〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1~7に基づいて以下説明する。
〔概要〕
まず、本実施形態のロボット掃除機の概要を図1に基づいて説明する。図1は、ロボット掃除機1の特徴的動作を示す図である。ロボット掃除機1は、直方体状の筐体を有し、自律移動しつつ清掃対象面(例えば床面)の集塵を行う。また、このような掃除のための機能に加えて、ユーザの行動に対する応答動作として複数種類のジェスチャ動作を行う機能を備えている。より詳細には、ロボット掃除機1は、非清掃動作時(清掃のための構成要素(回転ブラシや送風ファン用モータ等)を動作させていない動作モード)にユーザとのコミュニケーションのためのジェスチャ動作を行う機能を備えている。
具体的には、ロボット掃除機1は、同図の(a)に示すように、筐体の前側(ユーザに向いている側)の端部を上下させる動作(うなずき動作)を行う。うなずき動作は、ユーザの行動(例えばユーザによる掃除の開始指示)に対する応答動作として行われる。また、ロボット掃除機1は、同図の(b)に示すように、筐体の前側を左右に動かす動作(首振り動作)を行う。首振り動作もユーザの行動に対する応答動作として行われる。例えば、首振り動作は、ユーザからの指示を実行することができない場合(掃除の開始を指示されたが、バッテリの残量が不足している場合等)に行われる。
ロボット掃除機1は、ユーザの行動(例えば発話や動作等)に応じて上記のようなジェスチャ動作を行うので、ユーザは人と対話しているような感覚でロボット掃除機1とコミュニケーションを取ることができる。つまり、ジェスチャ動作を行わせることにより、ロボット掃除機1を擬人化することができる。もちろん、ユーザの行動に対するロボット掃除機1の応答動作として、音声による応答とジェスチャ動作を組み合わせることも、音声による応答だけであっても、ロボット掃除機1の擬人化に効果を奏するのは言うまでもない。
〔うなずき動作機構〕
次に、上記うなずき動作を実現するためのうなずき動作機構を図2に基づいて説明する。図2は、うなずき動作機構の一例を示す図である。ロボット掃除機1は、同図の(a)に示すように通常は筐体が設置面に対して平行な状態(姿勢)である。このとき、姿勢制御輪(姿勢制御部材)21は、ロボット掃除機1の筐体内部の姿勢制御輪収容部20に収容された状態である。
ここで、同図の(b)に示すように、姿勢制御輪21をロボット掃除機1の筐体に固定された軸を支点として回動させ、ロボット掃除機1の設置面に向けて突出させることにより、姿勢制御輪21にて筐体の前側を押し上げて、筐体を設置面に対して傾けることができる。また、ロボット掃除機1は、姿勢制御輪21を筐体の内部に戻すことにより、同図の(b)の姿勢から、同図の(a)の姿勢に戻る。よって、ロボット掃除機1は、姿勢制御輪21の出し入れを連続して行うことにより、うなずき動作を行うことができる。
なお、うなずき動作の実行は、後述の制御回路によって制御される。具体的には、制御回路は、うなずき動作と対応付けられた所定の事象の発生を検出したときに、姿勢制御輪21を上記のように駆動してロボット掃除機1にうなずき動作を実行させる。上記所定の事象はユーザの行動に関するものであれば特に限定されず、掃除に関連する事象(ユーザからの掃除の実行命令を受け付けた等)であってもよいし、掃除に関連しない事象(例えばユーザから所定の問いかけがあった等)であってもよい。なお、ユーザの同じ行動に対して、その行動が行われたときの状況に応じた応答動作を実行してもよい。例えば、ユーザがロボット掃除機1に対して「掃除して」と声をかけたときに、バッテリが十分に充電されて掃除が可能な状況であれば、音声による応答(例えば「うん!」)とうなずき動作を実行してもよい。他方、バッテリがある程度減っているが掃除が可能な状況であれば、うなずき動作のみで応答してもよい。そして、掃除ができない状況であれば音声による応答(例えば「ううん」)と首振り動作を実行してもよい。
〔各部の構成〕
次に、ロボット掃除機1の各部の構成を図3および図4に基づいて説明する。図3および図4は、ロボット掃除機1の外観の一例を示す図である。同図の(a)は斜視図、同図の(b)は正面図、同図の(c)は右側面図、そして同図の(d)は背面図である。また、図4は、ロボット掃除機1の底面側の斜視図であり、同図の(a)は姿勢制御輪21を収容した状態を示し、同図の(b)は突出させた状態を示している。
ロボット掃除機1の筐体は、図3の(a)~(d)に示すように、側板100の上部に天板101を配置し、下部に底板102を配置してなる。また、側板100の上端部と天板101との間には、天板101の全周にわたってスリット12が形成されている。
天板101は、正方形の四隅を円弧状に切り欠いた形状であり、側板100の上部開口を覆う蓋の役割を果たしている。また、詳細は後述するが、天板101の少なくとも一部は透明または半透明の素材で形成されており、筐体内部に設けられた発光部からの光が天板101を介して視認できるようになっている。つまり、天板101は、上記発光部を発光させることにより発光面となる。
側板100は、ロボット掃除機1の内部構成要素を収容する筐体の側面を構成する。側板100の上部の開口は、正方形の四隅を円弧状に切り欠いた形状であり、上述のようにこの開口と同形状の天板101にて塞がれている。また、側板100の下部の開口は、該開口と同形状の底板102にて塞がれている。側板100は、同図の(b)(c)に示すように、正面視および側面視では、何れも横長の長方形状である。なお、同図では右側面のみを示しているが、筐体の左側面は右側面と同形状である。また、同図の(d)に示すように、側板100は、背面視でも横長の長方形状であるが、背面の中央部上端から下端付近にかけて縦スリット103が形成されており、この縦スリット103を介して側板100の内部に収容された集塵容器の一部が視認できるようになっている。
