JP7431029B2 - 大規模環境用のマルチインスタンス型シミュレーション - Google Patents

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Description

本発明は、工学および物理学のシミュレーションの分野に関する。
近年、再生可能かつ持続可能な技術の開発に高い関心が寄せられており、その数例として、再生可能なエネルギー源、クリーンでスマートな都市の開発、環境上のルールに対処した交通手段の構想が挙げられる。
再生可能かつ持続可能な技術を開発するための持続可能なソリューションの開発を実行可能とするには、数値シミュレーションツールの使用が必須であることは広く認められている。実際、大規模な不確定条件の存在(航空機の飛行中の風速、建物の分布、天候条件等)および所与のシーンの異なる要素間の相互作用の影響(異なる建物、異なる風力タービン、航空機の異なる部品等)を考慮する必要性により、設計段階で実験を用いることは不可能となっている。
現在、確立されている設計評価方法は、専用ソフトウェアによる数値的方法を用いることである。しかし、設計の初期段階で数値シミュレーションを構成することは、特に、新たな設計が提示される環境(この環境はシーンとも称され、ここで、シーンはシミュレーションが実行される三次元空間である)が繰り返し変化する場合、大変な労力を要する。これは、各環境変化について、シーンをそれに応じて適合させなければならないということ、すなわち、再メッシュ化、境界条件の再適用およびソリューション全体の再計算を行う必要があるということに主に起因する(Marijn P. Zwier, Wessel W. Wits. “Physics in Design: Real-time Numerical Simulation Integrated into the CAD Environment”. Procedia CIRP, Volume 60, 2017, Pages 98-103, ISSN 2212-8271, https://doi.org/10.1016/j.procir.2017.01.054を参照)。また、大型ドメイン、すなわち、大規模シーン環境の場合、シミュレーション手段(シミュレーション時間、データ記憶装置等)に関わるコストは、指数関数的に増加する(J. Blazek. “Computational Fluid Dynamics: Principles and Applications”. ISBN: 978-0-08-044506-9. Elservier Science, 2005, 2ndEditionを参照)。
マルチインスタンス化を利用可能な流体流動シミュレーション、構造力学シミュレーション、プラズマ力学シミュレーションや物理シミュレーション、あるいは仮想世界においてシミュレーションされた物理的モデルの使用を必要とする分野(ビデオゲームやアニメ映画等)向けのシミュレーションといった大規模シミュレーションの場合、シミュレーションツールをドメイン全体について実行する必要がある。大規模シミュレーションをインスタンス化する必要に直面した場合、シーンのわずかな修正ごとにシミュレーション全体を再実行するソリューションしか知られていない。このようなソリューションは、シーンの性質を大きく変化させる必要がある大規模シミュレーションのインスタンス化に適合していない。
このような状況においては、物理シミュレーションをインスタンス化するための改善された方法がなお必要とされている。
したがって、グローバル物理シミュレーションをインスタンス化するための、コンピュータによって実施される方法が提供される。同方法は、ローカルシミュレーションのセットを提供するステップを含む。ローカルシミュレーションのセットは、少なくとも1つのローカルシミュレーションを含む。1つのローカルシミュレーションは、上記グローバル物理シミュレーションの一部であって単独かつ上記グローバル物理シミュレーションから独立して計算可能な物理シミュレーションである。ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションは、計算済みである。上記方法は、上記ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、上記ローカルシミュレーションの個別の縮小モデルを計算するステップをさらに含む。上記方法は、少なくとも1つのグローバルシミュレーションのセットの各々を計算するステップをさらに含む。各グローバルシミュレーションは、上記グローバル物理シミュレーションのインスタンスである。各グローバルシミュレーションの上記計算ステップは、少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について個別に計算された縮小モデルを再使用するステップを含む。
これは、物理シミュレーションをインスタンス化するための方法の改善となる。
上記方法は、以下のうち1つまたはそれ以上を含み得る。
-各ローカルシミュレーションは、個別のローカルドメインに関連付けられており、各グローバルシミュレーションは、個別のグローバルドメインに関連付けられており、
上記方法は、
・各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルの上記計算ステップの前に、
・-上記ローカルシミュレーションの個別の関心ゾーンを選択するステップであって、上記個別の関心ゾーンは上記個別のローカルドメインの空でないサブドメインであるステップと、
・各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルの上記計算ステップにおいて、
・各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルが上記個別の関心ゾーンの境界において計算されるステップと、
・各グローバルシミュレーションの上記計算ステップにおいて、
・上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々についての上記個別の関心ゾーンを上記グローバルシミュレーションの上記個別のグローバルドメインに配置するステップと、
・上記グローバルドメインの残りの部分のみが計算され、上記残りの部分は、関心ゾーンによって占有されていない上記グローバルドメインの部分であり、上記グローバルドメインは、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について個別の関心ゾーンによってそれぞれ占有されている領域を含むステップとをさらに含み、
-上記方法は、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々についての上記個別の関心ゾーンの上記配置ステップにおいて、上記個別の関心ゾーンの境界を上記個別の関心ゾーンによって占有されている上記個別のグローバルドメイン領域の境界とインターフェイスするステップをさらに含み、
-各ローカルシミュレーションの各ローカルドメインは、個別の物理的オブジェクトを含み、上記ローカルシミュレーションは、上記個別の物理的オブジェクトに関連付けられた個別の物理的挙動をシミュレーションし、各グローバルシミュレーションは、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について全ての個別の物理的オブジェクトに関連付けられた共通の物理的挙動の個別のシナリオをシミュレーションし、上記共通の物理的挙動は、全てのグローバルシミュレーションに共通であり、
-各グローバルシミュレーションについて、上記グローバルシミュレーションの上記個別のグローバルドメインは、共通の物理的オブジェクトの個別のバリエーションを含み、上記共通の物理的オブジェクトは、全てのグローバルシミュレーションに共通であり、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について全ての個別の物理的オブジェクトに関連付けられた上記共通の物理的挙動は、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について全ての個別の物理的オブジェクトに対する上記共通の物理的オブジェクトの物理的挙動であり、
-上記方法は、
・各グローバルシミュレーションの上記計算ステップの前に、
・ローカル・シミュレーション・インスタンスのデータベースを作成するステップであって、
○上記ローカルシミュレーションのセットの上記提供ステップと、各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルの上記計算ステップとを含み、上記ローカルシミュレーションのセットは、少なくとも2つのローカルシミュレーションを含むステップと、
○上記ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、個別のローカル・シミュレーション・インスタンスを上記データベースに記憶するステップであって、上記個別のローカル・シミュレーション・インスタンスは、上記個別に計算された縮小モデルを含むステップと、
・ローカル・シミュレーション・インスタンスの上記データベースにおいて少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスを選択するステップとをさらに含み、
・各グローバルシミュレーションの上記計算ステップにおいて、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションは、上記少なくとも2つの選択されたローカル・シミュレーション・インスタンスの上記少なくとも2つのローカルシミュレーションを構成し、
-上記方法は、上記ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、上記個別の縮小モデルの上記計算ステップの後に、プローブを定義するステップであって、上記プローブは、上記ローカルシミュレーションの上記個別のローカルドメインの上記個別の関心ゾーンに接する点であり、各プローブは、上記ローカルシミュレーションのシミュレーションデータを含むステップをさらに含み、上記個別に計算された縮小モデルを含む上記記憶されたローカル・シミュレーション・インスタンスは、上記プローブおよび上記個別の関心ゾーンをさらに含み、
-各グローバルシミュレーションを計算する上記ステップの際に、上記少なくとも2つの選択されたローカル・シミュレーション・インスタンスのうち少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスが相互作用し、上記相互作用により、上記少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスのうち少なくとも1つのローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブが強化(enriched))され、プローブを強化した結果、プローブが強化されたローカル・シミュレーション・インスタンスに含まれる上記個別に計算された縮小モデルが補正され、
-上記方法は、プローブが強化された各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、
・上記個別に計算された縮小モデルの上記補正の前に、全ての強化されたプローブのセットと、それらのプローブが強化される前の対応するプローブのセットとの差を計算するステップと、
・上記差が所定の閾値を超えるか否かを判定するステップと、
・上記差が上記所定の閾値を超えると判定された場合、上記個別に計算された縮小モデルを補正するステップとをさらに含み、
-上記方法は、
・ローカル・シミュレーション・インスタンスの上記データベースの上記作成ステップにおいて、上記データベースに記憶された上記ローカル・シミュレーション・インスタンスに対して機械学習アルゴリズムを学習するステップであって、上記機械学習アルゴリズムは、上記データベースの各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、上記ローカル・シミュレーション・インスタンスに記憶された上記プローブと、上記ローカル・シミュレーション・インスタンスに記憶された上記個別に計算された縮小モデルとの個別の関係を提供するステップと、
・プローブが強化された各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、上記ローカル・シミュレーション・インスタンスに含まれる上記個別に計算された縮小モデルの補正ステップは、上記機械学習アルゴリズムを適用するステップを含み、上記補正ステップは、上記個別の関係に基づいて実施されるステップとをさらに含み、
-上記ローカルシミュレーションのセットは、厳密に1つのローカルシミュレーションを構成し、
-上記ローカルシミュレーションのセットの全てのローカルシミュレーションは、所与のローカルシミュレーションの摂動(perturbations)であり、上記所与のローカルシミュレーションは、上記ローカルシミュレーションのセットの一部でもあり、かつ/または
-全てのグローバルシミュレーションは、所与のグローバルシミュレーションの摂動であり、上記所与のグローバルシミュレーションは、上記グローバルシミュレーションのセットの一部でもある。
上記方法を実施するための命令を含むコンピュータプログラムがさらに提供される。
上記コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読記憶媒体がさらに提供される。
上記コンピュータプログラムが記録されたメモリと表示装置とに結合されたプロセッサを備えるコンピュータがさらに提供される。
本発明の例について、非限定的な例を用い、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
