JP7426884B2 - 導電性粒子、その製造方法及びそれを含む導電性材料 - Google Patents

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本発明は、導電性粒子及びそれを含む導電性材料に関する。
異方性導電フィルムや異方性導電ペーストといった異方性導電材料の導電性材料として用いられる導電性粒子としては、一般に芯材粒子の表面に金属からなる導電層を形成したものが知られており、この導電層により電極や配線間の電気的な接続を行っている。
一般的に、芯材粒子の表面に金属からなる導電層を形成する際、芯材粒子と導電層との密着性を高めるために、予め芯材粒子に対して、表面を改質して濡れ性を高める親水化処理が行われている。
親水化処理としては、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、プラズマ処理等が挙げられる。これらの中、酸処理として、例えば特許文献1の比較例には、芯材粒子をクロム酸処理することが記載されている。特許文献2の実施例には、芯材粒子を過マンガン酸カリウムにより処理することが記載されている。特許文献3には、クロム酸及び過マンガン酸カリウムを主成分とする混合液により芯材粒子を親水化処理することが記載されている。
WO2010/032854号パンフレット WO2017/222010号パンフレット WO2006/071072号パンフレット
特許文献1~3に記載されているように、酸処理により芯材粒子の親水化を行うことは一般的である。しかし、酸処理のうち過マンガン酸塩による親水化は導電層に突起を形成する場合、該突起が形成されにくいといった問題があった。また、芯材粒子の酸処理は親水化の他に、粒子硬さを調整する側面もあるが、過マンガン酸塩による酸処理は粒子硬さの調整には不向きであった。また、クロム酸などのクロム化合物による親水化は、導電層を形成するために行う無電解めっきの触媒毒として作用するクロムが芯材粒子に残存し、芯材粒子と導電層の密着性に劣る場合があった。
したがって本発明の目的は、従来よりも芯材粒子と導電層の密着性及び突起形成能に優れ、芯材粒子の硬さが微調整されることにより、所望の特性を有する導電性粒子を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、濡れ性の指標となるRsp値が特定範囲であり、更に残存クロム量が特定範囲にある芯材粒子を用いることで、芯材粒子と導電層の密着性及び突起形成能に優れつつ、芯材粒子の硬さが調整された導電性粒子が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、表面にクロム化合物が存在し且つ該表面が親水性である芯材粒子の該表面に導電層が形成されている導電性粒子であって、パルスNMR粒子界面特性評価装置を用いて測定した芯材粒子のRsp値が0.1以上1.5以下であり、芯材粒子を純水で120分間煮沸して抽出されるクロム量が、芯材粒子の重量基準で1ppb以上200ppb以下である導電性粒子を提供するものである。
また本発明は、クロム化合物で親水化処理した芯材粒子の表面に導電層を形成する導電性粒子の製造方法であって、芯材粒子の親水化処理を、芯材粒子のスラリーにクロム化合物を添加することで行うことを特徴とする導電性粒子の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、芯材粒子と導電層の密着性の良好な導電性粒子及びその製造方法を提供することができる。
図1は、実施例2で得られた導電性粒子のSEM画像である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の導電性粒子は、クロム化合物で親水化処理された芯材粒子の表面に導電層が形成されているものであり、パルスNMR粒子界面特性評価装置を用いて測定した芯材粒子のRsp値が0.1以上1.5以下であり、芯材粒子を純水で120分間煮沸して抽出されるクロム量が、芯材粒子の重量基準で1ppb以上200ppb以下であることを特徴とする。
本発明で用いる芯材粒子は、パルスNMR粒子界面特性評価装置を用いて測定したRsp値が、好ましくは0.1以上1.5以下、更に好ましくは0.2以上1.0以下である。Rsp値は、芯材粒子と水との親和性を表し、以下の式(1)により算出される値である。
Rsp=(Rav-Rb)/Rb (1)
ここで、Ravは測定試料となる芯材粒子が存在する水溶媒の緩和時間の逆数を表し、Rbはブランクとなる水の緩和時間の逆数を表す。このRsp値は、大きいほど親水性が高いことを示すものであるが、上記範囲とすることで、芯材粒子と導電層の密着性に優れるという効果を得ることができる。
本発明で用いる芯材粒子は、クロム化合物で親水化処理されたものであるため、少なくともその表面にクロム化合物が存在しており、純水で120分間煮沸して抽出されるクロム量が、芯材粒子の重量基準で、好ましくは1ppb以上200ppb以下、更に好ましくは10ppb以上150ppb以下である。クロムは導電層を形成するために行う無電解めっきの触媒毒として作用するが、この範囲の残存クロム量とすることで、導電層の形成不良が発生し難く、また突起を形成し易くなるといった利点がある。
