特許法第30条第2項適用 令和1年12月5日 日本経済新聞 令和1年12月5日付朝刊、第35面にて公開 令和1年12月12日 ぐんま経済新聞 令和1年12月12日付朝刊、第9面にて公開 令和1年12月26日 日刊工業新聞 令和1年12月26日付朝刊、第27面にて公開 令和2年2月17日 日刊工業新聞 令和2年2月17日付朝刊、第23面にて公開
以下に本発明の第1~第3実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一の部分及び類似の部分には、同一の符号又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
-第1実施形態-
<牽引補助装置の構造>
第1実施形態に係るシートパレットの牽引補助装置11(以下、単に「牽引補助装置11」とも称する。)は、図1に示すように、押え部材12、固定具74及び牽引部材16を有する。押え部材12と固定具74とは、シートパレット20の端部22を間において、互いに重ね合わせられている。
(シートパレット)
シートパレット20は、例えばPP製であり、厚みは、例えば、約0.6mm~約3.0mmである。シートパレット20は、平面視で、上面上に載置される荷物40の底面より大きい面積を有する矩形状である。例えば、荷物40の底面が約1000mm×約1000mmである場合、この荷物40が載置されるシートパレット20の矩形の寸法は、約1500mm×約1500mmや、約1500mm×約2000mm等に設定できる。
なお、シートパレットの素材は、PPのような樹脂材料に限定されない。シートパレットは、例えば、段ボールのような紙製であってもよいし、カーボン(炭素)製であってもよい。また、シートパレットの素材は、樹脂、紙、カーボン及び他の各種素材のうち任意のものを適宜組み合わせて作製されてもよい。或いは、比較的薄い木製や鉄鋼製のシートパレットであっても採用できる。
すなわち、シートパレットの素材は、端部において牽引補助装置の押え部材と第2押え具とを重ね合わせることが可能である限り、本明細書中に例示されたものに限定されず、適宜変更できる。
なお、シートパレットが木製や鉄鋼製の場合、後で図8を用いて説明するように、牽引補助装置11では、押え部材12と固定具74とを重ね合わせた状態で、牽引部材16の先端によってシートパレットに孔を空ける際、比較的大きな力が必要になる。このため、牽引作業を開始する前に、シートパレットにおいて牽引部材16の先端が接触する予定領域に、所定の工具等を用いて孔を予め設けておけば、牽引作業の開始後、牽引部材16の先端によって孔を空ける負担を低減できる。
更に、シートパレットの素材は、可撓性を有する、巻き取り可能な柔軟素材であってもよい。具体的には、例えば、比較的柔らかいゴムシートや、塩化ビニル等の樹脂或いは自然素材の帆布で作製されたテントシート等を採用できる。素材が可撓性を有する柔軟な材料であることによって、シートパレットは、小さく丸めること或いは畳めることが可能である。
シートパレットは、使用時にはシート状に広げ、収納時には筒状或いは畳んだ形に形態を変更できる程度に可撓性を有することが好ましい。シートパレットを筒状に丸める或いは小さく畳むことによって、保管時等、牽引作業以外の状態において、シートパレットを嵩張ることなく、コンパクトに収納できる。塩化ビニル等の樹脂で作製されたテントシートは比較的耐久性が高いため、表面上で荷物を繰り返し載せ替えしたりするシートパレット用途において有利である。
シートパレット20の端部22は、上側に荷物40が存在しない余剰部分であり、牽引時に上方に折り曲げられ、立上げ部22Aと基部22Bとを有する。立上げ部22A及び基部22Bは、折り曲げられたシートパレット20の端部22において、折り曲げ線を挟んで隣接する。シートパレット20の端部22は、牽引補助装置11の押え部材12と固定具74との間に挟持され、シートパレット20は、牽引補助装置11を介して、外部の牽引動力装置30(図11参照)によって、牽引方向(搬送方向D)に牽引される。以下、牽引補助装置11について具体的に説明する。
(押え部材)
押え部材12は、側面視又は断面視で、平板状の部材であり、例えばアルミニウム等の軽量金属素材で作製されている。なお、押え部材の材料としては、鉄鋼等、他の金属素材又は適切な強度を有するものであれば非金属素材が採用されてもよい。
ただし、押え部材12をアルミニウム等の軽量金属素材で作製すれば、鉄鋼素材等の場合に比べ、押え部材12を軽量化できるため、牽引補助装置11全体についても軽量化を図ることができる。押え部材12の長手方向(図1中の左上側から右下側に向かう方向)に沿って測った幅は、シートパレット20の端部22の長手方向の幅とほぼ同じであり、例えば、約1500mmである。なお、押え部材12の長手方向の幅は、シートパレット20の幅より長くても短くてもよく、適宜変更できる。
押え部材12は、平面視で、牽引方向(搬送方向D)にほぼ直交するように延びている。すなわち、押え部材12の長手方向と牽引方向とは直交している。押え部材12の牽引方向に沿って測った平板の厚さは、例えば、約10mmであり、押え部材12の高さは、例えば約50mmである。なお、押え部材12の厚さ及び高さは、適宜変更できる。
図2に示すように、押え部材12の内壁面である立上受け面12A1は、折り曲げられたシートパレット20の端部22の立上げ部22Aの裏面(図2中の立上げ部22Aの左側の面)を受ける。
なお、本発明では、押え部材の形状は特に限定されない。全体の軽量化のために、中空の部材であってもよく、或いは、長手方向のゆがみを抑制する芯材を組み込んだ一定の押え面積を有する樹脂板であってもよい。押え部材の材質及び形状は、予定される荷物の重さなど用途に応じて適宜選択できる。
(固定具)
固定具74は、長手方向に一定の長さを有するコ字形(U字形)であり、凹部76を有すると共に、立押え面74A1としての内壁面を有する。なお、固定具74の個数は、1個でもよいし、或いは、複数個でもよい。また、固定具74の寸法は、適宜変更できる。固定具74の牽引部材16側の側壁には雌ネジ孔74B1が設けられ、雌ネジ孔74B1には、固定ボルト74Cが差し込まれている。固定具74の雌ネジ孔74B1と固定ボルト74Cの雄ネジ部とはネジ結合する。
また、図2においては、凹部76の牽引部材16から離れた側の内壁面を立押え面74A1として用いているが、本発明では、凹部76の牽引部材16に近い側の内壁面を立押え面として用いていることもでき、その場合には、固定具74の牽引部材16とは反対側の側壁に雌ネジ孔が設けられ、その雌ネジ孔に螺合する固定ボルト74Cによって押え部材12と立押え面74A1との間にシートパレット20の立上げ部22Aが挟持される。
固定具74は、例えば、金属製である。しかし、固定具74の素材は、金属に限定されず、樹脂等、他の素材で作製されてもよい。また、固定具74は、金属製の芯材に樹脂被覆が施された部材で構成されてもよい。図1中の中央の固定具74には、牽引部材16の雄ネジ部が着脱自在に螺合するネジ穴が設けられている。
固定具74の凹部76の形状については、特に限定されない。凹部76の深さ、奥行き及び横幅は、予定される荷物の重さなど用途に応じて適宜選択できる。
(牽引部材)
牽引部材16は、例えば鉄鋼等の金属製であり、棒状の一端部の周面上には雄ネジ部が形成されると共に、他端部にはリング部が設けられている。具体的には、牽引部材16としては、例えば、市販のアイボルト等を採用できる。
牽引部材16の雄ネジ部は、固定具74のネジ穴とネジ結合しているため、ネジを締める又は緩めることによって、牽引部材16は、固定具74に対して着脱自在である。このため、牽引補助装置11の保管時等、牽引作業が行われない状態では、牽引部材16を固定具74から取り外すことによって、固定具74から外側に突出する部位を減少させることができる。結果、保管スペースを低減できると共に、作業者が固定具74から外側に突出する部位に手指を引っ掛けたりつまずいたりして、支障が生じることを防止できる。なお、牽引部材16を固定具74に取り付ける方法としては、固定具に貫通孔を設け、牽引部材16を貫通孔に通し、牽引部材の先端部にナットを螺合して締め付けることによって取り付けることもできる。
また、特に、シートパレット20が例えばテントシート等であり、収納時にシートパレット20を小さく丸める或いは畳むことができる場合、長く突き出ている牽引部材16を取り外しておくことによって、牽引補助装置を装着した状態でもよりコンパクトに収納することが可能になる。また、シートパレット20に牽引補助装置11が取り付けられた状態のまま、牽引補助装置11がシートパレット20の内側に包まれるように、シートパレット20を丸めてもよい。更に、牽引補助装置11がシートパレット20の内側に包められたまま、牽引補助装置11及びシートパレット20を一体的に持ち運びしてもよい。なお、牽引補助装置11が取り付けられた状態のシートパレット20は、本発明の牽引補助装置付きシートパレットを構成する。
牽引部材16のリング部は、牽引部材16の他端側(図2中の左側)に設けられ、リング部の開口に、外部の牽引動力装置30(図11参照)に連結されたフック18が差し込まれている。なお、牽引部材16が牽引動力装置30と連結するための構造としては、リング部とフック18との組み合わせに限定されない。例えば、牽引部材16側にリング部に代えてフック状の部分が設けられると共に、フック状の部分に対応するリング状の部材が牽引動力装置30側に設けられてもよい。
また、牽引補助装置11の牽引部材16側に、牽引動力装置30側のフック18が差し込まれる凹部が設けられてもよい。また、固定具74に対して着脱自在な連結構造としては、リング部とフック18との組み合わせ以外であってもよく、例えば、牽引部材16側の部材と牽引動力装置30側の部材とが互いに嵌合して連結されてもよい。牽引部材16は、牽引動力装置30に対して着脱自在である。
また、図2中では、牽引部材16は、固定具74の凹部76の牽引部材16側の側面に取り付けられているが、本発明では、これに限定されず、牽引部材16は、固定具74の頂上部(図2中の上部)に取り付けられてもよい。この場合、牽引時には固定具74が横倒しになるため、締め付け用の固定ボルト74Cは、上側となるシートパレット20の表面側に頭部が位置するように、固定具74に取り付けられる方が、床面Gとの接触を低減できる点で好ましく、この場合には図2における押え部材12とシートパレット20の立上げ部22Aの位置関係も入れ替わることになる。
(シートパレットの挟持)
第1実施形態では、固定具74に取り付けられた固定ボルト74Cの回転によって、固定ボルト74Cの先端が牽引部材16側から押え部材12側に向かって前進すると、先端は、押え部材12を押圧する。押圧によって、押え部材12とシートパレット20の端部22の立上げ部22Aとが密着する。
このため、固定具74の立押え面74A1が、シートパレット20の端部22の立上げ部22Aの表面を押え、押え部材12と固定具74との間に配置されたシートパレット20の端部22が、牽引補助装置11によって堅固に挟持される。固定ボルト74Cによってシートパレット20の挟持力を調節できる。
(作用効果)
第1実施形態に係るシートパレットの牽引補助装置11では、シートパレット20の端部22は、押え部材12と固定具74とからなる2つの部材と、ネジ部材の締め付け力とを利用して挟持されている。このため、牽引時、シートパレット20の端部22は、押え部材12と固定具74との間から抜け落ちることなく、牽引部材16と一体となって移動する。
また、油圧でシートパレット20の端部22を挟持するグリッパーを必要とするプッシュプルアタッチメント等を使用しなくても、重い荷物40を移動させることができる。よって、シートパレット20の牽引作業を確実に実行でき、かつ、一般に高価で、高度な操作技能を要し、複雑な機構や可動部を有するためにメンテナンスの手間や費用も要するプッシュプルアタッチメントなど既存の装置に比べてコストを低減することができる。
更に、押え部材12が、後で説明する第3実施形態のように載置部12Bを備えないため、シートパレットの牽引補助装置11を軽量化することができる。
