JP7437048B2 - 画像投影装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像投影装置に関する。
光源から出射される光線を用い、ユーザの網膜に画像を直接投影する画像投影装置が知られている。このような画像投影装置では、マクスウェル視といわれる方法が用いられる。マクスウェル視では、画像を形成する画像光線をユーザの眼内で収束させた後に網膜に投射することで網膜に画像を投影する。例えば、走査部により走査されることで異なる方向に走査部から出射された複数の画像光線をユーザの眼内の第1収束点に収束させた後に網膜に投射する投射部と、走査部から出射された複数の画像光線を投射部の手前の第2収束点に収束させる反射部と、第2収束点に設けられ、複数の画像光線各々を集束光に変換して投射部に拡散光で入射させる光学部材と、を備える画像投影装置が提案されている(例えば特許文献1)。
また、走査部から出射された複数の画像光線の光路上に可動ミラーを設け、ユーザの瞳孔の動きに応じて可動ミラーの姿勢を制御することで、瞳孔が動いた場合でも瞳孔に画像光線を入射させることが提案されている(例えば特許文献2)。
国際公開第2019/065245号 特開2009-122550号公報
特許文献1に記載のような、走査部とユーザの眼の間に投射部と反射部と光学部材とを備えた画像投影装置において、ユーザの瞳孔が動いた場合でも、画像光線が瞳孔に入射することを簡易な方法によって実現することが望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ユーザの瞳孔が動いた場合でも、画像光線を瞳孔に入射させることを目的とする。
本発明は、光源と、前記光源から出射される画像光線を走査する走査部と、ユーザの眼の前方に配置され、前記画像光線が前記走査部により走査されることで前記走査部から異なる方向に出射される複数の画像光線を前記ユーザの眼内の第1収束点に収束させた後に網膜に投射して前記網膜に画像を投影する投射部と、前記走査部から異なる方向に出射される前記複数の画像光線を前記投射部の手前の第2収束点に収束させる反射部と、前記投射部と前記反射部の間に設けられ、前記複数の画像光線各々を集束光に変換して前記投射部の手前の集光点で集光させた後に拡散光として前記投射部に入射させる光学部材と、前記反射部を動かす駆動部と、前記ユーザの瞳孔が動いた方向を検出する検出部と、前記検出部で検出される前記瞳孔が動いた方向に応じて前記複数の画像光線が前記光学部材に入射する位置が変わるように、前記駆動部を制御して前記反射部を動かす駆動制御部と、を備え、前記瞳孔が前記ユーザの顔に対して正面を向いた方向から他の方向に動いた場合、前記駆動制御部が、前記複数の画像光線の前記光学部材への入射位置を前記光学部材の中央部から前記複数の画像光線が前記光学部材を透過する方向に対して前記瞳孔が動いた方向に相当する方向とは反対側の領域へ移動させるように前記駆動部を制御して前記反射部を動かすことで、前記光学部材が、前記光学部材に入射した前記複数の画像光線を前記瞳孔が動いた方向に相当する方向側に屈折させる、画像投影装置である。
本発明は、光源と、前記光源から出射される画像光線を走査する走査部と、ユーザの眼の前方に配置され、前記画像光線が前記走査部により走査されることで前記走査部から異なる方向に出射される複数の画像光線を前記ユーザの眼内の第1収束点に収束させた後に網膜に投射して前記網膜に画像を投影する投射部と、前記走査部から異なる方向に出射される前記複数の画像光線を前記投射部の手前の第2収束点に収束させる反射部と、前記投射部と前記反射部の間に設けられ、前記複数の画像光線各々を集束光に変換して前記投射部の手前の集光点で集光させた後に拡散光として前記投射部に入射させる光学部材と、前記反射部を動かす駆動部と、前記ユーザの瞳孔が動いた方向を検出する検出部と、前記検出部で検出される前記瞳孔が動いた方向に応じて前記複数の画像光線が前記光学部材に入射する位置が変わるように、前記駆動部を制御して前記反射部を動かす駆動制御部と、を備え、前記瞳孔が前記ユーザの顔に対して正面を向いた方向から他の方向に動いた場合、前記駆動制御部が、前記複数の画像光線のうち少なくとも前記画像の中心に対応する画像光線を、動いた後の前記瞳孔が向いている方向を基準として前記瞳孔が動いた方向とは反対側から前記瞳孔に入射させかつ前記網膜のうち前記瞳孔が動いた方向側の領域に投射させるように前記駆動部を制御して前記反射部を動かす、画像投影装置である
上記構成において、前記画像光線の投射を制御する投射制御部を備え、前記駆動部は、前記反射部の中央部近傍の揺動中心点を中心にして揺動するように前記反射部を動かし、前記投射制御部は、前記複数の画像光線のうち前記画像の略中心に対応する画像光線を前記揺動中心点に投射する構成とすることができる。
本発明は、光源と、前記光源から出射される画像光線を走査する走査部と、ユーザの眼の前方に配置され、前記画像光線が前記走査部により走査されることで前記走査部から異なる方向に出射される複数の画像光線を前記ユーザの眼内の第1収束点に収束させた後に網膜に投射して前記網膜に画像を投影する投射部と、前記走査部から異なる方向に出射される前記複数の画像光線を前記投射部の手前の第2収束点に収束させる反射部と、前記投射部と前記反射部の間に設けられ、前記複数の画像光線各々を集束光に変換して前記投射部の手前の集光点で集光させた後に拡散光として前記投射部に入射させる光学部材と、前記反射部を動かす駆動部と、前記ユーザの瞳孔が動いた方向を検出する検出部と、前記検出部で検出される前記瞳孔が動いた方向に応じて前記複数の画像光線が前記光学部材に入射する位置が変わるように、前記駆動部を制御して前記反射部を動かす駆動制御部と、を備え、前記光学部材は、前記反射部が動くことによって前記複数の画像光線の入射する領域が変化した場合でも、前記画像光線の前記光学部材と前記集光点との間の距離が略一定となる像高特性を有する、画像投影装置である
上記構成において、前記走査部と前記反射部の間の前記画像光線の光路長に対する前記反射部と前記第2収束点の間の前記画像光線の光路長の比と、前記投射部と前記第1収束点の間の前記画像光線の光路長に対する前記第2収束点と前記投射部の間の前記画像光線の光路長の比とは、前記反射部が動いた場合でも略同じ大きさである構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の画像光線が前記第1収束点に収束する収束角度は、前記反射部が動いた場合でも略一定である構成とすることができる。
上記構成において、前記投射部を有し、前記複数の画像光線が内部を透過する硝材により形成され、前記複数の画像光線を複数の反射面で反射して前記投射部に導く導光部材を備え、前記光学部材は、前記導光部材と前記反射部の間に設けられる構成とすることができる。
上記構成において、前記投射部および前記反射部は凹面ミラーであり、前記光学部材は凸レンズである構成とすることができる。
本発明によれば、ユーザの瞳孔が動いた場合でも、画像光線を瞳孔に入射させることができる。
