JP7437389B2 - エポキシ樹脂用硬化剤 - Google Patents

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Description

エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物用の硬化剤、及び、特にコーティングとしてのその使用。
エポキシ樹脂系コーティングが建築業において広く用いられている。これらは液体樹脂と硬化剤成分とからなり、塗布に先だって混合され、次いで、約5~35℃の範囲内の周囲温度で硬化して強度及び安定性が高い素材が形成される。このようなエポキシ樹脂コーティングはヘーズ、斑点、粗度又は粘着性などの表面欠陥に対する傾向を有し、これは「ブラッシング」とも呼ばれる。ブラッシングは、空気中の二酸化炭素(CO)と塩を形成する硬化剤成分中に存在するアミンにより引き起こされ、特に高い湿度及び低い温度で生じる。特に、フロアコーティングなどの審美的な要求がなされるコーティング用途においては、ブラッシング-関連表面欠陥の発生はきわめて不利益であり、通常は、欠陥個所又は多くの場合コーティング全体の面倒な補修又は上塗りが必要である。
塗布が容易となり、及び、基材表面において良好な濡れ性が得られるよう、シンナーを用いてエポキシ樹脂組成物の粘度が下げられる。同時に、シンナーはまた、ブラッシングの影響の受けやすさをも低減させる。ベンジルアルコールなどの通例用いられるシンナーは揮発性の化合物(VOC又はSVOC)であって、硬化に際して高分子マトリックス中に取り込まれることはなく、それ故、排出される結果となり得る。消費者による需要が高まっている低排出製品について、これは、シンナーを少量でしか使用し得ないか、又は、まったく使用し得ないことを意味する。
ブラッシングを低減するため、反応性希釈剤として、欧州特許第2,943,464号明細書、国際公開第2016/023839号パンフレット、欧州特許第3,138,863号明細書又は欧州特許第3,144,335号明細書に記載されているとおり、硬化剤成分においてアルキル化アミンを用いることが可能である。欧州特許第3,138,863号明細書に記載されているN-ベンジルエタン-1,2-ジアミンが特に好適である。しかしながら、ここで得られるエポキシ樹脂コーティングはさらなる改善が必要である。
本発明は、従来技術の欠点が克服されており、及び、審美的な要求がなされるコーティング用途に特に好適であるエポキシ樹脂用硬化剤を提供することを目的とする。
この目的は、特にN-ベンジルエタン-1,2-ジアミンとN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンとの組み合わせを含む請求項1に記載されている硬化剤によって達成される。本発明の硬化剤は低い粘度を有すると共に、エポキシ樹脂組成物の特に良好な低粘稠化をもたらし、これは、低排出性の形態で配合可能であり、且つ、それにもかかわらず、コーティングとして良好な加工性を有することを意味する。本発明の硬化剤はさらに、特に8℃/80%相対湿度などの高湿及び低温条件下においても、意外な程に迅速な硬化性を実現する。その結果、本コーティングは、典型的には塗布後最初の24時間以内といった短時間の後においてもその上を歩行可能であり、及び、例えば再コーティング又はシーリングといったさらなる加工が可能である。また、本発明の硬化剤は、最終的に、硬化したコーティングの表面品質において特に良好な結果を達成する。
N-ベンジルエタン-1,2-ジアミンを単独で使用した場合と比して、N,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンを特許請求に係る重量比で追加的に用いることで、標準気象条件下(23℃/50%の相対湿度)における最終的な硬度又は硬化性において明確な機能障害をまったく伴うことなく、高湿及び低温条件下におけるより速い硬化及び高い表面品質、並びに、より良好な加工性がもたらされる。N,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンの官能性の低さによって、明らかに遅い硬化及び低い最終硬度が予期されるために、これは特に意外である。
本発明の硬化剤は、特に、ベンズアルデヒド及び水素を伴うエタン-1,2-ジアミンの還元性アルキル化を介することにより、調製が容易である。これは、エポキシ樹脂の特に良好な低粘稠化をもたらすと共に、良好な加工性及び長いポットライフを有し、特に高湿及び低温条件下においても確実且つ意外な程に迅速に硬化してすぐにその上を歩行することが可能である低排出性エポキシ樹脂生成物をもたらす。これは、特に高い表面品質及び低い黄変に対する傾向を有する高い機械的品質のコーティングをもたらす。このようなエポキシ樹脂生成物は、フロア用のコーティングとして特に好適である。
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
本発明は、N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンを、65/35~95/5の範囲のN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン/N,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン重量比で含むエポキシ樹脂用硬化剤を提供する。
「第一級アミノ基」とは、1個の有機ラジカルに結合すると共に2個の水素原子を有するアミノ基を指し;「第二級アミノ基」とは、一緒になって環の一部でもあり得る2個の有機ラジカルに結合すると共に1個の水素原子を有するアミノ基を指し;及び、「第三級アミノ基」とは、その2個又は3個が1つ以上の環の一部でもあり得る3個の有機ラジカルに結合すると共に水素原子をまったく有さないアミノ基を指す。
「アミン水素」とは、第一級及び第二級アミノ基の水素原子を指す。
「アミン水素換算重量」とは、1モル当量のアミン水素を含有するアミン又はアミン含有組成物の質量を指す。
ポリアミン又はポリエポキシドなどの「ポリ」から始まる物質名は、形式的な意味で、1分子当たり、その名称中に現れる官能基を2個以上含有する物質を指す。
「シンナー」とは、エポキシ樹脂中に可溶であり、粘度を低減させ、及び、硬化プロセス中においてエポキシ樹脂ポリマーに化学的に取り込まれない物質を指す。
「分子量」は、分子のモル質量(g/mol)を指す。「平均分子量」は、オリゴマー系又は高分子分子の多分散混合物の数平均Mを指し、これは、典型的には、標準としてのポリスチレンに対してゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。
「ポットライフ」とは、エポキシ樹脂組成物が加工性である期間、すなわち、成分を混合してから、十分に易流動性状態にあって基材の表面を濡らすことが可能である混合組成物の塗布までの間の可能な限り最長の時間を指す。
接着剤の「オープンタイム」とは、接着剤の塗布と、結合されるべき部品の接続との間における、粘着性の結合が可能である最長の期間を指す。
「室温」とは、23℃の温度を指す。
好ましくは、硬化剤は水性ではない。これは特に、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは2.5重量%未満の水を含有する。このような硬化剤は非乳化エポキシ樹脂の硬化に特に好適であり、きわめて疎水性で安定な素材が得られる。
硬化剤は、N,N-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン、すなわち、1個の第三級及び1個の第一級アミノ基を有するジアミンをほとんど含んでいないことが好ましい。好ましくは、硬化剤は、N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンの総量に基づいて、2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、特に0.5重量%未満のN,N-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンを含有する。
