<第1の実施形態>
第1の実施形態について図1から図5を参照して説明する。
(基本構成)
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置10は、複数の開閉ユニット20と、第1の搬送ユニット30と、バッファユニット40と、第2の搬送ユニット50と、複数の基板処理ユニット60と、装置付帯ユニット70とを備えている。この基板処理装置10は基板表面に処理液(例えば、レジスト剥離液やリンス液、洗浄液)を供給して基板表面を処理する装置であり、各基板処理ユニット60が複数種類の処理工程(例えば、レジスト剥離工程やリンス工程、洗浄工程)を行う。
各開閉ユニット20は、一列に並べられて設けられている。これらの開閉ユニット20は搬送容器として機能する専用ケース(例えばFOUP)のドアを開閉する。なお、専用ケースがFOUPである場合、開閉ユニット20はFOUPオープナーと呼ばれる。専用ケースには、基板Wが所定間隔で積層されて収納されている。
第1の搬送ユニット30は、第1の移動機構31と、第1の搬送ロボット32とを有している。これらの第1の移動機構31及び第1の搬送ロボット32は、第1の搬送室33内に設けられている。第1の搬送室33は、各開閉ユニット20が一列に並ぶ方向に平行に延伸する直方体形状の部屋である。各開閉ユニット20は第1の搬送室33の隣に並べられている。
第1の搬送室33には、二つの出入口33aが設けられている。これらの出入口33aは、第1の搬送室33において延伸方向の両端の壁面に個別に設けられている。人(例えば作業者)は各出入口33aから第1の搬送室33に出入りする。また、第1の搬送室33には、室内を撮像する複数の撮像部33bが設置されている。例えば、第1の搬送室33の天井部において延伸方向の両端に撮像部33bが個別に設けられている。撮像部33bとしては、例えば、撮像を行うカメラが用いられる。なお、第1の搬送室33には、天井部からクリーンエアーをダウンフローで流す空調ユニット(図示せず)が配置されており、搬送される基板Wの上方からクリーンエアーが下向きに流れている。これにより、基板周辺部などで発生する塵や埃が基板Wに付着すること、また、第1の移動機構31や第1の搬送ロボット32などで発生する塵や埃が舞い上がって基板Wに付着することが抑えられる。
第1の移動機構31は、第1の搬送室33の延伸方向に平行に延伸しており、第1の搬送室33の延伸方向に平行な直線上で第1の搬送ロボット32を移動させる機構である。この第1の移動機構31上に第1の搬送ロボット32が設けられており、第1の移動機構31は第1の搬送ロボット32を一列に並ぶ各開閉ユニット20の端から端まで往復移動させることが可能に構成されている。第1の移動機構31としては、例えば、リニアガイドを有する移動機構が用いられる。
第1の搬送ロボット32は、第1の移動機構31の延伸方向に移動可能であり、旋回台32aを介して第1の移動機構31上に設けられている。旋回台32aは、第1の移動機構31の直線上に位置する旋回軸32bを中心として旋回可能に形成されている。第1の搬送ロボット32は、旋回台32aにおいて旋回軸32bと反対側の端部に載置されている。第1の搬送ロボット32は、旋回台32aが旋回することで、第1の移動機構31の直上からオフセットする。つまり、各開閉ユニット20側またはバッファユニット40側のどちらかにオフセットすることになる。(図1は各開閉ユニット側にオフセット)。旋回台32aは、第1の搬送ロボット32を支持しつつ、第1の搬送ロボット32と共に第1の移動機構31により第1の移動機構31の延伸方向に沿って移動する。これにより、第1の搬送ロボット32は、開閉ユニット20又はバッファユニット40との基板Wの受け渡しが可能になる位置に移動することが可能になっている。また、第1の搬送ロボット32は、移動しながら旋回することが可能になっており、各開閉ユニット20とバッファユニット40とのアクセスを最短ルートで基板Wを搬送することができる。なお、旋回台32aは、旋回機構(図示せず)によって旋回可能になっている。
第1の搬送ロボット32は、例えば、昇降軸及び旋回軸(いずれも図示せず)を有しており、昇降軸に沿って昇降が可能に、また、旋回軸を中心として旋回台32a上で旋回が可能に、さらに、二本の伸縮アームを独立で移動させることが可能になっている。伸縮アームには、基板Wを把持する基板ハンドが取り付けられている。基板Wを把持する動作と、把持した基板Wをセット場所に置く動作(ハンド開放)を二本のアームを連続して動作させることで、短時間で基板Wの入れ替え動作を行う。第1の搬送ロボット32は、第1の移動機構31において開閉ユニット20に近い側に旋回軸32bを中心として旋回台32aにより旋回した状態で、専用ケースでの基板Wの入れ替え動作を行う。また、第1の搬送ロボット32は、第1の移動機構31において開閉ユニット20に遠い側(バッファユニット40に近い側)に旋回軸32bを中心として旋回台32aにより旋回した状態で、バッファユニット40での基板Wの入れ替え動作を行う。
ここで、図2に示すように、第1の搬送ロボット32の動作範囲(移動範囲)H1は、各開閉ユニット20やバッファユニット40との基板Wの入れ替え動作のために必要な第1の搬送ロボット32の三次元領域の移動範囲(アームやハンドの移動範囲も含む)である。第1の搬送ロボット32は、第1の搬送室33において各開閉ユニット20側に位置した状態で、第1の移動機構31の端から端まで第1の移動機構31の延伸方向に往復移動することが可能であり、開閉ユニット20に正対して基板Wの入れ替え動作を行う。また、第1の搬送ロボット32は、第1の搬送室33において第2の搬送ユニット50側に位置した状態で、バッファユニット40に正対して基板Wの入れ替え動作を行う。
バッファユニット40は、第1の搬送室33において第2の搬送ユニット50側に位置付けられ、第1の移動機構31の延伸方向の中央から少しずらされて設けられている。このバッファユニット40は、第1の搬送ユニット30と第2の搬送ユニット50との間で基板Wの受け渡し(持ち替え)を行うため、基板Wが一時的に置かれるバッファ台である。バッファユニット40には、未処理や処理済の基板Wが所定間隔で積層されて収納される。
第2の搬送ユニット50は、第2の移動機構51と、第2の搬送ロボット52とを有している。これらの第2の移動機構51及び第2の搬送ロボット52は、第2の搬送室53内に設けられている。第2の搬送室53は、第1の移動機構31の延伸方向に水平面内で直交する方向に平行に延伸する直方体形状の部屋である。この第2の搬送室53は、第1の搬送室33において延伸方向の中央付近につながっており、第1の搬送室33及び第2の搬送室53は平面視でT字形状である一つの搬送室(基板搬送室)を形成している。この第2の搬送室53を短手方向から挟むように基板処理ユニット60が四つずつ互いに対向するように設けられている。
