JP7440030B2 - 磁気センサ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気センサに関する。
高感度を示す磁気センサとして、トンネル磁気抵抗(TMR)素子のTMR効果を利用したTMRセンサがある。トンネル磁気抵抗素子は、磁化方向が固定されている固定層と、磁化方向が変化可能な自由層と、固定層と自由層との間に配置された絶縁層とを有しており、自由層の磁気異方性を制御することにより、磁気センサの特性を制御することができる。この磁気センサは、非接触で電流の測定が可能であり、消費電力も小さく、感度も高いため、例えば、電気自動車のバッテリーの蓄電残量検知などに効果的に利用できると考えられる。
このような磁気センサに利用可能なTMR素子として、例えば、自由層にNiFe合金を用いたもの(例えば、非特許文献1参照)や、CoFeB合金を用いたもの(例えば、非特許文献2乃至4参照)、CoFeSiB合金を用いたもの(例えば、非特許文献5参照)などが開発されている。
ここで、磁気センサの特性を評価する指標として、感度と非線形性(Nonlinearity)がある。感度は、TMR素子の自由層の磁化角度が磁場Hによって変化するときの、コンダクタンスGの変化率により表すことができる。つまり、感度は、磁気抵抗比をTMR比、異方性磁場をH effとすると、TMR比/2H effによって表すことができる。また、非線形性は、磁場HによるコンダクタンスGの変化が、線形的な変化からどのくらいずれているかにより表すことができる。例えば、図9(a)~(c)に示すように、固定層11の磁化方向が、絶縁層13との境界面に対して垂直方向に固定され、自由層12の磁化方向が、固定層11の磁化方向に対して平行な方向と反平行な方向との間で変化可能であるとすると、磁場Hに対するコンダクタンスGの変化は、図9(a)のような曲線で表される。実際のコンダクタンスGの変化は、図9(b)に示すように、直線からずれており、その変化を直線でフィティングし、その直線のコンダクタンスをGfitとすると、感度は、その直線の傾き(dGfit/dH)で表すことができる。また、非線形性は、実際のコンダクタンスGの値(Gexp)とフィティングした直線との差をΔG(H)[=Gexp-Gfit]、コンダクタンスGの変化幅をΔG[=Gmax-Gmin]とすると、図9(c)に示すように、ΔG(H)/ΔG[%FS(Full Scale)]で表すことができる。
磁気センサは、広い動作可能磁場範囲(ダイナミックレンジ)において、感度が高く、非線形性が小さい方が好ましく、例えば、電気自動車のバッテリーの蓄電残量検知に使用される際には、ダイナミックレンジが1.5 kOe以上の条件下でも、感度が30m%/Oeより大きく、非線形性が1.0%FSより小さいものが望ましいとされる。
なお、磁気センサの特性に関する理論モデルとして、従来、コンダクタンスを表すSlonczewskiモデルや(例えば、非特許文献6参照)、磁化反転機構を表す一斉回転モデル(simultaneous magnetization rotation)が用いられている(例えば、非特許文献7参照)。Slonczewskiモデルによれば、(1)式によりコンダクタンスGを表すことができる。また、一斉回転モデルによれば、(2)式により自由層の単位体積当たりの磁気エネルギー密度Eを表すことができる。
Figure 0007440030000001
ここで、θは強磁性体である自由層の磁化方向(固定層の磁化方向からの回転角度)であり、Pはスピン偏極率、Gはθ=90度のときのコンダクタンス、Mは飽和磁化、Hは磁場、Kは1次の1軸磁気異方性定数である。(2)式の右辺の第1項は静磁エネルギー、第2項は反磁場エネルギー、第3項は1次の垂直磁気異方性エネルギーを表している。(2)式から、cosθ=H/H eff となり、これを(1)式に代入すると、コンダクタンスGは磁場Hの一次式で表され、コンダクタンスGの磁場Hに対する変化は直線(線形)となる。ここで、H effは自由層の実効異方性磁場であり、感度とは逆相関の関係を示す。