本発明における導電性粒子は、芯材粒子の表面に、導電性材料からなる導電層が形成されることによって、粒子表面が導電性を有するものとなっている。このような構成とすることで、電子回路の形成時における電気的接続の際に、導電性粒子に適度な弾性を発現させつつ、電極との導通性を高めることができる。
前記導電層は、芯材粒子の表面全体を満遍なく連続して被覆していてもよく、或いは、導電性が確保できる限りにおいて、芯材粒子の表面の一部のみを被覆していてもよい。前者の場合、導電性粒子は芯材粒子の表面の全域が金属によって完全に被覆されて、芯材粒子の粒子表面が露出していない状態になっている。後者の場合、導電性粒子は、その表面が下地である芯材粒子の構成成分からなる部位と、金属からなる部位とから構成される。導電層が芯材粒子の粒子表面の一部のみを被覆している場合、被覆部位が連続した皮膜であってもよく、海島状に不連続な皮膜であってもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。また、導電層は、単層構造であってもよく、複数層からなる積層構造であってもよく、又はこれらの構造の組み合わせであってもよい。いずれの場合であっても、導電層は芯材粒子の表面に直接密着して形成されていることが好ましい。
芯材粒子の構成成分としては、無機物及び有機物を特に制限なく用いることができる。芯材粒子の形状は、例えば、球状、繊維状、中空状、板状、針状、不定形状等が挙げられる。これらのうち、芯材粒子の充填性及び芯材粒子への導電層の形成を効率よく行う観点から、好ましくは球状である。芯材粒子は、その表面に複数の突起を有するものであってもよい。以下の説明では、特に断りのない限り、芯材粒子として、球状粒子を用いた実施形態として説明する。
芯材粒子に用いられる無機物としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、パラジウム等の金属又はこれらの合金、ハンダ等の金属化合物、ガラス、セラミック、シリカ、金属又は非金属の酸化物の無水物又は含水物、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
芯材粒子に用いられる有機物としては、例えば、天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
芯材粒子は、上述した無機物又は有機物のいずれか一方からなる材質で構成されていてもよく、これに代えて、無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されていてもよい。芯材粒子が無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されている場合、芯材粒子における無機物及び有機物の存在態様としては、例えば、無機物からなるコアと、該コアの表面を被覆する無機物からなるシェルとを備える態様、あるいは、有機物からなるコアと、該コアの表面を被覆する無機物からなるシェルとを備える態様等のコアシェル型の構成等が挙げられる。これらのほか、一つの芯材粒子中に、無機物と有機物が混合されているか、あるいはランダムに融合しているブレンド型の構成等が挙げられる。
特に、芯材粒子は、樹脂を用いることが好ましく、熱可塑性樹脂を用いることがより好ましい。このような材質からなる芯材を用いることによって、粒子同士の分散安定性を高めることができ、また、電子回路の電気的接続の際に、適度な弾性を発現させて導通性を高めることができる。
導電性粒子の表面に導電層となる導電性を発現させるために用いられる導電性材料としては、例えば、金、白金、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、コバルト、インジウム、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン等の金属又はこれらの合金、ITO、ハンダ等の金属化合物等が挙げられる。これらの材料は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
導電時の電気抵抗を低くしつつ、導通信頼性を高める観点から、導電性粒子の導電層は、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ハンダ、金合金、銀合金、銅合金、ニッケル合金及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一種の導電性材料を含んで構成されることが好ましく、ニッケル、金、ニッケル合金及び金合金から選ばれる少なくとも一種の導電性材料を、導電性粒子の表面に含むことが更に好ましい。同様の観点から、導電層が複数層からなる積層構造である場合には、導電層の最外層が、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ハンダ、金合金、銀合金、銅合金、ニッケル合金及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一種の導電性材料を含んで構成されることが好ましく、ニッケル、金、ニッケル合金及び金合金から選ばれる少なくとも一種からなることが更に好ましい。