上記方法の一例フローチャートを示す ローカルシミュレーションのセットが少なくとも2つのローカルシミュレーションを含む場合における、上記方法の一例のフローチャートを示す。 ローカルシミュレーションのセットが少なくとも2つのローカルシミュレーションを含む場合における、上記方法に係るデータベース・ローカル・シミュレーション・インスタンスの作成ステップの一例のフローチャートを示す。 上記方法に係る、各グローバルシミュレーションの計算ステップの一例のフローチャートを示す。 ローカルシミュレーションのセットが少なくとも2つのローカルシミュレーションを含む場合における、上記方法に係る、各計算された縮小モデルの再使用ステップの一例のフローチャートを示す。 本発明のコンピュータの一例を示す。 先行技術の方法に係るシミュレーションのインスタンス化の一例を示す。 ローカルシミュレーションのセットが厳密に1つのローカルシミュレーションを含む、上記方法に係るシミュレーションのインスタンス化の一例を示す。 個別の関心ゾーンの選択ステップの一例を示すスクリーンショットを示す。 個別の関心ゾーンの選択ステップの一例を示すスクリーンショットを示す。 個別の関心ゾーンの配置ステップの一例を示すスクリーンショットを示す。 プローブの定義ステップの一例を示すスクリーンショットを示す。 個別の関心ゾーンの配置ステップの一例を示すスクリーンショットを示す。 縮小モデルの計算ステップの一例を示す図を示す。 基底要素の例を示す。 インターフェイスステップの実施形態を示す。
図1のフローチャートを参照すると、グローバル物理シミュレーションをインスタンス化するための、コンピュータによって実施される方法が示されている。この方法は、ローカルシミュレーションのセットを提供するステップS10を含む。ローカルシミュレーションのセットは、少なくとも1つのローカルシミュレーションを含む。ローカルシミュレーションは、グローバル物理シミュレーションの一部であり、単独でかつグローバル物理シミュレーションから独立して計算可能な物理シミュレーションである。ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションは、計算済みである。上記方法は、ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、当該ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルを計算するステップS30をさらに含む。上記方法は、少なくとも1つのグローバルシミュレーションのセットの各々を計算するステップS2をさらに含む。各グローバルシミュレーションは、グローバル物理シミュレーションのインスタンスである。各グローバルシミュレーションを計算するステップS2は、少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について計算された縮小モデルを再使用するステップS220を含む。
係る方法により、物理シミュレーションのインスタンス化が改善される。第一に、グローバル物理シミュレーションのローカル部分、具体的には、縮小モデルが再使用されるローカルシミュレーションは、計算済みである。グローバル物理シミュレーションを計算する際、上記方法は、計算済みローカル部分を計算することなく、グローバル物理シミュレーションのインスタンス、具体的には、グローバルシミュレーションを計算する。したがって、グローバル物理シミュレーションのインスタンス化を、当該グローバル物理シミュレーションをインスタンス化の度に完全に再実行することなく(すなわち、完全に再計算することなく)行うことができる。換言すれば、上記方法により、物理シミュレーションを比較的高速に、かつコンピュータ資源を経済的に用いて行うことが可能となる。第二に、グローバルシミュレーションを計算する(S2)際、グローバル物理シミュレーションの計算済みローカル部分の縮小モデルのみが再使用される。シミュレーションの縮小モデルは、記憶および/または実行が上記シミュレーション自体よりも低コスト(使用するデータ資源および/または計算資源の点で)でありながらも、当該シミュレーションの物理特性(physics)を捉えたものとなる。したがって、再使用される各縮小モデルは、対応するローカルシミュレーションのシミュレーション結果とほぼ同等である。このことは、上記方法が、物理シミュレーションのインスタンスをより高速かつ経済的に計算するだけでなく、一定の物理的正確性を保証しつつそれを行うことができるということを示している。上記方法の利点は、少なくとも1つのグローバルシミュレーションのセットが少なくとも2つのグローバルシミュレーションを含む場合に特に顕著となる。実際、大規模シミュレーション(グローバル物理シミュレーション)の共通の部分(ローカルシミュレーション)を有するいくつかのバージョン(少なくとも2つのグローバルシミュレーション)を、当該共通の部分をその都度再計算することなく計算することができる。したがって、上記方法により、グローバル物理シミュレーションのバリエーションを、新たなインスタンス(すなわち、新たなバリエーション)を作成するために修正を行う度に当該シミュレーションを完全に再実行しなければならない逐次的な手法を用いることなく、シミュレーションすることが可能となる。さらに、逐次的な手法が2つの異なる物理学分野の2つの物理モデルが強力に相互作用するグローバルマルチ物理(multi-physics)シミュレーションに適合していないのに対し、本発明は、このようなケースを効率的に扱うことができる。さらに、一例において、各ローカルシミュレーションは、グローバルシミュレーションの時間スケールとは異なる時間スケールを有する。これらのマルチスケールの問題は、時間資源および/または計算資源の点で、グローバル物理シミュレーションの計算を複雑化し、かつ/または高コスト化し得る。なぜなら、異なる物理モデルは、考慮を要する全ての異なる時間スケールにおいて進化し得るからである。ローカルシミュレーションの再計算を行わないことにより、本発明に係るグローバルシミュレーションの計算ステップS2は、ローカルシミュレーションの時間スケールを考慮せずに各グローバルシミュレーションの時間スケールのみを考慮することができ、それにより、これらのマルチスケールの問題を軽減するか、さらには回避することができる。
上記および以下を含む本明細書全体において、少なくとも1つとは1つまたはそれ以上を意味し、少なくとも2つとは2つまたはそれ以上を意味する。
上記方法は、コンピュータによって実施される。これは、上記方法のステップ(または実質的に全てのステップ)が少なくとも1つのコンピュータまたは任意の同様のシステムによって実行されることを意味する。したがって、上記方法のステップは、上記コンピュータにより、場合によっては、全自動または半自動で実施される。一例において、上記方法のうち少なくともいくつかのステップの起動は、ユーザとコンピュータとの対話によって行われ得る。ユーザとコンピュータとの対話の必要なレベルは、予測される自動化のレベルに依存すると共に、ユーザの意向を実現する必要性とのバランスが取られる。一例において、このレベルは、ユーザによって定義され、かつ/または事前に定義され得る。
方法をコンピュータによって実施する典型的な例は、この目的に適合したシステム(例えば、コンピュータシステム)を用いて方法を実施することである。このシステムは、方法を実施するための命令を含むコンピュータプログラムが記録されたメモリとグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)とに結合されたプロセッサを備え得る。メモリは、データベースも記憶し得る。メモリは、係る記憶に適合した任意のハードウェアであり、場合によっては、いくつかの物理的に別個の部分(例えば、プログラム用の部分、そして場合によっては、データベース用の部分)を含む。
図6は、上記システムの一例を示し、本一例において、システムは、クライアント・コンピュータ・システム、例えば、ユーザのワークステーションである。
本例のクライアントコンピュータは、内部通信バス1000に接続された中央処理装置(CPU)1010および同じく当該バスに接続されたランダム・アクセス・メモリ(RAM)1070を備える。このクライアントコンピュータは、上記バスに接続されたビデオ・ランダム・アクセス・メモリ1100に関連付けられたグラフィック処理ユニット(GPU)1110をさらに備える。ビデオRAM1100は、当該技術分野において、フレームバッファとしても公知である。大容量記憶装置コントローラ1020は、ハードドライブ1030といった大容量メモリ装置に対するアクセスを管理する。コンピュータのプログラム命令およびデータの具現化に適した大容量メモリ装置としては、あらゆる形態の不揮発性メモリが含まれ、例としては、EPROM、EPROMやフラッシュメモリ装置といった半導体メモリ装置;内部ハードディスクやリムーバブルディスクといった磁気ディスク;光磁気ディスク;およびCD-ROMディスク1040が挙げられる。上記のいずれも、専用に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)を付加するか、あるいはこれに組み込まれてもよい。ネットワークアダプタ1050は、ネットワーク1060に対するアクセスを管理する。クライアントコンピュータは、カーソル制御装置、キーボード等といった触覚装置1090も備え得る。カーソル制御装置は、ユーザが表示装置1080の所望の位置にカーソルを選択的に配置できるようにするために、クライアントコンピュータにおいて使用される。さらに、カーソル制御装置は、ユーザが種々のコマンドを選択し、制御信号を入力することを可能にする。カーソル制御装置は、システムに対する入力制御信号のための多数の信号生成装置を有する。典型的には、カーソル制御装置は、マウスであってもよく、上記信号を生成するためにマウスのボタンが使用される。これに代えて、あるいはこれに加えて、クライアント・コンピュータ・システムは、センシティブパッドおよび/またはセンシティブスクリーンを備え得る。
上記コンピュータプログラムは、上記システムに上記方法を実施させるための手段を含む、コンピュータによって実行可能な命令を含み得る。このプログラムは、上記システムのメモリを含む、任意のデータ記憶媒体に記録可能であり得る。このプログラムは、例えば、デジタル電子回路もしくはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせにおいて実施され得る。このプログラムは、装置として、例えば、プログラマブルプロセッサによる実行のために機械可読記憶装置において具現化されたプロダクトとして実現され得る。方法のステップは、入力データ上で動作し、出力を生成することによって上記方法の機能を実施するための命令のプログラムをプログラマブルプロセッサが実行することによって実施され得る。したがって、上記プロセッサは、プログラマブルであってもよく、また、データおよび命令を受信し、データおよび命令を送信するために、データ記憶システム、少なくとも1つの入力装置および少なくとも1つの出力装置に結合されていてもよい。アプリケーションプログラムは、手続き型もしくはオブジェクト指向型の高水準プログラム言語、または、必要であれば、アセンブリ語もしくは機械語で実現され得る。いずれの場合も、言語は、コンパイルされた言語または翻訳された言語であり得る。上記プログラムは、完全インストールプログラムまたは更新プログラムであり得る。上記システム上でこのプログラムを適用することにより、上記方法を実施するための命令が与えられる。
上記システムは、CADシステム、CAEシステム、CAMシステム、PDMシステムおよび/またはPLMシステムの任意の組み合わせであり得る。これら異なるシステムにおいて、対応するデータによってモデル化オブジェクトが定義される。モデル化オブジェクトは、例えば、上記データベースに記憶されたデータによって定義される任意のオブジェクトである。さらには、「モデル化オブジェクト」という表現は、上記データそのものを示す。システムのタイプに応じて、モデル化オブジェクトは、異なる種類のデータによって定義され得る。したがって、CADオブジェクト、PLMオブジェクト、PDMオブジェクト、CAEオブジェクト、CAMオブジェクト、CADデータ、PLMデータ、PDMデータ、CAMデータ、CAEデータと呼ばれ得る。ただし、モデル化オブジェクトは、これらシステムの任意の組み合わせに対応するデータによって定義され得るため、これらのシステムは、互いに排他的ではない。したがって、システムは、CADおよびPLMの両方のシステムである可能性も大いにあり、これは、以下に示す係るシステムの定義から明らかである。
CADシステムとは、CATIA等の、少なくとも、モデル化オブジェクトのグラフィック表現に基づいてモデル化オブジェクトを設計するのに適合した任意のシステムのことも意味する。この場合、モデル化オブジェクトを定義するデータは、モデル化オブジェクトの表現を可能にするデータを含む。CADシステムは、例えば、エッジやライン、場合によっては、面や表面を用いて、CADモデル化オブジェクトの表現を提供し得る。ライン、エッジまたは表面は、例えば、非一様有理Bスプライン(NURBS)などの種々の方法で表現され得る。具体的には、CADファイルは、ジオメトリが生成され得る仕様を含み、それによって、表現の生成が可能となる。モデル化オブジェクトの仕様は、単一のCADファイルまたは多数個のCADファイルに記憶され得る。CADシステムにおけるモデル化オブジェクトを表現するファイルの典型的なサイズは、1つの部分につき1メガバイトの範囲である。また、モデル化オブジェクトは、典型的には、数千個の部分のアセンブリであり得る。
PLMシステムとは、製造された(または製造予定の)物理的な製品を表現するモデル化オブジェクトの管理に適合した任意のシステムも意味する。したがって、PLMシステムにおいて、モデル化オブジェクトは、物理的オブジェクトの製造に適したデータによって定義される。これらは、典型的には、寸法値および/または許容差値であり得る。オブジェクトの適正な製造のためには、係る数値を有するほうがよい。
CAMソリューションとは、製品の製造データを管理するのに適合した任意のソリューション、ハードウェアまたはソフトウェアも意味する。製造データは、一般に、製造する製品、製造過程および必要な資源に関連するデータを含む。CAMソリューションは、製品の製造過程全体を計画し、最適化するために用いられる。例えば、実現可能性、製造過程の期間、または特定のロボットといった製造過程の特定の工程で使用され得る資源の数についての情報をCAMユーザに対して提供することができ、それによって、管理または必要投資に関する決定を下すことが可能となる。CAMは、CAD処理、および場合によってはCAE処理の後に続く処理である。係るCAMソリューションは、商標DELMIA(登録商標)でダッソー・システムズによって提供される。
