JP7442336B2 - 高誘電率及び高絶縁破壊電界強度を有する誘電体薄膜を含む金属-ポリマーコンデンサー - Google Patents

高誘電率及び高絶縁破壊電界強度を有する誘電体薄膜を含む金属-ポリマーコンデンサー Download PDF

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Description

本発明は、コンデンサー、より詳細には、金属-ポリマーコンデンサー、特に、いわゆる高電圧用途のものに関する。
本発明はまた、そのような金属-ポリマーコンデンサーを製造する方法にも関する。
「金属/絶縁体/金属」(MIM)薄膜型コンデンサーとは、2つの金属電極の間に誘電体材料が巻かれた構造体である。誘電体材料は、可撓性でなければならず、一般に、有機型(含浸紙、油、及びポリマー)である。
エネルギー変換のための高電圧コンデンサーの需要は、電気自動車の発展に伴って継続的に増加している。現在の高効率電力変換モジュールでは、コンデンサーは、数多くの基準を満たすことが求められるが、具体的には、コンデンサーは、
- 寄生抵抗及び寄生インダクタンスを抑えるために、回路のできるだけ近くに、すなわち、できるだけ最短の接続距離で接続されなければならず、
- 例えば、回路と垂直に配置して、モジュールに集積化できるように、非常に薄くなければならず(<1mm)、
- 高い絶縁破壊電圧(≧200MV/m)を有さなければならず、
- 高い誘電率(≧50)を有さなければならず、
- 低い電気損失(<10-2)を有さなければならず、
- 良好な温度安定性(少なくとも、100℃まで)を有さなければならない。
現在のところ、高い絶縁破壊電圧(最大650MV/m)を有する極めて薄いポリマー薄膜(最大60μm)を製造することが可能である。薄膜は、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はポリエーテルイミド(PEI)製である。
しかしながら、そのような薄膜は、固有の誘電率が低い(高くても最大3.2)。これらの誘電体の低誘電率は、高電圧コンデンサーの小型化を妨げる障壁であるが、これは、小型化が、結果として、コンデンサーの面密度を本質的に制限することを意味するからである。
ポリ((フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロフルオロエチレン)(P(VDF-TrFE-CFE)、及びポリ((フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン)(P(VDF-TrFE-CTFE)ターポリマーは、誘電体ポリマーの中でも例外である。
PVDFに非極性可塑剤(CFE又はCTFE)を添加すると、コポリマーの極性鎖の配置に無秩序を引き起こす。その結果、ポリマーは、緩和特性(ヒステリシスサイクルを有さない)を獲得する。更に、可塑剤を添加すると、コポリマーのキュリー温度が下がり、その結果、ポリマーに極めて高い誘電率(60に達しうる)がもたらされる。したがって、このターポリマーは、理論上、環境条件下で、誘電率が12に達するその強誘電体コポリマー同族体の5倍の量のエネルギーを貯蔵することができる。このターポリマーの絶縁破壊電界は、400MV/m程度である(Chuら、「A dielectric polymer with high electric energy density and fast discharge speed」、Science、313(5785)、334~336頁)。このような緩和性の極性誘電体ポリマーは、電力用コンデンサーにおいて、大きな関心を生み出している。このポリマーのインク又は溶液は、現在、薄い基板(PEN、シリコン、ガラス)上に、スクリーン印刷又はスピンコーティングによって、薄層(1~10μm)として堆積させることができるものが存在する。
しかしながら、低いキュリー温度は、温度により誘電特性に大きなばらつきを生じさせ、これは、大量の熱を放出する電源用途において不利益をもたらしうる。しかしながら、とりわけ、コポリマーの圧電効果(Vに比例)をターポリマーで電歪効果(V2に比例)に変換すると、高電圧でポリマーにより大きな機械的圧縮をもたらし、問題となる。電極間で圧縮されることにより、コンデンサーの内部電界が激しく増加し(アバランシェ効果)、それによりコンデンサーが破壊される。したがって、高電圧でこのポリマーを使用することは難しい。
そのため、科学界の一部は、酸化物ナノ粒子又は金属ナノ粒子のいずれかを添加することによりポリマーの誘電率を増加させる、ナノ複合材料に目を向けた。
第1の方法は、酸化物ナノ粒子をポリマーに添加することからなる。より具体的には、ポリマーは、高濃度の高誘電率複合酸化物(TiO2、SrTiO3、BaTiO3、PZT、PMNPT等)のナノ粒子と混合される。この混合物は、簡易な技法を用いて、攪拌により均一媒体中で調製される。誘電率の増加は、混合則(Maxwell Garnet)による高充填率の場合にのみ、例えば、充填率が30質量%又は50質量%を超える場合にのみ実質的なものとなる。しかしながら、そのような質量濃度では、形成されるナノ複合材料は、高誘電率ナノ粒子と低誘電率ポリマーとの界面において、局所電界の著しい不均一性を生じる。しかしながら、このような誘電率の相違は、最も低い誘電率側、すなわち、この場合はポリマー側の電界の増加を引き起こす。したがって、ポリマーがより高い電界にさらされる。ポリマーは、そのため、ポリマーが比較的薄い区間において、早期の絶縁破壊を生じる。したがって、そのような高誘電率ナノ粒子を高充填したナノ複合体は、高電圧には適さない。更に、ナノ粒子間に存在するポリマーの量に変動があり、十分制御されない。
第2の方法は、ポリマーを低濃度の導電性ナノ粒子、例えば、金属ナノ粒子と混合することからなる。これは、金属-ポリマー複合体又は導体-誘電体複合体と称される。そのような媒体中の金属相又は導電相の濃度は、通常は低い(通常、1体積%未満)電気的パーコレーション閾値未満に抑え、高い精度で制御しなければならない。それから、図1及び下式
