JP7440021B2 - 真空除電装置 - Google Patents

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Description

この発明は、真空エリア内の帯電物体を除電するための真空除電装置に関する。
従来から、樹脂製のフィルム表面に蒸着によって薄膜を形成することが行なわれている。
蒸着が施される樹脂製のフィルムは、絶縁性のため、静電気帯電しやすい性質を持っている。また、蒸着プロセスの雰囲気は高真空なので、電気的に絶縁性である。
そのため、高真空下で上記フィルムなどの表面が一旦帯電するとその電荷は逃げにくく、帯電状態が維持されてしまう。
帯電すると、フィルム同士は付着しやすく、搬送不良を起こしたり、しわや傷の原因になったりする。
また、蒸着処理の前にフィルム表面が帯電していると、蒸着が不均一になってしまうこともある。
また、LSI(Large Scale Integration)などのデバイスの製造プロセスでは、高真空下での処理が必要である。そして、LSIなどは、静電気帯電とこれに起因する放電によって損傷してしまうような静電気敏感デバイスである。
このように、高真空エリアで行なわれる、フィルムの真空製膜プロセスや静電気敏感デバイスの製造プロセスなどで、除電の用途がある。
しかし、コロナ放電によって生成されるイオンでフィルムの表面電荷を中和する一般的な除電装置をそのまま用いることはできない。
なぜなら、真空製膜プロセスや静電気敏感デバイスの製造が実行される高真空下では、コロナ放電によってイオンを生成することができないからである。
このような高真空下の帯電物体を除電できる装置として、特許文献1に示す装置が知られていた。
この従来の装置では、高真空を維持した空間内に電圧を印加するメッシュ電極と接地電極とを設け、メッシュ電極に5[kV]以上の高電圧を印加して電界を形成し、この電界内にパルス的にガスを供給し、瞬間的、局所的に真空度を下げて放電を発生させるようにしていた。この放電によってプラズマが生成され、このプラズマを介して帯電物体の表面電荷が接地側へ流れて除電されるというものである。
なお、上記ガスの供給はパルス的、すなわち瞬間的に行なわれるので、真空度はすぐに回復し、高真空度を保つことができる。
特開2020-030936号公報 特開2018-056115号公報
上記従来の真空除電装置ではプラズマを生成するために、メッシュ電極に対して5[kV]以上の高電圧の印加が必要だった。その理由は、以下のとおりである。
例えば0.1[Pa]以下の高真空状態では、電離可能なガス分子も、ガス分子に衝突してガス分子を電離させるための電子も少ないため、放電は発生しにくい。このような空間に、パルス的にガスを供給して瞬間的に真空度を下げたとしても、放電のきっかけとなる電子数はそれほど多くはならない。このように空間に存在する電子数が少ない状態で放電を発生させるためには、個々の電子の運動量を大きくして少ないガス分子への電離衝突確率を高める必要がある。なお、電離衝突とは、電子がガス分子に衝突してガス分子を電離させる衝突のことであり、電子の運動量がガス分子を電離させることができる程度に大きいときの衝突である
そして、上記電子の運動量を大きくするため、従来では、メッシュ電極に高電圧を印加して電子の周囲の電界強度を高くせざるを得なかった。
このように、上記従来の真空除電装置は高電圧を必要とするため、電源が大型化するとともにエネルギー消費量も大きくなり、実用化が難しいという問題があった。
この発明の目的は、低電圧でも放電によってプラズマ生成ができ、実用化が容易な真空除電装置を提供することである。
なお、この発明における低電圧とは、電子技術協会の定義より、直流750[V]、交流600[V]以下のことである。
第1の発明は、真空エリア内に、プラス電圧が印加されるメッシュ電極と、このメッシュ電極との間で電界を形成する接地電極と、上記真空エリア内にパルス的にガスを供給するガス供給手段とを備え、上記電界内に生成されたプラズマを介して、帯電物体の表面電荷を接地側へ流す構成にした真空除電装置であって、上記メッシュ電極の近傍に、熱電子を放射するフィラメントを設けたことを特徴とする。
そして、上記熱電子がメッシュ電極で形成される電界で運動してガス分子に衝突し、ガス分子を電離させて放電のきっかけを作る。