N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンの重量比は、70/30~90/10、特に80/20~90/10の範囲であることが好ましい。このような硬化剤は、特に、良好な低粘稠化、迅速な硬化性及び高い表面品質の魅力的な組み合わせをもたらす。
N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンは、ベンズアルデヒド及び水素を伴うエタン-1,2-ジアミンの還元性アルキル化を介して調製されることが好ましい。
還元性アルキル化は、好適な触媒の存在下で実施されることが好ましい。好ましい触媒は、パラジウム炭素(Pd/C)、プラチナ炭素(Pt/C)、アダムス触媒又はラネーニッケル、特にパラジウム炭素又はラネーニッケルである。
還元性アルキル化は、圧力装置中において、5~150bar、特に10~100barの水素圧で実施されることが好ましい。これは、バッチ式プロセス、又は、好ましくは、連続プロセスで実施可能である。
還元性アルキル化は、40~120℃、特に60~100℃の範囲内の温度で実施されることが好ましい。
N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンは、個別に調製され、本発明の硬化剤について適切な重量比でブレンドされ得る。
両方のアミンを含む反応混合物がもたらされる、エタン-1,2-ジアミン及びベンズアルデヒドの特定のモル比で還元的アルキル化を実施することにより、N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンを一緒に調製することが好ましい。
エタン-1,2-ジアミン及びベンズアルデヒドのモル比は、より好ましくは、得られる反応混合物におけるN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンの重量比が、本発明の硬化剤におけるものに相当することとなるよう選択される。
エタン-1,2-ジアミン対ベンズアルデヒド(エタン-1,2-ジアミン/ベンズアルデヒド)のモル比は、好ましくは5/1~1.5/1の範囲、より好ましくは4/1~2/1の範囲内である。このような反応混合物を、別に調製されたN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン又はN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンを加える必要性を伴わずに、本発明の硬化剤を直接調製するために用いることが可能である。
本発明の硬化剤はそれ故、N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンを含む、ベンズアルデヒド及び水素によるエタン-1,2-ジアミンの還元的アルキル化により得られる反応混合物を、65/35~95/5、好ましくは70/30~90/10、特に80/20~90/10の範囲の重量比で含むことが好ましい。
本発明の硬化剤は、少なくとも1種のさらなるアミンを含んでいることが好ましい。
好ましいさらなるアミンは、少なくとも2個、特に少なくとも3個のアミン水素を有する脂肪族、脂環式又はアラリファティック(araliphatic)ポリアミンであって、特に、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、ペンタン-1,3-ジアミン(DAMP)、ペンタン-1,5-ジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、2-ブチル-2-エチルペンタン-1,5-ジアミン(C11ネオジアミン)、ヘキサン-1,6-ジアミン、2,5-ジメチルヘキサン-1,6-ジアミン、2,2(4),4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン(TMD)、ヘプタン-1,7-ジアミン、オクタン-1,8-ジアミン、ノナン-1,9-ジアミン、デカン-1,10-ジアミン、ウンデカン-1,11-ジアミン、ドデカン-1,12-ジアミン、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン又はIPDA)、2(4)-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、メンタン-1,8-ジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキソスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA)、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、ビス(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、又は、これらのジアミンの高級オリゴマー、ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン又は他のポリテトラヒドロフランジアミン、1,4-ジメチロールシクロヘキサンのプロポキシ化及びその後のアミノ化に由来する脂環式ジアミン含有エーテル基(特にJeffamine(登録商標)RFD-270(Huntsman製)として入手可能であるもの)、又はポリオキシアルキレンジ-又は-トリアミン(特にJeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)EDR-104、Jeffamine(登録商標)EDR-148、Jeffamine(登録商標)EDR-176、Jeffamine(登録商標)T-403、Jeffamine(登録商標)T-3000、Jeffamine(登録商標)T-5000(すべてHuntsman製)として入手可能であるもの)、又は、BASF若しくはNitroil製の対応するアミン、2-アミノエチルピペラジン、3-ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、3-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)プロピルアミン(DMAPAPA)、ビス(6-アミノヘキシル)アミン(BHMT)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)又は線状ポリエチレンアミンの高級同族体、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N-(2-アミノエチル)プロパン-1,3-ジアミン(N3アミン)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン(N4アミン)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、N3-(3-アミノペンチル)ペンタン-1,3-ジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、N,N’-ビス(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、N-ベンジルジエチレントリアミン、N-ベンジルトリエチレンテトラアミン、N,N’-ジベンジルトリエチレンテトラアミン、N”-ベンジル-N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N”,N”’-ジベンジル-N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N-ベンジルプロパン-1,2-ジアミン、N,N’-ジベンジルプロパン-1,2-ジアミン、N-ベンジル-1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、N,N’-ジベンジル-1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、N,N’-ビス(2-エチルヘキシル)-1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、スチレン化MXDA(三菱ガス化学株式会社からGaskamine(登録商標)240として入手可能)、上記のもの若しくはさらなるポリアミンとエポキシド若しくはエポキシ樹脂との付加物、特に、ジエポキシド若しくはモノエポキシド又はポリアミドアミンとの付加物、特に、モノ-若しくは多塩基性カルボン酸又はそのエステル若しくは無水物、特にダイマー脂肪酸と、化学量論的過剰量で用いられる脂肪族、脂環式又は芳香族ポリアミン、特にポリアルキレンアミン、例えばDETA若しくはTETAとの反応生成物、又はマンニッヒ塩基、特にフェンアルカミン、すなわち、フェノール、特にカルダノールと、アルデヒド、特にホルムアルデヒド及びポリアミンとの反応生成物などのものである。