第2の搬送室53には、装置付帯ユニット70用の出入口53aが設けられている。この出入口53aは、第2の搬送室53において延伸方向の一端の壁面に設けられている。人(例えば作業者)は出入口53aから装置付帯ユニット70内に出入りする。また、第2の搬送室53には、室内を撮像する複数の撮像部53bが設置されている。例えば、第2の搬送室53の天井部において延伸方向の両端に撮像部53bが個別に設けられている。撮像部53bとしては、例えば、撮像を行うカメラが用いられる。なお、第2の搬送室53には、第1の搬送室33と同様、天井部からクリーンエアーをダウンフローで流す空調ユニット(図示せず)が配置されており、搬送する基板Wの上方からクリーンエアーが下向きに流れている。これにより、基板周辺部などで発生する塵や埃が基板Wに付着すること、また、第2の移動機構51や第2の搬送ロボット52などで発生する塵や埃が舞い上がって基板Wに付着することが抑えられる。
第2の移動機構51は、第1の移動機構31の延伸方向に水平面内で直交する方向に延伸しており、第1の移動機構31の延伸方向に水平面内で直交する方向に平行な直線上で第2の搬送ロボット52を移動させる機構である。この第2の移動機構51上に第2の搬送ロボット52が設けられており、第2の移動機構51は第2の搬送ロボット52を一列に並ぶ各基板処理ユニット60の端から端まで往復移動させることが可能に構成されている。第2の移動機構51としては、例えば、リニアガイドを有する移動機構が用いられる。
第2の搬送ロボット52は、第2の移動機構51の延伸方向に移動可能であり、旋回台52aを介して第2の移動機構51上に設けられている。旋回台52aは、第2の移動機構51の直線上に位置する旋回軸52bを中心として旋回可能に形成されている。第2の搬送ロボット52は、旋回台52aにおいて旋回軸52bと反対側の端部に載置されている。第2の搬送ロボット52は、旋回台52aが旋回することで、第2の移動機構51の直上からオフセットする。つまり、第2の移動機構51の延伸方向の両側のどちらかの片側にオフセットすることになる(図1参照)。旋回台52aは、第2の搬送ロボット52を支持しつつ、第2の搬送ロボット52と共に第2の移動機構51により第2の移動機構51の延伸方向に沿って移動する。これにより、第2の搬送ロボット52は、基板処理ユニット60又はバッファユニット40との基板Wの受け渡しが可能になる位置に移動することが可能になっている。また、第2の搬送ロボット52は、移動しながら旋回することが可能になっており、各処理室61とバッファユニット40とのアクセスを最短ルートで基板Wを搬送することができる。なお、旋回台52aは、旋回機構(図示せず)によって旋回可能になっている。
第2の搬送ロボット52は、第1の搬送ロボット32と同様に、例えば、昇降軸及び旋回軸(いずれも図示せず)を有しており、昇降軸に沿って昇降が可能に、また、旋回軸を中心として旋回台52a上で旋回が可能に、さらに、二本の伸縮アームを独立で移動させることが可能になっている。各伸縮アームには、基板Wを把持する基板ハンドが取り付けられている。基板Wを把持する動作と、把持した基板Wをセット場所に置く動作(ハンド開放)を二本のアームを連続して動作させることで、短時間で基板Wの入れ替えを行う。第2の搬送ロボット52は、第2の移動機構51において基板Wの入れ替え対象の基板処理ユニット60に近い側に旋回軸52bを中心として旋回台32aにより旋回した状態で、基板Wの入れ替え対象の基板処理ユニット60での基板Wの入れ替え動作を行う。また、第2の搬送ロボット52は、第2の移動機構51においてバッファユニット40側に移動した状態で、バッファユニット40での基板Wの入れ替え動作を行う。
ここで、図2に示すように、第2の搬送ロボット52の動作範囲(移動範囲)H2は、各基板処理ユニット60やバッファユニット40との基板Wの入れ替え動作のために必要な第2の搬送ロボット52の三次元領域の移動範囲(アームやハンドの移動範囲も含む)である。第2の搬送ロボット52は、第2の搬送室53において一列に並ぶ各基板処理ユニット60側に位置した状態で、第2の移動機構51の端から端まで第2の移動機構51の延伸方向に往復移動することが可能であり、基板処理ユニット60に正対して基板Wの入れ替え動作を行う。また、第2の搬送ロボット52が第2の搬送室53においてバッファユニット40側に位置した状態で、バッファユニット40に正対して基板Wの入れ替え動作を行う。
基板処理ユニット60は、第2の搬送ロボット52が第2の移動機構51の延伸方向に沿って移動するロボット移動路の両側に例えば四つずつ設けられている。基板処理ユニット60は、処理室61を有しており、例えば、枚葉式の基板処理ユニットである。処理室61は、例えば直方体形状に形成されている。この処理室61内には、基板保持部や処理液供給部(いずれも図示せず)などが設けられている。基板保持部としては、例えば、基板Wを水平状態で保持して回転する回転テーブルが用いられる。また、処理液供給部としては、例えば、基板保持部により保持された基板Wの被処理面に処理液(例えば、薬液やリンス液、洗浄液)をノズル(図示せず)から供給する処理液供給部が用いられる。
処理室61は、基板用の出入口となる基板シャッタ(図示せず)を有している。基板シャッタは、処理室61において第2の搬送室53側の壁面に開閉可能に形成されている。この処理室61には、天井部からクリーンエアーをダウンフローで流す空調ユニット(図示せず)が配置されており、搬送される基板Wの上方からクリーンエアーが下向きに流れている。これにより、基板周辺部などで発生する塵や埃が基板Wに付着すること、また、第2の搬送ロボット52などで発生する塵や埃が舞い上がって基板Wに付着することが抑えられる。なお、メンテナンス作業を行う作業者は、基板シャッタを開けて第2の搬送室53側から処理室61に対してメンテナンス作業を行う。
装置付帯ユニット70は、第2の搬送室53において第1の搬送室33(第1の搬送ユニット30)と反対側に位置付けられ、第2の搬送室53の隣に設けられている。この装置付帯ユニット70は、液供給ユニット71と、制御ユニット72とを有する。液供給ユニット71は、各基板処理ユニット60にそれぞれ各種の処理液を供給することが可能に構成されている。