Figure 0007442336000001
に示されるBruggemanの理論により、金属-誘電体界面に巨大な誘電率をもたらすための条件が作成される。これで、低い充填率で、複合材料の誘電率をホストポリマーの誘電率に対して著しく(1桁を超えて)増加させることが可能となる。
しかしながら、このような複合材料は、簡易な技法を用いて、均一媒体中で異なる構成要素を攪拌により混合することによって得られる。しかしながら、ポリマー中の金属ナノ粒子分散体は、通常、充分に制御されない。
著しい改善が、Shenらによる論文(「High dielectric performance of polymer composite films induced by a percolating interparticle barrier layer」、Advanced Materials 2007、19(10)、1418~1422頁)において提案された。銀ナノ粒子2の周囲にポリマー1(PVP)の薄層をグラフト化してから、これをエポキシ型のホストポリマー3と混合することで、ポリマーシェルがスペーサーとしての役割を果たすことから、より優れたナノ粒子分散体がもたらされることが示された。銀コアの直径は、20~120nmであり、シェルの厚さは、最も薄いシェルで4~6nm、最も厚いシェルで8~10nmである。この複合材料の誘電率は、パーコレーション閾値(0.2体積%)で約300に達する。そのような誘電体薄膜は、図2に概略的に示される。しかしながら、この複合材料の耐電圧性は、パーコレーション閾値の手前で10MV/mから1MV/mまで低下する。
絶縁破壊強度は、六方晶窒化ホウ素ナノプレートを添加することにより強化することができる。したがって、Wuらによる論文(「Graphene/Boron Nitride-Polyurethane Microlaminates for Exceptional Dielectric Properties and High Energy Densities」、ACS applied materials & interfaces 2018、10(31)、26641~26652頁)では、ポリウレタン(誘電体相)と混合した還元型酸化グラフェンrGOエアロゲル(導電相)の絶縁破壊強度が、エアロゲル層の層間に、ポリウレタンで被覆された六方晶窒化ホウ素のナノプレートを挿入することによって強化されている。そのようなマイクロ積層複合体は、フリーズキャスティング及び圧縮を用いるが、これは、多くの基板、特にシリコン技術と適合性がなく、集積コンデンサーの製造には適さない。
Chuら、「A dielectric polymer with high electric energy density and fast discharge speed」、Science、313(5785)、334~336頁 Shenら、「High dielectric performance of polymer composite films induced by a percolating interparticle barrier layer」、Advanced Materials 2007、19(10)、1418~1422頁 Wuら、「Graphene/Boron Nitride-Polyurethane Microlaminates for Exceptional Dielectric Properties and High Energy Densities」、ACS applied materials & interfaces 2018、10(31)、26641~26652頁
本発明の目的は、高誘電率、低導電損失、及び良好な耐電圧性を有するコンデンサーを提供することである。
このため、本発明は、2つの電極の間に配置された誘電体薄膜を含む金属-ポリマーコンデンサーであって、誘電体薄膜が、
- コア-シェル構造ナノ粒子であり、ナノ粒子のコアが金属であり、シェルが無機炭素質材料でできた第1の層と第1のポリマー材料でできた第2の層とを含み、ナノ粒子の最大直径とナノ粒子の最小直径の比が5以下、好ましくは3以下である、コア-シェル構造ナノ粒子と、
- ナノ粒子が分散している、無機マトリックス又は第2のポリマー材料でできたマトリックスと
を含む、コンデンサーに関する。
ナノ粒子は、誘電体薄膜の0.01体積%~10体積%、好ましくは0.01体積%~5体積%、より優先的には0.1体積%~2体積%に相当する。コア/シェル構造ナノ粒子は、誘電体薄膜の電気的パーコレーション閾値未満の誘電体薄膜の体積分率に相当する。
本発明は、特に、単分散金属/ポリマーハイブリッドナノ粒子が存在することにより、従来技術と根本的に異なる。
第1のポリマー材料で被覆されたナノ粒子の狭い粒径分布は、低電圧直接伝導経路(ポリマーが局所的に不在であることによる局所電気抵抗効果)及び高電圧間接伝導経路(極めて薄いポリマー障壁を介した電界効果(FET)又はトンネル効果)の双方の粒子間伝導を制限し、又は抑制することさえ可能にするが、このことは、誘電率を増加させ、導電損失の減少をもたらし、制御されていない絶縁破壊電界を有することを防止する。
誘電体薄膜中には、凝集体又は極めて大きいナノ粒子(例えば、ナノ粒子の平均粒径の最大100倍、最大30倍、又は最大10倍の大きさの粒径又は寸法を有する)が存在せず、極めて小さいナノ粒子(例えば、ナノ粒子の平均粒径の最小6分の1又は最小10分の1の粒径を有する)が存在しないことが観察される。
有利には、ナノ粒子は、ポリマーマトリックス中に均一に分散している。均一に分散しているとは、ナノ粒子がポリマーマトリックス中に実質的に一様に分布していることを意味する。このことにより、粒子間伝導をいっそう減少させることができる。
