JP7425427B1 - デジタル資産の取引・清算処理システム - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本願明細書における「システム」とは、コンピュータや他の電子機器、ソフトウェア、通信ネットワーク、データなどの要素を組み合わせて構成された、ソフトウェアによる情報処理を、ハードウェア資源を用いて具体的に実現するコンピュータシステムを意味する。
デジタル資産には「物」をデジタル化したものであることから、「物々“交換”」の概念が根底にある。
この「物々“交換”」の概念は即時決済であるRTGS(Real-Time Gross Settlement:「即時グロス決済」)の概念に近い。RTGSに近い「物々“交換”」を行う場合は、「物々“交換”」の対象が対価となるデジタル資産(デジタル通貨的なものやデジタル証券的なものを含む広範囲のデジタル的権利)同士であることが必要になる。
しかし、現状において、デジタル資産についての取引は大口取引(ホールセール)の割合が高い状況にある。大口取引では与信管理をベースとした後払い型(一定取引後にNetNetで集計したDVP(Delivery Versus Payment:デジタル資産の引き渡しと代金の支払いを同時に行うこと))清算=クリアリングとなり、RTGSに近い「物々“交換”」にはならない。
また、デジタル証券系などのデジタル的権利の取引においては、権利母体が2段階になっている決済的な概念であるものが多いため、RTGSに近い「物々“交換”」にはなり難い。
また、現状において、主格となる権利管理簿のみで、デジタル証券系などのデジタル的権利を管理することはできるが、空売りなどを想定した場合、デジタル証券系などのデジタル的権利を流動化させることが難しい。
なお、本願明細書における「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーン上などで稼働するプログラム類であって、ブロックチェーンにおけるトランザクションのデータ処理を、ブロックチェーンの外部から取り込まれた情報をトリガーとして自動的に執行するプログラムを意味し、ノードという分散された環境で、並列的に処理できるものである。
上述のとおり、現状において、デジタル資産についての取引は大口取引(ホールセール)の割合が高い状況にある。大口取引では与信管理をベースとした後払い型(一定取引後にNetNetで集計したDVP(Delivery Versus Payment:デジタル資産の引き渡しと代金の支払いを同時に行うこと))清算=クリアリングとなり、RTGSに近い「物々“交換”」にはならない。
また、デジタル証券系などのデジタル的権利の取引においては、権利母体が2段階になっている決済的な概念であるものが多いため、RTGSに近い「物々“交換”」にはなり難い。
また、現状において、主格となる権利管理簿のみで、デジタル証券系などのデジタル的権利を管理することはできるが、空売りなどを想定した場合、デジタル証券系などのデジタル的権利を流動化させることが難しい。
(方策1)顧客の識別情報の注文情報への追加
しかるに、本件発明者は、証券的なデジタル的権利の取引における2つの権利母体についての処理を一元化(一工程に)する方策として、まず、取引に際し、注文情報に顧客の識別情報を付加して注文を行うようにすることを考えた。
そして、注文が約定したとき、買い注文については顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利が入り(増え)、売り注文については顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利が出る(減る)ように、顧客の識別情報単位での証券的なデジタル的権利の入出量を記録するようにすることを考えた。
なお、注文に顧客の識別情報が記載されていない(空白や識別できないもの)ときは、Net集計の処理後に、個別で顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の入出量Net集計情報の変更修正を行うようにすることを考えた。
なお、当該処理概念においては、権利管理簿とトークンは、証券的なデジタル的権利の権利母体としては分離しているが、基本的に権利管理簿とトークンの夫々における、証券的なデジタル的権利の総データ量は同一であり、相互にリンクしている。
空売り(レンディング)と担保の概念には、大枠で以下の2種類がある。1つめは、空売り情報を管理する機能があり、トークン自体を貸し付けるとともに、権利管理簿の権利も放棄するタイプである。これは、一時的な権利の放棄であり、売却に似ているが、一定期間ののちにトークンが所有者に戻ることから、買戻しとは異なり、市場価格の影響を受けず(売却買戻しはその時の市場価格で、損失が出る可能性があるが、貸付で返却される形式の場合、売買ではないので損失は出ない)、一時的に資金調達(貸付の担保となる現金を流用できること)を行うことができる。この一連の貸付を専用に管理するスマートコントラクトを設定するものである。貸付中は担保として現金やそれに準じたトークンを受け取ることができ、それを使うことができる。
2つめは、権利管理簿の権利移転は行わず、トークンだけが移転するものである。これは、トークンが担保に入る場合であり、所有者と違うアドレスで管理される場合である。
トークンが担保に入る場合は、売却が出来ないように制御するためのフラグなどがトークンにつくが、権利管理簿上でのデジタル的権利の保有者とアドレス上でのトークンの保有者は異なり、トークンの実質的権利はアドレスの管理者が保有しているものの、権利管理簿上でのデジタル的権利は違う名義になっている。この場合に、権利管理簿上でのデジタル的権利の保有者に該当するトークンであるとして、トークンに権利管理簿の所有者情報が副的に記録され、担保フラグがつく状態になる。
このように、デジタル的権利を担保として使う場合、担保管理用のスマートコントラクトが契約内容を管理し、契約が履行された場合は、担保設定がはずれ、トークンは元のデジタル的権利の保有者のアドレスに戻される。一方、契約が不履行になった場合は、トークンの担保フラグが消え、権利管理簿上でのデジタル的権利の保有者はアドレス上でのトークンの保有者に書き換えられる。
また、本件発明者は、デジタル的権利の取引におけるクリアリング段階でのデジタル資産としてのトークンと、現金との取引や交換を効率化するための方策について考えた。
デジタル資産としてのトークンとの取引や交換に用いる現金としては、CBDC(Central Bank Digital Currency:中央銀行デジタル通貨)のようなデジタル通貨や、銀行が発行する通貨ステーブルコインなどのデジタル化された現金が理想的である。
DVP処理を行う場合は、清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座をベースとし、清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座にリンクする各清算者用のDVP決済口座、もしくは清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座に連動する子口座を設定する。そして、現金支払側清算者は該当する自己に割り当てられた銀行の子口座(もしくはDVP決済口座)に、現金支払いでの清算に必要な所定額の金額を入金する。
その各銀行の子口座(もしくはDVP決済口座)に入金された資金の状況についてはAPIで確認できるようにする。そして、期日に各子口座(もしくはDVP決済口座)への入金が完了していることが確認できれば、現金支払側DVP処理条件は満たされたことになる。
同様に、清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスをベースとし、清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスにリンクする各清算者用のDVP決済アドレス、もしくは清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスに連動する子アドレスを設定する。そして、トークン引き渡し側の清算者は該当する自己に割り当てられた子アドレス(もしくはDVP決済アドレス)に、トークン引き渡しでの清算に必要な所定量のトークンを入庫する。
その各子アドレス(もしくはDVP決済アドレス)に入庫されたトークンの状況についてはウォレットで確認できるようにする。そして、期日に各子アドレス(もしくはDVP決済アドレス)へのトークンの入庫が完了していることが確認できれば、トークン引渡側DVP処理条件は満たされたことになる。
RTGS処理を行う場合は、交換を所望するトークンはそのまま取引用のスマートコントラクトに設定すれば良いと考えられる。
ここで、本件発明者は、交換対象の一方が現金(もしくは現金的なデジタル資産類)である場合において、現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)に交換対象の金額以上の所定額の現金(残額)が入金されている場合(もしくは、交換対象の金額以上の価格の、前払い的なデジタル通貨的なものなどの現金的なデジタル資産類が入金されている場合)、必要時に残高から交換に必要な金額分の現金を削減し、削減した金額分の現金を、交換対象の一方の現金に相当する所定量のデジタル資産である現金トークンとして割り当てて、発行するようにすることを考えた。
一方、現金支払側注文者の注文が約定しなかった場合は、該当する仮現金トークンを自動償却し、仮設定の処理として暫定的に行われていた当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)における削減処理分の金額をロールバック(削減処理前の状態に復帰)するようにすることを考えた。
一方、現金支払側注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮現金トークンを用いた注文が約定したときは、仮設定の状態を解除し本処理として、現金トークン情報の更新が行われるようにすることを考えた。そのときに、銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)での仮処理としての一時的な金額の削減処理が実際の金額の引き落とし処理に変わるようにすることを考えた。
そして、本件発明者は、現金トークン受取側注文者のアドレスに該当現金トークンが入るようにすることを考えた。現金トークン受取側注文者が現金トークン受取側注文者のアドレスに入った現金トークンをそのまま保有していても良いと考えることはできるが、本件発明者は、現金トークン受取側注文者のアドレスに入ったと同時に、その現金トークンを該当の金融機関に送付することで、口座名義がアドレス名義と合致する(口座情報に現金トークン受取側注文者個人のアドレス情報が管理されているなど)場合、当該現金トークンを償却し、現金トークン受取側注文者の該当口座の残高に反映させることができるようにすることを考えた。
また、本件発明者は、上述のロジックは、交換対象の一方が現金(もしくは現金的なデジタル資産類)である場合の処理だけではなく、物に対しても応用可能と考えた。
例えば、交換対象の一方が現金(もしくは現金的なデジタル資産類)の代わりにゴールド現物である場合は、仮ゴールドトークンを発行できるようにするとともに、仮処理として一時的に該当口座より金額相応分の所定量のゴールドトークンを削減し、ゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座の残高に反映できるようにすることを考えた。また、ゴールドトークンの保有者がゴールド現物への交換を所望する場合、ゴールドトークンとゴールド現物との交換所において、個人の該当トークンを管理しているアドレスと個人本人(の確認情報)が照合できれば、ゴールドトークンをゴールド現物に交換することができるようにすることを考えた。
次に、本件発明者は、デジタル権利の決済特性を考えた。
第四次産業化におけるブロックチェーンなどによる「デジタル権利/資産」が実用化されつつある。
分散/暗号化の環境下においては、大枠で次の(1)~(3)に示す3種類のデジタル価値が存在する。
(1)「コイン」と呼ばれる通貨系のデジタルで表現された、主として決済などに用いられるデジタル価値。
(2)「セキュリティトークン(ST)」と呼ばれる、証券系のデジタル価値。
(3)「ユーティリティトークン(UT)」と呼ばれる、デジタル資産(非通貨)概念とした、主として交換(決済に準じる)に用いられるデジタル価値。
これらのデジタル価値のうち、「コイン」については、日本国内ではサービス化に時間を要しており、2024年頃に漸く実用化が始まると考えられる。「セキュリティトークン(ST)」については、2023年後半より実用化が開始されることが予定され、「ユーティリティトークン(UT)」についてはすでに実用化段階にある。
特に市場規模として、「セキュリティトークン(ST)」については、相応に市場は拡大すると考えられるが、市場拡大はSTの流動性を効率化するための「コイン」の概念が実装されることが前提となると考えられる。
また、「コイン」について実用化が開始されたとしても、日本において事業拡大は難しいと考えられる。
その理由として、日本は銀行を主体とした間接金融であり、間接金融の裏で動くインフラストラクチャとして、全銀ネットと日銀ネットという日本独自の概念に基づく金融ネットワークシステムがあり、それらが第四次産業の主体となるダイレクト化(直接処理)に対し、間接的な事業ロジックであるため非効率であるからである。そのような旧態方式の金融ネットワークシステムを用いることを前提とした「コイン」であるとすると、本来のデジタル価値の処理が効率化できないと考えられる。
また、デジタル通貨的なものについては、CBDCは金利操作ができるが、通貨ステーブルコインは金利操作ができない想定と考えられる。そして、通貨ステーブルコインの発行における金利設定ができず、金利収益が得られないと考えられる。さらに、通貨ステーブルコインの保有権の移転において、手数料を設定することは、通貨が価値を一定に保持し、価値の尺度となり、交換対象として用いられるなどの通貨の有する特性から難しいと考えられる。通貨ステーブルコインの保有権の移転において手数料を設定できる機会があるとすれば、銀行にトークンが戻ったときの銀行間清算の手数料として収益化する場合しかないが、その機会は大幅に減ると予測される。このため、基本的に、デジタルコインの発行では、銀行の収益化は難しいと考えられる。
そこで、本件発明者は、直接的に処理される特性を有する「ユーティリティトークン(UT)」の交換機能をデジタル資産の実決済に用いることができないかを考えた。
現在、ZPG(デジタルゴールドなど貴金属系のデジタル資産類)は、暗号資産として認可されており、通貨などと交換(清算)することが可能である。
また、ZPG自体はネットワーク的に移動できるので、決済などに用いることができる。
ここで、本件発明者は、商流スキームを持つ事業体などがある通常の事業会社間で、銀行のような清算を、UTを用いて行うことを考えた。ただし、ZPGは、通貨に対して市場価格が変動する特性を有する。このため、ZPGの通貨に対する市場価格の変動をヘッジする契約を組み込み、基本のZPGの清算金額をUTで設定し、ZPGの価格を固定する店頭デリバティブをオプションとしてNFT内に組み込むことを考えた。