Kosuke Fujiwara, Mikihiko Oogane, Saeko Yokota, Takuo Nishikawa, Hiroshi Naganuma, and Yasuo Ando, "Fabrication of magnetic tunnel junctions with a bottom synthetic antiferro-coupled free layers for high sensitive magnetic field sensor devices", J. Appl. Phys., 2012, Vol. 111, 07C710 P. Wisniowskia, M. Dabeka, S. Cardosob, P. P. Freitas, "Magnetic field sensing characteristics of MgO based tunneling magnetoresistance devices with Co40Fe40B20 and Co60Fe20B20 electrodes", Sensors and Actuators A : Physical 2013, Vol. 202, 64 P. Wisniowski, J. Wrona, T. Stobiecki, S. Cardoso, and P. P. Freitas, "Magnetic Tunnel Junctions Based on Out-of-Plane Anisotropy Free and In-Plane Pinned Layer Structures for Magnetic Field Sensors", IEEE Trans, Magn., 2012, Vol.48, 3840 K. Ishikawa, M. Oogane, K. Fujiwara, J. Jono, M. Tsuchida, and Y. Ando, "Investigation of magnetic sensor properties of magnetic tunnel junctions with superparamagnetic free layer at low frequencies for biomedical imaging applications", Jpn. J. Appl. Phys., 2016, Vol. 55, 123001 Daiki Kato, Mikihiko Oogane, Kosuke Fujiwara, Takuo Nishikawa, Hiroshi Naganuma, and Yasuo Ando, "Fabrication of Magnetic Tunnel Junctions with Amorphous CoFeSiB Ferromagnetic Electrode for Magnetic Field Sensor Devices", Applied Physics Express, 2013, Vol. 6, 103004 J. C. Slonczewski, "Conductance and exchange coupling of two ferromagnets separated by a tunneling barrier", Phys. Rev., 1989, B 39, 6995 E. C. Stoner and E. P. Wohlfarth, "A mechanism of magnetic hysteresis in heterogeneous alloys", Philos. Trans. R. Soc. A, 1948, Vol. 240, 599
非特許文献1乃至5に記載の従来のTMR素子は、感度および非線形性に優れてはいるものの、例えば、電気自動車のバッテリーの蓄電残量検知に要求される、ダイナミックレンジが1.5kOe以上の条件下で、感度が30m%/Oeより大きく、かつ、非線形性が1.0%FSより小さい、という条件を満たしていない。このため、さらに感度および非線形性に優れた磁気センサの開発が求められているという課題があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、より感度および非線形性に優れた磁気センサを提供することを目的とする。
本発明者等は、(1)式や(2)式で表される従来の理論モデルでは、コンダクタンスGの磁場Hに対する変化が直線(線形)となり、図9(b)および(c)に示すような、実際のコンダクタンスGの非線形の変化を説明することはできないため、新たな理論モデルを構築した。すなわち、磁化反転機構を表す一斉回転モデルとして、1次の垂直磁気異方性エネルギーだけでなく、2次の垂直磁気異方性エネルギーも考慮し、自由層の単位体積当たりの磁気エネルギー密度Eを、(3)式により表した。
