JP7436977B2 - 接触状態維持方法並びに接触状態維持装置、これを備える鉄道車両用パンタグラフおよび列車 - Google Patents
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Description
鉄道車両用パンタグラフでは、パンタグラフの舟体を摺接体とし、固定体となる架線に存在する周期的な波状摩耗により、舟体と架線との離線がしばしば起こり、集電効率の低下やアーク放電による舟体および架線の損傷が生じる。そこで、パンタグラフに振動系を付加する技術が提案されている(特許文献1ないし3参照)。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、この種の対象において、固定体および摺接体相互の接触状態をより好適に維持し得る、接触状態維持方法並びに接触状態維持装置、これを備える鉄道車両用パンタグラフおよび列車を提供することを課題とする。
また、このような構成において、前記第二のばね質量系は、前記摺接体とこれに付加された前記第二のばね質量系とからなる振動系の高次の固有振動数を、前記移動体の定常移動速度における当該摺接体に加わる周期的加振変位の振動数の近傍に合わせる目標値を満たすように、前記付加質量および/またはその支持剛性が予め設定されていることは好ましい。
ここで、本発明の一態様に係る列車において、前記鉄道車両が複数連接された一編成の列車に、複数の前記鉄道車両用パンタグラフが配設されており、複数の前記鉄道車両用パンタグラフは、それぞれの舟体に前記第二の付加質量系が付加されるとともに、それぞれに付加された第二の付加質量系相互の付加質量および/またはその支持剛性を相互に異ならせて、一編成の列車における前記定常速度またはその近傍の速度におけるそれぞれの舟体とこれに付加された前記第二のばね質量系とからなる振動系の高次の固有振動数のうち、いずれか一の舟体に加わる周期的加振変位の振動数に合わせる目標値を満たすように構成して、一編成の列車全体としての前記接触状態を維持する範囲を広げていることは好ましい。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
また、本実施形態は、鉄道車両の走行に関するエネルギー効率の向上と一層の高速化とを目的として、パンタグラフ-架線間の離線およびそれに伴うパンタグラフ-架線間の衝突の繰り返しを防止または抑制して、アーク放電の回避を実現する例である。
いま、鉄道車両用パンタグラフのダイナミクスを表すことができる簡単なモデルとして、図1(a)のばね質量系を考える。質量m1は、パンタグラフ10の舟体(架線に接触する部分)11であり、舟体11が、支持腕12で鉄道車両2の上部に支持され、これにより、舟体11を質量m1として含む第一のばね質量系が構成されている。
これに対し、本実施形態では、図1(b)に示すように、接触状態維持装置100として、舟体11に第二のばね質量系(質量m2、ばね定数k2)を付加して、舟体11と架線1との離線を防ぐものである。
このとき、m1とm2間のばね定数はk2+cαになる。ここで、フィードバックゲインαは可変であることから、ばね定数は可変になり、Ωの変化に応じて、高次の固有角周波数ω2が舟体11に加わる周期的加振変位の振動数等しくなるようにフィードバックゲインαを変えれば、鉄道車両2の任意の走行速度において舟体11の離線を防ぐことができる。
そこで、本実施形態に係る鉄道車両用パンタグラフでは、この事実を積極的に利用して、列車の走行速度に応じて付加系の支持剛性を変化(パンタグラフへの周期的変位入力の振動数に付加系の固有振動数を一致)させて、任意の走行速度によっても、舟体11と架線1との離線が常に生じない状況を実現している。
また、架線1に相当するフレーム36、舟体11に相当する質量の変位を距離センサ(渦電流変位計)37、38により測定した。図8に実験結果を示すように、2次の固有振動数は9.8Hzであり、同図(e)に示すように、離線が抑制されていることが検証された。
以上説明したように、本実施形態の接触状態維持装置100およびこれを備える鉄道車両用パンタグラフ10によれば、接触状態維持装置100が装備されているので、鉄道車両用パンタグラフ10の舟体11と架線1との離線およびそれに伴うパンタグラフ-架線間の衝突の繰り返しを防止または抑制し、より効率的な電源供給を実現できる。