そして、本件発明者は、商流スキームを持つ事業体などがある企業間の清算方式として、このようなZPGの紐づいたUTを用いた清算方式によれば、全銀ネットなど既存の金融機関のネットワークシステムを使わずに、低コストで高速処理を実現し、国内の全銀ネットなど既存の金融機関の範囲を超え、国外の事業会社間の清算も可能になると考えた。全銀ネットなどのコスト高の機能を使わずに、自社ネットワーク内で取引を完結することができるため、通貨などとの交換(清算)処理が効率的になると考えられる。
銀行間の清算においては、従来、通常は間接的な全銀ネットが用いられている。これに対して、第四次産業では直截的処理が主体になるため、既存の間接的な全銀ネットの利用では処理の効率化において致命的な支障を来たすと考えられる。
このため、本件発明者は、全銀ネットを用いないで清算できるようにするための方策として、ユーティリティトークン(UT)の紐づいたZPG(デジタルゴールド:商品先物の銘柄など規格が明確で国際的にメジャーなものは全般的に対象になる)を用いた、ブロックチェーン上のアドレスの移動、もしくは暗号資産交換所の口座間振替を行い、企業間の清算を行うことを考えた。
ただし、ZPGの生成に際しては、ゴールド現物が担保的に設定される。このため、企業間の清算にZPGを用いると、ゴールド現物の価格変動の影響を受けることになる。
そこで、本件発明者は、ZPGを用いた清算をする際にZPGの価格を固定するユーティリティトークン(UT)にZPGを紐づけし、固定したZPG価格により清算を行うようにすることを考えた。
また、例えば、ZPGの送り手が通貨単位¥での交換を希望し、ZPGの受け手が通貨単位米$での交換を希望する場合は、ZPGの価格を通貨単位¥で固定するスワップ契約のNFTと、ZPGの価格を通貨単位米$で固定するスワップ契約のNFTとを夫々発行し、もしくはZPGの価格を通貨単位¥と通貨単位米$とで夫々固定するスワップ契約のNFTを発行し、発行したスワップ契約のNFTに該当ZPGを紐づけるようにすることを考えた。
そして、当該スワップ契約のNFTの契約期間内であれば、NFTにおけるスワップ契約に該当ZPGが紐づき、該当ZPGの交換処理時に該当ZPGの通貨単位での固定価格に相応する量の通貨を受け取ることができるようにすることを考えた。
本件発明者は、本願において、このような機能をデジタルスワップ機能と定義する。デジタルスワップ機能は、基本的に、デジタル資産(デジタル通貨を含む)を用いて、交換処理を行うときに、特定の価格を固定することができるようにした機能である。
なお、ヘッジコストの観点からすれば、清算(相手が交換所の口座でZPGを売却するなどのタイミング)は極力短期に行われることが望ましいと考えられる。
ヘッジは、コモディティを扱う総合商社などで個別にOTC契約するが、清算時には自動的に契約は解消され、その差額がデジタル資産の転売価格に加算・減算されて、渡されることになる。このため、本件発明者は、そのような処理を行う清算用の受け渡しスマートコントラクト(ZPGの転売も請け負うことができる)を備えるようにすることを考えた。もしくは、同様の処理を取引所内、もしくは取引所間でスマートコントラクトを用いることなく、口座間で行うようにすることも可能であると考えた。なお、スマートコントラクト(デジタルスワップ機能を備える)で当該処理を行う場合、スマートコントラクトでデジタル資産の売買を行うことから、当該スマートコントラクトを所有する組織は、交換業認可を受けるなどの準備が必要であると考えられる。
また、デジタルスワップ機能を用いる対象となるデジタル資産として、ZPGを例にして説明したが、基本的に価格変動が少ないデジタル資産が望ましい。他にエネルギートークンなどを、デジタルスワップ機能を用いる対象となるデジタル資産として用いることができると考えられる。
また、本件発明者は、デジタルスワップ機能では、清算を行う主体者(本来、お金を渡す母体)が、ZPG等のデジタル資産の価格を所望の通貨単位で固定する際に、NFTを発行するヘッジ業者が、与信の他に、担保として、STや有価証券、その他のデジタル資産などを設定することができるようにすることも考えた。
そして、本件発明者は、価格固定ZPG等が紐づくスワップ契約のNFTを店頭デリバティブとして発行する際に、ST類など担保としてのトークンを設定するとき、担保設定条件がブロックチェーンに記録されるようにすることを考えた。担保設定条件は、担保として設定されるST類の元の所有者のアドレスと、その担保が解消される場合、もしくは強制執行される場合の条件がプログラム的に設定したものである。担保の設定をした場合は、権利管理簿上はトークンの元の所有者が記録され、当該トークンは担保として受け取っている側のアドレスに入るようにすることを考えた。
ただし、価格固定ZPGとなるNFTの発行においてZPGが担保として設定(NFT内に取り込まれる)されるようにすることを考えた。
本件発明者は、その契約内容(デリバティブオプション、先渡し契約)をNFTに記載するようにすることを考えた。
本件発明者が考察、検討した当該清算方法は2種類あり、第1の清算方法を上記で説明したが、第2の清算方法を以下に説明する。
第2の清算方法は、前提として、当該デジタルスワップ機能を用いる対象となるデジタル資産をなすトークンはデータ記録のみとし、当該トークンの移動を行わず、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所の口座間で2社の清算を行う口座間振替を行う方法である。
本件発明者は、この場合に、当該デジタルスワップ機能を用いる対象となるデジタル資産をなすトークンが紐づくNFT(店頭デリバティブ)の情報が、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所における該当(夫々の清算者の)口座の資産情報に記録、管理されるようにすることを考えた。
即ち、当該デジタルスワップ機能を用いる対象となるデジタル資産をなすトークンが紐づく個別契約のNFTがブロックチェーンなどの分散処理機能内で生成され、生成されたNFTを、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所における該当(清算を行う2社の)口座で管理するようにする。
本来の清算では、全銀/日銀ネットを使うことで、金融機関間の口座間の金額移動を行う。これに対し、上記第1の清算方法、もしくは第2の清算方法の場合は価格固定されたZPG(デジタルゴールド)のネットワーク上、もしくは同システム上での移動となり、コスト面と処理速度において優位であると考えられる。
この場合、銀行口座の手数料が発生するが、銀行口座であっても、振替手数料ゼロの銀行の口座振替を使える場合はコストを削減することができると考えられる。
また、本件発明者は、現金に交換したときに、価格固定ZPGとデリバティブNFTは償却されるようにすることを考えた。
なお、本件発明者は、暗号資産交換所の口座間での口座振替の他に、2つの暗号資産交換所間で清算に際してのデジタル資産(ZPG等)移動による、ブロックチェーンのデータ変更(移動)や、暗号資産交換所ではなく、交換機能(スマ―トコントラクト)で清算に際してのデジタル資産移動による、ブロックチェーンのデータ移動を行う方法も当該清算方法としてとり得ると考えた。
このような企業間の清算方法は、例えばコンビニネットワークなどにおいて好適であると考えられる。
また、本件発明者は、NFTの有効期間についても、1日、1週間、半年、1年後など、個別に設定することが可能となるようにすることを考えた。なお、本件発明者は、清算の受け手側は、清算時にヘッジの解消を行うが、任意でZPGなどデジタル資産を売却し現金に戻す場合の処理については、全部もしくは一部を売却しないで、そのまま受け取りを処理することが可能であると考えた。その場合は、本件発明者は、清算時におけるヘッジ分の加算分を現金で受け取り、減算になるときは、当該デジタル資産より該当分を差し引くことを考えた。
また、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムのように、仮現金トークンを発行する構成とすれば、仮現金トークンが第三者に盗まれても、仮現金トークンの仮設定の状態が解除されない限り現金化することができないため、取引者の資産の外部への流出を防止することが可能になる。
また、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムのように、現金支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮現金トークンを自動償却するとともに、仮設定の処理として暫定的に行われていた当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)における削減処理分の金額をロールバック(削減処理前の状態に復帰)する構成とすれば、約定前の暫定的な金額の削減処理に伴う、約定しなかった場合における当該現金支払側注文者の損害の発生を防止することが可能になる。
また、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムのように、現金支払側注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮現金トークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮現金トークンを現金トークンに変換し、仮現金トークンから変換した、現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類を現金トークン受取側注文者のアドレスに変更し、変更した現金トークン受取側注文者のアドレスに現金トークンを送付する構成とすれば、交換対象の一方が現金である場合における取引において、約定した場合の清算処理における現金トークン受取側注文者への現金トークンの送付処理を効率化することが可能になる。
このように構成すれば、現金トークン受取側注文者が受け取った現金トークンの現金化を効率的に行うことが可能になる。
また、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムのように、仮ゴールドトークンを発行する構成とすれば、仮ゴールドトークンが第三者に盗まれても、仮ゴールドトークンの仮設定の状態が解除されない限りゴールド現物化することができないため、取引者の資産の外部への流出を防止することが可能になる。
また、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムのように、ゴールド現物支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮ゴールドトークンを自動償却するとともに、仮設定の処理として暫定的に行われていた当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座における削減処理分のゴールドトークンをロールバック(削減処理前の状態に復帰)する構成とすれば、約定前の暫定的なゴールドトークンの削減処理に伴う、約定しなかった場合における当該ゴールド現物支払側注文者の損害の発生を防止することが可能になる。
なお、ゴールドトークン割当処理制御手段は、ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座から他方との交換に必要な価格分のゴールドトークンを削減する際に、不足分が発生する場合は、ゴールド現物支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)から不足する金額分の現金を削減し、削減した金額分の現金を、現金トークンとして割り当てる等、現金的なデジタル資産類で補填するように構成するのが、より好ましい。
また、ゴールドトークンとゴールド現物との交換所は、実際には、ゴールド地金を所有する企業の店舗等になる。交換に際しては、交換番号を受け取ることと、その店舗に該当のゴールド地金がある、もしくは届いている、もしくはゴールド地金の届く時期などを、全体の現物ゴールド地金情報とリンクして調整する。また、顧客に引き渡すゴールド地金は、メーカーや製造時期など、多少の価値が変動する現物要因を加味し、顧客が納得したものであり、当然、在庫があるものが交換対象となる。
また、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムのように、ゴールド現物支払側注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮ゴールドトークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮ゴールドトークンをゴールドトークンに変換し、仮ゴールドトークンから変換した、ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類をゴールドトークン受取側注文者のアドレスに変更し、変更したゴールドトークン受取側注文者のアドレスにゴールドトークンを送付する構成とすれば、交換対象の一方がゴールド現物である場合における取引において、約定した場合の清算処理におけるゴールドトークン受取側注文者へのゴールドトークンの送付処理を効率化することが可能になる。
このように構成すれば、ゴールドトークン受取側注文者が受け取ったゴールドトークンのゴールド現物化を効率的に行うことが可能になる。
また、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムのように、ZPG等を用いた清算をする際にZPG等の価格を固定する機能を有するユーティリティトークン(UT、実際にはNFT的なオプション契約を個別で記録しているもの)にZPG等を紐づけし、固定したZPG等の価格により清算を行う構成とすれば、ZPG等のデジタル価値のベースとなる物の価格変動の影響を抑えながら清算処理を直接的に行うことが可能になる。
このように構成すれば、相手方による最終清算(交換所におけるZPG等の売却)処理までの期間が特定されるため、スワップ契約のNFTに紐づいた、価格が固定されたZPG等を用いた清算を行う側の清算者は、当該スワップ契約のNFT発行者に支払うべき最終清算処理までのヘッジコストを極力抑えることが可能になる。
このように構成すれば、価格固定ZPG等が紐づくスワップ契約のNFTの発行者は、スワップ契約のNFTに紐づいた、価格が固定されたZPG等を用いた清算を行う側の清算者からスワップ契約のNFTの発行に伴う収益を得ることが可能になる。
価格固定ZPG等が紐づくスワップ契約のNFTを店頭デリバティブとして発行する際に、ST類など担保としてのトークンを設定するとき、担保設定条件がブロックチェーンに記録されるようにする。担保設定条件は、担保として設定されるST類の元の所有者のアドレスと、その担保が解消される場合、もしくは強制執行される場合の条件がプログラム的に設定したものである。