CAEソリューションとは、モデル化オブジェクトの物理的挙動の解析に適合した任意のソリューション、ソフトウェアまたはハードウェアも意味する。1つの周知かつ汎用のCAE技術は、モデル化オブジェクトを、方程式によって物理的挙動を計算し、シミュレーションすることが可能な要素に分割することを典型的には含む有限要素法(FEM)である。係るCAEソリューションは、商標SIMULIA(登録商標)でダッソー・システムズによって提供されている。成長中の別のCAE技術は、CADジオメトリデータを用いずに、異なる物理学分野の複数の構成要素で構成される複雑なシステムをモデル化および解析することを含む。CAEソリューションにより、製造する製品のシミュレーション、ひいては、最適化、改善および検証が可能となる。係るCAEソリューションは、商標DYMOLA(登録商標)でダッソー・システムズによって提供される。
PDMは、製品データ管理(Product Data Management)を表す。PDMソリューションとは、特定の製品に関連するあらゆるタイプのデータの管理に適合した任意のソリューション、ソフトウェアまたはハードウェアを意味する。PDMソリューションは、製品のライフサイクルに関わるあらゆる人物(主としてエンジニアであるが、プロジェクトマネージャ、財務担当者、販売担当者およびバイヤーも含む)によって使用され得る。PDMソリューションは、概して、製品指向データベースに基づいている。これによって、上記の人物は、各自の製品について一致したデータを共有することができ、したがって、これらの人物が相違したデータを使用することが防止される。係るPDMソリューションは、商標ENOVIA(登録商標)でダッソー・システムズによって提供されている。
上記方法は、グローバル物理シミュレーションをインスタンス化するためのものである。
物理シミュレーションは、電子工学、電気学、力学、電気力学、流体力学、重力力学、統計力学、波動力学、統計物理学、粒子系、液圧系、量子物理学、地球物理学、宇宙物理学、化学、航空宇宙学(aerospatial)、地球磁気学、電磁気学、プラズマ物理学や計算流体力学(CFD)といった1つまたはそれ以上の物理学分野の任意のシミュレーションである。物理シミュレーションは、少なくとも2つの物理学分野を含むシミュレーションである、マルチ物理シミュレーションであり得る。物理シミュレーションは、上記に列記した例を含む、1つまたはそれ以上の物理学分野の物理システムまたはマルチ物理システムの少なくとも1つの時間的な挙動のシミュレーションであり得る。
「グローバル」とは、グローバル物理シミュレーションが、当該グローバル物理シミュレーションの一部を構成しながらも、単独かつ当該グローバル物理シミュレーションから独立して計算可能な物理シミュレーションである、少なくとも1つのローカル部分(以下、ローカルシミュレーションと呼ぶ)を含むことを意味する。グローバルシミュレーションは、各ローカル部分が個別の物理分野の物理シミュレーションである、マルチ物理シミュレーションであり得ることが理解される。いずれのローカルシミュレーションもまたマルチ物理シミュレーションであり得ることが理解される。なお、グローバルシミュレーションの計算は、ローカルシミュレーションの計算およびさらなる計算を含む。さらなる計算は、ローカルシミュレーションの計算に依存しており、ローカルシミュレーションの計算は、グローバルシミュレーションの計算を実施するのに十分ではない。
物理システムまたはマルチ物理システムは、その挙動(例えば、時間的な)が少なくとも1つの物理学分野(物理学分野の上記例のうち1つといった)の少なくとも1つの物理モデルによってシミュレーションが可能な任意の実際のシステムまたは物理的実体である。実際のシステムまたは物理的実体は、実際のオブジェクト、電子製品、電気製品、機械製品、化学製品、電気機械製品、流体系または電磁気製品であり得る。物理モデルは、電子的モデル、電気モデル、機械モデル、統計モデル、粒子モデル、液圧モデル、量子モデル(quantic model)、地質モデル、天文モデル、化学モデル、電磁気モデルまたは流体モデルであり得る。物理モデルは、1つまたはそれ以上の微分方程式および/または偏微分方程式および/または代数方程式といった、1つまたはそれ以上の方程式の系であり得る。マルチ物理システムは、それ自体が物理システムまたはマルチ物理システムであって、例えば、物理法則によって与えられる物理関係または論理関係によって互いに接続された、サブシステムを一般に有する。したがって、マルチ物理システムは、機械的関係(例えば、力や動きを伝達するための連結に相当する)、電気的関係(例えば、例えば回路における電気的接続に相当する)、液圧的関係(例えば、フラックスを送達する導管に相当する)、論理関係(例えば、情報のフローに相当する)、流体関係(例えば、流体の流れに相当する)、化学的関係および/または電磁気的関係といった、物理関係または論理関係によって互いに関連付けられたサブシステムを有する任意の実際のシステムまたは任意の物理的実体を表現するモデルである。このシステムは、「マルチ物理」と呼ばれる。なぜなら、マルチ物理システムの物理関係または論理関係は、いくつかの物理学分野に属する可能性があるからである(ただし、必ずしもそうとは限らない)。
物理システムまたはマルチ物理システムは、(例えば、機械)部品または部品のアセンブリ、より一般的には、任意の剛体アセンブリ(例えば、可動機構)、剛体機構といった、仮想設計完了後に実際に製造される予定の産業製品に対応し得る。CADソフトウェアソリューションおよび/またはCAEソフトウェアソリューションにより、航空宇宙、建築、建設、消費財、ハイテク装置、産業機器、交通、船舶、および/または海上輸送を含む、種々の限定されない産業分野において製品を設計することが可能となる。したがって、物理システムまたはマルチ物理システムは、陸上車両(例えば、自動車・軽トラック機器、レーシングカー、オートバイ、トラック・モータ機器、トラックおよびバス、列車を含む)の一部(または全体)、航空車両(例えば、機体機器、航空宇宙機器、推進機器、防衛機器、飛行機機器、宇宙機器を含む)の一部(または全体)、海上車両(例えば、海軍装備、商船、海上機器、ヨットおよび労務用ボート、船舶機器を含む)の一部(または全体)、機械部品(例えば、産業製造機械、重量型の可動機械または装置、設置済み装備、工業機器製品、組立機械製品、タイヤ製造製品を含む)、電気機械部品または電子部品(例えば、家電製品、セキュリティ製品および/または制御製品および/または計装製品、計算・通信機器、半導体、医療用の装置および設備を含む)、消費財(例えば、家具、家庭・ガーデン製品、レジャー用品、ファッション製品、ハードグッズ小売製品、ソフトグッズ小売製品を含む)、包装(例えば、飲食品およびタバコ、美容およびパーソナルケア、家庭用品包装を含む)であり得る産業製品を表現する。グローバル物理シミュレーションは、設計が既になされた、実際に製造される予定の少なくとも1つの産業製品の挙動のシミュレーションであり得る。このシミュレーションは、上記少なくとも1つの産業製品の設計に続いて、少なくとも1つの挙動(例えば、時間的な進化)をシミュレーションすることができる。上記方法の後に、上記少なくとも1つの産業製品の上記方法によるシミュレーションに続いて、当該産業製品が実際に製造されてもよい。
少なくとも1つの物理モデルによってモデル化された物理システムまたはマルチ物理システムのシミュレーションは、当該システムの時間的な物理的挙動(例えば、時間的な進化)の近似値を当該少なくとも1つの物理モデルを計算することによって計算し、かつ/またはその結果を記憶し、かつ/またはその結果を表示することを概して含む。上記少なくとも1つの物理モデルを計算する前に、少なくとも1つのグリッド(またはメッシュ)および/または少なくとも1つの時間ステップおよび/または少なくとも1つのシミュレーションパラメータの提供を行なってもよい。係る提供は、ユーザアクションが行われた時点で行ってもよい。上記計算は、概して(しかし常にではない)、上記少なくとも1つの物理モデルの上記1つまたはそれ以上の方程式を少なくとも1つのグリッドおよび/または上記少なくとも1つの時間ステップに応じて離散化することを含む。この離散化は、任意の公知の数値的方法を用いて行われてもよい。
物理シミュレーションは、グローバルであれローカルであれ、シミュレーション状態(簡略のため、以下においては「状態」ともいう)を含む。状態は、上記シミュレーションによって挙動(例えば、時間的な)がシミュレーションされる物理システムの所与の時間における物理状態の表現である。例えば、物理状態は、所与の時間における任意の物理的量であり得る。物理量(物理的量とも称する)とは、測定によって定量化が可能な、現象、物体または物質の物理的特性である。物理的量は、限定されるものではないが、長さ、質量、時間、電流、温度、物質量、光度、アブスメント(absement)、吸収線量率、加速度、角加速度、角運動量、角速度(angular speed)(または、角速度(angular velocity))、面積、面積密度、静電容量、触媒活性、触媒活性濃度、化学ポテンシャル、ひび割れ(crackle)、電流密度、線量当量、動粘性係数、電荷、電荷密度、電気変位、電場強度、電気コンダクタンス、電気伝導率、電位、電気抵抗、電気抵抗率、エネルギー、エネルギー密度、エントロピー、力、周波数、燃料効率、半減期、熱、熱容量、熱流密度、照度、インピーダンス、インパルス、インダクタンス、放射度、強度、加加速度、上下動(または、折れ(snap))、動粘度、線密度、光束(または、発光パワー)、マッハ数(または、マッハ)、磁場強度、磁束、磁束密度、磁化、質量分率、(質量)密度(または、体積密度)、平均寿命、モル濃度、モルエネルギー、モルエントロピー、モル熱容量、慣性モーメント、運動量、透過度、誘電率、平面角、動力、圧力、ポップ、(放射性)活性、(放射性)線量、放射輝度、放射強度、反応速度、屈折率、磁気抵抗、立体角、速度(speed)、比エネルギー、比熱容量、比容積、スピン、ひずみ、応力、表面張力、温度勾配、熱伝導率、トルク、速度(velocity)、体積、流量、波長、波数、波数ベクトル、重量、仕事量、ヤング率であり得る。状態は、物理的量のベクトルでもあり得る。物理シミュレーションは、典型的には、初期時間および最終時間、ならびに初期時間と最終時間との間に含まれる少なくとも1つの時間ステップを含む。初期時間および最終時間を含む各時間ステップについて1つの状態が存在する。
物理シミュレーションを計算するとは、全てのシミュレーション結果が計算されることを意味し、ここで、1つのシミュレーション結果は1つの状態を表す情報を含むデータである。したがって、シミュレーションを計算するとは、全ての時間における全ての状態を表す情報が実質的に全て計算されることを意味する。本発明のシミュレーションは、異なる時間ステップにおけるシミュレーション結果をエクスポートし、かつ/または表示することが可能な任意の公知の数値的方法および/または任意の既存のコンピュータプログラムを用いて計算され得る。
上記方法は、ローカルシミュレーションのセットを提供するステップS10を含む。
ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションは、計算済みである。一例において、提供ステップS10は、計算済みローカルシミュレーションのセットをロードし、かつ/またはこれにアクセスする(例えば、データベースにおいて)ことを含む。したがって、提供ステップS10は、上記方法を実施するシステムがローカルシミュレーションのセットのデータを利用できるようにすることを意味し、例えば、当該データは、システムのメモリ(例えば、揮発性メモリ)にロードされるか、あるいはシステムによってメモリ(例えば、不揮発性メモリ)から検索することができる。一例において、提供ステップS10の前に、上記セットの各ローカルシミュレーションを計算するステップおよび計算の結果をデータベースに記憶するステップが行われてもよい。いずれの場合においても、提供ステップS10において、上記セットの全てのローカルシミュレーションは計算済みであり、これは、全てのローカルシミュレーションの全てのシミュレーション結果が利用可能であり、例えば、ローカルシミュレーションの実行および/または表示を行い、かつ/またはそれらの個別の縮小モデルを計算するために使用することができることを意味する。ローカルシミュレーションのセットは、少なくとも1つのローカルシミュレーションを含む。
各ローカルシミュレーションは、グローバル物理シミュレーションの一部であって単独かつグローバル物理シミュレーションから独立して計算可能な物理シミュレーションである。既述したように、ローカルシミュレーションは、グローバルシミュレーションの計算を実施するのに十分ではない。同じく既述したように、グローバル物理シミュレーションの計算は、ローカルシミュレーションの計算を必要とする。
グローバル物理シミュレーションの計算が、ローカルシミュレーションの計算ステップの際に取得された結果から導出された結果および/またはデータの使用を必要とする場合、ローカルシミュレーションは、グローバル物理シミュレーションの一部である。ローカルシミュレーションの計算が、グローバル物理シミュレーションの計算ステップの際に取得されたデータから導出された結果および/または結果の使用を必要としない場合、ローカルシミュレーションは、単独でかつグローバル物理シミュレーションから独立して計算することが可能である。換言すれば、各ローカルシミュレーションは、グローバル物理シミュレーションの独立したサブシミュレーション(またはローカル部分)を表す。一例において、ローカルシミュレーションがグローバル物理シミュレーションのモデル化にも使用される少なくとも1つの物理モデルによってモデル化される場合、ローカルシミュレーションは、グローバル物理シミュレーションの一部である。これらの一例において、「単独で・・・から独立して計算される」とは、グローバル物理シミュレーションのモデル化に介在する他の物理モデルを解き、かつ/または離散化し、かつ/または近似することなく、上記少なくとも1つの物理モデルを解き、かつおよび/または離散化し、かつ/または近似し、かつ/または計算することが可能であることを意味する。換言すれば、上記少なくとも1つの物理モデルは、自己無撞着的かつ/または自己充足的にローカルシミュレーションを実行し、かつ/または計算する。これらの一例において、グローバル物理シミュレーションのモデル化に介在し、上記少なくとも1つの物理モデルを解き、かつ/または離散化し、かつ/または近似化した結果から導出された結果および/またはデータを入力および/またはパラメータとして取る少なくとも1つの他の物理モデルが存在し得る。