例えば、他の態様として、図10に示すように、鉄道車両2が複数連接された一編成の列車3に対し、複数のパンタグラフ10が装着されていることを利用して、各パンタグラフ10に装着する第二のばね質量系20の固有振動数を、適切に異なる固定値に設定することができる。この場合、アクチュエータ6およびコントローラ7を必要とせずに、予め異なるm2および/またはk2を持つ付加振動系を付けた複数のパンタグラフ10を1編成中に装備すればよい。
また、例えば上記実施形態では、鉄道車両用パンタグラフに本発明を適用した例を示したが、これに限定されず、本発明は、一の方向に沿って延在配置される固定体と、固定体に摺接する摺接体を質量として含む第一のばね質量系が設置される移動体と、を備えるとともに、移動体が固定体に沿って摺接体を摺接させつつ移動することで摺接体が振動するように構成されたものが対象であれば、固定体および摺接体相互の接触状態をより好適に維持するための技術(方法、装置等)を提供できることは勿論である。
鉄道車両への集電は、パンタグラフが架線と力学的に接触することにより電気エネルギーが車両へと供給されることにより行われる。鉄道車両が走行中に、パンタグラフの舟体が架線との接触を維持できなくなる場合が生じることがある。このような現象は離線と呼ばれ、離線により生じるアークの発生は、舟体のしゅう動に起因する消耗に比べてダメージが大きいため、離線を抑制することは非常に重要である。
そこでは、周期的な波状摩耗をつけた剛体架線が実際の鉄道車両に搭載されているパンタグラフと接触して走行する走行実験を行ない、剛体架線の波状摩耗に起因して生じる離線のエッセンシャルモデルとして剛体架線を定常押しつけ力のもとで接触している周期的変位加振源、舟体をばね支持されている1自由度質点系とするモデルを提案している。そして、このモデルについて、衝突写像を用いた解析、数値計算および実験が行われ、モデルの妥当性および衝突振動の分岐現象を明らかにしている。
ところで、調和外力が作用する無減衰の1自由度系(主系)に新たな自由度を1つ付加すると、加振振動数が付加系の固有振動数と一致した場合に付加系が動吸振器として振る舞い、主系の振動振幅が零となる反共振が生じることが古くから知られており、色々な機械システムの制振法に適用されている。
以上のことから、非特許文献1に提案された、架線とパンタグラフの衝突振動モデルである変位加振源と1自由度ばね質点系に対して自由度を1つ付加した場合、前述の梁の曲げ振動の場合と同様に、加振振動数が付加系を考慮した場合の2次の固有振動数近傍において衝突振動が抑制されると考えられる。このことから、剛性を制御し2次の固有振動数を加振振動数と一致させることで衝突振動の発生を常に抑制できることが期待される。
そして、2自由度系の2次の固有振動数近傍において衝突振動の発生が抑制されることを理論的に確認する。また、同解析モデルを模倣した実験装置を制作し、理論解析で予測された特徴について検証実験を行なう。
図12に、剛体架線の波状摩耗に起因した離線現象のモデルである定常押しつけ力のもとで接触している周期的変位加振源にさらされた1自由度ばね質点系の衝突振動の解析モデルを示す。ここでは、主系の質量をm、主系を支持するばねのばね定数をk、押し込み量をd、加振変位の振幅をy0、加角振動数をω、および質点と加振源との間の反発係数をeとする。
非特許文献1では、同様なモデルについて衝突写像を用いた解析および数値計算を通して詳細な衝突振動解析を行っている。本研究では、付加系を追加しない主系のみの場合がこのモデルに対応する。
付加系の影響を述べる前に、本節では、無次元加振角振動数Ω=ω√m/√kが離線の生じる臨界値を超えると、質点と加振源の接触が常に保持される振動数領域が存在しないことを、数値計算例を用いて示すことにする。Ωを変化させて数値計算を行ない、十分に時間が経過した状態で、主系の質点と加振源が接触する位置を調べた。
図13(a)より、Ω=2.1までは質点と加振源は常に接触状態を維持するが、この値を越えてΩが変化すると、質点と加振源との衝突振動が生じ、それ以降では質点と加振源との接触が常に保持されることはない。同図(b)より、ε=0.45の場合では、Ω=1.8までは質点と加振源は常に接触状態を維持するが、この値を越えると質点と加振源との衝突振動が生じる。
Ωを増加させると、Ω=3.3で周期倍分岐が生じ、同図(b)に示すように、質点が周期的変位加振源の1周期に対して1度衝突し、質点の運動の周期が加振源の2周期と一致する運動(period2n=1)へと移行する。同図(c)は、Ω=4.1の場合の結果であり、周期性の弱い衝突現象が確認できる。