Figure 0007440030000002
ここで、Kは2次の1軸磁気異方性定数である。(3)式より、cosθは(4)式で表され、これを(1)式に代入すると、Hk2/H effに比例する非線形の項が現れるため、実際のコンダクタンスGの非線形の変化を説明できることを確認した。ここで、Hk2は2次の異方性磁場であり、4K/Mで与えられる。また、H effは、2K/M+4K/M-4πMで与えられる。
Figure 0007440030000003
以上の検討に基づき、本発明者等は、TMR素子の自由層のH effおよびHk2/H effを制御することにより、感度および非線形性に優れた磁気センサが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る磁気センサは、トンネル磁気抵抗素子を利用した磁気センサであって、前記トンネル磁気抵抗素子は、磁化方向が固定されている固定層と、磁化方向が変化可能な自由層と、前記固定層と前記自由層との間に配置された絶縁層とを有し、前記絶縁層はMgOから成り、層厚が1.5nm乃至2.5nmであり、前記固定層は、磁化方向が前記絶縁層との境界面に対して垂直方向に固定されており、前記自由層はCoFe80-x20合金(ここで、10≦x≦30)から成り、層厚が1.45nm乃至1.70nmであり、磁化方向が前記固定層の磁化方向に対して平行な方向と反平行な方向との間で変化可能であり、前記自由層の実効異方性磁場をH eff、2次の異方性磁場をHk2とすると、
|H eff|<3 kOe (5)
|Hk2/H eff|<0.25 (6)
であることを特徴とする。
本発明に係る磁気センサは、TMR比が約200%と大きく、また、(5)式により感度を高く、(6)式により非線形性を小さくすることができ、従来のTMR素子を利用したものと比べて、感度および非線形性が優れている。このため、例えば、ダイナミックレンジが1.5kOe以上の条件下で、感度を30m%/Oeより大きく、非線形性を1.0%FSより小さくすることができ、電気自動車のバッテリーの蓄電残量検知に利用することにより、バッテリーの利用効率を高めることができる。
本発明に係る磁気センサは、特に優れた感度および非線形性を得るためには、|H eff|<2.5 kOe、|Hk2/H eff|<0.2 であることが好ましい。
本発明に関する磁気センサで、固定層は、磁化方向が絶縁層との境界面に対して水平方向で固定されており、自由層は、磁化方向が境界面に水平な面内で、固定層の磁化方向に対して平行な方向と反平行な方向との間で変化可能であってもよく、この場合でも、優れた感度および非線形性を得ることができる。
本発明に関する磁気センサで、前記自由層は、CoFeB合金、FeB合金、CoFeSi合金、またはCoMnSi合金を含むことが好ましい。この場合、各合金が高いスピン分極率を有しているため、優れた感度および非線形性を得やすい。また、自由層は、CoFeB合金やFeB合金を含むときには、優れた感度および非線形性を得るために、CoFe80-x20合金(ここで、0≦x<80)を含むことが好ましい。
また、本発明に係る磁気センサは、さらに優れた非線形性を得るためには、自由層の層厚は1.52nm以上であることが好ましい。
本発明によれば、より感度および非線形性に優れた磁気センサを提供することができる。
本発明の実施の形態の磁気センサのトンネル磁気抵抗素子を示す斜視図(層中の矢印は磁化方向)、および、TMR効果の説明図である。 本発明の実施の形態の磁気センサの、(a)自由層(Co20Fe60B20層)の実効異方性磁場H effと2次の異方性磁場Hk2とを評価するための試料を示す縦断面図、および、自由層の磁化方向の説明図、(b)自由層の各層厚(tCoFeB)ごとの、自由層の磁化方向θと共鳴場Hresとの関係を示すグラフである。 図2(a)に示す試料の、自由層(Co20Fe60B20層)の層厚(t)と、(a)実効異方性磁場H eff、(b)2次の異方性磁場Hk2、(c)Hk2/H effとの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の磁気センサの、トンネル磁気抵抗素子の実施例を示す縦断面図である(層中の矢印は磁化方向)。 