また、第1実施形態では、図20中に示すように、中空の筒状部材である押え部74Aを追加押え部材として使用できる。追加押え部材は、固定具74の凹部76の内側に配置され、押え部材12との間でシートパレット20の端部22を挟持する。押え部74Aによって、挟持力を更に向上できる。また、追加押え部材が中空の筒状部材であるため、牽引補助装置11の強度の向上と軽量化とを両立できる。追加押え部材としての押え部74Aについては、後で第3実施形態において具体的に説明する。
また、第1実施形態では、図20中に示した取手74C1を固定ボルト74Cの頭部に設けて使用できる。作業者が、取手74C1を挟持することでネジ部材としての固定ボルト74Cを回転させ易くなるので、固定具74の凹部76の内側に配置された押え部材12、シートパレット20の端部22及び押え部74Aを固定具74の凹部76の内側で束ねて押圧し、固定する作業又は固定を解除する作業が容易になる。取手74C1については、後で第3実施形態において具体的に説明する。
また、第1実施形態では、後で説明する第3実施形態におけるシートパレットの場合と同様に、牽引補助装置11を用いたシートパレットの牽引方法を構成することができる。また、第1実施形態に係るシートパレットの牽引方法の作用効果は、第3実施形態に係るシートパレットの牽引方法と同様である。シートパレットの牽引方法については、第3実施形態の中で説明する。
-第2実施形態-
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るシートパレットの牽引補助装置11においても、第1実施形態における押え部材12と同様の構成を有する第1押え具12が用いられる点は同じである。ここで、第1実施形態では、シートパレット20を挟持するために押え部材12と組み合わされる固定具74は、コ字形であった。しかし、第2実施形態では、図3に示すように、第1押え具12と組み合わされる第2押え具74が、コ字形でなく平板状である点が、第1実施形態に係る牽引補助装置11と異なる。以下、第1実施形態と異なる部分について、主に説明する。
第2実施形態に係るシートパレットの牽引補助装置11は、第1押え具12と、第2押え具74と、締付け具としての固定ボルト74Cと、牽引部材16と、を有する。
(第1押え具)
第1押え具12は、第1実施形態の押え部材12と同様に、平板状の部材であり、シートパレット20の端部22の裏面(図4中の下面)に配置されている。図3に示すように、第1押え具12には、長手方向に沿って4個の雌ネジ孔が設けられ、それぞれの雌ネジ孔には、固定ボルト74Cが差し込まれている。なお、第1押え具12の雌ネジ孔の個数は、適宜変更できる。第1押え具12の他の構成については、第1実施形態の押え部材12と同様であるため、重複説明を省略する。
(第2押え具)
第2押え具74は、第1押え具12と同様に、平板状の部材であり、シートパレット20の端部22の表面(図4中の上面)に、第1押え具12と重ね合わせて配置されている。なお、本発明では、第2押え具74がシートパレット20の端部22の裏面に配置されると共に、第1押え具12がシートパレット20の端部22の表面に配置されても構わない。第2押え具74は、例えば、アルミニウム等の軽量金属素材で作製されているが、鋼材等であってもよく、本発明では、素材は限定されない。長手方向の長さは、第1押え具12とほぼ同じであるが、本発明では、適宜変更できる。
第2押え具74には、図3に示したように、第1押え具12と同様に、長手方向に沿って4個の雌ネジ孔が設けられ、それぞれの雌ネジ孔には、固定ボルト74Cが差し込まれている。第2押え具74の雌ネジ孔の個数は、第1押え具12の雌ネジ孔と同様に適宜変更できる。また、第2押え具74の図3中の左側の側面にも雌ネジ穴が別途設けられ、側面の雌ネジ穴には、牽引部材16が差し込まれている。例えば、図4中の第2押え具74の厚みは、15mm~20mm程度であり、牽引部材16の雄ネジ部の径(厚み)は、5mm程度である。
(締付け具)
締付け具は、第1押え具12と第2押え具74との両方に跨がって取り付けられる固定ボルト74Cである。第2実施形態では、固定ボルト74Cは、ネジ部材であり、図4では、第1押え具12に設けられた雌ネジ孔を貫通し、シートパレット20の端部22を貫き、第2押え具74に設けられた貫通していない雌ネジ穴に螺合している。なお、図4における第2押え具74に設けられた雌ネジ穴を貫通させ、固定ボルト74Cを第1押え具側から装着してもよい。
また、第1押え具と第2押え具に、ゆる孔の貫通孔を設け、固定ボルト74Cをゆる孔に通して反対側に突出させ、突出した固定ボルト74Cの先端部分の雄ネジにナットを螺合させて第1押え具、第2押え具及び間に挟んだシートパレット端部22を締め付けてもよい。固定ボルト74Cとしては、第1実施形態の固定ボルト74Cと同様に、六角ボルト等を適宜採用できる。なお、本発明では、締付け具はネジ部材に限定されず、例えば万力等、他の締付け具によって、第1押え具12と第2押え具74とを締め合わせてもよい。図4中には、牽引時に、牽引補助装置11の牽引部材16側の左端部が右端部より高く位置し、第1押え具12の下に取り付けられた固定ボルト74Cの頭部が床面Gから離間した状態が例示されている。
第2実施形態では、固定ボルト74Cの締付けによって、第1押え具12とシートパレット20の端部22の裏面、第2押え具74とシートパレット20の端部22の表面がそれぞれ密着する。このため、第1押え具12と第2押え具74との間に配置されたシートパレット20の端部22が、牽引補助装置11によって堅固に挟持される。また、固定ボルト74Cの締付けトルクを調節することによって、牽引補助装置11によるシートパレット20の挟持力を調節できる。
なお、図示を省略するが、第1押え具12の挟持面には凹部が形成され、第2押え具74の挟持面には第2押え具74の凹部が係合可能な凸部が形成されている。第1押え具12の凹部は、例えば長溝であり、第2押え具74の凸部は、例えば、凹部の長溝に沿って形成されたリブである。なお、第2押え具74の方に凸部を形成し、第1押え具12の方に凹部を形成してもよく、それぞれに凹凸を形成してもよい。
(作用効果)
第2実施形態に係るシートパレットの牽引補助装置11では、シートパレット20の端部22は、第1押え具12と第2押え具74とからなる2つの部材と、ネジ部材の締め付け力とを利用して挟持されている。このため、牽引時、シートパレット20の端部22は、第1押え具12と第2押え具74との間から抜け落ちることなく、牽引部材16と一体となって移動する。
また、油圧でシートパレット20の端部22を挟持するグリッパーを必要とするプッシュプルアタッチメントを使用しなくても、重い荷物40を移動させることができる。よって、シートパレット20の牽引作業を確実に実行でき、かつ、一般に高価で、高度な操作技能を要し、複雑な機構や可動部を有するためにメンテナンスの手間や費用も要するプッシュプルアタッチメントなど既存の装置に比べてコストを低減することができる。
また、第2実施形態では、締付け具が、第1押え具12、シートパレット20の端部22、及び第2押え具74を束ねて押圧し、第1押え具12と第2押え具74でシートパレット20の端部22を挟持させるネジ部材である。このため、ネジ部材によって、第1押え具12、シートパレット20の端部22及び第2押え具74を堅固に一体化できる。
また、第2実施形態では、第1押え具12の挟持面には凹部が形成され、第2押え具74の挟持面には第1押え具12の凹部が係合可能な凸部が形成されている。凹部及び凸部は滑り止めであり、挟持面積を大きくして挟持力を向上させる。また、凹部が長溝であると共に凸部がリブであり、長溝とリブとによって、挟持されているシートパレット20の端部22に皺を作らずにシートパレット20を挟持できる。
なお、図4中に示した第2押え具74の厚みは、牽引部材16が差し込める程度の厚みに設定され、第2押え具74に牽引部材16が直接差し込まれていた。しかし、本発明ではこれに限定されず、牽引部材16が、他の部材(連結媒介部材)を介して間接的に第2押え具74に設けられてもよい。
例えば、図5に示すように、ブロック27に牽引部材16が差し込まれ、このブロック27が第1押え具12に接合されてもよい。第2実施形態では、ブロック27は、鋼製であり、四角柱状の部材である。なお、本発明では、牽引部材16が差し込まれる他の部材としては、これに限定されず、素材、形状及び寸法は適宜変更できる。他の部材は、例えば、板状部材であってもよい。ブロック27によって、第1押え具12の厚みを薄くし、軽量化を図ることができる。
また、ブロック27と第1押え具12との接合方法としては、図5に示すように、ボルト29A及びナット29Bによるネジ止めであってもよいし、或いは、溶接であってもよい。図6中の牽引部材16のように、本発明では、牽引部材は、第1押え具12側にも取付け可能である。また、ブロック27を用いることなく、第1押え具12又は第2押え具74における牽引部材16が取り付けられる中央部だけを局部的に厚くし、その厚い部分に牽引部材16が取り付けられてもよい。
また、第2実施形態では、後で説明する第3実施形態におけるシートパレットの場合と同様に、牽引補助装置11を用いたシートパレットの牽引方法を構成することができる。また、第2実施形態に係るシートパレットの牽引方法の作用効果は、第3実施形態に係るシートパレットの牽引方法と同様である。
-第3実施形態-
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ここで、シートパレット端部22の裏面に当接する第1実施形態の押え部材及び第2実施形態の第1押え具は、いずれも平板状であった。しかし、第3実施形態に係るシートパレットの牽引補助装置では、シートパレット端部22の裏面に当接する第1押え具が、側壁部と載置部とを備えるL字状である点が、第1実施形態及び第2実施形態に係る牽引補助装置と異なる。
<牽引補助装置の構造>
第3実施形態に係るシートパレットの牽引補助装置10(以下、単に「牽引補助装置10」とも称する。)は、図7に示すように、第1押え具12、第2押え具14及び牽引部材16を有する。第1押え具12と第2押え具14とは、シートパレット20の端部22を間において、互いに重ね合わせられている。
第1押え具12とシートパレット20の端部22の間には、第1滑り止めシート13が配置されると共に、第2押え具14とシートパレット20の間には、第2滑り止めシート15が配置されている。なお、第1滑り止めシート13及び第2滑り止めシート15のうちいずれか一方のみが配置されても、牽引補助装置を実現できる。
(第1押え具)
第1押え具12は、側面視又は断面視で、L字状の部材であり、例えばアルミニウム等の軽量金属素材で作製されている。なお、第1押え具の材料としては、鉄鋼等、他の金属素材又は適切な強度を有するものであれば非金属素材が採用されてもよい。ただし、第1押え具12をアルミニウム等の軽量金属素材で作製すれば、鉄鋼素材等の場合に比べ、第1押え具12を軽量化できるため、牽引補助装置10全体についても軽量化を図ることができる。第1押え具12の長手方向(図7中の左上側から右下側に向かう方向)に沿って測った幅は、シートパレット20の端部22の長手方向の幅とほぼ同じであり、例えば、約1500mmである。なお、第1押え具12の長手方向の幅は、シートパレット20の幅より長くても短くてもよく、適宜変更できる。
第1押え具12は、側壁部12Aと載置部12Bとを備える。側壁部12Aと載置部12Bとはいずれも平板状で、ほぼ直交し、第1押え具12のL字を構成している。載置部12Bは、床面G上に配置されると共に、側壁部12Aは、載置部12Bから上側に鉛直に起立している。L字のコーナーに相当する、側壁部12Aと載置部12Bとの連結部分において、連結部分の外側面の下部は、図8中の右側から左側に向かう方向(搬送方向D)に沿って、連結部分と床面Gとの隙間が拡がるように、湾曲していることが望ましいが、湾曲の程度は、湾曲が全くないものも含め、適宜選択することができる。
側壁部12Aと載置部12Bとは、平面視で、搬送方向Dにほぼ直交するように延びている。すなわち、第1押え具12の長手方向と搬送方向Dとは直交している。載置部12Bの搬送方向Dに沿って測った長さは、例えば、約100mmであり、側壁部12Aの高さは、例えば約50mmである。なお、載置部12Bの長さ及び側壁部12Aの高さは、適宜変更できる。