導電性粒子の形状は、芯材粒子の形状にもよるが、特に制限はない。導電性粒子の形状としては、例えば、球状、繊維状、中空状、板状、針状、不定形状等が挙げられる。これらのうち、充填性及び接続性を優れたものとする観点から、導電性粒子の形状は、球状であるか、又は表面に突起を有する形状であることが好ましい。導電性粒子が表面に突起を有する形状である場合、表面に複数の突起を有することが好ましく、球の表面に複数の突起を有することが更に好ましい。導電性粒子が複数の突起を有する形状である場合、導電性粒子の突起は、複数の突起を有する芯材粒子によって形成されていてもよく、芯材粒子が突起を有さず、導電層が複数の突起を有することによるものであってもよい。
導電性粒子がその表面に突起を有する場合、突起の高さは、好ましくは20nm以上500nm以下、更に好ましくは50nm以上400nm以下である。突起の数は、導電性粒子の粒径にもよるが、導電性粒子一つ当たり、好ましくは1個以上20000個以下、更に好ましくは5個以上5000個以下であることが、導電性粒子の導電性を一層向上させる点で有利である。また、突起の基部の長さは、好ましくは5nm以上500nm以下、更に好ましくは10nm以上400nm以下である。突起の基部の長さは、粒子の断面視における電子顕微鏡像を用いて測定したときに、突起が形成されている部位における導電性粒子の表面に沿う長さをいい、突起の高さは、突起の基部から突起頂点までの最短距離をいう。なお、一つの突起に複数の頂点がある場合は、最も高い頂点をその突起の高さとする。突起の基部の長さ及び突起の高さは、電子顕微鏡により観察された20個の異なる粒子について測定した算術平均値とする。
芯材粒子の表面に形成される導電層の厚さは、好ましくは0.001μm以上2μm以下、更に好ましくは0.01μm以上1.5μm以下である。導電層が複数層からなる積層構造である場合、導電層の積層構造全体の厚さが上述した範囲であればよい。また、導電性粒子が突起を有する場合、突起の高さは、ここでいう導電層の厚さに含まないものとする。導電層の厚さは、例えば測定対象の導電性粒子を2つに切断し、その切り口の断面をSEM観察して測定することができる。
以下に本発明の導電性粒子の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、芯材粒子表面に無電解めっき法により導電層を形成する際の芯材粒子表面の親水化処理を、芯材粒子のスラリーにクロム化合物を添加することで行うことを特徴とする。
本発明において親水化処理は、液相中で、芯材粒子を分散させたスラリーの状態下に行うことが好ましい。液相は、水性又は非水性の何れも用いることができるが、取り扱い性の観点からは、水性の液相であることが好ましい。
芯材粒子を分散させるための水性の液相としては、例えば純水、イオン交換水等が挙げられる。非水性の液相としては例えばアルコール類やエーテル類が挙げられる。
芯材粒子を分散させたスラリーへのクロム化合物の添加は、クロム化合物をそのまま添加してもよいし、クロム化合物を溶解させた溶液を添加してもよい。上述した本発明の特徴であるRsp値を0.1以上1.5以下、芯材粒子を純水で120分間煮沸して抽出されるクロム量を芯材粒子の重量基準で1ppb以上200ppb以下にする観点から、クロム化合物を溶解させた溶液を添加することが好ましい。
芯材粒子を分散させたスラリーへのクロム化合物の添加時間は特に制限されないが、好ましくは20分以上、特に好ましくは20分以上300分以下でクロム化合物の全量を添加する。クロム化合物の添加速度は、一定であることが、安定した品質のものが得られ易い点で好ましい。
親水化処理の温度は、芯材粒子の表面の親水化を均一に行なう観点から、25℃以上90℃以下、更には40℃以上80℃以下であることが好ましい。
本発明におけるクロム化合物は、無水クロム酸、二クロム酸及び酸化クロムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中、首尾よく親水化を行なえる観点からクロム化合物は無水クロム酸であることが好ましい。
クロム化合物を溶解させる溶媒としては、水性又は非水性の何れも用いることができる。取り扱い性の観点からは、水性であることが好ましい。水性の溶媒としては、例えば純水、イオン交換水等が挙げられる。非水性の液相としては例えばアルコール類やエーテル類が挙げられる。
上記のようにして親水化処理された芯材粒子の表面に、無電解めっき法により導電層を形成する。以下、導電層としてニッケル-リンめっき層を形成する場合について説明する。
親水化された芯材粒子は、その表面がパラジウムイオンや銀イオンなどの貴金属イオンの捕捉能を有している。貴金属イオンの捕捉能を有するとは、貴金属イオンをキレート又は塩として捕捉し得ることをいう。
芯材粒子を塩化パラジウムや硝酸銀のような貴金属塩の希薄な酸性水溶液に分散させることよって、貴金属イオンを芯材粒子の表面に捕捉させる。貴金属塩濃度は芯材粒子の表面積1m当り1×10-7以上1×10-2モル以下の範囲とすることが好ましい。
貴金属イオンを捕捉させた芯材粒子は、系から分離して水洗する。引き続き、芯材粒子を水に懸濁させ、これに還元剤を加えて貴金属イオンの還元処理を行う。これによって芯材粒子の表面に貴金属を担持させる。還元剤としては、例えば次亜リン酸ナトリウム、水素化ほう素ナトリウム、水素化ほう素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン及びホルマリン等が挙げられる。
