(実施例1)
図面を参照して、本実施例に係る加熱調理システム1について説明する。図1に示すように、加熱調理システム1は、加熱調理器2と、携帯端末200を備えている。
図2に示すように、加熱調理器2は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。加熱調理器2は、前面4aがシステムキッチンの手前側に露出する本体4と、本体4の上部に配置されており、システムキッチンのカウンタトップに露出する天板6と、を備えている。天板6には、加熱対象物である鍋やフライパン等の調理容器を支持する3つの五徳8a、8b、8cと、それぞれの五徳8a、8b、8cに対応して設けられており、それぞれの五徳8a、8b、8cに支持された加熱対象物を加熱する3つのコンロバーナ10a、10b、10cと、それぞれのコンロバーナ10a、10b、10cに対応して設けられている温度センサ12a、12b、12cと、が設けられている。各コンロバーナ10a、10b、10cには、ガス供給路(図示省略)が接続されている。ガス供給路には、コンロバーナ10aへのガスの供給量を調整するための流量調整弁(図示省略)が設けられている。コンロバーナ10aは、コンロバーナ10aにガスが供給されている状態でイグナイタ(図示省略)を動作させることで、点火する。コンロバーナ10aへのガスの供給量を調整することで、コンロバーナ10aの加熱量を調整することができる。そして、コンロバーナ10aへのガスの供給が停止されることで、コンロバーナ10aは消火される。コンロバーナ10b、10cは、コンロバーナ10aと同様の構造を有する。温度センサ12a、12b、12cは、五徳8a、8b、8cに支持される加熱対象物の温度を検出する。本体4は、本体4の内部に設けられて食材を収容するグリル庫20と、本体4の前面4aに配置されてグリル庫20を開閉するグリル扉22と、本体4の前面4aにおいてグリル扉22の右側に設けられたコンロ操作部24と、本体4の前面4aにおいてグリル扉22の左側に設けられたグリル操作部26と、を備えている。なお、グリル庫20の内部には、グリル庫20内に収容した食材を加熱するグリルバーナ20a(図1参照)と、グリル庫20内の温度を検出する温度センサ72(図1参照)が設けられている。
コンロ操作部24は、加熱調理器2の電源スイッチ40と、3つの加熱量操作部42a、42b、42cと、パネル操作部44と、を備える。加熱量操作部42a、42b、42cは、それぞれ、コンロバーナ10a、10b、10cに対応する。また、加熱量操作部42a、42b、42cは、それぞれ、青色、緑色又は赤色に発光可能なLED発光部43a、43b、43cによって囲まれている。加熱量操作部42aは、コンロバーナ10aの点火及び消火を行うとともに、コンロバーナ10aの加熱量の調整を行うための操作部である。加熱量操作部42aは、オルタネイト型のスイッチである。ユーザによって加熱量操作部42aを消火位置から点火位置に移動させるための操作(以下では、「点火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10aが点火され、ユーザによって加熱量操作部42aを点火位置から消火位置に移動させるための操作(以下では、「消火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10aが消火される。点火位置とは、加熱量操作部42aの前面が本体4の前面4aよりも前方に突出している位置であり、消火位置とは、加熱量操作部42aが本体4内に収容されている位置である。また、ユーザは、加熱量操作部42aが点火位置に位置している状態において、加熱量操作部42aを時計方向又は反時計方向に操作することで、コンロバーナ10aの加熱量を調整することができる。加熱量操作部42b、42cは、加熱量操作部42aと同じ構造を有する。
