JP7443276B2 - 揺れ性能を考慮した取引条件決定システム及び方法 - Google Patents

揺れ性能を考慮した取引条件決定システム及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム及び方法に関する。
建物の地震リスクに対する対策として、耐震改修施工の実施と地震保険への加入とが一般的である(例えば、特許文献1,2及び非特許文献1参照。)。耐震改修施工(例えば既存建物への耐震壁の補強や免震装置の設置)を実施することで既存建物の耐震性能を向上させ、建物が地震により損壊するリスクを低減することができる。また、地震保険に加入することで、地震による損害が発生した場合に、その補修等に要する費用を保険金として受け取ることができるので、地震に伴う経済的なリスクを低減することができる。
上記のうち、特許文献1においては、耐震改修による耐震性能の向上を評価するためのシステムが開示されている。また、特許文献2においては、建物の安全性を確保しながら比較的低コストで地震リスクを低減することが可能な建物の耐震サービス支援システムが開示されている。また、非特許文献1においては、耐震性能に応じて地震保険の保険料を割り引く「地震保険の割引制度」が開示されている。
特開2003-147970号公報 特開2005-346576号公報
三井住友海上火災保険株式会社の地震保険パンフレット(2021年1月1日以降地震保険開始期契約用)第3頁、地震保険の割引制度について
しかしながら、特許文献1,2及び非特許文献1のいずれにも、多数のビルディングなどの建物を一括して実測により揺れ性能を評価(又は建物地震リスクを評価)し、その評価結果に基づいて多数の建物の揺れ性能(又は建物地震リスク)を相対的に評価した評価結果に基づいて建物取引(例えば、損害保険取引、建物売買取引、建物賃貸取引など)についての取引条件を決定し、もって、建物取引における地震リスクを低減できる取引条件決定システムは開示されていない。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、多数の建物の揺れ性能(又は建物地震リスク)を相対的に評価した評価結果に基づいて建物取引(例えば、損害保険取引、建物売買取引、建物賃貸取引など)についての取引条件を決定し、もって、建物取引における地震リスクを低減できる取引条件決定システム及び方法を提供することを目的とする。
本発明の揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、中央処理装置およびメモリ装置を少なくとも備える1または2以上のコンピュータを用いて複数の建物に属する特定の建物に関する取引条件を決定するシステムであって、地震発生時における前記複数の建物の揺れを実測して得られる揺れ情報に基づく評価結果であって前記複数の建物に属する個々の建物の前記揺れ情報を前記複数の建物間で相対評価して得られる揺れ性能又は前記揺れ性能に基づいて評価した建物地震リスクを記憶する評価結果記憶部と、前記システムを使用する使用者の指示に基づき、前記複数の建物に属する前記特定の建物の前記評価結果を前記評価結果記憶部から読み出す評価結果読出部と、前記評価結果読出部から読み出された前記特定の建物の前記評価結果に基づいて、前記特定の建物に関する取引条件を決定する取引条件決定部と、を備えることを特徴とする。
本発明の揺れ性能を考慮した取引条件決定方法は、中央処理装置およびメモリ装置を少なくとも備える1または2以上のコンピュータを用いて複数の建物に属する特定の建物に関する取引条件を決定する方法であって、地震発生時における前記複数の建物の揺れを実測して得られる揺れ情報に基づく評価結果であって前記複数の建物に属する個々の建物の前記揺れ情報を前記複数の建物間で相対評価して得られる揺れ性能又は前記揺れ性能に基づいて評価した建物地震リスクを記憶する評価結果記憶ステップと、前記方法を使用する使用者の指示に基づき、前記複数の建物に属する前記特定の建物の前記評価結果を読み出す評価結果読出ステップと、前記評価結果読出ステップで読み出された前記特定の建物の前記評価結果に基づいて、前記特定の建物に関する取引条件を決定する取引条件決定ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、多数の建物の揺れ性能(又は建物地震リスク)を相対的に評価した評価結果に基づいて建物取引(例えば、損害保険取引、建物売買取引、建物賃貸取引など)についての取引条件を決定し、もって、建物取引における地震リスクを低減できる取引条件決定システム及び方法を提供することができる。
実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1を模式的に示す図である。 実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1の使用方法を模式的に示す図である。 実施形態1におけるランクと格付けについて説明するために示す図である。 実施形態1におけるランクと格付けについて説明するために示す図である。 実施形態1におけるランクと格付けについて説明するために示す図である。 実施形態1におけるランクと格付けについて説明するために示す図である。 実施形態1におけるランクと格付けについて説明するために示す図である。 実施形態1におけるランクと格付けについて説明するために示す図である。 実施形態1におけるネットワークセンサー10及び揺れ性能相対評価装置20(揺れ性能相対評価システム)を模式的に示す図である。 実施形態1におけるネットワークセンサー10の構成を示す図である。 実施形態1におけるネットワークセンサー10の各部の動作を説明するためのタイムチャートである。 実施形態1におけるペイロードデータ作成部140において作成されるペイロードデータPD1の一例を模式的に示す図である。 ネットワークセンサー10の動作アルゴリズムを示すフローチャートである。 アライブペイロードデータAPDの一例を模式的に示す図である。 地震が発生した場合に解析部としてのサーバー210が行う揺れ性能相対評価について説明するためのフローチャートである。 「土地と建物の総合評価」を説明するための図である。 「土地の評価」を説明するための図である。 「建物の評価」を説明するための図である。 「土地+建物の総合評価」、「建物の評価」及び「土地の評価」を行う際の揺れ指標(例えば最大速度)の取得について説明するために示す図である。 実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定方法のフローチャートである。 実施形態2に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法を模式的に示す図である。 実施形態2に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法を模式的に示す図である。 実施形態3に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法を模式的に示す図である。 実施形態4に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法を模式的に示す図である。 実施形態5に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム2を模式的に示す図である。 実施形態6における揺れ性能相対評価システムを模式的に示す図である。 実施形態6における揺れ性能相対評価システムのネットワークセンサー11におけるペイロードデータ作成部140において作成されるペイロードデータPD2の一例を示す図である。 変形例1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム3を模式的に示す図である。 変形例2に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1aを模式的に示す図である。 変形例3に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム3aを模式的に示す図である。
以下、本発明の揺れ性能を考慮した取引条件決定システム及び方法を図に示す各実施形態を用いて詳細に説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1を模式的に示す図である。
図2は、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1の使用方法を模式的に示す図である。
図3~図8は、実施形態1におけるランクと格付けについて説明するために示す図である。図3は、基本的なランクと格付けの例を示す図である。図4は、複数のランクにおける各ランクに入る建物の数を均等にした場合の例を示す図である。図4(a)は特定の日時における複数のランクの状況を示す図であり、図4(b)は特定の日時からある程度の期間(例えば5年)経過時における複数のランクの状況を示す図である。図5は、各ランクで揺れ性能を原則等間隔にした場合のランク毎の度数分布を示す図である。図5(a)は特定の日時におけるランク毎の度数分布を示す図であり、図5(b)は特定の日時からある程度の期間(例えば5年)経過時におけるランク毎の度数分布を示す図である。図6(a)はランクアップ情報を用いた格付けの例を示す図であり、図6(b)は所定期間が経過した後の格付けの例を示す図である。図7(a)はランクアップ情報を用いた格付けよりも有利なランクとする格付けの例を示す図であり、図7(b)は所定期間が経過した後の格付けの例を示す図である。図8は、実施形態1に係る取引条件決定システム1を使用する損害保険会社ごとに取引条件を決定する場合の例を示す図である。
1.揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1
実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1(以下、単に「取引条件決定システム1」ということもある。)は、中央処理装置およびメモリ装置を少なくとも備える1または2以上のコンピュータを用いて複数の建物に属する特定の建物に関する取引条件を決定するシステムである。取引条件決定システム1は、図1に示すように、揺れ情報取得部であるネットワークセンサー10と、揺れ情報相対評価部である揺れ性能相対評価装置20と、格付け部30と、評価結果記憶部40と、評価結果読出部50と、取引条件決定部60とを備える。取引条件決定システム1を構成する各部の詳細は後述する。取引条件決定システム1は、地震リスクを低減する、耐震改修又は地盤改良を促進する、国土強靭化に資する、及び、取引を円滑に進める、のうち少なくとも1つのための(少なくとも1つを目的とする)システムである。
本明細書における「建物」の用語は、「建物の全部(例えば、ビルディング全体)」のみならず、「建物の一部(例えば、ビルディングのフロアや部屋)」や「土地付きの建物」も含む概念で用いている。
本明細書における「取引条件」の用語は、文字どおりの「取引の条件(例えば、損害保険料、売買価格、賃貸料金)」の他に、通常の取引条件を変更する場合の当該変更の程度(例えば、保険等級の変更の程度)等、取引に関係する全ての条件を含む概念で用いている。
本明細書における「耐震改修」の用語は、耐震性能を向上させる改修(補強など)の他にも、制震性能を向上させる改修(揺れを吸収するための制震装置の追加など)や免震性能を向上させる改修(揺れを逃がすための免震装置の追加など)を含む概念で用いている。
実施形態1における取引条件は、特定の建物の全部又は一部を対象とする損害保険料に関する取引条件である。ここで、実施形態1に係る取引条件決定システム1の使用方法について、図2を用いて説明する。実施形態1においては、取引条件決定システム1は、取引支援会社TSが所有するものである。例えば、特定の建物BLを所有する建物所有者US1と損害保険会社US2とが損害保険契約を結ぼうと考えているとする。取引条件決定システム1は、特定の建物BLの揺れ情報(後述。)を取得して損害保険料に関する取引条件を決定する。そして、取引条件決定システム1の所有者である取引支援会社TSは、取引条件決定システム1の利用者である建物所有者US1及び損害保険会社US2の少なくとも一方に揺れ情報に基づく取引条件を提示する。実施形態1においては、揺れ情報は建物所有者US1に帰属するのはなく、取引条件決定システム1の所有者(実施形態1においては取引支援会社TS)に帰属するものとする。なお、実施形態1における取引支援会社TSは、格付け会社ということもできる。
以下、取引条件決定システム1を構成する各部について説明するが、まず本発明の主要部である格付け部30、評価結果記憶部40、評価結果読出部50及び取引条件決定部60について説明した後、ネットワークセンサー10及び揺れ性能相対評価装置20について説明する。以下の説明における「揺れ性能」とは、地震発生時における複数の建物の揺れを実測して得られる揺れ情報に基づく評価結果であって複数の建物に属する個々の建物の揺れ情報を複数の建物間で相対評価して得られる性能のことをいう。また、「建物地震リスク」とは、揺れ性能に基づいて評価した建物の地震に関するリスクのことをいう。「建物地震リスク」は、建物所有に係るリスクという観点からは、「建物所有リスク」ということもできる。なお、「建物所有リスク」における「所有」には「占有」も含まれる。本明細書における「(実測に用いる)揺れ」は、いわゆる大地震による揺れに限られるものではなく、いわゆる中小地震や微振動による揺れも含まれる。
1-1.格付け部30
格付け部30は、複数の建物に属する個々の建物のそれぞれを、揺れ性能又は建物地震リスクに応じて設定した複数のランク(後述。)のうちいずれかのランクに格付けする。格付けに必要な情報(例えば、揺れ性能)は、揺れ性能相対評価装置20(つまり、揺れ性能相対評価システム)のデータベース230から取得する(後述。)。ランクと格付けについては、評価結果記憶部40とともに説明する。
1-2.評価結果記憶部40
評価結果記憶部40は、揺れ性能又は建物地震リスクを記憶する。なお、評価結果記憶部40は、揺れ性能と建物地震リスクとの両方を記憶してもよい。ここで、「揺れ性能又は建物地震リスクを記憶する」には、「揺れ性能又は建物地震リスクに基づく情報を記憶する」ことが含まれる。つまり、評価結果記憶部40は、必ずしも「揺れ性能又は建物地震リスク」そのものを記憶している必要はない。
実施形態1における評価結果記憶部40は、複数の建物に属する個々の建物のそれぞれを、揺れ性能又は建物地震リスクに応じて設定した複数のランクのうちいずれかのランクに格付けした結果を揺れ情報に基づく評価結果として記憶する。例えば、図3のように、複数のランクRが20階級あり、格付け部30によってある建物の揺れ情報に基づく評価結果SR1がランク17と格付けされた場合には、評価結果記憶部40は当該事項を記憶する。なお、図3に示す複数のランクRにおいては、ランク1が最高評価であるとし、ランク20が最低評価であるとする。この場合であっても、評価結果記憶部40は揺れ性能相対評価装置20からの情報(揺れ性能又は建物地震リスク)を記憶してもよい。
なお、揺れ性能相対評価装置20で所定の建物の揺れ性能についてのランキングを行う場合もあるが(後述。)、格付け部30による格付け結果(評価結果記憶部40が記憶する評価結果)は、当該ランキングと同一である必要はない。複数のランクにおける各ランクに入る建物の数は、均等(全てのランクで入る建物の数を同じにする)としてもよいし、不均等(例えば、特に揺れにくい建物や揺れやすい建物が格付けされるランクに入る建物の数を少なくし、中間程度の揺れ性能の建物が格付けされるランクに入る建物の数を多くする)としてもよい。
以下、複数のランクにおける各ランクに属する建物の数を均等とする場合について、図4を用いて説明する。例えば、特定の日時において、取引条件決定システム1の対象となる建物の数が2000であったとする。この場合、複数のランクRが20階級のランクからなるとすると、各ランクには100ずつの建物が属する(格付けされる)ことになる(図4(a)参照。)。例えば、相対評価で950位である建物はランク10に属するようになる(図4(a)の黒丸印参照。)。そして、ある程度の期間(例えば5年)経過時に、取引条件決定システム1の対象となる建物の数が2400に増えていた場合には、各ランクには120ずつの建物が属する(格付けされる)ことになる(図4(b)参照。)。ここで、例えば、前述の期間経過時において、かつて950位であった建物の相対評価が1450位となっていた場合には、当該建物のランクはランク13になっている(図4(b)の黒丸印参照。)。なお、建物の相対評価が低下する原因としては、経年劣化などによる揺れ性能の低下、他の建物の(改修などによる)揺れ性能の向上、揺れ性能が高い建物の取引条件決定システムへの新規登録を例示することができる。逆に、建物の相対評価が向上する原因としては、改修などによる揺れ性能の向上や、他の建物の(経年劣化などによる)揺れ性能の低下、揺れ性能が低い建物の取引条件決定システムへの新規登録を例示することができる。
次に、各ランクで揺れ性能を原則等間隔にした場合について、図5を用いて説明する。この場合、複数のランクRが20階級のランクからなるとすると、図5(a)及び図5(b)に示すように、20階級のうちランク2~ランク19では揺れ性能を等間隔にしている。一方、ランク1及びランク20では揺れ性能は等間隔にしていない。これは、複数の建物全体のうち、揺れ性能が中間の例えば95%程度(2σ程度)に収まるものについては揺れ性能が等間隔となるようにランク2~ランク19に配分し、残りの揺れ性能が著しく良い又は著しく悪いものについては、両端のランク1又はランク20にまとめたためである。従って、各ランクに属する建物の数(度数)は一定では無い。図5に示すのは、「揺れ性が低い場合の度数」と「揺れ性能が高い場合の度数」が「揺れ性能が平均的な場合の度数」よりも少なくなるような傾向の分布となる場合の例示である。また、本発明の目的の1つでもあるが、図5(a)(特定の日時のグラフ)及び図5(b)(ある程度の期間経過後、例えば5年経過後のグラフ)から分かるように、時代が下れば、既存の建物に対する耐震改修・地盤改良の実施や、新規に登録される建物の耐震性能の向上に起因して、ランク毎の度数分布が揺れ性能の高いほうにシフトするような傾向の分布となると考えらえる。この場合、耐震改修・地盤改良を実施しない建物に関しては、経年劣化を抜きにしても揺れ性能のシフトに取り残されるため、時間が経過するごとにランクが下がってゆく。なお、図5(b)で示す時点では図5(a)で示す時点よりも取引条件決定システム1の対象となる建物の数が増えている(例えば、1.2倍になっている)ことを想定している。これを示すために、図5(b)では図5(a)と比較して、各ランクを示す棒グラフの度数が全体的に大きくなっている。