貴金属イオンを芯材粒子の表面に捕捉させる前に、錫イオンを粒子表面に吸着させる感受性化処理を施してもよい。錫イオンを芯材粒子の表面に吸着させるには、例えば表面改質処理された芯材粒子を塩化第一錫の水溶液に投入し所定時間撹拌すればよい。
このようにして前処理が施された芯材粒子について、導電層の形成処理を行う。導電層の形成処理として、突起部を有する導電層を形成する処理、及び表面が平滑な導電層を形成する処理の2種類があるが、本発明の目的の一つである突起形成能に優れることに鑑みて、まず、突起部を有する導電層を形成する処理について説明する。
突起部を有する導電層を形成する処理においては、以下の第1工程、及び第2工程を行う。
第1工程は、芯材粒子の水性スラリーと、分散剤、ニッケル塩、還元剤及び錯化剤などを含んだ無電解ニッケルめっき浴とを混合する無電解ニッケルめっき工程である。かかる第1工程では、芯材粒子上への導電層の形成と同時にめっき浴の自己分解が起こる。この自己分解は、芯材粒子の近傍で生じるため、導電層の形成時に自己分解物が芯材粒子表面上に捕捉されることによって、微小突起の核が生成し、それと同時に導電層の形成がなされる。生成した微小突起の核を基点として、突起部が成長する。
第1工程では、前述した芯材粒子を好ましくは0.1~500g/L、更に好ましくは1~300g/Lの範囲で水に十分に分散させ、水性スラリーを調製する。分散操作は、通常撹拌、高速撹拌又はコロイドミル若しくはホモジナイザーのような剪断分散装置を用いて行うことができる。また、分散操作においては界面活性剤などの分散剤を添加する場合もある。次いで、ニッケル塩、還元剤、錯化剤及び各種添加剤などを含んだ無電解ニッケルめっき浴に、分散操作を行った芯材粒子の水性スラリーを添加し、無電解ニッケルめっきを行う。
前記分散剤としては、例えば非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤及び/又は水溶性高分子が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンエーテル系の界面活性剤を用いることができる。両性イオン界面活性剤としては、アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルカルボキシメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのベタイン系の界面活性剤を用いることができる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ヒドロキシエチルセルロースなどを用いることができる。これらの分散剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤の使用量は、その種類にもよるが、一般に、液体(無電解ニッケルめっき浴)の体積に対して0.5~30g/Lである。特に、分散剤の使用量が液体(無電解ニッケルめっき浴)の体積に対して1~10g/Lの範囲であると、導電層の密着性が一層向上する観点から好ましい。
前記ニッケル塩としては、例えば塩化ニッケル、硫酸ニッケル又は酢酸ニッケルなどが用いられ、その濃度は0.1~50g/Lの範囲とすることが好ましい。
前記還元剤としては、例えば先に述べた貴金属イオンの還元に用いられているものと同様のものを用いることができ、目的とする下地皮膜の構成材料に基づいて選択される。還元剤としてリン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウムを用いる場合、その濃度は、0.1~50g/Lの範囲であることが好ましい。
前記錯化剤としては、例えばクエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸若しくはそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などのカルボン酸(塩)、グリシンなどのアミノ酸、エチレンジアミン、アルキルアミンなどのアミン酸、その他のアンモニウム、EDTA又はピロリン酸(塩)など、ニッケルイオンに対して錯化作用のある化合物が使用される。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その濃度は、好ましくは1~100g/L、更に好ましくは5~50g/Lの範囲である。
この段階での好ましい無電解ニッケルめっき浴のpHは、3~14の範囲である。無電解ニッケルめっき反応は、芯材粒子の水性スラリーを添加すると速やかに始まり、水素ガスの発生を伴う。第1工程は、その水素ガスの発生が完全に認められなくなった時点をもって終了とする。
