を行うことにより、基板を必要以上に小さく粉砕させることなく効率的に原料を粉砕することができる。
図3は、メタルツイスター11の外観を示す説明図である。メタルツイスター11は、回転軸14に係合する係合部11aと、この係合部11aの外周に配置された4つの打撃部11bと、を備えている。係合部11aは、中央に回転軸14に挿入されて回転軸14の先端部に係合する六角柱形の孔部を備えている。打撃部11bは、係合部11aの中心から放射方向に延びる支持体と、この支持体の先端部に取り付けられた略直方体形の打撃体とを備えている。打撃体の打撃面は、係合部11aの中心軸を周回する方向に向いている。打撃体の4つの側面において上側に配置される側面と、外側に配置される側面とには、回転方向に沿って延びるリブが立設されている。メタルツイスター11の外径は、破砕室5の内径の例えば1/4~1/2、望ましくは1/3に設定されている。つまり、メタルツイスター11の打撃部11bと破砕室5との間に所定の隙間が設けられている。メタルツイスター11の打撃部11bと破砕室5との間の隙間は、基板の大きさ程度であることが望ましく、例えば30cmに設定されている。通常の基板は25cm程度のものが多いため、メタルツイスター11の打撃部11bと破砕室5との間の隙間が28~32cm程度あれば、基板がメタルツイスター11と破砕室5との間を通って落下することが可能である。
チェーンクラシャー12は2本のチェーンを有しており、この2本のチェーンが回転軸14に固定される。チェーンの材質は、特に限定されるものではないが、マンガン鋼チェーンであることが好ましい。チェーンがマンガン鋼チェーンであることで、原料を均一にハンバーで打つことができ、耐久性が高まる。チェーンを径方向に延ばした場合、チェーンの先端が破砕室5の内面近くまで延び、破砕室5の内面まで到達しない。本実施形態によれば、チェーンの先端と破砕室5の内面との間に15cm程度の余裕がある。チェーンクラシャー12は、メタルツイスター11よりも原料の外装を破砕する力が小さいが、原料の外装と基板との連結部分(例えば、ネジ止め部分)を分離させる程度の力原料に与えることができる。なお、チェーンクラシャー12のチェーン数は、チェーンの太さや重量に応じて適宜設定可能であるが、基板を必要以上粉砕させないためにも1本又は2本であることが望ましく、2本であることがより好ましい。
モータ13は、破砕室5の外側に配置される。モータ13が回転することによってその回転が回転軸14に伝達され、破砕室5の内部で回転軸14が回転する。回転軸14が回転すると、メタルツイスター11及びチェーンクラシャー12が回転する。
次に、金属機器粗解体機1による原料の粗解体について説明する。
原料のサイズは80cm以内で、1個当たり50kg未満の重量のものであり、原料はベルトコンベヤによって搬送され、供給口2から破砕室5の内部に投入される。金属機器粗解体機1の破砕速度は200回転/1時間以内であり、最大5000kg/1時間の処理能力を備えている。
供給口2から投入された原料は、メタルツイスター11の中心部付近に落下する。そして、回転するメタルツイスター11によって叩かれ、上下動しながら粉砕されていく。そして、破砕された破片は遠心力によって破砕室5の内壁に打ち付けられることにより、原料がバラバラになっていく。同時に、破砕物同士の衝突により、破砕物表面の付着物・塗料などを剥離させることができる。そして、ある程度破壊されると、原料は、メタルツイスター11と破砕室5との間から可能に落下する。落下した原料はチェーンクラシャー12によって叩かれて、素材毎、例えば外装と基板とに解体される。
つまり、原料がメタルツイスター11を通過する段階では、例えば、湯沸かし器や電気メータの外装を破砕するが、基板の破砕は進んでいない。外装が破砕されると原料は基板とともに、チェーンクラシャー12側に落下する。そして、原料をチェーンクラシャー12が叩くことによって、外装と基板とが分離されて、手解体に近い素材毎の解体が行われる。解体された原料は、排出口3から排出される。このように、湯沸し器・ガスメータ・電気メータ等の基板を大きく破砕させることなく、しかも基板を外装等の他の部材から分離した状態で排出することが可能になる。これにより、粗解体された原料から、破砕の少ない状態の基板を回収することが可能になり、基板からの貴金属循環回収率を向上させることができる。