なお、本明細書における「揺れ性能」は、地震発生時における複数の建物の揺れを実測して得られる揺れ情報に基づいて得られるものであるため、新たな建物については地震が発生するまでは揺れ性能及び建物地震リスクを得ることができない。このため、評価結果記憶部40は、新たな建物についてランクに格付けした結果を評価結果記憶部40に記憶する場合には、新たな建物に関して既に評価されている耐震性能に基づいて格付けした結果を記憶する。「既に評価されている耐震性能」としては、例えば、免震建築物の認定、耐震等級、過去の耐震診断の結果、建築からの年数、実績のある高性能な地震計のデータを母集団のデータとして判定した性能、及び、人工知能に過去のデータ(建物や工法などのデータ)を入力して判定した性能を挙げることができる。
評価結果記憶部40は、所定の耐震改修又は所定の地盤改良をしたときにランクがどの程度ランクアップされるかに関する情報であるランクアップ情報を記憶しておくとともに、評価結果記憶部40は、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされたとき、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過するまでは、ランクアップ情報を用いて決定したランクをランクとして記憶し、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過した後は、実測して得られる揺れ情報を用いて決定したランクをランクとして記憶するようにしてもよい。例えば、図6(a)に示すように、揺れ情報に基づく評価結果SR1がランク17と格付けされたある建物について、「ランク17の建物に適用したときに7ランクアップする」ランクアップ情報が記憶されている所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされたときには、所定期間が経過するまでは、ある建物についての評価結果SR2はランク10となる。所定期間が経過した後には、図6(b)に示すように、ある建物についての評価結果SR3は、所定期間中に蓄積した揺れ情報を用いて決定したランク(建物の実情に応じたランク、例えば、ランク9やランク11)となる。
なお、元々揺れ性能が良好な建物ほど同じ耐震改修又は地盤改良を施してもランクアップ効果が小さいと考えられる。このような観点からは、ランクアップ情報は一律でなくてもよく、もともとのランクが高い場合には同じ所定の耐震改修又は所定の地盤改良であってもランクの上昇を小さくしてもよい。
また、評価結果記憶部40は、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされたとき、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過するまでは、ランクアップ情報を用いて決定したランクよりも有利なランクに格付けされたランクをランクとして記憶し、所定の耐震改修又は所定の地盤改良をした後所定期間が経過した後は、実測して得られる揺れ情報を用いて決定したランクをランクとして記憶するようにしてもよい。例えば、図7(a)に示すように、揺れ情報に基づく評価結果SR1がランク17と格付けされたある建物について、「ランク17の建物に適用したときに7ランクアップする」ランクアップ情報が記憶されている所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされたとき、インセンティブのために「さらに2ランクアップする」とした場合、所定期間が経過するまでは、ある建物についての評価結果SR2‘はランク8となる。所定期間が経過した後には、図7(b)に示すように、ある建物についての評価結果SR3は、所定期間中に蓄積した揺れ情報を用いて決定したランク(建物の実情に応じたランク、例えば、ランク9やランク11)となる。
評価結果記憶部40は、評価結果記憶部40に登録された複数の建物に属する個々の建物のいずれかについての揺れ性能又は建物地震リスクが変更された後、揺れ性能又は建物地震リスクの変更後の情報に基づいて作成した母集団に基づいて更新された複数のランク情報の新たな記憶を所定のタイミングで行う。
実施形態1においては、取引条件決定システム1の結果を使用する損害保険会社ごとに取引条件を決定してもよい。この場合、評価結果記憶部40は、例えば図8に示すように、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1の対象となる複数の建物全て(図8の符号A参照。)による複数のランクR、第1の損害保険会社US2-1に属する複数の建物のみによる複数のランクR1、第2の損害保険会社US2-2に属する複数の建物のみによる複数のランクR2、といったようにランク及び格付けを記憶する。
評価結果記憶部40は、取引条件決定システム1における揺れ性能相対評価の対象となる複数の建物についての建物所有者のうち、揺れ情報に基づく評価結果を利用する第1の建物所有者と、揺れ情報のみを利用する第2の建物所有者とに分けて記憶するようにしてもよい。この場合、取引条件決定システム1は、第1の建物所有者に対しては取引条件に加えて揺れ情報に基づく評価結果を提供可能であり、第2の建物所有者に対しては揺れ情報のみを提供可能である。
1-3.評価結果読出部50
評価結果読出部50は、取引条件決定システム1を使用する使用者の指示に基づき、複数の建物に属する特定の建物の評価結果を評価結果記憶部40から読み出す。読みだされた情報は、取引条件決定部60に送られる。
1-4.取引条件決定部60
取引条件決定部60は、評価結果読出部50から読み出された特定の建物の評価結果に基づいて、特定の建物に関する取引条件を決定する。実施形態1における取引条件決定部60は、特定の建物のランクに基づいて、特定の建物に関する取引条件を決定する。取引条件決定部60は、特定の建物の評価結果が所定の基準に照らして特定の建物の建物所有者に好ましいものである場合には、取引条件を、評価結果を考慮せずに決定した場合の取引条件と比較して、特定の建物における建物所有者に有利な条件に決定する。一方、取引条件決定部60は、特定の建物の評価結果が所定の基準に照らして特定の建物の建物所有者に好ましくないものである場合には、取引条件を、評価結果を考慮せずに決定した場合の取引条件と比較して、特定の建物の建物所有者に不利な条件に決定する。
後述する揺れ性能相対評価装置20(揺れ性能相対評価部)が解析部によって解析された揺れ性能相対評価を蓄積する蓄積部をさらに有し、解析部が蓄積部に蓄積された揺れ性能相対評価を用いて各建物の経年変化を求める場合には、取引条件決定部60は、経年変化を考慮して取引条件を決定してもよい。例えば、経年変化により揺れ性能が急激に悪化している建物については、単に現状から決定した取引条件よりも建物所有者に不利な条件に決定することができる。
1-5.ネットワークセンサー10及び揺れ性能相対評価装置20(揺れ性能相対評価システム)
次に、ネットワークセンサー10及び揺れ性能相対評価装置20について説明する。揺れ情報取得部であるネットワークセンサー10は、複数の建物の揺れ情報を実測により取得する。揺れ性能相対評価部である揺れ性能相対評価装置20は、ネットワークセンサー10(揺れ情報取得部)により取得された複数の建物の揺れ情報から複数の建物の揺れ性能を一括して相対評価する。ネットワークセンサー10(揺れ情報取得部)及び揺れ性能相対評価装置20(揺れ性能相対評価部)は、揺れ性能相対評価システムを構成している。
図9は、実施形態1におけるネットワークセンサー10及び揺れ性能相対評価装置20(揺れ性能相対評価システム)を模式的に示す図である。実施形態1における揺れ性能相対評価システムは、図9に示すように、建物BL1,BL2,・・・の所定位置に設置されているネットワークセンサーNS1、NS2,・・・と、ネットワークセンサーNS1、NS2,・・・から送信された各建物の「揺れ情報」を、受信部12を介して受信し、受信した揺れ情報を解析して建物BL1,BL2,・・・の揺れ性能相対評価を行う解析部(サーバー)110を有する揺れ性能相対評価装置20とを備える。なお、ネットワークセンサーNS1、NS2,・・・及び揺れ性能相対評価装置20については詳細を後述する。
なお、図9においては、建物BL1,BL2,・・・は2棟のみが示されているが、実施形態1における揺れ性能相対評価システムにおいては、数十、数百といった多数の建物が存在する場合を想定している。また、「揺れ情報」というのは、実施形態における揺れ性能相対評価システムにおいては、地震による振動波形の特徴を表す「揺れ指標」を指しており、当該「揺れ指標」については詳細を後述する。
ネットワークセンサーNS1、NS2,・・・は、実施形態1における揺れ性能相対評価システムにおいては、建物BL1,BL2,・・・において、建物BL1,BL2,・・・の頂部、建物BL1,BL2,・・・の基部、建物BL1,BL2,・・・の周辺の土地(地表面)の3箇所に設置されている。ここで、建物BL1,BL2,・・・の頂部に設置されているネットワークセンサーを頂部ネットワークセンサーNS1a,NS2a,・・・とし、建物BL1,BL2,・・・の基部に設置されているネットワークセンサーを基部ネットワークセンサーNS1b,NS2b,・・・とし、建物の周辺の土地(地表面)に設置されているネットワークセンサーを地表面ネットワークセンサーNS1c,NS2c,・・・として説明する。なお、「建物の周辺の土地」というのは、各建物の所定位置に含まれるものとする。
なお、建物BL1,BL2,・・・において3箇所ずつ設置されるネットワークセンサーNS1a,NS2a,・・・、NS1b,NS2b,・・・、NS1c,NS2c,・・・は、基本的には同じ構成となっている。このため、以下の説明において、建物BL1,BL2,・・・や当該建物BL1,BL2,・・・における設置個所を特定することなく、全体のネットワークセンサーを指す場合には、この明細書においては便宜的に「ネットワークセンサー10」として説明する。また、建物BL1,BL2,・・・を「各建物」と略記して説明する場合もある。
図10は、実施形態1におけるネットワークセンサー10の構成を示す図である。ネットワークセンサー10は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)半導体で構成される加速度センサー110と、図9に示すGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星14からの電波を受信するGNSS受信機120と、加速度センサー110が出力する振動波形から地震が発生したときの初期微動を検出する初期微動検出部130と、初期微動検出部130が初期微動を検出した後の振動波形に基づく揺れ情報及びGNSS受信機120から得られる時刻情報を含むペイロードデータを作成するペイロードデータ作成部140と、当該ペイロードデータ作成部140で作成されたペイロードデータを送信する送信部150と、加速度センサー110、GNSS受信機120、初期微動検出部130、ペイロードデータ作成部140及び送信部150への電力供給源となる電源としてのバッテリー160と、を有している。
ここで、GNSSは、例えばカーナビで良く使われている技術であり、地球の周囲を飛び回っている複数の人工衛星からの電波を受信することにより、受信点の位置情報を知る技術である。なお、一般には「GPS」という言葉を使われる場合も多く、本発明ではGNSSをGPSと同じ意味で用いる。
加速度センサー110は、上述したようにMEMS半導体で構成される加速度センサーが用いられており、ネットワークセンサー10が設置されている場所において、微弱な加速度の変化を3軸(Ax,Ay,Az)の振動波形として、高感度かつ低ノイズで検出可能である。なお、地震による加速度は、3軸(Ax,Ay,Az)で検出されるが、図10においては図が煩雑になることを防ぐために、3軸(Ax,Ay,Az)を1本の線で示している。
GNSS受信機120は、地球を周回する複数のGNSS衛星14(図9参照。)からの電波を受信し、ネットワークセンサー10が設置されている場所の緯度情報及び経度情報を算出して、ペイロードデータ作成部140のCPU145に送る。また、GNSS受信機120は、1秒毎のパルス(1PPS)及び協定世界時(UTC:Coordinated Universal Time)をCPU145に供給する。GNSS受信機120から供給される時刻情報は誤差1μ秒以下の精度である。
初期微動検出部130は、ローパスフィルター(LPF)131、エンベロープ検出回路(ENV)132、コンパレーター133、ウエイクアップ回路(WakeUp)134を有し、地震が発生したときの初期微動を検出すると、バッテリー160からの電力をペイロードデータ作成部140に供給して当該ペイロードデータ作成部140を起動させる。ここで、ローパスフィルター131は、加速度センサー110が捕えた初期微動の加速度信号を通過させてノイズを取り除くことにより、さらに低ノイズ化する機能を有する。また、エンベロープ検出回路(ENV)132、コンパレーター133、ウエイクアップ回路(WakeUp)134などについては後述する。
ペイロードデータ作成部140は、A/D変換器141、クリスタル発振器142、分周器143、カウンター144、CPU145、不揮発メモリ146を有している。このペイロードデータ作成部140の動作などについては後述する。
バッテリー160は、前述したように、加速度センサー110、GNSS受信機120、初期微動検出部130、ペイロードデータ作成部140及び送信部150への電力供給源となるものである。なお、加速度センサー110及び初期微動検出部130には、常時、電力が供給されている。このため、初期微動検出部130は、常時、加速度センサー110からの出力を取得可能な状態となっている。このように、加速度センサー110及び初期微動検出部130には、常時、電力が供給されているが、MEMS半導体で構成される加速度センサー110は、安価、小型、軽量、低消費電力であり、また、初期微動検出部130は、低消費電力かつ高感度で地震による初期微動を検出し、初期微動を検出しない場合は、そのまま低消費電力の状態が維持される。このため、加速度センサー110及び初期微動検出部130に対して、常時、電力を供給していても、低消費電力の状態が維持される。
また、ネットワークセンサー10は、当該ネットワークセンサー10のアライブ情報(ネットワークセンサー10の現在の状態を示す情報)を作成するための割込み信号を発生する割込み信号発生部170をさらに有している。当該割込み信号発生部170は、極めて消費電力の少ない極低消費電力型のタイマー171と、タイマー171を駆動する電池(例えばコイン電池)172を有しており、地震発生の有無に関係なく、例えば、数年間といった長期間に渡って所定時間ごとに割込み信号をペイロードデータ作成部140に与え、当該割込み信号によってCPU145を起動させる。これによって、CPU145は、長期間に渡って、所定時間ごと(例えば6時間ごと)にアライブ情報を作成する。このアライブ情報については後述する。
図11は、実施形態1におけるネットワークセンサー10の各部の動作を説明するためのタイムチャートである。初期微動検出部130のエンベロープ検出回路132は、加速度センサー110から出力される3軸の出力(振動波形)を加えて一つの振動波形として(図11(A)参照。)、下記(1)式によりエンベロープを検出してエンベロープ波形を出力する(図11(B)参照。)。なお、図11(A)及び図11(B)はそれぞれぞれの波形を模式的に示している。
Env(n)=Sqrt{Ax(n)・Ax(n)+Ay(n)・Ay(n)+Az(n)・Az(n)} ・・・(1)
なお、(1)式において、nはサンプル番号、Sqrt{}は平方根をあらわす。
初期微動検出部130のコンパレーター133は、エンベロープ検出回路132から出力されたエンベロープ波形が所定のレベルTHを超えたことを検出すると、論理‘1’を出力する(図11(C)参照。)。
初期微動検出部130のウエイクアップ回路134は、コンパレーター133が論理‘1’を出力した場合は、初期微動(P波)を検出した可能性があることから、バッテリー160からの電力をペイロードデータ作成部140に供給(PowerON)して(図11(D)参照。)、ペイロードデータ作成部140を起動させる。
具体的には、初期微動検出部130は、バッテリー160からの電力をペイロードデータ作成部140のCPU145に与え、低消費電力のスリープ状態にあったCPU145を起動させる。CPU145が起動することによって、ペイロードデータ作成部140のCPU145以外の各構成要素が起動するとともに、GNSS受信機120及び送信部150も起動する。これにより、GNSS受信機120、ペイロードデータ作成部140及び送信部150が動作可能状態となる。ウエイクアップ回路134は、CPU145からリセットパルス(図11(I)参照。)が発せられるまでの間、「PowerON」の状態に保持する。
なお、GNSS受信機120及び送信部150は、常時、バッテリー160からの電力の供給を受けていてもよく、これらGNSS受信機120及び送信部150は、常時、動作可能状態となっていてもよい。
続いて、ペイロードデータ作成部140の動作について説明する。クリスタル発振器(XO)142は、水晶振動子による発振器であって、実施形態1における揺れ性能相対評価システムにおいては、10MHzの発振を行う。分周器143は、クリスタル発振器142の周波数を1万分の1に分周することにより、1KHzのクロック信号としてA/D変換器141及びカウンター(Count)144に供給する。