好ましくは、硬化剤は、TMD、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、IPDA、2(4)-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、MXDA、200~500g/molの範囲内の平均分子量Mを有するポリオキシプロピレンジアミン、DMAPAPA、BHMT、DETA、TETA、TEPA、PEHA、DPTA、N3アミン、N4アミン、これら又はさらなるポリアミンとモノ-又はジエポキシドとの付加物、及びマンニッヒ塩基からなる群から選択される少なくとも1種のさらなるアミンを含む。
これらのうち、TMD、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、IPDA、MXDA、DMAPAPA、BHMT、DETA、TETA、TEPA、PEHA、DPTA、N3アミン、N4アミン、又は、これらとモノ-若しくはジエポキシドとの付加物、特にこれらとビスフェノールA又はビスフェノールFジグリシジルエーテルとの付加物が好ましい。このようなアミンを追加で用いることにより、特に高い硬度又は特に高いガラス転移温度をもたらすことが可能である。
これらのうち、MPMD又はプロパン-1,2-ジアミンとクレジルグリシジルエーテル、特にオルト-クレジルグリシジルエーテルとの付加物がさらに好ましい。付加物の形成は、クレジルグリシジルエーテルに対する過剰量のMPMD又はプロパン-1,2-ジアミンで行われることが好ましく、付加物を形成しなかったアミンは、蒸留によって反応後に除去されることが好ましい。
好ましくは、硬化剤は、上記のさらなるアミンの2種以上の組み合わせを含んでいてもよい。
特に好ましいさらなるアミンはIPDAである。このような硬化剤は、広く入手可能であり、安価であり、及び、特に高い硬度及びガラス転移温度を有するエポキシ樹脂生成物をもたらす。
特に好ましいさらなるアミンはまた、MXDAである。このような硬化剤は、広く入手可能であり、安価であり、及び、特に迅速に硬化すると共に高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂生成物をもたらす。
特に好ましいさらなるアミンはまた、TETA、TEPA、PEHA又はN4アミンである。このような硬化剤は、広く入手可能であり、特に安価であり、並びに、特に迅速な硬化性、高い硬度及び高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂生成物をもたらす。
特に好ましいさらなるアミンはまた、特にエポキシ樹脂接着剤における使用についてDMAPAPAである。これにより、特に高い強度及び結合力が得られる。
本発明の硬化剤はまた、2種以上のこのようなさらなるアミンを組み合わせで含んでいてもよい。
このようなさらなるアミンは、N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン由来のアミン水素1モル当り、0.1~10、好ましくは0.2~5molのさらなるアミン由来のアミン水素が存在するような量で用いられることが好ましい。
硬化剤は、任意選択により、少なくとも1種のシンナーを含む。
キシレン、2-メトキシエタノール、ジメトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシキシエタノール、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジフェニルメタン、ジイソプロピルナフタレン、鉱油画分、例えばSolvesso(登録商標)グレード(Exxon製)、t-ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、カルダノール(その主構成成分として3-(8,11,14-ペンタデカトリエニル)フェノールを含有するカシューナットシェル油由来)、スチレン化フェノール、ビスフェノール、芳香族炭化水素樹脂(特にフェノール基を含有するタイプ)、アルコキシル化フェノール、特にエトキシル化又はプロポキシル化フェノール、特に2-フェノキシエタノールなどのアルキルフェノール、アジピン酸塩、セバシン酸塩、フタル酸塩、安息香酸塩、有機リン酸若しくはスルホン酸エステル又はスルホンアミドが特に好適である。
好ましいシンナーは、200℃超の沸点を有する。
シンナーは、好ましくは、ベンジルアルコール、スチレン化フェノール、エトキシル化フェノール、フェノール基を含有する芳香族炭化水素樹脂、特にNovares(登録商標)LS 500、LX 200、LA 300又はLA 700グレード(Ruetgers製)、ジイソプロピルナフタレン及びカルダノールからなる群から選択される。
ベンジルアルコールが特に好ましい。
フェノール基を含有するシンナーもまた促進剤として有効である。
硬化剤は、任意選択により、少なくとも1種の促進剤を含む。
好適な促進剤は、アミノ基とエポキシ基との反応を促進させる物質であって以下のものである:特に、酸若しくは酸に加水分解可能な化合物、特に酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、乳酸などの有機カルボン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸若しくは4-ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸、スルホン酸エステル、特にリン酸などの他の有機酸若しくは無機酸、又は、前述の酸及び酸エステルの混合物;特に硝酸カルシウムなどの硝酸塩;特に1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミンなどの第三級アミン、特にN-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾール又は1,2-ジメチルイミダゾールなどのイミダゾール、このような第三級アミンの塩、特にベンジルトリメチル塩化アンモニウムなどの第四級アンモニウム塩、特に1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンなどのアミジン、特に1,1,3,3-テトラメチルグアニジンなどのグアニジン、特にビスフェノールといったフェノール、フェノール樹脂、又は、特に2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどのマンニッヒ塩基、又は、フェノールのポリマー、ホルムアルデヒド及びN,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、特にジ-若しくはトリフェニル亜リン酸塩などの亜リン酸塩、又は、メルカプト基を有する化合物。
好ましい促進剤は、酸、硝酸塩、第三級アミン又はマンニッヒ塩基である。
サリチル酸又は硝酸カルシウム又は2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール又はこれらの組み合わせが特に好ましい。
硝酸カルシウム及び2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの組み合わせが最も好ましい。これにより、特に低い温度でも特に迅速な硬化性、及び、特に高い硬度が達成される。
硝酸カルシウムは、特に、20%~70重量%の硝酸カルシウムを有する水溶液の形態で用いられる。
本発明はさらに、