この均一分散体は、ナノ粒子を被覆するシェルにポリマー材料でできた第2の層が存在することにより可能となる。この第2のポリマー層は、ナノ粒子のコアを少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆する。この層は、粒子間伝導の可能性を減少させることに加え、誘電体薄膜中のナノ粒子の量により、スペーサーとしての役割を果たしうる。厚さは、例えば、5~15nmであってよい。これは、有利には、ナノ粒子の周囲に一様な厚みを有する。有利には、第2の材料の層の厚さは、ナノ粒子間で実質的に等しい。実質的に等しいとは、厚みが、ナノ粒子間で、及び同一のナノ粒子中で20%を超えて異ならないことを意味する。
無機炭素質材料の層が存在することにより、ナノ粒子の周囲にポリマー材料の層を共有結合的にグラフト化することが可能になる。ナノ粒子のコアは、シェルによって酸化を防がれ、それにより、このコアは、その初期の特性(例えば、磁気及び/又は電気特性)を保持することができる。更に、ナノ粒子の経時的な機械的安定性が強化される。
有利には、無機炭素質材料は、組織化二次元炭素である。好ましくは、炭素質材料は、グラフェンである。炭素質層は、グラフェン数層から数十層の繰り返しから形成され、二次元組織化炭素構造を保持している。例えば、これは、数層(例えば、2~5層)のグラフェンを含む。有利には、ナノ粒子に充分な親水性特性を与え、ファンデルワールス結合が形成できるように、少なくとも2層のグラフェンを含む炭素質層が選択される。有利には、層に欠陥が生じるのを防ぎ、例えば、水素化表面又は黒鉛型の表面等、疎水性の表面上に非組織化二次元炭素配列を有するように、100未満の数の層が選択される。
炭素質層は、有利には、それぞれのナノ粒子の周囲に連続層を形成する。
有利には、ナノ粒子のコアは、コバルト、鉄、ニッケル、銅、金、及び/又は銀でできている。
有利には、第1のポリマー材料は、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びピレン基を有するポリマーの中から選択される。
有利には、誘電体薄膜は、電気絶縁性ナノ粒子を含む。実際、強い電界の存在下では、トンネル効果(FET)によりナノ粒子間に弱い電流が形成されうる。これは、低電圧では問題を引き起こさない。しかしながら、電圧を特定の閾値を超えて上昇させると、上記の電流は急に増加し、ホストポリマーの電流密度が問題となってくる。高電圧では、金属/ポリマー界面における電界効果による電子放出が、電気損失の増加及び/又は温度の上昇を引き起こす可能性があり、これにより、被覆ポリマー及び/又はホストポリマーが軟化又は溶融して、複合材料及びコンデンサーの破壊を引き起こす可能性がある。電気絶縁性ナノ粒子を挿入することで、望ましくない電気的現象を制限し、又は抑制することさえ可能になる。得られるコンデンサーは、高誘電率及び高絶縁破壊電界強度を有する。
更に、高電圧用途でも、融点又はガラス転移温度が比較的低いポリマー(例えば、150℃以下)を選ぶことができ、それにより、幅広い種類のポリマーを使用することが可能になる。
有利には、電気絶縁性ナノ粒子は、金属酸化物、例えば、酸化バリウム及び/又は酸化ストロンチウムでできている。
より有利には、電気絶縁性ナノ粒子は、半導体材料、好ましくは炭化ケイ素、ダイヤモンド、及び/又は六方晶窒化ホウ素のようなワイドバンドギャップ半導体材料でできている。これは、六方晶窒化ホウ素の場合、ナノチューブ及び/又はナノプレートからなってもよい。
第1の代替的実施形態によれば、電気絶縁性ナノ粒子は、ナノ粒子のシェル中にある。
第1の代替的実施形態との組み合わせに適した第2の代替的実施形態によれば、電気絶縁性ナノ粒子は、ポリマーマトリックス中にある。
誘電体薄膜は、コア/シェル構造ナノ粒子と電気絶縁性ナノ粒子とを交互に含んでもよい。
コア/シェル構造ナノ粒子及び電気絶縁性ナノ粒子は、マトリックス中に無秩序に分散していてもよい。
有利には、第2のポリマー材料は、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリスルホン、場合により芳香族のポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、及びエポキシドの中から選択される。
有利には、第2のポリマー材料は、紫外線に対して感光性の基を含む。
有利には、ナノ粒子の最大直径とナノ粒子の最小直径の比は、1.5未満、好ましくは1.3未満、より優先的には1.2未満、更に優先的には1.1未満である。そのような極めて狭い粒径分布は、誘電率の実質的な増加をもたらす。
本発明はまた、上述のような金属-ポリマーコンデンサーを製造する方法であって、
i.溶液を用意する工程であり、溶液が、
- 溶媒と、
- コア/シェル構造ナノ粒子であり、ナノ粒子のコアが金属であり、シェルが炭素質材料でできた第1の層と第1のポリマー材料でできた第2の層とを含む、コア/シェル構造ナノ粒子と、
- 溶解された第2のポリマー材料又は第2のポリマー材料の前駆体と
を含む、工程と、
ii. 場合により、第2のポリマー材料の前駆体を重合させる工程と、
iii. 電極に該溶液を堆積させる工程と
を含む、方法にも関する。
有利には、第1のポリマー材料の融点未満の堆積温度が選択される。
有利には、工程i)で用意されるコア/シェル構造ナノ粒子は、
a)有機相に分散した水性相の液滴を含む油中水型ミニエマルションを調製する工程と、
b)炭素質材料のシェルで被覆された金属コアを含むナノ粒子を添加し、それによって、液滴に閉じ込められたナノ粒子を得る工程と、
c)第1のポリマー材料の前駆体モノマーを添加する工程と、
d)重合開始剤を添加する工程と
によって得られ、
このとき、モノマーと重合開始剤とを添加することにより、モノマーの重合がもたらされ、それによって、有機相に分散した、第1のポリマー材料の層で被覆されたナノ粒子が得られる。