以上のことから、主系のみを考慮した場合には、Ω=ω√m/√kが離線の生じる臨界値を超えると質点と加振源との接触が常に保持される加振振動数領域が存在しないことが分かる。
主系は前節と同様に、定常押しつけ力のもとで接触している周期的変位加振源にさらされているものとする。主系の質量をm1、壁と主系との間のばねのばね定数をk1とし、付加系の質量をm2、主系と付加系との間のばねのばね定数をk2とする。
各ばねが自然長の状態での質点の位置を座標原点に取り、同図に定めるように主系および付加系の水平方向変位をそれぞれx1およびx2とする。衝突が生じていない状態において、主系は前述の周期的変位加振源と接触している。この周期的加振源の変位をyとする。yは、下記の式(1)と表される。
y=-d+y0sinωt 式(1)
式(1)において定数dは押し込み量を表し、dに比例する定常押しつけ力が主系に作用する。また、y0、ωおよびtは、それぞれ周期的変位加振源の振動振幅、角振動数および時間を意味している。主系のおよび付加系の運動方程式は下記の式(2)、(3)と表される。
t=tnにおいて、主系と加振源がn回目の衝突をしたとし、その直前の主系の速度を、
y=-1+εsinΩt (5)
[衝突前後における関係式]
式(6)および式(7)を、行列を用いて書き改めると下記の式(9)となる。
μλ4+(μ+μα+α)λ2=0 (10)
正規化されたp1およびp2をそれぞれp1=t(ξ11、ξ12)およびp2=t(ξ21、ξ22)とする。正規化した固有ベクトルp1およびp2を列に並べた行列[Φ]=[p1,p2]を変換行列としてx=[Φ]ηとなる座標変換を考え、物理座標xからモード座標ηへの座標変換を行なう。ここで、x=t(x1、x2)およびη=t(η1、η2)である。式(9)に座標変換を施し、モード座標の支配方程式を求めると以下の式(12)および式(13)ようになる。
f(tn)が衝突前の主系の速度、
式(19)を式(16)に代入して整理すると式(20)となり、
同様に、
Ωが一定の条件のもとで数値計算を行なった。時間が十分に経過した後の結果について、主系と加振源との接触状態および衝突位置について整理を行なった。以降では、μ=1およびα=1の場合について述べることにする。この場合における、1次および2次の固有角振動数ω1およびω2は、それぞれ、ω1=(√5-1)/2およびω2=(√5+1)/2である。
同図(b)は、ε=0.45の場合について、Ωの変化に伴う主系と加振源との衝突位置を表わしたものである。同図より、ε=0.45の場合には、ω2の近傍で主系と加振源との間の接触が保持される領域は、1.25≦Ω≦2.14となり、同図(a)と比べて狭くなる。
次に、ε=0.45の場合について、x1およびyの特徴的な時刻歴を図17に示す。
同図(a)より、Ω=ω1では、Ωが衝突振動の生じる臨界値よりも低いため、x1およびyは接触状態を保持している。同図(b)は、Ω=0.96の場合の結果である。同図において、π/2≦Ωt modulo 2π≦3π/2の範囲で4度の衝突振動が認められ、衝突振動の周期が加振源の周期と一致する定常振動となっている。
その後、Ωの増加に伴い接触領域が増加していき、Ω=ω2近傍では、同図(d)(Ω=ω2)に示すように、衝突振動が抑制されてx1とyとは常に接触状態を保持するようになる。Ω=2.0においても、このように衝突振動が抑制された状態は継続している。同図(e)にその様子を示す。
同図(g)に、Ω=2.7の場合の結果を示す。衝突位置は、π≦Ωt modulo 2π≦3π/2の範囲である。Ωを増加させると、同図(h)に示すように、yの1周期にx1が1度衝突するものの、周期性の弱い現象が確認された。
図19に、α=0.5、1、1.5および2の場合について、Ωが2次の固有角振動数の近傍でx1とyとが常に接触を保持する領域の変化を示す。
αの増加に伴い、接触する領域が狭くなっている。これは、αの増加に伴いω2が増加するため、Ωがその近傍の値をとる場合に、αが小さな場合と比べて加振力が増大することによるものと考えられる。
また、加振器35によりアルミニウム製のフレーム36をその直線上で周期的に加振し主系に作用する加振源とした。主系とフレーム36との接触が、なるべく点で行なわれるようにするために、主系のブロック31の端に円錐状のアルミニウム片31aを取り付けた。