図4に示すトンネル磁気抵抗素子の、(a)自由層の層厚(tCoFeB)が 1.50 nmのとき、(b)自由層の層厚(tCoFeB)が 1.50 nm、1.55 nm、1.60 nm、1.80 nm、2.00 nmのときの、磁場Hとコンダクタンス比(Conductance ratio)との関係を示すグラフである。 図5(b)に示すグラフの、磁場Hが-1.0kOe~+1kOeの範囲を拡大したグラフ、および、自由層の層厚が異なる各トンネル磁気抵抗素子の|H eff|と感度(Sensitivity)との関係を示すグラフ(挿入図)である。 図6に示す自由層の層厚が異なる各トンネル磁気抵抗素子の、磁場Hと非線形性(Nonlinearity)との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の磁気センサの、自由層(CoxFe80-xB20層)の組成をx=0,20,40,56とし、さらに自由層の層厚を変化させた各トンネル磁気抵抗素子の、|H eff|と|Hk2/H eff|との関係を示すグラフである。 磁気センサの感度および非線形性を説明するための、(a)トンネル磁気抵抗素子の磁場Hに対するコンダクタンスGの変化を示すグラフ、(b) (a)の磁場Hがゼロ付近を拡大したグラフ、(c)磁場Hと非線形性(Nonlinearity)との関係を示すグラフである。
以下、図面および実施例に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図8は、本発明の実施の形態の磁気センサを示している。
図1に示すように、本発明の実施の形態の磁気センサは、トンネル磁気抵抗素子10を有している。トンネル磁気抵抗素子10は、固定層11と自由層12と、固定層11と自由層12との間に配置された絶縁層13とを有している。
固定層11は、強磁性体を含み、磁化方向が絶縁層13との境界面に対して垂直方向に固定されている。固定層11は、強磁性体として、例えば、CoFeBやCoを含んでいる。自由層12は、強磁性体を含み、磁化方向が固定層11の磁化方向に対して平行な方向と反平行な方向との間で変化可能である。自由層12は、強磁性体として、例えば、CoFeB合金、FeB合金、CoFeSi合金、またはCoMnSi合金を含んでいる。
絶縁層13は、非磁性の絶縁材料から成っており、トンネル効果によって電流が流れるよう設けられている。絶縁層13は、例えば、MgO、Mg-Al-O、AlOなどから成っている。トンネル磁気抵抗素子10は、トンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を示し、(5)式および(6)式を満たしている。
次に、作用について説明する。
本発明の実施の形態の磁気センサは、(5)式により感度を高く、(6)式により非線形性を小さくすることができ、従来のTMR素子を利用したものと比べて、感度および非線形性が優れている。このため、例えば、感度を30m%/Oeより大きく、非線形性を1.0%FSより小さくすることができ、電気自動車のバッテリーの蓄電残量検知に利用することにより、バッテリーの利用効率を高めることができる。
自由層12の実効異方性磁場H effと2次の異方性磁場Hk2とを評価するために、図2(a)に示すように、Si/SiO2基板21の上に、厚さ2nmのMgO層22と、Co20Fe60B20層23と、厚さ5nmのTa層24とを、この順序で積層した試料を作製し、強磁性共鳴(FMR)による測定を行った。また、試料は、Co20Fe60B20層23の層厚(tCoFeB)を、1.25 nm~2.20 nmの間で変えたものを準備した。なお、Co20Fe60B20層23が自由層12に対応している。また、強磁性共鳴による測定は、室温で行った。
強磁性共鳴による測定結果として、Co20Fe60B20層23の磁化方向(Ta層24との境界面に対して垂直な方向からの回転角度)θと、共鳴場Hresとの関係を図2(b)に示す。なお、図2(b)には、tCoFeB=1.45 nm~2.20 nmの場合の結果を示している。また、図2(b)には、各tCoFeBごとに、データ(図中の○の点)に対するフィッティング曲線も示している。図2に示すように、θ=90度のときに、Hresが最も小さくなることが確認された。このことは、図2(b)に示す各試料が面内磁気異方性を有していることを示している。また、Co20Fe60B20層23の層厚tCoFeBが増加するに従って、Hresの極大値も増加しており、層厚と共に面内磁気異方性が増加することが確認された。