エマルションとは、2つの非混和性の液体、例えば、油と水の不均一混合物を意味する。2つの相の一方(いわゆる分散相であり、ここでは水性相)は、他方(いわゆる分散媒)中に液滴の形態で分散している。液滴の粒径は、数十ナノメートルから1ミクロンの範囲、例えば、20nm~1μmであってもよい。ミニエマルションとは、液滴の粒径が、30nm~100nm、より優先的には30nm~60nmであってもよいことを意味する。
ミニエマルションの液滴は、重合反応器を形成する。重合反応中、モノマーは、ミセルが飽和するまで徐々に消費される。これは、ミセル成長と称される。形成される最終粒子の粒径は、ミセルの直径と同様である。最後に、単分散ポリマービーズ(金属ナノ粒子を含まないミセル)及び金属-ポリマーハイブリッドナノ粒子(金属ナノ粒子を含むミセル)を含む、ラテックスと称される生成物が得られる。
この不均一媒体中での重合は、均一媒体中での重合と比較して、ナノ粒子のコアを被覆するポリマーの厚みをより制御できる。
ナノ粒子を取り囲む炭素質材料の層が存在することにより、ナノ粒子を親水性にすることができ、それにより、ナノ粒子をエマルションの液滴内に挿入することが可能になる。炭素質材料の層はまた、ナノ粒子の酸化を効果的に防ぐ。この炭素質シェルがなければ、金属ナノ粒子は、自然に水と接触して酸化し、及び/又は金属水酸化物を形成するが、これは、金属ナノ粒子を疎水性にし、それらがミセルから放出されて分散媒(油)に加わる一因となる。
液滴は、重合反応器としての役目を果たすことに加え、フィルターとしての役目も果たす。
本方法において、直径が液滴の直径より小さいナノ粒子のみが液滴に閉じ込められ、ポリマーの層で被覆される。
直径が液滴の直径以上のナノ粒子は、未加工の沈降物(ポリマーを含まない)を形成し、これは、その後容易に除去される。更に、最も小さいナノ粒子(例えば、直径10nm未満のもの)は、炭素質層で不完全に被覆され、急速に酸化されること(カルボキシル及び/又は金属酸化物の形成)により、炭素質層で完全に被覆されたナノ粒子と比較して、より疎水性の性質となることが観察されている。このような粒子は、水性相を含む液滴には侵入せず、分散媒に懸濁したままで、その後容易に除去することができる。
極めて狭い粒径分布のナノ粒子は、このようにして得られる。有利には、ナノ粒子の最大直径とナノ粒子の最小直径の比は、1.5未満、好ましくは1.3未満、より優先的には1.2未満、更に優先的には1.1未満である。そのような極めて狭い粒径分布は、市販されておらず、ミニエマルション法によって可能になる。
第1の代替的実施形態によれば、上記に規定の電気絶縁性ナノ粒子は、工程i)で添加される。
第1の代替的実施形態との組み合わせに適した代替的実施形態によれば、上記に規定の電気絶縁性ナノ粒子は、工程a)、b)、又はc)で添加される。
本発明のさらなる特徴及び利点は、下記の補足的記載により明らかになるであろう。
この補足的記載が本発明の主題を説明するために示されるにすぎず、決してこの主題を限定するものと解釈すべきでないことは明白である。
本発明は、添付の図面を参照しながら、指標として示されるにすぎず、限定するものではない実施形態例の記載を読むことで、より明確に理解されるであろう。
従来技術に既に記載されている、Bruggemanモデルによる、パーコレーション媒体における誘電率εの実数部ε'及び虚数部ε''の経過を概略的に示す図である。 以前に記載されている従来技術による誘電体薄膜を概略的に示す図である。 本発明の特定の実施形態による平面コンデンサーを概略的に示す断面図である。挿入図は、誘電体薄膜中のナノ粒子の電界効果放出を概略的に示している。 本発明の特定の実施形態による平面コンデンサーを概略的に示す断面図である。挿入図は、誘電体薄膜中のナノ粒子の電界効果放出を概略的に示している。 本発明の特定の実施形態による平面コンデンサーを概略的に示す断面図である。挿入図は、誘電体薄膜中のナノ粒子の電界効果放出を概略的に示している。
図に示されるさまざまな部分は、図をよりわかりやすくするために、必ずしも一律の縮尺比で示していない。
さまざまな可能性(代替的実施形態及び実施形態)は、互いに排他的ではないと理解すべきであり、互いと組み合わせてもよい。
本発明のさまざまな実施形態による平面コンデンサーを示す図3~図5を参照する。
これらの図は、特にナノ粒子の堆積百分率が比較的低い場合に、ナノ粒子の全体図をより明確に示すように、一定の縮尺ではない。
金属/ポリマーハイブリッドコンデンサーは、基板100上に形成される。基板100は、好ましくはシリコンでできている。さらなる基板、例えば、ガラス、アルミナ、フェライト、及びポリマー薄膜、例えば、ポリイミド(カプトン等)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)等も使用することができる。
コンデンサーは、基板100と接触している第1のいわゆる下部電極101と、いわゆる上部電極102とを含む。
これらの電極は、導電性であり、好ましくは金属製である。これらは、例えば、金でできている。
誘電体薄膜40は、第1の電極101と第2の電極102との間に配置される。誘電体薄膜は、金属-ポリマーハイブリッドナノ粒子20が分散したポリマーマトリックス50を含む。
ナノ粒子20とは、例えば、球形、細長い形状、又は卵形のサブミクロンサイズ(典型的には、1μm未満)の要素を意味する。好ましくは、これらは、球状粒子からなる。これらの最大寸法は、直径又は粒径と称される。
ナノ粒子20は、単分散であり、すなわち、これらは、狭い粒径分布を有する。言い換えると、これらの最大直径から最小直径の間の粒径分布は、その比が、5以下、3以下、又は2以下、有利には、1.5以下、例えば、1.3又は1.2又は1.1となるような粒径分布である。そのような粉末(1.1比)の特徴は、例えば、ナノ粒子の平均直径40nm、最大直径42nm、最小直径38nmである。ナノ粒子20の直径は、レーザー粒度計で又は動的光散乱法(DLS)によって、溶液中で測定することができる。
また、上記及び下記の寸法特性はすべて、SEM(走査型電子顕微鏡法)及びTEM(透過型電子顕微鏡法)、偏光解析法、並びに分光光度法の技法を用いて測定することもできる。