第2工程は、前記の第1工程に続けて、(i)ニッケル塩、還元剤及びアルカリのうちの1種を含む第1の水溶液と、残りの2種を含む第2の水溶液を用いるか、又は(ii)ニッケル塩を含む第1の水溶液と、還元剤を含む第2の水溶液と、アルカリを含む第3の水溶液とを用い、これらの水溶液をそれぞれ同時にかつ経時的に、第1工程の液に添加して無電解ニッケルめっきを行う工程である。かかる第2工程では、これらの液を添加することにより再びめっき反応が始まるが、その添加量を調整することによって、形成される導電層を所望の膜厚に制御することができる。これらの液の添加終了後、水素ガスの発生が完全に認められなくなってから暫く液温を保持しながら撹拌を継続して反応を完結させる。
前記の(i)の場合には、ニッケル塩を含む第1の水溶液と、還元剤及びアルカリを含む第2の水溶液とを用いることが好ましいが、この組み合わせに限られない。この場合には、第1の水溶液には還元剤及びアルカリは含まれず、第2の水溶液にはニッケル塩は含まれない。ニッケル塩及び還元剤としては、先に述べたものを用いることができる。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を用いることができる。前記の(ii)の場合についても同様である。
前記の(ii)の場合には、第1~第3の水溶液にニッケル塩、還元剤及びアルカリがそれぞれ含まれ、かつ各水溶液には当該成分以外の他の2成分は含まれない。
(i)及び(ii)の場合のいずれであっても、水溶液中のニッケル塩の濃度は10~1000g/L、特に50~500g/Lであることが好ましい。還元剤の濃度は、還元剤としてリン化合物を用いる場合、100~1000g/L、特に100~800g/Lであることが好ましい。還元剤としてホウ素化合物を用いる場合、5~200g/L、特に10~100g/Lであることが好ましい。還元剤としてヒドラジン又はその誘導体を用いる場合、5~200g/L、特に10~100g/Lであることが好ましい。アルカリの濃度は5~500g/L、特に10~200g/Lであることが好ましい。
第2工程は、第1工程の終了後に連続して行うが、これに代えて、第1工程と第2工程とを断続して行ってもよい。この場合には、第1工程の終了後、濾過などの方法によって芯材粒子とめっき液とを分別し、新たに芯材粒子を水に分散させて水性スラリーを調製し、そこに錯化剤を好ましくは1~100g/L、更に好ましくは5~50g/Lの濃度範囲で溶解した水溶液を添加し、分散剤を好ましくは0.5~30g/L、更に好ましくは1~10g/Lの範囲で溶解し水性スラリーを調製して、該水性スラリーに前記の各水溶液を添加する第2工程を行う方法でもよい。このようにして、突起部を有する導電層が形成できる。
本発明は、突起形成能に優れることのほか、導電層と芯材粒子との密着性に優れること、芯材粒子の硬さを調整できることといった利点を有することから、以下では表面が平滑な導電層を形成する処理についても説明する。
表面が平滑な導電層の形成は、上記突起部を有する導電層を形成する処理の第1工程における無電解ニッケルめっき浴中のニッケル塩の濃度を薄くすることで行うことができる。すなわち、ニッケル塩としては、例えば塩化ニッケル、硫酸ニッケル又は酢酸ニッケルなどが用いられ、その濃度を好ましくは0.01~0.5g/Lの範囲とする。無電解ニッケルめっき浴中のニッケル塩の濃度を薄くすること以外の上記第1工程、及び第2工程を行う方法により、表面が平滑な導電層を形成できる。
このようにして、親水化処理された芯材粒子の表面に無電解めっき法により導電層を形成することにより、本発明の導電性粒子が得られる。
本発明の導電性粒子は、後述するように導電性接着剤の導電性フィラーとして用いる場合に、導電性粒子間のショートの発生を防止するため、その表面を更に絶縁性樹脂で被覆することができる。絶縁性樹脂の被覆は、圧力等を加えない状態では導電性粒子の表面が極力露出しないように、かつ導電性接着剤を用いて2枚の電極を接着する際に加えられる熱及び圧力によって破壊され、導電性粒子の表面のうち少なくとも突起が露出するように形成される。絶縁樹脂の厚さは0.1~0.5μm程度とすることができる。絶縁樹脂は導電性粒子の表面全体を覆っていてもよいし、導電性粒子の表面の一部を覆っているだけでもよい。
絶縁樹脂としては、当該技術分野で公知のものを広く用いることができる。その一例を示せば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド-イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン)、ポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニルオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチルセルロース及び酢酸セルロースを挙げることができる。
導電性粒子の表面に絶縁被覆層を形成する方法としては、コアセルベーション法、界面重合法、in situ重合法及び液中硬化被覆法等の化学的方法、スプレードライング法、気中懸濁被覆法、真空蒸着被覆法、ドライブレンド法、ハイブリダイゼーション法、静電的合体法、融解分散冷却法及び無機質カプセル化法等の物理機械的方法、界面沈澱法等の物理化学的方法が挙げられる。
本発明の導電性粒子は、例えば異方性導電フィルム(ACF)やヒートシールコネクタ(HSC)、液晶ディスプレーパネルの電極を駆動用LSIチップの回路基板へ接続するための導電材料などとして好適に使用される。特に、本発明の導電性粒子は、導電性接着剤の導電性フィラーとして好適に用いられる。