なお、排出口3は上下方向に複数段階(本実施形態では上下3段階であるが、これに限るものではない)の高さ調節が可能であり、排出する原料の大きさを調整することができる。また、画像認識センサ10による検知結果に基づいて、メタルツイスター11及びチェーンクラシャー12の回転速度がコントロールされる。
また、上述した金属機器粗解体機1においては、メタルツイスター11が上方に、チェーンクラシャー12が下方に配置されているが、反対にチェーンクラシャー12が上方に、メタルツイスター11が下方に配置されることは望ましくない。この場合、原料が、基板も外装も混ざった状態で細かく砕かれるため、後の工程で、異金属結合片とアルミ粉末が共存することに起因する素材純度の低下や、渦電流選別機を用いた際に選別される廃プラスチックにステンレスやケーブルが含まれる可能性があり、その結果、基板から金、銀等の貴金属や、レアメタルを回収することが困難になってしまう。したがって、メタルツイスター11が上方に、チェーンクラシャー12が下方に配置されていることによって、基板を必要以上に破砕しないで比較的大きな状態で選別することが可能になり、基板から金、銀、レアメタルを取ることが容易になる。これにより、基板から金、銀等の貴金属や、レアメタルを取る回収効率が向上する。
なお、貴金属とは、金属のうち化合物をつくりにくく希少性のある金属をいい、一般に、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びオスミウムの8種をいう。
また、レアメタルとは、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等のベースメタル(コモンメタルやメジャーメタルとも称される)や、金、銀等の貴金属以外で、産業に利用されている非鉄金属をいう。レアメタルとして、具体的に、リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、タリウム、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムが挙げられる。中でも、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムは、希土類元素(レアアース)とも称される。
従来より、チェーンクラシャー単体による粗解体は、行われていた。しかしながら、チェーンクラシャー単体による粗解体では、情報機器の箱筐体粗解体には対応できたものの、工業雑品の粗解体、家屋解体由来の湯沸かし器、ガスメータ、電気メータ等の粗解体は、基板を貴金属回収が可能な形状で取り出せるか否かという点で十分とはいえなかった。
本方法によると、チェーンクラシャー12の上流に画像認識センサ10及びメタルツイスター11を設けることで、これまで解体できないか、あるいは内蔵基板含めて木っ端微塵となり、基板を貴金属回収が可能な形状では回収できないとされていた課題を解決することができる。
また、粗解体装置として、クロスフローシュレッダーも知られているが、本方法は、超硬刃を持つメタルツイスターを上段に配置することで、固い筐体でも容易に引き裂き、後段の回転数を調整したチェーンクラシャーで原料をほぐすように破砕することで、筐体内の基板類の噛みこみや絡みつきを、より少なく、素子が基板に着いた状態で分離できる点で、クロスフローシュレッダーに対する利点を有する。
〔第1次磁気選別工程〕
粗解体工程を経て粗解体された原材料は、ベルトコンベアによって磁気選別機に向かって移送される。そして、原材料に対して、磁気選別機の磁極を近づけることにより、鉄が磁気選別機の磁極に吸着されて選別される。選別された鉄は所定の場所に蓄積され、磁気選別機に吸着されなかった原料はベルトコンベアに載せられてX線AI選別機に送られる。この時、ベルトコンベアには振動が加えられており、ベルトコンベアの原料が分離されながら移送される。