スリット12は、ロボット掃除機1の筐体(具体的には天板101と側板100との間)に形成された溝状の部分である。そして、スリット12の内部には、同図の(b)(c)に示すように、複数のセンサ、具体的には近接センサ13a~13fおよび赤外線センサ14a~14cが配置されている。なお、各近接センサを区別しない場合には単に近接センサ13と呼び、同様に、各赤外線センサを区別しない場合には単に赤外線センサ14と呼ぶ。
近接センサ13は、障害物の接近を検出するためのセンサである。近接センサ13は、同図の(b)(c)に示すように、スリット12のロボット掃除機1の正面側に2つ(13cと13d)、右側面側と左側面側に各1つ(13aと13f)、前側の角部に各1つ(13bと13e)設けられている。側面側の近接センサ13aおよび13fは、ロボット掃除機1の前方寄り(正面側寄り)に配置されている。近接センサ13は、障害物の接近を検出することができるものであればよく、例えば超音波センサであってもよい。
赤外線センサ14は、充電器を検出するためのセンサであり、同図の(b)に示すように、スリット12のロボット掃除機1の正面側に3つ(14a、14b、14c)設けられている。つまり、ロボット掃除機1は、赤外線センサ14にて充電器を自動で検出し、充電器まで自動で移動して自機の充電を行う。なお、赤外線センサ14は、ロボット掃除機1を遠隔操作するための赤外線信号(例えばリモコン等によって送信される信号)の受信部を兼ねていてもよい。
このように、ロボット掃除機1では、各センサが何れも1つのスリット12内に収容されているので、各センサが個別の収容位置に分散して配置されている従来のロボット掃除機と比べて、平坦でシンプルな外観となっている。また、各センサは、天板101の側面よりも筐体の内部側に奥まった位置に配置されているので、同図の(a)に示すように、上方からは各センサが天板101の死角に入り、見えにくくなっている。このように、ロボット掃除機1では、各センサのユーザへの露出を少なくしており、これによりロボット掃除機1のデザイン性を向上させている。
なお、各センサがより目立たなくなるように、側板100の上端および天板101の側面の少なくとも何れかに光を反射する素材を配置してもよい。例えば、側板100の上端および天板101の側面に金属の縁取りをしてもよい。また、側板100の上端および天板101の側面の少なくとも何れかをメッキしてもよい。スリット12は、天板101の影になっているため、そもそもスリット12にはユーザの注意は向き難いが、ユーザの目線が向きやすい反射する素材をスリット12の近傍に配置することにより、スリット12にユーザの注意が一層向き難くすることができる。
当然ながら、スリット12内に収容されるのは、近接センサ類に限られない。光学カメラを搭載すれば、カメラ映像で障害物の検知と衝突回避が可能になり、さらには、ユーザの識別やユーザの表情の認識にも利用が可能である。また、スリット12内に、他のデバイスとして、LED照明を搭載してもよい。これにより、床面や進行方向を照らすことが可能になる。この他、スリット12内にプロジェクタを搭載してもよい。プロジェクタを用いることにより、ユーザに映像を見せることが可能になるので、ロボット掃除機1とユーザとのコミュニケーションの幅を広げることが可能になる。何れのデバイスにしても、スリット12内に配置することにより、そのデバイスを目立たなくすることができるので、ロボット掃除機1のデザイン性を向上させることができる。
また、ロボット掃除機1の高さ(側板100の下端から天板101の上端まで)と幅との比は、黄金比(1:1.618)に等しいか、または黄金比に近い比とすることが好ましい。これにより、ロボット掃除機1を安定感のある美しい外観とすることができる。また、床面に置いたロボット掃除機1をユーザが上方から見下ろした場合には、実際の高さよりも低く見えることを考慮して、黄金比よりも高さが高めになるようにしてもよい。なお、図3の(c)に示す駆動輪16bおよび、同図の(b)~(d)に示すキャスター17a~17dについては、図4に基づいて以下で説明する。
続いて、図4に基づいてロボット掃除機1の底面を説明する。図示のように、底板102は、側板100の外周よりも一回り小さく構成されている。このため、図3の(a)に示したように、ロボット掃除機1を上方から見た場合、底板102は天板101および側板100の死角に入って見えにくくなる。これにより、ロボット掃除機1の外観は、シンプルですっきりとしたものとなっている。
また、ロボット掃除機1の底面では、駆動輪16aおよび16b(各駆動輪を区別しない場合には単に駆動輪16と呼ぶ)が、底板102の開口部から露出している。そして、底板102の四隅には、キャスター17a~17d(各キャスターを区別しない場合には単にキャスター17と呼ぶ)が設けられている。図示のキャスター17は、ボールキャスターであり、駆動輪16によってロボット掃除機1が移動するのに応じてボール部分が回転し、ロボット掃除機1を滑らかに移動させる。無論、キャスター17は、静止中および移動中のロボット掃除機1を支持するものであればよく、ボールキャスターに限られない。
ロボット掃除機1は、駆動輪16およびキャスター17で支持されており、駆動輪16を駆動することにより、任意の方向に移動することができる。また、首振り動作も駆動輪16の駆動によって実現できる。具体的には、駆動輪16aを順回転させながら、駆動輪16bを逆回転させる動作と、駆動輪16aを逆回転させながら、駆動輪16bを順回転させる動作とを連続して行うことにより、首振り動作が実現される。なお、首振り動作の実行は、後述の制御回路によって制御される。具体的には、制御回路は、首振り動作と対応付けられた所定の事象の発生を検出したときに、駆動輪16を上記のように駆動してロボット掃除機1に首振り動作を実行させる。上記所定の事象はユーザの行動に関するものであれば特に限定されず、掃除に関連する事象(集塵容器が一杯で掃除を実行できないときに掃除の実行を命令された等)であってもよいし、掃除に関連しない事象(例えばユーザから所定の問いかけがあった等)であってもよい。