前記の導電性接着剤は、導電性基材が形成された2枚の基板間に配置され、加熱加圧によって前記導電性基材を接着して導通する異方導電性接着剤として好ましく用いられる。この異方導電性接着剤は、本発明の導電性粒子と接着剤樹脂とを含む。接着剤樹脂としては、絶縁性で、かつ接着剤樹脂として用いられているものであれば、特に制限なく使用できる。熱可塑性樹脂及び熱硬化性のいずれであってもよく、加熱によって接着性能が発現するものが好ましい。そのような接着剤樹脂には、例えば熱可塑性タイプ、熱硬化性タイプ、紫外線硬化タイプ等がある。また、熱可塑性タイプと熱硬化性タイプとの中間的な性質を示す、いわゆる半熱硬化性タイプ、熱硬化性タイプと紫外線硬化タイプとの複合タイプ等がある。これらの接着剤樹脂は被着対象である回路基板等の表面特性や使用形態に合わせて適宜選択できる。特に、熱硬化性樹脂を含んで構成される接着剤樹脂が、接着後の材料的強度に優れる点から好ましい。
接着剤樹脂としては、具体的には、エチレン-酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-イソブチルアクリレート共重合体、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、SBSブロック共重合体、カルボキシル変性SBS共重合体、SIS共重合体、SEBS共重合体、マレイン酸変性SEBS共重合体、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、カルボキシル変性クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソブチレン-イソプレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(以下、NBRと表す。)、カルボキシル変性NBR、アミン変性NBR、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂又はシリコーン樹脂などから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせにより得られるものを主剤として調製されたものが挙げられる。これらのうち、熱可塑性樹脂としては、スチレン-ブタジエンゴムやSEBSなどがリワーク性に優れるので好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましい。これらのうち接着力が高く、耐熱性、電気絶縁性に優れ、しかも溶融粘度が低く、低圧力で接続が可能であるという利点から、エポキシ樹脂が最も好ましい。
前記のエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多価エポキシ樹脂であれば、一般に用いられているエポキシ樹脂が使用可能である。具体的なものとしては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、レゾルシン、ビスヒドロキシジフェニルエーテル等の多価フェノール類、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン等のポリアミノ化合物、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸等の多価カルボキシ化合物等とエピクロルヒドリン又は2-メチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジル型のエポキシ樹脂が例示される。また、ジシクロペンタジエンエポキサイド、ブタジエンダイマージエポキサイド等の脂肪族及び脂環族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上混合して使用することができる。
なお、上述した各種の接着樹脂としては、不純物イオン(NaやCl等)や加水分解性塩素などが低減された高純度品を用いることが、イオンマイグレーションの防止の観点から好ましい。
異方導電性接着剤における本発明の導電性粒子の使用量は、接着剤樹脂成分100質量部に対し通常0.1~30質量部、好ましくは0.5~25質量部、より好ましくは1~20質量部である。導電性粒子の使用量がこの範囲内にあることにより、接続抵抗や溶融粘度が高くなることが抑制され、接続信頼性を向上させ、接続の異方性を十分に確保することができる。
前記の異方導電性接着剤には、上述した導電性粒子及び接着剤樹脂の他に、当該技術分野において、公知の添加剤を配合することができる。その配合量も当該技術分野において公知の範囲内とすることができる。他の添加剤としては、例えば粘着付与剤、反応性助剤、エポキシ樹脂硬化剤、金属酸化物、光開始剤、増感剤、硬化剤、加硫剤、劣化防止剤、耐熱添加剤、熱伝導向上剤、軟化剤、着色剤、各種カップリング剤又は金属不活性剤などを例示することができる。