カウンター144は、ウエイクアップ回路134によって「PowerON」の状態(図11(D)参照。)、すなわち、初期微動(P波)が検出された後(コンパレーター133の出力が‘1’となった後)において、分周器143で得られる1KHzのクロック信号を順次カウントし(図11(F)参照。)、カウント値CNTをCPU145に与える。すなわち、コンパレーター133の出力が‘1’となったタイミングT1で初期微動(P波)が検出されて、ペイロードデータ作成部140が動作を開始した瞬間にカウンター144はカウント値CNT=0とされ(図11(F)参照。)、このタイミングT1から分周器143で得られる1KHzのクロック信号を順次カウントする。
A/D変換器141は、分周器143からの1KHzのクロック信号をサンプリング周期として、当該1KHzのクロック信号に同期して加速度センサー110からの3軸(Ax,Ay、Az)の振動波形をデジタル信号に変換する。これにより、加速度センサー110からの3軸(Ax,Ay、Az)の振動波形は、クロック信号ごとに所定のビット数(16ビットとする。)で表される振動波形成分情報として作成される。
そして、地震による振動が収束すると、カウンター144によるカウント値CNTはN1となる(図11(F)参照。)。ここで、地震が収束したか否かは、エンベロープ検出回路132の出力が所定のレベルTHを下回ったとき(図11(C)参照。)を地震による振動が収束したと判定できる。また、地震が収束したか否かは、加速度センサー110から得られる加速度信号の絶対レベルが所定時間、低レベルの状態を保持しているか否かをCPU145が監視することによっても判定することができる。
このように、初期微動(P波)が検出された後、地震が収束するまでの間におけるクロック信号のカウント値CNTがN1であるとし、各クロック信号に対応する振動波形成分情報が、この場合、それぞれ16ビットで表されるため、A/D変換器141では、(16×3×N1)ビットでなる振動波形成分情報が作成されることとなる。
そして、カウンター144がカウント値N1をカウントした後において、GNSS衛星14からのGNSS信号をGNSS受信機120が受信し、当該GNSS受信機120がそのGNSS信号に基づいて正しい時刻t1を出力したときのタイミングT3(図11(E)参照。)のカウント値CNTをN2とする(図11(F)参照。)。CPU145においては、GNSS受信機120から得られた正しい時刻t1と、そのときのカウント値N2とから初期微動(P波)が検出されたタイミングT1の時刻を地震発生時刻t0として高精度に求めることができる。すなわち、地震発生時刻t0は下記(2)式により求めることができる。
t0=t1-N2×Δ ・・・(2)
なお、(2)式において、Δ(デルタ)はサンプリング周期であり、ここでは、1000分の1秒(1ミリ秒)である。このようにして、CPU145は、GNSS受信機120から供給された時刻t1に基づいて、地震発生時刻t0を求めることができる。
一方、CPU145は、コンパレーター133の出力が‘1’となって初期微動(P波)が検出され後(タイミングT1以降)において、A/D変換器141で得られた振動波形成分情報(クロック信号ごとに16ビットで表される振動波形成分情報)から揺れ指標(後述する。)を求め、求めた揺れ指標に、ネットワークセンサー10の識別情報(ID)、時間情報などを付加し、これらをまとめてペイロードデータPD1を作成する(図11(G)参照。)。その後、送信部150からペイロードデータPD1を送信する(図11(H)参照。)。そして、すべての処理が終了すると、タイミングT5においてCPU145はResetパルスを出力する(図11(I)参照。)。これにより、初期微動検出部130のウエイクアップ回路134が電力供給をオフする(図11(D)参照。)。
ところで、CPU145が求める「揺れ指標」としては、例えば、震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間の情報を例示することができる。但し、揺れ指標としてこれらすべてを採用する必要はない場合もあり、適宜、選択することができるが、ここでは、震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間の情報を揺れ指標として採用するものとする。そして、これらの揺れ指標に、ネットワークセンサー10の識別符号(ID)、地震発生時刻情報(Hour,Min,Sec)及び拡張用のOptionを付加したペイロードデータPD1(図12参照。)を作成して、当該ペイロードデータPD1、を送信部150から送信する。
図12は、実施形態1におけるペイロードデータ作成部140において作成されるペイロードデータPD1の一例を模式的に示す図である。ペイロードデータPD1は、図12に示すように、16ビットの識別符号(ID)が16ビット、地震発生時刻情報(Hour,Min,Sec)がそれぞれ6ビット、揺れ情報としての揺れ指標が72ビット、拡張用のOptionが22ビットの合計128ビットで構成されている。なお、揺れ指標は、8ビットの震度、16ビットの最大加速度、16ビットの最大速度、16ビットの最大変位、16ビットの揺れの継続時間で構成されている。
ここで、一度に送信するデータ量が128ビット以下であれば、LPWA(Low Power Wide Area-network)による通信が可能となる。このため、実施形態1における揺れ性能相対評価システムにおいては、送信部150と受信部(通信基地局)12との間の通信手段は、LPWAを用いることができる。
以上説明したように、ペイロードデータ作成部140は、加速度センサー110からの振動波形をサンプリング周期が1KHzのクロック信号に同期してA/D変換して、クロック信号ごとに16ビットで表される振動波形成分情報を求め、求めた振動波形成分情報から振動波形の特徴を抽出して当該振動波形の特徴を表す揺れ指標を求める。そして、当該揺れ指標を含んだペイロードデータ(データ量が128ビット以下のペイロードデータ)PD1を作成する。ネットワークセンサー10の送信部150は、振動波形の特徴を表す揺れ指標を含んだペイロードデータ(データ量が128ビット以下のペイロードデータ)PD1を送信する。
図13は、ネットワークセンサー10の動作アルゴリズムを示すフローチャートである。ネットワークセンサー10の動作については、主に図11を参照して既に説明したため、ここでは、各ステップに沿って簡略化して説明する。
まず、ステップSP1において、初期微動検出部130により、低消費電力かつ高感度で初期微動(P波)の検出が繰り返して実行される。P波が検出されない場合(P波レベルがTH未満の場合)は、そのまま低消費電力の状態が維持される。一方、P波が検出された場合(P波レベルがTH以上の場合)は、スリープ状態にあったペイロードデータ作成部140を起動(電源ON)させ(ステップSP2)、ペイロードデータ作成部140が地震による地震加速度(振動波形)を取得する(ステップSP3)。そして、A/D変換を開始するとともにクロック信号をカウントアップして行く(ステップSP4)。ステップSP4の処理は、具体的には、ステップSP3において取得した振動波形を所定のサンプリング周期(ここでは1KHz)のクロック信号に同期してA/D変換して、クロック信号ごとに所定のビット数で表される振動波形成分情報を求めるとともに、クロック信号をカウントアップして行く処理である。
その後、地震が収束したか否かを判定する(ステップSP5)。ステップSP5において、地震が収束していないと判定された場合(「NO」の場合)は、地震加速度(振動波形)を取得する処理(ステップSP3)とクロック信号をカウントアップする処理(ステップSP4)とを継続して行い、地震が収束したと判定された場合(「YES」の場合)は、その間のカウント値CNTをN1(CNT=N1)とするとともにA/D変換を終了する(ステップSP6)。
そして、さらにクロック信号をカウントアップする(ステップSP7)。その後、GNSS受信機120がGNSS時刻(正しい時刻t1)を取得したか否かを判定し(ステップSP8)、GNSS受信機120がGNSS時刻(正しい時刻t1)を取得していなければ、さらにカウントアップする処理を継続する。その後、GNSS受信機120がGNSS時刻(正しい時刻t1)を取得すると、その間のカウント値CNTをN2(CNT=N2)とする(ステップSP9)。
このようにして、正しい時刻t1が得られるまでの間のカウント値CNT(CNT=N2が得られたら、当該カウント値CNT(CNT=N2)と正しい時刻t1とから上述した(2)式により、地震発生時刻t0を計算する(ステップSP10)。その後、CPU145は、揺れ情報としての揺れ指標を算出(作成ともいう。)して、算出した揺れ指標を含んだペイロードデータPD1を作成する(ステップSP11)。なお、実施形態1における揺れ性能相対評価システムにおいては、揺れ指標を算出する処理は、振動波形成分情報から揺れ指標(震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間など)を算出する処理である。そして、揺れ指標が含まれているペイロードデータPD1を送信部150から送信し(ステップSP12)、ペイロードデータ作成部140の電源をOFF状態(スリープ状態)とする(ステップSP13)。
また、実施形態1におけるネットワークセンサー10は、上述した揺れ指標を含むペイロードデータPD1を作成して、作成したペイロードデータPD1を送信する処理を行うだけでなく、各ネットワークセンサー10の現在の状態を示すアライブ情報をペイロードデータとして作成して、作成したペイロードデータ(アライブペイロードデータAPDという。)を送信する機能を有している。
アライブペイロードデータAPDの作成は、割込み信号発生部170(図10参照。)から発せられる割込み信号によって行われる。すなわち、割込み信号発生部170から、所定時間ごと(例えば6時間ごと)に割込み信号発生部170がペイロードデータ作成部140のCPU145に与えられると、割込み信号が与えられるごとに、スリープ状態にあったCPU145が起動するとともに、アライブ情報の作成及び送信に必要な各部が起動してアライブ情報の作成及び作成されたアライブ情報が送信される。
ここで、アライブ情報には、当該ネットワークセンサー10の識別情報(ID)、当該ネットワークセンサー10の状態を表す情報が含まれている。このアライブ情報は、128ビット以内のペイロードデータ(アライブペイロードデータAPD)として構成される。ここで、ネットワークセンサー10の状態を表す情報としては、バッテリー160の残量を示すバッテリー残量情報及びネットワークセンサー10の姿勢を表す姿勢情報などを例示できる。なお、ネットワークセンサー10の識別情報(ID)は、ペイロードデータとしての形式でなく他のデータ形式としても送信可能であるため、ネットワークセンサー10の識別情報(ID)をアライブペイロードデータAPDに含めることは必須ではない。
ところで、ネットワークセンサー10の姿勢は、加速度信号(Ax、Ay,Az)を所定時間(例えば10秒間)積算してから所定定数で割り算することにより得られた各12ビットの平均加速度(Bx,By,Bz)で表すことができる。この平均加速度(Bx,By,Bz)から、加速度センサー110が何等かの外的要因などによって、例えば、横向き又は斜めに傾いたりして加速度センサー110の姿勢が変化したことを検知できる。なお、アライブ情報には、上記各情報の他に、GNSS受信機120から取得した緯度情報及び経度情報が含まれていてもよい。
図14は、アライブペイロードデータAPDの一例を模式的に示す図である。図14に示すアライブペイロードデータAPDにおいて、識別符号(ID)は、ネットワークセンサー10の個体識別番号であって、16ビットで構成される。当該アライブペイロードデータAPDは、識別符号(ID)の他に、5ビットのステータス情報(Status)、24ビットの緯度情報(GNSS)及び24ビットの経度情報(GNSS)、6ビットずつでなるアライブ情報の作成時刻(例えば、平均加速度を求めるために加速度センサー110から加速度信号を取得した時刻(Hour,Min,Sec))、36ビットの平均加速度(Bx,By,Bz)、5ビットの拡張用オプションが図14に示す順序で並んでおり、合計128ビットで構成されている。
なお、図14に示すアライブペイロードデータAPDにおいて、ステータス情報は1ビットのイベント情報(Event)と、デジタル情報化されたバッテリー残量を例えば16段階で表す4ビットのバッテリー残量情報(BAT)とを有している。
イベント情報(Event)は、定常状態の場合は、「0」がセットされ、何らかの異常事態が検出された場合など、非定常の場合は「1」がセットされる。また、GNSS受信機120から得られる緯度情報(GNSS)及び経度情報(GNSS)は、例えば、北緯36.030160度、東経138.155298度といった情報である。緯度情報(GNSS)及び経度情報(GNSS)の小数点以下6桁の情報(上の例では“030160”、“155298”)をBCD(Binary Coded Decimal)で表すことにより、それぞれ24ビットの緯度情報と経度情報に圧縮して、アライブペイロードデータAPDにセットされる。GNSS受信機120から供給される緯度情報及び経度情報の情報により、ネットワークセンサー10の設置位置を知ることができる。
ところで、図12に示したペイロードデータPD1及び図14に示したアライブペイロードデータAPDを作成するための処理は、ここでは、各建物を特定せず、また、各建物における設置個所(建物の頂部、建物基部、地表面)を特定せずに、全体のネットワークセンサー10の処理として説明したが、実際には、各建物の頂部に設置されている頂部ネットワークセンサーNS1a,NS2a,・・・、基部ネットワークセンサーNS1b,NS2b,・・・、地表面ネットワークセンサーNS1c,NS2c,・・・ごとに、図12に示したペイロードデータPD1及び図14に示したアライブペイロードデータAPDを作成するための処理が行われる。
このため、ペイロードデータPD1及びアライブペイロードデータAPDは、ネットワークセンサー10ごと、すなわち、頂部ネットワークセンサーNS1a,NS2a,・・・、基部ネットワークセンサーNS1b,NS2b,・・・、地表面ネットワークセンサーNS1c,NS2c,・・・ごとに作成され、作成されたペイロードデータPD1及びアライブペイロードデータAPDは、頂部ネットワークセンサーNS1a,NS2a,・・・、基部ネットワークセンサーNS1b,NS2b,・・・、地表面ネットワークセンサーNS1c,NS2c,・・・の送信部150から送信される。
続いて、揺れ性能相対評価装置20(図9参照。)について説明する。揺れ性能相対評価装置20は、解析部としてのサーバー210と、サーバー210による解析によって得られた種々の情報(揺れ性能相対評価結果など)を表示する表示端末220と、サーバー210による解析によって得られた種々の情報(揺れ性能相対評価結果など)を蓄積するデータベース230と、気象庁からの地震に関する情報(震源地等地震情報)を取得する地震情報取得部(図示せず。)を有している。なお、地震情報取得部(図示せず。)はサーバー210が地震情報取得部としての機能を有するものであってもよい。
このように構成されている揺れ性能相対評価装置20は、ネットワークセンサー10から送信されたペイロードデータPD1(図12参照。)に含まれる揺れ指標(ここでは、震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間)及び時刻情報を解析部としてのサーバー210で解析して、各建物の揺れ性能相対評価を行うとともに、揺れ性能相対評価結果を表示端末220(パーソナルコンピューター及びスマートフォンなどを含む。)に表示したり、データベース230に書き込んだりする。なお、揺れ性能相対評価については後述する。
また、揺れ性能相対評価装置20は、ネットワークセンサー10から送信されたアライブペイロードデータAPD(図14参照。)に基づいて、ネットワークセンサー10の現在の状態を示す情報(アライブ情報)を取得する。ここでは、取得するアライブ情報としては、識別符号(ID)、バッテリー160の残量、加速度センサー110の姿勢に関する情報としての平均加速度(Bx,By,Bz)、ネットワークセンサー10の緯度情報(GNSS)及び経度情報(GNSS)などを例示できる。なお、取得したアライブ情報は表示端末220で表示させることができる。
図15は、地震が発生した場合に解析部(サーバー210)が行う揺れ性能相対評価について説明するためのフローチャートである。なお、図15に示すフローチャートの右側には、全体の処理の流れに対応した時刻の経過が示されている。また、図15においては、全体の処理の流れに対応してサーバー210が行う処理の流れについて説明し、揺れ指標に基づく揺れ性能相対評価の仕方などについては後述する。
建物BL1に設置されている頂部ネットワークセンサーNS1a、基部ネットワークセンサーNS1b、地表面ネットワークセンサーNS1c、建物BL2に設置されている頂部ネットワークセンサーNS2a、基部ネットワークセンサーNS2b、地表面ネットワークセンサーNS2c、さらに図15においては図示されていない他の多数の建物にそれぞれ設置されている頂部ネットワークセンサー、基部ネットワークセンサー、地表面ネットワークセンサーから送信されてくる各ペイロードデータPD1を受信部12(図9参照。)を介してサーバー210が取得する。
サーバー210は、取得した各ペイロードデータPD1(図12参照。)に含まれている揺れ指標に基づいて揺れ性能相対評価を行う。なお、揺れ指標は、前述したように、震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間を例示できるが、ここでは、揺れ指標として最大速度を用いるものとする。