さらに、底板102におけるキャスター17aと17bの間には、吸込口18が形成されており、吸込口18内には回転ブラシ19が配置されている。ロボット掃除機1は、回転ブラシ19を回転させながら、吸込口18からゴミを吸引する。
そして、底板102の中央前方(吸込口18側)寄りの位置には、姿勢制御輪収容部20が開口しており、図4の(a)に示すように、姿勢制御輪収容部20の内部には姿勢制御輪21が収容されている。また、姿勢制御輪21は、上述のうなずき動作を行う際には、同図の(b)に示すように姿勢制御輪収容部20の外側に突出する。より詳細には、姿勢制御輪21は、先端部に車輪が設けられ、基部にてロボット掃除機1と回動可能に接続されている。そして、上記接続の軸にて回動することにより、先端部が円弧状に移動して、姿勢制御輪収容部20の外側に突出する。姿勢制御輪21は、突出時に接地する先端部が車輪になっているので、上記回動の際にロボット掃除機1を後方に押し出す力を該車輪の回転によって逃がすことができる。よって、うなずき動作の際に、ロボット掃除機1が後方に移動することを防ぎ、同じ位置で安定したうなずき動作を行うことが可能になっている。
〔排気口〕
次に、ロボット掃除機1の排気口を図5に基づいて説明する。図5は、天板101を外したロボット掃除機1の斜視図である。なお、同図では、筐体内部の構成の図示は省略している。
図示のように、側板100の内側には、透明の内部側板104が設けられている。内部側板104は、側板100と天板101との間にスリット12を形成するために、側板100の全周にわたって設けられている。また、内部側板104は、筐体の内部に異物が侵入することを防ぐ役割も果たしている。つまり、図3の(d)に示した縦スリット103の部分も内部側板104がカバーしている。なお、近接センサ13および赤外線センサ14は、内部側板104よりも筐体の内部側に配置されているため、内部側板104は、これらセンサの検出の妨げとならないような素材および形状とする。例えば、近接センサ13として超音波センサを用いる場合には、内部側板104に開口を設け、当該開口を介して超音波の送受信ができるようにする。
そして、この内部側板104には、2カ所の排気口105aおよび105b(各排気口を区別しない場合には単に排気口105と記載する)が設けられている。具体的には、ロボット掃除機1の左側面中央部には、内部側板104に複数の孔を穿ってなる排気口105aが設けられている。同様に、ロボット掃除機1の右側面中央部には、排気口105bが設けられている。これら排気口105は、筐体内部の排気流路(詳細は後述する)に接続されており、掃除動作時には、排気流路を通過した排気が排気口105から排出される。
〔内部構成〕
次に、ロボット掃除機1の内部構成を図6および図7に基づいて説明する。図6は、天板101を外したロボット掃除機1の一部透過上面図であり、図7は、ロボット掃除機1の一部透過側面図である。
図6および図7に示すように、ロボット掃除機1の後方中央部には集塵容器30が配置されている。このように、集塵容器30をロボット掃除機1の後方側端部に配置することにより、ロボット掃除機1のうなずき動作時に集塵容器30が上下に大きく揺れる。これにより、集塵容器30内の綿ゴミを集塵容器30の底部に落とすことができる。また、集塵容器30の上下動によって、集塵容器30の底部に溜まったゴミ間の隙間が埋まるので、ゴミの嵩を減らすことができる。つまり、ロボット掃除機1のうなずき動作により、集塵容器30のゴミの収容量(重量)を増やすことができる。これにより、ユーザが集塵容器30内のゴミを捨てる回数を減らすことができる。また、ユーザが集塵容器30内のゴミを廃棄する際に、集塵容器30の蓋などから綿ゴミが舞い上がることを防ぐこともできる。なお、図示の例では、ロボット掃除機1の後方中央部に集塵容器30を配置している。このように、筐体の後方(あるいは前方)の端部付近に集塵容器30を配置することにより、集塵容器30を大きく上下に揺らすことができるので、ゴミの嵩を減らす効果を高めることができる。ただし、集塵容器30を筐体の中央付近に配置したとしても、うなずき動作により集塵容器30は揺れるので、ゴミの嵩を減らす効果を得ることはできる。このように、うなずき動作によりゴミの嵩を減らすことができるから、うなずき動作はユーザとのコミュニケーションを行っていないときに実行してもよい。例えば、集塵容器30内のゴミの量(体積)が所定量を超えたことを検出したときにうなずき動作を行って、ゴミの嵩を減らしてもよい。
また、図6に示すように、ロボット掃除機1の内部には、ロボット掃除機1の左側面中央部の排気口105aから、右側面中央部の排気口105bまでをつなぐ排気流路31が設けられている。この排気流路31の中央左寄りの位置の内部には送風ファン33が配置されており、この部位の排気流路31は、送風ファン33の形状に合わせて円形に膨らんでいる。また、排気流路31は、排気管32を介して集塵容器30と接続している。排気管32は、図7に示すように送風ファン33の真下の位置に接続していると共に、図6に示すように集塵容器30の側方の排気管接続部30aに接続している。
送風ファン33の回転軸の端部は、図7に示すように排気流路31の上部に露出しており、該端部と送風ファン用モータ34の回転軸との間はベルトで接続されている。これにより、送風ファン用モータ34の回転がベルトによって送風ファン33に伝達され、送風ファン33が回転する。このように、ベルトを介して送風ファン用モータ34の回転力を送風ファン33に伝達する構成とすることにより、送風ファン用モータ34と送風ファン33を直接接続する構成と比べて、送風ファン33の頂部から送風ファン用モータ34の底部までの高さを低く抑えることができる。