無次元パラメータは、μ=1およびα=1となり、理論解析で用いた値と同様になっている。この系の1次および2次の固有振動数ω1/2πおよびω2/2πは、それぞれ、ω1/2π=3.8Hzおよびω2/2π=9.8Hzであった。
実験では、波形発信器43からの信号をアンプ44で増幅して加振器35を駆動させ、主系に作用する加振源として用いるフレーム36の振動数を4Hzから19.6Hzまで変化させた。加振振動数を変化させてから十分に時間が経過し、過渡応答の影響が無視できたと考えられる状態から測定を開始し、30秒間測定を行なった。
図20に、加振振動数ω/2πの変化に伴う、主系と加振源との間の接触領域の変化を示す。理論解析の図16(b)と同様に、2次の固有振動数ω2/2π=9.8Hzの近傍において衝突振動が顕著に抑制されていることが分かる。衝突振動が抑制される振動数領域は、7.1Hz≦ω/2π≦14.2Hzであり、理論解析結果(7.5Hz≦ω/2π≦12.9Hz)と比べて実験結果の方が僅かに広くなっている。
同図(a)は、ω/2π=4.5Hzの場合の結果であり、主系とフレームは常に接触状態を保持した。ωを増加させ、ω/2π=5.4Hzを越えると主系とフレームとの間に衝突振動が生じ始めた。
さらにωを増加すると、図17(c)の理論解析結果のように、一部で主系がフレームと接触する状態が生じた。この結果を同図(d)に示す。
さらにωを増加すると、同図(g)および(h)に示すように、主系はフレームの1周期の間に1度衝突するようになった。この状態は図17(g)に対応している。
以上の実験において、一部の加振振動数領域において衝突回数などに差異が認められるものの、実験結果は概ね理論解析結果と定性的に一致していることが確認された。
本研究では、波状摩耗に起因した剛体架線とパンタグラフの衝突振動を取り上げ、舟体をモデル化した1自由度ばね質点系(主系)に対して1自由度振動系を付加した場合について、付加系が衝突振動に与える影響について理論的に調べた。
その結果、
(1)加振振動数が系の2次の固有振動数近傍において、主系と加振源との間の衝突振動が抑制され、2次の固有振動数が大きくなると衝突振動が抑制される振動数領域は狭くなる。
(2)加振振動数の変化に伴い、定常な衝突振動、周期性の弱い現象への分岐現象などが生じる、ことが明確になった。
また、理論解析モデルと同様な実験装置を製作して検証実験を行なった、実験結果より、
(3)理論解析で予測されたように、加振振動数が2次の固有振動数近傍において衝突振動が顕著に抑制されることを確認した。以上のことから、付加系を考慮した場合について、2次の固有振動数を加振源の振動数に追随するような制御手法を用いると、広い振動数領域において衝突振動が抑制されることが期待される。
2 鉄道車両(移動体)
3 列車
5 速度情報取得センサ
6 アクチュエータ
7 コントローラ(制御部)
10 パンタグラフ(第一のばね質量系)
11 舟体(摺接体)
12 支持腕
20 第二のばね質量系
30 実験装置
31 ブロック
32 ブロック
33 スライドベアリング
34 スライドベアリング
35 加振器
36 フレーム
37 距離センサ
38 距離センサ
39 データロガー
40 パーソナルコンピュータ
41 コイルばね
42 コイルばね
43 波形発信器
44 アンプ
100 接触状態維持装置
Claims (9)
- 一の方向に沿って延在配置される固定体と、前記固定体に摺接する摺接体を質量として含む第一のばね質量系が設置される移動体と、を備えるとともに、前記移動体が前記固定体に沿って前記摺接体を摺接させつつ移動することで前記摺接体が振動するように構成されたものを対象とし、前記固定体および前記摺接体相互の接触状態を保つようにその接触状態を維持する方法であって、
前記摺接体に当該摺接体の固有振動数の個数を増やすように第二のばね質量系を付加し、
前記摺接体とこれに付加された前記第二のばね質量系とからなる振動系の高次の固有振動数を当該摺接体に加わる周期的加振変位の振動数に合わせるように、前記第二のばね質量系を構成する付加質量の支持剛性を設定することを特徴とする接触状態維持方法。 - 一の方向に沿って延在配置される固定体と、前記固定体に摺接する摺接体を質量として含む第一のばね質量系が設置される移動体と、を備えるとともに、前記移動体が前記固定体に沿って前記摺接体を摺接させつつ移動することで前記摺接体が振動するように構成されたものを対象とし、前記固定体および前記摺接体相互の接触状態を保つようにその接触状態を維持する接触状態維持装置であって、