粘着付与剤としては、例えばロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、クマロン-インデン樹脂、スチレン系樹脂、イソプレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。反応性助剤すなわち架橋剤としては、例えばポリオール、イソシアネート類、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウトロピン類、アミン類、酸無水物、過酸化物などが挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤としては、1分中に2個以上の活性水素を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的なものとしては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタフェニレンジアミン、ジシアンジアミド、ポリアミドアミン等のポリアミノ化合物;無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の有機酸無水物;フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上混合して使用することができる。また、必要に応じて潜在性硬化剤を用いてもよい。使用できる潜在性硬化剤としては、例えば、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素-アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等及びこれらの変性物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上の混合体として使用できる。
前記の異方導電性接着剤は、当該技術分野において通常使用されている製造装置を用い製造される。例えば、本発明の導電性粒子及び接着剤樹脂並びに必要に応じ硬化剤や各種添加剤を配合し、接着剤樹脂が熱硬化性樹脂の場合は有機溶媒中で混合することにより、熱可塑性樹脂の場合は接着剤樹脂の軟化点以上の温度で、具体的には好ましくは約50~130℃程度、更に好ましくは約60~110℃程度で溶融混練することにより製造される。このようにして得られた異方導電性接着剤は、塗布してもよいし、フィルム状にして適用してもよい。
以下、実施例により本発明を更に説明する。しかしながら本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。例中の特性は下記の方法により測定した。
(1)芯材粒子のRsp値の測定
純水20mLに芯材粒子0.05g及び界面活性剤(花王(株)製、エマルゲン430)1mLを加え、ホモジナイザーで分散して試料溶液を得た。得られた試料溶液500μLをパルスNMR粒子界面特性評価装置(Xigo nanotools製 Acorn Area)により芯材粒子の緩和時間を測定した。また、ブランクとして上記界面活性剤1mLを純水に添加した溶液の緩和時間を測定し、次式により緩和時定数Rsp値を求めた。
Rsp=(Rav-Rb)/Rb
(ただし、Ravは芯材粒子の緩和時間の逆数であり、Rbは純水の緩和時間の逆数である。)
(2)芯材粒子の残存クロム量
芯材粒子100mgを純水50mLに分散し120分間煮沸後、芯材粒子を濾過して得られた濾液を試料溶液とした。この試料溶液のクロム濃度を原子吸光分析装置((株)日立ハイテクサイエンス製、ZA3000)により測定し、芯材粒子の残存クロム量を算出した。
(3)芯材粒子の硬さ
微小圧縮試験機MCTM-500((株)島津製作所製)を用いて、芯材粒子を負荷速度2.275mN/秒の条件で圧縮し、芯材粒子の粒子径の10%圧縮変形させたときの圧縮硬さ(10%K値)を測定した。
〔実施例1〕
平均粒子径3μmの球状スチレン系樹脂粒子を芯材粒子として用いた。この芯材粒子の10%K値は7000N/mmであった。25℃の純水100mLに芯材粒子20gを加え、30分間撹拌して芯材粒子の分散液を得た。この分散液を50℃に昇温後、50℃の50質量%無水クロム酸水溶液(日本化学工業(株)製)600mLを60分かけて滴下した。その後、25℃まで冷却して芯材粒子を濾過、水洗して親水化した芯材粒子を得た。この芯材粒子のRsp値、残存クロム量及び10%K値を測定した結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1と同じ平均粒子径3μmの球状スチレン系樹脂粒子を芯材粒子として用いた。25℃の純水100mLに芯材粒子20gを加え、30分間撹拌して芯材粒子の分散液を得た。この分散液を、50質量%無水クロム酸水溶液(日本化学工業(株)製)600mLに加え、50℃まで昇温し、60分間保持した。その後、25℃まで冷却して芯材粒子を濾過、水洗して親水化した芯材粒子を得た。この芯材粒子のRsp値、残存クロム量及び10%K値を測定した結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1と同じ平均粒子径3μmの球状スチレン系樹脂粒子を芯材粒子として用いた。25℃の純水100mLに芯材粒子20gを加え、30分間撹拌して芯材粒子の分散液を得た。この分散液を50℃に昇温後、50℃の40質量%過マンガン酸ナトリウム水溶液(日本化学工業(株)製)と23.7%水酸化ナトリウム水溶液の混合液500mLを60分かけて滴下した。その後、25℃まで冷却して芯材粒子を濾過、水洗して親水化した芯材粒子を得た。この芯材粒子のRsp値及び10%K値を測定した結果を表1に示す。