側壁部12Aと載置部12Bとが搬送方向Dと成す最初の角度は、荷物を載置したシートパレットの向きを変えるために引き回す必要がある場合には、適宜変更できる。なお、第1押え具12及び第2押え具14が、シートパレット20の一辺の端部を縁に沿って平行に把持することによって、シートパレット20全面に牽引力が均等に作用する。すなわち、第3実施形態に係る牽引補助装置10は、局部的に力が掛かってシートパレット20が裂けないような位置関係或いは角度関係が実現するように構成されている。
シートパレット20を牽引するためにシートパレット20を牽引補助装置10で挟んでセットした最初の段階では、微妙に垂直からのズレが生じる場合がある。しかし、ズレは、牽引を始めれば、動作に伴って自然に垂直になるため、セット時の角度のズレはほぼ無視できる。また、最初にシートパレット20が置かれている場所でのシートパレット20の方向を、牽引して移動した場所では異なる方向に向けたいような場合、敢えてシートパレット20の正面でなく、違う辺の端部を把持して牽引することも可能である。この場合、牽引の初期には引き回しが生じ、引き回しでシートパレット20の向きが変わった後、通常の直線的牽引に移行することになる。
図8に示すように、側壁部12Aの内壁面である立上受け面12A1は、折り曲げられたシートパレット20の端部22の立上げ部22Aの裏面(図8中の立上げ部22Aの左側の面)を、第1滑り止めシート13を介した状態で、受ける。載置部12Bの上面である下受け面12B1は、立上受け面12A1からシートパレット20の端部22の基部22Bの裏面(図8中の基部22Bの下側の面)の下へ潜り込んで延出する。下受け面12B1は、基部22Bの裏面を、第1滑り止めシート13を介した状態で受けて支持する。
側壁部12Aの長手方向のほぼ中央で、上下方向のほぼ中央の高さには、円形状の貫通孔12Cが設けられている。貫通孔12Cの径は、貫通孔12Cに差し込まれている牽引部材16の一端の軸の径より大きい。なお、第3実施形態では、貫通孔12Cの個数は1個であるが、2個以上設けられてもよい。
(第1滑り止めシート)
第1滑り止めシート13は、例えば、静止摩擦係数の大きいゴム素材を用いた部材であり、第1押え具12に接着剤等によって接合されている。第3実施形態では、第1滑り止めシート13は、載置部12Bのシートパレット20側(図8中の上側)の上面上と側壁部12Aのシートパレット20側(図8中の右側)の壁面上とにおいて、長手方向全体に亘って延びるように配置されている。なお、第1滑り止めシート13の材料としては、ゴム素材に限定されず、例えばウレタン等、静止摩擦係数が大きいものである限り、適宜変更できる。また、第1滑り止めシートの厚みも適宜変更できる。
第1滑り止めシート13の配置形状はこれに限定されず、シートパレット20の端部22と接触する限り、適宜変更できる。例えば、第1滑り止めシート13は、立上受け面12A1及び下受け面12B1のそれぞれの上に、部分的に配置されてもよい。第1滑り止めシート13の貫通孔12Cに対応する位置には、貫通孔13C(図10参照)が設けられている。
なお、第1滑り止めシート13の素材としては、多くの素材が利用でき、例えば、ゴム以外にも、布、特に粗めに織った布、不織布、粗め壁紙、和紙なども、採用可能である。第1滑り止めシート13の素材の摩擦係数は、少なくとも第1押え具12の表面とシートパレット20の表面とを直接接触させた場合の摩擦係数より大きければよい。また、上記した各種の素材に、ロジンや松ヤニのような滑止剤を付着或いは含浸させれば、更に、滑り止め効果が大きくなる。
また、例えば、両面テープの一面に、細い針金製のネットを貼り付けた滑り止め素材を用意し、両面テープの粘着面を第1押え具12側に貼り付けて固定し、針金ネットを貼り付けた側の他面をシートパレットと当接させることもできる。シートパレットが弾性を有するプラスチック製であるので、第1押え具12とシートパレットに押圧力が加われば、針金がシートパレットの表面に一定程度食い込んで、大幅に滑るのを抑制できる。このように、滑り止めシートとしては、色々な素材が色々な形状で利用可能である。
(第2押え具)
第2押え具14は、図7に示したように、底面が正方形状の直方体であり、例えばアルミニウム等の軽量金属素材で作製されている。なお、第2押え具の材料としては、鋼製等、他の金属素材又は適切な強度を有するものであれば非金属素材が採用されてもよい。また、複数の素材を組み合わせた複合材、例えば周囲がプラスチック素材で、内部に金属の芯材を有する材料であってもよい。第2押え具14は、平面視で、搬送方向Dにほぼ直交するように延び、第1押え具12のL字の内側に配置されている。第2押え具14の長手方向に沿って測った幅は、第1押え具12とほぼ同じである。すなわち、第1押え具12及び第2押え具14の長手方向の長さはいずれも、シートパレット20の端部22に沿った長さとほぼ同じとされている。前記第2押え具14が搬送方向Dと成す最初の角度は、荷物を載置したシートパレットの向きを変えるために引き回す必要がある場合には、適宜変更できる。
第2押え具14の搬送方向Dに沿って測った長さは、例えば、約40mmであると共に、上下方向の高さは、例えば、約40mmである。なお、第2押え具14の寸法は、適宜変更できる。また、第2押え具14の形状は、直方体に限定されず、円柱形等、他の幾何学形状に適宜変更できる。
図8に示すように、第2押え具14は、立押え面14Aと、下押え面14Bとを備える。立押え面14Aは、シートパレット20の端部22の立上げ部22Aの表面(図8中の立上げ部22Aの右側の面)を、第2滑り止めシート15を介した状態で、押える。下押え面14Bは、シートパレット20の端部22の基部22Bの表面(図8中の基部22Bの上側の面)を、第2滑り止めシート15を介した状態で、押さえる。なお、第2押え具の下押え面14Bは、シートパレット20の基部22Bの表面と面状、線状又は点状の何れの状態で接してもよく、また、第2押え具の立押え面14Aがシートパレット20の立上げ部22Aの表面に接する位置に保持される手段が別に設けられている場合には、シートパレット20の基部22Bの表面と必ずしも接する必要はない。
第2押え具14には、牽引部材16の雄ネジ部16Aが螺合する雌ネジ部14Cが、第2押え具14の長手方向のほぼ中央で、上下方向のほぼ中央の高さに形成されている。雌ネジ部14Cは、第1押え具12の貫通孔12Cとほぼ同心の位置に対応して設けられている。
(第2滑り止めシート)
第2滑り止めシート15は、第1滑り止めシート13と同様に、例えば、静止摩擦係数の大きいゴム素材を用いた部材であり、第2押え具14に接着剤等によって接合されている。第3実施形態では、第2滑り止めシート15は、図8中の第2押え具14の下面上と、第2押え具14の左側面上とにおいて、長手方向全体に亘って延びるように配置されている。
しかし、第2滑り止めシート15の配置形状はこれに限定されない。シートパレット20の端部22と接触する限り、適宜変更できる。例えば、第2滑り止めシート15は、第2押え具14の下面上及び左側面上で、部分的に配置されてもよい。第2滑り止めシート15には、第1押え具12の貫通孔12C、及び、第1滑り止めシート13の貫通孔13Cに対応する位置に、貫通孔15C(図10参照)が設けられている。
<シートパレットの牽引方法>
次に、第3実施形態に係る牽引補助装置10を用いたシートパレットの牽引方法を、図9~図12を参照して説明する。第3実施形態では、図9に示すように、コンテナヤードYにおいて、海上輸送されたコンテナ24の開口部24Aから荷降ろしする場合を例示的に説明する。コンテナ24の床面G上には、第1の荷物40A、第2の荷物40B、第3の荷物40C及び第4の荷物40Dが、それぞれ対応するシートパレット20A~20Dを介して載置されている。
第1の荷物40Aは、第1のシートパレット20Aの上に、第2の荷物40Bは、第2のシートパレット20Bの上に、第3の荷物40Cは、第3のシートパレット20Cの上に、第4の荷物40Dは、第4のシートパレット20Dの上に、それぞれ載置されている。第1のシートパレット20A、第2のシートパレット20B、第3のシートパレット20C及び第4のシートパレット20Dは、図1及び図8中で説明したシートパレット20と等価である。
(取り付けステップ)
まず、図10に示すように、牽引補助装置10を、コンテナ24の内側で、第1の荷物40Aが搭載された第1のシートパレット20Aの端部22を間において、第1押え具12と第2押え具14とを互いに重ね合わせる。そして、牽引部材16(図2参照)を、第1押え具12の貫通孔12Cを貫通させて差し込み、第2押え具14へ連結する。差し込みの際、牽引部材16の雄ネジ部16A(図2参照)の尖った先端によって、第1のシートパレット20Aの端部22に孔が開けられる。なお、この取り付けステップは、フォークリフト28(図11参照)のオペレータ26が、フォークリフト28から降りて、自ら実施することができる。
(連結ステップ)
次に、図11に示すように、オペレータ26は、フォークリフト28に搭乗し、フォークリフト28を操作して、フォーク28Aに差し込んだフォークリフトパレット32を、コンテナ24の開口部24Aに近接させる。以下、説明の便宜上、フォークリフトパレットを単に「パレット」とも称する。そして、オペレータ26は、パレット32の上面と高さと、コンテナ24の床面Gの高さとを揃える。第3実施形態では、牽引動力装置30は、フォーク28Aの上に配置されている。なお、牽引動力装置30の配置位置は、これに限定されず、例えばフォークリフト28の操作室の屋根の上等、適宜変更できる。また、フォーク28Aの根元側(図11中の左側)の上面上には、木材等からなるスペーサ34が設けられている。
次に、オペレータ26は、フォークリフト28から降りて、再度、牽引補助装置10に近接し、牽引部材16のリング部16B(図2参照)に、牽引動力装置30側のフック18を差し込む。フック18は、ワイヤロープ36の一端に連結され、ワイヤロープ36の他端は、ウィンチ等の牽引動力装置30に連結されている。
(牽引ステップ)
次に、図12に示すように、オペレータ26は、再度、フォークリフト28に搭乗し、牽引動力装置30を操作して、取付けられた牽引補助装置10を介して第1のシートパレット20Aを牽引する。牽引時、牽引補助装置10では、第1のシートパレット20Aの端部22の裏面へ延出する第1押え具12の下受け面12B1が、端部22の裏面を支持する。また、立上受け面12A1が、折り曲げられた第1のシートパレット20Aの端部22の立上げ部の裏面を受けて支持する。また、第2押え具14の下押え面14Bが第1のシートパレット20Aの端部22の表面を押さえ、立押え面14Aが端部22の立上げ部の表面を押える(図2参照)。
そして、牽引の進行によって、第2押え具14の立押え面14Aが、折り曲げられた第1のシートパレット20Aの端部22の立上げ部を第1押え具12の立上受け面12A1へ押し付ける。このため、第1のシートパレット20Aの端部22は、第1押え具12と第2押え具14との間から抜け落ちない。そして、端部22が第1押え具12と第2押え具14との間で挟持された状態が保持されたまま、第1のシートパレット20は、牽引部材16と一体となって牽引動力装置30側に移動する。そして、第1の荷物40Aが第1のシートパレット20Aごと、パレット32の上に引き込まれ、コンテナ24から降ろされる。
なお、スペーサ34によって第1の荷物40Aと牽引動力装置30との間に一定長の隙間が確保されているため、引き込み動作の際、牽引補助装置10が牽引動力装置30に衝突することが防止される。一方、スペーサ34の長さ(図12中の左右方向の長さ)を一定長確保すると、パレット32に差し込むためのフォーク28Aの長さが相対的に短くなる場合がある。フォーク28Aの長さが短くなると、パレット32を十分に支持できず、上側の第1の荷物40Aの重量に起因して、フォーク28Aが先端側に沈下して撓む懸念が生じる。フォーク28Aの撓みを防止する観点から、長さがより長いフォークを使用したり、延長用のカバーをフォーク28Aの先端に取り付けたりすることができる。
(取り外しステップ)
次に、オペレータ26は、フォークリフト28から降りて、牽引部材16のリング部16Bからフック18を取り外すと共に、牽引部材16を第1押え具12及び第2押え具14から抜き取ることによって、第1のシートパレット20Aから牽引補助装置10を取り外す。取り外された牽引補助装置10は、例えば、コンテナ24の床面G上に仮置きしておけばよい。そして、オペレータ26は、第1のシートパレット20Aごと第1の荷物40Aを、フォークリフト28を操作して、所定の場所へ搬送する。第3実施形態では、第1のシートパレット20Aが用いられることによって、第1のシートパレット20Aごと荷物40Bを所望の場所に容易に移動できる。