原料として供給される家屋解体由来金属雑品のうち、約70%を鉄として回収でき、非鉄として約30%がX線AI選別機に送られる。X線AI選別機や、その後工程で用いられるX線光学選別機は、装置コストが高いため、X線AI選別機への供給量は、できるだけ少なく抑えることが好ましい。この点から、初期の分離として第1次磁気選別工程を採用し、原料を鉄及び非鉄に分離することが好ましい。
加えて、X線AI選別工程が行われる前に、原料に大きな鉄が含まれていると、その鉄が基板を選別する際の障害になってしまい、基板が上手く選別できなくなるおそれがある。また、X線AI選別機は、比較的精密な機械であるため、鉄が紛れ込んでいると選別性能が引き出せないおそれがある。このため、第1次磁気選別工程の後にX線AI選別工程が行われることが好ましい。
〔X線AI選別工程〕
必須の構成ではないが、本実施形態に記載の方法は、第1次磁気選別工程とX線光学選別工程との間(第1次磁気選別工程の後であって、X線光学選別工程の前)に、X線AI選別工程を行うことが好ましい。X線AI選別工程を行うことで、より高精度かつ高効率の選別が可能となる。
X線AI選別機は、原料から基板を見つけ出して選別する。例えば、プリント基板上に取り付けられた小型装置や配線は、複数種類の貴金属やレアメタル等の有価金属を含むため、基板は、できるだけ形を残して基板として回収することが好ましい。この点でも、粗解体工程での解体の程度は、少なく抑えることが好ましく、原料を細かく解体し過ぎると、基板の粉砕物が鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等のベースメタルに基板が混在してしまい、特に基板に含まれる貴金属やレアメタルを貴金属やレアメタルとして回収できなくなる可能性があるため、好ましくない。
X線AI選別機は物体の形状及び色を認識することにより、基板か否かを判断する。X線AI選別機が搭載する制御装置は、人工知能加速アルゴリズムを搭載しており、ガベージハイエンドセンサー画像によるガベージ識別機能(AI学習能力機能)を有する。これより、1時間あたり4,000回の選別速度で98%以上の選別精度を実現できる。
基板と判断された物体には高圧ガスが吹き付けられてコンベアの外に飛ばされる。これにより、基板が選別される。X線AI選別機を通過して基板が除かれた原料はベルトコンベアに載せられてX線光学選別機に送られる。この時、ベルトコンベアには振動が加えられており、ベルトコンベアの原料が分離されながら移送される。選別された基板は、基板から貴金属を回収するための装置に送られる。
粗解体工程を経た原料のうち、約7%を基板として回収でき、基板以外として約93%がX線光学選別機に送られる。X線AI選別工程で選別された基板は、都市鉱山原料として、公知プロセスにて破砕・選別される。この破砕及び選別により貴金属(金・銀・パラジウム)や銅の粒が得られる。
〔X線光学選別工程〕
X線光学選別機は、X線AI選別機から供給された原料の透過X線像を撮影し、原子密度の差異から原料をアルミニウムとアルミニウム以外とに分離する。アルミニウムは、他の金属に比べて原子密度が相対的に小さい。この性質を利用して、X線光学選別機を用いることで原料をアルミニウム(軽金属)とそれ以外(軽金属以外)とに分離できる。
アルミニウムのほか、マグネシウム、ベリリウム、チタン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属(ラジウムを除く)も原子密度が相対的に小さく、基板に含まれるこれら軽金属がアルミニウムとして分離されるのを避けることが好ましい。そのため、X線光学選別工程の前段階でX線AI選別工程を設け、X線光学選別工程で供給される原料からは、あらかじめ基板由来の金属が除かれていることが好ましい。
X線AI選別工程を経た原料のうち、約11%をアルミニウムとして回収でき、アルミニウム以外として約89%がハンマー分離破砕機に送られる。