なお、上記メッシュ電極の近傍とは、フィラメントから放射された熱電子が、メッシュ電極で形成される電界の影響を受ける範囲である。このような範囲を保っていれば、熱電子が十分に運動でき、ガス分子との衝突確率を高くできる。
フィラメントがメッシュ電極に近ければ近いほど、熱電子の移動速度が大きくなって、ガス分子への電離衝突確率が上がるのでガス分子を電離させる機能が高まると推測できる。ただし、放電を促すガス分子への電離衝突確率は、フィラメントに供給する電流Iや、メッシュ電極の印加電圧Vm、メッシュ電極とフィラメント間距離Lとの相対的な関係で決まる。
また、フィラメントの位置は、メッシュ電極を境にして接地電極と同じ側であっても、反対側であっても良い。
第2の発明は、上記メッシュ電極と上記接地電極とで囲まれたガス供給空間内に上記ガスを供給するようにした。
第3の発明は、上記ガス供給空間内に上記フィラメントを設けている。
第4の発明は、上記メッシュ電極と上記接地電極との間に形成された電界内に、上記フィラメントから熱電子を放射させた後に、上記ガス供給手段が、上記電界内にパルス的にガスを供給する構成にした。
この発明によれば、フィラメントから放射された熱電子がメッシュ電極と接地電極とで形成される電界によって運動し、パルス的に供給されたガス分子に衝突してガス分子を電離させ、放電のきっかけを作ることができる。
フィラメントから熱電子が放射されることによって、ガス分子に衝突する電子の数を多くできるため、個々の電子の運動量をそれほど大きくしなくても、ガス分子を電離させて放電のきっかけを作ることができる。個々の電子の運動量をそれほど大きくしなくても良いので、メッシュ電極で形成される電界強度を高くする必要がなく、その分メッシュ電極に印加する電圧を低く抑えることができる。
例えば、フィラメントを設けていない場合には、メッシュ電極へ5[kV]以上の印加電圧が必要であったのに対し、フィラメントを用いたことによって、500[V]程度の低電圧の印加でも放電発生が可能になった。
メッシュ電極への高電圧印加が不要になれば、大きな電源が必要なく、省エネルギー化もできて実用性が高まる。
第2の発明によれば、メッシュ電極と接地電極とで囲まれたガス供給空間の容量を小さくできるので、その空間内をプラズマ生成可能な濃度にするためのガス供給量を少量にすることができる。そのため、ガスを効率的に利用して放電を可能にできるとともに、真空エリア全体の真空度の低下を抑え、真空度の回復を早くできる。
第3の発明によれば、熱電子が放射されるエリアにガスが供給されるので、供給されたガス分子に熱電子が衝突する確率が高くなり、より効率的に放電を促すことができる。したがって、メッシュ電極への印加電圧を低くしても、安定したプラズマ生成ができる。
第4の発明によれば、フィラメントから放射された熱電子が、メッシュ電極による電界の作用で運動している状態でガスが供給されるので、ガス供給とほぼ同時にガス分子と熱電子とが衝突して放電を促すことができる。つまり、真空エリアに供給されたガスが速やかに電離して、効率的にプラズマ生成に寄与する。
真空エリアに供給されても、プラズマ生成に寄与しないガスは単に真空度を下げるものになってしまうが、この発明ではより効率的なプラズマ生成ができ、真空度の低下も最小限に抑えることができる。
この発明の実施形態の真空除電装置のプラズマ生成エリアの概念図である。 実施形態のリング部材を、真空チャンバーの内側から見た図である。 実施形態のフィラメントに通電したときのフィラメント電流値Iに対する熱電子電流値Iの関係を示したグラフである。 実施形態の装置を用いた放電確認実験の結果を示した表である。
図1~4を用いて、この発明の一実施形態を説明する。
この実施形態の真空除電装置では、図1に示すように接地電位を保つ真空チャンバー1が図示しない真空ポンプによって高真空に保たれるようにしている。この実施形態における高真空とは、1×0.1[Pa]以下の圧力のことである。
上記真空チャンバー1は開口1aを有し、その開口1aを大気側から覆うように接地電極2が設けられている。この接地電極2は真空チャンバー1の外周面との間に図示しないシール部材を介在させ、複数のボルト3によって真空チャンバー1に固定されている。
そして、上記真空チャンバー1及び接地電極2は導体である金属で形成され、接地電極2及び真空チャンバー1は同じ接地電位を保っている。