次に、オペレータ26は、フォークリフト28を操作して、コンテナ24に戻る。そして、仮置きされた牽引補助装置10を、図10を用いて説明した取り付けステップの場合と同様に、コンテナ24の内側で第2の荷物40Bが搭載された第2のシートパレット20Bの端部22に取り付ける。そして、オペレータ26は、第1のシートパレット20Aの場合と同様に、連結ステップ及び牽引ステップを実施することによって、牽引補助装置10を介して第2のシートパレット20Bを牽引して第2の荷物40Bをコンテナ24の外側に降ろす。
そして、オペレータ26は、第1のシートパレット20Aの場合と同様に、第2のシートパレット20Bにおいて、第1のシートパレット20Aの場合と同様に取り外しステップを実施する。そして、第3の荷物40Cが載置された第3のシートパレット20Cに対しても、取り付けステップ、連結ステップ、牽引ステップ及び取り外しステップの一連の作業を実施する。更に、第4の荷物40Dが載置された第4のシートパレット20Dに対しても一連の作業を実施する。
上記のとおり、取り付けステップ、連結ステップ、牽引ステップ及び取り外しステップの一連の作業を逐次的に実施することによって、オペレータ26単独でも、コンテナ24の内側のすべての荷物40A~40Dを荷降ろしできる。オペレータ26以外の他の作業員が必須でないため、作業に係る人員コストを低減できる。なお、第3実施形態に係るシートパレットの牽引方法は、牽引補助装置10の取り付け、連結及び取り外し作業については他の作業員が実施し、オペレータ26はフォークリフト28の操作を含む他の作業を実施するように、分業して実施することもできる。
(作用効果)
第3実施形態に係るシートパレット20の牽引補助装置10では、牽引時、シートパレット20の端部22は第1押え具12と第2押え具14との間から抜け落ちることなく、牽引部材16と一体となって移動する。このため、油圧でシートパレット20の端部22を挟持するグリッパーを必要とするプッシュプルアタッチメントを使用しなくても、重い荷物40を移動させることができる。よって、シートパレット20の牽引作業を確実に実行でき、かつ、コストを低減することができる。
また、第3実施形態では、牽引部材16は、牽引動力装置30に対して着脱自在であると共に、第2押え具14に対して着脱自在である。荷物40を所定の場所まで移動させた後、牽引部材16を、牽引動力装置30及び第2押え具14から取り外すことで、第1押え具12、第2押え具14、及び牽引部材16を次の荷役作業場所へ運ぶことができる。このため、牽引補助装置10の使い回しが可能となり、牽引作業のランニングコストを抑えることができる。なお、牽引部材16が第2押え具14に対して比較的小さい場合、牽引部材16と第2押え具14とを分解すると、牽引部材16が紛失し易い。このため、牽引補助装置10を移動させる際には、牽引部材16と第2押え具14とを組み立てた状態で移動させれば、牽引部材16の紛失を防止できる。
また、第3実施形態では、第2押え具14には、牽引部材16の雄ネジ部16Aが螺合する雌ネジ部14Cが形成されている。第2押え具14の雌ネジ部14Cへ第1押え具12の貫通孔12Cを貫通させた牽引部材16の雄ネジ部16Aを螺合させることで、牽引部材16を第2押え具14に連結することができる。そして、例えば、牽引部材16のリングにワイヤに取付けられたフック18を引っ掛けることで、スムーズに牽引作業の準備を行うことができる。
また、第3実施形態では、第1押え具12とシートパレット20の端部22との間に第1滑り止めシート13が配置されると共に、第2押え具14とシートパレット20との間に第2滑り止めシート15が配置されている。第1滑り止めシート13及び第2滑り止めシート15が間に挟まれることで、シートパレット20が抜け落ちることが、更に抑制される。
また、第3実施形態に係るシートパレットの牽引方法によれば、第1の荷物40Aを降ろした後、牽引補助装置10が第1のシートパレット20Aから取り外される。このため、牽引補助装置10を次の第2の荷物40Bの荷降ろしのために使い回すことが可能となり、牽引作業のランニングコストを抑えることができる。また、第3実施形態に係るシートパレットの牽引方法は、オペレータ26が単独でも実施できるため、人員削減の面で有利であり、ランニングコストを一層抑えることができる。
また、図8中の床面G上に例示された突出部G1のような、上側に突出した障害物が牽引経路(搬送経路)の途中に存在する場合を考える。図示を省略するが、障害物としては、床面G上の突出部G1に限定されず、例えば、パレット32(図11参照)の上面上に形成された1mm程度の高さの凸部等、他の形態も存在し得る。突出部G1や凸部によって、牽引補助装置10が搬送方向Dに沿って移動する際、第1押え具12の下面が接触する面に段差が形成される。
牽引補助装置10が床面G上の突出部G1やパレット32の上面上の凸部を乗り越える際、第1押え具12の外側面が突出部G1や凸部と衝突し、第1押え具12は、その進行を妨げる反力を突出部G1や凸部から受ける。ここで、第3実施形態に係るシートパレットの牽引補助装置10では、図8に示したように、第1押え具12の側壁部12Aと載置部12Bとの連結部分の外側面の下部は、搬送方向Dに沿って外側面と床面Gとの隙間が拡がるように、湾曲している。
このため、第3実施形態によれば、連結部分が湾曲することなく角張っている場合と比べ、第1押え具12が突出部G1や凸部と衝突する際に受ける反力によって第1押え具12の進行が湾曲した斜面に沿って上方に反らされ、突出部G1や凸部を乗り越えることになる。結果、牽引補助装置10が衝突により停止せずに移動を続けることができる。
なお、第1押え具12の受ける反力を低減するため、牽引動力装置30を、例えばフォークリフト28のマストの上側やキャビンの屋根の上等に配置し、特許文献1のように、牽引動力装置30と牽引補助装置10との高低差を拡げる方法が考えられる。高低差を拡げることによって、水平面に対するワイヤロープ36の傾斜角度を大きくすることが可能になるため、第1押え具12の下部と床面G又はパレット32の上面との間に隙間を大きく形成でき、床面G又はパレット32の上面に存在する凸部などの障害物との衝突をある程度回避できる。
しかし、牽引動力装置30を高い位置に配置すると、牽引補助装置10を上側に引き上げるために必要な力が大きくなるため、電力消費が大きくなると共に、牽引動力装置30への負担も大きくなる。すなわち、牽引補助装置10に対して、牽引力を効率よく伝達することが難しくなる。また、牽引動力装置30の配置位置がフォークリフト28のマストの上側の場合、マストが前傾する懸念が生じる。また、牽引動力装置30の配置位置がキャビンの屋根の上の場合、ワイヤロープ36がマストと干渉することを回避するため、特開2002-173296号に開示されているように、ワイヤロープ36の位置を調整する滑車等の部材が必要になり、全体の構成が複雑になる。
第3実施形態では、図11に示したように、牽引動力装置30と牽引補助装置10とは、互いにほぼ同じ高さであると見做せる程度に、牽引動力装置30と牽引補助装置10との高低差が抑えられている。このため、牽引補助装置10に対して牽引力を効率よく伝達できると共に、マストの前傾や全体の構成が複雑になることを回避できる。また、第1押え具12の外側面の下部が湾曲していることによって、牽引動力装置30の出力が比較的小さくても牽引補助装置10が突出部G1や凸部を乗り越えることが可能になるので、牽引動力装置30を小型化することも可能である。
<第1変形例>
図13に示すように、牽引補助装置10Aに、ボルト等のネジ部材50が設けられてもよい。図13の断面図は、牽引補助装置10Aの長手方向において、図2とは異なる位置で、牽引補助装置10Aを鉛直面によって断面した図である。
第1変形例では、第1押え具12において、牽引部材16が差し込まれる貫通孔12Cとは異なる位置に、ネジ部材50が差し込まれる貫通孔12Dが設けられている。貫通孔12Dは、図13中の側壁部12Aの左側の外壁面から、内壁面である立上受け面12A1に向かうに従って、下側から上側に向かって延びるように傾斜している。
また、第1滑り止めシート13及び第2滑り止めシート15には、第1押え具12の貫通孔12Dに対応する位置に貫通孔(符号省略)が、それぞれ設けられている。また、第2押え具14には、第1押え具12の貫通孔12Dと同心の位置に雌ネジ部14Dが設けられている。雌ネジ部14Dの穴は、図13中の第2押え具14の左側から右側に向かうに従って、上側に向かうように傾斜している。
ネジ部材50は、第1押え具12の貫通孔12D、第1滑り止めシート13の貫通孔及び第2滑り止めシート15の貫通孔に差し込まれている。また、ネジ部材50は、シートパレット20を部分的に貫通している。また、ネジ部材50は、雌ネジ部14Dに差し込まれ、ネジ結合している。すなわち、ネジ部材50は、第1押え具12から第2押え具14へ亘って締結されている。
ネジ部材50によって、第1押え具12の立上受け面12A1と下受け面12B1とが形成する隅部へ、第2押え具14の立押え面14Aと下押え面14Bが形成する角部が、引き付けられる。第1変形例に係るシートパレット20の牽引補助装置10Aの他の構成については、図7~図12に示した牽引補助装置10における同名の部材と等価であるため、重複説明を省略する。
第1変形例では、第1押え具12の隅部へ第2押え具14の角部が喰い込んでシートパレット20の端部22が押え込まれるため、シートパレット20がズレ難くなる。第1変形例に係るシートパレット20の牽引補助装置10Aの他の効果については、図7~図12に示したシートパレット20の牽引補助装置10の場合と同様である。
<第2変形例>
図14に示すように、第2変形例に係る牽引補助装置10Bは、第1押え具12の両端部に設けられた側壁52と、側壁52に設けられ第2押え具14の両端部を第1押え具12に対して接離可能に支持する支持部材54と、を有する。なお、第1滑り止めシート、第2滑り止めシート及びシートパレットの図示は、見易さのため省略する。また、第1押え具12及び第2押え具14の長手方向の長さはいずれも、シートパレット20の端部22に沿った長さとほぼ同じとされている。
側壁52には、上下方向に延びる長孔の貫通孔56が設けられ、貫通孔56には、ボルト等の支持部材54を差し込むことが可能である。支持部材54の軸の先端は、第2押え具14に設けられた固定穴58に差し込まれる。固定穴58には、雌ネジ部が設けられ、雌ネジ部は、支持部材54の雄ネジ部と結合する。
なお、図14中では、第1押え具12及び第2押え具14の手前側の端部のみが図示され、奥側の端部の図示が省略されているが、奥側においても手前側と同様に、側壁52、支持部材54、貫通孔56及び固定穴58が設けられている。なお、側壁52、支持部材54、貫通孔56及び固定穴58は、長手方向の両端のうちいずれか一方にのみ設けられてもよい。第2変形例に係るシートパレット20の牽引補助装置10Bの他の構成については、図7~図13に示した牽引補助装置10,10Aにおける同名の部材と等価であるため、重複説明を省略する。
第2変形例では、第1押え具12及び第2押え具14の長手方向の両端に、側壁52、支持部材54、貫通孔56及び固定穴58が設けられているため、第1押え具12及び第2押え具14の一体性が高められている。このため、牽引補助装置10Bを紛失し難くなる。第2変形例に係るシートパレット20の牽引補助装置10Bの他の効果については、図7~図13に示した牽引補助装置10,10Aの場合と同様である。
<第3変形例>
図15に示すように、第1押え具12の立上受け面12A2と第2押え具14の立押え面14A1とが嵌合するように、凹凸形状を用いて構成されてもよい。第3変形例に係る牽引補助装置10Cでは、立上受け面12A2は、牽引動力装置側(図15中の左側)に向かって窪むと共に、立押え面14A1は、立上受け面12A2の窪みに対応して、牽引動力装置側(図15中の左側)に向かって膨らんでいる。