ローカルシミュレーションおよびグローバルシミュレーションの定義を説明するため、非限定的な例を以下に示す。この例は、少なくとも1つの航空機エンジンが取り付けられた航空機翼のシミュレーション例である。グローバル物理シミュレーションは、上記翼および少なくとも1つのエンジンによって形成されたアセンブリの所与の飛行条件における挙動全体である。各ローカルシミュレーションは、所与の飛行条件における1つのエンジンだけの挙動をシミュレーションする。上記翼および少なくとも1つのエンジンによって形成されたアセンブリの挙動全体のシミュレーションを計算するには、翼に取り付けられた各エンジンの挙動のシミュレーションを計算する必要がある。しかし、1つのエンジンの1つの挙動の1つのシミュレーションの計算は、アセンブリ全体をシミュレーションすることなく行うことが可能である。
上記方法は、ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、ローカルシミュレーションの個別の縮小モデルを計算するステップ(S30)を含む。
計算されたシミュレーションの縮小モデルは、次数低減モデル化(Reduced Order Modeling)技術を用いることによって、シミュレーションから計算されたモデルである。次数低減モデル化(ROM)は、数学モデルの次元数および計算複雑性を低減する技術である。ROM(以下、縮小モデル)は、高忠実度シミュレーション(例えば、計算された完全シミュレーション)から構築されたものであり、より低次の計算用のシミュレーションを生成するために、後に使用することができる。ROM法の1つの例は、ガラーキン投影であり(例えば、Rowley, Clarence W., Tim Colonius, and Richard M. Murray. "Model reduction for compressible flows using POD and Galerkin projection." Physica D: Nonlinear Phenomena 189.1-2 (2004): 115-129. and Barone, Matthew F., et al. "Reduced order modeling of fluid/structure interaction." Sandia National Laboratories Report, SAND No 7189 (2009): 44-72.を参照)、これは、流体力学に特に一般的に用いられている。ガラーキン投影法は、固有直交分解(POD)を用いてフローシミュレーションの次元数を低減し、次いで、この低減された空間でダイナミクスを見つける。基底次元低減法(reduced basis methods)や平衡化打ち切り法(balanced truncation)といった、これに基づく他の方法も存在する(例えばVeroy, K., and A. T. Patera. "Certified real‐time solution of the parametrized steady incompressible Navier-Stokes equations: rigorous reduced‐basis a posteriori error bounds." International Journal for Numerical Methods in Fluids 47.8‐9 (2005): 773-788. And Rowley, Clarence W. "Model reduction for fluids, using balanced proper orthogonal decomposition." Modeling And Computations In Dynamical Systems: In Commemoration of the 100th Anniversary of the Birth of John von Neumann. 2006. 301-317)。一般に、ROMは、計算された完全シミュレーションの状態から、PODまたは特異値分解(SVD)といった技術を用いて、シミュレーションの主要成分を表す基底を計算する。SVDは、行列を特異ベクトルおよび特異値に因数分解する方法を提供するものである。SVDは、いくつかの同じ種類の情報を固有分解(eigen decomposition)として見つけ出すことを可能にし、例えば、機械システムの主要部品を表すことができる。“Model Order Reduction”, Francisco Chinesta, Antonio Huerta, Gianluigi Rozza and Karen Willcox, Encyclopedia of Computational Mechanics, edited by Erwin Stein, Rene de Borst and Thomas J.R. Hughes, 2004もまた公知である。上記方法による縮小モデルの計算ステップは、上記文献に記載されるもののような任意のROM技術を使用する。本発明のシミュレーションの縮小モデルは、シミュレーションの代理モデルと呼ばれる場合もある。
各計算済みローカルシミュレーションの各個別に計算された縮小モデルは、要素を有する基底(basis)を含む。以下、基底のこれらの要素は基底要素(basis elements)と呼ばれる場合がある。基底要素は、計算済みローカル・シミュレーション・データから計算された因数分解の成分である。基底要素は、状態モードとも呼ばれる場合がある。一例において、基底要素は、ローカルシミュレーションによってシミュレーションされた物理システムのエネルギーモードである。ローカルシミュレーションの各状態は、有限数の状態モードの一次結合によって任意の時間において生成することができる。この一次結合は、上記状態を近似したものであり、縮小状態と呼ばれる場合がある。
上記基底は、
として表すことができ、式中、
は基底要素である。任意の状態state(t)は、これらの基底要素の一次結合であるその縮小状態PState(t)によって、時間tにおいて以下のように近似することができる。
(式(1))
ここで、wは、縮小状態PState(t)を計算するために用いた各基底要素の寄与の重みである。基底Bは、経時的に一定とされ、重みのみが時間的に進化し得る。時間的な重みを更新することにより、シミュレーション結果が時間的に前進する。シミュレーションの縮小モデルの計算は、シミュレーションの初期時間と最終時間との間に含まれる時間ステップである全ての時間tにおいて、基底Bの全ての要素および全ての重みを計算することを含む。したがって、ひとたび縮小モデルが計算されると、式(1)を用いることにより、任意の時間ステップtにおける計算されたシミュレーションの任意の状態state(t)を表す任意の縮小状態PState(t)が利用可能となる。
図14は、縮小モデルの計算ステップの一例を示す図である。計算ステップは、完全シミュレーションの全ての時間ステップにおける計算された完全シミュレーションの状態1400を入力として取る。計算ステップは、計算された完全シミュレーションの状態1400の全てに基づく、基底の計算1402を含む。図14の一例において、計算された基底は、計算された完全シミュレーションのスナップショット1404の基底である。換言すれば、本一例において、基底要素は、計算された完全シミュレーションのスナップショットである。スナップショットの3つのスクリーンショット1408、1410および1412を図15に示す。
上記方法は、少なくとも1つのグローバルシミュレーションのセットの各々を計算するステップS2を含む。各グローバルシミュレーションは、グローバル物理シミュレーションのインスタンスである。これは、各グローバルシミュレーションがグローバル物理シミュレーションと同じ物理特性をシミュレーションすることに関係しているが、各グローバルシミュレーション間に少なくとも1つの差があることを意味する。換言すれば、各グローバルシミュレーションは、グローバル物理シミュレーションの異なる例を表す。一例において、各グローバルシミュレーション間で少なくとも1つの変化(例えば、若干の、または著しい変化)が存在し、これは、メッシュ離散化ステップ、時間ステップ、シミュレーションドメインの大きさ、境界条件または物理的パラメータといった少なくとも1つのシミュレーションパラメータの変化であり得る。一例において、上記グローバル物理シミュレーションの全てのインスタンスは、同じ物理モデルによって実質的にモデル化される。一般に、「シミュレーションのインスタンス」という表現は、シミュレーションの具体的な発生を意味し、したがって、上記方法を実施するシステムは、上記シミュレーションの一例を有する。
「各グローバルシミュレーションがグローバル物理シミュレーションのインスタンスである」の意味を示す非限定的な例は、少なくとも1つの航空機エンジンが取り付けられた航空機翼のシミュレーションのシミュレーションインスタンスを計算する例である。このグローバル物理シミュレーションは、少なくとも1つの航空機エンジンが取り付けられた航空機翼の物理特性を飛行条件においてシミュレーションすることに関係している。各グローバルシミュレーションは、同じ物理特性をシミュレーションすることに関係しているが、例えば、翼形状(またはプロファイル)がグローバルシミュレーションとは異なっている。
各グローバルシミュレーションを計算するステップS2は、少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について個別に計算された縮小モデルを再使用するステップS220を含む。
グローバルシミュレーションの計算ステップS2の際に、ローカルシミュレーションの計算された縮小モデルを再使用するステップS220は、計算において、ローカルシミュレーションの計算された縮小モデルの1つまたはそれ以上の縮小状態および/またはローカルシミュレーションの計算された縮小モデルの1つまたはそれ以上の縮小状態から導出されたデータを使用することを含む。一例において、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションのシミュレーション状態および/またはこれらのシミュレーション状態から導出されたデータは、通常、入力および/またはパラメータおよび/または上記グローバル物理シミュレーション(ひいては各グローバルシミュレーション)のモデル化に介在する1つまたはそれ以上の物理モデルの例えば異なる時間ステップにおける境界条件を形成する。これらの一例において、少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について個別に計算された縮小モデルを再使用する(S220)とは、上記1つまたはそれ以上の物理モデルの入力および/またはパラメータを形成する際に、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの縮小状態および/またはこれらの縮小状態から導出されたデータが、上記シミュレーション状態および/またはこれらのシミュレーション状態から導出されたデータに取って代わることを意味する。一例において、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションは、同じローカルシミュレーションの多数個の事例(exemplars)を含む。
なお、ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションはグローバル物理シミュレーションの一部であるが、各グローバルシミュレーションの計算ステップS2は、全てのローカルシミュレーションの全て個別に計算された縮小モデルを再使用することを必ずしも含まない。換言すれば、各グローバルシミュレーションの計算ステップS2の際、対応するローカルシミュレーションの個別の縮小モデルによって置換されることなく計算される、グローバル物理シミュレーションの独立したローカル部分が存在し得る。しかし、個別の縮小モデルによって置換される少なくとも1つの独立したローカル部分(例えば、ユーザアクションが行われた時点で選択され得る、少なくとも1つのローカル・シミュレーション・インスタンスに対応する)が存在する。
一例において、各ローカルシミュレーションは、個別のローカルドメインに関連付けられており、各グローバルシミュレーションは、個別のグローバルドメインに関連付けられている。これらの一例において、上記方法は、各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルを計算するステップS30の前に、上記ローカルシミュレーションの個別の関心ゾーンを選択するステップS20をさらに含む。個別の関心ゾーンは、個別のローカルドメインの空でないサブドメインである。各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルを計算するステップS30において、各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルは、上記個別の関心ゾーンの境界において計算される。各グローバルシミュレーションの計算ステップS2において、上記方法は、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について個別の関心ゾーンをグローバルシミュレーションの個別のグローバルドメインに配置するステップS210をさらに含む。グローバルドメインの残りの部分のみが計算される。上記残りの部分は、関心ゾーンによって占有されていないローカルドメインの部分である。グローバルドメインは、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について個別の関心ゾーンによってそれぞれ占有されている領域を含む。