制御ユニット72は、図3に示すように、コンピュータ72aと、記憶部72bと、領域コントローラ72cと、ロボットコントローラ(制御部)72dとを具備する。これらの各部は、例えば、ハードウエア(例えば電気回路)及びソフトウエアの両方又はどちらか一方で構成されている。コンピュータ72aは、各部を集中的に制御する主制御部(例えばマイクロコンピュータ)である。記憶部72bは、各種情報や各種プログラムなどを記憶する。
コンピュータ72aは、記憶部72bに記憶された基板処理情報や各種プログラムに基づき、各開閉ユニット20や第1の搬送ユニット30、バッファユニット40、第2の搬送ユニット50、各基板処理ユニット60などの各部を制御する。また、コンピュータ72aは、第1の移動機構31や第1の搬送ロボット32、第2の移動機構51、第2の搬送ロボット52などから機械的な位置情報、例えば、それらの各部が個別に備える複数のエンコーダなどから個々の位置情報(例えば、平面座標や空間座標)を随時得ることができる。さらに、コンピュータ72aは、各撮像部33b、53bから個々の画像情報を随時得ることができる。なお、各撮像部33b、53bは、それぞれ第1の搬送室33や第2の搬送室53の搬送室内をリアルタイムに撮像し、撮像により得た画像に関する画像情報を領域コントローラ72cに送る。
領域コントローラ72cは、認識部(検出部)73と、設定部74と、追従部75とを有している。認識部73は、各撮像部33b、53bにより得られた画像情報に基づく画像を解析し、第1の搬送室33又は第2の搬送室53内の人(人の有無)、第1の搬送ロボット32、第2の搬送ロボット52を検出し、それらの位置や領域(三次元領域)を認識する。設定部74は、認識部73により検出された人の位置を含む所望サイズの空間領域である領域R1(図4及び図5参照)を設定し、領域R1の形状やサイズ、位置などを含む情報を記憶部72bに保存する。領域R1とは、例えば、検出した人を少なくとも含む所望サイズの円柱形状の空間領域であり、領域R1は空間座標で設定される。追従部75は、設定部74により設定された領域R1を人の移動に応じて移動させる。例えば、追従部75は、記憶部72bに記憶された情報のうち領域R1の位置情報を人の移動に応じて変更する。
コンピュータ72aは、認識部73が第1の搬送室33又は第2の搬送室53内に居る人の位置を検出すると、運転モードを通常運転モードからメンテナンス作業モード(作業モードの一例)に切り替える。通常運転モードは、基板処理装置10が通常運転を行い、人が第1の搬送室33や第2の搬送室53に立ち入らないモードである。メンテナンス作業モードは、人がメンテナンス作業のために第1の搬送室33や第2の搬送室53に立ち入るモードである。例えば、コンピュータ72aは、認識部73が第1の搬送室33又は第2の搬送室53内の人の位置を検出すると、人が第1の搬送室33又は第2の搬送室53に立ち入ったことを把握し、運転モードを通常運転モードからメンテナンス作業モードに切り替える。また、コンピュータ72aは、認識部73が第1の搬送室33及び第2の搬送室53内の人の位置を検出しなくなると、人が第1の搬送室33又は第2の搬送室53から居なくなったことを把握し、運転モードをメンテナンス作業モードから通常運転モードに切り替える。このようにコンピュータ72aは切替部として機能する。
ロボットコントローラ72dは、運転モードがメンテナンス作業モードである場合にのみ、第1の搬送ロボット32や第2の搬送ロボット52が領域R1を避けて移動するように第1の移動機構31、第1の搬送ロボット32(旋回台32aも含む:以降同様)、第2の移動機構51、第2の搬送ロボット52(旋回台52aも含む:以降同様)などを制御する。つまり、ロボットコントローラ72dは、第1の搬送ロボット32の動作範囲H1や第2の搬送ロボット52の動作範囲H2に関する動作範囲情報に基づいて第1の搬送ロボット32の動作範囲H1や第2の搬送ロボット52の動作範囲H2を認識し、認識した動作範囲H1、H2を領域R1に接触させないように領域R1の移動に応じて変化させ、変化させた動作範囲H1、H2を随時、記憶部72bに保存する。そして、ロボットコントローラ72dは、記憶部72bに保存した動作範囲H1、H2内だけで第1の搬送ロボット32及び第2の搬送ロボット52が基板Wを搬送するように第1の移動機構31、第1の搬送ロボット32、第2の移動機構51、第2の搬送ロボット52などを制御する。なお、前述の動作範囲情報は、例えば、空間座標で動作範囲H1、H2を指定する情報であり、予め記憶部72bに記憶されている。
(メンテナンス作業)
次に、前述の基板処理装置10において作業者が行うメンテナンス作業について説明する。一例として、作業者が図4及び図5中のA1の処理室61に対してメンテナンス作業を行う場合について説明する。
作業者は、図4に示すように、第1の搬送室33の出入口33aから第1の搬送室33に入り、バッファユニット40の近傍まで移動し、図5に示すように、バッファユニット40の近傍から第2の搬送室53に入って、図5中のA1の処理室61に正対する位置まで移動する。そして、作業者は、A1の処理室61内の各部に対してメンテナンス作業を行い、メンテナンス作業が完了すると、先ほど第1の搬送室33の出入口33aからA1の処理室61に正対する位置まで移動してきた経路を逆に移動し、第1の搬送室33の出入口33aから退室する。
このように作業者は移動してメンテナンス作業を行うが、第1の搬送室33及び第2の搬送室53では、各撮像部33b、53bにより室内がリアルタイムで撮影されている。作業者が第1の搬送室33に入室すると、各撮像部33bにより得られた画像情報に基づいて作業者が認識部73によって検出され、通常運転モードがメンテナンス作業モードにコンピュータ72aにより切り替えられる。一方、作業者がメンテナンス作業を完了して第1の搬送室33及び第2の搬送室53から退室すると、各撮像部33b、53bにより得られた画像情報から作業者が認識部73によって検出されず、コンピュータ72aによりメンテナンス作業モードが通常運転モードに切り替えられる。通常運転モードでは、認識部73の認識動作、設定部74の設定動作、追従部75の追従動作及びロボットコントローラ72dの回避制御動作(第2の搬送ロボット52に領域R1を回避させる制御動作)が禁止され、メンテナンス作業モードでは前述の各動作が許可される。
また、各撮像部33b、53bにより得られた画像情報に基づいて、作業者、第1の搬送ロボット32、第2の搬送ロボット52が認識部73により検出され、作業者の有無及び位置と、第1の搬送ロボット32の位置、第2の搬送ロボット52の位置が認識される。認識部73により検出された作業者の位置を含む領域R1が設定部74により設定され、領域R1の形状やサイズ、位置などを含む情報が記憶部72bに保存される。各撮像部33b、53bにより得られた画像情報から、作業者の有無及び位置と、第1の搬送ロボット32の位置、第2の搬送ロボット52の位置はリアルタイムに認識される。このため、記憶部72bに記憶された情報のうち領域R1の位置情報は、作業者の移動に応じて随時変更される。