本方法によると、家屋解体由来の基板内蔵機器や工業雑品金属機器のうち約75%は、粗解体工程、第1次磁気選別工程、X線AI選別工程及びX線光学選別工程を経て有価金属として選別されている。この後の工程で用いる装置は、粗解体工程、第1次磁気選別工程、X線AI選別工程及びX線光学選別工程で用いた装置に比べ、処理速度、装置コスト両方の意味で効率が下がるため、ここまでの工程の間でできるだけ多くの金属を回収しておくことが好ましい。本方法では、約75%が分離済みであり、この後の工程に供される原料が約25%に抑えられている点で本方法は好ましいプロセスであるといえる。
〔破砕工程〕
X線光学選別工程を経てアルミニウムが除かれた原料は、ハンマー分離破砕機によって粉砕される。粉砕機は、4段タテ型16個式ハンマを組合わせた装置であり、粗解体された原料を上1段目から下4段目までハンマで叩いて順番にほぐして分離させた後に、均等のサイズ(2~3cm)に破砕する。上1段目のハンマ4段の中で最も粗くたたき、2段目、3段目と下位のハンマになるほどどんどん小さく叩く。そして、最後の4段目において素材ごとバラバラになり、お互いに分かれるような状態になる。粉砕機におけるクラッシャーの本体、ハンマーヘッド、ホブ、ライナー等はすべて高強度、高靭性のマンガン鋼で作られており、ハンマーで叩くほど表面硬度が高くなる。
破砕工程においては、ハンマー分離破砕機が粗解体された原料を順次ほぐして分離し、その後、原料を微細に破砕することが好ましい。これにより、破砕後の原料の大きさを均一に保つことができ、互いに異なる元素の金属が物理的に一まとまりになった状態(互いに絡み合った複合材としての状態)として残ることを回避できるため、破砕工程以降の工程で各種の金属元素ごとに高純度で選別することを実現可能になる。例えば、従来から知られる2段タテ型12個式ハンマー破砕機では、回収される金属の純度が98%程度にとどまるが、本方法で用いられる破砕手法では、99%を超える純度の金属を回収できる。
また、一度に細かく破砕しようとすると、摩擦熱が大きくなり、原料に含まれる金属の酸化が進む。本方法では、後工程で色選別装置による選別を含むため、この点でも、原料の破砕を段階的に行い、酸化の進行を極力小さく抑えることが好ましい。
なお、X線光学選別機でアルミニウムを選別した後の原料が、破砕工程によって細かく破砕されるが、仮に、破砕工程の後にX線光学選別機でアルミニウムを選別した場合、破砕工程においてアルミニウムが粉末化するおそれがある。アルミニウムは、金属のなかでも燃焼熱が大きく、粉末化すると表面積が大きいために酸化しやすく、酸、水、アルコール、酸化剤等に触れると爆発を起こすリスクがある。加えて、酸化アルミニウムの原子密度は、アルミニウムの原子密度の1.4倍程度であり、軽金属の原子密度の範囲を超えるため、X線光学選別機での回収が難しくなる。このため、アルミニウムを選別した後に、破砕工程において原料を細かく破砕することが好ましい。
〔第2次磁気選別工程〕
破砕工程を経て略均等のサイズに粉砕された原料に対して、磁気選別機の磁極を近づけることにより、第1次磁気選別工程では選別しきれなかった鉄が磁気選別機の磁極に吸着されて選別される。選別された鉄は所定の場所に蓄積される。磁気選別機に吸着されなかった原料は電磁誘導渦電流複合選別機に送られる。
破砕工程を経た原料のうち、約8%を純度99.5%の鉄として回収でき、非鉄として約92%が電磁誘導渦電流複合選別機に送られる。
〔ステンレス選別工程〕
これまでの過程から、原料は、解体された建物由来の基板内蔵機器から鉄、アルミニウム及び貴金属が除かれた非金属及びプラスチックを主として含む。ここで、原料は、これまでの過程で分離しきれなかった鉄、アルミニウム及び貴金属を含み得るものである。また、「主として」とは、全体として多く含むという意味であり、本明細書では、非金属及びプラスチックの含有量が鉄、アルミニウム及び貴金属の含有量よりも多いという意味である。
ステンレス選別工程では、電磁誘導センサによって検出されたステンレスをエアによって吹き飛ばすことによってステンレスを選別する。
〔廃プラ除去工程〕
廃プラ除去工程では、ステンレス選別工程の後、渦電流によって金属と非金属とに分別し、非金属を除去する。