シミュレーションドメインは、典型的には、メッシュ化または離散化される。シミュレーションドメインは、シミュレーションの環境におけるシミュレーションについての関心ゾーンである。いくつかの物理シミュレーション(例えば、大規模物理シミュレーション)の場合、シミュレーションドメインのメッシュには注意を要する場合があり、マルチスケールによる問題が生じ、解決される場合がある。マルチスケールによる問題とは、典型的には、シミュレーションドメインのローカル部分をシミュレーションドメインの他の部分とは異なるスケールで、例えば、異なる空間離散化を用いて、メッシュ化する必要がある場合を指す。典型的には、グローバル物理シミュレーション(ひいては各グローバルシミュレーション)は、各個別のグローバルドメインのある特定のメッシュを必要とする場合があり、ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションが各個別のローカルドメインの(例えば、それぞれに)異なるメッシュを必要とする場合がある。その場合、これらの異なるメッシュに応じて、グローバル物理シミュレーションを計算し、かつ/または物理モデル化を適合させなければならない。その結果、グローバル物理シミュレーションのインスタンス化は、計算時間および/または計算資産の点で高コストとなり得る。各グローバルドメインの個別の関心ゾーンによって占有されている部分は計算されないため、本発明は、これらの問題を回避する。これらの関心ゾーンの境界における計算された個別の縮小モデルは、再使用され、したがって、個別のグローバルドメインの残りの部分のメッシュ化のみが各グローバルシミュレーションを計算するステップS2に含まれる。したがって、本発明は、マルチスケールによる問題を回避するかあるいは著しく低減するものである。
本発明において、ドメイン(それぞれ、サブドメイン)は、その数学的な意味でのドメイン(それぞれ、サブドメイン)である。ドメイン(それぞれ、サブドメイン)の境界もまた、その数学的な意味で理解される。本発明のドメインは、二次元ドメインまたは三次元ドメインであり得る。ローカルドメインおよびグローバルドメインは、シミュレーションドメインである。シミュレーションドメインは、シミュレーションが関係している物理現象が発生する実際の物理領域をモデル化するドメインである。シミュレーションがドメインに関連付けられているとは、当該ドメインがそのシミュレーションのシミュレーションドメインであるということを意味する。一例において、各個別のローカルドメインおよび各個別のグローバルドメインがそれぞれメッシュ化される。このメッシュ化は、ユーザアクションが行われた時点、例えば、上記方法の初期段階で行われてもよい。一例において、全てのグローバルドメインは同一である。一例において、全てのグローバルドメインは、同じ実際の物理領域をモデル化する。一例において、各個別のローカルドメインは、各グローバルドメインの個別のサブドメイン(すなわち、各グローバルドメインに共通の)にそれぞれ対応している(例えば、同等である、同一である)。これらの一例において、各個別のローカルドメインは、各グローバルドメインによってモデル化された実際の物理領域の個別のサブ領域である、各グローバルドメインに共通の上記個別のサブドメインと同じ実際の物理領域をモデル化し得る。
グローバルドメインおよびローカルドメインの定義ステップの非限定的な例について以下に述べる。本例は、飛行機翼に取り付けられた少なくとも1つの航空機エンジンの上述の例に関連している。各グローバルドメインは、飛行条件において上記翼の周囲の空気をモデル化する3次元ボリュームである。各ローカルドメインは、1つの航空機エンジンの部分(例えば、全体)および当該航空機エンジンの周囲の空気、そして場合によっては当該エンジンを上記翼に取り付けている機械的リンクを包含する3次元ボリュームである。
ローカルシミュレーションの個別の関心ゾーン(関心領域とも呼ばれる)の選択ステップS20は、自動的に実施されてもよい。この場合、当該選択ステップS20は、以下の基準のうち1つまたは2つを満たすように行われてもよい。
-「個別のローカルドメインにおけるスカラー値の変化(variations)」:この場合、全てのシミュレーション結果および計算されたローカルシミュレーションの状態が分かっているため、上記方法は、これらの結果および状態に基づいて、エネルギーおよび/またはエネルギーの交換の変化といった、個別のローカルドメインにおけるローカルシミュレーションに関連する1つまたはそれ以上のスカラー値の変化を計算し、かつおよび/または識別し得る。この場合、上記方法は、これらの変化に応じて、例えば、その中の全ての変化(またはその所定の大部分)が所定の閾値よりも大きくかつ/または所定の最大値よりも小さい、より小さいボックスを関心ゾーンとして選択することにより、関心ゾーンを自動的に選択し得る。上記1つまたはそれ以上のスカラー値の変化は、エネルギーまたはエネルギー交換の変化を計算する際に、状態モード、例えば、エネルギーモードから計算され得る。係る基準により、個別のローカルドメインの所与の物理現象(例えば、エネルギー交換)の根幹部が発生する部分が上記個別の関心ゾーンとして選択される。所定の閾値および/または所定の最大値は、ユーザアクションが行われた時点、例えば、上記方法の初期段階で選択され得る。
-「立体を囲むより小さいボックス」:この場合、ローカルシミュレーションは、物理的オブジェクトまたは製品といった立体が関与する物理現象をシミュレーションする。個別のローカルドメインは、典型的には、立体の表現(例えば、幾何学的な)を包含し、また、上記方法は、当該表現を包含するより小さいボックスを個別の関心ゾーンとして自動的に選択する(S20)。
ローカルシミュレーションの個別の関心ゾーンの選択ステップS20は、典型的には、上記基準の任意の妥当な組み合わせを満たすように実施され得る。上記方法は、個別の関心ゾーンを、例えば、ローカルドメインに含まれる立体および当該立体を囲むスカラー(例えば、エネルギーといった物理的量)の大部分の変化の両方を後者が包含するように選択し得る。加えて、上記方法は、選択された個別の関心ゾーンが空になることおよび/または大きくなり過ぎること(例えば、個別のローカルドメインよりも大きくなることおよび/または個別のグローバルドメインのいずれよりも大きくなること)を自動的に防止し得る。
一例において、ローカルシミュレーションの個別の関心ゾーンの選択ステップS20は、ユーザアクションが行われた時点で実施されてもよい。これらの一例において、ユーザが空のサブドメインおよび/または大きすぎるサブドメインを選択することが自動的に禁止されてもよい。一例において、各ローカルシミュレーションは、ユーザに対して、例えば、GUIに表示されてもよく、ユーザは、表示された各ローカルシミュレーションの各関心ゾーンを選択するためにGUIと(例えば、触れることで、または触覚装置を用いて)対話することにより、選択ステップS20を実施する。
以下に、ユーザアクションが行われた時点での個別の関心ゾーンの選択ステップS20の例について、図9および図10を参照して説明する。ユーザは、ローカルシミュレーション92をロードする(S10)。ローカルシミュレーション92は、その個別のローカルドメイン94をGUIのウィンドウ90に有する状態で表示される。図9および図10はスクリーンショットであるが、ウィンドウ90内に表示された、例えば、時間的に前進するローカルシミュレーションの動画であってもよいことが理解される。触覚装置を用いるかあるいは触れることにより、ユーザは、個別のローカルドメイン94内で選択したいと望む個別の関心ゾーン96を形成する。ポリライン100は、個別の関心ゾーン96の境界を表す。ユーザは、個別の関心ゾーン96をその境界、ここでは、ポリライン100を形成することによって形成することができる。
一例において、各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルは、個別の関心ゾーンの境界において計算される(S30)。個別の関心ゾーンの境界における個別の縮小モデルの計算ステップS30は、個別の関心ゾーンの境界上で、または実質的に境界上で、対応するローカルシミュレーションの縮小状態を計算することを含む。例えば、対応するローカルシミュレーションの全ての縮小状態が計算され得るが、個別の関心ゾーンの境界上にまたは実質的に境界上にあるものだけは維持され得る。個別の関心ゾーンの内部における縮小状態は、維持されないケースに含まれる。個別の関心ゾーンによって占有されている領域と個別のグローバルドメインの残りの部分との間の境界面において対応するグローバルシミュレーションを計算する(S2)には、個別のグローバルドメインの領域を占有する個別の関心ゾーンの境界において縮小状態を計算すればよい。これにより、上記の占有されている領域を再計算することなく、残りの部分をシミュレーションし、かつ/または計算することが可能となる。一例において、実際、上記の占有されている領域とグローバルドメインの残りの部分との間の通信および/またはインターフェイスおよび/または交換をモデル化し、かつ/またはシミュレーションし、かつ/または近似し、かつ/または計算するには、計算ステップにおいて占有領域の境界で縮小状態を計算すればよい。
各グローバルシミュレーションの計算ステップ(S2)において、個別の関心ゾーンを個別のグローバルドメインに配置するステップS210は、個別のグローバルドメインの領域を個別の関心ゾーンによって置換することを含む。この配置ステップS210は、ユーザアクションが行われた時点で実施され得る。一例において、個別の関心ゾーンは、例えば、GUIに表示され、ユーザは、個別の関心ゾーンを、同じく付近に表示されたグローバルドメインに移動させる(または、変位させる)。個別の関心ゾーンの移動は、例えば、触れることで、あるいは触覚装置を用いて、GUIとインターフェイスすることによって実施され得る。例えば、ユーザは、当該技術分野で公知であるようなドラッグ&ドロップ操作を行う。個別の関心ゾーンが個別のグローバルドメインに移動した時点で、上記方法は、個別の関心ゾーンが移動した個別のグローバルドメインの領域を個別の関心ゾーンによって自動的に置換してもよい。個別の関心ゾーンの配置ステップS210の際にいくつかの個別の関心ゾーンが配置される場合、上記方法は、関心ゾーンが重なり合うことを自動的に防止してもよい。一例において、ユーザは、個別の関心ゾーンがグローバルドメインにおいて配置される場所を、例えば、キーボードを用いることによって入力する。
以下に、個別の関心ゾーンを配置するステップS210の例について、図11を参照して述べる。本一例において、ウィンドウ110は、ユーザに対して、例えばGUIに表示される。ウィンドウ110内の枠112は、3つのローカルシミュレーションの3つの事前に選択された個別の関心ゾーン114を含む。個別の関心ゾーンのうち1つは、図10の個別の関心ゾーン96であり得る。図11はスクリーンショットであるが、ウィンドウ110内に表示された、例えば、各ローカルシミュレーションの時間的に前進する各個別の関心ゾーンの動画であってもよいことが理解される。ユーザは、配置したい各個別の関心ゾーンを、ウィンドウ110内に表示された、グローバルシミュレーション116の個別のグローバルドメイン118に移動させ、それにより、個別の関心ゾーンを所望の場所に配置する。1つの個別の関心ゾーンを複数回移動させてもよい。個別の関心ゾーンによって占有されていないグローバルドメイン118の部分である残りの部分が、個別のグローバルドメイン118のうち、グローバルシミュレーションの計算ステップS2において計算される唯一の部分である。
「各個別のグローバルドメインの残りの部分のみが計算される」とは、残りの部分における、シミュレーション状態および/または個別のグローバルシミュレーションの結果のみが計算されることを意味する。
一例において、上記方法は、少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について個別の関心ゾーンの計算ステップS210において、個別の関心ゾーンの境界を個別の関心ゾーンによって占有されている個別のグローバルドメインの領域の境界とインターフェイスするステップを含む。
一例において、このインターフェイスステップは、個別のグローバルドメインに関連付けられたグローバルシミュレーションの計算ステップS2に関係する少なくとも1つのアルゴリズムおよび/または数値的方法の修正または一連の修正を含み得る。インターフェイスステップは、個別の関心ゾーンおよび個別の関心ゾーンの境界において計算された個別に計算された縮小モデルを上記少なくとも1つのアルゴリズムおよび/または数値的方法に導入し、それにより、グローバルシミュレーションの計算を個別の縮小モデルを再使用することによって行うことを可能にする。上記修正または一連の修正は、例えば、ユーザが個別の関心ゾーンを個別のグローバルドメインにドラッグした時点で自動的に実施され得る。また、上記修正または一連の修正は、例えばキーボードおよび/または触覚装置とインターフェイスすることによって、ユーザアクションが行われた時点でも行われ得る。
以下に、上記インターフェイスステップの実施形態について、図16を参照して述べる。
図16は、グローバルシミュレーションのグローバルドメインΩおよび少なくとも1つのローカルシミュレーションのローカルドメインΩmを示す。本実施形態において、グローバルドメインΩおよびローカルドメインΩmは、それぞれ(例えば、各様に)離散化される。図16は、白いエリアによって示される、ローカルドメインΩmの個別の関心ゾーン1600を示す。本実施形態において、ローカルドメインΩmは、関心ゾーン1600によって占有されていないローカルドメインΩmの領域である、リカバリーエリア1602を含む。
本実施形態において、インターフェイスステップは、関心ゾーン1600とのΩの離散化の対応点に基づいている。対応点は、関心ゾーン1600の境界に位置するかあるいは実質的に位置する点である。対応点は、図16上で黒丸の点として示されている。これは、単に簡潔化のための例示であって、対応点は、必ずしも黒丸の点に限らない。本実施形態において、ローカルシミュレーションの縮小状態は、対応点上または実質的に対応点上で、かつリカバリーエリア1602上または実質的にリカバリーエリア1602上で計算される。この場合、インターフェイスステップは、対応点上または実質的に対応点上で計算された縮小状態とリカバリーエリア1602上あるいは実質的にリカバリーエリア1602上で計算された縮小状態との間のコヒーレンスを検証することを含む。コヒーレンスの検証は、対応点上または実質的に対応点上で計算された縮小状態の物理的量(エネルギーや変位といった)およびリカバリーエリア1602上または実質的にリカバリーエリア1602上で計算された縮小状態の物理的量が均一であるか否かを判定することを含んでいてもよい。物理的量が均一であると判定された場合、インターフェイスステップは、上述のように、関心ゾーン1600および対応点上で計算された縮小モデルを上記少なくとも1つのアルゴリズムおよび/または数値的方法に導入してもよい。