第3変形例では、互いに嵌合する立上受け面12A2と立押え面14A1との間でシートパレット20の端部22が挟持されている。なお、嵌合するために互いに対応した立上受け面12A2及び立押え面14A1の凹凸形状は、図15中に例示したものに限定されず、適宜変更できる。例えば、立上受け面12A2が、牽引動力装置30と反対側のシートパレット20側(図15中の右側)に膨らむと共に、立押え面14A1が、立上受け面12A2と反対側(図15中の右側)に窪んでもよい。
また、図15中では、凹凸形状が1個の場合が例示されたが、凹凸形状は、2個以上設けられてもよい。また、図15中では、凹凸形状は湾曲面によって構成されていたが、これに限定されず、傾斜面を含んで構成されることも除外されない。第3変形例に係るシートパレット20の牽引補助装置10Cの他の構成については、図7~図14に示した牽引補助装置10,10A、10Bにおける同名の部材と等価であるため、重複説明を省略する。
第3変形例では、立上受け面12A2と立押え面14A1とが凹凸形状を用いて嵌合することによって、シートパレット20の端部22を、より堅固に挟持できる。第3変形例に係る牽引補助装置10Cの他の効果については、図7~図14に示した牽引補助装置10,10A、10Bの場合と同様である。
<第4変形例>
図16に示すように、第1押え具12が板状の天井部12Eを有し、側面視又は断面視で、U字状であってよい。また、第2押え具64が、板状の側壁部64A、板状の載置部64B及び板状の天井部64Dを有し、第1押え具12と相似なU字状であってもよい。図16中の側壁部64Aの左側の壁面は、立押え面64A1であり、載置部64Bの下面は、下押え面64B1をなす。このように押え具をU字形状にした場合、L字形状の押え具に比較して強度が増し、曲がり難くなる利点がある。
牽引部材16の一端の雄ネジ部16Aは、ナット部材62の雌ネジ部に差し込まれてネジ結合している。第4変形例に係る牽引補助装置10Dでは、第1押え具12と第2押え具64との間では、互いに対向する側壁部12A,64A間及び載置部12B,64B間に加え、天井部12E,64D間においてもシートパレット20の端部22が挟持される。また、第4変形例では、第1押え具12の床面Gに接する載置部12Bの端部12B2において、図16中の右側から左側に向かう方向(搬送方向D)に沿って、端部12B2の端面と床面Gとの隙間が拡がるように、端面の下部が湾曲している。第4変形例に係る牽引補助装置10Dの他の構成については、図7~図15に示した牽引補助装置10,10A~10Cにおける同名の部材と等価であるため、重複説明を省略する。
第4変形例では、互いに対向する側壁部12A,64A間、載置部12B,64B間、及び、天井部12E,64D間において、シートパレット20の端部22が挟持されるため、図7中に例示した牽引補助装置10の場合より、挟持力を更に高めることができる。また、載置部12Bの端部12B2の端面と床面Gとの隙間が拡がるように、端部12B2の端面の下部が湾曲している。このため、牽引補助装置10Dが床面G上の突出部G1やパレット32の上面上の凸部を乗り越える際、搬送方向Dの後側に位置する端部12B2においても、突出部G1や凸部と衝突する際に受ける反力を低減できる。結果、牽引補助装置10Dがより円滑に移動できる。第4変形例に係る牽引補助装置10Dの他の効果については、図7~図15に示した牽引補助装置10,10A~10Cの場合と同様である。
なお、第1押え具12を構成する天井部12Eと載置部12Bは、必ずしも平行である必要はなく、例えば、側壁部12Aに向かって間隔が狭まるような楔形であってもよい。また、第1押え具のU字形に嵌合する第2押え具(U字状であってもなくてもよい)において、第1押え具の天井部内面に対向する第2押え具の上面と第1押え具の載置部に対向する第2押え具の下面も、必ずしも平行である必要はなく、例えば前記第1押え具の楔形の傾斜と傾斜を同じくする楔形であってもよい。
このように第1押え具のU字形を楔形にした場合には、シートパレットを間に挟んだ状態で第2押え具を第1押え具のU字形内部に嵌合して引き込むに従って、第2押え具の先端面の角が第1押え具U字内面に接触する部分でシートパレットを強く締め付けて強固に把持することができる。また、第1押え具と第2押え具とを同じ傾斜の楔形にした場合には、第1押え具にシートパレットを間に挟んで第2押え具を嵌合して引き込むに従って、第1押え具の天井部内面と第2押え具の上面及び第1押え具の載置部と第2押え具の下面によってシートパレットを強く締め付けて把持することができる。
<その他の実施形態>
本発明は上記の開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。例えば、第1~第3実施形態で説明したシートパレット20と、第1~第3実施形態に係る牽引補助装置10,11のそれぞれとを任意に組み合わせることによって、本発明に係る牽引補助装置付きシートパレットを実現することができる。
また、予めシートパレット20に牽引補助装置10,11を装着して保管しておけば、牽引作業の際、取り付ける作業が新たに生じないため、作業負担が低減する。更に、シートパレット20がテント生地のような柔軟性のある素材である場合、シートパレット20に牽引補助装置10,11を巻き付けて一体的に保管や運搬ができるため、一層利便性が高まる。
また、第3実施形態では、シートパレット20が第2押え具14の下側から上側に向かって巻き付けられた場合が例示されたが、図17に示すように、シートパレット20は、第2押え具14の上側から下側に向かって巻き付けられてもよい。また、図17中には、上側から下側に向かって巻き付けられたシートパレット20に対応して、第2滑り止めシート15Aが、第2押え具14の上面全体を覆うように配置された場合が例示されている。このため、第2滑り止めシート15Aとシートパレット20との接触面積が増加する。
シートパレット20が牽引補助装置10の上側から下側に向かって巻き付けられることによって、図8中に例示したシートパレット20の場合に比べ、第1押え具12の載置部12Bとシートパレット20との間に、隙間Sを大きく確保することができる。このため、牽引補助装置10が搬送方向Dに沿って移動し、第1押え具12が床面G上の突出部G1やパレット32の上面上の凸部を乗り越える際、シートパレット20を介して載置部12Bが下側に押し込まれる力を低減できる。結果、第1押え具12が突出部G1や凸部を乗り越え易くなり、牽引補助装置10がより円滑に移動できる。
<第5変形例>
また、図18に示すように、本発明では、第1押え具12の側壁部12Aにおいて牽引部材16の雄ネジ部16Aに対応する位置に、切欠き12Fが設けられてもよい。すなわち、第5変形例に係る牽引補助装置10Eでは、図7に示した牽引補助装置10の第1押え具12の側壁部12Aにおいて設けられていた貫通孔12Cの代わりに切欠き12Fが設けられている。切欠き12Fには、雄ネジ部16Aが上側から差し込まれる。
また、第1滑り止めシート13及び第2滑り止めシート15にも、牽引部材16に対応する位置に、それぞれ切欠き(符号省略)が設けられている。また、シートパレット20の端部22には、ハサミやカッターナイフ等の切断器具によって切断された切り込み23が形成され、切り込み23の内側に牽引部材16が差し込まれている。第5変形例では、第1押え具12の切欠き12F及びシートパレット20の端部22の切り込み23によって、牽引部材16の第2押え具14への差し込み及び抜き取りがいずれも可能である。このため、牽引部材16は、第2押え具14に対して着脱自在に構成されている。
また、図18中の第1押え具12の側壁部12Aの外側面上で、切欠き12Fの左右には、補強板材17が、溶接等によって接合されている。ここで、第1押え具12に切欠き12Fが形成されると、部材としての体積が減少するため、側壁部12Aの強度が低下し、牽引の際、牽引部材16を中心として第1押え具12が反る場合がある。しかし、補強板材17によって、切欠き12Fに起因する側壁部12Aの強度低下を補強できる。第5変形例に係る牽引補助装置10Eの他の構成については、図7~図17に示した牽引補助装置10,10A~10Dにおける同名の部材と等価であるため、重複説明を省略する。
第5変形例に係る牽引補助装置10Eを用いて荷物40を牽引する場合、フォークリフト28のオペレータ26は、まず、ハサミやカッターナイフ等の切断器具を用いて、シートパレット20の端部22を切断し、切り込み23を形成する。そして、図10~図12を用いて説明したように、シートパレット20と牽引補助装置10Eとを一体化すると共に、牽引部材16を切り込み23に差し込んで、牽引補助装置10Eと連結する。そして、牽引部材16にフック18を介してワイヤロープ36を連結し荷物40を牽引すればよい。
なお、第5変形例では、牽引部材16の雄ネジ部16Aと第2押え具14の雌ネジ部とのネジ結合は必須ではなく、例えば、牽引部材16の第2押え具14側の端部が第2押え具14に溶接等によって、常時、固定されていてもよい。第5変形例に係る牽引補助装置10Eによっても、シートパレット20の牽引作業を確実に実行でき、かつ、コストを低減することができる。
また、第5変形例では、第2押え具14に固定された牽引部材16の雄ネジ部16Aを、切欠き12Fの上側から切欠き12Fに差し込むだけで、第1押え具12と第2押え具14とを一体化できるため、作業が容易である。なお、第5変形例の切欠き12Fは、上側に開口していたが、切欠きの開口位置は、これに限定されず、下側に開口してもよい。また、第1押え具12に牽引部材16を2個以上設けてもよく、牽引部材16を中心として第1押え具12が反る状態を、1個の場合より抑制できる。また、第5変形例の切欠き12Fの形状は、U字状であったが、これに限定されず、例えばV字状等、適宜変更できる。
<第6変形例>
図7中に例示した牽引補助装置10の場合、第2押え具14を側面から見た形状又は第2押え具14の断面形状は正方形状であり、正方形の各辺の長さは、ほぼ同じであった。しかし、本発明では、これに限定されず、第2押え具14の形状は適宜変更できる。例えば、図19に示すように、第6変形例に係る牽引補助装置10Fの場合、第2押え具14の側面から見た形状又は断面形状は、第1押え具12側(図19中の左側)の下部のコーナー部の曲率半径が、他のコーナー部の曲率半径より大きくなるように湾曲している。また、第6変形例では、第2押え具14の湾曲形状に応じて、第1押え具12の側壁部12Aと載置部12Bとの連結部分も、大きく湾曲している。第1押え具12のコーナーの内面湾曲と第2押え具14のコーナーの外面湾曲については、両押え具の形状的密着性がないと、シートパレット20を挟持した際、牽引時に隙間ができて望ましくないため、両者の対面する部分での表面湾曲度を合わせることが望ましい。
第1押え具12の側壁部12Aと載置部12Bとの連結部分、及び、第2押え具14の第1押え具12側の下部のコーナー部の曲率半径を大きくすることによって、第1押え具12と第2押え具14との一体性が向上する。特に、牽引時の一体性が向上すると、例えば、数トンレベルのような非常に重い荷物を、牽引補助装置10Fを用いて牽引する際、荷物の重量によって第2押え具14の長手方向に生じる反りを抑制することができる。換言すると、牽引時の一体性を向上させることによって、例えばアルミニウム等の軽量部材を用いた第2押え具14を採用して、軽量化の実現と第2押え具14の反りの抑制とを両立させることも可能になる。
また、シートパレットを挟持(把持)する手段としては、第3実施形態で説明したもの以外であっても、適宜採用できる。例えば、シートパレットがプラスチック素材であり弾性を有する場合、第1押え具及び第2押え具のうち一方又は両方の押え具の表面に、シートパレットに食い込んでもシートパレットが破れない程度の多数の小突起或いは連続したリブ突起が設けられてもよい。例えば、押え具が、周囲がプラスチック素材であり、内部に金属の芯材を有する場合、周囲の部分は射出成形によって作製可能であるため、押え具がすべて金属製である場合等に比べ、小突起やリブ突起等の形状を自在に形成できる。
シートパレットを挟んだ押え具間に押圧力がそれほど大きくなくてもよいものの、ある程度の大きさの押圧力が加われば、小突起又はリブ突起がシートパレット表面に食い込む。この食い込みによって、シートパレットが押え具から滑って外れることを大幅に抑制できる。また、滑り止めシートも不要になる。すなわち、第1押え具及び第2押え具の摩擦力によって滑りを防止するだけでなく、小突起又はリブ突起のような突起物の機械力によっても滑りを防止できる。