ロボットコントローラ72dは、記憶部72bに記憶された動作範囲情報に基づいて第1の搬送ロボット32の動作範囲H1や第2の搬送ロボット52の動作範囲H2を認識し、記憶部72bに記憶された情報に基づいて、認識した動作範囲H1、H2を領域R1に接触させないように領域R1の移動に応じて変化させる。図5では、ロボットコントローラ72dは、認識した動作範囲H2を領域R1に接触させないように領域R1の移動に応じて変化させ、変化させた動作範囲H2に基づいて、第2の搬送ロボット52が領域R1を避けて基板Wを搬送するように、すなわち変化させた動作範囲H2内だけで第2の搬送ロボット52が基板Wを搬送するように第2の移動機構51及び第2の搬送ロボット52を制御する。
ここで、基本的に、第1の搬送ロボット32は各開閉ユニット20とバッファユニット40との間で基板搬送を行うが、第1の搬送ロボット32の動作範囲H1内において基板Wの搬送ルートが最短距離になるように基板Wを搬送する。また、第2の搬送ロボット52は処理室61とバッファユニット40との間、さらに、各処理室61の間で基板搬送を行うが、第2の搬送ロボット52の動作範囲H2内において基板Wの搬送ルートが最短距離になるように基板Wを搬送する。したがって、基板Wの搬送ルートは、第1の搬送ロボット32の動作範囲H1又は第2の搬送ロボット52の動作範囲H2内において最短距離となるよう、ロボットコントローラ72dによって設定される。つまり、基板Wの搬送ルートが最短距離(最短ルート)となることが基準にされ、第1の搬送ロボット32の動作範囲H1又は第2の搬送ロボット52の動作範囲H2内での基板搬送動作が実現される。
例えば、第2の搬送ロボット52の旋回方向が、第2の搬送ロボット52が旋回動作により動作範囲H2外を通る旋回方向(例えば反時計回り)である場合には、その旋回方向と逆の旋回方向(例えば時計回り)、すなわち、旋回動作により動作範囲H2内を通る旋回方向にされる。また、旋回方向の変更だけでは第2の搬送ロボット52が旋回動作により動作範囲H2外を通る場合には、第2の搬送ロボット52が第2の移動機構51によって作業者から離れる方向(作業者が作業している処理室とは反対側の処理室側にオフセットした状態)に移動しつつ旋回したり、あるいは、二本の伸縮アームを縮めつつ旋回したりする。旋回動作としては、第2の搬送ロボット52が旋回台32aにより旋回する動作や第2の搬送ロボット52が単体で、旋回台32a上において旋回する動作がある(図2参照)。これらのような動作を含める様々な動作がロボットコントローラ72dによって適宜選択されて制御が実行されるが、各処理室61とバッファユニット40との間における基板Wの搬送ルートが最短距離となるように選択される。
なお、前述の説明では、作業者が図4及び図5中のA1の処理室61に対してメンテナンス作業を行う場合を想定しているが、これに限るものではなく、例えば、第1の搬送室33の出入口33aから第1の搬送室33に入って一番近い開閉ユニット20に対してメンテナンス作業を行う場合を想定する。この場合、ロボットコントローラ72dは第1の搬送ロボット32の動作範囲H1を領域R1に接触させないように領域R1の移動に応じて変化させる。つまり、ロボットコントローラ72dは、認識した動作範囲H1を領域R1に接触させないように領域R1の移動に応じて変化させ、変化させた動作範囲H1に基づいて、第1の搬送ロボット32が領域R1を避けて基板Wを搬送するように、すなわち変化させた動作範囲H1内だけで第1の搬送ロボット32が基板Wを搬送するように第1の移動機構31及び第1の搬送ロボット32を制御する。
また、ロボットコントローラ72dは、認識部73によって認識された第1の搬送ロボット32の位置及び領域R1の位置に基づき、第1の搬送ロボット32と領域R1との離間距離が所定距離以下であるか否かを判断する。この所定距離は、第1の搬送ロボット32が低速で移動する距離である。ロボットコントローラ72dが第1の搬送ロボット32と領域R1との離間距離が所定距離以下であると判断すると、第1の搬送ロボット32の移動速度を下げ、第1の搬送ロボット32の移動動作を低速動作に移行させる。例えば、第1の搬送ロボット32が作業者に近づく場合には、第1の搬送ロボット32の移動速度を規定速度から下げる。なお、第1の搬送ロボット32が作業者から離れる場合には、第1の搬送ロボット32の移動速度を下げずに規定速度のままにしてもよい。また、ロボットコントローラ72dは、認識部73によって認識された第2の搬送ロボット52の位置及び領域R1の位置に基づき、第2の搬送ロボット52と領域R1との離間距離が所定距離以下であるか否かを判断し、その判断結果に応じ、第2の搬送ロボット52に対して前述と同様の処理を行う。この所定距離は、第2の搬送ロボット52が低速で移動する距離である。
図4では、作業者は第1の搬送室33の出入口33aから第1の搬送室33に入り、バッファユニット40の近傍まで移動する。第1の搬送ロボット32が第1の移動機構31の直上から各開閉ユニット20側にオフセットし、第1の搬送ロボット32と領域R1との離間距離が所定距離以下にならないため、第1の搬送ロボット32の移動動作は低速動作にされない。一方、作業者がバッファユニット40の近傍に位置する状態で、第1の搬送ロボット32がバッファユニット40に対して基板搬送のための動作を行うと、第1の搬送ロボット32と領域R1との離間距離が所定距離以下となるため、第1の搬送ロボット32の移動動作は低速動作とされる。また、図5では、メンテナンス作業中、作業者はA1の処理室61に正対する位置にいる。このため、第2の搬送ロボット52がバッファユニット40に対して基板搬送のための動作を行う場合、第2の搬送ロボット52と領域R1との離間距離が所定距離以下となるため、第2の搬送ロボット52の移動動作は低速動作とされる。