図1は、実施例に係る画像投影装置を示す図である。 図2は、図1における投射ミラー近傍を示す図である。 図3(a)は、ラスタースキャンについて説明する図、図3(b)は、画像光線と検出光線の出射タイミングを示すタイミングチャートである。 図4は、画像光線と検出光線のユーザの眼への投射について説明する図である。 図5は、光検出器が反射光を検出する検出タイミングを示すタイミングチャートである。 図6(a)および図6(b)は、光検出器による反射光の検出について説明する図である。 図7は、実施例における光学系を示す図である。 図8は、画像光線の光路長について説明するための図である。 図9は、実施例における制御部による制御の一例を示すフローチャートである。 図10(a)および図10(b)は、実施例における制御部による制御を説明するための図である。 図11(a)から図11(c)は、瞳孔の動きと網膜に投射される画像光線とについて説明する図である。 図12(a)から図12(c)は、網膜に投影された画像に対するユーザの見え方を評価したシミュレーション結果である。 図13は、反射ミラー近傍を拡大した図である。 図14は、実施例の変形例における光学系を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例に係る画像投影装置100を示す図である。図2は、図1における投射ミラー20近傍を示す図である。図1では、電気的な接続を破線で図示している。画像投影装置100は、ユーザに画像を視認させるための画像光線(レーザ光)がユーザの網膜62に直接投射される、マクスウェル視を利用した網膜投影型ヘッドマウントディスプレイである。
画像投影装置100は、図1に示すように、投影部10、光検出器40、および制御部50を備える。投影部10は、光源12、レンズ14、走査部16、反射ミラー18、投射ミラー20、レンズ22、および駆動部24を備える。投影部10の構成部品は、例えばメガネ型フレーム42に固定されている。制御部50は、検出部52と、駆動制御部54と、投射制御部56と、を有する。
光源12は、投射制御部56の指示に基づき、例えば単一または複数の波長の光線26(レーザ光)を出射する。光線26には、ユーザの眼60の網膜62に画像を投影するための画像光線と、ユーザの眼60の瞳孔64の動きを検出するための検出光線と、が含まれる。検出光線は、画像光線と同じ光源12から出射されることから、画像光線と同じく可視光である。なお、検出光線は、画像光線とは異なる光源から出射される不可視光であってもよい。投射制御部56は、図示しないカメラおよび/または録画機器などから画像データが入力される。投射制御部56は、入力された画像データに基づいて、光源12からの画像光線の出射を制御する。また、投射制御部56は、走査部16の駆動も制御する。投射制御部56は、光源12と走査部16を制御して、画像光線の網膜62への投射を制御する。
光源12は、投射制御部56の制御の下、例えば赤色レーザ光(波長:610nm~660nm程度)、緑色レーザ光(波長:515nm~540nm程度)、および青色レーザ光(波長:440nm~480nm程度)の可視光である光線26を出射する。赤色、緑色、および青色のレーザ光を出射する光源12として、例えばRGB(赤・緑・青)それぞれのレーザダイオードチップと3色合成デバイスとが集積された光源が挙げられる。なお、光源12は、単一の波長の光線26を出射してもよい。
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサである。カメラをユーザの視線方向に向けて適切な位置に設置すれば、このカメラで撮像した視線方向の画像を網膜62に投影することができる。また、録画機器などから入力された画像を投影したり、カメラ画像と録画機器などからの画像とをスーパーインポーズさせたりして、いわゆる仮想現実(AR:Augmented Reality)画像を投影することもできる。検出部52、駆動制御部54、および投射制御部56は、同じプロセッサにより機能してもよいし、異なるプロセッサにより機能してもよい。
光源12が出射する光線26は、レンズ14を透過する。レンズ14は、光線26を拡散光から集束光に変換する集光レンズである。レンズ14を透過した光線26は、走査部16に入射する。走査部16(スキャナ)は、光線26を水平方向および垂直方向の二次元方向に走査する。走査部16は、本実施例では、MEMS(Micro Electric Mechanical System)ミラーである。なお、走査部16は、MEMSミラー以外の走査ミラーの場合でもよく、またタンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN)などの場合でもよい。
走査部16により二次元方向に走査され、走査部16から異なる時間において異なる方向に出射された複数の光線26は、反射ミラー18に入射する。反射ミラー18は、自由曲面などの曲面からなる反射面を有する凹面ミラーであり、正の集光パワーを有する。反射ミラー18で反射した複数の光線26は、投射ミラー20の手前の収束点44で収束する。レンズ22が、投射ミラー20と反射ミラー18の間、例えば収束点44に設けられている。レンズ22は、例えば両凸レンズである。複数の光線26は、レンズ22を透過して投射ミラー20に入射する。投射ミラー20は、ユーザの眼60の前方に配置され、ユーザの眼60に対する位置が移動しないようにメガネ型フレーム42に固定されている。投射ミラー20は、複数の光線26をユーザの眼60に向けて反射する。
ここで、光線26に含まれる画像光線と検出光線について説明する。走査部16によって画像光線を走査してユーザの網膜62に画像を投影する方法として、画像の左上から右下まで画像光線を高速に走査することで画像を表示する方法(例えばラスタースキャン)がある。図3(a)は、ラスタースキャンについて説明する図である。図3(a)において、ラスタースキャンのための走査部16の振動を符号70で表している。図3(a)に示すように、走査部16は、画像光線26a(図3(a)において太実線で図示)を走査するために、ユーザの網膜62に投影する画像の範囲(図3(a)における破線範囲)より大きく、水平方向と垂直方向に振動する。
走査部16が大きく振れた箇所において画像光線26aを反射して網膜62に画像を投影すると、網膜62に投影される画像の歪みが大きくなる。このため、画像光線26aは、走査部16の振れが小さい箇所で走査される。一方、検出光線26bは、走査部16の振動において画像光線26aが走査されないタイミングで走査部16に入射する。言い換えると、光源12は、走査部16の振動において、網膜62に投影する画像の範囲に相当する期間では画像光線26aを出射し、画像の範囲外の時間において検出光線26bを出射する。
図3(b)は、画像光線26aと検出光線26bの出射タイミングを示すタイミングチャートである。図3(b)では、走査部16が図3(a)の点Aから点Bまで振動した場合における画像光線26aと検出光線26bの出射タイミングを示している。画像光線26aの光強度は、簡略化のため一定として図示しているが、画像データに基づき適宜適切に変化する(後述の図5においても同じ)。検出光線26bの光強度は、例えば直前または直後の画像光線26aの光強度と同じでもよいし、異なっていてもよい。検出光線26bが可視光である場合、検出光線26bが網膜62に投射される場合を考慮すると、検出光線26bの光強度は画像光線26aの光強度より小さい場合が好ましい。また、検出光線26bが可視光である場合、検出光線26bの色相は、直前または直後の画像光線26aの色相と同じである場合が好ましい。