価格固定デジタルスワップ清算手段が、担保の設定を受け付けた場合は、権利管理簿上はトークンの元の所有者が記録されるが、当該トークンは担保として受け取っている側のアドレスに入るようにする。
このように構成すれば、価格固定ZPG等が紐づくスワップ契約のNFTの発行者は、当該スワップ契約のNFTの発行に伴うリスクを低減することが可能になる。
このように構成すれば、価格固定ZPG等を用いた清算処理をより効率化することが可能になる。
このように構成すれば、清算処理を効率且つ迅速化することが可能になる。
このように構成すれば、トークンの移動を行わず、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所の口座間で清算者同士での清算のための口座間振替を行うように構成した場合であっても、ZPG等受取側清算者から現金での支払いを要求された場合には、現金での清算を行うことが可能になる。
このように構成しても、清算処理を効率且つ迅速化することが可能になる。
このようにすれば、清算者の選択可能な価格固定ZPG等のヘッジ率や有効期間の選択肢を増やすことが可能になる。
なお、清算の受け手側は、清算時にヘッジの解消を行うが、任意でZPGなどデジタル資産を売却し現金に戻す場合の処理については、全部もしくは一部を売却しないで、そのまま受け取りを処理するように構成するとより好ましい。その場合は、清算時におけるヘッジ分の加算分を現金で受け取り、減算になるときは、当該デジタル資産より該当分を差し引くようにする。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行うこととする。
図1は本発明の一実施形態に係るデジタル資産の取引・清算処理システムの全体構成を概略的に示す説明図である。
本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1は、ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデータを用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトもしくはサーバアプリケーションを備えて構築され、例えば、図1に示すように、顧客識別情報付加注文受付手段11と、顧客識別情報単位デジタル的権利入出量記録手段12と、顧客識別情報単位デジタル的権利Net集計情報取得手段13と、権利管理簿自動更新手段14と、サブトークン生成設定受付用スマートコントラクト15と、サブトークン生成用スマートコントラクト16と、サブトークン取引・クリアリング/決済用スマートコントラクト17と、入金受付手段18と、入金状況取得手段19と、現金支払側DVP処理条件チェック手段20と、トークン入庫受付手段21と、ウォレット22と、トークン引渡側DVP処理条件チェック手段23と、DVP処理執行制御手段24と、現金トークン発行処理制御手段25と、現金トークン償却用スマートコントラクト26と、現金トークン償却分残高反映手段27と、ゴールドトークン割当処理制御手段28と、ゴールドトークン償却用スマートコントラクト29と、ゴールドトークン償却分残高反映手段30と、ZPG等企業間清算手段31と、を有して構成されている。
顧客識別情報付加注文受付手段11は、例えば、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部(不図示)を介して、例えば、図2に示すように、権利管理簿とトークンとを権利母体として有するデジタル証券系(交換券権利的NFT類を含む)などのデジタル的権利の取引に際し、顧客から、売り買いの種別、売り買いの対象、数量、値段などの注文情報に顧客の識別情報が付加された注文を受け付けることができるように構成されている。
顧客識別情報単位デジタル的権利入出量記録手段12は、例えば、図3に示すように、顧客識別情報付加注文受付手段11が受け付けた注文が約定したとき、買い注文については顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利が入り(増え)、売り注文については顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利が出る(減る)ように、顧客の識別情報単位での証券的なデジタル的権利の入出量を記録するように構成されている。
顧客識別情報単位デジタル的権利Net集計情報取得手段13は、例えば、図4に示すように、約定した注文の清算を行う際に、顧客識別情報単位デジタル的権利入出量記録手段12により記録された顧客の識別情報単位での証券的なデジタル的権利の入出量を用いて、顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利をNet集計し、顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の入出量Net集計情報を取得するように構成されている。
権利管理簿自動更新手段14は、例えば、図5に示すように、約定した注文の清算直後に、顧客識別情報単位デジタル的権利Net集計情報取得手段13により取得された顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の入出量Net集計情報を用いて、権利管理簿に記録されている当該顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の変更処理を行い、権利管理簿を最新の状態に自動的に更新するように構成されている。
サブトークン生成設定受付用スマートコントラクト15は、例えば、図6に示すように、主格をなす権利管理簿(に記録されている証券的なデジタル的権利)をベースとして、ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳に、当該権利管理簿から分離するサブトークンを生成できるようにするための設定を受け付ける機能を有するように構成されている。
サブトークン生成用スマートコントラクト16は、例えば、図7に示すように、サブトークン生成設定受付用スマートコントラクト15によりサブトークンを生成できるようにするための設定が受け付けられている場合、主格をなす権利管理簿(に記録されている証券的なデジタル的権利)の総データ量をベースとして、当該権利管理簿から分離し、かつ、総データ量が当該権利管理簿に記録されている証券的なデジタル的権利の総データ量と同じとなるように、データ量の小さい複数のサブトークンを生成する機能を有するように構成されている。
サブトークン取引・クリアリング/決済用スマートコントラクト17は、例えば、図8に示すように、サブトークン生成用スマートコントラクト16により生成されたサブトークンに対する取引機能とDVP処理方式やRTGS処理方式によるクリアリング/決済機能とを兼ね備えるように構成されている。
入金受付手段18は、例えば、図9に示すように、清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座をベースとして、当該清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座にリンクする各清算者用のDVP決済口座、もしくは当該清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座に連動する子口座への、現金支払側清算者からの現金の入金を受け付けるように構成されている。
入金状況取得手段19は、例えば、図10に示すように、入金受付手段18を介して各銀行の子口座(もしくはDVP決済口座)に入金された、当該現金支払側清算者からの現金の入金状況を取得するように構成されている。
現金支払側DVP処理条件チェック手段20は、例えば、図11に示すように、入金状況取得手段19により取得された、清算期日における当該現金支払側清算者からの現金の入金状況から、当該清算期日に各子口座(もしくはDVP決済口座)への清算に必要な所定額の現金の入金が完了しているか否かをチェックし、当該入金が完了している場合に、現金支払側DVP処理条件が満たされていると認定するように構成されている。
トークン入庫受付手段21は、例えば、図12に示すように、清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスをベースとして、当該清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスにリンクする各清算者用のDVP決済アドレス、もしくは当該清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスに連動する子アドレスへの、トークン引渡側清算者からのトークンの入庫を受け付けるように構成されている。
ウォレット22は、例えば、図13に示すように、トークン入庫受付手段21を介して各子アドレス(もしくはDVP決済アドレス)に、当該トークン引渡側清算者からのトークンの入庫状況を取得するように構成されている。
トークン引渡側DVP処理条件チェック手段23は、例えば、図14に示すように、ウォレット22により取得された、清算期日における当該トークン引渡側清算者からのトークンの入庫状況から、当該清算期日に各子アドレス(もしくはDVP決済アドレス)への清算に必要な所定量のトークンの入庫が完了しているか否かをチェックし、当該入庫が完了している場合に、トークン引渡側DVP処理条件が満たされていると認定するように構成されている。
DVP処理執行制御手段24は、例えば、図15に示すように、現金支払側DVP処理条件チェック手段20による現金支払側DVP処理条件とトークン引渡側DVP処理条件チェック手段23によるトークン引渡側DVP処理条件とが共に満たされていると認定されたとき、所定の清算指示内容に基づいた、クリアリングにおけるデジタル資産としてのトークンと現金とのDVP処理が行われるように制御するように構成されている。
現金トークン発行処理制御手段25は、例えば、図16に示すように、RTGS処理における交換対象の一方が現金(もしくは現金的なデジタル資産類)であり、かつ、現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)に交換対象の金額以上の所定額の現金が入金されている場合(もしくは、交換対象の金額以上の価格の、前払い的なデジタル通貨的なものなどの現金的なデジタル資産類が入金されている場合)、他方との交換に必要な金額分の現金を削減し、削減した金額分の現金を、交換対象の一方の現金に相当する所定量のデジタル資産である現金トークンとして割り当てて発行するように構成されている。
より詳しくは、現金トークン発行処理制御手段25は、例えば、図17に示すように、仮現金削減処理手段25-1と、仮現金トークン発行用スマートコントラクト25-2と、現金トークン変換用スマートコントラクト25-3と、現金削減処理確定手段25-4と、仮現金トークン自動償却用スマートコントラクト25-5と、削減処理分金額復帰手段25-6と、仮現金トークン仮設定状態制御用スマートコントラクト25-7と、現金トークン送付用スマートコントラクト25-8と、を有して構成されている。
仮現金削減処理手段25-1は、例えば、図18に示すように、現金支払側注文者の注文の約定前において、仮設定の処理として当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)から交換に必要な金額分の現金を暫定的に削減するように構成されている。
仮現金トークン発行用スマートコントラクト25-2は、例えば、図19に示すように、仮現金削減処理手段25-1による暫定的な現金の削減処理に同期して、削減分の現金に相当する所定量のデジタル資産を仮設定の現金トークン(仮現金トークン)として発行する機能を有するように構成されている。
また、仮現金トークン発行用スマートコントラクト25-2は、仮現金トークンの保有者欄に当該仮現金トークンの保有者のアドレスを設定する機能をさらに有して構成されている。
現金トークン変換用スマートコントラクト25-3は、例えば、図20に示すように、現金支払側注文者の注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮現金トークンを現金トークンに変換する機能を有するように構成されている。
また、現金トークン変換用スマートコントラクト25-3は、現金支払側注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮現金トークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮現金トークンを現金トークンに変換するように構成されている。
現金削減処理確定手段25-4は、例えば、図21に示すように、現金トークン変換用スマートコントラクト25-3による現金トークンへの変換に同期して、仮設定の状態を解除し、仮現金削減処理手段25-1により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)からの交換に必要な金額分の現金の削減処理をコミット(確定)するように構成されている。
仮現金トークン自動償却用スマートコントラクト25-5は、例えば、図22に示すように、現金支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮現金トークンを自動償却する機能を有するように構成されている。
削減処理分金額復帰手段25-6は、例えば、図23に示すように、仮現金トークン自動償却用スマートコントラクト25-5による仮現金トークンの自動償却に同期して、仮現金削減処理手段25-1により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)における削減処理分の金額をロールバック(削減処理前の状態に復帰)するように構成されている。
仮現金トークン仮設定状態制御用スマートコントラクト25-7は、例えば、図24に示すように、当該仮現金トークンを用いた注文において、注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一でない場合、仮設定の状態が解除されないように制御する機能を有するように構成されている。
現金トークン送付用スマートコントラクト25-8は、例えば、図25に示すように、現金支払側注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮現金トークンを用いた注文が約定した場合に、現金トークン変換用スマートコントラクト25-3により仮現金トークンから変換された、現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類を現金トークン受取側注文者のアドレスに変更する現金トークン保有者アドレス変更機能と、現金トークン保有者アドレス変更機能により変更された現金トークン受取側注文者のアドレスに現金トークンを送付する機能と、を有するように構成されている。
現金トークン償却用スマートコントラクト26は、例えば、図26に示すように、当該現金トークン受取側注文者が、当該現金トークン受取側注文者のアドレスに送付された当該現金トークンを金融機関に送付したときに、口座名義がアドレス名義と合致する(当該金融機関での口座情報に現金トークン受取側注文者個人のアドレス情報が管理されているなど)場合、当該現金トークンを償却する機能を有するように構成されている。