ここで、サーバー210が行う揺れ性能相対評価の処理ステップについて図15を参照して説明する。サーバー210は、取得した各ペイロードデータPD1(図12参照。)に含まれている揺れ指標から最大速度をそれぞれ取得して(ステップSP21)、取得した揺れ指標(最大速度)に基づく揺れ性能相対評価(順位付けを含む。)を行う(ステップSP22)。なお、揺れ性能相対評価を行う際には、気象庁からの震源等地震情報を取得して行う。
ここでは、揺れ性能相対評価として、(ア)建物の周辺の土地と建物の総合的な揺れ性能相対評価(「土地+建物の総合評価」と表記する場合もある。)、(イ)建物の周辺の土地の揺れ性能相対評価(「土地の評価」と表記する場合もある。)、(ウ)建物の揺れ性能相対評価(「建物の評価」と表記する場合もある。)を行うものとする。なお、この明細書においては、これら(ア)、(イ)及び(ウ)をまとめて説明する場合には、「揺れ性能相対評価」と呼ぶこととする。
そして、「土地+建物の総合評価」、「土地の評価」、「建物の評価」を行ったら、それぞれの揺れ性能相対評価結果(順位付けを含む。)を表示端末220で表示する(ステップSP23)とともに、データベース230に蓄積する(ステップSP24)。その後、揺れ性能相対評価結果(順位付けを含む。)に基づく年総合評価及び経年変化評価を行い(ステップSP25)、これらの評価結果(年総合評価結果及び経年変化評価結果)を表示端末220で表示する(ステップSP26)とともに、データベース230に蓄積する(ステップSP27)。
続いて、揺れ性能相対評価の具体例について説明する。ここでは、揺れ指標として最大速度を用いた場合について説明する。サーバー210は、各建物に設置されている各ネットワークセンサー10から送信されてきたペイロードデータPD1に含まれる揺れ指標(最大速度)と、気象庁から得られる地震に関する情報(震源等地震情報)とに基づいて、各建物での平均的な揺れの傾向線を求め、当該各建物での平均的な揺れの傾向線と各建物に対応して得られた揺れ指標(最大速度)とから各建物の揺れ性能相対評価を行う。
ここで、各建物に設置されている各ネットワークセンサー10から送信されてきたペイロードデータPD1に含まれる揺れ指標(最大速度)は、各建物の所在地により異なってくる。一般に、地震の揺れの大きさは、震源から遠くなるほど減衰して小さくなることが知られている。震源からの距離に応じて揺れが小さくなることを「距離減衰」と呼ぶ。
そこで、揺れ指標(最大速度)を震源からの距離で正規化することで、当該建物の揺れ指標(最大速度)と他の建物の揺れ指標(最大速度)とを相対的に比較することができる。具体的には、揺れ性能相対評価対象となる複数の建物における各建物において、各建物に対応して求められている揺れ指標(最大速度)と各建物の震源からの距離との関係の平均、つまり、震源からの距離に応じて徐々に減衰する所定の距離減衰式を求めて、全建物での平均的な揺れの傾向線を求める。なお、「全建物」というのは、揺れ性能相対評価対象となる複数の建物における各建物(建物BL1,BL2,・・・)を指している。以下、全建物での平均的な揺れの傾向線の「全建物での」省略して「平均的な揺れの傾向線」と略記する場合もある。ここで、「平均的な揺れの傾向線」は、後述する図16(a)、図17(a)及び図18(a)において直線L1,L2,L3で表される。
また、「平均的な揺れの傾向線」というのは、震源からの距離が遠くなれば、揺れ指標(最大速度)は、平均的にはこの程度の大きさになる傾向があるということを示すものである。従って、各建物それぞれにおいて得られる揺れ指標(最大速度)が、「平均的な揺れの傾向線」上に存在する値よりも高い値であれば、当該建物は相対的に揺れが大きい(揺れやすい)ということがわかり、揺れ指標(最大速度)が、「平均的な揺れの傾向線」上に存在する値よりも低い値であれば、当該建物は相対的に揺れが小さい(揺れにくい)ということがわかる。
但し、「建物の評価」は、ある建物の基部の揺れ指標に対する当該建物の頂部の揺れ指標の倍率(揺れ指標比)によって評価するものであり、建物自体の性能を評価するものである。従って、「平均的な揺れの傾向線」は、震源からの距離に依存しないため、図18(a)における直線L3で示すように、震源からの距離に依存せず一定となっている。ここで、上記「揺れ指標比」というのは、ペイロードデータから取得される揺れ指標が最大速度である場合には、最大速度比である。すなわち、建物の頂部の揺れ指標(最大速度Vtop)と建物の基部の揺れ指標(最大速度Vbottom)との比(Vtop/Vbottom)である。
図16、図17及び図18は、揺れ性能相対評価の一例について説明する図である。図16は「土地+建物の総合評価」を説明するための図であり、図17は「土地の評価」を説明するための図であり、図18は「建物の評価」を説明するための図である。なお、図16の「土地+建物の総合評価」においては、「平均的な揺れの傾向線」は直線L1で表されるため「平均的な揺れの傾向線L1」とし、図17の「土地の評価」においては、「平均的な揺れの傾向線」は直線L2で表されるため「平均的な揺れの傾向線L2」とし、図18の「建物の総合評価」においては、「平均的な揺れの傾向線」は直線L3で表されるため「平均的な揺れの傾向線L3」として説明する。
また、図16(a)、図17(a)及び図18(a)のうちの図16(a)及び図17(a)は各建物において得られた揺れ指標(最大速度)と「平均的な揺れの傾向線L1,L2」との関係を説明するための図であり、図18(a)は各建物において得られた揺れ指標比(最大速度比)と「平均的な揺れの傾向線L3」との関係を説明するための図である。なお、図16(a)、図17(a)及び図18(a)において、白抜きの○印は各建物に対応するデータを表している。一方、図16(b)、図17(b)及び図18(b)は、図16(a)、図17(a)及び図18(a)に基づいて揺れ性能相対評価を行うことによって得られた揺れ性能相対評価結果(順位付け)の一例を示す図である。
図19は、「土地+建物の総合評価」、「土地の評価」及び「建物の評価」を行う際の揺れ指標(例えば最大速度)の取得について説明するために示す図である。なお、図19においては、建物BL1が例示されているが、他の建物BL2、・・・においても同様である。
「土地+建物の総合評価」を行う際には、各建物それぞれの頂部に設置されている頂部ネットワークセンサーNS1a,NS2a,・・・から送信されてきた各ペイロードデータに含まれている各建物に対応した揺れ指標を、各建物に対応した「頂部揺れ指標」としたとき、当該「頂部揺れ指標」として、各建物における最大速度Vtopを取得し、取得した各建物の最大速度Vtopを「土地+建物の総合評価」を行う際の揺れ指標として用いる。
また、「土地の評価」を行う際には、各建物それぞれの周辺の土地(地表面)に設置されている地表面ネットワークセンサーNS1c,NS2c,・・・から送信されてきた各ペイロードデータに含まれている各建物の周辺の土地に対応した揺れ指標を、各建物の周辺の土地に対応した「土地揺れ指標」としたとき、当該「土地揺れ指標」として、各建物の周辺の土地における最大速度Vsoilを取得し、取得した各建物の周辺の土地における最大速度Vsoilを「土地の評価」を行う際の揺れ指標として用いる。
また、「建物の評価」すなわち建物自体の評価を行う際には、各建物それぞれの頂部に設置されている頂部ネットワークセンサーNS1a,NS2a,・・・から送信されてきた各ペイロードデータに含まれている各建物に対応した揺れ指標を、各建物に対応した「頂部揺れ指標」とし、また、各建物それぞれの基部に設置されている基部ネットワークセンサーNS1b、NS2b,・・・から送信されてきた各ペイロードデータに含まれている各建物に対応した揺れ指標を、各建物に対応した基部揺れ指標としたとき、当該頂部揺れ指標として最大速度Vtopを取得し、基部揺れ指標として最大速度Vbottomを取得する。
そして、取得した頂部揺れ指標(最大速度Vtop)と基部揺れ指標(最大速度Vbottom)との比(揺れ指標比)を各建物に対応して求めて、求めた各建物に対応した揺れ指標比を用いて「建物の揺れ性能相対評価」を行う。なお、「揺れ指標比」というのは、前述したように、最大速度比(Vtop/Vbottom)である。
ここで、「土地+建物の総合評価」に用いる揺れ指標(最大速度)は、前述したように、震源からの距離に依存する。このため、「平均的な揺れの傾向線L1」は、図16(a)に示すように、震源からの距離が遠くなるに従って最大速度が小さくなる。このことは「土地の評価」についても同様のことが言える(図17(a)参照。)。
一方、「建物の評価」は、前述したように、当該建物の基部の揺れ指標に対する当該建物の頂部の揺れ指標の倍率によって評価するものであり、建物自体の性能を評価するものであるため、震源からの距離に依存しない。このため、図18(a)に示すように「平均的な揺れの傾向線L3」は、震源からの距離に依存せず一定となっている。
図16、図17及び図18に戻って「土地と建物の総合評価(建物の周辺の土地と建物の総合的な揺れ性能相対評価)」、「土地の評価(建物の周辺の土地の揺れ性能相対評価)」及び「建物の評価(建物の揺れ性能相対評価)」の一例について説明する。
[土地+建物の総合評価(建物の周辺の土地と建物の総合的な揺れ性能相対評価)]
「土地+建物の総合評価」について図16(a)及び図16(b)を参照して説明する。なお、図16においては、白抜きの○印の数(建物の数)は、9個のみが示されているが、揺れ性能比相対評価対象となる全建物の数は、実際には、数十、数百といった建物が存在しているものとする。なお、これは、後述する「土地の評価」を説明するための図17及び「建物の評価」を説明するための図18においても同様である。
図16(a)において、建物BL1に注目すると、当該建物BL1においては、建物BL1における揺れ指標(最大速度)は、「平均的な揺れの傾向線L1」よりも低い値であるものの、「平均的な揺れの傾向線L1」に対する乖離の度合い(揺れにくさ側の乖離の度合い)は非常に小さいものとなっている。このことから、当該建物BL1(土地+建物BL1)の揺れ性能は、平均的な揺れ性能に近いものといえる。
また、建物BL2に注目すると、当該建物BL2においては、建物BL2における揺れ指標(最大速度)は、「平均的な揺れの傾向線L1」よりもかなり高い値であり、「平均的な揺れの傾向線L1」に対する乖離の度合い(揺れやすさ側の乖離の度合い)が大きいものとなっている。このことから、当該建物BL2(土地+建物BL2)の揺れ性能は、平均的な揺れ性能に比べて、揺れやすいものといえる。
このようにして、各建物から得られる揺れ指標(最大速度)が「平均的な揺れの傾向線L1」に対して、揺れやすさ側又は揺れにくさ側にどの程度乖離しているか(乖離の度合い)を求めることができ、求められた乖離の度合いから当該建物の揺れやすさを知ることができる。そして、求められた乖離の度合いを、「平均的な揺れの傾向線L1」を基準とした偏差値として表すことができる。例えば、「平均的な揺れの傾向線L1」を「偏差値50」とし、乖離の度合いが揺れやすさ側に大きければ、揺れやすいため「例えば偏差値30」、乖離の度合いが揺れにくさ側に大きければ、揺れにくいため「例えば偏差値70」というように表すことができる。
各建物において、最大速度の偏差値を求めることにより、図16(b)に示すように、土地+建物の総合評価(順位付け)を行うことができる。例えば、建物BL1における土地+建物の総合評価結果は、揺れにくさの順位(ランキング)としては、全建物の中で、ほぼ中間のグループに属していることがわかる。なお、図16(b)における横軸は揺れにくさ(揺れやすさ)を表しており、縦軸は度数(全建物の数)を表している。
[土地の評価(建物の周辺の土地の揺れ性能相対評価)]
「土地の評価」について図17(a)及び図17(b)を参照して説明する。ここでも、建物BL1の周辺の土地に注目すると、当該建物BL1の周辺の土地においては、建物BL1の周辺の土地(ネットワークセンサーNS1bが設置されている土地)における最大速度は、「平均的な揺れの傾向線L2」よりも低い値であるものの、「平均的な揺れの傾向線L2」に対する乖離の度合い(揺れにくさ側の乖離の度合い)は非常に小さいものとなっている。このことから、当該建物BL1の周辺の土地は、平均的な揺れ性能に近いものといえる。
また、建物BL2の周辺の土地に注目すると、当該建物BL2の周辺の土地においては、建物BL2の周辺の土地における揺れ指標(最大速度)は、「平均的な揺れの傾向線L2」よりもかなり高い値であり、「平均的な揺れの傾向線L2」に対する乖離の度合い(揺れやすさ側の乖離の度合い)が大きいものとなっている。このことから、当該建物BL2の周辺の土地は、平均的な揺れ性能に比べて、揺れやすいものといえる。
このようにして、各建物の周辺の土地から得られる揺れ指標(最大速度)が「平均的な揺れの傾向線L2」に対して、どの程度乖離しているか(乖離の度合い)を求めることができ、求められた乖離の度合いから当該建物の周辺の土地の揺れやすさを知ることができる。そして、求められた乖離の度合いを、「平均的な揺れの傾向線L2」を基準とした偏差値として表すことができる。例えば、「平均的な揺れの傾向線L2」を「偏差値50」とし、乖離の度合いが揺れやすさ側に大きければ、揺れやすいため「例えば偏差値30」、乖離の度合いが揺れにくさ側に大きければ、揺れにくいため「例えば偏差値70」というように表すことができる。
各建物の周辺の土地において、最大速度の偏差値を求めることにより、図17(b)に示すように、土地の評価(順位付け)を行うことができる。例えば、建物BL1における土地の評価結果は、揺れにくさの順位(ランキング)としては、全建物の中にで、ほぼ中間のグループに属していることがわかる。なお、図17(b)における横軸は揺れにくさ(揺れやすさ)を表しており、縦軸は度数(全建物の数)を表している。
[建物の評価(建物の揺れ性能相対評価)]
「建物の評価」について図18(a)及び図18(b)を参照して説明する。ここでも、建物BL1に注目すると、当該建物BL1においては、建物BL1における最大速度比(Vtop/Vbottom)は、「平均的な揺れの傾向線L3」よりも低い値であるものの、「平均的な揺れの傾向線L3」に対する乖離の度合い(揺れにくさ側の乖離の度合い)は非常に小さいものとなっている。このことから、当該建物BL1の揺れ性能は、平均的な揺れ性能に近ものといえる。
また、建物BL2に注目すると、当該建物BL2においては、建物BL2における最大速度比(Vtop/Vbottom))は、「平均的な揺れの傾向線L3」よりもかなり高い値であり、「平均的な揺れの傾向線L3」に対する乖離の度合い(揺れやすさ側の乖離の度合い)が大きいものとなっている。このことから、当該建物BL2の揺れ性能は、平均的な揺れ性能に比べて、揺れやすいものといえる。
そして、各建物における最大速度比(Vtop/Vbottom)が「平均的な揺れの傾向線L3」に対して、どの程度乖離しているか(乖離の度合い)を、「平均的な揺れの傾向線L3」を基準とした偏差値として表すことができる。例えば、「平均的な揺れの傾向線L3」を「偏差値50」とし、乖離の度合いが揺れやすさ側に大きければ、揺れやすいため「例えば偏差値30」、乖離の度合いが揺れにくさ側に大きければ、揺れにくいため「例えば偏差値70」というように表すことができる。
各建物において、最大速度比(Vtop/Vbottom)の偏差値が求められることにより、図18(b)に示すように、建物の評価(順位付け)を行うことができる。例えば、建物BL1における建物の評価結果は、揺れにくさの順位(ランキング)としては、全建物の中にで、ほぼ中間のグループに属していることがわかる。なお、図18(b)における横軸は揺れにくさ(揺れやすさ)を表しており、縦軸は度数(全建物の数)を表している。
また、実施形態1における揺れ性能相対評価システムによれば、各建物の所定位置(頂部、基部及び周辺の土地)に設置されている各ネットワークセンサー10から送信されてきたペイロードデータに基づいて揺れ性能評価を行うことができるとともに、その結果としての揺れ性能相対評価結果(例えば、図16(b)、図17(b)及び図18(b))を得ることができる。このような揺れ性能相対評価結果は、表示端末220で表示することができるとともに、データベース230に蓄積することができる。
そして、データベース230に蓄積されている蓄積データ(揺れ性能相対評価結果)を用いて、各建物について、揺れ性能相対評価結果(順位付け)に基づく年総合評価及び経年変化評価を行い、これらの評価結果(年総合評価結果及び経年変化評価結果)を表示端末220で表示するとともに、データベース230に蓄積することができる。なお、経年変化評価を行う処理には、例えば、データベース230に蓄積されている蓄積データ(揺れ性能相対評価結果)を分析して、各建物の揺れ性能相対評価結果の時系列変化を求めるといった処理も含まれている。
また、実施形態1における揺れ性能相対評価システムにおいては、大きな地震が発生したときのみに揺れ性能相対評価を行うものではなく、日々継続して振動波形を検出し続けて、所定レベル以上(例えば震度2以上)の揺れを検出した場合に、当該揺れに対応する揺れ指標に基づいて揺れ性能相対評価を継続的に行い、その揺れ性能相対評価結果を長期間に渡ってデータベース230に蓄積して行くものである。このため、データベース230に蓄積されている蓄積データは、揺れ性能相対評価を行う際に信頼性の高いものとなる。また、このようにして得られた揺れ性能相対評価結果は、建物の耐震性を評価する際の基礎情報として大いに活用できる。
ところで、上述した揺れ性能相対評価を行う際においては、解析部としてのサーバー210は、気象庁からからの地震に関する情報を受信していない期間は、各ネットワークセンサー10からの揺れ情報(この場合、揺れ指標)に関する解析を行わないようにすることが好ましい。例えば、ある建物の近くで、大きな振動を伴う工事などが行われた場合に、地震とは異なる揺れによる振動波形が取得されて、図12に示すようなペイロードデータPD1が作成されて当該ペイロードデータPD1が送信されてしまう場合がある。このような場合、気象庁からの地震に関する情報を受信していない期間は、揺れ性能相対評価装置20のサーバー210側では、ペイロードデータPD1に含まれている揺れ指標は、地震による揺れ指標ではないと判断して、解析処理を行わないようにすることができる。