- 少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む樹脂成分、並びに
- N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンを65/35~95/5、好ましくは70/30~90/10、特に80/20~90/10の重量比で含有する上記の硬化剤を含む硬化剤成分
を含むエポキシ樹脂組成物を提供する。
好適なエポキシ樹脂は、公知の様式、特に、オレフィンの酸化により、又は、エピクロロヒドリンと、ポリオール、ポリフェノール若しくはアミンとの反応により、入手される。
好適なエポキシ樹脂は、特に芳香族エポキシ樹脂であり、特に、以下のもののグリシジルエーテルである:
-ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールA/Fであって、ここで、Aはアセトンを表し、及び、Fは、ホルムアルデヒドを表し、これらは、これらのビスフェノールを調製するための反応体とされる。ビスフェノールFの場合、位置異性体が存在していてもよく、特に2,4’-又は2,2’-ヒドロキシフェニルメタンから誘導され得る。
-レゾルシノール、ハイドロキノン又はカテコールなどのジヒドロキシベンゼン誘導体;
-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、2,4-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールP)、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、4,4’-ジヒドロキシジフェニル(DOD)、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2-ヒドロキシナフタ-1-イル)メタン、ビス(4-ヒドロキシナフタ-1-イル)メタン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル又はビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどのさらなるビスフェノール又はポリフェノール;
-ノボラックであって、特にフェノール又はクレゾールと、ホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒド又はアセトアルデヒド又はクロトンアルデヒド又はイソブチルアルデヒド又は2-エチルヘキサナル又はベンズアルデヒド又はフルフラールとの縮合物であるもの;
-アニリン、トルイジン、4-アミノフェノール、4,4’-メチレンジフェニルジアミン、4,4’-メチレンジフェニルジ(N-メチル)アミン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンP)又は4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンM)などの芳香族アミン。
さらなる好適なエポキシ樹脂は、特に以下のものである脂肪族又は脂環式ポリエポキシドである:
-飽和又は不飽和、分岐又は不分岐、環式又は開環鎖である、二-、三-又は四官能性C~C30アルコールのグリシジルエーテル、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ポリプロピレングリコール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒマシ油、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール又はグリセロール、又は、アルコキシル化グリセロール又はアルコキシル化トリメチロールプロパン;
-水素化ビスフェノールA、F若しくはA/F液体樹脂、又は、水素化ビスフェノールA、F若しくはA/Fのグリシジル化生成物;
-トリグリジシルシアヌレート若しくはトリグリジシルイソシアヌレート、又は、エピクロロヒドリンとヒダントインとの反応生成物などのアミド又は複素環式窒素塩基のN-グリシジル誘導体。
-特に、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロドデカジエン、シクロドデカトリエン、イソプレン、1,5-ヘキサジエン、ブタジエン、ポリブタジエン又はジビニルベンゼンなどの、オレフィンの酸化に由来するエポキシ樹脂。
好ましくは、エポキシ樹脂は、液体樹脂又は2種以上の液体エポキシ樹脂を含有する混合物である。
「液体エポキシ樹脂」とは、25℃未満のガラス転移温度を有する工業用ポリエポキシドを指す。
樹脂成分は、任意選択により、固体エポキシ樹脂を一定の割合でさらに含有する。
エポキシ樹脂は、特にビスフェノール系液体樹脂、特にビスフェノールAジグリシジルエーテル及び/又はビスフェノールFジグリシジルエーテルであって、例えば、Olin,Huntsman又はMomentiveにより市販されているものである。これらの液体樹脂は、エポキシ樹脂としては低い粘度を有すると共に、迅速な硬化及び高い硬度をもたらす。これらは、固体ビスフェノールA樹脂又はノボラックグリシジルエーテルを一定割合で含有していてもよい。
樹脂成分は反応性希釈剤を含有し得る。
好ましい反応性希釈剤は、特にブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ-又はトリグリジシルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、グアヤコールグリシジルエーテル(guaiacol glycidyl ether)、4-メトキシフェニルグリシジルエーテル、p-n-ブチルフェニルグリシジルエーテル、p-t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、4-ノニルフェニルグリシジルエーテル、4-ドデシルフェニルグリシジルエーテル、カルダノールグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、又は、特に、C-~C10-若しくはC12-~C14-若しくはC13-~C15-アルキルグリシジルエーテルなどの天然アルコールのグリシジルエーテルといったエポキシ基を含有する反応性希釈剤である。
エポキシ樹脂組成物は、シンナー、促進剤及び充填材からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる構成成分を含有することが好ましい。
好適な促進剤は、既述のものであって、特にサリチル酸、硝酸カルシウム若しくは2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、又は、これらの組み合わせである。硝酸カルシウム及び2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの組み合わせが最も好ましい。これにより、特に低い温度においても特に迅速な硬化性、及び、特に高い硬度が達成される。
好適なシンナーは、既述のものであって、特に200℃を超える沸点を有するものである。
シンナーは、好ましくは、ベンジルアルコール、スチレン化フェノール、エトキシル化フェノール、フェノール基を含有する芳香族炭化水素樹脂、特にNovares(登録商標)LS 500、LX 200、LA 300又はLA 700グレード(Ruetgers製)、ジイソプロピルナフタレン及びカルダノールからなる群から選択される。
ベンジルアルコールが特に好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、少量のシンナーのみを含有していることが好ましい。25重量%未満、より好ましくは15重量%未満、特に10重量%未満のシンナーが含有されていることが好ましい。これにより、低排出性又は無排出性のエポキシ樹脂生成物が得られる。