上記のように、真空チャンバー1の開口1aは接地電極2によって大気側から塞がれるので、真空チャンバー1内の真空度が上がれば上がるほど、大きな差圧が接地電極2に作用し、開口1aを塞ぐ方向の力が発揮される。そのため、真空チャンバー1はほぼ完全な気密性が保たれる。
また、上記接地電極2には、真空チャンバー1側の面に上記開口1aと一致する円形の凹部2aが形成されるとともに、その中央部にはガス供給孔2bが形成されている。このガス供給孔2bには後で説明するガス供給手段Gが接続されている。
上記凹部2a内には絶縁体からなるリング部材4が複数のボルト5で固定されている。このリング部材4にはその開口部分を覆うようにメッシュ電極6が複数のボルト7で固定されている。
上記メッシュ電極6には直流電源8が接続され、プラスの電圧が印加される。
また、上記のようにリング部材4を介して対向する接地電極2とメッシュ電極6とで囲まれた空間がこの発明のガス供給空間Sとなる。
さらに、上記メッシュ電極6と直流電源8との接続過程には、抵抗R1,R2やコンデンサCが接続されている。
メッシュ電極6に対して上記直流電源8と並列に接続されたコンデンサCは、蓄電機能を発揮して、放電発生時にメッシュ電極6に電流を安定して流す機能を発揮する。
また、コンデンサCと直流電源8との間に設けられた抵抗R1は直流電源を保護するものであり、コンデンサCとメッシュ電極6との間に設けられた抵抗R2はメッシュ電極6に過大な電流が流れないようにするためのものである。
さらに、上記リング部材4には、開口内に突出するように一対のホルダー9,9が設けられ(図2参照)、これらホルダー9,9が、U字状に曲げたタングステンのフィラメント10の両端を支持している。言い換えると、上記ホルダー9,9とフィラメントとは、それらが相まって全体としてほぼU字状に形成されるとともに、フィラメント10の折り曲げ部分をガス供給空間Sに臨ませている。このようにしたフィラメント10は上記ホルダー9,9を介して可変直流電源11に接続され、通電によって熱電子を放射するようにしている。なお、図2は、上記接地電極2に固定されたリング部材4を真空チャンバー1の内側から見た図であるが、この図2ではメッシュ電極6は省略されている。
上記リング部材4に取り付けられたフィラメント10の位置は、上記ガス供給空間S内であり、メッシュ電極6の近傍である。但し、フィラメント10の取り付け位置は、メッシュ電極6の近傍であればよく、メッシュ電極6を挟んでガス供給空間Sとは反対側に設けてもよい。
なお、上記近傍とは、フィラメント10から放射された熱電子がメッシュ電極6で形成される電界の影響を受ける範囲である。このような範囲を保っていれば、熱電子が十分に運動でき、ガス分子との電離衝突確率を高くできる。
フィラメント10がメッシュ電極6に近ければ近いほど、熱電子の移動速度が大きくなって、ガス分子への電離衝突確率が上がるのでガス分子を電離させる機能が高まると推測できる。ただし、放電を促すガス分子への電離衝突確率は、フィラメント10に供給するフィラメント電流Iや、メッシュ電極6の印加電圧Vm、メッシュ電極6とフィラメント10との間の距離Lとの相対的な関係で決まる。
一方、接地電極2の中央部に貫通させたガス供給孔2bには、バルブ12を介してガス源13が接続されている。また、バルブ12にはバルブ12の瞬間的な開閉を制御できるバルブ制御部14が接続されている。
そして、このバルブ制御部14が、バルブ12の開閉時間を制御することによって、ガス供給空間Sに必要量のガスをパルス的に供給することができるようにしている。
なお、上記バルブ12、ガス源13及びバルブ制御部14が相まってこの発明のガス供給手段Gを構成している。
以下に、この実施形態の除電装置の機能について説明する。
まず、図示していない真空ポンプを作動させて真空チャンバー1内を約1×10-4[Pa]に維持しながら、上記フィラメント10に通電してフィラメント10から熱電子を放射させる。
なお、フィラメント10から放射される熱電子量はフィラメント10を流れるフィラメント電流Iに依存する。そこで、熱電子の放射に必要なフィラメント電流Iを確認するため、図2に示す可変直流電源11によってフィラメント電流Iを変化させ、メッシュ電極6に流れる電流を熱電子電流Iとして測定した。