現金トークン償却分残高反映手段27は、例えば、図27に示すように、現金トークン償却用スマートコントラクト26による当該現金トークンの償却に同期して、償却した当該現金トークンに相当する現金を現金トークン受取側注文者用の当該口座の残高に加算するように構成されている。
ゴールドトークン割当処理制御手段28は、例えば、図28に示すように、RTGSにおける交換対象の一方がゴールド現物であり、かつ、ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座に交換対象の価格以上の所定額のゴールド現物に相当する所定量のデジタル資産であるゴールドトークンが入庫されている場合、他方との交換に必要な価格分のゴールドトークンを削減し、削減分のゴールドトークンを、交換対象の一方のゴールド現物に相当する所定量のデジタル資産であるゴールドトークンとして割り当てるように構成されている。
より詳しくは、ゴールドトークン割当処理制御手段28は、例えば、図29に示すように、仮ゴールドトークン削減処理手段28-1と、仮ゴールドトークン発行用スマートコントラクト28-2と、ゴールドトークン変換用スマートコントラクト28-3と、ゴールドトークン削減処理確定手段28-4と、仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクト28-5と、削減処理分ゴールドトークン復帰手段28-6と、仮ゴールドトークン仮設定状態制御用スマートコントラクト28-7と、ゴールドトークン送付用スマートコントラクト28-8と、を有して構成されている。
仮ゴールドトークン削減処理手段28-1は、例えば、図30に示すように、ゴールド現物支払側注文者の注文の約定前において、仮設定の処理として当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座から交換に必要な価格分のゴールドトークンを暫定的に削減するように構成されている。
なお、ゴールドトークンとゴールド現物との交換所は、実際には、ゴールド地金を所有する企業の店舗等になる。交換に際しては、交換番号を受け取ることと、その店舗に該当のゴールド地金がある、もしくは届いている、もしくはゴールド地金の届く時期などを、全体の現物ゴールド地金情報とリンクして調整する。また、顧客に引き渡すゴールド地金は、メーカーや製造時期など、多少の価値が変動する現物要因を加味し、顧客が納得したものであり、当然、在庫があるものが交換対象となる。
仮ゴールドトークン発行用スマートコントラクト28-2は、例えば、図31に示すように、仮ゴールドトークン削減処理手段28-1による暫定的なゴールドトークンの削減処理に同期して、削減分のゴールドトークンに相当する所定量のデジタル資産を仮設定のゴールドトークン(仮ゴールドトークン)として発行する機能を有するように構成されている。
ゴールドトークン変換用スマートコントラクト28-3は、例えば、図32に示すように、ゴールド現物支払側注文者の注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮ゴールドトークンをゴールドトークンに変換する機能を有するように構成されている。
また、ゴールドトークン変換用スマートコントラクト28-3は、ゴールド現物支払側注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮ゴールドトークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮ゴールドトークンをゴールドトークンに変換するように構成されている。
ゴールドトークン削減処理確定手段28-4は、例えば、図33に示すように、ゴールドトークン変換用スマートコントラクト28-3によるゴールドトークンへの変換に同期して、仮設定の状態を解除し、仮ゴールドトークン削減処理手段28-1により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座からの交換に必要な価格分のゴールドトークンの削減処理をコミット(確定)するように構成されている。
仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクト28-5は、例えば、図34に示すように、ゴールド現物支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮ゴールドトークンを自動償却する機能を有するように構成されている。
削減処理分ゴールドトークン復帰手段28-6は、例えば、図35に示すように、仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクト28-5による仮ゴールドトークンの自動償却に同期して、仮ゴールドトークン削減処理手段28-1により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座における削減処理分のゴールドトークンをロールバック(削減処理前の状態に復帰)するように構成されている。
仮ゴールドトークン仮設定状態制御用スマートコントラクト28-7は、例えば、図36に示すように、当該仮ゴールドトークンを用いた注文において、注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一でない場合、仮設定の状態が解除されないように制御する機能を有するように構成されている。
ゴールドトークン送付用スマートコントラクト28-8は、例えば、図37に示すように、ゴールド現物支払側注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮ゴールドトークンを用いた注文が約定した場合に、ゴールドトークン変換用スマートコントラクト28-3により仮ゴールドトークンから変換された、ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類をゴールドトークン受取側注文者のアドレスに変更するゴールドトークン保有者アドレス変更機能と、ゴールドトークン保有者アドレス変更機能により変更されたゴールドトークン受取側注文者のアドレスにゴールドトークンを送付する機能と、を有するように構成されている。
ゴールドトークン償却用スマートコントラクト29は、例えば、図38に示すように、当該ゴールドトークン受取側注文者が、当該ゴールドトークン受取側注文者のアドレスに送付された当該ゴールドトークンをゴールドトークンとゴールド現物との交換所に送付したときに、口座名義がアドレス名義と合致する(当該交換所での口座情報にゴールドトークン受取側注文者個人のアドレス情報が管理されているなど)場合、当該ゴールドトークンを償却する機能を有するように構成されている。
ゴールドトークン償却分残高反映手段30は、例えば、図39に示すように、ゴールドトークン償却用スマートコントラクト29による当該ゴールドトークンの償却に同期して、償却した当該ゴールドトークンに相当するゴールド現物をゴールドトークン受取側注文者の当該交換所口座の残高に加算するように構成されている。
ZPG等企業間清算手段31は、例えば、図40に示すように、ZPG(デジタルゴールドなど貴金属系のデジタル資産類)やエネルギートークン等、(コモディティをトークン化してなる)デジタル資産類(メジャーな商品を規格化して、一般的に取引対象となっているもの)のブロックチェーン上のアドレス移動、もしくは暗号資産交換所の口座間振替を行うことにより、商流スキームを持つ事業体などがある企業間の清算を、既存の金融機関のネットワークシステムを使わないで行うように構成されている。
詳しくは、ZPG等企業間清算手段31は、ZPG等を用いた清算をする際にZPG等の価格を固定する機能を有するユーティリティトークン(UT、実際にはNFT的なオプション契約を個別で記録しているもの)にZPG等を紐づけし、固定したZPG等の価格により清算を行うデジタルスワップ(個別ヘッジ契約に、ZPGの基本価値をリンクさせたNFTの受け渡し)機能を備えた価格固定デジタルスワップ清算手段31-1を有して構成されている。
また、ZPG等企業間清算手段31は、例えば、図41に示すように、当該固定価格による清算対象となるデジタル資産をなすトークンについてのデータの口座への記録のみを行い、当該トークンの移動を行わず、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所の口座間で清算者同士での清算のための口座間振替を行うようにも構成されている。
詳しくは、ZPG等企業間清算手段31は、店頭デリバティブとして発行された、(ブロックチェーンなどの分散処理機能内で生成された)当該固定価格による清算対象となるデジタル資産をなすトークンが紐づく個別契約のNFTの情報を、当該デジタル資産をなすトークンについてのブロックチェーン上でのアドレスの移動を行うことなく、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所における該当(夫々の清算者の)口座の資産情報に記録し、当該口座で管理する暗号資産交換所口座間振替清算手段31-2を有して構成されている。
さらには、ZPG等企業間清算手段31は、例えば、図42に示すように、口座間振替に準じた方式として、口座の代わりにDID(Decentralized Identity:分散型ID)方式の清算処理を行う交換機能を有するDID方式清算用スマートコントラクト31-3を有し、DID方式清算用スマートコントラクト31-3を介して、清算対象となる価格固定ZPG等のデジタル資産類のブロックチェーン上のアドレス移動を行うようにも構成されている。
価格固定デジタルスワップ清算手段31-1は、例えば、図43~図45に示すように、次の機能を有するように構成されている。
・ZPG等の送り手と受け手が共に通貨単位¥での交換を希望する場合は、ZPG等の価格を通貨単位¥で固定する機能を有するスワップ契約のNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)(ZPGの条件をカバーする契約を設定したNFT)を店頭デリバティブとして発行し、発行したスワップ契約のNFTに該当ZPGを紐づける機能。
・ZPG等の送り手が通貨単位として¥での交換を希望し、ZPG等の受け手が通貨単位として米$での交換を希望する場合は、ZPG等の価格を通貨単位¥で固定する機能を有するスワップ契約のNFT(ZPGの条件をカバーする契約を設定したNFT)と、ZPG等の価格を通貨単位米$で固定する機能を有するスワップ契約のNFT(ZPGの条件をカバーする契約を設定したNFT)とを夫々店頭デリバティブとして発行し、もしくはZPG等の価格を通貨単位¥と通貨単位米$とで夫々固定する機能を有するスワップ契約のNFTを店頭デリバティブとして発行し、発行したスワップ契約のNFTに該当ZPG等を紐づける機能。
・当該スワップ契約のNFTの契約期間内において、NFTにおけるスワップ契約に該当ZPG等が紐づき、該当ZPG等の交換処理時に該当ZPG等の通貨単位での固定価格に相応する量の通貨を受け取る(ZPGの売却と同時にヘッジを解消することで、ZPGの価格変動分を店頭デリバティブとして発行したNFTのスワップ契約で相殺する)ことができるようにする機能。
・ZPG等の価格を顧客の所望する通貨単位で固定する際に、本来のZPG等の対価およびデリバティブ契約費用の支払いを受け付ける機能。
・該当スワップ契約のNFTの有効期間内のヘッジコストを、価格固定時に自動的に支払元から徴収する(ZPGの指定通貨での売却したデジタル通貨類と、ヘッジ解消時における、指定通貨での補填分を加算した合計額を指定通貨型デジタル資産で受け取る)機能。
・価格固定ZPG等が紐づくスワップ契約のNFTを店頭デリバティブとして発行する際の与信の他に、担保として、STや有価証券、その他のデジタル資産などの設定を受け付ける機能。
・価格固定ZPG等となるNFTを生成する機能。
・価格固定ZPG等となるNFTの発行においてZPG等を担保として設定(NFT内に取り込む)する機能。
価格固定ZPG等が紐づくスワップ契約のNFTを店頭デリバティブとして発行する際に、ST類など担保としてのトークンを設定するとき、担保設定条件がブロックチェーンに記録される。担保設定条件は、担保として設定されるST類の元の所有者のアドレスと、その担保が解消される場合、もしくは強制執行される場合の条件がプログラム的に設定したものである。
価格固定デジタルスワップ清算手段31-1が、担保の設定を受け付けた場合は、権利管理簿上はトークンの元の所有者が記録されるが、当該トークンは担保として受け取っている側のアドレスに入る。
暗号資産交換所口座間振替清算手段31-2は、例えば、図46に示すように、次の機能を有するように構成されている。
・清算に際して、ZPG等受取側清算者から現金での支払いを要求された場合、保有する価格固定ZPG等を口座内で現金化し、その現金をZPG等受取側清算者の指定口座に振り替える機能。
・現金に交換したときに、価格固定ZPG等と(店頭デリバティブとして発行された)NFTとを償却する機能。
ヘッジ率設定受付手段31-4は、例えば、図47に示すように、価格固定ZPG等のヘッジ率を0~100%の間で設定受付可能に構成されている。
固定価格有効期間設定受付手段31-5は、例えば、図48に示すように、価格固定ZPG等の有効期間を1日、1週間、半年、1年後など、個別に設定受付可能に構成されている。
なお、清算の受け手側は、清算時にヘッジの解消を行うが、任意でZPGなどデジタル資産を売却し現金に戻す場合の処理については、全部もしくは一部を売却しないで、そのまま受け取りを処理するように構成するとより好ましい。その場合は、清算時におけるヘッジ分の加算分を現金で受け取り、減算になるときは、当該デジタル資産より該当分を差し引くようにする。
このように構成された本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1における処理の流れを、図面を用いて説明する。
図49は本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1における、注文の受付時、約定時、清算時、清算後のデジタル的権利に対する処理の流れの一例を示す説明図である。
顧客識別情報付加注文受付手段11は、デジタル証券系(交換券権利的NFT類を含む)などのデジタル的権利の取引に際し、顧客から、売り買いの種別、売り買いの対象、数量、値段などの注文情報に顧客の識別情報が付加された注文を受け付ける。
顧客識別情報単位デジタル的権利入出量記録手段12は、顧客識別情報付加注文受付手段11が受け付けた注文が約定したとき、買い注文については顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利が入り(増え)、売り注文については顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利が出る(減る)ように、顧客の識別情報単位での証券的なデジタル的権利の入出量を記録する。