Figure 0007426884000001
表1の結果から、実施例1の親水化で得られた芯材粒子は、親水化前の芯材粒子に比べて柔らかくなっており、本発明の方法により硬さの調整を行うことができることが判る。比較例1の親水化で得られた芯材粒子も、実施例1と同様に親水化前の芯材粒子に比べて柔らかくなっており、硬さの調整を行うことは可能である。しかし、比較例2の親水化で得られた芯材粒子は、親水化前の芯材粒子とほぼ同じ硬さであり、硬さの調整を行うことが困難であることが判る。
〔実施例2〕
(1)前処理
実施例1で得られた芯材粒子に純水を加えた後、濾過し、一回リパルプ水洗した芯材粒子を200mLのスラリーにした。このスラリーへ塩化第一錫0.1gを投入した。常温で5分間撹拌し、錫イオンを芯材粒子の表面に吸着させる感受性化処理を行った。引き続きこの水溶液を濾過し、一回リパルプ水洗した芯材粒子を200mLのスラリーにして60℃に維持した。このスラリーへ0.11mol/Lの塩化パラジウム水溶液1.5mLを投入した。60℃で5分間撹拌し、パラジウムイオンを芯材粒子の表面に捕捉させる活性化処理を行った。引き続きこの水溶液を濾過し、一回リパルプ湯洗した芯材粒子を100mLのスラリーにし、0.5g/Lジメチルアミンボラン水溶液10mLを加え、超音波を与えながら2分間撹拌して前処理済み芯材粒子のスラリーを得た。
(2)めっき浴の調整
5g/Lの酒石酸ナトリウム、2g/Lの硫酸ニッケル六水和物、10g/Lのクエン酸3ナトリウム、0.1g/Lの次亜リン酸ナトリウム、及び2g/Lのポリエチレングリコールを溶解した水溶液からなる無電解ニッケル-リンめっき浴3Lを調整し、70℃に昇温した。
(3)無電解めっき処理
この無電解めっき浴に、前記前処理済み芯材粒子のスラリーを投入し、5分間撹拌して水素の発泡が停止するのを確認した。
このスラリーに、224g/Lの硫酸ニッケル水溶液420mLと、210g/Lの次亜リン酸ナトリウム及び80g/Lの水酸化ナトリウムを含む混合水溶液420mLを、添加速度はいずれも2.5mL/分として定量ポンプによって連続的に分別添加し、無電解めっきを開始した。
硫酸ニッケル水溶液と、次亜リン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの混合水溶液のそれぞれ全量を添加した後、70℃の温度を保持しながら5分間撹拌を継続した。次いで液を濾過し、濾過物を3回洗浄した後、110℃の真空乾燥機で乾燥して、ニッケル-リン合金皮膜を有する導電性粒子を得た。得られた導電性粒子のSEM画像を図1に示す。
〔比較例3〕
比較例1で得られた親水化した芯材粒子を、実施例2の(1)前処理、(2)めっき浴の調整、及び(3)無電解めっき処理のそれぞれと同じ方法で行い、導電性粒子を得た。
〔比較例4〕
比較例2で得られた親水化した芯材粒子を、実施例2の(1)前処理、(2)めっき浴の調整、及び(3)無電解めっき処理のそれぞれと同じ方法で行い、導電性粒子を得た。
〔評価〕
実施例2及び比較例4~5で得られた導電性粒子を用いて、導電層の密着性及び突起形成能の評価を以下の方法で行った。
(1)導電層の密着性
導電性粒子0.5gと、直径1.0mmのジルコニアボール20gと、エタノール20gとをポリ容器に入れ、ボールミル処理機を用いて、200rpmで10分間回転処理した。その後、濾過、乾燥して導電性粒子を得た。得られた導電性粒子のうち200個を走査型電子顕微鏡で観察し、導電層の密着性を以下の通りに評価した。
○:導電層の剥がれが0個
×:導電層の剥がれが1個以上
(2)突起形成能の評価
走査型電子顕微鏡(SEM)画像により、得られた導電性粒子の突起の数を、目視で数えることにより評価した。結果を表2に示す。なお、表中の評価は下記のことを示す。
○:導電性粒子1個当たりの突起の数が10個以上
×:導電性粒子1個当たりの突起の数が10個未満
Figure 0007426884000002
表2の結果から、実施例2で得られた導電性粒子の方が、比較例3で得られた導電性粒子(Rsp値が範囲外である比較例1の芯材粒子を使用)と比べて、導電層の密着性に優れていることが判る。また、実施例2で得られた導電性粒子の方が、比較例4で得られた導電性粒子(親水化処理を過マンガン酸ナトリウムで行った比較例2の芯材粒子を使用)と比べて、突起形成能に優れていることが判る。


Claims (4)

  1. 表面にクロム化合物が存在し且つ該表面が親水性である芯材粒子の該表面に導電層が形成されている導電性粒子であって、パルスNMR粒子界面特性評価装置を用いて測定した芯材粒子のRsp値が0.1以上1.5以下であり、芯材粒子を純水で120分間煮沸して抽出されるクロム量が、芯材粒子の重量基準で1ppb以上200ppb以下である導電性粒子。
  2. 前記導電層が外表面に突起を有する請求項1に記載の導電性粒子。
  3. 前記導電層がニッケル又はニッケル合金である請求項1又は2に記載の導電性粒子。
  4. 請求項1ないし3の何れか1項に記載の導電性粒子と絶縁性樹脂とを含む導電性材料。
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