このとき、メッシュ電極6には+500[V]を印加して、メッシュ電極6が熱電子を捕獲するようにした。その測定結果を図3に示す。
図3からは、フィラメント10へ供給するフィラメント電流Iが1.4[A]以上になると熱電子電流値Iが急増し、フィラメント電流Iが1.7[A]を超えるとその増加量が小さくなることが分かった。
上記熱電子電流Iはフィラメント10から放射された熱電子がメッシュ電極6を流れた量を示すものである。したがって、この実施形態においてフィラメント10から熱電子を放射させるためには、フィラメント10に1.4[A]以上のフィラメント電流Iを供給しなければならないことがわかった。
上記フィラメント10にフィラメント電流Iを供給したら、メッシュ電極6にプラスの電圧を印加する。
メッシュ電極6にプラス電圧が印加されると、上記フィラメント10から放射された熱電子は、メッシュ電極6のプラス電位によって形成された電界から力を受けて運動する。具体的には、熱電子がプラスのメッシュ電極6に引き付けられるように移動するが、熱電子がすぐにメッシュ電極6に吸収されるのではなく、上記熱電子はメッシュ電極6を一旦通過して反対側へ移動する。
メッシュ電極6を通過した熱電子には、それまでとは反対方向の、メッシュ電極6へ向かう力が作用するので、熱電子の移動方向が切り替わり、再度メッシュ電極6を通過し、反対方向の力を受ける。このように、熱電子はメッシュ電極6を境にして往復運動をすることになる。
上記のようにフィラメント電流Iを供給して熱電子が往復運動をしているときに、上記バルブ制御部14によってバルブ12を開状態にし、ガス供給空間Sにパルス的にガスを供給すると、供給されたガス分子に往復運動している熱子が衝突してガス分子を電離させる。この電離がきっかけとなって放電が発生する。つまり、パルス的なガス供給が放電のトリガーとなり、プラズマが生成される。
なお、供給されたガス中の電子も、上記熱電子と同様の往復運動をしながらガス分子を電離させて放電に寄与する。
上記のように、この実施形態では、ガス供給空間Sに熱電子を放射することで、ガス分子を電離させる機能を有する電子数を多くして、ガス分子の電離を効率的に行なうことができる。
そのため、熱電子の生成がない従来装置のように、ガス供給空間Sの電界強度を高くしなくても、電子の電離衝突確率を高くしてガス分子を電離させることが可能になる。そのため、メッシュ電極6への印加電圧が低くても、パルス的に供給されたガスを電離させて除電に必要なプラズマを生成することができる。
次に、上記除電装置を用いた放電確認実験について説明する。
実験条件は以下の通りである。
真空チャンバー1内を1×10-4[Pa]に維持し、メッシュ電極6への印加電圧は500[V]に固定した。
そして、フィラメント電流Iを、1.4,1.5,1.6,1.7,1.8[A]とし、各フィラメント電流Iに対して、上記バルブ12の開時間のパルス幅を100[ms]から減少させて、放電が起こる最小のパルス幅を求めた。
なお、放電が起こると、メッシュ電極6の電位が500[V]から瞬間的に低下するので、放電の発生は、図示しない電位計によって上記メッシュ電極6の電位を計測することによって確認した。
また、この実験で用いるガスは空気であり、ガス源13の圧力は大気圧である。
この放電確認実験の結果を図4に示す。
図4に示すように、フィラメント電流Iが1.4[A]では、ガス供給時間が100[ms]でも放電は発生しなかった。このことから、フィラメント電流Iが1.4[A]では、フィラメント10から放射される熱電子の量が少なすぎて放電を発生させることができないことが分かった。
また、フィラメント電流Iが1.5[A]では、ガス供給のパルス幅が50[ms]でメッシュ電極6の電圧低下が徐々に起こった。このことから、フィラメント電流Iが1.5[mA]では、放電は起こるが、一気に全ての電荷が放出されたのではなく、弱い放電しか起こらないことがわかった。そして、このような弱い放電では、エネルギー不足で除電に必要なプラズマ生成はできないと推測される。
上記に対し、フィラメント電流Iが1.6,1.7,1.8[A]のときは、いずれも、放電が発生する最小のパルス幅は0.2[ms]だった。そして、ガス供給とほぼ同時にメッシュ電極6の電位がほぼゼロまで低下することを確認した。