ステンレス選別工程を実現可能な装置として電磁誘導型AI選別装置が挙げられ、廃プラ除去工程を実現可能な装置として渦電流選別機が挙げられる。しかしながら、これら電磁誘導型AI選別装置と渦電流選別機とが一体化した電磁誘導渦電流複合選別機を用いることがより好ましい。電磁誘導渦電流複合選別機を用いることで、(1)それぞれの装置を購入する場合に比べてトータルで安い、(2)それぞれの装置を設置する場合に比べて省スペース、及び(3)それぞれの装置を使用する場合に比べてエネルギー効率が高く、CO削減に繋がるという利点が得られる。
以下では、ステンレス選別工程及び廃プラ除去工程を行う際に電磁誘導渦電流複合選別機を用いるものとして説明する。
[電磁誘導渦電流複合選別機20]
図4は電磁誘導渦電流複合選別機20の概要を示す模式図であり、電磁誘導渦電流複合選別機20は、上段の誘導選別部21と、下段の渦電流型金属選別部22とを備えている。誘導選別部21は、ステンレス選別工程に対応し、渦電流型金属選別部22は、廃プラ除去工程に対応する。
(誘導選別部21)
誘導選別部21は、原料を搬送するベルトコンベア211と、このベルトコンベア211の搬送方向下流側の端部の下に組み込まれた誘導センサ212と、ベルトコンベア211の搬送方向下流側の端部に設けられた高圧バルブ213と、誘導センサ212よりもベルトコンベア211の搬送方向上流側に配置された画像センサ214と、コンピュータ(図示省略)と、を備えている。高圧バルブ213は、複数のバルブを1列に並べたアレイ状に構成されており、ベルトコンベア211の搬送方向下流側の端部から落下した原料に対してピンポイントで高圧エアを噴射して、噴射対象物を吹き飛ばすことが可能である。
誘導選別部21では、画像センサ214に撮像された原料の画像に示されている原料の形状や色に基づいてコンピュータが原料に含まれる誘導型金属、特に、ステンレスを検出し、更に、誘導センサ212が原料に含まれる誘導型金属、特に、ステンレスを検出する。そして、画像センサ214に係る検出結果及び誘導センサ212の検出結果に基づいて、ステンレスがベルトコンベア211から落下するタイミングでコンピュータが高圧バルブ213を駆動させ、エア圧によってステンレスを吹き飛ばすことによって原料からステンレスが選別される。
コンピュータは、撮像された画像を取得する画像取得ステップと、取得された画像を所定のニューラルネットワーク(原料識別ニューラルネットワーク)に入力する画像入力ステップと、原料識別ニューラルネットワークから出力される当該画像に含まれる原料の材質を取得する材質取得ステップと、を含む処理(原料識別処理)を実行する。コンピュータは、Central Processing Unit(CPU)等によって例示される制御部と、Random-access memory(RAM)、Read-only memory(ROM)、各種のストレージ装置等によって例示される、上述の処理を実行するプログラム及び原料識別ニューラルネットワーク等が記憶される記憶部と、取得された原料の材質等を外部に出力する通信部と、を少なくとも備える。原料識別ニューラルネットワークは、撮像された画像を説明変数として含み、当該原料の材質を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われた、画像認識に係るニューラルネットワークである。ステンレスを高い精度で選別すべく、原料識別ニューラルネットワークは、少なくとも、原料がステンレスであるか否かを識別するよう構成されることが好ましい。
誘導センサ212は、原料の形状(線材、箔材である等)、原料に含まれる誘導金属(プリント基板の回路、素子等)その他の要因により、原料の主要部分を構成する金属の種類を誤認識する場合があり得る。本実施形態の誘導選別部21は、画像センサ214及び誘導センサ212からの情報を用いることにより、誘導センサ212だけでは正確に検出できないステンレスを検出可能である。また、本実施形態の誘導選別部21は、画像センサ214及び誘導センサ212からの情報を用いることにより、誘導センサ212だけではステンレスであると誤検知される原料をステンレスでないと判別可能である。