送風ファン33は、遠心ファンであり、送風ファン33の半径方向外方へ空気を送り出す。すなわち、送風ファン33は、排気管32を介して集塵容器30内の空気を吸引し、排気流路31を介して排気口105aおよび105bのそれぞれから排出する。
また、集塵容器30の吸気管接続部30bには吸気管35が接続されている。吸気管接続部30bは、上面視で円形である集塵容器30の接線方向に空気が流入するように、集塵容器30の右端の位置に設けられている(図6参照)。また、図7に示すように、吸気管接続部30bは、集塵容器30の下方の位置に設けられている。一方、吸気管35の吸気管接続部30bに接続されていない側の端部は、回転ブラシ19を覆うように広がっており、この端部の開口が吸込口18となっている。
図6および図7に示すように、回転ブラシ19の右端付近の上方には、回転ブラシ駆動モータ19aが配置されており、回転ブラシ駆動モータ19aの回転軸と、回転ブラシ19の回転軸とはベルトで接続されている。これにより、回転ブラシ駆動モータ19aの回転がベルトによって回転ブラシ19に伝達され、回転ブラシ19が回転し、床面上のゴミを掻き出して吸込口18内に誘導する。このように、ベルトを介して回転ブラシ19を回転させる構成とすることにより、図7に示すように回転ブラシ駆動モータ19aを回転ブラシ19の上方に配置することができ、これにより回転ブラシ19の幅を広く取ることが可能になっている。
なお、従来の一般的なロボット掃除機は、筐体の形状が上面視で円形であり、この円形の筐体が邪魔をして部屋の隅まで吸込口を近付けることができず、それゆえ部屋の隅のゴミを掻き出すサイドブラシを備えていた。これに対し、ロボット掃除機1は、筐体の形状が上面視で矩形であり、部屋の隅まで吸込口を近付けることができる。よって、ロボット掃除機1は、サイドブラシを設けることなく、部屋の隅まできれいに掃除することができる。つまり、ロボット掃除機1は、筐体の形状を矩形状とすることにより、サイドブラシおよびその駆動部の搭載を省略して部品点数を削減し、製造コストを下げることを可能にしている。また、ロボット掃除機1をコンパクトかつシンプルで美しい外観とすることも可能にしている。
送風ファン用モータ34の下方には、ロボット掃除機1の各部の動力源となるバッテリ36が配置されている。また、ロボット掃除機1の中央部付近には、円形の無接点充電用コイル37が配置されている。この無接点充電用コイル37により、無接点でバッテリ36を充電することができる。なお、図面が煩雑になることを避けるため、図6および図7ではバッテリ36からの電力をロボット掃除機1の各部に送電する配線等の構成要素、および各構成要素を筐体内で保持する部材等の図示は省略している。また、図7では、バッテリ36、無接点充電用コイル37、およびキャスター17aおよび17bの図示を省略している。
図6に示すように、姿勢制御輪21は、ロボット掃除機1の中央部の前方寄りに配置されている。そして、図7に示すように、姿勢制御輪21の上方には姿勢制御モータ21aが配置されており、姿勢制御モータ21aの回転軸と姿勢制御輪21の端部(車輪が付いていない側の端部)とは動力伝達部材21bで接続されている。姿勢制御輪21は、動力伝達部材21bの接続部と車輪との間に設けられた回転軸で底板102と接続している。そして、姿勢制御モータ21aを反時計回りに回転させると、動力伝達部材21bは上向きに動き、姿勢制御輪21は、上記回転軸を支点として反時計回りに回動して底板102の下方に露出する。一方、姿勢制御モータ21aを時計回りに回転させると、動力伝達部材21bは下向きに動き、姿勢制御輪21は、上記回転軸を支点として時計回りに回動して筐体の内部に収容される。
図6に示すように、排気流路31よりもロボット掃除機1の前方側のほぼ全面を覆うように基板40が配置されている。基板40は、左上の端部が切り欠かれた長方形状である。そして、この切欠きの部分に送風ファン用モータ34が配置されている。
基板40の上面には、近接センサ13および赤外線センサ14が配置されていると共に、発光部41が配置されている。また、図示していないが、各モータや発光部41等の各構成要素の動作を制御する制御回路(CPUおよびメモリ等を含んでいてもよい)等も基板40上に配置されている。ロボット掃除機1は、図3の(b)に基づいて説明したように、1つのスリット12内に各センサを配置しているため、これら各センサを1つの基板40上に配置することが可能になっている。ロボット掃除機1の各部の動作制御は、基本的に基板40上に配置された上記制御回路が行う。無論、ロボット掃除機1は、基板40以外の基板をさらに備えていてもよく、該基板上の制御回路にてロボット掃除機1の各部の動作制御を行ってもよい。
発光部41は、基板40の中央部の後方寄りに配置されており、基板40上に設けられた制御回路の制御に従って発光する。発光部41としては、例えばLED発光素子を適用してもよい。発光部41の直上には、天板101が配置されるが、天板101の少なくとも一部は光を透過する素材で構成されるため、発光部41の発光は天板101を通してユーザに視認される。発光部41は、ユーザへの通知(例えばユーザの操作を正常に受け付けたことの通知)等の用途で使用される。無論、発光部41の用途はこれに限られず、ユーザに対する応答動作の1つとして発光部41を所定のパターンで発光させてもよい。また、発光部41の発光は、うなずき動作や首振り動作と組み合わせてもよい。