好適な充填材は、特に、任意選択により特にステアリン酸塩といった脂肪酸でコーティングされた重質若しくは沈降炭酸カルシウム、重晶石(重晶石)、タルク、石英粉末、珪砂、炭化ケイ素、黒雲母、苦灰石、珪灰石、カオリン、雲母(カリウムケイ酸アルミニウム)、分子ふるい、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、セメント、石膏、フライアッシュ、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、銀若しくは鋼などの金属粉末、PVC粉末又は中空ビーズである。
炭酸カルシウム、石英粉末及び珪砂が好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、任意選択により、さらなる助剤及び添加剤、特に以下のものを含む:
-反応性希釈剤、特に上記で既述のもの、又は、エポキシ化大豆油若しくはアマニ油、アセト酢酸基を含有する化合物、特にアセトアセチル化ポリオール、ブチロラクトン、炭酸塩、アルデヒド、イソシアネート又は反応性基を有するシリコーン;
-溶剤;
-さらなるアミン、特に、特にベンジルアミン若しくはフルフリルアミンなどのモノアミン、又は、特に、4,4’-、2,4’及び/若しくは2,2’-ジアミノジフェニルメタン、2,4-及び/若しくは2,6-トリレンジアミン、3,5-ジメチルチオ-2,4-トリレンジアミン及び/若しくは3,5-ジメチルチオ-2,6-トリレンジアミン、3,5-ジエチル-2,4-トリレンジアミン及び/若しくは3,5-ジエチル-2,6-トリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン;
-メルカプト基を有する化合物、特に液体メルカプタン-末端ポリスルフィドポリマー、メルカプタン-末端ポリオキシアルキレンエーテル、メルカプタン-末端ポリオキシアルキレン誘導体、チオカルボン酸のポリエステル、2,4,6-トリメルカプト-1,3,5-トリアジン、トリエチレングリコールジメルカプタン又はエタンジチオール;
-ポリマー、特にポリアミド、ポリスルフィド、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PUR)、カルボキシル基を有するポリマー、ポリアミド、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン-スチレンコポリマー、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル若しくはアルキル(メタ)アクリレートを含む群に由来する不飽和モノマーのホモ-若しくはコポリマー、特にクロロスルホン化ポリエチレン若しくはフッ素含有ポリマー又はスルホンアミド-変性メラミン;
-繊維、特にガラスファイバー、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、又は、ポリアミド繊維若しくはポリエチレン繊維などのポリマー繊維;
-顔料、特に二酸化チタン、酸化鉄又は酸化クロム(III);
-レオロジー変性剤、特に増粘剤又は沈降防止剤;
-接着向上剤、特にオルガノアルコキシシラン;
-難燃性物質、特に、既述の水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム充填材、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、硼酸(B(OH))、硼酸亜鉛、リン酸亜鉛、硼酸メラミン、メラミンシアヌレート、ポリリン酸アンモニウム、メラミンリン酸塩、ピロリン酸メラミン、ポリ臭化ジフェニルオキシド又はジフェニルエーテル、特に、ジフェニルクレジルリン酸塩、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールジホスフェートオリゴマー、テトラフェニルレゾルシノールジホスファイト、エチレンジアミンジホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、トリス(クロロエチル)リン酸塩、トリス(クロロプロピル)リン酸塩、トリス(ジクロロイソプロピル)リン酸塩、トリス[3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩などのリン酸塩、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールAのビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、臭素化エポキシ樹脂、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド)、1,2-ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン又はクロロパラフィン;又は
-添加剤、特に分散パラフィンワックス、フィルム形成助剤、湿潤剤、均展剤、脱泡剤、脱気剤、酸化、熱、光若しくはUV放射線に対する安定剤、又は殺生剤。
エポキシ樹脂組成物は、さらなる助剤、並びに、添加剤、特に顔料、湿潤剤、均展剤及び/又は脱泡剤を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂組成物において、エポキシ基の数に対するエポキシ基に対して反応性である基の数の比は、0.5~1.5、特に0.7~1.2の範囲内であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物中に存在する第一級及び第二級アミノ基、並びに、エポキシ基に対して反応性であるいずれかの存在する他の基は、エポキシ基と反応して、その開環(付加反応)をもたらす。主にこの反応の結果、組成物は重合し、これにより硬化する。
エポキシ樹脂組成物の樹脂成分及び硬化剤成分は個別の容器に保管される。エポキシ樹脂組成物のさらなる構成成分が樹脂成分又は硬化剤成分の構成成分として存在していてもよく;エポキシ基に対して反応性であるさらなる構成成分は、硬化剤成分の構成成分であることが好ましい。さらなる構成成分が、専用のさらなる成分として存在していることも同様に可能である。
樹脂成分又は硬化剤成分の保管に好適な容器は、特に、バット、ペール缶、バッグ、バケツ、缶、カートリッジ又はチューブである。この成分は保管可能であり、これは、数ヶ月から1年間又はそれ以上の間、使用に関連する程度にそれぞれの特性に変化が生じることなく、使用前に保管が可能であることを意味する。エポキシ樹脂組成物の使用のために、成分は、塗布の直前又はその最中に互いに混合される。樹脂成分と硬化剤成分との混合比は、エポキシ基に対して反応性である硬化剤成分の基が、上記のとおり、樹脂成分のエポキシ基に対して好適な比であるように選択されることが好ましい。重量部で、樹脂成分と硬化剤成分との混合比は、典型的には、1:10~10:1の範囲内である。
成分は好適な方法により混合され;この混合は、連続的に、又は、バッチ式で行われ得る。混合が塗布の直前に行われない場合、成分の混合と塗布との間における時間が長くなりすぎないように、及び、塗布がポットライフの期間中に行われるよう気を付けなければならない。混合は、特に、周囲温度、典型的には約5~40℃、好ましくは約10~35℃の範囲内で行われる。
化学反応による硬化は、上記のとおり、2つの成分の混合により開始する。硬化は、典型的には、0~150℃の範囲内の温度で進行する。硬化は周囲温度で進行することが好ましく、典型的には、数日間から数週間にわたる。この期間は、温度、構成成分の反応性、及び、その化学量論を含む要因に応じ、並びに、促進剤の存在に応じる。
エポキシ樹脂組成物は少なくとも1種の基材に塗布され、以下の基材が特に好適である:
-ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、乳鉢、セメントスクリード、繊維セメント、レンガ、タイル、石膏又は花崗岩若しくは大理石などの天然石;
-PCC(ポリマー-変性セメント乳鉢)又はECC(エポキシ樹脂-変性セメント乳鉢)系補修又は均展化合物;
-亜鉛めっき又はクロム-めっき金属などの表面品質向上金属又は合金を含む、アルミニウム、鉄、鋼、銅、他の非鉄金属などの金属又は合金;
-アスファルト又はビチューメン;
-皮革、生地、紙、木材、例えばフェノール系、メラミン若しくはエポキシ樹脂といった樹脂と接着された木質材料、樹脂生地複合体、又は、さらなるいわゆるポリマー複合体;