必須の態様ではないが、原料識別ニューラルネットワークは、原料の形状を目的変数としてさらに含む事前学習が行われていることが好ましい。これにより、形状に応じて異なる高圧バルブ213の駆動条件算出が可能となる。加えて、金属機器粗解体機1の管理者等は、原料識別ニューラルネットワークから出力される原料の形状を参照して、高圧バルブ213の駆動条件を調整できる。これにより、選別された材料が適切な場所に吹き飛ばされるようにする作業等が容易になることが期待される。
コンピュータは、画像センサ214に基づく検出結果及び誘導センサ212による検出結果に基づいて、高圧バルブ213の適切な駆動条件を算出する駆動条件算出ステップを実行することが好ましい。駆動条件は、例えば、上述の高圧バルブ213を用いて原料を、当該原料の材質及び形状等に応じた適切な場所へ吹き飛ばす際のエア噴出速度(ノック速度)等である。誘導選別部21を通過する原料は、大きさ、材質、重量等が異なる。そのため、高圧バルブ213が適切な駆動条件で原料を吹き飛ばさない場合、原料がその材質に応じた適切な場所へ吹き飛ばされなくなってしまう。コンピュータが駆動条件算出ステップを実行することにより、高圧バルブ213は、金属機器粗解体機1の管理者等が駆動条件を逐一手動で調節しない場合であっても、原料を当該原料の材質及び形状等に応じた適切な場所へ吹き飛ばすことができる。なお、駆動条件算出ステップを実行するコンピュータは、画像センサ214に係る処理を実行する第1コンピュータと、誘導センサ212に係る処理を実行する第2コンピュータとが別体に構成されていてもよい。これにより、金属機器粗解体機1の管理者等は、センサごとにコンピュータを保守・調整できる。
誘導選別部21を上述の構成とした結果、誘導センサ212のみの場合ではステンレスの選別精度が約90%程度だったのに対し、画像センサ214を加えることにより、選別精度が99%以上に向上した。選別されたステンレスは電磁誘導渦電流複合選別機20の外部の所定の場所に蓄積される。誘導選別部21においてステンレスが選別された原料は、下段の渦電流型金属選別部22のベルトコンベア222に落下する。
誘導センサ212の検出対象は、導電性をもつ金属である。具体的には、銅、アルミニウム、亜鉛、鉛、ステンレス鋼、プリント基板(PCB)、絶縁ワイヤ等の誘導金属を検出する。金属の種類により検出距離が異なり、鉄等の磁性金属は動作距離が大きく、 ステンレス、銅、真鍮のような非磁性金属に対しては検出距離が短くなる。しかしながら、ステンレスをはじめとした非磁性金属と鉄等の磁性金属との混在を確実に避けるためには、原料から鉄をできるだけ除いた状態で原料が誘導センサ212に流されることが好ましい。その点で、ステンレス選別工程は、第2次磁気選別工程の下流に位置付けられることが好ましい。
第2次磁気選別工程を経た原料のうち、約8%をステンレスとして回収でき、ステンレス以外として約92%が渦電流型金属選別部22に送られる。
(渦電流型金属選別部22)
渦電流型金属選別部22は、回転マグネットローラ型磁力選別機221からなり、渦電流によって磁場を発生させることにより、ベルトコンベア222を流れる鉄・銅類・アルミ・亜鉛・鉛・電線類を磁力によって選別することが可能である。渦電流型金属選別部22を通過する際には、銅や真鍮、更に前段の工程において回収しきれなかった鉄、アルミ等を含む金属と、それ以外のプラスチックのような非金属に分けられる。
なお、渦電流型金属選別部22は、金属と非金属に分ける機能しかなく、特定の金属をピンポイントで選別する能力はない。このため、渦電流型金属選別部22による選別は、多くの種類の金属が選別された後の原料を金属と非金属とに分けることに用いるのが好ましい。
誘導センサ212を経た原料のうち、約42%をプラスチック(非金属)として回収でき、ステンレス以外(金属)として約58%が色選別装置に送られる。
渦電流型金属選別部22によって分けられたプラスチックは、公知プロセスにてプラスチック素材ごと、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)等に分離選別される。分離選別された素材は、プラスチック再資源化原料として売却されたり、化学的処理によって樹脂製品原料や再生樹脂製品となる。