一方、ネットワークセンサー10側においても、気象庁からからの地震に関する情報を受信するようにしておけば、気象庁からからの地震に関する情報を受信していない期間は、初期微動が検出されたとしても、図12に示すようなペイロードデータPD1を作成しないようにすることもできる。また、気象庁からからの地震に関する情報を受信していない期間において、図12に示すようなペイロードデータPD1が作成されてしまった場合であっても、当該ペイロードデータを送信しないようにすることも可能である。これにより、建物の近くで、大きな振動を伴う工事などによる揺れが発生した場合などのように、地震とは異なる揺れが生じていても、誤ったペイロードデータが作成されてしまったり、誤ったペイロードデータが送信されてしまったりすることを未然に防止できる。
なお、図14に示すアライブペイロードデータAPDにおいては、アライブ情報として緯度情報及び経度情報も含まれているが、各ネットワークセンサー10の設置位置を移動しなければ、緯度情報及び経度情報は変化しないため、緯度情報及び経度情報をその都度、
送信する必要はないといえる。
2.揺れ性能を考慮した取引条件決定方法
図20は、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定方法のフローチャートである。
実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定方法は、中央処理装置およびメモリ装置を少なくとも備える1または2以上のコンピュータを用いて複数の建物に属する特定の建物に関する取引条件を決定する方法である。実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定方法は、図20に示すように、評価結果作成ステップS10と、格付けステップS20と、評価結果記憶ステップS30と、評価結果読出ステップS40と、取引条件決定ステップS50と、を含む。
評価結果作成ステップS10は、揺れ情報の取得及び建物の相対評価を行うステップであり、ネットワークセンサー10及び揺れ性能相対評価装置20を用いて実施する。
格付けステップS20は、揺れ性能又は建物地震リスクから格付けを行うステップであり、格付け部30を用いて実施する。
評価結果記憶ステップS30は、揺れ性能又は建物地震リスクを記憶するステップであり、評価結果記憶部40を用いて実施する。
評価結果読出ステップS40は、揺れ性能を考慮した取引条件決定方法を使用する使用者の指示に基づき、複数の建物に属する特定の建物の評価結果を読み出すステップであり、評価結果読出部50を用いて実施する。
取引条件決定ステップS50は、評価結果読出ステップS40で読み出された特定の建物の評価結果に基づいて、特定の建物に関する取引条件を決定するステップであり、取引条件決定部を用いて実施する。
3.揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1及び方法の効果
以下、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1及び方法の効果について説明する。
実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1は、揺れ性能又は建物地震リスクを記憶する評価結果記憶部40と、システムを使用する使用者の指示に基づき、複数の建物に属する特定の建物の評価結果を評価結果記憶部40から読み出す評価結果読出部50と、評価結果読出部50から読み出された特定の建物の評価結果に基づいて、特定の建物に関する取引条件を決定する取引条件決定部60と、を備えるため、多数の建物の揺れ性能(又は建物地震リスク)を相対的に評価した評価結果に基づいて建物取引(例えば、損害保険取引、建物売買取引、建物賃貸取引など)についての取引条件を決定し、もって、建物取引における地震リスクを低減できる取引条件決定システムとなる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、取引条件決定部60は、特定の建物の評価結果が所定の基準に照らして特定の建物の建物所有者に好ましいものである場合には、取引条件を、評価結果を考慮せずに決定した場合の取引条件と比較して、特定の建物の前記建物所有者に有利な条件に決定するため、建物所有者が建物取引にあたって特定の建物の評価を向上させようとする動機を与えることが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、取引条件決定部60は、特定の建物の評価結果が所定の基準に照らして特定の建物の建物所有者に好ましくないものである場合には、取引条件を、評価結果を考慮せずに決定した場合の取引条件と比較して、特定の建物の建物所有者に不利な条件に決定するため、建物所有者が建物取引にあたって特定の建物の評価を向上させようとする動機を与えることが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、評価結果記憶部40は、複数の建物に属する個々の建物のそれぞれを、揺れ性能又は建物地震リスクに応じて設定した複数のランクのうちいずれかのランクに格付けした結果を揺れ情報に基づく評価結果として記憶し、取引条件決定部60は、特定の建物のランクに基づいて、特定の建物に関する取引条件を決定するため、ランクというわかりやすい基準を介して取引条件を決定することが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、複数の建物に属する個々の建物のそれぞれを、揺れ性能又は建物地震リスクに応じて設定した複数のランクのうちいずれかのランクに格付けする格付け部30を備えるため、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1の中で格付けすることが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、評価結果記憶部40は、新たな建物についてランクに格付けした結果を評価結果記憶部40に記憶する場合には、新たな建物に関して既に評価されている耐震性能に基づいて格付けした結果を記憶するため、揺れ性能の取得(実質的に地震の発生)を待たずに新たな建物についての取引条件を決定することが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、評価結果記憶部40は、所定の耐震改修又は所定の地盤改良をしたときにランクがどの程度ランクアップされるかに関する情報であるランクアップ情報を記憶しておくとともに、評価結果記憶部40は、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされたとき、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過するまでは、ランクアップ情報を用いて決定したランクをランクとして記憶し、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過した後は、実測して得られる揺れ情報を用いて決定したランクをランクとして記憶する場合には、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされた後、揺れ性能の取得(実質的に地震の発生)を待たずに、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされた建物についての取引条件を決定することが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、評価結果記憶部40は、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされたとき、所定の耐震改修又は所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過するまでは、ランクアップ情報を用いて決定したランクよりも有利なランクに格付けされたランクをランクとして記憶し、所定の耐震改修又は所定の地盤改良をした後所定期間が経過した後は、実測して得られる揺れ情報を用いて決定したランクをランクとして記憶する場合には、所定の耐震改修又は所定の地盤改良を実施するインセンティブを建物所有者に与えることが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、評価結果記憶部40は、評価結果記憶部40に登録された複数の建物に属する個々の建物のいずれかについての揺れ性能又は建物地震リスクが変更された後、揺れ性能又は建物地震リスクの変更後の情報に基づいて作成した母集団に基づいて更新された複数のランク情報の新たな記憶を所定のタイミングで行うため、個々の建物のいずれかについての揺れ性能又は建物地震リスクが変更されても、的確な取引条件を決定することが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、取引条件は、特定の建物の全部又は一部を対象とする損害保険料に関する取引条件であるため、地震リスクに基づく適切な損害保険料を決定することが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムを使用する損害保険会社ごとに取引条件を決定する場合には、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムを使用する損害保険会社が複数存在する場合であっても、適切な取引条件を決定することが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、複数の建物の揺れ情報を実測により取得するネットワークセンサー10(揺れ情報取得部)と、ネットワークセンサー10(揺れ情報取得部)により取得された複数の建物の揺れ情報から複数の建物の揺れ性能を一括して相対評価する揺れ性能相対評価装置20(揺れ性能相対評価部)と、を備える揺れ性能相対評価システムを備えるため、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1の枠組みの中で揺れ情報の取得及び揺れ性能の相対評価を行うことが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1においては、揺れ性能相対評価システムは、各建物に設置されているネットワークセンサー10側では、加速度センサー110が出力する振動波形に基づく揺れ情報を含むペイロードデータPD1を作成して、当該ペイロードデータPD1を送信し、揺れ性能相対評価装置20側では、各建物に設置されている各ネットワークセンサー10から送信されてきたペイロードデータPD1を受信し、受信したペイロードデータPD1に含まれる揺れ情報を解析して、各建物の揺れ性能相対評価を行うようにしている。これにより、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、多数の建物を一括して揺れ性能評価を行って、多数の建物の揺れ性能を相対的に評価することができる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、評価結果記憶部40は、揺れ性能相対評価システムにおける揺れ性能相対評価の対象となる複数の建物についての建物所有者のうち、揺れ情報に基づく評価結果を利用する第1の建物所有者と、揺れ情報のみを利用する第2の建物所有者とに分けて記憶し、取引条件決定システムは、第1の建物所有者に対しては取引条件に加えて揺れ情報に基づく評価結果を提供可能であり、第2の建物所有者に対しては揺れ情報のみを提供可能である場合には、取引条件決定システム1の契約態様に応じて揺れ情報のみを利用者に提供することも可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1によれば、地震リスクを低減する、前記揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、耐震改修又は地盤改良を促進する、国土強靭化に資する、及び、取引を円滑に進める、のうち少なくとも1つのためのシステムであるため、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1の使用及び普及を通じて社会に良い影響を与えることが可能となる。
また、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定方法は、揺れ性能又は建物地震リスクを記憶する評価結果記憶ステップS30と、方法を使用する使用者の指示に基づき、複数の建物に属する特定の建物の評価結果を読み出す評価結果読出ステップS40と、評価結果読出ステップS40で読み出された特定の建物の評価結果に基づいて、特定の建物に関する取引条件を決定する取引条件決定ステップS50と、を含むため、多数の建物の揺れ性能(又は建物地震リスク)を相対的に評価した評価結果に基づいて建物取引(例えば、損害保険取引、建物売買取引、建物賃貸取引など)についての取引条件を決定し、もって、建物取引における地震リスクを低減できる取引条件決定方法となる。
[実施形態2]
図21及び図22は、実施形態2に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法を模式的に示す図である。
実施形態2に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム(図示せず。)は、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1と基本的に同様の構成を有するが、使用方法が異なる。
実施形態2における取引条件は、特定の建物の全部又は一部を対象とする損害保険料に関する取引条件である。ここで、実施形態2に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法について、図21及び図22を用いて説明する。実施形態2においては、損害保険会社US2と損害保険契約を結ぼうと考えているのは、特定の建物BLを所有する建物所有者US1から特定の建物BLを買おうと考えている建物買主US3(図21参照。)又は特定の建物BLを所有する建物所有者US1から特定の建物BLを借りようと考えている建物借主US4(図22参照。)である。この場合、取引条件決定システムの所有者である取引支援会社TSは、取引条件決定システムの利用者である建物所有者US1、損害保険会社US2及び建物買主US3又は建物借主US4の少なくとも一者に揺れ情報に基づく取引条件を提示する。
実施形態2に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムによれば、多数の建物の揺れ性能(又は建物地震リスク)を相対的に評価した評価結果に基づいて建物取引(この場合損害保険取引)についての取引条件を決定し、もって、建物取引における地震リスクを低減できる。また、実施形態2に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1が有する効果のうち該当する効果を有する。
[実施形態3]
図23は、実施形態3に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法を模式的に示す図である。
実施形態3に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム(図示せず。)は、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1と基本的に同様の構成を有するが、使用方法(決定する取引条件)が異なる。
実施形態3における取引条件は、特定の建物の全部又は一部の売買価格に関する取引条件である。ここで、実施形態3に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法について、図23を用いて説明する。例えば、特定の建物BLを所有する建物所有者US1と建物買主US3とが建物売買契約を結ぼうと考えているとする。揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、特定の建物BLの揺れ情報を取得して売買価格に関する取引条件を決定する。そして、取引条件決定システムの所有者である取引支援会社TSは、取引条件決定システムの利用者である建物所有者US1及び建物買主US3の少なくとも一者に揺れ情報に基づく取引条件(売買価格)を提示する。
実施形態3に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムによれば、多数の建物の揺れ性能(又は建物地震リスク)を相対的に評価した評価結果に基づいて建物取引(この場合売買取引)についての取引条件を決定し、もって、建物取引における地震リスクを低減できる。また、実施形態3に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1が有する効果のうち該当する効果を有する。
また、実施形態3に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムによれば、取引条件は、特定の建物の全部又は一部の売買価格に関する取引条件であるため、地震リスクに基づく適切な売買価格を決定することが可能となる。
[実施形態4]
図24は、実施形態4に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法を模式的に示す図である。
実施形態4に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム(図示せず。)は、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1と基本的に同様の構成を有するが、使用方法(決定する取引条件)が異なる。