また、ロボットコントローラ72dは、認識部73によって認識された第1の搬送ロボット32の位置及び領域R1の位置に基づき、第1の搬送ロボット32と領域R1との離間距離が所定停止距離(<所定離間距離)以下であるか否かを判断する。この所定停止距離は、第1の搬送ロボット32と領域R1との離間距離が、前述した所定離間距離よりも短く、第1の搬送ロボット32が領域R1と接触しない距離に予め設定されている。作業者が第1の搬送ロボット32に近づき過ぎ、ロボットコントローラ72dが第1の搬送ロボット32と領域R1との離間距離が所定停止距離以下であると判断すると、互いの離間距離が所定停止距離よりも長くなるまで第1の搬送ロボット32の移動を禁止する。例えば、作業者がバッファユニット40の周辺を通過したり、バッファユニット40の周辺で立ち止まったりして、ロボットコントローラ72dが第1の搬送ロボット32と領域R1との離間距離が所定停止距離以下であると判断すると、第1の搬送ロボット32の移動を禁止し、第1の搬送ロボット32がバッファユニット40にアクセスすることを中断する。また、ロボットコントローラ72dは、認識部73によって認識された第2の搬送ロボット52の位置及び領域R1の位置に基づき、第2の搬送ロボット52と領域R1との離間距離が所定停止距離以下であるか否かを判断し、その判断結果に応じ、第2の搬送ロボット52に対して前述と同様の処理を行う。この所定停止距離は、第2の搬送ロボット52と領域R1との離間距離が、前述した所定離間距離よりも短く、第1の搬送ロボット32が領域R1と接触しない距離に予め設定されている。
ここで、基板搬送の流れについて説明すると、基板Wに対して二種類の処理が行われるため、基板Wは、開閉ユニット20、バッファユニット40、第1の処理室61、第2の処理室61、バッファユニット40、開閉ユニット20の順番で搬送される。第1の処理室61及び第2の処理室61では、互いに異なる処理液により基板Wに対する処理が行われる。詳しくは、図4及び図5に示すように、第2の移動機構51を挟んで並ぶ八つの処理室61において、片側で一列に並ぶ四つの処理室(第1の処理室)61と、もう一方の片側で一列に並ぶ四つの処理室(第2の処理室)61とが存在する。基板Wに対して二種類の処理を行う場合には、片側で一列に並ぶ四つの第1の処理室61と、もう一方の片側で一列に並ぶ四つの第2の処理室61とおいて、互いに異なる処理が実行される。このとき、第2の移動機構51を挟んで正対する第1の処理室61と第2の処理室61とが一組となり、第1の処理室61での処理が完了すると、第2の搬送ロボット52により第1の処理室から第2の処理室61に基板Wが搬送される。なお、図5では、第2の搬送ロボット52の動作範囲H2に基づき、メンテナンス対象となるA1の処理室61に対するアクセスが禁止されるため、A1の処理室61に対する基板搬送、また、A1の処理室(第1の処理室)61から組である第2の処理室61への基板搬送も禁止される。
第1の搬送ロボット32は、開閉ユニット20内の専用ケースから未処理の基板Wを取り出し、旋回して(又は移動して旋回し)未処理の基板Wをバッファユニット40内にセットする。第2の搬送ロボット52は、バッファユニット40内から未処理の基板Wを取り出し、旋回して(又は旋回して移動し)未処理の基板Wを所望の第1の処理室61内にセットする。その後、第1の処理室61において基板Wに処理が行われる。第1の処理室61での処理が終了すると、第2の搬送ロボット52は、第1の処理室61内から基板Wを取り出し、180度旋回して基板Wを第2の処理室61内にセットする。その後、第2の処理室61において基板Wに処理が行われる。第2の処理室61での処理が終了すると、第2の搬送ロボット52は、第2の処理室61内から基板Wを取り出し、旋回して(又は旋回して移動し)基板Wをバッファユニット40内に置く。第1の搬送ロボット32は、バッファユニット40内から処理済の基板Wを取り出し、旋回して(又は旋回して移動し)処理済の基板Wを所望の専用ケース内にセットする。
ただし、第2の搬送ロボット52による基板搬送の流れは、第1の処理室61とそれに正対する第2の処理室61の組ごとに実行されるが、第1の処理室61及び第2の処理室61では、処理内容が異なるため、処理時間も異なる。生産性を向上させるため、第2の搬送ロボット52は、バッファユニット40、第1の処理室61、第2の処理室61の各場所において一方のアームにより処理済の基板Wを取り出し、他方のアームによって未処理の基板Wをセットする。つまり、第2の搬送ロボット52は、バッファユニット40、第1の処理室61、第2の処理室61の各場所において処理済の基板Wの取り出し動作と未処理の基板Wの受け渡し動作(基板の入れ替え動作)を一組の動作として行う。また、第1の搬送ロボット32も、バッファユニット40において処理済の基板Wの取り出し動作と未処理の基板Wの受け渡し動作(基板の入れ替え動作)を一組の動作として行う。さらに、生産性を向上させるため、各第1の処理室61にそれぞれ未処理の基板Wがセットされて各第1の処理室61で並行して処理が行われ、処理が終わった第1の処理室61から処理済の基板Wが取り出され、対応する第2の処理室61にセットされて各第2の処理室61で並行して処理が行われる。したがって、実際の基板搬送の流れは、前述の基板搬送の流れよりも複雑となる。
このような基板搬送中でも、作業者は第1の搬送ロボット32及び第2の搬送ロボット52に干渉することなく、図4及び図5中のA1の処理室61の前面まで移動することができ、図4及び図5中のA1の処理室61にアクセスし、そのA1の処理室61に対するメンテナンス作業を行うことができる。つまり、搬送室(第1の搬送室33、第2の搬送室53)に作業者が入っても、搬送ロボット(第1の搬送ロボット32、第2の搬送ロボット52)は搬送動作を継続することができる。作業者が搬送室に居ることが認識されると、搬送ロボットの動作範囲H1、H2と作業者の領域R1とが認識され、搬送ロボットが作業者を回避して移動するように制御される。搬送ロボットは、メンテナンス作業を行う作業者との接触を回避しつつ、基板Wを搬送する搬送作業を続ける。搬送ロボットの電源停止や基板処理装置10の電源停止などにより搬送作業を停止しなくても、作業者と搬送ロボットは搬送室を共用してそれぞれの作業を行うことができる(協調作業の実現)。したがって、搬送室内に作業者が入った場合でも、搬送ロボットは基板搬送を停止することなく、搬送作業を継続することが可能であり、基板処理装置10は基板処理を継続することができる。これにより、メンテナンス作業により基板処理が停止することを抑え、生産性の低下を抑えることができる。また、メンテナンス作業が長引いたとしても、搬送ロボットは搬送作業を継続するため、基板処理装置10は基板処理を継続することが可能であり、生産性の低下を抑えることができる。