図2(b)に示す強磁性共鳴による測定結果から、各試料のCo20Fe60B20層23の層厚tCoFeBに対する実効異方性磁場H eff、2次の異方性磁場Hk2、およびHk2/H effを求め、それぞれ図3(a)~(c)に示す。図3(a)~(c)に示すように、Co20Fe60B20層23の層厚tCoFeBが約1.4 nmより大きいとき、面内磁化となることが確認された。また、Co20Fe60B20層23の層厚tCoFeBにより、H effや、Hk2/H effの値を制御できることも確認された。面内磁化のとき、Co20Fe60B20層23の層厚が大きくなるほど、Hk2/H effの値が小さくなることが確認された。例えば、図3(c)から、Co20Fe60B20層23の層厚tCoFeBが約1.5 nm以上のとき、|Hk2/H eff|<0.25となる。
本発明の実施の形態の磁気センサの感度および非線形性を評価するために、TMR素子10を作製して、コンダクタンス比の測定を行った。図4に示すように、TMR素子10の試料は、Si/SiO2基板14の上に、下地層15と固定層11と絶縁層13と自由層12とキャップ層16とを、この順序で積層して作製した。TMR素子10の試料は、平面形状が直径100μmの円形であり、DC/RFマグネトロンスパッタ法により各層を成膜し、フォトリソグラフィ、およびArイオンを用いたイオンミリングにより微細加工を行った後、300℃で熱処理を行って製造した。
下地層15は、Si/SiO2基板14の表面の粗さを整え、固定層11の結晶の配向性を高めるために設けられている。下地層15は、Si/SiO2基板14の上に、厚さ3nmのTa層と、厚さ10nmのRu層と、厚さ2nmのPt層とを、この順序で積層して成っている。
固定層11は、下地層15の上に、第1の強磁性層11aと第1の非磁性層11bと第2の強磁性層11cと第2の非磁性層11dと第3の強磁性層11eとを、この順序で積層して成っている。第1の強磁性層11aは、Co/Pt層を9層積層した上に、厚さ0.28nmのCo層を積層して成っている。Co/Pt層のCoは厚さが0.28nmであり、Ptは厚さが0.16nmである。第1の非磁性層11bは、厚さが0.4nmのRu層から成っている。第2の強磁性層11cは、厚さが0.28nmのCo層の上に、Pt/Co層を5層積層して成っている。Pt/Co層のPtは厚さが0.16nmであり、Coは厚さが0.28nmである。第2の非磁性層11dは、厚さが0.2nmのTa層から成っている。第3の強磁性層11eは、厚さが1.0nmのCo40Fe40B20層から成っている。
絶縁層13は、厚さ2.0nmのMgO層から成っている。自由層12は、Co20Fe60B20層から成っている。キャップ層16は、Ta/Ru層から成っている。Ta/Ru層のTa層は厚さが5nmであり、Ru層は厚さが8nmである。なお、図4中には、固定層11および自由層12の磁化方向を矢印で示している。
自由層12の層厚(tCoFeB)を、1.50 nm、1.55 nm、1.60 nm、1.80 nm、2.00 nmとしたTMR素子10の試料を製造した。各試料に対して、直流4端子法により、面直方向の磁場Hを-10kOe~+10kOeまでスイープしたときのTMRを測定し、コンダクタンス比(Conductance ratio)を求めた。測定は、室温で行った。tCoFeB=1.50 nmの試料の測定結果、および、全ての試料の測定結果を、それぞれ図5(a)および(b)に示す。なお、図5(a)には、磁場をスイープした方向を曲線に沿った矢印で示している。また、図5(a)には、5つの状態における固定層11および自由層12の磁化方向も示す。また、コンダクタンス比は、[G(H)-Gmin]/Gmin×100(%) で求めている(ここで、Gminは、測定磁場領域において最小のコンダクタンスである)。
図5(a)に示すように、tCoFeB=1.50 nmのときには、H effは約-2kOeであることが確認された。また、図5(b)に示すように、自由層12の層厚が小さいほど、ダイナミックレンジが小さくなって|H eff|も小さくなり、コンダクタンス比の変化幅が大きくなることから、高感度になることが確認された。