パネル操作部44は、表示部46と、加熱温度操作部48a、48bと、調理モード選択操作部50a、50bと、加熱時間操作部52a、52b、52cと、調理メニュー選択操作部54と、記録モード指示部56と、を備える。表示部46には、各コンロバーナ10a、10b、10cの動作状態などが表示される。加熱温度操作部48aは、コンロバーナ10aによって加熱される加熱対象物の温度(例えば、180℃)を設定するための操作部である。加熱時間操作部52aは、コンロバーナ10aの加熱時間(例えば、5分)を設定するための操作部である。調理モード選択操作部50aは、記録モードと再現モードを選択するための操作部である。加熱温度操作部48b、調理モード選択操作部50b、加熱時間操作部52bは、コンロバーナ10bに対応する操作部である点を除いて、それぞれ、加熱温度操作部48a、調理モード選択操作部50a、加熱時間操作部52aと同様の機能を有する。調理メニュー選択操作部54は、再現モードで再現調理する調理メニューを選択するための操作部である。記録モード指示部56は、記録モードの実行中に、記録の開始又は記録の終了を指示するための操作部である。加熱時間操作部52cは、コンロバーナ10cに対応する操作部である点を除いて、加熱時間操作部52aと同様の機能を有する。
グリル操作部26は、加熱量操作部60と、パネル操作部62と、を備える。加熱量操作部60は、青色、緑色又は赤色に発光可能なLED発光部61によって囲まれている。ユーザは、加熱量操作部60を操作することによって、グリルバーナ20aの点火及び消火を行うとともに、グリルバーナ20aの加熱量の調整を行うことができる。加熱量操作部60の構造は、コンロ操作部24の加熱量操作部42aと同様である。
パネル操作部62は、表示部64と、調理モード選択操作部66と、調理メニュー選択操作部68と、記録モード指示部70と、を備える。表示部64には、グリルバーナ20aの動作状態などが表示される。調理モード選択操作部66、調理メニュー選択操作部68、記録モード指示部70の機能はグリルバーナ20aに対応する操作部である点を除いて、それぞれ、調理モード選択操作部50a、調理メニュー選択操作部54、記録モード指示部56と同様の機能を有する。
続いて、図1を参照して、加熱調理器2の制御構成について説明する。なお、図1では、説明を分かり易くするために、コンロバーナ10b、10c、温度センサ12b、12c、加熱量操作部42b、42c、LED発光部43b、43c、加熱温度操作部48b、調理モード選択操作部50b、及び、加熱時間操作部52b、52cについて図示を省略している。また、以下では、図2で説明した構成については説明を省略する。
加熱調理器2は、通信実行部100と、制御部110と、を備えている。通信実行部100は、外部機器との無線通信を実行するためのインターフェースである。加熱調理器2は、通信実行部100を介して、外部機器との無線通信を実行することができる。無線通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標)による通信を用いることができる。加熱調理器2は、通信実行部100を介して、携帯端末200との無線通信を実行可能である。また、加熱調理器2は、通信実行部100を介して、加熱調理器2が設置されているシステムキッチンのレンジフード、照明など(図示省略)との無線通信を実行可能である。
制御部110は、加熱調理器2の各構成要素の動作を制御する。制御部110は、加熱制御部112と、指示送信部114と、計時部116と、を備える。加熱制御部112は、各バーナ10a、10b、10c、20aの動作を制御する。指示送信部114は、各操作部がユーザによって操作される場合に、当該操作部への操作に応じた指示を、加熱制御部112に送信する。計時部116は、各バーナ10a、10b、10c、20aによる加熱対象物の加熱時間(以下、調理時間ともいう)を計時する。計時部116で計時する調理時間には、消火状態で調理する予熱調理や余熱調理も含まれる。また、制御部110は、メモリ120を備えている。メモリ120は、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成される。メモリ120には、調理メニューデータが格納されている。調理メニューデータは、再現調理を実行するためのデータである。
また、加熱調理器2は、通常モードと、調理メニューデータを記録する記録モードと、記録された調理メニューデータに従った再現調理を実行する再現モードと、のいずれかの動作モードで動作する。通常モード及び記録モードでは、加熱調理器2は、ユーザの加熱量操作部42a、42b、42c又は60に対する操作に従い、コンロバーナ10a、10b、10c又はグリルバーナ20aの加熱量を制御する。再現モードでは、加熱調理器2は、記録された調理メニューデータに従ってコンロバーナ10a、10b、10c又はグリルバーナ20aの加熱量を制御する。