また、第1の搬送ロボット32が旋回台32aにより第1の移動機構31の直上からオフセットしており、第1の搬送室33のほぼ半分のエリア(第1の搬送室33において第2の搬送室53側のエリア)は第1の搬送ロボット32の動作範囲外になっている。このため、人が第1の搬送ロボット32の動作範囲外を歩いて移動することが可能であり、第1の搬送ロボット32が第1の移動機構31の直上にある場合(人が第1の搬送ロボット32の動作範囲内に侵入して移動する場合)に比べ、第1の搬送ロボット32と接触することを抑えることができる。したがって、第1の搬送ロボット32と第1の移動機構31との間に旋回台32aを追加することで、第1の搬送ロボット32が第1の移動機構31の直上からオフセットし、人と干渉しないスペースを設けることが可能となり、メンテナンス作業などで人が第1の搬送室33内に入っても、第1の搬送ロボット32が基板搬送を継続することができる。
さらに、作業者が複数の処理室61のなかの特定の処理室61に対してメンテナンス作業を長時間行う必要がある場合にも、基板処理装置10を停止させずに基板処理や基板搬送を継続しながら、作業者は第2の搬送室53内でメンテナンス作業を行うことができる。また、作業者が第2の搬送室53内でメンテナンス作業を行うことが可能となるので、第2の搬送室53側とは反対側、すなわち搬送室外に設けることがあるメンテナンススペース(作業者が基板処理装置10の装置外から処理室61内にアクセスするためのスペース)を省略することができる。これにより、装置外のメンテナンスエリアを削減することが可能となるので、維持費用が高額なクリーンルームのスペース利用効率を高くすることができる。つまり、基板処理装置10の装置外のエリアをメンテナンススペースとして広く取る必要も無くなるので、クリーンルームに複数台の基板処理装置10を設置する場合でも、それらの基板処理装置10の装置間隔を狭くすることが可能であり、クリーンルームを有効に使用することができる。また、基板搬送に必要なクリーン度を維持した搬送室内でメンテナンス作業ができれば、装置外のスペースのクリーン度を現状よりも低くすることができる可能性もあり、クリーンルームのクリーン度を維持する維持品を軽減することができる。また、塵の影響が少ない搬送室側からメンテナンス作業を行えるため、処理室解放後のクリーン度復帰に係る時間を短縮することも可能となり、生産性の低下を抑えることができる。
また、第1の搬送ロボット32及び第2の搬送ロボット52を機械的な位置情報(例えば、エンコーダからの位置情報)に基づいて制御することに加え、各撮像部33b、53bにより得られる画像情報から認識部73により生成される位置情報に基づいて制御することによって、より正確な位置制御を行うことが可能となり、第1の搬送ロボット32及び第2の搬送ロボット52を確実に監視することができる。また、実際の第1の搬送ロボット32及び第2の搬送ロボット52の位置を把握することが可能であり、機械的な位置情報だけの制御に比べ、安全性を高めることができる。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、搬送室(第1の搬送室33、第2の搬送室53)内の人の位置を検出して認識し、認識した人の位置を含む領域R1を設定し、設定した領域R1を人の移動に応じて移動させ、移動させた領域R1を搬送ロボット(第1の搬送ロボット32、第2の搬送ロボット52)が避けて基板Wを搬送するように搬送ロボット及び移動機構(第1の移動機構31、第2の移動機構51)の動作を制御する。これにより、搬送室内に作業者が入った場合でも、搬送ロボットは基板搬送を停止することなく、搬送作業を継続することが可能であり、基板処理装置10は基板処理を継続することができる。これにより、メンテナンス作業により基板処理が停止することを抑え、生産性の低下を抑えることができる。また、メンテナンス作業が長引いたとしても、搬送ロボットは搬送作業を継続するため、基板処理装置10は基板処理を継続することが可能であり、生産性の低下を抑えることができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(入力部及び設定部)について説明し、その他の説明を省略する。
図6に示すように、第2の実施形態に係る第1の搬送室33には、入力部33cが設けられている。入力部33cは、第1の搬送室33の出入口33aの近傍に配置されおり、人(例えば作業者)からの入力操作を受け付ける。入力部33cとしては、例えば、スイッチやボタン、タッチパネルなどが用いられる。入力部33cは、領域コントローラ72cに電気的に接続されており、人からの入力操作を受け付けると、入力信号を領域コントローラ72c(図3参照)に送る。例えば、作業者が入力部33cを操作してメンテナンス対象の処理室61を指示すると、メンテナンス対象の処理室61を示す入力情報が入力信号として領域コントローラ72cに入力される。
領域コントローラ72cの設定部74は、入力部33cから入力された入力情報に基づき、その入力情報により示される処理室61の前面に、人が作業するための作業領域R2を設定し、設定した作業領域R2に関する作業領域情報を記憶部72bに記憶する。例えば、人が入力部33cを操作し、図6中のA2の処理室61をメンテナンス対象の処理室として指定すると、指定されたメンテナンス対象の処理室61の前面に作業領域R2が設定される。作業領域R2とは、例えば、検出した人が処理室61の前面でメンテナンス対象の処理室61に対して安全にメンテナンス作業を行うことができる所望サイズの直方体形状の空間領域である。作業領域R2はメンテナンス対象の処理室61の前面に空間座標で設定される。なお、作業領域R2の設定のために作業者が入力する情報は、作業者が作業する領域を特定できる情報であればよく、メンテナンス対象の処理室61を指定する情報には限定されない。例えば、作業者が入ることができる装置内のいずれかの場所を示す情報であれば、入力情報とすることができる。このため、作業領域R2そのものを指定する情報を入力情報としてもよいし、搬送エリア内のいずれかの場所を示す情報を入力情報としてもよい。また、作業領域R2は領域R1とは別に設定される。
メンテナンス作業において、作業者が図6中のA2の処理室61に対してメンテナンス作業を行う場合、作業者は第1の搬送室33の出入口33aから第1の搬送室33に入り、入力部33cを操作して、図6中のA2の処理室61をメンテナンス対象として指定する。そして、作業者は、第1の搬送室33の出入口33aの近傍からバッファユニット40の近傍まで移動し、バッファユニット40の近傍から第2の搬送室53に入って、A2の処理室61に正対する位置まで移動する。そして、作業者は、A2の処理室61内の各部に対してメンテナンス作業を行い、メンテナンス作業が完了すると、先ほど第1の搬送室33の出入口33aからA2の処理室61に正対する位置まで移動してきた経路を逆に移動し、第1の搬送室33の出入口33aから退室する。