図3(a)に示すように、走査部16には、1または複数の検出光線26bが入射される。本実施例では、走査部16に6本の検出光線26bが入射されるとする。検出光線26bは、単一波長の光線でもよく、網膜62に投影される画像の1画素または数画素相当の光線でもよい。
図2に示すように、画像光線26aおよび検出光線26bは投射ミラー20に入射する。投射ミラー20は、画像光線26aが入射される領域20aでは、例えば自由曲面などの曲面からなる反射面を有する凹面ハーフミラーとなっている。このため、投射ミラー20で反射された画像光線26aは、ユーザの瞳孔64を通過して水晶体68または水晶体68近傍の収束点46で収束した後に網膜62に投射される。これにより、ユーザは、画像光線26aが形成する画像を視認することができる。一方、投射ミラー20は、検出光線26bが入射される領域20bでは、例えば自由曲面などの曲面からなる反射面を有する凹面ハーフミラーであるが、領域20aと光学的に不連続な形状をしている。このため、検出光線26bは、画像光線26aが瞳孔64を通過して網膜62に投射される場合に、虹彩66に投射されるようになっている。投射ミラー20の領域20a、20bがハーフミラーであるため、ユーザは外界像をシースルーで視認することができる。
図4は、画像光線26aと検出光線26bのユーザの眼60への投射について説明する図である。図4に示すように、複数の検出光線26bは、画像光線26aが瞳孔64の中心近傍を通過する場合に、虹彩66に投射される。上述したように、投射ミラー20の領域20bが領域20aに光学的に不連続となっているため、画像光線26aが瞳孔64を通過しつつ、複数の検出光線26bが虹彩66に投射されるようにすることができる。
画像光線26aと検出光線26bは、走査部16の振動に対して所定のタイミングで光源12から出射される。すなわち、画像光線26aと検出光線26bとの相対的な出射タイミングは固定されている。このため、画像光線26aと検出光線26bとは、相対的な位置関係が固定されて眼60に投射される。また、図3(a)のように、複数の検出光線26bは走査部16の振動の異なる位置で反射されることから、虹彩66の異なる位置に異なるタイミングで投射される。すなわち、複数の検出光線26bは、虹彩66の異なる位置に順々に投射される。
図1および図2に示すように、光検出器40が、ユーザの眼60の前方に位置してメガネ型フレーム42に設けられている。光検出器40は、例えばフォトディテクタである。光検出器40は、検出光線26bが虹彩66で反射した反射光28を検出する。
図5は、光検出器40が反射光28を検出する検出タイミングを示すタイミングチャートである。図5に示すように、検出部52は、光源12が検出光線26bを出射するタイミングで、光検出器40を用いて反射光28の検出を行う。これにより、複数の検出光線26bのうちのどの検出光線26bの反射光28が検出されていないかが分かる。光源12が検出光線26bを出射するタイミングは投射制御部56により制御され、光検出器40が反射光28を検出するタイミングは検出部52により制御される。なお、光検出器40の性能を考慮して、反射光28の検出時間に幅を持たせてもよい。
なお、図1および図2では、光検出器40がユーザの眼60の略正面に設けられている場合を例に示したが、反射光28を検出できる場所であればよく、例えばメガネ型フレーム42のつる近傍や鼻パッド近傍などに設けられる場合でもよい。なお、複数の検出光線26bが虹彩66に投射される場合であっても、上述したように、複数の検出光線26bは順々に虹彩66に投射されることから、1つの光検出器40により複数の検出光線26bの反射光28を検出することができる。
図6(a)および図6(b)は、光検出器40による反射光28の検出について説明する図である。図6(a)は、ユーザが正面を見ている状態を示し、図6(b)は、眼60を動かして右側を見た状態を示している。図6(a)に示すように、ユーザが正面を見ている場合、画像光線26aは瞳孔64を通過して網膜62に投射され、複数の検出光線26bは全て虹彩66に投射される。検出光線26bが虹彩66に投射される場合では、比較的大きな反射光28が生じる。一方、図6(b)に示すように、ユーザが右側を見ようとして眼60を回転させた場合、複数の検出光線26bのうちの一部の検出光線26bが瞳孔64を通過して網膜62に投射されるようになる。検出光線26bが網膜62に投射される場合では、反射光28が生じ難い。したがって、図6(a)のようにユーザが正面を見ている場合では、光検出器40は複数の検出光線26bの全てにおいて比較的大きな反射光28を検出する。これに対し、図6(b)のようにユーザが眼60を回転させた場合では、光検出器40は複数の検出光線26bのうちの一部の検出光線26bにおいて反射光28をほとんど検出しなくなる。
画像光線26aが眼60に投射される位置を基準にし、反射光28がほとんど検出されなくなった検出光線26bの方向は、瞳孔64が動いた方向に相当する。そこで、検出部52は、光検出器40による反射光28の検出結果に基づいて反射光28がほとんど検出されなくなった検出光線26bを特定し、特定した検出光線26bからユーザの顔に対して瞳孔64が動いた方向を検出する。すなわち、瞳孔64が向いている方向(視線方向)を検出する。光検出器40が反射光28をほとんど検出しないとは、所定値以上の強度の反射光28を検出しないことをいう。したがって、検出部52は、光検出器40が検出する反射光28において所定値未満の強度の反射光28があった場合に、その反射光28に対応する検出光線26bを特定し、特定した検出光線26bの方向を瞳孔64が動いた方向として検出する。
図1に示すように、反射ミラー18を動かす駆動部24が設けられている。駆動部24は、例えばアクチュエータであり、駆動制御部54の指示に基づき、反射ミラー18を動かす。駆動制御部54は、検出部52で検出される瞳孔64が動いた方向に応じて、駆動部24を制御して反射ミラー18を動かす。反射ミラー18は、上述したように凹面ミラーである。反射ミラー18は、略中央部に凹曲面の頂点がある場合、その頂点付近を中心に揺動するように動く。複数の画像光線26aのうち網膜62に投影される画像の略中心に対応する画像光線は、反射ミラー18の揺動中心に入射する。
図7は、実施例における光学系を示す図である。なお、図7では、画像光線26aのみを図示し、検出光線26bの図示を省略している。図7に示すように、光源12が出射する画像光線26aは、レンズ14を透過する。レンズ14は、画像光線26aを拡散光から集束光に変換する集光レンズである。レンズ14を透過した画像光線26aは、集束光の状態で走査部16に入射する。レンズ14は、反射ミラー18で反射した画像光線26aを略平行光とするために、光源12と走査部16の間に設けられている。