別の実施形態では、リカバリーエリア1602を使用しない。これら別の実施形態において、インターフェイスステップは、コヒーレンスを検証することを含まない。これら別の実施形態において、インターフェイスステップは、上述のように、関心ゾーン1600および対応点で計算された縮小モデルを上記少なくとも1つのアルゴリズムおよび/または数値的方法に直接導入してもよい。
一例において、各ローカルシミュレーションの各ローカルドメインは、個別の物理的オブジェクトを含む。ローカルシミュレーションは、個別の物理的オブジェクトに関連付けられた個別の物理的挙動をシミュレーションする。これらの一例において、各グローバルシミュレーションは、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々について全ての個別の物理的オブジェクトに関連付けられた共通の物理的挙動の個別のシナリオをシミュレーションする。この共通の物理的挙動は、全てのグローバルシミュレーションに共通である。
本発明の意味において、物理的オブジェクトは、製品もしくは製品のアセンブリまたは実際の物理的実体である。オブジェクトに関連付けられた物理的挙動は、オブジェクトそれ自体の挙動、オブジェクトの周囲の環境(例えば、実際の環境)におけるオブジェクトの挙動または当該環境との相互作用におけるオブジェクトの挙動であり得る。いくつかのオブジェクトに関連付けられた共通の物理的挙動は、当該いくつかのオブジェクトの一斉の、例えば、同じ環境(例えば、実際の環境)における挙動である。これには、オブジェクト間の相互作用および/またはオブジェクトと環境との相互作用が含まれ得る。本発明の意味において、共通の物理的挙動は、全てのグローバルシミュレーションに共通であり、これは、全てのグローバルシミュレーションが1つの共通の物理的挙動をシミュレーションすることに関係しているということを意味する。実際、各グローバルシミュレーションは、共通の物理的挙動の個別のシナリオをシミュレーションする。これは、2つのシナリオが、これらのシナリオが共通の物理的挙動を表す場合であっても、グローバル物理シミュレーションに関係する少なくとも1つの物理的パラメータまたは物理的実体が一方のシナリオと他方のシナリオとで異なる(例えば、わずかに、あるいは著しく)という点で異なっていることを意味する。
以下に、グローバル物理シミュレーション、物理的オブジェクト、物理的挙動およびシナリオの非限定的な例の一覧を含む表を示す。上記方法は、以下の表に示すグローバル物理シミュレーションの例のうち1つまたはそれ以上のインスタンス化を意図したものであり得る。
表1:グローバル物理シミュレーションの例
一例において、各グローバルシミュレーションについて、グローバルシミュレーションの個別のグローバルドメインは、共通の物理的オブジェクトの個別のバリエーションを含む。この共通の物理的オブジェクトは、全てのグローバルシミュレーションに共通である。これらの一例において、少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々の全ての個別の物理的オブジェクトに関連付けられた共通の物理的挙動は、当該少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々の全ての個別の物理的オブジェクトに対する、共通の物理的オブジェクトの物理的挙動である。
物理的オブジェクトのバリエーションとは、2つのバリエーションが同じ物理的オブジェクトを表現しているが、それらの表現間に1つまたはそれ以上の差(例えば、わずかな差または著しい差)が存在することを意味する。差は、大きさ、形状、プロファイル、材料組成、化学組成または機械特性、化学特性、電磁気特性、電気特性、液圧特性、工学特性および/または設計特性といった物理的特性の差であり得る。共通の物理的オブジェクトは、全てのグローバルシミュレーションが、ある(例えば、実際の)環境における共通のオブジェクトの物理的挙動、具体的には、共通の物理的挙動に関係しているという点で、全てのグローバルシミュレーションに共通である。上記共通の挙動は、全ての個別の物理的オブジェクトに対する、共通の物理的オブジェクトの以下のような物理的挙動である。すなわち、全ての係るオブジェクト間および/またはそれらの環境、全ての係るオブジェクトのアセンブリ(例えば、機械アセンブリ)の相互作用、そして場合によっては、アセンブリとその環境との相互作用、全ての係るオブジェクトのそれらの環境との相互作用における一斉移動などである。
以下に、グローバル物理シミュレーション、物理的オブジェクト、物理的挙動、バリエーションおよびシナリオの非限定的な例の一覧を含む表を示す。上記方法は、以下の表に示されるグローバル物理シミュレーションの例のうち1つまたはそれ以上のインスタンス化を意図したものであり得る。
表2:グローバル物理シミュレーションのその他の例
一例において、ローカルシミュレーションのセットは、厳密に1つのローカルシミュレーションを構成する。
一例において、上記少なくとも1つのグローバルシミュレーションのセットは、少なくとも2つのグローバルシミュレーションを含む。
図7および図8を参照し、図7に示されるように先行技術の方法に従ってシミュレーションをインスタンス化する例と、図8に示されるようにローカルシミュレーションのセットが厳密に1つのローカルシミュレーションを含む本発明の方法に従ってシミュレーションをインスタンス化する例との比較について以下に検討する。いずれの例においても、3つの異なる翼プロファイルに取り付けられた1つの所与の航空機エンジンをシミュレーションする必要がある。
図7の従来技術の例においては、第1の翼プロファイル700に取り付けられた航空機エンジン76の第1のシミュレーション70、第2の翼プロファイル720に取り付けられた航空機エンジン76の第2のシミュレーション72および第3の翼プロファイル740に取り付けられた航空機エンジン76の第3のシミュレーション74を完全に実行する必要がある。換言すれば、翼に取り付けられたエンジンのいずれの構成のシミュレーションも独立して行う。
図8の本発明の例においては、まず、所与の天候条件で動作する航空機エンジン802をシミュレーションする1つの計算済みローカルシミュレーション80のセットが提供される(S10)。ローカルシミュレーション80は、機械(例えば、構造)モデルおよびCDFモデルを含むマルチ物理シミュレーションであり得る。このローカルシミュレーションは、個別のローカルドメイン800に関連付けられている。上記方法は、個別のローカルドメインの個別の関心ゾーン804を選択する(S20)。ここで、個別の関心ゾーン804の選択ステップS20は、上記「立体を囲むより小さいボックス」基準に従って自動的に行われ、したがって、個別の関心ゾーン804は、航空機エンジン802を包含する最も小さいボックスとなる。次いで、個別の縮小モデルは、関心ゾーン804の境界806において計算される(S30)。次いで、上記方法は、3つのグローバルシミュレーション82、84および86のセットの各グローバルシミュレーションを計算する(S2)。3つのグローバルシミュレーション82、84および86は、同じ個別のグローバルドメイン88を有する。各グローバルドメイン88は、航空機翼である共通の物理的オブジェクトの個別のバリエーション820、840または860を包含する。各バリエーション820、840および860は、異なる翼形状(または翼プロファイル)である。各グローバルシミュレーション82、84および86は、例えば、所与の天候条件および/または飛行条件においてグローバルシミュレーションの所与の翼形状を有する航空機エンジのアセンブリをシミュレーションする構造物理シミュレーションおよび/またはCFD物理シミュレーションであり得る。各グローバルシミュレーション82、84および86の計算ステップS2の際、関心ゾーン804によって占有されているグローバルドメイン88の領域は計算されず、グローバルドメイン88の残りの領域のみが計算される。有利なことに、非常にコストのかかるエンジン領域のシミュレーションは再実行されない。
以下に、ローカルシミュレーションのセットが少なくとも2つのローカルシミュレーションを含む場合における上記方法の他の例について、図2~図5のフローチャートを参照して説明する。上記方法の以下の例と上記方法の上述の例との妥当な組み合わせもまた、本発明によって意図され得る。
図2および図3は、上記ローカルシミュレーションのセットが少なくとも2つのローカルシミュレーションを含む例を示す。これらの一例において、上記方法は、各グローバルシミュレーションを計算するステップS2の前に、ローカル・シミュレーション・インスタンスのデータベースを作成するステップS0と、ローカル・シミュレーション・インスタンスのデータベースにおいて少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスを選択するステップS1とをさらに含む。
図3は、作成ステップS0の例を示す。
図3の例においては、データベースの作成ステップS0は、ローカルシミュレーションのセットの提供ステップS10と、各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルの計算ステップS30とを含む。作成ステップS0は、ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、個別のローカル・シミュレーション・インスタンスを上記データベースに記憶するステップS50をさらに含む。上記個別のローカル・シミュレーション・インスタンスは、上記個別に計算された縮小モデルを含む。これらの例においては、各グローバルシミュレーションの計算ステップS2において、上記少なくとも1つのローカルシミュレーションは、上記少なくとも2つの選択されたローカル・シミュレーション・インスタンスの上記少なくとも2つのローカルシミュレーションを構成する。なお、提供ステップS10、計算ステップS30および計算ステップS2は、図1および図4を参照して述べたように実施される。
ローカルシミュレーションのローカル・シミュレーション・インスタンスは、当該ローカルシミュレーションを表すデータを形成する。これは、ローカルシミュレーションの個別に計算された縮小モデルを含む。ローカル・シミュレーション・インスタンスは、ローカルシミュレーションの状態(および/もしくは状態から導出されたデータ)ならびに/またはローカルシミュレーションのシミュレーション結果(および/もしくはシミュレーション結果から導出されたデータ)といったローカルシミュレーションに対するデータをさらに含み得る。一般に、「(シミュレーションの)シミュレーションインスタンス」という用語は、当該シミュレーションの表現および/または例を意味する。ローカル・シミュレーション・インスタンスのデータベースは、ローカル・シミュレーション・インスタンスのライブラリでもあり得る。
図2に戻ると、ローカル・シミュレーション・インスタンスのデータベースにおいて少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスを選択するステップS1は、ユーザアクションが行われた時点で実施されてもよい。典型的には、ユーザは、ローカル・シミュレーション・インスタンスのデータベースにアクセスし、ローカル・シミュレーション・インスタンスを選択する(S1)。なお、1つのローカル・シミュレーション・インスタンスは、少なくとも2回(すなわち、2回またはそれ以上)選択されてもよく(S1)、その場合、上記少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスは、同じローカル・シミュレーション・インスタンスの少なくとも2つの事例を含む。
再び図3を参照すると、一例において、上記方法は、ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、個別の縮小モデルの計算ステップS30の後に、プローブを定義するステップS40をさらに含む。プローブは、個別の関心ゾーンに接する、ローカルシミュレーションの個別のローカルドメインの点である。各プローブは、ローカルシミュレーションのシミュレーションデータを含む。これらの一例において、個別に計算された縮小モデルを含む記憶されたローカル・シミュレーション・インスタンスは、プローブおよび個別の関心ゾーンをさらに含む。
プローブを定義し(S40)それらを記憶することにより、各グローバルシミュレーションの計算ステップS2の精度が向上する。なぜなら、ローカル・シミュレーション・データが記憶され、個別に計算された縮小モデルに加えて、計算ステップS2のために使用され得るからである。
プローブに含まれるシミュレーションデータは、プローブが対応するローカルシミュレーションのシミュレーション結果および/またはシミュレーション状態から導出された任意のデータを指す。プローブ(例えば、それらの全て)を個別に計算された縮小モデルに結合し、計算された縮小モデルそれ自体に加えて、再使用ステップS220における計算で使用してもよい。シミュレーションデータは、上記シミュレーション結果および/または上記シミュレーション状態も含み得る。例においては、プローブは、各関心ゾーンの境界上で(または実質的に境界上で)均一に分布している。これにより、個別の関心ゾーンの周囲のどの場所においても、同じレベルのシミュレーションデータにアクセスすることが可能となる。
プローブの定義ステップS40は、例えば、個別の関心ゾーンの選択ステップS20が行われた時点で、半自動的に実施されてもよく、その場合、上記方法は、個別の関心ゾーンの境界に沿ってプローブの均一な分布を自動的に作成してもよい。これらの一例において、ユーザは、次いで、シミュレーションデータを選択し、かつ/または導出し、かつ/または検索し、プローブに記録してもよい。あるいは、ユーザは、プローブの位置を選択し、次いで、シミュレーションデータを選択し、かつ/または導出し、かつ/または検索し、それをプローブに記録してもよい。いずれの場合においても、プローブの定義ステップS40は、プローブを作成するステップと、シミュレーションデータを選択し、かつおよび/または導出し、かつ/または検索するステップと、作成されたプローブにシミュレーションデータを記録するステップとを含む。