機械力に関し、図15中の牽引補助装置10Cや図19中の牽引補助装置10Fでは、第1押え具及び第2押え具の互いに対向する面に、凸部及び凹部を形成する場合が例示的に説明された。凸部及び凹部の形状、凹部の縁部の形状、並びに、凸部及び凹部の設置数などは、適宜変更できる。また、それぞれの形状や個数等を組み合せることによって、滑りを抑制する効果を適宜調節できる。
ここで、上記のような突起物をパレットシートに食い込ませる場合、小突起又はリブ突起の食い込みの繰り返しによって、パレットシートの寿命が短くなり易い。一方、小突起又はリブ突起と比べ、緩やかな凸部及び凹部によって滑りを抑制する場合、パレットシートの寿命への影響を低減できる。
また、例えば、洗濯ばさみのようにスプリングを介して結合した押え具押し付け手段を用いて、第1押え具と第2押え具を挟持してもよい。シートパレットを第1押え具と第2押え具を間に挟む際には、スプリングを手で伸ばして両方の第1押え具と第2押え具を引き離す。また、シートパレットを挟んだ状態で手を離すだけで、スプリング力によって押え具がシートパレットに押し付けられて、上記のような突起物が、シートパレットに食い込む。押え具押し付け手段によって、押し付ける力は維持され、挟まれているシートパレットが牽引中にも脱落しない。また、第1押え具と第2押え具が一体化して扱い易く、離散して紛失することも防止できる。
また、別の押え具押し付け手段として、第1押え具及び第2押え具のうち一方の押え具に磁石を装着し、他方の押え具に磁石に吸着される鉄材など磁性体材料を装着してもよい。或いは、両方の押え具に極性が反対の磁石を装着した押え具押し付け手段を用いてもよい。一方の押え具にシートパレットの把持部を当接した状態で他方の押え具を近づければ、磁力によって両方の押え具が自動的に押し付けられて、突起物がシートパレットに食い込み、押し付ける力は維持され、挟まれているシートパレットが牽引中にも脱落しない。また、不使用時には第1押え具と第2押え具を磁力で吸着しておけば、一体化して扱い易く、離散して紛失することも防止できる。
なお、磁石を利用した押し付け手段において、磁石として永久磁石でなく、電磁石を利用することも可能である。必要な電源を接続すれば、スイッチのオンオフで磁力の有無を切り換えることが可能になる。このため、作業者は、磁力に逆らって押え具を適正位置に配置する必要はなく、押え具を適正位置に配置した後にスイッチを入れれば済み、作業性が向上する。
また、上記のスプリング式及び磁石式のいずれにおいても、押えとして使われる第2押え具は、必ずしも牽引すべきシートパレットの端部の横幅一杯に連続している必要はなく、適宜分割されていてもよい。分割されることによって、分割片のそれぞれに設けるスプリング力を小さくできるので、作業性が向上し、スプリング材や磁石材の調達も容易になる。ただし、シートパレットに局部的な力が掛かって破れる恐れを回避するため、過度に間隔が開かないように、形状を設計することが好ましい。
また、スプリング式及び磁石式のいずれにおいても、牽引動力装置からの牽引力を直接受けるのは牽引部を設けた第1押え具となるため、牽引索を複数にすれば、第一押え具を分割できる。また、食事用フォークのように、第1押え具を複数に分岐して構成してもよい。分岐したそれぞれの先端に、対応して分割した第2押え具のそれぞれの領域を、スプリングで取り付けたり、磁石で吸着させたりする構造も採用可能である。
<第7変形例>
また、スプリングや磁石ではなく、単純にネジだけで締め付ける方法として、図20に示すように、長手方向に一定の長さを有するコ字形(U字形)の固定具74Bを備えた第2押え具74を使用できる。図21に示すように、第7変形例に係る牽引補助装置10Gの第2押え具74には、固定具74Bのコ字の内側に配置される押え部74Aと、固定具74Bの牽引部材16側の側壁に設けられた雌ネジ孔74B1に差し込まれた固定ボルト74Cとが設けられている。固定ボルト74Cには、取手74C1が設けられている。
押え部74Aは、例えば、金属製であって、断面が矩形状の四角筒である。角筒は、強度及び軽量化の両立の点で有利である。なお、押え部の断面形状は、矩形状に限定されず、他の多角形状が採用されてもよい。また、押え部としては、角筒に限定されず、板状部材であってもよい。
固定具74Bは、例えば、金属製であり、固定具74Bには、符号の付記を省略するが、牽引部材16が着脱自在に差し込まれる貫通孔が設けられている。また、図20中の中央の第2押え具74の固定具74Bには、貫通孔12Cが設けられ、貫通孔12Cには牽引部材16が連結されている。なお、押え部74A及び固定具74Bは、別部材として説明されたが、一体的に作製されてもよい。また、押え部74A及び固定具74Bの素材は、金属に限定されず、樹脂等、他の素材で作製されてもよい。また、押え部74A及び固定具74Bは、金属製の芯材に樹脂被覆が施された部材で構成されてもよい。
固定具74Bの雌ネジ孔74B1と固定ボルト74Cの雄ネジ部とはネジ結合する。固定ボルト74Cの回転によって、固定ボルト74Cの先端が牽引部材16側から第1押え具12側に向かって前進すると、先端は、第1押え具12の側壁部12Aを押圧する。押圧によって、第1押え具12の側壁部12Aと第2押え具74の押え部74Aとの隙間が消失し、第1押え具12の側壁部12Aと第2押え具74の押え部74Aとが密着する。このため、第2押え具74の立押え面74A1が、シートパレット20の端部22の立上げ部22Aの表面を押え、側壁部12Aと押え部74Aとの間に配置されたシートパレット20の端部22が、牽引補助装置10Gによって堅固に挟持される。すなわち、固定ボルト74Cによってシートパレット20の挟持力を調節できる。
また、第7変形例では、固定ボルト74Cに取手74C1が設けられているため、作業者は、取手74C1を摘まんで固定ボルト74Cを回転させ易く、第1押え具12への固定具74Bの取付け取外し作業の負担が容易になる。なお、取手74C1は必須ではなく、固定ボルト74Cとしては、キャップボルト等、他の形状のボルト等も適宜採用できる。
また、押え部74Aが比較的軽量であるため、シートパレット20の端部22を牽引補助装置10Gに挟持させる際、例えば、第1押え具12、シートパレット20の端部22及び押え部74Aを、作業者が一方の手で一体的に把持することが容易になる。そして、作業者が他方の手で、雌ネジ孔74B1に固定ボルト74Cが差し込まれた状態の固定具74Bを、固定具74Bのコ字の内側の凹部が第1押え具12、シートパレット20の端部22及び押え部74Aに嵌合するように、第1押え具12の上側から被せる。そして、第1押え具12及び第2押え具74が嵌合した状態のまま、作業者が、他方の手で固定ボルト74Cを回転させることができる。このため、図21に示したように、端部22の上端が第1押え具12の上端と揃った状態を、長手方向全体に亘って実現することが容易になる。
なお、ネジだけで締め付ける方法としては、第7変形例の場合に限定されず、他にも、第1押え具12の牽引部材16側(図21中の左側)の側面と、第2押え具74の荷物側(図21中の右側)の側面とを、1本以上のネジで貫通して止めてもよい。コ字形押え具は、ネジによって両側面の間隔が自在に変えられるように構成され、第1押え具と第2押え具でシートパレットを挟持した状態で、コ字形押え具を第1押え具と第2押え具の上部から被せ、両側面の間隔を狭めるようにネジを締める。ネジ締めされたコ字形押え具によって第1押え具と第2押え具との間にシートパレットを強固に挟持(把持)することができる。
なお、コ字形押え具を使用する際、コ字形押え具を上部から被せることによって、作業を容易にできる。ただし、下部から被せることを排除するものではない。また、コ字形押え具の幅や個数は任意であるが、図20中の固定具74Bのように、例えば、コ字形押え具を3個用意し、牽引補助装置の中央と両側の3箇所で締め付けることが、安定性の観点で望ましい。また、牽引部材は、中央に配置するコ字形押え具に装着して牽引してもよいが、第1押え具に装着して牽引してもよい。
また、図20中では、第1押え具12側(左側)のコ字形押え具(固定具74B)の側面にネジが切られて、第1押え具12を第2押え具74の方に向かって締め付けられた場合が例示されている。しかし、第2押え具74側(右側)のコ字形押え具(固定具74B)の側面にネジが切られて、第2押え具74を第1押え具12の方に向かって締め付けても、同様にシートパレットを把持することが可能である。
また、第7変形例では、図20に示されるように、コ字形押え具である固定具74Bは、第1押え具12及び第2押え具74と別の独立した部材として説明されたが、本発明では、これに限定されない。図示を省略するが、第1押え具12又は第2押え具72のいずれか一方、或いは、両方に、コ字形の突出部が、一体物として固定的に設けられてもよい。
例えば、第1押え具12にコ字形突出部を固定的に設けた場合、第1押え具12本体から離れた側のコ字形突出部の側面にネジを切って、ネジが切られた側から第2押え具74を第1押え具12の方に向かって締め付けることになる。逆に、第2押え具74にコ字形突出部を固定的に設けた場合には、第2押え具74本体から離れた側のコ字形突出部の側面にネジを切って、ネジを切られた側から第1押え具12を第2押え具74の方に向かって締め付けることになる。
ただし、固定具74Bが第1押え具12及び第2押え具74と別の独立した部材である場合、固定具74Bの取付位置を適宜変更できる。また、異なる幅の固定具74Bを予め何種類か用意しておくことで、用途に応じて自由に選ぶことができる。すなわち、牽引補助装置10Gの汎用性を高めることができる。
また、図21に示したように、第1押え具12における下受け面12B1の上に配置されたシートパレット20の上側には、何も配置されていない。すなわち、第1押え具12における載置部12Bは、牽引作業において必須ではない。
また、本発明では、図21中の押え部74Aを用いることなく、コ字形押え具の固定具74Bのみを用いてシートパレット20を挟むこともできる。すなわち、第2押え部74Aは、牽引作業において必須ではない。例えば、固定具74Bのコ字の内側に第1押え具12の側壁部12Aを配置し、図21中の側壁部12Aの右側面と固定具74Bの右側の側壁の左側面との間で、第2押え部74Aが介在しない状態で、シートパレット20を挟んでもよい。搬送方向Dに沿って測った固定具74Bのコ字の内側の長さは、第2押え部74Aが介在しない分、図21中に例示された固定具74Bのコ字の内側の長さより短くできる。但し、荷物の重量が比較的大きい場合、第2押え部74Aを介在させることによって、シートパレット20の端部22の立上げ部22Aの全幅を、ほぼ均等に挟み付けることができ、有利である。
また、図20中では、牽引部材16が第2押え具74の固定具74Bに取り付けられた場合が例示されたが、本発明では、牽引部材16の取付位置は、必ずしも第2押え具74の固定具74Bでなくてもよい。例えば、牽引部材16は、第1押え具12等、他の位置に取り付けられてもよい。
(補強板材)
図22に示すように、牽引補助装置10Gには、補強板材17Aが、第1押え具12の外側面上に設けられてよい。図22中には、4個の補強板材17Aが、第1押え具12の外側面上で、3個の固定具74Bと重ならない位置に配置された場合が例示されている。補強板材17Aは、例えば、鋼板製であって、側面視でL字状のアングル材である。なお、補強板材の素材や形状は、図18中に例示した補強板材17の場合と同様に、適宜変更できる。
補強板材17Aは、例えば、溶接等によって第1押え具12に接合して固定できるが、固定方法としてはこれに限定されず、接着剤を用いた固定や、ボルト締め等による固定も採用できる。補強板材17Aによって、牽引補助装置10Gの強度が補強され、牽引時に牽引荷重に起因した牽引補助装置10Gの撓みや変形を抑制できる。
ここで、第1押え具12や第2押え具72が鋼板であり、厚みが比較的厚い場合、全体の重量が重くなり、作業者による牽引補助装置10Gの取り扱いの負担が大きくなる可能性が高い。一方、図22中に例示したアングル材の補強板材17Aの場合、補強板材17Aと第1押え具12との間に空隙が形成されているものの、補強板材17Aが第1押え具12の上端及び第1押え具12の下端の2箇所で長手方向に亘って接合されている。このため、牽引補助装置10G全体の重量の増加の抑制と、強度の補強とを、好適に両立できる。