さらに、制御部110は、コンロバーナ10a、10b、10c又はグリルバーナ20aが加熱対象物を加熱している時に、温度センサ12a、12b、12c、72で検出される温度と閾値温度とに基づいて、過熱状態の有無を判断する。閾値温度は、加熱対象物の温度やグリル庫20内の温度が過熱状態であることを示す温度である。過熱状態は、例えば、加熱対象物に焦げが生じる状態である。例えば、閾値温度は、加熱対象物の温度やグリル庫20内の温度が、一旦平衡状態になってから、さらに上昇したときの温度に設定することができる。制御部110は、コンロバーナ10a、10b、10c又はグリルバーナ20aが過熱状態であると判断すると、コンロバーナ10a、10b、10c又はグリルバーナ20aによる加熱を停止する。これにより、加熱対象物が焦げ付くことを防止することができ、ユーザの利便性を向上できる。閾値温度は、メモリ120に予め記憶されている。また、制御部110は、過熱状態の有無を判断する際の閾値温度を変更することができる。閾値温度の変更については、後に詳述する。
加熱調理器2との無線通信を実行可能な携帯端末200について説明する。携帯端末200は、携帯電話、スマートフォン、PDA、ノートPC、タブレットPC等の可搬型の端末装置である。携帯端末200は、表示部202と、通信実行部204と、制御部210と、を備える。表示部202は、様々な情報を表示するためのディスプレイであり、いわゆるタッチパネル(即ち操作部)としても機能する。通信実行部204は、加熱調理器2との無線通信を実行するためのインターフェースである。制御部210は、携帯端末200の動作を制御する。また、制御部210は、メモリ212を備える。メモリ212には、加熱調理器2から送信された調理メニューデータが格納されている。
図3を参照して、加熱調理器2の制御部110によって実行される処理について説明する。制御部110は、通常モード、記録モード、再現モードのいずれかの動作モードで処理を実行する。加熱調理器2の電源をONにするために、ユーザが電源スイッチ40をONにすると、制御部110は、図3の処理を開始する。なお、図3では、グリルバーナ20aを利用した調理が実行される場合を例として、説明する。
電源スイッチ40がONされると、まず、制御部110は、記録モードが選択されたか否かを判断する(S12)。制御部110は、ユーザによって調理モード選択操作部66が操作され、記録モードが選択されたときに、記録モードが選択されたと判断する。記録モードに移行すると、LED発光部61が緑色に発光する。
記録モードが選択されると(ステップS12でYES)、制御部110は、過熱状態の有無を判断する際の閾値温度を、予め設定されている閾値温度T1より高い閾値温度T2に変更する(S14)。したがって、本実施例では、記録モードの実行中には、閾値温度T2を閾値温度として過熱状態の有無が判断される。
次いで、制御部110は、ユーザによって記録モード指示部70が操作されて、記録の開始が選択されるまで待機する(ステップS16でNO)。記録の開始が選択されると(ステップS16でYES)、記録モードの実行を開始する(S18)。記録モード実行中は、ユーザが加熱量操作部60を操作することにより、グリルバーナ20aの加熱量が調整される。制御部110は、ユーザによって調整された加熱量をメモリ120に記憶させる。このとき、制御部110は、加熱量と共に、計時部116によって計時された時間をメモリ120に記憶させる。また、制御部110は、記録モード実行中、温度センサ72で検出した温度を常時取得し、メモリ120に記憶させる。なお、制御部110は、温度センサ72から単位時間毎(例えば、15秒毎)に検出温度を取得してもよい。単位時間毎に検出温度を取得すると、常時取得する場合と比較してデータ量を低減することができる。
次いで、制御部110は、検出温度が予め閾値温度として設定されていた温度T1以上か否かを判断する(S20)。検出温度が温度T1より小さい場合(ステップS20でNO)、制御部110は、以下のステップS22及びステップS24の処理をスキップして、ステップS30の処理に進む。
一方、検出温度が温度T1以上の場合(ステップS20でYES)、制御部110は、検出温度が温度T1以上となったことを表示部64に表示する(S22)。例えば、図4に示す例では、時間t1の時点で、検出温度がT1に達している。時間t1では、記録モード実行時の閾値温度T2に達していないため、制御部110は過熱状態と判断しない。しかしながら、温度T1は、予め設定されていた閾値温度であるため、検出温度が温度T1以上になると、加熱対象物には焦げが生じ易くなる。検出温度が温度T1以上になったことを表示部64に表示することにより、ユーザに過熱状態になり易い状態であることを注意喚起することができる。