一例において、プローブおよび上記個別の関心ゾーンは記憶される(S50)(図3)。一例において、関心ゾーンによるプローブの数は、例えば、上記方法の初期段階においてユーザアクションが行われた時点で選択される所定の閾値よりも大きい。これにより、一定の精度要件を満たすことが保証される。実際、プローブが多いほど、各グローバルシミュレーションの計算ステップS2においてアクセスし、使用するシミュレーションデータが増加し、計算ステップS2の精度が高まる。
以下に、プローブを定義するステップS40の例について、図9、図10および図12を参照して説明する。本一例において、ローカルシミュレーション92の提供ステップS10および個別の関心ゾーン96の選択ステップS20は、上述の図9および図10の例に従って実施されている。個別の関心ゾーン96の選択ステップS20の後、ユーザは、実質的に個別の関心ゾーン96の境界100上でプローブを定義する(S40)。単に説明の便宜上、図12において、プローブは、境界100に接する正方形として示されている。プローブの定義ステップS40は、例えば、ユーザがGUIとの対話を行った時点で、境界100上にある(または実質的に境界100上にある)点である、プローブの位置を選ぶことによって実施することができ、プローブを表す正方形が実質的にこの選択位置に自動的に作成される。次いで、プローブに含めるべきシミュレーションデータが選択され、かつ/または検索され、そしてプローブに記録され得る。
以下に、各ローカル・シミュレーション・インスタンスについてプローブが定義された場合における配置ステップS210の例について、図13を参照して説明する。具体的に、図13は、図11の個別の関心ゾーンの配置ステップS210の例を示しているが、図9、図10および12を参照して説明した上記例に従って全ての個別の関心ゾーン114上でプローブが定義された(S40)という点が異なる。図13において、プローブは、グローバルドメイン118に移動させた個別の関心ゾーン上に表示されている。
図8は、ローカルシミュレーションのセットが少なくとも2つのローカルシミュレーションを含む場合における、各個別の縮小モデルの再使用ステップS220の例を示す。
図8の一例において、各グローバルシミュレーションの計算ステップS2の際、上記少なくとも2つの選択されたローカル・シミュレーション・インスタンスのうち少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスが相互作用する。この相互作用により、上記少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスのうち少なくとも1つのローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブが強化される(S221)。プローブを強化(S221)した結果、プローブが強化されたローカル・シミュレーション・インスタンスに含まれる個別に計算された縮小モデルが補正される(S225)。
したがって、各グローバルシミュレーションのローカル部分間の相互作用が上記方法によって考慮される。実際、これらの相互作用は、現実の物理相互作用に対応(例えば、これらをモデル化)し得る。したがって、上記方法により、グローバルシミュレーションの状況において発生し得るインスタンス間の相互作用に対処しながら、グローバル物理シミュレーションをインスタンス化することが可能となる。したがって、結果として得られるグローバル物理シミュレーションのインスタンスは、物理学的観点でより正確なものとなる。
2つのローカル・シミュレーション・インスタンスのうち一方のローカル・シミュレーション・インスタンスの1つの個別に計算された縮小モデルの再使用ステップS220を実施する際に2つのローカル・シミュレーション・インスタンスが相互作用することにより、2つのローカル・シミュレーション・インスタンスのうち他方のローカル・シミュレーション・インスタンスの個別に計算された縮小モデルの再使用ステップS220を実施するために、2つのローカル・シミュレーション・インスタンスのうち当該他方のローカル・シミュレーション・インスタンスの個別に計算された縮小モデルを補正することが必要となり、かつ/またはその逆が必要となる。一例において、「必要となる(necessitates)」という語は、「理論的に必要となる(theoretically necessitates)」と理解されるべきであり、これは、2つのローカル・シミュレーション・インスタンスのうち他方のローカル・シミュレーション・インスタンスの個別に計算された縮小モデルの補正が理論上必要とされることを意味する。しかし、上記方法は、上記相互作用が十分に弱いものであると判定し、その結果、上記方法によって実際には理論的な補正が行われない場合がある。この点について以下に詳述する。
2つのローカル・シミュレーション・インスタンス、例えば、第1のローカル・シミュレーション・インスタンスおよび第2のローカル・シミュレーション・インスタンスの相互作用により、当該2つのローカル・シミュレーション・インスタンスのうち少なくとも一方、例えば、第1のローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブが強化される。プローブを強化する(S221)とは、1つまたはそれ以上のプローブを強化することを意味する。第1のローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブの強化は、シミュレーションデータ、例えば、第2のローカル・シミュレーション・インスタンスの少なくとも1つのプローブのシミュレーションデータから検索され、かつ/または導出されたシミュレーションデータをプローブに付加することを含み得る。これに代えて、あるいはこれに加えて、プローブの強化は、プローブに既に含まれているシミュレーションデータを取り除くことを含み得る。これに代えて、あるいはこれに加えて、プローブの強化は、プローブに既に含まれているシミュレーションデータを修正することを含み得る。適切な場合、第2のローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブまたは両方のローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブが同様に強化され得ることが理解される。
図8の例をさらに参照すると、ローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブは、ローカル・シミュレーション・インスタンスの個別に計算された縮小モデルに関係しており、プローブのうち1つまたはそれ以上を強化することで、この関係に応じて、個別に計算された縮小モデルの補正が(例えば、自動的に)トリガされる。一例において、個別の縮小モデルを補正する(S225)とは、その縮小状態(またはその一部)を、例えば、基底要素(または基底要素の一部)および/または重み(または重みの一部)を修正することによって、あるいは、上記縮小状態(または上記縮小状態の一部)に関与する状態モードの数を修正することによって、補正することを意味する。
一例において、2つのローカル・シミュレーション・インスタンスの相互作用は、以下の非限定的な例に含まれる実際の物理的相互作用をモデル化し、かつ/またはシミュレーションし得る。
-近傍で動作する別の風力タービンによる、1つの風力タービンの周囲の風の摂動
-近傍で動作する別の航空機エンジンによる、1つの航空機エンジンの周囲の空気の摂動
-近傍で動作する別の航空機エンジンによる、1つの航空機エンジンの周囲の熱の摂動
-近傍のリングによる、核融合発電所における1つのリングの周囲磁場の摂動
-他の近傍のアンテナによる、アンテナの無線到達範囲における摂動
表1または表2に記載されるグローバル物理シミュレーションの例は、上記の一覧に取り上げた相互作用の1つまたはそれ以上の妥当な例を特徴とし得る。上記の一覧の摂動の妥当な組み合わせもまた、上記方法によって意図され得る。
上述の図13の例においては、プローブは、個別のグローバルドメイン118に移動させた個別の関心ゾーン上に表示されている。一例において、係る表示の目的は、ユーザによる個別の関心ゾーンの配置を支援することである。実際、ローカル・シミュレーション・インスタンス間の相互作用をどのように取り込むかは、プローブの数および各個別の関心ゾーンでのそれらの位置に依存し得る。したがって、プローブを表示することにより、ユーザは、個別の関心ゾーンの配置ステップS210を実施して、実際にシミュレーションを所望する量の相互作用を取り込み得る。
再び図8を参照すると、一例において、上記方法は、プローブが強化された各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、個別に計算された縮小モデルの補正(S225)の前に、全ての強化されたプローブのセットと、それらのプローブが強化される前の対応するプローブのセットとの差を計算するステップ(S222)をさらに含む。これらの一例において、上記方法は、上記差が所定の閾値を超えるか否かを判定するステップ(S223)をさらに含む。これらの一例において、上記方法は、上記差が所定の閾値を超えると判定された場合、個別に計算された縮小モデルを補正するステップ(S225)をさらに含む。
上記差が所定の閾値を超えるとの判定を個別に計算された縮小モデルの補正ステップ225の条件とすることにより、上記方法は、著しい相互作用のみを考慮する。一例において、これは、上記方法が、実際の物理的相互作用に対応する(例えば、これらをシミュレーション、モデル化する)相互作用のみを考慮し、かつ/または数値的なアーティファクトによる、またはそれらに対応する相互作用を破棄することを意味する。
差は、ギャップ、矛盾または誤差であり得る。差は、強化されたプローブが、それらのプローブが強化される前の対応する(すなわち、同じ)プローブとどのように異なっているか、例えば、強化されたプローブのシミュレーションデータが強化されない場合の当該プローブのシミュレーションデータとどのように異なっているかを表す1つまたはそれ以上の数値を構成し得る。差が所定の閾値を超えるか否かの判定ステップS223は、上記方法によって自動的に実施され得る。一例において、所定の閾値は、例えば、上記方法の初期段階においてユーザアクションが行われた時点で選択され得る。
上記差が所定値を超えると判定された場合、上記方法は、計算された縮小モデルの補正ステップS225を実施する。一例において、計算された縮小モデルの補正ステップS225は、例えば、グローバルシミュレーションの計算ステップS2における他の計算と共に、プローブの新たな強化(S221)をトリガし得る。すなわち、強化ステップS221および補正ステップS225は、グローバルシミュレーションの計算ステップS2の実行中に繰り返され得る(S226)。ただし、上記差が所定値を超えない場合、計算された縮小モデルは補正されない(すなわち、計算された縮小モデルは変更されない)。一例において、グローバルシミュレーションの計算ステップS2における他の計算により、プローブの新たな強化S221がさらに上記方法によって意図される。すなわち、グローバルシミュレーションの計算ステップS2の実行中、強化ステップS221および判定ステップS223は、繰り返され得る(S226)。換言すれば、各グローバル・シミュレーション・インスタンスの計算ステップS2の際、上記方法は、強化ステップS221および判定ステップS223ならびに/または強化ステップS221および補正ステップS223の繰返し(S226)を実行し得る。
図3および図5に戻ると、一例において、上記方法は、ローカル・シミュレーション・インスタンスのデータベースの作成ステップS0において、機械学習アルゴリズムを学習するステップS60をさらに含む。機械学習アルゴリズムは、上記データベースに記憶されたローカル・シミュレーション・インスタンスに対して学習される(S60)。機械学習により、上記データベースの各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、ローカル・シミュレーション・インスタンスに記憶されたプローブとローカル・シミュレーション・インスタンスに記憶された個別に計算された縮小モデルとの個別の関係が提供される。これらの例においては、各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、ローカル・シミュレーション・インスタンスに含まれる個別に計算された縮小モデルの補正ステップS225は、機械学習アルゴリズムを適用するステップS224を含む。補正ステップS225は、上記個別の関係に基づいて実施される。
機械学習アルゴリズムは、個別に計算された縮小モデルの補正ステップS225のためのツールとして機能する。これは、上記データベースの作成ステップS0において使用され、適切な場合は、補正ステップS225において使用される。したがって、相互作用は、ローカルシミュレーションの再計算を必要とすることなく、計算されたローカルシミュレーションに対して学習済みの情報を用いて考慮される。
機械学習アルゴリズムは、任意の公知の機械学習技術によって学習され得る。上記データベースに記憶されたローカル・シミュレーション・インスタンスに対して機械学習アルゴリズムを学習するとは、上記データベースが機械学習アルゴリズムの学習セットまたは訓練セットを形成することを意味する。したがって、機械学習アルゴリズムの学習セットまたは訓練セットは、全てのローカルシミュレーションの全ての縮小モデル、プローブおよび関心ゾーンを含む。機械学習アルゴリズムは、補正モデルとも呼ばれる場合がある
各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、上記個別の関係は、個別に計算された縮小モデルとローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブとの対応を提供する1つまたはそれ以上の数式および/または1つまたはそれ以上のアルゴリズムを含む。一例において、全ての個別の関係のセットは、機械学習アルゴリズムの決定フォレストを形成する。