更に、ナノ粒子が誘電体ポリマーの一様な薄膜でしっかりと被覆されると、ナノ粒子間を隔てる距離が制御される。例えば、直径φの2つの金属/C粒子間を隔てるエッジ間距離は、1×φ、1/2×φ、又は2/3×φ、有利には、1/3×φ以下である。例えば、そのような薄膜は、平均粒子間距離が10nm(最小5nm)である、平均直径30nmのCo/Cナノ粒子の均一分散体に特徴付けられる。
粒子20は、コア-シェル構造を有する。シェル22は、粒子のコア21にしっかりと結合している。
コア21、すなわち核は、金属材料である。金属材料とは、金属、金属合金を意味する。好ましくは、これは、金属からなる。好ましくは、これは、コバルト、ニッケル、鉄、銅、銀、又は金からなる。
コア21は、コーティング22又はシェルで被覆されている。コーティング22は、
- 炭素質材料でできた第1の層と、
- 第1のポリマー材料でできた第2の層と
を含む。
そのようなナノ粒子は、金属/C/ポリマーとして注釈が付される。
炭素質材料は、好ましくは、無機性であり、例えば、グラフェン、グラファイト、又はカーボンナノチューブでできている。
一般的に、これは、非平面表面上(例えば、ナノ粒子表面上)の組織化二次元炭素コーティングからなる。
好ましくは、コーティング22は、グラフェンでできている。これは、1層又は複数の層(2層、3層、4層等)のグラフェンを含んでもよい。例えば、これは、グラフェンの薄層を1~50枚、好ましくは1~10枚、例えば、1~5枚、より優先的には3~10枚含む。
好ましくは、炭素質シェル22は、ナノ粒子のコアの酸化を防ぎ、このコアをより親水性にするために、粒子20のコア21を完全に覆うように連続的である。
有利には、第1のポリマー材料は、ポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びポリプロピレン(PP)の中から選択される。ポリマーは、ピレンのようなπ共役基で機能化されたポリマーであってもよい。これは、例えば、ピレン基で機能化されたポリスチレン(Py-PS)、又はピレン基で機能化されたポリアクリル酸(Py-PAA)からなる。
ポリマーの層23の厚さは、例えば、1nm~100n、好ましくは2nm~50nm、より優先的には5nm~15nmである。
有利には、ポリマーの層23は、ナノ粒子20のコア21を完全に被覆する。
ポリマー材料は、炭素質層に共有結合的に結合し、これにより分離及び積層のリスクが減少する。ナノ粒子を取り囲む電気絶縁層の一様性及び付着性は強化される。低電圧粒子間電気伝導は抑えられる。
ナノ粒子20が誘電体ポリマーの一様な薄層23でしっかりと被覆されると、誘電体薄膜中のナノ粒子間を隔てる距離が制御される。
複合材料中のナノ粒子の体積百分率は、0.01%~10%である。有利には、コンデンサーを形成するためには、この体積百分率は、例えば、0.01%~5%、好ましくは0.1%~2%である。
有利には、ナノ粒子20の体積百分率は、電気的パーコレーション閾値未満、例えば、パーコレーション閾値の4分の1から2分の1の範囲内となるにように選択される。
コンデンサーは、1つ又は複数のタイプのナノ粒子20を含んでもよい。
第1の有利な代替的実施形態によれば、マトリックス50は、第2のポリマー材料でできている。
第2のポリマー材料は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロースアセテート(CA)、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパリレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、例えば、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリシロキサン(又はシリコーン)、ポリスルホン、場合により芳香族のポリエステル、例えば、フルオレンポリエステル(FPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びエポキシド(エポキシ)でできていてもよい。
ポリマーマトリックス、例えば、PI及びエポキシドでできたポリマーマトリックスは、感光性架橋剤、好ましくは、紫外線に対する感光性架橋剤を含んでいてもよい。
第1のポリマー材料と第2のポリマー材料とは、同一であっても異なってもいてもよい。これら2つのポリマー材料が同一である場合、これらの分子量は異なる。これらは、例えば、フーリエ変換赤外分光法(又はフーリエ変換赤外分光法)によって区別することができる。
第2の有利な代替的実施形態によれば、ポリマーマトリックス50は、シリカマトリックス、アルミナマトリックス、窒化ケイ素マトリックス、オキシ窒化ケイ素マトリックスで置き換えることができる。このようなマトリックスは、低温、例えば350℃未満で、原子層堆積(ALD)、物理蒸着法(PVD)、又はプラズマ強化化学蒸着法(PECVD)によって堆積させることができる。
誘電体薄膜40の厚みは、0.05μm~50μmである。
図3に示すコンデンサーは、有利には、低電圧用途又は中電圧用途を目的とする。そのようなコンデンサーは、具体的には、100MV/m程度の絶縁破壊電界を目標とする。
有利には、いわゆる高電圧用途(500MV/m)の場合、誘電体薄膜40は、電気絶縁性ナノ粒子60を更に含む(図4及び図5)。電気絶縁性とは、1012Ω・cmを超える固有の電気抵抗を意味する。
実際、金属/ポリマー界面における電界効果電子放出は、強い電界により、電気損失の増加及び温度の上昇を引き起こし、コンデンサーを破壊する恐れがある。このような電子の循環は、有利には、二次元の(そのため、極めて薄い)絶縁「障壁」を形成する電気絶縁性ナノ粒子60によって遮断される。電気絶縁性ナノ粒子60は、伝導経路を横切って配置される(図4及び図5の挿入図)。電気損失は減少する。