実施形態4における取引条件は、特定の建物の全部又は一部の賃貸料金に関する取引条件である。ここで、実施形態4に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムの使用方法について、図24を用いて説明する。例えば、特定の建物BLを所有する建物所有者US1と建物借主US4とが建物売買契約を結ぼうと考えているとする。揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、特定の建物BLの揺れ情報を取得して賃貸価格に関する取引条件を決定する。そして、取引条件決定システムの所有者である取引支援会社TSは、取引条件決定システムの利用者である建物所有者US1及び建物借主US4の少なくとも一者に揺れ情報に基づく取引条件(賃貸価格)を提示する。
実施形態4に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムによれば、多数の建物の揺れ性能(又は建物地震リスク)を相対的に評価した評価結果に基づいて建物取引(この場合賃貸取引)についての取引条件を決定し、もって、建物取引における地震リスクを低減できる。また、実施形態4に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1が有する効果のうち該当する効果を有する。
また、実施形態4に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムによれば、取引条件は、特定の建物の全部又は一部の賃貸料金に関する取引条件であるため、地震リスクに基づく適切な賃貸料金を決定することが可能となる。
[実施形態5]
図25は、実施形態5に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム2を模式的に示す図である。
実施形態5に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム2は、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1と基本的に同様の構成を有するが、損害保険金算出部をさらに備える点で取引条件決定システム1とは異なる。
実施形態5に係る取引条件決定システム2は、図25に示すように、所定震度以上の地震の発生に応じて前記損害保険金を算出する損害保険金算出部70をさらに備える。損害保険金算出部70は、所定震度以上の地震が起こったとき、特定の建物の被災状況に基づくのではなく、所定震度以上の地震が起こったときにおける特定の建物の揺れ情報に基づいて、損害保険金を算出する。なお、揺れ情報だけではエラー等(異常データ等)が発生する可能性があるため、損害保険金算出部70を用いる場合には、過去のデータから揺れ情報が正常かどうか判定することが好ましい。
実施形態5に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム2によれば、所定震度以上の地震の発生に応じて損害保険金を算出する損害保険金算出部70をさらに備え、損害保険金算出部70は、所定震度以上の地震が起こったとき、特定の建物の被災状況に基づくのではなく、所定震度以上の地震が起こったときにおける特定の建物の揺れ情報に基づいて、損害保険金を算出するため、損害保険金の支払いまでの時間の短縮化や労力の低減が可能となる。
また、実施形態5に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム2によれば、損害保険金算出部70をさらに備える点以外は、実施形態1に係る実施形態1に係る取引条件決定システム1が有する構成をそのまま有するため、実施形態1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1が有する効果のうち該当する効果を有する。
[実施形態6]
上述した実施形態1における揺れ性能相対評価システムにおいては、ネットワークセンサー10が送信するペイロードデータに含まれる揺れ情報としては、地震による振動波形の特徴を表す揺れ指標(震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間など)を用いている。
すなわち、ネットワークセンサー10のペイロードデータ作成部140は、振動波形を所定のサンプリング周期のクロック信号に同期させてA/D変換して、クロック信号ごとに所定のビット数(16ビット)で表される振動波形成分情報を作成し、当該振動波形成分情報から当該振動波形の特徴を抽出して当該振動波形の特徴を表す揺れ指標を求めている。そして、当該振動波形の特徴を表す揺れ指標(震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間など)を含んだペイロードデータPD1(データ量が128ビット以下のペイロードデータPD1)を作成し、当該ペイロードデータPD1を送信部150から送信するようにしている。
これに対して、実施形態6に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム(全体を図示せず。)の揺れ性能相対評価システムにおいては、振動波形の特徴を表す揺れ指標を作成する前段階のデータ、すなわち、クロック信号ごとに所定のビット数(16ビット)で表される振動波形成分情報を揺れ情報として含んだペイロードデータを送信部150から送信するようにしている。
すなわち、実施形態6における揺れ性能相対評価システムにおいては、ネットワークセンサー11のペイロードデータ作成部140は、地震波形を所定のサンプリング周期(1KHz)のクロック信号に同期させてA/D変換して、クロック信号ごとに16ビットで表される振動波形成分情報を作成し、当該クロック信号ごとに16ビットで表される振動波形成分情報を含んだペイロードデータ(ペイロードデータPD2とする。)を作成する。そして、ネットワークセンサー11の送信部150からは、クロック信号ごとに16ビット数で表される振動波形成分情報を含んだペイロードデータPD2を送信するようにしている。
図26は、実施形態6における揺れ性能相対評価システムを模式的に示す図である。
図27は、実施形態6における揺れ性能相対評価システムのネットワークセンサー11におけるペイロードデータ作成部140において作成されるペイロードデータPD2の一例を示す図である。
実施形態6における揺れ性能相対評価システムのネットワークセンサー11の構成などは、実施形態1における揺れ性能相対評価システムの説明において用いた図10を用いることができる。また、ネットワークセンサー11の動作などは、図11及び図13を用いることができる。このため、実施形態6における揺れ性能相対評価システムのネットワークセンサー11の構成及び動作を説明する際には、必要に応じて図10、図11及び図13を用いるものとする。
なお、図13に示すフローチャートにおけるステップSP1~SP10までの処理は、実施形態1において説明した処理と基本的には同様であるが、実施形態6においては、ペイロードデータ作成(ステップSP11)が実施形態1における揺れ性能相対評価システムと異なる。
すなわち、実施形態1におけるステップSP11の処理は、揺れ情報として「振動波形の特徴を表す揺れ指標(震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間など)」を含んだペイロードデータPD1(図12参照。)を作成する処理であったが、実施形態6においては、揺れ情報として「クロック信号ごとに16ビットで表される振動波形成分情報」を含んだペイロードデータPD2を作成する処理である。
そして、クロック信号ごとに16ビットで表される振動波形成分情報が含まれているペイロードデータPD2を送信部150から送信し(ステップSP12)、ペイロードデータ作成部140の電源をOFF状態(スリープ状態)とする(ステップSP13)。
実施形態6におけるネットワークセンサー11のペイロードデータ作成部140において作成されるペイロードデータPD2は、図27に示すように、識別符号(ID)が24ビット、ステータス情報(Status)が8ビット、緯度情報及び経度情報がそれぞれ24ビット、地震発生時刻t0に関する情報が48ビット、カウンター244のカウント値(CNT=N1)が16ビット、揺れ情報(振動波形成分情報(Ax,Ay,Az))が16ビット×3×N1の合計(18+N1×2×3)バイトのデータ量を有するものとなっている。
なお、ステータス情報はOption(4ビット)、バッテリー残量を16段階で表すBAT情報(4ビット)で構成される。また、地震発生時刻t0に関する情報は、年(Year)、月(Month)、日(Day),時(Hour)、分(Min)、ミリ秒(msec)を有し、合計48ビットの情報で表されている。
このように、実施形態6における揺れ性能相対評価システムにおいては、ネットワークセンサー11(図26参照。)のペイロードデータ作成部140(図10参照。)において作成されるペイロードデータPD2は、データ量が128ビットを超えるため、送信部150と受信部12との間の通信手段としては、電話回線又はインターネットを用いる。ここで、電話回線には、有線の電話回線だけではなく、LTE(Long Term Evolution)、5G,6Gなどの携帯電話回線も含まれる。なお、携帯電話回線を用いる場合には、実施形態6においては、受信部12は、図26に示すように、各建物(建物BL1,BL2、・・)に近い位置に存在する携帯電話通信用の通信基地を用いることができる。
一方、揺れ性能相対評価装置20の解析部としてのサーバー210は、ネットワークセンサー11から送信されてきたペイロードデータPD2に含まれる振動波形成分情報を取得して、取得した振動波形成分情報から揺れ指標(震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間など)を作成するための処理を行う。
このように、実施形態6における揺れ性能相対評価システムにおいては、揺れ性能相対評価装置20のサーバー210側において、ネットワークセンサー11から送信されてきたペイロードデータPD2(図27参照。)に含まれている振動波形成分情報(Ax,Ay,Az)から揺れ指標(震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間など)を作成する処理を行う。
このようにして、揺れ性能相対評価装置20のサーバー210側で揺れ指標(震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間など)を算出すれば、当該揺れ指標に基づいた揺れ性能相対評価(「土地+建物の総合評価」、「土地の評価」及び「建物の評価」)は、実施形態1において、図16~図18を参照して説明した揺れ性能相対評価と同様に実施できる。従って、実施形態6における揺れ性能相対評価システムにおいては、揺れ指標に基づいた揺れ性能相対評価についての説明は省略する。
実施形態6における揺れ性能相対評価システムにおいても、実施形態1における揺れ性能相対評価システムと同様に、揺れ性能相対評価対象となる全建物を管理する管理者は、データベース230に蓄積されている揺れ性能相対評価に関するデータに基づいて、揺れ性能相対評価対象となる全建物の揺れ性能を把握することができるとともに、各建物の揺れ性能を相対的に評価することができる。従って、これを用いた「揺れ性能を考慮した取引条件決定システム」においても、多数の建物の揺れ性能(又は建物地震リスク)を相対的に評価した評価結果に基づいて建物取引(例えば、損害保険取引、建物売買取引、建物賃貸取引など)についての取引条件を決定し、もって、建物取引における地震リスクを低減できる取引条件決定システム及び方法を提供することができる。
また、実施形態6における揺れ性能相対評価システムにおいても、実施形態1における揺れ性能相対評価システムと同様に、各ネットワークセンサー11からは、例えば図14に示すようなアライブペイロードデータAPDを所定時間ごと(例えば6時間ごと)に送信する機能を有している。これにより、全建物を管理する管理者は、表示端末に表示されている各ネットワークセンサーのNSの現在の状態(各ネットワークセンサー11の現時点におけるバッテリー残量、当該ネットワークセンサー11の姿勢など)を知ることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能で
ある。
(1)上記各実施形態に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、揺れ性能評価システム(ネットワークセンサー10及び揺れ性能相対評価装置20)を備えているが、本発明はこれに限定されるものではない。図28は、変形例1に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム3を模式的に示す図である。変形例1に係る取引条件決定システム3は、図28に示すように、揺れ性能評価システムを備えていない。取引条件決定システム3は、揺れ性能等については、外部の揺れ性能評価システム1000から取得する。このように、取引条件決定システム自体が揺れ性能評価システムを備えていなくてもよい。
(2)上記各実施形態及び変形例1に係る、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、格付け部30を備えているが本発明はこれに限定されるものではない。図29は、変形例2に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム1aを模式的に示す図である。図30は、変形例3に係る揺れ性能を考慮した取引条件決定システム3aを模式的に示す図である。例えば、図29及び図30に示す取引条件決定システム1a及び取引条件決定システム3aのように、格付け部を備えていなくてもよい。この場合、取引条件決定システム1a及び取引条件決定システム3aは、揺れ性能評価システムからの情報をそのまま用いて取引条件を決定する。
(3)上記各実施形態においては、各ネットワークセンサー10,11は、電力供給源としての電源は、バッテリー160を用いた場合を例示したが、バッテリーであることに限られるものではなく、例えば、100ボルトのAC電源であってもよい。また、外部のAC電源からのAC電流をネットワークセンサーの各部に適した電圧のDC電流に変換する変換回路からなる電源であってもよい。
(4)上記各実施形態においては、各ネットワークセンサー10,11にはGNSS受信機120を設けた場合を例示したが、各ネットワークセンサー10,11にGNSS受信機120を設けることは必須ではない。
(5)上記各実施形態においては、図10に示すような構成の初期微動検出部130により、地震の初期微動を検出してネットワークセンサー10,11を動作させる場合を例示したが、必ずしも初期微動検出部を設ける必要はなく、例えば、加速度センサー110から出力される振動波形を各ネットワークセンサー10,11に継続的に入力させて、ネットワークセンサー10,11に入力された振動波形をA/D変換器141で継続的にA/D変換するようにしてもよく、また、A/D変換器141において、振動波形が所定レベルTH以上となったことを判定して、所定レベルTH以上となった後の振動波形をA/D変換するようにしてもよい。
(6)上記各実施形態においては、各ネットワークセンサー10,11から送信するアライブペイロードデータAPD(図14参照。)には、当該ネットワークセンサー10,11の位置情報(緯度情報及び経度情報)が含まれている場合を例示したが、ネットワークセンサー10,11の位置情報(緯度情報及び経度情報)は、揺れ性能相対評価装置20側に予め登録しておけば、当該ネットワークセンサー10,11の設置位置に変更がない限り、その都度、送信する必要はないともいえる。
(7)上記各実施形態においては、揺れ指標としては、震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間のうちの最大速度を採用した場合を例示したが、最大速度以外の揺れ指標(震度、最大加速度、最大変位、揺れの継続時間など)を採用してもよい。また、震度、最大加速度、最大速度、最大変位、揺れの継続時間などのうちの複数の揺れ指標を採用することもできる。この場合は、採用した複数の揺れ指標において、各揺れ指標が「平均的な揺れの傾向線」に対する乖離の度合いを求め、求められた各指標における乖離の度合いを偏差値として算出し、算出した偏差値を重み付け平均して、偏差値を重み付け平均した結果に基づいて揺れ性能相対性評価を行うということも可能である。さらに、揺れ指標としては、上述の最大速度、震度、最大加速度、最大変位、揺れの継続時間などの指標だけでなく、例えば、SI(Spectral Intensity)値、減衰定数、振動周期、スペクトル情報などを用いることもできる。
(8)上記各実施形態においては、ネットワークセンサー10,11は、各建物において、建物の頂部、建物の基部及び建物の周辺の土地(地表面)の3箇所に設置する場合を例示したが、必ずしも3箇所であることに限られるものではなく、これら3箇所のうちの1箇所であってもよい。
(9)上記各実施形態においては、受信部12は図9に示すように、屋外に設置されている通信基地局などを例示したが、受信部12はサーバー210が設置されている建物内に存在していてもよい。また、屋外に設置されている場合であっても、揺れ性能相対評価対象となる建物が、広範囲に渡って存在する場合などにおいては、それぞれの地域ごとに設置されている複数の受信部(通信基地局)であってもよい。
(10)上記各実施形態において、データベース230に蓄積するデータは、揺れ性能相対評価結果だけではなく、各建物において得られた建物ごとの揺れ指標として、例えば、震度、最大加速度(gal)、最大速度(cm/sec)、最大変位(cm)、揺れの継続時間(sec)などを、日時情報(年月日分秒)及び各建物の識別情報(例えば建物名)に対応付けて蓄積することもできる。また、これらの揺れ指標は、表示端末220に随時表示させることもできる。これにより、揺れ性能相対評価対象となる全建物を管理する管理者は、データベース230に蓄積されている揺れ指標に基づいて、各建物及び各建物の周辺の土地の揺れ性能を個々の建物ごとに把握することができる。