図6に示すように、駆動輪16bの隣には、駆動輪支持部50bが配置されている。駆動輪支持部50bは、駆動輪16bを指示するものであり、回転軸53bにて底板102に接続されている。また、駆動輪支持部50bの内部には、駆動用モータ51bおよび変速器52bが収容されており、駆動用モータ51bの回転軸が変速器52bに接続されており、変速器52bの出力軸が駆動輪16bに接続されている。なお、駆動輪支持部50aは、駆動輪支持部50bと同様の構成であるから、駆動輪支持部50aの説明は省略する。
駆動輪支持部50bは、回転軸53bを支点として回動可能であるから、駆動輪支持部50bに支持されている駆動輪16bは駆動輪支持部50bと共に上下に動く。これにより、駆動輪16bが接地面から受ける衝撃を和らげることができる。つまり、駆動輪支持部50bは、ダンパーとしての機能を有する。
変速器52bは、駆動用モータ51bの回転を駆動輪16bに伝達するものであり、駆動輪16bの回転速度を切り替える機能を有している。変速器52bは、例えば複数のギアを備え、駆動輪16bの回転に使用するギアを切り替えることによって回転速度の切り替えを行うものであってもよい。変速器52bによる回転速度の切り替えも上述の制御回路によって行われる。なお、制御回路は、非清掃動作時において変速器52bを切り替え、清掃動作時よりも駆動輪16の回転速度を大きくして、高速移動モードとしてもよい。これにより、非清掃動作時に清掃動作時よりもロボット掃除機1を高速で移動させることができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図8に基づいて説明すれる。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。実施形態3以降も同様である。
図8は、本実施形態のロボット掃除機1のうなずき動作機構を説明する図である。同図の(a)には本実施形態のロボット掃除機1の底面図を示し、同図の(b)には一部透過側面図を示している。本実施形態のロボット掃除機1は、うなずき動作機構が上記実施形態のロボット掃除機1と異なっている。また、キャスター17の数も上記実施形態のロボット掃除機1と異なっている。具体的には、同図の(a)に示すように、本実施形態のロボット掃除機1は、図4の例と同様に、駆動輪16の前方側のキャスター17aおよび17bを備えているが、駆動輪16の後方側のキャスター17cおよび17dは備えていない。そして、キャスター17cおよび17dを備えていない代わりに、駆動輪16が後方寄りに配置されている。
本実施形態の駆動輪16bには、同図の(b)に示すように、ブレーキ55bが設けられており、ブレーキ55bにより駆動輪16bの回転を止めることができるようになっている。なお、図示していないが、駆動輪16aにも同様のブレーキ55aが設けられており、ブレーキ55aの制御もブレーキ55bと同様にして行われる。
本実施形態のロボット掃除機1は、うなずき動作を行う際に、同図の(b)に示すように、ブレーキ55bにて駆動輪16bの回転を止めた状態にて、駆動用モータ51bを逆回転(後方に進むときの回転方向への回転、同図における時計回りの回転)させる。このときに、ブレーキ55bの作用により駆動輪16bは回転しないため、駆動用モータ51bおよび駆動用モータ51bが取り付けられた底板102には、上記の回転方向とは逆向きの力がかかる。これにより、図示のように、ロボット掃除機1は、駆動輪16bの接地点を支点として駆動用モータ51bの回転方向に回動し、キャスター17bが持ち上がる。この後、ブレーキ55bを解除するか、駆動用モータ51bを順回転させることにより、キャスター17bが接地した状態に戻る。本実施形態のロボット掃除機1は、このようにしてうなずき動作を実現している。
〔実施形態3〕
本実施形態では、上記各実施形態とは異なるうなずき動作機構にてうなずき動作を行うロボット掃除機1について図9に基づいて説明する。図9は、本実施形態のロボット掃除機1のうなずき動作機構を説明する図である。同図の(a)(b)には本実施形態のロボット掃除機1の一部透過側面図を示している。
図示のように、本実施形態のロボット掃除機1のキャスター17bには、キャスター押し出し機構(姿勢制御部材)61が接続されており、キャスター押し出し機構61にはキャスター押し出し用モータ60が接続されている。キャスター押し出し機構61の一端部はキャスター17bに接続されており、他端部はキャスター押し出し用モータ60に接続されている。なお、ここではキャスター17bに接続されたキャスター押し出し機構61およびキャスター押し出し用モータ60について説明するが、キャスター17aにも同様のキャスター押し出し機構61およびキャスター押し出し用モータ60が接続されている。また、ここでは、実施形態2と同様に、ロボット掃除機1の前方側にキャスター17aおよび17bが設けられており、駆動輪16aおよび16bがロボット掃除機1の後方寄りに設けられている例を説明する。しかしながら、実施形態1と同様に、キャスター17a~17dを備えた構成としてもよく、また、駆動輪16およびキャスター17をこれら以外の配置としてもよい。
そして、図9の(a)(b)に示すように、キャスター押し出し用モータ60を時計回りに回転させることにより、キャスター押し出し機構61は下向きに移動してキャスター17bを同図の(b)に示すように下方に突出させる。これにより、ロボット掃除機1の前方側が持ち上がる。また、キャスター押し出し用モータ60を反時計回りに回転させることにより、キャスター押し出し機構61は上向きに移動してキャスター17bが同図の(a)の位置に戻る。よって、ロボット掃除機1は、キャスター押し出し用モータ60の時計回りの回転と、反時計回りの回転とを連続して行うことにより、うなずき動作を行うことができる。
〔実施形態4〕