走査部16により二次元方向に走査され、走査部16から異なる時間において異なる方向に出射された複数の画像光線26aは、反射ミラー18に入射する。複数の画像光線26a各々は、反射ミラー18の手前で集光した後に拡散光となって反射ミラー18に入射する。反射ミラー18は正の集光パワーを有するため、複数の画像光線26a各々は、反射ミラー18で反射されることで、拡散光から略平行光に変換される。
反射ミラー18で反射した複数の画像光線26aは、投射ミラー20の手前の収束点44で収束する。収束点44にはレンズ22が設けられている。レンズ22は、複数の画像光線26a各々を略平行光から集束光に変換する集光レンズである。レンズ22は、投射ミラー20で反射した複数の画像光線26a各々を略平行光にするために収束点44に設けられている。レンズ22を透過した複数の画像光線26a各々は、投射ミラー20の手前の集光点30で集光した後に拡散光となって投射ミラー20に入射する。
投射ミラー20は正の集光パワーを有するため、複数の画像光線26a各々は、投射ミラー20で反射されることで、拡散光から略平行光に変換される。複数の画像光線26aは、ユーザの眼60内の収束点46で収束する。収束点46は、例えば水晶体68または水晶体68近傍に位置する。画像光線26aは水晶体68により略平行光から集束光に変換されて網膜62近傍で合焦する。これにより、ユーザは画像を視認することができる。
なお、図7では図示を省略しているが、検出光線26bも反射ミラー18、レンズ22、および投射ミラー20によって画像光線26aと同様に変換されて眼60に入射する。
図8は、画像光線26aの光路長について説明するための図である。図8では、複数の画像光線26aのうちの網膜62に投影される画像の中心に対応する画像光線26aaを例に説明する。図8に示すように、走査部16と反射ミラー18の間の画像光線26aaの光路長L1と、投射ミラー20と収束点46の間の画像光線26aaの光路長L4と、の長さは異なっている。反射ミラー18と収束点44の間の画像光線26aaの光路長L2と、収束点44と投射ミラー20の間の画像光線26aaの光路長L3と、の長さは異なっている。一方、光路長L1に対する光路長L2の比(L2/L1)と、光路長L4に対する光路長L3の比(L3/L4)と、は略同じになっている。したがって、略等倍の相似形のレイアウトとなっていて、走査部16による画像光線26aの走査角度θ1と、複数の画像光線26aが収束点46に収束する収束角度θ2と、は略同じになっている。相似の比率は、投射ミラー20とユーザの眼60との間の距離、ユーザの顔の形状、および/またはユーザの顔側面のスペースなどにより決定されてもよい。
図9は、実施例における制御部50による制御の一例を示すフローチャートである。図10(a)および図10(b)は、実施例における制御部50による制御を説明するための図である。なお、図10(a)および図10(b)では、図7のときの反射ミラー18を点線で図示している。図9に示すように、投射制御部56がユーザの網膜62に画像の投影を開始(ステップS10)した後、検出部52は、光検出器40の検出結果に基づいて、ユーザの顔に対して瞳孔64が動いた方向を検出する(ステップS12)。次いで、駆動制御部54は、検出部52で検出された瞳孔64が動いた方向に応じて、駆動部24を制御して反射ミラー18を動かす(ステップS14)。例えば、反射ミラー18が凹面ミラーであって、その略中央部に凹曲面の頂点がある場合、反射ミラー18はその頂点付近を中心に揺動するように動く。投射制御部56は、網膜62に投影される画像の略中心に対応する画像光線26aaが反射ミラー18の揺動中心近傍に入射するように光源12および走査部16を制御する。反射ミラー18の揺動角は、瞳孔64がユーザの顔の正面方向に対して傾いた角度に応じて予め定められている。検出部52および駆動制御部54は、画像投影が終了するまで(ステップS16:No)、ステップS12からS16を繰り返し行い、画像投影が終了した場合に(ステップS16:Yes)、本処理を終了する。
ユーザが正面を見ていて、瞳孔64がユーザの顔に対して正面方向を向いているときは、例えば図7の状態となり、複数の画像光線26aは瞳孔64に入射して網膜62に画像が投影される。複数の画像光線26aのうち網膜62に投影される画像の中心に対応する画像光線26aaは、瞳孔64が向いている方向と略同じ方向から眼60に入射する。このとき、反射ミラー18で反射した複数の画像光線26aが収束する収束点44はレンズ22の中央部に位置し、複数の画像光線26aはレンズ22の中央部を透過して投射ミラー20に入射する。複数の画像光線26aは、レンズ22の中央部を透過するため、レンズ22でほとんど屈折せずに透過する。画像光線26aaは、走査部16と収束点46とにおいて共役の関係になっている。
図10(a)に示すように、ユーザが画像の右側を見ようとして視線を右方向に向けた場合、瞳孔64はユーザの顔に対して右方向に動いた状態となる。駆動制御部54は、瞳孔64が右方向に動いた場合でも、複数の画像光線26aを瞳孔64に入射させるため、複数の画像光線26aのレンズ22に入射する位置が変わるように、駆動部24を制御して反射ミラー18を動かす。例えば、駆動部24は、凹面ミラーである反射ミラー18の凹曲面の頂点付近の揺動中心点32を中心として揺動するように反射ミラー18を動かす。投射制御部56は、画像光線26aaが反射ミラー18の揺動中心点32近傍に入射するように光源12および走査部16を制御する。
複数の画像光線26aが入射するレンズ22の位置が変わり、複数の画像光線26aが収束する収束点44は、レンズ22のうち画像光線26aの進行方向に対して左側領域に位置するようになる。複数の画像光線26aは、レンズ22の左側領域を透過するため、レンズ22によって進行方向右側に屈折し、その後、投射ミラー20に入射する。これにより、複数の画像光線26aが投射ミラー20に入射する位置および入射角度が図7の状態から変化する。よって、瞳孔64が右方向に動いた場合でも、複数の画像光線26aが瞳孔64に入射するようになる。また、複数の画像光線26aのうち少なくとも画像光線26aaは、瞳孔64が動いた後に瞳孔64が向いている方向T(すなわち、視線方向)を基準として瞳孔64が動いた方向(右方向)とは反対の左側から瞳孔64に入射され、網膜62のうち瞳孔64が動いた方向である右側領域に投射されるようになる。反射ミラー18がこのように動いた場合でも、画像光線26aaは、走査部16と収束点46とにおいて共役の関係が維持されている。なお、本実施例では、画像光線26aaが反射ミラー18に入射する点は、反射ミラー18の揺動中心点32(例えば自由曲面の頂点)と略一致する。
図10(b)に示すように、ユーザが画像の左側を見ようと視線を左方向に向けた場合、瞳孔64はユーザの顔に対して左方向に動いた状態となる。駆動制御部54は、瞳孔64が左方向に動いた場合でも、複数の画像光線26aを瞳孔64に入射させるため、複数の画像光線26aのレンズ22に入射する位置が変わるように、駆動部24を制御して反射ミラー18を動かす。例えば、駆動部24は、凹面ミラーである反射ミラー18の凹曲面の頂点付近の揺動中心点32を中心として揺動するように反射ミラー18を動かす。投射制御部56は、画像光線26aaが反射ミラー18の揺動中心点32近傍に入射するように光源12および走査部16を制御する。