(連結具)
また、本発明では、図22中に例示した牽引補助装置10Gのように、ワイヤ等の連結具19A,19Bが設けられてもよい。図22中の4個の連結具19A,19Bのうち、最も右側に位置する連結具19Aは、4個の補強板材17Aのうち最も右側の補強板材17Aと角筒状の押え部74Aとの間を連結している。また、補強板材17Aは第1押え具12に接合されているため、補強板材17A及び連結具19Aを介して、第1押え具12と押え部74Aとが連結されている。
図22中の最も右側の補強板材17Aには、雌ネジ孔(不図示)が設けられており、雌ネジ孔には、雌ネジ孔の雌ネジに対応する雄ネジを有するボルト73が差し込まれている。また、図22中の押え部74Aの上部にも、雌ネジ孔(不図示)が設けられており、雌ネジ孔には、雌ネジ孔の雌ネジに対応する雄ネジを有するボルト73が差し込まれている。
また、図22中の連結具19Aのワイヤの左側の一端では、端部が折り返されてワイヤの中央側に固定されることによって、リング部が形成されている。形成されたリング部は、補強板材17Aに差し込まれているボルト73の首下に引っ掛けられると共に、溶接等によってボルト73に固定されている。同様に、図22中の連結具19Aのワイヤの右側の他端ではリング部が形成され、形成されたリング部は、押え部74Aに差し込まれたボルト73の首下に引っ掛けられると共に、溶接等によってボルト73に固定されている。
連結具19Aによって、第1押え具12及び押え部74Aが連結されているため、例えば、非牽引時に分解された牽引補助装置10Gを運んだり収納したりする際、第1押え具12及び押え部74Aが互いに分離した状態であっても紛失することを防止できる。また、牽引時には、連結具19Aを介して第1押え具12又は押え部74Aを手繰り寄せることが可能であるため、牽引補助装置10Gを容易に組み立てることができる。
また、図22中の連結具19Aの左側における3個のコ字形の固定具74Bには、それぞれ連結具19Bが取り付けられている。3個の連結具19Bのそれぞれの両端には、第1押え具12及び押え部74Aを連結する連結具19Aの場合と同様に、リング部が設けられている。また、固定具74Bの外側面上には、補強板材17Aの場合と同様に、雌ネジ孔(不図示)及びボルト73が設けられている。
連結具19Bの一端に形成されたリング部は、固定具74Bに差し込まれているボルト73の首下に引っ掛けられると共に、溶接等によってボルト73に固定されている。また、連結具19Bの他端に形成されたリング部は、第1押え具12を押え部74Aに押し付けるために固定具74Bを貫通する固定ボルト74Cの首下に引っ掛けられると共に、溶接等によって固定ボルト74Cに固定されている。第1押え具12及び押え部74Aを連結する連結具19Aの場合と同様に、連結具19Bによって、固定具74B及び固定ボルト74Cの紛失を防止できると共に、牽引時に牽引補助装置10Gを容易に組み立てることができる。
なお、連結具19A,19Bは、ワイヤに限定されず、ロープ、チェーン等の紐状部材であってよい。また、連結具19A,19Bによって連結される部材の組み合わせは、図22中に例示したものに限定されず、例えば、第1押え具12及び押え部74A、押え部74A及び固定具74B、等、任意に組み合わせることができる。
また、図22中では、固定具74B及び固定ボルト74Cのように、連結具19Bによって2個の部材が連結された場合が例示されたが、これに限定されず、連結される部材の個数は、3個以上であってもよい。また、図22中では、連結具19Aの一端が補強板材17Aの外側面に連結された場合が例示されたが、これに限定されず、例えば空隙の内側、すなわち、補強板材17Aの内側面に連結具の一端が連結されてもよい。同様に、押え部74Aの筒の内側、すなわち、押え部74Aの内側面に連結具の一端が連結されてもよい。また、補強板材17Aの表面上における連結具19Aの位置、及び、固定具74Bの表面上における連結具19Bの位置についても、図22中に例示したものに限定されず、適宜変更できる。
(保護部材)
また、図23に示すように、牽引補助装置10Gには、保護部材75が、第1押え具12の外側面上で固定具74Bの内側に設けられてもよい。ここで、第1押え具12を押え部74Aに押し付けるために固定ボルト74Cをネジ止めする際、固定ボルト74Cの先端が第1押え具12の外側面に接触するため、接触した領域が、固定ボルト74Cの先端によって損傷する懸念が生じる。また、牽引補助装置10Gを繰り返し使用する場合には、第1押え具12の外側面の損傷の程度は大きくなる。
図23中の保護部材75は、第1押え具12の外側面上で、固定ボルト74Cの先端が接触する位置に重なるように配置され、第1押え具12の外側面を保護する。図23中に例示した保護部材75は、いわゆる焼き入れリボン鋼と呼ばれる比較的硬い鋼板であり、溶接等によって、第1押え具12に接合されている。保護部材75によって、第1押え具12の外側面の損傷を防止できる。
なお、保護部材の形状は、搬送方向Dに沿って牽引動力装置側から第1押え具12の外側面を正面から見た正面視で、板状、円板状、矩形状等、任意に設定できる。また、保護部材75としては、焼き入れ等の表面処理が施されていない鋼板であってもよい。また、保護部材の素材は、鋼板に限定されず、アルミニウムや銅板等他の金属素材であってもよい。
更に、保護部材75の素材としては、樹脂製、紙製、皮革製等、金属素材以外であっても適宜採用できる。すなわち、保護部材の硬度の値は限定されない。また、保護部材75と第1押え具12との接合方法としては、溶接に限定されず、例えば接着剤や両面テープを用いた接着等が使用されてもよい。また、両面テープのような接着部材そのものを保護部材として使用することも除外されない。
(コ字形固定具の配置)
例えば、第1押え具12の長手方向の中央に1個のコ字形の固定具74Bを配置し、固定ボルト74Cを用いて、第1押え具12と固定具74Bとの間で、押え部74Aを挟持させる場合(図20及び図22参照)を考える。また、固定具74Bの長手方向の長さが、例えば、第1押え具12及び押え部74Aの長さの10分の1以下のように比較的短い場合を考える。
固定具74Bの長さが比較的短くても、固定具74Bによる押圧力が直接作用する牽引補助装置10Gの長手方向の中央部分では、シートパレット20は、第1押え具12及び押え部74Aの間に密着状態で挟持可能である。一方、牽引補助装置を用いて荷物を載せたシートパレットを牽引する場合、シートパレットの摺動抵抗に起因して、押え部74Aの全長に亘って牽引方向と反対方向に引っ張る力が働く。結果、固定具74Bによる押圧作用が直接には働かない、押え部74Aにおける固定具74Bの両側、特に両端部分では、固定具74Bで固定されている中央部分を支点として、第1押え具12及び第2押え具74が離間するように反る状態が生じ得る。そして、第1押え具12及び押え部74Aの間に隙間が形成され、シートパレット20が第1押え具12及び押え部74Aに密着せず、把持力が弱くなる懸念が生じる。
シートパレット20が第1押え具12及び押え部74Aに密着しない場合、シートパレット20が、牽引補助装置10Gから脱落し易くなり、牽引作業に支障が生じる可能性が高まる。このため、第1押え具12の長手方向においては、中央、及び両端にそれぞれコ字形の固定具74Bが配置されるように、3個以上の固定具74Bを使用することが好ましい。
また、長手方向の両端で、固定具74Bの長手方向における外側の端面が、第1押え具12の外側の端面と押え部74Aの外側の端面とのうち長手方向の内側に位置する方の端面と同じ、又は、外側に位置するように、固定具74Bが配置されることが好ましい。長手方向の両端における固定具74Bの配置を調節することによって、第1押え具12及び押え部74Aの反りが抑制され、第1押え具12及び第2押え具74間における隙間の形成を防止することができる。
(牽引補助装置の吊り下げ運搬)
また、図示を省略するが、フォークリフト28のフォーク28Aに、牽引補助装置10Gを吊り下げて運搬してもよい。具体的には、例えば固定具74Bに、1箇所以上の孔部を形成し、形成した孔部に、ロープやチェーン等の紐状部材の一端を固定する。また、第1押え具12、押え部74A及び固定具74Bを、固定ボルト74Cを用いて、予め一体化し、固定具74Bの孔部に、紐状部材の一端を連結する。
そして、紐状部材において孔部が連結された一端と反対側の他端を、フォークリフト28のフォーク28Aの先端(図11中の右側)に連結すればよい。なお、紐状部材は2本以上用いられてもよい。また、固定具74B以外の部材に孔部が設けられてもよいし、或いは、孔部を有するボルト等の部材を、固定具74B等の牽引補助装置10Gに含まれる部材のいずれかに取り付けてもよい。
また、例えばU字状(コ字状)の連結部材を別途用意し、U字の底部に相当する部分がほぼ水平に架け渡されると共に、U字の側壁に相当する部分が底部の高さから下側に向かって延びるように、用意した連結部材を2本のフォーク28Aの上面上に載置できる。載置された連結部材の両端に、一端に固定具74Bが連結された紐状部材の他端を連結することによって、フォーク28Aと固定具74Bとを連結してもよい。なお、U字状の連結部材は、鋼板材や樹脂製の板材等を折り曲げて作製できる。
牽引補助装置10Gがフォーク28Aに吊り下げられることによって、牽引作業の際、フォークリフト28を用いて、牽引補助装置10Gをシートパレット20の端部22の近傍まで人力を用いず搬送することができる。牽引補助装置10Gの到着後、牽引補助装置10Gをフォーク28Aから取り外して、シートパレット20の端部22に取り付け、上記の<シートパレットの牽引方法>で説明したそれぞれステップを実施すれば、シートパレット20を牽引できる。牽引補助装置10Gをフォーク28Aに吊り下げることによって、牽引補助装置10Gをオペレータ26等の人力で搬送する手間を省けるため、作業の負担を軽減でき、作業性が向上する。
一方、牽引作業を実施しない場合には、牽引補助装置10Gを、例えば、フォーク28Aの上面上でフォーク28Aの根元側(例えば、図11中のフォーク28Aの左側)の空いているスペースに載せることができる。空いているスペースを活用することによって、牽引補助装置10Gの保管場所を別途準備する手間が生じない。また、牽引補助装置10Gが載せられるフォーク28Aの根元側の領域は、オペレータ26の運転席からも比較的近いため、牽引作業を開始する際には、オペレータ26が容易にアクセスできる。
(牽引補助装置の一時吊り上げ手段)
図24中には、床面G上に配置された右側のパレット32Aの上に載置された荷物40Aをフォークリフト28のフォーク28Aが差し込まれたパレット32Bの上に牽引して引き込み、積み替える場合が例示されている。また、図24中では、牽引補助装置10Gが取り付けられたシートパレット20の端部が、パレット32Aの上面内に収まりきらず、図24中のパレット32Aの左外側に飛び出して、そのままではパレット32Aから垂れ下がる状態になっている。
図24中に例示した支持部材80及び支持部材80に支持された引き上げ部材82を用いれば、パレット32Aの外側に飛び出して位置する牽引補助装置10Gが装着されたシートパレット端部を、一時的にパレット32Aの上面より高い位置に吊り上げておくことができる。具体的には、支持部材80は、例えば、鋼製の板状部材や棒状部材である。支持部材80の一端は、フォークリフト28のマスト側に、例えばボルト締め等によって、着脱自在に取り付けられている。
支持部材80は、荷物40Aに向かってほぼ水平に延び、荷物40A側の他端は、図24中でフォーク28Aが差し込まれたパレット32Bの右端とほぼ同じ位置に配置されている。なお、支持部材80の荷物40A側の他端は、フォーク28Aの根元側に後退した位置にすることを妨げられない。また、例えば牽引補助装置10Gが装着されたシートパレット端部を必要な高さ分上方に吊り上げることによって荷物40Aとの接触を回避できる場合には、支持部材80の荷物40A側の他端を、パレット32Bの右端より荷物40A側に突出させることも妨げられない。