顧客識別情報単位デジタル的権利Net集計情報取得手段13は、約定した注文の清算を行う際に、顧客識別情報単位デジタル的権利入出量記録手段12により記録された顧客の識別情報単位での証券的なデジタル的権利の入出量を用いて、顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利をNet集計し、顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の入出量Net集計情報を取得する。
権利管理簿自動更新手段14は、約定した注文の清算直後に、顧客識別情報単位デジタル的権利Net集計情報取得手段13により取得された顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の入出量Net集計情報を用いて、権利管理簿に記録されている当該顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の変更処理を行い、権利管理簿を最新の状態に自動的に更新する。
図50は本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1における、2つの権利母体についての処理を一元化した処理の流れの一例を示す説明図である。
サブトークン生成設定受付用スマートコントラクト15は、主格をなす権利管理簿(に記録されている証券的なデジタル的権利)をベースとして、ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳に、当該権利管理簿から分離するサブトークンを生成できるようにするための設定を受け付ける。
サブトークン生成用スマートコントラクト16は、サブトークン生成設定受付用スマートコントラクト15によりサブトークンを生成できるようにするための設定が受け付けられている場合、主格をなす権利管理簿(に記録されている証券的なデジタル的権利)の総データ量をベースとして、当該権利管理簿から分離し、かつ、総データ量が当該権利管理簿に記録されている証券的なデジタル的権利の総データ量と同じとなるように、データ量の小さい複数のサブトークンを生成する。
サブトークン取引・クリアリング/決済用スマートコントラクト17は、サブトークン生成用スマートコントラクト16により生成されたサブトークンに対する取引とDVP処理方式やRTGS処理方式によるクリアリング/決済とを兼ね備えて行う。
図51~図53は本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1を用いた、証券的なデジタル的権利の取引におけるクリアリング段階でのトークンと現金との交換処理の流れ(DVP清算処理の流れ)の一例を示す説明図である。
入金受付手段18は、清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座をベースとして、当該清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座にリンクする各清算者用のDVP決済口座、もしくは当該清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座に連動する子口座への、現金支払側清算者からの現金の入金を受け付ける。
入金状況取得手段19は、入金受付手段18を介して各銀行の子口座(もしくはDVP決済口座)に入金された、当該現金支払側清算者からの現金の入金状況を取得する。
現金支払側DVP処理条件チェック手段20は、入金状況取得手段19により取得された、清算期日における当該現金支払側清算者からの現金の入金状況から、当該清算期日に各子口座(もしくはDVP決済口座)への清算に必要な所定額の現金の入金が完了しているか否かをチェックし、当該入金が完了している場合に、現金支払側DVP処理条件が満たされていると認定する。
トークン入庫受付手段21は、清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスをベースとして、当該清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスにリンクする各清算者用のDVP決済アドレス、もしくは当該清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスに連動する子アドレスへの、トークン引渡側清算者からのトークンの入庫を受け付ける。
ウォレット22は、トークン入庫受付手段21を介して各子アドレス(もしくはDVP決済アドレス)に、当該トークン引渡側清算者からのトークンの入庫状況を取得する。
トークン引渡側DVP処理条件チェック手段23は、ウォレット22により取得された、清算期日における当該トークン引渡側清算者からのトークンの入庫状況から、当該清算期日に各子アドレス(もしくはDVP決済アドレス)への清算に必要な所定量のトークンの入庫が完了しているか否かをチェックし、当該入庫が完了している場合に、トークン引渡側DVP処理条件が満たされていると認定する。
DVP処理執行制御手段24は、現金支払側DVP処理条件チェック手段20による現金支払側DVP処理条件とトークン引渡側DVP処理条件チェック手段23によるトークン引渡側DVP処理条件とが共に満たされていると認定されたとき、所定の清算指示内容に基づいた、クリアリングにおけるデジタル資産としてのトークンと現金とのDVP処理が行われるように制御する。
図54~図57は本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1を用いた、証券的なデジタル的権利の取引におけるトークンと現金との交換処理の流れ(RTGS清算処理の流れ)の一例を示す説明図である。
現金トークン発行処理制御手段25は、RTGS処理における交換対象の一方が現金(もしくは現金的なデジタル資産類)であり、かつ、現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)に交換対象の金額以上の所定額の現金が入金されている場合(もしくは、交換対象の金額以上の価格の、前払い的なデジタル通貨的なものなどの現金的なデジタル資産類が入金されている場合)、他方との交換に必要な金額分の現金を削減し、削減した金額分の現金を、交換対象の一方の現金に相当する所定量のデジタル資産である現金トークンとして割り当てて発行する。
より詳しくは、次のような処理を行う。
仮現金削減処理手段25-1は、現金支払側注文者の注文の約定前において、仮設定の処理として当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)から交換に必要な金額分の現金を暫定的に削減する。
仮現金トークン発行用スマートコントラクト25-2は、仮現金削減処理手段25-1による暫定的な現金の削減処理に同期して、削減分の現金に相当する所定量のデジタル資産を仮設定の現金トークン(仮現金トークン)として発行する。
また、仮現金トークン発行用スマートコントラクト25-2は、仮現金トークンの保有者欄に当該仮現金トークンの保有者のアドレスを設定する。
現金トークン変換用スマートコントラクト25-3は、現金支払側注文者の注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮現金トークンを現金トークンに変換する。
また、現金トークン変換用スマートコントラクト25-3は、現金支払側注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮現金トークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮現金トークンを現金トークンに変換する。
現金削減処理確定手段25-4は、現金トークン変換用スマートコントラクト25-3による現金トークンへの変換に同期して、仮設定の状態を解除し、仮現金削減処理手段25-1により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)からの交換に必要な金額分の現金の削減処理をコミット(確定)する。
仮現金トークン自動償却用スマートコントラクト25-5は、現金支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮現金トークンを自動償却する。
削減処理分金額復帰手段25-6は、仮現金トークン自動償却用スマートコントラクト25-5による仮現金トークンの自動償却に同期して、仮現金削減処理手段25-4により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)における削減処理分の金額をロールバック(削減処理前の状態に復帰)する。
仮現金トークン仮設定状態制御用スマートコントラクト25-7は、当該仮現金トークンを用いた注文において、注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一でない場合、仮設定の状態が解除されないように制御する。
現金トークン送付用スマートコントラクト25-8は、現金支払側注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮現金トークンを用いた注文が約定した場合に、現金トークン変換用スマートコントラクト25-3により仮現金トークンから変換された、現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類を現金トークン受取側注文者のアドレスに変更する。
そして、現金トークン送付用スマートコントラクト25-8は、現金トークン保有者アドレス変更機能により変更された現金トークン受取側注文者のアドレスに現金トークンを送付する。
現金トークン償却用スマートコントラクト26は、当該現金トークン受取側注文者が、当該現金トークン受取側注文者のアドレスに送付された当該現金トークンを金融機関に送付したときに、口座名義がアドレス名義と合致する(当該金融機関での口座情報に現金トークン受取側注文者個人のアドレス情報が管理されているなど)場合、当該現金トークンを償却する。
現金トークン償却分残高反映手段27は、現金トークン償却用スマートコントラクト26による当該現金トークンの償却に同期して、償却した当該現金トークンに相当する現金を現金トークン受取側注文者用の当該口座の残高に加算する。
図58~図61は本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1を用いた、証券的なデジタル的権利の取引におけるトークンとゴールド現物との交換処理の流れ(RTGS清算処理の流れ)の一例を示す説明図である。
ゴールドトークン割当処理制御手段28は、RTGSにおける交換対象の一方がゴールド現物であり、かつ、ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座に交換対象の価格以上の所定額のゴールド現物に相当する所定量のデジタル資産であるゴールドトークンが入庫されている場合、他方との交換に必要な価格分のゴールドトークンを削減(より、好ましくは、ゴールドトークンを削減する際に、不足分が発生する場合は、ゴールド現物支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)から不足する金額分の現金を削減し、削減した金額分の現金を、現金トークンとして割り当てる等、現金的なデジタル資産類で補填)し、削減分のゴールドトークンを、交換対象の一方のゴールド現物に相当する所定量のデジタル資産であるゴールドトークンとして割り当てる。
より詳しくは、次のような処理を行う。
仮ゴールドトークン削減処理手段28-1は、ゴールド現物支払側注文者の注文の約定前において、仮設定の処理として当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座から交換に必要な価格分のゴールドトークンを暫定的に削減する。
仮ゴールドトークン発行用スマートコントラクト28-2は、仮ゴールドトークン削減処理手段28-1による暫定的なゴールドトークンの削減処理に同期して、削減分のゴールドトークンに相当する所定量のデジタル資産を仮設定のゴールドトークン(仮ゴールドトークン)として発行する。
ゴールドトークン変換用スマートコントラクト28-3は、ゴールド現物支払側注文者の注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮ゴールドトークンをゴールドトークンに変換する。
また、ゴールドトークン変換用スマートコントラクト28-3は、ゴールド現物支払側注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮ゴールドトークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮ゴールドトークンをゴールドトークンに変換する。
ゴールドトークン削減処理確定手段28-4は、ゴールドトークン変換用スマートコントラクト28-3によるゴールドトークンへの変換に同期して、仮設定の状態を解除し、仮ゴールドトークン削減処理手段28-1により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座からの交換に必要な価格分のゴールドトークンの削減処理をコミット(確定)する。
仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクト28-5は、ゴールド現物支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮ゴールドトークンを自動償却する。
削減処理分ゴールドトークン復帰手段28-6は、仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクト28-5による仮ゴールドトークンの自動償却に同期して、仮ゴールドトークン削減処理手段28-1により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座における削減処理分のゴールドトークンをロールバック(削減処理前の状態に復帰)する。
仮ゴールドトークン仮設定状態制御用スマートコントラクト28-7は、当該仮ゴールドトークンを用いた注文において、注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一でない場合、仮設定の状態が解除されないように制御する。
ゴールドトークン送付用スマートコントラクト28-8は、ゴールド現物支払側注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮ゴールドトークンを用いた注文が約定した場合に、ゴールドトークン変換用スマートコントラクト28-3により仮ゴールドトークンから変換された、ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類をゴールドトークン受取側注文者のアドレスに変更する。
そして、ゴールドトークン送付用スマートコントラクト28-8は、ゴールドトークン保有者アドレス変更機能により変更されたゴールドトークン受取側注文者のアドレスにゴールドトークンを送付する。