図5(b)の磁場Hが-1.0kOe~+1kOeの範囲を拡大したものを、図6に示す。なお、図6では、縦軸を変換コンダクタンス比(Translated conductance ratio)とし、磁場H=0kOeのときのコンダクタンス比を0%として、各試料の曲線を上下方向に移動したものを示している。また、図6には、各試料のデータ(図中の白抜きのシンボル)に対するフィッティング直線も示している。このフィティング直線の傾きが磁気センサの感度(Sensitivity)を表していることから、各試料の|H eff|と感度(Sensitivity)との関係を求め、図6の挿入図に示す。
図6および挿入図に示すように、自由層12の層厚が小さいほど、磁気センサの感度が大きくなることが確認された。挿入図に示すように、|H eff|<3 kOeのとき、感度が30m%/Oeより大きくなり、最も感度が大きいtCoFeB=1.50 nmの試料では、その感度が約55m%/Oeであることが確認された。
図6のグラフから非線形性(Nonlinearity)を求め、図7に示す。非線形性は、図6に示す各試料の測定データ(Gexp)とフィッティング直線(Gfit)との差ΔG(H)[=Gexp-Gfit]を、コンダクタンス比の変化幅ΔG[=Gmax-Gmin]で割った値ΔG(H)/ΔG[%FS(Full Scale)]として求めている。図7に示すように、自由層12の層厚が大きくなるほど、非線形性が小さくなることが確認された。この結果を図3に示す結果と合わせると、非線形性を小さくするためには、|Hk2/H eff|の値を小さくすればよいことがわかる。
自由層12の組成を変化させて、図4に示すTMR素子10の試料を製造し、強磁性共鳴(FMR)による測定を行った。自由層12を CoxFe80-xB20層とし、x=0,20,40,56のときの4種類のTMR素子10を製造した。また、各xの値に対応するTMR素子10について、自由層12の層厚を変化させて、それぞれ複数の試料を製造した。各試料の製造方法は、実施例2と同じ方法とし、強磁性共鳴の測定方法は、実施例1と同じ方法とした。
各試料の|H eff|と|Hk2/H eff|との関係を、図8に示す。図8には、各xの値に対応するTMR素子10のデータ(図中の丸印)に対して、最も良く合うフィッティング曲線も示している。図3および図7の結果から、非線形性を小さくするためには、|Hk2/H eff|の値を小さくすればよく、図5および図6の結果から、感度を高めるためには、|H eff|の値を小さくすればよい。そこで、1.5kOeのダイナミックレンジ条件下で、高感度と低非線形性とを両立可能な(5)式および(6)式に対応する範囲(|H eff|<3 kOe、および、|Hk2/H eff|<0.25の範囲)を灰色で示す。この範囲内の磁気センサであれば、優れた感度および非線形性を有すると考えられる。また、例えば、|Hk2/H eff|<0.2にしたり、|H eff|<2.5 kOeにしたりすることにより、さらに優れた感度や非線形性を有する磁気センサが得られると考えられる。
10 トンネル磁気抵抗(TMR)素子
11 固定層
11a 第1の強磁性層
11b 第1の非磁性層
11c 第2の強磁性層
11d 第2の非磁性層
11e 第3の強磁性層
12 自由層
13 絶縁層
14 Si/SiO2基板
15 下地層
16 キャップ層

21 Si/SiO2基板
22 MgO層
23 Co20Fe60B20
24 Ta層

Claims (1)

  1. トンネル磁気抵抗素子を利用した磁気センサであって、
    前記トンネル磁気抵抗素子は、磁化方向が固定されている固定層と、磁化方向が変化可能な自由層と、前記固定層と前記自由層との間に配置された絶縁層とを有し、
    前記絶縁層はMgOから成り、層厚が1.5nm乃至2.5nmであり、
    前記固定層は、磁化方向が前記絶縁層との境界面に対して垂直方向に固定されており、
    前記自由層はCoFe80-x20合金(ここで、10≦x≦30)から成り、層厚が1.45nm乃至1.70nmであり、磁化方向が前記固定層の磁化方向に対して平行な方向と反平行な方向との間で変化可能であり、
    前記自由層の実効異方性磁場をH eff、2次の異方性磁場をHk2とすると、
    |H eff|<3 kOe
    |Hk2/H eff|<0.25
    であることを
    特徴とする磁気センサ。
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