複数の画像光線26aが入射するレンズ22の位置が変わり、複数の画像光線26aが収束する収束点44は、レンズ22のうち画像光線26aの進行方向に対して右側領域に位置するようになる。複数の画像光線26aは、レンズ22の右側領域を透過するため、レンズ22によって進行方向左側に屈折し、その後、投射ミラー20に入射する。これにより、複数の画像光線26aが投射ミラー20に入射する位置および入射角度が図7の状態から変化する。よって、瞳孔64が左方向に動いた場合でも、複数の画像光線26aが瞳孔64に入射するようになる。また、複数の画像光線26aのうち少なくとも画像光線26aaは、瞳孔64が向いている方向Tを基準として瞳孔64が動いた方向(左方向)とは反対の右側から瞳孔64に入射され、網膜62のうち瞳孔64が動いた方向である左側領域に投射されるようになる。反射ミラー18がこのように動いた場合でも、画像光線26aaは、走査部16と収束点46とにおいて共役の関係が維持されている。
図10(a)および図10(b)のように、反射ミラー18が揺動するように動いた場合でも、画像光線26aaのレンズ22と集光点30との間の距離Lは、図7のときの距離Lとほぼ変わらないようにする。これは、瞳孔64の動きに追従する反射ミラー18の揺動によって集光点30の位置が変わると、集光点30以降の画像光線26aaは拡散光であるので、投射ミラー20で反射するときのスポット径が異なることになり、その結果、網膜62上に投影される画像光線26aaのスポット径が異なってしまい、視認する位置によってピントがずれた状態になるからである。このように、複数の画像光線26aのレンズ22に入射する位置が変わっても、レンズ22と集光点30との間の距離Lを変わらないようにするためには、レンズ22にこれに適用できる範囲の像高特性を持つレンズを使用することで実現できる。また、レンズ22は、反射ミラー18の揺動による画像光線26aの投影範囲を網羅するのに十分な有効径を有することも必要である。また、反射ミラー18が揺動するように動いた場合でも、走査部16と反射ミラー18の間の画像光線26aaの光路長L1に対する反射ミラー18と収束点44の間の画像光線26aaの光路長L2の比(L2/L1)と、投射ミラー20と収束点46の間の画像光線26aaの光路長L4に対する収束点44と投射ミラー20の間の画像光線26aaの光路長L3の比(L3/L4)と、はほぼ同じ大きさである(L1~L4は図8参照)。また、反射ミラー18が揺動するように動いた場合でも、複数の画像光線26aが収束点46に収束する収束角度θ2(図8参照)はほとんど変わらない。
なお、図10(a)および図10(b)では、瞳孔64が左右方向に動いた場合(すなわち、眼60が左右方向に回転した場合)を例に示したが、この場合に限られない。瞳孔64が上下方向などの他の方向に動いた場合でも、その動いた方向に応じて、複数の画像光線26aがレンズ22に入射する位置が変わるように反射ミラー18を動かすことで、複数の画像光線26aが瞳孔64に入射されるようになる。また、複数の画像光線26aのうち少なくとも画像光線26aaは、瞳孔64が向いた方向Tを基準として瞳孔64が動いた方向とは反対側から瞳孔64に入射され、網膜62の瞳孔64が動いた方向側の領域に投射されるようになる。
図11(a)から図11(c)は、瞳孔64の動きと網膜62に投射される画像光線26aとについて説明する図である。図11(a)に示すように、ユーザの顔に対して瞳孔64が正面を向いている場合、複数の画像光線26aa、26ab、26acのうち画像光線26aaは瞳孔64のほぼ正面から入射する。画像光線26aa、26ab、26acは瞳孔64のほぼ中心を通過して網膜62に投射される。網膜62の位置Qには、網膜62に投影される画像の中心の画素P1に対応する画像光線26aaが投射される。位置Qの左側には画素P2に対応する画像光線26abが投射され、位置Qの右側には画素P3に対応する画像光線26acが投射される。なお、ユーザが視認する画像は網膜62に投影された画像が反転した画像となる。よって、ユーザは、画素P1が中心に位置し、画素P2が右側に位置し、画素P3が左側に位置した画像を視認する。このように、ユーザが視認する座標系は、投射ミラー20をユーザが見た座標系に相当する。
図11(b)に示すように、ユーザが網膜62に投影された画像の画素P2を見ようとして瞳孔64をユーザの顔に対して右方向に動かした場合、上述したように反射ミラー18を動かすことで、少なくとも画像光線26aaおよび26acは瞳孔64が向いた方向とは反対の左側から瞳孔64に入射する。この場合でも、画像光線26aa、26ab、26acは瞳孔64のほぼ中心を通過する。画像光線26aaおよび26acは網膜62の右側領域に投射される。網膜62の位置Qには網膜62に投影される画像の画素P2に対応する画像光線26abが投射される。よって、網膜62に投影された画像に対するユーザの視線の位置は画素P2となり、ユーザは見たかった画素P2が中心に位置する画像を見ることができる。
図11(c)に示すように、ユーザが網膜62に投影された画像の画素P3を見ようとして瞳孔64をユーザの顔に対して左方向に動かした場合、上述したように反射ミラー18を動かすことで、少なくとも画像光線26aaおよび26abは瞳孔64が向いた方向とは反対の右側から瞳孔64に入射する。この場合でも、画像光線26aa、26ab、26acは瞳孔64のほぼ中心を通過する。画像光線26aaおよび26abは網膜62の左側領域に投射される。網膜62の位置Qには網膜62に投影される画像の画素P3に対応する画像光線26acが投射される。よって、網膜62に投影された画像に対するユーザの視線の位置は画素P3となり、ユーザは見たかった画素P3が中心に位置する画像を見ることができる。
図12(a)から図12(c)は、網膜62に投影された画像に対するユーザの見え方を評価したシミュレーション結果である。図12(a)から図12(c)では、網膜62に視野角26°の画像が投影された場合を想定している。図12(a)は、図7のように、瞳孔64が正面を向いている場合のシミュレーション結果である。図12(b)は、図10(a)のように、眼60が右側に13°回転して瞳孔64が右側を向き、反射ミラー18の揺動角を5°とした場合のシミュレーション結果である。図12(c)は、図10(b)のように、眼60が左側に13°回転して瞳孔64が左側を向き、反射ミラー18の揺動角を5°とした場合のシミュレーション結果である。なお、図12(a)では、中央に位置する画像光線26aが網膜62の中心に投射され、図12(b)では、右列の真ん中に位置する画像光線26aが網膜62の中心に投射され、図12(c)では、左列の真ん中に位置する画像光線26aが網膜62の中心に投射される。
図12(a)に示すように、瞳孔64がユーザの顔に対して正面を向いている場合では、ユーザは略矩形状の画像を視認する。図12(b)に示すように、瞳孔64がユーザの顔に対して右方向に動いた場合では、ユーザは右側領域が大きくなった画像を視認する。図12(c)に示すように、瞳孔64がユーザの顔に対して左方向に動いた場合では、ユーザは左側領域が大きくなった画像を視認する。