入力部33cが作業者により操作され、図6中のA2の処理室61がメンテナンス対象であることが指定されると、メンテナンス対象がA2の処理室61であることを示す入力情報が領域コントローラ72cに送信される。送信された入力情報に基づき、設定部74によって作業領域R2がA2の処理室61の前面に設定される。他の処理は第1の実施形態と同様であるが、ロボットコントローラ72dは、設定された作業領域R2に関する作業領域情報に基づき、第2の搬送ロボット52が領域R1及び作業領域R2を避けて基板Wを搬送するように第2の搬送ロボット52及び第2の移動機構51を制御する。
基板搬送中でも、作業者は第1の搬送ロボット32及び第2の搬送ロボット52に干渉することなく、図6中のA2の処理室61の前面まで移動することができ、A2の処理室61にアクセスし、そのA2の処理室61に対するメンテナンス作業を行うことができる。つまり、第1の実施形態と同様、搬送室(第1の搬送室33、第2の搬送室53)に作業者が入っても、搬送ロボット(第1の搬送ロボット32、第2の搬送ロボット52)は搬送動作を継続することができる。したがって、メンテナンス作業により基板処理が停止することを抑え、生産性の低下を抑えることができる。また、メンテナンス作業が長引いたとしても、搬送ロボットは搬送作業を継続するため、基板処理装置10は基板処理を継続することが可能であり、生産性の低下を抑えることができる。また、メンテナンスの対象となる処理室61の前面に作業領域R2が設定される。これにより、第2の搬送ロボット52は作業領域R2を避けて移動するため、メンテナンス作業中に第2の搬送ロボット52が作業者に接触することを確実に抑えることが可能となり、作業者はより安全にメンテナンス作業を行うことができる。
なお、図7に示すように、仕切部材R2aにより作業領域R2を囲うようにしてもよい。仕切部材R2aとしては、例えば、カーテンが用いられる。このカーテンを用いる場合には、処理室61ごとにその前面に位置する作業領域R2の天井部分にカーテンレールが設けられている。作業者は作業領域R2まで移動したら、作業領域R2で仕切部材R2aを設置し(例えばカーテンをカーテンレールに取り付け)、仕切部材R2aによって作業領域R2を囲う。また、シャッタなどとすれば、防護壁とできる。これにより、処理室61内及び作業領域R2内を第2の搬送室53(搬送エリア)内と区分けして、汚染が処理室61内及び作業領域R2内から第2の搬送室53内に広がることを抑制することが可能になるので、作業員によるメンテナンス作業によって周囲に塵が拡散することを抑えることができる。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、メンテナンスの対象となる処理室61の前面に作業領域R2を設定することによって、第2の搬送ロボット52は作業領域R2を避けて移動する。これにより、第2の搬送ロボット52がメンテナンス作業中に作業者に接触することを確実に抑えることが可能となるので、作業者はより安全にメンテナンス作業を行うことができる。
<他の実施形態>
前述の説明では、第1の搬送ロボット32の移動に関して一軸の第1の移動機構31及び旋回台32aを用いること、また、第2の搬送ロボット52の移動に関して一軸の第2の移動機構51及び旋回台52aを用いることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52を支持する移動台及び二軸の移動機構を設け、その移動台を二軸の移動機構により平面内で直交する二方向(例えばX方向及びY方向)に移動させるようにしてもよい。第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52は、二軸の移動機構により二方向に同時に移動することが可能であり、最短ルートで基板Wを搬送することができる。
また、前述の説明では、人の有無や位置を把握するための手段として、撮像部33b、53bを用いることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、超音波や光利用の距離センサ、床面の足位置を確認するマットスイッチ(接触センサ、重量センサ、ひずみセンサなど)、サーモカメラ、音響(注意を促す音)などを用いるようにしてもよい。
さらに、このような手段としては、電波を発信する発信器を用いてもよい。この発信器を人が所持し又は身に着けていて、発信される電波に基づいて、認識部(検出部)73が人の位置を認識(検出)する。これにより、発信器を中心とした所定の領域、つまり、人の位置を含む領域R1が設定される。例えば、発信器から発信される電波を、あらかじめ基板処理装置10内に設置され位置情報が登録された受信器が受信する。これにより、認識部73は、発信器からの電波強度がもっとも強い受信器の位置を人の位置としたり、複数の受信器が受信した電波強度に基づいて、演算により人の位置を求めることができる。より具体的には、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、タブレット端末、IDカード等の情報通信端末を発信器として、発信器から発信されるビーコンを受信するアクセスポイント、ルータ等の端末を受信器とすることができる。
また、前述の説明では、領域R1として円柱形状の空間領域を用いることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、検出した人を少なくとも含むことが可能な所望サイズである、直方体形状の空間領域や紡錘体形状の空間領域、人型の空間領域を用いるようにしてもよい。また、作業領域R2として、直方体形状の空間領域を用いることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、検出した人を作業中でも含むことが可能な所望サイズである円柱形状の空間領域や紡錘体形状の空間領域を用いるようにしてもよい。領域R1と作業領域R2とが重複したときには、いずれか一方に優先度を持たせることができる。例えば、領域R1と作業領域R2のいずれか大きい領域の方を優先させてもよい。また、作業領域R2から人が飛び出した場合、撮像部33b、53bが作業者を認識し、すぐに領域R1として設定して、その設定された領域R1を、第1の搬送ロボット32、第2の搬送ロボット52が避けるように制御してもよい。
また、前述の説明では、一人でメンテナンス作業を行うことを例示したが、これに限るものではなく、例えば、複数人でメンテナンス作業を行うようにしてもよい。複数人でメンテナンス作業を行う場合には、人ごとに領域R1を設定し、第1の搬送ロボット32や第2の搬送ロボット52は、人ごとに設定された領域R1(複数の領域R1)を避けて基板Wを搬送することになる。