1,1a,2,3,3a・・・取引条件決定システム、10,11(NS1,NS2,・・・)・・・ネットワークセンサー、20・・・揺れ性能相対評価装置、12・・受信部、14・・・GNSS衛星、30・・・格付け部、40・・・評価結果記憶部、50・・・評価結果読出部、60・・・取引条件決定部、70・・・損害保険金算出部、110・・・加速度センサー、120・・・GNSS受信機、130・・・初期微動検出部、140・・・ペイロードデータ作成部、150・・・送信部、160・・・バッテリー、170・・・割込み信号発生部、210・・・サーバー(解析部)、220・・・表示端末、230・・・データベース(蓄積部)、1000・・・揺れ性能相対評価システム、BL1,BL2、・・・建物(各建物)、L1,L2,L3・・・平均的な揺れの傾向線、NS1a、NS2a,・・・頂部ネットワークセンサー、NS1b、NS2b,・・・基部ネットワークセンサー、NS1c、NS2c,・・・地表面ネットワークセンサー、PD1,PD2・・・ペイロードデータ、APD・・・アライブペイロードデータ

Claims (46)

  1. 中央処理装置およびメモリ装置を少なくとも備える1または2以上のコンピュータを用いて複数の建物に属する特定の建物に関する取引条件を決定するシステムであって、
    地震発生時における前記複数の建物の揺れを実測して得られる揺れ情報に基づく評価結果であって前記複数の建物に属する個々の建物の前記揺れ情報を前記複数の建物間で相対評価して得られる揺れ性能又は前記揺れ性能に基づいて評価した建物地震リスクを記憶する評価結果記憶部と、
    前記システムを使用する使用者の指示に基づき、前記複数の建物に属する前記特定の建物の前記評価結果を前記評価結果記憶部から読み出す評価結果読出部と、
    前記評価結果読出部から読み出された前記特定の建物の前記評価結果に基づいて、前記特定の建物に関する取引条件を決定する取引条件決定部と、を備え、
    前記評価結果記憶部は、前記複数の建物に属する前記個々の建物のそれぞれを、前記揺れ性能又は前記建物地震リスクに応じて設定した複数のランクのうちいずれかのランクに格付けした結果を前記揺れ情報に基づく評価結果として記憶し、
    前記取引条件決定部は、前記特定の建物の前記ランクに基づいて、前記特定の建物に関する取引条件を決定し、
    前記評価結果記憶部は、所定の耐震改修又は所定の地盤改良をしたときに前記ランクがどの程度ランクアップされるかに関する情報であるランクアップ情報を記憶しておくとともに、
    前記評価結果記憶部は、前記所定の耐震改修又は前記所定の地盤改良がなされたとき、前記所定の耐震改修又は前記所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過するまでは、前記ランクアップ情報を用いて決定したランクを前記ランクとして記憶し、前記所定の耐震改修又は前記所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過した後は、実測して得られる揺れ情報を用いて決定したランクを前記ランクとして記憶することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  2. 請求項1に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記取引条件決定部は、前記特定の建物の前記評価結果が所定の基準に照らして前記特定の建物の建物所有者に好ましいものである場合には、前記取引条件を、前記評価結果を考慮せずに決定した場合の取引条件と比較して、前記特定の建物の前記建物所有者に有利な条件に決定することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  3. 請求項1に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記取引条件決定部は、前記特定の建物の前記評価結果が所定の基準に照らして前記特定の建物の建物所有者に好ましくないものである場合には、前記取引条件を、前記評価結果を考慮せずに決定した場合の取引条件と比較して、前記特定の建物の前記建物所有者に不利な条件に決定することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記複数の建物に属する前記個々の建物のそれぞれを、前記揺れ性能又は前記建物地震リスクに応じて設定した複数のランクのうちいずれかのランクに格付けする格付け部をさらに備えることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記評価結果記憶部は、新たな建物について前記ランクに格付けした結果を前記評価結果記憶部に記憶する場合には、前記新たな建物に関して既に評価されている耐震性能に基づいて格付けした結果を記憶することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記評価結果記憶部は、前記所定の耐震改修又は前記所定の地盤改良がなされたとき、前記所定の耐震改修又は前記所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過するまでは、前記ランクアップ情報を用いて決定したランクよりも有利なランクに格付けされたランクを前記ランクとして記憶し、前記所定の耐震改修又は前記所定の地盤改良をした後所定期間が経過した後は、実測して得られる揺れ情報を用いて決定したランクを前記ランクとして記憶することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記評価結果記憶部は、前記評価結果記憶部に登録された前記複数の建物に属する前記個々の建物のいずれかについての前記揺れ性能又は前記建物地震リスクが変更された後、前記揺れ性能又は前記建物地震リスクの変更後の情報に基づいて作成した母集団に基づいて更新された前記複数のランク情報の新たな記憶を所定のタイミングで行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  8. 請求項1~のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記取引条件は、前記特定の建物の全部又は一部を対象とする損害保険料に関する取引条件であることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  9. 請求項に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記揺れ性能を考慮した取引条件決定システムを使用する損害保険会社ごとに前記取引条件を決定することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  10. 請求項8又は9に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    所定震度以上の地震の発生に応じて前記損害保険金を算出する損害保険金算出部をさらに備え、
    前記損害保険金算出部は、前記所定震度以上の地震が起こったとき、前記特定の建物の被災状況に基づくのではなく、前記所定震度以上の地震が起こったときにおける前記特定の建物の前記揺れ情報に基づいて、前記損害保険金を算出することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  11. 請求項1~のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記取引条件は、前記特定の建物の全部又は一部の売買価格に関する取引条件であることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  12. 請求項1~のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記取引条件は、前記特定の建物の全部又は一部の賃貸料金に関する取引条件であることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記複数の建物の前記揺れ情報を実測により取得する揺れ情報取得部と、前記揺れ情報取得部により取得された前記複数の建物の前記揺れ情報から前記複数の建物の揺れ性能を一括して相対評価する揺れ性能相対評価部と、を備える揺れ性能相対評価システムをさらに備えることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  14. 請求項13に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記揺れ情報取得部は、加速度センサーと、前記加速度センサーが出力する振動波形に基づく揺れ情報を含むペイロードデータを作成するペイロードデータ作成部と、前記ペイロードデータ作成部で作成された前記ペイロードデータを送信する送信部と、を有し、揺れ性能相対評価対象となる複数の建物における各建物の所定位置に設置される複数のネットワークセンサーであり、
    前記性能相対評価部は、前記各ネットワークセンサーから送信された前記ペイロードデータを受信部を介して受信し、前記ペイロードデータに含まれる前記揺れ情報を解析して、前記各建物の揺れ性能相対評価を行う解析部を有する揺れ性能相対評価装置であることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  15. 請求項14に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記各ネットワークセンサーは、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機をさらに有し、
    前記ペイロードデータ作成部は、前記揺れ情報に加えて、前記GNSS受信機から得られる時刻情報を含んだペイロードデータを作成することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  16. 請求項14又は15に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記各ネットワークセンサーは、前記各建物について、建物の頂部、建物の基部、及び、建物の周辺の土地のうち少なくとも1箇所に設置されていることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  17. 請求項16に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記送信部と前記受信部との間の通信手段として、LPWA(Low Power Wide Area-network)を用い、
    前記ペイロードデータ作成部は、前記揺れ情報として、前記振動波形を所定のサンプリング周期のクロック信号に同期してA/D変換して、前記クロック信号ごとに所定のビット数で表される振動波形成分情報を求め、当該振動波形成分情報から前記振動波形の特徴を抽出して当該振動波形の特徴を表す揺れ指標を求めるとともに、当該揺れ指標を含んだペイロードデータを作成する機能を有し、
    前記解析部は、前記ペイロードデータに含まれている前記揺れ指標を解析して前記各建物の揺れ性能相対評価を行う機能を有することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  18. 請求項16に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記送信部と前記受信部との間の通信手段として、電話回線又はインターネットを用い、
    前記ペイロードデータ作成部は、前記揺れ情報として、前記振動波形を所定のサンプリング周期のクロック信号に同期してA/D変換して、前記クロック信号ごとに所定のビット数で表される振動波形成分情報を求め、当該振動波形成分情報を含んだペイロードデータを作成する機能を有し、
    前記解析部は、前記ペイロードデータに含まれている前記振動波形成分情報から前記振動波形の特徴を抽出して当該振動波形の特徴を表す揺れ指標を求めて、当該揺れ指標を解析して前記各建物の揺れ性能相対評価を行う機能を有することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  19. 請求項17又は18に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記揺れ指標は、震度、最大加速度、最大速度、最大変位及び揺れの継続時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  20. 請求項17~19のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記揺れ性能相対評価装置は、気象庁からの地震に関する情報を取得する地震情報取得部をさらに有し、前記解析部が前記揺れ性能相対評価を行う際には、気象庁から発せられる震源を含む地震に関する情報を用いることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  21. 請求項20に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記解析部は、気象庁からの地震に関する情報を受信していない期間は、前記揺れ性能相対評価を行わないことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  22. 請求項20又は21に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記解析部は、前記揺れ指標と、前記地震に関する情報に基づいて、前記複数の建物での「平均的な揺れの傾向線」を求め、当該「平均的な揺れの傾向線」と前記各建物に対応して得られた前記揺れ指標とから前記揺れ性能相対評価を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  23. 請求項22に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記揺れ性能相対評価には、「建物の周辺の土地と建物の総合的な揺れ性能相対評価」、「建物の周辺の土地の揺れ性能相対評価」及び「建物の揺れ性能相対評価」のうちの少なくとも1つが含まれていることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  24. 請求項23に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記「建物の周辺の土地と建物の総合的な揺れ性能相対評価」を行う際には、
    前記各建物の頂部に設置されている各ネットワークセンサーから送信されてくるペイロードデータに含まれている各建物に対応した揺れ指標を、各建物に対応した「頂部揺れ指標」としたとき、
    当該各建物に対応した「頂部揺れ指標」に基づいて、前記地震に関する情報に含まれる震源からの距離に応じた前記複数の建物での「平均的な揺れの傾向線」を求め、当該「平均的な揺れの傾向線」と前記各建物に対応した「頂部揺れ指標」とから前記「建物の周辺の土地と建物の総合的な揺れ性能相対評価」を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  25. 請求項23に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記「建物の周辺の土地の揺れ性能相対評価」を行う際には、
    前記各建物の周辺の土地に設置されている各ネットワークセンサーから送信されてくるペイロードデータ含まれている各建物の周辺の土地に対応した揺れ指標を、各建物の周辺の土地に対応した「土地揺れ指標」としたとき、
    当該各建物の周辺の土地に対応した「土地揺れ指標」に基づいて、前記地震に関する情報に含まれる震源からの距離に応じた前記複数の建物での「平均的な揺れの傾向線」を求め、当該「平均的な揺れの傾向線」と前記各建物の周辺の土地に対応した「土地揺れ指標」とから前記「建物の周辺の土地の揺れ性能相対評価」を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  26. 請求項23に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記「建物の揺れ性能相対評価」を行う際には、
    前記各建物の頂部に設置されているネットワークセンサーから送信されてくるペイロードデータに含まれている各建物に対応した揺れ指標を、各建物に対応した「頂部揺れ指標」とし、前記各建物の基部に設置されているネットワークセンサーから送信されてくるペイロードデータに含まれている各建物に対応した揺れ指標を、各建物に対応した「基部揺れ指標」としたとき、
    当該各建物に対応した「頂部揺れ指標」と、前記各建物に対応した「基部揺れ指標」との比を各建物における「揺れ指標比」として求め、当該各建物における「揺れ指標比」に基づいて、前記複数の建物での「平均的な揺れの傾向線」を求め、当該「平均的な揺れの傾向線」と前記各建物における前記「揺れ指標比」とから前記「建物の揺れ性能相対評価」を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  27. 請求項22~26のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記解析部が前記揺れ性能相対評価を行う際には、前記「平均的な揺れの傾向線」からの乖離の度合いに基づいた偏差値を前記各建物に対応して求め、当該偏差値によって前記揺れ性能相対評価を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  28. 請求項14~27のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記解析部が行う前記揺れ性能相対評価には、前記各建物に対応して行われた揺れ性能相対評価に基づいて、前記複数の建物の中での前記各建物の揺れ性能相対評価の順位付け又は偏差値作成を行う処理が含まれていることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  29. 請求項14~28のいずれかに記載の揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    揺れ性能相対評価装置は、前記解析部によって解析された前記揺れ性能相対評価を蓄積する蓄積部をさらに有し、