渦電流型金属選別部22によって分けられた金属は、次工程の色選別装置に搬送され、非金属は電磁誘導渦電流複合選別機20外の所定場所に蓄積される。このように、電磁誘導渦電流複合選別機20は、上段の誘導選別部21と下段の渦電流型金属選別部22との二段で構成されているため、2台分の機器を設置するよりも大きな省スペース化を図ることができる。
[銅選別工程]
渦電流型金属選別部を経て分けられた金属は、色選別装置に通される。
原料に含まれる金属のうち、鉄をはじめとした磁性金属は、磁力選別機で分別回収し易いが、銅をはじめとした非磁性金属は、磁性金属に比べて分離回収が難しい。本方法では、銅が赤色である性質を利用し、色選別装置に供給された原料を銅と銅以外とに分離する。
色選別装置は、複数段階の装置からなる。第1段では、赤色とそれ以外とで分離し、銅とそれ以外とを選別する。
ここで、銅は、酸化によって変色する性質を有する。酸化の進行の程度に応じて、銅は、赤褐色→褐色→暗褐色→黒褐色→緑青色と変色する。そこで、色選別装置を複数設け、偏食の段階に応じて銅を回収することが好ましい。これにより、原料に含まれる銅をより確実に回収できる。選別された銅は色選別装置外の所定の場所に蓄積される。
ステンレス選別工程を経た原料のうち、約66%を純度99%の銅として回収でき、銅以外として約32%が次工程の色選別装置に送られる。
[真鍮選別工程]
銅選別工程を経た原料は、再び色選別装置に通される。
必須ではないが、色選別装置は、複数段階で選別することが好ましく、この場合、第1段では、真鍮とそれ以外とで分離する。真鍮は、黄銅とも称され、銅と亜鉛の合金である。真鍮は、赤みを帯びた黄色であり、色選別装置を通して真鍮とそれ以外とに分離可能である。銅選別工程を経た原料のうち、約48%を真鍮として回収でき、真鍮以外として約52%が後段の色選別装置に送られる。
必須ではないが、色選別装置は、複数段階で選別することが好ましく、この場合、第2段では、ステンレスとそれ以外とで分離することが好ましい。
銅選別工程を経た原料のうち、約48%を真鍮として、約4%をステンレスとして、約48%を残渣として回収できる。
選別された真鍮及びステンレスは色選別装置外の所定の場所に蓄積される。残りは、公知プロセスによる分別に供される。
選別された各種金属は、それぞれの金属ごとの精錬所で化学的処理を経て金属インゴット等になる。
このように本実施形態によれば、一番初めに金属機器粗解体機で基板を取り出した後、(粉砕ではなく、)粗解体した状態の塊から、磁気選別機を用いて鉄を取り出し、次に、X線光学選別機を用いてアルミニウムを取り出す。基板と鉄とアルミニウムは、いずれも粗解体された状態であり、粉砕された状態ではない。
その後、基板と鉄とアルミニウムが取り出された塊は、ハンマー分離破砕機によって粉砕され、粒状にされる。そして、磁気選別機を用いて鉄を取り出し、電磁誘導渦電流複合選別機を用いてステンレスとプラスチックを取り出す。この時点で、銅、真鍮が概ね残るため、色選別装置を用いて銅、真鍮を取り出す。このように本実施形態によれば、方式の異なる様々な工程を組み合わせることにより、様々な種類の金属を廃棄物から回収することが可能になる。しかも、上述した順番で工程を行うことにより、後段の工程に他の金属が混じることを低減した純度の高い選別を行うことが可能になる。
金属機器粗解体機においては、粗解体が行われるが、この時点では、原料に含まれる基板まで細かく砕かれない。これにより、基板から貴金属を取り出すことが容易になる。本実施形態における金属機器粗解体機においては、上側にメタルツイスターを配置し、メタルツイスターの下方にチェーンクラシャーが配置されている。これにより、まず、メタルツイスターが堅い筐体金属外装を緩くばらばらにして、外装の中から基板が取り出せる状態とする。外装がばらばらにされた原料は下方に落下して、チェーンクラシャーによって叩かれる。これにより、基板とこの基板に着いている他の部品(外装の一部等)が分離された状態で金属機器粗解体機から排出される。このように、原料から基板を、必要以上に小さくすることなく取り出すことが可能になる。