また、前述の説明では、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52と領域R1との離間距離に基づき、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52の移動速度を下げることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、作業者が移動している場合、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52の移動速度を下げるようにしてもよい。また、作業者の移動速度に応じて、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52の移動速度を変更するようにしてもよい。例えば、ロボットコントローラ72dは、作業者の移動速度が上がると、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52の移動速度を下げ、逆に作業者の移動速度が下がると、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52の移動速度を上げる。なお、追従部75は、記憶部72bに記憶された情報のうち領域R1の位置情報を人の移動に応じて変更するが、この領域R1の位置情報の変化に応じて作業者の移動速度を求めることが可能である。
また、前述の説明では、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52が作業者に近づく場合に移動速度を下げることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52が作業者に近づく場合でも、移動速度を下げないようにしてもよく、また、第1の搬送ロボット32又は第2の搬送ロボット52が作業者から離れる場合に移動速度を下げるようにしてもよい。また、前述の説明では、第1の搬送ロボット32及び第2の搬送ロボット52による基板Wの搬送ルートが最短距離となるように、搬送ルートを選択するようにしたが、領域R1との離間距離に応じて低速で移動する距離が短い搬送ルートを、優先して選択しても良い。これにより、基板搬送時間の短縮につながる。
また、前述の説明では、メンテナンス対象の処理室61の前面に作業領域R2(図6又は図7参照)を設定することを例示したが、これに限るものではなく、作業領域R2に加え、認識部73により検出された作業者(第1の搬送室33の出入口33aから第1の搬送室33に入室した作業者)が第1の搬送室33の出入口33aから作業領域R2まで移動するための移動領域(図示せず)を設定部74により設定するようにしてもよい。移動領域とは、作業者が搬送室に入室して作業領域R2まで第1の搬送ロボット32及び第2の搬送ロボット52に接触せずに移動することができる所望サイズの空間領域である。ロボットコントローラ72dは、第1の搬送ロボット32や第2の搬送ロボット52が作業領域R2及び移動領域を避けて基板Wを搬送するように第1の移動機構31、第1の搬送ロボット32、第2の移動機構51、第2の搬送ロボット52などの動作を制御する。この処理では、領域R1の設定や追従などの処理を実行しなくしてもよい。その後、作業者が移動して作業領域R2内に居ることが認識部73によって検出された場合、設定部74は移動領域を削除する。作業者が作業領域R2内で作業している場合、ロボットコントローラ72dは、第1の搬送ロボット32や第2の搬送ロボット52が作業領域R2だけを避けて基板Wを搬送するように第1の移動機構31、第1の搬送ロボット32、第2の移動機構51、第2の搬送ロボット52などの動作を制御する。
また、前述の説明では、基板Wに対して二種類の処理を行うことを例示したが、これに限るものではなく、例えば、一種類の処理を行うようにしてもよく、また、三種類の処理を行うようにしてもよい。基板Wに対して一種類の処理を行う場合、第2の搬送ロボット52は、基板Wをバッファユニット40、処理室61、バッファユニット40という順番で搬送する。基板Wに対して三種類の処理を行う場合、第2の搬送ロボット52は、基板Wをバッファユニット40、第1の処理室61、第2の処理室61、第3の処理室61、バッファユニット40という順番で搬送する。つまり、処理1→処理2→処理3の順に処理を行ってからバッファユニット40に処理済の基板を戻す作業になる。例えば、処理1を行う第1の処理室61の数を2つ、処理2を行う第2の処理室61の数を4つ、処理3を行う第3の処理室61を2つにするが、これは、処理2が処理1又は処理3に比べて2倍の時間を要することを想定し、台数を倍に設定するためである。
なお、ロボットの動作範囲H1、H2内に作業者がいることを撮像部33b、53bのセンサで検出することによってロボット動作に制限をかけているが、作業者は出入口33a、53aの扉から入室、退出することを基本的な動作とする。したがって、ドアの入出なく作業者がロボットの動作範囲に現れる、または、動作範囲からいなくなる事象が発生した場合は、作業者の異常動作、あるいはセンサの異常として、ワーニングやアラームによる作業者の動作の確認を行うようにしてもよい。
また、カメラによる撮像を2か所で行い、2か所のカメラが共に作業者の認識をしない場合、カメラの異常として、搬送ロボットの動作を一旦停止、つまり一時的に停止してもよい。
また、複数のセンサを使って、いずれかのセンサが作業者を認識している場合は、搬送ロボットの動作を一旦停止するか、あるいはメンテナンス作業モードから通常作業モードに戻らないようにしてもよい。
また、搬送ロボットの動作が一時的に停止していることを、作業者が所持している端末などの操作画面に表示してもよい。また、カメラの異常などの停止の原因も、端末に表示してもよい。このような場合、作業者が装置から離れて安全を確保できたら、一時的な停止を解除する指示を端末から入力することにより、搬送ロボットに動作を開始させてもよい。また、作業者が装置内を移動する場合などは、一時的な停止を解除する指示を端末から入力しないことにより、停止を継続するようにして安全を確保してもよい。
また、作業者の動きによっては、搬送ロボットが作業者を回避できず、ロボットの動作を継続することができない状態が生じる場合がある。このように動作を継続できない状態のパターンをあらかじめ設定しておくことにより、ロボットが動作を一旦停止したら、あらかじめ設定されたパターンに相当する状態が解消されない限り、ロボットが動作を開始しないようにしてもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。