図12(b)および図12(c)のように、瞳孔64が動いた方向に応じて上述のように反射ミラー18を動かした場合では、ユーザは、見に行った側の領域の画像が大きく見えることから、違和感が少ない状態で画像を視認することができる。なお、網膜62に投影される画像自体は略台形状に歪んでいることから、この台形歪を解消する処理を実施してもよい。例えば、投影する画像自体に予め反対の台形歪を生じさせる処理をしておくことで、網膜62に投影される画像の台形歪を抑制するようにしてもよい。
以上説明したように、実施例によれば、駆動制御部54は、検出部52で検出された瞳孔64の動いた方向に応じて複数の画像光線26aがレンズ22に入射する位置が変わるように、駆動部24を制御して反射ミラー18(反射部)を動かす。これにより、図10(a)および図10(b)のように、収束点44(第2収束点)に設けられたレンズ22(光学部材)を透過して投射ミラー20(投射部)に入射した複数の画像光線26aは、瞳孔64が動いた場合でも、瞳孔64に入射して眼60内の収束点46(第1収束点)に収束した後に網膜62に投射される。よって、瞳孔64が動いた場合でも、複数の画像光線26aを瞳孔64に入射させて網膜62に画像を投影することができる。
また、実施例では、図10(a)および図10(b)のように、瞳孔64が正面から他の方向に動いた場合、駆動制御部54は、複数の画像光線26aのレンズ22への入射位置をレンズ22の中央部から複数の画像光線26aがレンズ22を透過する方向に対して瞳孔64が動いた方向に相当する方向とは反対側の領域へ移動するように駆動部24を制御して反射ミラー18を動かす。レンズ22は、レンズ22に入射した複数の画像光線26aを瞳孔64が動いた方向に相当する方向側に屈折させる。これにより、瞳孔64が動いた場合でも、複数の画像光線26aを瞳孔64に入射させることができる。
また、実施例では、図10(a)および図10(b)のように、瞳孔64が正面から他の方向に動いた場合、駆動制御部54は、複数の画像光線26aのうち少なくとも網膜62に投影される画像の中心に対応する画像光線26aaを、動いた後の瞳孔64が向いている方向Tを基準として瞳孔64が動いた方向とは反対側から瞳孔64に入射させかつ網膜62のうち瞳孔64が動いた方向側の領域に投射させるように駆動部24を制御して反射ミラー18を動かす。これにより、図11(b)および図11(c)で説明したように、ユーザは網膜62に投影される画像のうち視線を動かして見ようとした箇所を中心とした画像を視認することができる。
また、実施例では、図10(a)および図10(b)のように、駆動部24は、反射ミラー18の中央部近傍の揺動中心点32を中心にして揺動するように反射ミラー18を動かす。投射制御部56は、複数の画像光線26aのうち網膜62に投影される画像の略中心に対応する画像光線を揺動中心点32に投射する。これにより、瞳孔64が動いた場合でも、複数の画像光線26aを瞳孔64に入射させることを容易かつ確実に行うことができる。駆動部24は、複数の画像光線26aのうち画像の略中心に対応する画像光線が反射ミラー18に入射する点を中心にして揺動するように反射ミラー18を動かしてもよい。画像の略中心とは、画像の中心から画像の大きさの1/50倍の領域内のことである。
また、実施例では、図7、図10(a)、及び図10(b)のように、画像光線26aのレンズ22と集光点30との間の距離Lは、反射ミラー18が動いた場合でも略一定である。これにより、複数の画像光線26aがレンズ22に対して斜めに入射した場合でも、複数の画像光線26aを網膜62近傍で合焦させることができる。略一定とは、複数の画像光線26aが網膜62近傍で合焦する程度に略一定であり、反射ミラー18が動く前の距離Lと反射ミラー18が動いた後の距離Lの差が、反射ミラー18が動く前の距離Lに対して±5%以下の場合である。
また、実施例では、画像光線26aは、走査部16と反射ミラー18の間の光路長L1に対する反射ミラー18と収束点44の間の光路長L2の比(L2/L1)と、投射ミラー20と収束点46の間の光路長L4に対する収束点44と投射ミラー20の間の光路長L3の比(L3/L4)とは、反射ミラー18が動いた場合でも略同じ大きさである。これにより、反射ミラー18が動いた場合でも、投射ミラー20が画像光線26aに与える光学的影響を反射ミラー18によって低減することができる。略同じ大きさとは、投射ミラー20による光学的影響を反射ミラー18によって低減できる程度に略同じ大きさであり、光路長L1に対する光路長L2の比(L2/L1)と光路長L4に対する光路長L3の比(L3/L4)との差が、光路長L1に対する光路長L2の比(L2/L1)と光路長L4に対する光路長L3の比(L3/L4)との平均値に対して±5%以下の場合である。
また、実施例では、複数の画像光線26aが収束点46に収束する収束角度θ2は、反射ミラー18が動いた場合でも略一定である。これにより、反射ミラー18が動いた場合でも、網膜62には同程度の視野角の画像を投影することができる。略一定とは、網膜62に投影される画像の視野角がほぼ同じである程度に略一定であり、反射ミラー18が動く前の収束角度θ2と反射ミラー18の動いた後の収束角度θ2の差が、反射ミラー18が動く前の収束角度θ2に対して±10%以下の場合である。
また、実施例では、反射ミラー18の揺動中心点32は、反射ミラー18上でその中央部の凹面の頂点近傍にあることを前提に説明したが、駆動部24による反射ミラー18の揺動機構によっては、必ずしも反射ミラー18上ではなく、オフセットがかかった位置になることがある。これについて図13を用いて説明する。図13は、反射ミラー18近傍を拡大した図である。図13に示すように、実施例では、揺動中心点32は反射ミラー18の凹面の頂点近傍にあり、反射ミラー18は駆動部24によって揺動中心点32を中心に揺動される場合を例に示した。しかしながら、この場合に限られず、駆動部24の駆動機構によっては、駆動部24の方向(投射ミラー20に対して反対方向)にオフセットがかかった位置に揺動中心点32aがあり、この揺動中心点32aを中心に反射ミラー18が揺動する場合でもよい。揺動中心点32と揺動中心点32aとの距離Dは、最大で5mm程度となってもよい。この距離Dは、本実施例のようにヘッドマウントディスプレイのメガネ型フレームの内側に、本実施例で使用される部品を配置する場合に発生する可能性がある距離である。距離Dが大きくなると、図12に示すように、画像の歪としてユーザに視認されるが、5mm程度であればほとんど影響がない。揺動中心点32は、この距離Dの範囲内で、反射ミラー18の中央部近傍に位置している。
なお、実施例において、検出部52は、検出光線26bが虹彩66で反射した反射光28を検出する光検出器40の検出結果に基づいて、瞳孔64が動いた方向を検出する場合を例に示したが、その他の一般的に知られた方法によって瞳孔64が動いた方向を検出してもよい。例えば、検出部52は、カメラが撮像した眼60の撮像画像から瞳孔64が動いた方向を検出してもよい。
なお、実施例において、反射ミラー18および投射ミラー20は、凹面ミラーの場合に限られず、正の集光パワーを有していれば、曲面ミラー以外に、レンズやミラーを組み合わせる、回折素子を用いる、などの他の光学部品であってもよい。レンズ22は、凸レンズの場合に限られず、投射ミラー20に画像光線26aを拡散光で入射させることが可能であれば、ミラーや回折素子などの他の光学部材であってもよい。レンズ22は色収差を抑える機能を有していてもよい。