本実施形態では、上記各実施形態とは異なるうなずき動作機構にてうなずき動作を行うロボット掃除機1について図10に基づいて説明する。図10は、本実施形態のロボット掃除機1のうなずき動作機構を説明する図である。同図の(a)(b)には本実施形態のロボット掃除機1の一部透過側面図を示している。
図10の(a)(b)に示すように、本実施形態のロボット掃除機1の内部(底板102の中央部付近)にはうなずき動作用モータ70が配置されており、その回転軸71は側板100に接続されている。同図の(a)に示すように、うなずき動作用モータ70を時計回りに回転させると、回転軸71に接続された側板100および天板101も時計回りに回転し、ロボット掃除機1の前方側が持ち上がる。つまり、本実施形態のロボット掃除機1では、側板100および天板101が、回転軸71を支点として回動可能なように保持されている。また、同図の(b)に示すように、うなずき動作用モータ70を反時計回りに回転させると、回転軸71に接続された側板100および天板101も反時計回りに回転し、ロボット掃除機1の後方側が持ち上がる。よって、ロボット掃除機1は、うなずき動作用モータ70の時計回りの回転と、反時計回りの回転とを連続して行うことにより、うなずき動作を行うことができる。
〔実施形態5〕
本実施形態では、上記各実施形態とは異なる首振り動作機構にて首振り動作を行うロボット掃除機1について図11に基づいて説明する。図11は、本実施形態のロボット掃除機1の首振り動作機構を説明する図である。同図の(a)(b)には本実施形態のロボット掃除機1の一部透過底面図を示している。
図11の(a)(b)に示すように、本実施形態のロボット掃除機1の内部(底板102の中央部付近)には首振り動作用モータ80が配置されており、その回転軸81は側板100に接続されている。同図の(a)に示すように、首振り動作用モータ80を反時計回りに回転させると、回転軸81に接続された側板100(および天板101)も反時計回りに回転し、ロボット掃除機1の筐体が左方を向く。つまり、本実施形態のロボット掃除機1では、側板100および天板101が、回転軸81を支点として回動可能なように保持されている。また、同図の(b)に示すように、首振り動作用モータ80を時計回りに回転させると、回転軸81に接続された側板100および天板101も時計回りに回転し、ロボット掃除機1の筐体が右方を向く。よって、ロボット掃除機1は、首振り動作用モータ80の反時計回りの回転と、時計回りの回転とを連続して行うことにより、首振り動作を行うことができる。
なお、本実施形態の首振り動作機構は、実施形態1~4の何れに記載されたうなずき動作機構と組み合わせることも可能であり、また、後記実施形態6のような駆動輪およびキャスターの配置のロボット掃除機1に適用することもできる。
〔実施形態6〕
本実施形態では、上記各実施形態とはキャスターおよび駆動輪の配置の異なるロボット掃除機1について図12に基づいて説明する。図12は、本実施形態のロボット掃除機1の底面図である。
図示のように、本実施形態のロボット掃除機1の駆動輪16は、上記各実施形態のロボット掃除機1と比べて前方側に配置されている。そして、本実施形態のロボット掃除機1のキャスター17eは、底板102の後方中央部に配置されている。つまり、本実施形態のロボット掃除機1は、底板102の前方寄りに配置された2つの駆動輪16aおよび16bと、底板102の後方寄りに配置された1つのキャスター17eとの3点で接地する。なお、図示のキャスター17eは、接地部位が車輪であるローラーキャスターであるが、ボールキャスター等の他の種類のキャスターであってもよい。
本実施形態のロボット掃除機1は、上記各実施形態のロボット掃除機1と比べて、吸込口18の側方にキャスターが設けられていない点で相違している。そして、この相違点に基づき、本実施形態のロボット掃除機1は、図示のように、ロボット掃除機1の幅と同程度の吸込口18を設けることができるようになっている。これにより、サイドブラシを設けなくとも、壁面付近や部屋の隅のゴミをより確実に吸い取ることが可能になっている。
〔実施形態7〕
〔背景技術〕にて挙示した特許文献1に記載されているように、従来のロボット掃除機の充電器は、その本体部に対してロボット掃除機を横付けにして充電を行うものが一般的である。このような従来の一般的な充電器は、非充電時には、壁面から突出した本体部が場所を取り、また充電時には本体部の横にさらにロボット掃除機が位置することになって、一層場所を取る。そして、ロボット掃除機と充電器のデザインに統一感がなく、ロボット掃除機と充電器の何れもが、これらを設置している部屋のインテリアと調和しない。本実施形態で説明する充電器(充電台あるいは充電ステーションとも呼ばれる)は、このような従来の充電器の問題点を解消するものである。
本実施形態の充電器について図13に基づいて説明する。図13は、ロボット掃除機1の充電器の例を示す斜視図である。同図の(a)に示す充電器90は、無接点方式の充電器であり、赤外線発光部91を備えている。ロボット掃除機1は、充電の際には、赤外線発光部91が発する赤外線を赤外線センサ14にて検出することにより、充電器90の位置を特定し、自動で充電器90の位置まで移動する。そして、ロボット掃除機1が充電器90の真上に乗り上げると、充電器90によるロボット掃除機1への給電が開始される。
充電器90は、ロボット掃除機1の天板101と同じく、正方形の四隅を円弧状に切り欠いた平板状の外形形状であり、サイズは天板101よりも一回り小さい。このため、充電中においては、充電器90は、ロボット掃除機1の下に収まる。よって、ロボット掃除機1を設置できるだけのスペースがあれば、そのスペースに充電器90を配置して、そこで充電を行うことができる。そして、充電時には、充電器90の全体がロボット掃除機1に隠れるので、ユーザは充電器90に目が留まることさえない。なお、必ずしも充電器90の全体が隠れる必要はなく、一部が露出していてもよい。