図3に示すように、次いで、制御部110は、検出温度がステップS14で変更された閾値温度T2以上か否かを判断する(S24)。閾値温度T2は、記録モード実行中において過熱状態の有無を判断するための閾値温度である。このため、検出温度が閾値温度T2以上の場合(ステップS24でYES)、制御部110は、過熱状態であると判断し、グリルバーナ20aの加熱を停止する(S26)。そして、制御部110は、記録の終了の指示を待たずに記録モードによる記録を終了し(S28)、処理を終了する。
一方、検出温度が閾値温度T2より小さい場合(ステップS24でNO)、制御部110は、記録の終了が選択されたか否かを判断し(S30)、記録の終了が選択されるまでステップS20~ステップS30の処理を繰り返す(ステップS30でNO)。
記録の終了が選択されると(ステップS30でYES)、制御部110は、記録モードの実行を終了し、記録した加熱量、計時時間、検出温度のデータ(すなわち、調理メニューデータ)を、通信実行部100を介して携帯端末200に送信する(S32)。ステップS14において閾値温度が閾値温度T2に変更された状態で記録モードを実行したため、調理メニューデータは、変更された閾値温度T2も含んでいる。なお、ステップS28で、過熱状態となり加熱を停止して記録を終了した場合には、記録された調理メニューデータは破棄され、携帯端末200に送信されない。携帯端末200は、通信実行部204を介して受信したデータを1つの調理メニューデータとしてメモリ212に記憶する。記録モードにより記録された調理メニューデータを携帯端末200のメモリ212に記憶させることによって、加熱調理器2のメモリ120に記憶するデータ量を低減できる。
一方、記録モードが選択されなかった場合(ステップS12でNO)、制御部110は、再現モードが選択されたか否かを判断する(S42)。制御部110は、ユーザによって調理モード選択操作部66が操作され、再現モードが選択されたときに、再現モードが選択されたと判断する。再現モードに移行すると、LED発光部61が赤色に発光する。
再現モードが選択されると(ステップS42でYES)、制御部110は、ユーザによって調理メニュー選択操作部68が操作されて、再現モードを実行する調理メニューが選択されるまで待機する(ステップS44でNO)。調理メニューが選択されると(ステップS44でYES)、制御部110は、選択された調理メニューのデータを携帯端末200から受信する(S46)。上述したように、調理メニューデータは、携帯端末200のメモリ212に記憶されている。制御部110は、ステップS44で選択された調理メニューに対応する調理メニューデータを、通信実行部100を介して携帯端末200から受信し、メモリ120に記憶させる。次いで、制御部110は、受信したデータに従い、選択された調理メニューの再現調理を実行する(S48)。
上述したように、調理メニューデータには変更された閾値温度T2も含まれる。このため、再現モードを実行する際にも、制御部110は、閾値温度T2を閾値温度として過熱状態の有無を判断する。記録モード実行時には、制御部110は、閾値温度T2を閾値温度として過熱状態の有無を判断したため、これを再現する再現モード実行時に、検出温度が予め設定されていた閾値温度T1を超えることがある。再現モード実行時にも閾値温度T2を閾値温度とすることによって、再現モード実行時に過熱状態と判断されて加熱が停止され難くなり、ユーザの利便性を向上させることができる。
一方、再現モードが選択されなかった場合(ステップS42でNO)、制御部110は、通常モードを実行する(S52)。通常モードに移行すると、LED発光部61は青色に発光する。通常モード実行中は、ユーザが加熱量操作部60を操作することにより、グリルバーナ20aの加熱量が調整される。通常モードは、ユーザによって調整された加熱量(及び、計時部116によって計時された時間と温度センサ72で検出した温度)がメモリ120に記憶されない点において、記録モードと異なる。また、通常モードの実行時には、制御部110は、予め設定されている閾値温度T1を閾値温度として過熱状態の有無を判断する。すなわち、通常モード実行中に検出温度が閾値温度T1以上になると、制御部110は、過熱状態と判断して加熱を停止する。