プローブが強化された各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、ローカル・シミュレーション・インスタンスの個別に計算された縮小モデルの補正ステップS225は、上記差が所定の閾値を超えると判定された場合S223にのみ機械学習アルゴリズムを適用するステップS224を含む。一例において、機械学習アルゴリズムは、モードおよび/もしくは重み(例えば、それらの全て)ならびに/またはモードおよび/もしくは重み(例えば、縮小状態、例えば、全ての縮小状態)から導出されたデータ、ならびにローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブ(例えば、全てのプローブ、例えば、強化されたプローブのみ)を入力として取る。一例において、これらの入力は、全ての個別の関係のセット全体にプッシュされ、機械学習アルゴリズムは、個別に計算された縮小モデルの補正を出力する。この補正は、未補正の個別に計算された縮小モデルの新たな重みおよび/または新たな状態モードおよび/または未補正の個別に計算された縮小モデルの重みおよび/または未補正の個別に計算された縮小モデルの状態モードを含む新たな個別に計算された縮小モデルを構成し得る。
一例において、ローカルシミュレーションのセットの全てのローカルシミュレーションは、所与のローカルシミュレーションの摂動である。これらの一例において、所与のローカルシミュレーションは、ローカルシミュレーションのセットの一部でもある。
一例において、全てのグローバルシミュレーションは、所与のグローバルシミュレーションの摂動である。これらの一例において、所与のグローバルシミュレーションは、グローバルシミュレーションのセットの一部でもある。
第1のシミュレーションが第2のシミュレーションの境界条件、初期条件、空間離散化、少なくとも1つの物理的パラメータの値、時間スケールという特徴のうち1つまたはそれ以上を変化させることによって定義(例えば、設定またはプログラム)された場合、第1のシミュレーションは第2のシミュレーションの摂動である。
全ての一例において、上記方法は、各グローバルシミュレーションの計算ステップS2の後に、全てのグローバルシミュレーションをGUIといった表示装置に(例えば、同時にまたは繰り返し)表示することをさらに含み得る。

Claims (15)

  1. グローバル物理シミュレーションをインスタンス化するための、コンピュータによって実施される方法であって、
    ローカルシミュレーションのセットを提供するステップ(S10)であって、
    前記ローカルシミュレーションのセットは、少なくとも1つのローカルシミュレーションを含み、
    前記ローカルシミュレーションのセットにおける各ローカルシミュレーションは、前記グローバル物理シミュレーションにおいて独立なローカルシミュレーションであって、前記グローバル物理シミュレーションによってシミュレーションする物理モデルから独立してシミュレーションすることができる物理モデルをシミュレーションするものであり、前記グローバル物理シミュレーションは、シミュレーションが各ローカルシミュレーションの物理モデルのシミュレーションに依存している物理モデルをシミュレーションするものである、
    前記ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションは、計算済みであるステップ(S10)と、
    前記ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、前記ローカルシミュレーションの個別の縮小モデルを計算するステップ(S30)と、
    少なくとも1つのグローバルシミュレーションのセットの各々を計算するステップ(S2)であって、各グローバルシミュレーションは、前記グローバル物理シミュレーションのインスタンスであり、各グローバルシミュレーションの前記計算するステップ(S2)は、少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々に対して個別に計算された縮小モデルを再使用するステップ(S220)を含むステップ(S2)とを含む方法。
  2. 各ローカルシミュレーションは、個別のローカルドメインに関連付けられており、
    各グローバルシミュレーションは、個別のグローバルドメインに関連付けられており、
    前記方法は、
    各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルの前記計算ステップ(S30)の前に、
    前記ローカルシミュレーションの個別の関心ゾーンを選択するステップ(S20)であって、前記個別の関心ゾーンは前記個別のローカルドメインの空でないサブドメインであるステップ(S20)と、
    各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルの前記計算ステップ(S30)において、
    各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルが前記個別の関心ゾーンの境界において計算されるステップと、
    各グローバルシミュレーションの前記計算ステップ(S2)において、
    前記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々についての前記個別の関心ゾーンを前記グローバルシミュレーションの前記個別のグローバルドメインに配置するステップ(S210)と、
    前記グローバルドメインの残りの部分のみが計算され、前記残りの部分は、関心ゾーンによって占有されていない前記グローバルドメインの部分であり、前記グローバルドメインは、前記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々についての個別の関心ゾーンによってそれぞれ占有されている領域を含むステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々についての前記個別の関心ゾーンの前記配置ステップ(S210)において、前記個別の関心ゾーンの境界を前記個別の関心ゾーンによって占有されている前記個別のグローバルドメイン領域の境界とインターフェイスするステップであって、前記グローバル物理シミュレーションを計算するシミュレーション方法において、前記個別の関心ゾーンおよび当該個別の関心ゾーンの境界における前記個別に計算された個別の縮小モデルを導入することにより、前記個別に計算された縮小モデルを再使用することで前記グローバル物理シミュレ-ションの計算を可能にするステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 各ローカルシミュレーションの各ローカルドメインは、個別の物理的オブジェクトを含み、前記ローカルシミュレーションは、前記個別の物理的オブジェクトに関連付けられた個別の物理的挙動をシミュレーションし、
    各グローバルシミュレーションは、前記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々についての全ての個別の物理的オブジェクトに関連付けられた共通の物理的挙動の個別のシナリオをシミュレーションし、前記共通の物理的挙動は、全てのグローバルシミュレーションに共通である、請求項2または3に記載の方法。
  5. 各グローバルシミュレーションについて、前記グローバルシミュレーションの前記個別のグローバルドメインは、共通の物理的オブジェクトの個別のバリエーションを含み、
    前記共通の物理的オブジェクトは、全てのグローバルシミュレーションに共通であり、
    前記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々についての全ての個別の物理的オブジェクトに関連付けられた前記共通の物理的挙動は、前記少なくとも1つのローカルシミュレーションの各々についての全ての個別の物理的オブジェクトに対する前記共通の物理的オブジェクトの物理的挙動である、請求項4に記載の方法。
  6. 各グローバルシミュレーションの前記計算ステップ(S2)の前に、
    ローカル・シミュレーション・インスタンスのデータベースを作成するステップ(S0)であって、
    前記ローカルシミュレーションのセットの前記提供ステップ(S10)と、各ローカルシミュレーションの各個別の縮小モデルの前記計算ステップ(S30)とを含み、
    前記ローカルシミュレーションのセットは、少なくとも2つのローカルシミュレーションを含むステップ(S0)と、
    前記ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、個別のローカル・シミュレーション・インスタンスを前記データベースに記憶するステップ(S50)であって、前記個別のローカル・シミュレーション・インスタンスは、前記個別に計算された縮小モデルを含むステップ(S0)と、
    ・ローカル・シミュレーション・インスタンスの前記データベースにおいて少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスを選択するステップ(S1)とをさらに含み、
    各グローバルシミュレーションの前記計算ステップ(S2)において、前記少なくとも1つのローカルシミュレーションは、前記少なくとも2つの選択されたローカル・シミュレーション・インスタンスの前記少なくとも2つのローカルシミュレーションを構成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ローカルシミュレーションのセットの各ローカルシミュレーションについて、前記個別の縮小モデルの前記計算ステップ(S30)の後に、
    プローブを定義するステップ(S40)であって、前記プローブは、前記ローカルシミュレーションの前記個別のローカルドメインの前記個別の関心ゾーンに接する点であり、各プローブは、前記ローカルシミュレーションのシミュレーションデータを含むステップ(S40)をさらに含み、
    前記個別に計算された縮小モデルを含む前記記憶されたローカル・シミュレーション・インスタンスは、前記プローブおよび前記個別の関心ゾーンをさらに含む、請求項2と組み合わせた請求項6に記載の方法。
  8. 各グローバルシミュレーションを計算する前記ステップ(S2)の際に、前記少なくとも2つの選択されたローカル・シミュレーション・インスタンスのうち少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスが相互作用し、前記相互作用により、前記少なくとも2つのローカル・シミュレーション・インスタンスのうち少なくとも1つのローカル・シミュレーション・インスタンスのプローブが強化(enriched))され(S221)、
    プローブを強化した(S221)結果、プローブが強化されたローカル・シミュレーション・インスタンスに含まれる前記個別に計算された縮小モデルが補正される(S225)、請求項7に記載の方法。
  9. プローブが強化された各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、
    前記個別に計算された縮小モデルの前記補正(S225)の前に、全ての強化されたプローブのセットと、それらのプローブが強化される前の対応するプローブのセットとの差を計算するステップ(S222)と、
    前記差が所定の閾値を超えるか否かを判定するステップ(S223)と、
    前記差が前記所定の閾値を超えると判定された場合、前記個別に計算された縮小モデルを補正するステップ(S225)とをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. ローカル・シミュレーション・インスタンスの前記データベースの前記作成するステップ(S0)において、前記データベースに記憶された前記ローカル・シミュレーション・インスタンスに対して機械学習アルゴリズムを学習するステップ(S60)であって、前記機械学習アルゴリズムは、前記データベースの各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、前記ローカル・シミュレーション・インスタンスに記憶された前記プローブと、前記ローカル・シミュレーション・インスタンスに記憶された前記個別に計算された縮小モデルとの個別の関係を提供するステップ(S60)と、
    プローブが強化された各ローカル・シミュレーション・インスタンスについて、前記ローカル・シミュレーション・インスタンスに含まれる前記個別に計算された縮小モデルの補正ステップ(S225)は、前記機械学習アルゴリズムを適用するステップ(S224)を含み、前記補正ステップ(S225)は、前記個別の関係に基づいて実施されるステップとをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記ローカルシミュレーションのセットは、1つのみのローカルシミュレーションを含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  12. 前記ローカルシミュレーションのセットの全てのローカルシミュレーションは、所与のローカルシミュレーションの摂動(perturbations)であり、前記所与のローカルシミュレーションは、前記ローカルシミュレーションのセットの一部でもある、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 全てのグローバルシミュレーションは、所与のグローバルシミュレーションの摂動であり、前記所与のグローバルシミュレーションは、前記グローバルシミュレーションのセットの一部でもある、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の方法を実施するための命令を含むコンピュータプログラム。
  15. 請求項14に記載のコンピュータプログラムが記録されたメモリと表示装置とに結合されたプロセッサを備えるシステム。
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