[変形例]
図14は、実施例の変形例における光学系を示す図である。なお、実施例の変形例は、図14に示す光学系以外については、実施例に係る画像投影装置100と同じである。図14では、図の明瞭化のために、光線26のうち画像光線26aのみを図示し、検出光線26bの図示は省略しているが、検出光線26bも画像光線26aと同様にして眼60に投射される。図14に示すように、実施例の変形例では、レンズ14を透過した画像光線26aは、反射ミラー34により反射して走査部16に入射する。反射ミラー34は平面ミラーである。
反射ミラー18で反射してレンズ22を透過した画像光線26aは、導光部材80に入射する。導光部材80は、複数の画像光線26aが瞳孔64に入射するために反射面82、84と投射面86とで反射しながら進む本体部88と、反射面82と投射面86を外側から覆うように本体部88に貼り付けられたカバー部89と、を有する。本体部88とカバー部89は、屈折率が略同じ大きさの材質の硝材で形成されていて、例えば同じ材質の硝材で形成されている。本体部88およびカバー部89は、例えばシクロオレフィンポリマー(COP)樹脂や、アクリル樹脂などの硝材により形成される。なお、導光部材80は、カバー部89を備えずに、本体部88のみからなる場合でもよい。
画像光線26aは、本体部88の内部を透過する。本体部88は、複数の反射面82、84と投射面86を有する。反射面82、84と投射面86は、例えば硝材に反射材を蒸着することにより形成される。画像光線26aは、本体部88内を、反射面82、反射面84、投射面86の順に反射して、本体部88から外部に出射される。反射面82、84は、略平坦面であり、互いに略平行に設けられている。
本体部88に入射した複数の画像光線26a各々は、収束しながら反射面82に向かって進行する。複数の画像光線26a各々は反射面82近傍で集光する。反射面82で反射した複数の画像光線26a各々は、反射面84に向かって進行する。例えば、複数の画像光線26aは全て、反射面84の手前で集光した後に拡散光となって反射面84に入射する。反射面84で反射した複数の画像光線26a各々は、拡散光の状態で投射面86に入射する。
投射面86は、凹面ミラーであり、正の集光パワーを有する。このため、投射面86で反射した複数の画像光線26a各々は拡散光から略平行光に変換され、かつ、複数の画像光線26aはユーザの眼60内の収束点46で収束する。画像光線26aは水晶体68により略平行光から集束光に変換されて網膜62近傍で合焦する。このように、投射面86は、走査部16により走査されることで走査部16から異なる方向に出射された複数の画像光線26aを眼60内の収束点46に収束させた後に網膜62に投射して網膜62に画像を投影する投射部に相当する。
投射面86の曲率を適切に設定して、複数の画像光線26aが収束点46に収束する収束角度θ2を、走査部16の走査角度θ1に比べて大きくなるようにしてもよい。これにより、網膜62に投影される画像の視野角が大きくなる。
反射面84は、反射面82で反射した画像光線26aを投射面86に向けて反射する領域84aと、投射面86で反射した画像光線26aを透過させる領域84bと、を有し、領域84aと84bは一部で重なっている。この重なった領域84cでは、画像光線26aを反射させる機能と透過させる機能との両方が必要となる。反射面82で反射した画像光線26aが反射面84に入射する入射角は、投射面86で反射した画像光線26aが反射面84に入射する入射角よりも大きい。したがって、反射面84の少なくとも領域84cにおいて、入射角が大きい画像光線26aは主に反射し、入射角が小さい画像光線26aは主に透過するような角度依存性を持たせることで、反射面82で反射した画像光線26aを反射しかつ投射面86で反射した画像光線26aを透過させることを両立できる。また、投射面86で反射した画像光線26aが網膜62に投射されればよく、反射面82で反射した画像光線26aが反射面84を透過しても、実質的に影響を与えないので、反射面84にハーフミラーを用いることで、反射面82で反射した画像光線26aを反射しかつ投射面86で反射した画像光線26aを透過させることの両立もできる。
投射面86で反射した複数の画像光線26aが本体部88から出射する出射面81は、投射面86よりも平坦となっている。カバー部89の投射面86に対して本体部88の出射面81とは反対側の面89aは、投射面86よりも平坦となっている。カバー部89の面89aと本体部88の出射面81は、例えば互いに略平行でかつ略平坦な面となっている。また、反射面82、84と投射面86は全てハーフミラーとなっている。
実施例の変形例によれば、走査部16により走査された複数の画像光線26aは、反射ミラー18によって導光部材80の手前の収束点44で収束した後に導光部材80に入射する。導光部材80は、複数の画像光線26aが内部を透過する硝材により形成され、複数の画像光線26aを反射面82、84で反射して投射面86(投射部)に導く。この場合でも、瞳孔64の動いた方向に応じて複数の画像光線26aがレンズ22に入射する位置が変わるように反射ミラー18を動かすことで、瞳孔64が動いた場合でも複数の画像光線26aを瞳孔64に入射させることができる。また、画像光線26aは導光部材80の内部をメガネ型フレーム42のつる側から眼60側に向かって進むようになり、走査部16などの投影部10の各構成部品をユーザの顔の輪郭に沿って配置することができる。よって、画像投影装置とユーザの顔との間に十分なクリアランスを確保することができる。
また、実施例の変形例によれば、導光部材80は、複数の反射面82、84と投射面86での反射を繰り返して網膜62に投射される複数の画像光線26aが透過する本体部88と、投射面86を覆い、本体部88と略同じ大きさの屈折率を有するカバー部89と、を備える。投射面86はハーフミラーである。カバー部89の面89a及び本体部88の出射面81は投射面86よりも平坦となっている。これにより、ユーザは違和感を抑えて外界を視認することができる。よって、実在する風景にバーチャルな視覚情報を重ねて表示する拡張現実(AR:Augmented Reality)に対応できる。本体部88とカバー部89の屈折率が略同じ大きさとは、ユーザが違和感を抑えて外界を視認可能な程度に同じ大きさであることをいい、屈折率の差が0.05以下である。
なお、実施例の変形例において、カバー部89の面89aは、ユーザの視力を矯正するために、矯正度数に即した凹曲面または凸曲面となっていてもよい。したがって、カバー部89の面89aが略平坦面であるとは、視力矯正程度で曲面になっている場合を含み、ユーザが違和感を抑えて外界を視認可能な程度で平坦面であることをいう。カバー部89の面89aと本体部88の出射面81が略平行とは、カバー部89の面89aが視力矯正程度の曲面となっている場合でも、ユーザが違和感を抑えて外界を視認可能な程度で平行であることをいう。
なお、実施例およびその変形例において、複数の画像光線26aが収束点46に収束する収束角度θ2は、反射ミラー18が動く前と後のいずれの場合でも、走査部16の走査角度θ1以上である場合が好ましい。これにより、網膜62に投影される画像の視野角を大きく保つことができる。