また、粗解体工程を経て粗解体された原材料に対して、磁気選別機を近づけることにより(第1次磁気選別工程)、鉄を選別してから、X線AI選別機を通して原料から基板を取り出し、X線光学選別機を用いてアルミニウムを取り出している。このため、破砕工程以降の工程において、鉄やアルミニウムが粉状になって混じってしまうことが低減され、純度の高いステンレス、銅、真鍮等を取り出すことが可能になる。
また、電磁誘導渦電流複合選別機は、上段の誘導選別部と、下段の渦電流型金属選別部とを備え、上段の誘導選別部で原料からステンレスが選別され、下段の渦電流型金属選別部でステンレスが除去された原材料が銅や真鍮等を含む金属と、それ以外のプラスチックのような非金属に分けられる。このため、更に下段の銅選別工程、真鍮選別工程において、ステンレスや非金属の量が極めて少ない純度の高い銅や真鍮の選別を行うことが可能になる。しかも、上段に誘導選別部及び下段に渦電流型金属選別部を配置しているため、電磁誘導選別機と渦電流選別機とに分けるよりも機器の設置スペースの省略化が図れる。
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
家屋解体由来金属雑品7,200tを上述した手法で各種金属に分離した。図5は、その流れを示すフローチャートである。
図5に示す通り、家屋解体由来金属雑品7,200tを、鉄5,238t(図1に記載の手法で5,211t、公知の化学プロセスで27t)、銅606t(図1に記載の手法で576t、公知の化学プロセスで30t)、真鍮144t、アルミニウム216t、ステンレス144t、貴金属(レアメタル含む)180kg、合成樹脂建材808t、及び残渣14tに分けることができる。これにより、従来であれば、全て産業廃棄物として処理され得た家屋解体由来金属雑品7,200tのうち、廃棄物を14t(約0.2%)に抑えることができるだけでなく、約99.8%を有価金属等に代えることができたとともに、貴金属及びレアメタルを回収することもできる。
1 金属機器粗解体機
5 破砕室
10 画像認識センサ
11 メタルツイスター
11a 係合部
11b 打撃部
12 チェーンクラシャー
13 モータ
14 回転軸
20 電磁誘導渦電流複合選別機
21 誘導選別部
211 ベルトコンベア
212 誘導センサ
213 高圧バルブ
214 画像センサ
22 渦電流型金属選別部
221 回転マグネットローラ型磁力選別機
222 ベルトコンベア

Claims (2)

  1. 基板内蔵機器や工業雑品金属機器を原料とし、当該原料から有価金属を回収するために、前記原料を粗解体する金属機器粗解体機であって、
    上部に前記原料を投入する供給口と下部に粗解体した原料を排出する排出口とを有する円筒形の粉砕室と、
    当該粉砕室の内部に設けられた回転軸と、
    当該回転軸を回転駆動させるモータと、
    前記回転軸の先端部に取り付けられ、前記回転軸の回転により回転して原料を叩くハンマー体を有し、前記原料の外装を破砕させるメタルツイスターと、
    前記回転軸における前記メタルツイスターの下方に取り付けられ、前記回転軸の回転により回転して原料を叩くチェーン体を有し、前記原料の外装と基板とを分離させるチェーンクラシャーと、を備え、
    前記メタルツイスターと前記粉砕室の内壁との間に、前記原料に含まれる基板が通過可能な隙間を有する金属機器粗解体機。
  2. 請求項1記載の金属機器粗解体機において、
    前記供給口に設けられ、原料を撮影する画像認識センサと、
    前記画像認識センサが撮影した画像に基づいて、原料の大きさや落下速度を求め、この原料の大きさや落下速度に基づいて、あらかじめ記憶された材料の大きさに対応するノック速度で原料の外装を破壊するように前記回転軸の回転速度を制御するコンピュータと、を更に備える金属機器粗解体機。
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