ゴールドトークン償却用スマートコントラクト29は、当該ゴールドトークン受取側注文者が、当該ゴールドトークン受取側注文者のアドレスに送付された当該ゴールドトークンをゴールドトークンとゴールド現物との交換所に送付したときに、口座名義がアドレス名義と合致する(当該交換所での口座情報にゴールドトークン受取側注文者個人のアドレス情報が管理されているなど)場合、当該ゴールドトークンを償却する。
ゴールドトークン償却分残高反映手段30は、ゴールドトークン償却用スマートコントラクト29による当該ゴールドトークンの償却に同期して、償却した当該ゴールドトークンに相当するゴールド現物をゴールドトークン受取側注文者の当該交換所口座の残高に加算する。
図62は本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1を用いた、証券的なデジタル的権利の取引における企業間の清算処理の流れ(ZPG等の価格を固定したデジタルスワップ機能を備えたNFTによる清算処理の流れ)の一例を示す説明図である。
ZPG等企業間清算手段31は、価格固定デジタルスワップ清算手段31-1を介して、ZPG等を用いた清算をする際にZPG等の価格を固定する機能を有するユーティリティトークン(UT、実際にはNFT的なオプション契約を個別で記録しているもの)にZPG等を紐づけし、固定したZPG等の価格により清算を行う。
より詳しくは、次のような処理を行う。
また、価格固定デジタルスワップ清算手段31-1は、ZPG等の送り手が通貨単位として¥での交換を希望し、ZPG等の受け手が通貨単位として米$での交換を希望する場合は、ZPG等の価格を通貨単位¥で固定する機能を有するスワップ契約のNFT(ZPGの条件をカバーする契約を設定したNFT)と、ZPG等の価格を通貨単位米$で固定する機能を有するスワップ契約のNFT(ZPGの条件をカバーする契約を設定したNFT)とを夫々店頭デリバティブとして発行し、もしくはZPG等の価格を通貨単位¥と通貨単位米$とで夫々固定する機能を有するスワップ契約のNFTを店頭デリバティブとして発行し、発行したスワップ契約のNFTに該当ZPG等を紐づける。
そして、価格固定デジタルスワップ清算手段31-1は、当該スワップ契約のNFTの契約期間内において、NFTにおけるスワップ契約に該当ZPG等が紐づき、該当ZPG等の交換処理時に該当ZPG等の通貨単位での固定価格に相応する量の通貨を受け取る(ZPGの売却と同時にヘッジを解消することで、ZPGの価格変動分を店頭デリバティブとして発行したNFTのスワップ契約で相殺する)ことができるようにする。
なお、価格固定デジタルスワップ清算手段31-1は、ZPG等の価格を顧客の所望する通貨単位で固定する際に、本来のZPG等の対価およびデリバティブ契約費用の支払いを受け付ける。
また、価格固定デジタルスワップ清算手段31-1は、該当スワップ契約のNFTの有効期間内のヘッジコストを、価格固定時に自動的に支払元から徴収する(ZPGの指定通貨での売却したデジタル通貨類と、ヘッジ解消時における、指定通貨での補填分を加算した合計額を指定通貨型デジタル資産で受け取る)。
さらに、価格固定デジタルスワップ清算手段31-1は、価格固定ZPG等が紐づくスワップ契約のNFTを店頭デリバティブとして発行する際の与信の他に、担保として、STや有価証券、その他のデジタル資産などの設定を受け付ける。
また、価格固定デジタルスワップ清算手段31-1は、価格固定ZPG等となるNFTを生成することもできる。
そして、価格固定デジタルスワップ清算手段31-1は、価格固定ZPG等となるNFTの発行においてZPG等を担保として設定(NFT内に取り込む)する。
図63は本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1を用いた、証券的なデジタル的権利の取引における企業間の清算処理の流れ(暗号資産交換所の口座間振替処理の流れ)の一例を示す説明図である。
ZPG等企業間清算手段31は、当該固定価格による清算対象となるデジタル資産をなすトークンについてのデータの口座への記録のみを行い、当該トークンの移動を行わず、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所の口座間で清算者同士での清算のための口座間振替を行う。
詳しくは、ZPG等企業間清算手段31は、暗号資産交換所口座間振替清算手段31-2を介して、店頭デリバティブとして発行された、(ブロックチェーンなどの分散処理機能内で生成された)当該固定価格による清算対象となるデジタル資産をなすトークンが紐づく個別契約のNFTの情報を、当該デジタル資産をなすトークンについてのブロックチェーン上でのアドレスの移動を行うことなく、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所における該当(夫々の清算者の)口座の資産情報に記録し、当該口座で管理する。
そして、暗号資産交換所口座間振替清算手段31-2は、現金に交換したときに、価格固定ZPG等と(店頭デリバティブとして発行された)NFTとを償却する。
本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1によれば、ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデータを用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトもしくはサーバアプリケーションを備えて構築され、顧客識別情報付加注文受付手段11と、顧客識別情報単位デジタル的権利入出量記録手段12と、顧客識別情報単位デジタル的権利Net集計情報取得手段13と、権利管理簿自動更新手段14と、を有し、権利管理簿とトークンとを権利母体として有するデジタル証券系(交換券権利的NFT類を含む)などのデジタル的権利の取引に際し、顧客から、売り買いの種別、売り買いの対象、数量、値段などの注文情報に顧客の識別情報が付加された注文を受け付け、注文が約定したとき、顧客の識別情報単位での証券的なデジタル的権利の入出量を記録し、約定した注文の清算を行う際に、記録された顧客の識別情報単位での証券的なデジタル的権利の入出量を用いて、顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利をNet集計し、約定した注文の清算直後に、顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の入出量Net集計情報を用いて、権利管理簿に記録されている当該顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の変更処理を行い、権利管理簿を最新の状態に自動的に更新する構成としたので、デジタル的権利の取引に際し、取引者となる顧客の保有するデジタル的権利の情報を権利管理簿上でリアルタイムに取得することができる。
また、本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1によれば、仮現金トークンを発行する構成としたので、仮現金トークンが第三者に盗まれても、仮現金トークンの仮設定の状態が解除されない限り現金化することができないため、取引者の資産の外部への流出を防止することができる。
また、本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1によれば、仮現金トークン自動償却用スマートコントラクト25-5と、削減処理分金額復帰手段25-6と、を有し、現金支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮現金トークンを自動償却するとともに、仮設定の処理として暫定的に行われていた当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)における削減処理分の金額をロールバック(削減処理前の状態に復帰)する構成としたので、約定前の暫定的な金額の削減処理に伴う、約定しなかった場合における当該現金支払側注文者の損害の発生を防止することができる。
また、本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1によれば、現金トークン発行処理制御手段25は、現金トークン送付用スマートコントラクト25-8をさらに有し、現金支払側注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮現金トークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮現金トークンを現金トークンに変換し、仮現金トークンから変換した、現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類を現金トークン受取側注文者のアドレスに変更し、変更した現金トークン受取側注文者のアドレスに現金トークンを送付する構成としたので、交換対象の一方が現金である場合における取引において、約定した場合の清算処理における現金トークン受取側注文者への現金トークンの送付処理を効率化することができる。
また、本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1によれば、仮ゴールドトークンを発行する構成としたので、仮ゴールドトークンが第三者に盗まれても、仮ゴールドトークンの仮設定の状態が解除されない限りゴールド現物化することができないため、取引者の資産の外部への流出を防止することができる。
また、本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1によれば、仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクト28-5と、削減処理分ゴールドトークン復帰手段28-6と、を有し、ゴールド現物支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮ゴールドトークンを自動償却するとともに、仮設定の処理として暫定的に行われていた当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座における削減処理分のゴールドトークンをロールバック(削減処理前の状態に復帰)する構成としたので、約定前の暫定的なゴールドトークンの削減処理に伴う、約定しなかった場合における当該ゴールド現物支払側注文者の損害の発生を防止することができる。
また、本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1によれば、ゴールドトークン割当処理制御手段28は、ゴールドトークン送付用スマートコントラクト28-8をさらに有し、ゴールド現物支払側注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮ゴールドトークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、仮ゴールドトークンをゴールドトークンに変換し、仮ゴールドトークンから変換した、ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類をゴールドトークン受取側注文者のアドレスに変更し、変更したゴールドトークン受取側注文者のアドレスにゴールドトークンを送付する構成としたので、交換対象の一方がゴールド現物である場合における取引において、約定した場合の清算処理におけるゴールドトークン受取側注文者へのゴールドトークンの送付処理を効率化することができる。
また、本実施形態のデジタル資産の取引・清算処理システム1によれば、ZPG等企業間清算手段31は、価格固定デジタルスワップ清算手段31-1を有し、ZPG等を用いた清算をする際にZPG等の価格を固定する機能を有するユーティリティトークン(UT、実際にはNFT的なオプション契約を個別で記録しているもの)にZPG等を紐づけし、固定したZPG等の価格により清算を行う構成としたので、デジタルスワップ(個別ヘッジ契約に、ZPGの基本価値をリンクさせたNFTの受け渡し)機能を備えた価格固定デジタルスワップ清算手段31-1を有し、ZPG等のデジタル価値のベースとなる物の価格変動の影響を抑えながら清算処理を直接的に行うことができる。
該当スワップ契約のNFTの有効期間内のヘッジコストを、価格固定時に自動的に支払元から徴収する(ZPGの指定通貨での売却したデジタル通貨類と、ヘッジ解消時における、指定通貨での補填分を加算した合計額を指定通貨型デジタル資産で受け取る)機能と、をさらに有する構成としたので、価格固定ZPG等が紐づくスワップ契約のNFTの発行者は、スワップ契約のNFTが紐づけられた、価格が固定されたZPG等を用いた清算を行う側の清算者からスワップ契約のNFTの発行に伴う収益を得ることができる。
即ち、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムにおいて、「ゴールドトークン割当処理制御手段」、「仮ゴールドトークン削減処理手段」、「仮ゴールドトークン発行用スマートコントラクト」、「ゴールドトークン変換用スマートコントラクト」、「ゴールドトークン削減処理確定手段」、「仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクト」、「削減処理分ゴールドトークン復帰手段」、「仮ゴールドトークン仮設定状態制御用スマートコントラクト」、「ゴールドトークン送付用スマートコントラクト」、「ゴールドトークン償却用スマートコントラクト」、「ゴールドトークン償却分残高反映手段」と略同様の処理を行うように構成された、「現物トークン割当処理制御手段」、「仮現物トークン削減処理手段」、「仮現物トークン発行用スマートコントラクト」、「現物トークン変換用スマートコントラクト」、「現物トークン削減処理確定手段」、「仮現物トークン自動償却用スマートコントラクト」、「削減処理分現物トークン復帰手段」、「仮現物トークン仮設定状態制御用スマートコントラクト」、「現物トークン送付用スマートコントラクト」、「現物トークン償却用スマートコントラクト」、「現物トークン償却分残高反映手段」を有し、これらがデジタル資産の交換対象として、ゴールドと同様、ゴールド以外の現物の交換に用いることができるようにすることは勿論可能である。
なお、デジタル資産を現物と交換する場合は、その現物の交換比率(基準となる交換比率1のデジタル資産に対する、現物の交換比率、例えば0.95など)を設定し、その設定比率に応じて、対象の現物に交換できるようにするのが好ましい。
現物の交換比率は、純度やメーカー、劣化度合いなどの複数のファクターを総合的に調整することによって導出する。
また、交換対象となる現物の在庫一覧データ部を設け、そこに交換場所や量、交換比率などを記録し、交換予約などを行うことができるようにするとより好ましい。
通信トークンは、例えば、6Gなどの通信における、IOTとなる各家庭の個々の媒体が基地局となって通信制御を行う場合の、通信制御量を通信契約先の業者に通信料として請求ができる権利をデジタル化したものである。