これらは、無機ナノ粒子、例えば、シリカナノ粒子、複合酸化物のナノ粒子、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)若しくは/及びチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)のナノ粒子、ダイヤモンドナノ粒子、又は炭化ケイ素(SiC)ナノ粒子からなってもよい。
これらは、管状又は層状ナノ粒子からなってもよい。管状又は層状ナノ粒子とは、寸法の1つがあとの2つの寸法よりも実質的に小さい粒子を意味する。そのような管状又は層状ナノ粒子は、厚みe(又は直径d)が、その長さL又は幅lよりも実質的に小さい場合が最も多い。好ましくは、e/L(又はd/L)比及びe/l(又はd/l)比は、0.5以下であり、好ましくは0.1以下又は0.01以下である。
有利には、管状又は層状ナノ粒子は、六方晶窒化ホウ素(h-BN)でできている。これらはまた、酸化グラフェンGOからなってもよい。
層状ナノ粒子、特に、h-BN及びGOナノ粒子は、例えば、剥離したものであってもよい。剥離するとは、層状ナノ粒子を形成している積み重なった薄層又はシートを取り外して、1枚又は数枚(例えば、2枚、3枚、4枚、又は5枚)のシートから形成される層状粒子を得ることを意味する。超音波剥離(超音波処理)は、大量の製造が可能である
h-BN管状粒子は、例えば、噴霧熱分解により大量に製造することができる。
第1の実施形態によれば、誘電体薄膜は、ハイブリッドナノ粒子20の層と電気絶縁性ナノ粒子60の層を交互に含む(図4)。
図5に示される第2の実施形態によれば、ハイブリッドナノ粒子及び電気絶縁性ナノ粒子は、ポリマーマトリックス中に無秩序に分散している。
さらなる実施形態によれば、電気絶縁性ナノ粒子60は、ハイブリッドナノ粒子20のシェルの中及び/又は上に配置される。
この実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態と組み合わせてもよい。具体的には、ポリマーマトリック50中及びハイブリッドナノ粒子20のシェル中に、無秩序に分散した電気絶縁性ナノ粒子60を有してもよい。
そのようなナノ複合体誘電体薄膜40は、高抵抗(例えば、1012~1015μΩ・cm)、電気的パーコレーション閾値(例えば、0.5質量%、1質量%、及び2質量%)に近づくと非常に高くなりうる誘電率(例えば、100又は1000)、及び高電気絶縁破壊強度(例えば、10MV/m、100MV/m、500MV/m)を有する。
ハイブリッドナノ粒子20は、電気的に絶縁され、狭い粒径分布を有し、誘電体薄膜中に均一に分散している。そのようなナノ粒子20を用いれば、高電圧用途のためのコンデンサーを小型化することが可能である。
そのようなコンデンサーは、電力変換モジュール、例えば電気自動車用のものの集積化に使用することができる。
誘電体薄膜40は、例えば、
i.溶液を用意する工程であって、溶液が、
- 溶媒と、
- コア/シェル構造ナノ粒子20であり、ナノ粒子のコア21が金属であり、シェルが炭素質材料でできた第1の層22と第1のポリマー材料でできた第2の層23とを含み、ナノ粒子20が低多分散度を有する、コア/シェル構造ナノ粒子と、
- 溶解された第2のポリマー材料又は第2のポリマー材料の前駆体と
を含む、工程と、
ii. 電極に該溶液を堆積させる工程と、
iii. 場合により、第2のポリマー材料の前駆体を重合させる工程と
を含む方法で製造することができる。
ポリマー前駆体とは、ポリマーの形成をもたらす、モノマー及び/又はオリゴマー及び/又はプレポリマーを意味する。ポリマー前駆体は、重合開始剤と関連する。重合開始剤は、例えば、光開始剤又はラジカル開始剤である。形成後、前駆体は重合され、それによりポリマーが得られる。
溶媒は、有機溶媒である。溶媒は、溶液を堆積させた後に蒸発させる。溶液は、非接触堆積法を用いて堆積させてもよい。これは、例えば、被覆法、例えば、カーテンコーティング若しくはフローコーティング、又はディップコーティング、又はスピンコーティングからなってもよい。好ましくは、これは、スピンコーティングからなる。
薄膜は、光源、好ましくは紫外線(UV)源に曝露してもよい。薄膜は、好ましくはガラス転移温度前後で、加熱加圧してもよい。
工程i)による溶液はまた、上述のような電気絶縁性ナノ粒子60を含んでいてもよい。
代替的に、ハイブリッドナノ粒子20を含む溶液に続いて、電気絶縁性ナノ粒子60を含む第2の溶液を逐次的に堆積させることもできる。この第2の溶液はまた、第3のポリマー材料又は第3のポリマー材料の前駆体を含んでもよい。第3のポリマー材料は、好ましくは、第2のポリマー材料と同一である。これら2つの溶液は、所望の数の層が得られるまで、交互に堆積させることができる。
本方法は、室温(20~25℃)で実施することができる。
本方法は、常圧(1バール)で実施される。
本方法は、有利には、空気中で実施され、制御雰囲気下で作業する必要はない。
代替的に、誘電体薄膜40は、プラズマ堆積法によって得ることもできる。有利には、使用される温度がシェルのポリマー材料の融点未満である堆積法が選択される。
工程i)で用意されるコア/シェル構造ナノ粒子20は、有利には、
a)有機相に分散した水性相の液滴を含む油中水型ミニエマルションを調製する工程と、
b)炭素質材料22のシェルで被覆された金属コア21を含むナノ粒子20を添加し、それによって、液滴に閉じ込められたナノ粒子20を得る工程と、
c)第1のポリマー材料の前駆体モノマーを添加する工程と、
d)重合開始剤を添加する工程と
によって得られ、このとき、モノマーと重合開始剤とを接触させることによって、モノマーの重合がもたらされ、それによって、有機相に分散した、第1のポリマー材料の層23で被覆されたナノ粒子20が得られる。
エマルションは、これらのナノ粒子20をその粒径によってより分けることを可能にする。例えば、ナノ粒子20の平均直径が30nm程度の粉末では、粒径分散は広く、5nm未満から300nm超に及びうる。これは、制御された特性を有するナノ複合材料を製造する上で不利となる。エマルションは、フィルターとしての役目を果たす。一定の粒径のナノ粒子が、ミセルの粒径を適切に選択することによって選択される。