図24中の支持部材80において、左側のマストの付け根とパレット32Bとの間には、回転部80Aが設けられている。回転部80Aは、例えばヒンジであり、回転部80Aによって、支持部材80の他端側は、上方に向かって回転可能である(図25参照)。なお、支持部材80が荷物40Aと干渉しない限り、回転部80Aは必須ではない。具体的には、例えば、マストに対して支持部材80の一端を図24中に例示した位置より上側に取り付けることにより、支持部材80が水平に延びた状態のまま、積み替え作業を実施してもよい。
支持部材80の他端には、引き上げ部材82が設けられている。引き上げ部材82は、例えばワイヤやロープ等の紐状部材を好適に採用できる。ただし、引き上げ部材82の形状は、支持部材80に取り付けられ、牽引補助装置10Gを装着したシートパレット端部を吊り上げることができる限り、紐状に限定されない。また、引き上げ部材82の素材も同様に限定されない。
引き上げ部材82の一端は支持部材80の他端(先端)に取り付けられると共に、引き上げ部材82の他端は、牽引補助装置10Gの牽引部材16に連結されている。なお、引き上げ部材82の他端は、牽引補助装置10Gの牽引部材16以外の部位に連結されてもよい。
牽引作業時には、まず、引き上げ部材82の一端を支持部材80の先端に取り付け、フォークリフト28をパレット32Bの先端と対向するパレット32Aの先端とが少し間を開けた状態まで近接させ停止する。このとき、パレット32A,32Bの互いの対向する側面を正対させ、両方の側面の成す間隔は、少なくとも牽引補助装置10Gを装着したシートパレット端部が楽に通過できる程度とする。次に、引き上げ部材82の他端に牽引補助装置10Gを連結して、パレット32Aの上面より少し上方まで吊り上げる。なお、支持部材80の長さ及び引き上げ部材82の長さは、引き上げに必要な長さに設定されている。また、牽引補助装置10Gが連結された後、支持部材80の長さ、又は、引き上げ部材82の長さを調節できるようにしてもよい。
次に、牽引補助装置10Gを吊り上げた状態のまま、フォークリフト28を操作して、フォーク28Aが差し込まれたパレット32Bを、図25中で床面G上の右側のパレット32Aに更に近接させる。そして、対向する互いの側面同士を接触させ、パレット32Aと32Bを隣接させる。隣接の際、牽引補助装置10Gを装着したシートパレット端部がパレット32Aの上面より上方に吊り上げられているため、牽引補助装置10Gの部分がフォーク28A側のパレット32Bの先端側面に衝突しない。
次に、引き上げ部材82と牽引補助装置10Gとの連結を解除する。また、支持部材80の他端側を、回転部80Aを中心に上側に向かって回転させ、ほぼ鉛直に起立させる。次に、牽引動力装置30を駆動して、荷物40Aを搭載したシートパレット20を牽引補助装置10Gを介して牽引し、荷物40Aをシートパレットと共にフォークリフト28のフォーク28Aが差し込まれたパレット32Bの方に引き寄せて積み替える。
一方、図26に示すように、支持部材80及び引き上げ部材82が使用されない場合、牽引補助装置10Gが、パレット32Aの外側に飛び出して下垂したままである。ここで、シートパレット20の素材は、比較的柔らかいため、牽引補助装置10Gがシートパレット20の端部に取り付けられると、牽引補助装置10Gの重量によって、シートパレット20の端部が下垂する。このため、牽引補助装置10Gは、パレット32Aの上面より下側に位置する。結果、フォークリフト28をパレット32Aに近接させても、荷物40Aを積み替え可能な位置まで、2個のパレット32A,32Bを隣接配置できない懸念が生じる。
図24及び図25中に例示した支持部材80及び引き上げ部材82によれば、牽引補助装置10Gをパレット32Aの上面より上方に吊り上げることが可能になるため、牽引作業をより円滑に実施できる。
(ストッパー)
図24中に例示した荷物40Aの積み替え作業では、牽引する力により、積み替え後のパレット32Bが積み替え前のパレット32Aに押し込まれてフォーク28Aの根元まで移動して根元に衝突して破損しないように、パレット32Bの位置が、根元側に配置されたスペーサ34によって固定されていた。しかし、フォーク28Aにおけるパレット32Bの位置の固定方法はこれに限定されない。
例えば、図27中に例示したストッパー90をフォーク28Aに取り付けることによって、パレット32Bの位置を固定することもできる。図27(A)及び図27(B)に示すように、ストッパー90は、本体92と、本体92に設けられた貫通孔92Aに挿通された連結棒94と、連結棒94に取り付けられた連結板96とを備える。
本体92は、例えば鋼製の直方体状であり、図27(A)中の上下方向に沿って貫通する2本の貫通孔92Aが、互いに離間して設けられている。図27(C)に示すように、貫通孔92Aの内側には段差が設けられ、段差の上側の内径は、段差の下側の内径より広い。
連結棒94は、例えば、六角穴を頭部に有するボルトであり、軸部の先端(図27(C)中の下端)には、雄ネジが形成されている。連結板96は、例えば鋼製であり、連結棒94の軸部の先端に対応する位置に、雌ネジ孔が設けられている。雌ネジ孔は、連結棒94の雄ネジに対応し、連結棒94及び連結板96は互いにネジ結合する。
連結棒94において雄ネジが形成されている領域の軸方向の長さは、連結板96における雌ネジ孔の深さより長い。また、連結棒94の頭部は、貫通孔92Aの内側で段差によって支持されつつ、回転可能である。このため、例えば、六角レンチ等の工具を用いて、連結棒94を回転させることによって、連結棒94と連結板96とのネジ結合の位置(高さ)を変えることが可能である。ネジ結合の位置が変わることによって、本体92と連結板96との間隔が変わる。
図27(C)に示したように、本体92と連結板96と2本の連結板96との間には、隙間Sが形成される。隙間Sの高さは、本体92と連結板96との間隔に応じて変更可能である。なお、ストッパー90における本体92、連結棒94及び連結板96の、それぞれの形状及び寸法は、図27中に例示したものに限定されず、適宜変更できる。
図28に示すように、牽引作業の際、ストッパー90は、フォークリフト28のフォークの中央に取り付け可能である。なお、図28中に例示したフォークリフト28のフォークには、延長爪98が被せられている。ストッパー90の隙間Sには、延長爪98が挿通され、延長爪98は、ストッパー90の連結棒94と連結板96とのネジ結合によって、堅固に挟み込まれている。このため、パレット32B(第2のパレット)のフォーク28Aにおける位置が固定され、パレット32Bが外側のパレット32A(第1のパレット)によって内側に押し込まれても、パレット32Bがフォーク28Aの根元側に移動することが防止される。結果、荷物40Aの積み替えを円滑に実行できる。
また、ストッパー90は、少なくともフォーク28Aを挟み込めるだけの長さ、幅及び高さを有する領域を備えていればよいので、比較的小型に構成できる。具体的な外観寸法としては、素材の強度にもよるが、例えば、フォーク28Aの上側及び下側にそれぞれ数cm、側方に数cm、奥行方向(フォークの延びる方向)に数cm、張り出す程度で実現可能である。すなわち、スペーサ34(図24参照)のような、フォーク28Aの根元側からパレット32Bまでの長さは不要であるため、取り扱いの負担が軽減される。また、ストッパー90は、いずれも比較的簡易な構造を有する本体92、連結棒94及び連結板96を用いて作製できるので、作製コストを低減できる点でも有利である。
(変圧器)
また、荷降作業に用いられるフォークリフト28としては、大きく、電気を動力とするものと、ガソリンや軽油等の燃料を動力とするものとがあるが、近年、環境意識の高まりもあり、電気を動力とするものも増えている。ここで、牽引作業に用いられる牽引動力装置30の動力が、フォークリフト28と同じ電気である場合、フォークリフト28の電源に牽引動力装置30が接続できれば、動力は単一で済む。
しかし、例えば、フォークリフト28の電圧が100Vであり、かつ、牽引動力装置30の電圧が48Vである場合のように、牽引動力装置30の定格電圧が、フォークリフト28の定格電圧と異なる場合がある。このため、牽引動力装置30の電源をフォークリフト28の電源に直接接続できず、2種類の電源を用意する手間が生じる。
本発明では、例えば、変圧器(コンバータ)をフォークリフトに搭載し、搭載した変圧器を介して、フォークリフト28の電源を牽引動力装置30に接続することができる。変圧器は、フォークリフト28のバッテリーの近傍に配置されてもよいし、或いは、オペレータのシートの近傍等、他の空いているスペースを活用して配置されてもよい。
なお、フォークリフト28の電源に、変圧器を介して電源が接続される装置としては、牽引動力装置30に限定されない。例えば、減速機構や変速機構を有し、荷降作業において使用される他の外部装置であっても、変圧器を介して電源が接続されてよい。電源については、例えば、装置の近傍に所要の定格電圧電源が存在しない場合、周囲に存在する電源に、交流又は直流の変圧器を組み合わせて、所要の定格電圧電源を得ることができる。
また、第3実施形態では、図9に示したように、コンテナ24がシートパレットの搬送手段として例示されていたが、本発明では、これに限定されない。例えば、コンテナだけでなく、パレットやトラックの荷台等であっても、シートパレットの搬送手段として、任意に採用できる。
また、本発明では、図8中の牽引補助装置10や図21中の牽引補助装置10Gにおける、第1押え具12の載置部12Bの搬送方向Dに沿った長さ、すなわち、第1押え具12のL字の下部の長さを短くしてもよい。載置部12Bの長さが短い場合であっても、シートパレットの端部を、牽引補助装置に取り付けることができる。また、載置部12Bの長さが短くなることによって、シートパレットの牽引補助装置10,10A~10Gを軽量化できるので、取り扱いが一層容易になる。また、載置部12Bの長さが短い場合であっても、側壁部12Aと載置部12BとのL字のコーナー部を湾曲させてもよいし、角張らせてもよい。
特に、載置部12Bの長さが短い構成、又は、第1及び第2実施形態のように第1押え具12が載置部12Bを備えない構成は、例えば、シートパレットの上に載置された荷物の底面が比較的大きいため、牽引のために確保可能なシートパレットの端部の幅が短くなる際に、有利である。
また、図11中に例示したようなコンテナ24等の搬送手段の内側で牽引補助装置10,10A~10Gを使用する場合、牽引補助装置10,10A~10Gの幅を、搬送手段の横幅とほぼ同じ幅に設定できる。第3実施形態では、牽引補助装置10,10A~10Gの幅、及び、コンテナ24の横幅は、水平面において搬送方向Dに直交する方向である。例えば、一般的なコンテナ24では、横幅方向が約2200mm程度の場合、約1000mmの横幅を有する荷物が、横幅方向において2列に分けて配置される場合が多い。牽引補助装置10,10A~10Gの幅が搬送手段の横幅とほぼ同じであることによって、横幅方向において分けて配置された複数の荷物を、一回の牽引作業で、搬送手段の内側から搬出することができる。
また、図8中では、第1押え具12の立上受け面12A1の形状が平坦な場合が例示されたが、これに限定されず、立上受け面12A1の形状は、1個以上の湾曲部や屈曲部が含まれるように、適宜変更できる。また、第1押え具12の立上受け面12A1に対応する、第2押え具14の立押え面14Aの形状も、同様に、適宜変更できる。立上受け面12A1の形状及び立押え面14Aの形状に、1個以上の湾曲部や屈曲部が含まれることによって、シートパレットの挟持力を高めることができる。
また、図8中の牽引補助装置10の場合のように、牽引部材16が貫通することによって端部22に孔が開けられたシートパレット20であっても、既に開けられた孔の位置とは別の位置に新たな孔を開けて牽引補助装置10を差し込むことができる。すなわち、本発明に係る牽引補助装置を用いた牽引作業では、シートパレット20を繰り返し再利用できる。
また、図1~図28中に示したそれぞれのシートパレットの牽引補助装置10,10A~10G,11に含まれる構成を、部分的に組み合わせて本発明を構成してもよい。例えば、第3実施形態の変形例として説明した各種の牽引補助装置に含まれる構成のうち、載置部に係る構成以外の部分について、第1実施形態又は第2実施形態に係る牽引補助装置に適用することもできる。本発明は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むと共に、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ定められるものである。