また、充電器90はロボット掃除機1が乗り上げられる程度に薄いため、非充電時においても邪魔になりにくい。さらに、充電器90の外観は、ロボット掃除機1の天板101と同じ形状であるから、統一感があってデザイン性が高い。これにより、ロボット掃除機1および充電器90をインテリア(家具等)に溶け込ませることができる。なお、統一感が強調されるように、天板101と充電器90は、同色または同系色とすることが好ましい。
なお、ロボット掃除機1が無接点方式の充電に対応していない場合、充電器は有接点方式とする必要がある。図13の(b)には、有接点方式の充電器95を示している。充電器95は、中央部付近に充電端子96が設けられている点が充電器90との相違点である。本充電器95にて充電するロボット掃除機1の底部には充電端子が設けられており、充電端子96は、ロボット掃除機1の底部に設けられた上記充電端子と対応する位置に設けられている。そして、ロボット掃除機1が充電器95の上に乗り上げることにより、ロボット掃除機1の底部の充電端子と充電端子96が接して充電が開始される。
〔変形例〕
上述のうなずき動作は、少なくとも1回、ロボット掃除機1の前側の端部が下方に向かって動く動作であればよく、うなずき動作中に上方への動きは含まれていなくともよい。例えば、図10の例において、天板101がロボット掃除機1の設置面と平行な状態から、同図の(b)のように天板101が前方側に傾いた状態へと遷移させる動作をうなずき動作としてもよい。ただし、うなずき動作の上下方向の振れ幅が小さい場合、ユーザがうなずき動作を認識しにくいので、十分な振れ幅を確保するという観点からは、ロボット掃除機1の前側の端部を上方に動かす動作をうなずき動作に含めることが好ましい。
また、複数回連続してロボット掃除機1の前側の端部を上下に動かす動作をうなずき動作としてもよい。さらに、ロボット掃除機1は、複数パターンのうなずき動作を実行できる構成であってもよい。この場合、実行可能なパターンのうなずき動作のうち、ランダムに選択したうなずき動作を実行してもよいし、うなずき動作を行う際の状況に応じた所定のパターンのうなずき動作を実行してもよい。例えば、ロボット掃除機1のバッテリの残量が多いときには振れ幅の大きいパターンや上下動の回数が多いパターンでうなずき動作を実行し、少ないときには振れ幅の小さいパターンや上下動の回数が少ないパターンでうなずき動作を実行してもよい。このように、ロボット掃除機1の内部情報に応じたパターンでうなずき動作を実行させることにより、そのパターンのうなずき動作を見たユーザに、当該内部情報の内容(上記の例ではバッテリ残量の多寡)を認識させることができる。また、例えば、集塵容器30内のゴミの量(容積)が所定量よりも多いときには、振れ幅の大きいパターンや上下動の回数が多いパターンでうなずき動作を実行し、これによりゴミの嵩を減らすようにしてもよい。
上記各実施形態では、非清掃動作時にうなずき動作や首振り動作を実行する例を示したが、清掃動作時に実行してもよい。例えば、清掃動作時にユーザがロボット掃除機1に対して声を掛けるなどの行動を行った場合に、その声掛けの内容や、そのときの状況等に応じた応答動作として、うなずき動作や首振り動作を実行してもよい。無論、このような場合には、清掃動作を一時停止した後で、うなずき動作や首振り動作を実行してもよい。
なお、上述のうなずき動作や首振り動作は、ユーザに向かって行う(筐体の前側がユーザに向いている状態で行う)ことが好ましい。このため、ロボット掃除機1は、応答動作の対象となるユーザの位置(例えばロボット掃除機1に声を掛けたユーザの位置)を検出する検出部を備えていてもよい。そして、うなずき動作や首振り動作を実行する際に、筐体の前側が上記検出部にて検出した位置に向くように方向転換してもよい。さらに、ロボット掃除機1は、ユーザの顔や表情を認識する検出部を備えていてもよい。そして、認識したユーザ毎にジェスチャの態様、具体的にはうなずき動作や首振り動作の大きさやスピード、動作の有無などを変えてもよい。これにより、ロボット掃除機1が性格を有しているかのような感覚をユーザに与えることができる。
また、上述のうなずき動作は、ユーザとのコミュニケーション以外の用途に利用することもできる。例えば、ロボット掃除機1の制御回路は、進路上に障害物(段差等であってもよい)を検出したときに、うなずき動作における筐体の前側を上方に押し上げる動作にて駆動輪16および前側のキャスター17を浮かせる。そして、この状態にてロボット掃除機1を前進させ、駆動輪16および前側のキャスター17の少なくとも何れかが障害物の上部に接触するか、障害物を乗り越えるかした時点で筐体の前側の持ち上げを解除してもよい。これにより、障害物の乗り越え性能を向上させることができる。
上記各実施形態では、サイクロン方式でゴミを吸引するロボット掃除機1を例に説明を行ったが、本発明は、自律移動しつつ清掃対象面を清掃するロボット掃除機であれば、任意のロボット掃除機に適用できる。例えば、非サイクロン方式で集塵するロボット掃除機に適用することもできるし、拭き掃除を行うロボット掃除機に適用することもできる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るロボット掃除機1は、自律移動しつつ清掃対象面を清掃するロボット掃除機1であって、ユーザの行動に対する応答動作の1つとして、筐体の前側を上下動させるうなずき動作を実行する構成である。
上記の構成によれば、ユーザの行動に対する応答動作の1つとして、筐体の前側を上下動させるうなずき動作を実行する。うなずくという動作は、人と人とのコミュニケーションにおいて用いられる動作であるから、人と人とのコミュニケーションのような感覚で、ユーザにロボット掃除機とのコミュニケーションを行わせることができる。