-各事例において、未処理であるか、又は、例えばプラズマ、コロナ若しくは火炎により表面処理されている、硬質及び可撓性PVC、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、PMMA、ABS、SAN、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、PUR、POM、TPO、PE、PP、EPM又はEPDMなどのプラスチック;
-炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラスファイバー強化プラスチック(GFRP)及びシート成形化合物(SMC)などの繊維強化プラスチック;
-特にEPS、XPS、PUR、PIR、岩綿、ガラスウール又は気泡ガラス製の遮蔽フォーム;
-コーティング又は塗布された基材、特に塗布されたタイル、コーティングされたコンクリート、粉末コーティングされた金属若しくは合金、又は、塗布された金属シート;
-コーティング、塗料又はワニス、特にコーティングされたフロアであって、さらなるフロア被覆層でオーバーコートされたもの。
必要である場合には、基材は、特に物理的及び/又は化学的クリーニング法により、又は、活性化剤若しくはプライマーの塗布により、塗布の前に前処理が可能である。
上記のエポキシ樹脂組成物の硬化により硬化組成物が得られる。
上記のエポキシ樹脂組成物は、好ましくはコーティング、プライマー、接着剤、シーラント、封入化合物、キャスティング樹脂として、又は、特に、CFRP若しくはGFRPなどの繊維複合体用マトリックスとして使用される。「コーティング」という用語はまた、プライマー、塗料、ワニス及びシーラントを包含する。
上記のエポキシ樹脂組成物は、より好ましくはコーティングとして用いられる。ここで、コーティングとは、ある領域に塗布されるすべての種類のカバー、特にフロアカバー、塗料、ワニス、シーラント、プライマー又は保護コーティング、特に、頑丈な腐食保護のためのものを意味すると理解される。
エポキシ樹脂組成物は、オフィス、産業ホール、体育館若しくは冷却空間などの屋内用、又は、バルコニー、テラス、駐車デッキ、橋若しくは屋根などの屋外用のフロアカバー又はフロアコーティングとして、コンクリート、セメント、金属、プラスチック又は木材用であって、例えば、木材構造物、車両、載荷場、タンク、サイロ、シャフト、パイプライン、機械又は鋼製構造物(例えば船舶、桟橋、海洋プラットフォーム、ロックゲート、水力発電所、河川構造物、水泳プール、風力タービン、橋、煙突、クレーン又は矢板壁)の表面シーリング用の保護コーティングとして、又は、アンダーコート、タイコート若しくは耐食プライマーとして、又は、表面の疎水化のためのものとして特に好適である。
特に、上記のエポキシ樹脂組成物は、例えばEmicode(EC1 Plus)、AgBB、DIBt、Der Blaue Engel、AFSSET、RTS(M1)及びUS Green Building Council(LEED)に従って、環境品質シールを有する低排出性コーティングにおいて有利に用いられる。
コーティングとしての使用について、エポキシ樹脂組成物は、低粘度及び良好な均展性を有する流体コンシステンシーを有利に有する。混合組成物は、ポットライフの期間中において、典型的には、約50μm~約5mmの層を有する薄膜として、典型的には周囲温度で基材の表面に塗布される。塗布は、特に、コーティングされる基材上に注ぎ出し、その後、例えば塗工バー又はクシメ鏝を用いて均質にならすことにより行われる。塗布はまた、例えば鋼への耐食コーティングとして、ブラシ若しくはローラ、又は、スプレー塗布の形態で行うことが可能である。典型的には、硬化は、広く多様な異なる基材に対して良好な接着性を有する、実質的に均質で、光沢があり、及び、非粘着性の高硬度のフィルムをもたらす。
本発明はさらに、
(i)上記のエポキシ樹脂組成物の成分を混合すること、
(ii)ポットライフ中に混合組成物を基材に塗布すること、
続いて、混合組成物を硬化させることを含むコーティング方法を提供する。
完全に、又は、部分的に硬化した組成物にさらなるコーティングを塗布することが可能であり、この場合、前記さらなる層は、同様に、エポキシ樹脂組成物、又は、他の材料、特にポリウレタン又はポリウレアコーティングであり得る。
既述のエポキシ樹脂組成物を接着剤として使用することも特に好ましい。接着剤として用いられる場合、成分を混合した後、エポキシ樹脂組成物は、典型的には、構造的に粘特性を有するペースト状のコンシステンシーを有する。塗布においては、混合した接着剤は、ポットライフ中に互いに結合されるべき基材の少なくとも一方に塗布され、2つの基材が接続されて、接着剤のオープンタイム内に接着性の結合が形成される。
混合した接着剤は、特に、ブラシ、ロール、スパチュラ、ドクターブレード若しくはコテによって、又は、チューブ、カートリッジ若しくは計量装置から塗布される。
接着剤は、建築業における使用について、特に、鋼薄板又は炭素繊維強化複合プラスチック(CFRP)製の薄板による建築構造物の強化について、特に橋若しくはコンクリートタワーといった結合されたプレキャストコンクリートコンポーネントを含む構造物について(例えば、風力タービン、シャフト、パイプライン又はトンネル)、又は、結合された天然石、セラミック構成材、又は、繊維セメント、鋼、鋳鉄、アルミニウム、木材若しくはポリエステル製の部品を含む構造物について、穿孔中のアンカー又は棒鋼のアンカー、例えば、手すり、高欄若しくは戸枠の固定について、特に、コンクリート維持管理における縁、孔若しくは結合部の充填などの補修について、又は、ポリ塩化ビニル(PVC)、可塑性付与されたポリオレフィン(Combiflex(登録商標))若しくは接着変性クロロスルホン化ポリエチレン(Hypalon(登録商標))のフィルムのコンクリート又は鋼に対する結合について特に好適である。
さらなる使用分野は、特に接着剤乳鉢、アセンブリ接着剤、特にCFRP又は鋼薄板のコンクリート、れんが積み又は木材に対する結合のためのものなどの強化接着剤として、例えば橋構成材、サンドイッチ構成材接着剤、ファサード構成材接着剤、強化用接着剤、車体構造用接着剤又は風力タービンのロータブレード用のハーフシェル(half-shell)接着剤のための構成材接着剤としての建築業又は製造業における構造結合に関する。
このようなエポキシ樹脂接着剤は、同様に、亀裂、クラック又はドリルホールなどのキャビティの充填に好適であり、ここで、接着剤は、キャビティに充填又は注入されて、硬化後にキャビティを満たし、及び、キャビティのフランクと、嵌合されているように互いに結合するか又は付着する。
本発明は、
(i)上記のエポキシ樹脂組成物の成分を混合すること、
(ii)ポットライフ中に、混合組成物を、
- 互いに結合すべき基材の少なくとも一方に適用し、かつこれらの基材を接合してオープンタイム内に結合を形成すること、又は
- 2つ又はそれを超える基材間のキャビティ又は隙間中に適用し、かつ任意選択でオープンタイム内に、このキャビティ又は隙間にアンカーを挿入すること、
続いて、混合組成物を硬化させることを含む結合方法をさらに提供する。
ここで、「アンカー」とは、より具体的には、鉄筋、寸切ボルト又はボルトを指す。アンカーは特に、その一部が嵌合されているように結合していると共に、その一部が突出して施工荷重を支えることが可能であるように壁、天井又は基礎に接着剤により結合又はアンカーされる。
同等又は異なる基材を結合し得る。
上記のエポキシ樹脂組成物の塗布及び硬化、又は、コーティング法若しくは結合方法により、組成物でコーティング又は結合された物品が得られる。この物品は、建築構造物若しくはその一部、特に地上若しくは地下の建築構造物、オフィス、産業用ホール、スポーツホール、冷凍室、サイロ、橋、屋根、階段、バルコニー、テラス若しくは駐車デッキであり得、又は、工業製品又は消費者商品であってもよく、特に桟橋、海洋プラットフォーム、ロックゲート、クレーン、隔壁、パイプライン若しくは風力タービンのロータブレード、又は、特に、自動車、トラック、鉄道車両、船舶、航空機若しくはヘリコプターなどの輸送手段、又は、それらの設置可能なコンポーネントであり得る。
それ故、本発明はさらに、既述の使用若しくは既述のコーティング方法により得られる物品、又は、既述の結合方法により得られる物品を提供する。