本実施例では、記録モードの実行中には、予め設定された閾値温度T1より高い閾値温度T2を閾値温度として過熱状態の有無が判断される。仮に、記録モードの実行時に、予め設定された閾値温度T1を用いて過熱状態の有無を判断する場合、グリル庫20内の温度が閾値温度T1を僅かに超えたとしても、安全性や再現調理による料理の再現性に問題が生じない一方で、グリル庫20内の温度が閾値温度T1を超えるとグリルバーナ20aが消火され、利便性が低下する。また、過熱状態と判断されて加熱が停止された場合には、ユーザが加熱を再開させる操作を行うことがある。このような操作は、ユーザが、調理の途中で加熱が停止されることなく、連続して加熱することを所望するときに行われる。過熱状態と判断されて加熱が停止されると、上述のステップS28の処理のように記録モードによる記録が停止される。このため、ユーザが加熱を再開させるために行う操作は、記録モードにより記録される調理メニューデータとして記憶されない。なお、過熱状態と判断されて加熱が停止されても記録モードによる記憶が継続され、記録モードを終了する操作によって記録を停止してもよい。そのような場合にも、過熱状態と判断されて加熱が停止され、その後、ユーザが加熱を再開させる操作を行うと、加熱が中断された後、加熱が再開される調理メニューが記録され、ユーザが所望する調理メニューデータとは異なるものが記録されることになる。本実施例では、記録モードの実行中には、閾値温度が、閾値温度T1より高い閾値温度T2となるように、閾値温度を変更する。これにより、ユーザが加熱を再開する操作をする手間を省くことができると共に、ユーザが所望する適切な調理メニューデータを記録することができる。
(実施例2)
上記の実施例1では、記録モードの実行時に、閾値温度T2を閾値温度として過熱状態の有無を判断したが、このような構成に限定されない。例えば、記録モードの実行時に、予め設定されている閾値温度T1を閾値温度として過熱状態の有無を判断し、検出温度が閾値温度T1以上となり加熱が停止されても、所定時間内に加熱が再開されれば、加熱が停止されなかったものとして調理メニューデータを補正してもよい。
図5は、本実施例における加熱調理器2の制御部110によって実行される処理を示している。図5では、記録モードの処理を示すステップS102~ステップS132の処理が、実施例1の図3と異なっており、再現モードの処理を示すステップS42~ステップS48及び通常モードの処理を示すステップS52の処理は、実施例1の図3と同様である。このため、ステップS42~ステップS48及びステップS52の処理については、詳細な説明を省略する。
図5に示すように、記録モードが選択されると(ステップS102でYES)、制御部110は、ユーザによって記録モード指示部70が操作されて、記録の開始が選択されるまで待機する(ステップS104でNO)。記録の開始が選択されると(ステップS104でYES)、記録モードの実行を開始する(S106)。なお、ステップS104及びステップS106の処理は、実施例1のステップS16及びステップS18と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
次いで、制御部110は、検出温度が閾値温度T1以上か否かを判断する(S108)。上述したように、本実施例では、記録モード実行中において、制御部110は、閾値温度T1を閾値温度として過熱状態の有無を判断する。検出温度が閾値温度T1より小さい場合(ステップS108でNO)、制御部110は、過熱状態ではないと判断する。そして、制御部110は、記録の終了が選択されたか否かを判断し(S110)、記録の終了が選択されるまでステップS108の処理を繰り返す(ステップS110でNO)。検出温度が閾値温度T1より小さいまま(ステップS108でNO)、記録の終了が選択されると(ステップS110でYES)、制御部110は、ステップS130の処理に進む。
一方、検出温度が閾値温度T1以上の場合(ステップS108でYES)、制御部110は、過熱状態であると判断し、グリルバーナ20aの加熱を停止する(S112)。なお、本実施例では、実施例1のステップS26と異なり、グリルバーナ20aの加熱を停止してもすぐには記録を停止しない。また、上記の実施例1では、ステップS22において、閾値温度ではない温度T1以上となったときにその旨を表示部64に表示したが、本実施例では、閾値温度T1は閾値温度であるため、実施例1のステップS22と異なり、閾値温度T1以上となったことを表示部64に表示しない。