本発明の態様2に係るロボット掃除機1は、上記態様1において、ユーザの行動に対する応答動作の1つとして、筐体の前側を左右に動かす首振り動作を実行する構成である。
上記の構成によれば、ユーザの行動に対する応答動作の1つとして、筐体の前側を左右に動かす首振り動作を実行するので、人と人とのコミュニケーションのような感覚で、ユーザにロボット掃除機とのコミュニケーションを行わせることができる。例えば、肯定的な応答内容を示す応答動作としてうなずき動作を行い、否定的な応答内容を示す応答動作として首振り動作を行うこと等も可能である。
本発明の態様3に係るロボット掃除機1は、上記態様1または2において、上記ロボット掃除機1の設置面に向けて突出させて上記筐体の前側を上方に押し上げる姿勢制御部材(姿勢制御輪21、キャスター押し出し機構61)を備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、ロボット掃除機1の設置面に向けて突出させて筐体の前側を上方に押し上げる姿勢制御部材を備えている。よって、該姿勢制御部材にて筐体の前側を上方に押し上げ、その後押し上げを解除することにより、筐体の前側を上下に動かして、ロボット掃除機1にうなずき動作を実行させることができる。
本発明の態様4に係るロボット掃除機1は、上記態様1から3の何れかにおいて、上記うなずき動作には、上記筐体の前側を上方に押し上げる動作が含まれており、障害物を乗り越える際に、上記押し上げる動作を実行する構成としてもよい。
上記の構成によれば、障害物を乗り越える際に、筐体の前側を上方に押し上げる動作を実行する。筐体の前側が上方に押し上げられることにより、より大きな障害物を乗り越えることが可能になるから、上記の構成によれば、うなずき動作の実行機能を利用して、障害物の乗り越え性能を向上させることができる。なお、障害物の乗り越えは、清掃動作時に行ってもよいし、非清掃動作時に行ってもよい。
本発明の態様5に係るロボット掃除機1は、上記態様1から4の何れかにおいて、清掃動作時と非清掃動作時のうち、非清掃動作時に上記うなずき動作を実行する構成としてもよい。
上記の構成によれば、非清掃動作時にうなずき動作を実行するので、該うなずき動作が清掃のための動作(例えば清掃時の段差の乗り越え動作等)ではなく、コミュニケーションのための動作であることをユーザに明確に認識させることができる。
本発明の態様6に係るロボット掃除機1は、上記態様5において、上記非清掃動作時に、上記清掃動作時よりも高速に移動することが可能な高速移動モードとなる構成としてもよい。
上記の構成によれば、非清掃動作時に高速移動モードとなるので、非清掃動作時にはロボット掃除機1を速やかに移動させることができる。
本発明の態様7に係るロボット掃除機1は、上記態様1から6の何れかにおいて、上記清掃対象面から吸引したゴミを収容する集塵容器30を備え、上記うなずき動作を行うことにより上記集塵容器30を揺らす構成としてもよい。
上記の構成によれば、うなずき動作を行うことにより集塵容器30を揺らす。集塵容器30が揺れることにより、該集塵容器30内のゴミの嵩が減るので、集塵容器30により多くのゴミを収容することが可能になる。よって、上記の構成によれば、ユーザのゴミ捨ての回数を減らすことが可能になる。なお、うなずき動作によって集塵容器30を揺らす行為は、清掃動作時に行ってもよいし、非清掃動作時に行ってもよい。
本発明の態様8に係るロボット掃除機1は、自律移動しつつ清掃対象面を清掃するロボット掃除機であって、対象物を検出するための複数のセンサ(近接センサ13、赤外線センサ14)を備え、上記複数のセンサは、筐体に設けられた1つのスリット12内に配置されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、複数のセンサが1つのスリット内に配置されているので、筐体にセンサごとの収容部を設ける構成と比べて、外観を平坦でシンプルなものとすることができる。
本発明の態様9に係るロボット掃除機1は、上記態様8において、上記筐体の内部には、上記スリット12と平行な1枚の基板40が配置されており、上記基板40上には、上記複数のセンサおよび該センサに関連する回路が配置されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、スリットと平行な1枚の基板上に複数のセンサおよび該センサに関連する回路が配置されているので、1つのスリット内に複数のセンサを配置した構成を活かしたシンプルで無駄のない基板および回路構成を実現できる。
本発明の態様10に係るロボット掃除機1は、上記態様1から9の何れかにおいて、上記筐体の形状は、上面視で矩形状である構成としてもよい。
上記の構成によれば、筐体の形状が上面視で矩形状であるから、部屋の端の直線部分や部屋の角の部分に筐体がフィットする。よって、サイドブラシ等を設けることなく、部屋の隅々まで清掃することが可能になる。
本発明の態様11に係る充電器(90、95)は、自律移動しつつ清掃対象面を清掃するロボット掃除機1の充電器であって、平板状の外形を有し、上記充電器の上部に乗り上げた上記ロボット掃除機1に対して給電する構成である。
上記の構成によれば、充電器の外形が平板状であるから、非充電時において充電器が邪魔になりにくい。また、充電時には、平板上の充電器の上部にロボット掃除機1が乗り上げるので、ロボット掃除機1によって充電器を隠すことができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
(付記事項)
上記の課題を解決するために、本発明に係るロボット掃除機は、自律移動しつつ清掃対象面を清掃するロボット掃除機であって、上記自律移動に用いる移動機構とは独立した首振り機構を備え、ユーザの行動に対する応答動作として、筐体の前側を上下動させるうなずき動作、および筐体の前側を左右に動かす首振り動作を実行する構成である。