なお、実施例およびその変形例において、画像投影装置はメガネ型フレーム42に取り付けられる場合を例に説明したが、このフレームはユーザの顔に装着可能で、画像投影装置をユーザの眼の前に設置可能であれば、メガネ型に限らず、ゴーグル型、アイパッチ型、耳掛型、およびヘルメット装着型などのその他の場合であってもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 投影部
12 光源
14 レンズ
16 走査部
18 反射ミラー(反射部)
20 投射ミラー(投射部)
22 レンズ(光学部材)
24 駆動部
26 光線
26a、26aa、26ab、26ac 画像光線
26b 検出光線
28 反射光
30 集光点
32、32a 揺動中心点
40 光検出器
44 収束点(第2収束点)
46 収束点(第1収束点)
50 制御部
52 検出部
54 駆動制御部
56 投射制御部
60 眼
62 網膜
64 瞳孔
66 虹彩
68 水晶体
80 導光部材
82、84 反射面
86 投射面(投射部)
88 本体部
89 カバー部
100 画像投影装置

Claims (8)

  1. 光源と、
    前記光源から出射される画像光線を走査する走査部と、
    ユーザの眼の前方に配置され、前記画像光線が前記走査部により走査されることで前記走査部から異なる方向に出射される複数の画像光線を前記ユーザの眼内の第1収束点に収束させた後に網膜に投射して前記網膜に画像を投影する投射部と、
    前記走査部から異なる方向に出射される前記複数の画像光線を前記投射部の手前の第2収束点に収束させる反射部と、
    前記投射部と前記反射部の間に設けられ、前記複数の画像光線各々を集束光に変換して前記投射部の手前の集光点で集光させた後に拡散光として前記投射部に入射させる光学部材と、
    前記反射部を動かす駆動部と、
    前記ユーザの瞳孔が動いた方向を検出する検出部と、
    前記検出部で検出される前記瞳孔が動いた方向に応じて前記複数の画像光線が前記光学部材に入射する位置が変わるように、前記駆動部を制御して前記反射部を動かす駆動制御部と、を備え、
    前記瞳孔が前記ユーザの顔に対して正面を向いた方向から他の方向に動いた場合、前記駆動制御部が、前記複数の画像光線の前記光学部材への入射位置を前記光学部材の中央部から前記複数の画像光線が前記光学部材を透過する方向に対して前記瞳孔が動いた方向に相当する方向とは反対側の領域へ移動させるように前記駆動部を制御して前記反射部を動かすことで、前記光学部材が、前記光学部材に入射した前記複数の画像光線を前記瞳孔が動いた方向に相当する方向側に屈折させる、画像投影装置。
  2. 光源と、
    前記光源から出射される画像光線を走査する走査部と、
    ユーザの眼の前方に配置され、前記画像光線が前記走査部により走査されることで前記走査部から異なる方向に出射される複数の画像光線を前記ユーザの眼内の第1収束点に収束させた後に網膜に投射して前記網膜に画像を投影する投射部と、
    前記走査部から異なる方向に出射される前記複数の画像光線を前記投射部の手前の第2収束点に収束させる反射部と、
    前記投射部と前記反射部の間に設けられ、前記複数の画像光線各々を集束光に変換して前記投射部の手前の集光点で集光させた後に拡散光として前記投射部に入射させる光学部材と、
    前記反射部を動かす駆動部と、
    前記ユーザの瞳孔が動いた方向を検出する検出部と、
    前記検出部で検出される前記瞳孔が動いた方向に応じて前記複数の画像光線が前記光学部材に入射する位置が変わるように、前記駆動部を制御して前記反射部を動かす駆動制御部と、を備え、
    前記瞳孔が前記ユーザの顔に対して正面を向いた方向から他の方向に動いた場合、前記駆動制御部が、前記複数の画像光線のうち少なくとも前記画像の中心に対応する画像光線を、動いた後の前記瞳孔が向いている方向を基準として前記瞳孔が動いた方向とは反対側から前記瞳孔に入射させかつ前記網膜のうち前記瞳孔が動いた方向側の領域に投射させるように前記駆動部を制御して前記反射部を動かす、画像投影装置。
  3. 前記画像光線の投射を制御する投射制御部を備え、
    前記駆動部は、前記反射部の中央部近傍の揺動中心点を中心にして揺動するように前記反射部を動かし、
    前記投射制御部は、前記複数の画像光線のうち前記画像の略中心に対応する画像光線を前記揺動中心点に投射する、請求項1に記載の画像投影装置。
  4. 光源と、
    前記光源から出射される画像光線を走査する走査部と、
    ユーザの眼の前方に配置され、前記画像光線が前記走査部により走査されることで前記走査部から異なる方向に出射される複数の画像光線を前記ユーザの眼内の第1収束点に収束させた後に網膜に投射して前記網膜に画像を投影する投射部と、
    前記走査部から異なる方向に出射される前記複数の画像光線を前記投射部の手前の第2収束点に収束させる反射部と、
    前記投射部と前記反射部の間に設けられ、前記複数の画像光線各々を集束光に変換して前記投射部の手前の集光点で集光させた後に拡散光として前記投射部に入射させる光学部材と、
    前記反射部を動かす駆動部と、
    前記ユーザの瞳孔が動いた方向を検出する検出部と、
    前記検出部で検出される前記瞳孔が動いた方向に応じて前記複数の画像光線が前記光学部材に入射する位置が変わるように、前記駆動部を制御して前記反射部を動かす駆動制御部と、を備え、
    前記光学部材は、前記反射部が動くことによって前記複数の画像光線の入射する領域が変化した場合でも、前記画像光線の前記光学部材と前記集光点との間の距離が略一定となる像高特性を有する、画像投影装置。
  5. 前記走査部と前記反射部の間の前記画像光線の光路長に対する前記反射部と前記第2収束点の間の前記画像光線の光路長の比と、前記投射部と前記第1収束点の間の前記画像光線の光路長に対する前記第2収束点と前記投射部の間の前記画像光線の光路長の比とは、前記反射部が動いた場合でも略同じ大きさである、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像投影装置。
  6. 前記複数の画像光線が前記第1収束点に収束する収束角度は、前記反射部が動いた場合でも略一定である、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像投影装置。
  7. 前記投射部を有し、前記複数の画像光線が内部を透過する硝材により形成され、前記複数の画像光線を複数の反射面で反射して前記投射部に導く導光部材を備え、
    前記光学部材は、前記導光部材と前記反射部の間に設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像投影装置。
  8. 前記投射部および前記反射部は凹面ミラーであり、
    前記光学部材は凸レンズである、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像投影装置。
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