既述のエポキシ樹脂組成物は、有利な特性を特徴とする。これはまた、シンナーをほとんど又はまったく用いることなく低い粘度及び良好な加工性を有し、長いポットライフを有し、確実且つ迅速に硬化し、並びに、特に高湿及び低温条件下においてもすぐにその上を歩行することが可能である。これは特に、高い表面品質及び低い黄変に対する傾向を有する高い機械的品質のコーティングをもたらす。この種のエポキシ樹脂生成物は、特にフロア用のコーティングとして特に好適である。
本明細書中以下において、実施例を示すが、これらは、記載されている本発明を明らかにすることが意図するものである。当然のように、本発明は、これらの記載されている実施例には限定されない。
「AHEW」は、アミン水素換算重量を表す。
「EEW」は、エポキシ換算重量を表す。
「標準気象条件」とは、23±1℃の温度及び50±5%の相対空気湿度を指す。
計測方法の説明:
粘度を、恒温化Rheotec RC30コーン-プレート粘度計(コーン径 50mm、コーン角度 1°、コーン先端プレート距離 0.05mm、せん断速度 10s-1)で計測した。
アミン値を、滴定(酢酸中の0.1N HClO対クリスタルバイオレット)により測定した。
用いた物質及び略語:
Sikafloor(登録商標)-264N(A) Sikafloor(登録商標)-264N成分A(RAL5005)、エポキシ樹脂フロアコーティングの充填顔料樹脂成分、EEW 450g/当量(Sika製)
B-EDA N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン、以下に記載のとおり調製、AHEW 50g/当量
DB-EDA N,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン、以下に記載のとおり調製、AHEW 120g/当量
B-EDA-mix 85/15の重量比でN-ベンジル-エタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジル-エタン-1,2-ジアミンを含む反応混合物、以下に記載のとおり調製、AHEW 55g/当量
TEPA テトラエチレンペンタミン、AHEW 30g/当量(技術グレード、Huntsman製)
IPDA 3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、AHEW 42.6g/当量(Vestamin(登録商標)IPD、Evonik製)
付加物-1 プロピレン-1,2-ジアミンと、技術グレードo-クレジルグリシジルエーテルとの付加物、以下に記載のとおり調製、AHEW 90g/当量
硝酸Ca溶液 50重量%の水中の硝酸カルシウム四水和物
Ancamine(登録商標)K54 2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(Air Products製)
N-ベンジルエタン-1,2-ジアミンを含む反応混合物(B-EDA mix):
最初に、丸底フラスコに180.3g(3mol)のエチレン-1,2-ジアミンを、窒素雰囲気下に室温で仕込んだ。よく撹拌しながら、106.0g(1mol)のベンズアルデヒドの1200mlのイソプロパノール中の溶液をゆっくりと滴下し、混合物を2時間撹拌した。次いで、反応混合物を、連続水素化装置中において、Pd/C固定床触媒と共に、80barの水素圧力、80℃の温度及び5ml/分の流量で水素化した。反応を監視するために、赤外分光法を用いて、約1665cm-1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。その後、水素化溶液をロータリーエバポレータにおいて65℃で濃縮して、未反応のエチレン-1,2-ジアミン、水及びイソプロパノールを除去した。このようにして得られた反応混合物は、678mg KOH/gのアミン値を有し、並びに、GCによる測定で、約81重量%のN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン(保持時間8.47~8.57分間)及び約14重量%のN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン(保持時間14.27分間)の含有量を有する清透で薄い黄色がかった液体であった。これは、85/15のN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンの重量比に相当する。
N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン(B-EDA):
上記のとおり調製したN-ベンジルエタン-1,2-ジアミンを含む反応混合物50g(B-EDA-mix)を、減圧下に80℃で蒸留し、60~65℃の蒸気温度及び0.06mbarで31.3gの留出物を回収した。20℃で8mPa・sの粘度、750mg KOH/gのアミン値、及び、GCによる測定で97%超の純度を有する無色の液体が得られた(保持時間8.47~8.57分間)。
N,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン(DB-EDA):
最初に、丸底フラスコに、30.1g(0.5mol)のエチレン-1,2-ジアミンを窒素雰囲気下に室温で仕込んだ。よく撹拌しながら、111.5g(1.1mol)のベンズアルデヒドの1,000mlのイソプロパノール中の溶液をゆっくりと滴下し、混合物を2時間撹拌した。次いで、反応混合物を、連続水素化装置中において、Pd/C固定床触媒と共に、80barの水素圧力、80℃の温度及び5ml/分の流量で水素化した。反応を監視するために、赤外分光法を用いて、約1665cm-1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。その後、水素化溶液をロータリーエバポレータにおいて65℃で濃縮して、未反応のベンズアルデヒド、水、及びイソプロパノールを除去した。このようにして得られた反応混合物は、清透で薄い黄色がかった液体であった。
この反応混合物100gを減圧下に165℃で蒸留し、135℃の蒸気温度及び0.03mbarで90gの留出物を回収した。得られたものは、20℃で31mPa・sの粘度、460mg KOH/gのアミン値、及び、GCによる測定で、96%の純度を有する無色の液体であった(保持時間14.27分間)。
付加物-1:
窒素雰囲気下で最初に仕込んだ4.15kgのプロピレン-1,2-ジアミンを70℃に加熱し、次いで、よく撹拌しながら、反応混合物を70~80℃の温度として、2.93kgのAraldite(登録商標)DY-K(o-クレジルグリシジルエーテル、技術グレード、Huntsman製)を徐々に添加した。80℃で1時間後、反応混合物を冷却し、揮発性構成成分を、薄膜蒸発器(0.5~1mbar、ジャケット温度 115℃)によって蒸留することにより除去した。
エポキシ樹脂組成物の生成:
実施例1~6:
各実施例について、表1に示す硬化剤成分の構成要素を遠心ミキサ(SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.)により示した量(重量部)で混合し、水分を排除しながら保管した。
用いた樹脂成分は、表1に示した量(重量部)で、Sikafloor(登録商標)-264N comp.A(青)(Sika製)であった。
次いで、各組成物の2つの成分を遠心ミキサにより処理して均質な液体を得、これを以下のとおり直ぐにテストした:
混合から10分後に、粘度を20℃で計測した(「粘度(10’)」)。
ショアD硬度~DIN 53505の測定のために、各事例において2つの円柱状の試験片(直径20mm、厚さ5mm)を作成した。一方を標準気象条件下で保管し、硬度を1日後及び2日後に計測し(1d SCC及び2d SCC);他方を8℃及び80%相対湿度で保管し、硬度を1日後及び2日後に低温状態で計測した(1d 8°/80%及び2d 8°/80%)。