次いで、制御部110は、ステップS112で加熱が停止されてからの時間t(以下、停止時間tともいう)の計時を開始する(S114)。次いで、制御部110は、停止時間tが所定時間以内であるか否かを判断する(S116)。所定時間は、ステップS112で加熱が停止されてから比較的短いと判断できる時間であり、例えば、300秒である。
停止時間tが所定時間以内の場合(ステップS116でYES)、制御部110は、ユーザによりグリルバーナ20aが再度加熱する操作が行われたか否かを判断する(S118)。再度加熱する操作が行われた場合には(ステップS118でYES)、制御部110は、記録モードによる記録を停止しない(すなわち、継続する)。図6に示すように、過熱状態となり加熱が停止されても、加熱が停止された時間t1から所定時間経過した時間t2より早い時間t3において加熱が再開されると、加熱対象物の温度は僅かにしか下がっていない状態で加熱が再開される。このため、制御部110は、ユーザが記録モードによる調理を続行することを所望していると判断し、記録モードによる記録を継続する。
図5に示すように、次いで、制御部110は、閾値温度を、予め設定されている値温度T1より高い閾値温度T3に変更する(S120)。上述したように、ステップS118で再度加熱する操作が行われると、加熱対象物の温度が予め設定されている閾値温度T1から僅かに低くなった状態で、加熱が再開される。このため、検出温度は、加熱を再開してからすぐに閾値温度T1以上となり、再度加熱が停止されてしまう。これを回避するために、制御部110は、閾値温度を閾値温度T1より高い閾値温度T3に変更する。これにより、過熱状態と判断されて加熱が再度停止することなく記録モードによる記録を継続できる。本実施例では、閾値温度T3は、実施例1で示した閾値温度T2より高く設定しているが、閾値温度T2より低く設定してもよいし、閾値温度T2と同一の温度であってもよい。
次いで、制御部110は、検出温度が閾値温度T3以上か否かを判断する(S122)。検出温度が閾値温度T3以上の場合(ステップS122でYES)、制御部110は、過熱状態であると判断し、グリルバーナ20aの加熱を停止する(S124)。一方、検出温度が閾値温度T3より小さい場合(ステップS122でNO)、制御部110は、記録の終了が選択されたか否かを判断し(S126)、記録の終了が選択されるまでステップS122~ステップS126の処理を繰り返す(ステップS126でNO)。
記録の終了が選択されると(ステップS126でYES)、制御部110は、調理メニューデータを補正する(S128)。具体的には、制御部110は、ステップS112で加熱が停止されなかったものとして、調理メニューデータを補正する。
例えば、図6に示すように、時間t1で過熱状態と判断されて加熱が停止され、時間t3で加熱が再開されたとする。時間t3では、加熱対象物の温度が僅かに下がっている。そして、加熱を再開した後の時間t4で、加熱対象物の温度が、加熱が停止されたときの温度(すなわち、閾値温度T1)に戻ったとする。このような場合、制御部110は、加熱が停止されてから、加熱対象物の温度が、加熱が停止されたときの温度に戻るまでの間の計時時間(すなわち、時間t1から時間t4の間の時間)と検出温度(すなわち、時間t1から時間t4の間の検出温度)を、記録された調理メニューデータから除くように調理メニューデータを補正する。また、制御部110は、加熱量についても、加熱が停止されずに継続されたものとして調理メニューデータを補正する。
図5に示すように、次いで、制御部110は、ステップS110で記録が終了するまでに記録された調理メニューデータ、又は、ステップS124で補正した調理メニューデータを、通信実行部100を介して携帯端末200に送信する(S130)。ステップS120において閾値温度が閾値温度T3に変更された状態で記録モードを実行したため、調理メニューデータは、変更された閾値温度T3も含んでいる。なお、ステップS126の処理は、実施例1のステップS32の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