また、通信制御を行うと相応の電力消費となる。このため、通信制御を行った際の実電力の供給に対して、電力トークンを受け取るようにすることが考えられる。
そこで、デジタル資産の取引においては、通貨トークンとあわせて、電力トークンでの清算を行うようにしてもよい。
例えば、5分間などの単位時間あたりの電力量と、その時間帯の電力価格とを用いて定まる金額で清算が行われることになる。
この場合、電力トークンは、電力を販売した後の一定時間(例えば、10分間や30分間)であれば転売することができるようにするとともに、その一定時間が経過すると、その経過時の時価で現金トークンに変換されてストックされるようにするのが好ましい。
また、電力トークンを用いて、電力の支払いに充当することができ、また、その対価として通信トークンを得ることもできるようにするのが好ましい。
通信トークンは、基本的に電力取引と同様、消費電力のコストがリンクすることもあるため、通信トークンを受け取って、10分や30分以内などの一定時間内であれば転売することができるようにするとともに、その一定時間を経過すると、電力トークンと同様に現金トークンに変換されてストックされるようにするのが好ましい。
また、この当該トークン(小口電力トークンや、小口通信トークン)とペアとなるNFTは、トークンのサブ情報として記録され、トークンの利用時に、トークンが固定価格で償却されると同時に自動的にヘッジ解消(時価との差額はヘッジをかける側が清算)となるようにするのが好ましい。
権利落ち日時直前のトークン保有者、つまり当該トークンの入庫されているアドレスに対し、当該アドレスの保有者が明確に特定個人であると紐づけることのできるDID(Decentralized Identity:分散型ID)的なID連結が行われている場合は、権利管理簿自動更新手段を介して、その連結する特定個人の情報を権利管理簿に記録するようにする。
なお、当該トークンの入庫されているアドレスに連結する特定個人の情報が定義されていない場合は、権利放棄となるようにするのが好ましい。
また、特定個人の情報と連結するアドレスが、取引所など、特定個人を口座的に管理する機能があるスマートコントラクトや事業体などのアドレスである場合、そのスマートコントラクトや事業体より、自社のアドレスの保管トークン量に対し、特定個人の個別口座の情報をデータで権利管理簿側に渡すことで、権利管理簿自動更新手段を介して、その権利者についての特定個人の情報を権利管理簿に記録することができるようにするのが好ましい。
その場合、通常であれば、当該アドレスの事業体やスマートコントラクトなどの特定情報が権利管理簿に記録されるが、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムにおいては、権利管理簿自動更新手段を介して、その事業体情報の後に、特定個人の口座情報を記録することができるようにするのが好ましい。
即ち、本発明のデジタル資産の取引・清算処理システムにおいては、権利管理簿には、情報項目として、事業者と特定個人の口座番号が設けられ、その特定個人の口座番号を事業者に照会することができ、照会時には、個人を特定する情報を権利管理簿側が受け取ることができるようにするのが好ましい。
11 顧客識別情報付加注文受付手段
12 顧客識別情報単位デジタル的権利入出量記録手段
13 顧客識別情報単位デジタル的権利Net集計情報取得手段
14 権利管理簿自動更新手段
15 サブトークン生成設定受付用スマートコントラクト
16 サブトークン生成用スマートコントラクト
17 サブトークン取引・クリアリング/決済用スマートコントラクト
18 入金受付手段
19 入金状況取得手段
20 現金支払側DVP処理条件チェック手段
21 トークン入庫受付手段
22 ウォレット
23 トークン引渡側DVP処理条件チェック手段
24 DVP処理執行制御手段
25 現金トークン発行処理制御手段
25-1 仮現金削減処理手段
25-2 仮現金トークン発行用スマートコントラクト
25-3 現金トークン変換用スマートコントラクト
25-4 現金削減処理確定手段
25-5 仮現金トークン自動償却用スマートコントラクト
25-6 削減処理分金額復帰手段
25-7 仮現金トークン仮設定状態制御用スマートコントラクト
25-8 現金トークン送付用スマートコントラクト
26 現金トークン償却用スマートコントラクト
27 現金トークン償却分残高反映手段
28 ゴールドトークン割当処理制御手段
28-1 仮ゴールドトークン削減処理手段
28-2 仮ゴールドトークン発行用スマートコントラクト
28-3 ゴールドトークン変換用スマートコントラクト
28-4 ゴールドトークン削減処理確定手段
28-5 仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクト
28-6 削減処理分ゴールドトークン復帰手段
28-7 仮ゴールドトークン仮設定状態制御用スマートコントラクト
28-8 ゴールドトークン送付用スマートコントラクト
29 ゴールドトークン償却用スマートコントラクト
30 ゴールドトークン償却分残高反映手段
31 ZPG等企業間清算手段
31-1 価格固定デジタルスワップ清算手段
31-2 暗号資産交換所口座間振替清算手段
31-3 DID方式清算用スマートコントラクト
31-4 ヘッジ率設定受付手段
31-5 固定価格有効期間設定受付手段
Claims (17)
- ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデータを用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトもしくはサーバアプリケーションを備えて構築された、デジタル資産(デジタル通貨的なものやデジタル証券的なものを含む広範囲のデジタル的権利)の取引・清算処理システムであって、
権利管理簿とトークンとを権利母体として有するデジタル証券系(交換券権利的NFT類を含む)などのデジタル的権利の取引に際し、顧客から、売り買いの種別、売り買いの対象、数量、値段などの注文情報に顧客の識別情報が付加された注文を受け付ける顧客識別情報付加注文受付手段と、
前記顧客識別情報付加注文受付手段が受け付けた注文が約定したとき、買い注文については顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利が入り(増え)、売り注文については顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利が出る(減る)ように、顧客の識別情報単位での証券的なデジタル的権利の入出量を記録する顧客識別情報単位デジタル的権利入出量記録手段と、
約定した注文の清算を行う際に、前記顧客識別情報単位デジタル的権利入出量記録手段により記録された顧客の識別情報単位での証券的なデジタル的権利の入出量を用いて、顧客の識別情報単位に証券的なデジタル的権利をNet集計し、顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の入出量Net集計情報を取得する顧客識別情報単位デジタル的権利Net集計情報取得手段と、
約定した注文の清算直後に、前記顧客識別情報単位デジタル的権利Net集計情報取得手段により取得された顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の入出量Net集計情報を用いて、権利管理簿に記録されている当該顧客の識別情報単位の証券的なデジタル的権利の変更処理を行い、権利管理簿を最新の状態に自動的に更新する権利管理簿自動更新手段と、
主格をなす権利管理簿(に記録されている証券的なデジタル的権利)をベースとして、ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳に、当該権利管理簿から分離するサブトークンを生成できるようにするための設定を受け付ける機能を有するサブトークン生成設定受付用スマートコントラクトと、
前記サブトークン生成設定受付用スマートコントラクトによりサブトークンを生成できるようにするための設定が受け付けられている場合、主格をなす権利管理簿(に記録されている証券的なデジタル的権利)の総データ量をベースとして、当該権利管理簿から分離し、かつ、総データ量が当該権利管理簿に記録されている証券的なデジタル的権利の総データ量と同じとなるように、データ量の小さい複数のサブトークンを生成する機能を有するサブトークン生成用スマートコントラクトと、
前記サブトークン生成用スマートコントラクトにより生成されたサブトークンに対する取引機能とDVP処理方式やRTGS処理方式によるクリアリング/決済機能とを兼ね備えた、サブトークン取引・クリアリング/決済用スマートコントラクトと、
を有することを特徴とするデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座をベースとして、当該清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座にリンクする各清算者用のDVP決済口座、もしくは当該清算処理を行う主体となる事業体の銀行口座に連動する子口座への、現金支払側清算者からの現金の入金を受け付ける入金受付手段と、
前記入金受付手段を介して各銀行の子口座(もしくはDVP決済口座)に入金された、当該現金支払側清算者からの現金の入金状況を取得する入金状況取得手段と、
前記入金状況取得手段により取得された、清算期日における当該現金支払側清算者からの現金の入金状況から、当該清算期日に各子口座(もしくはDVP決済口座)への清算に必要な所定額の現金の入金が完了しているか否かをチェックし、当該入金が完了している場合に、現金支払側DVP処理条件が満たされていると認定する、現金支払側DVP処理
条件チェック手段と、
清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスをベースとして、当該清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスにリンクする各清算者用のDVP決済アドレス、もしくは当該清算処理を行う主体となる事業体のクリアリングアドレスに連動する子アドレスへの、トークン引渡側清算者からのトークンの入庫を受け付けるトークン入庫受付手段と、
前記トークン入庫受付手段を介して各子アドレス(もしくはDVP決済アドレス)に、当該トークン引渡側清算者からのトークンの入庫状況を取得するウォレットと、
前記ウォレットにより取得された、清算期日における当該トークン引渡側清算者からのトークンの入庫状況から、当該清算期日に各子アドレス(もしくはDVP決済アドレス)への清算に必要な所定量のトークンの入庫が完了しているか否かをチェックし、当該入庫が完了している場合に、トークン引渡側DVP処理条件が満たされていると認定する、トークン引渡側DVP処理条件チェック手段と、
前記現金支払側DVP処理条件チェック手段による現金支払側DVP処理条件と前記トークン引渡側DVP処理条件チェック手段によるトークン引渡側DVP処理条件とが共に満たされていると認定されたとき、所定の清算指示内容に基づいた、クリアリングにおけるデジタル資産としてのトークンと現金とのDVP処理が行われるように制御するDVP処理執行制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - RTGS処理における交換対象の一方が現金(もしくは現金的なデジタル資産類)であり、かつ、現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)に交換対象の金額以上の所定額の現金が入金されている場合(もしくは、交換対象の金額以上の価格の、前払い的なデジタル通貨的なものなどの現金的なデジタル資産類が入金されている場合)、他方との交換に必要な金額分の現金を削減し、削減した金額分の現金を、交換対象の一方の現金に相当する所定量のデジタル資産である現金トークンとして割り当てて発行する現金トークン発行処理制御手段を有し、
前記現金トークン発行処理制御手段は、
現金支払側注文者の注文の約定前において、仮設定の処理として当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)から交換に必要な金額分の現金を暫定的に削減する仮現金削減処理手段と、
前記仮現金削減処理手段による暫定的な現金の削減処理に同期して、削減分の現金に相当する所定量のデジタル資産を仮設定の現金トークン(仮現金トークン)として発行する機能を有する仮現金トークン発行用スマートコントラクトと、
現金支払側注文者の注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、前記仮現金トークンを現金トークンに変換する機能を有する現金トークン変換用スマートコントラクトと、
前記現金トークン変換用スマートコントラクトによる現金トークンへの変換に同期して、仮設定の状態を解除し、前記仮現金削減処理手段により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)からの交換に必要な金額分の現金の削減処理をコミット(確定)する現金削減処理確定手段と、
現金支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮現金トークンを自動償却する機能を有する仮現金トークン自動償却用スマートコントラクトと、
前記仮現金トークン自動償却用スマートコントラクトによる仮現金トークンの自動償却に同期して、前記仮現金削減処理手段により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該現金支払側注文者用の銀行等口座類(もしくはそれに準じた管理機能)における削減処理分の金額をロールバック(削減処理前の状態に復帰)する削減処理分金額復帰手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 前記仮現金トークン発行用スマートコントラクトは、前記仮現金トークンの保有者欄に当該仮現金トークンの保有者のアドレスを設定する機能をさらに有し、
前記現金トークン発行処理制御手段は、
当該仮現金トークンを用いた注文において、注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一でない場合、仮設定の状態が解除されないように制御する機能を有する仮現金トークン仮設定状態制御用スマートコントラクトと、
現金支払側注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮現金トークンを用いた注文が約定した場合に、前記現金トークン変換用スマートコントラクトにより仮現金トークンから変換された、現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類を現金トークン受取側注文者のアドレスに変更する現金トークン保有者アドレス変更機能と、前記現金トークン保有者アドレス変更機能により変更された現金トークン受取側注文者のアドレスに現金トークンを送付する機能と、を有する現金トークン送付用スマートコントラクトと、