好ましくは、ミセルの粒径は、ナノ粒子20の平均粒径の2~3倍の大きさ(例えば、30nmの場合、60nmから90nmの間)である。平均粒径が30nm程度のナノ粒子20のみが、エマルションに閉じ込められ、これらのナノ粒子20のみが、続いてポリマーの層23で被覆される。このように、最も大きいナノ粒子20(例えば、100nm又は300nm)は、ポリマーで被覆されていない沈降物を形成し、その後容易に除去される。炭素質コーティング22で不完全に被覆された最も小さいナノ粒子20(例えば、10nm以下)は、急速に酸化され、その結果、より疎水性となり、有機相中にとどまる。有機相又は沈降物中に懸濁しているナノ粒子は、重合には関与しない。
有利には、ミセルは、単一のナノ粒子20を含む。
液滴の粒径は、所望のナノ粒子20の粒径及びポリマーの層23の厚さに応じて選択される。
工程a)では、水性相と有機相とを接触させて二相混合物を得てから、界面活性剤(又は乳化剤)の存在下でその二相混合物の乳化を実施し、それによって、有機相に分散した水性相の液滴からなる油中水型エマルションが得られる。液滴は、ミセル(親水性コア-疎水性テール)を形成する。
乳化は、例えば、攪拌(超音波処理)によって形成される。混合物は、乳化剤の添加により、安定を維持する。この混合物は、速度(velocity)又は発生反応速度(evolution kinetics)がほぼゼロであり、そのことにより、この混合物は、モノマー重合によるポリマー合成において、とりわけ安定且つ有利な限定された反応媒体となる。
エマルションは、非反応性であるがエマルション安定化に必要な成分を更に含んでもよい。
有利には、電気絶縁性ナノ粒子は、工程a)でエマルションに添加される。そのような粒子は、有利には、モノマーと共に有機相に分散するように、疎水性である。重合中、これらの電気絶縁性ナノ粒子の一部は、モノマーに担持されて、金属ナノ粒子を被覆しているポリマー層の中に閉じ込め、及び/又はそのポリマー上に捕捉されることになる。
工程b)で形成されたエマルションに、重合開始剤及びモノマー(ポリマーの前駆体)が添加される。有利には、開始剤及びモノマーの量は、ナノ粒子20の表面上に極めて薄いポリマーの層23(例えば、5nm~10nm)を作成するために、低い重合率が得られるように選択される。低いとは、重合率が、50%未満、好ましくは25%未満、優先的には20%未満、例えば、10%程度であることを意味する。消費されるモノマーの量は、重合率によって決定される。
第1の代替的実施形態によれば、工程c)及びd)は、同時に実施される。
さらなる代替的実施形態によれば、本方法は、工程c)、d)、及びc)を逐次的に含む。
さらなる実施形態によれば、工程c)は、工程b)の前に実施される。
ポリマー前駆体を重合開始剤に接触させると、重合が開始する。
重合は、ラジカル重合である。これは、事前に水性相中に形成された(親水性)オリゴラジカルがミセルに侵入することによって開始され、このオリゴラジカルは、分散媒(ここでは油)中に含まれる(疎水性)モノマーが、ミセルが飽和するまで徐々に消費されるよう誘導する。
重合開始剤を反応させるのに適した条件は、典型的には、温度を上げることによって、及び/又は超音波処理によって設定される。
例えば、重合は、エマルションを40℃~80℃、好ましくは50℃~80℃、優先的には60℃~70℃の温度まで加熱することによって実施される。このような温度範囲は、重合開始剤が反応性を示す温度によって適合させることができる。
重合工程は、一般に、数分から数十分、例えば、約20分持続する。この工程は、超音波プローブを用いて、超音波処理下で実施してもよい。
この重合工程後、エマルションの液滴は、有機相に分散した固体要素に変換される。「分散体」とは、液体連続相中の固体要素、好ましくは、個々に分かれ、塊を形成していない固体要素の安定な懸濁液を意味する。これらの要素の平均粒径は、これらの起源であるエマルションの液滴の平均粒径と等しい。
この重合工程後、有利には、「洗浄」(沈殿/希釈手順)を実施し、未使用の反応生成物を除去し、ラテックスを回収する。
有利には、遠心工程を実施して、金属/C/ポリマーナノ粒子がポリマービーズから分離される。
すぐに使用できる複合材料(コロイド又は粉末)が得られる。
実施形態の例示的且つ非限定的な例
Ni/グラフェン/PSナノ粒子20をミニエマルション法により調製した。これらのナノ粒子を含む溶液に、高分子量ポリスチレン(PS)を添加する。
超平坦コンデンサー(≦100μm)の仕様に合うような所望の厚さまで薄型化するのに適したシリコン基板100上に、真空蒸着により、第1の金電極101を形成する。
次いで、このナノ粒子とPSとを含む溶液をスピンコーティングにより堆積させる。誘電体薄膜40の厚さは、0.05μmから50μmの間に調節することができる。これは、例えば、1000rpmでの堆積で2μmである。次に、第2の電極102を形成して、平面コンデンサー(二次元)を得る。
このコンデンサーは、ポリスチレンホストマトリックス50中で粒径によって選別されたNi/C/ポリマーナノ粒子20の統計的に均一な分布を有する。
これらの条件は、パーコレーション理論により想定されるホストポリマーの誘電率の増加を満足させる。
20 金属-ポリマーハイブリッドナノ粒子、ナノ粒子、粒子、ハイブリッドナノ粒子、コア/シェル構造ナノ粒子
21 金属コア、コア
22 コーティング、シェル、炭素質シェル、炭素質材料でできた第1の層、炭素質材料のシェル、無機炭素質材料でできた第1の層
23 ポリマーの層、ポリマー材料の層、薄層、第1のポリマー材料でできた第2の層、第1のポリマー材料の層、第2の層
40 誘電体薄膜、ナノ複合体誘電体薄膜
50 マトリックス、ポリマーマトリックス
60 電気絶縁性ナノ粒子
100 基板、シリコン基板、