一方、停止時間tが所定時間を超えた場合(ステップS116でNO)、制御部110は、記録の終了の指示を待たずに記録モードによる記録を終了し(S132)、処理を終了する。図6に示すように、時間t1で過熱状態と判断されて加熱が停止され、時間t1から所定時間経過した時間t2より遅い時間t5で加熱が再開されたとする。時間t5では、加熱対象物の温度はかなり下がっている。このような場合には、加熱が停止されてからすぐに加熱が再開されたとは言えない。このため、時間t2までに加熱が再開されなかった場合には、加熱が再開されたか否かに関わらず、記録モードの実行を終了する。また、ステップS124において、検出温度が閾値温度T3以上となり、グリルバーナ20aの加熱が停止された場合にも、制御部110は、記録の終了の指示を待たずに記録モードによる記録を終了し(S132)、処理を終了する。ステップS132で、過熱状態となり加熱を停止して記録を終了した場合には、記録された調理メニューデータは破棄され、携帯端末200に送信されない。
本実施例では、過熱状態と判断されて加熱が停止されても、所定時間内に加熱が再開されれば、加熱が停止されなかったものとして調理メニューデータが補正される。所定時間内に加熱が再開された場合、ユーザは加熱を停止せずに継続して調理することを所望していると言える。本実施例においても、上記のように調理メニューデータを補正することによって、ユーザが所望する適切な調理条件を記憶することができる。
なお、本実施例においても、再現モードの実行時には、制御部110は、閾値温度T3を閾値温度として過熱状態の有無を判断する。本実施例では、記録モードの実行時に閾値温度T1を超えている場合があり、記憶された調理メニューを再現すると、記録モードの実行時と同様に閾値温度T1を超えることがある。再現モード実行時に閾値温度T3を閾値温度とすることによって、再現モード実行時に過熱状態と判断されて加熱が停止され難くなり、ユーザの利便性を向上させることができる。また、制御部110は、ステップS110で記憶された調理メニューテータを再現する際には、再現モード実行時に閾値温度を閾値温度T1から変更せず、ステップS124で補正された調理メニューデータを再現するときのみ、再現モード実行時に閾値温度T3を閾値温度としてもよい。
(実施例3)
上記の実施例2では、記録モードの実行時に、過熱状態と判断されて加熱が停止されても、所定時間内に加熱が再開されれば、加熱が停止されなかったものとして調理メニューデータを補正したが、このような構成に限定されない。例えば、過熱状態と判断されて加熱が停止された後、検出温度が所定温度以上の状態で加熱が再開された場合に、加熱が停止されなかったものとして調理メニューデータを補正してもよい。
図7は、本実施例における加熱調理器2の制御部110によって実行される処理を示している。記録モードの処理を示すステップのうち、ステップS214~ステップS232の処理が、実施例2の図5と異なっており、再現モードの処理を示すステップS42~ステップS48と、通常モードの処理を示すステップS52の処理と、記録モードの処理を示すステップのうちのステップS102~S112の処理は、実施例2の図5と同様である。このため、ステップS42~S52及びステップS102~ステップS112処理については、詳細な説明を省略する。
図7に示すように、制御部110は、過熱状態と判断して加熱を停止すると(ステップS112)、温度センサ72で検出された加熱対象物の温度Tを取得する(S214)。次いで、制御部110は、ステップS214で取得した検出温度Tが所定温度より小さいか否かを判断する(S216)。所定温度は、ステップS212で加熱が停止されたときの温度(すなわち、閾値温度T1)から加熱対象物の温度が比較的下がっていないと判断できる温度であり、例えば、閾値温度T1より30℃低い温度である。
検出温度Tが所定温度以上の場合(ステップS216でNO)、制御部110は、ユーザによりグリルバーナ20aが再度加熱する操作が行われたか否かを判断する(S218)。再度加熱する操作が行われた場合には(ステップS218でYES)、制御部110は、記録モードによる記録を停止しない(すなわち、継続する)。図8に示すように、過熱状態となり加熱が停止されると、加熱対象物は加熱されなくなるため、加熱対象物の温度(すなわち、検出温度)は下がっていく。所定温度T4より高い温度T5まで下がった時点で加熱が再開されると、加熱対象物の温度は僅かにしか下がっていない状態で加熱が再開される。このため、制御部110は、ユーザが記録モードによる調理を続行することを所望していると判断し、記録モードによる記録を継続する。