上記のことから、この実施形態の除電装置では、1.6[A]以上のフィラメント電流Iのとき、メッシュ電極6の印加電圧が500[V]、すなわち低電圧でも強い放電を発生させることができることがわかった。しかも、ガス供給が、パルス幅0.2[ms]という瞬間的に行なわれるので、真空チャンバー1の高真空度に与える影響もほとんどない。
そして、上記フィラメント電流I=1.6[A]に対応する熱電子電流I=12[mA]が、低電圧(+500[V])でも確実に放電を発生させることができる、最低の熱電子量に相当する(図3参照)。
上記のように、この実施形態の装置では、フィラメント電流Iを適切に設定すれば、メッシュ電極6に高電圧を印加しなくてもメッシュ電極6の電圧が一気に下がるような強い放電を効率的に発生させることができる。強い放電が発生すれば、その放電でプラズマが生成される。したがって、真空チャンバー1内の帯電物体の表面電荷を、このプラズマを介して真空チャンバー1の壁面などの接地側へ流す除電が可能になる。
そのため、この実施形態では、メッシュ電極6用として高電圧の大型電源の必要がなく、その分、除電装置の実用性が高まる。
なお、この実施形態の装置において、上記フィラメント10にフィラメント電流Iを供給しない場合には、メッシュ電極6への印加電圧を+10[kV]にしても、パルス的なガス供給では放電が発生しないことを、上記実験とは別に確認している。
このことも、上記実施形態で、メッシュ電極6が低電圧でも放電が発生するのは、フィラメント10から放射される熱電子がガス分子の電離に効率的に寄与しているからという推測の裏付けとなる。
そして、フィラメント10にフィラメント電流Iを供給するか否かによって、メッシュ電極6の印加電圧を10[kV]以上から500[V]まで下げることができるメリットは大きい。
なお、上記実施形態では、接地電極2とメッシュ電極6とリング部材4とで囲まれたガス供給空間Sの容量を小さくできるので、放電発生に必要なガス供給量を最小にできる。そのため、供給されたガスを有効に放電発生に寄与させることができるが、ガス供給空間Sの形状や容量は上記実施形態には限定されない。
また、この実施形態では、フィラメント10をガス供給空間S内に設けているので、供給されたガス分子を熱電子により衝突し易くすることができる。
ただし、上記フィラメント10は、メッシュ電極6の近傍に設けられれば、放射された熱電子を十分に運動させてガス分子への電離衝突確率を高めることができるので、ガス供給空間Sの外に設けてもよい。
高真空度を維持したエリア内での帯電物体の除電処理に有用である。
1 真空チャンバー
2 接地電極
6 メッシュ電極
8 (プラス)電源
10 フィラメント
11 (フィラメントの)可変直流電源
12 バルブ
13 ガス源
14 バルブ制御部
G ガス供給手段

Claims (4)

  1. 真空エリア内に、
    プラス電圧が印加されるメッシュ電極と、
    このメッシュ電極との間で電界を形成する接地電極と、
    上記真空エリア内にパルス的にガスを供給するガス供給手段と
    を備え、
    上記ガス供給手段からガスが供給されたとき、上記電界内にプラズマが生成され、このプラズマを介して、上記真空エリア内の帯電物体の表面電荷を接地側へ流す構成にした真空除電装置であって、
    上記メッシュ電極の近傍に、熱電子を放射するフィラメントを設け
    上記フィラメントから放射された熱電子が、
    上記メッシュ電極が形成する電界によって往復運動し、その運動過程において上記ガス供給手段から供給されたガスの分子に電離衝突する構成にした真空除電装置。
  2. 上記メッシュ電極と上記接地電極とで囲まれたガス供給空間を備え、
    このガス供給空間内に上記ガスを供給する構成にした請求項1に記載の真空除電装置。
  3. 上記ガス供給空間内に、
    上記フィラメントを設けた請求項2に記載の真空除電装置。
  4. 上記メッシュ電極と上記接地電極との間に形成された電界内に、上記フィラメントから熱電子を放射させた後に、
    上記ガス供給手段が、上記電界内にパルス的にガスを供給する構成にした
    請求項1~3のいずれか1に記載の真空除電装置。
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