をさらに有し、
前記現金トークン変換用スマートコントラクトは、現金支払側注文者のアドレスと当該仮現金トークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮現金トークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、前記仮現金トークンを現金トークンに変換するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 当該現金トークン受取側注文者が、当該現金トークン受取側注文者のアドレスに送付された当該現金トークンを金融機関に送付したときに、口座名義がアドレス名義と合致する(当該金融機関での口座情報に現金トークン受取側注文者個人のアドレス情報が管理されているなど)場合、当該現金トークンを償却する機能を有する現金トークン償却用スマートコントラクトと、
前記現金トークン償却用スマートコントラクトによる当該現金トークンの償却に同期して、償却した当該現金トークンに相当する現金を現金トークン受取側注文者用の当該口座の残高に加算する現金トークン償却分残高反映手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項4に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - RTGSにおける交換対象の一方がゴールド現物であり、かつ、ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座に交換対象の価格以上の所定額のゴールド現物に相当する所定量のデジタル資産であるゴールドトークンが入庫されている場合、他方との交換に必要な価格分のゴールドトークンを削減し、削減分のゴールドトークンを、交換対象の一方のゴールド現物に相当する所定量のデジタル資産であるゴールドトークンとして割り当てるゴールドトークン割当処理制御手段を有し、
前記ゴールドトークン割当処理制御手段は、
ゴールド現物支払側注文者の注文の約定前において、仮設定の処理として当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座から交換に必要な価格分のゴールドトークンを暫定的に削減する仮ゴールドトークン削減処理手段と、
前記仮ゴールドトークン削減処理手段による暫定的なゴールドトークンの削減処理に同期して、削減分のゴールドトークンに相当する所定量のデジタル資産を仮設定のゴールドトークン(仮ゴールドトークン)として発行する機能を有する仮ゴールドトークン発行用スマートコントラクトと、
ゴールド現物支払側注文者の注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、前記仮ゴールドトークンをゴールドトークンに変換する機能を有するゴールドトークン変換用スマートコントラクトと、
前記ゴールドトークン変換用スマートコントラクトによるゴールドトークンへの変換に同期して、仮設定の状態を解除し、前記仮ゴールドトークン削減処理手段により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座からの交換に必要な価格分のゴールドトークンの削減処理をコミット(確定)するゴールドトークン削減処理確定手段と、
ゴールド現物支払側注文者の注文が約定しなかった場合に、当該仮ゴールドトークンを自動償却する機能を有する仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクトと、
前記仮ゴールドトークン自動償却用スマートコントラクトによる仮ゴールドトークンの自動償却に同期して、前記仮ゴールドトークン削減処理手段により仮設定の処理として暫定的に行われていた当該ゴールド現物支払側注文者用のゴールドトークンとゴールド現物との交換所口座における削減処理分のゴールドトークンをロールバック(削減処理前の状態に復帰)する削減処理分ゴールドトークン復帰手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 前記仮ゴールドトークン発行用スマートコントラクトは、前記仮ゴールドトークンの保有者欄に当該仮ゴールドトークンの保有者のアドレスを設定する機能をさらに有し、
前記ゴールドトークン割当処理制御手段は、
当該仮ゴールドトークンを用いた注文において、注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一でない場合、仮設定の状態が解除されないように制御する機能を有する仮ゴールドトークン仮設定状態制御用スマートコントラクトと、
ゴールド現物支払側注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮ゴールドトークンを用いた注文が約定した場合に、前記ゴールドトークン変換用スマートコントラクトにより仮ゴールドトークンから変換された、ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類をゴールドトークン受取側注文者のアドレスに変更するゴールドトークン保有者アドレス変更機能と、前記ゴールドトークン保有者アドレス変更機能により変更されたゴールドトークン受取側注文者のアドレスにゴールドトークンを送付する機能と、を有するゴールドトークン送付用スマートコントラクトと、
をさらに有し、
前記ゴールドトークン変換用スマートコントラクトは、ゴールド現物支払側注文者のアドレスと当該仮ゴールドトークンの保有者欄のリンクしているアドレス情報類とが同一である仮ゴールドトークンを用いた注文が約定した場合に、仮設定の状態を解除し、前記仮ゴールドトークンをゴールドトークンに変換するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 当該ゴールドトークン受取側注文者が、当該ゴールドトークン受取側注文者のアドレスに送付された当該ゴールドトークンをゴールドトークンとゴールド現物との交換所に送付したときに、口座名義がアドレス名義と合致する(当該交換所での口座情報にゴールドトークン受取側注文者個人のアドレス情報が管理されているなど)場合、当該ゴールドトークンを償却する機能を有するゴールドトークン償却用スマートコントラクトと、
前記ゴールドトークン償却用スマートコントラクトによる当該ゴールドトークンの償却に同期して、償却した当該ゴールドトークンに相当するゴールド現物をゴールドトークン受取側注文者の当該交換所口座の残高に加算するゴールドトークン償却分残高反映手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項7に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - ZPG(デジタルゴールドなど貴金属系のデジタル資産類)やエネルギートークン等、(コモディティをトークン化してなる)デジタル資産類(メジャーな商品を規格化して、一般的に取引対象となっているもの)のブロックチェーン上のアドレス移動、もしくは暗号資産交換所の口座間振替を行うことにより、商流スキームを持つ事業体などがある企業間の清算を、既存の金融機関のネットワークシステムを使わないで行うZPG等企業間清算手段をさらに有し、
前記ZPG企業間清算手段は、
ZPG等を用いた清算をする際にZPG等の価格を固定する機能を有するユーティリティトークン(UT、実際にはNFT的なオプション契約を個別で記録しているもの)にZPG等を紐づけし、固定したZPG等の価格により清算を行うデジタルスワップ(個別ヘッジ契約に、ZPGの基本価値をリンクさせたNFTの受け渡し)機能を備えた価格固定デジタルスワップ清算手段を有し、
前記価格固定デジタルスワップ清算手段は、
ZPG等の送り手と受け手が共に通貨単位¥での交換を希望する場合は、ZPG等の価格を通貨単位¥で固定する機能を有するスワップ契約のNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)(ZPGの条件をカバーする契約を設定したNFT)を店頭デリバティブとして発行し、発行したスワップ契約のNFTに該当ZPGを紐づける機能と、
ZPG等の送り手が通貨単位として¥での交換を希望し、ZPG等の受け手が通貨単位として米$での交換を希望する場合は、ZPG等の価格を通貨単位¥で固定する機能を有するスワップ契約のNFT(ZPGの条件をカバーする契約を設定したNFT)と、ZPG等の価格を通貨単位米$で固定する機能を有するスワップ契約のNFT(ZPGの条件をカバーする契約を設定したNFT)とを夫々店頭デリバティブとして発行し、もしくはZPG等の価格を通貨単位¥と通貨単位米$とで夫々固定する機能を有するスワップ契約のNFT(ZPGの条件をカバーする契約を設定したNFT)を店頭デリバティブとして発行し、発行したスワップ契約のNFTに該当ZPG等を紐づける機能と、
当該スワップ契約のNFTの契約期間内において、NFTにおけるスワップ契約に該当ZPG等が紐づき、該当ZPG等の交換処理時に該当ZPG等の通貨単位での固定価格に相応する量の通貨を受け取る(ZPGの売却と同時にヘッジを解消することで、ZPGの価格変動分を店頭デリバティブとして発行したNFTのスワップ契約で相殺する)ことができるようにする機能と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - スワップ契約のNFTが紐づけられたZPG等の固定価格は、当該NFTにおけるスワップ契約に基づいて一定期間(例えば、1年間など)、もしくは一定時期(例えば、年末までなど)の期限付きであり、スワップ契約の内容を、当該NFTを管理するウォレットで確認することができ、
ZPG等の固定価格は、最終清算において、スワップ契約のNFTの償却処理が行われたときに、自動的に解消されるようにしたことを特徴とする請求項9に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム - 前記価格固定デジタルスワップ清算手段は、
ZPG等の価格を顧客の所望する通貨単位で固定する際に、本来のZPG等の対価およびデリバティブ契約費用の支払いを受け付ける機能と、
該当スワップ契約のNFTの有効期間内のヘッジコストを、価格固定時に自動的に支払元から徴収する(ZPGの指定通貨での売却したデジタル通貨類と、ヘッジ解消時における、指定通貨での補填分を加算した合計額を指定通貨型デジタル資産で受け取る)機能と、
をさらに有する
ことを特徴とする請求項9に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 前記価格固定デジタルスワップ清算手段は、
価格固定ZPG等が紐づくスワップ契約のNFTを店頭デリバティブとして発行する際の与信の他に、担保として、STや有価証券、その他のデジタル資産などの設定を受け付ける機能をさらに有する
ことを特徴とする請求項9に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 前記価格固定デジタルスワップ清算手段は、
価格固定ZPG等となるNFTを生成する機能と、
価格固定ZPG等となるNFTの発行においてZPG等を担保として設定(NFT内に取り込む)する機能と、
をさらに有することを特徴とする請求項9に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 前記ZPG等企業間清算手段は、当該固定価格による清算対象となるデジタル資産をなすトークンについてのデータの口座への記録のみを行い、当該トークンの移動を行わず、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所の口座間で清算者同士での清算のための口座間振替を行う暗号資産交換所口座間振替清算手段を有し、
前記暗号資産交換所口座間振替清算手段は、店頭デリバティブとして発行された、(ブロックチェーンなどの分散処理機能内で生成された)当該固定価格による清算対象となるデジタル資産をなすトークンが紐づく個別契約のNFTの情報を、当該デジタル資産をなすトークンについてのブロックチェーン上でのアドレスの移動を行うことなく、当該清算サービスを実施する暗号資産交換所における該当(夫々の清算者の)口座の資産情報に記録し、当該口座で管理することを特徴とする請求項9に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 前記暗号資産交換所口座間振替清算手段は、
清算に際して、ZPG等受取側清算者から現金での支払いを要求された場合、保有する価格固定ZPG等を口座内で現金化し、その現金をZPG等受取側清算者の指定口座に振り替える機能と、
現金に交換したときに、価格固定ZPG等と(店頭デリバティブとして発行された)NFTとを償却する機能と、
を有することを特徴とする請求項14に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。 - 前記ZPG等企業間清算手段は、口座の代わりにDID(Decentralized Identity:分散型ID)方式の清算処理を行う交換機能を有し、DID方式清算用スマートコントラクトを有し、該DID方式清算用スマートコントラクトを介して、清算対象となる価格固定ZPG等のデジタル資産類のブロックチェーン上のアドレス移動を行うように構成されていることを特徴とする請求項9に記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。
- 前記ZPG等企業間清算手段は、
価格固定ZPG等のヘッジ率を0~100%の間で設定受付可能に構成されたヘッジ率設定受付手段と、
価格固定ZPG等の有効期間を1日、1週間、半年、1年後など、個別に設定受付可能に構成された固定価格有効期間設定受付手段と、をさらに有する
ことを特徴とする請求項9~16のいずれかに記載のデジタル資産の取引・清算処理システム。
Priority Applications (1)
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JP2023104594A JP7425427B1 (ja) | 2023-06-26 | 2023-06-26 | デジタル資産の取引・清算処理システム |
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-
2023
- 2023-06-26 JP JP2023104594A patent/JP7425427B1/ja active Active
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US20190340685A1 (en) | 2018-05-03 | 2019-11-07 | Alpha Ledger Technologies, Inc. | Blockchain-based asset and immutable real-time intelligent securities platform |
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