    前記解析部は、前記蓄積部に蓄積された前記揺れ性能相対評価を用いて、前記各建物の経年変化を求め、
    前記取引条件決定部は、前記経年変化を考慮して取引条件を決定することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  30. 請求項13~29のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記評価結果記憶部は、当該揺れ性能相対評価システムにおける揺れ性能相対評価の対象となる前記複数の建物についての建物所有者のうち、前記揺れ情報に基づく評価結果を利用する第1の建物所有者と、前記揺れ情報のみを利用する第2の建物所有者とに分けて記憶し、
    前記取引条件決定システムは、前記第1の建物所有者に対しては前記取引条件に加えて前記揺れ情報に基づく評価結果を提供可能であり、前記第2の建物所有者に対しては前記揺れ情報のみを提供可能であることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  31. 請求項1~30のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、地震リスクを低減する、耐震改修又は地盤改良を促進する、国土強靭化に資する、及び、取引を円滑に進める、のうち少なくとも1つのためのシステムであることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  32. 中央処理装置およびメモリ装置を少なくとも備える1または2以上のコンピュータを用いて複数の建物に属する特定の建物に関する取引条件を決定するシステムであって、
    地震発生時における前記複数の建物の揺れを実測して得られる揺れ情報に基づく評価結果であって前記複数の建物に属する個々の建物の前記揺れ情報を前記複数の建物間で相対評価して得られる揺れ性能又は前記揺れ性能に基づいて評価した建物地震リスクを記憶する評価結果記憶部と、
    前記システムを使用する使用者の指示に基づき、前記複数の建物に属する前記特定の建物の前記評価結果を前記評価結果記憶部から読み出す評価結果読出部と、
    前記評価結果読出部から読み出された前記特定の建物の前記評価結果に基づいて、前記特定の建物に関する取引条件を決定する取引条件決定部と、
    前記複数の建物の前記揺れ情報を実測により取得する揺れ情報取得部と、前記揺れ情報取得部により取得された前記複数の建物の前記揺れ情報から前記複数の建物の揺れ性能を一括して相対評価する揺れ性能相対評価部と、を備える揺れ性能相対評価システムとを備え、
    前記揺れ情報取得部は、加速度センサーと、前記加速度センサーが出力する振動波形に基づく揺れ情報を含むペイロードデータを作成するペイロードデータ作成部と、前記ペイロードデータ作成部で作成された前記ペイロードデータを送信する送信部と、を有し、揺れ性能相対評価対象となる複数の建物における各建物の所定位置に設置される複数のネットワークセンサーであり、
    前記性能相対評価部は、前記各ネットワークセンサーから送信された前記ペイロードデータを受信部を介して受信し、前記ペイロードデータに含まれる前記揺れ情報を解析して、前記各建物の揺れ性能相対評価を行う解析部を有する揺れ性能相対評価装置であり、
    前記各ネットワークセンサーは、前記各建物について、建物の頂部、建物の基部、及び、建物の周辺の土地のうち少なくとも1箇所に設置されており、
    前記送信部と前記受信部との間の通信手段として、LPWA(Low Power Wide Area-network)を用い、
    前記ペイロードデータ作成部は、前記揺れ情報として、前記振動波形を所定のサンプリング周期のクロック信号に同期してA/D変換して、前記クロック信号ごとに所定のビット数で表される振動波形成分情報を求め、当該振動波形成分情報から前記振動波形の特徴を抽出して当該振動波形の特徴を表す揺れ指標を求めるとともに、当該揺れ指標を含んだペイロードデータを作成する機能を有し、
    前記解析部は、前記ペイロードデータに含まれている前記揺れ指標を解析して前記各建物の揺れ性能相対評価を行う機能を有し、
    前記揺れ性能相対評価装置は、気象庁からの地震に関する情報を取得する地震情報取得部をさらに有し、前記解析部が前記揺れ性能相対評価を行う際には、気象庁から発せられる震源を含む地震に関する情報を用い、
    前記解析部は、前記揺れ指標と、前記地震に関する情報に基づいて、前記複数の建物での「平均的な揺れの傾向線」を求め、当該「平均的な揺れの傾向線」と前記各建物に対応して得られた前記揺れ指標とから前記揺れ性能相対評価を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  33. 中央処理装置およびメモリ装置を少なくとも備える1または2以上のコンピュータを用いて複数の建物に属する特定の建物に関する取引条件を決定するシステムであって、
    地震発生時における前記複数の建物の揺れを実測して得られる揺れ情報に基づく評価結果であって前記複数の建物に属する個々の建物の前記揺れ情報を前記複数の建物間で相対評価して得られる揺れ性能又は前記揺れ性能に基づいて評価した建物地震リスクを記憶する評価結果記憶部と、
    前記システムを使用する使用者の指示に基づき、前記複数の建物に属する前記特定の建物の前記評価結果を前記評価結果記憶部から読み出す評価結果読出部と、
    前記評価結果読出部から読み出された前記特定の建物の前記評価結果に基づいて、前記特定の建物に関する取引条件を決定する取引条件決定部と、
    前記複数の建物の前記揺れ情報を実測により取得する揺れ情報取得部と、前記揺れ情報取得部により取得された前記複数の建物の前記揺れ情報から前記複数の建物の揺れ性能を一括して相対評価する揺れ性能相対評価部と、を備える揺れ性能相対評価システムとを備え、
    前記揺れ情報取得部は、加速度センサーと、前記加速度センサーが出力する振動波形に基づく揺れ情報を含むペイロードデータを作成するペイロードデータ作成部と、前記ペイロードデータ作成部で作成された前記ペイロードデータを送信する送信部と、を有し、揺れ性能相対評価対象となる複数の建物における各建物の所定位置に設置される複数のネットワークセンサーであり、
    前記性能相対評価部は、前記各ネットワークセンサーから送信された前記ペイロードデータを受信部を介して受信し、前記ペイロードデータに含まれる前記揺れ情報を解析して、前記各建物の揺れ性能相対評価を行う解析部を有する揺れ性能相対評価装置であり、
    前記各ネットワークセンサーは、前記各建物について、建物の頂部、建物の基部、及び、建物の周辺の土地のうち少なくとも1箇所に設置されており、
    前記送信部と前記受信部との間の通信手段として、電話回線又はインターネットを用い、
    前記ペイロードデータ作成部は、前記揺れ情報として、前記振動波形を所定のサンプリング周期のクロック信号に同期してA/D変換して、前記クロック信号ごとに所定のビット数で表される振動波形成分情報を求め、当該振動波形成分情報を含んだペイロードデータを作成する機能を有し、
    前記解析部は、前記ペイロードデータに含まれている前記振動波形成分情報から前記振動波形の特徴を抽出して当該振動波形の特徴を表す揺れ指標を求めて、当該揺れ指標を解析して前記各建物の揺れ性能相対評価を行う機能を有し、
    前記揺れ性能相対評価装置は、気象庁からの地震に関する情報を取得する地震情報取得部をさらに有し、前記解析部が前記揺れ性能相対評価を行う際には、気象庁から発せられる震源を含む地震に関する情報を用い、
    前記解析部は、前記揺れ指標と、前記地震に関する情報に基づいて、前記複数の建物での「平均的な揺れの傾向線」を求め、当該「平均的な揺れの傾向線」と前記各建物に対応して得られた前記揺れ指標とから前記揺れ性能相対評価を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  34. 請求項32又は33に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記各ネットワークセンサーは、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機をさらに有し、
    前記ペイロードデータ作成部は、前記揺れ情報に加えて、前記GNSS受信機から得られる時刻情報を含んだペイロードデータを作成することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  35. 請求項32又は33に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記揺れ指標は、震度、最大加速度、最大速度、最大変位及び揺れの継続時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  36. 請求項32又は33に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記解析部は、気象庁からの地震に関する情報を受信していない期間は、前記揺れ性能相対評価を行わないことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  37. 請求項32又は33に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記揺れ性能相対評価には、「建物の周辺の土地と建物の総合的な揺れ性能相対評価」、「建物の周辺の土地の揺れ性能相対評価」及び「建物の揺れ性能相対評価」のうちの少なくとも1つが含まれていることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  38. 請求項37に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記「建物の周辺の土地と建物の総合的な揺れ性能相対評価」を行う際には、
    前記各建物の頂部に設置されている各ネットワークセンサーから送信されてくるペイロードデータに含まれている各建物に対応した揺れ指標を、各建物に対応した「頂部揺れ指標」としたとき、
    当該各建物に対応した「頂部揺れ指標」に基づいて、前記地震に関する情報に含まれる震源からの距離に応じた前記複数の建物での「平均的な揺れの傾向線」を求め、当該「平均的な揺れの傾向線」と前記各建物に対応した「頂部揺れ指標」とから前記「建物の周辺の土地と建物の総合的な揺れ性能相対評価」を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  39. 請求項37に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記「建物の周辺の土地の揺れ性能相対評価」を行う際には、
    前記各建物の周辺の土地に設置されている各ネットワークセンサーから送信されてくるペイロードデータ含まれている各建物の周辺の土地に対応した揺れ指標を、各建物の周辺の土地に対応した「土地揺れ指標」としたとき、
    当該各建物の周辺の土地に対応した「土地揺れ指標」に基づいて、前記地震に関する情報に含まれる震源からの距離に応じた前記複数の建物での「平均的な揺れの傾向線」を求め、当該「平均的な揺れの傾向線」と前記各建物の周辺の土地に対応した「土地揺れ指標」とから前記「建物の周辺の土地の揺れ性能相対評価」を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  40. 請求項37に記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記「建物の揺れ性能相対評価」を行う際には、
    前記各建物の頂部に設置されているネットワークセンサーから送信されてくるペイロードデータに含まれている各建物に対応した揺れ指標を、各建物に対応した「頂部揺れ指標」とし、前記各建物の基部に設置されているネットワークセンサーから送信されてくるペイロードデータに含まれている各建物に対応した揺れ指標を、各建物に対応した「基部揺れ指標」としたとき、
    当該各建物に対応した「頂部揺れ指標」と、前記各建物に対応した「基部揺れ指標」との比を各建物における「揺れ指標比」として求め、当該各建物における「揺れ指標比」に基づいて、前記複数の建物での「平均的な揺れの傾向線」を求め、当該「平均的な揺れの傾向線」と前記各建物における前記「揺れ指標比」とから前記「建物の揺れ性能相対評価」を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  41. 請求項32~40のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記解析部が前記揺れ性能相対評価を行う際には、前記「平均的な揺れの傾向線」からの乖離の度合いに基づいた偏差値を前記各建物に対応して求め、当該偏差値によって前記揺れ性能相対評価を行うことを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  42. 請求項32~41のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記解析部が行う前記揺れ性能相対評価には、前記各建物に対応して行われた揺れ性能相対評価に基づいて、前記複数の建物の中での前記各建物の揺れ性能相対評価の順位付け又は偏差値作成を行う処理が含まれていることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  43. 請求項32~42のいずれかに記載の揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    揺れ性能相対評価装置は、前記解析部によって解析された前記揺れ性能相対評価を蓄積する蓄積部をさらに有し、
    前記解析部は、前記蓄積部に蓄積された前記揺れ性能相対評価を用いて、前記各建物の経年変化を求め、
    前記取引条件決定部は、前記経年変化を考慮して取引条件を決定することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  44. 請求項32~43のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記評価結果記憶部は、当該揺れ性能相対評価システムにおける揺れ性能相対評価の対象となる前記複数の建物についての建物所有者のうち、前記揺れ情報に基づく評価結果を利用する第1の建物所有者と、前記揺れ情報のみを利用する第2の建物所有者とに分けて記憶し、
    前記取引条件決定システムは、前記第1の建物所有者に対しては前記取引条件に加えて前記揺れ情報に基づく評価結果を提供可能であり、前記第2の建物所有者に対しては前記揺れ情報のみを提供可能であることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  45. 請求項32~44のいずれかに記載の、揺れ性能を考慮した取引条件決定システムにおいて、
    前記揺れ性能を考慮した取引条件決定システムは、地震リスクを低減する、耐震改修又は地盤改良を促進する、国土強靭化に資する、及び、取引を円滑に進める、のうち少なくとも1つのためのシステムであることを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
  46. 中央処理装置およびメモリ装置を少なくとも備える1または2以上のコンピュータを用いて複数の建物に属する特定の建物に関する取引条件を決定する方法であって、
    地震発生時における前記複数の建物の揺れを実測して得られる揺れ情報に基づく評価結果であって前記複数の建物に属する個々の建物の前記揺れ情報を前記複数の建物間で相対評価して得られる揺れ性能又は前記揺れ性能に基づいて評価した建物地震リスクを記憶する評価結果記憶ステップと、
    前記方法を使用する使用者の指示に基づき、前記複数の建物に属する前記特定の建物の前記評価結果を読み出す評価結果読出ステップと、
    前記評価結果読出ステップで読み出された前記特定の建物の前記評価結果に基づいて、前記特定の建物に関する取引条件を決定する取引条件決定ステップと、を含み、
    前記評価結果記憶ステップにおいては、前記複数の建物に属する前記個々の建物のそれぞれを、前記揺れ性能又は前記建物地震リスクに応じて設定した複数のランクのうちいずれかのランクに格付けした結果を前記揺れ情報に基づく評価結果として記憶し、
    前記取引条件決定ステップにおいては、前記特定の建物の前記ランクに基づいて、前記特定の建物に関する取引条件を決定し、
    前記評価結果記憶ステップにおいては、所定の耐震改修又は所定の地盤改良をしたときに前記ランクがどの程度ランクアップされるかに関する情報であるランクアップ情報を記憶しておくとともに、
    前記評価結果記憶ステップにおいては、前記所定の耐震改修又は前記所定の地盤改良がなされたとき、前記所定の耐震改修又は前記所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過するまでは、前記ランクアップ情報を用いて決定したランクを前記ランクとして記憶し、前記所定の耐震改修又は前記所定の地盤改良がなされた後所定期間が経過した後は、実測して得られる揺れ情報を用いて決定したランクを前記ランクとして記憶することを特徴とする、揺れ性能を考慮した取引条件決定システム。
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