第1のフィルムをガラスプレートに500μmの層厚で塗布し、これを標準気象条件下で保管/硬化を行った。ケーニッヒ硬度(ケーニッヒペンデュラム硬度、DIN EN ISO 1522に従って計測)を、1日後(「ケーニッヒ硬度(1d SCC)」)、2日後(「ケーニッヒ硬度(2d SCC)」)、4日後(「ケーニッヒ硬度(4d SCC)」)、7日後(「ケーニッヒ硬度(7d SCC)」)及び14日後(「ケーニッヒ硬度(14d SCC)」)にこのフィルムで測定した。14日後、フィルムの外観を評価した(表中において「外観(SCC)」と示す)。構造を伴わずに、光沢があって非粘着性の表面を有している場合には、フィルムを「良好」と記載した。「構造」とは、表面上のいずれかの種類のマーク又はパターンを指す。構造を伴わない非粘着性の表面を有するが、光沢が低減しているフィルムは「マット」と記載した。
第2のフィルムをガラスプレートに500μmの層厚で塗布し、これを、塗布の直後に、8℃及び80%相対湿度で7日間保管/硬化を行い、次いで、標準気象条件下に2週間保管/硬化を行った。塗布から24時間後、濡れたスポンジを下に配置したポリプロピレン製のボトルトップをフィルム上に置いた。さらに24時間後、スポンジ及びボトルトップを取り外し、これをフィルム上の新たな場所に配置し、ここから、次いで、24時間後にボトルトップを取り外し、再度フィルム上に置き、これを合計で4回行った。次いで、外観(SCC)に係る記載と同じく、このフィルムの外観を評価した(表中において「外観(8°/80%)」と示す)。ここでは、各事例において、濡れたスポンジ及び/又はその上のボトルトップによってフィルムに形成された視認可能なマーク数及び種類をも報告した。白色の斑点の数を「ブラッシング」として報告した。塗布の24時間後に適用した最初のボトルトップが沈み込むことによって形成されたいずれかのリング状のインプレッションの強度を「リング」として報告した。このようなリング状のインプレッションは、コーティングが、その上を歩行することは可能になっていないことを示す。このように硬化したフィルムにおいて、各事例において、8℃及び80%相対湿度(「ケーニッヒ硬度で7日後に(7d 8°/80%)」)、次いで、さらに2日後にSCCで(「ケーニッヒ硬度(+2d SCC)」)、7日後にSCCで(「ケーニッヒ硬度(+7d SCC)」)、及び、14日後にSCCで(「ケーニッヒ硬度(+14d SCC)」)再度ケーニッヒ硬度を測定した。
黄変の程度として、耐候試験機中においてストレスをかけた後の色の変化をさらに測定した。このために、さらなるフィルムをガラスプレートに500μmの層厚で塗布し、これを標準気象条件下に2週間保管/硬化を行い、次いで、Q-SUN Daylight-Q光学フィルタ及び340nmで0.51W/mの光強度を有するキセノンランプを備えるモデルQ-Sun Xenon Xe-1耐候試験機において、65℃の温度で、72時間(Q-Sun(72h))ストレスをかけた。次いで、対応するストレスをかけていないフィルムに対するストレスをかけたフィルムの色差ΔEを、シリコン光電ダイオード検出器、光源A、色空間計測インターフェースCIE Lを備える、Shenzen 3NH Technology Co.LTD製のNH310色彩計を用いて測定した。5以下のΔE値はわずかな黄変を表す。
結果を表1に報告する。
「(Ref.)」と付記した実施例は比較例である。
Figure 0007437389000001

Claims (15)

  1. N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン及びN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンを、65/35~95/5の範囲のN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン/N,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン重量比で含む、エポキシ樹脂用硬化剤。
  2. 前記重量比が、70/30~90/10の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の硬化剤。
  3. 少なくとも一種のさらなるアミンを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化剤。
  4. 前記さらなるアミンは、2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、200~500g/molの範囲の平均分子量Mを有するポリオキシプロピレンジアミン、3-(3-(ジメチルアミノ)-プロピルアミノ)プロピルアミン、ビス(6-アミノヘキシル)アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、N-(2-アミノエチル)プロパン-1,3-ジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、これら又はさらなるポリアミンとモノ-又はジエポキシドとの付加物、及びマンニッヒ塩基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項に記載の硬化剤。
  5. 前記さらなるアミンは、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンであることを特徴とする、請求項又はに記載の硬化剤。
  6. 前記さらなるアミンは、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼンであることを特徴とする、請求項又はに記載の硬化剤。
  7. 前記さらなるアミンは、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン又はN,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンであることを特徴とする、請求項又はに記載の硬化剤。
  8. 前記さらなるアミンは、3-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)プロピルアミンであることを特徴とする、請求項又はに記載の硬化剤。
  9. ベンズアルデヒド及び水素によるエタン-1,2-ジアミンの還元的アルキル化によって反応混合物を得ることを含む方法であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化剤の調製方法。
  10. 以下を含むエポキシ樹脂組成物:
    - 少なくとも一種のエポキシ樹脂を含む樹脂成分、及び
    - 請求項1~のいずれか一項に記載の硬化剤を含む硬化剤成分。
  11. シンナー、促進剤及び充填材からなる群から選択される少なくとも一種のさらなる構成成分を含むことを特徴とする、請求項10に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. コーティング、プライマー、接着剤、シーラント、封入化合物、注型用樹脂として、又は、繊維複合材料用のマトリックスとしての、請求項10又は11に記載のエポキシ樹脂組成物の使用。
  13. 以下の工程を含む、コーティング法:
    (i)請求項10又は11に記載のエポキシ樹脂組成物の成分を混合すること、
    (ii)ポットライフ中に混合した前記組成物を基材に適用すること、
    続いて、混合した前記組成物を硬化させること。
  14. 以下の工程を含む、結合方法:
    (i)請求項10又は11に記載のエポキシ樹脂組成物の成分を混合すること、
    (ii)ポットライフ中に、混合した前記組成物を、
    - 互いに結合すべき基材の少なくとも一方に適用し、かつ前記基材を接合してオープンタイム内に結合を形成すること、又は、
    - 2つ又はそれを超える基材間のキャビティ又は隙間に適用し、かつ任意選択で前記オープンタイム内に、前記キャビティ又は隙間にアンカーを挿入すること、
    続いて、混合した前記組成物を硬化させること。
  15. 請求項12に記載の使用、又は請求項13若しくは14に記載の方法により得られる物品。
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