図7に示すように、次いで、制御部110は、閾値温度を、予め設定されている閾値温度T1より高い閾値温度T3に変更し(S220)、検出温度が閾値温度T3以上か否かを判断する(S222)。検出温度が閾値温度T3以上の場合(ステップS222でYES)、制御部110は、グリルバーナ20aの加熱を停止する(S224)。検出温度が閾値温度T3より小さい場合(ステップS222でNO)、制御部110は、記録の終了が選択されたか否かを判断し(S226)、記録の終了が選択されるまでステップS222~ステップS226の処理を繰り返す(ステップS226でNO)。記録の終了が選択されると(ステップS226でYES)、制御部110は、ステップS212で加熱が停止されなかったものとして、調理メニューデータを補正する(S228)。次いで、制御部110は、ステップS210で記録が終了するまでに記録した調理メニューデータ、又は、ステップS224で補正した調理メニューデータを、通信実行部100を介して携帯端末200に送信する(S230)。なお、ステップS220~ステップS230の処理は、実施例2のステップS120~ステップS130の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
一方、検出温度が所定温度より小さい場合(ステップS216でYES)、制御部110は、記録の終了の指示を待たずに記録モードによる記録を終了し(S232)、処理を終了する。図8に示すように、時間t1で過熱状態と判断されて加熱が停止され、検出温度が、所定温度T4より低い温度T6まで下がった時点で加熱が再開されたとする。この場合、加熱対象物の温度は、かなり下がっており、加熱が停止されてからすぐに加熱が再開されたとは言えない。このため、検出温度が所定温度T4になるまでに加熱が再開されなかった場合には、加熱が再開されたか否かに関わらず、記録モードの実行を終了する。また、ステップS224において、検出温度が閾値温度T3以上となり、グリルバーナ20aの加熱が停止された場合にも、制御部110は、記録の終了の指示を待たずに記録モードによる記録を終了し(S232)、処理を終了する。この場合、記録された調理メニューデータは破棄される。
なお、上記の実施例1~3では、制御部110は、グリルバーナ20aが過熱状態であると判断したときに、グリルバーナ20aによる加熱を停止していたが、グリルバーナ20aが過熱状態であると判断した場合には、グリルバーナ20aの加熱量を元の加熱量より小さくしてもよい。
また、上記の実施例1~3では、グリルバーナ20aを利用した調理が実行される場合を例として説明したが、コンロバーナ10a、10b、10cを利用した調理が実行される場合にも、上記の実施例1~3で示した処理を適用することができる。また、上記の実施例1~3では、記録モードにより記録された調理メニュー(補正された調理メニューも含む)は、携帯端末200のメモリ212に記憶されていたが、このような構成に限定されない。例えば、記録モードにより記録された調理メニューは、加熱調理器2のメモリ120に記憶させてもよい。また、上記の実施例1~3では、調理メニュー選択操作部54、68と、記録モード指示部56、70は、加熱調理器2に設けられていたが、このような構成に限定されない。例えば、調理メニュー選択操作部及び記録モード指示部は、携帯端末200に設けられていてもよいし、調理メニュー選択操作部又は記録モード指示部のいずれか一方のみが、携帯端末200に設けられていてもよい。あるいは、調理メニュー選択操作部及び記録モード指示部は、加熱調理器2と携帯端末200の両方に設けられていてもよい。また、上記の実施例1~3では、加熱調理器2はガス燃焼式であったが、このような構成に限定されない。例えば、加熱調理器は、誘導加熱コイルによって加熱対象物を加熱してもよい。
実施例で説明した加熱調理システム1に関する留意点を述べる。実施例のコンロバーナ10a、10b、10c及びグリルバーナ20aは、「加熱部」の一例であり、温度センサ12a、12b、12c、72は、「温度検出部」の一例であり、メモリ212は、「記憶部」の一例である。
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。