101 第1の電極、下部電極、第1の金電極
102 第2の電極、上部電極
110 誘電体薄膜

Claims (17)

  1. 第1の電極(101)と第2の電極(102)との間に配置された誘電体薄膜(40)を含む金属-ポリマーコンデンサーであって、
    誘電体薄膜(40)が、
    コア-シェル構造ナノ粒子(20)であって、ナノ粒子のコア(21)が金属であり、シェルが無機炭素質材料でできた第1の層(22)と第1のポリマー材料でできた第2の層(23)とを含み、ナノ粒子(20)の最大直径とナノ粒子(20)の最小直径の比が5以下である、コア-シェル構造ナノ粒子と、
    ナノ粒子(20)が分散しているマトリックス(50)であって、無機マトリックス又は第2のポリマー材料でできたマトリックスである、マトリックスと
    を含み、
    誘電体薄膜(40)中のナノ粒子(20)の体積百分率が、0.01%~10%であることを特徴とする、コンデンサー。
  2. 無機炭素質材料が、組織化二次元炭素であることを特徴とする、請求項1に記載のコンデンサー。
  3. ナノ粒子のコア(21)が、コバルト、鉄、ニッケル、銅、銀、又は金でできていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンデンサー。
  4. 第1のポリマー材料が、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びピレン基を有するポリマーの中から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンデンサー。
  5. 誘電体薄膜(40)が、電気絶縁性ナノ粒子(60)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンデンサー。
  6. 電気絶縁性ナノ粒子(60)が、金属酸化物、炭化ケイ素、ダイヤモンド、又は六方晶窒化ホウ素でできていることを特徴とする、請求項5に記載のコンデンサー。
  7. 電気絶縁性ナノ粒子(60)が、ナノ粒子のシェル中にあることを特徴とする、請求項5又は6に記載のコンデンサー。
  8. 電気絶縁性ナノ粒子(60)が、ポリマーマトリックス中にあることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載のコンデンサー。
  9. 誘電体薄膜が、コア/シェル構造ナノ粒子(20)と電気絶縁性ナノ粒子(60)とを交互に含むことを特徴とする、請求項8に記載のコンデンサー。
  10. コア/シェル構造ナノ粒子(20)及び電気絶縁性ナノ粒子(60)が、ポリマーマトリックス(50)中に無秩序に分散していることを特徴とする、請求項8に記載のコンデンサー。
  11. 第2のポリマー材料が、ポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリスルホン、場合により芳香族であってよいポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、及びエポキシドの中から選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンデンサー。
  12. 第2のポリマー材料が、紫外線に対して感光性の基を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のコンデンサー。
  13. ナノ粒子(20)の最大直径とナノ粒子(20)の最小直径の比が、1.5未満であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のコンデンサー。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の金属-ポリマーコンデンサーを製造する方法であって、
    i. 溶液を用意する工程であって、溶液が、
    溶媒と、
    コア-シェル構造ナノ粒子(20)であって、ナノ粒子(20)のコア(21)が金属であり、シェルが炭素質材料でできた第1の層(22)と第1のポリマー材料でできた第2の層(23)とを含み、ナノ粒子(20)の最大直径とナノ粒子(20)の最小直径の比が5以下である、コア-シェル構造ナノ粒子(20)と、
    溶解された第2のポリマー材料又は第2のポリマー材料の前駆体と
    を含む、工程と、
    ii. 場合により、第2のポリマー材料の前駆体を重合させる工程と、
    iii. 電極(101)上に該溶液を堆積させる工程と
    を含む、方法。
  15. 工程i)で用意されるコア/シェル構造ナノ粒子(20)が、
    a)有機相中に分散した水性相の液滴を含む油中水型エマルションを調製する工程と、
    b)炭素質材料(22)のシェルで被覆された金属コア(21)を含むナノ粒子(20)を添加し、それによって、液滴に閉じ込められたナノ粒子(20)を得る工程と、
    c)第1のポリマー材料の前駆体モノマーを添加する工程と、
    d)重合開始剤を添加する工程と
    によって得られ、
    モノマーと重合開始剤とを接触させることにより、モノマーの重合がもたらされ、それによって、有機相に分散した、第1のポリマー材料の層(23)で被覆されたナノ粒子(20)が得られることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 電気絶縁性ナノ粒子(60)が、工程i)で添加されることを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 電気絶縁性ナノ粒子(60)が、工程a)、b)、又はc)で添加されることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
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