前記摺接体に、当該摺接体の固有振動数の個数を増やすように付加された第二のばね質量系を備え、
前記第二のばね質量系は、前記摺接体とこれに付加された前記第二のばね質量系とからなる振動系の高次の固有振動数を当該摺接体に加わる周期的加振変位の振動数に合わせるように、前記第二のばね質量系を構成する付加質量の支持剛性が設定されることを特徴とする接触状態維持装置。 - 前記第二のばね質量系は、前記摺接体とこれに付加された前記第二のばね質量系とからなる振動系の高次の固有振動数を、前記移動体の定常速度またはその近傍の速度において当該摺接体に加わる周期的加振変位の振動数の近傍に合わせるように、当該第二のばね質量系を構成する付加質量の支持剛性が設定される請求項2に記載の接触状態維持装置。
- 前記摺接体の移動速度の情報を取得する速度情報取得センサと、前記第二のばね質量系を構成する付加質量の支持剛性を変動可能に設けられたアクチュエータと、前記アクチュエータを駆動する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記速度情報取得センサで取得された前記摺接体の移動速度の情報に基づいて、前記摺接体とこれに付加された前記第二のばね質量系とからなる振動系の高次の固有振動数を当該摺接体に加わる周期的加振変位の振動数に合わせるように、前記アクチュエータを駆動して前記第二のばね質量系を構成する付加質量の支持剛性を変動させる請求項2または3に記載の接触状態維持装置。 - 前記固定体が、鉄道の架線であり、
前記移動体が、鉄道車両であり、
前記摺接体が、前記鉄道車両の上部に設けられて前記架線に摺接するように対向配置される舟体である鉄道車両用パンタグラフであって、
請求項2~4のいずれか一項に記載の接触状態維持装置を備え、
前記第二のばね質量系が、前記舟体に、当該舟体の固有振動数の個数を増やすように付加されていることを特徴とする鉄道車両用パンタグラフ。 - 前記固定体が、鉄道の架線であり、
前記移動体が、鉄道車両であり、
前記摺接体が、前記鉄道車両の上部に設けられて前記架線に摺接するように対向配置される舟体である鉄道車両用パンタグラフであって、
請求項4に記載の接触状態維持装置を備え、
前記制御部が、前記舟体とこれに付加された第二のばね質量系とからなる振動系の高次の固有振動数を前記舟体に加わる周期的加振変位の振動数に合わせるように、前記第二のばね質量系を構成する付加質量の支持剛性を、前記舟体の移動速度に応じて変動させることを特徴とする鉄道車両用パンタグラフ。 - 請求項5または6に記載の鉄道車両用パンタグラフを備えることを特徴とする列車。
- 鉄道車両が複数連接された一編成の列車に、複数の前記鉄道車両用パンタグラフが配設されており、
複数の前記鉄道車両用パンタグラフは、それぞれの舟体に前記第二のばね質量系が付加されるとともに、それぞれに付加された第二のばね質量系相互の付加質量の支持剛性を相互に異ならせて、一編成の列車における鉄道車両の定常速度またはその近傍の速度におけるそれぞれの舟体とこれに付加された第二のばね質量系とからなる振動系の高次の固有振動数のうち、いずれか一の舟体に加わる周期的加振変位の振動数に合わせる目標値を満たすように構成して、一編成の列車全体としての前記接触状態を維持する範囲を広げている請求項7に記載の列車。 - 鉄道車両の上部に設けられて鉄道の架線に摺接するように対向配置される舟体を質量として含む第一のばね質量系を有する鉄道車両用パンタグラフと、前記舟体および前記架線相互の接触状態を保つようにその接触状態を維持する接触状態維持装置と、を備える列車であって、前記鉄道車両が複数連接された一編成の列車に、複数の前記鉄道車両用パンタグラフが配設されており、
前記接触状態維持装置は、
複数の前記鉄道車両用パンタグラフに対して、それぞれの舟体に各舟体の固有振動数の個数を増やすように第二のばね質量系が付加され、それぞれに付加された第二のばね質量系相互の付加質量および/またはその支持剛性を予め相互に異ならせて、一編成の列車における鉄道車両の定常速度またはその近傍の速度におけるそれぞれの舟体とこれに付加された第二のばね質量系とからなる振動系の高次の固有振動数のうち、いずれか一の舟体に加わる周期的加振変位の振動数に合わせる目標値を満たすように構成して、一編成の列車全体としての前記接触状態を維持する範囲を広げていることを特徴とする列車。
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